デリバリー需要の急増もUberの第3四半期売上減少を止められず

デリバリー需要の急増にも関わらず、Uberの第3四半期売上は投資家の期待に届かなかった。

Uberの四半期総取扱高は147億ドル(約1兆5200億円)で、前年同期比10%減だった。売上は31億ドル(約3200億円)で、対前年比18%減だった。

アナリストは売上32億ドル(約3310億円)と予測していた。同社の売上予測未達は、1株あたり損益の予測超えで部分的に緩和された。同四半期のUberの1株あたり損失は0.62ドルで、予測された損失0.65ドルを上回った。

Uberの第3半期純損失は11億ドル(約1140億円)で、1年前の12億ドル(約1240億円)からわずかに改善された。

会社の2つの中核事業は、「二都物語」だった。Uberのライドシェアリング(モビリティー)ビジネスは縮小したが利益は上げた。一方、フードデリバリービジネスは成長したものの依然として赤字だ。

財務用語でいうと、モビリティの調整後純売上は、前年同期の29億ドル(約3000億円)から14億ドル(約1450億円)に下がった。この52%の下落は、2020年第3四半期の「セグメント調整後EBITDA」という強くひねられた指標を61%減の2億4500万ドル(約250億円)へと下落させた。

対照的にデリバリー事業の調整後純売上は、前年同期の3億9200万ドル(約410億円)から11億ドル(約1140億円)へと躍進した。190%の伸びは、同事業部門の不採算性を著しく減少させた。このセグメントは調整後EBITDAを2019年第3四半期のマイナス3億1600万ドル(約330億円)から2020年第3四半期のマイナス1億8300万ドル(約190億円)へと改善することに成功した。

全体で、Uberの調整後EBITDAはマイナス6億2500万ドル(約650億円)で、1年前の同四半期より7%悪化した。

世界に目を向けると、Uberの運はさまざまだった。米国とカナダでは2020年第3四半期の売上は2019年第3四半期と比べて30%減だった。ラテンアメリカでは39%の急落だった。しかしEMEA(欧州・中東・アフリカ)とAPAC(アジア太平洋)地域では、それぞれ20%と43%上昇した。

Uberの四半期末の保有現金および同等物は62億ドル(約6410億円)で、他に短期投資11億ドル(約1140億円)がある。帳簿の反対側を見ると、Uberには約67億ドル(約6930億円)の長期借入金負債がある。

米国のテック系巨人は2020年第3四半期のコストを2019年第3四半期と比べて大幅に縮小し、運用およびサポートの費用を減らし、研究開発および一般管理支出は1年前より増えた。

Uberの株価は時間外取引で2.2%下がった。

いくつかの向かい風を受けながらも、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロウシャヒ)氏は会社の将来と黒字化への道に自信をにじませる。Uberはモビリティ総取扱高の大幅減にもかかわらず、その利益目標を維持するとコスロウシャヒ氏は米国時間11月5日の決算会見で語った。

「現在のコスト構造に基づき、我々は会社の調整後EBITDA損益なし、モビリティ事業の総取扱高、2019年第4四半期の10~20%減を実現できると確信しています」とコスロウシャヒ氏は語った。「2021年のどこかで収支トントン損益なしを実現できると予想しています」。

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カリフォルニア州でのギガワーカー法案通過を見込んでUberとLyftの株価が高騰

米国ライドシェアリングの両巨人、UberとLyftの株価は本日11月4日午前の時間外取引で急騰した。カリフォルニア州の投票法案、Proposition(プロポジション)22の通過を見込んだ行動だ。同法案が成立すれば、テック利用のオンデマンド企業は、引き続きギグワーカーを個人事業主として分類できる。

Uberの株価は時間外取引で11.88%上昇し、Lyft(米国市場、すなわりカリフォルニア州への依存度が高い)は驚きの14.9%高を市場開始前から示している。

TechCrunchは、この投票法案が通過見込みであることを東海岸時刻11月3日午前3時に指摘した。開票は続いており、Google(グーグル)の選挙データによると、プロポジション22は開票率71%時点で賛成が58.4%だ。

我々が見ているのは「公開」オンデマンド企業の株価だけだが、この日はDoorDashの価値も高まった。DoorDashはSoftBank(ソフトバンク)らが支援する(未訳記事)フードデリバリーの大手企業で、非公開で上場申請しているが、まだS-1書類を公開していない。

それでも同社の投資家は、本日UberとLytfの株主と同じ喜びを享受している。カリフォルニア州で価格やビジネス手法を大きく変えることなく運用を続けられるという意味でも、潜在的企業価値が高まるという意味でも。

プロポジション22を背景に、おそらくDoorDashは上場に向けていっそう意欲的に行動するだろう。

上記3社はPostmatesとともに、プロポジション22の通過に向けて多大な費用を投下していることを米国時間11月2日夜にTechCrunchは報じている。

Prop 22は主にUber、Lyft、DoorDash、Postmatesが支持していた。先週DoorDashは「Yes on 22(Prop 22に賛成)」キャンペーンに追加で375万ドル(約3億9000万円)を注ぎ込んだ。11月2日には、Uberも追加で100万ドル(約1億400万円)を出した。そうした資金の注入もあってYes on 22が集めた総額は約2億500万ドル(約213億8000万円)になる。これによりProp 22は1999年以来、カリフォルニア州で行われた住民投票で最も費用をかけたものとなった。

その費用は、ビジネス視点では有益に使われたといまはいえるだろう。労働者擁護団体にとっては残念な結果だ。

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カリフォルニアの控訴裁がUberとLyftのドライバーを従業員とする下級裁の判決を支持

米国時間10月22日の控訴裁判所は、UberとLyftが彼らのドライバーを従業員に分類しなければならないと判決を下した。しかし、この判決は裁判所が送達を出した後、30日間延期されることになっている。つまりProposition 22の住民投票結果によっては、LyftやUberによるドライバーの分類の決定要因にならないこともある。

この訴訟全体を通じてUberとLyftは、ドライバーを従業員に分類すれば修復不能な被害が会社に生じると主張してきた。本日の判決では、裁判官はどちらの企業も「法律違反を禁止されていることによって重大なまたは回復不能な被害を被ることはない」と述べた。そして両社に生ずる財務的負担は「回復不能な被害のレベルと呼べるほどの大きさではない」とも述べた。

さらに裁判官によれば、仮差止命令はUberとLyftがドライバーに柔軟性と独立を与えることを妨げる要因ではないという。最後に裁判官は「今回の訴訟の契機となったAB5ギグワーカー法が決まったのは2年前の2018年であり、UberとLyftにはドライバーを独立した契約業者から従業員に移行させるに十分な時間があった」と述べている。

Lyftの広報担当者であるJulie Wood(ジュリー・ウッド)氏は本誌宛の声明で「この裁定によって、ドライバーの味方となりProp.22に賛成票を投じることが、ますます緊急になってきた」と述べている。

Prop 22は、ライドシェアのドライバーやデリバリーのワーカーを独立の契約労働者のままとどめるという、カリフォルニア州の住民投票で決まる条例案だ。これが成立すると、その企業のドライバーとデリバリーワーカーは、彼らをW-2級の従業員とする新しい州法の対象外となる。そうなると、アプリを使う旅客輸送やデリバリーのワーカーには、運転した時間に基づく最低賃金とヘルスケアの助成が給付される。

一方Lyftによると、同社はすべての法的選択肢を検討しており、その中にはカリフォルニアの最高裁への控訴も含まれるという。Uberもやはり控訴を検討している。

Uberの広報担当者は次のように述べている。「本日の判決が意味しているのは、Proposition 22が投票で否決されたら、ライドシェアのドライバーは独立の契約業者として働き続けることができなくなり、何十万ものカリフォルニアの住民が仕事を失い、州の大部分からライドシェアが姿を消す事態になるということだ。否決された場合の控訴も検討しているが、状況はむしろドライバーにとって分が悪い。彼らの72%がProp 22を支持している。カリフォルニアの経済はいまでも数百万人の失業者が存在し、今週だけでも新たに15万8000名が失業者支援を求めている」。

本日の判決の前には、カリフォルニア上位裁判所のEthan Schulman(イーサン・シュルマン)判事が2020年8月に、UberとLyftがドライバーを従業員へと分類変えするよう強制するために、仮差し止めを認めた。UberとLyftはその判決を控訴したが、しかしいまでは控訴裁判所が下級裁判所の判決を維持している。

この訴訟(未訳記事)は2020年5月に、カリフォルニアの司法長官Xavier Becerra(ザビエル・ベセラ)氏と、ロサンゼルスとサンディエゴとサンフランシスコ各市の弁護士たちが提起した。彼らは、労働者を独立契約労働者と誤分類することによって、UberとLyftが不公平で違法な競争上の優位性を得ていると主張した。そして6月に原告は、UberとLyftにドライバーの分類変えを強いるための仮差し止めを申請した。8月にシュルマン判事がそれを認めた

「本日の法的勝利は2社が対象だが、この戦いの範囲はもっと広い。これには、この国の労働の未来がかかっている。今後すべての世代が、真の福利厚生がある良質な雇用を確保できるかできないかがかかっている。もしUberとLyftがProp. 22の成立に成功し、人びとの意志を否定したら、他の数え切れないほど多くの企業もビジネスモデルを変えてワーカーを誤分類し、富める少数者が彼らの労働者の犠牲の上でさらに裕福になるだろう」とGig Workers Risingは声明で述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberのドライバーがアプリ内広告で労働者を独立請負業者とするProp 22を強制されたとして同社を提訴

Uberは、住民投票によって決まるカリフォルニア州条例案「Proposition 22」をめぐって集団訴訟に直面している。原告らは、同社がドライバーに強制するという違法行為により、労働者をワーカーを独立請負業者とする法案を支持させようとしている、と申し立てている。この訴訟は、Uberの2人のドライバー、Benjamin Valdez(ベンジャミン・バルデス)氏とHector Castellanos(エクトル・カステリャノス)氏およびカリフォルニアの非営利団体であるWorksafeとChinese Progressive Associationが提起した。

原告側弁護士のDavid Lowe(デビッド・ロウ)氏は、声明で「はっきりさせておきたい。Uberはドライバーが彼らの仕事で必ず使わなければならないアプリの上で、Prop 22の宣伝の止むことなき集中砲火を浴びせ、ドライバーを威嚇している。その目的はドライバーにUberの政治闘争を無理やり支持させ、職場の保護を彼らから奪うことだ」と述べている。

The New York TimesのKate Conger(ケイト・コンガー)記者(Twitter投稿)が用意した訴状の中で原告は、Uberが同社のドライバースケジューリングアプリで、ドライバーとデリバリーワーカーにProp 22を支持させようとした、と述べている。

「Uberの教唆には、Uberの政治的選好を支持しなかったら報復されるとドライバーに思わせる目的と効果がある。そしてその恐れにより多くのドライバーが、労働者でありながらカリフォルニアの法律が法律上の『従業員』に保証している権利を剥奪されることを支持するという、偽りの声明に誘導されるかもしれないという狙いもある」と訴状には書かれている。

この団体はUber、Lyft、InstacartおよびDoorDashに対する法的要求を、カリフォルニア州労働局に提出するつもりだ。

一方、Uberの広報担当者であるMatt Kallman(マット・カルマン)氏はTechCrunch宛ての声明で「これは愚かしい訴訟であり、訴えの実体がなく、メディアの注意を惹くことだけが目的で、事実への考慮がない。事実から目を背けるべきではない。圧倒的多数のドライバーが何カ月も前からProp 22を支持しているのは、それが彼らの生活を改善し、職業選択の自由を奪わないからだ」。

Prop 22は、カリフォルニアで最も多く資金を集めたキャンペーンだ。Prop 22にイエスの側は今日までに約1億8500万ドル(約194億8000蔓延円)を投じている。その最大の貢献者はUberとLyftとDoorDash だ。一方、ノーの側は1216万6063ドル(約12億7000万円)を寄付している。

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Uberがコスト削減のためにインドで数百人のエンジニアを雇用

米国時間10月15日、Uber(ウーバー)はインドでエンジニアを225人雇用しているところで、重要な海外市場であるインドで技術チームを強化していると述べた。同社は数カ月前に全世界で数千人の人員を削減していた。

インドではOlaと競合しているUberは同日、Amazon(アマゾン)でエンジニアリング担当ディレクターを13年近く務めたManikandan Thangarathnam(マニカンダン・タンガラスナム)氏をバンガロールにある同社プラットフォームのエンジニアリングチームのリーダーとして雇用したと発表した。9月にUberは、インドで140人のエンジニアを雇用する予定だと発表していた。今回は、さらに85人を追加で採用している途中だと述べた。

トップクラスのエンジニアたちがここ数カ月でUber Indiaを去りGoogle(グーグル)やアマゾンなどのテック大手に移ったことが、今回の動きにつながっている。最近Uberを退社したシニアエンジニアはTechCrunchに対し、同僚の多くがインドでのUberの将来に自信を持てなくなったと語った。

Uberは、インドにおける技術拡大計画は世界中のたくさんの都市でモビリティとデリバリーを「もっと利用しやすく」し、交通の「バックボーン」にするという同社のビジョンに沿うものだと述べた。

最近、グローバルのファイナンステクノロジーチームを率いるシニアディレクターとしてJayaram Valliyur(ジェラム・バリユー)氏も雇用した。同氏もアマゾンに14年間勤務していた。

7月にニュースサイトのThe Informationは、エンジニアリングの従業員をインドに移すというDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)CEOの計画をコスト削減のためと報じた(The Information記事)。この記事には、コスロシャヒ氏の計画は社内で議論を呼んだと書かれていた。

Uberで長く最高技術責任者を務め2020年4月に同社を去ったThuan Pham(トアン・ファム)氏(未訳記事)は、インドで短期間に多数のエンジニアを雇用するには「質の低い応募者を採用しなくてはならない」と忠告したと言われている。

UberとOlaはともにインド第1位のライドシェアサービスであると主張している。しかし両社に投資しているSoftBank Vision Fundの責任者であるRajeev Misra(ラジーブ・ミスラ)氏は9月に、インドではOlaがUberに対し「わずかなリード」を続けていると述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Uberのソフトウェアエンジニアとしてギグワーカーに企業にとって都合のいいルールを押しつける住民投票事項22に反対する

私はUber(ウーバー)のソフトウェアエンジニアを2年続けてきたが、同時に配車サービスのドライバーもしていた。大学時代は定期的にLyft(リフト)のドライバーを務め、生業はUberのAndroid用アプリのプログラマーだが、今でもギグエコノミーの実態を知るために、自転車を漕いでそれらのアプリベースの企業で配達の仕事をしている。

そうした経験から、私はギグエコノミーの決定的な要素に気がついた。それは、Uberが成り立つのは安くて速いからというものだ。車を呼べば数分で到着するため、私たちは支配者になった気分で、一時的な満足感に浸れる。ボタンをワンクリックで、友だちの家や食品スーパーや空港へ行ける世界で一番便利なものだ。

だがこれは、無数のドライバーたちがプライベートな時間までも車の中で過ごしながら客待ちをしているからこそ実現できるものであり、まったく割りに合わないことが次第に明らかになってきた。ドライバーたちは、無償奉仕でそのサービスを補完しているのだ。

儲けのない仕事を強いられているようなものだと気づいた私は、雇い主に対して声を上げることにした。Uberに加わる前も、ディズニーランドのカスタマーサービスからピザの宅配まで、割りに合わない低賃金の仕事をしてきた。Uberは、カリフォルニア州のProposition22(ギグワーカーを保護するカリフォルニア議会法案5条に例外を設け、アプリベースの契約ドライバーを個人事業主扱いにして福利厚生の対象から外せるようにする提案の住民投票事項、Prop22)に資金援助をしている大手企業数社の1つだ。Uberはこのキャンペーンに、これまで4750万ドル(約50億円)を献金している。職場の管理職たちは、Prop22の承認は会社の利益にとって非常に重要だと私たちに訴える。だが、会社の利益が私の投票行動を左右することはないし、そうあるべきでもない。

Uberは、Prop22はドライバーにとって有利なものだと主張するが、それはUberが企業としてドライバーを大切に扱うか否かにかかっている。Uberのエンジニアとしての私の経験からすれば、そうなる見込みは非常に薄い。パンデミックが始まった当初、私たちはUberが一斉レイオフを計画していることを知った。数週間、私たちは仕事と健康保険を確保できるかどうかもわからず、無為に過ごさなければならなかった。

結局、Uberはパンデミックの最中に3500人を解雇した。それも3分間のZoomコールによる通達でだ。私たちの大半にとってこれは、クビにする人数のノルマをいいつけられた管理職が、適当に自己判断で人を選んだように感じられた。何の保証もなくドライバーを解雇するUberのやり方と矛盾しない。頑固なまでに従業員の面倒を見ないその企業文化は、エンジニアにまで及んでいる。私たちも使い捨てのリソースなのだと気づかされた。

ソフトウェアエンジニアとして、私はドライバーとはずいぶん違う経験をUberでしている。社員として分類された私は医療、退職金制度、制限付き株式報酬、有給休暇、病欠の権利といった福利厚生を付与された。Uberのドライバーには、このような福利厚生はない。なぜならUberは、彼らを個人事業主として不当に分類しているからだ。2020年1月1日から、ギグドライバーは社員に分類すべきだと法律に明記された。しかしUberはこの法律に従わず、自分たちに都合のよいルールを規定したいがためにProp22の承認を求めている。

Uberのドライバーは、全員がパートタイムだと誤解している人がいる。定年後のドライブを楽しんでいる人や、私のように大学の授業が終わってから数時間を仕事に当てている人もいるだろうが、Uberの事業を支えているのはフルタイムのドライバーたちだ。5月に発表されたサンフランシスコ市による調査(カリフォルニア大学サンタクルーズ校ニュースセンター記事)では、同市のギグドライバーの71%が少なくとも週30時間働いていることがわかった。客を運んでいるドライバーの大半は、彼らだ。カリフォルニア州は、少なくとも週30時間働いている従業員全員に福利厚生を付与するよう、雇用主に法的義務を負わせているため、71%の日勤ドライバーは、現在、州が定めた福利厚生の付与が拒否されているかたちになる。

Lyftで働いた経験がなければ、雇用主の主張を額面通りに受け取っていただろう。これは決して、業界がダメになるという話ではない。ビジネスモデルは、どの企業も同じだからだ。つまり、利益追及のためのコスト削減に手段を選ばない。私は幸いにも、Gig Workers Rising(ギグ・ワーカーズ・ライジング)という人権団体を運営するUberの素晴らしいドライバーたちに出会えた。サンフランシスコの生活費が高いことは周知の事実だ。彼らは、最低賃金を下回る報酬で働くこともある。車の中で寝泊まりしているドライバー(The Guardian記事)も知っている。1回医者にかかるだけで経済的に立ち行かなくなる人(Twitter投稿)や、命に関わる薬すら買えずにいる人(Twitter投稿)もいる。それを回避できる道はない。そんな彼らの権利を否定するために、企業はProp22に数百万ドル(数億円)も費やされている。

テック業界で働く人たち、そして広く世間一般の人たちに私が訴えたいのは、住民投票の提案事項について、自分でよく調べてみて欲しいということだ。会社にとって最良の道であるから賛成票を入れるようにと雇い主にいわれたら、その雇用主の利益は、あなたの利益とまたは社会の利益と一致していないかもしれないと疑って欲しい。

Uber、Lyft、DoorDashなどのギグエコノミー企業で働く人たちには、あなたが作るものを毎日使っているドライバーたちのことを、よく知って欲しい。みなさんの労働から巨万の富を得ている企業幹部とは違い、ドライバーたちとは非常に多くの共通点がある。

2020年11月、私たちは他の従業員たちの側に立ってProp22に反対するか、あるいは企業幹部や億万長者たちに寄り添って賛成票を投じるかの選択を迫られる。

労働者の側に立って、Prop22に反対しよう。

【編集部注】筆者のKurt Nelson(カート・ネルソン)はサンフランシスコを拠点に活動するUnberのモバイルエンジニア。この記事は同氏の個人的見解です。

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(翻訳:金井哲夫)

Uberが貨物運送事業で優先株を発行して約530億円を調達、キャッシュ確保の一環

1年前のUber(ウーバー)のビジネスモデルは「選択肢を網羅するアプローチ」だと言えた。配車サービス、マイクロモビリティ、物流と包装、料理のデリバリーなど、あらゆる形態の輸送から収益を生み出す戦略だ。

新型コロナウイルスの感染蔓延がその事業戦略を覆した。シェアマイクロモビリティ部門のJump(ジャンプ)を売却(未訳記事)し、デリバリーに大きく賭けるべくPostmates(ポストメイツ)を買収した(未訳記事)。次は、成長はしているが収益性はいまだに低い貨物運送部門のUber Freight(ウーバーフレイト)の株式を売り出す。

Uberは10月2日、ニューヨークの投資会社であるGreenbriar Equity Group(グリーンブライアー・エクイティ・グループ)率いる投資家グループが、Uber FreightのシリーズA優先株式による資金調達5億ドル(約530億円)に応じると語った。Uber Freightはポストマネーで33億ドル(約3470億円)と評価されたことになる。GreenbriarのマネージングパートナーであるMichael Weiss(マイケル・ワイス)氏とJill Raker(ジル・レイカー)氏がUber Freightの取締役会に加わる。Uberは他の投資家の名は明らかにしなかった。

UberはUber Freightの所有権の過半数を維持し、調達した資金でトラック運転手と運送会社をつなげる物流プラットフォームの拡大を続けると述べた。

Uber Freightは2017年に立ち上げられ、2018年8月に独立した事業部門として分離された。分離によって勢いを増し、より多くのキャッシュを使うようになった。Uber Freightが再設計したアプリ(未訳記事)には、荷物の探索とフィルタリングを簡単にカスタマイズできる新しいナビゲーション機能が追加された。

同社は欧州とカナダに進出した。またシカゴに本社を設立した。この地域に年間2億ドル(約210億円)以上を投資するという親会社の計画の一環であり、数百人の労働者の雇用も含まれている。Uberは昨年9月、今後3年間でこの地域で2000人の新規従業員を雇用すると発表した。ほとんどがUber Freightで働く。

Uber Freightは最近、SAP、Blue Yonder、BluJay、MercuryGate、Oracleなどのクラウド輸送管理システムプロバイダーとの新しいAPI統合パートナーシップに署名した。同社はまた、Uber Freight EnterpriseとUber Freight Linkの立ち上げにより、エンタープライズソフトウェアのラインアップを増やした。拡大のすべてがうまくいったわけではない。Uberは今月、ドイツ・ベルリンを拠点とするsennder(センダー)に欧州事業をすべて株式対価で売却し、欧州から撤退した(sennderリリース)。

Uber Freightはの売上高は急増した。ただその成長は利益に結びついていない。Uber Freightは2020年第2四半期に2億1100万ドル(約220億円)の売上高を計上した(Uber財務リリース)。前年同四半期から27%の増加だ。一方、調整後純損失は4900万ドル(約51億円)となった。前年同四半期の5200万ドル(約55億円)の損失からわずかに改善した。

Greenbriarによる投資をUber FreightのCEOであるLior Ron(リオール・ロン)氏は同社の「次章」だと表現した。「当社が2〜3年という短い期間で達成した内容を非常に誇りに思っています。当社はテクノロジーで業界をリードし、時代遅れのアナログプロセスを変革して、急速に変化する業界で荷主と運送業者の両方に成功をもたらします」とロン氏は声明で述べた。Greenbriarはパートナーとして「深い専門知識と共有を備えています。物流を簡素化することへの情熱を当社と共有しています」と付け加えた。

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(翻訳:Mizoguchi

英裁判所がUberのロンドンでの事業継続を許可、ただし18カ月のみ

Uber(ウーバー)はロンドンでの事業免許更新を求めた裁判で勝訴した

英国時間9月28日の判決で、裁判所は配車サービスUberの市交通当局とのやり取りなどを含めプロセスの改善は評価できると認めた。

業界筋によると、新しい事業免許はUberとTfL(ロンドン市交通当局)が共同で裁判官に提案した21の条件付きとなる。

本日の判決では、Uberがどれくらいの期間の事業を許可されるのかはすぐさま明らかにはならなかった。裁判官は判決を出す前にさらなる証拠を求めている。その後、事業免許を18カ月認めたことが明らかになった。18カ月というのは、2017年に許可された5年の事業許可(未訳記事)よりもずいぶん短い。

「Uberは完全ではない。しかし改善が認められる」と裁判官は述べ、次のように付け加えた。「この部門における合理的な事業はこうあるべきということをUberが行っていること、おそらく今後一層そうするだろうということに納得している」。

ロンドンの交通当局であるTfLが、安全上の懸念とハイヤー事業免許を持つにふさわしくないとの理由で、2017年にUberの事業免許を更新しないというショッキングな決定を下したのち、同社は複数年にわたって闘争を繰り広げてきた。

2018年、英国の裁判所はTfLの要件を満たす時間をUberに与えよう(未訳記事)と、暫定的に15カ月の事業許可を認めた。しかし2019年11月、当局は新たな安全問題を指摘し、免許の更新を再び却下した。

こうした措置、そして許可の見通しが立たないにもかかわらず、Uberは上訴することでロンドンでの事業を継続することができた。そして同社はいま、こうした不確実性が過去のものになることを願っている。

上訴でのUberの主な訴えは、事業許可を持つに「ふさわしい」というものだ。同社は、当局の懸念に耳を傾け、過ちから学び、乗客の安全に関連する問題を解決するために大きな変更を加えたと主張した。

たとえば同社は、ガバナンスと資料レビューシステムを改善したと指摘した。ここには長時間業務を行っていないドライバーの凍結、リアルタイムのドライバーID認証、新たなセキュリティチームとプロセス、そしてライセンス状態の漏洩を防ぐことを目的とする「プログラムゼロ」の立ち上げが含まれる。

同社はまた、システムの欠陥が広範なものではなかったとも主張した。システムを悪用したのは、同社のアプリを使用するドライバー4万5000人のうち24人だけだったとした。

そしてUberは現在、効果的かつ積極的にTfLや警察当局と協力していると主張し、過失の隠蔽を否定した。さらには、免許の取り消しは、女性や少数民族、障がい者などストリートハラスメントのリスクを負うグループに「甚大な影響」を及ぼすとも指摘した。

2020年のUberは、当局の監視を妨害するための専用ソフトウェアを開発し、最終的に幹部の刷新につながった有害な社内文化を持った企業からいくらか改善したといってもいいだろう。

しかし、裁判所がUberに与える事業許可の長さを検討するための手順を踏んだというのは興味深い。裁判そのものはUberの勝訴だが、用心深い警告が含まれている。

本日の判決についてのコメントで、法律事務所Taylor Wessingの首席弁護士であるAnna McCaffrey(アンナ・マキャフリー)氏は判決のこの要素を強調した。「治安裁判所はUberが安全性に関するTfLの懸念を解決したことに同意した。しかし事業許可の延長期間についてはUberが求める5年を認めず、議論の余地があるとした事実は、Uberが今後もTfLや裁判所に同社が本当に変わったことを証明すべく真摯に取り組まなければならないことを示している。そうしなければ、Uberは来年また同様の裁判に直面することが予想される」と声明で述べている。

マキャフリー氏はまた、Uberのドライバーは従業員なのか、それとも自営業者なのかという論争で最高裁判所の判決がまだ出ていないことも指摘した。こちらもUberが英国で長く続いている裁判だ。

同社はまた、ドライバーのアルゴリズム的管理に関連する新たな訴訟にも直面している。つまり、弁護士が取り組む仕事はまだ山ほどある。

一方、The App Drivers and Couriers Union(ADCU)はUberの事業免許更新を認める裁判所の決定を警戒しつつ歓迎した。

ただ、ADCUはUberプラットフォーム上で登録できるドライバーの数に制限をかけることでUberの「寡占」を阻止するようロンドン市長に求めた。声明の中で、ADCUのトップであるYaseen Asla(ヤセン・アスラ)氏は「事業規模を抑制することでUberとTfLの双方に、労働者の権利などあらゆる遵守義務が将来守られるようにするための息つく間ができる」と述べた。

アップデート1:Uberは、北欧・東欧担当リージョナルゼネラルマネジャーであるJamie Heywood(ジェイミー・ヘイウッド)氏の声明を明らかにした。「今回の判決はUberの安全へのコミットメントを認めるものであり、当社は引き続きTfLと建設的に取り組む。Uberアプリを使用する人の安全が最も重要であり、ロンドンを前に進めるためにともに取り組む」。

アップデート2:TfLもまたコメントを出し、広報担当は次のように述べた。「裁判所は、Uberが現在、ロンドンでのハイヤー事業免許を有するにふさわしいと判断した。2019年11月の我々の決定の結果、Uberは乗客の安全を向上させるために、そして我々が指摘した問題を解決するために多くの変更を加えた。数多くの条件が付いた今回の18カ月という事業免許でTfLはUberの規則遵守を監視でき、もし基準に満たない場合は迅速に行動を取ることができる」。

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タグ:Uber TfL 英国

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(翻訳:Mizoguchi

PostmatesがUberとの提携に向けて第2四半期に赤字を削減

人気フードデリバリーサービスのPostmatesが、26億5000万ドル(約2798億円)という超大型契約でフードデリバリーの競合相手であるUberと手を組もうとしている(未訳記事)。この取引は独占禁止法の審査を受けている状態で、まだ承認されていないが、順調に進めば2021年前半に完了すると見込みだ。

しかしながら、米国時間9月25日の取引終了後にSECに提出された報告書を読むと、世界的なパンデミックと全米におけるイートインできるレストランの閉鎖という新しい世界で、Postmatesがどのように生きてきたかかを垣間見ることができる。

Postmatesは第1四半期に7300万ドル(約77億円)の損失を計上したのに対して、第2四半期はわずか3220万ドル(約34億円)の損失を計上しただけで、現金消費がほぼ半減した。一方、最新の決算報告書によるとUber Eatsは、第1四半期に2億8600万ドル(約302億円)、第2四半期には2億3200万ドル(約245億円)の損失を出しており、約20%の改善となっている

全体として、Postmatesは2019年の2億3900万ドル(約252億円)を失ったが、2020年上半期は1億520万ドル(約111億円)を失っている。

Uberは本日の提出文書を通じて、Postmatesの資本政策表の詳細を初めて公開している。完全希薄化ベースで、Postmatesの最大株主はTiger Globalで、同社の27.2%を保有している。次がFounders Fundの11.4%、Spark Capitalが6.9%、GPI Capitalが5.3%と続いている。

Uberの26億5000万ドルにおよぶ全株の株式取引では、Tiger Global約7億2000万ドル(約760億円)、Founders Fundは3億200万ドル(約319億円)の利益を得ているが、これには同社の一部オーナーが保有している優先株や配当は含まれない。

PostmatesとUberは国レベルでの独占禁止法の審査を受け続けているが、両社はそれぞれの国でも法的な圧力に直面している。Uberは本日の文書の中で、カリフォルニア州のAB5法案により、UberとPostmatesが逆風の中にあることを指摘している。しかしながら同社は、このような訴訟は「それ自体が、いずれかの当事者にも取引を終了させる権利を生じさせるものではない」と述べている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー

タグ:Postmates Uber

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

2040年の完全ゼロエミッションを約束するUberが車両の電動化に850億円を投入

ライドシェアサービスの最大手Uber(ウーバー)は、2040年までに完全なゼロエミッションを実現すると約束し、2025年までに契約ドライバーの車を電気自動車に切り替えさせるための専用の予算として8億ドル(約850億円)を確保する計画だ。

Uberによると、事業展開している米国、カナダ、ヨーロッパの各都市での移動を100パーセント電動化する目標を定め、マイクロモビリティー事業の電動化にもさらなる投資を行う予定だという。さらに、企業活動全体から排出される二酸化炭素も含め、2030年までには完全にゼロエミッションにするとUberは話している。

予定通りに進めば、Uberの事業は、パリ協定が目標に定めた2050年より10年前倒しで必要な条件を満たすことになる。

その鍵となるのは、新規と既存事業の拡大を含む4つの取り組みだと同社は声明で説明した。

第1のステップは、米国とカナダの15の都市で開始するUber Green(ウーバー・グリーン)だ。客は、追加料金を支払うことで、電気自動車またはハイブリッド自動車を選んで呼べるようになる。2020年末までには、世界の65の都市で同サービスが導入される。Uber Greenで乗車した利用者は、Uber Rewards(ウーバー・リワード)の獲得ポイントが、通常のUberX(ウーバーエックス)を利用した場合の3倍になると同社は話している。

世界をよりグリーンにするためのUberの第2のステップは、車両を電気自動車に切り替えるための予算8億ドルの確保だ。この切り替えには、グリーンな車両を選択した利用者が支払うサーチャージ1ドル(約106円)と、ロンドンとフランスのクリーンエアー計画のために同社が料金から徴収する資金も活用される。ヨーロッパの都市で営業するドライバーの車の電動化を目的とした15セント(約16円)のサーチャージは、すでに2019年1月から徴収されている。

2018年2月22日木曜日、ニューデリーで開かれたイベントで語るUber Technologies Inc.(ウーバー・テクノロジーズ)のCEO、Dara Khosrowshahi(ダラ・カスロウシャヒ)氏。日本を訪れた間、カスロウシャヒ氏は撤退するとの憶測に反して、特定のアジア市場においても野心は縮小しないと明言した。画像クレジット: Anindito Mukherjee/Bloomberg via Getty Images

米国とカナダのドライバーの意欲を高めるために、Uberは、Uber Greenの利用客が支払いを完了した乗車1回につき50セント(約53円)の手当てをドライバーに支払うことにしている。電気自動車を使っているドライバーには、Uberから直接、別の報酬ももらえる。電気自動車での乗車が完了するごとに、1ドル50セント(約159円)の手当てが上乗せされるのだ。

また、米国とカナダではGMと、ヨーロッパではルノー・日産との提携により、Uberのドライバーは電気自動車を割り引き価格で購入できるという優待制度もある。Avis(エイビス)とも協力して、米国のより多くのドライバーが電気自動車をレンタルできるようにする計画もある。同時にBP(ビーピー)、EVgo(イーブイゴー)、Enel X(エネル・エックス)、EDF(フランス電力)が運営するIzivia(イズビア)、PowerDot(パワードット)といった企業と協力して新しい充電ステーションを増やす予定だと同社は話している。

Uberはまた、ロボットによるバッテリー自動交換のアイデアを復活させ、新しい車両への充電に関する不安を取り除く取り組みも進めている。現在は、独自のバッテリー交換技術を開発するサンフランシスコの若いスタートアップであるAmple(アンプル)と、インドの電気自動車運用企業であるLithium Urban Technologies(リチウム・アーバン・テクノロジーズ)と協力している。

さらに、Uberの既存のマイクロモビリティーネットワークをベースに、Lime(ライム)が提供するバイクとキックスクーターの、このネットワークへの統合を深め、安全性の確認が取れ次第、シェアリング事業を拡大する考えだ。加えて、Journey Planning(旅行プラン)プログラムの機能を拡大して、料金帯、スケジュール、鉄道の駅から、または駅までの経路などが調べられるようにする。アプリで公共交通機関のチケットが買えるサービスは、10の都市で始まっている。さらにUberは、シカゴとシドニーで、行きたい場所までの車と公共交通機関を使った旅行プランが立てられる新機能を公開した。

最後にUberは、2017年から2019年までの米国とカナダでの同社の事業による二酸化炭素排出量を分析した初の気候評価と業績報告を発表した。1人乗車の場合よりも効率が高いという同社が得た結果は当然のものと思える。しかし、平均的な乗車人数の場合よりも排出原単位は高いことも同社は公表している。つまり、自家用車に2人が乗った場合よりも、Uberのドライバーが客を探して走っているときのほうがカーボンフットプリントが多いことを意味している。

電気自動車への移行の勘定を乗客に押しつけるのは、あまりいいやり方とは思えない面もあるが、これらの取り組みはすべて、カーボンフットプリントを減らすための、まだまだ長い道のりを進もうとするUberの前向きな一歩だ。

カテゴリー:モビリティ

タグ:ライドシェア Uber 二酸化炭素 電気自動車

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(翻訳:金井哲夫)

ロシアYandexがUberとのJVから自動運転事業をスピンアウト、159億円を新会社に投資

自動運転車が実際に普遍的な存在になるまでにはまだ何年もかかる。だが実現したときに最前線に立っているための戦略の一環として、自動運転車の開発や普及に向けた大きな取り組みの1つが今日、重要な一歩を踏み出した。ロシアで検索エンジンとしてスタートした上場ハイテク大手で、米国のGoogle(グーグル)と同じように多くの関連分野に手を拡げたYandex(ヤンデックス)が9月4日、Uber(ウーバー)との合弁事業(JV)で配車サービスと料理宅配を行うMLU BVから自動運転事業をスピンアウトすると発表(Yandexリリース)した。

YandexとUberが昨年MLUのIPOを目論んでいたという報道も(Bloomberg記事)ある中での動きとなった。当時、合弁会社のバリュエーションはおよそ77億ドル(約8160億円)と見られていた。新型コロナウイルスが世界中の配車サービスと料理宅配ビジネスに大きな圧力となり、全般的にIPOが1年前と比べて減少している状況で、MLUのIPO計画がこの数カ月でどう影響を受けたのかは定かではない。

その意味で、同ユニットのスピンアウトはMLUの経済性とコストベースを改善する可能性があるが、Yandexは自動運転への集中投資のためだと述べている。

「Yandexのスピンオフの動機は2つある」と広報担当者は述べた。「ビジネスの観点からは、成長性が高く戦略的に重要なビジネスへの投資を増やすということだ。テクノロジーの観点からは、自動運転技術は実行可能なビジネスとなるべく急速に前進している」

広報担当者はまた、モビリティユニットのIPOは「現在は優先事項ではない。今のところIPOは検討していない。Yandex.Taxi(ヤンデックスタクシー)は、他のYandexビジネスとの相乗効果からさらに多くのものを得ることができると確信している」と付け加えた。

スピンアウトの一環として、Yandexは1億5000万ドル(約159億円)を投資した。同社によると1億ドル(約106億円)の出資と5000万ドル(約53億円)の転換社債が含まれる。同社はこれまでこの事業におよそ6500万ドル(約69億円)を投資したと付け加えた。Yandexは今回のプロセスでUberが保有する株式の一部を買い取り、スピンアウトされる事業の株式の73%を保有する。Uberは19%を保有し、残りの8%はYandex自動運転グループ(SDG)の経営陣と従業員が持つ。

YandexのCEOで共同創業者のArkady Volozh(アルカディ・ボロズ)氏は声明で「当社の事業の戦略的に重要な部分への投資を増やせることを喜んでいる」と語った。「自動運転の分野で、極めて短期間に画期的な成果を達成した。巨大な市場があり、安全で費用対効果の高い交通手段としての自律的モビリティの未来を強く信じている。SDGへの追加投資により自律型モビリティの研究開発と製品化を引き続き追求できる」

自動運転ユニットを担当していたDmitry Polishchuk(ドミトリー・ポリッシュチャック)氏が新しい自動運転グループのCEOに就任する。

Yandexは自動運転ユニットとMLUのいずれのバリュエーションも開示していない。UberがIPOに先立ち、収益性が低く競争が激しい国際事業の一部を売却する戦略の一部(未訳記事)として、2017年に最初のスピンアウトを実施したとき(未訳記事)、MLUの事業全体のバリュエーションは37億2000万ドル(約3940億円)だった。言い換えれば、少なくともいくつかの見積もりに基づけば、それ以来バリュエーションは2倍以上になったということだ。

その間、MLUは特定の地域における拡大のためにいくつか買収を実施(未訳記事)しており、カーシェアリング事業などいくつかの事業を筆頭株主から引き継いだ(Yandexリリース)。なお、現在MLU JVの事業に含まれていない理由は正直わからない。

とにかく自動運転車ユニットは大きく前進した。これには、ロシア、イスラエル、米国における合計約130台の試験車両の開発も含まれる。さまざまな都市や気象条件における自動運転で合計400万マイル(約644万キロメートル)の走行距離を記録した。走行は自動運転会社がAIアルゴリズムに動きを「教える」重要な部分だ。同ユニットはHyundai(ヒュンダイ)との契約(未訳記事)のように、自動車メーカーに技術のライセンスも行っている。

Yandexはまた、2018年に立ち上げた同社のロボタクシーサービスを欧州で最初に展開すると主張している。また、独自の自動宅配ロボットYandex.Rover(ヤンデックスローバー)も開発しており、これも自動運転ユニットが引き継ぐ。

Googleの親会社であるAlphabet(アルファベット)の自動運転部門であるWaymo(ウェイモ)と同様、Yandexの自動運転車ユニットの理論的背景は、Yandexの強力なエンジニアリングチームが開発・展開する知的財産を活用すればコストが抑えられるということだ。

Yandexによると、この契約はスピンオフ後も継続し、会社のインフラやリソースなどへのアクセスは確保される。商業的な成果を得る手段として、開発した技術を、MLUの配車事業と料理宅配事業の中心を形成するYandex.Taxiだけでなく他のeコマースや物流事業にも販売し続ける。

Yandexは上場会社であり、現在の時価総額は約230億ドル(約2兆4000億円)。引き続きYandex SDGの損益を連結し、その収益を「その他の賭けと実験」カテゴリーの一部として報告する予定だ。

画像クレジット:Alexander RyuminTASS / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

州判事がUberとLyftの仮処分停止要求を受け入れ、カリフォルニアでの両社の事業停止を回避

米国カリフォルニア州の控訴裁判所の判事がUberとLyftの要求を受け入れた。これは、ドライバーを従業員として雇用するように企業に求める仮処分は米国時間8月21日には発効しないことを意味する。裁判所では現在、UberとLyftの控訴を審理し、第一審の判決を覆そうとしている。この訴訟の口頭弁論は10月中旬に予定されている。

「控訴裁判所がこの訴訟で提起された重要な疑問を認めてくれたこと、そしてドライバーが自由に仕事をする権利を擁護し続けている間、これらの重要なサービスへのアクセスが遮断されることがないことをうれしく思います」とUberの広報担当者はTechCrunchに語った。

UberとLyftは9月上旬までに、カリフォルニア州で上訴に敗れたり、Prop 22(ドライバーの労働条件に関する法律)が可決されなかった場合、運転手を従業員にする方法についての計画概要を発表する必要がある。本日の早い段階で、Lyftは8月21日の夜にサービスをシャットダウンするとのブログ記事を投稿していた。明らかに、Lyftはこの状況に飛びついたかたちだ。

「今夜操業を停止することはありませんが、ドライバーのための独立性と利益のために戦い続ける必要があります」とLyftの広報担当者はTechCrunchに語った。「11月の投票で決まるドライバーが望む解決策が通らなければ、アプリベースのプラットフォームで稼ぐカリフォルニア州民の80〜90%がその機会を失うことになります」と続ける。

今月、UberとLyftの両方は法廷で「ドライバーを独立した契約社員として分類し続けることがを許可すべきだ」と主張(未訳記事)した。裁判官はこれに異議を唱え、8月21日からドライバーを従業員として待遇することを強制する仮処分命令を両社に出した。これを受けて両社は、カリフォルニア州での事業を一時的に停止せざるを得ないと述べた。米国時間8月20日、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はVox Mediaのポッドキャストで「Uberは5万人のドライバー全員をひと晩で雇うことはできない」と語った。

「我々の事業は稼ぎたい人と運送や配達を希望する人をマッチングするプラットフォームをベースにしています。一朝一夕には変えられません。時間がかかると思いますが、カリフォルニアで事業を続行する方法を見つけたい。私たちはカリフォルニアにいたいのです。しかし裁判になれば会社を閉鎖せざるを得なくなり、世界最高のエンジニアがどうすればこの会社を再建できるかを考え出す必要が出てきます。仮に、ドライバーを従業員として雇用するモデルに移行することになった場合、ドライバーの生産性を保証しなければなりません。雇用されるドライバーの数ははるかに少なくなると考えています。私の推測では、労働時間の柔軟性を求めてUberを利用しているユーザーの70~80%は、5〜10時間程度の運転では稼げなくなるでしょう。運賃は上がってしまうでしょう。サンフランシスコでは20%程度上がると思います。小都市ではさらに上昇するでしょう」とコスロシャヒ氏。

UberがProp 22で提案しているのは、基本的にギグワーカーを分類する第3の方法だが、ギグワーカーの労働環境改善を目標とする団体Gig Workers Collective(ギグワーカーズ・コレクティブ)の共同創設者であるVanessa Bain(ヴァネッサ・ベイン)氏は、第三の方法は「でたらめだ」と昨日のVox Mediaのポッドキャストで語った。「現在の法律で認められている範囲をはるかに超えています。」と同氏。

以下にこれまでの経緯を時系列で記しておく。

2020年1月1日
Assembly Bill 5(集会法案第5号)が成立。2018年12月に初めて導入されたこの法案は、Dynamex Operations Westとロサンゼルス最高裁判所で争われた訴えの判決を体系化したものだ。この裁判では、DynamexはABCテストと呼ばれる当該判断基準によって、労働者を独立請負業者として不当に分類したとの判決が下された。ABCテストでは雇用事業体が労働者を法的に独立請負業者に分類するために、「A:労働者が雇用事業体の管理と指示から自由であること」「B:事業体の事業範囲外で作業を行っていること」「C:定期的に行われる業務と同じ性質の独立した取引、職業、または事業に従事していること」を証明しなければならない。

2020年5月
カリフォルニア州のXavier Becerra(グザビエ・ベセラ)司法長官は、ロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコの各市の弁護士とともに、UberとLyftが労働者を独立した請負業者として誤分類することで、不当かつ違法な競争上の優位性を得ていると主張する訴訟を提起(未訳記事)。

この訴訟では、UberとLyftは労働者から最低賃金、残業代、有給の病気休暇、障害保険、失業保険の権利を奪っていると主張している。サンフランシスコの高等裁判所に提訴されたこの訴訟は、カリフォルニア州不正競争法に基づく違反、場合によってはドライバー1人あたりに対して2500ドル(約26万5000円)、高齢者や障害者に対する違反に対してはさらに2500ドルの罰金支払いを求めていた。

2020年6月
ベセラ司法長官らが、UberとLyftに対して運転手を直ちに従業員に分類するよう強制することを求める仮処分の申し立て(カリフォルニア州裁判所プレスリリース)を行う。

2020年8月6日
カリフォルニア州高等裁判所のEthan P. Schulman(イーサン・P・シュルマン)判事が仮差し止め命令に関する聴取を開始。公聴会でUberとLyftは、差止命令によって多くのドライバーをフルタイムまたはパートタイムで雇用しない方法で事業を再構築する必要があると主張していた。UberとLyftの主張は事実上、ドライバーを従業員に分類することは雇用の喪失につながるというものだ。

「差止命令案は、LyftとUberに取り返しのつかない損害を与え、実際にはドライバーに大規模な損害を与え、乗客にも損害を与えるだろう」とLyftの弁護人であるRohit Singla(ロヒト・シンラ)は公聴会で述べている。

例えば、Lyftは雇用適格性を確認するI-9 Formを処理するだけで数億ドルのコストがかかると見積もっている。そのフォームを提出するだけなら何のコストもかからないが、UberとLyftは人材や給与計算のプロセスにさらなる投資をしなければならないのだ。

2020年8月9日
シュルマン判事が仮処分を認め、2020年8月20日の発効が決まる。

シュルマン判事は命令書に「裁判所は、差止命令の実施にはコストがかかるという幻想を抱いていない。被告がA.B.5を遵守するには、運転手の労働力を雇用・管理するための人事スタッフの雇用など、商習慣の性質を大きく変えなければならないことは疑いようがない」に書いている。

UberとLyftはこれを受けて、それぞれ緊急上訴を行う予定を明らかにした

2020年8月12日
Uber CEOのコスロシャヒ氏は「裁判所が仮処分命令を覆さない場合、Uberはカリフォルニア州で一時的に営業を停止しなければならない」と述べた。Lyftも「カリフォルニアでの営業を一時的に停止せざるを得なくなるだろう」(The Verge記事)とコメントした。

2020年8月13日
シュルマン判事がUberとLyftの上告を棄却。Uberは別の上告を行う予定であるとし、Lyftは州の上告裁判所にさらなる差し止めを求めるとしている。

2020年8月14日
Lyftがカリフォルニア州の控訴裁判所に即時停止の要請を提出。

2020年8月17日
Uberがカリフォルニア州の控訴裁判所に緊急停止要請を提出。

2020年8月19日
カリフォルニア州の控訴審で、Uberが緊急停止要請を申請。サンディエゴとサンノゼの市長が控訴裁判所にUberとLyftの申し立てを認め、差止命令を停止するよう求める。

今後の展望

2020年11月
カリフォルニア州民は、Uber、Lyft、DoorDashが主に資金提供しているProp 22法案に投票する。Prop 22は、ギグワーカーを独立した請負業者として分類することを目的としている。この法案が可決されれば、運転手や配達員は、日本でいう源泉徴収票を発行しなければならないForm W-2の従業員として分類される、新しい州法の適用を免除されることになる。

この投票法案は、仕事中に最低賃金の少なくとも120%の収入保証、経費のための1マイルあたり30セント、医療費、仕事中の怪我のための労災保険、差別やセクハラからの保護、自動車事故と賠償責任保険を実施することを目指している。

画像クレジット:Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

UberとLyftはドライバーを強制的に従業員とする判決の仮差し止め延期に失敗、カリフォルニアでの事業停止か

UberとLyftは、ドライバーを従業員として雇用することを強制する仮差し止め命令について、この執行を遅らせる動議を拒否された。カリフォルニア高裁の判事は米国時間8月13日に、命令の発効を8月20日以降に遅らせることを求める両社の要求を拒否した。

その決定は法律闘争の契機となり、命令の執行延期に失敗したら両社はほぼ確実にカリフォルニアにおける操業を一時的に中断するだろう。UberはTechCrunchに「可及的速やかに控訴する計画である」ことを確認した。Lyftによると、直ちに控訴して命令の執行延期を求めるが、その再審申し立て動議は今週末までに提出するという。

米国時間8月10日にカリフォルニア高裁判事Ethan Schulman(イーサン・シュルマン)氏は、UberとLyftに彼らのドライバーを正規の従業員とすることを強制する仮差し止め命令を認めた。「その命令は8月20日に発効する」とされた。判事は、その命令がUberとLyftの事業慣行の性質を大きく変えること、および仮差し止めの実施が両社の財務上の負担増になることを認めている。しかしながらそのような困難が、ドライバーの職階を企業の従業員とするという裁判所の決定を揺るがすことはありえない。その決定によりUberとLyftがドライバーたちに失業保険などの福利厚生を提供しなくてはならなくなることも変わらない。

カリフォルニアの司法長官であるXavier Becerra(ザビエル・ベセラ)氏とロサンゼルス、サンディエゴ、およびサンフランシスコの地区検事は、UberとLyftに対する訴訟を起こして、両社にAB 5(カリフォルニアの労働新法)への準拠を求めていた。

Uberの弁護士が動議で求めたのは、控訴裁が高裁の裁定の是非を判定するまでは仮差し止めの執行を延期することだ。弁護団は「仮差し止めが発効したらUberはほぼ確実にカリフォルニアのライドシェアプラットホームの閉鎖を強制され、それはUberとライドシェアアプリに収入を依存している者およびその家族に、取り返しのつかない損害を与える。しかも今は、パンデミックの最中である」と主張した。

両社は今週「仮差し止め命令の発効がさらに延期されなければ営業を停止することになる」とコメントした。少なくともUberによると、それによってさらに大掛かりな変化が起こり、カリフォルニアを永遠に去らなければならなくなるかもしれないという。

この法律闘争とは別にUberとLyftは、州法Prop 22のサポートを狙っている。それは11月の選挙のときに州民の投票により承認または否認の機会が与えられる。

Prop 22では、UberやLyftのような企業は、AB 5に指定されているさまざまな保護を提供しなければならない。それによると、ドライバーは州の最低賃金の120%を保証され、1マイルあたり30セントの経費を認められ、健康保険や労災保険、差別やセクハラに対する保護、自動車事故の加害者となった場合の保険などが給付される。

なぜそれがUberやLyftにとって魅力的かというと、Prop 22ではドライバーが独立の契約労働者なのだ。会社の正規の従業員ではない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uber CEOが「カリフォルニア州で労働者の再分類の裁定を巡りサービスを一時停止する」と発言

Uberは「運転手を正社員に分類する最近の判決を裁判所が覆さなければ、カリフォルニア州でのライドシェアアプリの数カ月間の停止を余儀なくされる可能性がある」とCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はMSNBCのインタビューで語った。

「すぐに正社員に切り替えられるとは思えない。一時的に会社を閉鎖せざるを得なくなるだろう」と指摘した。同氏のコメントは、裁判所の判決に続いてUberが米国時間8月11日に提出した申し立ての内容と一致している。Uberの株価は昼間の取引で約1.4%下落した。

8月10日にカリフォルニア州高等裁判所のEthan Schulman(イーサン・シュルマン)判事は、UberとLyftが運転手を従業員に再分類することを強制する仮処分命令を下した。この命令は10日後に発効するように設定されている。判事は、この命令がUberとLyftの商習慣の性質を「重要な方法で」変えることになり、差し止め命令の実施には「コストがかかる」と認めた。今回の仮処分の最も難しいのは、UberとLyftが失業保険やその他の給付金を提供することを余儀なくさせる部分だが、ドライバーを従業員として扱うことという裁判所の決定を覆すことができなかった。

カリフォルニア州のXavier Becerra(グザビエ・ベセラ)司法長官は、ロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコの市の弁護士とともに、UberとLyftに対してAB5の遵守を強制するための訴訟を起こした。

Uberの弁護士は8月11日に提出された動議で「控訴裁判所が判決が妥当かどうかの判断を下す間、差止命令を停止すべきだ」と要求した。弁護士は「差止命令が発効した場合、Uberはほぼ確実にカリフォルニア州のライドシェアプラットフォームをシャットダウンすることを余儀なくされるだろう、Uber、そしてサービスに依存しているドライバーとその家族が収入を得るため手段が絶たれ、取り返しのつかないほどの害を与えるだろう。特にパンデミックの真っ只中では」と主張した。

画像クレジット:Scott Heins / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

UberとLyftにドライバーを従業員として扱うようカリフォルニア州最高裁が命令

カリフォルニア州最高裁判所のEthan Schulman(イーサン・シュルマン)判事はUber(ウーバー)とLyft(リフト)にドライバーを従業員として扱うよう、仮差し止め命令を出した。この命令は10日以内に発効することになっている。

「差し止めでコストが発生することを裁判所は認識している」とシュルマン判事は命令書に書いた。「被告人はA.B. 5に則るために、ドライバーを雇用・管理するための人事担当スタッフを雇うなどして事業慣行の在り方を大きく見直さなければならないことに疑いの余地はない」。

差し止め命令の発効まで10日の猶予があり、Uberはすぐさま上訴すると同社の広報担当はTechCrunchに述べた。

「ドライバーの大半は独立して働きたいと考えている。当社はカリフォルニア州法に則るためにすでにアプリにかなりの変更を加えている」と広報担当は話した。「カリフォルニア州の300万人超が失業しているいま、選挙で選ばれたリーダーたちは経済低迷中に産業を潰そうとするのではなく、雇用創出に注力すべきだ」。

今回の判決に先だちシュルマン判事は先週、双方の主張を聞き取った。カリフォルニア州司法長官であるXavier Becerra(ザビエル・べセラ)氏、それからロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコの法律顧問がUberとLyfthにAB 5法の遵守と、ドライバーを独立請負業者として分類することをただちに止めるよう求めて提訴していた。

「ドライバーは従業員になりたいとは思っていない。それがすべてだ」とLyftの広報担当はTechCrunchに語った。「当社はただちに上訴し、ドライバーの独立のために引き続き戦う。究極的にはこの問題はカリフォルニアの選挙民によって決められるもので、人々はドライバーの味方だと確信している」。

命令の中でシュルマン判事は、UberとLyftがAB 5に違反しているとの原告の訴えが勝る、と述べている。AB 5はDynamex Operations West(ダイナメックスオペレーションウェスト)対ロサンゼルス最高裁判所の裁判で2018年に下された裁定を成文化している。この裁判で裁判所はABCテストを適用し、Dynamexが「雇用主のためにサービスを提供する労働者は賃金や福利厚生について主張できる従業員である」という推定に基づいて労働者を誤って独立請負業者と分類したと裁定した。

ABCテストによると、雇用主が労働者を法的に独立請負業者として分類するには、A:労働者は雇用主の管理や指示を受けていない、B:雇用主の事業以外の業務も行っている、C:定期的に独立性が確立された仕事に従事している、という3点を証明しなければならない。

UberとLyftが労働者を独立請負業者として誤って分類することで不公平で違法な競争優位を得ている、として仮差し止めを求める訴訟が2020年5月に起こされた。訴訟はUberとLyftが労働者から最低賃金や超過労働手当、有給傷病休暇、傷害保険、雇用保険を奪っていると主張している。サンフランシスコ上級裁判所に起こされた裁判では、不正競争防止法に基づいて各違反ごと、ドライバー1人あたりに対して2500ドル(約27万円)の罰金を求めている。

「何年もの間、労働者は法に従わない巨大ギグ企業による誤った扱いに対し、団結して声を上げてきた」とUberのドライバーでGig Workers RisingのメンバーであるEdan Alva(エダン・アルヴァ)氏は声明で述べた。「我々が直面している不当な扱いがあまりにひどく、正義を待てないと司法長官は主張してきた。今日、裁判所は企業ではなく労働者の肩を持った。誤って分類された何千ものギグワーカーは賃金、福利厚生、保護、法的根拠のある従業員ステータスを手に入れる。UberとLyftが法に従わなければならないのは明白だ。ギグ企業が投票イニシアチブProposition 22に1億1000万ドル(約117億円)を注ぎ込み、そうした資金を尊厳と敬意を持った適切な労働者の扱いに再投資するという我々の要求は揺るぎないものだ」。

画像クレジット:Photo by Lane Turner/The Boston Globe via Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Uber Eatsはライドシェア事業より大きくなったが、まだ利益は出ていない

米国時間8月6日にUberは第2四半期の決算報告を発表した。その派手な数字の中に、同社が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中に大きく変わったことを示す驚くべき数字が隠れていた。

Uber Eatsの名で知られているUberのデリバリー事業は、調整後の純収益は同社の創業時からの本業であるライドシェアリング事業よりも大きい。この調整後の純収益は、Uberの進化を物語るごく一部にすぎない。Uberのデリバリー事業の場合は、収益や損失も重要だ。

しかしそれでも過去1年、特に過去2四半期の変化を見れば、Uberの戦略が変わったことは明らかだ。そして今や、すべてデリバリーの方を向いている。

深く掘り下げる前に、決算をざっと見ておこう。

Uberの2020年第2四半期は純損失が17億8000万ドル(約1890億円)で、前年同期の52億4000万ドル(約5550億円)と比べて減少した。2019年に株式を公開したため、さまざまな一度限りの現金支出以外の費用が生じた。同社の損失は1株当たり1.02ドルになる。それでも、アナリストたちが予想した1株当たり0.86ドルの赤字を上回るものだった。

Uberは同四半期の収益性では予想を下回ったが、売上高は投資家たちが予想した21億8000万ドル(約2310億円)を上回った。

デリバリーへの移行

同社のさまざまなビジネスを評価するためには、需要な3つの柱がある。その中の2つが、Uberの経営成績に実質的な影響を与えている。それがモビリティ(ライドシェア)とデリバリー(Uber Eats)だ。この2つは、2020第2四半期においてどうだったのだろうか。

  • モビリティの利用総額:30億5000万ドル(約3230億円)
  • デリバリーの利用総額:69億6000万ドル(約7370億円)

上記のうち純収益(売上)は、

  • モビリティの調整後純収益:7億9300万ドル(約840億円)
  • デリバリーの調整後純収益:8億8500万ドル(約940億円)

そして上記からの調整後利益と調整後損失は

  • モビリティの調整EBITDA:5000万ドル(約50億円)
  • デリバリーの調整EBITDA:-2億3200万ドル(約250億円)

となる。

ご覧のようにUberのフードデリバリー事業は取引量ではるかに稼いでいる。しかしテイクレート(総支出のうち収益として維持できる部分)はライドシェアの方が大きいため、調整後純収益は近い数字となっているが、やはりデリバリーの方がモビリティを上回っている。

調整後の利益となると、Uberの伝統的なコアビジネスであるライドシェアの結果が良く、調整後のEBITDAがプラスになっているが、同じ利益計算方法ではデリバリーは損失になる。

2020第1四半期では、モビリティの利用総額と調整後純収益、および調整EBITDAがデリバリーより大きかった。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が及ぶ第2四半期では、この3つの数字のうち2つの順位が逆転している。今後ライドシェアが回復した場合、この数字がどの程度の速さで変化するかはわからない。しかし今日の決算報告からいえるのは、もはやUberが空港に利用者を連れて行くことよりも、食べ物を運んでくれることを重視していることが明らかであり、米国の企業にとってこれは大きな変化だ。

はっきりしているのは、Uberのライドシェアサービスは今後も継続するということだ。新型コロナパンデミックの荒波を乗り切り、より安定した時代に収益を上げる可能性を強化するために、Uberはデリバリーとライドシェアの2つを頼りにしている。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、8月6日に「はっきりしてきたのは、2つのコアビジネスには非常に価値あるヘッジがあり、今後の回復シナリオにおいても、それが重要なアドバンテージになる。移動制限が解除されれば、当然モビリティは回復する。制限が継続したり、再度制限される場合は、デリバリーサービスで埋め合わせできるだろう」と語っている。

グラフではこうなる

Uberの第2四半期の本稿関連部分を、Uberが投資家のために作ったスライドを見てよう。

まず、同社のモビリティの数字。

画像クレジット:Uber

そしてこれが、デリバリーの結果だ。

画像クレジット:Uber

関連記事:UberのQ2売上高は29%減の約2365億円、好調の配達事業の赤字幅は縮小

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タグ:Uber決算発表Uber Eats

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

UberのQ2売上高は29%減の約2365億円、好調の配達事業の赤字幅は縮小

米国8月6日の株式取引開始直後に米国の配車サービス大手Uber(ウーバー)は第2四半期決算を発表した。

同社の売上高は2019年第2四半期、そして2020年第1四半期に比べて減少した。投資家らは新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による減少を懸念し、同社は今年初めにどのような状況であれ同社が2020年の事業費を賄えるだけの十分な現金を持っていると投資家らを安心させるのに時間を割いていた。

第2四半期のUberの利用総額は前年同期比35%減の102億ドル(約1兆780億円)だった。その結果、売上高は22億4000万ドル(約2365億円)で、31億7000万ドル(約3350億円)だった前年同期から29%減った。純損失は、前年同期の52億4000万ドル(約5530億円)から減って17億8000万ドル(約1880億円)だった。同社は昨年上場し、その際1度限りのさまざまな非現金コストが発生した。

同社の純損失は1株あたり1.02ドル(約107円)の損失となった。決算発表に先立ってアナリストは1株あたり0.86ドル(約90円)の損失を予想していた。同社は第2四半期で黒字化を達成できなかったが、売上高は投資家らが予想していた21億8000万ドル(約2300億円)を上回った。

Uberの株価は、決算を受けて時間外取引で4%強下げている。

第1四半期との比較

2020年第1四半期に比べて決算内容がどうだったのかをみてみよう。結論をいうと、よくなかった。

2020年第2四半期にUberは、第1四半期の1株あたり損失が1.70ドル(約180円)で売上高は35億4000万ドル(約3740億円)だったと発表した。第1四半期は29億4000万ドル(約3100億円)の赤字だった。前述したように、第2四半期の1株あたりの損失は1.02ドルとなったが、一方で売上高は22億4000万ドルに減少した。ゆえに売上高は前期比36.7%減となった。

さらに見ると、Uberは第2四半期に配車サービスで7億3700万ドル(約780億円)を売り上げた。第1四半期は16億6000万ドル(約1750億円)だった。利用総額も第1四半期の157億8000万ドル(約1兆6700億円)から35%落ち込んだ。

この猛吹雪のような数字の中にいくつか良いニュースもあった。UberのFreightとEatsの事業は赤字だったが、赤字幅は減少した。

「配達」部門の調整後EBITDA(償却前営業利益)は、第1四半期の3億1300万ドル(約330億円)の損失から、第2四半期には2億3200万ドル(約245億円)の損失へと損失幅が縮小した。Uber Freightの調整後EBITDAは第2四半期に4900万ドル(約52億円)の損失で、第1四半期の6400万ドル(約68億円)よりも縮小した。

変わりつつある事業

Uberの第2四半期は変動期だった。前年同期に比べると、配達事業(以前のUber Eats部門)は調整後純収益が前年同期比162%増と大幅に伸びた。同時に、モビリティ部門(以前のRides部門)の調整後純収益は同66%減となった。

人々が外出を控えたため配車サービス事業は大幅に落ち込んだが、そうした人々はフードデリバリーを注文した。フードデリバリーへの予約のミックスシフトは配車サービスの損失をかなり埋めたが、それでも完全にではない。

かつて黒字化達成の鍵を握っていた配車サービスの第2四半期の調整後EBITDAはわずか5000万ドル(約53億円)だった。これは前年同期より4億6500万ドル(約490億円)少なく、今年第1四半期からも5億3100万ドル(約560億円)少なかった。

「モビリティの回復は明らかに公衆衛生状況次第だ」とCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は決算会見で述べた。「アジアとインドは回復基調にある。香港とニュージーランドの利用総額は新型コロナ前の最高額を上回っていて、欧州の動向もまた期待できるものだ」

一方、米国の回復は遅れている。同社が世界中で事業を展開しているのはアドバンテージだ、とコスロシャヒ氏は指摘した。そして経済活動が再開したら人々の移動は急激に戻る、とも述べた。

配車サービスが衰えた一方で、にわかに稼ぎ頭となっている配達事業は前年同期、そして前期から赤字幅を縮小した。第2四半期の調整後EBITDA損失は2億3200万ドル(約245億円)で、前年同期の2億8600万ドル(約300億円)の損失から5000万ドル(約53億円)以上少なくなった。2020年第1四半期の配達事業は3億1300万ドル(約330億円)の調整後損失を計上した。

当然のことながら、利用減少の大半はUberの手に負えないものによる。しかしグローバルパンデミックと経済の一時停止が2019年のIPOに多大な影響を及ぼしたことが見て取れる。

Uberの第2四半期の期末残高(現金、現金同等物、短期投資)は78億ドル(約8200億円)で、前期末は90億ドル(約9500億円)だった。

画像クレジット: ANTHONY WALLACE

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(翻訳:Mizoguchi

英国のUber運転手らがアルゴリズム説明責任をめぐりUberを提訴

英国のUber(ウーバー)運転手の一団が、オランダにある同社の子会社に対し、個人データを開示しアルゴリズムに関するアカウンタビリティー(説明責任)を果たすよう求める訴えを起こした

ウーバーの運転手とUber Eats(ウーバーイーツ)の配達業者は、同社がプロファイリング、およびデータに基づくアルゴリズムによって、欧州のギグワーカーをどのように管理しているかを公開するよう求めるこの訴訟に加わることができる。この訴訟を起こしたプラットフォーム労働者たちはまた、EUデータ保護法で定められている、データ開示に関する他の権利も行使することを求める考えだ。

折しも欧州委員会が人工知能の利用をリスクの重大さに基づいて規制するための枠組みを早急に策定しようとしている中で起きた今回の訴訟は、既存の法的な保護体制の下で、自動化された決定がどこまで規制されているのかを確認できる非常に興味深い事例になりそうだ。

AI技術の利用事例の多くに適用されるのは、今後も引き続き、現存の一般データ保護規則(GDPR)で定められている保護規制のみになると予想される。そのため、最先端のデータドリブン型プラットフォームという文脈において現行の保護体制の規制力がどこまで及ぶかを確認することは重要である。

欧州委員会はまた、今年末にも成立させたいと考えている「デジタルサービス法」によって、プラットフォーム運営企業の責任を明確化する規制の強化を図ろうとしており、その一環として、データモビリティやプラットフォーム労働者の権利などの関連事項についても積極的に取り組んでいる。そのため、今回のウーバーに対する訴訟は非常にタイムリーだと言える。

ロンドン、バーミンガム、ノッティンガム、グラスゴーのウーバー運転手で構成される原告団は、本日(米国時間7月20日)、アムステルダムの地方裁判所で申し立てたこの訴訟を通して、巨大テック企業ウーバーがGDPRを順守していないことを訴え、直ちにGDPRを順守することと、順守が遅れる場合には罰金として1日あたり1万ユーロ(約124万円)を支払うことを同社に命ずる判決を求める考えだ。

原告団はまた、ウーバーのプラットフォームが持つ個人データを、同原告団が設立を希望するデータトラスト(非営利団体が運営)に移すことを可能にする要求に従うよう同社に命じる判決も求める予定である。

Uber U.K.(英国ウーバー)側は、データ開示要求に従うべく鋭意努力していると話し、さらに、要求されたデータを開示できない場合はその理由を説明している、と主張している。

データ権はAIのブラックボックスをこじ開けられるか

EU市民には、GDPRに基づき、自分の個人情報の開示を求める権利が与えられている。これには、自分が提供したデータの複製を他の場所で再利用するために入手する権利も含まれている。

GDPRではさらに、完全に自動化された決定プロセスに服することによって法的あるいは類似の側面で重大な影響を受ける個人に付加的なデータ開示要求権を与えることが定められている。これは今回のウーバー訴訟にも関係している。なぜなら、同社のプラットフォームでアルゴリズムが配車・配達リクエストの中からどのように仕事を割り振るか(または割り振るのを控えるか)によって、運転手や配達業者の収入額が決まるからだ。

2年前にTechCrunchの記事でも書いたように、GDPR第22条は、AIブラックボックスが人間の動き方を決める力を制限する方法を定めた条項である。同条項では、影響を受ける個人のデータを処理する際のロジックについて情報を提供することをデータ管理者に義務づけている。しかし、データ管理者がどの程度詳しく情報を提供すべきかについては明確に述べられていないため、今回のウーバー訴訟は、GDPR第22条の限界はどこなのかを見きわめ、GDPRで規定されているより全般的な透明性およびデータ開示要求権についても確認できる機会になりそうだ。

ウーバーの運転手で、今回の訴訟を支持するひとりであるJames Farrar(ジェームズ・ファーラー)氏によると、この訴訟はGDPRに定められているすべての権利を対象にしているという。ちなみに同氏は、英雇用審判所がウーバーの運転手に雇用された労働者としての権利があることを認めるという画期的な判決が下された訴訟でも、原告団を代表する人物のひとりだった(関連する報道によると、2016年のこの判決後もウーバーが控訴を続けたため、この件については英最高裁判所で明日から審理が始まる)。

原告団のウーバー運転手たちは昨年、同社に対して「データ主体によるデータ開示要求」を行い、同社のアルゴリズムのプロファイルとパフォーマンスが運転手を管理している方法に関する詳細なデータを開示するよう求めた。しかし原告団はプレスリリースの中で「複数の運転手が、まったく不備のない要求を提出し、要求対象のデータについて明確で詳細な説明を提示したにも関わらず、データはほとんど、あるいはまったく開示されなかった」と書いている。

ファーラー氏は、昨年ウーバーが同氏に対していくらかのデータを開示したことを認めているが、それも同氏いわく「何度も継続して要求し続けた」末のことだったという。また、開示された情報には欠落している部分がいくつもあった。例えば、GPSデータは勤務した2年間のうちの1カ月分しか開示されず、乗車完了後に乗客が同氏に対して行った評価および同氏のプロファイルや関連付けられているタグについては、何の情報も開示されなかった。

ファーラー氏はTechCrunchの取材に対し、「ウーバーが私のプロファイル情報を持っていることは分かっているが、彼らはそれを開示したことがない」と語り、パフォーマンスタグについても同じ状況だと付け加えた。

「GDPRによると、ウーバーはデータ処理の根拠について説明する義務がある。しかし、運転手を管理するアルゴリズムや、そのアルゴリズムが運転手にどのように作用するのかについて、同社はこれまでまともな説明を行ったことがない。私自身も、例えば私のプロファイル情報に関連付けられている電子的なパフォーマンスタグがどのように処理されているのかという点について、ウーバーから説明を受けたことは一度もない」(ファーラー氏)

「偽の『不正使用』申し立てがウーバーのシステムによって検知された結果、運転手としての登録を解除された人がたくさんいる。これもまた法律で透明性を義務づけられている領域だが、ウーバーはその法律を順守していない」(ファーラー氏)

今回の訴訟は、App Drivers & Couriers Union(アプリ運転手および配送業者組合、ADCU)も支持している。ADCUはウーバーの運転手が業務中にパフォーマンスを監視されていることも争点として取り上げるつもりだという。

ADCUはまた、ウーバーがパフォーマンスに関する電子タグ(「到着遅延・到着予定時刻オーバー」、「乗車拒否」、「態度」、「不適切な行動」など)を運転手のプロファイル情報にどのように関連付けてきたかを示す証拠を提示する予定だ。

「このことは、ウーバー運転手の雇用形態について世界各地の裁判所で行われてきた数多くの訴訟の中で同社が繰り返してきた『運転手は自営業者であるため管理統制の対象にはならない』という主張と矛盾する」と原告団はプレスリリースの中で付け加えている。

原告団側の弁護士であるEkker Advocatuur(エッカー法律事務所)のAnton Ekker(アントン・エッカー)氏は、発表した声明の中で、「Uber BV(ウーバーBV)はウーバーのプラットフォーム運営者としてオランダで登記されている企業であるため、オランダの裁判所には今、ウーバーがGDPRを確実に順守するよう見届ける重要な役割が課せられている。今回の訴訟は、ギグエコノミーの労働者が、労働者としての権利を向上させるためにデジタル権に訴える画期的な事例である」と述べている。

さらに、International Alliance of App-based Transport(国際アプリベース運輸労働者連合、IAATW)に加盟している労働者も、ADCUが「史上初の国際的なコラボレーション」と呼ぶこの訴訟を支持している。

今回の訴訟に関してTechCrunchがウーバーにコメントを求めたところ、同社からメールで以下のような回答が得られた:

当社のプライバシー担当チームは、個人が知る権利を持ついかなる個人データも要求に応じて開示すべく、鋭意努力しております。データが存在しない場合や、そのデータを開示することにより他の人が持つGDPRに基づく権利を侵害する場合など、特定のデータを開示できない時にはその理由を説明いたします。GDPRの下で、個人はその懸念についてウーバーのデータ保護責任者に申し立てる権利または各国のデータ保護関連当局に再審査を求める権利を保障されています。

ウーバーはまた、同社の運転手らが昨年行った「データ主体によるデータ開示要求」に対してはすでに回答済みであり、その後、それらの運転手からは何の連絡もない、とTechCrunchに語った。

さらに同社は、実際に法廷で申し立ての内容を確認するのを待ちたい、と付け加えた。

今回の訴訟を支援している前述の各団体は、原告団の運転手らが運営したいと考えているデータトラストに運転手のデータを引き渡すようウーバーに強く要請している。

実は、ファーラー氏が運営する非営利団体Worker Info Exchange(労働者情報取引所、WIE)が、団体交渉を行うためにデータトラストを設立したいと考えているのだ。

「当団体はデータトラストを設立したい考えだが、ウーバーが一貫性のある方法で情報を開示せず、設立準備の妨害を止めない現在の状況が続く限り、実現は難しい。最善の方法はAPIだ」とファーラー氏は語り、「しかし大きな問題は、99.99%の運転手が適切なデータ開示またはアルゴリズムに関する説明をほとんどあるいはまったく受けていないことだ」と付け加えた。

運転手側の弁護士の事務所ウェブサイトに掲載されている声明の中で、同事務所は、他のウーバー運転手も、データ開示要求を本人の代理で行う権限をWIEに委任すれば原告団に加わることができるとしている。以下がその声明の抜粋だ。

労働者情報取引所(WIE)は、大手プラットフォームではなく、そのようなプラットフォームの運営企業が毎日好調な業績をあげる原動力となっている人々、つまり労働者たちに有利に働くように、勢力の均衡を変えることを目指しています。

ウーバー運転手の方は、本人の代理でGDPRにデータ開示要求を行う権限をWIEに委任することにより、この訴訟に加わることができます。

原告の運転手らはさらに、クラウドファンディングサイトのCrowdjustice(クラウドジャスティス)で、訴訟費用3万ポンド(約410万円)を集めるキャンペーンも開始した。

今回の訴訟とそれがウーバーに与える影響について、Newcastle University(ニューカッスル大学)法学部のLilian Edwards(リリアン・エドワーズ)教授は、「この訴訟の争点がGDPR第22条であることを考えると、ウーバーは同社のアルゴリズムについて『適切なセーフガード』を配置していることを示す必要がある」と指摘する。

「GDPR第22条は通常、例えばウーバーのアルゴリズムのように、自動化された情報処理にのみ基づく決定が行われないように要求する、あるいはそのような決定を人間が行うことを要求する権利を付与するものだ。しかし今回の訴訟では、ウーバーが、それなりの成果を出していることを理由に、運転手との関わりにおいて同社のアルゴリズムは必要不可欠だったと主張する可能性がある」とエドワーズ氏はTechCrunchに語った。

「しかしこれでウーバーにとって問題がすべて解決するわけではない。同社は依然として『適切なセーフガード』を設ける必要がある。そのうち最大のものは、これまで散々議論されてきた、アルゴリズムの仕組みに関する説明を受ける権利だ。しかし、それをどのように実現できるのか、具体的な方法についてはまだ誰も知らない」(エドワーズ氏)

「アルゴリズムが動く大まかな仕組みについて一般的な説明をするだけで十分なのだろうか。労働者が求めているのはそんなことではなく、アルゴリズムが本人のデータに基づいてどのように決定を下しているか(場合によってはどのように本人にとってマイナスになる、あるいは不利になる決定を下しているか)を具体的に理解することである。ウーバーは、そんなことは無理に決まっている、今でも企業秘密を十分すぎるくらい開示している、と反論してくるかもしれない。それでも、GDPR導入後、ついにこれらの争点が徹底的に議論される機会が開けたことはすばらしいと思う」(エドワーズ氏)

英国のデータ保護当局International Commissioner Office(個人情報保護監督機関、ICO)のウェブサイトに掲載されている、GDPR第22条の規定に関するガイダンスには、データ管理者は「特定の決定に至ったロジックと、その決定が個人に意味する重大性および想定される影響について、意味ある説明を提供しなければならない」と記されている。

さらに同ガイダンスには、自動化された決定に服する個人は、GDPR第22条により、希望すれば同決定の結果について人間によるレビューが行われるよう要求する権利を有することが記されている。同条項はまた、アルゴリズムによる決定に異議を申し立てることを可能にしている。該当する方法で決定を自動化しているデータ管理者は、偏見と差別を防止するための措置を講じなければならない。

関連記事:Uberが公共交通機関向けソフトウェア開発のRoutematchを買収

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:Uber 訴訟

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(翻訳:Dragonfly)

Uberが公共交通機関向けソフトウェア開発のRoutematchを買収

Uber (ウーバー)は米国7月16日、公共交通機関にオンデマンドサービスやルート最適化などのソフトウェアを提供しているアトランタ拠点のRoutematch(ルートマッチ)を買収したと発表した。この買収で配車サービスのUberは自治体にSaaS関連のサービスをさらに提供することになる。

Uberは買収条件を明らかにしなかった。しかし何人かの才能ある人材を獲得するためのいわゆる「acqui-hire」(アクハイヤー)ではなく、500以上の公共交通機関に使用されているソフトウェアを開発した企業の戦略的買収だ。従業員170人のRoutematchのオペレーションは継続し、CEOのPepper Harward(ペッパー・ハワード)氏も残る。

今回の買収でUberは公共交通機関向けSaaSプロバイダーとしての存在を強める。Routematchのソフトウェアは、移動計画や車両トラッキング、決済、そしてバスやパラトランジットサービスのような路線交通向けのツールを提供している。創業20年の同社は地方や郊外など遠隔地なども含め幅広い顧客を抱える。

先月Uberは、サンフランシスコ・ベイエリアのマリン郡向けのオンデマンドサービスをSaaSプロダクトで管理する案件を獲得(Marin Independent Journal)した。Uberにとって公共交通機関と結ぶ初のソフトウェア提携だ。UberがSaaSに参入して数年になる、とUber Transitの責任者David Reich(デイビッド・ライヒ)氏は最近のインタビューの中で述べている。

「都市が生き残るには、公共交通機関が生き残らなければならないことをUberは知っている」とライヒ氏は述べた。「Uberは2015年以来、公共交通に関連するサービスを開発してきて、最初は移動計画機能、それからチケットだった」と同氏は説明した。Journey Planningと呼ばれる公共交通機能は世界15都市超で利用できる。同社はまた、デンバーやラスベガスとも協業した。2018年に同社は、人々がトランジットチケットをUberのアプリ内で購入できるよう、モバイルチケッティングプラットフォームのMasabiと提携した。

画像クレジット: Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Uberが食料品宅配サービスを中南米とカナダで開始、米国でも2020年7月下旬から

26億5000万ドル(約2850億円)でPostmates(ポストメイツ)を買収した翌日である米国時間7月7日、Uber(ウーバー)はラテンアメリカとカナダの一部の都市で食料品配達サービスを正式に開始した(Uberリリース)。この取り組みは、同じくまだ規制当局からは承認されていない2019年後半のCornershopの買収(未訳記事)によるもので、チリのサンティアゴに拠点を置く同社は、北のトロントに移る前にラテンアメリカ市場で食料品の配達を開始した。

この度のローンチはブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、ペルーの19都市をカバーしており、今月下旬には米国のマイアミとダラスにもサービスを拡大する予定だ。これら2都市のEats PassとUber Eatsの会員は、30ドル(約3200円)以上の注文で、配達料金無料で利用できる。

新型コロナウイルス(COVID-19)により買い物や、さらには単に家を出ることもリスクとなった。食料品配達は多くの人にとって重要なライフラインとなっており、Uberによると食料品配達の需要は2020年3月から197%増加した。

「過去6カ月の間に、食料品配達は人気があるものから、多くの場合、欠かせないものであることがますます明らかになった」とUberは述べている。「世界中の人々が時間を節約して安全に過ごすための新しい方法を探している中、この傾向は今後も続くと予想される」。

新型コロナウイルス関連の規制が緩和されることで、食料品配達需要の高まりは若干落ち着く可能性はあるが、配達の容易さを知った多くの顧客は以前の状態に戻ることはないだろう。この新サービスは、Uberの他のサービスと同じように機能する。アプリから注文し、ドライバーの進捗状況を追跡することができる。また非接触配達のオプションもあり、新型コロナウイルスの時代に対応している。

2020年7月の限定的なローンチに続いて、Uberは同サービスを「数カ月中に」世界中の他の都市でも提供する予定だ。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 Twitter