SEO&アフィリエイトの参入障壁

GoogleのSEO取締り強化によるSEO難易度アップで、以前に比べSEOビジネスに参入する人も少なくなっている最近ですが、外部リンク支援はともかくコンサルティング、インハウスSEO支援等、SEO関連のサービスニーズはまだまだ存在します。今回は特にSEOを活用したアフィリエイトビジネスに関する参入障壁の問題についてトップマーケッターのロス・ハッジスが考えた記事を。 — SEO Japan

通常のビジネスの世界では、参入する際の障壁が実在し、定着している – 実際の店舗を設ける小売業界では、特に参入の壁は高く、これが、貧しい状況を抜け出し、潤沢な企業を目指すことが難しかった原因の一つであった – サプライチェーンにおいて効率を確保するには、長く、大変なプロセスを経る必要があり、また、大きな店舗を建てるため、利益が出るまでに時間がかかった。そんな中、インターネットのデータが新たな富裕層を生み出す一方で、小売および店舗の壁は崩れ始めていった – そして、新しい、崩れかけた参入の壁を活用した人達が、複雑で、かつては非常に競争の厳しかったマーケットに参入し始めたのだ。

アフィリエイトビジネスで成功sた経験があり、ある程度、ウェブサイトをデザインする力があるなら、ふさわしいかどうかは別にして、SEO業界に加わることは出来る。「基本的なアフィリエイト」が競争の激しい業界に風穴を開け、先見の明のある起業家に多額の収益をもたらし、その一方で、動きの遅い物理的な建物を持つ企業は徐々に衰えていった。

時が流れ、アルゴリズムが改善されると、このような安易なアフィリエイトの多くは、効率が悪いため、撤退するか、あるいは、落ちぶれていくかのいずれかの道を辿った – 理由は、利鞘が少ないためマーケティングの予算の多いビジネスには歯が立たない、もしくは、事業開発プロセスが怠惰な、効率が悪いため、コンバートしたビジターの収益が少ないのいずれかであった。

さらに、多くの採算性の高いキーワードのニッチが薄れ、容易に上位にランクインすることが可能であった完全一致のドメインが、ドメイン名の売買業者、あるいは企業の防衛策によって次々に登録され、さらに、SEOの需要および認識が高まるにつれ、ドメインの単価が上がっていった。

その結果、優れたアフィリエイトやSEO業者がマーケットへの参入を断念するようになった。その理由は、A) 手頃な価格の、取得可能な完全一致のドメイン(EMD)が少ないため B) アルゴリズムにより参入が阻まれるため C) ニッチで競争に勝つために必要な純粋なSEOのオーソリティがレベルアップしているためである(この記事の意図において最も重要なのはCの理由)。

参入の壁として存在するリンク構築

インターネットは、確かに優れた企業に対しては、マーケットに「挑戦」しやすい環境を作り出しているものの、時間、そして、確立されたマーケットの状態を考慮すると、 – 少なくとも競争する力を持つかどうかを判断することが出来る優秀なアフィリエイトにとっては – 維持可能なアプローチで参入し、競争する上での難易度は明らかに高まりつつある。

大半のSEOは、キーワード難易度ツール等のツールを使ってキーワードを入力し、すぐに当該の分野で戦うことが出来るかどうかを調べる。「競争の激しさ」の評価は、センスと適性がそれぞれ異なるため、SEOによって異なる。一般的に、SEOは次のような状況を考慮し、評価を行う:

  • 完全一致のドメインが、キーワードの上位を独占している
  • SERPに定着した、知名度のあるブランドのリスティングが複数掲載されている
  • ページオーソリティの高いURLが上位の大半を占めている
  • 上位が.govやその他の圧倒的に強い競合者によって埋められている
  • 高度に最適化されているページが、上位のランキングを独占している
  • 著名なニュースサイト(CNN、フォーブズ等)、教育機関のサイト(.edu)、政府のリソース(.gov等)の「取得不可能」と思われる被リンクを数多く持つプロフィール
  • ローカルの結果ページが、全国的なページ、または、地域が指定されていないページのビジビリティを大幅に制限する

リード生成分野のアフィリエイトや企業にとっては、競合性リサーチは絶対に必要な取り組みであり、このような「検査」によって、長期的に実施するビジネス – つまりROIを高めるランキングの追求および維持 – の開始または中止が決まる。

そのため、この業界で勝負する人達は、長期的に利益をもたらす1位のランキングを1つ(または複数)維持するだけでなく、新たな競合者の登場を食い止めるべく、出来るだけ多くの参入の壁を作らなければならなくなる。

PPCは短期的なコンセプトである – すぐにトラフィックを集め、ROIを計測する。SEOは長期的な視点で行われるものの、経済の原理に基づいて緻密に構成されているわけではない。そのため、1位を獲得し、焦点を変える必要がある。SEOは、このような「参入の壁」の基礎をベースにしている場合、1位を獲得するだけでなく、今後10年あるいは20年間に渡って上位を独占することが可能になる

マーケットの寡占を巡る戦い

競合者の参入を確実に防ぐ方法はない。しかし、先見の明のあるSEO業者が、競争を激化させないために当該のマーケットの状況を整えることは可能である。

1. 完全一致ドメインを防御策として購入する – 多くの「ブランド」は防衛策として魅力的な完全一致のドメインを取得する取り組みを実施している。コストは嵩むが、競合者から実質的なアドバンテージを奪うことで、ランキングを長期間に渡って固定させ、また、参入を試みる競合者の存在をハッキリさせて、注意する必要があるレベルに達した際に調整することが出来るようになる。さらに、多くに会社は十分な武器(完全一致ドメイン)を携えて参入することが出来なくなるため、参入を思い留まらせる効果も見込める。

2. 参入する競合者のドメインを推測する優れたアフィリエイトプログラム - リード生成の分野では、事業開発を行って、利鞘を増やしたり、独自のテクノロジーを入手する前に、すぐにプログラムを収益化することが、最善のアフィリエイトの戦略だと見なされている。 当該の分野で最も優れたアフィリエイトプログラムを確立することで、所謂「氷山の観測所」を用意し、競合するドメインの侵入やリードの量等を容易に観察し、必要に応じて調整することが可能になる。同じように、当該の分野で唯一アフィリエイトプログラムを運営しているものの、既存の利益を蝕まれる可能性があるなら(あるいは2次的な機会を見つけられてしまう可能性があるなら)、長期的な競合者を完全に封鎖する方針が望まれる。

3. バーティカルの競争を誇張する – 多くのキーワードは、競争する/勝つために、40-50のドメインオーソリティ(DA)があれば十分である。しかし、障壁を偽造する、そして、不要な障壁を作る効果があるため、必要な資金に対して、以前は損益ゼロ、または、若干利鞘が少ないロングテールのキーワードを追求する価値はあると言える。二次的なキーワードをつり上げ、ドメインのメトリクスを誇張することで、競合者候補に競争を思い留まらせる状況が生まれる可能性がある。

4. 被リンクプロフィールにゲーム理論を利用する – 多くのバーティカルでは、競争するためには「あるタイプのリンク」が必要だと言う条件が存在するように見える。多くのサイトが、共有、いいね!、リンクを推奨しているが – 現実は必ずしもそうとは限らない。また、この条件付けは、ゲーム理論および「集団思考」の類の効率をベースとしており、マーケットは同分野のプレイヤーのリンク構築の取り組みを真似して、スタイルおよび適性において、任意のリンク構築プロフィールが生まれる。これは、大半のバーティカルに「特定の厄介者」が欠けている理由の一つであり、大半のプレイヤーが、スタイルまたは類似点において、厄介者以上に厄介か、あるいは、「うまくいく取り組み」に関して、同じような効果を得ているかのいずれかである。これは、共通点を確立する集団の考えにおけるゲーム理論にも当てはまる – つまり、「自分のリンクプロフィールがブラックハットなら、競合者もブラックハットなリンクプロフィールを持っているため、全滅する。そのため、結局誰もお咎めを受けずに済むはずだ」と言う考えである。

場合によっては、必要以上に多くの時間をハイレベルなドメインオーソリティのリンクの構築/促進にかけて、弱点を“隠す”ことで、競合者に偽りの印象を与える行為は、プロフィールの本来の「清潔度」を惑わせる効果があるなら、実施する価値はある。だからこそ私は以前有料リンクを買うことが出来るように良質なコンテンツを構築するべきだと主張したのだ – 「強靭なリンクPR班」が、競合者を退け、さらには、10%の良質な外観をはがして、90%の悪質な中身を暴く取り組みには執着しない、サイトを評価するエンジニアも欺くことが出来る。

5. 複数のドメインでSERPをコントロール – 共通の取り組みを行うものの、ブランドに関してお互いの存在を明かさないタイプの“無印”のドメインが有効に働くことがある。 こうすることで、1つのキーワードを独占し、さらに検索の意図に関する有益なデータ(複数のリスティングを閲覧するユーザーのデータ)を得られる。

また、競争上の絞り込みが行われると言う考えも説得力がある – ある会社が価値の高いキーワードに対して、1位と2位、または3位をコントロールしている場合、4位または5位のサイトがランクを押し上げるために費やす資金は、やがて底をつく。

その結果、やがて会社や事業は資金繰りに困る、または、諦めて、リンク構築を中止する現象が起きる。これは理想的なマーケットの状況であり、是非とも実現するべきである。また、この状況は先程申し上げた「参入の壁」のコンセプトとも一致する。参入を完全に阻止するほど理想的ではないものの、独占的なSEOの取り組みによって、競合者が3位や4位で“満足”するなら、高く評価することが出来る。これはランキングの動きがなく、収益に納得が出来ない場合に起きることが多い。特に1位または2位を狙う長期的且つ大変な努力が必要される状況で、よく発生する – なぜなら、ご存知のように、利益の大半は1位から得られるからだ。

SEOのマーケットの状況を利用する

SEO業者としての強みの一つは、単純にSEOを心得ているだけでなく、業界の仕組みを理解している点である。ウェブには無数のサイトが存在する – しかし、インハウスのSEO担当者、または、SEOに予算が割り当てることが出来るサイトは多くはない。そのため、多くのサイトはエージェンシーやコンサルタントを活用し、リンク構築を代わりに実施させている。このプロセスを介して、相当数のサイトが停滞するか、または、勢いを失う。その結果、ROIに期待していた企業はストレスを抱えることになる。すると、SEO業者を「悪徳業者」扱いする会社、そして、単純に継続的に投資するには成果が不十分だと判断する会社も現れる。

「怪しげなサービス」を提供するSEOサービスは稀であり – 契約の打ち切りで得をする業者は存在しない。大抵の場合、SEOサービスのプロバイダーがマーケットの状態をただ単に勘違いしたか、もしくは、変化を起こすことに失敗し、クライアントの期待に応えられなかっただけである。また、全て競合者が猛スピードでリンク構築を行うバーティカルに足を踏み入れている可能性もある – つまり上位へのランキングが非常に困難であり、思うように成果が上がらないだけなのかもしれない。その結果、サービスを購入するかどうかを決定する人物は、最終的に「停止と再開」を繰り返すことになる – 要するに、短期間でリンク構築を諦め、その他のコンサルタントに依頼するか、もしくは、SEOを社内で雇うルートを辿る。この非活動的な期間が、SEO業者およびクライアントにとって、最大の価値をもたらすのだ。

つまり、理論的には、SEOの地位だけでなく、上位の地位も固めて、基礎を確立し、付け入るすきを与えない状況を作り出すことが出来る。 「簡単に得られるメリット」、そして、マーケットの活力を取り除くことがSEOの目的である。この活力こそが、企業に自信を与え、予算を投じる決断を下させるのだ。投入される予算が増えると、ランキングが下がらないとしても、資金を失うことになる。収益からコストを差し引いた残りが「利益」となり、収益を維持するために、リンク構築を続けることでコストが膨らむなら、利益は減ってしまう。

1位を獲得して、利益を得ることが目的なのではない。目的は、競合者との競争を止めて、以前の状況を出来るだけ長く存続させることである。

1位を越えて

この記事のテーマを考慮し、最後に時間の経過とともにSEOの見返りを増やし、倍増させる理想的なシナリオを、フローチャートとして説明する。このフローチャートの最後に、理想的なマーケットの状況が導かれるだろう。

大半のマーケットのキーワードでランク #1を得る

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重要なキーワードで1位を獲得し & 競争の激しいキーワードで1位を狙う取り組みを止める

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重要なキーワードで1位を獲得し、競争の激しいキーワードで1位を狙う取り組みを止めて & マーケットへの参入を遅らせる

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重要なキーワードで1位を獲得し、競争の激しいキーワードで1位を狙う取り組みを止めて & マーケットへの参入を止めさせる

完璧にこのフローチャートを実現するのは不可能に近い – 強力で莫大な資金を持つ企業、そして、バーティカルを不適切に評価する企業は、私達がどんなに努力しても参入してくる。また、グーグルによって、検索可能な製品に対するマーケットの独占がほぼ不可能な環境が作り出されている。しかし、競合者に対するポジティブなマーケットの地位を損なう取り組みに十分に資金を投じることで、健康的で採算性の高いトップの地位を出来るだけ長く維持し – より魅力的な取り組みに焦点を絞ることが出来るようになるだろう。


この記事は、Ross Hudgensに掲載された「SEO As A Barrier To Entry」を翻訳した内容です。

SEOというよりは、SEOを武器にアフィリエイトやサイト運営をしている人に色々実感&共感することの多い記事だったのではないでしょうか。ドメイン関連の話が多かったのは英語圏ならではですが、アイデアとしてはヒントになる点が多い内容だったと思います。 — SEO Japan [G+]

Google、Appleに競り勝って自然言語処理のスタートアップ、Waviiを3000万ドル以上で買収

Googleはシアトルに本拠を置く自然言語処理のスタートアップ、Waviiを3000万ドル以上の金額(信頼出来る情報源による)で買収した。

WaviiはAppleも買収を試みていたがGoogleが勝った。WaviiはSiri用の自然言語処理による記事要約機能を開発している。ファウンダーのAdrian Aounを始めとする25人のWaviiチームはシアトルを去ってGoogleの Knowledge Graph事業部に参加する。

両社が買収交渉を行なっていることはすでにBusiness Insiderで報じられていた。AppleとGoogleの競り合いに決着がつきこのほど正式調印に至ったものという。今回の買収に先立ってYahooも3000万ドルで自然言語処理による記事要約テクノロジーのSummlyを買収している。

Siri向けに開発を行なっていることを考えると、WaviiはSiriより賢いという評判のGoogle Nowに適合しそうだ。Google Nowはユーザーの置かれた状況に応じて重要な情報を選択する。しかしWaviiのセマンティック知識検索はGoogleが最近右サイドバーに表示するようなったナレッジの情報の精度をさらに改善するだろう。さらにWaviiの自然言語処理による曖昧さ解消テクノロジーはニュースやGlassなどさまざまなGoogleのプラットフォームに応用できる。

買収の時点でWaviiが調達していたシード資金は200万ドルで、Max LevchinCrunchFundSV AngelFelicis VenturesMitch KaporFritz LanmanMax VentillaShawn FanningRick MariniDave Morinが投資している。

われわれはGoogleとWaviiにコメントを求めている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


モバイルECプラットフォームのOrigamiが5億円を調達し、本日ローンチ

origami

モバイルに限定したECプラットフォームOrigamiが本日ローンチと同時にKDDI Open Innovation Fund、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムから5億円の資金を調達したことを発表した。このスタートアップは業界で度々話題になっていたものの、その事業内容はECであること以外一切明かされてこなかった。読者の中にも気になっている方は多かっただろう。

Origamiは従来のECとは違い、ブランドと消費者、実店舗とオンラインを繋ぐプラットフォームだ。機能的にはTwitterやPinterestをイメージするとよい。プラットフォーム上にはBEAMS、A BATHING APE®、森美術館といった有名ブランドがすでにアカウントを開設しており、これらのアカウントをフォローすることで、商品の写真がフィードに流れてくる。商品の写真はそれぞれタップすると、そのまま購入できる。

店舗から発信される情報だけでなく、ユーザーのアクションにも工夫をしている。ユーザーが店舗で商品の写真を撮りOrigami上にアップロードする。その時に店舗情報を入力すると、ユーザーがアップロードした写真自体が広告となる。フォローしているユーザーがアップロードした写真がホーム画面に流れてくるのだが、写真は店舗のアカウントに紐付いている。TwitterやFacebookと違い、商品の写真は全て店舗と紐づいているため、その写真から店舗のページへ飛び、すぐに商品を購入できる。

この他、アプリ内にGQ JAPAN、VOGUE JAPANなどから雑誌風のコンテンツも提供されており、ここに掲載されている商品写真からもすぐに購入できる仕様となっている。

Origamiはこのようなプラットフォームを提供することで実店舗とオンラインをマッチングさせたいそうだ。

Origami代表取締役CEOの康井義貴氏によると、実店舗に投資しているブランドは多いのに、その店舗を活かせていないという。というのも、アパレルの場合、実店舗で試着をしたり色合いをチェックした後にネットで店舗よりも安く売っているショップを見つけてそこで購入する客は多い。これでは店舗は単なるショールームになってしまう。

さらには店舗で商品の写真を撮ってソーシャルメディア上にアップロードしてくれる客が居てもデータが取れていなかったり、ブランド好きでもHPを何回も訪れる客は居ない。といった問題がある。これらの問題をOrigamiが解決していきたいと康井氏はいう。

なお、今回KDDI Innovation Fundから資金を調達したと同時にKDDIと業務提携を開始しており、auのユーザーはauIDを使用し商品の送付先情報などの入力を簡素化でき、今後はauの決済機能も提供予定だ。


Facebookが1000億円ビジネスに成長することを私が疑った理由と、その過ちから学んだこと

先日紹介したアンドリュー・チェンの「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めてが人気を博して、してやったりの私です。今回はその記事で取り上げられていたアンドリューがそれ以前に書いたFacebookに関する彼の成長予測をそれを外した理由、そしてそこから学んだことについて書き記した記事を。一流な人であればある程、自身の間違いを素直に認め、そこから何かを学び次に進むと思いますが、その辺含めて諸々参考になること多い記事です。 — SEO Japan

2006年初頭のFacebook

時々あなたは、偏見にとらわれないことを自分に思い出せるために、ひどく、呆れるほどに、間違える必要がある。これは、私がFacebookの可能性を理解しなかったという話だ。

2006年、私は、ソーシャルネットワーキングデータを使用したターゲッティング広告を数多く試みる新しいアド・ネットワークビジネスに取り組んでいた。それは今では“リターゲッティング”として知られている。このアイディアは、あなたの関心に応じた広告をターゲットにすることができ、それがより高いCPMを導くというものだ。このプロジェクトの一環として、私たちは、まだ12人しかいなかったFacebookとミーティングをした。この会社についてニュースで少しだけ読んだことはあったが、私が大学を出てから数年が経っていたため、彼らの製品を使ったことはなかった。ミーティングをするにあたっては、当時私はシアトルを拠点としていたため、何人かの同僚と飛行機に乗ってPalo Altoへ行き、彼らの新しいオフィスで話をした。

私たちは、University AveにあるSushitomoのすぐ隣のオフィスでFacebookチームと会った。その場所は男子寮のように見えた―テレビとゲーム機が床に置かれ、洋服やゴミがそこら中にあった―数人の若い人が一生懸命働いている結果である。数分待った後、私たちはミーティングルームに案内され、そこでSean ParkerとMatt CohlerとMark Zuckerbergに会った。Seanがミーティングを指揮し、Facebookに関するたくさんのこと、最近AccelからのVCラウンドを調達することに自分が貢献したこと、Facebookで起きているありとあらゆる良いことについて教えてくれた。Markとその他の人達は何も言わなかった。

私たちは、最終的にはMySpace、AOL、Wall St. Journal、NY Timesなど数千のパブリッシャーと契約をしたが、結局、Facebookと仕事をすることには至らなかった。同時に、そのミーティングは、私にひどく間違ったことを確信させた:Facebookは決して10億ドル企業にはならない、と。

Facebookのメトリクス―高い成長と、とても低いCPM
ミーティングの一環として、私たちはFacebookに関連するメトリクスについて少し話した。そして、私はいくつかのことに驚いた:

  • Facebookは急速に成長していた―とても急速に。そして、月に何百万のユニークビジターのあるサイトに座っている超若いチーム(私のように!)によって見事に運営されていた。
  • CPMは最悪で、0.25ドルより低く(1000の広告インプレッションにつき獲得する収益)、サイトは(当時)オンラインポーカーやデーティングサイトや住宅ローンなどのくだらない広告で覆われていた。(皮肉にも、今それらのことはMySpaceと結びつく。)
  • 彼らは広告についてあまりよく知らなかったし、彼らのCPMは本当に悪く、良くなりそうもなかった―彼らのマネタイゼーションの戦略はよくてもうわべだけに見えた。

これらの数字から、私は素早く計算をした:

$0.25 CPM × 最大月50億の広告インプレッションは?
=$125万/月=$1500万/年=$1億5000万~3億の企業?

私は、Facebookが一か月で50億の広告をヒットすればすごいことだと思った―だって、それは結局のところ大学のソーシャルネットワークなのだから。月間50億インプレッションは、私たちの当時の最大のクライアントであり、トップ10インターネット企業のESPN.comよりも大きかった。それより大きいのはYahooやMSNやAOLのような巨大ポータルサイトくらいだ。Facebookがいつかそれら全てのポータルよりも大きくなるというような考えが、私の頭によぎることは決してなかった。

私は業界中から(MySpace、Friendster、Hi5、その他多くのソーシャルネットワークから)集めた独自のデータポイントを複数持っていたため、CPMの数字が低いままで居続けることには特に自信があった。私は、自分がFacebookの真の可能性について唯一の理解をしていると確信していた―Facebookが決して大きくならないということはもっと確信していた。

そして、もちろん、私は完全に、ひどく、間違っていたのだ:)

Facebook買収に向かったYahooの事例
ミーティングの後に私がこれらの計算をしていたのと同時に、YahooもFacebookを買収することへの不運な試みのためにこの会社の価値について似たような分析をしていた。私は最初それについてWall Street Journalで読んだが、その後、Techcrunchでこの興味をそそられるスライドを目にした。

以下のスライドは、その当時Facebookがどれくらいの登録ユーザーを保有しているのかの見積もりで始まり、彼らが“高校生と若者”の中心的なユーザーベースを飽和状態にすることが何を意味するのかを論理的に提示した―当時、これらは最終的に大きな買収価格を正当化することができるアグレッシブな見積もりのように感じたことは確かだ:

これらの数字を見て実際に起きたことと比べると、とても面白い。彼らの予測した2010Eと実際に起きたことを比較すると、数億ユーザーのずれしかなかったのだ!

さらに、Yahooの数字はCPMが次第に$0.25から$5に増えることについてもかなり楽天的だったと言える。計画されていなかったユーザー生成コンテンツの隣にさらされるブランド広告主にはたくさんの問題があったし、これらの数字は最終的にFavebookがhomepage takeoversなどをすることを伴った。実際、$5レベルに近いCPMを生み出すことができている大きなユーザー生成コンテンツやソーシャルネットワーキングサイトがないことは事実だ。

では私の推理は何が間違っていたのか?
結局のところ、私の全ての結論は、けた違いに間違っていた―Facebookはインターネットでナンバー1サイトになるだろう。そして、歴史的なデータポイント、改変、専門家の意見などを基に理論づける全ての試みを壊すだろう。

比べてみると私の理論付けがどれくらい馬鹿だったかが分かる:

私の2006年の予測:Facebookは最大で3~50億のページビュー/月になるだろう
現実:
Facebookは1兆ページビュー/で、まだ成長し続けている。

CPMがそれほど増えないということについては正しかったが、月のページビューで200~300倍もずれていたのだからそんなことは関係ない!完全な失敗だ。もちろん、Facebookは大学生のソーシャルネットワークに留まらず、世界の全ての人をターゲットとした商品になるというのが大きな見解だった。大学というニッチ内に限定されていたのだから、Facebookがいつか月に1兆のページビューに届くという考えは馬鹿げているように思えた。しかし、創設チームのビジョンのおかげで、Facebookはこのニッチを打ち破って、世界がこれまでに見たことのない新しい製品を築き、私が予測しなかった数字に達したのだ。

最も並外れたケースはシンプルなパターンマッチングを受け付けない
シリコンバレーにおける集団思考VSイノベーションに関する前回の記事の中で述べたように、私たちがビジネスを分析し分類するために使用するメンタルツールと、人気の出る並外れた会社が存在する時にそれがどう見えるかにはおかしな矛盾がある。パターンマッチング、演繹的理論付け、専門家の意見は“一般的な”ケースでの物事の仕組みを教えてくれるが、もちろん、私たちは一般的なケースには興味がない―私たちは並外れたもの、スタートアップランドスケープを定義するロケット船のような会社を探そうとしているのだ。

それは、まさに私たちの論理的な理論付けと歴史に基づいた理論付けが、私たちを最も裏切る時だ。

例えば、ThisNext、Kaboodleなどのようなソーシャルショッピングカテゴリ全体からの長年の失敗の後、Pinterestは今年一番ホットな会社になった。長年Googleが、全てのスタートアップはX-rankと呼ばれるアルゴリズムと10倍リードした技術を持つ必要があるという印象を私たちみんなに与えた後、Twitterとして知られる簡単なウェブアプリが台頭するだろう。そして、VCによって資金提供された10社の検索会社がスタートされ、Yahooの人達が検索は損失を導く機能で、アウトソースされるのが一番だと考えた後、Googleが台頭した。このリストは延々と続く。

Google、Yahoo、Paypal、Appleなどに投資した伝説的なVC、Mike Moritzが関連のあることを言っている:

私は大きなテーマについてめったに考えることはない。ビジネスは野鳥観察のようなものだ。私は群れを見つけ出そうとはしない。それぞれが違うのだ。私は、群れ全体について観察をしようとするよりも群れの中の面白い外見の鳥を見つけようとする。それが理由となり、他のVCが必要以上に騒がれすぎていたり、市場が既に成熟しているという理由で避ける業界や会社にあえて投資をすることもある。

醜いアヒルの子に投資をすることには良い面もたくさんある。Don ValentineがCiscoへのSequoia Capitalの投資を指揮した時、他の多くの人はLen BosackとSnady Lernerという夫婦の創設チームをパスした。

野鳥観察についてもっと突っ込んだことは言われていない:)

私が学んだ最大の教訓
これから学ぶべき明確な教訓は、現代では、ビジネスモデルはコモディティであるということだ。私は、“でも、彼らのビジネスモデルは何?”と人々が尋ねるのを聞きたくない。なぜなら、数年で10億のユーザーベースを育てることができる世界では、売れ残り枠に広告を表示して$0.25のCPMを獲得することが目的を果たす。もしくは、いくつかのフリーミアムモデルを投げて、その中の1%をマネタイズするのだ。もしあなたがオーディエンスを築くことができれば、あなたは大きなビジネスを築くことができる。

もっと抽象的な教訓はこうだ:謙虚になって、おかしな新しい会社に先入観を持たないこと。シリコンバレーでの数年間の後、あなたは何が機能し何が機能しないかについてたくさんの役に立つ経験則を集めることができる。それは大部分の場合はあなたを助けるが、例外的なケースのこととなると、番狂わせが生じる。だから、確立されたパターンにフィットしないおかしな若い会社に出会っても先入観を持たないことだ。もしかするとその創設者たちは、みんな最近のMBA取得者かもしれないし、退屈な古い会社からのスピンアウトかもしれない。または、それは動きの遅い市場かもしれないし、夫婦かもしれないし、10人の創設者がいるかもしれないし、その他一般的には悪いことかもしれない。あなたは、そのような特徴のある会社全てのミューチュアル・ファンドではなく、自分の目の前にいる会社のために、役に立ち、投資をし、働いているのだということを忘れないことだ!

あなたが、私がしたように、全てのソーシャルネットワーキングサービスをグループとして見るなら、疑問の余地があるビジネスモデルを持つ会社の群れを見つけていただろう。しかしながら、あなたがFacebookを選び出すほどの予知能力があったのなら、全ての歴史的先例を破って大きな成功を収める会社を目にしただろう。私が2006年のあの日に出会った12人の従業員には脱帽する。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Why I doubted Facebook could build a billion dollar business, and what I learned from being horribly wrong」を翻訳した内容です。

私如きがコメントするのは畏れ多いですが、色々と考えさせられると共に起業家としてのチャレンジ精神をふるいたたせられる記事でした。新たなイノベーションが求められる日本、起業家やスタートアップも(ネット業界では)これまでにない以上に増えており、その中で多くの失敗があると思いますが、仮に自分が理解できなくとも新しい製品サービス、そこに潜む価値観や発想、そしてそれを支える人を応援する心は持っていたいですね。そして自らも過去の経験に囚われず常にチャレンジしていきたいと思います。 — SEO Japan [G+]

Facebookが1000億円ビジネスに成長することを私が疑った理由と、その過ちから学んだこと

先日紹介したアンドリュー・チェンの「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めてが人気を博して、してやったりの私です。今回はその記事で取り上げられていたアンドリューがそれ以前に書いたFacebookに関する彼の成長予測をそれを外した理由、そしてそこから学んだことについて書き記した記事を。一流な人であればある程、自身の間違いを素直に認め、そこから何かを学び次に進むと思いますが、その辺含めて諸々参考になること多い記事です。 — SEO Japan

2006年初頭のFacebook

時々あなたは、偏見にとらわれないことを自分に思い出せるために、ひどく、呆れるほどに、間違える必要がある。これは、私がFacebookの可能性を理解しなかったという話だ。

2006年、私は、ソーシャルネットワーキングデータを使用したターゲッティング広告を数多く試みる新しいアド・ネットワークビジネスに取り組んでいた。それは今では“リターゲッティング”として知られている。このアイディアは、あなたの関心に応じた広告をターゲットにすることができ、それがより高いCPMを導くというものだ。このプロジェクトの一環として、私たちは、まだ12人しかいなかったFacebookとミーティングをした。この会社についてニュースで少しだけ読んだことはあったが、私が大学を出てから数年が経っていたため、彼らの製品を使ったことはなかった。ミーティングをするにあたっては、当時私はシアトルを拠点としていたため、何人かの同僚と飛行機に乗ってPalo Altoへ行き、彼らの新しいオフィスで話をした。

私たちは、University AveにあるSushitomoのすぐ隣のオフィスでFacebookチームと会った。その場所は男子寮のように見えた―テレビとゲーム機が床に置かれ、洋服やゴミがそこら中にあった―数人の若い人が一生懸命働いている結果である。数分待った後、私たちはミーティングルームに案内され、そこでSean ParkerとMatt CohlerとMark Zuckerbergに会った。Seanがミーティングを指揮し、Facebookに関するたくさんのこと、最近AccelからのVCラウンドを調達することに自分が貢献したこと、Facebookで起きているありとあらゆる良いことについて教えてくれた。Markとその他の人達は何も言わなかった。

私たちは、最終的にはMySpace、AOL、Wall St. Journal、NY Timesなど数千のパブリッシャーと契約をしたが、結局、Facebookと仕事をすることには至らなかった。同時に、そのミーティングは、私にひどく間違ったことを確信させた:Facebookは決して10億ドル企業にはならない、と。

Facebookのメトリクス―高い成長と、とても低いCPM
ミーティングの一環として、私たちはFacebookに関連するメトリクスについて少し話した。そして、私はいくつかのことに驚いた:

  • Facebookは急速に成長していた―とても急速に。そして、月に何百万のユニークビジターのあるサイトに座っている超若いチーム(私のように!)によって見事に運営されていた。
  • CPMは最悪で、0.25ドルより低く(1000の広告インプレッションにつき獲得する収益)、サイトは(当時)オンラインポーカーやデーティングサイトや住宅ローンなどのくだらない広告で覆われていた。(皮肉にも、今それらのことはMySpaceと結びつく。)
  • 彼らは広告についてあまりよく知らなかったし、彼らのCPMは本当に悪く、良くなりそうもなかった―彼らのマネタイゼーションの戦略はよくてもうわべだけに見えた。

これらの数字から、私は素早く計算をした:

$0.25 CPM × 最大月50億の広告インプレッションは?
=$125万/月=$1500万/年=$1億5000万~3億の企業?

私は、Facebookが一か月で50億の広告をヒットすればすごいことだと思った―だって、それは結局のところ大学のソーシャルネットワークなのだから。月間50億インプレッションは、私たちの当時の最大のクライアントであり、トップ10インターネット企業のESPN.comよりも大きかった。それより大きいのはYahooやMSNやAOLのような巨大ポータルサイトくらいだ。Facebookがいつかそれら全てのポータルよりも大きくなるというような考えが、私の頭によぎることは決してなかった。

私は業界中から(MySpace、Friendster、Hi5、その他多くのソーシャルネットワークから)集めた独自のデータポイントを複数持っていたため、CPMの数字が低いままで居続けることには特に自信があった。私は、自分がFacebookの真の可能性について唯一の理解をしていると確信していた―Facebookが決して大きくならないということはもっと確信していた。

そして、もちろん、私は完全に、ひどく、間違っていたのだ:)

Facebook買収に向かったYahooの事例
ミーティングの後に私がこれらの計算をしていたのと同時に、YahooもFacebookを買収することへの不運な試みのためにこの会社の価値について似たような分析をしていた。私は最初それについてWall Street Journalで読んだが、その後、Techcrunchでこの興味をそそられるスライドを目にした。

以下のスライドは、その当時Facebookがどれくらいの登録ユーザーを保有しているのかの見積もりで始まり、彼らが“高校生と若者”の中心的なユーザーベースを飽和状態にすることが何を意味するのかを論理的に提示した―当時、これらは最終的に大きな買収価格を正当化することができるアグレッシブな見積もりのように感じたことは確かだ:

これらの数字を見て実際に起きたことと比べると、とても面白い。彼らの予測した2010Eと実際に起きたことを比較すると、数億ユーザーのずれしかなかったのだ!

さらに、Yahooの数字はCPMが次第に$0.25から$5に増えることについてもかなり楽天的だったと言える。計画されていなかったユーザー生成コンテンツの隣にさらされるブランド広告主にはたくさんの問題があったし、これらの数字は最終的にFavebookがhomepage takeoversなどをすることを伴った。実際、$5レベルに近いCPMを生み出すことができている大きなユーザー生成コンテンツやソーシャルネットワーキングサイトがないことは事実だ。

では私の推理は何が間違っていたのか?
結局のところ、私の全ての結論は、けた違いに間違っていた―Facebookはインターネットでナンバー1サイトになるだろう。そして、歴史的なデータポイント、改変、専門家の意見などを基に理論づける全ての試みを壊すだろう。

比べてみると私の理論付けがどれくらい馬鹿だったかが分かる:

私の2006年の予測:Facebookは最大で3~50億のページビュー/月になるだろう
現実:
Facebookは1兆ページビュー/で、まだ成長し続けている。

CPMがそれほど増えないということについては正しかったが、月のページビューで200~300倍もずれていたのだからそんなことは関係ない!完全な失敗だ。もちろん、Facebookは大学生のソーシャルネットワークに留まらず、世界の全ての人をターゲットとした商品になるというのが大きな見解だった。大学というニッチ内に限定されていたのだから、Facebookがいつか月に1兆のページビューに届くという考えは馬鹿げているように思えた。しかし、創設チームのビジョンのおかげで、Facebookはこのニッチを打ち破って、世界がこれまでに見たことのない新しい製品を築き、私が予測しなかった数字に達したのだ。

最も並外れたケースはシンプルなパターンマッチングを受け付けない
シリコンバレーにおける集団思考VSイノベーションに関する前回の記事の中で述べたように、私たちがビジネスを分析し分類するために使用するメンタルツールと、人気の出る並外れた会社が存在する時にそれがどう見えるかにはおかしな矛盾がある。パターンマッチング、演繹的理論付け、専門家の意見は“一般的な”ケースでの物事の仕組みを教えてくれるが、もちろん、私たちは一般的なケースには興味がない―私たちは並外れたもの、スタートアップランドスケープを定義するロケット船のような会社を探そうとしているのだ。

それは、まさに私たちの論理的な理論付けと歴史に基づいた理論付けが、私たちを最も裏切る時だ。

例えば、ThisNext、Kaboodleなどのようなソーシャルショッピングカテゴリ全体からの長年の失敗の後、Pinterestは今年一番ホットな会社になった。長年Googleが、全てのスタートアップはX-rankと呼ばれるアルゴリズムと10倍リードした技術を持つ必要があるという印象を私たちみんなに与えた後、Twitterとして知られる簡単なウェブアプリが台頭するだろう。そして、VCによって資金提供された10社の検索会社がスタートされ、Yahooの人達が検索は損失を導く機能で、アウトソースされるのが一番だと考えた後、Googleが台頭した。このリストは延々と続く。

Google、Yahoo、Paypal、Appleなどに投資した伝説的なVC、Mike Moritzが関連のあることを言っている:

私は大きなテーマについてめったに考えることはない。ビジネスは野鳥観察のようなものだ。私は群れを見つけ出そうとはしない。それぞれが違うのだ。私は、群れ全体について観察をしようとするよりも群れの中の面白い外見の鳥を見つけようとする。それが理由となり、他のVCが必要以上に騒がれすぎていたり、市場が既に成熟しているという理由で避ける業界や会社にあえて投資をすることもある。

醜いアヒルの子に投資をすることには良い面もたくさんある。Don ValentineがCiscoへのSequoia Capitalの投資を指揮した時、他の多くの人はLen BosackとSnady Lernerという夫婦の創設チームをパスした。

野鳥観察についてもっと突っ込んだことは言われていない:)

私が学んだ最大の教訓
これから学ぶべき明確な教訓は、現代では、ビジネスモデルはコモディティであるということだ。私は、“でも、彼らのビジネスモデルは何?”と人々が尋ねるのを聞きたくない。なぜなら、数年で10億のユーザーベースを育てることができる世界では、売れ残り枠に広告を表示して$0.25のCPMを獲得することが目的を果たす。もしくは、いくつかのフリーミアムモデルを投げて、その中の1%をマネタイズするのだ。もしあなたがオーディエンスを築くことができれば、あなたは大きなビジネスを築くことができる。

もっと抽象的な教訓はこうだ:謙虚になって、おかしな新しい会社に先入観を持たないこと。シリコンバレーでの数年間の後、あなたは何が機能し何が機能しないかについてたくさんの役に立つ経験則を集めることができる。それは大部分の場合はあなたを助けるが、例外的なケースのこととなると、番狂わせが生じる。だから、確立されたパターンにフィットしないおかしな若い会社に出会っても先入観を持たないことだ。もしかするとその創設者たちは、みんな最近のMBA取得者かもしれないし、退屈な古い会社からのスピンアウトかもしれない。または、それは動きの遅い市場かもしれないし、夫婦かもしれないし、10人の創設者がいるかもしれないし、その他一般的には悪いことかもしれない。あなたは、そのような特徴のある会社全てのミューチュアル・ファンドではなく、自分の目の前にいる会社のために、役に立ち、投資をし、働いているのだということを忘れないことだ!

あなたが、私がしたように、全てのソーシャルネットワーキングサービスをグループとして見るなら、疑問の余地があるビジネスモデルを持つ会社の群れを見つけていただろう。しかしながら、あなたがFacebookを選び出すほどの予知能力があったのなら、全ての歴史的先例を破って大きな成功を収める会社を目にしただろう。私が2006年のあの日に出会った12人の従業員には脱帽する。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Why I doubted Facebook could build a billion dollar business, and what I learned from being horribly wrong」を翻訳した内容です。

私如きがコメントするのは畏れ多いですが、色々と考えさせられると共に起業家としてのチャレンジ精神をふるいたたせられる記事でした。新たなイノベーションが求められる日本、起業家やスタートアップも(ネット業界では)これまでにない以上に増えており、その中で多くの失敗があると思いますが、仮に自分が理解できなくとも新しい製品サービス、そこに潜む価値観や発想、そしてそれを支える人を応援する心は持っていたいですね。そして自らも過去の経験に囚われず常にチャレンジしていきたいと思います。 — SEO Japan [G+]

非テック職種に必要なスキルをリストアップし、オンライン学習のための情報にリンクするMBAx.me

ゲストに記事を書いてもらって、その記事がそのままスタートアップ設立に繋がるようなことは、そうあることではない。しかし今回は記事の内容がそのままスタートアップ化することとなった。その記事とはGoogleのAditya Maheshが執筆したものだ。テック業界で働くことになったビジネスコースの学生たちが、スキル面でどのような準備をしておくべきかを記した記事だ。Googleで働き出す前に、Excel、HTML/CSSの基礎、ウェブ解析、フォトショップ、iMovieなどについて知識を得ておけば、より効率的に仕事を進めることができたのにという個人的な体験に基づく。「技術者」ではないので、コンピュータサイエンスの学位までは必要ないが、それでもこうした基本IT知識が大いに仕事をやりやすくすると感じたそうだ。

そしてその記事が、Mahesh自身の手によってスタートアップとして結実した。同じくGoogleのSaleh Altayyarと組んでMBAx.meを立ち上げたのだ。これは、職種によって必要なスキルを身につけるためのオンラインコースを発見するためのサービスだ。Google社内のみならずFacebook、Twitter、Ciscoなどの従業員にもインタビューを行なって、必要とされるスキルをまとめあげたのだそうだ。取り上げている職種はビジネスディベロップメント、PR、マーケティング、HRなど、テック部門以外の多岐にわたっている。

MBAx.meには、必要とされるスキルのリストにみならず、そうしたスキルを学ぶことのできる無料オンラインコースへのリンクも掲載されている。各コースは有用性やクオリティによってランク付けもされている。すなわちサイト利用者は、必要とされるスキルが何なのかを知るだけでなく、実際にそのスキルを身につけることもできるわけだ。

MBAx.meの目的等については、記事冒頭に掲載したインタビュービデオの中でも述べられているので、ぜひご覧頂きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


EvernoteがホンダとDocomoと提携、シリコンバレーでスタートアップ支援のアクセラレータ・プログラム実施へ

今日(米国時間4/16)、「すべてを記憶する」サービス、Evernoteは、ホンダとDocomoと協力してEvernote Acceleratorと名付けたスタートアップ向けの1ヶ月の集中指導プログラムをスタートさせることを発表した。

実施の場所はシリコンバレーのRedwood CityにあるEvernoteの本社だ。世界中のEvernote APIを利用してプロダクトを開発しようとする個人あるいは小規模スタートアップのデベロッパーが対象となる。

このプログラムはEvernoteが自社の提供するサービスの範囲を超えて、サードパーティのデベロッパーやサービス・プロバイダーを広く巻き込んだプラットフォームへと進化しようという戦略をさらに一歩前に進めるものだ。Evernoteはすでに毎日60億のAPIコールを処理しているが、その大部分はEvernote自身のアプリから来るものだ。

Evernoteはホンダのシリコンバレー・ラボ(英文)、ドコモ・イノベーション・ベンチャーズと協力し、参加者に対してEvernoteのエンジニアによる指導、マーケティングの援助、さらにオフィスと住居を提供する。ただし直接の投資は行わない。ベテランのジャーナリストで昨年Evernoteに参加してプラットフォーム・エバンジェリストを務めているRafe Needlemanはこの点について次のように説明する。

現時点ではわれわれは投資の必要を認めない。われわれにとってこのプログラムの成功はすぐれたEvernoteプロダクトが生まれることだ。投資よって利益が生まれることに関心はない。すぐれたEvernoteプロダクトが生まれることがわれわれ、そしてわれわれのユーザーにとっての成功だと考えている。ただしわれわれはこのプログラムに参加するスタートアップないし個人デベロッパーに対してサードパーティーの投資家を紹介することはあるかもしれない。

Evernote側がベンチャーキャピタル方式の投資を行わないとしても、他の形式での投資はあるかもしれない。人気アプリの一つ、Evernote FoodはEvernoteが主催したハッカソンでオリジナルが開発されたものだった。NeedlemanによればEvernoteが知的所有権を買収して今日のアプリに仕上げたのだという。

このプログラムへの参加者はEvernote APIの普及のために毎年実施されているEvernote Devcupの今年の優秀賞受賞者から選ばれる。アクセラレータ・プログラムは10月の開催が予定されており、1ヶ月にわたるの助言と開発セッションの後、11月にYコンビネーター方式のデモ・デーが行われるという。

Needlemanは「あらゆるジャンルのEvernoteアプリを歓迎する」としながらも、プログラムには2社の共同スポンサーが存在することにも注意を促した。つまりAPIを活用したホンダの自動車向けアプリやモバイル・アプリが重視すべき分野となるということだろう。自動車とモバイル分野についてはそれぞれ優秀賞が設けられる予定だという。

今日、スタートアップ育成のアクセラレータ・プログラムは世界中いたるところで見かけるようになったが、Evernoteのプログラムには非常にユニークな特徴がある。それはEvernote自身がハッカソンを通じて参加候補者を集める点だ。Needlemanは「できるかぎり多様な人材を集めるために、われわれはハッカソンを東京、シンガポール、チューリッヒ、メキシコシティーで開催している。この参加者から選抜した優秀なデベロッパーたちにITのメッカ、シリコンバレーのすべてを味わってもらおうという趣旨だ」という。

〔日本版:EvernoteのCEO、フィル・リビンは今週4/18(木)午後1:30から日経ビジネスのセミナーで講演する予定。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めて

最近紹介を始めたアンドリュー・チェンの記事ですが、今回はいよいよ本格的な彼ならではのスタートアップビジネスに関する考察を。スタートアップに常について回るのが「マネタイズ」の問題ですが、彼曰く実はそれはたいした問題ではなくスタートアップが気にする必要はないということで、、、その真意はいかに。 — SEO Japan

ビジネスモデルは重要だが、今日、それはコモディティ化されている
最初に言わせてもらうと、もちろん、ビジネスはお金を儲けなければならないのだから、それをもたらすビジネスモデルは重要である。しかし、私が言いたいのはそういうことではない―私が言いたいのは:

ビジネスモデルがコモディティ化した今、“彼らはどうやって儲けているのか?”というのは興味深い質問ではない。答えは全て明白なのだ。

だから、あなたが次に何百万ものユーザーを持つ消費者モバイル/インターネットサービスを見た時は、賢い回答を期待してそのビジネスモデルについて尋ねるのはやめよう―彼らには、選ぶことができる既存のソリューションがたくさんあるのだ―その代わりに、まだコモディティ化されていないビジネスの部分について尋ねることを始めよう(詳しくは後で)。

マネタイゼーションをアウトソースする
最初のドットコムバブルと今日を比べると、消費者インターネットサービスにとって多くのことが変化した。おかげさまで、マネタイゼーションは今ではつまらない問題だ。なぜなら、以前は存在しなかったような収益を上げるための様々な選択肢が山ほどあるからだ:

  • 簡単に利用できる200以上の広告ネットワーク
  • Paypal、Amazon、Stripeのような有料プロバイダー
  • Trialpayのような“オファーウォール”
  • Bokuのようなモバイルペイメントソリューション
  • …そして、いつも新しいサービスが登場している(Kickstarter)

それだけでなく、消費者は、サービス―90年代には奇抜だったもの―にお金を支払うことを知っているしそのつもりがある。もしあなたがAirbnbのようにある種のマーケットプレイスを提供すれば、消費者は手数料を予期する。もしあなたがFacebook上でソーシャルゲームを作っているなら、彼らはもっとバーチャルの物を買うことができることを予期するだろう。彼らは、iPhoneアプリに0.99ドルを支払うことを予期するだろう。

これをドットコムバブルと比べるのだ。そこでは、あなたはそれらのマネタイゼーションサービスを社内で自ら築き、全く新しいユーザー行動を作ろうとしていた。eBayの場合、人々はお互いに(そしてeBayに)手数料を送金していた。小さなウェブサイトは、広告収入を得るためには、広告ネットワークに接続する代わりに、セールスチームを作らなければならなかった。携帯アプリを作ることには、“次の打者”として控えるのにキャリアとの何カ月もの交渉を伴った。私の最後のスタートアップ、広告テクノロジー会社では、1990年代後半に初めてウェブサイトを始めた時には既存のソリューションがなかったために独自のアド・サーバーを構築したESPNのような会社に遭遇した。

繰り返しになるが、彼らは自分たちのニュースサイトを作ることの一部として独自のアド・サーバーを構築したのだ。そしてそれは、彼らが、製品を良くするというよりはビジネスモデルをサポートするためにたくさんのコードを書くエンジニアを持っていたことを意味する。

製品体験のルネサンス
私たちは、Ruby on Railアプリが成功するたびにアド・サーバーを作る必要がないことに感謝しよう。これが、消費者製品サービス会社に自分たちが一番得意とすることに焦点を合わせることを許す。さらには、新しいウェブサイトを作るのにもはや500万ドルは必要ない。あなたの会社が離陸することに伴う数々のリスクは、あなたが安いサーバーホスティングと、オープンソースソフトウェアの山と、複数の追加収益源を組み合わせる時に、大幅に減少する。

これが、本当に重要なことに取り組むことができるように私たちを解放するのだ:優れた製品を作って市場に出すことだ。

近頃、けん引力を持つ前の会社の主要コストは、製品をコードするデベロッパーのアパートの家賃だ。けん引力を持つ前の会社の利益性は、チームがどれ位早く頭数を増加させたいかにだけ基づく。もしチームがプロダクト/マーケット・フィットを達成することができれば、その他の多くの問題は解決される。

Facebookの37億ドルの収益の裏にある教訓
昔、私はFacebookのビジネスモデルに懐疑的だった。なぜなら、彼らは自分たちが生成したページビューごとにたった0.2セントの広告収入しか受け取らなかったからだ。2006年、私は、彼らが年間で最大1500万ドルを生み出すことができるかもしれないと計算した―いいビジネスだが、世界を変えるようなものではない。私はこのトピックについてこんな記事を書いた:Facebookが10億ドルのビジネスを築けることを私が疑った理由と、自分が酷く間違っていたことから何を学んだのか(日本語)。

記事の中で書いたように、私は間違っていたのだ。実際に、Facebookは2011年に37億ドルを生み出し、今年は50億ドル以上を生み出すだろう。私は面白い間違いをした―彼らはページビューごとの収益は劇的に増やさなかったが、その代わりに月に1兆ページビューまで成長して成長して成長したのだ。私のメンタルモデルは全く間違っていた。

実際、私たちは広告とトランザクションをベースにしたモデルでたくさんの経験がある。魅力的なソーシャルウェブサイトがその広告上に0.1%から0.5%のCTRを持ち、平均0.50ドルのCPMを得ることは極めて明白だ。もしあなたが何かを販売する、もしくはフリーミアムサイトを持っているなら、0.5%から1%のアクティブユーザーがコンバートすることを期待できる。以前のブログ記事の中で話したように、世の中にはたくさんのベンチマークがある。要するに、オーディエンスを持っていれば、あなたは収益を見つけることができるのだ―大きな問題は大きなオーディエンスを獲得することだ。

最後のドットコムバブルは、私たちが今直面している世界とは異なる世界について考えることを私たちの多くに条件付けた。1997年、インターネット上にはほんの1億人のユーザーしかおらず、そのほとんどがダイヤルアップモデムだった。もう一度繰り返すが、そのドットコムバブル全体が、そのバブリーな良い状態を全てかき集めても、1億のダイアルアップユーザーから土台が作られたのだ。その数字の20倍以上、つまり、ブロードバンドとモバイルに20億人以上のユーザーを持つ今日とそれを比べてみるのだ。このグラフ(Googleを介してWorld Bankによって提供された)は、ものすごいことになっている。

要するに、消費者マーケットはこんなにも成長し、あなたが製品をきちんとすれば上昇のチャンスは膨大なのだ。その成長機会の全てを考慮し、プラグイン収益モデルを考慮すると、優れた会社を作ることの主な障害は、全くビジネスモデルではないように思える。

実際、ビジネスモデルは2次的あるいは3次的問題のように思える。だから、ここでも、私はそれについて質問するのをやめようと主張するのだ。

月5,000万以上のユニークビジターで、Twitterの収益モデルがどうなるのか疑問に思うのはやめよう。明らかに、それは何らかの広告の形になるだろう。もしかすると彼らは、どうにかしてフリーミアムかトランザクション料を試みるかもしれない。もしあなたが彼らは最終的に1,000億もしくは100億の会社になると思うなら議論することはできるが、ビジネスモデルがないために彼らが失敗するかしないかの会話はスキップしよう。

尋ねるべき新しい質問
ビジネスモデルがもはや第一の質問ではないという私の意見に同意するなら、尋ねるべき本当の質問は何だろうか?ビジネスモデルをうまくいかせることは、実に、ビジネスモデルがささいなことになるくらいの規模に達することなのだ。

もっと重要な質問を尋ねよう:

この製品は、1億人のアクティブユーザーを引き込み、維持することができるのか?

史上初めて、1億人以上のアクティブユーザーに達することが実際に現実的だ。そもそも、それはどれくらいすごいことなのだろう?近年では、ZyngaやFacebookやTwitterやGrouponやLinkedinなど、多くのスタートアップがそれを成し遂げてきた。そして、私たちは、DropboxやPandraやその他の企業がそこに達するのも目にすることになると思う。

アーリーステージにある企業にとって、この質問を尋ねることは、まさに、そのチームの熱意、最初のマーケット、プロダクト/マーケット・フィットの評価をテストすることなのだ。当然ながら、もし彼らの製品が機能していなければ、彼らはそこに近づきもしないだろう。

スタートアップがプロダクト/マーケット・フィットを得て拡大し始めると、この質問への回答はマーケティングと技術能力を中心に展開する。さらに、その製品は、最初のマーケットが飽和するにつれて進化しなければならないかもしれない―大学でのFacebookやアーリーアダプター・オーディエンスのいたTwitterのように。

まとめ:

  • ビジネスとしてお金を稼ぐことは重要だが、それはコモディティ化されている。
  • オーディエンスがいるなら、あなたはそれを収益化するための数百もの選択肢にアクセスできる。
  • ドットコムバブルと比べて、インターネットオーディエンスは20倍以上、会社を始めるコストは10分の1で、私たちは取り組んでいる。
  • Facebookは、マネタイゼーションの革命ではなく、純粋な成長を介して50億ドルの利益に達している。
  • あなたは1億人のアクティブユーザーを達成することを目指し、既成のマネタイゼーションのソリューションは後で手に入れるべきだ。
  • マネタイゼーションの手法よりも、マーケットサイズと1億人のアクティブユーザーに成長する能力を基に新しい会社を評価すること。

この記事は、@andrewchenに掲載された「Stop asking “But how will they make money?”」を翻訳した内容です。

米国だからこそ可能な考え方ともいえますが、確かに私も何かといえば「マネタイズはどうするの?」と質問する人がいると、たまにイラッとくることはありますが、その理由はここに書かれていることを何となく感じていたからかもしれません。と、そこまで深くはなかったと思いますが。しかし確かに以前はウェブメディアを運営する場合でも自身でアドサーバーを組まないといけないような時代がありましたよね。今と比べればサーバー等ハードウェアのコストも信じられない位高かったですし。

今日現在、スマホアプリにしてもトラフィックがあれば、とりあえずお金にはなりますからね。オンライン決済も10年前に比べればはるかに一般普及しているわけです。そういう意味ではウェブスタートアップ・ベンチャーにとってはマネタイズが以前に比べればはるかに簡単な時代になっているのは事実でしょう。特に消費者向けサービスであれば、アクティブな会員が一定数いれば、スケールはともかくある程度は広告収入や付随有料サービスで成り立ってしまう可能性は高いです。

そうはいっても、皆が皆成功できるわけではありませんし、日本は米国に比較すれば一部のソーシャルゲームを除けばマネタイゼーションはまだまだ多くのスタートアップ・ウェブサービスにとって難しい課題であることも事実です。とはいえ、この記事を出して勇気を出して夢を持って頑張っていけば、いずれは明るい未来が来ることもあるはず。 — SEO Japan [G+]

ストリーム内決済を実現したRibbon、サービス提供開始から1時間でTwitterによりサービス停止へ

Ribbonというスタートアップが、Twitterを使った「ストリーム内課金」サービスを開始したという記事を掲載した。Twitter.comのサイトから離れることなく、ツイートに付加されているボタンをクリックすることで支払いを行えるという仕組みだ。しかし記事掲載から数時間、Twitterはこの機能を使えなくしてしまっている。リリースとほぼ同時にシャットダウンされるという事態となった。

Ribbonの共同ファウンダーであるHany RashwanもTwitterがサービスを停止してしまったことを確認している。同社は現在Twitterとの話し合いの場を設けようとしているところなのだそうだ。TechCrunchもまた、Twitterに対して質問を投げかけているところだ。返信があれば記事をアップデートしたい。

もしかするとRibbonによるTwitter Cards(Player Card)を使った支払いシステムの実装方法に、何らかの規約違反があったということなのかもしれない。詳細はまだわからないが、Twitterのリアクションの速さには少々驚きを感じた。Twitterは、どのようにして違反行為ないし問題点を認知し、そしてそれに基づく行動を発動する仕組みになっているのだろうか。それはそれで興味深いところだ。

少しRibbonの内容を振り返っておこう。簡単に言うと「bit.lyの支払いシステム版」というような感じだ。これまではTwitter上にリンクを掲載して、クリックすると別ページに飛んで、そこで簡単に決済を行うことができるようになっていた。しかしこの度、Twitter Cardの機能を使って、Twitter.com内で決済プロセスが完了するように進化したのだった。

すなわちツイートを「開いた」状態で「Buy Now」をクリックすると、その場に決済画面(カード)が表示されるようになっていたのだ。メールアドレス、クレジットカード情報を入力して「Pay」ボタンをクリックすれば、その場で支払を完了することができた。PayPalでは、別のサイトに飛んで決済を行うことになるが、その手間を省いたエクスペリエンスを提供していたわけだ。売り手側のコンバージョンレートを上げることを狙いに開発されたものだ。

しかしTwitterによるサービス停止を受け、現在は「view on web」というボタンが表示され、Ribbon.coのサイトに飛ばされて、そこで決済を行うようになっている。双方の違いを示すスクリーンショットを以下に貼っておこう。

サービス稼働中:

サービス停止後:

アップデート 1:20 pm PT:Ribbonがブログ記事を投稿している。

11:00 AM PSTにTwitterのストリーム内で支払い処理を行うことのできるサービス提供を開始しました。TechCrunch、Mashable、GigaOM、The Next Web、その他の有名メディアでも取り上げていただきました。さらにニュースを読んだ方からも何百件もツイートを頂くこととなりました。多くの方に、面白そうなサービスであると期待してもらえたようでした。

しかし12:24 PM PSTになって、事前の通知もなく、Twitter Cardsを用いてストリーム内で提供していた機能が停止されてしまいました。RibbonのリンクはRibbon.coにリダイレクトされることとなってしまい、Twitter.com内での支払い完了ができなくなってしまっています。

本機能のリリース前にはTwitter Cardによる機能実装(下にスクリーンショットを掲載しています)が利用規約に違反していないことを何度も確認したつもりです。すべて条件をクリアしていると判断しました。事前にTwitter側とも話をしています。ぜひまた私たちの実装した機能を使えるようにしたいと考えています。利用できるようになれば、Twitterおよび世界中のTwitter利用者の方々にとっても有益なサービスになるはずと確信しています。

サービスを提供できるよう、現在鋭意調整中です。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


YC出身で企業ウェブサイトのA/Bテスト・サービスのスタートアップ、Optimizelyが2800万ドルをBenchmark他から調達

Y Combinator出身で企業のウェブサイトに対してさまざまなバージョンのデザインでA/Bテストを提供するスタートアップ、OptimizelyがシリーズAのラウンドで2800万ドルの資金を調達した。

どんなスタートアップにとってもシリーズAで2800万ドルといえば大した金額だが、Optimizelyはこれまでにわずか320万ドルの資金しか集めていないのだから、特に大きな一歩だ。.前回のラウンドは1年前にされたが、これまでその結果について何も発表されていなかった。

共同ファウンダー、CEOのDan Sirokerは私の取材に対して「比較的少額の投資を受けただけにしては、われわれはすでに売上高は通年換算で数千万ドルに達し、対前年比では400%の成長を遂げている。また2012年の大統領戦のキャンペーンなどで有力なクライアントを獲得している(Sirokerは2008年にはオバマ選対の分析責任者だった)」と述べた。SirokerはまたAlexaのトップ1万のウェブサイト中のOptimizelyの採用をライバルと比較した下のグラフを送ってきた(データはBuiltWithを利用)。

今回のラウンドはBenchmarkがリードし、Bain Capital VenturesとOptimizelyの既存投資家、Battery Ventures、InterWest Partners、Google Venturesが参加した。BenchmarkのPeter
Fenton(YelpとTwitterに投資した実績がある)がOptimizelyの取締役に就任した。SirokerによればFentonは初の社外取締役だという。これまで取締役はSirokerと共同ファウンダーのPete Koomenのみだった。

調達した資金の一部は国際的な事業拡張に向けられるだろう。Optimizelyは去年、初の海外オフィスをアムステルダムに設けている。また来る四半期には9言語、36カ国のサポートを新たに行う予定だという。Sirokerは「これらの言語(具体的な言語名は明かさなかったが)を選んだのはすでにクライアントがいるからだ」と述べた。

Sirokerのビジョンは依然私に語ったように、Optimizelyを単なるテストサービスを超えて、あらゆるウェブサイトを訪問するユーザーに合わせてカスタマイズできるようにするプラットフォームに育てることだ。同社はすでに異なる属性の訪問者に対して別のデザインのサイトを提供するサービスを開始している。lこれをさらに先へ推し進めたいというのがSirokerの野望だ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


スタートアップや製品に優れた名前をつける方法

以前、スタートアップのネーミングに関する記事を紹介しましたが、日本でも引き続きスタートアップブームは続いているようですし、久しぶりに新たなネーミング方法に関する記事をThe Next Webから。 — SEO Japan

このシリーズ記事を読んできた人なら、力強いブランドを作る自らの道を歩んでいるはずだ。もしも以前の記事を見逃したのなら、ここここここここで読むことができる。何を導入する必要がありどのようにしてそれらを作ることに取り掛かるべきなのかに関する綿密な導入部が終わった今、より詳細なところに入って、物事のやり方に関していくつかの指針をあなたに与える時が来た。今週、私たちは、あなたが自分の製品もしくはスタートアップの名前をどのように選ぶことができるのかについて目を向けるつもりだ。

名付けは、スタートアップが助けを求めて私たちのところにやって来る時に、要請されることの上位に入る。それは、間違いなくあなたのブランドの最も重要な要素の1つであり、時におざなりにされることだ。名前は、あなたのストーリーの入門書であり、人々があなたから何を期待すべきかの初めての体験を与えるものだ。これから何がやって来るのかのトーンを設定することができ、あなたが違うことを示すことができるものだ。

もちろん、名前を見つけることは、公園を散歩する(あなたが優れたアイディアを得る場所)のと同じ位に簡単にも、喧嘩(私が数多く目にしてきたこと)と同じ位に難しくもなり得る。良い名前を見つけるのに秘密の方式などないが、適切な道筋へとあなたを導くことができるいくつかのポイントは存在する。それでは、私たちが新しいブランドと一緒に仕事をする時に役に立つことが判明した一連のアドバイスを紹介しよう。

ユニークな名前にする

ユニークな名前は、あなたのブランドにとって最も価値のある資産の1つだ。それは、ドメイン名を探したり、競合相手から目立たせるのを簡単にする。以前に使用されたことのない1つの言葉や言葉の組み合わせを見つけることはほぼ不可能なため、クリエイティブになること。自分自身の言葉を作り出したり、言葉をマッシュアップしたり、短縮したりして、どこに行き着くか見てみるのだ。

一般的な名前は避ける

はっきり言って、一般的な名前は最悪だ。パーソナリティに欠けるし、ジェネリック薬と同じくらいのブランド価値を持つ。それらはきちんと仕事をするし、私たちはより安い代替品が現れた時にはそっちに移ることができる。考えてみるのだ。あなたは一般的な名前を持ったブランドに忠実だろうか?なぜ私たちは、Amazonから本を買い、Appleからデザイン性の高いガジェットを買い、IKEAから家具を買うのか?それについて考えてみると、大部分の人気ブランドは一般的な名前を持たない。

混乱を避けるために言っておくが、さまざまな状況の中で共通の言葉を使用すべきではないという意味ではない。Appleはリンゴ狩りや流通会社にとっては一般的な名前かもしれないが、彼らがDigital Equipment Corpのような企業と対戦していた70年代にはものすごくユニークで革新的な名前だったのだ。

シンプルな名前にする

Yes! 50 Secrets from the Science of Persuasion』という本の中に、私がしているこの素晴らしいアドバイスの科学的証拠を見つけた。名前は、読みやすく、発音しやすく、覚えやすくなければならない。人々は、あなたの社名や製品名を発音できることが理由で、より肯定的に感じ、あなたを信頼するのだ。

シンプルな名前にする方法:

- 簡単なつづり:難しいつづりを避け、それが発音と同じように綴られていることを確認すること。人々は、口コミを介してあなたのことを知るため、広まりやすい名前を持つことが必要不可欠だ。あなたのところにやって来るために人々がドメインを入力することを当てにしないとしても、あなたを見つけるためにどこかで検索する必要がある。

- 短くする:短ければ短いほど、ユーザーがその名前を覚えるのは簡単になる。

- 文字を繰り返す:使う文字の種類が少なければ少ないほど、覚えやすくなる。

- 文字と数字を混ぜない:どちらか一方にすること。文字と数字の組み合わせは、覚えるのも綴るのも難しい。

- 流れる:流れるような名前は覚えやすい。それは、80年代と90年代にjinglesが私たちに物を買わせた方法だ。聞こえが良くて会話の中で簡単に流れる名前を探すのだ。

どの文字から始めるか

他よりも効果的な文字がいくつかある。Guy Kawasakiは、ディレクトリやイベントで高い位置にリストされることを理由にアルファベットの最初の方から文字を選ぶことを勧めている。『Yes!』の中では、大衆市場の製品またはサービスを作っている場合は、見慣れないZやXやQなどの文字で始めることは避けるべきだということが判明した。

手に入れることができるリソースは何でも使う

名前を思い付くことには、たくさんの知力とクリエイティブなひらめきを要する。辞書や百科事典を準備して、ウィキペディアを開き、小説を手にして、探索を始めるのだ。関連付けをしたり、可能性を探索したりするのだ。Google翻訳を使って他の言葉を見てみたり、自分が見つけた名前が他の文化では攻撃的な意味ではないことを確かめよう。

チームや外部からの意見を得る

自分のチームを参加せることは、それが適切に行われるのなら良い考えだ。名前をめぐる論争で麻痺状態になってしまうことは避けたい。あなたの目的は、できるだけ多くの意見を得て、チームにその名前を投げて、彼らがどう反応するかを見ることだ。アドバイザーなどの外部からの意見を得ることも、勝利の名前を特定するのに役立つ。

そのままにしておく

クリエイティビティは、奇妙な獣だ。それは必要とする時にはほとんどやって来ることがない。最高の名前は、長いブレインストームやグループ会議の最中にやって来ることはほぼないだろう。それは恐らく、あなたがシャワーを浴びている時か、自転車に乗っている時か、芝を刈っている時にやって来る。この潜在意識の作業から有用な結果を得る最高の方法は、以下のステップに従うことだ:

  1. 自分のブランドや自分を象徴することについて全ての情報を集める。人々があなたについて覚えておくべきことを特定する。
  2. アイディア、価値、原則を探索し始める。それらの繋がりを特定し、それらが過去に表わされてきた方法を見つける。
  3. 名前を考え出すことを始める。実行可能性については気にせず、頭に浮かんだことは何でも生み出す。
  4. 他に何も出て来なくなるまで2と3に継続して取り組む。
  5. 潜在意識が仕事をするように、数日間そのままにしておく。すると、素晴らしい名前と共に‘見つけた!’という瞬間に達するはずだ。

このアプローチが科学的ではないことは知っているが、本当に効果があるのだ。

ドメイン名について

私は、このリストをドメイン名に関する重要なポイントで締めくくることにする。ドットコム・ドメインを獲得することが時には不可能なことがあり、それは、あなたがユニークで新しい名前を思い付くべき理由の1つだ。他に検討すべきことは、どれくらいの頻度で人々があなたのドメインをアドレスバー内に入力するかだ。もしあなたがモバイルアプリや“オフライン”の製品を作っているのなら、ドットコムはそれほど重要ではないかもしれない。ドットコム・ドメインを所有しているに越したことはないが、時には自分のローカルエリアに焦点を絞ったり、人々がどのようにあなたを見つけるのかを特定することが、とても良い名前を議論に呼び戻すことを可能にする。

名前はあなたに関することだということを決して忘れないこと。それは、人々にあなたがなぜこんなにも他とは異なるのか、彼らが何を期待すべきなのかを紹介する。それは、あなたのコアバリューを垣間見せるべきだが、あなたが何をするのか正確に説明する必要はない。人々は説明を信用するのではなく、頼りにすることができる名前を信用するのだ。

もしあなたが名前を見つけることに問題を抱えていたり、もっと他のアドバイスがあったら、コメント欄で教えて欲しい。

画像クレジット: Giant Ginkgo


この記事は、The Next Webに掲載された「A great name wins — Here’s how to find yours」を翻訳した内容です。

内容的には前回の記事と重なるところも多かったですが、視点を多少変えて読み直すとまた新鮮さもありますね。実は私も夏に向けて1つ新しい会社を設立予定なので、この記事で得た知識をベースに熟考することにしたいと思います。ちなみに夏リリース予定の新サービスは既に名前も決まっておりここに書いてあるルールにはほぼ全て当てはまるのですが、さてさて成功してくれればいいのですけど。。。中身はともかく、名前って第一印象や覚えやすさでとっても大事な要素であることは疑いないですし、スタートアップや新サービスを計画中の方にもこの記事を参考に素敵な名前を思いついてほしいです! — SEO Japan [G+]

スタートアップがデザインを優先事項にすべき理由

最近のスマホアプリやウェブサービス、以前に比べるとデザイン的にも優れたものが増えてきたと思います。その機能以上にユーザビリティ的な使いやすさはもちろん、デザイン的なオシャレ度やクール感がサービスの成功を左右するようにもなってきた時代、今回はスタートアップがデザインが力を入れるべき理由について考えた記事をテックメディアの中でも以前からデザインには人一倍こだわりがあるThe Next Webから。 — SEO Japan

テクノロジーを活用したスタートアップを始めることについて考えている?もしくは、既にテクノロジーベースのベンチャー企業やスタートアップを経営しており、それを成長させることに積極的に取り組んでいる?あなたが上記2つのどちらかに入る場合、デザインはあなたの優先事項の1つだろうか?

大半の場合、そうではない可能性が高いだろう。大部分のテクノロジーベンチャーやスタートアップにとって、その焦点は、製品とそれが見込み客にどう役立つかに合わせられる。そしてそれは、彼らの焦点が合わせられるべき場所だ。しかし、利益を上げることもしくは資金を調達することのどちらかを優先事項として求めるのと同時に、あなたはデザインも優先事項とすることを検討すべきかもしれない。

“ちょっと待って、デザインだって?でも、私はデザイナーじゃないし!”あなたが大きな声ではっきりと言うのが聞こえる。起業家、特にテクノロジー界隈のスタートアップやベンチャー起業家の大部分はデザイナーではない、それは分かっている。これこそが、テクノロジーをベースにしたビジネス/スタートアップがデザインを優先事項とすべきいっそうの理由なのだ(例えそれがデザイナーを雇うことを意味するとしても)。

テクノロジーをベースとしたビジネスやスタートアップでデザインを優先事項とすることが、あなたのマーケティングの結果や、顧客があなたをどのように見るかに大きな違いを作り、最終的にはあなたの収益性を助ける。もし私が、“なぜテクノロジーベンチャーやスタートアップがデザインを優先事項にすべきなのか”に対して5秒で回答をするように追い込まれたなら、回答はこうなる:

優れたデザインは、ビジュアルコミュニケーションを介して、注目を引き付け、維持する。

誰かと話すときにボディランゲージがコミュニケーションの形であるのと同じように、印刷やウェブの形式で情報を提供する時、デザインはビジュアルコミュニケーションの1つの形なのだ。あなたのウェブサイトにはあなたの製品/サービスについて話すたくさんの言葉が入っているが、その言葉が全てなくなったら、あるいはあなたの話さない外国語で書かれたら、あなたのウェブサイトは何と言っているだろうか?それはまだ同じことを言っているだろうか?

あなたのビジネスは、あなたが使用する言葉がするように、デザインを使って全く同じことを言っているべきだ。それは、デザインを使って注意を引く最高の方法だ。デザインがビジュアルコミュニケーションの形である時、私たちが自分を提示する方法は、私たちが自分について言葉で言うことよりもずっと多くのことを意味する。これは、テクノロジーベンチャーやスタートアップにも当てはまる。

テクノロジーが私たちの周りで変化し続ける時代では、新しいアプリとウェブサイトは毎日のようにローンチされ、新しいテクノロジーが市場にもたらされ、ますます多くの人が同じタイプの提供物―多くの場合は同じスタイルでデザインされたもの―を目にし始め、同じものを聞いたり読んだりしている(例えば、“これはあなたの生活を楽にするでしょう”とか“とても使い易い”など)。

あなたが顧客の注目を集めるだけでなくそれを維持してワクワク感を呼び起こすことを期待して言葉で伝えているのと同じことを、視覚的に伝えることにどれほど長けているかがあなたを区別する。この注目が素晴らしいことをもたらす:あなたの製品/サービスに関する噂、あなたの名前を共有し始めるブランド支持者、あなたが提供する物を購入したことがある人あるいは購入したい人による全体的な良い印象、そして最終的にはより多くの顧客とより高い収益。

テクノロジーベンチャーもしくはスタートアップの全てのピースが上手にデザインされていることを確実にすることに時間、努力、気配りが注がれる時、それは自然と視覚的手掛かりを介した注目を要求し、重要な情報を伝えながら注目を維持する。最後の要素はベンチャーやスタートアップが最も求めるものだ―注目を維持すること。どんなビジネスもほんの数秒(それは大部分の人がオンライン上の何かに注ぐ時間のスパンである)以上の注目を維持することができる時、あなたは、数少ないビジネスだけがやってきたこともしくはできることを成し遂げる:ワクワク感だ。優れたデザインは、使用された言語ですでに伝えたことを効果的に伝えるため、ワクワク感を呼び起こす。

デザインを優先事項にすることによって、あなたは、自分の見込み客と世間にあなたがフレッシュな存在であること、他とは違うこと、プロフェッショナルであること、あなたが提供する物について真剣で情熱に満ちていることを伝えられるのだ。それは、テクノロジーの世界にいる最新で最高のものを探している顧客をあなたが理解していることを示す。それは、あなたがたくさんの時間を調査と開発に費やしたことや、あなたのマーケティングの取り組みが集中的であることを示す。

上記の理由全てを説明することは私にとっては簡単だったが、テックをベースにしたビジネスにおけるデザインの重要性を説明する一番良い方法は、デザインを優先事項にしたビジネスの例をいくつか示すことだ。

Square

Squareは、私がデザインを優先事項にすることについて話すときのお気に入りの例だ。知らない人のために説明すると、Squareはカード払いの認証プロセスを簡略化することを使命としたスタートアップだ。そのスマートフォンもしくはタブレットアプリと無料のカードリーダーを使用して数分で簡単に支払いの受け付けをすることによって、小企業がクレジットカード払いを受け付ける方法を変えた。さらにSquareは、その手数料を理解しやすくした:スワイプごとの一律したパーセンテージで、隠れた手数料はない。

彼らが提供しているものおよびそのサービスが提供される方法に関して最も魅力的なことは、彼らのデザインの扱い方だ。ちょっと調べただけで、それがデザインを優先事項にしたということが分かる。Squareは、その名前にマッチするロゴを開発し、そのロゴの形をあらゆる場所で使用した:カードリーダー、サイトのナビゲーション上のアイコン、さらにはカードリーダーのパッケージや、説明書やパッケージの角の丸い四角形に至るまで。Squareのカードリーダーのパッケージだけ見ても良くデザインされていて、最近PayPalが出したSquareの競合製品のパッケージがそこから多くのヒントを得たということが分かった。

Squareのパッケージング以外に、そのウェブサイトはナビゲートが簡単で有益だ―デザインは小奇麗でシンプルだ。Squareの主なセールスポイントは、ユーザーが気楽にこのサービスを使い始められることであるため、簡潔だが有益なコピーで情報を提供しながらサイトをシンプルに維持することによってそのことを伝えた。ユーザー用のダッシュボードに至るまで、それはナビゲートし易く、大量の選択肢やリンクでユーザーを圧倒させることなく金融情報を簡単に見ることができる。

Squareはそのクレジットカード払いの根本的な新しい方法で注目を集めただけでなく、ウェブサイトからダッシュボードや、カードリーダー、パッケージング、マーケティングにまで及ぶデザインの使用によってその注目を維持することができたのだ。Squareはとてもシンプルだが洗練されたデザインを選び、それはSquareのメッセージにマッチしただけでなく、新しいスタートアップにお金や慎重に扱うべき情報を預けることを検討している見込み客の信頼を育むのに役立った。

Foodspotting

ビジネスをスタートしたが最初からデザインを優先事項にしなかった企業やスタートアップにとっても、デザインを優先事項にすることを始めるのに遅すぎるということはない。最近ウェブサイトをデザインし直したFoodspottingの例を見てみよう。彼らが当初はデザインを優先事項にしていなかったと言っているわけではないが、今デザインが優先事項であることは間違いなく明らかだ。

Foodspottingはウェブサイトをデザインし直して、とてもクリーンでミニマリストなデザインにした。先にリンクした記事が示すように、それはサイト上のたくさんの“がらくた”を取り除き、地図よりも食べ物の写真にもっと焦点を合わせたよりシンプルなデザインを選んだ。食べ物の写真を目立たせて食欲をそそることによって、そのリデザインの中で食べ物を光らせたかったのだ。

このウェブサイトのリデザインは、今年初めのアプリのリデザインの後に続き、デザインが優先事項であることを示している。Foodspottingは、そのビジネスの中心であるアプリを改善する必要性を感じ、うまくデザインされた優れた機能のアプリを提供することによってサービスを改善したかったのだ。創業者のAlexa Andrzejewskiがブログ記事の中で述べたように(上のリンク)、彼女のチームはモバイルアプリとウェブサイトの体験を単一化したかった。そして、それはデザインを介して達成された。Footspottingは注目を集めている。人々は新しいリデザインについてワクワクし、そしてそれが生み出している噂のおかげでこのサービスを他の人々に紹介している(私のように)。

結論

テクノロジーベンチャーとスタートアップがメッセージを正しくすることやマーケティングに費やす全てのお金があれば、その一部のお金はデザインを優先事項にすることや、マーケティングコピーを使って言っているのと同じことを顧客に視覚で伝えるために使うことができるだろう。デザインが優先事項にされる時、あなたの顧客にはそれが分かり、彼らは反応する。それは、あなたが彼らの注意を獲得して、彼らがそれについて友人や家族に話したり知っている人に共有し始めるほどに長くそれを維持してきたからだ。優れたデザインはあなたを良く見せ、顧客にあなたが提供するものに対してより気を配らせ、それら全てのことがあなたの利益や販売を手助けする。優れたデザインは、ビジュアルコミュニケーションを通して注目を引き付け、維持する。

画像クレジット: Ms. Time Wave


この記事は、The Next Webに掲載された「Why tech-based small businesses and startups should make design a priority」を翻訳した内容です。

ユーザーの興味を一瞬でも長く引き付けるためにデザインは重要。。。スタートアップにとっては注目こそが最初の生命線でもありますし、大切なことであるのは間違いありません。もちろん、見た目のインパクトは凄いものの、使い勝手は難しい、なんてことにならないよう、ユーザビリティとのバランスは最大限注意したいですが。私も6月に向けて新規ウェブサービスを開発中ですが、多少エッジの効いたデザインが勝負しようと思っているものの、使いやすさとのバランスで日々試行錯誤しながらチャレンジしている途中です。。。スタートアッパーな皆さん、共に頑張りましょう。 — SEO Japan [G+]

宙返りもできる小さなクアッドコプター、Microdrone 2.0登場

ExtremeFliersでVernon Kerswellに会えたのはラッキーだった。まだ学生のような容貌をしているのだが、「飛行物体」(ExtremeFlier)に並々ならぬパッションを持つ人物だ。彼が直近に生み出したのはMicrodrone 2.0なるプロダクトだ。野球ボールサイズの無人飛行物体(ドローン)にインテリジェンスを持たせている。

このMicrodroneにはIRセンサーが組み込まれており、6軸ジャイロとの組み合わせで、飛行姿勢を常に安定的に保つことができるようになっている。Vernonによるプレゼンテーションも、とても熱く、そして面白いものだ。大量生産に必要なパーツを探しに中国まで出向いたことを話しながら、ドローンをいろいろと操作してみせてくれた。

スタートアップの売り込みというのはかくあるべしという典型的な姿を見せてもらえたのかもしれない。自身がプロダクトに夢中であることをとてもよく示してくれていた。リリースは5月くらいで価格は100ドル程度を予定しているとのこと。狭い家ではあるが、ぜひともこのドローンを飛ばしてみたくてしょうがない気持ちになってしまった。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


普遍的問題はソリューションで解決できない

4月に入り新社会人も街や会社に溢れ(私の会社は新卒はいませんが・・・)、新たな事業や製品サービス、スタートアップを立ち上げようと燃えているウェブ業界人の方も多いことでしょう。新しい製品サービス、スタートアップを立ち上げる時に「それが何の課題解決をするソリューションに成り得るのか」について明確な答えがあることが重要とはよくいわれることですが、この議題を突き詰めていくとニッチな課題を飛び越えて普遍的な問題にぶち当たってしまうことがよくあります。仮にその問題を解決できればまさにイノベーションを起こせるかもしれず、思わず興奮してしまう人も多いと思いますが、簡単に物事がうまくいくわけでもなく。。。今回はそんな課題解決ソリューションの意義と意味について一歩深く考えた記事を。 — SEO Japan

“もっと多くのお金を稼ぎたい?”

人を雇うのは難しい?”

“Eメールに圧倒されている?”

もっと健康だったならと思ってる?”

大部分の人にとって、これらの質問に対する唯一の答えは、“イエス”だ。それらは分かりきったことだ。普遍の真理。普遍の問題。そして、解決不可能なこと。

あまりに多くのスタートアップが、大きなビジョンと普遍の心理を解決しようとすることを混同している。大きなビジョンは大切だ。あなたには、非常に高く、世界を変えるような目標が必要だ。しかし、普遍の問題を解決するのだと主張することは、普通、あなたが目の前にある本当の問題を理解していないことを示している。

見込み客に販売をする時、創設者は、1つの答えしかない質問で始めるという間違いをおかし、その答えを得ると、それを自らのソリューションの理由として利用する。

スタートアップ創設者:“優れた人材を採用するのに苦労していますか?”

見込み客:“はい。とても大変です。”

スタートアップ創設者:“そう思いましたよ!あなたのための完璧なソリューションがあります。”

それはこんな風に進む:大きく、当たり前の問題(普遍の真理)…私たちのソリューション…成功!

しかし、そんな風にはいかない。実際の問題や課題(そしてチャンス)は全て、…(点点点)の中にはない。

まず第一に、このような種類の質問をすることは、もしあなたが顧客の痛みについて知りたいのなら(そうすべきである)無意味だ。実際の痛みは、何段階も深く、微妙で、具体的だ。ここでは、普遍の真理“もっと健康になりたい”を分解してみよう。

ここでの本当の問題は何か?時間がないのかもしれない。しかし、それでは十分に具体的ではないかもしれない;大部分の人は1日30分のフリータイムがあるが、それでも運動をしない。もしかすると、ジムに行って他の人の前でワークアウトをするのが恥ずかしいのでは?もしかすると、ロッカールームでの体験が恥ずかしいのでは?もしかすると、単にワークアウトをする方法や、自分に適切なワークアウトが何か知らないのでは?もしかすると、一部の人にとっては上記全てのことが当てはまるが、別の人にとっては他の問題がある?

あなたは自分の顧客の問題を、玉ねぎの皮を剥くように、中心を突き止めるまで本当に理解しなければならない。“イエス/ノー”の質問をすること、特に誰もが同じ回答をするような質問は、あなたが役に立つことを知る助けにはならない。

次に、あなたが抱いている信頼の上限はあまりも大きすぎて、結果、あなたの顔にまともに当たる「これだ!(gotchyas)」を知ることができない。たとえあなたが専門知識のある業界インサイダーであるとしても、前もって発見することができていたはずの障害にぶつかる運命にある。リスクを特定せず点を繋げずに普遍の真理を解決しようとするのは確実に失敗する方法だ。

私は先に普遍の問題は解決できないことだと言った。実際にはそれは事実ではない。普遍の問題は解決できるが、それらは、あなたが心から自分の顧客を理解する時にのみ解決できる:彼らがどのように運用し、購入し、彼らが気にかけていること、彼らの痛みなど。本当に重要な大きくて困難な問題を解決したいのであれば、点を埋め、前もってこれだ!(gotchyas)を知る必要がある。普遍の問題に対するソリューションを売るのではなく、あなたが自分の顧客のために本当に変化をもたらすことを可能にする根本的な問題に対するソリューションを売れば、徐々に自分の大きなビジョンに気が付くのだ。


この記事は、Instigator Blogに掲載された「Don’t Sell Solutions to Universal Problems」を翻訳した内容です。

短いながら示唆に富んだ考えさせられる記事でした。普遍的な問題を表層だけで考えるのではなく、多重的・多面的に考えなければ、そして何より顧客のことを真に理解しなければ、課題解決になるソリューションは提供できない。いわれてみれば当たり前のことかもしれませんが、世の中ほぼ全てのスタートアップソリューションはそれを理解していないか、余りにピンポイント、単一課題の解決しかできず、そもそも普及しないか、ニッチすぎて事業として成長しきれないケースが大半です。

私の会社でもLPOというウェブマーケでもかなりニッチの分野に特化した製品を提供してきましたが、正直その分野では既に日本No.1の自信があるのですが(SEOはないです・・・)、所詮マーケットも限られているので、そこから得た顧客課題を元に新たなソリューションに拡大展開しようと試行錯誤している途中です。もちろん初めから大きく考えられればベストなのでしょうが、開発規模、人材、資金、諸々全てを解決するソリューションビジネスを展開するにはスタートアップ・ベンチャーには多くの課題がありますし、ピンポイントで初めてそこから拡げる戦略もまたあるのではと思いますし、そこでの成功を目指して頑張っていきたいと思っています。 — SEO Japan [G+]

イノベーションが起こる場所

ネット業界、スタートアップで働く者であれば誰もが夢見る(そうであってほしい)イノベーション。そのアイデアはどこで生まれるのでしょうか?最近、米国Yahoo!で新たなCEOとしてGoogleから転職してきたマリッサ・メイヤーが、在宅勤務を禁止にしたことが大きな話題となりました。何故にそんな時代錯誤なルールを?!と思われた人も多かったと思いますが、カリスママーケッターのミッチ・ジョエルが「イノベーション」をキーワードに、彼なりのその意味を考えた記事を。 — SEO Japan

イノベーションはどこで起こると思うだろうか?

あなたは、自分のアイディアと二人きりの時に最高の仕事をしているのだろうか?同僚とオフィスで共同作業をしている時に最高の仕事をしているのだろうか?ニワトリがわめき出す前の早朝に最高の仕事をするのだろうか?お気に入りの曲を大きな音で鳴らしたヘッドフォンをつけながら夜遅くに最高の仕事をするのだろうか?自分の机に座って最高の仕事をするのか、それとも街角の喫茶店の方が居心地がいいのか?あなたの最高の力は、納屋の中であれこれいじくり回している時にやってくるのか、それともオフィスで同僚に意見を求めている時にやってくるのか?

これについて深い瞑想にしばらく時間を費やそう。

ここ1週間、テック界(およびシリコンバレーのビジネスに注目している人達)は、Yahoo CEOのMarissa Mayerが、Yahoo従業員が在宅勤務をしたり家から仕事をすることに終止符を打つことにショックを受けた(それについて詳しくはこちら:The Yahoo memo and Marissa Mayer’s big innovation gamble)。The Washington Postの記事より:“それは、私たちがシリコンバレーで目にしてきたイノベーションの文化を作るための最大の“社運を賭けた”動きの1つかもしれない。Marissa Mayerは本質的に、‘もしあなたがYahooをもう一度シリコンバレーにある最大の企業の1つにすることに100パーセント帰属しないなら、もはやあなたはYahooには合わない’と言っているのだ。在宅勤務の禁止は、人員削減によって経費節減をしようとしている企業からの魅力的な買収のオファーのように機能する。それは、新しいYahooに対する彼女のビジョンに従業員がどのように尽くすかのテストなのだ…。“

イノベーションはどこで起こるのか、もう一度自分自身に尋ねよう。

Yahooは面白い会社だ。メディアとして生み出すのと同じくらいのビジネスがあるYahooを進歩的もしくは革新的な組織として見ている人はわずかだ(もしいるとしても)。むしろこれは、小さな子供を持つ従業員や事前に決められたミーティングに参加することを通常は求められない人達の軽視というより、Mayerはこれをする必要があるのだ。それは、“全員集合”が目的ではなく(それも必要とされるが)、イノベーションが目的だ。人々がお互いに考えをぶつけ合うことができる時に、飛躍的な発明、衝突、アイディア、ひらめきが起こる。人々が一緒になり、お互いに押し上げ、仕事を強制する時には、エネルギーと感触とパルスがある。もちろん、個々が仕事を終わらせるために1人の時間を必要とする時は問題がないが、全てのチームがホームベースを必要とする。全てのチームにはホームベースが必要なのだ。全てのチームには、そのシステムをやり遂げるために定期的かつ継続的に集まる場所が必要なのだ。

それは万人向きではない。

私は、自分のコメントが一部の読者をあきれさせるかもしれないことに気が付いた。多くの人々はMayerがしたことに対して厳しい考えを持っていることに気が付いた。私は、全ての人に深呼吸をして、一歩下がり、Yahooの立場に目を向け、このイノベーションがどこからやって来るのか尋ねてもらいたい。新しい結果を引き出すかもしれないより深い熟考に精を出す自宅でのその瞬間が、イノベーションが起こる場所の重要な要素であることは疑いようがないのだ。しかし、イノベーションがどこで起こるのかという質問に対する回答はこうだ:それはどこでも起こる。あなたは、情報と場所と人と上に挙げたインスピレーションの全てが必要だ。そして、あなたには真のホームベースが必要だ。家から仕事をすることは、一部のビジネスにとっては機能するし、それを機能させている組織の例は数えきれないほどあるが、私たちが一緒になって特定のイデオロギーの下に集結し、高望みする時に、人間は本当に素晴らしいことを作り出す。

それは痛みを伴うが、そうあるべきではない。

Mayerは人々に自分を嫌いにならせようとか、彼女を反現代文化的であると判断させようとしていたのではないと思う。彼女はYahooで物事を機能させることについて深く考慮し、そして、自分のチームに一緒になって仕事を終わらせてほしいと思っているように思われる。Yahooがうまくやってのけるかどうかは数年以内に分かるだろう。真のイノベーションは、たくさんの情報、複数の情報からやってくる。そのイデオロギーを奨励するために人々を引き合わせることは、賢い動きだし、今日のYahooをかつての姿にするための試みにおけるもう一つの勇気あるステップだ。

あなたはどう思うだろうか?


筆者について:ミッチ・ジョエルは数々の受賞歴を誇るカナダ発のデジタルマーケティング/コミュニケーションエージェンシー、Twist Imageの代表です。2008年にはカナダで最もソーシャルメディア上で影響力のある人物、そして40歳以下で最も有名な40人の一人、さらに世界で最も影響力のあるオンラインマーケッター100人の一人に選ばれました。著書である「Six Pixels of Separation」(Grand Central Publishing – Hachette Book Group)は、ビジネス/マーケティング書として英語圏で大ベストセラーになっています。ミッチのブログはこちらから。


この記事は、Six Pixels of Separationに掲載された「Where Innovation Happens」を翻訳した内容です。

かつてはインターネットを代表する最先端のベンチャー企業であったYahoo!も、米国ではかつての勢いはなくなり、特にイノベーションという観点からはGoogleはもちろん、最近では新興のFacebookやTwitter、マイクロソフトにも完全に追い抜かれた感があるのも事実。まずは社内の意識改革からとマリッサ・メイヤーが手を付けたのがこの在宅勤務廃止制度だったと。ある種、非常に大胆な試みと思いますが、あれだけの大企業で当然様々な批判を覚悟しつつも、この決断をするというのがイノベーター的であり、今後Yahoo!の文化にどのような影響を与えていくのが非常に興味深いです。

私もこのニュースを聞いた時は、なんでそんな前近代的なルールを?と一瞬思いましたが、紹介されていたインタビュー記事やジョエルの記事を読むにつれ、マリッサなりの深い思考があっての英断なんだろうなと思いましたし、結果が出ることを期待しています。確かに、在宅勤務制度って働く人には便利かもしれませんが、そこから新たなイノベーションが生まれるとは余り思えないのもまた事実。私もどちらかというと一人で何かを考えり物事を進める傾向があるのですが、最近、人とからんでプロジェクトを動かすことが増え、その中で刺激を受け新たな発想が出ることもありますし、途中のジョエルの一連の文章には改めてもっと他社と関わっていくべき、と強く感じました。

人々がお互いに考えをぶつけ合うことができる時に、飛躍的な発明、衝突、アイディア、ひらめきが起こる。人々が一緒になり、お互いに押し上げ、仕事を強制する時には、エネルギーと感触とパルスがある。もちろん、個々が仕事を終わらせるために1人の時間を必要とする時は問題がないが、全てのチームがホームベースを必要とする。全てのチームにはホームベースが必要なのだ。全てのチームには、そのシステムをやり遂げるために定期的かつ継続的に集まる場所が必要なのだ。

さて、皆さんは今回の米国ヤフーの決断、そしてイノベーションの起こる場所についてどう思われるでしょうか? — SEO Japan [G+]

2013年、東南アジアがスタートアップとテク業界に一番アツい理由

最近、シンガポールやインドネシアなど、東南アジア進出を目指すネット企業が日本で増えているようですが、さて数年後に大成功している会社は出てくるのでしょうか。今回は、東南アジア進出をしている・これから考えている日本のネット企業&スタートアップのために、東南アジアのテク業界の今について解説した記事をThe Next Webから。実は2013年初頭に書かれたこの記事ですが、今でも十分通じる内容、東南アジアに興味がある人に是非。 — SEO Japan

アジアではテクノロジーとスタートアップがどのように変化したかに関するシリーズ記事の準備のために、2012年を振り返ってみて、私は、それが東南アジアにとってどれほど意義深いものだったのかを感じた。

10億人を超える人口を持つ中国とインド、もしくは日本と韓国のハイテク市場に焦点を合わせる人達には無視されることが多いが、東南アジアは恐らく、テクノロジー市場が世界最速で発展している地域の1つだ。テクノロジーがこんなにも生活に欠かせず目に見える影響を与えている場所は他にはなく、それは2013年も継続する準備がすっかり整っている。

私がなぜ東南アジアにおける今年の可能性に興奮したのかにはいくつかの理由がある(順不同)。私なら世界のその他の場所に住むことを選ばないだろう。

マーケットとして気付かれている東南アジア

外部刺激は、新興成長市場の発展を助ける重要な要因である。2012年以前、東南アジアは海外プレイヤーからの流入はほんの少ししか見られなかった。大部分の人は、もし海外で危険を冒して試みるとしたら、もっと大きな機会や市場に焦点を合わせることを好んだ。

東南アジアには6億人ほどの住人がいるにもかかわらず、インターネットとテクノロジーは、アメリカやヨーロッパほどには広く取り入れられていない。確かに、私が2011年に指摘したように、この地域のテックの足跡を測定することは簡単ではないし、そのことは、企業が可能性のあるターゲットオーディエンスがもっと明らかな他の市場を支持して東南アジアを無視する傾向にある主な理由だ。

今日まで話を進めると、東南アジアは人口が多く金になるだけでなく、競合相手によって未開発の場所であるということに、より多くの企業が気付いている。この気付きは2011年末に始まり、インドネシアやマレーシアやタイなどの国におけるTwitterとFacebookの使用がニュースになった2012年まで続いた(中には欧米市場よりもアクティブな国さえあった)。

今日のマルチデバイス時代では、ソーシャルメディア使用は、インターネット普及率のような従来メトリクスとは対照的に、国内でのWebの発展を測定するのにより正確な手段だ。インドネシアのTwitterとFacebookの高い使用やタイでのInstagramの人気などの要因が、見かけによらず低い有線インターネット率にもかかわらず、Web企業にこの地域を知ってもらう手助けをしている。

去年だけでも、東南アジアでRocket Internetが5つの企業をローンチし、LazadaとZaloraが東南アジアの発生期のeコマース市場におけるAmazonのような市場サービスの未来について強気な投資家たちから何百万ドルも資金調達した

音楽サービスのAirbnbDeezerTencentのWeChatメッセージングアプリNaverのLineアプリなどその他の国際的に有名な名前が、ユーザーベースを成長させるためにこの地域への焦点を鋭くした。中国のBaiduは、シンガポールを拠点としたリサーチセンターへのドアを開くと同時に、タイベトナムの可能性を探るために新しい製品をローンチし、その穏やかで緩やかなアプローチを継続した。このセンターは言語学を専門に扱い、東南アジア市場のためのローカルサービスを発展するために使われる。それは、中国の検索大手がここでの可能性を認識していることを示す。

スマートフォンの成長とインターネットアクセス

東南アジアを有名にしているその成長の証の中心となっているのは、スマートフォン所有の増加だ。それは、インターネットアクセスの増加をもたらすのに役に立ってきた。東南アジア全域でモバイルデバイス唯一最大の推進力になっているのがAndroidだ。その影響力に関する調査は様々だ:EricssonによるとGoogleが所有するそのオペレーティングシステムは、31パーセントものマーケットシェアを占めるが、GfKはその数字を49パーセントと言いっている

別の調査では、この地域でのスマートフォンの売上は前年比で78パーセント上昇しているとGfKは見積もっている。7つの主な市場―シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、カンボジア、フィリピン―で、2011年7月から2012年6月の間に累積137億ドルに値する携帯電話が販売されたことが明らかになった。

GfKデータで最も興味深いことは、スマートフォンがそれらの7つの市場で販売された全ての携帯電話のほんの25%にしかならないことだ。それは、さらなる成長が豊富にあることを意味する―いつかは、ますます多くの初めてのインターネットユーザーが、Webへの主な/唯一のアクセスポイントであるモバイルフォンと共にオンラインにやって来るだろう。

今のところは、まだ多くの人にとって価格の壁が存在する―前払いが標準で、多くのオペレーターがデバイスに補助金を支払わないためだ。もし2年契約のために獲得する値引きがなかったら、あなたはロックされていないiPhone 5を買うだろうか?

デバイスがどんどんと安くなり古くなり、ディスカウントされたモデル―iPhone 3Gのように―が、消費者の予算に該当するようになる中、人々の手にデータをもたらすのを手助けするその他の組織が存在する。先週、MYR500(US163ドル)以下の3Gスマートフォンを購入する時に若い人がMYR200(US65ドル)の払い戻しを受けることができるスマートフォン割引の詳細をマレーシア政府が発表した

この動きは、テクノロジーへのアクセスを向上することによって突き動かされ、このアイディアは“古い第二世代の携帯電話をもった人々を基本の3Gスマートフォンに移行させること”だと、スポークスパーソンは言った。全体人口ではなく、デバイスにお金を支払う余裕のない人達に向けたこの動きは、モバイルが本当の変化をもたらして、この巨大市場の利益となることができるという全体的感情を示している。

助けを出しているのは政府だけではなく、インターネット企業がより低くなった壁に飛び付いてきた。10月には、Googleがフィリピンでモバイル所有者にサービスを無料で使わせる‘Free Zone’構想をローンチしOperaのWeb Passは、モバイルWebユーザー初心者が費用を抑えたまま自らの活動を管理するのを手助けしている。そのサービスは11月にマレーシアでローンチし、それ以降世界中の新興市場に拡大してきた。

さらには、低い料金でWebサービスの使いたい放題を可能にするバンドル契約を提供するために、サービスプロバイダー(メッセージング企業のWhatsAppやOperaThenなど)とチームを組んだ数えきれないほどのモバイルオペレーターが存在する。タブレットの導入はゆっくりだが、Kindleの新しいFire rangeやGoogle Nexus 7のようなより安価なデバイスが成長して、この地域にやってくることが期待できそうだ。

この全ては、より多くの人々のためのより多くのアクセスを意味する。それは情報の利点を東南アジアの住民にもたらすだけでなく、eコマースや電子政府やリモート学習のようなWebサービスのための豊かな環境も作る。

より多くのスタートアップが地域的に考えている

私は、主に消費者の立場からこの変化に目を向けてきた。よく言われるように、スタートアップは魚のいる場所で魚釣りをしなければならないという正当な理由で、全てのエコシステムは捕らわれの聴衆を持つことを頼りにする。東南アジアのインターネット人口は力強く成長しているため、この地域のスタートアップは、自国市場の外に出てローカル市場を越えてリーチする可能性をより高く評価して前進してきた。

単純化しすぎないようにしよう。東南アジアは、その多様性のおかげでかなり複雑に込み入っている。言語、文化、民族性は、たとえあなたが最大の国々を査定しても、地域によって異なる。しかし、成功するスタートアップの新しい波は、初日から地域の考え方を採用することによって大きな報いを受けることができることを示してきた。

大部分の企業がまだ自国市場で勝つことに焦点を合わせていた頃、たくさんのビジネスが、幅広い視野から得るべきものが豊富にあることを示した。Paul Srivorakulは、バンコクを拠点とする民間投資会社Ardent Capitalの会長だが、Admax Networks(2012年2月、Komliに買収された)とEnsogo(2011年6月、LivingSocialに買収された)の創設者として最も有名だ。

Srivorakulは、早くから両方のビジネスを複数の市場で経営し、これまでで最も有名な東南アジアの2つの買収で分け前を手に入れた(その契約金は未公開のままだ)。Ensogoは、タイランドで85%、フィリピンで50~60%、インドネシアで45~50%のマーケットシェアを誇った―Grouponがあまりにそれを買収したがり、それが実現しなかった時にあまりに攻撃的だったのも驚くに値しない。

どちらのビジネスもタイに焦点を合わせたままにしておくこともできたはずだ。しかしながら、この2つのビジネスは、境界線を押し上げて、多くの起業家が東南アジアに企業を作る時に身に着ける傾向のあるその地域のブリンカーを通り越して、2つの業界リーダーにとって明らかに有益な買収となった会社へと発展したのだ。

当然ながら、Srivorakulは、地域的アプローチの支持者だ。Ardentは、東南アジアの投資コミュニティへの新規参入者だが、すでにそのポートフォリオ企業をこの地域の主要市場にわたって拡大するのを手助けするシステムを作っていて、もっと成長する可能性、そして、―恐らく重要なことに―資金を調達して求婚者を引き付ける可能性を与えている。

管理上のサポートを蓄積したり、そのポートフォリオ企業の間でリソースと知識を共有したり、Srivorakulのコンタクトのネットワークに手をつけることによって、彼はArdentが支援したスタートアップが素早く効果的に拡大することができると確信している。

‘初日から地域的になる’モデルを申請する企業に勧めているのはArdentだけではない。地域的に考えている企業数の増加は、競争を増やし、より良いサービスを提供し、この市場に参入することやプレゼンスを押し上げることを決めた大企業に魅力的な買収を提供することによって、東南アジアの利益になる。

ローカルで始めて基盤を確立したら拡大するというのは、いまでも企業が進む有効な道筋のままだが、それにはいくつかのリスクも伴う。特定の市場に進出するのに時間をかけることによって、スタートアップは早期進出者のアドバンテージを失うかもしれないし、地元にもっと定着した国内企業からの競合相手の増加に直面するかもしれない。サービスが最新の消費者トレンドを基盤にしている場合や、世界のどこかで確立されたビジネスからヒントを得ている場合には、それが特に当てはまる。

スタートアップと起業家のためのより多くの機会

大企業の関与やインターネットアクセス率や地域的思考とは関係なく、東南アジアのスタートアップシーンは猛烈な勢いで成長してきた。そして、それは、他の要因とは関係なく、確実に2013年も継続する。これの大きな理由の1つは、機会の増加だ。

アクセラレーター

去年のJFDIアジアの初ブートキャンプは、欧米スタイルのアクセラレーターを汎東南アジアスタートアップにもたらし、大きな前進となった。100日間のプログラムは、会社の創設に成功した人達からの指導と専門知識と共にビジネスを発展させることに完全に焦点を合わせていた。その結果、半分以上のスタートアップが資金を獲得した。実に、参加者15人のうち60パーセント以上が最低でもSG650,000ドル(US530,000ドル)を獲得したのだ。それは、JFDIアジアのCEOであり共同創設者のHugh Masonが(当然のことながら)誇りに思い、励まされることだ。

このプログラムは週末のスタートアップイベントを利用して、参加者を探して特定するのを手助けした。ブートキャンプがけん引力を持った今、その要素は今年は取り除かれているが、これらのイベントが、この地域にわたって定期的なミートアップやコミュニティの引き金となったとMasonは私に言った。このようにして、それは実際に参加した企業以外にも影響を与え、スタートアップの認知とビジネスを築く可能性を促進するのを助けている。

今年、JFDIアジアは、二つのプログラムを実施するつもりだ。それは、Goldengate Venturesと連携し、急速に発展する将来有望なスタートアップがシード・ファンディングステージとその先に進むのを手助けする。JFDIは100以上のスタートアップが卒業することを目指していて、その中の1つが1億ドルのスタートアップ(本当の影響力を持ったゲームチェンジャー)になると楽観しているのだと、Masonは言う。

それは、JFDIがその当初の成長から、Techstarsアフィリエイトの成長の平均より上回っているという事実に大いに基づく。Masonは、これらのマクロ要因が一緒になってこの地域の起業家に大きな機会と参入すべき市場を提供するのだと考える。

今現在、どこで何がどのようにして東南アジアから大企業が台頭するのかは明らかではないが、エコシステムの成長と指導へのアクセスとファンディングと情報が、これが起こる可能性を増やすことは間違いない。同様に、失敗およびシリアル・アントレプレナー精神―会社を始めて、それが確立したら去ること―から学ぶことは、東南アジアにわたって今も種をまいている2つのことだ。これらの要因は、より経験豊富な熟練した起業家から出現する未来のサービスとビジネスにとって重要になるだろう。

スタートアップハブと地域を越えた投資家の成長

私はこの言葉が嫌いなのだが、‘スタートアップハブ’がアジアのいたる所で台頭してきた。例えば、バンコクは今、少なくとも3つのコワーキングスペースを持っているし(1年前にはほぼゼロだった)、TNWは、ベトナムやカンボジアやその他の風変りな地域などの盛況なコミュニティにあるスタートアップから定期的に話を聞いている。

低い生活費に加えてインターネットの接続性が、明らかにこれの理由だ。しかし、それについて申し訳なさそうにするというより、これはこの地域への才能と投資の可能性を引き付ける大きな機会なのだ。

シンガポールは―数多くの政府プログラムのおかげで―VCキャッシュの中心点であり続けるが、取引は、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアなどこの地域にわたるスタートアップで為されている。同様に、この地域に特に夢中な日本の投資家がいて、VCはシンガポールの外で出現している。

最も精選された最高のものは、シリコンバレーを去って東南アジアに向かうことはなさそうだが、Goldengate Venturesの創設チームの2人は、アメリカでの成功を見て、アジアを選んだ。同様に、DoctorPage現在Googleが所有するDailyDeal共同創設者Max Scheichenostのヘルスサービス)のようなスタートアップが、グローバルな野望を持ってアジアで始まり、この地域がビジネスを築くのに素晴らしい場所としてますます見られることを示している。

課題

しかしながら、東南アジアはたくさんの課題と戦っている。外国人にとっての市場の開示性は、この地域全体では広く異なり―ビジネスフレンドリーなシンガポールから、ビザや就労の許可が厳しいベトナムまで―、多くのスタートアップが質の高い地元の才能を採用して持ち続けることが大きな課題であることを知った。

同様に、多くの人の考え方は、スタートアップに不利な立場にある。多くの東南アジア諸国における社会は、多国籍企業やその他の大企業が提供することができる給料と待遇に張り合うことができるスタートアップがほとんどないことはさておき、大企業で働くことを高く評価する。それはいくらかのアドバンテージを保持するかもしれないが(給与を狙った金目当ての人を除外するのに役立つため)、多くの起業家志望が、外に出てスタートアップを築いて経験から学ぶというよりも、リスクの低い仕事や環境に閉じこもっていることはほとんど間違いない。

そして、継続中のテック問題、むらのある所得分配、給与体系の互換性難、この地域全体にわたる低い銀行使用率がある。

東南アジアがやってきたという甘い考えは持たないようにしよう。まだなされるべき仕事はたくさんある。しかし、最初に言ったように、私は、東南アジアは、成長と変化の可能性のある世界で最もエキサイティングな地域であると考えている。2013年、東南アジアに幸と進歩あれ!

画像ソース:ThinkstockThinkstocktratong/Shutterstock、calsidyrose/Flickr、ThinkstockAfrica Studios/Shutterstock、keithroper/Flickr


この記事は、The Next Webに掲載された「Why Southeast Asia is the world’s most exciting region for startups and tech in 2013」を翻訳した内容です。

どちらかというと、データ寄りの基本情報でしたが、潜在的可能性が高いことは間違いないので、チャレンジャーなあなたなら真剣に検討する価値はあると思います。課題にもありましたが、大半の国はまだまだ新興国、お金持ちになることや安定した生活を求めて大企業で働きたい人が大半でしょうし(ま、今の日本もそうですけど・・・)、現地でスタートアップで働きたい人を探すことは難しい気はしますけどね。だからこそ、現地人でスタートアップにチャレンジする人も少なく、外国人にチャンスがあるともいえますが。実際、東南アジア諸国のスタートアップって意外と外国人が行っているケースが多いですし。

後は東南アジアと一括りにすることは簡単ですが、実際は異文化、多言語で国間で関係性・関連性が余りなかったりすることもあり、全体を一気に取りに行くことはまず不可能ですよね。とはいえ単一国のシングルマーケットではインドネシアを除けば規模が少なすぎますし(流行のシンガポールなんて日本の地方都市みたいなものですし・・・)、1つ1つ攻略していくのには時間もお金もリソースもかかりそうです。その覚悟があれば別ですが、「日本が飽和状態だから次は一気に東南アジア制覇!」と勢いで進出すると痛い目に会うかも。その意味ではネットビジネスはそれに近いことができる最も可能性ある分野と思いますが、さてさて数年後に東南アジアを制覇した日本のベンチャー&スタートアップは出てくるのでしょうか?

否定的なことばかりを書いてしまいましたが、その成長性を考えれば、潜在市場と可能性は圧倒的な東南アジア、これからの時代はその地で勝負する選択肢は個人にとっても企業にとっても確実に有力な選択肢の一つとは思います。 — SEO Japan [G+]

エンタープライズ向けアクセラレーターのAlchemist、第2回クラスの 9組が発表

今私はAlchemist Acceleratorグループの第2回クラス9チームによる発表を聞くために、カリフォルニア州サンタクララにあるCitrix本社に来ている。これは選りすぐりのB2Bスタートアップのためのアクセラレーターだ。

Alchemistグループは、ベンチャー支援による新しい取り組みで、シード段階のエンタープライズ・スタートアップの開発支援に集中している。支援者は、Cisco Systems、Draper Fisher Jurvertson、Khosla Ventures、SAP Ventures、およびUS Venture Partner。同グループのルーツはサンフランシスコのハーバードクラブで、アイビー・リーグ等の名門校出身の技術系ファウンダーや学生を対象にしている。

今日発表する9社は以下の通り。

  • Tylr Mobile:エンタープライズ向けモバイル業務プラットフォームで、メール等の使い慣れたツールを、ビジネスに必要なデータやプロセスと連携させる。
  • Sourcery:食品ビジネスの発注、調達を簡単にする。旧来のエンタープライズシステムを、ユーザーフレントリーなソフトウェアやクラウド、モバイルベースのアプリで置き換え、食品業界を21世紀に導く。
  • Eduora:エンドユーザーに焦点を絞った学習管理システム。様々な学習アプリを統一したインターフェースで使える企業内学習向製品を開発。
  • Zipongo:パーソナライズされた食事メニューを提供し、ヘルシーな食品を買うと特典がある。
  • Chronon:JVMのあらゆる実行状態をフライトデータレコーダーのように記録する。従来のログファイルは不要。
  • MightyHive:消費者マーケティングの自動化。エンタープライズ規模でのみ利用できるデータを使ったクロスチャンネル広告の自動化、最適化、および測定を行う。
  • Purple:モバイル顧客エンゲージメント・プラットフォーム。AppleのPassbookなどのモバイル財布を活用して顧客を引きつける。
  • Stratio:初のポータブル赤外線センサー。コスト1/0000以下、6桁以上の低消費電力、現テクノロジーの4倍の分解能を持ち、スマートフォンで健康状態のモニタリングを可能にする。
  • MonkeyBook:Facebookのタイムラインを簡単にeブックにして友達に配れる。ソーシャルデータからクラウドソースで作ったストーリーで人間の記億を置き換える。

イベントの報告は後報の予定。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Yコンビネーターのデモ・デーを終えたポール・グレアム、「今期から選択を厳しくした。できの悪いスタートアップはほとんどない」と断言

今日(米国時間3/26)、Y Combinatorのデモ・デーが開催された。スタートアップのデモにに先立って、ファウンダーでパートナーのポール・グレアムが挨拶し「今期は今までより選抜基準をずっと厳しくした」と述べた。その言葉どおり、前期の75チームに対して、今回デモを行ったのは47チームと4割近く減っている。

「今回のスタートアップに出来の悪いチームはほとんどない」とグレアムは断言した。

「ここに集まっている投資家にとっては過去のデモ・デーにくらべて投資先を選ぶy決断がそれだけ難しいことになる」とグレアムは述べた。Yコンビネーターにかぎらず多数のスタートアップに同時に投資するというスタイルのベンチャーの場合、デモ・デーで投資先を決めるのが難しいという苦情はいつも出ている(特にYCの場合はスタートアップの数が多いためプレゼンは数分ずつしか行われない)。しかしグレアムは「決断が難しいのはプレゼンの時間が短いせいではない。難しく思えるのはそれが実際に難しいからだ。プレゼンは単なる顔見せだ。投資家は後でファウンダーたちに直接面談してから最終的に決断してもらいたい」という。

スピーチの前にわれわれはグレアムに短時間だがインタビューし、スタートアップの選定プロセスについて話を聞くことができた。それによると今回のYCのスタートアップ選定では「成功要因だけでなく、失敗要因も考慮に入れることにした」のだという。「たとえば、あるスタートアップの場合、ファウンダーたちは非常に優秀だったので、以前の成功要因だけの基準だったら選んでいただろう。しかしファウンダーたちがお互いに仲が悪かった。これは大きな失敗要因なのでこのチームは落とした」という。

「できの悪いチームがほとんどない」点についてはこう説明した。グレアムはいつも全部のスタートアップを順位付けする。そうして次第に下位に下がっていくと、「どう考えてもこのチームはデモ・デーでたいした注目を集めそうにない」というレベルに達する。「今回はそのレベル以下のスタートアップがわずか4、5チームしかなかった。これは今までになかったことだ」とグレアムは語った。

Grahamによれば、YCがスタートアップの数を減らしたのはこれが最初ではないという。グレアムとYCのパートナーでグレアムの妻のジェシカ・リビングストンとの間に子供ができたときにもクラスのサイズを減らした。しかし、たまたまそのクラスから大成功を収めたAirbnbが誕生している。選定基準を厳しくしても成功したわけだ。しかしGrahamは「これほど大幅にサイズを縮小したのは今回が初めてだ」と語った。

〔デモ・デーの全スタートアップの紹介はこちら(第1部)〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleドライブのパワーユーザー向け高機能デスクトップクライアントのInsyncがいよいよ製品版を公開

Insyncは高機能なGoogleドライブのデスクトップ・クライアントだが、今日(米国時間3/26)、ベータを脱してMac版とWindows版の製品版をリリースした。

アップデートされたクライアントには多数の新機能(もちろんオリジナルのGoogleドライブにもない機能)が追加されている。その中には複数のGoogleアカウントのサポート、フォルダやファイルの選択同期、デスクトップへの通知、Googleドライブ以外のネットワーク・ドライブのサポート、柔軟な共有オプションなどが含まれている。

Insyncはシンガポールとフィリピンに本拠を置くスタートアップだが、当初はGoogleユーザー向けのDropboxに似たサービスを目指していた。当時GoogleドライブはGoogleドキュメントと呼ばれており、まだ本格的なクラウド・ストレージ機能を備えていなかった。しかしその後Googleはドライブにデスクトップクライアントを用意してDropbox風のサービスを自ら提供するようになった。そこでInsyncは方向を変えてGoogleのクライアントにまだない機能を開発し始めた。

「開発中にわれわれは非常に多くの人々がこういう機能を望んでいることに気づいた」と共同ファウンダー、CEOのTerence Puaは語る。 2008年にInsyncを創業するまでPuaはフィリピンのFriendsterを運営していた。

ユーザーのターゲットはGoogleドライブのパワーユーザーで、右クリックでフォルダやファイルの共有を開始できる機能も備えられている。その他フォルダやファイルの選択的同期などパワーユーザーが必要とする機能が多数ある。さらにギークな機能としてこの1.0にはシンボリック・リンクやエイリアス機能が含まれている。Puaは「これによってユーザーはInsyncのフォルダにいちいちドラッグアンドドロップでファイルやフォルダを移動することなくフォルダ階層を保ったままで利用できる」と説明する。

今回発表されたv1.0はMac版とWindows版で、Linux版はまだv0.9だという。しかしこれも近くリリースされる予定だ。Insyncは現在各プラットフォーム合計で数十万人のベータ・ユーザーがおり、その40%はGoogleAppsを利用しているビジネス・ユーザーだという。

今回の製品版のリリースにともなって料金も発表された。すべての機能が利用できるプロ・プランは9.99ドルの1回払い、数週間後に発表予定のビジネス・プランには企業のIT部門が利用状況をひと目で把握でき、社員別のアクセス管理ができるダッシュボードや優先サポート、 高度な検索などの機能が付加される。

Puaは「われわれの目的は単にGoogleドライブのクライアントを開発することではない。高度なクラウド・ストレージ・サービスの構築にある。ドライブのクライアントは第一歩にすぎない」と語る。

Insyncは2011年1月に80万ドルのエンジェル資金を得た。2009年にはad Reid Hoffman(LinkedInのファウンダー、CEO)、Tovio Annus (Skypeの共同ファウンダー)、Joi Ito(ネオテニーのファウンダー)、Santosh Jayaram(Twitterの元ビジネス運営担当副社長)らの投資家から30万ドルの.シード投資を受けている。

共同ファウンダーのMarte Solizaを含めてInsyncの社員は現在9人 で人材を募集中だ。

Insync 1.0はこちらからダウンロードできる

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Yahoo!、17歳の起業家の人工知能ニュース要約アプリのスタートアップ、Summlyを買収―価格は3000万ドルか?

Yahoo!はマリッサ・メイヤーがCEOに就任してから積極的に企業買収に動いている。特にモバイル・アプリの買収に熱心だ。今日(米国時間3/25)、Yahoo!はニュース収集と要約を提供するモバイル・アプリを開発したスタートアップ、Summlyを買収したと発表した。AllThingsDは買収価格は3000万ドル前後と報じている。

このアプリは非常に優れものだ。直感的なジェスチャーでニュースを選び、要約を表示させることができる。驚くのはSummlyのファウンダー、ニック・ダロイシオが現在わずか17歳の高校生だという点だ。しかしこのスタートアップはすでにHorizons Ventures、betaworks、Shakil Khan、Matt Mullenweg、Troy Carter、それになんとオノ・ヨーコから153万ドルの投資を受けていた。Summlyはまた要約すべきニュースの供給に関してNews Corpと契約を結んでいる。

Yahoo!の広報担当者によれば、Summlyチームはこの数週間でYahoo本体に参加し、現在のアプリは閉鎖されるという。ここ数ヶ月愛用していたユーザーにとっては残念なニュースだ。SummlyのサービスはYahooのモバイル・サービストに統合されることになるという。AllThingsDの12月の記事によればYahooのサービスへの統合プロセスはかなり前から開始されていたもようだ。

Yahooのモバイルおよび新規プロダクト担当上級副社長のAdam Cahanによるこの買収に関する公式ブログ記事。一方ダロイシオがSummlyのユーザー向けに発表したコメントはこちら

Yahoo!がこのテクノロジーを入手したことは非常に興味ふかい。Summlyは当初Trimitという名称で、その名のとおり、独自のアルゴリズムによってニュースから重要部分を抽出して表示するアプリだった。今回の買収でYahoo!がこのテクノロジーを他のモバイル・アプリでも利用できるようになったので、ユーザーは同一の時間でさらに多くのコンテンツに目を通すことができるようになる。つまりそれだけ多く広告も表示できるわけだ。

YahooはSummlyの買収の5日前にもソーシャル推薦サービスJybeを買収している。Jybeの買収はYahoo!が機械言語、自然言語解析に強いチームを欲しがっていることを印象付けた。マリッサ・メイヤーは人工知能の利用によってYahoo!のイメージの一新を狙っているのだろう。

今回の買収はStamped、Jybeに次いで3社目の興味あるメイヤーによる買収だ。

昨年11月にTechCrunch TVはニック・ダロイシオにインタビューしている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+