2013年の世界の企業・公共機関のIT支出は2兆690億ドル―アプリとアメリカが変化の牽引役(Forrester予測)

Forrester Researchはさきほど世界のIT関連支出に関する年次報告を発表した。Forresterのアナリストの予測によれば、世界の2013年のハードウェア、ソフトウェア、IT関連サービスに対する企業、公共機関(一般消費者は含まず)の支出総額は2兆690億ドルに上るという。

国別ではアメリカが2位以下を大きく引き離してトップだ。支出のカテゴリー別にみると、トレンドを反映して、アプリがトップとなるという。

数週間前に発表されたGartnerの予測と比較するとForresterのレポートはやや慎重だ。Gartnerのレポートも一般消費者の支出は含まず、 総額を3兆7000億ドルと推計している。

Gartnerのレポートでも注意されていたが、Forresterも為替の変動、特にアメリカ・ドルが強くなったことが統計に大きな影響を与えていると述べている。各国通貨ベースの成長率は4.6%となるが、ドル・ベースで計算すると2.3%に低下する。アナリストのAndrew Bartelsはアメリカと日本で景気が上向いているものの、ヨーロッパで景気後退が続いていること、中国の成長が鈍化したことが全体の成長率を低下させると書いている。

レポートは長大であり、われわれ自身、現在詳しく読み込んでいる最中だが、とりあえず大見出しを報告しておこう。

ソフトウェアが世界を食っている: Forresterによれば、全体としてみると、5420億ドルでソフトウェアが最大の支出分野だ。Bartelsによれば、ソフトウェアでもっとも大きな技術革新が起こっていることの反映だという。オンプレミスで利用される伝統的プロダクトへの支出が減少している一方、しばらく前から目についているトレンドだがSaaSなどのクラウド・ベースのサービス、ビッグデーア分析、モバイル・アプリが急成長している。 ソフトウェアへの支出の成長は2013年に3.3%、2014年には6.2%に達するものと予測されている。

ハードウェアではタブレットとAppleが引き続き牽引役: 上の円グラフを見れば明らかなように、コンピュータのハードウェアでは依然としてパソコンが最大のカテゴリーだ。2013年の総額は1342億ドルと予測されている。しかしPC市場は縮小傾向にある。Bartelsによれば伝統的なパソコンはWindows8のリリースがあったにもかかわらず3%の伸びにとどまった。成長が著しいのはタブレット、なかでもiPadだ。Forresterの予測では、企業と公的機関のタブレットへの支出は2013年に36%アップして2100億ドルになるという。なかでもAppleのシェアが高く、そのうちの1400億ドルを占める。SamsungのGalaxy、MicrosoftのSurfaceも順調に成績を伸ばしているがAppleのiPadの優位を大きく揺るがすところまでいっていない。

伝統的パソコンではWindowsマシンよりAppleとLinuxの成長が著しいが、全体としてみると低調な数字となっている。2014年の支出総額は1350億ドルという予測で、これは2013年に比べてわずか10億ドルの増加にすぎない。Windowsマシンは70億ドルの減少、AppleのMacとタブレットが60億ドルの増加と予測されている。ストレージ機器は横ばい、サーバーは1%の減少、その他周辺機器は3%の減少が予測されている。今年初めにForresterは向こう2年間で390億ドルのハードウェアを販売するだろうとpredictedしている。

アメリカのシェアが圧倒的: ドルが強くなったことと、実際に世界最大のIT財購入国であることの両面からアメリカの優位は説明できる。Forresterによれば、2014年のアメリカにおけるIT支出は8750億ドルとヨーロッパとアジアの支出の合計を上回るレベルに成長するという。

アメリカはマーケットが巨大であるうえに、成長率も5.9%と東欧、中東、アフリカの 6.9%なみに高い。2014年にもっとも成長率が高くなるのはラテン・アメリカで10.7%に達する。ヨーロッパは2012年のIT不況から何とか脱して今年は4870億ドルに回復する。逆にアジアは景気後退の波を受けて4920億ドルにとどまると予想されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Microsoft、過去最大の組織再編―セクショナリズムを一掃し、ハードウェアとクラウド・サービスに集中へ

今日(米国時間7/11)、Microsoftは過去最大の組織再編を実施した。CEOのスティーブ・バルマーが発表した人事異動では、事業部門の長が全員、新しい職に就くこととなった。また相当の規模の研究組織のトップもOS、エンタテインメント、モバイル事業の強化のためにそれらの部門に異動を命じられた。

Windows Phone事業部の責任、テリー・マイヤーソンはOS部門の長に異動。Windows部門の共同責任者で次期CEOの有力候補と目されるジュリー・ラーソン-グリーンはエンタテインメント事業部へ、Bing始め各種オンライン・サービスの担当だったチー・ルーはアプリケーションとサービス・エンジニアリング担当にそれぞれ異動となった。

これほどの大規模な組織再編はMicrosoftの歴史上かつて例がないものの、意外ではない。

バルマーがOSの天才でSurfaceの開発を成功させたスティーブ・シノフスキーを切ったことは、近く大きな動きがありそうだと予想させた。シノフスキーはWindows事業部に絶対的に君臨しており、他の事業部との合併を拒否したのだという。シノフスキーの辞職後、バルマーは「全社的意思統一と事業部間の協力が必要とされている」という長文のメモを社内に回した。

Microsoftでチーフ・ソフトウェア・アーキテクトを務めたレイ・オジーは在職当時、プロダクトを統合するアプローチを強く主張したがバルマーはWindows部門の独立を主張するシノフスキーにに軍配を上げた、オジーは世界はポストPC時代に向かっていると考え、クラウド・サービスを主唱、Microsoftの主要なクラウド・サービス、Windows Azureの開発を強力に推進した。AzureはポストPC時代のMicrosoftの生き残りのカギを握る存在になっている。今や主要な対立は「パソコン対それ以外」ではなく「パソコン対クラウド」になっている。

MicrosoftはモバイルではAppleとSamsungに脅かされ、クラウド・アプリとOSではGoogleの後塵を拝している。今回の組織再編は、エンタテインメント分野などでの今までの強みを生かしながらクラウド分野での競争力を抜本的に強化する必要があることを認識したものだろう。またユーザーのオンライン化が進むにつれてMS Officeの売上が減少する可能性に対処しなければならない。

Microsoftはこうした主要な事業部門に惜しみなく人材を投入することとした。たとえば研究部門の責任者、Rick Rashidは古巣のOS部門に戻され、Windowsのイノベーションの推進を求められている。

Microsoftは近年、多くの戦略的分野でライバルに水をあけられてきたが、やっと巻き返しに出ることになったもようだ。モバイル戦略の失敗からiOSとAndroidの独走を許し、Windows 8の人気もいま一つ盛り上がらない。コンピューティング環境がデスクトップからモバイルにますます移行していくトレンドを考えると、Microsoftの将来にとってはWindows OSよりむしろWindows Phoneのほうが影響が大きいかもしれない。ところがIDCの統計によると、今年の第1四半期のスマートフォン市場におけるシェアはAndroidが75%、iOSが17.3%であるのに対してWindows Phoneは3.2%と一桁台に留まった。

MicrosoftのOSのモバイル化はそれでなくても遅れて2010年になってWindows Phone 7として登場したが、2012年の秋にはカーネルを一新してWindowsPhone 8としたため、初期のユーザーはアップデートできないプラットフォームに取り残される破目になった。

こうした過去の混乱をふまえてバルマーは社内向けメモで「われわれは事業部の寄せ集めであってはならない。われわれはワン・カンパニーの元に結集しなければならない」と檄を飛ばした。

バルマーはこれに続けて「一連のデバイスのファミリー、サービスのファミリーを構築する戦略が求められている。…ゲームから業務までユーザーの一日の生活をすべてまかなえるような決定的に有効なデバイス・ファミリーの提供に成功したテクノロジー企業はまだどこにも存在しない。ここにはソフトウェア、ハードウェア、サービスのすべてにわたって膨大なイノベーションの余地とチャンスがある」と述べている。

バルマーが特に名指したデバイスの「ファミリー」は、「スマートフォン、タブレット、パソコン、〔タブレットとクラムシェルの双方に使えるウルトラブック〕2-in-1、テレビのセットトップボックス」などだ。このうちではMicrosoftはSurfaceタブレットの開発には成功しているものの、スマートフォンではOEM(主としてNokia)に頼っている。Surface同様にスマートフォンを始めとするデバイスを独自に開発、販売する必要性がますます高まっている。

ここでMicrosoftの新組織とその責任者をリストアップしておこう。

  • Terry Myers:すべてのデバイスのOS
  • Qi-Lu:アプリケーションとサービス
  • Julie Larson-Green:Xboxをはじめとするコンシューマ・デバイス
  • Satya Nadella:クラウド・サービス
  • Kirill Tatarinov:ダイナミクス、新テクノロジー
  • Eric Rudder:調査研究
  • Tami Reller:マーケティング
  • COO:Kevin Turner
  • Tony Bates:事業開発(M&A)

Microsoftは企業内官僚制と事業部間のライバル意識の強さで有名だ。バルマーは「ワン・マイクロソフト」を合言葉にこの長年の欠陥の一掃についに乗り出したようだ。「ワン・マイクロソフト」はこれまでのような単なるスローガンから組織再編の原理に高められることになった。今日の発表はおそらく第一歩であり、ここ数ヶ月さらに改革が続くものと思われる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ソーシャルメディア・キュレーションサービスを展開するStorify、コラボレーション機能およびエクスポート機能を追加

ソーシャルメディアのキュレーションサービスを展開するStorifyが、新機能のリリースを行った。Storifyは、企業ブランドなどによる利用を増やしつつあるが、そうした利用者に大いに歓迎されそうな機能だ。

最も注目されるのは、共同編集(コラボレーション)機能だろう。これまではStorifyを複数の利用者で使おうとした場合、全員でひとつのアカウントおよびパスワードを共有する必要があった。もちろんこうした方法は望ましいスタイルではない。政治的な話をするときに、人とアカウントをシェアすることを気味悪く思う人も多いだろう。

この度の改良により、パスワードを共有してひとつのアカウントで作業するのではなく、別の利用者にもアカウントを利用する権利を付与できるようになった。また編集内容を間違って消してしまったり上書きしてしまったりするのを防ぐために、コンテンツをロックする機能も追加された。ところで当方では、新機能がリリースされる前に少し使ってみることができた。その時の様子では、誰かが編集しているときに別の人も同じ記事を編集しようとすると、編集中の人に通知が送られるようになっていた。この通知に応じて保存して作業を終了(別の人に編集権を渡す)したり、あるいはそのまま作業を継続することができる(この場合は編集権は移動せず、新たに編集しようとした人は、すぐには編集を行うことはできない)。将来的には、同じ記事についてでも、異なるセクションならば複数の人が同時に編集できるようにしたいと考えているそうだ。また、それぞれの人に応じたパーミッションレベルの導入も行いたいとのこと。

また、StorifyをPDFとしてエクスポートする機能も追加された。すなわちビジネス目的で作成したStorifyをクライアントに見せようと思った場合、メールで添付できる形にするために新たな編集作業を行ったりする必要はなくなったわけだ。

尚、これらの機能が利用できるのはStorifyの有料利用者だ。有料サービスというのは、今年になってから導入されたもので、VIPBusinessのプランが用意されている。共同ファウンダー兼CEOのXavier Dammanによると、有料利用者は130以上となっているのだそうだ。ジャーナリストやメディア企業が大いに興味を示しているStorifyではあるが、実は利用者の90%がパブリッシャーではないのだそうだ。実はそうした傾向を目にしてDammanは企業向けの有料サービスも構築することとしたのだそうだ。すなわち、既存のメディアには担い切れない部分があると、多くの人が考えているのだと考えたわけだ。

パブリッシャー以外にどのような人が利用しているのかと言えば、スポーツチームや大学などでも利用されているとのこと。そしてやはりメーカー・ブランドや、そのブランドの販売などを行うエージェンシーからの利用が多いのだそうだ(有料版のリリースにあたっても、そうしたメーカーからのストーリーを展開する場所としての役割を強調していた)。

「メディアとブランド、ないしコンテンツマーケティングが展開される場は多様になってきました」とDammanは言う。「ブランド側も独自のストーリー展開を試みるようになってきており、そうした中、ジャーナリストが利用していたツールを利用するようになってきているのです」。

そもそもはメディアによる利用を想定していたStorifyだが、時代の流れに乗って、その活躍範囲を広げつつあるということのようだ。DammanおよびStorifyの他のメンバーたちの多くもジャーナリストとしての経験を持つ。今後も双方にとって有益なツールを提供して行きたい考えだ。

ところで、今回の発表には有料利用者以外にも関係するものがある。すなわち、上に掲載したように、綺麗に並んだグリッドビューが利用できるようになっており、これは全利用者が使うことができるようになっている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


クラウド・ホスティングに新星―DigitalOceanはシンプルさと低料金を武器にAWSに挑戦する

DigitalOceanはウェブ・ホスティングの世界で急速に注目を集めつつあるサービスだ。月5ドルでRAMが512MB、SSDで20GBの容量のバーチャル・サーバ(ここではDropletsと呼ばれる)が利用できる。アメリカに2箇所、アムステルダムに1箇所のデータセンターがある。

共同ファウンダー、CEOBen Uretskyは私の取材に対して「われわれはスピートとシンプルさ、そして何より低価格を武器にしてライバルに挑戦している」と語った。

その挑戦はこれまで成功している。この数ヶ月、DigitalOceanはアメリカでもっとも急成長したクラウド・プロバイダーとなっている。現在25万2760のバーチャル・サーバが作成されている(KVM〔カーネル・ベース・バーチャル・マシン〕とSSDを利用しているため、バーチャル・サーバの設定は55秒以下ですむ)。Netcraftによれば、DigitalOceanがホストするIPドメインは2012年12月にはわずか140だったのに、今年の6月には7134に増加した。

出身はTechStars

しかしUretskyによれば、DigitalOceanがここまで来るのにはそれ相当の苦闘を経験している。創立されたのデンバーで開催されたTechStarsの2012年夏期のインキュベーション・プログラムだった。この際、Slicehostのファウンダー、Jason Seats他のTechStarのメンター〔アドバイザー〕の推薦がいに役立った。しかし創立当初はクラウド・ホスティング分野で新たなスターアップが成功すると考える人間はほとんどいなかったという。Uretskyと共同ファウンダーたちはサーバ・ホスティング業界で15年働いており、テクノロジーについても起業についても十分な経験を積んでいた。しかしUretskyたちはあえてTechStarsのアクセラレータ・プログラムに参加することを決めた。それはUretskyの最初の起業では得られなかったメンターのネットワークに入ることが必要だと考えたからだった。

DigitalOceanチームはライバルについて詳しい研究を行い、綿密な競争戦略を立てた。Uretskyは「どんな会社もその核心はマーケティングだ」と考えている。DigitalOceanチームが重視したのは、AmazonWeb ServicesやAzureのようなクラウド・プラットフォームを利用するのは相当に経験を積んだデベロッパーにとってさえ非常に複雑で手間のかかる作業だという点だった。

そこでチームはサーバの立ち上げのシンプルさに重点を置くことにした。DigitalOceanの管理ダッシュボードを見るだけで、そのことはすぐに理解できる。この画面には長いリストやたくさんのボタンが並んではいない。パーツはゆったり配置され、サーバのブートもシャットダウンもわずか2クリックで完了する。現在DigitalOceanがメインのターゲットとしているデベロッパーは個人や少人数のスタートアップだ。そのようなユーザーはシンプルさ、柔軟性、オンデマンドの拡張性を必要としている。

UretskyによればDigitalOceanはすでに黒字化を達成しているという。外部の専門家の多くはこのような低料金で収益性が確保できるかについて懐疑的だったが、Uretskyは「われわれがスケールアップするにつれてハードウェアもネットワーク帯域も大口割引が受けられるようなり、コストダウンに成功できた。われわれは十分なマージンを確保している」という。

近くデータセンターと機能の拡張へ

DigitalOceanはブラジルにデータセンターを建設予定だ。またアジアでもシンガポールか香港にデータセンターを置く準備をしている。その次はインドだ。同社は急成長に対応して最近28名の社員を新規採用している。ベータテスト中の新機能には予めコンフィグレーションをすませ即時に立ち上げ可能なLAMPサーバなどがある。

〔日本版〕実際にUbuntu上のWordPressサーバを新規に立ち上げてみたが、支払い手続きも含めて数分で設定が完了する。支払いにはPayPalが利用できる。 OSはUbuntu、CentOS、Debian、ArchLinux、Fedora。アプリケーションはWordPress、Ruby on Railsなど。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

◆以上◆


Facebookがページインサイトをアップデート―ビジネス・ユーザーにページのパフォーマンスをより正確に伝えられるようになった

Facebookはページインサイトをアップデートしたことを発表した。ページインサイトは管理者にFacebookページのさまざまなパフォーマンスの指標を提供する解析ツールだ。プロダクト・マーケティング担当マネージャーのGalynBurkeは私の取材に対して「これはページインサイトが2011年の10月にリリースされて以後、最初のUIのアップデートだ」と述べた。.

今回のアップデートは実際にこのツールを利用していないと読者にはやや難解に感じられるかもしれない。しかしBurkeによると変更のかなりの部分はこれまでにユーザーから寄せられた要望を実現したものだ。たとえば「私のページのパフォーマンスを表示するだけでなく、改善する方法も示してほしい」という声が強かったという。

Burkによれば、今回のアップデートは、ビジネス・ユーザーが自分のページのどこがうまく行っており、どこがうまく行っていないのかをより明確に知ることができるようにするのが目的だ。管理者はこうした情報を元にコンテンツの改善を図ることができるし、Facebookとしては広告にさらなる投資を呼び込むことも期待できる。

今回の変更の一つは「話題にしている人(People Talking About This)」の計測だ。これにはページに「いいね!」したユーザー数、投稿に対するコメント数、そのページが対象としている店舗、施設等にチェックインした回数などを総合したものだ。Burkeは「問題はこの『話題にしている人』にはユーザーの興味あるコメントなど重要jな情報が多数埋まっているにもかかわらず、ページの管理者が個々の内容をチェックしずらいことだった。そこで各要素をまとめてしまうのではなく、それぞれの要素ごとに表示することにした」と説明する(上の図参照。「いいね!」数、ページビュー数などに分類している)。

一方、「口コミ効果(Virality)」では従来どおり全体を合計した指標となっている。ただし、計測対象にクリック数を加え、タイトルをEngagementRateと改めた〔現時点では日本語未訳〕。

もうひとつの改良は、個別の投稿のパフォーマンスをスコアカード化して見やすくしたことだ(下のスクリーンショット)。「いいね!」、コメント、シェア、クリックなどのポジティブなアクションの合計と非表示、スパムとして報告などのネガティブなアクションの合計が表示される。Burkeは「これまでページ管理者が個々の投稿のパフォーマンスの全体像をつかもうしたらいくつものタブを開かねばならなかった」と説明する。

最後の変更はPeople Engaged(関与したユーザー)という新しいレポートだ。これには投稿になんらかの形で反応した人々についての地域や人口動態的情報が表示さえる。Burkeは「どんなタイプのオーディエンスに情報が届いているのかを知ることはビジネス・ユーザーが今後の広告キャンペーンを立案する上で非常に重要だ」という。

Facebookは今回のアップデートを少数のビジネス・ユーザーを対象としてテストしてきた。今回対象となるグループが拡大された。ユーザーからのフィードバックをさらに検討するということで、すべてのFacebookページが対象となるまでにはまだ多少の時間が必要が必要なようだ。

詳細はFacebookのブログで

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


CrunchBase(テック系企業データベース)の更新情報を、毎日メールで通知するサービスを開始

TechCrunch読者の皆さんなら、CrunchBaseのチェックを日課にしているという方もいらっしゃるに違いない。競合の資金調達状況などをチェックにも利用できる。そのような形で利用している人に向けて、新たにCrunchBase Dailyを立ち上げた。CrunchBaseに登録された最新投資情報をお知らせするものだ。こちらでメーリングリストに登録できるようになっており、また要約をお伝えするTwitterアカウントも用意している。

(本稿の執筆は、CrunchBaseプレジデントのMatt Kaufman)

このCrunchBase Daily、まずは投資情報のみをお伝えすることとなる。ちなみに情報量は本年初頭と比べて倍以上に増えている。情報量が増えたのはCrunchBase Venture Programを立ち上げたおかげもある。6週間前にDisrupt NYでアナウンスしたもので、今では200以上の投資ファームが参加してくれている。CrunchBaseに今月登録された情報の件数は30ヵ国から417ラウンドにもおよぶ件数となっている。資金総額で見ると34億ドルにものぼる。

CrunchBase Dailyには、買収情報、人材の移動(異動)情報なども加えていく予定だ。

ところでCrunchBaseというのはテック系企業や人材、および投資家などを登録しているフリーのデータベースで、誰でも編集できるようになっている。多くの読者からの情報により、投資情報、人物情報、企業のマイルストン達成情報などが更新されている。

関係者による情報更新やマイルストン達成情報などは、多くの場面で活用されている。たとえばTechCrunchでも記事にCrunchBaseの情報を張っているケースが多いし、他のサイトでもCrunchBaseを活用しているところがある。また投資関連企業やビジネス開発チームなどでも活用してもらっているようだ。TechCrunchでは、CrunchBaseの情報を使った記事なども適宜掲載している。

もちろん、さまざまに活用していただくために、CrunchBaseの情報が正確なものであることが大前提だ。もしCrunchBaseの情報に問題がある際には、feedback@crunchbase.com宛にメールを送って頂きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


会計事務所向けクラウドシステムのA-SaaSが総額6億円超の資金調達を実施

アカウンティング・サース・ジャパン(以下、A-SaaS)は会計事務所向けのクラウドSaaSシステムを提供している。会計事務所業界は40年程前からコンピュータ化に先駆的に取り組んできた業種であるが、クラウド化に関しては遅れている点を同社は解決しようとしている。

このA-SaaSがセールスフォース・ドットコムグリーベンチャーズモバイル・インターネットキャピタル、既存株主(個人株主)から第三者割当増資で総額6億2500万円を調達した。

A-SaaSは今までは事務所内のPCサーバーや専用機サーバーにあった財務、税務の業務ソフトや顧問先のデータを全てクラウド上で管理する。冒頭でも述べたが、会計事務所業界はクラウド化が遅れているそうで、既存のソリューションではハード・ソフト双方のコストが高くついてしまうし、クライアントと顧問先でデータを共有することにも手間がかかるなど、不満な点が多いとA-SaaS代表取締役社長の森崎利直氏はいう。

そこで、A-SaaSでは会社設立から4年間クラウドによるSaaSシステムの構築に取り組んできた。クラウド上でリアルタイムにやり取りでき、コストも削減できる。現在では会員登録ベースでは1,350件、アクティブに利用しているユーザー(会計事務所)は550件となっている。他のBtoB向けサービスと比べると4年で550件と聞くと、少なく感じてしまうかもしれないが、サービスの特性上、会計事務所がシステムを移行することに時間がかかることに加え、買い替え時期の関係もあることは考慮しておきたい。なお、営業活動をした会計事務所は1万3,200件だというから、そのうちの10パーセント以上が会員になっている。

今後の展開で気になるのは競合との差別化だ。会計事務所向けのサービスを提供している競合としては上場企業であるTKC、JDL(日本デジタル研究所)、MJS(ミクロ情報サービス)などが主である。

だが、森崎氏はこれらの企業がA-SaaSのようなクラウド型のシステムを構築できるか疑問であるという。というのも、彼らがすでに数十年にわたり積み上げてきたものに加えて新たにシステムを構築するとなると二重投資しなくてはならないし、既存の顧客と価格帯の隔たりがあり、この状況で今の収益が成り立っている。そのため、その5分の1ほどの料金で利用できるA-SaaSのような仕組みにすると収益構造がガラっと変わるため、難しいのではないかと森崎氏は予測する。

とはいえ、現状のマーケットでは上記の大手3社が全体の7割から8割ほどのシェアを占めている業界だから、A-SaaS側としてもこれまで慣れ親しんだものから乗換えてもらうには大変だろう。

ユーザーにとって、スタートアップが提供するクラウド上で企業内情報を取り扱うサービスに乗換える際の大きな懸念点の1つはセキュリティだろう。この問題に関して、今回のセールスフォースとの資本業務提携は大きな意味をもつという。セールスフォースはクラウド領域のパイオニアであり社会的な信頼も厚い。そして、A-SaaSは独自に開発していたプラットフォームからセールスフォースのクラウドプラットフォームであるForce.comへの移管をすることで、セキュリティという懸念点は大幅に改善されることになるだろう。

今回調達した資金をA-SaaSのシステム完成に向けての開発費や、プロモーション、Force.comへの移行に伴いカスタマーサポートの人員などに充てるという


モバイル・アプリがポストPC時代のエンタープライズ・ソフトウェアの主役になる条件

編集部注: 本稿筆者のAaron Levieはクラウド・コンテンツ共有サービス、Boxの共同ファウンダー、CEO。Twitterは @levie

週明けに開催されるAppleのWWDCカンファレンスには何千ものデベロッパーが参加する。だが、彼らの会社のほとんどはAppleがiPhoneとAppStoreをオープンするまで存在していなかった。

ところがエンタープライズ向けアプリの市場はほぼ手付かずのままだ。なぜエンタープライズ版のAngry Birds〔に相当するキラー・〕アプリが出現しないのだろうか?

ポストPC時代のエンタープライズはPC時代から激変

70年代後半に始まったPC革命によって幕が開いたPC時代は2007年頃にポストPC時代に転換し始めた。しかし当面、エンタープライズのITは大きく変化しなかった。PC時代にはMicrosoftと大手ハードウェア・メーカーとOracle Siebel、PeopleSoft、Lotusなど少数の巨大ソフトウェア企業を頂点とする寡占的エコシステムが長い時間をかけて確立した。企業IT部門は混乱を嫌い、群小ソフト企業はこのエコシステムに居場所を見つけることができなかった。

他の大規模な変換と同様、PC時代からポストPC時代への変化も一直線に進むものではない。IT部門などバックオフィス業務の大部分は伝統的オフィス環境 で実行される。ところがフロントオフィスの業務が実行される場所はもはやオフィスではない。顧客先、実店舗、空港、飛行機、地下鉄、ホテルなどだ。

医師は診療に必要な画像をiPadのVueMeで確認する。営業担当者は出先から契約書や報告書を送信する。航空会社のパイロットもペーパーレス化する。セールス担当は出先でWebexを使う。 連邦裁判所の判事も訴訟文書をiPadで読む。分散チームはLuaで共同作業する。

エンタープライズ・アプリはiPadsに登場し始めてはいるが、レガシーベンダーの地位を脅かすところまで行っていない

Chris Dixonは「歴史が繰り返すものなら、タブレットにネーティブな生産性アプリがやがて開発されるはずだ」と主張する。しかし、この分野ではMicrosoft、Oracle、SAP、IBMその他のPC時代の主役たちの影は薄い。タブレット・アプリは検索してタップするだけでインストールされてしまう。PC時代のようなベンダーによる囲い込みは効果がなくなった。エンドユーザーはウェブ会議だろうとCADソフトだろうとCRMシステムだろうと、即座に手にすることができる。アプリはあくまでその価値、つまり機能、デザイン、使い勝手、価格などで判断されるようになった。企業向けライセンスで縛り付けておくパラダイムは過去のものだ。

昔だったらインフラの入れ替え、ソフトウェアのライセンス、メンテナンス契約、後方互換性などさまざまなハードルのために変化がエンタープライズ社会に及ぶ速度は遅かった。しかし今日では事情は違う。新プロダクトの採用のカーブは急速だ。Steven SinofskyがD11カンファレンスで述べたように、エンタープライズが求めるものは様変わりしている。

エンタープライズ・アプリ・エコシステムへようこそ

毎年エンタープライズ市場に投じられる金額は膨大だ。正確にいえば2970億ドルにもなる。しかしモバイル・アプリはその中でごくわずかなシェアしか占めていない。BYOD(個人のデバイス持込可)のポリシーが広まり、アメリカの企業社会では多様なデバイスが使われるようになった。しかしソフトウェアの購買パターンはまだ大きく変化していない。モバイル・アプリの市場は何百億ドルにもなっているが、そのほとんどは消費者向けであり、エンタープライズ向けではない。

ここではAngry BirdsやSupercellが年間何億ドルもの金を稼いでいる。コミュニケーションの分野ではWhatsApp、Lineといったスタートアップが破壊的イノベーションをもたらし、キャリヤから何十億ドルもの売上を奪い自らも相当の売上を達成している。

ところがエンタープライズ・アプリはiPadsに登場し始めてはいるが、レガシーベンダーの地位を脅かすところまで行っていない。なぜだろうか?

エンタープライズの場合、消費者向けアプリとは異なるメカニズムが働く。IT部門以外の社員は有料アプリを利用する権限がない。ポストPC時代に入って、スピード、効率、使い勝手の向上が劇的に進んでいるというのに、エンタープライズ・ソフトウェア調達の現場は何一つ変わっていない。

こうした状況を打破するには、デベロッパーがプロダクトを企業に採用させ、料金を得るプロセスを改善する必要がある。つまり現在エンタープライズ・ソフトウェアの導入にあたって必要とされているような煩雑な手続きを大幅に簡素化しなければならない。

消費者、一般ユーザー向け市場ではクチコミの効果が大きい。ユーザーは友だちの使っているアプリに興味を持つ。しかしエンタープライズ市場ではユーザーにアプリを発見してもらうために別のアプローチを取る必要がある。このためにはAndroidやiOSプラットフォームなどのプラットフォーム側がエンタープライズ向けに最適化したセクションを設けてくれることが望まれる。アプリ・デベロッパー側では高いレベルの保証やサポート、SLA(サービス・レベル契約)、堅牢なセキュリティーの提供によってエンタープライズの信頼を得るよう務めなければならない。

こうした条件が揃ったときには、エンタープライズ向けモバイル・アプリに真のポストPC時代にふさわしいイノベーションと市場拡大が爆発的に起こるだろう。.

幸いなことに、ポストPCの各種デバイスの普及は一段と加速している。タブレットが登場したのはわずか3年前だが、今や年間2億台も販売されている。それだけの数が売れるようになるまでパソコンは27年もかかった。モバイル・ソフトウェアの市場も同様のスピードで拡大している。2015年には仕事でモバイル・デバイスを利用する人口は13億人になると予想されている。エンタープライズ・モバイル・アプリのデベロッパーにとっては過去の例を見ない巨大市場が一挙に現れることになる。われわれの挑戦は今始まったばかりだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Amazonのクラウド・データベースRDSからベータが外れる―月間アップタイム99.95%を保証するSLAを提供

今日(米国時間6/6)、AmazonはRDS(リレーショナル・データベース・サービス)を公式に一般公開し、マルチアベイラビリティーゾーン配備の場合、月間99.95%のアップタイムを保証するSLA(サービス・レベル契約)の提供を開始した。

RDS自体はすでに3年半も稼働している。しかしAmazonは新機能を付け加え続け、またSLAも提供していなかったのでこれまで「一般公開」とは呼ばなかった。

Amazonが発表しているように、RDSはNASAのジェット推進研究所、ユニリーバ、Flipboard、Airbnbなど数千の企業で利用されており、すでに月間で何兆回ものI/Oリクエストが処理される規模になっている。

ユーザー企業やデベロッパーにとって重要なのはAmazonがRDSからベータ版を外したことではなく、SLAを提供し始めたことだ。月間99.95%のアップタイムjということは、Amazonが各インスタンスのダウンタイムを月間22分以下と想定していることを意味する。月間アップタイムが99.95%未満かつ99.0%以上だった場合は料金の10%、99%未満の場合は25%が割引される。ただしこのSLAがt適用されるのはマルチアベイラビリティ・ゾーン配備のみだ。この場合標準配備より料金は50%高くなる

RDSは現在Amazonが提供する4つのデータベース・サービスの中でMySQL、Oracle、SQL Serverをサポートするなどいちばん古典的なものだ。同時にこの分野ではGoogleが最近Cloud SQLアップデートするなどして競争力を増している。またMicrosoftもクラウド・データベースやビッグデータ・サービスの分野に参入を図っている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


既存のGoogle Mapsのアクセスではなく自由にカスタム地図を作れるMaps Engine APIがまず有料の企業ユーザに公開–将来は一般公開も

GoogleのMaps Engineは、主に企業が自分のデータに基づいて独自の地図を作るためのサービスで、二年前にローンチされ昨年から商用化された。今日(米国時間6/5)Googleはこのプラットホームの機能をなお一層増強すべく、Maps EngineのAPIを立ち上げた。これによりデベロッパは、独自データを使った独自の地図作りを、Maps Engineサービス上ではなく自己のアプリケーション内で行えるようになる。APIの提供に踏み切った理由をGoogleは、企業がアプリケーション内の地図作成提供機能としてGoogle Mapsよりも高度な、自己データに基づくものを要望しているからだ、と説明した。たとえば(静的なGoogle Mapsとは違って)、社員や顧客からのデータや情報を生かした地図の作成提供も可能になるのだ。

GoogleにはすでにMaps APIがあるじゃないか、と思われた方もおられると思うが、しかしMaps Engine APIのプロダクトマネージャDylan Lorimerによると、Maps APIでは主に、Google自身の地図コンテンツにアクセスできるだけである。それに対し、Maps Engine APIを使うと独自のデータを使ったカスタム地図を作れる(例: 上図)。なお、そのシステムにはGoogleの分散グローバルGPSデータベースSpannerが使われている。

このAPIはこれまで“実験段階”とされていたが、これを使うことにより、アプリケーションからの入力データ〜読み取りデータによって地図〜地図上の情報も変わる、という部分をデベロッパが容易にプログラミングできる。顧客のブランドのブランドイメージやニーズに即した地図も作れるし、またその地図をほかのデベロッパと共有することもできる。

たとえばFedExはこのAPIをしばらく試用していたが、今では同社の位置情報サービスstore locatorが完全にこれで動いている。 FedExのITマネージャPat Doyleによると、Maps Engineの利用に完全に切り換えたのは今年の1月からである。

テスターとしてのFedExからのフィードバックも、Maps Engine APIに反映されている。たとえば、指定した位置に関する結果(お店の所在など)をサーバサイドでソートするより容易な方法、などだ。このAPIを利用することによってFedExは、タッチインタフェイスの地図上の50000あまりの小売店の、営業時間のアップデートを、15分おきにできるようになった(営業時間だけでなく、一つのお店に約150項目のデータがある)。たとえば停電や天災などで急な閉店になっても、そのことがユーザにはすぐに分かるのだ。

Doyleによると、システムの信頼度は今のところ100%である。そして、アクセス分析データによると、store locatorを使ってお店を見つける人が、前よりも増えている。FedExの用例については、このビデオが参考になるだろう。

APIはまだ、Maps Engineサービスのごく一部の機能しかサポートしていない。ベーシックな場所クェリやベクタデータの操作などだ。近い将来、APIの拡張を行う、とGoogleのチームは言っている。またLorimerは、高価な企業向けのMaps Engineアカウントを持っていない一般のデベロッパでも、このようなAPIを利用できるようにしたい、これは自分個人の考えではなくGoogle自身の関心事だ、と力説した。この件に関しGoogleからの公式発表はまだないが、いずれある、と考えて間違いないだろう。


[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


無料の強力なHTML5開発ツール、Google Web Designerが近く登場―サイト、アプリ、広告が簡単に作成できる

Googleは広告クリーティブのプロ向けにGoogle Web Designerという無料のHTML5開発ツールを近くリリースすることを明らかにした。Googleによればこのサービスはここ数ヶ月以内にローンチされ、クリエーティブのプロが最新の対話的広告やウェブコンテンツ、さらにウェブサイト、ウェブアプリを開発することができるようにするという。

今朝(米国時間6/4)、GoogelはこのニュースをDoubleClick広告プラットフォームについてのブログ記事の中で発表した。われわれがGoogleに取材したところ、広報担当者は「Web Designerはスタンド・アローンのサービスで、ターゲットは事実、広告デザイナーやクリエーターだ」と確認した。

しかしもちろんこれだけはどんなサービスになるのか情報が少なすぎる。GoogleはこのツールはDoubleClick StudioAdMobに統合されるとしている。つまり広告業界をターゲットとしていることは間違いない。またネーティブ広告(オンラインのブランド広告やスポンサード記事)も視野に入れているのだろう。そうであればWebDesignerがDoubleClickの一部になるのは理にかなっている。Googleは私にこのツールは広告クリエーターがターゲットだと説明したが、機能は単なる広告制作よりはるかに強力そうだ。

現在Googleが提供するウェブサイト制作ツールはGoogle Sitesだけだ。このサービスではテンプレートから簡単にベーシックな機能のサイトが作れる。しかしこのサイトはここしばらく大きなアップデートを受けていない。Web Designerがさらに高機能の後継サービスとなるのかもしれない。アップデート念のために断っておくが、Web Designer自身の主目的はウェブサイトの制作ではない。しかしGoogleがこのツールの機能の一部を別のサービスでも利用する可能性は十分にある。

SquarespaceWeebly、WixのHTML5 website builderのようなライバルにWeb Designerがどんな影響を与えるか注目される。ウェブのネーティブ広告となると、New York Timeのドラマチックなマルチメディア記事、Snow Fallのレベルのフォーマットが要求されるだろう。Googleがライバルに対して優位に立つには広告クリエーターがこうしたフォーマットのページを簡単につくれるような能力が必要だ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google Appsの管理者用コンソールがやっとAndroidアプリとしても提供

Googleはこれまで継続的に、企業や教育機関や政府機関における大規模なGoogle Appsの利用*を管理するITのプロフェッショナル向けの強力なツールとして、Google Apps Admin Consoleを作ってきた。しかしそれらのアドミンたちが入手できないものの一つが、モバイルアプリとして提供されるAdmin Consoleないしそのサブセットだった。しかし今日(米国時間5/29)Googleは、その初めての公式のAndroidアプリをリリースし、アドミンたちが携帯電話やタブレットからでもGoogle Appsの管理業務ができるようにした。〔*: Google Apps for Business, for Education, for Government〕

そのGoogle Adminと呼ばれるアプリが行う仕事の大半は、ユーザアカウントの管理だ。アドミンはこのアプリを使って、新規ユーザを加える、パスワードをリセットする、グループを管理する、プロフィールの画像をアップロードする、ユーザをサスペンドする、などのタスクを行える。またユーザ管理のほかに、連絡先(コンタクト)のサポート、ドメインのセッティングの変化を見る、監査ログを見る、などの作業もできる。

今日の発表のほんの数週間前にGoogleは、Admin Consoleの完全な新装バージョンをローンチし、また2週間前にはデベロッパ向けにAdmin SDKの提供を開始した。後者によりデベロッパは、彼らの会社や顧客向けに独自のツールを制作提供できる。

このアプリを使い始めるのは相当簡単だが、ユーザ企業がGoogle Apps管理APIのアクセスを有効にすることを忘れてはならない。またGoogleは、Google Apps for Businessのユーザが自己ドメインのDevice Policiesを有効にすることを推奨している(必須ではない)。もう一つおぼえておくべきは、このアプリへのログインは“スーパーアドミニストレータ”にしかできないこと。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、巨大温室のようなバイオ・ドーム付き新本社の建設計画を発表―すぐ近所に立派な公園もあるんですけど

Amazonは未来的な本社ビルの建設計画を関係当局に提出したと報じられている。この計画では高層タワーに加えて半球形の温室のようなバイオドームが3棟併設される。このドーム内では多様な植物が育てられると同時に、公園のような環境で社員が働けるよう、オフィスおよび各種福利厚生施設が設けられる計画だという。

これがその計画案だ(最初に報じたのはGeekWire)。一般的に言って、たいへん洒落ていて未来的で、さらに流行に乗っている。

つまりAppleもだいぶ前になるが、宇宙船オフィスの計画を発表しているし、他の大手テクノロジー企業もオフィスに社員を引き止めておくために非常な努力を払っている。 最近もMarissa MayerがYahooの服務規程を改定してYahooの社員の在宅勤務を禁止して大きな話題になった。その後Yahooは昔ニューヨーク・タイムズの本社だったタイムズ・ビルに広いスペースを借りた。聞く所では、タイムズ・スクエアを見下ろすこのオフィスには、700人の社員を収容することができるという。

現在Google、Apple、Facebook、Amazonというテクノロジー企業のトップ社が期せずしてオフィス環境の整備に力を入れている。

Googleのオフィスはマウンテンビューの本社にせよ、ニューヨーク・オフィスにせよ、一流シェフが腕をふるう無料の食事が用意されるなどまずは最良の職場環境といってよいだろう。Appleはスティーブ・ジョブズの最後のビッグ・プロジェクトである空飛ぶ円盤のような新本社の建設に取り組んでいる。FacebookもGoogleと同様、チェス、ビデオゲーム、バスケット・コート、無料ランチなどの福利厚生をふんだんに提供している。

そういう次第で、第四の騎士たるAmazonも優秀な社員を引き止めておくためには何か手を打たねばならないと感じ始めたのだろう。誰にとってもよいことだ。社員は快適な環境で働くことができるし、雇用者は社員の能率が上がれば十分に投資の元が取れる。

とはいうものの、Amazonの場合、たった3ブロック先に完璧な公園があるのだが。

Here’s the full set of plans:

Amazon's new HQ design by John Cook

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


マルチデータベースシステムの構築・利用・管理をAPI経由で簡易化するOrchestrate.io, Bashoの協同ファウンダが立ち上げ

分散NoSQLデータベースRiakを提供するBashoの、協同ファウンダだったAntony Falcoが、300万ドルを調達してOrchestrate.ioを立ち上げた。このサイトは、ちょうどTwilioが、API経由でユーザシステムのVoIP〜テレフォニーまわりの構築と管理を簡易化してくれるように、やはりAPIの提供を通じて複雑なデータベースまわりの負担を軽減する。この投資ラウンドを仕切ったのはTrue Ventures、これにFrontline VenturesとResonant Venture Partnersが参加した。

Bashoを数か月前に去ったFalcoによると、Orchestrate.ioはデベロッパが機能の豊富なアプリケーションを構築するとき直面するさまざまな問題を解決する。‘機能の豊富なアプリケーション’には、おおむね、複数のデータベースがつきもので、それらが地理地域的、時系列的、あるいはそのほかの意味的に、多様な機能を担っている。

データベースの問題は慢性的に存在する。問題の原因が、関係データベースのスケーラビリティの限界であることも多い。ここ数年、AmazonやGoogleなどは従来システムの天井にぶつかり、大量のクェリに対応できる新しいデータベースを独自に開発せざるを得なくなった。その結果、アプリケーションの良好な稼働状態を維持するためのデータベースの管理やメンテナンスに、大量の時間を投ずることになった。

Orchestrate.ioの役割は、データベースレイヤの抽象化、いわばサービスに対するサービスだ。Twilioが、デベロッパによるSMSやVoIPなどのサービスへのアクセスを巧妙に単純化したように、Falcoのサービスはデベロッパがデータを同社のAPIから取り出すようにして、アプリケーションの機能の増強を容易化する。“説明のためにTwilioやSendgridの名前を持ち出すけど、問題の性質は違う。しかし提供するサービスのパターンが共通している”、と彼は言う。“多数のデータベースを動かすという複雑で面倒な業務の前面にうちのAPIを置く。デベロッパ/プログラマはそのAPIを使って迅速にアプリケーションを構築できる。TwilioやSendgridもそれと同じやり方で、データベースではなく通信〜ネットワーキングまわりの複雑性を大幅に単純化している”。

Orchestrate.ioは、提供するサービスをインメモリで動かす。“インデクスやホットデータをメモリに保存することは、パフォーマンスにとって必須だ”、とFalcoは言う。“3つの層がある: インメモリのアクティブデータとインデクス、永続性がありアクセス頻度の高くないディスクストレージ、そして安価で障害耐性のあるストレージに収める老朽不活性化データだ。メモリから取り出すデータが多ければ多いほど、パフォーマンスは良くなり、レイテンシは少なくなる。ユーザはそれぞれ別のデータベースを対象とする3つ4つのクェリからなる‘リッチなクェリ’を実行できるようになる”。

Orchestrate.ioはオープンソースのデータベースを使ってそのサービスを構築している。“うちはデータベースは作らない”、とFalcoは言う。“データベースそのものは今後も変化する。だから特定のデータベースには縛られないようにしている。Riak(Bashoのプロダクト)はもちろん、うちのようなユースケースには理想的だ。うちもサービスの基盤部分ではRiakを使っているが、それ以外では何も特定化していない”。

同社は、データとアプリケーション/ユーザとの間を最短距離にしたいので、複数のデータセンターを使うつもりでいる。それは各ユーザ企業に安定的な高パフォーマンスを提供するためにも、重要な視点だろう。サービス自体も、一点集中ではなく分散化するのだ。

たとえば、アプリケーションがAmazon Web ServicesのEastリージョンにインストールされていて、イギリスのロンドンに多数のユーザがいる場合。Orchestrateは複数のプロバイダにまたがる十分に大きな(分散)データセンターを使っているので、地球上のどこにいる大量ユーザにも対応できるだろう。

Falcoはデータベースの未来についてこう語る: データは金(きん)の鉱脈だが、そのアクセス方法が不適切なら原油の池にすぎない。データベースがデータにアクセスし、データを組織化して、クェリに対して可利用にする。しかし、その効率は良くない。デベロッパがたった一つのデータベースを扱う場合でも、そう言える。しかし、企業やシステムの機能の増加と共に、データベースの数も増える。そうすると、デベロッパの目の前にあるのは、Rube Goldbergのマシンだ。それでも、仕事は完璧と迅速を要求される。データセンターを猫たちの遊び場にするわけにはいかない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleが新料金、新ツールとともにCloud Platformを一般公開―いよいよAmzon AWSと激突へ

今日(米国時間5/15)、 Googleは開催中のGoogle I/Oカンファレンスで Google Cloud Platformを一般公開したと発表した。これでいよいよ従量制クラウド・コンピューティング市場でAmazon Web Services (AWS)と本格的に競争できる巨大プレイヤーが登場したことになる。

現在Cloud Platformはあらゆるデベロッパー、企業に対して公開ずみだ。さらにGoogleは料金、利用できるインスタンスの種類などに改定を行った。

  • 分単位課金 インスタンスに対する課金は10分を最低時間として1分単位で計算される。これによりデベロッパーは実際の利用時間分だけに支払いを行えばよく、無駄がなくなった。
  • 共有コアインスタンス 低速、小規模な処理のために小型のインスタンスが提供される。
  • 高度なルーティング デベロッパーがオンプレミスのネットワークとGoogleのクラウドを直結するゲートウェイとVPNサーバーを構築するのを助ける高度なルーティングが提供される。
  • 大型パーシステント・ディスク 1基10TBの大型ディスクを提供する。Googleは「業界標準の10倍の容量」と表現している。

Googleはまた非リレーショナルなデータのための新しいDBMS、PHPのランタイムも新たに提供する。

昨年Googleはデベロッパーが自分のアプリをGoogleのインフラ上のLINUXバーチャル・マシンで走らせることができるというクラウド・コンピューティングのベータテストを実施した。これに参加するには招待を受けるか、Googleの営業チーム経由で申し込んで承認される必要があった。

続いて今年4月から、Compute Engineの月額400ドルのゴールド・サポート・プランに加入しているユーザーは招待や承認を受けなくてもベータテストに参加できるようになった。

Googleはまたインスタンスの利用料金を4%下げた(ストレージ料金は昨年11月に20%下げている)。

今年、GoogleはCloud Platformの普及に本腰を入れる構えだ。Google I/OではCloud Platform関連が25セッションも用意されている。これよりセッションの数が多いのはChromeとAndroidだけだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleが無料ストレージを15GBに拡大―ドライブ、Gmail、Google+写真で容量を共通利用へ(Google Appユーザーは30GBに)

これまでユーザーはGoogleのストレージ容量を個別に管理しなければならなかった。今日(米国時間5/13)、Googleは「ユーザーはドライブ、Gmail、Google+写真で共通に15GBの無料ストレージ容量を利用できるようになる」と発表した

容量を有料で追加すれば、Gmailでも利用もできるのでGmailの25GBという容量上限は撤廃されたことになる。Google Appsの契約ユーザーはDriveとGmailを合わせて容量が30GBにアップした

これはGoogleがユーザーのすべてのデータを巨大なクラウド上に保持するChromebookという大胆なプロジェクトを推し進めていることの一環でもあるだろう。同時に、ストレージの統合により、オンラインのハードディスクともいうべきGoogleドライブの使い勝手と知名度を向上させる狙いもある。ユーザーにメールも“Googleドライブに格納されていることを知らせようというわけだ。

次のスクリーンショットは、すぐに公開される予定の新しいストレージ容量のダッシュボードだ。

こちらは現在のダッシュボードで、新ダッシュボードの200GBプランは表示されていない。逆に現行のGmailの25GBボーナス・プランは新ダッシュボードからは消えている。

新しい無料ストレージ・プランはAndroidユーザーにも適用される。すべてのサービスを通じて単一のストレージ容量が適用されるというのはある意味でAppleのiCloudの方式に似ている。またこの容量増加はGoogle+に写真をアップロードするのを助けるだろう。プロやハイ・アマチュアの写真家の場合、ファイルサイズが大きく高精細度の写真を安心してアップロードできるようになる。現在の容量では数百枚の写真で容量を使い果たすことになりかねない。メールの容量はさほど使っていないが、写真は大量にアップするユーザーにとってはストレージの共通化はありがたい。

ビジネスとして考えると、月額9.99ドルの200GBの契約にユーザーを勧誘するところにGoogleの狙いがある。一般ユーザーがオンラインに200GBものファイルをアップロードすることはほとんどないはずだが、容量を気にせずにすむという気楽さが10ドルで買えるなら安いと考えるユーザーも多いことだろう。Googleはさまざまなサービスの統合を進めているので、オンライン記憶容量の重要性は今後ますます大きくなる。また多くのユーザーを抱える大企業のGoogle App管理者にとってもメンバーの利用できる記憶容量の拡大はありがたい話だ。

[写真:Flickr]

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


MicrosoftがNook Mediaを10億ドルで買収検討との内部資料を入手―Nookは来年Androidから他のプラットフォームへ移行か?

われわれはMicrosoftがNook Media LLCのデジタル部門を10億ドルで買収することを検討しているとの内部文書を入手した。Nook Mediaは一般電子書籍と大学向け電子教科書を販売するためにアメリカの大手書店、Barnes & NobleがMicrosoft及び他の投資家とともに設立したジョイント・ベンチャーだ。

Microsoftが買収を検討しているNook Mediaのデジタル事業部には大学向け電子教科書部門、一般電子書籍部門、Nook eリーダーとタブレット部門などが含まれる。

またこの文書には、2014年末までにNook MediaがAndroidタブレット事業を閉鎖し、Nookのデジタル・コンテンツをサードパーティーのデバイスで配信する計画が含まれている。

Nookがeリーダー事業から撤退するという情報はこの2月に浮上した。問題の文書はこのサードパーティーのタブレットがMicrosoftのWindows 8デバイスになるかどうかを明らかにしていない。ただしサードパーティーのタブレットは2014年内に発表されるとしている。

ただし現行のNook e-リーダーはある時点で完全に終了するというわけではないようだ。むしろ、ユーザーが電子書籍を一般のタブレットのような多目的デバイスで読むようになるにつれれて、自然に役割を終えて消えていくというシナリオが描かれている。

MicrosoftとB&Nはこの件に関してコメントを避けた。

Nook Mediaのデジタル事業部を買収するというのはMicrosoftに取って自然な成り行きだ。MicrosoftがNookのデバイスとコンテンツに関連してBarnes & Nobleと提携することを発表したのは2012年4月だった。このときMicrosoftは3億ドルをNook Mediaに投じている。またMicrosoftはNookのWindows 8デバイスの開発の費用の前払い金としてさらに1億8000万ドルを支払う(現在開発が進行している)。

現在Nookデバイスはeリーダーとタブレット合計で1000万台が販売されており、700万人以上のアクティブ・ユーザーがいる。MicrosoftはこれまでWindows 8ベースのデバイスにあまり大きな関心を示してこなかった(ただし1億以上のライセンスを販売したとしている)。現在NookアプリはAndroid、iOS、Windowsを含むすべての主要OS版が提供されている。

Nook Mediaは Barns & Nobleの書店チェーン部門から昨年10月に分離・独立した。この際、Microsoftは16.8%の株式持分と引き換えに3億ドルを出資した。この提携は、当時誕生したばかりのWindows 8タブレットにB&Nの電子書籍コンテンツを確保することが目的だった。当時、Nook Mediaのデジタル・プロダクト責任者だったJamie Iannoneは、「ハード、ソフト、コンテンツ、Nookに関するすべてをNook Mediaが担当する。もちろん、NookビジネスはBarnes & Nobleとの長期的な協力のもとに行われる」と述べた。

しかしNookビジネスの不振は戦略の見直しを強いることになったようだ。Barnes & Nobleのファウンダーで大株主でもある、Leonard Riggioは書店チェーンの株の買い戻しを提案したことがある。

TechCrunchが入手した文書はB&Nの会社評価額を16億6000万ドルと見積もっている。Nook Mediaの創立時点では、Nook Media単独で17億ドル近くの評価額だった。Pearsonが1月に8500万ドルで5%の株式を取得した際の評価額は18億ドルだった。Microsoftの10億ドルの評価額はこれよりだいぶ下がっていることになる。

われわれが入手した文書は、情報を公的な提出書類と経営陣との面談によっているが、Nook事業部は会計年度の2012年度(毎年5月1から4月30日まで)は12億1500万ドルの売上高に対して2億6200万ドルの損失(EBITDAベース)を計上している。2013年には売上が10億9100万ドルに減少、損失は3億6000万ドルに増加すると予測されている。その後、タブレット事業の閉鎖し、売上の回復によって2017年度には、19億7600万ドルの売上に対してEBITDAベースの利益が3億6200万ドルになると予測されている。

しかしNook事業は昨年のクリスマス商戦の不振により打撃を受けている。新製品は値崩れが数週間も続き、フラグシップの10インチ Nook HD+は当初の269ドルから179まで値下げされた。 KindleはFire HDを同価格で販売している。Nookのハードはいろいろな面でKindleをしのいでいるが、売上でも市場シェアでもAmazonの製品に及んでいない。MicrosoftがNook事業を傘下に収めることになれば専用eリーダーをめぐるB&Nとジェフ・ベゾス率いるAmazonとの対決はついに終了することになるだろう。

この記事の執筆にはJohn Biggsが協力した。.

アップデート:Publishers’ Lunchは今回の会社評価額には、大学教科書部門のMicrosoftの株式持分やMicrosoftによる追加投資があった場合の影響など、さらに考慮すべき要素があるかもしれないと論じている

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


グッドバイ、Creative Suite―Adobe、定期課金によるクラウド・モデルに全面移行、CS6は当面販売を続けるものの新規開発は中止

Adobeはソフトウェアの将来は定期課金ベースのネットワーク配信にあると信じ、それに社運を賭けるつもりのようだ。今日(米国時間5/6)、ロサンゼルスで開催されたAdobe のMaxカンファレンスで同社はすべてのリソースをCreative Cloudの開発に振り向けることを発表した。

AdobeがCreative Cloudをスタートさせたのはほぼ1年前だ。 先週、AdobeのCreative cloudの責任者Scott Morrisは私の取材に答えて「Creative Cloudはやがてわれわれの各種ツールにアクセスする唯一の方法になるだろう」と語った。Adobeは当面CS6の販売を続けるが、それがいつまで続くかは明らかでない。新しいCreative Cloudは6月17日に公開される。

Maxカンファレンスの参加者の大部分はここでCS7が発表されるものと思っていたはずだ。ところが意外にもCreative Suiteのブランド名は消えていくことが判明した。新しいCreative Cloudには今までのようなバージョン番号は付かない。これにともなって当然ながらAdobeのビジネスモデルも一変する。箱入りのソフトウェアやダウンロードのライセンスを売ることはなくなり、完全に定期課金モデルが取って代わる。

昨年のローンチ以来、Creative Cloudは50万の有料ユーザーと200万の無料ユーザーを集めている。AdobeのDavid Wadhwaniが今日の基調講演でCreativeCoudこそ正しい方向だと確信していると述べた。

Scott Morrisが私に語ったところでは、AdobeはCreative Cloudが意外なほどの好評だったことから、Photoshop、Dreamweaver、PremiereProなどアプリを個別に開発、販売することを止めてネット上のCreative Cloudに一本化し連続的なアップデートを行い、ビジネスもCreative Cloudに一本化することを決断したのだという。

Morrisは「いくつものバージョンを管理するのはきわめてわずらわしい。Creative Cloudへの統合でAdobeの開発チームの負担は大幅に軽減される。この変革でイノベーションが加速され、新機能をいち早くユーザーに届けられるようになる」と語った。

Adobeでは今後Creative Suiteの新バージョンを開発する予定はない。ただしCS6のアプリ全種類をOS XとWindowsの今後のアップデートに対応させることを約束している。またバグ修正やセキュリティ・パッチの提供は今後とも続ける。ただし新機能の追加は一切行われない。

Morrisは私の取材に対して、この方針転換がかなりの冒険であることを認めた。「多くのユーザーはこういう転換が起こるとしても数年後のことだと考えていただろう。しかしそれが今日だったことはショックだったかもしれない。しかしわれわれがこの決断をしたのはCreative Cloudの登録ユーザーのほとんど全員が気に入ってくれていることを発見したからだ。AdobeのオンラインストアでCreative Cloudの満足度はPhotoshopより高い。これは前代未聞だ」とMorrisは言う。

一方、Morrisは一部のユーザーはCreative Cloudに乗り換えることができないという点を認め、「政府機関や学校、一部の大企業はクラウド版の一部の機能、Behanceコミュニティーでのコンテンツ共有やクラウド・ストレージ機能などを好まない(あるいは利用を許されない)だろう。そこでAdobeはこうしたユーザーのためにCreative Cloudの特別ライセンス版を用意している。 ソフトウェアをオンライン配信する点は同じだが、ユーザーの好まないクラウド機能を削除してある」と説明した。

定期課金制への転換を容易にするため、AdobeはCS3以降のCSライセンスの保有者に対してCreative Cloudを月額29.95ドルの特別料金で提供する(期間限定)。また同様の割引をPhotoshopなどの単体ソフトの購入者に対しても適用するという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Andreessen HorowitzのChris Dixon、 「3Dプリンティングは新たな産業革命を起こす。スタートアップはソーシャル疲れ」

起業家からエンジェル投資家に転じ、現在は有力ベンチャーキャピタル、Andreessen Horowitzのゼネラル・パートナーを務めるChris DixonがTechCruch Disruptに登壇し、3Dプリントが新たな産業革命を起こす可能性と述べた。Dixonは将来この分野に多数の投資を計画しているという。一方、ソーシャルネットワーク分野のスタートアップについては「ソーシャル疲れがみられる」と懸念を示した。

4月に入って3Dプリンティング会社のShapewaysのシリーズCラウンドにChris DixonはAndreessen Horowitの資金3000万ドルを投じている。Dixonはこれを機に同社の取締役に就任した。

Dixonは「Shapewaysはハードウェア製造業には未開拓のチャンスが数多くあるということのよい例だ。3Dについてはいろいろ語られているが、伝統的なベンチャーキャピタルからの投資はまだ非常に少ない」として次のように述べた。

われわれは3Dプリンティングを信じがたいほど画期的でもっとも重要なイノベーションの一つと考える。これは製造業を一変させるだろう。われわれは近く複数の投資をする。実際、小規模なハードウェア・メーカーがKickstarterのようなプラットフォームに多数のプロジェクトを登録している。これは資金を集めると同時に一般ユーザーに3Dプリント・テクノロジーを周知させ、関心を惹きつけるという狙いもある。ここでユーザーによって選別を受け、成功したスタートアップはやげて大規模なベンチャー投資のルートに乗ってくるだろう。

ニューヨークはハードウェア・スタートアップのハブになりつつある。新しいスタートアップにとって有利な環境であり、新たな投資が呼び込まれるだろう。私はニューヨークはハードウェア・ルネッサンスのセンターになると言っている。賢明なエンジニアはこれまでソーシャル・ネットワーク開発に力を入れてきたが、今はハードウェア・デバイスの開発に重点を移しつつある。”

ソーシャル・ネットワークは全般的に疲れがみえる。人々は直接手で触れることができるような新しい経験を求めている。

この背後には、スマートフォン系のデバイスが大量に市場に出回ったことがある。これによって多くの電子部品の価格が下がり、デバイスの製造コストを大幅に減少させた。これがハードウェア産業全体に影響を与え、ひいてはウェアラブル・コンピュータの出現につながっている。

Dixonは電子部品のようなローエンドの革命がShapewaysが提供するようなハイエンドのイノベーションを生み出していると 説明した。また、インターネットが「出版」に対して与えたたような変革を3Dプリントなどのハードウェアの発達が製造業に対してもたらすだろうと予測した。

インターネット以前には、著者は出版社と交渉して契約し、出版社の投資によって本を出版していた。ブログや電子書籍が普及した現在、個人でも十分負担可能なまでに出版のコストは激減し、出版を民主化した。3Dプリンティングもハードウェア製造に同じような影響を与えるだろう。これまでは新製品を市場に出すためにはOEMメーカーと契約するなど大きな投資を必要としたが、今後はShapewaysのような産業用3Dプリント・サービスがコストと製造ロットの規模を劇的に減少させる。

今やハードウェア・スタートアップにとってニューヨークはソフトウェア・スタートアップにとってのサンフランシスコのような存在になってきた。ここには大勢のすばらしい投資家がおり、起業家も集まってくる。ニューヨークに欠けているのはスタートアップを大企業にまで育てる中間的レイヤーだ。スタートアップが良い製品を開発し、したとする。人員を100人くらいに増やし、国際展開したり、営業部門を拡張したりしようとしたとき、サンフランシスコならGoogleその他の投資家を頼ることができる。ニューヨークにもそういう環境が必要だ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


LinkedInは新機能を多数追加して変身中―プロフィールに写真、ビデオ、パワポが追加可能に

今日(米国時間5/1)、LinkedInはまたアップデートを行ったことを発表した。これはLinkedinが最近実施中の大幅な改良の一環で、ユーザーの滞在時間を延長するためにさまざまな新機能が追加されている。

今回のアップデートはプロフィール・ページが中心で、ユーザーは履歴に加えて写真、ビデオ、パワーポイントのプレゼンを追加し、他のユーザーからのコメントも受け付けることができるようになった。

アップデートは今日から全ユーザーに順次公開される。

またLinkedinはさらなるソーシャル化を進めている。広報担当者によれば、近くユーザーはリンクを送って自分のプロフィールを見てもらったり、プロフィールの一部、履歴やプレゼンを共有することもできるようになるという。

これまでLinkedinのプロフィール・ページはユーザーの職業、専門が何であろうとまったく同じフォーマットで表示されていた。今回のアップデートで、ユーザーが建築家であれば設計した建物のダイナミックな写真を掲載できるし、テクノロジーの専門家であれば、最近の業績へのリンクやプレゼンのスライドを含めることができる。プロのためにネットワークといってもプロにはそれぞれ異なる専門分野があるのだからこれは非常に役に立つ改良だ。

またこれによってLinkedInは企業ページを掲載するという新しい分野に参入できる。つまりAbout.meFlavors.meGetHiredGrouptalentHireArtBraveNewTalentResumUpなどの有力なライバルとなるかもしれない。

最近の一連のLinkedinのアップデートには、ContactsiPhoneとAndroidアプリ検索エンジンなどの改良、ステータス投稿での@mentionのサポートKlout風の推薦採用担当者向けページのリニューアルなどがある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+