音楽ストリーミングサービスのPandoraからWindowsアプリが登場

Pandoraは今年初めのMacアプリに続いて米国時間9月12日にWindowsユーザーのためのデスクトップアプリを発表した。機能は多様で、画面上の通知やキーボードによるコントロール、聴き方の「モード」を選ぶ、などなどがある。ただしストリーミングのポッドキャストはサポートされない。Windowsアプリの機能は、そのほかのPandoraアプリとほぼ同様である。

アップデート:Windows Storeにおける説明では、ポッドキャストをストリーミングできる高料金のプランがある。しかしPandoraの話では、それは違う。ポッドキャストのサポートは今後の計画だそうだ。だからこの記事でも、ポッドキャストのサポートの件は省いた。

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PandoraのWindows 10アプリ。ポッドキャストの再生機能がある!

Mac用アプリと同様に、Windowsアプリでも無料のユーザーと有料のサブスクライバーが共に利用できる。

無料ユーザーは広告入りのステーション(ラジオ局)にアクセスでき、Pandora Plusの定期購入者は広告のないステーションと無制限スキップ、個人化されたステーション、そして最大4つまでのオフラインステーションにアクセスできる。Pandora Premiumのサブスクライバーは、これらプラス、プレイリストの共有、アルバムの再生、曲のオンデマンド、そして無制限のオフライン聴取ができる。

これもMacアプリと同じだが、再生、ポーズ、リプレイ、シャッフル、親指上げ下げなどをキーボードでコントロールできる。またPandora Modes機能では、自分の個人化ステーションについて細かい注文ができる。今の人気曲とか、新人アーチストのおすすめ、大幅カット、特定のアーチストのみ、新譜のみなど。

優れたウェブブラウザーのあるデスクトップでも、音楽に関してはブラウザーのタブを開きっぱなしにしておくよりは、ミュージックアプリを好む人が多い。より円滑でまとまりのある音楽体験ができるからだ。ただしPandoraのMacアプリはまだ、ユーザーから絶賛とまではいっていない。

それでもPandoraはウェブだけに任せずデスクトップのアプリを出すことによって、すでにデスクトップアプリのあるApple MusicやSpotifyと互角に競合しようとしている。Appleの場合は、従来のなんでもiTunes主義への反省から、macOSの次のバージョンからは、その主要部品を独立させようとしている。しかしユーザーライブラリやマーケットプレースのないPandoraには、そのような問題がない。

Windowsのユーザーは本日からPandoraアプリをMicrosoft Storeからダウンロードできる。

このアプリが動くのは、Windows 10である。Pandoraにはこれとは別にXbox用のストリーミングアプリがある。こちらもMicrosoft Storeで入手できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Spotify>YouTube―音楽ストリーミングが音楽ビデオを追い越した

2016-07-06-spotify-over-youtube

ビデオが衰退しているわけではない。しかしオーディオはカムバックしつつある。アメリカでは史上初めて、オンデマンド・ストリーミングによって再生される楽曲の数がミュージック・ビデオの楽曲の数を追い越した。このシフトはビジネスがモバイルで収益を上げる上での音楽の重要性を示すものだが、同時にアーティストに著作権料をより多く支払うためにも役立つはずだ。

デジタル音楽のアナリティクスを専門とするBuzzAngle MusicがTechCrunchに語ったところによると、2016年に入って以降、アメリカのユーザーはオンデマンドで1140億曲をオーディオ・ストリーミングで再生しているという。これにはSpotify、Tidal、Apple Musicなどのサービスが含まれる。一方YouTubeアプリなどでの音楽ビデオの再生は950億回だった。MTV時代になって初めて音楽をオーディオのみで聞くことが復活した。

オンデマンド・オーディオ・ストリーミングは2016年の上半期に、前年同期比で107.8%の急成長を記録した。同期における音楽ビデオの伸びは23%だった。オンデマンド・ストリーミング全体では58.3%成長している。この数字はユーザーが意図して配信を要求したストリーミングのみがカウントされており、Pandoraのようなオンライン・ラジオは含まれていない。

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オンデマンド・ミュージック・ストリーミングのかなりの部分が有料契約オプションを持つSpotify、Apple Music (どちらも月額9.99ドル)などのサービスによるものだ。YouTubeは最近、広告なしでビデオでが視聴できる有料契約のオプションをスタートさせたが、大半のユーザーは広告を我慢して無料で視聴している。有料配信におけるロイヤルティーは無料ビデオの広告売上より大きくなるため、アーティストに1曲当たり支払われる額も増えている。

Spotifyの収入の大部分が著作権者への支払いにあてられるため、巨額の資金を持つライバルとの競争では苦戦している。Appleがオンデマンド・ミュージック・ストリーミングをスタートさせたのは2015年6月だったが、競争を有利に進めるためにiPhoneの売り上げによる巨大な資金力を注入している。Appleはユーザーを増やすための広告や、Drakeの新アルバムViews(BuzzAngleによると今年のトップ・アルバム)の先行独占配信権の獲得などに惜しげもなく資金を投入している。

Appleが音楽アプリで成功すれば、高価なハードウェアをさらに売ることに役立つ。Spotifyは今年に入って、厳しい条件だったが10億ドルの資金を転換社債で調達した。Spotifyは有料ユーザーを獲得する上で、Appleの3ヶ月の無料トライアルよりも同社が実施している無料オプションのほうが有効だと考えている。

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音楽そのものの売り上げは引き続き減少を続けている。デジタル楽曲の売り上げは24.2%、アルバムは 17.7%ダウンした。レコードが意外な復活を遂げ、17%の増加を示したとはいえ、CDセールスは9%ダウンし、物理的媒体のアルバムの売り上げは7%ダウンした(いずれも2016年上半期の対前年同期比)。

ストリーミングのロイヤルティーは消費者がCDに平均16.99ドルを支出していた黄金時代の水準には戻っていない。しかし有料契約者が増えればこのギャップは縮まるはずだ。あらゆるデバイスで常に再生が可能なストリーミング・サービスの普及で、ユーザーはシングルのヒット曲を聞くだけでなく、アーティストのアルバムの世界に浸る傾向を示している。そうした熱心なファンはアーティストのコンサートやグッズの売り上げの増大にも貢献する可能性が高い。

〔日本版〕Constin記者は元資料の増減の数字を利用している。音楽売り上げの分類が異なるため引用したグラフと記事中の数字は必ずしも一致しない。またグラフの注記によれば、「売り上げ報告が利用できるストアの分のみ集計。全ストアの売り上げはこの統計の額の2倍程度」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Spotify、音楽ストリーミングのアジア拡大を再開—今月末にインドネシア、次は日本

2016-03-23-spotify

Spotifyはしばらくぶりにアジアで市場拡大モードに入ったようだ。アジアに最初に進出したのは4年前だったが、2年前からこの地域の新しい国でサービスを開始していなかった。Spotifyは今月の末までにインドネシアで音楽ストリーミングを開始すると正式に発表した。

インドネシアはSpotifyにとってきわめて大きな重要性を持つ可能性を持った市場だ。世界第4位の巨大な人口があり、スマートフォンの販売はここしばらく毎年20%の伸びが予想されている。2億5000万の国民は次第に豊かになり、テクノロジーによってコミュニケーションすることを強く求めるようになった。

昨年10月、われわれは 「Spotifyの日本とインドネシアでのサービス開始が迫っている」という記事を書いた。事実、東京ではオフィスが開設され、静かに営業がスタートしている。日本のメッセージ・サービスのトップブランド、Lineと提携したのはSpotifyの本気度を示すもう一つのサインだろう。LineはFacebookとも同様の提携をしているが、ユーザーはLineアプリからSpotifyの楽曲を共有できるという仕組みだ。

しかし提携はそれとして、実際に運用できるのはSpotifyのサービスがスタートしている地域となる(現在日本ではまだ開始されていない)。ただしサービス開始が迫っていることを示すもうひとつのサインは、Spotifyが日本で12人の人材を募集していることだ。これには消費者向けマーケティングの責任者コミュニケーション責任者ソーシャルメディア・マーケティングのマネージャーなどが含まれる。要するに東京オフィスでの業務の中心となるチームだ。

10月のわれわれの記事でも触れたとおり、日本での音楽ストリーミングの環境は厳しい。日本ではまだCDが音楽市場の主流だ。これがSpotifyの日本でのサービスのスタートを遅らせてきたのだろう。しかしAppleと(友でもありライバルでもある)Lineはすでに音楽サービスを開始している。Spotifyが追いつくためには急ぐ必要があった。

インドネシアでサービスをスタートさせる発表を別にすると、SpotifyはTechCrunchの取材に対してアジア戦略を明らかにすることを避けた。しかしわれわれは同社に近い筋からインド市場参入を考えているという情報を得ている。

もちろんインド市場への関心はまだ実験的段階だが、Spotifyが実際にインドに入るとなれば激しい競争を覚悟する必要がある。昨年夏、Apple Musicが世界的にスタートしたとき、インドでもサービスが開始されている。しかし地元発のサービスとしてTiger Globalが支援するSaavnTimes InternetのGaanaがモバイルでの音楽市場をリードしているようだ。Apple Musicのインドでの現状についてわれわれにはあまり情報がない。しかしSpotifyの方が無料バージョンを持っている分、インド市場には適合しているかもしれない。またAndroidアプリもAppleより安定している。どちらもインド市場では不可欠の要素だ。

最近、有料ユーザーが3000万を突破したSpotifyにとって、アジア市場は重要なものとなってくるだろう。この地域の大部分はモバイル・ファーストであるか、それともデジタル・コンテンツにアクセスする手段がそもそもモバイルしかないか、どちらかだ。消費者はエンタテインメントをほぼすべて携帯電話に頼っている。モバイル音楽サービスにとってユーザーの獲得には理想的な条件だが、収益化の方法となると発見が非常に難しい。なんといってまだアジアの多くの地域は発展途上だし、デジタル・コンテンツの海賊行為が猛威を振るっている。

Spotifyが最初にアジアに進出したのは、比較的小さく、また欧米文化の影響を強く受けている地域、つまり香港とシンガポールだった。これらの国では比較的うまくやれそうなSpotifyだが、このスウェーデンの音楽サービスの巨人ははるかの大きな課題に挑戦しようとしているようだ。その手始めがインドネシアということだろう。

画像: Denys Prykhodov/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook Messengerに音楽機能―Spotifyの曲をその場で共有できるようになった

2016-03-04-messenger-spotify

Uberとの提携で公共交通のハブの地位を獲得したFacebook Messengerだが、今度はアプリ内からSpotifyの音楽を共有できるようなった。

iOSとAndroidでMessengerのその他のオプション(…)アイコンを開いて音楽をタップすると、Spotifyの「共有を検索」オプションが表示される。楽曲、アーティスト、プレイリストのいずれかを選択するとユーザーはMessengerに戻される。メッセージに音楽のアートワークを画像として含めるかどうか選択できる。受信した相手が画像をクリックするとSpotifyにジャンプして音楽を聞くことができる。

Messenger Spotify Search

8億人のMessengerユーザーの音楽体験を改善するためにFacebookではプレイリストも作った。自分が何を聞いているか知りたいユーザーはこれを利用できる。

Messenger Spotify playlist sharing

Spotifyにはすでにメンバー同士で簡単に音楽を共有するオプションがある。このオプションではメール、SMS、WhatsApp、Facebook Messengerが送信手段として利用できた。しかし今回のアップデートでMessengerを利用しているユーザーがその場で音楽を共有できるようになった。友達に新しいお気に入りのアーティストを説明したり、コンサートの様子を伝えたりしているときに簡単にSpotifyに移動し、共有したらすぐにMessengerに戻れるのは便利だ。

これまでSpotifyのアカウントを持つMessengerユーザーは楽曲の共有にスクリーンショットやタイプ入力された楽曲名などを使ってきた。これは作業が面倒なだけでなく、受け取った側でもそのままではどんな音楽なのか聞くことができないという問題があった。Messenger内部に音楽機能が加わったことでこうした難点が一層されたといえる。

FacebookとしてはMessenger内から音楽が共有できるようなったことでユーザーをより一層このプラットフォームにロックインする効果が期待できる。これは長期的には売上にもう好影響を与えるだろう。またSpotify側でも、Messengerが口コミを増幅する役割を果たしてくれることはApple Musicとの競争を有利にすると同時にまだ利用していないユーザーにストリーミング・サービスの便利さを訴える効果がありそうだ。

〔日本版〕訳者の環境ではMessengerの〔…〕オプションにまだ音楽共有は表示されていない。これまでの例からするとMessengerアプリの次のアップデート時に新機能が導入されるのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Spotifyが音楽ストリーミングのインフラにGoogle Cloudを選ぶ

2016-02-24-spotify

今日(米国時間2/23)、音楽ストリーミングのSpotifyはブログ記事でGooogleと提携したと発表した。これにより、SpotifyはサービスのインフラストラクチャーとしてGoogle Cloud Platformを採用した。

これまでSpotifyは複数のデータセンターで各種ベンダーのハードウェアを利用して配信を行ってきた(データセンターにはAWSが含まれており、AWSブログでケーススタディーとして紹介されている)。しかしSpotifyはクラウド・プラッフォームが成熟段階に達し、全面的にアウトソースするに足る信頼性を獲得したと考えたようだ。

Spotifyは「われわれにとってGoogleのような市場のリーダーと組んで仕事をすることは一大事件」だと述べている。しかし逆にGoogleにとっても、Spotifyのようなこの分野のリーダーのサービスに全面的にホスティングを任されたことは「一大事件」だろう。Spotifyは全面的なクラウド化にあたってAWSの利用を拡大することもできたし、MicrosoftのAzureクラウドをプラットフォームに選ぶこともできたはずだ。

しかしSpotifyはダイアン・グリーンの指揮するGoogleのエンタープライズ・クラウドを選んだ。Googleクラウド・チームは去年の11月にマウンテンビューに買収されるまでは Greneが創業したBebopというスタートアップだった。

こうした買収では Googleは創業チームには十分な報酬を与えて別離を促すのが通例だ。しかしグリーンを新事業部のトップに据えたのは、Googleとしては彼女の能力に対する全面的な称賛に等しいといってよいだろう。Spotifyはこの提携について「極めて競争の激しいジャンルであり、予見しうる将来にわたってビッグ・プレイヤーによる戦いが続けられるだろう」と書いている。私はこの部分をだからいつでも提携先を乗り換えることができる」という意味に読んだが、そう取ったのは私だけかもしれない。

いずれにせよ、これでSpotifyのインフラ部門は巨大なストリーミング・サービスの運営という重荷を下ろすことができたのは間違いない。

〔日本版〕リンク先TechCrunch記事にもあるようにダイアン・グリーンはVMWareの共同ファウンダー、CEOであり、仮想化テクノロジーの普及に大きな功績があった。シリコンバレーの伝説的人物で2012年からはGoogle(現在は親会社のAlphabet)の取締役を務めている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SoundCloudは音楽のYouTubeだ―ビジネスモデルはSpotifyよりはるかに有利

2016-01-26-soundcloud-money

SoundCloudは最近、長らく待ち望まれていたユニバーサル・ミュージックとのライセンス契約を締結することに成功した。ユニバーサルのアーティストにはカニエ・ウェスト、アデル、テイラー・スウィフトといったビッグネームが含まれる。

この契約によってSoundCloudはメジャー・レーベルの楽曲の約半分をカバーできた。ワーナーはSoundCloudとすでに契約しているが、Sony BMG、Sony/ATVはまだ様子見というところだ。

ユニバーサルのライセンスとベンチャー資金の獲得によって、このベルリン生まれの音楽コンテンツ・プラットフォームはSpotifyのライバルとして非常に有望な存在となった。

音楽のYouTube

メディア上ではSoundCloudについて聞くことはSpotifyの場合よりだいぶ少ない。しかし SoundCloudとSpotifyはどちらも巨大なサービスだが、ユーザーベースについていえばSpotifyが7500万人であるのに対してSoundCloudは月間利用者が1億7500万人だ。

SoundCloudにSpotifyの2倍以上の登録ユーザーがある理由はこうだ。Spotifyの本質は有料ユーザーに対する音楽ストリーミング・サービスなので総ユーザー数そのものはあまり大きな意味をもたない。Spotifyにとって重要なのはそのうちのどれだけが有料契約を結ぶかだ。これに対してSoundCloudは(すくなくともまだ今のところ)収益化の必要が薄く、成長のために無料コンテンツを大量に提供する余裕がある。

第2に、SoundCloudはSpotifyよりもビジネスモデルが有利だ。SoundCloudの主要なユーザーは同時に音楽コンテンツの提供者でもあり、彼らの目的はフォロワーを増やすことで、収益化そのものには関心が薄い。今回のユニバーサルとの契約は同社に関連するやっかいな著作権訴訟を避ける効果がある。これに対してSpotifyは収入の80%を著作権の保有者に支払っている

こうした数字でも分かるとおり、SpotifyとSoundCloudのビジネスはまったく異なる。

SoundCloudのビジネス・モデルはプラットフォーム提供であり、その上に流れるコンテンツはユーザー自身がアップロードしてくれる。Spotifyのように著作権者にライセンス料金を払って楽曲をストリーミングするのが本業ではない。SoundCloudのネットワークは、楽曲をアップロードするユーザーが増えれば楽曲を聞こうとするユーザーも増えるという構造になっている。
ネットワークが拡大すればそれに連れて楽曲を投稿するインセンティブも大きくなるというネットワーク効果が働くことがSoundCloudの急成長のもうひとつの理由だ。

プラットフォームが才能ある新たなアーティストを日々惹きつけているなら、その将来はきわめて有望だと言わざるをえない

逆にSpotifyの場合、基本的にレコード・レーベルがライセンスを保有する楽曲の再販売業者であり、いわば音楽ストリーミングのウォルマート〔スーパーマーケット〕のようなものと考えることができる。そのため、Spotify上の楽曲のほとんどはApple MusicにもPandoraにも他のストリーミング・サービス上にも存在する。そのためSpotifyはSoundCloudのようなネットワーク効果を期待することができない。

これはビデオ・サービスにおけるYouTubeとNetflixの差によく似ている。こういう比較は、Netflixには成功のイメージが強いのでSpotifyをひいきしているように感じるかもしれない。しかしそうではない。実はYouTubeの単独の価値は850億ドルとNetflixの価値の2倍なのだ。その理由は簡単だ。2016年にNetflixはCBS、 Viacom、Time Warner、Foxのどれよりも多額のライセンス料金を支払うことになる。Spotify同様、Netflixの売上もほとんどはライセンス保有者に流れる。

SoundCloudは音楽のYouTubeとなれるか?

この双方の組には深いところまで類似点が見い出される。Netflixと同様、アーティストはフォロワーを増やすのにSpotifをあてにはしない。そのためにはSoundCloudに参加する。これはビデオグラファーがYouTubeに作品をアップロードするのと同じだ。

ラッパーのFetty WapはSoundCloudで大評判になってからビルボードのチャートに載った。DJの大物、DiploやSkrillexもメインストリームで有名になるための足掛りとしてSoundCloudを利用している。 こうした事情でSoundCloudはSpotifyよりも良好な関係をアーティストとの間に築いている。

Spotifyのコンテンツのほとんどはメジャー・レーベルから来ており、他のサービスでも聞ける。しかし音楽ファンがインディーの最新トラックやDJのリミックスを聞きたければSoundCloudを探すことになる。SoundCloudは新しいアーティストや曲などユニークな音楽コンテンツを探す場所になってきた。またSoundCloudではユーザー同士がフォローし合うことによって交流が深まり、音楽に関する情報が密接にやり取りされる。

コンテンツのユニークさによって音楽におけるセレンディピティ〔思いがけぬ発見〕がSoundCloudの特長になった。これによりユーザーのネットワークも日々拡大している。またそのコンテンツは主としてユーザー自身が無料でアップロードしたものだ。こうしたことはすべてSpotifyには望めない。

プラットフォームが才能ある新たなアーティストを日々惹きつけているなら、その将来はきわめて有望だと言わざるをえない。逆にSpotifyは現在のような利益を確保するために苦闘することになりそうだ。NetflixがそうであるようにSpotifyもストリーミングを継続していくためにははコンテンツの権利保有者との苦しい妥協を強いられる。またライバルのサービスに対して独自性を出していくのも難しい。もしこの両社のどちらかを選ばねばならないのなら、今のところ私は「音楽ストリーミングのYouTube」であるSoundCloudの方を選ぶだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オバマ大統領の音楽ストリーミングのお気に入りはSpotify―ホワイトハウスがプレイリスト2種類を公開

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この週末、合衆国大統領は音楽ストリーミング・サービスのユーザーであることを明らかにした。ホワイトハウスはオバマ大統領本人が選んだという2種類のプレイリストを公開した。

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そのプレイリストはどのサービスのものだっただろうか? Appleミュージック?

ノー。

Tidal?

でもなかった。

「大統領のこの夏のプレイリスト」は2種類あり、ひとつは昼、もうひとつは のバージョンだ。サービスは他ならぬSpotifyだった。

この発表は大統領がマサチューセッツ州マーサズ・ビンヤード島での恒例の夏休みを取っている間に行われた。ホワイトハウスの広報スタッフは、選曲をリラックスした(フローレンス・アンド・ザ・マシーンの曲が入っている)安全な曲(ダイ・アントワードは入っていない)にするよう気を配ったようだ。おかげで世界の人々はアメリカの大統領が世間から隔絶した1200万ドルの豪邸でどんな音楽を聞いてつかのまの休暇を楽しんでいるのか知ることができるようになった。

プレイリストの内容だが、のんびりした夏休みのお供としてはなかなかよく考えられている。もっとも私としては自由世界の指導者ともあろうものが貴重な休息時間にザ・ルミニアーズやジャスティン・ティンバーレイクのPusher Love Girlなどを聞いているなどとは信じたくない。しかしそれを除けば、ジョニ・ミッチェル、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、ジョン・コルトレーンなどの名曲ぞろいだ。

オバマ大統領はTidalのプレイリストは公開しなかったが、ビヨンセの曲は入れている。さてオバマ大統領もストリーミングのユーザーに加わったわけだが、ストリーミングに断固反対しているニール・ヤングはどう考えただろう?

PonoMusicはお気の毒。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

テイラー効果広がる―プリンスもストリーミング条件に反発してSpotify他から楽曲を引き上げ

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テイラー効果と呼ぶべきだろうか?  著名アーティストが音楽ストリーミングの現状を厳しく批判する事態が続いている。Prince はSpotify、Rdio、Deezerから楽曲を引き上げることに決めた。この記事を書いている時点ではDeezerではまだストリーミングが配信されているが、われわれの取材に対して「Princeから配信停止の通告を受けており、停止の手続き中だ」と確認した。

ただしGoogle Music All AccessとTidalではストリーミングが続いている。これはハイレゾのストリーミング・サービスで、今年3月にラッパーのJay-ZとSoftbank他の投資家によって買収された。

どうやらPrinceは無料の音楽ストリーミングから楽曲を引き上げることにしたようだ。

SpotifyはPrinceのアーティスト・ページに「Princeのレコード・レーベルはすべてのストリーミング・サービスに対してカタログの削除を求めてきた。われわれはこの要請に従う。できるだけ早い時期にPrinceの楽曲のストリーミングが再開できることを願っている」と書き込んだ。Rdioもわれわれの取材に対して「要請にしたがって楽曲を削除した」と確認した(RdioのPrinceのページは空白)。

Googleにも取材したが、「現在までにそのような通告は受けていないのでストリーミングを継続中だ」という。

われわれの問い合わせに対してTidalからは回答がない(Princeからもコメントはない)。

一方、Apple MusicはBeatlesと並んでPrinceは始めから参加していない

TwitterでPrinceをフォローしていたファンはこういう事態になることを予期していたようだ。

6月26日にPrinceはテイラー・スウィフトは新しいPrinceだというThe Daily Beastの記事をリツイートしていた。この記事はテイラーに先立ってPrinceがメジャー・レーベルを始めとする音楽産業に対して抗議する活動を続けていることを詳しく報じた。Spotifyなどのストリーミング・サービスがアーティストに対してアンフェアであるというPrinceのコメントが記事に引用されたが、Prince自身がその部分をリツイートした。

「レコード・レーベルはSpotifyの20%の大株主だ。音楽ストリーミングというのはレーベルにとっては楽曲のセールスを補完する二重取りであるのに対して、アーティストに対する支払は1ドルの売上に対して数セントという現状を1ドルに対して1セントの何分の1に引き下げるという改悪となっている」とPrinceは批判している。 Spotifyはアーティストに対する支払額を定期的に発表しているが、全員が満足しているわけではないようだ。

Princeのワーナー・ミュージックに対する以前の戦いはThe Daily Beastの記事にも詳しく報じられているが、Princeは単なる金銭的条件以上に、アーティストは作品が聴き手に届けられるプロセス全体に強い権限を持つべきだと主張し、活動してきた。Princeは司法省がデジタル音楽のライセンスに関する条項を見直しているBillboardの記事もリツイートしている。

Prince他のデジタル・サービスにおけるアーティストの権利も強く主張している。昨年11月にPrinceはTwitterとFacebookのアカウントを停止し、YouTubeから公式トラックの大部分を引き上げた。〔現在はTwitterに復帰している〕この点から考えると、Google Music All Accessには単に取り下げ通告が届くのが遅れているだけではないかと思う。

これまでもPrinceは海賊版サービスや海賊版を拡散するユーザーに対して厳しい態度を取ってきた。2014年1月には、コンサートを録音した海賊版に対するリンクを公開した22人のファンに対しそれぞれ100万ドルの損害賠償訴訟を起こしている。2010年にはデジタル音楽産業を手厳しく批判するインタビューがイギリスのDaily Mirrorに掲載された(一読の価値あり)。

【後略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple Music、日本時間7月1日午前0時よりスタート― iOS 8.4インストールが必要

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Apple Musicは明日スタートする。Apple Musicのシニア・ディレクターでBeatsの元CEO、Ian Rogersが太平洋時間6月30日午前8時〔日本時間7月1日午前0時〕のローンチをブログ記事で公式に確認した。 Rogersの記事およびFacebookイベントによれば、その時点でiOS 8.4が一般公開される。Apple Musicへの参加はiOS 8.4へのアップデートが条件となる。

iOS 8.4へのアップデートはごく簡単なものになるようだ。新OSの普及はApple史上でも新記録となるスピードとなるだろう。今回のアップデートではiOS 8が発表された当時のような空き容量不足による混乱などは起きないはずだ。

Rogersはサービス開始の日時に確信を持っているようだが、これまでもiOSのアップデートでは多数のユーザーが一時に殺到したためサーバーがダウンするなどの遅延を経験している。しかし最近では以前よりメジャー・アップデートもスムーズに実施されるようになった。Appleがクラウド・インフラに巨額の投資を行ってきた成果なおだろう。しかしOTAのOSアップデートによるストリーミング・サービスの提供という困難条件を考えるとApple Musicのスタートには一部で多少の遅れが出る可能性はある。

Apple Musicは3ヶ月の無料トライアル(この期間のアーティストへの支払を巡ってテイラー・スウィフトからの批判に譲歩した)経緯がある。著名アーティストがホストを務めるストリーミング・ラジオのBeats 1も提供される。

〔日本版〕Appleジャパンのサイトでは依然として「MUSIC まもなく登場」とだけ表示されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、音楽ストリーミング・サービスを来週発表へ―聞き放題で月10ドル

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どうやら来週Appleは音楽ストリーミング・サービスを発表するようだ。Wall Street Journalによれば、このサービスは聴き放題で料金は月額10ドルだという。内容、機能ともにSpotifyによく似ているが、広告ベースの無料版は提供されず、iTunes Radioに委ねられる。また有名アーティスト、タレントが選曲、ホストするチャンネルが提供されるという。

Appleが音楽ストリーミングを準備しているというニュースはTechCrunchを含め、多くのメディアが報じてきた。今回の音楽ストリーミングは、すくなくとも部分的には、さきごろ買収したBeatsをベースにしているはずだが、独自のストリーミング(ブランド名としてはAppleないしiTunesを冠することになるだろう)の開始後もBeats Musicは当面運営を続けるという。

WSJの記事によれば、新サービスはiOSのアップデートとして公開され、一部の楽曲は無料で聞けるという。Android向けには独立したアプリが提供される。iTunes Radioの新しいチャンネルは有名なアーティストやタレントが番組ホストを務めるかたちになる。ホストはBBC Radio 1からもスカウトされたという。Beatsの共同ファウンダーでもあるDr. Dreも番組の一つを受け持つことになると記事は伝えている。

月額10ドルという料金はSpotifyやRdioの有料版と同レベルだが、Appleのブランド・イメージ、豊富な楽曲コレクション、著名タレントがホストするチャンネルなどは衛星ラジト、地上波ラジオを含めてライバルにとって手強い存在となるだろう。

Appleは強大なブランド力によってアメリカで膨大なユーザーを集めることに成功しているだけでなく、国際的な拡大においてもGoogleやAmazonに先行している。新サービスの国際的な展開にも注目したい。

今回の報道はAppleが新サービスを来週、実際に開始するのか、あるいは発表に留まるのかについては明らかにしていない。通常、AppleはOSのメジャー・アップデートをWDC(Worldwide Developer Conference、今年は6月8日)のキーノートでプレビュー版として公開する。その後、9月の新しいiPhoneの発表に合わせて一般公開するというスケジュールだ。

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Appleは近々音楽ストリーミングに参入する―しかしSpotifyなどライバルにもチャンスはある

Appleが大規模な音楽ストリーミング事業を準備中であるのは間違いない。TechCrunchのJosh Constine記者も書いていたように、Appleはテイラー・スウィフトの所属するレコードレーベルBig Machineを買収することさえ検討しているようだ。Dr. DreとBeatsを傘下に収めたAppleがストリーミング・ビジネスに参入すればまさにモンスター級の存在となるだろう。それではSpotifyのような既存のプレイヤーは道端に掃き捨てられてしまうのだろうか?

AppleやFacebook、Googleなどの巨人が新しいテクノロジー分野に興味を示すと、既存の小規模な事業者は逃げるしかない―でなければ踏み潰されてしまう、というのがこれまでの常識だった。

今回もライバルはAppleの動きを慎重に見定める必要があることは確かだ。しかしAppleのストリーミング・サービスの市場制覇がすでに保証されているわけではない。Appleのやることだからといってすべてスラムダンクとなりはしない。

私自身、iPhone、iPad、MacBook Airを所有しているが、だからといって自動的にAppleのストリーミング・サービスに乗り換えようとは思わない。私はこの2年ほど毎日potifyを使っている。昨年は月額10ドルでCMなし、聞き放題のサービスを契約した。聞きたい曲がすべて入っているわけではないが、十分多数の楽曲が聞ける。

Appleがはるかに満足度の高いサービスを提供してくれるのでなければわざわざ乗り換える気にはならない。もしAppleがサービスのプラットフォームにiTunesのソフトウェアを使うのであれば、それは大きな足かせになるだろう。iTunesはAppleの音楽サービスのアキレスの踵ともいうべき弱点だ。私自身は避けられるものなら避けたい。

iTunesストアはまた別の話で、すでに私のクレジットカード情報を保管している。しかしiTunesはわれわれが音楽ファイルをいちいち買っていた時代に構築されたプラットフォームだ。Appleはまずこのプラットフォームを「定額制の聞き放題のストリーミング」に改めることを迫られている。Beatsを32億ドルで買収してからかなりの時間が経つが、この投資から最大の利益を上げるためには音楽ストリーミング・ビジネスへの参入を避けるわけにはいかないだろる。.

シェア獲得の筋道

Appleは一度の大胆なキャンペーンに賭けず、何度かにわけたキャンペーンでシェアを獲得しようとするだろう。傘下のBeats、そしてスーパースターのDr. Dreと音楽界の伝説的プロデューサー、ジミー・アイオヴィンの影響力を最大限に活かすだろう。

同時にAppleは膨大なキャッシュにものを言わせて、ミュージシャンに有利な契約を提示し、料金も低く抑えるかもしれない。Beatsのヘッドフォンをストリーミング・サービスと巧みに組み合わせることも考えられる。

当初から成功できなくても、Appleには無尽蔵の資金があるから、サービスを拡充、運営していくことには何の問題もないはずだ。

Pingという大失敗

ただし、Appleが触れるものは常に黄金に変わるというわけではない。数年前にAppleが音楽ソーシャルネットワーク事業を立ち上げたことを読者は記憶しているだろうか? 覚えていないとしてもやむを得ない。そのPingはごく短命で印象に残らない存在だった。Pingは2010年にスティーブ・ジョブズ自身の華々しいプレゼンと共に立ち上げられた

当時TechCrunchの記者だったM.G. Seiglerはこう書いている。

「(Pingは)FacebookとTwitterとiTunesを合わせたような存在だ。ただし、Facebookでもないし、Twitterでもない。Pingは音楽に特化したソーシャルネットワークだ」とジョブズは説明する。その規模は驚くべきものだ。すでに23ヵ国に1億6000万人のユーザーがいる―iPhoneとiPod touchのiTunesストアの一部としてすでにアプリはインストールずみだ。

だがほとんどのユーザーはPingを無視した。2012年9月にPingは死んだ

Appleの膨大なリソースをもってしてもPingは大失敗に終わった。もちろんAppleはこの失敗から多くの教訓を得ただろうし、ストリーミング・ビジネスの参入の際にそうした教訓が役立つことだろう。

Spotifyその他には依然として優位性がある

根本的な問題は、Appleがいかに努力しようと、それはAppleのサービスだという点にある。Spotify等はクロスプラットフォームのサービスだという点に重要な優位性がある。世界のスマートフォンの80%はAndroidなのだ。

Spotifyはレッドツェッペリンやメタリカなどの有力な独占コンテンツを持つ他に、エージェントを介さず直接契約するミュージシャンを最近、多数ひきつけるようになっている。当然ながらこうしたフリー・ミュージシャンは多数のサービスが競争することを望んでいる。

Spotifyは小規模なストリーミング・サービスを買収することで体質強化を図るだろうと私は予想している。Appleという巨人の参入は市場の集中化を進めることになるだろう。

もうひとつ重要なのは、音楽ストリーミング市場は巨大であり、複数のプレイヤーが存在する余地が十分あるという点だ。Appleが独自のストリーミング・サービスを開始したからといって、その分だけライバルのビジネスが奪われるというものではない。モバイル・サービスの市場全体と同様、ストリーミング・サービスも向こう数年にわたって急成長を続けるはずだ。それに忘れてはならないが、複数のサービスと契約する消費者も決して少なくないだろう。

Appleの参入に関連してひとつだけ確実なのは、プレイヤー間の競争が激しくなるということだ。これは消費者にとって大きな利益となる。消費者はコンテンツ、価格、プラットフォームなどさまざまな要素を考慮して好みのサービスを選ぶことができるようになる。

Appleはストリーミング・サービス参入にあたって、Beatsなど有力なリソースを傘下に持っているが、 Pingの失敗が教えるとおり、腕力だけでは成功できない。ユーザーから選ばれるためにはAppleも他のライバル同様、努力を積み重ねていく必要がある。

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General Harmonicsの圧縮テクノロジーは驚異的―テレビドラマの「シリコンバレー」そのまま

General Harmonicsはカナダの小さなスタートアップだが、ストリーミング・メディアに革命を起こすかもしれない。こういえばおかしく聞こえるが、 HBOの人気テレビドラマ、Silicon Valleyに登場する新しいデータ圧縮プラットフォーム、Pied Piperに奇妙なほどそっくりなのだ。ただGeneral Harmonicsの方ははるかに経験を積んでいるし、もっと進歩している。

ドラマでは主人公たちが創立した会社はファイルサイズを信じられないほど小さくできる独自技術、Pied Piperを開発する。General Harmonicのテクノロジーも結果は似ているが、実現のために用いられたアプローチはもちろん完全に異なる。特許出願中の新たなエンコード・テクノロジーによってコンテンツを分析し、個々の要素に分解して記述することで従来の手法では不可能だったレベルまでデータを圧縮する。

たとえばある楽曲がボーカルとインストラメンタルからなるのであれば、それぞれのパートごとに分解して「記述」する。この記述は音声データよりはるかに少さなサイズになる。General Harmonicsによれば、CD音質のファイルを元サイズの20分の1にできるという。先週私も参観したAT&Tの3Gを使ったデモ(屋内で無線の品質はきわめて悪かった)でGeneral Harmonicsはこの新たなエンコーディング手法の大きな可能性を示した。

たとえば周囲で再生されて音楽をスマートフォンに聞かせると、どの曲のどの部分であるかを判断して、その曲を現在の位置からストリーミング再生し、対応する歌詞も表示するといったShazamのような機能もデモされた。ただしShazamよりずっと早く、即座に曲の判別が行われた。

このテクノロジーでは「どのアーティストがどのパートをどの部分で演奏しているのか」といった情報も解析できる。General Harmonicsは最終的にはこうした情報もアプリケーションからアクセスできる形でエンコードしようと計画している。これによって演奏される音楽によって流れが変化するゲームなどの開発が可能になる。また将来は既存の楽曲データをユーザーがリミックスして即座に高音質の新しい曲をユーザーが作れるようになるかもしれない。SoundCloudの未来版というところだ。

アメリカのオンデマンド音楽ストリーミング、対前年比42%アップ―ダウンロード販売は衰退へという記事にあるとおり、ストリーミングの重要性は増す一方だ。ユーザーはもはや音楽を聞くためにスマートフォンをいちいちコンピュータに接続して音楽ライブラリーを同期するなどという手間をかけない。ユーザーはいつ、どんな場所でも即座に望みの音楽が聞けることを当然だと考えるようになっている。

そこで音質を落とさずにデータサイズを小さくし、高速でストリーミングできるようにすることは音楽サービスにとって死活的に重要になっている。同時にSpotifyPandora、 Appleのような巨大ストリーミング企業はサーバー費用を大幅に節約できるだろう。

またGeneral Harmonicのテクノロジーはここ5年のうちに新たに何十億もの人々がスマートフォンを持つようになると予測されている アフリカやアジアの途上国の市場で最も大きな影響を与えるかもしれない。こうした市場では4GやLTEネットワークが未整備であり、データのサイズはサービスの品質を直接に左右する。

7年間のステルスモードでの開発期間の後、General Harmonicsは戦略的パートナーを探す段階に入った。同社は自身で音楽サービス事業に参入してPandora、Beats、Spotifyなどのサービスと競争する計画はない。

General Harmonicsはここ数ヶ月のうちにこのテクノロジーのライセンス供与を進めていく予定であり、すでに先週からシリコンバレーの有力メディア企業と話し合いを始めていることを確認した。ただし広報担当者はそれ以上の詳細を明かすことを避けた。

〔日本版〕 Advanced Televisionによれば、Sony Picturesの最高デジタル戦略役員だったMitch SingerがGeneral Harmonicsのデジタル事業開発担当副社長に就任したという。

またこの記事はGeneral HarmonicsのDynamicMedia Technologyについて「現在インターネットで用いられているメディア・システムとは根本的に異なる。このテクノロジーは調和解析(harmonic analysis)、意味論的マルチノード転送、ニューラルパターン認識、高度なカオス情報処理の原理を組み合わせたもの」だと説明している。現在のところこれ以外にGeneral Harmonicsのテクノロジーについて解説した記事は見当たらない。

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Amazon、Prime会員向け音楽ストリーミングを開始―地味なスタートは意図されたもの

今日(米国時間6/12)、AmazonはPrime会員向けのAmazpn Primeという音楽ストリーミング・サービスを開始したが、当面、Spotifyなどのライバルが恐れるに及ばないようだ。Amazonの新サービスにユーザーをさらわれる心配はまずないだろう。提供される楽曲は100万曲と少なく、半年以内の新曲はない。またUniversalのアーティストは含まれない。それに加えてユーザー・インターフェイスは恐ろしく古臭い。しかしAmazonは「Prime会員に馴染みがあるデザインにした」のだという。

Amazonの音楽ストリーミングはSpotify、Rdio、Beats Musicなど人気のストリーミング・サービスとはまったく異なるUIだ。 これは既存のダウンロード販売のページに単にストリーミングのオプションを付け加えただけに見える。ライバルのサービスがクリックひとつで無数の曲を聞き始めることができるのに対して、Amazon Primeでは無料の楽曲を探し、ライブラリーに加えてからでなければストリーミングが始まらない。

ところがこのデザインは意図したものなのだという。

Amazonのデジタル音楽担当副社長、Steve Boomは今日、私の取材に答えて「われわれはPrime Musicを現在のAmazonの顧客をを念頭に置いてデザインした」と語った。つまりAmazonを利用する消費者はスーパーマーケットの通路を往復して好みの商品を探し、カートに入れて家に持ち帰るようなユーザー体験に慣れているのだという。

このUIはクリックすると即座に曲の再生が始まり、アルゴリズムによって選択された曲がその後に続くRdioなどのUIとは対照的だ。

Boomは音楽ストリーミングの主流のサービスについて「われわれはクローンを作るつもりはない」 と述べた。SpotifyとRdioが提供する楽曲は共に2000万曲を数えるのに対してPrime Musicは100万曲にすぎない。またUniversalの曲はまったく含まれない。

「もしわれわれの目標が(Spotifyなどの)クローンであるなら楽曲数が少ないことは大問題だろう。しかしわれわれの目標はそこにはない」とBoomは言う。

Prime Musicの一見地味なスタートはPrimeインスタントビデオのスタートを思い起こさせる。Amazonがインスタントビデオをスタートさせたとき、Netflixのライバルになれそうにはとうてい思えなかった。しかし6年後の現在、ことにHBOのコンテンツを追加してからは、Primeインスタントビデオは最良のビデオストリーミング・サービスと言ってよいと私は思う。

Amazonは現在主流となっているストリーミング・サービスと競争するつもりは全くない。Boomは「調査してみたところAmazonの顧客は複数の音楽サービスを利用していることがわかった。Prime MusicはPrime会員が使い慣れたインターフェイスで無料の音楽コンテンツを提供するのが目的だ」と語った。しかしPrimeインスタントビデオの成長を考えれば、Spotify、Rdio、BeatsもAmazonのPrime Musicに油断しない方がいいだろう。しかし大きな成長を望むならPrime Musicのユーザーインターフェイスはやはりなんとかしなければなるまい。

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Amazonプライムの音楽ストリーミング・サービスが6月か7月にローンチへ

BuzzFeedの記事によれば、Amazonプライムでまもなく音楽ストリーミングが開始されるという。このサービスがストリーミングするのはリリースされて一定時間後の楽曲らしい。サービスがスタートするのは6月か7月だという。

音楽ストリーミングは、既存のAmazonプライム、つまり無料の2日以内配送とビデオ・ストリーミング、eブックのレンタルにバンドルされて提供されるのだろう。

ただし新曲が即刻流れるわけでないので、RdioやSpotifyのユーザーが多くが乗り換えを急ぐようなことにはならないだろう。BuzzFeedによれば、当面提供されるのは発売後6ヶ月以上たった曲とアルバムだという。しかし新事業を小さく始めるのはAmazonの通例だ。

Amazonがビデオ・ストリーミングを始めたとき、タイトル数は限られており、Netflixのライバルというよりも既存のプライム・サービス契約者への「おまけ」といったおもむきだった。しかしユーザーベースが拡大するに連れてビデオのライブラリーも急速に充実していき、6年経った今ではコンテンツはNetflixに匹敵するほどになった。音楽ストリーミングの場合も多分同じコースをたどるのではないか。

アメリカにおけるAmazonプライムの料金は年額99ドルに値上げされたが、依然としてコストパフォーマンスは抜群だ。ことにHBOの番組が配信されるようになった点が大きい。音楽ストリーミングの開始でプライムの魅力は一段と増しそうだ。.

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