調査結果:テクノロジーに強いユーザーはグラスよりスマートウォッチを好む

JessicaLessin.comのユーザーを対象としたごく少規模な調査によると、一般に、ユーザーはスマートグラスよりスマートウォッチの方を好むことがわかった。これは、何らの決定的証拠ではないが ― サンプル数が少なすぎる ― 来シーズン、アーリーアダプターたちが何を着用するかを予測する材料にはなる。

Eric Newcomerが実施したこのアンケートは、今後5年以内にスマートデバイスを買う予定があるかどうかと、好みのタイプを尋ねている。62%が5年以内にスマートウォッチを所有する予定で、41%がスマートグラス端末を買う予定があると答えた。今すぐ買うかどうかを聞かれると、数は少々怪しくなり、45%がどちらも選ばなかった。それでもスマートウォッチがグラスをリードした。

Newcomerはこう語った。

多くのアプリデベロッパーやハードウェア会社は、新世代のウェアラブルデバイスが新しいハードウェア市場を作ることに賭けている。2014年には、1500万台のスマートウォッチが出荷され、2020年にはその数字が3.73億になると、市場調査会社のNexMarketは予測している。この明らかに楽観的な予測は、年間10億台を越える通常の腕時計の出荷台数に、一部基づいている。

この手の調査で興味深いのは、一部のテクノロジーに強いユーザーの声を聞けることだ。もし同じ質問を一般人に聞いたら、まだタブレットに投資しようかどうか迷っているところで、顔面ユーザーインターフェースのことなど考えてもいないだろう。

実際、スマートウォッチもGoogle Glassも、間違いなくプライムタイムにはまだ遠い。殆どの能力はCPU能力とバッテリーの厳しい制限を受けているし(私はOmateの最新製品に強く期待しているのだが)、Google Glassは今のところ楽しい気晴らしだ。現実はまだ両者の戦争ではなく、ウェアラブル製品の普及に向けて緩やかに匍匐前進しているところだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


競争法改定によって、新世代のスイス製スマートウォッチ誕生へ。スォッチに注目

Swatchグループは、長年にわたりスイス(および他国)の大部分の時計メーカーにとって、主要なムーブメント供給会社だった。これらのムーブメント — 時計の心臓部 — は、過去10年間、世界の時計の60%を動かしてきた。それが終わろうとしている。

スイスの公正取引委員会、WEKOは、メーカーが独自のムーブメントを作り始めた際、時計の価格が高騰しないようSwatchにこれらのムーブメントを供給するよう求めた。ちなみにSwatchは、年間数十万台のムーブメントを製造するメーカーである、ETAというムーブメントブランドを持っている。新しい裁定によって、Swatchは製造への取り組みを減らし、研究開発への投資を増やすことが可能になる。

なぜこれが重要なのか。要するに、これによってSamsungやSonyなどのライバルが出現することを意味しているからだ。Swatchは世界有数の腕時計ブランドであり、国際的地盤を持っているため、理論上は大量のスマートウォッチを作る事ができる。Swatchは伝統的に人気スマートウォッチを作るのが得意ではなく、消費者テクノロジーの理解にも難があることで知られているが、技術供与会社と協力することによって、新旧テクノロジーを融合した興味深い製品を作る可能性を秘めている。

スイスの時計業界は、言うなれば、明らかに少々旧態依然としており、数多くのライバルに直面している。しかし、ちょっとしたマーケティングの工夫と研究開発への投資によって、 同社を数多くの顧客に縛り付けている足かせは、近々外れるかもしれない。

via Quartz

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(翻訳:Nob Takahashi)


中小企業に自己機ホスティングのプライベートクラウド環境を提供するSher.ly, セキュリティは完璧

Sher.ly〔女の子の名前〕なんて、ジョークサイトか? いや、違う。このポーランドの企業は、中小企業の手持ちのマシンをセキュアで常時稼働のクラウドに変える。このエンタプライズ向けソリューションは、ファウンダのBlazej MarciniakMarek Cieslaが頑張ったおかげで、一部の読者も想像したと思うが、実装がきわめて容易である。

“それは常時動いているが、アクセスはスマートで、必要なデータを必要なときだけシンクして必要な人にアクセスさせる。自動的無差別的なシンクはしない”、とBlazej Marciniakは言う。“大きなファイルやモバイルでシンクするのは無意味だ。自分だけのストレージとネットワークを使い、よそでは何も共有しない。だから、Sher.lyは本質的にセキュアだ。データとトラフィックは暗号化され、アクセスは招待制のみだしね”。

彼曰く、“われわれはパブリッククラウドを信用しない”。

同社は2012年の11月にGVN Technologyという名前で創業され、PrivacyProtectorというプロダクトを作った。でも、それに対して世の中は無反応だったので、若いスタートアップによくあるように、さっさと方向転換をした。およそ20万ドルの資金を調達して製品を作ったが。でもその出だしは厳しかった。

“金がなくなり、次のシード資金が決まるまでの3か月は文無しのまま操業した”、とMarciniakは言う。“残念ながらポーランドではほかの選択肢が何もなかったから、できるだけ早くアメリカへ行きたいと思った。そしてやっと、アメリカで会社とコネを作った”。

同社の小さなチームは今、新しい機能の実装とアプリケーション本体の改良に力を入れている。“時間が大きなプレッシャーで、毎日が真剣勝負だ”、と彼は言う。今のユーザ数は100、今日はOS Xバージョンをリリースした。今日はまた、本誌のDisruptで一般公開にこぎつけた。

Marciniakは次のように言う: “チームがしっかりしてれば、何でもできる。一人では何もできないね。すぐれたチームなら、国籍などはどうでもいい。使いやすくて、データのセキュリティが完璧ならね。うちの目標は、データデリバリに伴う不安や心配をゼロにすること、顧客が自分たちの仕事だけに集中できる環境を作って提供することだ”。

〔ここにスライドが表示されないときは、原文を見てください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ブラウザ上でWindows 1.01とMac OS 7のゲームをプレイできる

ひまを持て余しているあなたは、久々にKidPixやAdventureをプレイしたい、と思った。そして実は、それができるのだ。Hampa Hugのブラウザ内エミュレータPCEは、二人のプログラマによる巧妙な作品で、二つのクラシックなOSをあなたのブラウザ上に再現できる。

James FriendはSystem 7の実装を作り、その法律的な問題について述べている:

なぜ、古いコンピュータのエミュレータをブラウザにポートするのか? それは、まず第一に、過去から学ぶことが重要だ、と強く感じるからだ。言い換えると、歴史的視野を欠いたところでは、同じ間違いを何度も何度も犯すからだ。そのことに関して、DBXカンファレンスでBret Victorの話がとても参考になった。そのとき彼は1970年代の技術をいろいろ再現してみせ、それらが、今でもわれわれが悪戦苦闘している問題を解こうとしていたことを示した。彼の質問は、痛いところを突いていた: ‘今でもこれが解けないのはなぜか’、そしてより本質的な問いとして、‘今これらの問題に取り組んでいる人たちはなぜ、昔の人の努力を知ろうとしないのか? なぜ数十年後戻りした位置から始めてしまうのか?’。そこでぼくは、初期の重要なコンピュータシステムを今の世代のクリエイターたちがよく知るために、実際に使える対話的なデモを作った。彼らが、過去から学べるように。

PCjrの実装は、Jeff Parが同じやり方で作った。それほど新しくないし、すぐにクラッシュするようだが、でもとにかく昔のOSがインターネットの上に蘇り、しかも本誌のDisruptの記事を読みながらPCjr Adventureをプレイできることは、すごいね。

出典: hackernews

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


人類家畜化計画を推し進めるロボットたちの最新状況

おやすみなさいと安らかに眠れる夜も、もう残り少なくなっている。未来の覇権を握るべく、ロボットたちの人類家畜化計画(Today In Dystopian War Robots That Will Harvest Us For Our Organs:TIDWRTWHUFOO)がいよいよ現実味を帯びてきているのだ。今回紹介するのはエルモ、バキュームクリーナー、そしてマイリー・サイラスにとってかわろうとする腰振りダンサーロボットだ。

まずはエルモとTeddy Ruxpin(会話するクマ人形)を紹介しよう。壊れた人形、いらなくなったハードディスク、そしてカシオのキーボードで恐怖のロボット隊を作ったのはJames Cochraneだ。制御はPIC16F84Aマイクロコントローラーが担っている。このロボット隊はGreen Dayにとってかわろうという野望を持っている様子。TeddyはマックルモアのThrift Shopのコーラスを練習している。リズムセクションはタカラトミーのOmnibotの担当だ。「無駄金使っちまったぜ」とか「婆ちゃんの服を着る」などと歌っているが、「騙した子供を使って」、呼び出した「婆さんの皮を剥ぐ」なんてことを目指しているに違いない。

via Giz

次に見ておきたいのがFonzieだ。3Dプリンターから生まれてきたプロダクトで、セクシーに腰を動かす。コンペティション用に開発されたロボットなのだそうだが、改造してLMFAOの曲でダンスを踊るようになった。ダンスには伝染性があるかもしれない。パーツのほぼ全てが3Dプリンターで作成さている。触覚、視覚をもち、全体の制御能力にも優れたこのロボットは、人間を性奴隷とすることを目指しているに違いないと思うのだ。

最後に紹介するのはRoomba風の床掃除機だ。名前をMoneual Rydisという。価格は400ドルだ。ゴミの吸い込みとモップがけの双方をを行うことができる。これにより、人間が滑って転んで死んでしまうことを望むものなのだろう。死体から冷たくなった血液を啜ろうとするのだろう。この恐ろしいロボットもBest Buyで売っている。

日々、恐ろしいロボットが登場し続けている。

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(翻訳:Maeda, H


一日に一定量の水を確実に飲めるインテリジェント水筒H2O-Pal, 腎/尿結石を防げるか

合衆国の国立水飲健康研究所(実在しない)は、国民が毎日大量の水を飲むことを推奨している。そこでH2O-Pal(実在する)は、一日に飲んだ水の量が分かる水筒H2O-Palを開発した。これを使うと、生きるために必要な一日2~5ガロンの水をその日に飲んだか飲まなかったかが分かる(警告: そんなに大量に飲まなくてもよいだろう)。

この電子水筒には目盛と加速度センサがついていて、一日に飲んだ水の量が分かる。水を入れたら、電子回路のスイッチを入れ、そして会社(など)へ行く。洗うときはパックのような形をした装置部分を外す。それをBluetoothでiPhoneにつなぐと、自分の水飲み習慣が分かる。

Kickstarterでの資金募集目標は95000ドル、お値段は一つ59ドルからだ。2月の正式発売時には69ドルになる。同社はスロベニアの首都リュブリャナにあり、この夏プロトタイプを見せてもらったが、なかなかいい。われわれ人間も、ほとんど水でできている生命体だから、その水分を維持するための発明は、何であれ立派だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


世間はまだ3Dプリントを怖がっている: イギリスの警察が家宅捜査で銃の部品を見つけた(と主張)

ついに、それが起きた。イギリスのマンチェスター大都市圏警察は、捜索した犯罪容疑者の家で、3Dプリンタと3Dプリントされた銃の部品を見つけた。警察は、誇らしげに発表した

捜索時に警官は、3Dプリンタと、3Dプリントされたプラスチック製の弾倉と引金と思われる物を発見した。これらを組み立てると、3Dプリントによる本物の銃が出来上がるものと思われる。

残念ながら、彼らはまったく間違っている。

問題の品物、引金と弾倉のように見える小片(右図)は、Replicator 2のドライブブロックフィラメントスプールホルダーを下手くそにプリントしたものだ。そんな部品が必要なのは、自分で3Dプリンタを3Dプリントしようとするときに限る。犯人はプラスチックとして植物由来のPLAを使っているが、それはヘビーデューティーな用途には無理だ。銃の発射なんか、できっこない。

プリンタ(上図)はMakerbot 2らしいが、それはPLAをプリントできる唯一の機種だ。すでにネット上には、犯人やイギリスの警察をあざける声が飛び交っている:

この種のFUD(fear, uncertainty, and doubt)は、あっという間に世界中に広まり、あちこちの政府が介入してくる。Defense DistributedのCody Wilsonは、ほとんど使い物にならない3Dプリント銃でメディアの大騒ぎを惹き起こしたが、おかげで3Dプリントは無知な世間から冷たい目で見られるようになった。

でもWilsonの銃は、素材が正しくてプリンタが十分に高精細なら、実際に弾を発射できて、銃を持ってる人間ではなく、銃の前方にいる人間を殺せるだろう。しかし、今回の、イギリスの警察が見つけた‘銃’は、単なるプラスチックごみだ。

出典: Buzzfeed

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


曲を分析してギタリストにコード進行などを教えてくれるCapoがバージョンアップ

本誌TechCrunchの正社員ギタリスト/恐怖のギタリストであるぼくは、Capoのようなアプリが好きだ。この29ドルのプログラムを使うとiTunesにあるどんな曲でも分析してタブ譜を作ってくれる。また、演奏/練習中にコードを教えてくれるし、難しいところをループしたり遅くすることもできる。

試しに、Radioheadの”Creep”を、Capoが教えてくれるコードにしたがって、録音してみた。ゲームのRock Bandみたいに。この曲が使ってるコードはG、B7、C、Cmの4つで、バレのコードは通常、3rdまたは4thのポジションで弾く。 Capo が教えてくれるコードはほとんど正しくて、曲がよく分かるし、音も本物のギターの音ではないけど役に立つ。ぼくが録音した結果を、聴いてみよう:

たしかに、完璧ではなかった。BマイナーとDのコードが抜けている。でも、最初はこんなもんだろう。完全な初心者には無理でも、経験者なら練習したり調べたりして直せる。ほかの曲もいろいろ試してみたが、Icona Popsの”I Love It”は、コードの認識が完璧だった。

このアプリは、ピッチや速さを変えられるのが良い。速さを1/4ぐらいにすると、ギターのパートがよく分かるし、難しい部分の練習にも役に立つ。Riffstationのような同種のアプリもあるけど、使いやすさという点ではCapoが上だ。

まだ不出来なところもある。タブ譜のシステムは、曲の音響スペクトログラムをスワップイプして、どの音を拾いたいのか、教えてやる必要がある。しかもそれは、不正確だ。でも、このアプリに合った曲を見つけて練習すれば、かなり使いやすくはなる。

Capoはアマチュアのギタリストにとってクールなツールだし、プロのためのおもちゃとしても、おもしろい。こんなアプリに出会うといつも思うのだけど、ぼくが高校生のときCapoと良品のストラトキャスターを持っていたら、たぶん学校へは行かなかっただろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


腕時計型オシロスコープがKickstarterで資金募集中

未来の考古学者は今のわれわれの文明の遺跡を見て、なぜこんなにたくさんのスマートウォッチがあったのか不思議に思うだろう。たとえばこの、Gabriel Anzzianiが作ったオシロスコープウォッチは、本格的なオシロスコープを人の手首につける。なぜそんなことを? そうしてはいけない理由は、どこにもないからだ。

このウォッチのオシロスコープはXProtolab製の本物で、表示部(オシロスコープ本体)、波形生成、ロジックアナライザー、周波数コントローラなどの部分から成る。Anzzianiが3Dプリントで手作りしたプロトタイプはあまりぱっとしないが、60000ドルの目標額に達したら、ちゃんとした製品がお目見得するだろう。

アナログ入力が2、デジタル入力が8あり、最終的に腕時計型になるか懐中時計タイプになるかはまだ決まっていない。128×128のディスプレイが波形を表示し、時刻も表示する。ご自分のArduinoプロジェクトのための測定ぐらいは、すぐにできるはずだ。100ドルの投資で1台もらえるが、発売予定は来年の4月だ。

あなたはオシロスコープウォッチが必要かな? 必要な人は世界中に一人もいないと思うが、でもこういうものを実際に作ってみようとするハードウェアハッカーがいること自体は、おもしろいよね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ズームも画質向上(エンハンス)も可能, Dropcam Proはモバイルやブラウザから使う高性能監視カメラ

新しいDropcam Proをすでに1週間ぐらい使っているが、嬉しいことに、設置したときから、この記事を書く今日まで、すっかり忘れていた。それは良いことだ。

Dropcam Proは、機能満載のワイヤレス監視カメラだ。値段は199ドルで、DVRサービスは月額10ドルだ(24時間×7日間)。ワイヤレスは802.11b/g/n 2.4GHzと5GHzをサポート、性能は前よりずっと良くなったし、夜景も鮮明だ。ビデオの規格はHD、筐体のデザインも良い。視野角は130度で、前より20度広い。旧型機より100%ベターだが、旧型機もかなり良かった。

使い方は、まずDropcamをコンピュータに接続してワイヤレスの設定とサービスのアカウントを取る。そして、記録を開始する。CEOのGreg Duffyによると、彼の会社が一日に処理するビデオの量はYouTubeよりも多い。それも当然だ。カメラの前で何かが起きるたびにその箇所にマークをつけて記録し、ユーザに通知する。マイクとスピーカーを内蔵しているので、侵入者と会話もできる。夜間は赤外線LEDを使うので、ちょっと不気味だけどよく分かるシーンが撮れる。

Dropcamsは、単純に言うと、ホームオフィス用の監視カメラとして最適だ。目立たないし、前面の小さな赤いonライトも消せる。ケーブルはふつうのUSBだ。どこにでも置けるが、窓が汚れていると反射が入る。形と構造が、とてもしっかりしている。今度の新型機は、惚れ惚れするほどの出来栄えだ。

そして忘れてならないのはソフトウェアだ。HDでズームができ、また焦点を画面内のどこにでも合わせられる。道路の向こうにとまっている車のナンバーや、運転者の顔も分かるだろう。下の二枚は、Dropcamのビューだ。

ズームすると:

このシーンをもっと鮮明にすることもできる。たとえば下の図のように、部分的な強調もできる。

毎回完璧とはいかないまでも、ライブのシーンで”Zoom! Enchance!“を体験できるのはクールだ。商店や小企業でも十分に使えるけど、家庭でも、あのお粗末な赤ちゃんモニタカメラを買うより、こっちの方がずっといい。ぼくの場合は、子どもたちや、外に置いてある車、それに来訪者を見張るために利用している。両親がショップやオフィスで使っているチンケなCCTVのカメラを、これに代えてあげたい。毎日24時間、1秒たりとも見逃さないのがよいね。

ぼくが特定の製品をべたぼめすることは、めったにないけど、でもこのDropcam Proを設置して忘れてしまって以来、ありがたいことに、こんな苦労とは無縁な人間になってしまった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


AcerもChromebookの新型機を出す–徐々に機能充実へ

Acerは早くからChromebookを製品化し、199ドルのC7や299ドルのC710を出してきた。これらのラップトップはキーボード付きのタブレットみたいなもので、いろんな機能が完全に揃ったマシンではなかった。それらは“サードスクリーン”(third screen, 3つめの画面)とも位置づけられ、コーヒーテーブルに常置したり、Web閲覧や簡単な文書編集に使われることが、予定されていた。しかし今度出た249ドルのAcer C720は、SDカードリーダー、USB 3.0 のポート、ビデオチャット用にHDのフロントカメラなどがある。

この新型ラップトップはGoogleブランドの美形機Pixelや、HPの最新のChromebook 11などと競合することになる。後者は超軽量で充電をマイクロUSBで行う。Acerの投入でこのレベルの製品が過当競争になるというわけではなく、やや市場の様相が変わるだけだ。

Chromebookではスペックはあまり問題にならないが、とりあえずC720 は、電池寿命8時間、メモリ4GB、HaswellマイクロアーキテクチャのIntel Celeron 2955Uプロセッサという、まあ文句なしの陣容だ。ケースのスタイルはお兄さん機たちと同じだが、やや薄くなり重量は3ポンド減った。

このChromebookなら買い、だろうか? というかChromebookというコンセプトは、そろそろ世の中に定着していくのか? まだChromebookを連れて長旅をしたことはないが、不満を感じることがありそうな気がする。でもハードウェアの価値としては、非力なWindowsマシンよりはずっと上だ。いちばん良いのはUbuntu Linuxをインストールして、Linux/UNIX世界のユーティリティやコマンドラインを併用することだろう。

本機は今は予約受付中で、発売は数週間後だそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


小さく切って折り曲げられる画期的マルチタッチセンサーを開発中

MITのメディアラボとドイツのマックス・プランク研究所のチームが小さく切ったり、折り曲げたりできるマルチタッチセンサーを開発中だ。このセンサーはどんなに小さく切ってもマルチタッチ機能を発揮する。またさまざまな形状の表面に貼り付けることができる。

現在のデザインではセンサーの縦端と横端に設置された出力コネクタにタッチを感知する素子が格子状に結線されている。そのため端の部分が損傷すると広い範囲のタッチ情報が読み出せなくなる。この新しいセンサーでは素子がスター状に結線され、コネクタは中央に配置されている(ビデオ参照)。つまり端を切り取っても内側の素子の読み出し情報が失われることはない。たとえば長方形のセンサーの周囲を切り取って円形にしても作動するわけだ。

研究チームのSimon Olberding、Nan-Wei Gong、John Tiab、Joseph A. Paradiso、 JürgenSteimleは次のように書いている

このように切り落として自由に形状を変えることができれば、エンドユーザーがさまざまな物体、たとえばプロトタイプやペーパークラフトにさえ容易にマルチタッチ・センサーによる対話機能を与えることが可能になる。われわれは切断、破損その他の障害に対するセンサーの耐久性を向上させることができる新しいプリント配線のトポロジーおよびエラー訂正に関するテクノロジーを提案している。

研究報告書はこちら。布や紙にもマルチタッチ機能を組み込めるということだから、バンドにマルチタッチを組み込んだスマートウォッチや、それどころか、袖にマルチタッチ機能を組み込んだシャツが現れるかもしれない。

といっても今すぐに実用化されるわけではなさそうだ。今のところごく初期のプロトタイプ段階のようだが、大いに期待のもてるテクノロジーだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Silk Roadから没収したBitcoinを入れたFBIの「プライベート・ウォレット」に「荒らし」が殺倒

Bitcoinは、匿名であると同時に完全に公開でもある。同システムを使った取引をリアルタイムに追跡し、大きな買い物、この場合は大きな資金移動がどこで起きているかを知ることができる。 Silk Road閉鎖の後、連邦政府は2万6000BTCをあるプライベート・ウォレットに移動したが、現在そこは、いたずら者たちの標的となり、一種の反政府落書き板と化している。

FBIのウォレットに送られたこれらの少額取引は、Silk Roadの資金没収に対する、「オープン」インターネットにおける最も公開された反応だろう。

Bitcoinをとりまく噂によれば、FBIはSilk Roadユーザーが所有していた2万6000BTUを押収した ― ユーザーが取引を行う前にBTCを入金しておいたウォレットからと思われる。FBIはこのBTCを、アドレス”1F1tAaz5x1HUXrCNLbtMDqcw6o5GNn4xqX”のウォレットに置いた。Silk Roadのオーナー、Ross Ulbricht容疑者が所有する60万BTC ― 推定全流通BTCの5% ― の入ったウォレットは、完全に暗号化されているため、未だにアクセス不能だ。

FBIへのメッセージは、それぞれの少額Bitcoin取引の「公開ノート」欄に書かれている。多くは、ドラッグ禁止のばかばかしさに言及しているが、中には少々それた話題もある。

Howard Zinnが引用したこんなコメントもある。「やつらはオレたちが平和を邪魔していると言うが、平和なんてありはしない。やつらが本当に困っているのはオレたちが戦争を邪魔しているからだ。」

Silk Road閉鎖後の価格は比較的安定しているが、貨弊価値自体が最高値の260ドルから、今日午前には約130ドルまで落ちている。

via ZDNet

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(翻訳:Nob Takahashi)


Kickstarterに登場した299ドルのオイル缶ギターがばか売れ…独特の共鳴音が魅力

おもしろい記事ネタに慢性的に飢えているわれわれは、Kickstarter詣での常連だ。もちろん、人気と宣伝につられてライターが自分のポケットマネーを投ずることも多い。この前見つけたおもしろいKickstarterプロジェクトは、Bohemian Guitar Companyの“オイル缶”ギターで、目標額32000ドルを大きく上回る54000ドルを集めた。ジョージア州の同社から今日、その巧妙なデザインのギターが送られてきたので、早速試してみた。

そのギターは、ピックアップが一つ、それをボリュームとトーンのダイヤルでコントロールする。底に木製のブリッジがあり、メープルウッド製の上質なネックが缶の底まで達している。ボディーは、いかにもリサイクル品に上塗りしました、という風情だが、人がピックした弦に優れた共鳴音(ビヨォ~~~ン)を加える。ヘッドはよくできているが、ぼくのはややきつかった。ピックアップは、シンプルだが最良の共鳴と音質が得られる場所にある。

音はこんな音だが、ぼくのギターのヘタクソは我慢していただきたい:

音は共鳴倍音の多いビヨンビヨンだが、そのため、アコースチックのスチールギターとしても通用する。名人のギタリストなら、これを最高に効果的に使えるだろう。Iron City JazzのCharlie Appicellaに見せたら、軽くて弾きやすいがプロのジャズギタリストが使うには、ちょっとかわいいすぎる、と言った。でも。サーフバンドやカントリーの人なら、逆にステージ映えするだろうし、Bo Diddleyっぽくすらなるだろう。

お値段は299ドルだが、一部は子どもたちを音楽好きにするためのボランティア活動に寄付される。それは立派な目標だし、作者のAdamとShaun Lee兄弟はKickstarterで見事にビジネスを作り上げた。今はどのモデルも売り切れだが、現在はヒップスター的なデザインの缶を使ってBohoファッションに挑戦している。なにしろ、写真を見ただけでも強い説得力のある、そして意外にもクールなプロジェクトだ。ビジネスとして好調なことも、おもしろい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Gartner曰く、家庭用3Dプリンターの出荷台数は昨年比49%増。来年再来年は倍々で伸びる

アナリストによる分析が常に正しいというわけではない。ただ、やはり大手の予測は気になるところだ。今回紹介するのは3Dプリンターに関するGartnerのものだ。レポートによれば、2013年には1万ドル未満の3Dプリンターが56,000台以上出荷されるだろうとのこと。これは昨年比で49%のジャンプアップということになる。さらに2014年には出荷台数が9万8000台以上になるとも予測しており、2015年にはそれがさらに倍になるのだそうだ。

眉唾な感じがしないでもない。だが注目すべきは具体的な数字ではない。3DプリンターというものがGartnerのレーダーに捕捉されるようになり、そして市場が拡大する見込みであると予測されている点に着目しておくべきだ。

もちろん予測事態も「ありえない」というほどのものではない。市場には安価な3Dプリンターが続々と登場し、個々人でもDIYを楽しむことができるレベルとなってきている。個人的にも、2016年までには10万台の出荷が見込めるのではないかと思っている。ホビイストや学生は大いに興味を持つことになるだろうし、価格も入門モデルならば500ドル程度で手に入るようになっている。学校の工作室には当然に備えられるようになるだろうし、家庭でDIYを楽しんでいる人も所持を考えるようになるに違いない。従来のプリンターに続いて、3Dプリンターの所有率も高まっていくに違いない。

さらにGartnerは、自らの予測を裏付けるデータをいろいろと示そうとしている。3Dersの記事を見ておこう。

「3Dプリンターは一気に進化して、研究レベルないしプロダクト開発あるいは製造の場面においても、その有用性が広く認識されつつある」とGartnerのBasiliere氏は述べる。「今後18ヵ月のうちに、アプリケーションや機能がさらに進化することとなるでしょう。するとこれまで見守っていた層も購入に向けて動き出すこととなるはずです」とのこと。

ガートナーも興味を持つようになる中、業界的には投資規模も大きくなることを期待しているところだ。Makerbotなどのスキャナメーカーは、3Dプリンターが、利益の上がる手堅い商売であることを証明しつつある。さまざまな関連企業も、事業案内に「3Dプリンター」の文字を踊らせている。キーワードとして「オープン」、「ポピュラー」、「イノベーティブ」、そしてもちろん「プロフィッタブル」などという言葉を散りばめ、事業の拡大を狙っている。

果たして3Dプリンター市場は、Gartnerの言うように「3億ドル弱の市場規模から、2017年には57億ドルの市場規模に」成長するものだろうか。可能性は十分にある話だ。既にアジアでは、PCケースを製造していたようなメーカーが、簡単な3Dプリンターを市場に送り出しつつある。入門レベルの3Dプリンターというのは、実はかくも簡単な仕組みになっているのだ。ノズルが動く仕組みと、そして整形押出機を備えていれば3Dプリンターとして動作する。ただ、大手企業が3Dプリンター関連事業に乗り出してくるかは、まだ判断のつかないところだ。たとえば、Dellが3Dプリンターを作るようなことはあり得るだろうか。それはないのではないかとも思える。OEMを受けてDellブランドの3Dプリンターを売り出すということはあるかもしれない。しかしこれまでのDellラインに、3Dプリンターというのは馴染みそうにないとも感じる。

いろいろと文句を言っているように見えるかもしれないが、3Dプリンターに注目を集めるという意味で、Gartnerが3Dプリンターを取り上げてくれたのは喜ばしいことだ。アナリストの分析に基いて、投資家の金が動き始めるということも多くある。家庭内3Dプリントというのが、どういう未来をもたらすのか、注目していきたいと思う。

via 3Ders

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(翻訳:Maeda, H


緊急時オーバフローサービスDefense.netはDDoS時の安定業務続行を支える

企業ユーザとしてDoS攻撃にやられたことのある人なら、サーバが敵の手に落ちたときに感じる無力感をよくご存知だろう。Defense.netは、サイバーセキュリティのエキスパートBarrett LyonがDoS/DDoS攻撃から顧客を守るために新たに立ち上げたプロジェクトだ。LyonはBitGravityやProlexicのファウンダでもあり、Joseph MennのFatal System Errorの中では、ロシアのmafiya系ハッカーグループを彼が撃退した一件が取り上げられている。だから、彼は本物だ。

このプロジェクトの最初のプロダクトDDoS SWATは、一番手の対策がやられたときの二番手として活躍する。金融企業も一般企業も多くの場合自前のサーバを動かしているから、それらがやられたときにDDoS SWATが肩代わりする。同社によるとこのサービスは、元々のサーバの“10倍の帯域”を提供し、予備のデータセンターをセットアップするとともに、問題がこじれたときには技術者チームが対策に乗り出す。

企業としてのDefense.netは、Bessemer Venture Partnersが率いるラウンドにより950万ドルの資金を獲得している。

Defense.netのCEO Chris Risleyは曰く、“どの銀行も従来的なDDoS対策を講じてはいるが、それでも毎週一行(いっこう)ぐらいの割合で、すべてまたは一部のユーザに対し業務提供不能になっている。Defense.NetのDDoS SWATはオーバフローサービスなので、元々の能力や容量を回復するだけでなく、それ以上のことをする。DDoS SWATが介入するのは、最初の対策が無効だったときだけだ。SWATの名が示すように、事態が悪化したときだけ動き出す”。

それは全体的に、かなりナードな世界ではあるけど、誰にでも理解できるクールな機能もいくつかある。たとえばDefense.netのAttackViewは、トラフィックの現状を視覚化して、どこが、どこから、どれぐらいやられているか、発動した対策の効果は今どれぐらいか、などを見せる。またIP Reflectionという機能は、トラフィックのルートを被害現場から無事なサーバへつなぎ変えることによって、遅延を縮小する。

Neuromancerのファンであるぼくから見ると、Defense.netはなかなかクールなようだ。でも大企業向けのサービスだから、20ドル出すとSWATチームがやってきて、あなたのブログを救ってくれる、とはいかない。あなたがFortune 500企業になるまでは、用心することと、神様に祈ることが、唯一のDDoS対策だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


小さな小さな物をプリントしたいあなたに。LumiFoldはポータブル小型3Dプリンター

マッチ箱くらいの大きさの物を作る超ちっちゃな折り畳み式3Dプリンターを作ろう、などと考える人が出てくるとは考えてもみなかった。 LumiFoldという名前のこのプリンターは、外寸90x90x90ミリの3Dプリンターで、UV感光樹脂を使ってそこそこの品質の作品を数分のうちにプリントできる。

個人的には、ポータブルで小型の3Dプリンターが欲しい正確な理由を見つけられずにいるが、きっとどこかの誰かが教えてくれるだろうと信じている。製作者たちはこのプロジェクトのために、ほんの1500ドルほどの資金を調達し、429ドルでプリンターを売ろうと考えている。組み立てキットなら少々安く買える。

作者であるイタリアのMarin Davideが、作った経緯をこう話している。

最初は、小さくてポータブルな3Dプリンターで歯科用の鋳型を作りたい、という消費者の要望を受けてデザインした。そのプリンターは安くて使いやすくしてほしいとも彼は言った。われわれはLumiFoldの開発に取りかかり、数ヶ月間の設計、プロトタイプ作り、再設計を経て現在のLumiFoldのデザインに至った。これがあまりに良い出来だったので、クラウドファンディングを通じて、安くてポータブルで使いやすい3Dプリンターに興味のある人たち全員に提供することにした。

もしテレビがわれわれに何か教えたことがあるとすれば、それは世界を動かすためには様々な一撃が必要だということだ。とは言うものの、この小さな樹脂プリンターは、これまで私が全く存在を知らなかったニッチを埋めようとするものだ。ポータブル3Dプリンターは、デザイナーがフィールドでプロトタイプを作ったり、アーティストがその場でプロジェクトを作るのに役立つかもしれない。あるいは、工場から遠く離れた場所で交換部品を作る一手段にもなるかもしれない。疑問は残るものの、可能性は無限だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google光ファイバー対ブロードバンド―Googleが爆笑ビデオを公開

ユタ州プロボ市には数ヶ月以内にGoogle光ファイバーが敷設される予定だ。そこでGoogleはこのソールトレークの北の小さな町の住民に光ファイバー接続のすばらしさを説明する必要があった。

そこで作られたのがこのビデオだ。裏庭でバスローブ姿の男が組み立て式プールに庭園用ホースで水を汲み入れている。これがブロードバンドだ。と、そこへ消防車が駆けつけて放水銃で水を噴射しはじめる。さらに消防士2人が消火ホースを引っ張ってきて全力で放水する。これがGoogle光ファイバー・サービスだ。

Consumerist誌はこのビデオは誇張だと言っている。最近の地域別ダウンロード速度調査によればプロボの速度は全国平均を上回る21.5 Mbpsだったし、最近のカンサスシティーでのGoogle光ファイバーの平均速度は50Mbps前後だったそうだ。

しかし私はこのビデオを見て笑いをこらえられなかった。誇張があるにせよ、Googleは良いところを突いている。ややこしい技術的詳細を避け、誰でも分かるユーモラスな説明を試みている。要するに人々が欲しているのは、スペックやテクノロジーの能書きではなく、より速く。より良いインターネット接続なのだ。

テクノロジーの説明は往々にして眠気を催すような退屈なものになる。もの寂しい住宅地の裏庭で腹の出た中年男がバスローブでプールに水を汲んでいる情景に例えるというのは秀逸なテクノロジー解説だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


【独占インタビュー】AmazonのJeff Bezos; 自称, 優秀な電話交換手

レンタカーを運転してシアトル郊外を走っていく。まわりはびっしりとしたグレーグリーン、眼下は海、上は太陽だ。道の果てには、まるで長旅の終わりの賞のように都市がそびえ立っている*。木々は乾燥オレガノの色、空気は重く湿っている。ぼくはこれからAmazon国へ行って、その豊穣の国の王Jeff Bezosに会うのだ(シアトルの前の王Bill Gatesは、今では水辺でのんびり過ごしながら世界を救おうとしている)。〔*: 筆者はニューヨーク在住。〕

ニューヨークに住むぼくが、ここへ来るのは初めてだ。これまでAmazonの記事はたくさん書いてきたし、家中の壁紙をAmazonのロゴ入りのダンボール箱で張り替えることすらできただろう。だから、その人と実際に会うことはとても楽しみだ。秘書に案内されて部屋に入ると、そこに彼はいた。ぴったりフィットしたジーンズと、黒のボタンダウンと、Blade RunnerのRick Deckardのクローゼットにありそうなウィングチップを、完璧に着こなしている。ここに来る前にぼくは、ほかの記者やライターたちに、彼とのインタビューで過去に経験したことを聞いてみた。一人が、彼はベルトをしてないことが多い、と言った。でも今回彼は、ベルトをしていた。

“この部屋なら、サプライズのないふつうの感じで始められるね。どうぞおかけください”、と彼は言った。日当たりの良い立派な会議室で、ホワイトボードとテレビがある。その日の彼は、気合が入っていた。彼が、自分も座ってメディアの相手をすることは、珍しい。ふだんはステージに立ってスピーチするのだが、今回は、これまでに本を100万冊以上売った男からじかに話を聞ける、貴重な機会となった。

“うちの戦略とビジョンの三つめの柱は、とくに発表なんかしなくても、やがて誰の目にも見えるようになる”、と彼は言う。

そうか。では聞いてあげよう。彼は立ち上がって、ボードに何か書き始めた。まるで、ぼくは単位を取れなかった劣等生、彼は補習をしてくれる親切な教授だ。彼は、Amazonの成功を支える三本の柱、王国の鍵を、青いマーカーで書いた。

〔以下、「…..」内がBezosの発言〕

「うちは高級品を大衆価格で売る。利益は、人びとがうちの製品を買うときではなく、それを使うときに得られる。5年前のKindleを使っている人を見ても、がっかりはしない。アップグレードという名の面倒な坂道を、登らない人がいたってかまわない」。

「第三の柱はこれからのもので、顧客の満足とすべてのスタックを貫く統合化が交差するところにある。もっとも難しくてもっともクールなものは、まさにそこに起きる。‘すべてのスタック’とは、低レベルのハードウェアから始まって、その上のOS、主なアプリケーション、クラウド、そしてその上のサービスすら含む全体のことだ」。

そのとき、新製品が登場した。彼がぼくに見せたのは、新製品のKindle Fire HDXとKindle Fire HDだ。誇らしげな親のように彼はそれらを革製のバッグから取り出し、ひとつずつぼくの前に置いた。ぼくはそれを数分前にも見ていたが、彼がそれらをうやうやしく扱う様子には、別の意味があるようだ。彼は自分の子どもを、自慢げに人に見せているのだ。ハードウェアが底辺でサービスが最上辺という‘全スタック’の意味を、そうやって彼はぼくに教えようとしている。

彼がKindle HDXを持って上から下へスワイプすると、アイコンのリストが現れた。その中に、小さな救命具のような、見慣れないものがある。

「このボタンをクリックしてみよう。これはメイデイ(Mayday)という名前だ。何だと思う?」

小さなウィンドウがポップアップして、Amazonのサポートが笑顔で現れる。“ハイ、ぼくはDylanです。今Maydayを押されましたよね。何か、お困りですか?”。

それはぜったいに、シナリオどおりのデモだろう。Dylanは、自分のボスから呼ばれることを、事前に知っていたはずだ。しかしそれでもなお、それはすばらしくヒューマンな瞬間だった。Dylanは、終始微笑んでいた。

「ハイDylan、こっちはJeffだ。お客さんに、Maydayをお見せしようとしてるんだ。今度の製品の特長は、とっても洗練されていることと、すごくいろんな設定ができることなんだよ」。

彼はMaydayのことを、“オンデバイステクサポート(on-device tech support, デバイス上の技術サポート)”と呼んだ。

「まずDylan、画面の上で移動してみてくれないか。ちょっとだけ、上の右隅に行ってみて」。

Dylanのウィンドウが隅へ移動した。

「今いちばん売れてる人気ゲームは何かな?」

Dylanは、Angry Birds Star Wars IIを立ち上げた。王として帝国に君臨するBezosも、ゲームは人に選んでもらうのだ。

「なんでも人に教えてもらわないとできない人が多い。だからうちの製品は、教えることができなければならない。このサービスは24/7で無料で、目標はどんな質問にも15秒以内に答えてあげられることだ」。

「ものすごく、たいへんなことの多い仕事だけどね」。

Bezosによると、サポートが混み合うクリスマスの朝でも十分対応できるという。サポートを電話でやるのは難しいし、いずれにしても満足に機能するサポート体制を作るのは難題である、と彼は語る。Maydayでは、デバイス側の設計からパケットレベルでの通信ソフトウェアまで、綿密な取り組みを積み重ねたようだ。

「ユーザがデバイスの世話をすべきなのか? それともデバイスがユーザの世話をすべきか?」…こう語る彼は、Maydayでもってユーザ上位を取り戻したいのだ。

“今のAmazonはハードウェア企業か、それともサービス企業か?”、と尋ねてみた。

「いつも、それを聞かれるね。‘テクノロジ企業か?それとも再販業者か?’とかね。うちはテクノロジ企業であり、テクノロジを使って顧客の役に立つありとあらゆることをしているのだ」。

Amazonには有能な人材が大量にいる、と彼は言う。

「どこにでもいるよ。ビデオ部門にも、音楽チームにも、eブックのチームにも、メンロパークのLab 126にも。いろんなところに、ソフトウェアを書いている人たちがいる」。

「ハードウェアは難しい。重さの目標値がある。電池寿命を短くはできない。そういう、難しい課題がたくさんある。でも、ソフトウェアも、とても難しい」。

彼は笑った。大きな笑い声だ。Amazonの倉庫に鳴り響く声のようだ。その笑い声に、びびる人もいるだろう。Bezosが部屋にいるだけなのに。

「そのスタック全体に、容易な部分は一つもない。ハードウェアは難しい。クラウドの統合は超難しい。その上にサポートのようなレイヤを載せるのは、前人未到の挑戦だ」。

“CDや本を売らなくてもよくなったら、どうしますか?”、と聞いてみた。物理的な<物>を売らなくなったらハッピーか、それを知りたかった。

「そうなるまでには、相当な時間がかかるだろう。今は、Kindleのeブックを毎月大量に買う人たちでも、フィジカルな本を買っている。CDだけでなく、レコードもたくさん売れている」。

「うんと未来のことを言うのなら、それが何年先かはともかく、急速にデジタル化が進むだろう。今現在の方針は、フィジカルなメディア製品とデジタルの両方を揃えて、顧客の要求や選択に対応することだ」。

“今は倉庫がたくさんありますけど、それらが不良資産になりますね?”

「うちはメディア製品だけでなく、靴や紙おむつもたくさん売ってる。デジタル化できない製品の売上比率は、けっこう大きい。ミキサーや靴やおむつは、ダウンロードできないからね。3Dプリンタがあっても、ダウンロードしたデータでタブレットを作ることはできない」。

「でも3Dプリントは、すごくおもしろい。まだ時期尚早だが、Amazonでどう扱うかを考えてみたい。うちには、顧客が本を作るためのCreatespaceがあり、音楽CDでも同じことをしている。3Dプリントも、その線かもしれない」。

“ローカルに関しては、何か変化はありますか?”

「うちはシアトルではAmazon Freshで何年も前から生鮮食品を売っている。最近、ロサンゼルスでも始めた。どちらも、好調だ。でも、全国展開は早すぎる。最後の1マイルがロジスティックの難題だから、まったく新しい業態として考える必要がある。アップストリームに関しても、やはりロジスティックの難題がある。シアトルで長年実験をしているのも、そのためだ」。

“シアトルは寒いから、食品の鮮度が落ちませんね”、とジョークを言ってみた。

また、Bezosの大笑い。

「でも、湿気(しけ)ったらだめな物もあるからね」。

Jeff Bezosとは、何者だろう? おむつの会員制購入で妻が困ったことがある、という話をしてみた。Amazonから毎月一箱買っているのだが、妻は月半ばでなく月初めにほしいと言う。今のAmazonには、そんなきめ細かいカスタマサポートがないのではないか?

「ぼくは優秀な電話交換手だ。誰を呼べばいいか、正確に知っている」。

この、意外なほどシンプルで正確な答には、ぼくもびっくりした。Amazonの社員は97000名、その中心にBezosがいて、各方面に電話をつないでいる。彼の最大の関心事は、顧客とのコンスタントなコンタクトだ。だから、たまたま一度だけ値段を調べたワインでも、ディスカウントの案内が来る。Canon G15なんて、かなり前一度見ただけなのに、えんえんとメールが来る。今では、あまり気にもならないけど。

Amazonはテクノロジ企業でも再販業者でもサービス企業でもない。強大な求心力を持ったeコマースのリポジトリだ。いろんな製品が、摩擦最小限で、入ったり出たりを繰り返している。問題があれば、わずか数行書くだけで返品が処理される。Kindleが壊れたら、ボタンを押すとDylanが画面にポップアップして助けてくれる。何かがスリップすると、ダメージを迂回するルートをBezosが知っている。

帰りにぼくは、Bezosが履いていたようなウィングチップが欲しいな、と思った。それも絶対にAmazonにあり、ぼくのクリックを待ってるはずだ。それが、彼の特技だ。人が、欲しい物を入手できること。

おむつの配達を月初めにしてもらえるか、それはまだ分からないが、Bezosなら、誰に電話を回すべきか知っている、と思いたい。

[画像: AFP/Getty Images]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


簡単な構造で大きな(背の高い)物でも3Dプリントできる学内研究プロジェクトDeltaprintr

毎日、3Dプリンタの話題が最低一つは載る、という今日この頃。今回のは、SUNY(ニューヨーク州立大学)Purchase Collegeで研究開発されているコンパクトな3Dプリンタで、簡単な部品交換により相当背の高い物でもプリントできる。なお、プリンタを構成する部品の切り出しには刃物でなくレーザーを使用している。

このプリンタはプラスチックを100ミクロン幅で押し出すが、とりあえず精度としては十分だ。しかも、可動部品がとても少ない。プリントヘッドが3つのレールに乗っている*ことに、お気づきと思うが、そのために、もっと長いバーを使ったり、大きな物をプリントするための拡張部品を使える。〔*: その三角形が、Deltaという名前の由来。〕

学生のShai SchechterとAndrey KovalevとYasick NemenovとEugene Sokolovが始めたこのプロジェクトは今プリベータ(ベータ前)の段階で、11月にはKickstarterで資金募集を開始する予定だ。今後のアップデートを追いたい人は、ここで登録を

チームはこのプロダクトを完全にオープンソースにしたい、と願っている。高価な部品はほとんど使っていないから、価格を激安にできる。ぼくもこのプロジェクトを好きになったが、気になるのはソフトだ。ソフトこそ、3Dプリンタの脳であり心臓だ。ソフトがしっかりしてれば、ぼくも完全なファンになるだろう。


[↓長いバージョン(75分)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))