UPSがドローン配達の子会社を設立し米連邦航空局の認可取得へ

ドローン配達の大いなる構想を描いているUPSが、その鍵となる行動を起こそうとしている。まず、ドローン配達だけに特化した子会社、UPS Flightを設立し、密集地域、夜間、人間操縦士の視界外での飛行など、現在一般商用ドローン運営に必要な米連邦航空局(FAA)の認可を取得しようとしている。

UPSが取ろうとしているのは、Alphabet傘下のWingが今年4月に取得したのと同じ認証で、Uber EatsやAmazon Airらも申請しているが未だに承認されていない、とThe Vergeが報じている。

世界最大級の運送会社であるUPSとしては、それが実際に将来のラストマイル輸送手段になってもならなくても、ドローン配達分野で何らかの役割を果たす必要がある。同様の認証を獲得しようとしているAmazonは、同社のドローン配達サービスのマーケティングや宣伝に極めて積極的だ。

今年3月、 UPSはドローンのスタートアップMatternetと提携して、医療サンプル輸送のテストをノースカロライナで行い、2017年にはフロリダで、トラックの荷物をドローンで配達するデモンストレーションも行ったが、テストは思い通りの結果にはならなかった

UPSが認可を取得するまでにどれだけ時間がかかるのかはわからないが、年内には可能であるど同社は確信しているようだ。その時にはドローンを使った商用配達サービスが数多く登場するかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITのIBMワトソンAIラボは写真を基にAI肖像画を描く

MIT(マサチューセッツ工科大学)のIBMワトソAIラボでAI Portraitsというプロジェクトがスタートしている。このサイトにユーザーが自分の写真を投稿すると、さまざまな巨匠のタッチで肖像画を描いてくれる。

これはGAN(生成的裁定的ネットワーク)と呼ばれる人工知能を利用しており、写真から人物の顔を抽出し肖像画を生成する。これまでの同種のシステムはユーザーの顔写真に各種ペイント加工をするに過ぎなかったが、AI Portraitsでは写真の顔画像情報をベースにいわばスクラッチで絵を描く。

Vergeの記事によると、このツールは巨匠の手による4万5000点以上の肖像画をデータベースに保存しており、ワトソンAIがアップロードされた写真からどのようなスタイルを利用するのが適切か判断するという。生成された画像は投稿写真の顔情報をベースにしているため、その人物の特徴をよく捉えている。異なる写真を投稿すること異なるタッチの肖像画が生成される。

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AI Portraitでは投稿されたソース画像は顔データの抽出が完了すると同時に破棄されると約束している。つまり後になって顔情報が流出するなどプライバシー上の懸念はない。また生成された画像にも個人を特定するような情報は一切含まれていない。サイトは大人気で多数の写真が投稿されているが、生成された画像は写真そのままではない。ここが重要な点で、写真を加工しているのではなく、独自に絵を描いているのだということhがよく分かる。

ai portrait gan progress

肖像画が気に入ったらソーシャルネットワークに投稿してもいいし、プロフィール写真に使うこともできる。ときどき不具合に遭遇するかもしれないが、あくまで実験であり商用サービスではないのでやむを得ないだろう。トラフィックが殺到している場合、フリーズすることがあるが、何回かリロードしていれば復帰するはずだ。このままでは特に実用性はないかもしれないが、非常に面白い暇つぶしだ。

それから肖像画にしてくれるのは人間の写真だけのようだ。イヌ、ネコの写真を試してみたがうまくいかなかった。

【Japan編集部追記】先ほどテストしたときはAI Portraitsには「トラフィックの殺到で一時的に停止している。Back Soon」という表示が出ていた。なおアップロードする写真は各種証明写真のように顔が中央に大きく写っているものがベター。人物の顔が小さい(写真の4分の1以下)だと認識されないことがあった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Microsoftがイーロン・マスクらのOpenAIに1000億円超を投資、Azueクラウドの人工知能化を目指す

Microsoft(マイクロソフト)はOpenAIに10億ドル(約1080億円)を賭けた。3年前に創立されたこのAIスタートアップのファウンダーにはイーロン・マスク氏をはじめとしてY Combinatorの前プレジデント、サム・アルトマン氏(写真左)などシリコンバレーの著名人が多数いる。

OpenAIの目的は人工知能をユーザーフレンドリーな方向に導くための研究・開発だ。マスク氏は「現在のAI開発の方向は人類の生存を脅かす問題に発展しかねない」と警告してきた。OpenAIはAIの暴走を防ぎ、責任ある開発を目指すという。

現地時間7月22日にMicrosoftとOpenAIは複数年に渡る「実際のコンピューティングを含むパートナーシップ」契約を締結したことを発表した。つまりこの契約で両社はMicrosoftのAzureクラウド向けに新しいAIスーパーコンピューティングテクノロジーを開発する。加えてOpenAIは 現在稼働しているサービスをAzureにポーティングする。またこの契約でMicrosoftはOpenAIの優先パートナー(Preferred Partner)に加わった。これは今後OpenAIが開発するAIテクノロジーの商用化にあたってMicrosoftらが優先的な取扱を受けることを保証する。

今回の発表にちりばめられた「独占的」や「優先的」という単語は興味深い。実はOpenAが創立されたときの理念の1つは人工知能の研究にあたっての自由な協力体制だったからだ。AI研究者は共同でj研究を行い、成果物も自由にメンバーが利用できることを意味していた。しかしいくつかの留保事項があった。プロジェクトの中OpenAI Inc.はNPOだが、子会社のOpenAI LPは営利企業だ。同社の定款の一部は「セキュリティー上の理由により」 非公開となっている。つまり同社の事業の一部は今後も公開されない。

Microsoftにとって今回の提携の目的はAzureに広範囲にAIプラットフォームを確立することだろう。これにより、AzureのスーパーコンピューティングテクノロジーをAIや総合機械知能の開発に役立てることができるようになる。OpenAIは総合機械知能の発展の中心的グループにMicrosoftを迎え入れることができる。発表によれば提携はAIにおける「安全性やセキュリティー上の懸念」を解消することを念頭に置いているという。もちろん10億ドルという資金も念頭に置いているだろう。

投資資金の使い道など詳細については不明ながら、OpenAIの共同ファウンダーでCTO(最高技術責任者)、Greg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏のアカウントから のHackerNewsへの投稿は「キャッシュによる投資」だとしている。

Update記事公開後にOpenAIから連絡があり、投資の内容が多少明らかになった。OpenAIの共同ファウンダー、CTOのブロックマン氏のコメントは以下のとおり。

今回の投資は全額キャッシュでOpenAI LPに対するもので、リミテッドパートナーシップに対する標準的な出資確約(Capital Commitment)だ。すなわち今後複数年にわたって我々の求めに応じてMicrosoftが必要なを出資することとなる。我々はこれを5年以内と予定しているが、それより短い期間に出資が完了する可能性がある。

OpenAIは創立時に10億ドルをマスク氏、アルトマン氏らから確保している。共同ファウンダーには前述のブロックマン氏に加えて、LinkedInの共同ファウンダーであるリード・ホフマン氏、YCの共同ファウンダーであるジェシカ・リビングストン氏、ベンチャー投資家のピーター・ティール氏、AWSらが名前を揃えている。AWSの存在はAzureとの関係で興味深い。 Infosysと YC Researchは数年といった短い期間では出資金を全額使うのは難しいだろうと予測していた。

画像:Microsoft

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceX運営の学生向けコンペティションは「10kgのカーブしたトンネルで行われる」とイーロン・マスク氏

イーロン・マスク氏は、彼の会社SpaceXが過去4年間にわたって運営してきた、Hyperloop学生エンジニアリングコンペティションの内容を変えることを計画している。来年のコンペティションは10kmの長さのトンネルで行われることになるとTwitterで発信した。それによれば、現在SpaceXのホーソンHQにある、4分の3マイル(約1.2km)の直線のテストトンネルではなく、カーブしたトンネルを使うことになる。

今年のHyperloopポッドコンペティション決勝戦の会場で、現地時間7月21日の早い時間に、Boring Company(ボーリングカンパニー)のスティーブ・デービス(Steve Davis)社長が、現在のトンネルは「200m」延長されるだろうと語っていたことを考えると、これは大きな変化だ。ただし、SpaceXがどこでどのようにこれを開催するつもりなのかははっきりしていない。

デービス社長とマスク氏は7月21日の決勝のステージ上で、現在のトンネルの延長について議論したが、それはどちらかと言えば、来年行うちょっとした延長についてのように聞こえた。マスク氏はこの先3年のうちに、Boring Companyの手によって、学生チャレンジに使うことができるような、より長いトンネルを掘削できるという考えを進めているようだった。

「これから1年で、十分長くて直線の地下トンネルを掘削できるとは思いませんが、3年かければ必ず達成できると思っています」とマスク氏はコンペティションの合間のQ&Aタイムで答えた。「それで、これから3年を思い描いてみましょう、少なくとも数マイルは完成している筈です。そうなれば、実際に事を進めることができます」。

マスク氏はまた、Boring Companyのメインミッションである、トンネル掘削に関する新しいエンジニアリングコンペティションを始める可能性を語って、聴衆を盛り上げた。

「おそらくトンネル掘削コンペティションを開催するするとができるでしょう、それが良いかもしれませんね」とマスク氏は語った。「トンネル掘削コンペティションを検討します」と彼は数秒考えた後に締めくくった。

その後、会場にいた学生チームのメンバーのひとりから出されたフォローアップ質問に答えるかたちでマスク氏はこう語った「トンネル掘削は極めて面白いテーマだと思いますよ。先ほどお話ししたように、主な課題は、どのように効果的にトンネルを掘削するのか、特にどのように補強セグメントを入れて土を効果的に除去するかです。それは予想以上に困難です」。

現在の掘削技術は、氷河の進むようなペースでしか管理できない。マスク氏はもし私たちが歩く速度の10分の1とか、3時間で1マイル(約1.6km)の速度で掘削できるようになったなら、地下輸送の3Dネットワーク構築の可能性に大きな変化がもたらされるだろうと語った。

7月21日の夜に行われた彼のツイートによれば、マスク氏はテストトンネルの長さを大幅に延伸する方法を思いついたらしい。だがそれに先立って出された、私たちがいつ十分な長さの地下トンネルを掘ることができるのかについてのコメントを考慮すると、その延伸方法は地下トンネルを使ったものではまだなさそうだ。

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(翻訳:sako)

「Starshipプロトタイプは2〜3カ月後に初飛行」とイーロン・マスク氏

SpaceX(スペースX)でCEOを務めるイーロン・マスク氏は、同社が開発するテキサスとフロリダのStarshipのプロトタイプが「2〜3カ月後」に飛行すると考えている。これは、デモ用のプロトタイプとなるStarhopperの地上係留なしでの飛行が先週失敗したことを考えると、強気のスケジュールだ。

SpaceXはテキサスとフロリダの施設で2機のプロトタイプを並行開発しており、これはより良い機体を選定するという意味がある。どちらのチームもそれぞれのロケットを独自に建造しており、内部の競争意識を刺激することで、1つのチームだけでは不可能な共同での進捗の達成を目指しているのだ。

マスク氏は今月はじめ、Starhopper(短距離飛行モデル)の地上係留をしないテスト飛行が7月16日に実施される予定だと述べたが、その計画はエンジンの予備試験点火の結果、多くの現地民が観測した巨大な火の玉に終わり失敗した。マスク氏は後にTwitterにて「予備テストでの燃料漏れ」の結果だと述べ、また小型版となるStarhopperには重大なダメージを与えていないとも付け加えている。

その後、SpaceXのCEOは非地上係留テストの新しいスケジュールを発表し、今週にテストを実施すると述べた。これは、Starhopperのより完全な飛行テストを前にした、重要な段階であることは明らかだ。

マスク氏は7月19日に、これらの初期テストはサブオービタル飛行となり、軌道へのテスト打ち上げは2〜3カ月後の初飛行の「2〜3カ月後」、つまり今から4〜6カ月後に実施されるとしている。ただしマスク氏のツイートでの楽観ぶりを参考にすれば、このスケジュールも非常に楽観的なものだと考えるべきだろう。

マスク氏はまた、Starshipの打ち上げについての詳細も共有している。打ち上げではFalcon 9やFalcon Heavyのように、現在別地点にて建築中の打ち上げ装置を利用する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAのオリオン宇宙船が初の月ミッションに向け準備完了

NASAによる50周年記念は過去の偉業の見返しにとどまらず、2020年6月以降に予定されているアポロプログラム以来となる、Orion宇宙船が月周辺を飛行する最初の旅の準備が整ったことを認めた

Orionの最初の月ミッションでは宇宙飛行士を乗せないかわりに、Artemis 1の一部としてSpace Launch System(SLS)ロケットを利用し、6日間の月周辺飛行を含む合計3週間を宇宙で飛行し、地球へと帰還する。帰還後は大気圏への高速再投入に関する重要なテストを実施し、2022年にArtemis 2で宇宙飛行士を輸送するためのOrionカプセルの耐熱シールドの効果を検証し、最終的には2024年のArtemis 3にて月面に人類を再び立たせる予定だ。

これはOrionにとって最初の宇宙飛行ではなく、2014年にExploration Flight Test 1が行われ、無人のカプセルが打ち上げられ4時間宇宙を飛行し、地球を2周したあと地上へと帰還した。このミッションではSLSではなくDelta IVロケットが利用され、Artemis以前の重要なシステムのテストが実施された。

アポロ月面着陸の記念日に完成した、ロッキード・マーティンによる月へのArtemis 1ミッション用のオリオンカプセル

NASAの契約企業でOrionの製造を担当するロッキード・マーティンは、結合されたクルーモジュールとサービスモジュールが適切に統合されたことにも言及し、打ち上げの最終準備を始めるために年末までにフロリダのケネディ宇宙センターに戻る前に、一連のテストが実施される予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アポロ11号が最初に持ち帰った月の石をスマホで堪能しよう

アポロ11号の月面着陸から50周年を迎えたNASAは、今さまざまな方法で祝っている。その中には、世界中どこにいようと、スマホさえあればだれでも体験できるものもある。NASAのARES(Astromaterials Research & Exploration Science=宇宙材料研究探査科学)部門は、史上初めて採取された月の土と石の詳細な3Dモデルを公開した。それは人類として初めて月面に降り立った宇宙飛行士、ニール・アームストロング氏が持ち帰ったもの。

このリンクをスマホで開けば、月の石をその場でいじってみることができる。3Dモデルがブラウザー上に表示されるので、タッチ操作で回して向きを変え、いろいろな角度から見ることができる。そのディテールは驚異的なレベルだ。ARESによれば、実際に「研究グレード」のものだという。これは、ARESが保管している大量の月と南極隕石のサンプルを、研究、教育のために、より多くの人に公開しようという大きな取り組みの一貫なのだ。

これらの3Dモデルは、超高解像度の写真から生成されたもの。現物を240通りの角度から、最大100メガピクセルのカメラで撮影し、30〜60ミクロン(人間の髪の毛の太さよりも細かい)の分解能を達成している。

そして、これはほんの入り口にすぎない。コンピューターによる画像処理によって、正確な体積と、材質に関する情報も得られる。さらに、X線を使った処理によって、実際にサンプルを切断することなく、断面の画像を生成することも可能だ。こうして、できるだけ多くの正確な情報を引き出している。

もし今スマを持っていなくても、たまたま3D赤青メガネを持っているなら、以下の画像から眼を見張るようなディテールを読み取ることができるはずだ。またNASAは、月の岩石サンプルの研究室を初めて地質学者に開放しているので、その場で直接現物を調査することができる。これまでは長年厳重に非公開で保管されてきたものだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

インドの月探査機チャンドラヤーン2号、7月22日に打ち上げ日を再設定

インド宇宙研究機関(ISRO)は先週、月の南極点にローバー(探査車)を送るチャンドラヤーン2号の打ち上げを予定していたが、打ち上げ1時間前に発見された「技術的な障害」のために、計画は延期された。そして、ISROは米東部時間の7月22日の月曜日5時13分に、打ち上げを実施すると正式発表した。

チャンドラヤーン2号は月着陸機とローバーを搭載した探査機を月に届けることを目標としている。月の南極にローバーを軟着陸させるというのは初の試みで、またインドにとっても科学実験装置を搭載し耐衝撃シールドを搭載した着陸機を探査機から発射するのではなく、ランダーを月面へとコントロールし軟着陸させるのは初の試みである。これが成功すれば、インドはこの種の月面着陸を成し遂げた4番目の国となる。

打ち上げ日にはライブストリームを提供する予定で、GSLV Mk-IIIロケットがチャンドラヤーン2号を軌道へと投入する様子は、さぞかし見栄えがすることだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Twitterが隠れたツイートによる会話ギャップに対処へ

見たくないコンテンツ(ユーザーが投稿した多くのコンテンツを削除する傾向も強まっている)をブロックするTwitterのツールは、プラットフォーム上でのいくつかの会話をスライスチーズのようにみせる。そしてTwitter社は数週間以内に、会話中で非表示にされたコンテンツに「背景(コンテキスト)」をくわえ、少なくとも不可思議さを減らすべくギャップに対処するという。

偶然見つけた会話の中のツイートが見えないのにはいくつかの理由があり、例えば投稿者がプライベートのアカウントを持っている、ツイートがポリシー違反のために削除された、あるいは投稿に含まれる特定のキーワードがユーザーによってミュートされ削除されたなどだ。

Twitterのサポートアカウントによると、この修正ではとくに表示が頻出している場合に、会話中のツイートが非表示になっている通知とともにより詳細な背景を提供し、ユーザーを混乱さないようにするという。

昨年、Twitterは個別のツイートが削除された理由に背景と透明性をくわえる新たなプロセスを導入しており、Twitterの仕組みにあまり詳しくないユーザーにとっても、同プラットフォームでの会話をフォローしたりアクセスしたり、理解したりしやすくすることに関心があるようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アポロ11号の月面着陸をリアルタイムレイトレーシング技術で再現

アポロ11号の月面着陸ミッションの50周年記念にあたり、Nvidia(エヌビディア)はこの記念日を利用して最新GPU技術を披露している。最新のGTCカンファレンスで焦点となったのは、RTXシリーズで利用できるリアルタイムレイトレーシング技術だ。

Nvidiaは同社の最新技術を利用して、「Turing GPU」 アーキテクチャを披露するために5年前に制作され、昨年リファインされた月面着陸のデモ大幅に改良した。完成したシミュレーションは太陽光をリアルタイムにモデリングする完全にインタラクティブなグラフィックデモで、正確な影やバイザー、金属表面の反射を取り入れた映画のような写実的な月面着陸の描写を実現している。

同社はすでに、最先端グラフィックスハードウェアの一部で動作するこのシミュレーションに注力してきた。例えば仮想世界の構築に着手したときには、同社はランダー(着陸船)や宇宙飛行士の宇宙服の実際の反射率、そして月の表面のダストや地形の特性を研究した。リアルタイムのレイトレーシングにより、太陽の相対的な位置を前後へと移動させたり、すべての地面が実際世界のように光を反射することができるようになったのだ。

愚かな陰謀論者は月面着陸がフェイクだと主張するかもしれないが、Nvidiaのレクリエーション(再構築)は実に見事であり、12人しか実際に体験したことのない「アーカイブよりリアルな」ものをみせてくれる可能性がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

高高度飛行ジェット機からのロケット打ち上げでVirgin Orbitと英国空軍が合意

億万長者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏が率いる小型人工衛星打ち上げ会社のVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)は、英国空軍(RAF)の小型人工衛星の打ち上げに関する初期契約に署名した。この契約は英国空軍のArtemisプロジェクトの一環であり、Virgin Orbitは英国のGuildfordをベースとするSurrey Satellitesのハードウェアを、デモミッションとして打ち上げる予定だ。

これは、英国に人工衛星の打ち上げ能力を提供したいというVirgin Orbitの意向とも一致している。英国は1971年に自国のロケットにより人工衛星を打ち上げたが、その射場はオーストラリアに設置された。Virgin OrbitはCornwallにスペースポートを設置すると発表しており、2020年代前半に改修されたボーイング747からロケットを打ち上げる予定だ。

Virgin Orbitの打ち上げ方法は地上ロケットを含んでいない(必要なのは伝統的な飛行場だけ)ので、コストを考えると大きなメリットがある。基本的にはボーイング747の主翼に小型ロケットが装着され、高高度にて分離し、軽いペイロードを搭載して地球の低軌道へと比較的に短い距離を飛行するのだ。

この方法では、大きくて重い人工衛星を宇宙へと打ち上げることはできない(皮肉なことに、政府や軍関連ではそれが一般的なのだが)。しかし、製造や打ち上げ価格の両面でコスト的なメリットがあり、人気の高まる小型人工衛星の打ち上げには最適だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

宇宙空間で1000日以上運用された中国の宇宙ステーション実験機「天宮2号」が役目を終える

中国の宇宙ステーション実験機ことTiangong-2が正式に運用を終了し、大気圏へと再突入してその使命を終えた。プラットフォームは軌道を外れて米国時間7月19日の午前9時に予定どおりに焼却し、南太平洋上に落下したことが、中国の宇宙機関により正式に確認された。

宇宙ステーションの大気圏突入時の重量は約9トンだが、大気圏再突入時にはほぼすべてが燃え尽きる計算だ。Tiangong-2は宇宙ステーション(ISSと比べた場合)としては比較的に小型で、ちょうど2人の宇宙飛行士が滞在できるだけのスペースを備えた研究用モジュールで構成される。

宇宙空間で1000日以上運用され、予定運用期間を超えたTiangong-2は、もともと大気圏に計画的に再突入する予定だった(対象的に、Tiangong-1の再突入は計画的なものではなかった。最終的に、地上へのリスクはなかったが)。これらの実験モジュールや間もなく登場するTiangong-3は、コアモジュールが打ち上げられ2020年からからミッションが始まる中国の本物の宇宙ステーションこと「天宮」のための、主要技術をテストするために設計された暫定的な実験ステーションだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

任天堂はバッテリー寿命を延長したSwitchを発売へ

任天堂は今月になって、まったく新しいSwitchモデルとなるSwitch Liteを発表したばかりだ。そしてさらに、これまでのSwitchのスペックの一部を強化した密かなアップデートを導入する。これは最初にThe Vergeが発見した。このアップデートは、携帯用ゲーム機としてのSwitchの能力を強化するような、ハードウェアの性能向上をもたらす。

今回の新しいモデルは、使用状況によっても異なるが、4.5〜9時間のバッテリー寿命を実現するとしている。これまでのオリジナルモデルでは、2.5〜6.5時間だったことを考えると、かなり大きな進化と言える。これはおそらく、このゲーム機が採用するプロセッサの変更と、より消費電力の少ないメモリの採用によるものだろう。いずれも、先週FCCに提出された申請書に詳細が記述されている。

任天堂の公式サイトの新旧Switchの比較ページには、バッテリー寿命が改善されたモデルの型番が、「HAC-001(-01)」として掲載されている。この括弧に入った「(-01)」の部分でオリジナルのモデルと区別されるわけだ。2つのバージョンは、シリアル番号でも区別できる。新しいハードウェアは「XKW」で始まるのに対して、これまでの電力効率が劣るバージョンは「XAW」で始まっている。新しいバージョンは、8月中旬には市場に出回るはずだ。それまでは、しばらく購入を控えて、新しいバッテリー寿命延長バージョンを確実に入手したい。

これら2種類のSwitchは、それ以外の点では、まったく同じではないにしても、似たもののように見える。したがって、旧バージョンからのアップグレード版として入手するには、ちょっと変化が足りないと感じられるだろう。とはいえ、もし今使っているSwitchのバッテリーがヘタっていて、外でプレイしたいと思っている時間よりも2時間くらい短い時間しか使えなくなっているなら、買い替えを考えてもいいかもしれない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXがクルードラゴンのパラシュート試験のビデオを公開

SpaceXは同社の宇宙船Crew Dragonの回収用パラシュートシステムの試験風景を詳細に紹介している。最新のビデオには貨物機や高高度バルーンから落下する映像などのテスト風景が収められている。Crew Dragonカプセルのテストバージョンが砂漠のテスト地域に向かって落ちていくところや、宇宙飛行士を送り出すミッションを終えた後、緩やかに着地するための複数パラシュートアレイを展開する様子などが見られる。

イーロン・マスク氏の民間航空会社は、このCrew Dragonパラシュートシステムを以前からテストしているが、4月にデモ用Crew Dragonカプセルの代わりに金属製のそりを使って行われた「高度な開発テスト」がNASAの期待に答えられず失敗に終わったこと以外、ほとんど情報がなかった。ともあれ、最終的な完成システムに向けて提供されたデータによれば今回のテストは両者にとって「成功」だったようだ。

SpaceXは、今日公開されたビデオで信頼性試験や認定試験など7種類のテストを紹介している。同社はまだこのパラシュートシステムが認定を受けたとは発表していないが、ライバルのボーイングは6月にStarliner有人宇宙船の認定を受けている。

パラシュートシステム以外でもSpaceXは、NASA職員を乗せた有人飛行の認定を受けるためにさまざまな試験を実施している。また最近同社は、4月にCrew Dragonがエンジン試験を中断した失敗理由の調査の進捗や、有人試験飛行に向けた改善点についても詳しく報告した。

SpaceXはCrew Dragon初の有人試験ミッションの目標を2019年中としており、以前は7月末の実施を目標にしていた。現時点でSpaceXの宇宙船が今年中に宇宙飛行士を乗せて飛ぶところを見られる可能性は極めて低い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleがアポロ11号ソフトウェア責任者を記念し巨大モニュメント製作

アポロ11号の月面着陸、50周年を記念してGoogleはさまざまな催しを企画しているが、中でも規模最大なのはGoogleマップのチームのプロジェクトだ。アポロ11号の月面着陸を導いたソフトウェアの開発責任者であるマーガレット・ハミルトン氏に対するトリビュートとして、マップチームはモハーベ砂漠のイバンパー太陽発電施設にの巨大なポートレートを製作した。

 

ポートレートは10万7000枚の鏡からなり、3.6平方キロにもおよび、ニューヨークのセントラルパークより広い。エッフェル塔を200個並べることができるという。

巨大画像にはハミルトンのポートレートだけでなく、「Apollo 11」という文字、月着陸船の画像も含まれる。これはハミルトン氏が人類初の月着陸に果たした大きな役割を示すためだ。同氏の業績のひとつである優先表示システムは着陸操縦の最終段階で宇宙飛行士がその時点で最も必要する情報を的確に表示することを可能にした。ポートレートは1900m上空からはっきり見ることができる。

 マーガレット・ハミルトン氏は現在82歳で、最近The Guardianのインタビューを受け、アポロ計画に参加することになったいきさつ、アポロ11号のミッションで果たした役割について詳しく語っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

光子の力による宇宙帆走をテストするLightSail 2が送ってきた美しい写真

LightSail 2が自分の帆を広げて、本来のミッションである太陽からの光子の力だけによる帆走とそれに関する調査を開始するまで、少なくともまだあと数日はある。しかし、軌道上で時間を浪費していたわけではない。The Planetary Societyがクラウドファンディングで立ち上げたこの宇宙船は、このほどその特徴を生かした有利な場所から撮った、驚異的なほど高解像度の地球の写真を送ってきた。

LightSail 2はファームウェアがアップデートされ、太陽帆走の帆を使わないテストのあと、方向制御に関する問題を修正した。The Planetary Societyによるとパッチのアップロードは成功し、宇宙船は現状で全体として「健康で安定している」そうだ。太陽帆走の開始は早くて米国時間7月21日の日曜日だが、いつにせよそれは、ミッションのチームが実際に帆を広げることに確信を持ったときに限られる。

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LightSail 2の開発資金は、Bill Nye(ビル・ナイ)氏が率いるPlanetary Societyのクラウドファンディングキャンペーンの成功に負うところが大きいが、今でも目下実行中のオペレーションのためにCrowdRiseで資金を募集している。

マイラー(電気の絶縁材料)で作られている帆に当たる太陽からの光子の力だけで、この宇宙船が航行できるかテストすることが目的だ。宇宙の力だけによる航行は、スタートするまでの過程が極端に遅いが、極めて高いエネルギー効率で調査船が長距離航行できるだろう。

現在の軌道への打ち上げは6月25日に、SpaceXの最新機Falcon Heavyの積載量の一環として行われた

画像クレジット: The Planetary Society

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Netflixの会員数は期待したほど増えずむしろ米国では微減

Netflixの2019年第2四半期の決算報告では、米国の有料月額会員の数が初めて減少に転じ、相次ぐ料金値上げがついに顧客の忍耐の限界に達したかと思われる。同社の全世界の有料月額会員は270万人増加したが、実は実際の増加数は283万人のところ、米国では13万人を失った。

Netflixの消費者向け料金はこの四半期に10.99ドルから12.99ドルに上がり、明らかにそれが減少の一因だろう。同社はこれほどのリアクションを予想していなかったらしく、2018年Q2の増加数が550万人だったから少なくとも今期500万人は増えると予想していた。

同社によると、月額会員の増加数は値上げをした地域ほど予想からの乖離が大きく、しかしまた世界のすべての地域で増加数は期待を下回った。米国における減少は競争のせいと思われるかもしれないが、しかし同社によると、発表したばかりでまだ実際に操業していない競合が多いので、実質的な影響はないという。

むしろNetflixが指摘するのは、値上げとともに追加されたコンテンツの陣容だ。Q2のコンテンツの顔ぶれは、期待どおりの新会員を集めることができなかった。次のような、強力な人気コンテンツがあったにもかかわらず。When They See Us(4週で視聴数2500万世帯)、Our Planet(3300万世帯)、Murder Mystery(7300万世帯)、The Perfect Date(4800万世帯)、Always Be My Maybe(3200万世帯)。

それでも同社は、Q3の有料サブスクライバー増を700万人と大きく見積もっている。前年同期の610万人増よりも大きな数字だ。この楽観の大きな理由は、モバイルオンリーで手頃な料金のプランをその四半期にインドで立ち上げるからだろう。

Netflixの株価はQ2の結果のために10%以上下がった。Q2のNetflixの決算報告はここで見られる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

イーロン・マスクのNeuralinkは来年から人間の脳とのより高速な入出力を始める

イーロン・マスク氏の主導によって2017年に創業されたスタートアップのNeuralinkは(ニューラリンク)は、「糸」に関わるテクノロジーを開発している。この糸は、現在行われている脳=コンピューターインターフェイスに比べて、周囲の脳組織への影響が圧倒的に少ない形で埋め込むことができると言われている。「ほとんどの人は気付いていませんが、チップを使ってそれを解決することができるのです」とキックオフの場でマスク氏は語った。そこでは会社が解決したいと思っている、脳の不具合や問題について語られた。

マスク氏はまた、Neuralinkが長期的に目指すのは「人工知能との一種の共生関係を達成する」方法を見出すことだとも語った。「これは必ず受け入れなければならないというものではありません」と彼は付け加えた。「これはもし希望するならば選択できる、といった種類のものです」。

とはいえ、現在のところその目的は医学的なものであり、Neuralinkの作製したあたかも「ミシンのように」動作して糸を埋め込むロボットを使うことが計画されている。この糸は信じられないほど細く(人間の最も細い髪の毛の3分の1ほどである直径4〜6マイクロメートル)、人間の脳組織深く埋められて、そこで非常に大量のデータの読み書きを行うことができるようになる。

こうしたことはとても信じられないと思われるし、ある意味それはまだまだ難しいことなのだ。Neuralinkの科学者たちはNew York Times(NYT)紙に対して月曜日に行ったブリーフィングの中で、どのような意味にせよ商用サービスが提供できるようになるまでには、まだまだ「長い道のり」を進む必要があると語った。同紙によれば、沈黙を破って、彼らが現在行っていることに関して語った理由は、よりオープンに公開された場で働くことができるようになるためだ、そうすることでもちろん、より多くの大学や研究コミュニティとの連携が必要な活動がしやすくなる。

ニューラルリンク1

Neuralinkの共同創業者で社長であるマックス・ホダック(Max Hodak)氏はNYTに対して、Neuralinkの技術は、理論的には比較的すぐに利用できるようになるだろうと楽観視していると語っている。たとえば義肢利用して手足を失ったひとが運動機能を取り戻すとか、視覚や聴覚そしてその他の知覚欠損などを取り戻すといったことだ。同社は、来年のなるべく早い時期に、実際に人間を対象とした試験を開始することを望んでいる。実際、その中にはスタンフォード大学やその他の研究機関の脳神経外科医たちとの協力の可能性も含まれている。

「Neuralinkの現在の技術では、超薄型の糸を挿入するために対象の頭蓋骨に実際にドリルを使って穴をあける必要があるが、将来の計画ではドリルの代わりにレーザーを使用して、はるかに負担は少なく基本的に患者に感じられることないほど細い穴を開ける手法に移行していくだろう」とホダック氏はNYTに語っている。こうした説明に即したものが、比較的若いこの会社によって、来年人間に対して行えるかどうかはいささか疑わしいが、それでもNeuralinkは今週同社のテクノロジーを実験室のラットに対して実証してみせた。その結果は、データ転送という意味では現行のシステムの性能を上回るレベルのものだった。Bloomberg(ブルームバーグ)によれば、ラットからのデータは頭につけられたUSB-Cポートから収集され、現行の最善のセンサーに比べて10倍の性能が得られたという。

現行の脳=コンピューター接続手法に対するNeurlalinkの先進性としては、使われる「糸」の薄さと柔軟性も挙げられる。しかし寿命に対する懸念を表明する科学者もいる。時間が経つにつれてプラスチックに損傷を与え劣化させてしまう、塩分を含んだ液体に満たされた脳に対してさらされることなるからだ。また、脳に埋め込まれた複数の電極が脳の外部のチップと無線で通信できるようになる計画もある。このことで、余計なケーブルなどの接続も不要なため、これまでにない動きの自由度を確保しながら、リアルタイムのモニタリングを行うことが可能になるだろう。

この試みの資金の大半を援助し、自らCEOとして働くイーロン・マスク氏は、これまで同社が調達した1億5800万ドル(約171億円)のうち、1億ドル(約108億円)はマスク氏から調達したものだ(残りはSpace X社)。現在のところ90人の従業員を雇用しているが、そのそっけないウェブサイトを見る限り今でも積極的に採用を行っているようだ(現在は本日のライブ映像へのリンクと、基本的に求人情報だけが出ている)。実際イーロン・マスク氏は、米国時間7月17日の発表の冒頭で、本当のところこのイベントの主な目的は、新しい才能を採用することであるとも述べていた。

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(翻訳:sako)

トヨタとJAXAが燃料電池動力の有人月面探査車開発で3年計画に調印

トヨタ自動車とJAXA (宇宙航空研究開発機構)は「有人与圧ローバ」と呼ばれる燃料電池動力の有人月面探査車の開発で正式に提携した。当面、2029年に予定されている月面探査で利用できることを目標とする。両社が月面探査車両の開発で協力することは以前から知られていたが、今回、3年間にわたって「有人与圧ローバー」のプロトタイプを共同開発することで正式に合意し、契約に調印した。

プロトタイプ開発にあたって3年間のそれぞれの年には異なる目標が設定されている。初年度は必要とされるテクノロジーや解決すべき技術的問題の洗い出しに当てられ、仕様が決定される。2年目には各パーツの開発と全体の組み立てが行われ、2021年度にはプロトタイプの全体および各パーツがローバの本格的生産に向けてテストされる。

3月に発表されたプレスリリースによれば、ローバ探査車は有人、予圧式で、燃料電池と充電可能な太陽電池を用いて1万kmを走行させることを目標としている。通常の定員は2名だが、緊急時には4名が乗車できるスペースがあるという。

トヨタによれば、ローバは全長×全幅×全高がそれぞれ6.0×5.2×3.8mになる。これはマイクロバス2台を横に並べた程度のサイズだ。フロント部分は走行不能になることを防ぐデザインで、コミュニケーション機器はもちろん各種の機器が搭載される。

JAXAでは2007年に打ち上げた月周回衛星「かぐや」(Selene)に引き続き月探査を進めている。「かぐや」は強力なレーダー・サウンダーを搭載し月の地下に大きな空洞を確認するなど重要な成果を挙げた。
JAXAでは無人探査機による月面探査に加え、最終的にはローバによる有人月面探査を目指している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスクが脳直結インターフェイス「Neuralink」をプレゼン

イーロン・マスク氏のステルス・スタートアップの1つがいよいよ表舞台に登場する。米国時間7月16日午後8時(日本時間7月17日正午)に 同社のサイトからビデオストリーミングによるプレゼンが公開される予定だ。2017年に創立されたNeuralink(ニューラリンク)のテクノロジーについて詳しく知ることができるはずだ。

NeuralinkはBCI(脳コントロールインターフェイス)を開発しており、マスク氏の遠大なテクノロジーのビジョンの重要な一環を占める。BCIは人間によるコンピュータのコントロールを改善し、AIがもたらす危険性を大きく減少させルのに役立つという。

そこでこれまでにNeuralinkについて分かっていることを振り返ってみよう。創立当初の目的は(少なくともその後1年程度は)脳に直結するインターフェイスをてんかんなど大脳に起因する慢性疾患の症状の軽減に役立てることだった。この研究の過程で「超広帯域の脳-マシン・インターフェイス」によって人間の脳とコンピュータを直結するテクノロジーが開発されたという。ともあれNewralink自身が公開している情報はこれだけだ。

Wait But Whyにサイトの共同ファウンダーであるTim Urban(ティム・アーバン)氏が発表した記事がNeuralinkが解決を目指す課題に関する最初の詳しい解説だった。私も同じ日にスタートアップの背景と目的を分析する記事を書いた。要約すれば、Neuralinkの使命は宇宙植民計画などマスク氏のほかのベンチャーと同様「人類の存続を脅かす危機」とマスク氏が呼ぶものを避けるための努力といっていいだろう。

Neuralinkの目的は当初の医療テクノロジーという領域をはるかに超えて拡大した。Wait But Whyによれば、医療のような現実の応用からスタートしたのは、コンセプトを実験する上で規制当局を納得させるのに便利だったからだったらしい。マスク氏の最終目的はコミュニケーションにおける「圧縮」過程を取り除くことだというのがTim Urban氏の説明だ。マスク氏によれば、例えば人間がコンピュータと対話するとき、内心の考えをキーボードで打ったり、マウスを操作したりして伝える。このとき、実際の考えは大幅な圧縮を受けている。Neuralinkは情報の圧縮と伸張の過程を取り除く。これにより人間とコンピュータの対話をロスレスで広帯域の直接コミュニケーションに変え、容易化、高速化を実現する。

このテクノロジーが人類の存続を脅かす危機を避けることに関係するというのはこういうわけだ。マスク氏によれば、人類は今後も否応なくAIの発達にさらされ、次第にコンピュータの処理能力が人間を圧倒するようになる。高度なAIを搭載したロボットが世界の支配者になるというドゥームズデー・シナリオを避けるためには、人間が脳を直接コンピュータに接続することでコントロール能力を格段に高めるようにする他ないというのがマスク氏の考えだ。

2年前にはこの最後の目標にはそのまま受け取るのが難しい部分も含まれていた。しかし今日、Neralinkがどこまで達成できたのか、目標設定に変更はあったかのなどについて報告を聞くことできる。Neuralink.comからストリーミングがもうすぐ開始される(日本時間で本日正午)。

画像:DAVID MCNEW / AFP / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook