サービス業の人材育成を“動画”で支援、クラウドOJTサービス「ClipLine」が6.1億円を調達

動画を活用したサービス業の技術習得支援プラットフォーム「ClipLine」を提供するClipLine。同社は3月13日、産業革新機構とアニヴェルセルHOLDINGSを引受先とする第三者割当増資により総額6.1億円を調達したことを明らかにした。

ClipLineは動画を用いることで、離れた場所からでもクラウド上でOJT(On-The-Job Training)を実施できるサービスだ。主な顧客は外食や小売、介護・医療など多店舗展開しているサービス産業。そのような企業が抱える「指示が正確に伝わらず実行されない」「店舗間のサービス品質にバラつきが生まれる」といった課題を双方向の動画(クリップ)を通じて解決する。

たとえば本部の教育担当者やマネージャーがお手本となる動画を作成し、ClipLine上で共有する。各店舗で働くスタッフはその教材を参考に自分で実践した様子を撮影。再度ClipLineに投稿することで、担当者からのフィードバックを受け取るという流れだ。

2017年5月には「映像音声クリップを利用した自律的学習システム」で特許を取得している。

ClipLineは2014年10月のリリース。これまで対面指導が当たり前だったOJTをクラウド上で実現することで、多店舗展開する企業の人材育成やコミュニケーションをサポート。2015年に1.3億円を調達した際にはTechCrunch Japanでも一度紹介したが、これまで数回の資金調達をしながら事業を拡大してきた。

今回調達した資金をもとに、同社では開発体制やセールス・マーケティング体制を強化。コア機能の拡充やサービス拡大を図るほか、動画解析やAIなど新技術の研究も進めていく方針だ。

また業界としては介護・医療領域への市場開拓を加速。合わせて研究開発組織 「ClipLine Service Management Lab」を設立し、サービス産業全体の労働生産性向上と人材不足の解消を目指すという。

研究者の挑戦をサポートへ、実験機器のシェアサービス「Co-LABO MAKER」がβ版リリース

新たな技術を生み出すためには欠かせない「研究」には、高額な研究設備や専門知識がつきものだ。ただ予算の問題などがネックとなり、本当にやりたい研究に時間を費やせない研究者も少なくない。

その一方で、大学や企業には有効活用されていない機器やリソースが眠っているのもまた事実。そんな問題の解決を目指して開発されたのが、研究リソースのシェアサービス「Co-LABO MAKER(コラボメーカー)」だ。

提供元のCo-LABO MAKERは3月13日、同サービスのβ版をリリース。合わせてプライマルキャピタルと日本政策金融公庫から総額3000万円を調達したことを明らかにした。

Co-LABO MAKERは利用したい実験機器や技術の検索、マッチング、実験、決済という一連のプロセスを提供することを目的としたサービス。β版では実験機器のシェアリングに絞り、ライフサイエンス分野から材料工学分野まで幅広い領域の実験機器を貸し借りできるようにする。

専門知識がない分野など、懸念点がある場合はCo-LABO MAKERコーディネーターに相談することも可能。研究者は通常よりも安価に実験機器を利用することができ、提供者側も稼働していない実験機器の有効活用や外部との交流、共同研究など研究ネットワークの拡大も見込める。

Co-LABO MAKERで代表取締役CEOを務める古谷優貴氏は大学時代に2つの研究室を経験。そこから総合化学メーカーで半導体関連の研究開発をした後、大学院と大学発ベンチャーに所属するなど長く研究の現場に身を置いてきた人物だ。

自身が多くの機器や技術、研究者がそのポテンシャルを持て余している現場、一方で「実験機器を購入する資金がなく、希望する実験ができない」研究者がいる現状を見て、Co-LABO MAKERを立ち上げたという。

同社では今回の資金調達により、本格的なサービス展開に向けて探索機能やコミュニケーション機能を中心にサービス強化に取り組む方針。まずはライフサイエンス分野のラインナップ拡充に注力するという。

将来的には実験機器のシェアリングサービスを起点に、他の研究リソースのシェアリングや実験を一から企画するトータルコーディネートサービス、遊休設備の流通など、研究開発と事業化に貢献できるサービスを展開していく計画だという。

ファンと資金を同時に獲得、お店の“会員権”取引所「SPOTSALE」が正式リリース

会員権を発行することで、店舗が資金や新たなファンを獲得できる「SPOTSALE(スポットセール)」。開発元で大分県発のスタートアップ、イジゲンは3月13日、同サービスを正式にリリースした。

サービスの概要については2018年1月にイジゲンが資金調達を実施した際にも紹介しているが、SPOTSALEは飲食店や美容室などの店舗と顧客をつなぐ会員権の取引所だ。リリース時点では以下の3つの機能を提供する。

  • 店舗が会員券の発行を行い、期間限定で公募販売をする
  • 一般公開された会員券はユーザー同士で売買できる
  • 会員券を所有するユーザーは発行店舗で優待を受けられる

イジゲン代表取締役CEOの鶴岡英明氏に前回取材した際「購入型のクラウドファンディングに(会員権を売買できるC2Cの)二次市場がくっついてるようなプラットフォーム」という話があった。

店舗にとっては会員権の発行(SPOTSALEに上場する)を通じて資金と顧客を同時に獲得できるのが最大の特徴。一方の会員にとっては優待を受けられるだけでなく、サービス内で会員権を売買できる点が従来のクラウドファンディングとの大きな違いだ。

正式リリースにあたって店舗情報が公開。会員権の価格や優待内容も閲覧した上で、公募に申し込めるようになった。

同社によると現時点で登録ユーザー数は約3000人、2018年3月までに会員券の発行を希望する店舗は飲食系や美容系を中心に約70店舗(初期上場店舗は10店舗で、60店舗が審査中とのこと)。総調達金額は約1.4億円を予定しているという。

今後は地域や特定の分野に貢献したユーザーによる会員券推薦機能や、評価の高い店舗の段階的な追加公募、日本以外へのサービス展開等も予定する。「SPT(会員権の購入に利用するポイント)は将来的に仮想通貨になることも視野に入れ、流通も可能にしたSPOTSALE経済圏の構築を目指していく」(鶴岡氏)

受付業務から負担の大きい“内線電話”をなくすiPadシステム「RECEPTIONIST」、提供元が1.2億円を調達

iPad無人受付システム「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」を提供するディライテッドは3月7日、大和企業投資ツネイシキャピタルパートナーズなどを引受先とする第三者割当増資により、総額約1.2億円を調達したことを明らかにした。

同社では2017年5月にも大和企業投資やツネイシキャピタルパートナーズ、個人投資家から数千万円規模と見られる資金調達を実施している。

RECEPTIONISTは来客受付でよくある「内線電話」を、iPadシステムとビジネスチャットによって置き換えるサービスだ。これにより従来かかっていた負担を削減するとともに、来客情報の可視化や蓄積もサポートする。

訪問客は企業のエントランスにてiPadアプリ上で訪問先を選択。すると担当者のビジネスチャットツール(Slackやチャットワークなど)に直接通知がいく仕組みになっている。担当者が席を外していても来客に気づけるため対応がスピーディーになるだけでなく、電話応対をする社員の負担もなくなることが特徴だ。

サービスの正式リリースは2017年の1月。トレタCTOの増井雄一郎氏らがTechCrunch Tokyo 2015のハッカソンで開発したiPad受付アプリ「→Kitayon(キタヨン)」を譲り受け、追加開発を経て公開したものであることは以前紹介した通りだ。

リリースから約1年が経過した現在では社員数が500名を超える企業や、インターネット業界以外の企業の利用も進んでいて、総受付回数は20万回を突破している(同社の過去の発表によると2018年1月時点では、渋谷区の企業だけで113社が導入しているようだ)。

ディライテッドでは今回の調達に伴い、エンジニアや営業、カスタマーサクセス部門の人員体制を強化するほか、新機能開発・他社サービス連携にも力を入れていくという。

なお同社はTechCrunch Tokyo 2017スタートアップバトルに参加。東急電鉄賞を獲得している。

ヤフーがシェアサイクル領域に参入、子会社を通じて「HELLO CYCLING」提供元に資本参加

ヤフーは3月8日、子会社を通じてシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を提供するOpenStreetに資本参加し、シェアサイクル事業に参入することを明らかにした。

今回OpenStreetに出資をするのは、ヤフーの子会社で新規事業開拓を行うZコーポレーション。出資完了は4月上旬の予定で、株式の過半数を取得する方針だという(Zコーポレーションの代表取締役を務めるのは、6月にヤフーの代表取締役社長を退任する予定の宮坂学氏)。

OpenStreetはソフトバンクの新規事業提案制度である「ソフトバンクイノベンチャー」を通じて発足し、SBイノベンチャーから出資を受ける形で2016年11月に設立(SBイノベンチャーの子会社)。短距離交通インフラの構築をミッションに、事業者や自治体を対象にしたシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を提供している。

事業者や自治体はGPSと通信機能を搭載したスマートロックと、専用の操作パネルを自転車に取り付けることでHELLO CYCLINGを活用したシェアサイクルサービスを始めることが可能。独自のブランド名でサービス展開できることも特徴だ。

現時点で栃木、埼玉、東京、神奈川、静岡、愛知、兵庫、香川などにおける約40地区で展開、約1000台の自転車が配備されているという。また新たにアパマン(APAMAN)グループによる導入も決定していて、2018年5月から「ecobike」のブランド名で福岡にてサービスを開始する。

今後は月間約4100万アクティブユーザーの「Yahoo! JAPAN ID」、約3900万口座を持つ「Yahoo!ウォレット」のほか「Yahoo! MAP」や「Yahoo!カーナビ」、「Yahoo!乗換案内」など、ヤフーの各サービスとの連携や顧客基盤の活用に取り組み、HELLO CYCLINGの事業拡大を目指すという。

シェアサイクルは昨年から日本国内でも急速に盛り上がっている領域。直近では2月27日にメルカリが「メルチャリ」を福岡にてリリースしている。

金融庁が仮想通貨交換業者7社に行政処分、FSHOとビットステーションには業務停止命令

流出やシステム不具合などの騒動が続く仮想通貨取引所だが、金融庁が3月8日、仮想通貨交換業者7社に対しての行政処分を発表した。

今回行政処分を受けたのは、コインチェック、テックビューロ、GMOコイン、FSHO、ビットステーション、バイクリメンツ、ミスターエクスチェンジの7社(発表順)。FSHOとビットステーションの2社には業務停止命令が、2社を含む全社に業務改善命令がそれぞれ出されている。コインチェックについては、1月のNEM流出に続き、二度目の処分がなされたことになる。

金融庁ではあわせて、「仮想通貨交換業等に関する研究会」の設置を発表。仮想通貨交換業等の諸問題についての制度的な対応を検討するべく、学識経験者や金融実務家、業界団体、関係省庁をオブザーバーにして話し合いを進めるとしている。

個人間送金アプリ「Kyash」が実店舗での決済対応を見込み、UIをリニューアル

個人間送金アプリ「Kyash」を提供するKyashは3月5日、決済もまとめて行えるウォレットアプリとしての機能強化を目指してアプリのUIリニューアルを行い、公開した。新UIでは、初期画面にチャージや買い物、送金、請求の各機能がまとめられた。

Kyashは個人間で送金や請求が無料でできるアプリとして、2017年4月にiOS版が公開された(Android版は同年7月にリリース)。アプリを介して受け取ったお金は、アプリ内のバーチャルなクレジットカード「Kyash Visaカード」に貯めることが可能。また、クレジットカードおよびコンビニや銀行ATM、オンラインバンキング経由で、Kyash Visaカードへのチャージができる。

カードに貯まったお金は、国内外のVisaが使えるネットショップで決済に利用できるほか、モバイルSuicaにチャージしてコンビニや交通機関などで使用できる。ただし、現時点ではモバイルSuicaを使う以外に、実店舗での買い物に利用することはできない。

同社では「今春以降、実店舗での支払いへの対応を予定している」と述べており、「今回のUIリニューアルは、買い物もまとめてKyashアプリで完結するウォレットアプリとしての進化を目指したもの」としている。チャージ方法についても、現在の手段以外に、仮想通貨や各種ポイントなどからのチャージを可能にすべく、多様化を検討しているという。

個人間送金に使えるアプリとしては、LINEの「LINE Pay」やヤフーの「Yahoo! ウォレット」、割り勘での利用を想定したAnyPayの「Paymo」などがあるが、このうちLINE PayとPaymoではQRコード・バーコードを利用した、実店舗での決済が既に可能となっている。

スクラムベンチャーズとパナソニックが新事業の創出へ新会社、代表はDeNA元会長の春田真氏

米国サンフランシスコに拠点を置くScrum Ventures(スクラムベンチャーズ)パナソニックは3月1日、新規事業の創出を目的とした新会社BeeEdge(ビーエッジ)を共同で設立したことを明らかにした。

合わせてスクラムベンチャーズでは、大企業とスタートアップのコラボレーションにより新たな価値を生み出すことを目的とした新事業「Scrum Studio」を本日発表。BeeEdgeがその第1号案件になるという。

新会社はシリコンバレーと日本でアーリーステージのスタートアップへの投資を行うスクラムベンチャーズ(創業者でゼネラルパートナーの宮田拓弥氏は、日米で複数のスタートアップを起業した元起業家としても知られる)と、パナソニック家電事業部門のアプライアンス社が共同で出資、運営する。

近年パナソニックでは次世代の家電ビジネス創出に向けて、新規事業の開発に取り組んできた。新会社BeeEdgeではスタートアップに対して投資、事業化支援を行っていく方針。まずはパナソニック社内のアイデアを切り出して会社化したスタートアップを中心に出資をするという。

BeeEdgeの資本金は1億円。出資比率はスクラムベンチャーズが51%、パナソニックが49%だ。なお代表取締役には新たにスクラムベンチャーズのパートナーとなった春田真氏が就任する。

春田氏は過去にディー・エヌ・エー(DeNA)の取締役CFOや取締役会長を務め、同社の上場を主導するとともに大手企業とのジョイントベンチャー設立、横浜DeNAベイスターズの買収などを推進してきた人物。2015年4月にはベータカタリストを設立。医療やライフスタイル、AI、IoT領域のスタートアップを中心に投資、支援をしてきた。

冒頭でも触れたとおり、今回のプロジェクトはスクラムベンチャーズの新事業Scrum Studioの1号案件だ。

Scrum Studioの目的は「各業界を代表する大企業パートナーの持つ優れた技術や人材を最大限活用し、世界中の革新的なスタートアップ(斬新な技術やアイディアを持ち、急成長するベンチャー企業)とのコラボレーションを行っていく」こと。事業創出、アクセラレータープログラム、M&A、出資など、各企業ごとに最適なスタイルを選んでいくという。

新事業の開始に当たって、春田氏と外村仁氏(複数スタートアップの起業経験があり、Evernote Japanの会長も務めた人物)が同社のパートナーに就任している。

月にモバイルネットワークができる!

ローミング料金はいくらになるのだろうか。月(そう、あの自然の地球衛星)にモバイルネットワークが作られつつある。このネットワークを使うと、HDビデオのライブを月面から地球にストリーミングできるだろう。Elon Muskのスターマン劇以来、宇宙ストリーミングが注目の的だ。

月面ネットワークを構築するのは、キャリアーのVodafone Germany、ハードウェアメーカーのNokia、そしておそらくもっとも意外なのが、自動車メーカーのAudi。Reutersが伝えた。このプロジェクトは先日バルセロナで行われたMobile World Congressで発表された。必要なネットワークハードウェアを送るための打ち上げ目標時期は2019年で、打ち上げはSpaceXが担当する。

参加各社はベルリン拠点の有志科学者チーム、PTScientistsと協力してプロジェクトを進める。

モバイルネットワークを月に作るというと、一見未来的な目標だが、このプロジェクトが利用するのは4G接続で、現在世界展開の初期段階にある5G標準ではない。プロジェクトがやや古いテクノロジーを使うのは意図的であり、宇宙の厳しい環境下で使うために信頼性が高く運用が容易なものを選んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

55万DLを突破したコスメの口コミアプリ「LIPS」が5.5億円調達、すでにタイアップ広告などにも着手

コスメのコミュニティアプリ「LIPS(リップス)」を運営するAppBrew(アップブリュー)は2月28日、GunosyグリーANRIおよび個人投資家らを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達額は5億5000万円だ。

LIPSはユーザーが投稿したコスメ商品の口コミを閲覧できるコミュニティアプリ。他のユーザーをフォローできたり、口コミにコメントできたりといったSNSに近い使用感が特徴だ。アプリを通してコスメ商品を購入することもできるが、その場合はAmazonなど他のECサイトに遷移する。

LIPSのダウンロード数は、リリースから9ヶ月目にあたる2017年10月に30万件を突破し、翌年の2018年2月には55万ダウンロードを記録するなど、順調に成長を重ねているようだ。

AppBrewはプレスリリースのなかで、「(アプリの)急成長の背景には、若い世代を中心に購買の意思決定が『人ベース』に変化していることがあげられる。特に、若い女性にとっては、属性の近いユーザーやインフルエンサーから発信される情報が大きな影響力を持っており、購買行動を大きく左右している」と述べる。

LIPSのターゲットとなる世代は比較的早い時期からスマホに慣れ親しんだ世代。LINEなどメッセンジャーアプリの登場で友人らとこれまで以上に頻繁な意見交換ができるようになり、InstagramなどSNSの登場でインフルエンサーや有名人との距離が近くなった世界に慣れ親しんだ人たちだ。

「『コスメ選び』の文脈における口コミの価値が最大限に発揮されるよう、日々企画・開発を進めていく」と述べるAppBrewは、今回調達した資金を、アプリの開発、人材採用、マーケティング費用などに充てるという。また、同社は2018年よりタイアップ広告とサンプリングサービスの販売も開始している。現在、すでに10社以上の導入実績があるということだが、今後もパートナー企業の募集を続け、販路を拡大していく方針だ。

AppBrewは2016年2月の創業。2017年10月には今回のラウンドにも参加したANRIなどから7600万円を調達している。

日産とDeNAが次世代交通サービス「Easy Ride」の実証実験へ、無人運転車両を活用

日産自動車とディー・エヌ・エー(DeNA)は2月23日、無人運転車両を活用した交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を3月5日から開始することを明らかにした。一般モニター約300組が参加する予定だ。

「いつでも誰でも、好きな場所から行きたい場所へ、もっと自由な移動を実現する交通サービス」をテーマに掲げるEasy Ride。今回の実験では、モニターが自動運転技術を搭載した実験車両に乗車。日産グローバル本社から横浜ワールドポーターズまでの合計約4.5Kmのコースを往復運行する。

Easy Rideでは目的地をモバイルアプリで設定するが、行きたい場所を直接指定する以外の手段も実現。「やりたいこと」をテキストや音声で入力し、表示されたおすすめの候補地から選ぶこともできるという。

乗車中にも走行ルート周辺のおすすめスポット、最新のイベント情報など約500件の情報を車載タブレットに表示。店舗で使えるクーポンを40件用意するなど、従来とは違う新しい乗車体験を提供していく。

また安心して乗車できるように、走行中の車両の状態をリアルタイムで把握できる遠隔管制センターを設置。両社の先進技術を合わせたシステムによる遠隔管制のテストも実施する。

両社では実証実験終了後に無人運転環境でのサービスの検討や運行ルートの拡充、有人車両との混合交通下での最適な車両配備ロジックや乗降フローの確立、多言語対応などの検証を進める方針。

限定された環境から始めて、2020年代早期には本格的なサービス提供を目指すとしている。

ガートナー、世界スマートフォン販売台数の減少を初めて報告

ここ数年、世界のスマートフォン販売状況は絶好調とはいえないが、Gartnerの最新データによると、同社のアナリストが追跡を始めて以来初めての減少を記録した(ただし、減少を指摘したアナリストは以前にもいた)。

Gartnerによると、2017年Q4のエンドユーザーに販売されたスマートフォンは4.08億台で、2016年Q4より5.6%減少した。

同社によると、スマートフォンメーカー第1位のSamsungは対前年比3.6%減だった。Apple iPhoneの売上は5%減ったが市場シェア第2位は確保した。

GartnerはQ4売上の減少には主要因が2つあると言っている。ひとつは多機能電話からスマートフォンへの買い換えが遅れていることで、これは高品質で「超低価格」なスマートフォンがないことが理由だ。もうひとつは、スマートフォンオーナーが高級モデルを買って長期間使用するようになり、買い換えサイクルが長くなったためだ。

AppleのQ4実績は、同社の新しい最高機種iPhone Xの提供が遅れたために、iPhone 8と8 Plusという別の新機種への買い換えが低調だったことの影響も受けた。iPhone Xの供給の遅れは、部品の不足や生産能力の制約によるところもあった。

Gartnerは、Appleが2018年最初の四半期で、遅れを取り戻すと見ている。看板機種の流通サイクルは正常に戻っている。

また、SamsungもGalaxyの最高機種を発売するQ1に売上を伸ばすとGartnerは予想している。

2017年通年ではSamsungの市場シェアは20.9%、Appleは14.0%だった。

極東市場

先月、Canalysのアナリストは中国の年間スマートフォン出荷台数が初めて減少したことを報告した。中国は飽和する欧米諸国に代わり数年間にわたってスマートフォンの成長を支えてきた。しかし、さすがに中国の消費者たちも財布の底が尽きてきたようだ。

ただし中国のOEMメーカーは依然として伸びている。そしてGartnerによると、トップ5中の中国メーカーの市場シェアは、2017年に4.2%増加したが、SamsungとAppleのシェアは変わっていない。

スマートフォンメーカーのうち、中国のHuaweiとXiaomiの2社だけが、Q4に積極的にシェアを拡大し、ホリデー四半期の販売台数はHuaweiが7.6%、Xiaomiが79%伸ばした。

Gartnerは、Huaweiが同四半期に新機種を発売して製品ラインの魅力を高めた努力を躍進の要因に挙げた。また、Xiaomiの「競争力のある」品揃えが新興のアジア太平洋市場での成長を加速し、中国でのシェア回復にも貢献したと言っている。

Huaweiは世界のスマートフォンメーカーランキングで3位をキープし、2017年は通年シェア9.8%を獲得してAppleとSamsungとの差を縮めている。

Overall, Gartner says total smartphone sales exceeded 1.5 billion units in 2017 — a year-on-year increase of 2.7 per cent.

2017年全体では、スマートフォン総販売台数は15億台を超え、対前年比2.7%増だった。

OSプラットフォームでは、GoogleのAndroidが2017年にリードを広げ、全市場の86%、前年比1.1%だった。iOSは14%だった(「その他のOS」カテゴリーは存在しないに近い0.1%へと縮小した)。

そして世界最大のモバイル展示会、MWCを間近に控え、Androidベースの新しい端末が出てきそうだ —— Samsung、NokiaブランドのHMD等々が控えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

DeNAがライブ配信の「Mirrativ」を分割、プロデューサーの赤川隼一氏が新会社で運営

DeNAは2月22日、同社が運営するスマホ画面共有型ライブ配信プラットフォーム「Mirrativ(ミラティブ)」を簡易吸収分割によりエモモに承継することを決議、吸収分割契約を締結したことを明らかにした。実施日(効力発生日)は2018年3月30日を予定しているという。

承継先のエモモは2018年2月9日の設立で、代表取締役社長を務めるのは赤川隼一氏だ(赤川氏が100%の株を所有)。同氏は以前DeNAの執行役員社長室長を務めていた人物で、その後プロデューサーとしてMirrativを立ち上げた。

DeNAは会社分割の対価としてエモモより8億6000万円を受領する予定。またエモモでは今後、本件の効力発生日までに第三者割当増資を実施する予定だという。

Mirrativは「ひとりじゃないスマホライフを」をコンセプトに、2015年8月からスタート。スマホでライブ配信ができるサービス自体は数多くあるものの、数タップで「スマホの画面ごと」配信できるのがユニークな点だ。

スキームこそ違うが、DeNAではこれまでもSHOWROOMみんなのウェディングを分割してきた。Mirrativについてもここまで着実に成長していて、今後さらなる成長を目指し今回の分割契約に至ったようだ。

またDeNAからの発表とは別にMirrativの公式Tumblrでも本件について言及されている。DeNAの公式の発表では特に記載はなかったが、エモモは3月下旬に株式会社ミラティブに商号を変更する予定のようだ。

「ミラティブは3月30日より、株式会社エモモ(3月下旬に株式会社ミラティブに商号変更予定)による運営となり、各ストアでの提供元表記も順次変更されます。

株式会社エモモ(3月下旬に株式会社ミラティブに商号変更予定)は、ミラティブ運営のために設立された新会社です。ユーザの皆さんと共にさらに楽しく進化していくミラティブの今後にご期待ください」

なおTumblrの投稿では同サービスの活動レポートとして、ユーザーの利用動向についても紹介されている。

 

ストリーミングがダウンロードに肉薄、2017年の年間音楽配信売上

Spotify、Apple Music、LINE MUSIC、AWA、Amazon Music Unlimited、Google Play Music…。あげだすとキリがないのでこのあたりでやめておくが、ここ数年で音楽ストリーミングサービスについての話題は事欠くことがない。

2月21日に日本レコード協会が発表した2017年の年間音楽配信売上に関するデータも、まさにそれを反映している。

発表によると2017年年間の音楽配信売上実績は、数量で1億4571万ダウンロード(対前年比92%)、金額で573億円(対前年比108%)と4年連続で成長。特に近年ストリーミングの売り上げが伸びてきていて、2017年はダウンロードと肩を並べる規模になっている。

売上金額ベース(2017年1月〜12月の累計)でダウンロードが270億9700万円、ストリーミングが263億300万円。わずか約7億円の差だ。

この勢いだと2018年はストリーミングがダウンロードの売り上げを超えた、なんてこともありうるかもしれない。

家を留守にする猫の飼い主が助け合うアプリ「nyatching」、猫の日にリリース

ペットを飼っていると困ってしまうのが、出張や旅行で自宅を何日間か留守にするとき。可愛いペットたちに餌をあげなくてはならないし、トイレシートも変えなければならない。散歩につれて行く必要もある。

でも、ペットシッターを雇えば1回あたり数千円の料金がかかるし、ペットホテルは環境の変化によるペットへの負担が心配だ。上京したての人などは特に、家を留守にする間にペットを預けられる友人や家族がいないこともしばしばだ。

本日サービスローンチを発表した「nyatching(ニャッチング)」は、そんなときに重宝できそうなサービス。その運営元であるnyans(ニャンズ)は2月22日、同サービスの事前登録の受付を開始すると発表した。

nyatchingは、猫の飼い主同士をつなげるマッチングサービスだ。ユーザーは自身と飼い猫のプロフィールを登録し、近所に住む飼い主仲間を検索する。気になる相手がいれば、Facebookの“友だち申請”にあたる「マーキングボタン」を押す。両方がマーキングすれば、マッチが成立してメッセージのやり取りをすることができる。実際に会ってみてお互いの信頼が築けたら、家を留守にしなければならないときなどに助け合うきっかけになる。

nyansは飼い主同士のマッチングアプリだが、考え方によってはペットシッター専門のクラウドソーシングと捉えることもできる。しかし、nyans代表取締役の谷口紗喜子氏は、飼い主が他のユーザーにペットの世話を頼むときに仲介手数料を頂くことはまったく考えていないと話す。「『お金をもらえるから』という理由で飼い主に使われるサービスを作りたくなかったからです」(谷口氏)。

その代わり、nyansはサービス運営で集めたデータを活用してマネタイズをする。谷口氏によれば、日本のペットフード業界は飽和状態であり、ペットフードを販売する各社は高付加価値のペットフード販売へと舵をとりつつあるという。高付加価値製品のマーケティングによく使われるのがサンプリング。nyansはここに目をつけた。

「ペットフード会社は、アルバイトを雇ってスーパーに配置するなどの方法でサンプルを提供しています。業界への聞き込みをした結果、ペットフード業界が潜在顧客に対して直接サンプルを提供する手段がないことが分かりました」(谷口氏)

先ほど述べた通り、nyatchingのユーザーは登録時に猫と自分自身のプロフィールを登録する。そこには、現在与えているペットフードは何か、どんな病院に通っているのか、飼い猫の種類と年齢などの情報が含まれる。これらは他のユーザーのペットの世話を引き受けるときに必要な情報でもあるから、ごく自然なかたちでnyatchingに集まるデータだ。

nyansはそれらのデータを利用して、将来的にnyatchingをペットフード会社向けのマーケティング・プラットフォームとして開放することでマネタイズを図る。それに加えて、同社は保険会社と共同で、ペットの世話を頼むときの“万が一”に備える短期保険の販売も行うという。

この将来の展望まで聞いてみると、「お金を稼ぐことが目的で使うサービスを作りたくなかった」という谷口氏の言葉に非常に納得がいった。サンプルマーケティングの場としてプラットフォームを開放するのであれば、そこには本当の猫好きが集まっている必要がある。お金を受け取れるから世話をしてあげる人ではなく、猫が好きだから世話をする人を集めることが重要になるのだ。

nyansは2017年11月の設立。同社のビジョンは「ペットの殺処分ゼロの世界」を目指すことだと谷口氏は話す。そのため、今後nyansは今回リリースしたnyatching以外にもさまざまなサービスをリリースしていくという。なお、彼らは現在シードラウンドでのファイナンスに向けて準備を進めている最中だ。

そうだ、最後に1つ。谷口氏を取材していたとき、ものの数分で彼女が“真の猫好き”なのだと分かった。谷口氏は福岡県に在住しているから今回の取材はビデオチャットだったのだけれど、彼女は猫の話をするとき、目を輝かせ画面に向かって身を乗り出すように話をする。なにより、サービスローンチは2月22日(ニャンニャンニャン)、猫の日だ。

自分が本当に好きなことをビジネスにすることの重要性は、いたるところで目にしたり、聞いたりする。でも、今回の取材で改めてそれを実感した。

アンバサダーマーケティングのアジャイルメディア・ネットワークがマザーズ上場へ

商品やブランドのファンである消費者「アンバサダー」を活用したマーケティングサービスなどを提供するアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)は2月21日、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認されたと発表した。上場予定日は3月28日で、証券コードは6573。

AMNでは上場にともない、7万株を公募し、5万4000株を売り出す。売出株を放出するのはモバイル・インターネットキャピタルが運営するMICイノベーション3号ファンド(3万6700株)、MICイノベーション4号ファンド(1万5300株)、および同社の監査役を以前務めていた御手洗大祐氏(2000株)。オーバーアロットメントによる売出しは1万8600株。

公募・売出し価格の仮条件の決定は3月7日、ブック・ビルディング期間は3月9日から3月15日までで、公開価格決定日は3月16日。主幹事証券会社はみずほ証券となっている。

AMNの2015年12月期の売上高は4億9861万円、経常利益は3286万円。2016年12月期の売上高は5億5467万円、経常利益は2090万円で、純利益は1123万円だった。

AMNは2007年2月の設立。ブロガーのネットワークを築き、ステルスマーケティングへの課題意識を発信するなど、現在のインフルエンサーマーケティングの礎となる活動を行ってきた。その後、SNSの発展にともない、「ブランドや製品の熱心なファン」であるアンバサダーを重視したマーケティングプログラムの運営を開始。アンバサダーの効果測定や分析を行うサービスなど、関連サービスも提供している。現在代表を務めるのは取締役社長の上田怜史氏。

Zaifが「0円売買」不具合について謝罪と報告

仮想通貨取引所「Zaif」を運営するテックビューロは2月16日に発生していた同取引所の不具合について20日、経緯の説明と謝罪を行った。

問題が発生したのは、2月16日17時40分ごろから58分ごろの間。Zaifが提供する「簡単売買」サービス上で、ビットコインおよびモナーコインを0円で売買できる状態になっていた。また、この時間帯にあるユーザーが21億BTC(約2200兆円相当)を0円で購入、そのうちの20億BTCを売り注文に出したことで、板情報にビットコインの発行上限枚数の2100万BTCを超える、異常な数値が表示されることとなった。

このユーザー“麺屋銀次”氏は「0円の表示を見つけ、決済できないだろうと思って試したところ、購入できてしまった。また購入したBTCを買えないように指値で販売してみたところ、こちらも注文できてしまった。Zaifにはすぐメールで報告した」とYouTubeで述べている。

テックビューロでは、問題の原因について「簡単売買の価格計算システムに異常が生じ、ウェブシステム側で0円でも売買できてしまうという不具合が重なり、7名のお客様が0円で仮想通貨を購入してしまった。一部のお客様が0円で購入した仮想通貨を取引所で売り注文に出されたため、取引板に異常な数値が表示された」と説明している。

不具合に対しては、問題の発生時点から対応を開始し、修正を実施。現在は正常に稼働しているという。0円で購入された売買については、システムの異常によるものとして、訂正扱いとし、対象ユーザーの残高データについても修正を実施した。

テックビューロによれば、不具合の対象となった顧客は7名で、そのうち6名との対応を完了、1名と継続対応中、他の顧客には影響はない、という。

仮想通貨取引所にまつわるトラブルでは、1月26日にコインチェックで580億円分のNEM不正流出が起き、大きな話題となっている。

クラウドのセキュリティが弱いと暗号通貨の採掘に無断で使われる、最新の被害者がTesla

この新種で悪者の暗号通貨採掘者は、手当たりしだい誰でも攻撃しているようだ。最新流行のハッカー行為の今度の犠牲者は、なんとTeslaだ。クラウドコンピューティングのセキュリティが貧弱だったため、彼らはまんまと侵入した。

セキュリティ企業のRedLockはすでにこのタイプの攻撃をいくつか検出していたが、その最新の例がこれだ。いずれの場合も、Kubernetesのアドミンコンソールが完全無防備だった。パスワードすら、なかった。

RedLockに見つかるものなら、当然、ハッカーにも見つかる、…そして、見つけた。そのクラウドコンピューティングの、正規のユーザーによる正常な利用のようなふりをしてログインし、TeslaのAWSエンジンを無断で使って、黙々と採掘をした。ただし、そうやって彼らがマイニングをした時間と、被害額は公表されていない。暗号通貨は乱高下が激しいから、被害額の正しいドル換算は難しいだろう。

言うまでもなく対策は、とにかくインフラストラクチャのセキュリティに万全を尽くすことだ。使えるツールは何でも使おう。また、トラフィックが異様に増えたり、ふつうでない使い方がされていないか、たえずチェックしよう…利口なハッカーが、すでに侵入したかもしれないから。そして、いずれにしても、パスワードは必ず設けよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Spotifyの求人情報に同社「初のハードウェア製品」のヒント

これまでSpotifyは、Spotify Connectプラットフォームを通じて長年様々なハードウェアメーカーと提携することで満足してきた。つながるスピーカーやモバイル端末、AV機器などを、誰でもSpotifyスピーカーに変えることを可能にするためのしくみだ。しかし、最新の求人情報によると、同社自身がハードウェアを作ろうとしていて、そのための人材を探しているらしい。

The Guardianが見つけた求人情報には、「ハードウェア製品」のオペレーション・マネージャーを求めていることが書かれており、職務明細の一行目には「Spotifyは同社初のハードウェア製品の開発にとりかかっている」と明示されている。どんな製品なのかの詳細はないが、つながるスマートスピーカーの一種である可能性は高い。ソフトウェア中心のSpotifyがハードウェアの世界に参入する第一ステップとして理にかなった選択だ。

Spotify専用のスマートスピーカーは大いに期待できる。何らかのアシスタント機能を備えているならはなおさらで、ストリーミング界のリーダーがソフトウェアでの成功を製品エコシステムへと拡大して事業の多様化を進める好調なスタートといえる。問題は、果たしてSpotifyは既存のパートナーのデバイスにできないものを提供できるのか、また、ハードウェアパートナーらによるオープンなエコシステムを、自社ハードウェア開発を始めたあとも維持できるのかという点だ。

あるいは、Spotify専用のストリーミングデバイス(低価格でSpotifyに特化したiPodタイプのプレーヤーは有力なアイデア)という可能性もある。ともあれ募集職種を見る限り、ストリーミング音楽プロバイダーが、どんなガジェット戦略を持っているにせよ、まだ始まったばかりのようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自宅の家電をスマート化する「Nature Remo」、開発元が1億円を調達、今後はエアコンの電力使用最適化も

家電をインターネットに接続することで“スマート化”できるIoTプロダクト「Nature Remo」。同製品の開発元であるNatureは2月19日、大和企業投資を引受先とする第三者割当増資により1億円を調達したことを明らかにした。

同社は代表取締役の塩出晴海氏がハーバード大学のMBA課程在籍中に立ち上げた、ハーバード大発ベンチャーだ。2016年5月にクラウドファンディングサイトKickstarterでNature Remoを発表。その後MakuakeやIndiegogoでもプロジェクトを開設し、総額2000万円以上を集めた。

2017年8月にも一度紹介したが、Nature Remoの特徴は普段使用している家電製品をスマートにできること。WiFiや赤外線の送受信機能に加えて、人感、温度、湿度、照度などのセンサーを備えている。

スマートフォンアプリとのペアリングおよびWiFi設定、リモコンの学習(Nature Remoに向けて赤外線リモコンを発信し、信号を認識させる)といった設定をすれば、アプリ経由でリモコンの操作が可能になる。帰宅前にアプリで室内の温度を確認してエアコンの電源を入れたり、出先で消し忘れたテレビを消すなんてことが可能。スマートフォンのGPSを使って、特定エリアに入る・出るタイミングで家電の電源を操作するといったこともできる。

また、強力なのが「IFTTT」を経由したスマートスピーカーとの連携だ。IFTTTはさまざまなウェブサービス同士を繋げることができるサービス。このIFTTTを利用することで、例えばスマートスピーカーの「Google Home」や「Amazon Echo」など(厳密にはこれらのスピーカーで利用できるAIアシスタント)を経由してNature Remoの機能を利用することができる。

設定には一手間かかるが、例えば「OK Google、暖房を付けて」とGoogle Homeに話しかければ、普通の家電(赤外線リモコンで操作するという意味で)だってスピーカーを通じて操作することが可能になる。2018年に入ってからAPIも公開。Nature Remoを使った様々なサービスの構築もできるようになった。

クラウドファンディングサイトだけでなく、2017年10月からは正式発売を開始。ただスマートスピーカーの日本上陸と重なったこともあり、塩出氏によると「直近まではバックオーダーがたまり、品薄状態になっていた」という。

現在はそれにあわせて家電量販店(ビックカメラ、コジマ)やAmazonでの販売も開始。今回調達した資金をもとに、開発・製造体制を強化し、プロダクトの改良を進める。

今後は「インターネットとセンサー技術を活用しエネルギーを自給自足できる未来をつくる」というビジョンのもと、まずはエアコンのIoT化により電力使用の最適化を目指す方針。昨年に続き関西電力とのバーチャルパワープラントの実証事業に参画し、電力関連事業でのアライアンスの実現に向けて取り組むという。