マイクロソフトのマルチクラウドプラットフォームAzure Arcが機械学習のワークロードに対応

Microsoft(マイクロソフト)はコンテナのクラスターがどこでホストされているかに関わらずあらゆるKubernetes環境でAzureを実行できるサービスをAzure Arcで提供している。Arcは登場当初から幅広いユースケースに対応していたが、サービス開始時には残念ながら対応していない機能があった。それが機械学習だ。しかしArcのようなツールの利点の1つは企業がデータに関するワークロードを実行できることであり、それは現在ではそのデータを使って機械学習モデルをトレーニングするという意味であることが少なくない。

米国時間3月2日、Microsoft IgniteカンファレンスでMicrosoftは、Azure Machine LearningをArc対応のデータサービスに追加することでまさにこの機能をAzure Arcで利用できるようになると発表した。

AzureのGMであるArpan Shah(アルパン・シャー)氏は同日の発表で「機械学習の機能をハイブリッドやマルチクラウドの環境に拡大することにより、お客様は既存のインフラストラクチャへの投資を生かしつつ、データのある場所でトレーニングモデルを実行できます。データの移動やネットワークの遅延が減り、セキュリティやコンプライアンスの要件を満たすこともできます」と記した。

この新機能はArcの利用者にすでに公開されている。

Arcに機械学習機能が追加されたことに加え、MicrosoftはAzure Arc対応KubernetesがGAになったことも発表した。これによりユーザーは標準的なKubernetesの構成をあらゆる場所にあるクラスターにデプロイできる。

Azureのハイブリッドサービスの世界で新しい点としては、Azure Stack HCI上でのAzure Kubernetes Serviceのサポートがある。解説すると、Azure Stack HCIは顧客のデータセンター内にある標準化されたハイパーコンバージドなハードウェアセット上でAzureを実行するマイクロソフトのプラットフォームだ。このアイデア自体はAzure Arcより前からあるものだが、自社データセンター内でAzureを実行したい企業にとっては今でも妥当な代替策で、DellやLenovo、HPE、富士通、DataOnなどのベンダーがサポートを継続している。

Arcのオープンソースの面では、MicrosoftはArcがCNCF(Cloud Native Computing Foundation)の標準に適合するあらゆるKubernetesディストリビューションと連携して動作するように構築され、RedHat、Canonical、Rancherそして現在ではNutanixと連携してAzure Arc上でKubernetesの実装に関してテストと検証を実施していると強調した。

Microsoft Ignite 2021

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft AzureがNoSQLのApache Cassandraマネージドインスタンスを提供開始

米国時間3月2日のMicrosoft Igniteカンファレンスで、Microsoft(マイクロソフト)はApache CassandraのAzure Managedインスタンスの提供開始を発表した。Apache Cassandraは最新のNoSQLデータベースシステムで、DatastaxなどCassandraセントリックの企業に対する競合となる。Microsoftはこの新しいサービスを「企業がCassandraベースのワークロードをクラウドでもっと活用するためのセミマネージドサービス」と表現している。

Microsoftは報道発表の中で「お客様は簡単にオンプレミスのCassandraワークロードを移行しクラウドで無制限にスケールでき、Apache Cassandraの最新バージョンとの互換性も完全に維持されます。このデプロイメントによりパフォーマンスとアベイラビリティが向上し、Azureのセキュリティとコンプライアンスの利点も得られます」と説明した。

同様のサービスであるAzure SQL Managed Instanceと同じで、ユーザーはスケーラブルなクラウドベースのデータベースにアクセスできるようになる。これまで企業がAzureでCassandraを利用するにはCassandra、MongoDB、SQL、Gremlin APIをサポートするスケーラビリティの高いデータベースサービスのCosmos DBに移行するか、バーチャルマシンまたはオンプレミスのインフラストラクチャを自社で管理する必要があった。

CassandraはもともとFacebookが開発し、2008年にオープンソースになって、その1年後の2009年にApache Foundationに加わった。現在はさまざまな業界で広く利用され、AppleやNetflixなどは中心的なサービスの一部に利用している。AWSはCassandra互換のマネージドサービスを2019年のre:Inventカンファレンスで発表し(現在はAmazon Keyspacesという名前になった)、Microsoftは2018年9月にCosmos DBのCassandra APIを提供開始した。今回の発表でMicrosoftはワークロードをクラウドに移行したい企業に向けてCassandraベースのサービスをフルレンジで提供できることになる。

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Microsoft Ignite 2021

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

クラウドインフラ市場は2020年に13.6兆円に成長、リッチな企業はますますリッチに

2020年のクラウドインフラ市場は社会を反映した。世界で最もリッチな企業はますますリッチになり、マーケット最下層の企業はますます落ち込んだ。Synergy Research Groupのデータによると、クラウドインフラ市場は2019年の970億ドル(約10兆2400億円)から2020年は1290億ドル(約13兆6100億円)に成長した。

Synergyはまた、クラウドインフラ市場が第4四半期に370億ドル(約3兆9000円)に達し、第3四半期の330億ドル(約3兆4800億円)からアップし、前年同期比でも35%増だったと指摘した。

過去9カ月、筆者はあらゆる創業者たちからパンデミックがデジタルトランスフォーメーションを加速させており、その大部分はクラウドへのシフト促進だと耳にした。こうした数字は創業者たちの言葉を裏づけているようだ。

いつものように、ビッグ3はAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)だ。Alibaba(アリババ)が第4位に定着し、IBMは5位に後退した。しかしMicrosoftはライバルのAmazonよりも急成長していて、2020年末に初めてマーケットシェアが20%に達した。レドモンド拠点のソフトウェア大企業Microsoftのマーケットシェアは2017年から倍になったことを心に留めておいてほしい。これは驚くべき成長スピードだ。一方でGoogleとAlibabaのシェアはそれぞれ9%と6%だった。

画像クレジット:Synergy Research

Amazonはその点で興味深く、Synergyのデータでは4年連続でマーケットシェア33%前後で横ばいを維持しているが、急速に成長しているマーケットにおける3分の1であり、これはこの部門の拡大にともなって同社もパブリッククラウドの売上高を成長させ続けていることを意味する。

AmazonはAWSの第4四半期売上高127億4000万ドル(約1兆3400億円)で2020年を締めくくった。これは前期の116億ドル(約1兆2200億円)から増え、ランレートは初めて500億ドル(約5兆2700億円)を超えた。一方でMicrosoftの数字は決算から解析するのはいつも難しく、370億ドル(約3兆9000億円)の20%を計算すると74億ドル(約7800億円)で、これは前期の59億ドル(約6200億円)から増えている。

Googleは第3四半期の29億8000万ドル(約3200億円)から第4四半期は33億ドル(約3500億円)に増え、Alibabaは同時期16億5000万ドル(約1700億円)から22億2000万ドル(約2300億円)に増えた。

SynergyのプリンシパルアナリストJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、トップ企業は巨大で絶対的なマーケットシェア、それからクラウドプロバイダー間の大きなギャップで自社の周りをしっかりと固めていると話す。「AWSは過去10年大きなサクセスストーリーで、広範囲のIT部門企業との競争激化にかかわらずマーケットでかなり強固な地位をキープしています。これはAmazonとAWSの経営チームにとって、新体制になっても状況は変わらないと思わせるすばらしい証拠です」と同氏は筆者に語った。

ディンスデール氏は、Microsoftが相手としてAWSは相応しいライバルだが、いつかの時点で同社は成長の壁にぶつかる運命にあるとみている。「MicrosoftがAmazonとの差を縮め続けるのはもちろん可能ですが、MicrosoftのAzureが大きくなるにつれ、かなり高い成長率を維持するのは難しくなります。これは大数の法則です」。

一方、クラウドインフラ業界の下位のマーケットシェアは減少し続けている。「マーケットシェアで敗れた企業は小規模クラウドプロバイダーの集まりで、過去16四半期で13ポイントのマーケットシェアを失いました」とSynergyは声明で述べている。

しかし、こうしたプレイヤーにとってすべて負けではないとディンスデール氏は話す。「比較的小規模のプレイヤー(あるいは小さなマーケットシェアを持つ大企業)はニッチな特定マーケット(地理、サービスタイプ、顧客の部門に基づくもの)にフォーカスしたり、あるいは幅広い顧客に広範なクラウドサービスを提供しようと試みることができます。前者の企業は極めてうまく振る舞うことができ、後者の場合はかなり厳しいでしょう」と述べた。

Canalysの数字は少し異なり、クラウドインフラ市場が1420億ドル(約14兆9800億円)で、第4四半期は400億ドル(約4兆2200億円)としたが、各社のマーケットシェアはSynergyのものと同じだったことは記すに値する。

画像クレジット:Canalys

パブリッククラウドの売上高はある時点で意味を失うほどに大きくなったが、それでも世界中のIT支出に占める割合としては比較的小さいままだ。Gartnerの推計によると、世界の2020年のIT支出は3兆6000億ドル(約379兆8300億円)だった。つまり、そこでクラウドインフラマーケットが占める割合は3.85%にすぎないことを意味する。

次のことを少し考えてほしい。IT支出の4%以下が現在、クラウドインフラに向けられ、かなりの成長余地を残していて、数年のうちに何十億ドル(約何千億円)も成長する。

もちろん他のプレイヤーが参入してトップ企業を慌てさせればもっと興味深いものになるが、我々がコンピューティングについて想定している道中に予期せぬ何かやドラマティックなことが起こらない限り、差し当たってこのままトップ企業は猛烈な勢いで我が道を突き進んでいくだろう。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

GM傘下の自動運転車Cruiseが約2000億円を調達したラウンドにマイクロソフトも参加

Cruiseは新たなエクイティラウンドで20億ドル(約2080億円)を調達し、評価額は300億ドル(約3兆1200億円)に上昇した。また、投資家およびパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わった。

GMやホンダなどの機関投資家も、Cruiseの自動運転技術が商用化に近づいているとして追加で投資した。

Microsoftの資本も重要だが、少なくとも両社の見方によればこのパートナーシップはCruiseにとって対等で長期的な価値がある。長期にわたる戦略的パートナーシップの下で、CruiseはMicrosoftのクラウドおよびエッジコンピューティングプラットフォームであるAzureを利用して自動運転ソリューションを大規模に商用化する予定だ。

自動運転車を手がける企業が商用化、つまり自社の技術を広く提供することを目指すとなると、堅牢なクラウドコンピューティングプラットフォームが必要だ。人や荷物を運ぶ多くの自動運転車を運用すると膨大な量のデータが生成され、自動運転車企業にとってはクラウドサービスにかかるコストが増大する。

CruiseとMicrosoftのパートナーシップは、両社にメリットをもたらすことを狙っている。Cruiseはクラウドサービスを低コストで利用でき、Microsoftは(まさに自動運転車のような)機械学習とロボティクスを実用化し大規模に展開するために必要なワークロードを扱うエッジシステムのテストを実施できる。

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は発表の中で「デジタルテクノロジーの進化は私たちの仕事や生活のあらゆる面を再定義しています。人やモノの動きについても同様です。CruiseとGMが選んだクラウドとして、私たちはAzureのパワーを活かして両社が成長し自律輸送の主流となるよう支援していきます」と述べている。

米国時間1月19日の発表によれば、パートナーシップはGMにもおよぶ。Microsoftは今後GMのパブリッククラウドプロバイダーとして、GMがデジタル化の取り組みを加速しデジタルサプライチェーン全般にわたって業務を効率化するよう支援する。

パートナーシップによってCruiseは電動自動運転車の商用化を加速できる。また、GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「GMは2025年までに全世界で30車種の電気自動車を投入し、新たなビジネスやサービスを創造して成長するにあたって、クラウドコンピューティングの果たす役割はますます大きくなると認識しています」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトとEYがブロックチェーン基盤のXboxゲーム用著作権・ロイヤリティ管理システムを本稼働

マイクロソフトとEYがブロックチェーン基盤のXboxゲーム用著作権・ロイヤリティ管理システムを本稼働

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月20日~12月26日の情報から。

会計・税務関連サービスを提供するEY(アーンスト・アンド・ヤング)Microsoft(マイクロソフト)は、「Quorum」(クォーラム)ブロックチェーンを基盤とする、マイクロソフトのゲームに関する著作権・ロイヤリティ管理プラットフォームを機能拡張した。日本法人EY Japanが12月25日に報じた

同ブロックチェーンプラットフォームに関しマイクロソフトは、ゲームブランド「Xbox」のパートナー、アーティスト、ミュージシャン、ライター、その他コンテンツクリエーターのネットワーク向けに、ロイヤリティ契約の締結から支払・照合までを網羅する財務記録システムとして活用していく。EYは、契約関連の計算や取引処理を自動化できるようサポートする。

両社は共同で、2018年6月よりデジタルコンテンツの著作権とロイヤリティを管理するためのブロックチェーンプラットフォームを開発し、マイクロソフトおよび、マイクロソフトとパートナーシップを組むゲームパブリッシャー向けに、試験提供を続けてきた。

著作権やロイヤリティを多数扱うゲーム業界では、著者、作詞・作曲家、プロダクション関係者、ソフトウェアデベロッパーなど支払先が複数存在する。毎月、何万件・数十億ドルにのぼるロイヤリティが支払われている中、従来のロイヤリティ計算は、一般的にオフラインのデータソースを使用し、手作業で行われていたという。

両社が開発を進めてきたブロックチェーンプラットフォームは、他社に知的財産や知的資産をライセンス供与する企業や、ロイヤリティ契約に基づきクリエイターに対価を支払う業態の企業など、広範囲に適用できるよう設計。支払処理に時間を要するゲーム業界の著作権やロイヤリティの管理システムを合理化し、コストの削減を目指してきた。プラットフォームには、スマートコントラクトが組み込まれており、リアルタイムにロイヤリティを計算できるよう設計している。

ネットワーク基盤は、コンセンシス(ConsenSys)がオープンソースソフトウェアとして公開しているEthereum(イーサリアム)基盤のコンソーシアム型ブロックチェーンQuorum、Microsoft Azureのクラウドインフラ、ブロックチェーン技術を組み合わせ、合意内容の機密性が関係者全体で確保できるよう構築。

さらに拡張された今回のブロックチェーンプラットフォームでは、Microsoft Azureをベースにした人工知能(AI)を活用し、契約書のデジタル化を加速し、より迅速な契約書作成が可能になった。また、明細書と請求書をシームレスに生成し、それらをERP(総合基幹業務システム)に統合することで、ロイヤリティ決済の処理スピード、可視性、透明性を向上させている。拡張されたプラットフォームにより、ゲーム開発パートナーとの契約をすべてデジタル化し、ほぼリアルタイムでロイヤリティ計算を行うことで、処理時間を99%短縮する。

このブロックチェーンプラットフォームは、ソフトウェア業界で「ソークテスト」と呼ばれる、膨大なトランザクション下でのパフォーマンスをサポートするためのテストが行われ、1日あたり200万件の取引を処理できることが実証されているという。

今回の機能拡張により、マイクロソフトのグローバル・ファイナンス・オペレーションのゼネラルマネージャー Luke Fewel氏は「今回の拡張ソリューションの本稼働は、ブロックチェーンとスマートコントラクトのテクノロジーを活用したロイヤリティ決済の明るい第1歩となりました。これによって、拡張性を備えた財務およびオペレーションプロセスの合理化と、膨大な手作業によるスタッフの負担軽減、ゲームパートナーのエクスペリエンス向上が可能になります。引き続き、ロイヤリティ・エコシステム全体に本ソリューションを浸透させてプロセスの改善を図り、現代に即したファイナンスジャーニーを積極的に進めていきたいと思います」と語っている。

また、EYのグローバル・ブロックチェーン・リーダー Paul Brody氏は「ブロックチェーンは今後、企業間のやり取りのデジタル化になくてはならない重要な要素となるでしょう。今回、私たちは契約のデジタル化から財務上の未収金の計上に至るすべてのアクティビティの自動化とサイクルタイム短縮を進めました。この拡張バージョンの本稼働は、ブロックチェーンを活用したデジタル化の道のりにおいて大きな1歩となりました。このようなブロックチェーンソリューションは、ポイントツーポイントの統合からエコシステムレベルの自動化へとレベルアップする一助となります」と述べている。

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Microsoftがデンマークに初のAzureデータセンターリージョンを展開へ

Microsoft(マイクロソフト)はAzureデータセンターのグローバルなプレゼンスを急速に拡大し続けている。2020年10月にオーストリアと台湾の新リージョンを発表した同社は、米国時間12月7日、デンマーク(Microsoftリリース)に新リージョンを立ち上げる計画を明らかにした。

近日のマイクロソフトの発表の多くと同様に、デンマークの20万人(2024年までに)にデジタルスキルを提供するというコミットメントも発表されている。

「今回の投資により持続可能な成長、イノベーション、雇用創出を推進するために必要なデジタルツール、スキル、インフラをデンマークの社会と企業に提供するという長期的なコミットメントの新たな一歩を踏み出したことになります。デンマークの野心的な気候目標と経済回復をサポートするかたちで、私たちはデンマークのデジタルの未来への飛躍に投資しています」と、Microsoft DenmarkのゼネラルマネージャーであるNana Bule(ナナ・ブレ)氏は述べた。

画像クレジット:Microsoft

新しいデータセンターは100%再生可能エネルギーで稼働し、複数の利用可能ゾーンを備え、AzureやMicrosoft 365、Dynamics 365、Power Platformといった標準セットとなったマイクロソフトのクラウド製品をサポートする。

例によって、新リージョンはマイクロソフトのツールやサービスに低レイテンシでアクセスできるようにすることが目的だ。同社は以前から、世界中をローカルデータセンターでカバーする戦略を取ってきた。ヨーロッパはその好例であり、すでに十数カ国の地域(稼働中と発表のみの両方)がある。Azureは現在、米国内で13のリージョン(政府機関限定の3カ所を含む)を提供しており、西海岸でも近く新しいリージョンを提供する予定だ。

マイクロソフト社のBrad Smith(ブラッド・スミス)社長は、「これはデンマークのマイクロソフトにとって、誇らしい日です」と述べた。「デンマークに超大規模データセンターを建設するということは、デンマークのデータを同国に保管し、より高速にコンピューティングにアクセスできるようにし、弊社の世界クラスなセキュリティでデータを保護し、デンマークのプライバシー法でデータを保護し、同国の人々に当社の最高のデジタルスキルトレーニングを提供するために、さらに多くのことを行うことを意味しています。この投資は、デンマークのグリーンでデジタルなリーダーシップを世界的に評価し、同国の未来へのコミットメントを反映したものです」。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Microsoftが台湾初のAzureデータセンターリージョン開設を発表、IoTとAIの研究や投資に続く取り組み

10月前半にはオーストリアに最新のデータセンターリージョンを開設しブラジルの拠点を拡大することを発表したMicrosoft(マイクロソフト)が、米国時間10月28日に台湾に新しいリージョンを開設する計画を明らかにした(Microsoft発表)。同社はすでに中国(運営は21Vianet)、香港、日本、韓国でデータセンターを運営しており、台湾の新しいリージョンは東アジアでのこれまでのプレゼンスを強化するものになる。台湾の新しいリージョンが開設すると、全世界で66クラウドリージョンとなる。

マイクロソフトはブラジルでの拡張と同様に、2024年までに台湾で20万人以上に対してデジタルスキルの向上を図り、台湾のAzure Hardware Systems and Infrastructureのエンジニアリンググループを強化することも発表している。同社は台湾でIoTとAIの研究やスタートアップアクセラレーターに投資しているが、これはそうした投資に続く取り組みだ。

マイクロソフトのエグゼクティブバイスプレジデント兼同社グローバルセールスマーケティング&オペレーション プレジデントのJean-Phillippe Courtois(ジャン-フィリップ・クルトワ)氏は「台湾への新たな投資は、ハードウェアとソフトウェアの統合に関する確固とした伝統を我々が信頼していることの現れです。台湾のハードウェア製造の専門性と新しいデータセンターリージョンにより、インテリジェントクラウドとインテリジェントエッジを広めて5GやAI、IoTの可能性をさらに推し進め、大きなトランスフォーメーションを実現できると期待しています」と述べている。

画像クレジット:Microsoft

新しいリージョンではMicrosoft Azureのコアのサービスを利用でき、Microsoft 365、Dynamics 365、Power Platformをサポートする。マイクロソフトが最近開設しているする新しいリージョンの計画は、ほぼこのようになっている。マイクロソフトのほとんどの新しいデータセンターリージョンと同様に、台湾のリージョンでも複数のアベイラビリティゾーンを提供する。

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タグ:MicrosoftMicrosoft Azure台湾

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(翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft Azureがカナダとオーストラリアにアベイラビリティゾーンを新設

Microsoft Azureは競合他社よりも多くのデータセンターリージョンを開発者が利用できるようにしているが、高可用性を必要とするユースケースのためにリージョン内に別のアベイラビリティゾーンを提供することには遅れをとっていた。数年前に目を引く問題がいくつか発生し(DataCenter Knowledge記事)、その後、マイクロソフトはアベイラビリティゾーン構築のロードマップを急いできた。現在、マイクロソフトの12のリージョンに複数のアベイラビリティゾーンがあり、Igniteで発表された通りカナダセントラルとオーストラリアのリージョンでもアベイラビリティゾーンを利用できるようになった。

さらにマイクロソフトは米国時間9月22日、データセンターを運用している各国で2年以内にアベイラビリティゾーンを設けると約束した。

アベイラビリティゾーンは同一の地理的リージョン内にある物理的に別のデータセンターをユーザーが利用できるようにするものだ。それぞれのアベイラビリティゾーンが電力、ネットワーク、接続のインフラストラクチャを備える。このようにしておけば、何らかの理由でデータセンターのひとつがオフラインになっても同一エリア内にある別のデータセンターに引き継げる。

当初、Microsoft Azureのアプローチは少し変わっていて、アベイラビリティゾーンを提供するよりも地理的に広げる方が重要であるとしてアベイラビリティゾーンを持たないリージョンに力を入れていた。Googleも似たアプローチをとっていたが、現在はほとんどのリージョンに3つ(アイオワには4つ)のアベイラビリティゾーンを設けている。開発者は高可用性の必要なアプリケーションでは通常、複数のリージョンを選択できるが、例えばレイテンシーは増える。

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがAzure Communication Servicesを発表、企業内クラウド利用の総合会話システムを開発可能に

Microsoft(マイクロソフト)は開催中のIgniteカンファレンスで、Azure Communication Servicesを発表した。これはデベロッパーがそれぞれのアプリに音声およびビデオのチャットと電話網を利用した通話機能を実装できるクラウドサービスだ。

同社は「主要なクラウド上で初のフル・マネージドのコミュニケーション・プラットフォーム」だと説明した。たしかにAWSやGoogleもにもAWSの通知機能のようなプロダクトはあるものの、総合的なコミュニケーション・サービスとはいえない。実はAzure CommunicationはTwilioや最新のMessageBirdに近いサービスだろう。

同社はこの数年間、人気が高まりつつあるTeamsサービスを始めとしてこの分野で多数の機能を展開してきた。当然ながらTeamsとの統合は今回の発表の中でも重要な位置を占めていた。

マイクロソフトのコーポレート・バイスプレジデントを務めるScott Van Vliet(スコット・ヴァンヴリート)氏は「Azure Communication Servicesはその名称のとおり信頼性が高いグローバルなクラウドサービスにネーティブに対応している。レイテンシーが低く世界中から利用できるコミュニケーションプラットフォームであるAzureクラウド上で企業はサービスを開発し自信を持って運用できる。AzureはMicrosoft Teamsがリモートミーティングで1日当たり延べ50億分以上利用しているクラウドだ」と述べた。

同社はまたデベロッパーがこのサービスを使ってコミュニケーションシステムを構築する際、自動翻訳システムなど他のスマートサービスも同時に利用できることを強調した。同社はまた「セキュリティおよびプライバシーがHIPPAおよびGDPR規格に準拠している」と述べている。デベロッパーこのサービスを利用するためのAPIおよびSDKが用意される。

サービスの中心となる機能はほぼ予想通りだ。音声およびビデオ通話(その間を往復できる)とチャット、10月からスタート。テキストメッセージ送信だ。世界中あらゆる場所に所に広がるMicrosoftのネットワーク上に構築されるためデベロッパーはこうした機能を世界規模で利用することができるという。

電話番号が利用できるのもこのサービスの特徴の1つだ。デベロッパーはユーザーに発信着信双方が可能な電話番号を割り当てることができる。ユーザーは既存の番号ポータビリティで利用することもできるし新しい電話番号を申請することもできる。中でも重要なのはマイクロソフトのコンタクトセンターで、企業独自のデバイスでもキャリアのスマートフォンでも利用できる。

ヴァンヴリート氏は「マイクロソフトの目的は進歩する市場環境の中で高い信頼性で企業のニーズを満足させることだ。顧客や得意先との間で音声、ビデオ、SMSを含む多様かつリッチな対話が必要だ。ビジネスの不可欠の一部としてあらゆるデバイスを通じてこうしたコミュニケーションが可能となるプラットフォームを提供していく」と述べた。

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Microsoft Ignite

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトが人工衛星をクラウドにつなぐAzure Orbitalを発表

米国時間9月23日に開幕したMicrosoft(マイクロソフト)のIgnite(バーチャル)カンファレンスで、同社はAzure Orbitalを発表した。このサービスは衛星運用のプラットフォームで、衛星の運用者は詳細なデータをAzureクラウドで処理するだけでなく、同社の豊富な地上衛星施設を利用することができる。

マイクロソフトはこのサービスを衛星利用情報データ処理の中心に位置づけている。すでにAmergint、Kratos、KSAT、KubOS、Viasat、US Electrodynamics、Viasatと提携しており、各社がこのサービスを再販売する。

画像クレジット:Microsoft

Azure Networkingのプロダクト責任者であるYves Pitsch(イヴ・ピッチ)氏はブログ記事で「マイクロソフトはカスタマーによる衛星利用情報の収集、転送、処理に対してサポートを与えるために好適な位置を占めている。マイクロソフトのインテリジェントクラウドは最先端のテクノロジーにより、60カ所以上のクラウドリージョンが利用可能となっている。高度のデータ分析やAI利用処理を世界最速で最も信頼性の高いクラウドネットワークに統合できる。セキュリティとイノベーションがマイクロソフトのサービスの革新だ」と述べている。

画像クレジット:Microsoft

衛星運用者はマイクロソフトのクラウド上で衛星データを処理できるだけでなく、同社が提供するあらゆる地上衛星施設のサービスを利用できる。これにはマイクロソフトが所有、運用する地上基地(周波数帯域はXバンド、Sバンド、UHF)を利用して衛星からデータを得る能力が含まれる。データはリアルタイムでAzureクラウドに転送され、保存、分析、AI利用などが可能となる。

AWSは既に地上基地を利用した同様のサービスを提供(AWSリリース)している。GSaaS(地上基地サービス)プロダクトでは世界各地に設置された衛星コミュニケーションアンテナを利用でき、そこで得たデータは直接AWSクラウドに転送される。さらにAWSではさらに一歩進んで、宇宙及び衛星利用ソリューションを扱う専用事業部を設置している。

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カテゴリー:宇宙

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトがセキュリティスタートアップのCyber​​Xを買収、Azure IoT事業のセキュリティ強化に超本腰

米国時間6月22日、また新たな大型買収がイスラエルで発生した。この買収は、経済が減速する中、大手ハイテク企業が長期的戦略に集中し、それを支える資産をどう補強しようとしているのかを示している。Microsoft(マイクロソフト)が、CyberX(サイバーエックス)を買収すると発表(Microsoft Blog記事)したのだ。Cyber​​Xは、IoTネットワークや大企業のネットワークにおけるセキュリティ侵害の検知、対応、予測に特化するセキュリティスタートアップだ。契約条件は未公開で現在問い合わせ中だが、情報筋によると約1億6500万ドル(約180億円)だ。

「Cyber​​Xは既存のAzure IoT セキュリティの機能を補完し、産業用IoT、OT(運用・制御技術)、各種インフラなどの既存の機器に拡張される」と、Cloud & AI Security部門のCVPとCTOを務めるMichal Braverman-Blumenstyk(ミハル・ブラバマン・ブルーメンスティク)氏とSam George(サム・ジョージ)氏は述べた。「顧客はCyber​​Xにより既存のIoT資産を可視化し、機器のセキュリティ体制を管理・改善できる」。

この数カ月聞かれたマイクロソフトがCyberXを買収するとの憶測は、今回の買収により終息する。報道は2月に始まり(The Maker記事)、しばらく音沙汰がなかったが、5月に再び現れ始めた(Geektime記事)。その間、噂された買収価格は1億5000万ドル(約160億円)から1億6500万ドル(約180億円)に上昇した。クロージングが遅れた原因はバリュエーションだった可能性がある。あるいは値上がりしたのは単に他社も買収の検討を始めたせいかもしれない。

マイクロソフトが関心を寄せたのは、過去数年間CyberXが取り組んできた2つの主要な領域、すなわち大企業向けのITサービスとサイバーセキュリティだ。後者では、特にAIを活用して次世代の課題に取り組んでいる。

この2つはCyber​​Xの中で大きく重なっている。同社が協業する主な電力会社、通信事業者、化学メーカーなどの民間企業は、事業の基盤となる広大なネットワーク全体で「無人」マシンを利用している。CyberXは行動分析や他のAIベースの手法を使い、ネットワーク活動を継続的に監視し、侵害の兆候となる異常を検出する。

マイクロソフトはIoTにも大きく賭けている。法人向けに力を入れており、過去2〜3年の間に50億ドル(約5400億円)をIoTソリューションの開発やAzureオペレーションに必要なプラットフォームに投資した。セキュリティがその主要な基盤となる必要がある。中途半端な開発や保守のためにシステムの欠陥が多発する例が後を絶たず、それがネットワーク全体に関わるより大きな脆弱性の原因となっているからだ。

今回の買収で、創業者を含む会社全体がマイクロソフトに加わるようだ。「二ールと私は、世界中の企業に向け、リスク軽減と利用開始が容易でスケーラブルなソリューションを提供するためにCyber​​Xを立ち上げた」と、Cyber​​Xの共同創業者兼CEOであるOmer Schneider(オマール・シュナイダー)氏は、買収取引を発表したブログ投稿で述べた。「当社は大切な顧客とパートナー、イノベーションと努力によってこの重要なマイルストーンに到達することを可能にしてくれた献身的な従業員、そして継続的に支援してくれた投資家に感謝している」

「マイクロソフトと力を合わせることで当社のビジネスとテクノロジーを迅速に成長させ、より多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを安全に実現できるようになる」と、Cyber​​Xの共同創業者で、GM International兼CTOのNir Giller(ニール・ジラー)氏は付け加えた。「Cyber​​Xとマイクロソフトは共同で、企業内のすべてのIoTおよびOT機器のリスクを可視化し包括的に理解するための比類のないソリューションを提供する」。

Cyber​​Xは自社のIoTネットワーク(特に産業用IoTネットワーク)を適切に管理するためのさまざまなツール、特に「デジタルトランスフォーメーション」のコンセプトに関わるものを顧客に提供する。単にシステムをアップグレードするだけでなく、システムをよく理解したい顧客が対象だ。

エンドユーザーが工場のフロアのような広い場所で既存のIoT資産を検出・接続できる機能もある。そして、現場でセキュリティの問題を発見・修正する。

これは、他のマイクロソフトのサービスにアップセルするための踏み台として使うこともできる。例えばAzure Sentinelは、IoTシステムが会社の広範なITネットワークとどこでどう相互接続しているかを広い範囲で把握することができる。脆弱性とその影響を特定する上で可視性が重要だ。

Intel(インテル)が、5月にイスラエルのマッピングスタートアップMoovitを9億ドル(約960億円)で買収したのと同様に、マイクロソフトもすでにCyber​​Xと関係を構築していた。両者は最近、マイクロソフトのAzureクラウドプラットフォームを今年3月に統合する契約を発表した。Azureを使用するCyber​​Xの顧客は、Cyber​​Xのセキュリティシステムやその他のオンプレミスネットワークアクティビティでAzureのサービスを引き続き利用できる。

インテルの戦略的関係とは異なり、マイクロソフトはCyber​​Xの投資家ではなかったようだ。CyberXは、Norwest Venture Partners、Qualcomm Ventures、Flint Capital、イスラエルのVC GlilotやOurCrowdなどの大規模VC、FacebookのStan Chudnovsky (スタン・チュドノフスキー)氏やGigi Levy-Weiss(ジジ・レヴィ・バイス)氏などの個人を含む投資家から4800万ドル(約51億円)弱(Pitch Bookデータ)を調達した。

より一般的には、マイクロソフトはイスラエルで大口の投資家および買収者であり、最近のサイバーセキュリティ関連のM&Aには、AoratoAdallomSecure IslandsHexaditeの買収が含まれている。

法人向け分野でも買収は大小を問わず進められているが、最近ではさまざまな業界、全部で約75業界の広範なデータモデリングマップを構築したADRMという米国の小規模な企業を買収(Microsoft Blog記事)した。企業がデータを移動する方法と場所、また組織内で技術や人的投資が必要になる可能性がある場所を視覚化するのに役立つ。それも、Azureの一部になりつつある。

画像クレジット: Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトはOpenAIと協力してAzure上に世界第5位となるスーパーコンピューターを構築

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月19日に、デベロッパー会議であるBuild 2020で汎用AIを開発するスタートアップのOpenAIと提携したことを発表した。提携の中身にはいろいろあるが、その1つはマイクロソフトが10億ドル(約1078億円)を投資して、Azureのインフラストラクチャ上に、世界的にも最速レベルのスーパーコンピューターを構築することだ。マイクロソフトによると、28万5000コアを持つマシンで上位500位のスーパーコンピューターのランキングでも、トップ5に位置するものだという。

マイクロソフトはまだ多くを明らかにしていないが、1万基のGPUを備え、サーバー1台あたり毎秒400ギガビットのネットワーク通信速度を実現するという。これについては、マイクロソフトとOpenAIの言葉を信じるしかない。

現状でスーパーコンピューターランキングのトップ5に入るには、2万3000テラフロップスを超える必要がある。参考までに述べれば、現在第1位のマシンはIBMのPower SystemベースのSummitで、速度は14万8000テラフロップス以上に達している。それとの差はかなり大きい。マイクロソフトは同社のAIイニシアチブについて、4ページに渡るプレスリリースを出したにも関わらず、これまで実際のパフォーマンスの数値は公表していなかった。

「このコンピューターは、Azureに接続されてはいますが、OpenAIの専用リソースとなります。OpenAIはシステムの利用代金を、マイクロソフトと他のサプライヤーに対して支払います。その費用の総額は明らかにできません」と、マイクロソフトの広報担当は私の質問に答えて語った。また、システムは現在稼働中だという。

マイクロソフトによる大規模な投資を受けて以降、OpenAIはクラウドサービスとしてAzureを選択している。このスーパーコンピューターは「OpenAIと協力してOpenAI専用に」開発されたものだ。

OpenAIは、非常に大きなモデルをトレーニングすることで有名になった。それももちろん、これと同じように、1つのプロジェクトの目的なのだろう。

「私たちが、私たちのニーズを理解し、スーパーコンピューターを構成するすべてのコンポーネントのさまざまな限界についてよく知るにつれて、ようやくわかりました。私たちの夢をかなえるようなシステムを設計できるとすれば、それをどのようなものにすべきか、ということを表現できるようになったのです」と、OpenAIのCEOであるSam Altman(サム・アルトマン)氏は語った。「そして、マイクロソフトがそれを実現してくれました」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)