EUが大手テック企業の「新型コロナ偽情報対応は不十分」と指摘

欧州連合(EU)は、大手テック企業に対し、各社のプラットフォームにおける偽ワクチン情報の拡散に対する監視の取り組みについて、さらに6カ月間報告するよう要求した。

現地時間6月3日、欧州委員会は「EU全域でのワクチン接種キャンペーンが着実かつペースを上げながら進展する現在、できるだけ多くのワクチン接種を完了するためには今後数カ月が決定的な意味を持つ。この重要な時期に、有害な偽情報によってワクチン接種を忌避する気持ちが助長されないようにするために、監視プログラムの継続が必要である」とするレポートを公表した。

Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、TikTok(ティックトック)、Twitter(ツイッター)の各社は、EUの(法的拘束力のない)「偽情報に関する行動規範」に参加し、毎月報告書を作成しているが、今後は隔月で報告することになる。

欧州委員会は、4月の各社の報告書(最新版)を公表し、大手テック企業が「危険な嘘」を自分たちだけで取り締まることはできないことが示されたと述べ、ネット上の偽情報に対する取り組みについて、各プラットフォームから(自発的に)提供されているデータの質と内容に引き続き不満を表明した。

EUの価値観・透明性バイスプレジデントであるVěra Jourová(ベラ・ヨウロバー)氏は、声明の中で次のように述べる。「これらの報告書は、偽情報を減らすために各プラットフォームが実施している施策を効果的に監視することの重要性を示しています」「このプログラムを延長することにしたのは、危険な嘘がネット上に氾濫し続けていること、そして偽情報に対抗する次世代の規範の作成に有益であることが理由です。私たちは、強固な監視プログラムと、各プラットフォームの取り組みの影響を測定するためのより明確な指標を必要としています。プラットフォーム単独では取り締まることはできません」。

欧州委員会は2021年5月、自主的な規範を強化する計画を発表し、有害な偽情報を排除するために、より多くの企業、特にアドテック企業が参加することを望むと述べた。

この行動規範の取り組みはパンデミックより前、2018年に開始された。大規模な政治関連の偽情報スキャンダルを受けて「フェイクニュース」が民主主義のプロセスや公共の議論に与える影響に対する懸念が高まっていた年だ。今般、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による公衆衛生上の危機によって、危険な偽情報がネットで増幅されるという問題への関心が加速し、議員の間でも重要視されるようになった。

議員たちは、欧州委員会が「共同規制」と呼ぶ自主的なアプローチを継続することを希望していて、オンラインの偽情報に対する地域的な法的規制を確立することは(今のところ)計画していない。共同規制は、(違法ではないものの)潜在的に有害なコンテンツに対するプラットフォームの行動と関与を促すもので、例えばユーザーが問題を報告したり、削除を訴えたりするためのツールの提供を求めるが、プラットフォームが規制を遵守できなかったとしても直接的な法的制裁を受けることはない。

とはいえ、EUデジタルサービス法(DSA)という、プラットフォームへの圧力を高める新たな手段も用意されている。2020年末に提案されたこの法案は、プラットフォームによる違法コンテンツの取り扱いを規定するもので、欧州委員会は「偽情報に関する行動規範」に積極的に関与するプラットフォームは、DSA遵守の監督当局から好意的に見てもらえるだろうと示唆している。

また、EU域内市場担当委員のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は、現地時間6月3日の声明で「行動規範を強化してDSAと組み合わせれば『EUにおける偽情報対策の新たな1ページ』を開くことになる」と述べ、次のように続けた。

「ワクチン接種キャンペーンの重要な時期に、各企業が取り組みに力を入れ、私たちのガイダンスに沿う強化された行動規範への遵守を、できるだけ早く実現することを期待しています」。

規制当局にとって偽情報は依然として厄介なテーマだ。なぜなら、ネット上のコンテンツの価値は非常に主観的なものであり、問題となっているコンテンツがどれほど馬鹿げたものであっても、中央集権的な情報削除の命令は、検閲と見做される危険性があるからだ。

公衆衛生に対する明らかなリスク(反ワクチン接種のメッセージや欠陥のある個人用防護具の販売など)を考えると、新型コロナ関連の偽情報の削除には、確かに議論の余地は少ない。しかし、ここでも欧州委員会は、ワクチンに肯定的なメッセージを発信させたり、権威ある情報源を明らかにさせたりすることで、プラットフォームが行っている言論保護措置を前面に押し出そうとしているように見える。欧州委員会のプレスリリースでは、Facebookはワクチンのプロフィール写真フレームを用意してユーザーにワクチン接種を奨励したとか、Twitterは16か国で開催された世界予防接種週間の期間中にユーザーのホームタイムラインに表示されるプロンプトを導入して、ワクチンに関する会話で500万回のインプレッションを得たことなどが紹介されている。

2021年4月の報告書には、各社が実際に行った削除についても詳しく記載されている。

Facebookは、新型コロナウイルスおよびワクチンの誤情報に関するポリシーに違反したとして、EU域内で4万7000件のコンテンツを削除したと報告したが、欧州委員会は、前月に比べてわずかに減少したと指摘している。

Twitterは、新型コロナの偽情報に関する話題について、4月中に全世界で2779のアカウントに異議申し立てを行い、260のアカウントを停止し、5091のコンテンツを削除したと報告した。

一方、Googleは、AdSenseで1万549のURLに対して措置を講じたと報告しており、欧州委員会はこれを2021年3月(1378件)に比べて「大幅な増加」としている。

この増加は良いニュースなのか?悪いニュースなのか?疑わしい新型コロナ広告の削除数の増加は、Googleによる取り締まりの強化を意味するかもしれないし、Googleの広告ネットワークにおける新型コロナ関連の偽情報問題の大幅な拡大を意味するのかもしれない。

ネット上の偽情報について曖昧な線引きをしようとしている規制当局が今まさに抱える問題は、報告要件が標準化されておらず、プラットフォームのデータへの完全なアクセス権がない状態で、これらの大手テック企業の行動をどのように定量化し、その効果や影響を正しく把握するか、ということにある。

そのためには、各社が内容を選択できる自己申告ではなく、規制が必要なのかもしれない。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

トランプ氏がナイジェリア政府のTwitter禁止を称賛、「他国も追随すべき」

米国時間6月8日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領は声明を発表し、ナイジェリア政府がる同国におけるTwitter(ツイッター)の事業を禁止する決定を支持した。

「自国大統領の利用を禁止したTwitterを禁止したナイジェリア国を祝福します」とトランプ氏が声明で述べた。

前大統領は他の国々に対しても、ナイジェリアにならってTwitterとFacebookを禁止するよう推奨した。

「もっと多くの『国』が、自由で開かれた言論を許さないTwitterとFacebook(フェイスブック)を禁止すべきです。あらゆる声を届けるべきなのです。一方でライバルたちは挙ってこの機会を捉えようとするでしょう。自分自身が悪だったら、果たして善悪を支配できるでしょうか?おそらく私が大統領だったときにそうすべきだったのでしょう。しかしZuckerberg(ザッカーバーグ)は何度も電話をしたりホワイトハウスにディナーにやってきては、どれだけ私が偉大だったかを話していたのです。2024年?」とトランプ氏は話した。

トランプ氏の称賛発言はナイジェリア政府が先週金曜日にTwitterを無期限中止した数日後に起きた。同国政府はTwitterがMuhammadu Buhari(ムハンマド・ブハリ)ナイジェリア大統領のツイートを、同社の虐待行為ポリシーに違反したこと、および国民から複数の削除要求があったことを理由に削除した。彼のツイートは、国の南東地区の分離独立論者を罰すると脅していた。

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ナイジェリア大統領は後に広報官を通じて、Twitter全面禁止は誤情報とフェイクニュースの拡散を防ぐための一時的措置だったと語ったが、新たな命令はそれと相容れない。政府は現地時間6月7日、放送メディアに対し、Twitterアカウントを削除し、Twitterをニュースソースとして使うのを止めるよう命令し、言論の自由を抑圧し、検閲を強制する政府の策略を確実にした。

「上記の命令に従い、放送局は自社のTwitterアカウントを削除し、Twitterをニュースの情報源とすること、および番組宣伝、特に視聴者参加のために使用することを中止するよう勧告する」と声明に書かれている。

トランプ氏はその一方で、1つならず2つの禁止措置を受ける側になっている。2021年1月初め同氏は、米国議会議事堂襲撃を扇動したことでTwitterを永久追放された。Twitterは「さらなる暴力誘因のリスク」への懸念を表明した。

その後トランプ氏はFacebookからも無期限追放された。6月4日、ソーシャルメディアの巨人は、トランプ氏の停止措置を2年以内(計算は1月から)に再検討する決定を下したことを発表した。

「当該期間終了後、当社は公共の安全のリスクが消滅したかどうかを専門家に評価してもらいます。私たちは外部要因、たとえば暴力事象、平和的集会の制限、その他の市民の不安を表す指標を評価します。その結果公共の安全への深刻なリスクが未だに存在すると判断した場合には、制限を一定期間延長し、リスクが消滅するまで再評価を続けます」とFacebookのGlobal Affiars and Communications担当副社長のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏が語った。

最終的に停止が解除されたときには、将来トランプ氏がさらに違反を重ねた際に発動されるであろう強硬な制裁措置が施行され、同氏のページとアカウントの永久削除される可能性もある。

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターがインド政府の要求を受け政府に批判的な4アカウントをブロック

Twitter(ツイッター)は現地時間6月7日、インド政府からの新たな法的要求に応じて同国で4つのアカウントをブロックしたことを明らかにした。

Twitterはハーバード大学のプロジェクトであるLumen Databaseで、週末に政府からあった法的要求を満たすために、ヒッポホップアーティストのL-Fresh the LionやシンガーソングライターのJazzy B(ジャジー・B)など4つのアカウントに対しブロックする措置を取ったと述べた。対象となったアカウントにはインド国内で規制がかかるが、インド国外ではアクセス可能だ(透明性に関する取り組みの一環として、TwitterやGoogleなどの企業は政府や他の組織から受けた要請や命令をLumen Databaseで公開している)。

TechCrunchの分析では、インド政府が2021年初めに国内でブロックするよう命じた他のいくつかのアカウントと同様、今回の4つのアカウントはインド政府の農業改革に抗議し、インド首相Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)氏の7年にわたる統治を批判するツイートを投稿したアカウントもあった。

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Twitterの広報担当は、有効な法的要求を受けると、同社の規則とその国の法律の両方に照らし合わせてレビューするとTechCrunchに述べた。

「コンテンツがTwitterの規則に反した場合、そのコンテンツは削除されます。特定の法域で違法だと認められ、ただTwitterの規則には反していないという場合、インドでのみアクセスできなくなるようにします。すべてのケースにおいて当社はアカウント所有者に直接連絡を取り、当社がアカウントに関する法的命令を受け取ったことを対象者は認識しています」と広報担当は付け加えた。

事前に報道されていなかった今回の新しい法的要求は、Twitterがインド政府の新しいIT規則を遵守しようと取り組んでいる中でのものだ。FacebookやGoogleなどいくつかの同業他社はすでに遵守している

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インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

6月5日にインドの電子情報技術省はTwitterに2021年2月に発表された新規則を遵守するよう「最終通告」を出した。新規則では大手ソーシャルメディア企業にコンプライアンスや判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命してその連絡先を政府と共有することを求めている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっていた。5月、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類した件について調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員への影響を懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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5月下旬にTwitterはインド政府に対し、新規則の遵守期限を最低3カ月延ばすよう要求した。

Jack Dorsey( ジャック・ドーシー)氏が率いるTwitterは2021年、ユーザー数では同社にとって最大のマーケットであるインドでいくつかの厳しい問題に直面した。2021年初めにインド政府の命令に簡潔に従った後、同社はインド政府の政策やモディ氏に批判的なツイートを投稿したアカウントを復活させたとして怒りを買った。

そしてインド政府とTwitterは4月、インド政府がTwitterとFacebookに政府の新型コロナウイルスパンデミック対応に批判的な投稿を取り締まるよう命令した際に再び対立した。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナイジェリアが大統領の投稿削除を受けツイッターを無期限停止に

ナイジェリア政府は現地時間6月4日、情報文化省を通じて、ソーシャルメディアプラットフォームTwitter(ツイッター)の国内での活動を無期限に停止すると発表した。

Lai Mohammed(ライ・モハメド)情報文化相が発表し、同省のメディア補佐官Segun Adeyemi(セグン・アデヤミ)氏によって承認されたこの声明により、国内の通信キャリアがナイジェリアの人々のTwitter利用を妨げる可能性がある。

同省が発表した声明は以下の通り。

連邦政府は、マイクロブログおよびソーシャルネットワーキングサービスであるTwitterのナイジェリアにおける運営を無期限に停止しました。ライ・モハメド情報文化相は、金曜日にアブジャで発表した声明の中で、ナイジェリアにおける企業の存続を脅かすような活動にこのプラットフォームが継続的に利用されていることを理由に、この停止を発表しました。

同大臣によると、連邦政府は国家放送委員会(NBC、National Broadcasting Commission)に対し、ナイジェリアにおけるすべてのOTTおよびソーシャルメディア事業のライセンス取得プロセスを直ちに開始するよう指示しました。

4日の発表は、この1週間に起こった出来事が積み重なった結果だ。Twitterは6月3日、Muhammadu Buhari(ムハマドゥ・ブハリ)大統領が、同国南東部のIPOB(Indigenous People of Biafra、ビアフラ先住民族)と呼ばれる分離独立派集団を政府施設への攻撃の原因とした後、報復を示唆したツイートと動画を削除した。その後、同氏は1960年代のナイジェリア内戦の出来事に言及し、多くのナイジェリア人の怒りを買ったようだ。

1980年代に同国の国家元首を務め、軍で分離独立派と戦った経験を持つブハリ氏は、同国南東部の若いナイジェリア人たちは若すぎて、戦争中に起きた恐ろしい出来事を覚えていないと述べた。同氏によると、現在の分離独立派の活動は戦争に向かっている可能性が高いため、事前に武力で阻止することが先を見越した良策だという。

「30カ月間現場で戦争を経験した我々(のような古参者)は、彼らが理解できる言葉で接します」と同氏は述べていた。

Twitterは、同氏のツイートが不適切な行為に関するポリシーに違反しており、ナイジェリアのユーザーから何度も削除を求められたため、ツイートを削除することを選択した。また、Twitterは同大統領のアカウントを停止し、12時間の間「読み取り専用モード」にした。

Twitterの決定を受けてモハメド情報相は、この決定は偏っているとソーシャルメディアの巨人を非難し、大統領には国に影響を与える出来事について自分の考えを述べる権利があると述べた。彼はまた、同国におけるTwitterの意図にも疑念を呈した。「Twitterには独自のルールがあるかもしれませんが、それは世界共通のルールではありません。世界のどこかで大統領がある状況について非常に悪いと感じ、懸念しているのであれば、そのような意見を表明する自由があります。ナイジェリアにおけるTwitterの使命は、非常に疑わしいものです」。

報復行為としてナイジェリア政府は、同国におけるTwitterの運営停止措置を進めた。Twitterは同国にオフィスを持っていないが、この発表はまださらに進展する可能性がある。ナイジェリアの現政権は、インターネットや特定ウェブサイト、ソーシャルメディアへのアクセスを制限するための策略を講じることで知られている。2020年10月にナイジェリアで起きた「EndSARS(SARSを終わらせろ)」抗議活動の際も、そのような手段がとられた。アフリカの他の国々でも何らかの形でインターネットが制限されたり禁止された過去の出来事を考えると、これはナイジェリア政府がこうした戦術をさらに強化し、通信事業者を使って言論の自由を抑圧しようとする明らかな策略だ。

アフリカ初のオフィスをガーナに開設したばかりのTwitterは、TechCrunchへのメールで、「ナイジェリア政府が発表した、ナイジェリアでのTwitterの業務を停止するという発表は、非常に憂慮すべき事態です。現在調査を行っており、情報が入れば追加で提供します」と述べた。

その後、同マイクロブログプラットフォームは公共政策アカウントを通じて、次のようにツイートした。

ナイジェリアでTwitterがブロックされていることに深い懸念を抱いています。自由な#OpenInternetへのアクセスは、現代社会において不可欠な人権です。

ナイジェリアでTwitterを利用して世界とつながりコミュニケーションをとっているすべての人々のために、アクセスの回復に努めます。#KeepitOn

2021年4月にTwitterは、アフリカでの本拠地をナイジェリアにすると思われていたところ、ガーナを選んだ。その理由として、ガーナが言論の自由、オンラインの自由、オープンインターネットを支持していることを挙げていたが、今回の出来事を見る限り、これは賢明な判断だったといえるだろう。

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターが一部ユーザーのアプリデザインを変更し「スペース」を中央のタブに、音声チャットルームに注力

Twitter(ツイッター)はアプリをアップデートして、音声チャットルームのTwitter Spaces(スペース)をユーザー体験の中心に据えようとしている。米国時間6月3日、Twitterは一部ユーザーのモバイルアプリで、Twitter Spacesのタブをメインのナビゲーションバーにレイアウトした(最初はiOSから)。これによりTwitter Spacesはバーの中央に位置することになり、検索の拡大鏡と通知のベルの間に置かれる。Spacesが他のタブを追いやってしまうことはないため、バーのアイコンの数は4つから5つへと増える。

まだこのアップデートを確認できないユーザーもおり、最初はSpacesのベータに協力したユーザーの内約500名に対して、この通称「Spaces discovery tab(Spacesディスカバータブ)」が6月3日から展開される。

Twitterによると、このタブはSpacesがユーザーがフォローしている人たちによって、現在ホストされていることを示すが、タイムライン上部のFleetラインのようには表示されない。むしろそのディスカバータブはSpacesをもっとビジュアル的に表示し、今後のSpacesについてツイートしたときに出るプロモーションカードに似たものになる。

画像クレジット:Twitter

TechCrunchへの説明でTwitterは、Spacesがどれだけ楽しくても、専用のスペースがないためそのライブのイベントを見つけたり追跡することが難しい。新しいタブは、それを変えるものだという。

タブの中では、現在アクティブなSpacesが、その名前やホスト、現在の参加者なども含めもっと詳しくわかる。またこのタブの中でユーザーは、スケジュールされているSpacesのリマインダーを管理し、それらが始まるときに通知が届いたり、Twitterにフィードバックを送ってもっと参加したいSpacesを教えたりできる。

アプリ研究者であるJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏がTwitterのアプリ改訂プランを知り、Spacesがナビゲーションバーに来ることがわかったのは、2021年5月のことだ。

現状ではフォロワー数が600名以上のユーザーがSpacesの主催を認められているが、今回タブがローンチしてもそれは変わらない。しかしSpacesに関するTwitterのプランはもっと大きく、今度のディスカバー機能で見つけやすくなったスケジュール上のSpacesだけでなく、チケットがあるイベントや、共同主催イベント、アクセシビリティの改善なども予定されている。

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Clubhouseが全世界でAndroidアプリを提供、日本では5月18日から

Spacesをナビゲーションバーに直接置けば、Twitterの音声チャットルームは強調されることになり、これまでのようにTwitter版Clubhouseに関心のないユーザーに無視されることも少なくなる。現在、Clubhouseもアクセスが拡大している。Androidでデビューした後、Clubhouseはすでに200万のAndroidユーザーが参加したと発表した。

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一方Twitterは、これまでSpacesを試用したユーザーの数を、ホストについてもエンドユーザーについても公表していない。

今回のローンチと並行して、TwitterはHome Timeline(タイムライン)からの誰かのプロフィール画像のまわりに紫のリングを表示するといったこれまでテストしたSpacesの他の機能も展開するだろう。

現在、プロフィール写真はブルーのリングで強調され、タップするとそのユーザーのFleets(フリート)へ飛ぶ。しかし紫のリングでは、そのユーザーが現在、Spacesでアクティブかどうかがわかる。さらにそのユーザーのプロフィールをタップすれば、そこに参加できる。これにより、いつものように自分のタイムラインをただスクロールしているときでも、Spacesを見つけやすくなる。

Twitterによると、この新しいSpacesのタブは、ベータテストに参加した人たちでテストした後、より多くのユーザーで展開されえることになっているという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterTwitter Spaces音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ツイッターがユーザーの手を借りた新ファクトチェック機能「バードウォッチ」の試験運用開始

Twitter(ツイッター)は、熱心なツイート発信者のネットワークを利用して誤解を招くツイートにメモを追加する新プロダクト「Birdwatch(バードウォッチ)」で、誤情報の問題をクラウドソーシングで解決しようとしている。米国時間6月2日、TwitterはBirdwatchに関する注記をiOS、Android、デスクトップのパイロット版参加者に公開すると発表した。

同社がこのプログラムのパイロット版を立ち上げたのは2021年1月で、そのときは誤報にコンテキストを付加する1つの方法である、と説明していた。

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当時、プロダクト担当の副社長であるKeith Coleman(キース・コールマン)氏は、ブログで「このアプローチは、誤解を招くような情報が広まった際、迅速に対応し人々が信頼し、価値を見出すような文脈を加えることができる可能性があると考えています。最終的には世界中のTwitterユーザーのために、広く多様な投稿者の合意が得られた場合、メモを直接ツイートに表示することを目指しています」と述べている。

Birdwatchの初期のパイロット参加者に、その時が来たようだ。

お待たせしました。エキサイティングなニュースです。現在、Android、iOS、https://Twitter.comでTwitterを閲覧していると、Birdwatchのメモが付いたTweetが表示されることがあります。メモは、ツイート上のカードに表示されます。現在のところ、この機能はパイロット参加者にのみ表示されています。

 

Twitterによると、Birdwatchのメモがツイートに追加されると、ユーザーはそのフィードバックが役に立ったかどうかを評価する機会が与えられる。参考にならないと判断された場合、Birdwatchカード自体は消えてしまうが、参考になると判断されたメモは、ツイート内に直接ポップアップ表示される。

現在のソーシャルメディアの枠組みの中で、どのようなBirdwatchであれば有効か、そもそも有効なのかという疑問は山積みだった。コミュニティによるフィードバックを利用することは、Facebookのような独立したファクトチェック組織を用いる中央集権的な方法とは異なるものだ。Twitterは明らかに、取り組みをできる限り分散化して、決定権をBirdwatchのコントリビューターたちの手にゆだねたいが、個々のツイート発信者のオーディエンスが事実検証努力の有益性と可視性を決めるという現在の方法では、かなり面倒な解決方法になることもあるだろう。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Twitterが認証バッジのリクエスト受付を再開、アプリやウェブ版から申請可能

Twitterが認証バッジのリクエスト受付を再開、アプリやウェブ版から申請可能

Twitter

Twitter が認証リクエストの受付を再開しました。Twitter アプリやウェブ版のアカウント設定・認証リクエストから申請できます。

Twitter の認証は、政府機関や企業・組織のブランドや著名人らのアカウントに対して、発言者が本物であるかを示すもの。発言内容がTwitter社のお墨付きというわけではなく、なりすましではない本人または公式であることを確認済みという意味です。

認証済みアカウントは名前の後ろに青いチェックマーク☑のなるとのような認証バッジがつくほか、認証ユーザーのみの機能が使えるようになったり、認証ユーザーだけが対象のフィルタに掛かるようになるといった違いがあります。

以前はTwitter側がいつの間にか認証するものでしたが、2017年にはユーザーからの申請に基づく認証手続きを開始。しかしSNS上でのヘイトスピーチや嫌がらせ、脅迫や暴力の煽動といった問題に注目が集まるにつれ、そうした発言を繰り返すアカウントに対しても「認証済」を与えて特別扱いするのはいかがなものか、Twitterが権威を与えているのではないかとの批判があり、認証プロセス自体の見直しを進めていました。

Twitter、批判受け認証バッジの仕組みを改定。再審査でルール違反者からの剥奪を開始 (2017年)

2021年にようやく受付を再開したものの、申請の殺到により一時停止。今度はいつになることかと思えば、一週間足らずで再び申請できるようになりました。

Twitter、認証バッジ申請プログラムを再開。まず政府関係者やジャーナリスト等から (2021年5月)

Twitter認証バッジは申請殺到で受付を一旦終了、「まもなく」再開予定 (2021年5月)

誰でも申請はできるものの、対象としては信頼性(発言内容ではなく当人かどうか)・著名性を満たし、かつアカウントがアクティブである必要があります。

認証の基準は、俳優やパフォーマーであればIMDBで5作品以上にクレジットされている、ジャーナリストであれば報道機関の要件を満たす組織に所属しているまたは署名記事を載せている等々、以前よりは分かりやすくなりました。

Twitterだけで活動しているインフルエンサーや有識者など、企業公式サイトからのリンクや作品クレジット等がない場合でも、フォロワー数やTwitter内で言及される会話量、注目度、Wikipedia記事の著名性基準をクリアしている等で認証される場合があります。

リクエストが通らなかった場合の再挑戦は30日に一回。ただし却下された場合でもTwitter側から個別の理由や基準は示されないため、認証ポリシーを自力で確認するしかありません。

また著名性の基準を満たし本人確認ができても、過去12か月のあいだにヘイトスピーチ禁止などTwitterポリシーへの違反で凍結などの処分を受けていた場合は自動で却下。凍結されても異議申し立てが通って復活していれば大丈夫です。

Twitterの認証バッジの要件 – 青いチェックマークの取得方法

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
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ツイッターがストーリーズ機能「フリート」に縦型全画面広告を試験導入、米国でパイロットテスト開始

ストーリーズ機能のTwitter(ツイッター)版である「Fleets(フリート)」に広告が登場する。同社は米国時間6月1日、米国でFleets広告のパイロットテストを開始することを発表した。これにより、Twitterに初めてフルスクリーンの縦型広告が導入され、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)、TikTok(ティックトック)などのソーシャルメディアプラットフォームで提供されている縦長の広告に対抗できるようになる。

新しいFleet広告は、ユーザーがフォローしている人々のFleetsの間に表示され、9:16フォーマットの画像と動画の両方に対応している。動画広告は最大30秒のコンテンツをサポートし、ブランドは広告内に「スワイプアップ」するCTA(コールトゥアクション)を入れることもできる。

動画の場合、Instagram(最大120秒)やTikTok(最大60秒)よりも短いが、広告は短い方が良いとするベストプラクティス沿ったものでもある。

TwitterはスワイプしたときにFleet広告が表示される頻度については言及しておらず、ユーザーのエンゲージメントを知るために、この分野で「イノベート、テスト、ニーズへの適応を続けていく」とだけ述べている。

一方、広告主サイドでは、インプレッション数、プロフィールアクセス数、クリック数、ウェブサイトへの訪問数など、Fleet広告に関するTwitterの標準的な広告指標を受け取ることができる。また、動画広告については、動画再生回数、6秒動画再生回数、動画開始回数、完全再生回数、四分位レポートなどの指標が表示される。

画像クレジット:Twitter

このパイロットプログラムは、テック系、リテール系、飲食系、CPG系などを含むわずか10社の広告主を対象に米国で開始される。

Twitterはパイロットプログラムによって、この種の広告のTwitterでのパフォーマンスはどの程度か把握し、今後のFleet広告の最適化方法だけでなく、将来的にフルスクリーン広告を開始する可能性のある他のエリアにも役立てたいとしている。また、テストを続ける中で、フルスクリーン広告に対する人々の印象やエンゲージメントを知りたいと考えているという。

Twitterは2020年春に、ユーザーが一時的なコンテンツを投稿できるストーリーズのような製品体験を提供する方法として、Fleetsの実験を始めた。当時同社は、Fleetsが24時間後に消えることで、直接投稿することにともなうパフォーマンスのプレッシャーを軽減し、躊躇しているユーザーがコンテンツを同プラットフォームにより共有しやすくなることを期待していた。またFleetsはリツイートや引用ツイートのようにTwitter上に広まることもなく、検索やモーメントにも表示されない。

画像クレジット:Twitter

この機能は、2020年11月に全世界のユーザーに展開された。当初Fleetsは、ソーシャルアプリがどれも同じように見えてきたことの一例だと批判された。とはいえ、Fleetsは今やTwitterの中核的存在となっている。

今日では、人々は自分が投稿した他のツイートを紹介したり、個人的な近況や写真、コメントを共有するためにFleetsを利用している。しかし、SnapchatやInstagramのような他のプラットフォームのストーリーズとは異なり、Fleetsはクリエイターのツールという点では、まだかなり簡素で物足りない。背景の色を変えたりステッカーやテキストを追加することはできるが、それだけだ。

Twitterは現在Fleetsを採用しているアクティブユーザーの数や割合については言及を避けたが、Fleetsを投稿しているユーザーの73%が、他のユーザーが共有しているコンテンツも閲覧していると述べている。同社は、Fleetsへの投資を継続しながら、今後も新たなアップデートや機能を展開していく予定だという。

Fleet広告は、米国で本日6月1日よりiOSとAndroidの両方で提供開始される。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

たしかに暗号資産には多くの大量の通貨が必要だ

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準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

こんにちは、米国では5月最終月曜日はメモリアルデーという祝日だ。今回のExchangeはメモリアルデーを記念して、新しい試みとして簡潔にまとめてみよう。

暗号資産(仮想通貨)の話は聞き飽きたという読者には、悪いお知らせだ。彼らは消えて行かないどころか、彼らの進撃のために戦場を整える役割を果たした金融砲が、さらに多くの金融弾を装填しているのだ。

少なくとも、Eric Newcomer(エリック・ニューカマー)氏は「a16z Crypto Fund Balloons to $2 Billion」(a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の暗号資産ファンドが20億ドル(約2178億6000万円)に膨張)と題した先週の投稿で、そのように書いている。

ここにはいくつかのポイントがある。第1に!20億ドル(約2178億6000万円)規模の暗号資産ファンドに出資できるだけのLP(リミテッドパートナー)需要があること。第2に!20億ドルを投じる価値のある、ホットな暗号資産のアイデアが十分に存在すること。

前者の存在は確信できるが、後者はちょっと考えてしまう。ブロックチェーンの分野に優れた企業が存在しないわけではない。Coinbase(コインベース)の第1四半期の収益を見れば、暗号資産を使ってお金を稼ぐことは可能だ。しかし、これまでに最も成功を収めている企業は、従来の銀行の世界と暗号資産の世界を融合させた企業たちであり、後者に完全に属している企業ではないようだ。

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しかし、そのようなアイデアが次々に掘り起こされていく中で、より実験的な暗号資産のアイデアを追いかける資金が出てくることは予想できる。先のDaily Crunchでも述べたように、こうした市場にはすでに多くの資金が投入されている。

ノン・ファンジブル・トークン(NFT)という言葉を聞いたことがあるだろう。すでにNBA TopShot(NBAトップショット)の誇大広告をなんとかしのげたとしても、さらに気を引き締めて欲しい。NFTの世界ではさらに多くの企業が構築を進めているのだ。その中には、NFTにAR(拡張現実)を導入し、Coinbaseから新たな資金を調達したばかりのAnima(アニマ)や、NFTを実生活に取り込むために600万ドル(約6億6000万円)を調達したばかりのInfinite Objects(インフィニット・オブジェクツ)などがある。

ここが、暗号資産へのベンチャー投資、そしてあの巨大なa16zファンドが興味を持つ点だ。

確かに、暗号資産の取引でも儲けることができる。しかし、さらに未来の暗号資産経済はどうなるのだろうか?彼らは現実世界が理解できる実質的な収益を生み出し、公開企業となることができるのだろうか?(いや、そもそも彼らは公開したいと思っているのだろうか?)。

他人が、失敗するかもしれないアイデアに他人のお金を賭けるのを眺めているのは楽しいものだ。表なら彼らの負け、裏なら私たちの勝ちだ。悪くない!

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Twitterのサブスクリプション(とメディア?)の盛り上がり

Twitter(ツイッター)のサブスクリプション製品「Blue」(ブルー)が、徐々に市場に迫っている。それがどのようなものだろうと使うつもりだ。

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しかし、私の頭から離れないのは、Twitterがクリエイターにとっての涅槃(理想の地)のようなものを生み出すのに絶好の位置にいるということだ。なにしろ作家やジャーナリスト、アーティストの多くがすでに集まっているのがTwitterという場所なのだ。すでにファンがいる場所だ。私たちのような変人たちがプラットフォームに費やす時間を、活用できるようにしない理由はない。

これがどのような規模になるかは想像できるだろう。TwitterがスタートアップのRevue(レベニュー)とScroll(スクロール)を買収したことで、Blueのサブスクライバーの収益を、プラットフォーム上のライターたちに分配するニュースレタープラットフォームを構築できるようになった。あるいは、先日友人が私に提案したように、TwitterがMedium(メディウム)を買収することも考えられる。Mediumは膨大なサブスクライバーを抱えており、TwitterはそれをBlueに統合することで、作家やその他のクリエイターたちに一種の追加SNSネットワークを提供することができる。だよね?

もし私が数十億ドル(数千億円)の資金と数千人のエンジニアを自由にできる立場で、株主たちから成長しろと命令されたら、私は猪突猛進で思い切ったことをやるだろう。Twitterが何を考え出すかが見ものだが、それが小手先の計画ではないことを期待しよう。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange暗号資産NFTTwitterサブスクリプション

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

フェイスブックやグーグルはインドの新IT規則を遵守、法令順守担当者を任命

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Telegram(テレグラム)、LinkedIn(リンクドイン)、そしてTiger Globalが出資しているインドのスタートアップShareChat(シェアチャット)やKoo(クー)はいずれも同国の新しいIT規則を全面的あるいは部分的に受け入れ、順守している。この件に詳しい情報筋、そしてTechCrunchが入手した政府のメモで明らかになった。

2021年2月に発表されたインドの新しいIT規則では、懸念を解決すべく企業に法令順守、判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命して連絡先を共有することを求めている。

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上記の企業はこの要件を満たしたと政府のメモにはあり、情報筋もそのように述べた。企業は今週までに新ルールを順守するよう求められていた。

Twitter(ツイッター)はまだこのルールに従っていない。「Twitterは担当者ならびに苦情処理責任者としてインドの法律事務所で働いている弁護士の詳細を昨夜遅くに連絡してきた」とインド政府のメモにはあり、ルールではそうした担当者は直接雇用している従業員でなければならない、とも書かれている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっている。今週、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類したことについて調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員に関する懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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WhatsApp(ワッツアップ)は新規則に則っているが、トレーサビリティについての要件は満たしていないと情報筋はTechCrunchに語った。WhatsAppは今週初め、メッセージの発信者を追跡する方法の確保を求めている要件について、インド政府を相手取って訴訟を起こしている。このルールを満たすようにするにはあらゆるユーザーのプライバシーを危険にさらすことになるとWhatsAppは指摘した。

iMessageを展開しているApple(アップル)、そしてSignal(シグナル)がこのルールに従っているか、現時点では不明だ。

TechCrunchが真っ先に報じたように、インドの電子情報技術省は現地時間5月26日、ソーシャルメディア企業にコンプライアンス状況をアップデートするよう求めた

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FacebookやGoogleを含む一部のテック大企業にとってインドは鍵を握る海外マーケットだ。前述の2社はユーザー数においてインドを最大のマーケットだと認識している。隣国パキスタンは2020年、インドと同様のルールを提案したが、テック大手が結束してパキスタンから撤退すると脅したのち、パキスタンはルールを撤回することとなった。

カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターに月額330円サブスク「Twitter Blue」、間もなく登場か

文字数が多いTwitterユーザーに朗報だ。月額2.99ドル(約330円)のサブスク、Twitter Blueが間もなく登場しそうだ。

2週間前に研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が、Twitterが新しいサービスを準備中だと最初にレポートしていた。しかし米国時間5月27日、TwitterのiOS App Storeリスティングでアプリ内購入としてTwitter Blueが加わった。これは非公式ソースである先の発見を裏づけるものだ。ユーザーはアプリのアップデートをダウンロードした後でもまだTwitter Blueを購読できないが、ローンチは間もなくだと思わせるサービス詳細をウォン氏が「掘り起こし」た。

ウォン氏が2021年3月に見つけ出したUndoボタンに加えて、Twitter Blueはリーダーモードを含む。これはツイートのスレッドを「読みやすいテキスト」に変えるものだ。Twitterは2021年、アプリでの読むエクスペリエンスを改善しようと、ScrollRevueを買収した。なので、このリーダーモードの追加は納得だ。また、ユーザーはTwitterアプリのアイコンの色、そしてタイムラインのカラーテーマを変えることができる。この機能はすでにウェブでは提供されている。Twitter Blue購読者はツイートを整頓してCollectionsに収納することもできる。この機能はBookmarksのアップデートバージョンのようにみえるが、ツイートをフォルダーに分類できる能力が加わっている。

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現在Twitterの売上高の85%は広告からだ。ユーザー成長が鈍化するなか、同社はプラットフォームで収益を上げる新たな方法で「研究と実験」を行う計画だと2021年2月にBloombergに述べた。しかし過去数カ月にわたりTwitterは、2018年に140字というツイート文字数制限を倍増させて以来最大となる変更の一部を垣間見せてきた。そこにはSuper FollowsTip JarTwitter Spacesなどが含まれる。

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画像クレジット:Jane Manchun Wong

今週開かれたJ.P. Morganのグローバルテクノロジー・メディア・コミュニケーション会議で、TwitterのCFOであるNed Segal(ネッド・シーガル)氏は、同社がTwitter BlueとSuper Followsを異なる2つの種のサブスクだとみていると指摘した。Google PlayではTwitterアプリのページにアプリ内プロダクトの価格は月4.99ドル(約550円)とある。これは今後導入されるSuper Followsを指しているのかもしれない。シーガル氏はまた、Twitterが数カ月以内にサービスについてさらに情報を提供し「最終的には世界中の人に提供する」とも述べた。

最後に、不思議に思っている人のためにいうと、今回は「ツイートを編集する」ボタンの計画への言及はない。

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タグ:TwitterSNSサブスクリプション

画像クレジットImage Credits:Jane Manchun Wong

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターがインド政府の威嚇行為に懸念を表明、新ITルール遵守期限の3カ月延長を要求

Twitter(ツイッター)は、同社インド支社への警察による訪問を、一種の威嚇であると指摘し、インド政府が制定した新ITルールの要求に懸念を表明した。

現地時間5月24日にインド警察の特別取締隊が同社オフィスに抜き打ち操作を行って以来初めての発言でTwitterは「インド国内の当社従業員に関する最近の出来事、および当社がサービスを提供している人たちの言論の自由に対する潜在的脅威を懸念していると語った。

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さらに同社は「当社の世界共通の利用規約の執行に対する警察による威嚇戦術の利用、およびインド政府の新ITルールの重要項目に関して懸念を示している」インド国内および世界中の数多くの組織に同調する、と述べた。

Twitterの広報担当者は次のように付け加えた。「私たちは、自由で開かれた公開の場の会話を禁止するこれらの規制項目の変更を要求します。今後もインド政府と建設的話し合いを続けるつもりであり、協力した取り組みが不可欠だと信じています。国民の利益を守ることは、公選された議員、業界、および市民社会の共同責任です」。

米国のテック巨人Twitter、Facebook(フェイスブック)とインド政府の間の緊張は、ここ数カ月高まり続けている。Twitterは、インド政府の改革とNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相を批判したアカウントのブロックを拒否した後、政治家たちから非難を浴びた。

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インドは米国テック企業にとって最大市場の1つであり、この10年間に何十億ドル(何千億円)という資金を注ぎ込んで、より多くの人たちをウェブとつないできた。インド政府の推計によると、Twitterはインドに1億7500万人のユーザーを有し、WhatsApp(ワッツアップ)には5億3000万人以上のユーザーがいる。

5月26日にWhatsAppが、デリー市の法廷で新しいITルールについてインド政府を訴えて以来、緊張はいっそう高まった。同社は、新ルールはユーザーのプライバシーを侵害し、インド政府に大量監視を実施する力を与えると指摘した。

インド政府は新ITルールを2月に発表し、企業が遵守するまでに3カ月間の猶予を与えた。今週その期限が切れ、TechCrunchが最初に報じたように、電子情報技術省は26日にソーシャルメディア企業に対して遵守状況を報告するよう依頼した

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Twitterは27日、新ITルールが要求しているコンプライアンス責任者のプラットフォーム上のコンテンツに対する刑事責任、事前の監視、およびユーザー情報の要求に関する無制限の権利は、危険な過剰範囲拡大であり、オープンで民主的な原則と相容れない、と発言した。

さらに同社はインド政府に対し、新ITルール遵守期限の最低3カ月間の延長、および公開協議プロセスの標準運用手続きの公表を要求した。

Twitterは、最近インド政府から別の不遵守通知を受け、通知に特定されていたコンテンツの一部を公開停止したと語った。特定されたコンテンツは、2021年2月のブロック命令に書かれていたものだとTwitterは言った。

最近同社は、不遵守通知に従ってコンテンツを非公開にせざるを得ない状況であると語った。従わない場合、Twitter従業員に多大なリスクがかかる刑事罰が課される、と同社は言った。

5月27日、Google CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、同社は新ITルールの遵守を誓約していると語った。「今は始まったばかりで、当社の現地チームは非常に忙しい。ご存知の通り私たちは現地法を守っており、同じ枠組みに沿ったアプローチをとっていきます」とピチャイ氏はいう。

「私たちは情報の重要性を全員に説明し、情報の自由な流通を推進していますが、民主主義国家の立法プロセスを尊重したいと考えています。ルールの遵守を誓約します」と彼は話し、同社が応じた要求はすべて、透明性レポートで報告することを付け加えた。

Twitterの声明に対するインド政府の反応。

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タグ:TwitterインドFacebookGoogleSNS

画像クレジット:Smith Collection / Gado / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターがグローバルで展開予定の有料「プレミアム」サービスを予告

あなたはアップグレードされたTwitterにお金を払うだろうか?これは、Twitterが有料利用者限定の拡張機能を提供する新しいサブスクリプションサービスを公開するときに答えが明らかになる質問だ。Twitterが以前に発表した、個々のクリエイターの独占コンテンツにアクセスできる「スーパーフォロー」のサブスクリプションプランとは別のもので、新しいサブスクリプションは頻繁にツイートするなど熱心に利用しているパワーユーザーにTwitterをもっと活用するために支払いをしたいと思わせるようなサービスだ。

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Twitterは今後登場するサブスクリプションプランについてすでにざっくりとほのめかしている。2021年2月にはBloombergに対し、2021年以降に広告以外の売上を多角化する手段を「研究し実験する」だろうと述べている。広告はTwitterの売上の85%を占めているが、ユーザー数はしばしば微増、あるいは横ばいになっている。このため同社は既存のユーザーから稼ぐ新しい手段を検討することになった。同社はBloombergに対し、この計画には企業やユーザーが「独自の機能」を利用できるようになる「サブスクリプション」などのアプローチが「含まれる可能性」があると語った。

2021年2月に開催されたTwitterアナリストデイでも、同社は「サブスクリプションの実験」をする予定だと語り、サブスクリプション製品への関心を再び示した。同社のIRアカウントは2021年3月に「サブスクリプション製品を公開してテスト」するだろうとツイートした

しかし今のところ、Twitterが詳しく説明しているサブスクリプション製品はアナリストデイで発表されたスーパーフォローだけだ。その他のサブスクリプションのテストがどのようなものになるかは具体的に説明されていないし「2021年中に」テストを開始するという以外はいつサブスクリプションが公開されるかも一切明らかにしていない。

Twitterのこの取り組みに関して公式の情報は得られていない。

一方、アプリ研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏は2021年5月中旬に、Twitterのプレミアムサブスクリプションの存在に加えてその名前と価格もスクープした。同氏が発見したところによると、今後登場するサブスクリプションプランは現在「Twitter Blue(ツイッターブルー)」と呼ばれていて、費用は月額2.99ドル(約320円)、ブックマークコレクションや、TwitterがCNETに対してテストしていることを以前に認めていたツイートの取り消しなどの新機能を利用できるという。

ただし、テックニュースサイトのThe VergeがTwitterブルーについて問い合わせたが、Twitterはコメントを拒否した。

米国時間5月25日、JPモルガンのグローバルテクノロジー / メディア / コミュニケーションカンファレンスで、Twitterはもう少し詳しい話をした。

以前のように「人々やあらゆる規模の企業が独自の機能を利用できる」(よくある商売用語!)ような「実験」やテストについて漠然とほのめかすのではなく、TwitterのNed Segal(ネッド・ シーガル)CEOは投資家に対し、同社の新しい「プレミアムサービス」はTwitterのサービスを利用している人々を対象としたもので「人々はこのサービスにお金を払う」と述べた。

シーガル氏は、このプレミアムサービスはTwitterが取り組んでいる2種類のサブスクリプションの1つで、もう1つはスーパーフォローだと語った。

プレミアムサービスは、以前にTwitterが検討していたプランより「実験」的ではない模様だ。以前の話では、Twitterのプレミアムサブスクリプションに需要があるかどうかを研究する何らかのプロジェクトを始めたように見えた。同社の過去の説明では、どの程度真剣な取り組みなのかがわからなかった。

シーガル氏は、今後数カ月のうちにTwitterのプレミアムサービスについて詳細を話すとし、同社はさらに詳しい調査のためにサービスをテストするが、その後「最終的に世界中のユーザーにこの機能を公開する」と述べた。

これは「実験」ではない。ロードマップだ。

心配している人のためにお伝えすると、同社の中核である無料の製品に代わるもののではないとシーガル氏は明らかにした。プレミアム機能は「誰もがずっと使い続けられるサービスの無料版を中心として改良を続けるという(Twitterの)考え方の上で」提供される。

Twitterはこの新しいサービスをそれほど調整する必要はないだろう。2020年のアンケートなど、ユーザーはどんな機能に最も興味を示すかに関する事前の研究をすでに十分実施しているからだ。当然のことながら、ツイートを取り消すオプションは「編集」ボタンの登場と並んでユーザーが最も望んでいる機能だった。

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これまでに仮説やリーク、曖昧な確認はあったものの、Twitterは我々が知らないことを何も語ってこなかった。今後登場する製品が世界中のユーザーにとってどんなものになるかがある程度明確にされたのは良いことだ。

シーガル氏は「我々は自社の利益のために、そしてサービスを使う人々の利益のためにも、長く続くビジネスをしていきたいと思っています」と述べた。

残る問題は、Twitterユーザーが本当にサブスクリプションにお金を払うかどうかということだ。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

インド政府が大手ソーシャルメディアに新ルール遵守状況の報告を要求

インド政府はソーシャルメディア企業に対し、新しいITルールに従っているかどうかを「早急に」「できれば今日中に」報告するよう求めている。しかし、現在この新たな規則に対してWhatsApp(ワッツアップ)が異議を唱えている

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現地時間5月26日に「主要ソーシャルメディア仲介者」(インド政府が、インド国内に500万人以上の登録ユーザーをもつソーシャルメディアをこう定義している)宛に発信されたレターで電子情報技術省は、新ITルールの対象となるアプリ、ウェブサイト、あるいはサービスの名称および遵守状況を報告するよう企業に求めた。

TechCrunchが入手したレターによると、政府はさらに、規則に沿って各社が任命したインド国内の最高コンプライアンス責任者、ユーザー対応責任者、および常駐苦情処理責任者の氏名と現地オフィスの所在地も要求している。2021年2月に公表された新ルールは、問題に迅速に対応するためにインド国内に何人かの責任者を配置することを企業に義務付けている。

レターは、インド政府がソーシャルメディア企業に対して、5月26日の新ルール遵守期限の延長を認めるつもりがないことも示唆している。「SSMI(主要ソーシャルメディア提供者)に要求されている報告義務は、SSMIに与えられた3カ月の追加期間が終了する本日をもって発効する」と書かれている。インド政府はこの新ルールを公開した直後に、3カ月以内に遵守するよう対象企業に通知している。

「自社がSSMIに該当しないと考えられる場合は、その理由を貴社が提供する各サービスの登録ユーザー数とともに提出されたい」。「政府は、この規則およびIT法で許されている範囲で、追加情報を要求する権利を有している」とレターは続く。

5月26日、WhatsAppはインド政府を訴え、当局が人々のプライベートなメッセージを「追跡可能」にし大規模監視を実施することを許すこの世界第2のインターネット市場の新ルールに異議を申し立てた。

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この3カ月間、米国テクノロジー巨人とインド政府との間で緊張が高まっている。2021年2月、Twitter(ツイッター)はインド政府とナレンドラ・モディ首相を批判したアカウントのブロックを拒否した。

2021年4月、インド政府はFacebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、およびTwitterに対し、モディ首相の新型コロナウイルスパンデミック対応を批判する投稿を削除するよう命令した。先週には、Twitterによる同国政治家のツイートに対する「操作メディア」判定に異議を唱えた。そして今週、インド警察は複数のTwitterインド支社を訪れ、政治家のツイートを誤解を招くと分類した根拠について情報を求めた。

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「Facebook、Twitter、Instagram、WhatsApp、およびGoogleのような大型テック企業は、しばしばひどいポリシーを作り数百万のインド国民に害を与える決断を下しています。我々インターネット自由財団(IFF)全員は、他の公共機関とともに、問題解決を助けるユーザーの権利を重視した規則を一貫して支持します、とニューデリー拠点のデジタル権利団体であるIFFが声明で語った

「この仲介者規則は、こうした未解決の問題を解決するものではなく、手続き的、実質的に重要な法的欠陥に悩まされ、最終的に私たちの権利やインターネットをこれほどすばらしく胸踊らせるものにしているイノベーションに害を及ぼすことになると私たちは確信しています。今こそ私たちは、先人の歩んだ道とインド憲法の価値をこれまで以上に追求しなければなりません」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド警察が与党政治家の投稿に「操作メディア」とラベル付けした同国のツイッター支社を訪問

インド中央政府の管轄下にあるデリー警察は、現地時間5月24日の夕方、首都デリーとその近隣のハリヤナ州グルガオンにあるTwitter(ツイッター)の2つのオフィスを訪れ、同国の与党であるインド人民党(BJP)の広報担当者によるツイートに「操作されたメディア」とラベルを付けたTwitterの根拠についての情報を求めた。

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現地の複数のニュースチャンネルが生中継したところによると、テロなどの犯罪を捜査するデリー警察の特別捜査班は、捜索開始から1時間後、Twitterのオフィスが閉鎖されており、社内にTwitterの従業員がいなかったことから、オフィスを立ち退いたという。

Twitterの広報担当者はコメントを控えている。世界第2位のインターネット市場であるインドは、Twitterをはじめとする多くの米国のテクノロジー企業にとって重要な海外地域だ。

インド政府は先週、Twitterがインドの与党BJPの広報担当者であるSambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートを「操作されたメディア」とラベル付けしたため、同社に通知を送った。

このツイートの中でパトラ氏は、インドの最大野党であるインド国民会議が、インド政府の新型コロナウイルス感染に対する取り組みを阻害するために、いわゆる「ツールキット」を使用していると主張していた。なお、インドの主要なファクトチェックの非営利団体であるAlt Newsは、パトラ氏の主張を虚偽であると否定している。

デリー警察は、パトラ氏のツイートのラベル付けについて苦情を受けているため現在調査中であると発表し、Twitter Indiaのトップに調査の通知を出すためにオフィスを訪れたとしている。警察は声明の中で、この件に関するTwitter Indiaの最高責任者の返答は「非常にあいまい」だったと述べている。

Twitter Indiaのオフィスが閉鎖されていることを知り、デリー警察の特別捜査班がグルガオンから戻るところです。どうやらTwitter Indiaでは2020年3月から自宅で仕事をしているようです。この動きは政府からのメッセージなのでしょうか?

「デリー警察は、シュリ・サンビット・パトラ氏(BJP広報担当者)のツイートを『操作的』と分類したことについてTwitterに説明を求める苦情を受け、現在調査を行っています。Twitterは我々が知らない情報を持っていて、それに基づいてそのように分類したようです」と、デリー警察は地元のTV局やその他のジャーナリストに向けた先の声明で述べている。

そして「この情報は調査に関連しています。調査を行っている特別捜査本部は真実を解明したいと考えています。根本的な真実を知っていると主張しているTwitterは、それを明らかにすべきです」と続けている。

その後の声明では、デリー警察はこの日の出来事を「強制捜索」と呼ぶことに異議を唱えている。

複数の政策担当者などが、デリー警察の動機を疑問視している。

Rohan Venkat@RohanV
デリー警察(インドの中央政府によって管理されている)が、インドのTwitterのオフィスを強制捜索しています。BJPが支配する中央政府は、Twitterが党のプロパガンダを「操作されたメディア」とラベル付けしたことに不満を持っているからです。

Tanvi Madan@tanvi_madan
インドは国際社会、特に米国からの優先的な援助を求めているので、これはインドが目前の本当の問題に力を入れていることを彼らに納得させる1つの方法ではないかと私は思います。

ANI@ANI
デリー警察の特別捜査班が、デリーにあるTwitter Indiaのオフィスで捜索を行っています。詳細が待たれます。

Raman Chima@tame_wildcard
与党の広報担当者のツイートを「操作されたメディアを含んでいる」とラベル付けすればどうなるか。連邦政府はデリー警察の特殊部隊を首都圏にある御社のインド子会社のオフィスに送り込み、思い知らせてくれるでしょう。

あからさまな権威主義ですね。

Bar & Bench@barandbench
デリー警察がデリーのラド・サライとグルグラムにあるTwitter Indiaのオフィスを家宅捜索したとANIが報じています。

Raheel Khursheed@Raheelk
これが悲劇でないなら不可解だ。デリー警察は、@TwitterIndiaのオフィスには物理的にデータが保存されていないことを知っているのだから、家宅捜索の目的は脅迫に他ならない。

今回の動きがあったのは、TwitterとFacebook(フェイスブック)に、インドのソーシャルメディアを規制する新ガイドラインに準拠する期限が目前に迫りつつある時期のことだった。

インド政府は両社に対する新たな通告の中で「IT規則に従わない場合、仲介業者(intermediary)としての地位や保護を失う可能性がある」と警告している。

今回の出来事は、ここ数カ月の間、インド政府との平和的関係を維持するのに苦労してきた米国企業にとって、新たな頭痛の種となっている。

Twitterは2021年初め、インド政府の要請に一時的に応じた後、政府の政策やNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相に対する批判的なツイートを投稿したアカウントを復旧させたことで、政府から非難を浴びた。

インド政府が2021年4月、TwitterとFacebookに対して、新型コロナウイルス感染流行に対する政府の対応に批判的な投稿を削除するよう命じたため、両者は再び公の場で対立することになった。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インドがTwitterの同国政治家に対する「操作メディア」判定に異議、「インド型変異株」投稿削除をSNS各社に要請

インド政府は、Twitter(ツイッター)がインドの政治家のツイートを「操作されたメディア」と分類したことに強い異議を唱え、さらに新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及した投稿を削除するよう、ソーシャルメディア企業各社に別途要請した。

最初の通知は、インドの与党であるインド人民党(BJP)の広報担当者であるSambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートが「操作されたメディア」とタグ付けされた2日後に行われた。このツイートの中でパトラ氏は、インドの最大野党であるインド国民会議が、新型コロナウイルスのパンデミックに対するインド政府の取り組みを脱線させるために、いわゆる「ツールキット」を使用している、と主張していた。インドの主要なファクトチェック機関であるAlt Newsは、パトラ氏の主張を否定した。

またTwitterは、BJPのソーシャルメディアを統括するPriti Gandhi(プリティ・ガンジー)氏、BJPの全国書記長であるSunil Deodhar(スニール・ディーダル)氏、マハラシュトラ州代表のVinay Sahasrabuddhe(ヴィナイ・サハスラブッデー)氏、デリーのBJP書記長であるKuljeet Singh Chahal(クルジット・シン・チャール)氏らが投稿した同様のツイートにもラベルをつけた。インド政府の通知では政治家らの名前は挙げられておらず、ツイートの内容も特定されていない。

インド政府は通知の中で、Twitterが「操作された(メディア)」とラベルをつけたツイートは、調査が行われていないにもかかわらず「偏見的に」そう指定されたとし「公平性と公正性」の観点から、このようなタグを削除するよう同社に「要請」した。

インド政府は、今回のTwitterの行為は「中立・公平」なプラットフォームとしての信頼性を低下させ「『仲介業者(intermediary)』としてのTwitterのステータスに疑問符をつけるもの」と述べている。最近発表された法律によると、TwitterやFacebook(フェイスブック)など、ユーザー数が数百万人を超える一定規模のソーシャルメディア企業は、インドでは「仲介業者」とみなされる。

Twitterは多くの市場において、ニュースメディアや独立したファクトチェッカー、あるいは独自の技術を引用して、より多くのコンテキストや訂正を提供するために数年にわたり一部の政治家のツイートにラベルをつけてきたが、同社の広報担当者はTechCrunchに対し、ノーコメントと述べた。

またインドの通信IT省は別の書簡で、ソーシャルメディア企業各社に対し、新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及した投稿を削除するよう要請した。

「これは完全に誤りです。世界保健機関(WHO)が科学的に引用している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のそのような変種はありません。WHOは、コロナウイルスのB.1.617亜種と「インド型変異株(Indian Variant)」という用語を、いかなる報告書においても関連付けていません」と、同省は2通目の書簡で述べている(その内容はロイターが最初に報じた)。

今回の通知は、世界第2位のインターネット市場であるインドにおいて、Twitterが直面しているジレンマを浮き彫りにしている。Twitterは1億人以上のユーザーを擁し、地元のスタートアップを多く支援している。かたやFacebookも、インドをユーザー数で見ると最大の市場と位置づけ、インド企業にさらに大きな投資を行っている

Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が率いるTwitterは、2021年、インドでいくつかの厳しい状況に直面してきた。2021年初め、ニューデリーの命令に一時的に従った後、インド政府の政策やNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相に批判的なツイートを投稿したアカウントを元に戻したことで、同社は同国政府から非難を受けた。

インド政府は2021年4月になって、新型コロナウイルスのパンデミックに関する政府の対応に批判的な投稿を削除するようTwitterとFacebookに命じたため、両者は再び公の場で対峙した。

今週初め、シンガポールは、新型コロナウイルスの新しい亜種が同国で発生したとする「ネット上のデマ」について、TwitterとFacebookに訂正を出すよう命じた

【更新】この記事は、2通目の書簡の詳細について更新された。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:インドTwitterSNS新型コロナウイルス

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターがユーザープロフィール刷新へ「About」タブ・代名詞・確認ステータスなど追加

Twitter(ツイッター)は、アカウント確認システムを一般に再ローンチするというニュースと同時に、Twitterのプロフィールに近日中にもたらされる一連の変更点をプレビュー公開した。新しいTwitterのユーザープロフィールには、名前、プロフィール画像、バナー、自己紹介などの機能に加えて、既存の「ツイート」「ツイートと返信」「メディア」「いいね!」のタブの左側に「About(情報、日本語UIでどう表示されるかはまだ不明)」タブが表示される。この拡張によりTwitterユーザーは、代名詞、場所、趣味など、自分自身についてより多くのことを共有できるようになる。

Twitterのアイデンティティ&プロフィールチームのリードデザイナーであるAndrea Conway(アンドレア・コンウェイ)氏は、次のように述べた。「(Twitterの)プロフィールは2014年以来、意義深い更新がされていませんでした。それからTwitterと世界の両方がどれだけ変化したかを考えると、ちょっとした驚きです。今日、当社は人々に自分自身を表現する方法をあまりたくさん提供しておらず、その結果、そのアカウントの質を理解したり、人々がTwitter上で誰を、そして何を信頼すべきかを判断するのに役立つシグナルの数が制限されています。さらに、デザインの観点からも、プロフィールのスペースが著しく不足しており、これを変えたいと思っています」。

画像クレジット:Twitter

Twitterはプロフィールを刷新することで、ユーザーが自分を表現する方法を広げるだけでなく、将来的には、プロフィールを同プラットフォーム上の他のエンゲージメント分野への新たなエントリポイントとすることを想定している。それは、トピックやスペースかもしれないし、それ以外の分野かもしれない。Twitterはこの点について詳しく説明していないが、、例えばクリエイター向けの新しい「Super Follow(スーパーフォロー)」ボタンを展開する際に(Instagramで使われる)「Link In Bio(リンクインバイオ)」のようなサイトビルダーに頼るのではなく、そのようなユーザーが自分についての情報を共有する手段が増えることは理に適っているかもしれない。

また、Twitterは、プロフィールを利用してユーザーエンゲージメントを高めることができると考えている。

「当社では、アカウントが誰であるか、そして彼らがプロアクティブに共有してきた情報だけでなく、(人物として)何に興味を持っているか知ることも重要だと考えています。なぜなら、あなたがそのアカウントに関心があるなら、彼らが何に興味を持っているのか知りたいだろうと思うからです。このスペースは、それを容易にする可能性を持っています」とコンウェイ氏は付け加えた。

新しい「About」タブでユーザーが自分の(ノンバイナリーを含む)代名詞を共有できるようになる他、デザインを一新したプロフィールには、他のフィールド、セクション、コンポーネントが追加されるという。

また、もう1つ注目すべき新機能として、自分のTwitterアカウントが確認済みかどうかを表示できるようになる。これは、あなたがメールや電話でTwitterアカウントを確認したことを意味する。これは信頼性を高めるためのシグナルになるか、または少なくとも、激しい議論になった時によく使われるTwitterの侮辱語「ボット」と呼ばれてトロールされるのを防ぐのに役立つ。これは、一定の正当性を示すことから人々が欲しがるブルーの「認証済み」バッジに該当しなくても、自分のアカウントを「認証」する1つの方法だ。

Twitterによると、現在のプロフィールにある、場所・生年月日・利用開始日・翻訳者バッジなど他のフィールドは、この新しい「About」タブに移動する可能性があるという。今後、Twitterはこのタブによって、人々がどのような情報をどのように共有するかについて、より柔軟に対応できるようになると考えている。

Twitterは新しいプロフィールが公開される時期を明らかにしなかったが「間もなく」と述べている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターが予定するサブスクサービスの充実を狙い広告を取り除きページを読みやすくするScrollを買収

Twitter(ツイッター)は、米国時間5月4日朝、Scroll(スクロール)の買収を発表した。Scrollはウェブ上の長いコンテンツを読みやすくするためのサブスクリプションサービスで、記事を読む邪魔になる広告やその他のウェブサイトの飾り部分を取り除く。Twitterによれば、このサービスはTwitterによる大規模なサブスクリプション投資の計画の一部であり、やがてTwitterがサブスクユーザーに提供する機能の1つになるという。

サブスクユーザーはScrollを用いることで、ニュースサイトや、Twitter独自のニュースレタープロダクト、そして最近買収されすでにTwitterのサービスに統合されているRevue(レビュー)を楽に読むことができるようになる。サブスクユーザーがTwitterを通してScrollを利用すると、そのサブスクリプション料金の一部が、パブリッシャーやコンテンツライターへ支払われるのだと、Twitterは説明している

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現在、Scrollのサービスは、The Atlantic(アトランティック)、The Verge(ヴァージ)、USA Today(USAトゥデイ)、The Sacramento Bee(サクラメント・ビー)、The Philadelphia Inquirer(フィラデルフィア・インクワイラー)、The Daily Beast(デイリー・ビースト)など、何百ものサイトに対して動作する。読者にとっては、Scrollの利用体験はいわゆる「リーダービュー」に似ている。つまり広告、トラッカー、その他のウェブサイトのゴチャゴチャが取り除かれ、読者がコンテンツに集中できるようになるのだ。

画像クレジット:Twitter

パブリッシャーに対するScrollからのアピールは、Scrollに対応することで、広告だけよりも収益を上げることができる、クリーンなコンテンツを配信できるようになるということだ。

取引条件は公開されていいないが、Twitterは合計13名のScrollスクロールチーム全体を取り込む。

当分の間Scrollは、Twitterのサブスクリプション作業に自社製品を統合し、予想される成長に備えることに焦点を当てることができるように、新しいユーザーのサインアップを一時停止する。ただし買収終了後も、Scrollのネットワークに参加したい新しいパブリッシャーの登録は引き続き行われる。

そしてScroll自体は、チームが製品をTwitterに統合する作業を行うので、プライベートベータ状態に戻る。

画像クレジット:Twitter

Twitterはまた、ScrollのニュースアグリゲーターNuzzel(ナッツェル)プロダクトも縮小されるが、やがてNuzzelの中核機能の一部がTwitterの中に組み込まれるようにするという。Nuzzelのブログ記事には、Twitterとともに拡大するためにはプロダクトを再構築する必要があることがより詳しく説明されている。

「Twitterは開かれた対話を提供するために存在しています。ジャーナリズムは対話のミトコンドリアです。それは起点であり、増幅を行い、そして知らしめます。それは視点を転換し裏返します。理想的には、お互いの立場に立たせ、お互いの共通の人間性を理解するのに役立つことでしょう」とScrollのCEOのTony Haile(トニー・ハイレ)氏は、同社の買収に関する同社のポストで語った。

そして彼は「(Twitter CEOの)ジャック(・ドーシー氏)とTwitterチームによって与えられた使命はシンプルです。Scrollが構築してきたモデルとプラットフォームを切り出し、それをスケールすることです。つまり、ニュースを愛する人たちのすばらしい集まりがその金銭的支援を続けてくれるように、Twitterを使用するすべての人が面倒やフラストレーションなしでインターネットを体験する機会を得られるようにすることです」と付け加えた。

Twitterは2021年の初めに、自社のビジネスを広告収入以外へ多様化する手段として、サブスクリプションに向かう計画を詳述した。同社は「Super Follow」(スーパーフォロー)構想を発表したが、これは、サブスクユーザーに、限定コンテンツ、プレミアムユーザー専用のニュースレター、お得情報、バッジ、有料メディアなどの幅広い特典を提供する、クリエイター中心のサブスクリプションサービスだ。Twitterは、この新機能を提供することで、2020年の37億ドル(約4042億円)から2023年には75億ドル(約8193億円)以上に、収益を倍増することを目指している

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter広告買収サブスクリプション

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

ツイッターが音声会議「スペース」をフォロワー600人以上のユーザーに公開、チケット、リマインダーなども追加

Twitter Spaces(ツイッター・スペース)は、Twitterの新しいライブオーディオルーム機能だ。同社は米国時間5月3日、Twitter Spacesがフォロワーが600人以上いる全アカウントでiOS、Androidともに利用できるようになると発表した。また他にも、現在準備中の新機能として、Ticketed Spaces、スケジューリング機能、リマインダー、共同ホスト、アクセシビリティの改善などを合わせて発表している。

この機能拡張で、TwitterはSpacesを以前より目立つようにする。現在、ホームタイムラインで誰かのプロフィール写真の周りにある紫色のバブルから直接スペースに参加できる機能をテストしているという。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、初期のテストに基づいてTwitter Spacesを利用できる最低要件を600フォロワーに決めたという。600人以上フォロワーのいるアカウントは、ライブ会話を主催するための「十分な体験」を持っている傾向がある、なぜなら、参加できる既存の読者がたくさんいるからだとのこと。ただし、将来はSpacesを全ユーザーに公開することを今も考えているとTwitterは述べた。

Twitterは新機能の開発も加速している。Twitterは公開の場でSpacesを開発しており、機能やアップデートの優先順位づけの際にユーザーのフィードバックを考慮に入れている。すでに、参加者管理機能をユーザーの要望に沿って拡張しており、ホストが全参加者を同時にミュートする機能や、リアクションに笑いの絵文字を追加したのもユーザーの声によるものだ。

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そして今回クリエイターにも焦点を当てる。近くTwitter Spacesは複数共同ホストに対応し、クリエイターは販売しやすくなり、Twitter Spaces上での自分たちのライブイベントを有料公開することもできるようになる。今後数週間のうちに公開される新機能では、ユーザーが見逃したくないSpacesをスケジュールしてリマインダーを設定できる。これは、イベントを事前販売するクリエイターにとっても有用で、RSVP(出欠確認)プロセスの一環として、次期イベントの「リマインダーを設定する」ようユーザーに勧めることもできる。

Twitter Spacesのライバル、Clubhouse(クラブハウス)も、米国時間5月2日のタウンホールイベントでリマインダー機能とAndroidアプリの外部テストを開始したことを発表したばかりだ。2つのプラットフォームは、今後熾烈な機能争いを演じそうだ。

画像クレジット:Twitte

しかし、Clubhouseが最近、お気に入りのクリエイターを支援する方法としてアプリ内寄付機能を公開したのに対し、Twitterは近く、ライブイベントのより伝統的な収益化方法を導入する。チケットの販売だ。Twitterは、現在ホストがイベントのチケット価格と入場可能人数を設定できる機能を開発中で、彼らが各自のTwitter Spacesで売上を立てる方法を提供するという。

近日公開予定のTicketed Spacesは、限られた人数のテスターが利用できる、と同社は述べている。Clubhouseがクリエイターの収益にまだ手を付けていないのに対して、Twitterはチケット売上から少額の手数料をとるという。ただし、売上の「大部分」はクリエイター本人に渡ると指摘している。

画像クレジット:Twitter

Twitterはアクセシビリティ機能であるライブ字幕を改善し、一時停止やカスタマイズを可能にするとともに、もっと正確にする努力をしていることも話した。

同社は、自身のTwitter Spaceを太平洋時刻5月3日午後1時から開催し、一連の発表について詳しく説明する。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterTwitter Space音声ソーシャルネットワークClubhouse

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アルゴリズムに焦点を当てた第230条の改正に向け米議員が公聴会で討議

米国時間4月25日に行われたアルゴリズムに関するビッグテック公聴会では、CEOをこき下ろす攻撃的な自由参加の討論会というよりも、話を聞くことを目指し、そういった意味では、ほとんど成功を収めたと思う。

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珍しいことに、公聴会はFacebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)、Twitter(ツイッター)の最高経営責任者ではなく、ポリシー担当主任(ポリシーリード)からの証言を中心に行われた。数時間に及んだ討議では、大きな進展はなかったが、それでも世界で最も影響力を持つ者が一貫して「その件については後ほど説明する」に終始するよりは実りがあったと言えるだろう。

公聴会で議員たちはソーシャルメディアのエコーチャンバーと、アルゴリズムによる、完全に人の行動を再形成することができるプラットフォームを通じたコンテンツの拡散方法について嘆いた。

「この高度技術は、我々の時間と注意をソーシャルメディアに引き付けるよう設計されたアルゴリズムに用いられており、その結果として、子どもたちの注意範囲や、公開講演の質、公衆衛生、ひいては民主主義そのものに危害が及ぶ可能性がある」とChris Coons(クリス・クーンズ )上院議員(民主党・デラウェア州)は言及した。クーンズ上院議員はこの公聴会を開いた、プライバシーとテクノロジーに関する上院司法小委員会会長を務めている。

クーンズ上院議員は、アルゴリズムはイノベーションを推進するが、そのダークサイドには大きな代償があると述べた。

これはもちろん今に始まったことではないのだが、議会の解決に向けての動きは非常に遅く、同じような公聴会が毎回繰り返されている。火曜日の公聴会では、超党派合意のいくつかの領域が強調された。これにより民主党によって厳しく制御される上院を通過する技術改正法案の可能性が定まるかもしれない。クーンズ上院議員は「広範的に超党派の解決策」に到達できるかもしれないという楽観的な見方を示した。

それはどのようなものなのか?おそらくは 通信品位法第230条の改正だろう。これについては何年も前から大々的に記事にしてきている。この法律はユーザーが作成したコンテンツに関する責任からソーシャルメディア企業を保護するもので、バイデン政権の新しい民主党主導の上院と、以前のトランプ政権に影響された共和党主導の上院の両方に共通する、技術規制に関する話題である。

米国時間2021年4月27日、米国ワシントンDCで行われた上院司法小委員会の公聴会にリモート参加し、発言するTwitter Inc.の米国公共政策部長Lauren Culbertson(ローレン・カルバートソン)氏(画像提供: Al Drago/Bloomberg / Getty Images)

壊れたビジネスモデル

公聴会で、議員たちは問題の核心として大手ソーシャルメディア企業が利益を得る方法に固有の欠陥について指摘した。特定の欠陥について企業を批判するのではなく、ソーシャルメディアの多くの問題が噴き出るコアビジネスモデルに主に重点を絞ったのだ。

Ben Sasse(ベン・サッセ)上院議員(共和党・ネブラスカ州)は「本当に複雑で質的な問題には、簡単な量的解決策があるという考えを押しのけることが非常に重要だと思う」と語った。ソーシャルメディア企業は、ユーザーを自社製品に夢中にさせ続けることで利益を得ているため、本当の解決策ではそのビジネスモデルともどもなくす必要があると主張した。

Josh Hawley(ジョッシュ・ホーリー)上院議員(共和党・ミズーリ州)は「こうした企業のビジネスモデルは中毒である」と同意し、ソーシャルメディアを意図的な「注目のトレッドミル」と呼んだ。

Google(グーグル)元社員でテック評論家のTristan Harris(トリスタン・ハリス)氏は、自身の証言において、テック企業がその中心的な設計の信条についてどのように納得させるのかについて歯に衣着せることなく語った。「それはまるで、人質の動画で人質の話を聞くようなものだ」として、エンゲージメントを探すビジネスモデルを舞台裏で突き付けている銃に例えた。

第230条に対する世間の注目

議員がこのような深く根付いたインセンティブを破壊するために提案する1つの大きな方法は何であろう?ソーシャルメディア企業が享受している第230条の保護にアルゴリズムに焦点を置いた例外を追加することだ。そのアプローチを取る法案がいくつか上がっている。

法案の1つは、2020年に John Kennedy(ジョン・ケネディ)上院議員(共和党・ルイジアナ州)、Paul Gosar(ポール・ゴーサー)下院議員(共和党・アリゾナ州)、Tulsi Gabbard(トゥルシー・ギャバード)下院議員(民主党・ハワイ州)が提案した、1000万人以上のユーザーを持つプラットフォームに対し、第230条の保護を継続させたい場合には、ユーザーの行動やデモグラフィックデータに基づくコンテンツを提供する前にユーザーの許可を得ることを求めるものだ。これはユーザーが特別にそのように選択しない限り「ユーザーの見解を分極する情報をユーザーに提供する」ことでエンゲージメントを向上させるプラットフォームから第230条の免責を取り消すのが狙いだ。

また別の法案「Protecting Americans from Dangerous Algorithms Act(危険なアルゴリズムから米国民を守る)法令」では、Anna Eshoo(アンナ・エシュー)下院議員(民主党、カリフォルニア州)とTom Malinowski(トム・マリノウスキー)下院議員(民主党、ニュージャージー州)が、第230条の保護の禁止と「企業のアルゴリズムがオフラインの暴力に繋がる誤報を増幅する場合」にその企業の責任が問われることを提案している。

第230条の擁護者たちは、不十分に対象を絞った法律の変更により、現在の近代的なインターネットは混乱に陥り、その結果意図した改正の努力範囲を超えて連鎖的に悪影響がおよぶと主張している。法律の完全な廃止はほぼ確実に提案されることはないが、わずかな調整でさえ、良くも悪くも、インターネットビジネスが完全に再編される可能性があるとしている。

ホーリー上院議員は、利益を追求するためにアルゴリズムを使用する企業に対してより広い提案をした。「行動広告やアルゴリズムによる増幅を行うプラットフォームから第230条の保護を単に廃止すべきでは」と問い、法律の完全廃止に反対ではないと付け加えた。

上院の反トラスト小委員会委員長を務めるAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主党・ミネソタ州)は、アルゴリズムの問題をテック業界の反競争的行為に結び付け「ある企業がその傘下にある全員を買収しているのであれば、その企業が付加製品を開発して誤情報を提供できたかどうか知ることは決してありません。なぜなら競争がないのですから」と語った。

小委員会メンバーのクロブシャー上院議員とMazie Hirono(メイジー・ヒロノ)上院議員(民主党・ハワイ州)は独自の主要な第230条改正法案「Safe Tech Act(安全なテクノロジーに関する法令)」を出しているが、この規制ではアルゴリズムは広告や有料コンテンツよりも問題とされていない。

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アルゴリズムのレンズを通じて第230条を鑑みる主要法案は少なくとももう1つある。ビックテック批判で有名なDavid Cicilline(デビッド・シシリン)下院議員(民主党、ロードアイランド州)が第230条の法案を提案する予定だ。これは、エンゲージメントを向上させ、私腹を肥やすためにアルゴリズムに依存する企業に対し、免責を廃止するものとなる。

「これは非常に複雑なアルゴリズムで、エンゲージメントを最大化して広告価格を吊り上げ、企業にさらなる利益をもたらすように設計されている」と シシリン下院議員は2021年3月Axios(アクシオス)に語った。「これは一連のビジネス上の決定であり、企業が責任を問われるべきだと主張するのは簡単なのかもしれない」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)