ファイルシステムのないオブジェクトストレージのためのKineticハードディスクをLinux Foundationのもとで共同開発へ

2年前にSeagateが、アプリケーションがハードディスクに直接、Ethernetで接続して、キー-ヴァリューペア(key-value pair)のデータでオブジェクトを保存する、という新しい技術発表した。これによりファイルシステムやファイルサーバのオーバヘッドがなくなるため、一台のハードディスクに大量のデータを詰め込めるし、I/Oの速度も上がる。その後SeagateはOpenStackのオブジェクトストレージSwiftとRiakのためにこの技術によるディスクを作り、最近ではToshibaが、同じ技術によるハードディスクを発表した。

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そしてこのたび、ハードディスクの大手三社(Seagate、Toshiba、Western Digital)とCisco、Cleversafe、Dell、DigitalSense、NetApp、Open vStorage、Red Hat、およびScalityらがLinux Foundationと合同で、SeagateがKinectと名づけたこのタイプのハードディスクを共同で開発していくことになった。

そのKinect Open Storage Projectが、Linux Foundation Collaborative ProjectによるKinectディスクの開発を支えていくことになる。その目標は、“次世代の、Ethernetを利用するストレージデバイスによる、オープンソースのオブジェクトストレージを提供すること”、となっている。

このプロジェクトは、Ethernetによる通信と、ディスク上のキー-ヴァリューストア(store, 保存〕技術を組み合わせたものだ。プロジェクトは、APIと、オープンソースのライブラリと、これらKinectベースのディスクとインタフェイスするためのシミュレータを管理する。

SeagateはこのKinectプロジェクトを立ち上げたときに、ファイルをベースとする古いシステムは、オブジェクトベースのシステムに急速に置き換えられていく。とくに、データセンターにおいて、と主張した。

同社はこう言う: “新しいパラダイムはオブジェクト指向である。画像も、ムービーも、eコマースもWebのデータも、検索もゲームも、そしてそれらすべてのアーカイブもオブジェクトであり、その多くが非定型データから成り、書き込まれたり読み出されたり削除されたりするが、決して変更はされない。したがってそれらは、キー-ヴァリューストアの理想的な候補だ”。

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Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinは、Kinectプロジェクトはオープンソースプロジェクトの教科書的な例だ、と言う。パートナーたちは全員、互いにコンペティタだが、ソフトウェアではなくハードウェアで競合する。そしてソフトウェアベンダのメンバーたちが、ハードウェアを管理するための共通のツールをオープンソースで提供していく。

“もしもこのプロジェクトを単一の企業が運営していたら、ある時点でガラスの天井にぶつかっただろう”、と彼は言う。しかもZemlinによれば、必要なソフトウェアの量は、とうてい一社で書けるような量ではない。今回、グループでパートナーになっている各社は、プロジェクトを管理するための中立的なプレーヤーと、一堂に集まってプロジェクトに投資していくための場を必要とする。そしてこの二つをLinux FoundationのCollaborative Projectsが体現し、この形は、近々に、この種のオープンソースプロジェクトのスタンダードになっていくだろう、とZemlinは述べる。

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Red Hat Enterprise OpenStack PlatformのアップデートでOpenStackのデプロイを容易にするオペレータインタフェイス(ディレクター)を実装

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Red HatのEnterprise Linux OpenStack Platform 7が今日(米国時間8/5)から一般供用される。これはRed Hat Enterprise Linux ServerとOpenStackの最新リリース“Kilo”を合体したディストリビューションで、さらに、OpenStack Cloudsをインストールし管理するサービスが付随している。

Red Hatによると、このアップデートによりクラウドのオペレータは、OpenStackを使ったクラウドのデプロイと管理が、より容易になる。OpenStackのTripleIOプロジェクトをベースとする新たなOpenStack Platformディレクターによりユーザは、一つのGUI上で日々のオペレーションを管理し、またリソース配置(プロビジョニング)の最適化を図ることができる。このディレクターはさらに、オペレータによるベアメタルサーバのプロビジョンを支援し、ハードウェアリソースの必要に応じてのデプロイとリパーパス(目的変え)を容易にする。

Red HatのIaaS部門を担当しているTim Yeatonによると、こういうディレクターというものを中心に持ってくることになったのも、同社のOpenStackプロダクトがパイロット段階を終えて、最近では企業による正式採用が増えているためだ。パイロットのインフラと違って、本格採用のプロダクション環境では、新たな要求が数多く存在する。そのために、ディレクターと呼ばれる一種のオペレータダッシュボードを提供して、今後のバグフィクスや新しい機能のインストールを容易にする必要がある。これがあることによって、今後のOpenStackのアップデートも、よりシンプルに行えるようになる。

今回のアップデートでもうひとつ新しいのは、Red Hat Enterprise LinuxとIPv6とそのほかのネットワークまわりの強化、およびインクリメンタルバックアップのサポートにより、モニタリングとフェイルオーバーサービスが内蔵され、それによって高可用性のコンピューティングクラスタの作成が可能になったことだ。これらの機能もやはり、従来からエンタプライズユーザの要望が多かったものだ。

Yeatonによると、OpenStackの最近の新しい機能の多くは、OpenStackを初期から採用している通信企業のニーズに触発されたものだ。

彼曰く、“主に通信企業が求めたこれらの機能には、彼らの関心が大きく反映している。しかしそれら通信企業の利害に沿う機能も、その多くはもっと広範囲なエンタプライズによるOpenStackの採用を促進しうるものだ”。彼はその典型的な例として、最近のOpenStackのネットワーキングスタックへの注力と、ネットワーク機能の仮想化(network functions virtualization, NFV)を挙げる。いずれも今では、多くのエンタプライズがOpenStackを採用する重要な動機のひとつになっている。

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Open Container InitiativeにAT&T、Oracle、Twitterなどが加わり、より強力な標準化組織に

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1か月前にDockerとLinux Foundationが、Dockerのデベロッパカンファレンスで、 Open Container Project発表した日本語)。今それはOpen Container Initiative(OCI)と呼ばれ、Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinが今朝(米国時間7/22)のOSCONで、このプロジェクトが急速に成長している、と述べた。新たに14の企業が参加しただけでなく、今ではOCIという組織の定款も作ろうとしている。

このイニシアチブを支える新たなパートナーはAT&TとClusterHQ、Datera、Kismatic、Kyup、Midokura、Nutanix、Oracle、Polyverse、Resin.io、Sysdig、SUSE、Twitter、そして本誌TechCrunchの新しいオーナーであるVerizonらで、彼らと創立時のメンバーAmazon、Microsoft、CoreOS、Docker、Intel、Mesosphere、Red Hatらが協働して、Dockerコンテナの今後の仕様等をガイドし、コンテナの共通スタンダードの確立を目指していく。

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Dockerの企業マーケティング担当VP David Messinaによれば、今のOCIのメンバーは大と小がバランスよく入り混じっていて理想的な形だ。とくにOracleが参加したことにより、今後はSolarisの上のコンテナに関する活発なフィードバックが得られるようになるだろう。もちろん、Sun Microsystemなきあとは、OracleがSolarisの最大の経験者だ。またこれまでよりも多くのディストリビューションやモニタリング企業、そして大企業が加わったことによって、最終的に良質なプロダクトが作られるものと期待される。それは、各社それぞれの専門知識や技能の、寄与貢献が期待されるからだ。

“Open Container Initiativeには熱い関心が寄せられており、そのことは、コンテナがアプリケーション開発に提供する機会と、他方では規格や実装の多様化と分裂という危機の可能性、その両方を表している”、とLinux FoundationのJim Zemlinが今日の声明文の中で述べている。“強力なコミュニティサポートとコラボレーションにより、この取り組みが機会の方の比重を高めていくことを、確信している”。

DockerのエンジニアPatrick Chanezonによると、定款はなるべく軽量なものにしたい、という。今後問題が起きれば技術監視委員会で解決できるし、また今後の(規格準拠)証明交付事業では商標委員会が活躍するだろう、と。

今はコンテナのエコシステムがこれほどまでに急成長しているから、コンテナそのものと一部の関連ツールに関して標準化の声が高まるのも当然だ。またそれがなければ、コンテナの今後のポータビリティもおぼつかない。昨日(米国時間7/21)発表された日本語)Cloud Native Computing Foundation(CNCF)によりLinux Foundationには、もうひとつのメジャーなコンテナ関連のオープンソースプロジェクトが加わったことになる。こちらはGoogleのコンテナ管理とスケジューリングのツールKubernetesに関連する組織だ。

しかしなぜ、Open Container ProjectOpen Container Initiativeになったのか? ZemlinはOSCONのキーノートで、Open Compute Projectと紛らわしいから名前をすこし変えた、と述べた。

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Red HatがDocker中心のEnterprise LinuxディストリビューションAtomic Hostをリリース

Red HatがEnterprise LinuxのDocker中心のバージョンを出すと発表してからほぼ1年経つ今日(米国時間3/5)、長期のベータを終えたRed Hat Enterprise Linux 7 Atomic Hostが一般公開された。このAtomic HostでもってRed HatはDockerのリングに上がり、CoreOSなどとともに‘エンタプライズコンテナOS’の分野に仲間入りすることになる。

このディストリビューションのベースとなっているProject Atomicは、Dockerコンテナを作って動かすことに専念する比較的リーンなオペレーティングシステムを作る、Red Hat賛助のプロジェクトだ。そういう意味では、Canonicalが出しているUbuntu CoreのさまざまなSnappyエディションにやや似ており、こちらもやはり、コンテナの展開向けに最適化されたベーシックでセキュアな基礎的オペレーティングシステムをユーザに提供する。

Project AtomicのコアテクノロジはDockerと、GoogleのコンテナオーケストレーションツールKubernetes、アップデートとロールバックを管理するrpm-ostree、そしてLinuxのシステム/サービスマネージャsystemdだ。

Red HatはそのほかのOSベンダと歩を揃えて、従来の一枚岩的なテクノロジスタックがすたれてマイクロサービスの集合の時代になりつつあることを、認めている。そしてコンテナは、まさしくマイクロサービスにフィットした技術だ。しかし同時に同社は、Atomic HostがRed Hat Enterprise Linuxのセキュリティ機能を完全に引き継ぎ、RHELを支えている認定パートナーたちのエコシステムを継承することを強調している。同社の主張によると、このパートナーのエコシステムがあることによって、コンテナをさまざまなクラウドやハイパバイザ間で容易に移動できるようになる…それらはたとえば、VMware、Microsoft Hyper-V、Amazon Web Services、GoogleのCloud Platformといったパートナーやシステムだ。

Red HatがAtomic Hostでとくに力を入れているのが、セキュリティとライフサイクル管理だ。Atomic Hostではアップデートが自動的にイメージベースで行われる。しかもそれらはワンステップでデプロイされ、何か不具合が生じたらアップデートを簡単にロールバックできる。

Atomic Hostを使うことによってデベロッパは、Red Hat Enterprise Linux 6や7のアプリケーションをパッケージしてそれらをコンテナの中へデプロイすることが容易にできる。そのため、既存のRed HatユーザがAtomic Hostを試してみるのも、比較的容易なはずだ。

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Red Hatが企業利用に便利なレディメイドのLinuxコンテナプラットホームをローンチ、DockerとGoogle Kubernetesをサポート

アプリケーションのコンテナ化によってエンタプライズコンピューティングの様相が変わりつつあることに対応してRed Hatはこのほど、Red Hat Enterprise Linux Atomic Hostと呼ばれるLinuxコンテナプラットホームをベータでリリースした。

コンテナ化という新しいトレンドによってアプリケーションの配備と展開が仮想マシンを使った場合に比べて効率的になり、迅速になった。それはある意味では一歩進んだ仮想化技術であり、これまでの仮想化技術から余計なものを剥ぎとってリソース効率を高め、迅速な展開を可能にした。

今日(米国時間11/11)ベータリリースされたRed Hat Enterprise Linux Atomic Hostは、企業にコンテナ化のためのレディメイドのスタックを提供しようとするもので、ユーザはこのプラットホーム上で自己のコンテナ技術を構築できる。Red Hatのプロダクトマーケティング担当シニアディレクターMark Cogginによると、これによりISVやそのほかのデベロッパは、いわば保証つきのコンテナを作って動かせるようになる。当然それによって顧客は、自分たちが使っているコンテナがRed Hatの優れた技術で作られているという安心感を得ることができる。もちろん、デベロッパに頼まず企業が自力でコンテナを構築してもよい。

Cogginによると、その基本的な考え方は、アプリケーションと一部のランタイムライブラリと、要らないものを削ぎ落としたLinuxを収めたコンテナを作ること、それによってアプリケーションの稼働に必要なコア的サービスを配布することだ。彼によると、そういう超簡素化されたLinuxを含めることによって、可搬性が増し、展開とメンテナンスと管理が容易かつ単純になる。

これは、今人気の高いコンテナ技術Dockerと競合するものではなく、むしろこのプラットホームもDockerとの協力により内部的にDockerを利用している。またGoogleのKubernetesもサポートされるので、そのオーケストレイションレイヤ(クラスタ管理層)により、コンテナの全ライフサイクルにわたる管理ができる。Cogginによると、Kubernetesに関してはすでに何か月もGoogleと協働しているので、まだ若いシステムではあるが、このRed Hat Enterprise Linux Atomic Hostのスタックに重要な管理機能を提供する。

Coggin曰く、物理サーバは立ち上げに数時間を要し、仮想マシンのセットアップには数分を要する。しかしコンテナのセットアップと立ち上げに要する時間は約10秒だ。アジリティとスピードを重視する企業にとっては、これによりIT部門が各業務部門からのニーズに直ちに対応できるようになり、今日の競争の激しい企業環境において大きなアドバンテージをもたらす。

スピードだけでなく、コストのアドバンテージも大きい。このLinuxコンテナは要らないものをすべて排除して簡素化されているので効率が高く、従来だと一台のサーバ上で10のVMを動かすのがせいぜいだったが、コンテナなら100ぐらい動かせる。データセンターのランニングコストに、大きな違いをもたらすだろう。

ただし、今回のベータの時点ではマルチホストの展開がサポートされず、プラットホームはシングルホストの実装のみだ。したがって複数のサーバを使って実現できるような効率性は、今後の(正規立ち上げ後の)オプションとなる。Cogginは、これはまだ非常に初期的なリリースなので…、と言い訳している。彼は本番立ち上げのスケジュールを明言しなかったが、‘いずれは’(eventually)という言い方をした。

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Red Hatが企業向けモバイルアプリ開発プラットホームFeedHenryを$82Mで買収…企業ITのモバイル化というビッグトレンドに対応

【一部要訳】

企業向けのLinuxディストリビューションを軸に、企業のITのためのサービス(とくにクラウドサービス)やデベロッパのための開発プラットホームも提供しているRed Hatが、アイルランドのこれまた企業向けのモバイルアプリ開発プラットホームFeedHenryを買収した。この買収に関する声明文の中でRed Hatは、6350ユーロ(8200万ドル)のキャッシュをFeedHenryに払う、と述べている。今日(米国時間9/18)はRed Hatの2015会計年度第二四半期の決算報告が行われる日なので、この買収の完了は第三四半期へ持ち込まれるものと思われる。同社は、買収の結果としてガイダンスを更新する、と述べている。

スマートフォンの今年の売上台数は120億台に達すると言われているので、Red Hatにかぎらず今やどの企業も、モバイルを無視できない。企業も、大企業も小企業もスマートフォンやタブレット、あるいはローミングするPCのためのアプリケーション開発やセキュリティ対策にこぞって取り組んでいる。IDCの調査によると、モバイルのアプリケーションプラットホーム(開発プラットホーム)の市場規模は2013年で14億ドル、2017年には48億ドルになる、という。

Red Hatのアプリケーションプラットホーム事業担当SVP Craig Muzillaは、声明文の中で、“モバイルのアプリケーションプラットホームは企業向けのソフトウェア市場において最速で成長している分野の一つだ”、と言っている。“今では企業のコンピューティングのあらゆる部分にモバイルが浸透しているので、企業向けアプリケーションのデベロッパたちも、これまでの企業向けアプリケーションの能力を拡張するようなモバイルアプリケーションを効率的に開発する方法を求めている。FeedHenryにより弊社の顧客は、Red Hatのエンタプライズソフトウェアが持つセキュリティとスケーラビリティおよび信頼性にモバイルの能力が持つアドバンテージを組み合わせて利用できる”。

エンタプライズサービスの分野ではかねてからヨーロッパのスタートアップが強くて、FeedHenryもその好個の例である。2010年に創業した同社は、昨年のシリーズAラウンドの一回だけで900万ドルを調達している。投資家はIntel CapitalやVMWareなどだ。FeedHenryのこれまでの顧客には、Aer Lingus、Baystate Health、アイルランド政府などがいる。

FeedHenryのCEO Cathal McGloinは声明の中で、“弊社は創業時から、オープンな技術とクラウドをモバイル開発とその管理の中軸に据えている。オープンソースのエンタプライズソリューションにおけるリーダーであるRed Hatの一員になることを嬉しく感じており、これはモバイルとクラウドの組み合わせが強力であることの、ひとつの証拠だと見ている。今やモバイルアプリケーションとMBaaSプラットホームはマスマーケットが採用するところとなっており、そしてNode.jsの人気も拡大している。Red Hatに加わったことによって、弊社の優れたモバイルアプリケーションプラットホームを、グローバルな顧客とパートナーから成るより広いオーディエンスに提供でき、彼らによるモバイルファーストの世界の最適化努力を支援できる”。

FeedHenryはRed Hatが2013年9月に発表したJBoss xPaaS for OpenShiftの取り組みを一層強化し、とりわけエンタプライズアプリケーションと統合化とビジネスプロセスオートメーションをオープンなPaaSとして提供して行くことに貢献する。“モバイルのアプリケーションサービスはこのビジョンの鍵であり、FeedHenryはモバイルアプリケーションをサポートするためのセキュリティとポリシー管理と同期化と統合化機能を提供してくれる”、と同社は言っている。

FeedHenryのアーキテクチャはNode.jsをベースとし、企業によるAndroidやiOS、Windows Phone、BlackBerryのアプリケーションや、HTML5によるWebアプリケーションの開発を助ける。アプリケーションの構築のためには、各ネイティブのSDK、Apache Cordova、HTML5、Titanium、およびフレームワークとしてXamarin、Sencha Touch、各種のJavaScriptフレームワークをサポートする。デベロッパがFeedHenryからリンクできるアプリケーションは、salesforce.com、SAP、Oracle、デバイス管理サービスAirWatchとMobileIronなどだ。

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ユーザが複数のベンダから自由に構成を編成できる未来型IaaS、Massachusetts Open Cloudプロジェクト

【抄訳】

今日のクラウドインフラストラクチャ市場は、AmazonやGoogle、Microsoftなどひとにぎりの大企業が支配している。 Massachusetts Open Cloudプロジェクト(マサチューセッツオープンクラウドプロジェクト, MOC)と呼ばれる産・学・民のパートナーシップは、オープンコンピューティングのマーケットプレースを作ることによってこの状況を変えようとしている。このマーケットプレースは、いろんなインフラサービスがここに出店をして、ユーザは自分のニーズに応じてそれぞれ最適のサービスやプロダクトを選び、自己システムを構成する、というものだ。

このプロジェクトのローンチを支えたノースイースタン大学のPeter Desnoyers教授は、Amazonなどのサービスはたしかに便利だが、限界がある、と述べる。

第一に、大学など学術研究というニーズの視点から見ると、彼らのはすべてクローズドなシステムだ。つまり、直接のユーザである研究チームはそのシステムにアクセスできるが、共同研究ないし類似の研究を行っている別の大学のチームなどが論文の参考にするためにそのシステムを研究したいと思っても、できないことが多い。カンファレンスなどで当の研究チームのプレゼンを見たり、論文を入手することはできても、システムの深い知識は得られないのであまり役に立たない。

さらにまたAmazonなどのIaaSベンダは、フォード自動車の始祖“ヘンリー・フォード”方式でIaaSプロダクトを提供している。初期のT型フォードは、たとえば色は黒しかなかった。Amazonなどのプロダクトも、一定のパッケージ製品が提供されているだけだ。しかしユーザはそれぞれ、きわめて特殊な要求を抱えていることが多い。そしてそういう特殊なサービスは、既存のベンダからは得られなかったり、得られるとしても高すぎて使えなかったりする。

Desnoyersによれば、しかし複数のベンダが出店するマーケットプレースを作れば、ユーザはその場ですぐに、必要なものをピックアップして揃えることができる。コンピューティングはA社、ストレージはB社、メモリはC社、といった具合に。ベンダもこの方式が気に入ったようで、すでにCiscoやJuniper、Intel, Red Hatなどなどが参加意思を表明している。

プロジェクトに参加している大学は、Harvard、MIT、 UMass(マサチューセッツ大)、Amherst、Boston University、そしてDesnoyersが在籍するNortheasternだ。

マサチューセッツ州もこのプロジェクトのパートナーとして、同州HolyokeにあるMassachusetts Green High Performance Computing Centerにオフィスを提供する。

ベンダが機器装置類や技術面の人材を提供し、MOCそのものをオープンソースベースの商用プロジェクトとして完成させる。

このプロジェクトに参加しているベンダの一人としてRed HatでCTOの配下にいるシニアコンサルティングエンジニアJan Mark Holtzerは、このプロジェクトからは、ユーザの多様な用例からRed Hat自身も多くを学べる、と言う。とくに、構成の自由なそして可変なカスタマイズに加えて、大量のリソースをすぐに使え、用が済んだらすぐにそのリソースを開放する使い方ができる点が、このプロジェクトの魅力だ、と彼は言っている。

【中略】

今、クラウドインフラストラクチャの選択肢は数多く提供されているが、ユーザが構成や価格をベンダと交渉でき、複数のベンダの製品でユーザシステムを構成できるマーケットプレースはこれまで存在しなかった。未来のIaaSの姿も、このような、完全な自由が最後までユーザの手中にあるという、非常に柔軟な形に変わっていくと思われるので、MOCはそのような未来のいわば先鞭をつけた、と言えるだろう。

【後略】

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Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 7.0がリリース、デフォルトで10年保証を提供

Red Hatが今日(米国時間6/10)、同社Linuxディストリビューションの企業向け商用製品Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のバージョン7.0をリリースした。その主な特長は、Windowsとの相互運用性、新しいデフォルトのファイルシステム、Dockerによるコンテナ化、そして、今後のすべてのメジャー/マイナーなリリースを対象とする10年間保証だ。

LinuxのカーネルがRHEL 6.xの2.6.32から3.10にアップデートしたことも大きい。調査会社Forresterのインフラとオペレーション担当アナリストRichard Ficheraは、それはRHELの、待ちに待たれていた現代化が目的だ、と言う。

Ficheraは次のように言う: “カーネルを3.xにアップしたことは、SUSEに追いつき追い越す意味でも重要だ。顧客向けにも大量の便利な改良が提供されるだろう”。

Red Hatのマーケティング担当シニアディレクターMark Cogginは、10年保証によって顧客が得られる安定性と安心感も大きい、と語る。これはRed Hatの顧客へのコミットメントの真剣さを表しており、10年保証とはバグフィクスとセキュリティリリースと公式アップデートが今後10年提供される、という意味だ。

また今回のバージョンは、RHELのインストールと管理と展開を容易にすることにも力が注がれ、その一環としてWindows Active Directoryとの相互運用性、スクリプトによってアップグレードの過程を自動化、などの機能が導入された。Cogginは曰く、顧客先のシスアドはニーズの変化を十分に把握してから、それらに合わせてアップグレードのプロセスを進めなければならないが、今回はそのために役に立つ重要なツールをいくつかご提供した、と。カーネルの件も含めて、今回はかなり重要なバージョンアップだ、と彼は強調している。

Ficheraによると、そのために今回は、シスアドの仕事を楽にするという点で大きく進歩したという。“RHEL 7ではインストールが簡単になり、管理のオーバヘッドが下がり、ユーザがすぐに使い始めることのできる既存のRHELからの更新や、ロールバック、それに、“プロファイル”と呼ばれる、用意されたテンプレートからの展開などが導入された。プロファイルでは、各種の構成オプションをワークロードの特性に合わせて指定できる。またインストールが終わると、大幅に改良されたランタイム管理とモニタリングの機能が提供され、ランタイムのパフォーマンスの最適化が図られる。

IDCでサーバとシステムソフトを担当しているAl Gillenは、重要なのはDocker対応化だ、と言う。“今回のリリースからDockerがデフォルトでサポートされたことの意義は大きい。サービスプロバイダや、アプリケーションの複数バージョン間のポータビリティを重視する顧客は、コンテナのサポートをとても便利に感じるだろう。 Red Hatの連中も、それを言っていた”。

デフォルトのファイルシステムが、EXT4からXFSに変わった。ただし、必要に応じてそのほかのファイルシステムもサポートされる。ForresterのFicheraは、この点が重要だと言っている:

“今のLinuxカーネルには、いろんなファイルシステムがある。もっとも多く使われているのが改良版(今では‘4’)のEXTファイルシステム、0.5PBまでの巨大なファイルをサポートするXFS、“Better File System”の頭字語btrfsのベータバージョン、などなど”。

RHELのメジャーアップデートは3年半ぶりだが、顧客のニーズはどこにあったのか。連続性を重視したゆるやかなアップデートが、望まれているのではないか。この点に関してIDCのGillenは、業界は二分している、と言った:

“Amazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google App Engineなどのプラットホームは利用の連続性を保証しつつアップデートを行わざるをえない。これに対して古典的なITショップは、何をいつどのようにアップグレードするかを個別にいちいち自分で意思決定する。どちらを採るか。今業界は、その分岐点に来ていると思う”。

彼の説では、今でも後者のやり方を必要とする企業はある。とくに、政府などの厳しい規制下にある業種の場合だ。Red HatのCogginによると、同社はアップデートの配布方法について検討しているが、顧客自身が具体的な要望を持っている場合も多い、と言う。

“うちは商用Linuxのマーケットリーダーで、大量の顧客がリリースの一定のリズムやライフサイクルを暗黙裡に期待している。ただし、そのライフサイクルの内容的な意味を、われわれベンダとしてはしっかり見定める必要がある”。同社はすでに、頻繁なリリースを必要とする企業には特殊なソフトウェアやツールセットを提供しているが、しかし大半の顧客は安定性を重視している。同社としては、両方のタイプのアップグレードパスを提供しなければならない、とCogginは言う。

Cogginによると、RHEL 7のベータに参加した顧客は1万弱だった。そして、とくに熱心だった60社からは、今後も継続的にフィードバックをいただいていく予定だ。

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Red HatがCephベースのストレージサービスInktankを買収, ビッグデータ時代の超巨大クラウドストレージでトップをねらう

オープンソースソフトウェアのプロバイダRed Hatが、ストレージの市場でAmazonなどと張り合う気のようだ。同社は今日(米国時間4/30)、オープンソースのストレージシステムを開発しているInktankをキャッシュ1億7500万ドルで買収する、と発表した。Red Hatによると、同社はInktankの主製品であるInktank Ceph Enterpriseと同社のGlusterFSによるストレージ製品を併合させる、そして今回の買収により同社は、オブジェクトやブロック、ファイルシステムといった多様な高レベルのストレージシステムを支えるオープンなソフトウェア定義ストレージの、最大のプロバイダになる。

Red HatのEVPでCTOのBrian Stevensは、声明文の中で次のように述べている: “Inktankが作り上げたきわめて活気あるコミュニティを今後も尊重し、ソフトウェア定義ストレージのデファクトのチョイスをよりオープンにしていく仕事に、共に取り組んでいきたい。Inktankは、Cephを軸とする強力なエコシステムを組み立てるという、すばらしい仕事を成し遂げた。今後われわれは彼らと一緒になって、この成功をさらに拡大していきたい。これらの強力でワールドクラスのオープンストレージ技術は、顧客がソフトウェアベースの、スケールアウト*可能なストレージシステムに移行していくときに、無視することのできない能力をを提供するだろう”。〔*: scale-out, 分散化による規模拡大。〕

これは、公開企業であるRed Hatの9つめの買収だ。これまでで最大の買収はミドルウェアのベンダJBossを4億2000万ドルで買ったときだが、Inktankはこれに次ぐ。そのほか、オンラインストレージのGluster、1億3600万ドルも、大きな買収だった。Glusterは、Red Hatの現在のストレージサービスのベースになっていると思われる。

Ceph EnterpriseのベースであるCephは、レガシーのストレージシステムをリプレースするものとして開発されたが、実際にはAmazon S3など既存のストレージサービスに代わるもの、あるいはそれらと競合するものとも見られている。AmazonのS3やElastic Block Storageなどのように、各種のオプションを通じてユーザが構成を決めるのではなく、Cephではサービスプロバイダや企業などのユーザが独自のストレージシステムを組み立てられる。Cephのねらいは、エクサバイト級あるいはそれ以上の巨大なストレージシステム/ファイルシステムを、高いコスト効率で提供することにある。

Inktankの顧客はCisco、CERN、Deutsche Telekomなどで、パートナーはDell、Alcatel-Lucentなどだ。今後彼らは、Red Hatの顧客およびパートナーとしてCeph Enterpriseとの関係を持続する。

サンフランシスコに本社を置くInktankは、2012年の創業以来、およそ1440万ドルの資金を獲得してきた。主な投資家は、(Ubuntuの)CanonicalのファウンダMark ShuttleworthとクラウドホスティングDreamHostのオーナー企業New Dream Networkだ。後者の協同ファウンダSage Weil(Cephのデベロッパの一人)が、InktankのファウンダでCTOだ。

今回の買収によってInktankの主製品がRed HatのRHELなどと最初からセットになって売られる可能性が生じるため、Inktankにとっては大きな成長の機会になる。〔*: Ceph本体は最近のLinuxカーネルにデフォルトで含まれている。〕

Weilは、声明文の中で次のように述べている: “Red Hatとわれわれは、かねてから、オープンソースとオープンスタンダードと顧客の成功へのコミットメントを共有している。この二者がこのたび合体したことは、きわめてエキサイティングな事件である。われわれのオープンストレージテクノロジは、これからのクラウドコンピューティングの時代におけるデータ管理業務にとって、必須の技術になると確信している。Red Hatとの協働により、さらに重要なイノベーションを推進できるようになり、業界全体に大きな貢献を果たしていけるものと信ずる。とくに、OpenStackのような既存及び近未来のデータセンターのアーキテクチャが、オープンストレージのソリューションを統合していくことは確実であり、われわれはその需要にお応えしていきたい”。

Cephという奇妙な名前は、同社の注記によれば、ペットの蛸(たこ)のニックネームだ。社名やプロダクト名は、そこから派生している:

“Ceph”は、ペットの蛸、すなわちcephalopod(頭足動物)によくつけられる名前だ。Cephは最初、弊社のCTO Sage Weilの、UC Santa Cruz(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)における博士論文のためのプロジェクトとして始められた。UCSCには前から、Sammyという名のウミウシのペットがいたが、蛸も軟体動物として、大人気のSammyの仲間である。蛸は複数の足を高度に並列で動かすことができるので、このプロジェクトの名前としても合っていた。そしてCephのプロダクトを作っていく企業を作ったときには、蛸が出す“インク”にあやかって、その社名をInktankとした。いわばわれわれInktankの社員一人々々は、Cephが放出するインクの一滴のようなものである。

買収の完了は、2014年5月と予定されている。

画像: Flickr

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Red HatがEnterprise LinuxとPaaSプラットホームOpenShiftでDockerをサポートへ

Red HatとDocker.ioの今日(米国時間4/15)の発表によると、両社の協働により、DockerのコンテナテクノロジがRed Hat Enterprise Linuxの招待制ベータと、Red HatのPaaSプラットホームサービスOpenShiftに導入されることになった。

Dockerの最初のリリースは約1年前だったが、またたくまに人気が拡大し、従来の仮想化技術に代わってソフトウェアコンテナを使いたいと願うデベロッパたちのツールとして広まった。商用レベルでDockerプロジェクトの面倒をみている組織が、Docker.io だ。

Red Hat Enterprise Linux 7は現在ベータで、コンテナとしてはDockerをメインにサポートしている。Dockerの側では、企業がRed Hat Enterprise LinuxとOpenShiftをベースとしてパイロット事業を作っていくためのサービス、JumpStartを発表した。このサービスは企業にDockerに関する教育訓練と、Docker Registryのインストール、そしてDockerの商用サポートを提供する。

Red HatのCTO Brian Stevensは今日の発表声明の中で次のようにのべている: “Red HatにはLinux Containersをはじめ、革新的な技術の開発と投資と育成に貢献してきた伝統があり、またオープンソースの世界に対しても長年、数多くの寄与貢献を果たしてきた。Dockerの技術は、企業のコンテナ採用を阻んでいたバリヤを取り除くものであり、その使いやすさと、アプリケーションのパッケージングとインフラストラクチャの統合ぶりは、われわれにとってきわめてエキサイティングである”。

Red HatとDockerの協働は、これが初めてではない。両社は昨年、Red HatのLinuxディストリビューションFedora LinuxにDockerをパッケージングすることと、ファイルシステムのディペンデンシーおよびコンテナのプロビジョニングで協働することを発表した。また先月Red Hatは、そのアプリケーション認定事業を拡大して、コンテナ化されたアプリケーションも含む、と発表した。そのときの同社の声明では、Red Hat Enterprise Linuxを使って構築されコンテナ化されたアプリケーションが、複数の認定コンテナホストで動く、とされた。

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Red Hat Enterprise Linuxのユーザはインストールをパブリッククラウド(Google Compute Engineなど)に自由に移せる

[筆者: Ron Miller]

Red Hatの本日(米国時間4/7)の発表によると、Red Hat Enterprise Linuxの顧客は、その利用権をGoogle Compute Engineなどのクラウドサービス上に移せる。そしてこれはRed HatとGoogle両社にとって有利な措置となる。

Red Hatが提供している“利用権移動(bring your own subscription)”プランにより、Red Hat Linuxのユーザはオンプレミスのインストールを、Google Compute Engineなど、Red Hatが承認しているクラウドベンダのパブリッククラウドへ移せる。

GCEなどへの移動にはRed Hatが提供しているツールを使用し、ユーザは今後もRed Hatのサポートを引き続き受けられる。ただしその場合、対象は単一のベンダでなければならない(複数のベンダがからむ問題はノー)。複数のベンダがからむと、問題の原因の同定などが困難になるからだ。

Google Cloud PlatformのプロダクトマネージャMartin Buhrは、今回の措置を、Googleのプラットホームの評価が定着した証(あかし)と見ている。“Red Hatの発表は、Googleのクラウドプラットホームへの信頼の表れだ。とくに、エンタプライズアプリケーションの展開に適したプラットホームと見なされている。これまでも、RHELをGCEの上で展開したいというリクエストは多かった。うちがこのプログラムに含まれる二番目のクラウドプロバイダであったことを、嬉しく思っている”、とBuhrは語った*。〔*: 利用権移動(bring your own subscription)”プラン承認プロバイダ)、(日本語ページプロバイダリスト)。〕

Red Hatにとってこのプログラムは、展開の仕方を各社自由にする、という方針の表れだ。各顧客の要件に応じて、物理的な展開(オンプレミス)と仮想(クラウド)のどちらでも認め、また両者の混成も認めていく。

Red Hatのクラウド部長Mike Ferrisによると、これによりエンタプライズユーザがパブリッククラウドを使いやすくなる。

彼はこう言う、“コンピューティングとネットワーキングとストレージとマネージメントの技術革新により、Google Compute Engineのようなエンタプライズ級の大規模なクラウドサービスが可能になった。顧客のビジネスニーズやオペレーションのニーズに柔軟に対応していくためには、オンプレミスとオフプレミスの臨機応変な使い分けが可能な環境を提供していかなければならない”。

オープンソース方面の長年の常連ライターSteven J. Vaughan-Nicholsは、これは両社にとって得だ、と言う。“Red Hatは今後ますますRHELのクラウド顧客を増やしたいし、GoogleはGCEの企業ユーザを増やしたい。これは、オープンソースの天国で結ばれた結婚だ”。

GoogleがRed Hatの認定クラウドプロバイダ事業に参加したのは、Google Compute Engineが一般公開される1か月前だった。先月末にGoogleは、AWS対抗策として、サービスの大幅値下げに踏み切った。

画像: Flickr/Karen Ka Ying Wong; CC BY-SA 2.0のライセンスによる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OpenStackをAPIレベルでAWS互換にせよ, という切実なる公開書簡

CloudscalingのCTO Randy Biasが今日(米国時間7/24)、OpenStackに宛てた公開書簡を書いた。その中で彼は、オープンなクラウドを目指す各種の取り組みは、Amazon Web Services(AWS)のデファクトスタンダード性を素直に認めて、それと互換性のあるAPIを整備しなければ勝利できない、と述べている。

彼は、AWSは事実上のリーダーだ、と主張する。だから正しい対応は: OpenStackは独自のAPIを作って自己を差別化する努力をやめて、AWSがパブリッククラウドにおける勝者であるという現実を受け入れることだ。そうすればOpenStackは、AWS的なパブリッククラウドと現代的なデータセンターが交わる“ハイブリッドな”クラウドの分野で勝てる。OpenStackが伸びる場所は、そこだ。その顧客は、それなりの伸縮自在性を持つクラウドオペレーティングシステムを必要とするが、何万何十万もの一般ユーザにサービスを提供する必要はない企業ユーザだ。

とりわけBiasは、OpenStackを使う場合の、スタンダードとなるAPIを作ることを、Rackspaceに呼びかけている。彼は、OpenStackがこれまでRackspaceのオープンクラウド寄りのAPIを作ってきた経緯を、詳しく述べている。Biasによれば、RackspacはOpenStackのAPIを自分のために作ってきた*。同社はOpenStackを利用して、自己のサービスを差別化しようとしてきた。〔*: RackspaceはOpenStackの最有力の創設メンバーの一人。〕

たしかに、それは事実だ。明らかにRackspaceは、OpenStackという公共的な性格の団体を作るという機に乗じて、自分自身をより大きくしようとした。当時の同社は、クラウドの今後の方向性について模索し迷っていた。同社は、ホスティング企業からソフトウェアデベロッパへという、重要な曲がり角にさしかかっていた。そのことを、Rackspace自身も理解していたのか? 理解していたと思う。同社はOpenSackのリーダー役を買って出ることによって、それをコントロールしようとし、自社のクラウドとそのAPIをOpenStackの“ネイティブの”APIと呼ばせようとした。

しかしRackspaceには、世界初の大規模で本格的なオープンクラウド運動の口火を切った、という功績がある。今ではそこに、250社あまりが参加し、何千ものデベロッパが120万行を超えるコードを書いている。IBMもRed HatもHPも、みなOpenStackに加わった。そしてBiasはCloudscalingの新しい市場を開拓でき、そこに対し、クラウドインフラを構築するためのシステムサービスを提供していった。

しかし、ここにきてBiasがAWSを持ち上げるのには、理由がある。それは、彼自身の利害だ。彼の会社はAWSとGoogle Compute Engineを重視している。だからAWSとOpenStackが重なるようなAPIがあれば、彼の若い会社の大きな助けになる。こういった問題に関しては、クラウドコメンテーターのBen Kepesが良い記事を書いているので、一読をおすすめしたい。

それは、奇妙な状況でもある。OpenStackに参加している企業は、強きも弱きも、大きな市場圧力にさらされている。そしてそのプレッシャーを増幅しているのがAWSと、その疑問の余地なきイノベーションだ。OpenStackの創設から今日までの3年間で、AWSはクラウド宇宙を支配してしまった。

しかし、HP、IBM、Red Hat、AT&Tなどなど多くの企業は、AWSをそう簡単にパブリッククラウドのデファクトスタンダードとして受け入れるわけにはいかない、それぞれの事情を抱えている。彼らは、AWSに勝たせたくない。彼らから見ると、Amazonの、自分がコントロールを握ろうとするときのやり方は、あまりにも苛烈で非情だ。そのAPIはクローズドだし、いつでも勝手に変えることができる。独自の理由で、一部のサービスを一方的に切り詰めることすらありえる。

だから、Rackspaceがこれまで我が道を行くでやってきたように、誰もがそうしてきたのだ。

Biasは、OpenStackの将来性に疑問を投げかけている。最終的にそれは、誰の役に立つものになるのか、と。この、AWSのAPIとの互換性、という問題について、RedMonkのアナリストDonnie Berkholzに話を聞いてみた。彼は、結局それは将来性の問題だ、と言った。APIのプロバイダには、それを将来にわたってメンテする義務がある。そのAPIは、今後もずっと動くもの、使えるものでなければならない。その点に関しては、Amazonには疑念の余地がない。しかしOpenStackは、大きなクェスチョンマークだ。OpenStackには今すでに変種が相当多くて、統合を難しくしている。たとえば、Dreamhostはストレージに(分散並列ストレージ)Cephを使い、RackspaceはSwiftを使っている。Dellは、自社製を使っている。

OpenStackは、こういった複雑性を解消すべきである。しかし参加企業が多くてそれぞれが独自の利害を抱えているから、その課題は、言うは易く行うは難しの典型となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OpenStackでクラウドをビルドするMirantisがシリーズAの第二ラウンドでさらに$10Mを調達

OpenStackデベロッパMirantisが、Red HatとEricssonとSAP Venturesからまた新たに1000万ドルの資金を調達した。OpenStackを使ってプライベートやパブリックのクラウドシステムを作りたいという需要が、このところますます増えているためだ。今回の資金は、シリーズAの第二ラウンドに相当する。

この前Mirantisは12月に100万ドルを、Dell Ventures、Intel Capital、およびWest Summit Capitalから調達したが、今回のラウンドにはこの三社も参加している。MirantisのCEO Adrian Ionelによると、最初のラウンドで一部の投資家が増額を要求した、しかし:

うちはすでに利益が出ていたし、1000万ドルは大きな額だから、その時点の評価額ではそれ以上を求めなかった。そこで、今後一定の経営目標を達成したら新たな評価額を算定し、それに基づく新たなラウンドを展開することで投資家たちとの合意を形成した。今回その目標に達したので、第二ラウンドを行うことになった。

MirantisもOpenStackの創設メンバーだが、OpenStackのインフラストラクチャを構成するさまざまな部品(計算処理、ストレージ、ネットワーク、…)を目的システムへと組み上げる仕事で業績を上げてきた。OpenStackはこれまで、7回のリリースを経ており、最新リリースがGrizzlyだ。開発はコミュニティが行い、さまざまな企業が自社の技術を部品として供給することによって、OpenStackが組み立てられている。

それらの企業の中では、下の図が示すように、Red HatがOpenStackの最大の貢献者であり、今回のようにアプリケーション開発企業に投資するのもうなづける。下図は、OpenStackへのこれまでの累積コミット数を表しており、左端の赤い棒がRed Hatである。

OpenStackのインフラストラクチャの派生系を作るスキルにも需要がある。たとえばSAPは、OpenStackを利用して自己のインフラを構築している。

一方Mirantisは、OpenStackのDIYキット Fuelをアップデートした。これはMirantisの多機能ライブラリ群をベースとする製品だ。たとえばMirantisのPuppetというライブラリは、インフラ利用の自動化を支える。同社はそれまで自己ライブラリへの外部アクセスをさせなかった。

しかし新バージョンはApache 2.0のライセンスにより無料で利用できる。それにはヴィジュアルなインタフェイス、ワンストップのコントロールプレーン、自動化機能、前述のGrizzlyのサポート、などが含まれる。今年の終わりごろには、Fuelの会員制の商用バージョンFuel Enterpriseのリリースを予定している。

Mirantisは今ではOpenStackのデベロッパとしていちばん目立つ企業になっている。その将来にとっては、Fuelがとくに重要だ。OpenStackの市場はどんどん拡大しているので、Fuelのようなツールの需要も拡大する。ただし、市場拡大の過程の中で、ますます多くの企業が彼ら独自のターンキーソリューションを提供してくるだろう。CloudscalingとPiston Cloud が、その分野で名を上げつつある。

しかしIonelによれば、Fuelの強みはディストリビューションを特定しないこと、またハードウェアとネットワークに関しても、要件を狭く限定していない。

“それに、うちはオープンソースだからね”、とIonelは言った。


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珍しく初期段階で却下された特許訴訟: 数学的アルゴリズムは特許を取れないと

連邦判事がRackspaceに対する特許侵害訴訟を却下し、数学的アルゴリズムは特許の対象にならない、と裁定した。東部地区(Eastern Disrict)におけるこの裁定は、2012年にUniloc USAが行った告訴に対するもので、その訴えは、Linuxオペレーティングシステムによる浮動小数点数の処理は特許の侵犯であると主張していた。

首席判事Leonard Davisはこの裁定の根拠を、数学的アルゴリズムの特許取得を禁じている合衆国最高裁の判例法としている。Rackspaceによれば、これは、テキサス州の東部地区連邦地裁が、特許を取得できないものへの特許を主張しているとして、裁判の初期段階で告訴を却下した例としては、報告されているかぎりにおいて初めてのものである。

LinuxをRackspaceに供給しているRed Hatは、Rackspaceの弁護費用を負担した。Red Hatは、同社のOpen Source Assurance事業に基づいて、顧客を擁護することをポリシーとしている。

Red Hat法務部の知財担当次長Rob Tillerは、次のように述べている:

“不実施主体(NPE)訴訟は慢性化しており、テクノロジ業界にとって深刻な問題になっている。この種の訴訟は認められてはならない特許に基づいていることが多いが、その弁護費用は通常、数百万ドルにも達する。これらの訴訟は、イノベーションと経済成長と雇用機会の創出を妨げる疫病である。法廷は、初期段階において特許の有効性を判定して、適切な処置をすることにより、この問題に対応できる。今回の事案においては、判事Davisがまさにそれを為し、未来の案件に対する優れた例を設定した。”

特許訴訟は合衆国の古めかしい特許制度につけ込む悪質な行為となっている。今回のような却下はまれであり、特許訴訟において法廷が特許の種類を区別することもまれである。

Unilocにコメントを求めたが、無応答である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))