アマゾンのFire TVのユーザーが3400万人に達した

アマゾンのFire TVは、ライバルのストリーミングプラットフォーム、Rokuとの差を広げている。1月にラスベガスで開催されたCESでアマゾンは、Rokuのアクティブユーザーが2700万人であるのに対しFire TVのユーザーは3000万人を「優に超えた」と発表した。それからおよそ4カ月経った今週、Fire TVのアクティブユーザーは3400万人と発表された。一方のRoku今月発表した収益報告書によると、2019年第1四半期にアカウントベースで200万増えて、アクティブアカウントは2910万だという。

アマゾンのFire TVに関する最新の数字は、米国時間5月14日にFire TVのGM兼マーケティング・成長・エンゲージメントのグローバルヘッドであるJen Prenner氏が「リビングルームの覇権争い。スティック、ボックス、スマートTVプラットフォーム」と題したPay TV Showのパネルディスカッションで明らかにしたものだ。

アマゾンは、Fire TVは米国、英国、ドイツ、インド、日本で売り上げが加速し、ストリーミングメディアプレイヤーのプラットフォームのトップになったとも主張している。

アマゾンがCESでユーザー数を発表したときには、その数字の根拠に疑問があった。Rokuは通常、過去30日間に同社のプラットフォームでストリーミングを利用した「アクティブ」なアカウントを数えている。一方アマゾンはCESの時点で「アクティブ」の定義は示さず、一般的な言い方でユーザー数を語っていた。

これに対し、今回のコメントでアマゾンは「アクティブユーザー」について言及した。これはユーザー数の合計ではないという。

Rokuは、同社のアクティブアカウントは複数の人(つまり複数のユーザー)が家族として1アカウントに数えられている可能性があるとしている。これは、Fire TVの最新の数字を見る上で注目すべきポイントだ。Fire TVデバイスには、アマゾンの1人のユーザーのアカウント情報が登録されている。セットアップ後に複数の人がそのデバイスを使う可能性はもちろんある。複数の人がいちいちプロファイルを切り替えるのでない限り、Rokuと同様にアマゾンも各人のデータを追跡することはできない。アマゾンは、Rokuが「アカウント」を測定しているのとまったく同じ方法で「ユーザー」を測定していると認めた。

昨年、Rokuは米国のストリーミングプレイヤー市場をリードしていたが、Fire TVは世界的に成長しているようだ。現在、Fire TVは世界中多くの国で販売され、プライムビデオのコンテンツをストリーミングで楽しむことができる。一方のRokuが販売されているのは米国、カナダ、英国、フランス、ラテンアメリカの一部の国などに限られている。しかも昨年、Rokuではメキシコで海賊版のコンテンツにアクセスできてしまうという問題があり、それが10月に解決されるまで販売を停止せざるを得なかった。

Fire TVの成長の背景には、アマゾンがハードウェアデバイスをしょっちゅう大幅に割引して販売しているということもある。年末商戦でFire TV Stickはベストセラー商品になっていた。デバイスを低価格で販売すれば市場を獲得できる。しかも最近では、Alexaを最も低価格で利用できるデバイスとしてFire TVを購入するケースもあるようだ。

今年、アマゾンはFire TVで利用できるコンテンツとAlexaの機能の拡充に取り組んでいる。コンテンツに関しては、まずYouTube、その後YouTube TVとYouTube KidsをFire TVで利用できるようにすることで4月にグーグルとついに合意した。同社は、今年後半にはDisney+とApple TV+にも対応する予定であるとしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルとグーグルがアクセシビリティに焦点を当てたアプリや新ショートカット公開

昨年秋のiOS 12でApple(アップル)はSiriショートカットをリリースした。iPhoneユーザーが自分専用の音声コマンドを作ることのできる新しいアプリだ。米国時間5月16日Appleは、Global Accessibility Awareness Day(GADD)を祝って、アクセシビリティに焦点を当てた実用的なSiriショートカット集を公開した。あわせてApp Storeにもアクセシビリティ向けの機能やコレクションを導入した。

Google(グーグル)も同様に、Google PlayでAndroidユーザー向けの機能追加を行っている。

Appleの新しいSiriショートカット群は、ショートカットアプリ上のコレクションとして提供される。コレクションにはユーザーの日々の仕事に役立つさまざまなショートカットが入っている。

例えば「Help Message」 ショートカットは、現在位置を緊急連絡先に通知する。「Meeting Someone New」ショートカットは、言葉によらない自己紹介とコミュニケーションをスピードアップする。思ったことや感じたことを記録する「mood Journal」、遠方の人に自分の痛みの大きさを伝える「pain report」などもある。

コミュニケーションの効率を上げるためのショートカットもいくつかある。例えば、よく使う連絡先をホーム画面に置き、ワンタッチで電話やメッセージやFaceTimeができる。

QRコードに関するものもある。「QR Your Shortcuts」は、よく使っているショートカットのQRコードを作ってくれるので、プリントしてそれが必要になる場所に貼り付ける。例えば、歯磨きの手順をひとつずつしゃべる「Speak Bursh Teeth Routine」ショートカットは洗面所に貼っておくといい。

Appleはこうした新しいショートカットだけでなく、アクセシビリティに特化したアプリのコレクションをApp Storeに追加した。Microsoftの視覚障害者向けトーキングカメラのSeeing AIや、音声認識リーダー、オーディオゲーム、手話アプリ、AAC(拡大・代替コミュニケーション)ソリューション、視線制御プラウザー、スマートホームアプリ、微細運動技能などがある。

App Storeにはデベロッパー、アスリート、ミュージシャン、コメディアンらがアクセシブル技術をどのように利用しているかについてのインタビューも載っている。

GAADがテーマの特別コレクションを本日公開したのはAppleだけではない。GoogleもGoogle Playでアクセシブルアプリやゲームのコレクションを公開している。いくつかのユーティリティーに加えて、今月Google I/Oデベロッパーカンファレンスでデビューした聴覚障害・難聴者向け最新アクセシビリティサービスであるLive Transcribe(音声文字変換)紹介されている。

アプリのステータスは「Unreleased」になっているが、先行バージョンをインストール可能で、周囲の会話を聞き取ってすぐに文字起こししてくれる。

ほかにもホーム画面に代わるNova Launcherや、視覚障害者支援アプリのBe My Eyes、ヘッドコントロールのOpen Sesame、コミュニケーション支援のCard Talkど多数ある。

【Japan編集部追記】日本版の「ショートカット」アプリには5月17日11時現在、今回に併せたアクセシビリティ関連のショートカットは提供されていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

TikTokがiOS App Storeで5期連続のダウンロード数トップ

FTCに罰金570万ドルを支払い、13歳未満の使用を禁止されながらも、TikTokはApple App Storeのダウンロード数ランキングで5四半期連続でトップの座を守ったことがSensor Towerの最新レポートでわかった。Q1のダウンロード数は3300万回で、トップ5にはYouTube、Instagram、WhatsApp、およびMessengerが続く。

16位アプリだったTwitterにとっても好調な四半期だったとレポートは指摘している。
App Storeのダウンロード数1170万回は、2015年Q1以来最大、対前年比3.6%増だった。ただしこれらの数字がアクティブユーザー数の増加を表すわけではないのはもちろんだ。インストール数と利用頻度に直接の相関はない。

また、TikTokはApp Storeでは再びトップを守ったが、AndroidデバイスではQ1に最も多くダウンロードされたアプリではなかった。

新興市場に強く総ユーザー数も多いAndroidでは、トレンドがiOSと異なることがある。今四半期はWhatsAppがGoogle PlayでNo. 1のアプリで、1億9900万回近くインストールされた。Messenger、TikTok、Facebook、およびInstagramがこれに続いた。

Facebook、WhatsApp、Messengerの3つもTikTokと並んで2019年Q1に1億5000万回以上インストールされた。

Androidのトップアプリではなかったものの、TikTokにとっては大きな四半期だった。特にインドでは8860万人の新規ユーザーが同アプリをインストールし、2018年Q1から8.2倍増だったSensor Towerがレポートに書いている。

とはいえ、TokTokの次の四半期の数字はそこまでよくないかもしれない。同アプリはポルノを含む違法コンテンツのためにインドで4月に禁止された。同月内に禁止措置は解かれたが、Sensor Towerの推計によると1500万回のダウンロード機会を失った。

Q1の成長株アプリはYouTube Kidsで、Goolge Playで対前四半期比291%増の2900万ダウンロードを記録してYouTubeおよびYouTube Musicとともにトップ20アプリに入った。

両アプリストアを合わせると、WhatsAppが四半期で最もダウンロードされたアプリで、App StoreとGoogle Play合計で2.2億回以上ダウンロードされた。

Messengerが2.03億回で2位につけた。App Storeで数を伸ばしたTikTokが3位を獲得し、FacebookとInstagramが続いた。

トップ10のその他の顔ぶれに変化はなく、Facebookグループがトップ5のうち4つを占めている。一方、インドで初めてのユーザーを獲得した画像エディターのPicsArt Photo Studioが全世界トップ20に食い込んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのRivetアプリはスピーチ処理技術で子どもの読解力を伸ばす

RivetはGoogleの社内インキュベーターからリリースされた新しいアプリで、読書に困難のある子どもたちをサポートすることを目指している。このアプリはGoogleの実験プロジェクトのワークショップであるArea 120から生まれた。子ども向けの無償の本が2000冊以上含まれ、単語がわからなくてつまづく子どもを先進的なスピーチテクノロジーで助けるアシスタント機能が備わっている。

例えば、わからない単語をタップすれば発音を聞くことができ、それを復唱すれば正しく読めているかどうかがアプリに表示される。

25以上の言語に対応した語義や翻訳の機能もある。子ども、特に非ネイティブの話者が読み方を学ぶのに役に立つ。

低年齢層の読者のためには、ストーリーを読み上げるモードがある。読み上げに合わせて単語がハイライト表示されるので、子どもは単語と発音を一致させながら見ていくことができる。成長してこの機能が必要なくなったら、保護者はこのモードを無効にして子どもに自分で読ませることができる。

子どもをターゲットとした電子書籍アプリは市場にたくさんあるが、Rivetは音声テクノロジーとスピーチ処理を活用して成長を助けることができるという点で興味深い。

Rivetは、Android版とiOS版がある。マイクのボタンをタップしてページを読み上げると、リアルタイムでヘルプを提供する。ある単語でつまづくと、アシスタントが積極的に介入してサポートする。通常、子どもが知らない単語や発音できない単語にぶつかると、保護者はそれを教えて読書を手伝う。Rivetは、これと同じように動作する。

子どものプライバシーを守るため、Rivetのスピーチ処理はすべてデバイス上で実行され、アプリはCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)に準拠しているという。

あるページを読み終わると、正しく読めた単語はどれか、練習が必要な単語はどれかを見ることができる。ポイントやバッジのごほうびがもらえるほか、アバターやテーマ、本のカスタマイズを活用して、ひとりひとりの関心と読書レベルに応じた体験ができるようになっている。

そのほかにもサプライズやゲームがあって、子どもは飽きずにこのアプリで読書を続けることができる。

Rivetの技術・プロダクト責任者のBen Turtel氏は読書のプロジェクトに取り組んだ理由について、読書はあらゆることを学ぶために身につけなくてはならない基本的なスキルだからだと述べている

Turtel氏はこう説明する。「読むことが困難な子どもは高校の授業についていけず、卒業する可能性は4倍も低い。残念なことに米国の4年生の64%が十分な読解力レベルに達していない」。

Googleが読書に取り組んだアプリは、Rivetが初めてではない。Boloというアプリも同じような機能があり、インドの子どもたちを対象としている。

BoloはArea 120プロジェクトのアプリではないが、同プロジェクトからは教育にフォーカスしたコード学習アプリのGrasshopperや、スピーチ処理技術を使ったカスタマーサービスの電話システムのCallJoyなどが生まれている。

Rivetは今年に入ってからベータ版が配布されていたが、現在は米国をはじめ11カ国Google PlayアップルのApp Storeで一般に提供されている(訳注:本稿公開時点では、日本では提供されていない)。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Twitterが一部のユーザーの位置情報がパートナーに共有されたバグを公表

米国時間5月13日、Twitterは特定の条件下でアカウントの位置情報が同社のパートナーに共有されたバグについて明らかにした。ユーザーが位置情報の共有に同意していない場合でも共有されていた。同社によれば、このバグはiOSでTwitterを利用している一部のユーザーに影響し、対象となるユーザーにはすでに通知したという。

影響を受けたのはiOS上で複数のTwitterアカウントを利用し、いずれかのアカウントでオプションの機能を使って正確な位置情報を共有することを選択していたユーザー。位置情報の共有に同意していないアカウントについても、同一のモバイルデバイス上の1つまたは複数のアカウントから誤って位置情報のデータが収集されたとみられると、Twitterは説明している。

誤って収集された情報はリアルタイムの入札プロセスにおいてTwitterのパートナー(非公表)に共有された。つまりパートナーは許可を得られていない位置情報データを受け取ったということだ。Twitterは、位置情報は郵便番号または市単位(5km四方)に「ぼかされた」もので「精密」ではないとしている。つまり「住所を特定したり行動を正確に追跡したりすることはできない」データだったと同社は述べている。

この問題の影響を受けて位置情報が知られてしまったのではないか、あるいは身元がわかってしまったのではないかという懸念に対し、位置情報データを受け取ったパートナーにTwitterのハンドルネームや固有のアカウント識別子は渡っていないことをTwitterは保証している。パートナーは影響を受けたユーザーの身元を特定することはできず、位置情報データを保持してもいないと同社は述べている。

Twitterは以下のように説明している。

弊社はパートナーに対し、位置情報のデータを保持していないことと、データはパートナーのシステムに短時間存在しただけでその後は通常のプロセスの一部として削除されたことを確認している。

弊社はこの問題を修正し、再発防止に取り組んでいる。影響を受けたアカウントのお客様にはバグがすでに修正されたことを伝えた。ユーザーの皆様には、プライバシーの設定で弊社と共有するデータを確認することをおすすめする。

位置情報がいつ、どの程度の間共有されていたかは現時点では不明で、Twitterはこの点についてバグを公表した記事の中で明らかにしていない。データを受け取ったパートナーの名前や、最初にどのようにバグが発生したかも説明していない。位置情報データの削除に失敗したとだけ述べている。

コメントを求めたが、TwitterはTechCrunchに対し、これらの情報はいずれも開示しない予定であると語った。

Twitterは、影響を受けたユーザーには通知済みで、疑問があればフォームから同社のデータ保護担当に問い合わせるように呼びかけている。詳細が不明であるため、このバグによってGDPRの罰金がどうなるかは現時点ではわからない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazonは社員に300万円相当の資金と3カ月ぶんの給料を与えて自営配送企業を育てる

Amazonプライムで翌日配達をするというニュースに続いてAmazonは米国時間5月13日、同社の配達サービスのパートナー事業としてDelivery Service Partnerプログラムを拡大した。Amazonに在籍中の社員が、独自に自分の手荷物配送企業を始められるための奨励事業を展開することになった。昨年始まったこのパートナー事業は、参加者がAmazonの配送配達技術にアクセスでき、実習訓練に参加し、車両のリースや保険などを安く利用できる。社員の場合はさらに1万ドルの奨励資金が付く。

創業資金1万ドルのほかに社員は、軌道に乗るまでの生活資金として、Amazonを辞めたときの給与の3カ月ぶんをもらえる。

Amazonによると、昨年人びとは自分の配送企業をわずか1万ドルの資金で立ち上げることができた。その時点では、退役軍人には既存のスタートアップ支援事業の一環としてその1万ドルを後払いしていた。

今度の奨励事業では同じことをAmazonの一般社員に対して行い、それプラス給与額の3カ月ぶんが付く。かなり手厚い奨励策だ。でもAmazonは配達時間の半減という、思い切った野望を持っているから、これぐらいは当然かもしれない。

配達パートナーになりたい社員は、側面にAmazonのスマイルロゴが描かれているAmazon特注のブルーのデリバリーバンをリースでき、燃料や保険、ブランド入のユニホームも割引料金で提供される。

このパートナー事業の前にはAmazonは、Amazon Flexというクラウドソースの労働力に頼って安い配送コストを確保していた。しかしそういういわゆるギグワーカーたちは、ガソリン価格の変動や保険がないこと、自前の小さな車両しか使えないなどの悪条件により、労使双方にとって不安定性が大きかった。

一方デリバリーパートナーの方は、順調に成長して年俸30万ドルを稼ぎ、車両を40台も持つというところも出てきた。Amazonの昨年の予測では、これらの小企業が全米で数万人のドライバーを雇用する、とされた。

しかしそれは、推計ではなく事実だった。Amazonの今朝の発表では、この2018年6月にスタートしたパートナー事業は、今では200社を超える小企業が参加し、計数千名の地元ドライバーを雇用している。今年は参加企業がさらに数百増えるだろううという。

この社員奨励事業は、Amazonの倉庫における自動化の拡大と時期的に一致している。自動化によって、一部の倉庫労働者が職を失うのだ。今朝のロイターの記事によると、Amazonは現在数千人の労働者が担当している受注品の箱詰め作業を自動化する。こんな人たちの一部も、次の職としてデリバリーパートナー事業がいい候補になるだろう。

Amazonにとって、社員たちを新しい企業に移行させるためのこの投資は、長期的には会社の利益になるだろう。なぜなら同社は現在、USPSやUPS、FedExなどへの依存から卒業して、自分でコントロールできる自前のデリバリーネットワークを持とうとしているからだ。そして短期的には、翌日配達を米国のプライムのデフォルトにするために8億ドルを投じると言われているから、それはデリバリーパートナーにとっても利益になる。

この社員奨励事業は米国に次いで英国、さらにスペインで展開される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米最高裁での反トラスト訴訟でアップル株が下落

米国時間5月13日、合衆国最高裁判所はiPhoneのユーザーグループがApple(アップル)を反トラスト法違反で訴えていた件で、5対4でユーザーに原告資格を認めると決定した。 ユーザーグループはAppleの独占的地位を不当に利用してApp Storeに30%という高額な手数料を設定し、消費者に転嫁していることが反トラスト法に違反するという訴えを起していた。

これに対してAppleは「消費者はアプリをデベロッパーから購入するのでありAppleは仲介者に過ぎない」として訴えの却下を求めていた。つまり個々のアプリの価格を決めているのはデベロッパーであり、消費者にAppleを訴える資格がないという主張だった。最高裁はこの主張を認めず、Appleは200万種類のiPhoneアプリすべてをApp Storeで販売する契約をデベロッパーと結んでおり、販売の都度30%の手数料を得ていると述べた。

iPhoneユーザーに反トラスト法による訴えの原告資格を認める決定にあたって、最高裁は次のような点も指摘している。すなわち、反トラスト法に違反する経済行動によって被害を受けた者は裁判によって被害回復が図られるべきところ、Appleの申し立てを認めてユーザーの訴えを却下するなら、そうした司法的被害救済を妨げることになる。つまり販売業者が独占的地位を利用して不当な手数料を設定、徴収している場合、結果的に高額の手数料を転嫁されているユーザーも反トラスト法の原告資格があるというものだ。上流のデベロッパーだけに原告資格を認め、下流の消費者に資格を認めないなら、反トラストの遵守にあたって抜け穴を作ることになるとして、ブレット・カバノー最高裁判事が執筆した決定は次のように述べている。

Appleの原告資格の線引きの主張には合理性がなく、単に同種の反トラスト法訴訟を逃れようとするゲリマンダー(恣意的な区分け)に過ぎない。もし販売業者が不当な独占的行動により消費者に競争的価格を上回る価格を強いているなら、その販売業者が上流の製造業者ないし販売業者との間にどのような仕入れ契約を結んでいるかは(原告資格を認めるにあたって)無関係である。

iPhoneのユーザーグループは「AppleはiPhoneのアフターマーケット市場においても独占的地位を得ており、消費者は競争的環境であれば決定されたであろう価格よりも高い価格を押し付けられている」とも主張していた。

つまりApp Storeを代替するサービスが存在するのであれば消費者には選択の余地があるが、事実はApp Store以外にiPhoneアプリの購入方法がないという点だ。またiPhoneユーザーグループは「デベロッパーはAppleの要求するコミッションを前提として価格を決定せざるを得なかった」と述べている。

もちろん反トラスト法におけるこの問題についてはすでに多数判例がある。最近の例ではSpotifyがAppleを訴えたケースだ。ウェブ経由で契約すれば月額9.99ドルだが、iOSを経由するとAppleへの手数料が加算されるため月額12.99ドルとなってしまう。こうした結果が生ずるのはAppleの独占的地位の優越性によるものだというSpotifyの主張に対し、EUも反競争的行動の疑いでAppleに対する調査を準備している

有力デベロッパーの中にもApp Storeでの販売を中止するところが出ている。例えばAmazonは、物品、書籍、音楽、ビデオなどのオンライン販売をウェブ経由に振り向けている。Netflixも昨年12月に30%の手数料、いわゆるApple タックスを避けるためにiOSのアプリ内販売を中止した。Forniteの開発元であるEpic Gamesも手数料を嫌ってGoogle Play Storeの利用を避けた

最高裁の今回の決定にあたって少数意見は1977年のIllinois Brick Co. v. Illinois訴訟の判決を前例として、(原告適格があるのは)アプリのデベロッパーであり消費者ではない」と述べた。つまりデベロッパーが手数料を消費者に転嫁すると決定した場合のみ消費者に被害が生じるのであり、Appleは単なる仲介者に過ぎないというものだ。

Appleの株価は6%近く下落している。


【TC Japan編集部追記】原告資格が認められたことにより、実際に反トラスト法違反があったかどうかの実体審理に移ることになる。多数意見を執筆したブレット・カバノー判事はトランプ大統領による任命だが、今回の決定ではApple寄りの保守派に同調せず自ら多数派意見を書いたことで注目を集めている。反トラスト法の議論は簡単にいえば「AがBに販売し、さらにBがCに販売するという連鎖があった場合でも、Bが独占的地位を利用してCに販売したのであればCはBを訴えることができる」というものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleは高速な画像読み込み機能をChrome Canaryに展開

Googleは米国時間5月7日、重い画像を含むウェブサイトをより高速に読み込むための機能をChromeに追加することを発表した。ただし現時点では、Chromeの実験的なバージョンであるChrome Canaryでのみ利用可能となっている。Chrome担当のプロダクトマネージャ、Tal Oppenheimer(タル・オッペンハイマー)氏が米国時間5月7日に開催されたGoogle I/Oカンファレンスで説明したところによれば、Googleはウェブサイトの画像読み込みに関するユーザー体験を改善する新たな方法を展開することになるという。「レイジーローディング」と呼ばれる手法を利用する。ウェブサイト上の画像を、実際に必要になったときに初めて読み込むというものだ。

「近年のウェブサイトは、これまでになかったほどビジュアルになっていて、高解像度の美しい画像を多く含んでいます」と、オッペンハイマー氏は述べている。「しかし、そうした画像をすべて一度に読み込もうとすると、ブラウザの速度は遅くなります。また、ユーザーが実際には目にすることのない不必要な画像を読み込むことで、リソースを無駄にすることになります」と、彼女は続けた。「そこで、たいていの場合、実際に必要になったときにだけ画像を読み込むようにする方が良いのです。それが『レイジーローディング』という手法です。しかし、デベロッパーが独自にJavaScriptを使って実装しようとすると、多大な労力がかかることになります。また、商用のサイトでは、望むようなレベルのユーザー体験が得にくくなる可能性もあります。そこで私たちは、非常にシンプルな方法で、優れた画像読み込み機能を実現したいと考えたのです」と、オッペンハイマー氏は付け加えた。

すでにChrome Canaryでは、「loading=”lazy”」という属性を持った画像タグに対して、新たな画像読み込み機能が有効になっている。あとはChromeが、ユーザーの接続速度などの要素も考慮して、実際に画像を読み込むタイミングなどを最適化してくれる。サイト上の個々の画像ファイルから、最初の2KBだけを読み込むことで、ページ上に適切なサイズのプレースホルダーを配置することも可能だ。

こうして、画像が重いウェブサイトについても、かなりスムーズな画像読み込みが可能なユーザー体験を実現できるというわけだ。よけいなコードを書く必要はいっさいない。

この機能は、通信速度が限られた環境でウェブブラウザーを使っている場合にこそ意味がある。そうした環境では、今日のメディアリッチなウェブサイトをブラウズすると、かなり遅く感じられるものだ。この機能を利用すれば、遅い環境にいるユーザーも、高速な接続接続が確保されたユーザーと同じように、ストレスの少ないアクセスが可能となるはずだ。

Googleは、この機能がChromeの実験的なバージョンから正式版に移行するのがいつになるかについては明らかにしなかった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Androidアプリの新しい現金支払手段

現在Androidプラットフォームでは、iOSより多数のアプリケーションがダウンロードされている。しかし収益という点では、AppleのApp Storeがずっと優位性を保ったままだ。そこでGoogleは、この収益の差を縮めるために、新興市場のユーザーのために新しい支払い手段を導入することにした ―― 現金である。同社が米国時間5月8日に発表したのは「ペンディング取引」(Pending Transaction)と呼ばれるもので、これによってユーザーに対してクレジットカードや従来のオンラインペイメント手段以外の支払い手段が提供される。

クレジットへのアクセス手段が存在していないことが、新興市場のユーザーたちが有料ダウンロードやアプリ内購入ではなく、無料でプレイできる広告付きのゲームやアプリケーションを好む理由の1つになっている。

この問題に対処するために、Googleは他の支払手段を、既に何年も前から導入してきた。例えばeWalletsや、インドのUPI、そしてキャリア決済などだ。過去1年間で、20以上のキャリア決済パートナーシップを結び、このオプションを提供するキャリアの数は世界で170を超えるようになっている。この手段で支払っているユーザーの数は10億人以上に及んでいる。

しかし、キャリア決済は普遍的な選択肢ではなく、いつでも好まれるものでもない。

ということで、より現金を頼っているユーザーに届けるために、Googleが今回また別の支払いオプションを提供するのだ。

「新興市場はみなさんの成長のためのキーとなるエリアだと思っています、それこそが『ペンディング取引』の発表に私たちが興奮している理由なのです」と本日Google I/O開発者会議で語ったのは、PlayストアとGoogle Play上のゲームを担当するエンジニアリングディレクターであるオーラス・マボッド(Aurash Mahbod)氏である。

「これは、現金、銀行振込、口座振替などと同様の新しい支払い手段です」と彼は説明した。

このオプションを使用すると、Androidユーザーは、アプリケーションまたはアプリ内購入の支払いを行う際に、これまでとは違う支払い方法をチェックアウト時に選択できる。例えば、登録されたクレジットカードに請求する代わりに、ユーザーはペイメントコードを受け取ることを選択することができる。ユーザーは受け取ったペイメントコードを使って、近隣の店舗でキャッシュ支払いを行うことができる。

店舗に入ったユーザーは、ペイメントコードをレジ係に提示して支払いを行うのだ。支払いを行ってから10分以内に購入手続きは完了し、支払い証明が添付された電子メールを受け取る(しかし細則を読んでいくと、購入手続きの完了に最大48時間かかることもあると書かれている)。

これを使うことで、現金しか使えないAndroidユーザーにとっては、アプリやアップデートの支払いが簡単になる。だが、後ほど払い戻しが必要になった場合には、現金での返金ではなく、PlayStoreのクレジットとしてのみ払い戻される。

ペンディング取引オプションは、新しいGoogle Play Billing Library(Version 2.0)に含まれている、いくつかのアップデートのうちの1つだが、新興市場での有料トランザクション数を増やすという意味では最も興味深いものである。

もう1つの注目すべきアップデートは「Subscribe&Install」オプションだ。これはユーザーがワンクリックでアプリをインストールする際に、同時に無料試用サブスクリプションも提供するというものだ。

この機能は現在早期アクセス版として利用可能だが、このオプションを使用したパートナーは有料サブスクリプションが平均34%増加した、とGoogleは述べている。

Google Play Billing Library 2.0(現時点でGoogle Play Billingとアプリを統合する正式な方法となった)は、Javaで利用可能である。C++とKotlinのサポートも間もなく開始される。

新しいオプションの詳細については、こちらのAndroid Developersサイトに投稿されている。

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(翻訳:sako)

スマホ上で作ったコラージュをARにするGoogleのアートツール

Googleのアーツ&カルチャー部門は、世界中のアートや遺跡の保存に加えて、アーティストとコラボしてテクノロジーとアートの統合を実験している。その最新の実験事業である「Weird Cuts」と呼ばれるARアプリが米国時間5月8日夜、同社のデベロッパーカンファレンスであるGoogle I/Oで公式に紹介された。このアプリはコンセプトをアーチストのZach Lieberman氏とMolmol Kuo氏が作り、Googleアーツ&カルチャー部門の協力で開発された。それはまさしく、拡張現実で遊ぶための奇妙だけど楽しいツールで、難しいことは何も考えずに「ARでおかしなコラージュを作る」ことだけを考えればいい。

このような実験は、一見気楽だけど新しいテクノロジーと人間との対話のあり方を理解する手段として有効だ。今は、実用目的のARアプリが多い。部屋の中の家具の配置を検討するとか、ふだん見られないものを接近して見るなど。昨日のGoogle I/Oのキーノートでは後者の例として、大きな白いサメのARが現れた。

でもWeird Cutsは、楽しいものを作ってやろうというクリエイティブな意図しかいらない。

このアプリには、切り抜きモードとコラージュモードという2つのモードがある。

まず、切り抜きモードでは、カメラのファインダーに映るものを何でも、いろんな形に切り抜く。そしてコラージュモードでは、それらの切り抜きをスマートフォンの画面をタップしながら現実の3D空間の中に貼っていく。上の画像は、そうやって作った3つの作例だ。

切り抜いた図形の位置や向きは、指をすべらせて変えられる。回転や大きさの縮小拡大も自由に変更できる。

出来上がった作品は、一種の多次元アート、もしくは単なるナンセンスかもしれない。そこらにあるものを素材にして即興的に作ったアートだ。

このアプリはアーチストたちの作品だが、クレジットはGoogle Arts & Cultureになっている。Google Playで無料でダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Playがアプリのレーティング方法を変更

2年前、Apple(アップル)はApp Storeのレーティングの仕組みを変更し、アプリをアップデートした時にレーティングをリセットするかどうかをデベロッパーが選べるようにした。Appleはこの機能を慎重に使うことを推奨している。米国時間5月8日、GoogleもPlay Storeのレーティングの仕組みを変更した。しかし、デベロッパーにレーティングをリセットするかどうかを選ばせるのではなく、最近のリリースを優先するようにアプリのレーティングに重み付けをする。

「みなさんから、レーティングは数年前ではなくアプリの今に基づいてほしいと言われ、われわれもそれに同意した」と、Google Play Consoleの責任者でエンジニアリングディレクターのMilena Nikolic氏が、今日のGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスで語った。

Nikolic氏は、Google Playの全Androidアプリについて、近々平均レーティングを再計算すると語った。生涯の累積値ではなく、アプリの平均レーティングは最近のユーザー評価に「重みを付けるように」計算しなおされる。

この改定によって、ユーザーはアプリの現状をひと目でよく見られるようになる。つまり、修正や変更によって体験が改善されてきたことが、レーティングの決定時に織り込まれるようになる。

「開発者の努力と改善が今まで以上に反映されるようになる」とNikolic氏が新しいレーティングの利点を説明した。

ただその一方で、この変更はかつての高品質なアプリがアップデートやバグ修正を行っていない場合、最近の悪い状態がレーティングに反映されてしまう。

この変更がGoogle Play Store SEOにどう影響を与えるかはわからない。現在アプリ検索の結果は、アプリ名、説明文、キーワード、ダウンロード数、レビューおよびレーティングなど複数要素の組み合わせに基づいている。

アプリレーティングの変更は、本日発表された数多くのGoogle Playの変更の中の1つであり、ほかにはダイナミック配信機能、新しいAPI、Google Play Consoleデータの刷新、カスタムリスティング、さらにはPlay Storeのユーザーレビュー用に、Gmailのような「推奨する返信」まで用意されている。

Google Play Storeの一般ユーザーが新たに再計算されたレーティングを見るのは8月になってからだが、デベロッパーは今日からPlay Store Consoleで新しいレーティングを見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがiFrameに代わる遷移タグPortalsをデモ、サイト間の連携を大幅強化へ

米国時間5月7日、GoogleはPortalsと呼ばれるChromeウェブブラウザ用の新しいページ遷移タグを発表した。このテクノロジーはGoogleがしばらく前から開発を続けてきたもので、機能自体はiFrameとほぼ同様だ。

Googleは「Portalはナビゲーション可能なiFrame」と説明している。従来のiFrameではページ内に別サイトのビューを表示するが、Portalsでは実際にそのウェブサイトにアクセスする。

Googleはレシピを集めたサイトを例にしてPortalsがどのように使われるかデモした。サンプルのサイトは他のサイトに掲載されたレシピを多数引用していたが、iFrameで引用した場合、調理の手順、材料などレシピの内容を詳しく確認するにはビューをクリックして引用先のウェブサイトにジャンプする必要がある。

これに対してPortalsで引用した場合は、元のレシピサイトに留まったままそうした詳細を見ることができる。また保存したいレシピがあった場合、Portalsによる引用から直接保存ができる。例えば、元サイトで「共有」ボタンをクリックするとポップアップ窓から引用先サイトの当該ページを読み込める。ユーザーは元サイトを離れることなく、レシピを好みのSNSに投稿できる。

Google I/OではNom NomというダミーのSNSにレシピを投稿する過程がデモされた。ユーザーが「共有」ボタンをクリックするとPortalsを使った窓の中にNom Nomのドメインがオープンした。その間も元のレシピサイトはバックグラウンドで待機しており、ユーザーはドメインを移動せず直ちに戻ることが可能だった。

こうしたことが可能になるのはPortalsタグの窓に引用先サイトが実際に開かれるためだ。つまりPortalsタグは単ににビューを表示するのではなく、本当の意味でポータルの役割を果たすわけだ。

レシピがNom Nomに投稿され、保存されるた後、ユーザーがPortals窓をクローズするとそのまま元のレシピサイトに戻り、サイトのブラウズを続けることができた。

Portalのもうひとつの有用な機能は元サイトからPortalsで共有されたサイトに情報を送れることだ。レシピサイトの例で説明すると、ユーザーが実際に調理したいレシピを見つけた場合、Portalsの中からオンライン通販サイトを開き、食材情報を送って購入することができる。こうしたデスティネーションサイトをロードする間、Portalsはオリジナルサイトにアニメーションを表示してユーザーに読み込み中を知らせる。これはユーザー体験を改善するために効果があるだろう。

Googleによれば、Portals APIはCanary版Chromeの#enable-portalsで確認できるという。Googleではデベロッパーコミュニティーからフィードバックを待っている。


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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterのリツイートに写真やビデオを追加可能に

Twitterのリツイートに、ついに新機能が追加された。ちょっとしたことだが便利な機能だ。これまでリツイートの際に追加できるのはテキストだけだったが、新たに写真、ビデオ、GIFも追加できるようになった。

この機能は米国時間5月6日に、iOS、Android、Twitterのモバイル用ウェブサイトで使えるようになった。ちょっとしたアップグレードのように見えるが、Twitterで共有されるメディアの量に大きな影響を与える可能性があるという意味で注目される。

ユーザーはよくコメントを付けてリツイートしている。そのため、リツイートでメディアをサポートすれば、Twitterのタイムラインをスクロールするときに目にするテキスト以外のコンテンツの量はかなり増えると考えられる。

Twitterのフォーマットにはさまざまな制限が伴うが、このアップデートはSMSに似たタイプの公開のプラットフォームを提供するというTwitterの当初の目的とは離れた方向へさらに進む一歩と見ることもできる。これまで、メディア、ユーザーからのライブストリーミングビデオメディアパートナーからのライブビデオオーディオのブロードキャスティングをサポートし、2017年には文字数制限をそれまでの2倍の280文字にした。現在は「twttr」と呼ばれているテストアプリで、会話をよりフォローしやすくために、返信をスレッド化する新しいユーザーインターフェイスのプロトタイプに取り組んでいる。

これらの変更を総合して考えると、Twitterは「テキストでステータスを更新するもの」という評価から離れ、もっとメディアリッチでエンゲージメントの高いプラットフォームの方向を目指していると言える。そうなればユーザーがTwitterに費やす時間が増え、広告収入の増加が期待される。

リツイート機能のアップデートは詳細ページのツイート、タイムライン、アクセシビリティ機能、Twitterクライアントに影響を与えるため、この変更には複数のチームのチームワークとコラボレーションが必要だったと同社は語っている。

Twitter Engineeringのアカウントは今回のアップデートについて「多くの人が望んでいた機能に取り組み、とてもエキサイティングだった。この機能をローンチできてうれしい。皆さんがこの機能を使うのを楽しみにしている」と書いている。

私たちが望む機能はほかにもあることを忘れないでいてくれるといいのだが。編集ボタンは作られないのかな……。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AlexaのWindows 10版にハンズフリー機能が追加

昨年11月、Amazon(アマゾン)はWindows 10向けにAlexaアプリをリリースした。これによりPCユーザーはAlexaを利用し、リマインダーやタイマー、アラーム、To-Doリストの作成、カレンダーの確認、スマートホームによるニュースや情報などの取得、音楽の再生ができるようになった。そしてMicrosoft(マイクロソフト)のBuildに合わせ、Amazonはハンズフリー体験をもたらすAlexaアプリの新バージョンをリリースした。

Amazonによれば、今後はAlexaをバックグラウンドからでもフォアグラウンドからでも呼び出せる。またウェイクワード機能のおかげで、ユーザーは「Alexa」と語りかけるだけでいい。

このハンズフリーオプションは、以前のプッシュによる会話機能を置き換えるものではない。ユーザーは好きなほうを選択できる。

さらにハンズフリーオプションに加え、アプリではPandoraの音楽ストリーミングをサポート。Windows PCでAlexaを利用し、好きなPandoraのステーションを聴くことができる。

Amazonによれば、Windows 10用のアプリは準備ができ次第自動でアップデートされる。アプリ自体は、Windowsストアから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookがビデオのガイドラインを改定、オリジナリティーや愛着度を重視

米国時間5月6日、Facebookは投稿されたビデオのランク付け方法に一連の変更を加えたことを発表した。ランクはビデオがどれだけ広く配信されるかを決定する。改定されたガイドラインによると、Facebookが高くランク付けするようになるのはオリジナル作品、ユーザーが長時間視聴したビデオ、ユーザーが繰り返し視聴したビデオなどだ。

狙いは、質の高いビデオを増やして「オリジナリティーのないビデオや使い回しされて付加価値のないビデオ」を減らすことにある。これは他人のコンテンツを(時には適切なクレジットなしに)大量に転載して小遣い稼ぎしているメンバーに対する取り締まりでもある。

Facebookは、シェア詐欺に関与しているFacebookページのビデオもランクを下げると言っている。他のページオーナーに報酬を払って中身のないコンテンツを掲載して宣伝させる手法だ。

さらにFacebookは、熱心で忠実なファンのいるビデオを高く評価するようになる。

従来Facebookは、ビデオクリエイターに対して、視聴者を1分間以上引き止めるよう推奨してきた。今後は、視聴者が3分以上見るビデオを積極的に推進していく。そして、何週間にもわたって視聴者が戻ってくるビデオも高く評価される。

今回の変更の狙いは、人々にとって価値の高いビデオを推進するとともに、優れたビデオクリエイターが、ソーシャルネットワーク上で広く知れ渡ることだとFacebookは言っている。

この変更は、FacebookのビデオサービスFacebook Watchが、AppleのストリーミングサービスApple TV+や、Roku Channel、AmazonのIMDb、そしてもちろんYouTubeといった広告支援コンテンツなどとのユーザーの時間と関心の競争が激化してきたタイミングで行われた。そしてまもなく、Disney期待のストリーミングサービスも視聴者の時間を奪いにやってくる。

Facebook Watchは、スピルバーグやウィザースプーン、オプラーといった大物と契約を結んだApple TV+らの新規参入組と比べてコンテンツの質が低いことを指摘されてきた。今後はMTVの「The Real World」や「Buffy」の再放送などの「プレミアム」コンテンツの提供に集中していく。

最近YouTubeがオリジナルコンテンツの無料・広告支援化を打ち出す中、Facebookは自身のビデオサイトを一時的な注目ではなく視聴者を定着させるものにしていく必要がある。そのためには一定の品質を超えたビデオを広めていくしか方法はない。新しいガイドラインはそのためにある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Netflixがテレビ向け高音質オーディオの配信を発表

米国時間5月1日、Netflixはストリーミングサービスの音質を向上させる新機能を発表した。同社が「高音質オーディオ」のサービスを開始したことで、5.1chまたはドルビーアトモスのいずれかに対応しているテレビデバイスでより高いビットレートのオーディオを体験できる。高音質オーディオはテレビデバイスの視聴者向けに同日から提供開始となっている。

5.1chでは192kbps(良い)から640kbps(優れている)まで、ドルビーアトモスでは448kbpsから768kbpsまでのオーディオを提供する。ただしドルビーアトモスを利用できるのはプレミアムプランのメンバーのみ。

Netflixは、今後も引き続きエンコーディング技術の効率を高め、ビットレートを進化させていくとしている。

Netflixのテクニカルブログではこの機能を詳しく解説している。それによれば、高音質オーディオはロスレスではないが「知覚的に透明」、すなわちオーディオは圧縮されてはいるもののオリジナルの音源と区別がつかないとしている。

Netflixは高音質オーディオが登場した背景も紹介している。2017年に「ストレンジャー・シングス 未知の世界2」で音質の問題があり、カーチェイスのシーンが鮮明に聴こえなかった。そこで同社の音響の専門家とエンジニアが向上に取り組み、オーディオのビットレートを上げることで問題を解決した。それ以来、改善された音声をより広く提供するよう取り組んできたという。

同社は発表の中で「なかなか気づかれない音の微妙な違いは、シーンの雰囲気に大きな影響を与え、視聴者の反応を根本的に変える力を持っています。クリエイティブパートナーのビジョンをサポートし、実現することはNetflixにとって非常に重要であり、その中でも音声に非常に注力しています」と述べている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

GoogleのCallJoyは零細企業向けの仮想カスタマーサービス

Google(グーグル)は、さまざまな技術を組み合わせて、零細企業のオーナーが、かかってくる電話にうまく対処できるようにする方策を提供する。そこでは、仮想電話番号、音声からの文字起こし、自動レポート作成と分析、といった技術が活躍する。社内のインキュベーション活動から始まったプロジェクトは、CallJoyという名前で、米国時間5月1日にサービスを開始した。米国内で3020万社にもおよぶ小さな企業のオーナーを対象にして、カスタマーサービスの代理機能を提供する。低価格ながら、迷惑電話をブロックすることや、電話をかけてきた人に会社の基本的な情報を伝えること、顧客の要望に応じてSMSを使った来店の予約やテイクアウトの受注、といったことまでが可能となる。

処理しきれない要望や質問については、本来の会社の電話番号に通話を転送する。一般的には、このようなカスタマーサービスの電話代理業務は、零細企業のオーナーにとって、とても手が届かないもの。しかしCallJoyは、毎月定額の39ドル(約4350円)という価格設定で、この技術を利用しやすいものにしている。

他の仮想カスタマーサービスのシステムと同様に、CallJoyも発信者に音声で応えて、会社の営業時間や住所といった基本情報を伝えることができる。また事業主は、増え続ける迷惑電話に対処する必要がなくなるので、そのせいで時間を浪費することもなくなる。その方が適切だと判断した場合は、電話をかけてきた顧客をオンラインに誘導して要件を完了させることもできる。

そのために、CallJoyの仮想エージェントは、顧客が望む場合には、SMSのテキストメッセージでURLを送信する。後はそのウェブサイト上で、予約や注文などといった要件もオンラインで完了できる。

たとえば、エージェントは顧客に「食品を注文するリンクをお送りしてもよろしいでしょうか?」と尋ねる。そこで顧客が「はい」と答えれば、テキストは直ちに送信される。この機能をカスタマイズして、さらにいろいろな情報を提供することも可能だ。たとえば、会社の電子メールアドレスや、オンラインの顧客サポートのURLなどを送信してもいい。

ただし、顧客が固定電話からかけている場合、このようなテキストで返信する機能は発動せずに、会社の電話に転送することになる。

一般的なカスタマーサービスのソフトウェアが、「品質を向上するため通話内容を録音させていただきます」などとことわるのと同様、CallJoyもかかってきた電話を録音する。そのことは相手に通知される。これは迷惑電話を削減するのに有効だ。というのも、迷惑電話の発信者は、録音されていることがわかると、たいていは切ってしまうからだ。

録音された通話は暗号化され、文字起こしされて、CallJoyのダッシュボードから検索可能となる。

ここには、通話に関する情報、つまり相手の電話番号、音声、そこから起こしたテキストが保存される。事業主は、そこで通話にタグを付けて、自分のビジネスの展望に役立つ分析を含むレポートを生成させることもできる。たとえば、あるヘアサロンに「結婚式のヘアスタイル」について問い合わせる電話が多くかかってくるようなら、自分のウェブサイトにそうした情報を載せるべきだと判断することができる。あるいは、レストランなら、予約の電話が1日に何件かかってくるかを継続的に調べたいこともあるだろう。

また、電話の件数、通話時間帯のピーク、新規の顧客と以前にもかけてきたことのある人の比率、といった分析も可能だ。こうした情報は、オンラインのダッシュボードで見ることができるだけでなく、電子メールで毎日受け取ることもできる。

このサービスは、米国時間5月1日から利用可能だ。利用のためには、既存の固定電話、携帯電話、Google Voiceまたは他のクラウド電話プロバイダの番号が必要となる。通話を、その番号に転送する必要があるためだ。

とはいえ、そうした既存の電話番号をCallJoyが直接利用するわけではない。Google Voiceと同様、会社のある地域の市外局番と、仮想のCallJoy番号を組み合わせたものが、会社の受付番号として使われる。

その電話番号での受け付けを始めるには、事業に関する情報を、すべてその新しい番号に書き換える必要がある。ウェブサイト、名刺、オンラインの事業者リスト、広告、ソーシャルメディア、その他、電話番号が記載されているもの全部だ。

CallJoyは、基本的に1つの住所と1つの電話番号にだけヒモ付けられている。CallJoyダッシュボードを使って、独自の電話番号を持つ住所を追加することも可能だが、その際は回線ごとに追加料金がかかる。

サービス開始時には、CallJoyは招待制としてのみ利用可能となっている。利用を希望する企業は、CallJoyのホームページでリクエストを提出して待ち行列に入る必要がある。招待は毎日発行される。やがて、このシステムは誰でも利用できるようになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

デベロッパーの収益源になるAlexaのスキル内購入機能が国際展開へ

1年前にAmazonがアメリカのAlexaデベロッパーのために設けたスキル内購入の機能が、今日からはグローバルに提供される。最初はイギリスとドイツと日本だけだが、その後、そのほかの国でもできるようになる。デベロッパーはスキル内購入を利用して、Alexaの音声アプリからさまざまな方法で収益を得ることができる。それは、デジタルグッズでもいいし、何かのサブスクリプションや消耗品でもよい。

デジタルグッズには、クイズなどの拡張パックがあってもいいが、消耗品(consumables)はゲームのヒントなど一回かぎりの購入だ。一方サブスクリプションはデベロッパーに継続的な収益機会を与える。それらは、会員特典やアプリのアップグレード、コンテンツの定期的な更新などだ。

コンスタントな収益があれば、その音声アプリを今後継続的に開発していくこともできる。音声アプリケーションはまだ日が浅いから、デベロッパーはまだいろんな試行錯誤をしている。どんなユーザー特典が喜ばれるかも、長期間やってみないと分からない。だから開発を続けられることは、とても重要だ。

Alexaのスキルは、すでに80000を超えている。あまり人気のないアプリのロングテールがあって、ごく一部だけがヒットしている、という状況だ。

Amazonは今日、スキルのヒット作を二つ紹介している。ひとつはGal Shenar作のゲームスキルEscape the Airplaneで、彼によるとコンバージョンレートが34%だそうだ。

もうひとつの、Nick Schwab作の環境音スキルは200万近いアクティブユーザーがいる。彼は無料のトライアルと月額のサブスクリプションを提供し、一度聴いた人はその30%がトライアルに申し込む。そして無料トライアルユーザーの90%が有料のサブスクリプションに換わる。

上の二つのケースでは、どちらも有料サブスクリプションがオプションであり、ハードセルではない。そして彼らは、自分のスキルを、はまりやすくて、くせになりそうな仕上がりにしている。

そのほかの上位スキルは、Jeopardy!Escape the RoomBeat the IntroBig SkyWould You Rather for FamilyQuestion of the Day、そしてYes Sireなどだ。

スキル内購入が国際展開になったから、デベロッパーは自分のスキルをローカライズして、いろんな国で稼げる。そのためには、Alexa Command-Line InterfaceやAlexa Developer Consoleを使える。

関心のあるデベロッパーは、このフォームで申し込み、自分のアイデアをAlexaのチームに説明しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

NYタイムズのポッドキャストリスナーは毎日200万人

ニューヨークタイムズ紙(NYT)の人気ポッドキャスト「The Dailyが成長し続けている。このニュースメディアは今朝、Appleのポッドキャスト部門トップチャートで第7位にランクインしている自社のポッドキャストのデーリーリスナー数が200万人に達した、と発表した。そして当初4人だったスタッフの数を17人に拡充したことも明らかにした。

実際のリスナー数という点でトップのポッドキャストとはどういうものかを示しているこの発表は注目に値する。

今日開かれたNewFrontsでのNYTプレゼンテーションの中で明らかにされた今回の発表は、ポッドキャストがブームを迎えている最中に届いた。NYT報道によると、2006年から現在のスタイルになっているポッドキャストは2018年に最も成長した。3月時点で、米国の消費者の半分以上がポッドキャストを聴いている。ポッドキャスト視聴者が50%を上回ったのはこれが初めてだ。

3分の1の人が先月ポッドキャストを聴いたとEdison Research3月に明らかにしていて、毎月のリスナー数は9000万人とのことだ。

この数字からすると「The Daily」はまだ成長する余地を残しているようだ。

部分的には、ポッドキャストへの関心は、スマートスピーカーが浸透していることとつながっている。スマートスピーカーはNYTが投資している分野でもある。「The Daily」そのものをGoogle Home Amazon Echoのようなスマートスピーカーに持ってきていることに加え、NYT最近Alexaニュースフラッシュを立ち上げた。このニュースフラッシュは「The Daily」からコンテンツを引っ張ってきていて、ホストはMichael Barbaroだ。NYTはまた、インターラクティブニュースクイズやNYTの紙版とつながっているプログラミングなどを含むいくつかのAlexaスキルも立ち上げた。

20193月のPodtrac産業ランキングによると、NYTのポッドキャストの月間ユーザー数は合わせて713万人となっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

AmazonがTIDALのようなHi-Fi音楽ストリーミングサービスを年内に開始

Music Business Worldwideの記事によると、Amazonは年内立ち上げをめどにHi-Fi音楽ストリーミングサービスを準備している。このサイトは最近のAmazonの広告入りで無料のAmazon Musicサービスの立ち上げを正しく報じた。Hi-Fiサービスのほうは、その「CDよりも高品質な」提供物に対して月額15ドルを課金する計画だ。TIDALと真っ向から競合することになる。

Amazonは、PandoraやSpotify、Apple Musicなど、そして今やTIDALと直接競合することによって、市場のローエンドとハイエンドの両方をカバーしたいようだ。

同社の音楽への投資は、広告や会費で売上に貢献するだけでなく、AmazonのスマートスピーカーEchoシリーズの直接的なコンテンツにもなる。節約家の消費者なら、Echo Dotで広告入りの音楽ストリーミングを聴けば十分だろう。でもEcho Plusのステレオペアとウーファー買った人は、高品質な音で音楽を聴きたいかもしれない。

今のところ、そんなオーディオマニアたちは、TIDALのようなサービスを探していただろう。このサービスのHi-Fi契約は44.1kHz/16ビットのCD級ストリーミングで月額19ドル99セント、96kHz/24ビットのマスター級の音質も提供されている(別料金不要)。一方Deezerは、16ビットのFLACファイルをストリーミングしている。

なお、現時点ではAmazonのHi-Fiサービスのビットレートなどは不明だ。しかし上掲の記事によると議論はまだ初期段階で、契約した大手レコード会社もまだ1社しかない。

AmazonがこのHi-Fiサービスをローンチしたら、同社の音楽ストリーミングサービスは無料〜有料〜高額と市場の全領域をカバーすることになる。ユーザーは、自分の希望に合わないからといって、他のサービスに浮気する必要がなくなる。またAmazonはこれをインセンティブとして利用し、スマートスピーカーを買う人やプレミアム会員に値引き提供するかもしれない。今でも、Echoデバイスを買うとAmazon Music Unlimitedが月額3ドル99セントになるように。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa