イタリア競争当局がアマゾンに約1450億円の罰金、市場での地位乱用を指摘

イタリアの競争当局は、Amazon(アマゾン)に11億2900万ユーロ(約1450億円)の罰金を科したと発表した。独禁監視当局によると、Amazonは市場での支配的地位を乱用し、サードパーティの販売者に同社の物流サービス「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」の利用を押し付けたという。

イタリア競争・市場保護委員会(AGCM)は、声明250ページに及ぶ報告書でその考え方を詳述している。それによると、サードパーティの販売者がFBAを活用している場合と、独自の物流スタックを使用している場合では、同じ扱いを受けることができないとのことだ。

FBAを活用している販売者は、同社の有料ロイヤリティプログラムAmazon Primeに参加することができる。このサービスの会員は、一部の商品を無料で配達してもらうことができる。Amazonの自社在庫に加えて、FBAによってAmazonの倉庫から送られてくるサードパーティ販売者の商品にもPrimeラベルが貼られる。

プライムデー、ブラックフライデー、サイバーマンデーなどのAmazonのイベントでPrime商品が扱われるため、広範囲に影響を与えることになる。つまり「Fulfillment by Amazon」を利用すれば、Amazonのイベントに取り上げられる可能性が高くなる。

しかし、それだけではない。Amazonの商品ページでは、同社が自動的に販売者を選択して、購入ボックスを表示している。パソコンの場合、購入ボックスとは画面の右側にある、商品をカートに入れたり「今すぐ購入」ボタンで直接購入したりするためのボックスのことだ。

購入ボックスの下にある小さなボックスには、他の販売者が表示されている。イタリアの競争当局によると、FBAを利用している販売者は、他のサードパーティの販売者に比べて、購入ボックスで紹介される確率が高いという。

筆者がAmazon.itで良い例を探してみたところ、この便座には次のようなことが書かれていた。「Amazonが直接販売していません。サードパーティの販売者からしか入手できません」。デフォルトでは、Amazonは購入ボックスにWOLTU GmbHを掲載している。WOLTU GmbHはFBAを利用しているため、この商品はAmazonが発送する。そして、Amazon Primeで無料の迅速配達を受けることができる。

その購入ボックスの下には、他の販売者から購入できるという小さなボックスがある。今回は、もう一度WOLTU GmbHを目にする(そして「Amazon倉庫」の中古商品も)。同じ販売者だが、直接発送してくれるので送料も無料になる。

なぜWOLTU GmbHは同じ便座を2回出品しているのか? FBAは無料の物流サービスではない。AmazonはFBAで販売された商品からより多い手数料を得ている。また、WOLTU GmbHは直接販売した方が収益が上がるように思える。しかし、便座がサブメニューに隠されているため、顧客が直接販売者から便座を手に入れることを選ぶことはおそらくない。

Institute for Local Self-Reliance(地域自立研究所)の最近の研究では、Amazonがサードパーティの販売者からますます多くの収益を得ていることが取り上げられ、FBAが悪循環に陥っていること、サードパーティの販売者が虜になっていることが強調されている。

同様に、Amazonは販売者に対して、同社の倉庫・配送サービスであるフルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)の購入を強制しています。Amazonのアルゴリズムは、FBAを購入した販売者を非常に優遇しており、Amazonで売上を上げるためにはFBAが必須となっています。その結果、他の運送業者の使用を辞めてFBAを利用する販売者の割合が近年急増しています。Amazonは、自社の配送サービスの使用を虜となった販売者に強制することで、一夜にして大手物流業者に成長しました。Amazonの配達事業は、今や米郵政公社に匹敵する規模となっています。また、ここ数年、Amazonは保管料や配送料を着実に値上げし、FBAを利用して販売者の収益を圧迫しています。

イタリア当局はAmazonに対し、FBAを利用しているかどうかにかかわらず、サードパーティである販売者にとって公平な基準を新たに設けるよう求めている。また、同社は行動面での対策も実施しなければならない。監視する管財人が変更点を確認する。

Amazonは筆者に声明を送ってきた。「当社はイタリア競争当局の決定に強く反対し、控訴します。提案された罰金と救済措置は不当であり、不釣り合いなものです」と同社は述べている。

「イタリアにおけるAmazonの年間売上高の半分以上は中小企業によるものであり、中小企業の成功は当社のビジネスモデルの中核をなすものです。中小企業は、オンラインでもオフラインでも自社製品を販売するための複数のチャネルを持っています。Amazonはその選択肢の1つにすぎません。当社は、Amazonで販売する1万8000社のイタリアの中小企業の成長をサポートするために常に投資を行っており、自社で出荷を管理する販売者を含め、複数のツールを販売者に提供しています」としている。

画像クレジット:Philippe Lopez / AFP / Getty Images

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国のAmazonアグリゲーターNebula BrandsがLVMH系投資ファンド主導で約57億円調達

2021年は、エグジットを目指している中国のAmazon(アマゾン)ベンダーにとってバラ色の年となった。ロールアップ(ブランドアグリゲーター)は、中国の輸出向けEC市場に資本を投入し、販売者をすくい上げている。例えばシリコンバレーのMarkaiが、中国ブランドを買収するためにPear VCやSea Capitalなどの投資家からシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達したように、ロールアップ企業自体もベンチャー投資に支えられている。

そして中国をターゲットにした他のアグリゲーターも、より多額の資金を調達している。北京に拠点を置くAmazonアグリゲーターであるNebula Brandsは、シリーズBで5000万ドル(約57億円)を超える資金を調達したと中国時間12月7日に発表した。このラウンドは、コンシューマーテクノロジーに特化したグローバルなプライベートエクイティ企業であるL Catterton(Lキャタルトン)のアジアファンドが主導した。

今回のラウンドには、NebulaのシリーズAの投資家であるMatrix Partnersと、エンジェル投資家のAlpha Startup Fundも参加した。同社はこれまでにおよそ6000万ドル(約68億円)を調達している。

Amazonが巨大企業に成長したことで、中国のサードパーティベンダーの多くも繁栄し、数百万ドル(数億円)規模のビジネスになった。これらの輸出業者は、成長を維持するために、より大きな資本と人材を必要としており、業績の良い業者には2つの選択肢が存在する。さらに規模を拡大するためにエクイティ資金を得るか、ビジネスを売却して次に移るかだ。後者の場合、ロールアップの出番となる。

Nebulaの共同設立者であるWilliam Wang(ウィリアム・ワン)氏は声明でこう述べている。「中国のサードパーティベンダー市場は急速な成長を遂げており、世界中のAmazonのお客様に高品質な製品を効率的に提供することができます」。

「フルフィルメントby Amazon(FBA)のベンダーを集約してオペレーションを強化するモデルは、欧米の一部の市場ではすでに非常に効果的であることが証明されており、Nebula Brandsが主導する中国でも広がっていくことでしょう」。

Nebulaは新たな資金を得て、Berlin Brands Group、Razor Group、Thrasioなど、中国の販売者を狙っている海外のアグリゲーター各社と競合することになる。5月に設立されたばかりのNebulaは、すでに1社を買収しており、年末までにさらに数社を買収する予定だとTechCrunchに述べている。

Nebulaは現在、中国で50人以上の従業員から構成されるチームを運営しており、そのスタッフは「有名なeコマース企業、テクノロジー企業、金融企業での勤務経験から、市場に関する深い知識と、現場でのソーシング、アンダーライティング、オペレーションに関する豊富な経験を有しています」と述べている。同社の共同設立者は「上場企業」でCEOを務めたRyan Ren(ライアン・レン)氏、Lenovo(レノボ)で統合マーケティング責任者を務めたWilliam Wang(ウィリアム・ワン)氏、Wayfair(ウェイフェア)でサプライチェーン部門長を務めたHardys Wu(ハーディーズ・ウー)氏の3名だ。

画像クレジット:VCG/VCG via Getty Images

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

ラテンアメリカの「アリババ」を目指すMeru、海外から安全に商品を調達できるB2Bマーケットプレイスを構築

海外から商品を調達したり輸入したりする際には、どこかで問題が発生することがあり、企業は代金を支払った品を受け取れなかったり、あるいは何も届かないことさえある。

メキシコに拠点を置くMeru.com(メル・ドットコム)を共同設立したManuel Rodriguez Dao(マヌエル・ロドリゲス・ダオ)CEOと共同設立者のFederico Moscato(フェデリコ・モスカート)氏は、他社のために商品を調達する仕事をしていたとき、当初注文した商品を手に入れることができないなどの問題に直面し、このことを痛感した。

2020年、彼らはEduardo Mata(エドゥアルド・マータ)氏、Virgile Fiszman(ヴィルジール・フィスマン)氏、Daniel Ferreyra(ダニエル・フェレイラ)氏と共同で、中小企業が同じ運命を避けられるようにMeruを起ち上げた。同社は米国時間12月2日、シリーズAラウンドによる1500万ドル(約17億円)の資金調達を発表した。このラウンドは、Valor Capital(バロー・キャピタル)とEMLES Ventures(エムレス・ベンチャーズ)が共同で主導し、創業者グループによる個人投資も含まれている。これまでに同社は総額1700万ドル(約19億2500万円)を調達している。

Meruの技術には、シンプルなプロセスで、価格の非対称性なしに国内外のメーカーをサプライチェーンの他の部分と結びつけるマーケットプレイスとアプリが含まれており、まずは中国とメキシコの間で展開している。品質認証を受けた工場と直接取引していると、ロドリゲス・ダオ氏はTechCrunchに語った。

従来の調達方法では、中小企業は週に2日もの時間を費やし、最大5社の仲介業者を介して、取引しなければならなかった。しかも、平均して80%もの取引が詐欺に遭っていると、ロドリゲス・ダオ氏はいう。これに対し、Meruを利用する顧客は、数分で商品を選択して購入することができ、その際には商品を確実に、そして市場のベストプライスで受け取ることができるという保証も、同社で付けているという。

MeruはY Combinator(Yコンビネータ)の2021年冬のバッチに参加しており、今回の新たな資金調達は、最終的にはラテンアメリカのAlibaba(アリババ)になるという目標に向けて、Meruが中小企業のためのワンストップショップになることを支援すると、ロドリゲス・ダオ氏は述べている。

「私たちは中国でリモートワークを始め、グローバルな取引の中で、新興国でも同じような痛みが発生していることを知りました」と、同氏は続けた。

「私たちは、アリババのようにテクノロジーを駆使した流通によって、仕入れや調達を安全なものにしたいと考えています。そのために、サプライチェーン全体の関係者をつなぎ、彼らが割引価格を利用できるようにしています」。

Meruは開始からわずか1年で、すでに1万人以上の登録ユーザーを抱え、7つの商品カテゴリーを運営している。資金調達を支援するフィンテックのパートナーもいる。Meruがマーケットプレイスを起ち上げた2020年8月には6名だった従業員が、現在では中国とメキシコの両方で合わせて210名の従業員を擁するまでになった。

同社は今回の資金調達を、新たな業種やカテゴリーの追加、技術開発、チームの拡大に充てる予定だ。毎月の収益は40%から50%増加している。

「Meruは、ラテンアメリカの中小企業が、すべて単一のコンタクトポイントを通じて、アジアからより効率的に商品を購入できる統合的なB2Bマーケットプレイスを構築しています」と、Valor Capital GroupのマネージングパートナーであるAntoine Colaço(アントアーヌ・コラソ)氏は声明で述べている。「何千もの商品へのアクセスを提供し、すべての物流、請求、フォローアップのプロセスを管理し、金融ソリューションを組み込むことによって、Meruはラテンアメリカとアジアのグローバルなサプライチェーンのつながりを強化することに貢献するでしょう」。

画像クレジット:Meru.com

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国アリババがCFO交代を含む大規模な経営陣の再編を発表

Alibaba(アリババ)は、同社の最近の歴史の中で最大規模の再編成の1つとして、4人の幹部の役割を変更することを中国時間12月6日朝に発表した。

eコマースの巨人である同社のMaggie Wu(マギー・ウー、武衛)CFO(最高財務責任者)は2022年4月に退任し、後任には現副CFOのToby Xu(トビー・シュー、徐宏)氏が就任する。ウー氏は、Alibabaの方向性に大きな影響力を持つ人材で構成されるAlibaba Partnership(アリババ・パートナーシップ)のパートナーとAlibaba取締役会の執行取締役を引き続き務める。

ウー氏は、約15年前にAlibabaに入社して以来、同社の3件の株式上場に貢献した。2007年のAlibaba.com(同社のB2Bマーケットプレイス)の香港証券取引所への上場、2014年のAlibaba Group Holding(アリババグループ・ホールディング)のニューヨーク証券取引所への上場、2019年の香港証券取引所への上場である。Alibabaは、米中の緊張が高まる中、香港でのセカンダリー上場を推し進めた米国上場の中国企業の1つだ。

1999年に設立されたAlibabaは、2015年にJack Ma(ジャック・マー、馬雲)氏がCEOの座をDaniel Zhang(ダニエル・チャン、張勇)氏に譲り、さらに2019年に会長に任命したことで、すでに大きな再編を経験している。

ウーCFOは声明で次のように述べている。「本日行われたAlibabaのCFO交代の発表は、長年にわたる広範な準備の集大成であり、Alibabaの幹部継承計画の一環です」。

同氏はこう付け加えた。「市場には常に浮き沈みがありますが、Alibabaには野心的な長期目標があります。私たちはリレー選手のようなもので、会社を前進させるには、新世代の人材が必要です。私は、数年前に初めてCFOに就任した時の自分以上にトビー(・シュー)を信頼しています」。

シュー氏は、3年前にPwC(プライスウォーターハウスクーパース)からAlibabaに入社し、2021年の同社の投資家向け説明会に副CFOとして初めて登場した。Alibabaでは、中国でのスターバックスとの提携など、いくつかの大きな取引を監督してきた。

CFOの交代と同時に、ダニエル・チャンCEOは社内文書で、Alibabaは、国内および国際的なeコマースという2本立ての戦略を強化するための大規模な組織再編をすると発表した。

Alibabaの収益の柱である中国国内の消費者向けマーケットプレイスを長年にわたって指揮してきたJiang Fan(ジャン・ファン)氏は、新たに設立されたインターナショナルデジタルコマース部門を指揮する。インターナショナル部門には、同社が2016年に経営権を取得した東南アジアのAmazon(アマゾン)と呼ばれるLazada(ラザダ)が含まれる。また、Alibabaはトルコの主要なECプラットフォームTrendyolの過半数株式を取得し、南アジアで同社に相当する地位のDarazを買収している。

チャンCEOは社内文書の中で「今後も真のグローバル企業を目指していく中で、海外市場には多くのエキサイティングな可能性と機会があると考えています」と記している。

一方、中国国内の消費者向け市場と卸売市場は統合され、新たに中国デジタルコマース部門が設立され、Trudy Dai(トゥルーディ・ダイ)氏の監督下に置かれる。ダイ氏はこれまで、Alibabaの新たな成長ドライバーである、中国の低所得者層を対象としたバザー「Taobao Deals(淘宝ディールズ)」と、近隣の食料品店を対象とした「Taocaicai」の2つのサービスの陣頭指揮を執ってきた。

画像クレジット:Qilai Shen/Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

中国eコマースのPinduoduoが利益のすべてを農業に投資する理由

ここ数年、Pinduoduo(拼多多、ピンデュオデュオ)は、Alibaba(阿里巴巴、アリババ)の最強挑戦者として広く知られてきた。Alibabaの小売プラットフォームにおける年間アクティブユーザー数が、9月までの12カ月間で8億6300万人だったと報告されている一方、Pinduoduoは9月までの四半期の月間平均アクティブユーザー数が7億4000万人を超えたと発表している。

新たな成長エンジンを求めて、Pinduoduoはライバル企業とは異なる道を歩もうとしている。電子商取引の巨人である両社はともに成長が頭打ちになり始めているが、Alibabaがクラウドコンピューティングに力を入れているのに対し、Pinduoduoが資金を投入しているのは農業だ。

Pinduoduoは8月に「農業分野と農村地域の重要なニーズに直面し、対処する」ことを目的とする100億元(約1770億円)規模の農業プログラムを発表した。この包括的な取り組みには、農業関連のスタートアップ企業に対する出資や、基礎研究や人材育成への助成などが含まれている。

このプログラムは利益を目的としたものではなく、この第2四半期に得られたすべての利益と「今後の四半期に得られる可能性のある利益は、この取り組みに充てられる」と、同社は約束している。

Pinduoduoの農業に対する投資は、農村部の貧困を緩和するための努力であり、中国政府が最近呼びかけている「共同繁栄」(物心両面の豊かさをみんなで共有すること)への回答であるという見方もある。しかし、同社は当初から農業がその中核事業であることを繰り返し主張してきた。

2015年に設立されたPinduoduoは、果物のオンライン販売からスタートし、徐々に商品カテゴリーを広げていった。多くの生産者にとってeコマースは有益だった。中国の農業は、数百万もの小規模な家族経営の農場が中心で、生産した農産物を全国に販売するためには、何重もの流通業者に頼らければならなかった。そのため、農家はわずかな利益しか得られないことも多かった。

農産物の販売業者を誘致するため、Pinduoduoは手数料を免除しており、先週の決算説明会では「将来の四半期」もこの方針を維持する予定だと述べた。農家が登録すると、Pinduoduoは彼らをデジタルストアの運営やマーケティングに長けた人材に育成する。注文が入れば、中国の電子商取引ブームの中で形成された成熟した配送ネットワークを活用し、サードパーティの物流サービスが農産物を消費者に届ける。

農村の農産物を都市部の家庭に届けようとしているのは、Pinduoduoだけではない。AlibabaのTaobao(タオバオ)は、以前から「農業関連の電子商取引」を重要な取り組みとしており、Kuaishou(クアイショウ、快手)のような動画アプリは、ライブストリーミングを通じて農家の販売を支援している。

関連記事:中国版TikTokのライバル「Kuaishou」はオンラインバザールとしても人気

しかし、Pinduoduoは販売だけでなく、農家の生産上の問題に関しても解決に役立ちたいと考えている。

2021年3月にColin Huang(コリン・ホアン)氏の後任としてCEOに就任したChen Lei(チェン・レイ)氏は「エンジニアとしての訓練を受けた私と私のチームは、農業のサプライチェーン全体に導入できる技術ソリューションを見つけることに専念してきました」と、決算説明会で語った

「当社の農業技術への取り組みは、需要と供給をマッチングさせることに留まらず、生産性、栄養組成、環境持続性を向上させるためのアップストリームな技術ソリューションを見出すことにまでおよびます。アグリテックの応用を強化することで、農業が技術に精通した若い世代にとって魅力的なものになることを、私たちは願っています」と、チェン氏は続けた。

販売や栽培のみならず、Pinduoduoは研究機関と協力して、肉や農作物などの生産物に業界標準を導入することにも取り組んでいると、同社の財務担当バイスプレジデントであるJing Ma(ジン・マ)氏は決算説明会で語った。

NASDAQ上場企業であるPinduoduoは、当然ながら投資家に恩義を受けている。第3四半期には、マーケティング費用の削減などにより、2四半期連続で営業利益が黒字となった。その一方で、同社は研究開発費に重点を移しており、これが第3四半期の営業費用の約19%を占めている。

Pinduoduoの農業投資が目に見える形で成果を上げるまでには、しばらく時間がかかりそうだ。例えば、Pinduoduoで販売している1600万人の農家にとって、同社の技術はどのように収穫量の向上に貢献するというのだろうか?

Pinduoduoはいくつか初期の成果を公表している。例えば、同社は2020年、世界中のスタートアップ企業に、最も甘く最も環境に優しいイチゴの栽培を呼びかけ、優勝したチームの精密農業ソリューションは、すでにいくつかの農場に導入されているという。

関連記事:アリババのライバルPinduoduoはなぜ中国の農業に投資するのか

画像クレジット:Pinduoduo / A strawberry grower on Pinduoduo

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ZOZO研究所のマーケティング施策論文がAI分野の国際会議NeurIPS 2021で採択、 ZOZOTOWN実データとソフト実装公開

ZOZO研究所のマーケティング施策論文がAI分野の国際会議「NeurIPS 2021」で採択、 ZOZOTOWN実データとソフト実装公開

ZOZOグループの新規事業開発などを行うZOZO NEXTは12月2日、同社の研究機関ZOZO研究所の所員らが執筆したマーケティング施策に関する論文が、機械学習分野の国際会議「NeurIPS 2021」(12月6日から14日にかけてオンライン開催)の投稿論文を扱う一部門「Datasets and Benchmarks Track」で採択されたことを発表した。タイトルは「再現可能かつ実データに基づいたオフ方策評価に向けた大規模データセットとソフトウェアの構築」。NeurIPSは、ICML、ICLRなどと並ぶ、機械学習の分野で権威あるトップカンファレンスの1つ。

この論文は、ZOZO研究所研究員の松谷恵氏、コーネル大学に在学する齋藤優太氏、粟飯原俊介氏、イェール大学助教授の成田悠輔氏の共著。研究所では、深層学習などのAI技術を研究しているが、その一環として、ZOZOTOWNにおけるマーケティング施策の意志決定に活用するアルゴリズムの評価と検証を効果的・効率的に行うための研究に着手し、その手法の提案に至った。

これまでは、新しく開発した意志決定アルゴリズムを評価するには、実際のサービス環境に実装し、ユーザーの反応を見ることが必要だった。しかしそれには、膨大な実装コストが必要なことに加えて、動作実績のある既存アルゴリズムとの入れ替えなどによりユーザー体験が悪化するという課題がある。

これに対して、実サービス環境に実装しない形でアルゴリズムの性能を予測できる手法として、蓄積されたデータセットを利用する「オフ方策評価」が研究されてきたが、実用性の高いオープンなデータセットが存在していないために、研究は進んでいなかった。

そこで同研究所は、ZOZOTOWNで実際の推薦アルゴリズムで取得された2600万件の推薦データからなる大規模実データ「Open Bandit Dataset」と、その実装基盤となる独自開発のソフトウェア「Open Bandit Pipeline」を、論文発表にともないオープンソースとして公開することにした。これらを使うことで、他の研究機関でもオフ方策評価や意志決定アルゴリズムの性能評価が行えるようになる。

論文で提案された手法は、ZOZOTOWNのマーケティング施策にも実際に導入され、クリック率や購買率の向上に貢献しているとのことだ。

アマゾンは販売業者の売上の3分の1以上を吸い上げ、2021年には13.6兆円をその懐に入れたという

新たな研究によると、Amazon(アマゾン)は、AWSという名のキャッシュカウ(現金を生む牛:収益源)よりも、Marketplaceプラットフォームの手数料から、はるかに多くの利益を得ている。そのレポートによると、Amazonストアの利用に必要な支払手数料は現在、販売業者が売り上げの約34%を同社に渡すまでに膨らんでおり、これが最近ではAmazonの主要な収益源になっている。同社はこのレポートの内容に異を唱えている。

Institute for Local Self-Reliance(ILSR、地域自立研究所)によるレポート「Amazon’s Toll Road(アマゾンの通行料金)」は、主に2つの主張をしている。まず、ILSRの研究者によると、2021年にAmazonは、手数料や広告料の形で販売業者から約1210億ドル(約13兆6700億円)を得た。これは販売業者の総収入の約34%にあたるという。2019年の推定600億ドル(6兆7800億円)の2倍だ。当時は販売業者の売り上げの31%だったという。

創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏自身は、議会で反論しようとした。販売業者からAmazonに入る金額が増えているのは目の錯覚のようなもので、キーワード検索での上位表示や、Amazon独自の配送・倉庫インフラの利用など、アドオンサービスにお金を払うことを選ぶ販売業者が増えているためとした。

AmazonはTechCrunchへの声明で、ILSRのレポートを「不正確」だとし「Amazonの販売手数料とオプションのアドオンサービスを混同している」「Amazonの販売手数料は他のオンライン小売業者より安い」と述べているが、確かに、このレポートはそれらの合計を示している。

しかし、レポートの著者であるStacy Mitchell(ステイシー・ミッチェル)氏が指摘するように、アドオンは、Amazonがそれを利用する販売業者に次々と便宜を図るうちに、オプションから必須のものへと変化してきた。ここ数年のレポートによると、一般的な商品検索における広告やスポンサー付きリストの数が劇的に増加している。また「Fulfilled By Amazon(FBA)」サービスを利用する出品者に付与するスコアボーナスが、特定の人気スポットに商品が掲載されるかどうかに大きく貢献する。しかもそれは、成功した製品をマネするという同社の怪しげなビジネスを考慮に入れていない。

Amazonは、出品者が現時点で2016年の4〜5倍の広告費と掲載料を費やしており、それが同社の収入の大幅な増加に貢献しているという主張には触れなかった。同社は単に、広告の種類やプロセスには幅があり「出品者が商品の視認性を高めるのに役立つすばらしい方法」だと述べただけだ。検索結果でFBAユーザーを優遇していることは否定しているが、上のリンクにあるように、間接的な手段でそれを行っているようだ。

もう1つの主張は、Amazonが販売業者からの手数料によって稼ぐ莫大な収益を隠すために、独創的な会計処理を行っている、すなわち、Marketplace部門の莫大な利益と、配送インフラの構築で発生した莫大な損失をひとくくりにしているというものだ。確かにそれらは関連している。だが、まったく異なる2つの数字の合計を示し、それがビジネスを正確に表していると主張するのは、オープンだとはいえない。これは新しい主張ではないが、ミッチェル氏はこれに関し、具体的に2020年の数字を示しており、一般論の範囲を超えている。

画像クレジット:ILSR

「私たちは、販売業者に課す手数料が、AWSよりも多くの利益を生み出している可能性が高いと結論づけました。このことは、これまでのAmazonの常識に反しています。ニュースでは一般的に、AWSがAmazonの売上高の大半を占めていると説明されています」とミッチェル氏は要約で書いている。「Amazonが販売業者向け広告やその他の手数料から得ているであろうマージンに関するアナリストの推定値をもとに、私たちは、Marketplaceが2020年に240億ドル(約2兆7100億円)の営業利益を生み出していた可能性があると推定しました。これは、AmazonがAWSについて報告した135億ドル(約1兆5300億円)の利益を大幅に上回っています。AWSは長い間、Amazonのキャッシュカウだと見られてきました。しかし、今回のレポートで、このハイテク企業には、見えないところでひっそりと活動する第2のキャッシュカウがあることがわかりました」。

Amazonは、2021年の年間売上高の数字について年度中に「推測することはできない」と語ったが、ILSRレポートに掲載された前年の数字が正確かどうかという追加の質問には答えなかった。

同社の慣行のいくつかは、FTC(米連邦取引委員会)を含め、さまざまな政府権力が精査している。FTCを率いるのは、Amazonのビジネス慣行について問う人間としては、おそらく今や世界で最も有名なLina Khan(リナ・カーン)氏だ。ILSRのレポートは単なる情報提供にすぎず、Amazonはそれを振り払うことができるが、FTCのタスクフォースが同様の疑問を調査し、同様の結論を出しているのであれば、Amazonは冷や汗をかき始めることになるかもしれない。

画像クレジット:Elijah Nouvelage / Getty Images

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがEdgeに後払い・BNPLサービスを標準で組み込むと予告、「ブラウザーが重くなる」など批判が相次ぐ

マイクロソフトがEdgeに後払い・BNPLサービスを標準で組み込むと予告、「ブラウザが重くなる」など批判が相次ぐ

Microsoft

マイクロソフトが自社のEdgeブラウザに「Buy Now, Pay Later」(今すぐ買って、後で支払う/以下BNPL)サービスを標準機能として組み込むと発表した件で、海外ユーザーから批判の声が上がっています。

このBNPLとは、海外や国内でも急速に成長しているデジタル後払い決済サービスのこと。すなわち商品を受け取ってから2週間~1か月程度のうちに、商品に同梱されたり、後日郵送で送られてくる(ないしスマホでペーパーレスの場合もあり)請求書により分割払いができる決済方法です。クレジットカードや銀行口座がなくてもネットショッピングできる手軽さのため、クレカを持たない若者層・クレカを作りたくない高齢者などに利用が広がっています。

さてテックメディアArs Techncaによると、MSは2週間前に「Zip」というアプリをEdgeに直接組み込む予定だと発表。本アプリは旧名がQuadpay(Zipが同業者のQuadpayを買収)で、BNPLサービスが利用できるもの。11月初めに拡張機能として導入され、Edgeのバージョン96以降ではブラウザに標準で組み込まれると公式にアナウンスされています

具体的な挙動としては、ネットショッピングで商品をチェックアウト(決済)する際に、クレジットカード番号を入力するのと同じ欄にオプションとして表示されるかっこうです。Edgeが購入価格を35ドル~1000ドル(Zipサービスがカバーできる価格帯)であると検出すると、Zipがポップアップするしくみ。

Zip支払いオプションは、ストアが望むと望まざるとに関わらず表示されることになります。もしも販売店がZipサービスを利用したくないなら、MSに連絡しなければならない(わざわざオプトアウトする必要がある)と通告されています

ほとんど一方的ともいえるZip導入に対して、MSの公式コミュニティでも批判が相次いで寄せられています。たとえば「ブラウジングをする上で、まったくもって不必要だと思います(中略)こういったものは拡張機能に分けるべきだ。それよりも最低限のリソースしか使わず、安全性も高い、高速なブラウザに興味がある。MacのEdgeはどんどん重くなっていますよ」といった声もあり。

また別のレビュアーは「サードパーティアプリの統合やサービスをやりすぎている(中略)不必要な金儲けのために、せっかくの素晴らしいブラウザを台無しにしないでください。Edgeがアドウェアのゴミとして知られるようになる前に、こういうことを止めましょう」と簡素なあり方から遠ざかる動きに釘を刺しています。

さらにZipは無金利ではあるものの、1回の分割払いごとに1ドルが上乗せされるため、4回払いであれば手数料は4ドルに上ります。これは最大額の1000ドルであれば大した問題ではありませんが、最少額の35ドルであれば実質の金利は11%以上となってしまいます。

より重大な問題としては、ユーザーと加盟店などセキュリティを管理すべき(=攻撃対象にできる)関係者が多くなり、ハッカーが悪用できる潜在的な脆弱性を抱えたコードが増えるという危険も指摘されています。ほかBNPLはクレジットスコア(個人のお金に関わる信用度を数値化したもの)をチェックしないため、犯罪者のターゲットになりやすいとの報道もありました

記事執筆時点ではZipサービスは日本では提供されていないため(米メルカリでは提供開始していますが)国内ユーザーには縁が薄そうな感もあります。が、不要な拡張機能が標準で組み込まれてしまうと、ブラウザの動作が重くなり、非力なPCであれば仕事に支障をきたしかねません。今後のMSの対応を注視していきたいところです。

(Source:Ars Technica。Via The VergeEngadget日本版より転載)

米国でのサイバーウィークのオンライン支出は1.4%減の3.8兆円、早めに始まったセールが影響

米国の消費者がサプライチェーン不足を意識して早い時期に買い物したため、ホリデーショッピングシーズンの幕開けとなる、感謝祭からサイバーマンデーにかけてのサイバーウィークでは、eコマースの売上がわずかに減少した可能性がある。2020年のサイバーウィークの米消費者の消費額は344億ドル(約3兆8910億円)で、前年比20.7%増だった。しかし、AdobeのDigital Economy Indexのデータによると、2021年のオンライン消費は同1.4%減の339億ドル(約3兆8350億円)だった。

Adobeの分析は、米国のeコマースサイトへの1兆回を超える訪問データから得られたもので、18の製品カテゴリーにまたがる1億個の個別SKUを網羅しており、ホリデーショッピングの傾向を包括的に把握することができる。

分析で、ブラックフライデーから売上が減少していることが明らかになった。2021年のブラックフライデーのオンライン売上高は89億ドル(約1兆60億円)で、過去最高だった2020年の90億3000万ドル(約1兆210億円)から1.3%減少し、史上初の前年割れとなった。サイバーマンデーの売上高も前年比1.4%減の107億ドル(約1兆2100億円)で、2020年の108億ドル(約1兆2210億円)に1億ドル(約110億円)及ばなかった。一方、サンクスギビングデーのオンライン売上高は51億ドル(約5770億円)で横ばいだった。

これらの減少額は比較的小さいものだが、ホリデーショッピングの売上高が年々増加するという通常の傾向に逆行している。2020年の報道によると、パンデミックの影響で数年加速したとされるこの業界にとって、これはパンデミックの長期にわたる影響(現在ではサプライチェーンの不足も含む)が、消費者の心理にどのように作用したかを示す顕著な例となっている。Adobeによると、2021年は品不足を心配して、消費者がより早く買い物をした可能性があるという。

これを裏づけるデータがあるようだ。11月(11月1日〜11月29日)の消費者の消費額は1098億ドル(約12兆4155億円)で、2020年に比べて11.9%の大幅増となった。11月のうち22日がオンラインでの消費額が30億ドル(約3390億円)を超えたことを意味する、とAdobeは指摘している。これは新記録で、2020年に同じマイルストーンを達成したのがわずか9日だった。さらに、消費者は10月も買い物をした可能性があると同社は指摘している。

Adobe Digital InsightsのディレクターTaylor Schreiner(テイラー・シュライナー)氏は、サイバーウィークの調査結果について次のように述べている。「10月に早いセールがあり、消費者はサイバーマンデーやブラックフライデーといった大きな買い物デーをずっと待っていませんでした。サプライチェーンの問題や商品の在庫状況に対する懸念の高まりがさらに拍車をかけました。10月と11月のeコマース支出が分散され、オンラインショッピングの記録を更新するシーズンになりそうです」。

言い換えれば、2021年の売上は必ずしも全体的に減少するわけではなく、以前ほど集中しないということだ。実際、パンデミックの影響でオンラインショッピングが習慣化され、消費者は例年のようにブラックフライデーやサイバーマンデーの大規模なセールを待つのではなく、通常の活動と並行してホリデーシーズンの買い物をするようになったのかもしれない。

今回の減少にもかかわらず、年末商戦のピーク時には、例年とほぼ同じような状況が見られた。サイバーマンデーの買い物客は、おもちゃ(売上は2021年9月のシーズン前水準の約11倍)、ギフトカード(7倍)、書籍(7倍)、ビデオゲーム(6倍)、ベビー・幼児用品(6倍)など通常のカテゴリーで、2021年9月の売上と比較してより多く購入した。また、電子レンジや小型キッチン用品などの電化製品の売上もそれぞれ9.6倍、7.1倍となり、このカテゴリーの増加率は5.6倍となった。

加えて、2021年はスマートフォンによる売上も増加しており、例えばサイバーマンデーのスマートフォンによる売上は前年比8.4%増だった。しかし、これは実際には軌道修正を意味している。パンデミック前は、スマートフォンでの売上がオンライン売上の50%超を占めると予想されていた。しかし現在、自宅で仕事をしている消費者は、以前ほどスマホから買い物をする必要がないのだろう、とAdobeは指摘している。

買い物のパターンは異なるようだが、ホリデーシーズン全体では新記録を更新するとAdobeは見込んでいる。11月1日から12月31日までの期間、消費支出額は前年同期比10%増の2070億ドル(約23兆4000億円)に達すると同社は予測している。

画像クレジット:John Lamb / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

日本の精神を体現した持続可能で高品質な製品やブランドの成長と海外進出を支援するForest

COOの西澤正文氏、CEOの湯原 伸悟、投資家のMichael Takahashi(マイケル・タカハシ)氏(画像クレジット:Forest)

日本は、古来より伝統的な美術工芸品の発祥の地だ。熟練したの職人技、細部に至る細心の注意、デザインと機能のバランスがあいまって、陶磁器、伝統的織物、和紙、木工、ガラス、弁当箱など日本独特のさまざまな製品を生み出してきた。

こうした職人技は世代を超えて受け継がれ、現代の日本に生きている。しかし、販売に成功するためのスキルとツールを持たない職人たちは、目まぐるしく変わる21世紀のビジネス環境から置き去りにされている。

近年、安い量産品から個人のニーズやライフスタイルに合う多様化した製品へとシフトする消費者需要に答えるために、数多くのeコマース起業家が独自の製品やブランドを立ち上げ始めた。

日本のeコマースアグリゲーターであるForest(フォレスト)は、日本の精神を生かした持続可能で高品質な製品とブランドを見出し、テクノロジーの力を使って、その成長と国際市場への参入を支援することを目指している。

米国時間11月24日、Forestは9億円のシードラウンドをThe University of Tokyo Edge Capital Partners(UTEC、東京大学エッジキャピタルパートナーズ)およびNordstar Partners(ノードスター・パートナーズ)のリードで完了したことを発表した。

同社は新たな資金を用いて、起業家たちによって注意深く育まれ、集められてきた日本の300以上のeコマースブランドを買収する計画だ。Forestは、デジタルマーケティング戦略を大規模に適用することで、データ分析を通じて販売を最適化し、在庫計画を強化するとともに、eコマースの国境を超えた拡大を支援する。

現在Forestは最初の買収案件をまとめているところだ。今後も、売上100万ドル(約1億2000万円)から500万ドル(約5億8000万円)のブランドを探し続け、2022年には売上1000万ドル(約11億5000万ね)以上の企業を買収する目標だと、ForestのCEO湯原伸悟氏がTechCrunchに話した。

同社はさらに、2000~3000万ドル(約23億1000万〜34億6000万円)のエクイティおよびデットプロバイダーからの資金調達を2022年前半に行う予定だと湯原氏はいう。

Forestは、Amazon(アマゾン)、Rakuten(楽天)、ZOZOTOWN、Yahoo Japan(ヤフー・ジャパン)、Shopify(ショッピファイ)などのマーケットプレイスに着目している。

関連記事:アジア太平洋のAmazonマーケットプレイスのブランド統合を狙うRainforestが39.4億円調達

2021年7月に湯原氏とCOOの西澤正文が共同設立したForestは、国際市場ではRainforest(レインフォレスト)、Una Brands(ウナ・ブランズ)、Thrasio(スラシオ)などのeコマースアグリゲーターと競合する。Forestは、初めての日本市場に特化したアグリゲーターだと主張する。同社は当初日本市場に焦点を合わせていることから、RainforestやThrasioを純粋なライバルとは見ていない、と湯原氏はいう。

Thrasioは3月に、Amazon Japanなどのeコマースプラットフォームで販売されている日本のブランドや製品を買収するために、日本支社を立ち上げた

日本の2020年のeコマース市場規模は1650億ドル(約19兆円)になると日本の経済産業省の報告書は推計している。

「Forestへの投資は当社のITセクターへのシードラウンド投資の中で最大規模です。かつて私は家族経営のアパレル事業を経営し、中小企業の苦悩と限界を実体験してきました。Forestならこうした問題を解決し、テクノロジーの力を通じてそれらの企業の可能性を引き出すことができると固く信じています」とUTECのパートナー、坂本教晃取締役が語った。「この魅力的な市場機会に挑戦する経験豊富の創業者たちと仕事をすることは楽しみであり、リードインベスターの1社として参加できることを光栄に思います」。

「Forestという、日本のニッチなブランドを買収してスケーリングする大きなチャンスを利用する優位な位置にいる企業に投資できることを大変喜んでいます」とNordstarのマネージングパートナー、Ole Ruch(オレ・ルッチ)氏はいう。

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フランス当局が偽造品や危険な製品を扱うeコマースプラットフォームWishの削除を検索エンジンなどに要請

フランスの複数の閣僚が共同声明を発表し、フランスで運営されている主要な検索エンジンとモバイルアプリストアに対し、Wish(ウィッシュ)のウェブサイトとモバイルアプリを完全に非表示にするよう要請したことを明らかにした。Wishは、人気のeコマースプラットフォームで、主に中国の業者の商品を扱っている。商品は業者から顧客に直接発送されるため、在庫は抱えていない。

消費者の権利と詐欺を担当するフランスの行政機関は2020年、Wishの調査を開始した。当時、DGCCRF(競争・消費・詐欺防止総局、Director générale de la concurrence, de la consommation et la répression des fraudes)は、Wishが有名ブランドのロゴを示す画像を不正確に掲載したスニーカーや香水など消費者を簡単に誤解させる偽造品を販売しているのではないかと疑っていた。

関連記事:フランス当局が偽造品販売容疑でモバイルショッピングの「Wish」を捜査

そこでフランス政府は、Wishで販売されている140種の商品を注文したが、そのほとんどが輸入品だった。これを受け、政府はそうした商品が安全かどうかを調べることにした。

Wishで購入したおもちゃの95%が欧州の規制に適合しておらず、そのうち45%が危険だと判断された。電子機器については、95%が欧州では販売されてはいけないはずのもので、そのうち90%が何らかの形で危険なものだった。

さらに、同プラットフォームで販売されている安価なコスチュームジュエリーにもリスクがあり、政府が注文したものの62%が危険とみなされた。繰り返しになるが、これらの指標は商品140点という非常に小さなサンプルに基づいている。

Wishが危険な商品を販売しているという通知を受けた場合、それらの商品は24時間以内にマーケットプレイスから削除されることが求められる。しかし「ほとんどの場合、それらの商品は別の名前で販売されたままであり、時には同じ販売者からも販売されている。同社は、不適合で危険な商品の取引に関する記録を一切残していない」とフランス経済省は声明で述べている。

同調査によると、Wishは危険な製品を購入したことを顧客に通知する際、製品回収の理由については言及していない。

2021年7月、消費者の権利と詐欺を担当するフランスの行政当局はWishに通知し、eコマースと製品安全に関する欧州の規制を遵守するよう求めた。当局は、さらなる行動を起こす前に2カ月間の猶予を与えた。

そして4カ月後、フランス政府は最近の欧州規制の変更を利用して、問題のあるウェブサイトやアプリの参照元を外したり、ブロックしたりしている。これは複雑なプロセスだが、経済省は検索エンジンやアプリストアにWishの参照解除を要請するよう、担当行政機関に依頼した。本稿執筆時点では、WishはまだApp Storeで利用でき、Googleの検索結果にもWishのウェブサイトが表示される。

今後、Wishはフランスでシャドーバンされる。ウェブサイトは今後も利用でき、すでにスマホにダウンロードしているアプリも機能する。しかし、App Store、Play Store、Googleの検索結果には表示されなくなる。

Wishがフランスの規制を遵守するために適切な変更を実施したと行政が判断すれば、シャドーバンを解除する可能性がある。今回の過激な決定によってフランスは前例を作り、ウェブがますます細分化されていることを改めて示している。この場合、フランスは消費者の最善の利益のために行動するとしている。

また、欧州で予定されているデジタルサービス法が、ドロップシッピング全体に大きな影響を与えるかどうかも注目される。欧州は、2000年に制定されたeコマース指令をデジタルサービス法で抜本的に見直す予定だ。

画像クレジット:Kira auf der Heide / Unsplash

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

イタリアがアマゾンとアップルに約264億円の制裁金、Beats製品の再販で

Amazon(アマゾン)とApple(アップル)は、AmazonのイタリアのeコマースマーケットプレイスでのAppleおよび(アップル所有の)Beats製品の再販に関する調査の結果、イタリアの反トラスト当局から総額約2億3000万ドル(約264億円)の制裁金を科せられた。

当局によると、両社は共謀し、AmazonイタリアのマーケットプレイスでAppleおよびBeatsの製品を購入する消費者が受けられる割引の水準が低下した疑いがあるとのことだ。

また、再販業者に対する制限を廃止するよう両社に命じた。

AGCM(イタリア競争・市場保護委員会)は現地時間11月23日、制裁措置を発表し、調査の結果、Amazon.itにおけるBeats製品の一部の「正当な」再販業者を阻止するために、2社間で制限協定があったことが判明したと述べた。

制裁金の内訳は、Amazonが1億3450万ユーロ(約174億円)、Appleが6870万ユーロ(約89億円)となっている。

問題の協定は、2018年10月に2社間で締結された。

AGCMのプレスリリースによると、この協定には、AppleおよびBeatsの製品の公式および非公式の再販業者がAmazon.itを使用することを禁止する多くの契約条項が含まれていることがわかった。Amazon.itでのAppleおよびBeatsの製品の販売をAmazonと、当局が「個別に差別的な方法で選ばれた」とするいくつかの再販業者に限定するという制限があり、これは欧州連合の機能に関する条約第101条に違反する。

「調査の結果、小売業者の数に純粋に量的な制限を設け、Amazonと差別的な方法で選ばれた特定の小売業者のみがAmazon.it上で販売できるようにする意図があることが判明した」と当局はリリースに記している(TechCrunchはイタリア語をGoogle翻訳で翻訳した)。

「この協定条件は、小売業者が地理的に差別されているため、国境を越えた販売も制限している。協定の制限は、サードパーティがAmazon.itで提供する割引の水準に影響を与え、その割引の度合いを縮小させた」。

当局は、Amazonのローカルマーケットプレイスが、同国における家電製品購入の少なくとも70%を占めており、そのうち「少なくとも40%は、Amazonを仲介プラットフォームとして利用している小売業者だ」と指摘している。

「それゆえ、競争ルールの適用は、特に今日の状況において、商業活動をする上でますます重要な場所としてマーケットプレイスを利用するすべての小売業者にとって、競争を制限する差別的行為を避け、公平な競争条件を確保することが不可欠だと思われる」と付け加えている。

「こうした観点から、当局の決定は、EU司法裁判所の判決に沿って、競争規則に適合するためには、販売システムは差別的ではなく、すべての潜在的な再販業者に等しく適用される質的基準に基づく必要性を認めている」。

さらにイタリア当局は、Amazon・Apple間の協定に関する調査を踏まえ、ドイツとスペインの競争当局が同様の手続きを開始したことを指摘している。

スペインのComisión National de los Mercados y la Competencia(国家公正競争市場委員会)は今夏、AmazonとAppleに対する懲戒手続きの可能性を発表し、独自の調査を開始した(調査完了までに最大18カ月かかるとされている)。

一方、2018年には、ドイツのBundeskartellamt(連邦カルテル庁)が、Amazonのマーケットプレイス販売者からの苦情を受けて、同社に対する不正行為の手続きを開始した。Amazonが販売者向けの一般取引条件を修正し、競争上の懸念を軽減するための追加変更を約束したことで、翌年、2019年には手続きを終了した。

直近では、デジタルプラットフォームに関するドイツの競争法が大幅に改正されたことを受けて、連邦カルテル庁が両社の市場支配力の審査手続きを開始した。同法では、両企業が「市場間競争にとって極めて重要である」ことが確認された場合、連邦カルテル庁は、市場濫用のリスクを抑制するために、AmazonとAppleがドイツ国内で事業を行う際に積極的に条件を課す事前措置を適用することができる。

今回のAGCMの決定について、AmazonとAppleにコメントを求めた。

本稿執筆時点ではAppleからの回答はなかったが、Amazonは控訴することを明らかにし、広報担当者は以下の声明を発表した。

「当社は、イタリア競争当局(ICA)の決定に強く反対しており、控訴する予定です。提案された罰金は不釣り合いで不当なものです。

当社のビジネスモデルは販売者の成功に依存しているため、販売者を当社のストアから排除することでAmazonが利益を得ているというICAの指摘は受け入れられません。協定の結果、イタリアの顧客は当社のストアでAppleおよびBeatsの最新の製品を見つけることができ、より良い価格、そしてより迅速な配送をともなう、2倍以上に増えたカタログの恩恵を受けています」

また、Amazonは、Appleとの協定は消費者にとって有益だと主張し、マーケットプレイスで購入できるApple製品の量が増えたことや、一部のApple製品に割引が適用された個別の事例を紹介した。

Amazonは、同社のマーケットプレイスが世界の小売市場の1%にも満たず、イタリアを含む同社が事業を展開しているすべての国に、より規模の大きい小売業者が存在すると述べ、いかなる市場支配も否定しようとしている。また、企業はApple製品を販売するために、オンラインと店頭の両方で複数のチャネルを持っていると主張している。

Amazonのマーケットプレイスにおける売上の約60%はサードパーティの販売者が占めており、その中にはAmazonで販売しているイタリアの中小企業約1万8000社も含まれる、とも付け加えた。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、EUの違約金3145億円のGoogleショッピング独占禁止決定を覆せず

Google(グーグル)の購買比較サービス(Googleショッピング)に対する2017年のEU反トラスト事実認定における異議申し立ては、欧州連合の一般裁判所により大部分が棄却された。

これは欧州委員会の反トラスト部門にとって重要な勝利であり、近年、同部門はGoogleに対する複数の決定を含め、このビッグテックに対する強制執行を次々と行ってきた。しかし、2021年の夏はApple(アップル)への追徴課税に対して大きく敗訴していた

米国時間11月10日、欧州の一般裁判所は、製品比較検索サービスであるGoogleショッピングに関連して、競争の濫用に対してGoogleおよびその親会社のAlphabet (アルファベット)に4年以上前に課せられた24億2000万ユーロ(約3145億円)の違約金を支持した。

GoogleがGoogleショッピングに対するさらなる上訴を求めるかどうかは定かではない。

広報担当者は質問に対するコメントを避けた。2017年に、委員会はGoogleがその自社の名を冠した購買比較サービスを派手に目立たせる一方で、同時にオーガニック検索結果でライバルの順位を下げることにより、検索の支配的立場を濫用していることに気づいた。

Googleとその親会社のアルファベットは判決に対して上訴したが、一般裁判所は請求のほとんどを取り下げた。認可を受けた行動が反競争的であり、Googleがより良い結果のために役立つよりも、その比較購買サービスを競合サービスより優遇したことに同意した。

判決に関するプレスリリースで、裁判所はもう1つの問題ある戦術についても読み上げた。「Googleはその後、競合の比較購買サービスが有料で『ボックス』内に表示させることでその結果表示の質を高められるようにしたが、一般裁判所はそのサービスがビジネスモデルを変えてGoogleの直接の競合となることをやめ、代わりにその顧客になってその比較購買サービスに依存していると述べた」。

さらなる事実認定では、裁判所はGoogleの反競争的行為がその競合にとって有害な影響があることに同意した。そして比較購買グサービスの競合がその市場の販売者プラットフォームの存在により深刻な状態のままだというGoogleの主張を受け入れず、それらのプラットフォームが同じマーケットにないとの委員会の評価に同意した。

Googleにとってせめてもの救いは、委員会がテックジャイアントの行為が一般的な検索サービスのマーケットに(可能性も含め)反競争的影響を及ぼしたことを確証しなかったことに裁判所が気づいたことだ。そのマーケットだけに関して違反の発見を取り消した。

しかし、もう一度いうが、比較購買に特化した検索サービスの委員会の市場分析(およびその中におけるGoogleの反競争的活動)を支持した。

また、裁判所は、Googleのその行為が「検索サービスの質を向上させた」ため客観的に正当化されるという主張を退けた。

そして平等な扱いの提供を妨げる技術的制約についてのGoogleの請求を棄却した。

「Googleは競争に対するその負の影響を相殺する慣行に結び付いた効率の向上を示さなかった」。プレスリリースにはそう付け加えられた。

委員会により課された制裁金のレベルを支持するときに、裁判所はそれが取り消した判定の一部が罰金額に影響しないと述べ(「委員会が罰金の基準額を判断するためにそのマーケットでの販売額を考慮しなかったため」)、また行為が不注意によるものではなく意図的であるという事実を考慮し「特に違反の深刻な性質」として説明されるものを強調した。

委員会は、判定が「Googleの行為が違法で、それがマーケットに必要な法的明確性を提供する明確なメッセージを伝える」ものであると述べた。

「比較購買は、eコマースがどんどん小売業者や消費者にとって重要になってきた時に消費者に重要なサービスを提供します。デジタルサービスが私達の社会に偏在している今、消費者は情報に基づいた、偏見のない選択を行うためにそれらに依拠できるようになるべきだ」。と、委員会は声明で述べた。

委員会は「すべてのツールを自由に」続けて使用し「企業やユーザーがエンドユーザーやデジタルサービスにアクセスするために利用する大きなデジタルプラットフォームの役割に対応する」と付け加え、現在欧州議会および理事会により議論がなされており「公平性と競争可能性 」の確保を目的としたそのデジタルマーケット法規制の提案を指摘した。

その独自の声明内で判決に反応し、Googleの広報担当者は書面でいかなる重要性も軽視しようとした。

ショッピング広告は常に人が求める製品を迅速かつ簡単に探すのを助け、商売人が潜在顧客にリーチするのを助けてましきた。今回の判定は、非常に特定の事実に関連するものであり、念入りに読むと、2017年に欧州委員会の判定に準拠するよう変更を行いました。当社のやり方は3年以上うまく機能しており、700を超える比較購買サービスで何十億回のクリックを生み出しています。

しかしGoogleのローカル検索分野におけるライバルの1社、Yelp(イェルプ)は判定に付けこみ「他のバーティカルにおける行為の種類違法性の迅速な評価」のための枠組みを確立したと述べ、委員会にローカル検索に関してGoogleに対し措置を取るよう求めています。

「Yelpは欧州の一般裁判所による今日の判決、つまりGoogleがバーティカルの検索サービスの競合を消すために一般的な検索における支配を濫用したことをいかなる効率に関する正当な理由なく違反と認定したことを歓迎している」とパブリックポリシーのSVP、Luther Lowe(ルーサー・ロー)氏は声明で述べた。

「ピュロスの勝利を受け入れるよりも、欧州委員会は今こそ望ましい前例を受け入れ、ローカル検索市場における同時濫用でGoogleを告訴し、Yelpのようなサービスが実力で競争できるようにしなければなりません」。彼は続けた。「現在覚えておくことは難しいかもしれせんが、Googleとその同種のビッグテックはいつもこれほど不人気とは限りませんでした。2015年、欧州委員会の副委員長であるVestager(ベスタージャー)氏はGoogleの濫用が受け入れられないことを世界に見せるという驚くような勇気を見せました。彼女はこの勇気を称えられるべきです」。

「しかしこの期間における歴史の判断はこのオデッセイが最終的に欧州の消費者に目に見える影響を生み出したかどうかに基づきます。そのためこれらのツールが、競争が救いのままである市場で活用されることが必須なのです」。

その間に、Googleには他のEU反トラストの事実認定(AndroidおよびAdSense)に対する上訴のパイプラインに加えて、そのアドテックのEUの公開調査がある。母国の多数の反トラスト事例はいうまでもない。

したがって、その弁護士達は今回の損失の派生効果に関係なく非常に忙しい日々を過ごすだろう。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

オンライン小売業者の偽チャージバック対策をAIで支援するJusttが計80億円を調達して登場

チャージバック軽減に取り組むテルアビブ拠点のスタートアップJustt(ジャスト)は現地時間11月16日、総額7000万ドル(約80億円)となる資金調達でステルス状態から登場した。

2020年2月にRoenen Ben-Ami(ロエネン・ベン・アミ)氏とOfir Tahor(オフィール・タホール)氏によって創業されたJusttは、オンライン小売業者に代わってチャージバック異議を完全に自動化する、と話す。同社は最近、コネチカット州グリニッジを拠点とするOak HC/FTがリードしたシリーズBラウンドで5000万ドル(約57億円)を調達した。このラウンドは、2月にZeev Venturesがリードした1500万ドル(約17億円)、2020年11月にF2 Venture Capitalがリードした500万ドル(約5億7000万円)の資金調達ラウンドに続くものだ。Justtの戦略的個人投資家には、PayPalの元社長David Marcus(デイビッド・マーカス)氏、Square Capitalの元代表Jacqueline Reses(ジャックリーン・ローズス)氏、DoorDashの幹部Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏などがいる。

以前AcroChargeという社名だったJusttは、年間経常収益(ARR)が2020年9月に比べて900%増加していると話す。従業員数は1年前の3人から110人超に増加している。同社は、シリーズBでの評価額については明らかにしなかった。

知らない人のために説明すると、チャージバックとは、クレジットカード会社が小売業者に対して、不正な取引や問題のある取引の損失を補填するよう要求することだ。Justtは、自社開発した人工知能を用いて、世界中の小売業者が偽のチャージバックに対処できるようにすることを目指している。

偽のチャージバックは「フレンドリー詐欺」とも呼ばれ、消費者がクレジットカードやデビットカードへの請求に不正に異議を唱えることで、金融機関が支払いをキャンセルし、小売業者が損失を被る。JusttのAI駆動の技術は、不正なチャージバックにフラグを立てるように設計されている。不正なチャージバックは通常、異議の85%以上を占め、年間1250億ドル(約14兆円)超の損失につながっているとJusttは話す。同社は、カードプロセッサーを統合している各小売業者に合わせたシステムを構築し、不正なチャージバック請求を否定する証拠を収集してその情報を小売業者に代わってクレジットカード会社に提出する。

最終的には、フィンテックのユニコーン企業Melioや、ブロックチェーンベースの決済会社Wyreなど、大企業を中心とした企業の社内チャージバック軽減プログラムに置き換わることを目指している。Justtは顧客のために月に1万件以上のチャージバックを処理している。

「チャージバックシステムは基本的に不正なものですが、多くの業者はその損失を単にビジネスのコストと捉えています。Justtではもっと良い方法があると信じています。eコマースの販売業者は、この古めかしいシステムを乗り越えるために誰かの助けを必要としているのです」とCEOで共同創業者のタホール氏は話した。

タホール氏は、Chargehound、Chargeback.com、Midigatorなど同業他社と自社は異なると考えている。これらの企業は技術的ツールを提供しているが「それでも顧客はテンプレートの作成や証拠の収集に必要な専門知識を備えた社内チームを維持する必要がある」。

「これらのシステムは、最適化と成功率の向上を顧客のチームに依存しており、Justtのようなフルサービスのソリューションは提供していません」とタホール氏は指摘する。

他の競合他社はフルサービスを提供しているが、顧客のチャージバック処理を支援するためにオフショアチームを使って証拠作成を手作業で管理していると同氏は主張する。

「技術的な要素がないため、オフショアチームは一般的なテンプレートに頼ってしまい、パフォーマンスの低下を招いています」。

同氏によると、Justtは調査チームが小売業者の精算プロセス、利用規約、確認メール、チャージバック理由コードなどを分析し、よりカスタマイズされたサービスを提供する点が異なるという。

同社のビジネスモデルは、潜在的な顧客のリスクを最小限に抑えるように設計されている。顧客の売上が回収されない限り、顧客には何の請求もない。

「我々のビジネスモデルはすべて成功に基づいています。統合費用や案件ごとの費用は一切ありません。当社が手数料を請求するのは、小売業者が取引詐欺の減少によって実際に節約できた場合のみです」とタホール氏はTechCrunchに語った。

Justtが設立されたのは、パンデミックによってオンライン取引が急増し、それにともなって不正なチャージバック行為が急増した時期だった。

「それ以来、当社のソリューションに対する需要はうなぎのぼりです。これは、オンラインビジネスやオンライン取引の一般的な成長と、経済的圧力、サプライチェーンの問題、配達遅延など特定のプレッシャーによって引き起こされたもので、不正取引の取り消しの増加に拍車をかけています」とタホール氏は話した。

同社は、新たに得た資金を製品開発、販売、マーケティングに「重点的」に投資する予定で、ここには販売とマーケティングの業務を米国と欧州に拡大することも含まれている。また、2022年にはイスラエルの研究開発部門の人員を3倍に増やすことも予定している。

タホール氏は「今回の資金調達により、ニューヨーク市に米国本社を設置し、西海岸のオフィス開設の準備を行うなど、北米市場への積極的な進出を計画しています。また、市場機会に応じて、欧州地域へのサービス提供にも投資していきます」と述べた。

Oak HC/FTのパートナーMatt Streisfeld(マット・ストリスフェルド)氏によると、Justtでは取引後に発生する不正なチャージバックによって失われた60〜80%の収益を取り戻すことができる。

eコマースブームでは不正チャージバックによる企業のリスクが高まっているにもかかわらず、不正なチャージバックを特定して追跡し、異議を唱え、失われた収益を回収するシステムを導入しているブランドはほとんどない、とストリスフェルド氏は指摘する。

「ほとんどのブランドは、これらの損失を単に帳消しにしています。これは持続不可能でコストのかかるアプローチであり、小売業者が新たな方法を模索する中で、Justtは今後5年間で記録的な普及を遂げるはずです」と同氏は電子メールに書いた。

画像クレジット:Justt

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

ギフトを贈るモバイルアプリ「Goody」がホリデーシーズンに合わせさらなる資本を獲得

Goodyの共同創業者兼CEOのエドワード・ランド氏(画像クレジット:Goody)

ギフトを贈ることは必ずしも簡単ではないが、Goody(グッディ)は、それをテキストを送るのと同じくらい簡単にしたい。

マイアミを拠点とする同社は、2020年12月に、ローブからクッキー、多肉植物、スパトリートメントまで、厳選されたギフトのリストとともに始まった。必要なサイズを知らなくてもギフトを選ぶことができ、受け取った人はサイズや種類を選んだり、同じような価格のギフトと交換したりすることができる。

Goodyのアプリ画面(画像クレジット:Goody)

Goodyは消費者向けのアプリとしてスタートし、現在は企業間のギフト用にGoody+というウェブサイトも展開している。Goody+は4月にサービスを開始して以来、1000社以上の企業が利用している。

この11ヵ月間、同社は好調で、2021年3回目のラウンドを迎え、共同創業者兼CEOのEdward Lando(エドワード・ランド)氏が「ステップアップ」と呼ぶ1500万ドル(約17億1900万円)の資金を、Lantin America Fund(ラテンアメリカファンド)を通じてSoftBank(ソフトバンク)から調達した。

「2021年初めにNEAから1310万ドル(約15億円)のシリーズAを調達し、Index(インデックス)から400万ドル(約4億5000万円)のシードラウンドを調達した後、我々には十分な資金がありました」、ランド氏はTechCrunchの取材に対し語った。「チームに資金を投入しましたが、多くの関心が寄せられていました。また、ホリデーシーズンはeコマース企業にとって大きなイベントですので、完全なシリーズBは行わず2022年に行うことにし、拡大のために高い条件で資金を調達することにしました」。

短期間で約3200万ドル(約36億6800万円)を調達したGoodyは、今後のブランドとの提携を含め、法人向けギフトの既存製品、機能、サービスの拡大に注力している。新機能の中には、アプリ内で誕生日のリクエストをすると、ユーザーにポイントが付与されるというゲーム性のあるものもある。

消費者向けアプリとデスクトップツールを合わせて、2021年の第2四半期から第3四半期にかけて5000%の成長を記録しており、ランド氏は9月と10月に送られたギフトの量が615%増加したと述べている。

「Goodyへの投資には期待しています」、SoftBank Lantin America FundのマネージングパートナーであるShu Nyatta(シュウ・ニャッタ)氏は、書面による声明で述べた。「企業向けのギフトや従業員のエンゲージメントには、多くの空白があります。このスペースに消費者レベルの楽しいアプローチを提供するチームを見るのはとてもエキサイティングです。私たちは、Goodyが米国だけでなく、ラテンアメリカでもサービスを拡大できるよう支援していきたいと思います」。

Goodyは、2420億ドル(約27兆7400億円)の市場規模があると推定されているギフトサービス、特に法人向けのギフトサービスに資金を集めた最新の企業だ。2021年これまでに、Reachdesk(リーチデスク)が4300万ドル(約49億円)、Sendoso(センドソ)が1億ドル(約114億円)、Alyce(アリス)が3000万ドル(約34億円)を調達している。

ランド氏は、2022年までにGoodyを「米国における主要な雇用者の幸福とエンゲージメントのプラットフォーム」のレベルに押し上げるために、このパイの大きな部分に食い込もうとしている。また、フランスで育った彼は、ラテンアメリカに加えて、他の国での展開も視野に入れている。

 

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

ギフトを贈るモバイルアプリ「Goody」がホリデーシーズンに合わせさらなる資本を獲得

Goodyの共同創業者兼CEOのエドワード・ランド氏(画像クレジット:Goody)

ギフトを贈ることは必ずしも簡単ではないが、Goody(グッディ)は、それをテキストを送るのと同じくらい簡単にしたい。

マイアミを拠点とする同社は、2020年12月に、ローブからクッキー、多肉植物、スパトリートメントまで、厳選されたギフトのリストとともに始まった。必要なサイズを知らなくてもギフトを選ぶことができ、受け取った人はサイズや種類を選んだり、同じような価格のギフトと交換したりすることができる。

Goodyのアプリ画面(画像クレジット:Goody)

Goodyは消費者向けのアプリとしてスタートし、現在は企業間のギフト用にGoody+というウェブサイトも展開している。Goody+は4月にサービスを開始して以来、1000社以上の企業が利用している。

この11ヵ月間、同社は好調で、2021年3回目のラウンドを迎え、共同創業者兼CEOのEdward Lando(エドワード・ランド)氏が「ステップアップ」と呼ぶ1500万ドル(約17億1900万円)の資金を、Lantin America Fund(ラテンアメリカファンド)を通じてSoftBank(ソフトバンク)から調達した。

「2021年初めにNEAから1310万ドル(約15億円)のシリーズAを調達し、Index(インデックス)から400万ドル(約4億5000万円)のシードラウンドを調達した後、我々には十分な資金がありました」、ランド氏はTechCrunchの取材に対し語った。「チームに資金を投入しましたが、多くの関心が寄せられていました。また、ホリデーシーズンはeコマース企業にとって大きなイベントですので、完全なシリーズBは行わず2022年に行うことにし、拡大のために高い条件で資金を調達することにしました」。

短期間で約3200万ドル(約36億6800万円)を調達したGoodyは、今後のブランドとの提携を含め、法人向けギフトの既存製品、機能、サービスの拡大に注力している。新機能の中には、アプリ内で誕生日のリクエストをすると、ユーザーにポイントが付与されるというゲーム性のあるものもある。

消費者向けアプリとデスクトップツールを合わせて、2021年の第2四半期から第3四半期にかけて5000%の成長を記録しており、ランド氏は9月と10月に送られたギフトの量が615%増加したと述べている。

「Goodyへの投資には期待しています」、SoftBank Lantin America FundのマネージングパートナーであるShu Nyatta(シュウ・ニャッタ)氏は、書面による声明で述べた。「企業向けのギフトや従業員のエンゲージメントには、多くの空白があります。このスペースに消費者レベルの楽しいアプローチを提供するチームを見るのはとてもエキサイティングです。私たちは、Goodyが米国だけでなく、ラテンアメリカでもサービスを拡大できるよう支援していきたいと思います」。

Goodyは、2420億ドル(約27兆7400億円)の市場規模があると推定されているギフトサービス、特に法人向けのギフトサービスに資金を集めた最新の企業だ。2021年これまでに、Reachdesk(リーチデスク)が4300万ドル(約49億円)、Sendoso(センドソ)が1億ドル(約114億円)、Alyce(アリス)が3000万ドル(約34億円)を調達している。

ランド氏は、2022年までにGoodyを「米国における主要な雇用者の幸福とエンゲージメントのプラットフォーム」のレベルに押し上げるために、このパイの大きな部分に食い込もうとしている。また、フランスで育った彼は、ラテンアメリカに加えて、他の国での展開も視野に入れている。

 

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

楽天市場で「ライブ動画配信」が可能に、ライブコマース本格始動

楽天市場で「ライブ動画配信」が可能に、ライブコマース本格始動

楽天のECサービス「楽天市場」でライブ動画配信機能の本格提供が11月15日に始まりました。

出店店舗は、各店舗ページで最大90分間のライブ動画配信が可能になり、写真や商品説明文では伝えきれなかった商品の特徴や魅力を、動画で訴求できるようになります。

また、「楽天市場」内で開催する「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」、季節のイベントなどと連動。各店舗のライブ配信を紹介するページ「楽天市場ショッピングチャンネル」にて最大30分間のライブ動画を配信することもできます。

ユーザーは、スマートフォンやパソコンから配信動画を視聴し、リアルタイムでコメントや商品に関する質問を投稿できます。出店店舗や動画出演者と双方向でのコミュニケーションを取りながら、商品を検討し購入できるほか、視聴者限定の特典を提供することもできます。

(Source:楽天市場(PRTIMES)Engadget日本版より転載)

Promoted.aiは膨大な商品があふれるマーケットプレイスで買い手と売り手をマッチングさせるツールを開発

現在、マーケットプレイスには多くの商品が溢れている。それらは買い手に見付けてもらうのをただ待つしかないため、売り手になるのは大変だ。Promoted.ai(プロモーテッド)は、そんなマーケットプレイスの検索で、買い手と売り手をマッチングさせるツールを開発し、人々があなたの商品を見つけるための手助けをしようとしている。同社はその仕事を継続するために200万ドル(約2億3000万円)の資金を調達した。

Promotedは、Pinterest(ピンタレスト)のエンジニア兼エンジニアマネージャーだったAndrew Yates(アンドリュー・イェーツ)氏とDan Hill(ダン・ヒル)氏の2人が起ち上げた会社で、買い手がもっと簡単に欲しいものを見付けられるようにして、それがリピート購入につながるようにしたいと考えた。そして売り手には、自分の商品が検索でどのように表示されるかをすぐに確認でき、販売を改善するためのツールを提供したいと考えた。

「私たちは、検索されたすべての商品について、誰かが興味を持って最終的に購入することになるのは何であるかを予測します」と、イェーツ氏はTechCrunchの取材に語った。「これは、完全なパッケージです。私たちが業界や顧客から発見したことは、適切な場所に適切なタイミングでデータを置くことができるように、データインフラが必要だということです」。

Promotedの技術は単なるアイテムではなく、全体像の最適化であると、イェーツ氏は説明する。つまり、大規模な販売者と小規模な販売者の間で注目度を共有するにはどうすればよいかを公平に考え出し、その上でユーザーがその検索に満足しているかどうかを考慮するのだ。

イェーツ氏とヒル氏は、2020年にベイエリアを拠点にPromoted.aiを立ち上げ、最近のY Combinator(Yコンビネータ)の冬期コホートに参加した。今回の資本投入では、同アクセラレーターに加え、主要な投資家としてはInterlace Ventures(インターレース・ベンチャーズ)とRebel Fund(レベル・ファンド)が資金を提供している。

InterlaceのマネージングパートナーであるVincent Diallo(ヴィンセント・ディアロ)氏は、この会社に惹かれた理由として「この分野ですばらしい経験を積んでいる」と感じられたチームの存在が大きいと述べている。

Interlaceは主にコマーステクノロジーに投資しているベンチャーキャピタルであり、ディアロ氏はPromotedが取り組んでいる2つのトレンドに注目した。1つ目は、小売業者がマーケットプレイスを開設することで、電子商取引や配送の幅を広げようとする動き。2つ目は、ある種の顧客行動やコミュニティの構築を通じて、市場のサブセットを獲得しようとする縦割り型のマーケットプレイスが増えていることだ。

「Amazon(アマゾン)の業績の大部分は広告マネージャと広告収入によるものです。そこで私たちは、このようなツールを構築することにチャンスがあると確信しました」と、ディアロ氏は付け加えた。

Promotedは企業向け案件をターゲットにしており、新たに調達した資金は人材雇用に充てる予定だ。しかし、同社の資金調達ラウンドは少し変わっていた。

同社のチームの大部分は、Facebook(フェイスブック)、Pinterest、Google(グーグル)の元エンジニアで構成されている。優れた人材をめぐり激しい競争が繰り広げられている環境の中で、同社の創業者たちは、従来のシード資金調達という方法を採るのではなく、創業時のエンジニアチームに株式を提供し、残りの資金を5万ドル(約570万円)以下ずつ個人エンジェル投資家から調達することにしたのだ。

「そのためには、いくつかのすばらしい資金に背を向けなければなりませんでしたが、その代わりに、優秀な人々、専門家、支持者のすばらしいネットワークを手に入れることができました」と、イェーツ氏はいう。「私たちは、優れた才能を確保するためには、エンジニアに直接株式を提供する方が良いと考えました。なぜなら、株式は非常に注目されており、経験豊富な機械学習や広告のエンジニアの現金給与は非常に高いからです。最終的には、チームを拡大するための追加資金を調達する予定です」。

Promotedはまだ若い会社だが、すでにHipcamp(ヒップキャンプ)やSnackpass(スナックパス)などのマーケットプレイス・アプリと連携しており、顧客はコンバージョン率の向上を実感している。例えばHipcampでは、Promotedによって総予約率が7%以上増加したと、イェーツ氏は述べている。

同社は今後、製品のローンチマネージャー方面に注力し、リスティング広告における広告マネージャーのようなツールを開発していく予定だ。

画像クレジット:Richard Drury / Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが新ショッピング機能「Shops in Groups」と「Live Shopping for Creators」を開始

Facebook(フェイスブック)は米国時間11月12日、新しいショッピング機能を展開することを発表した。「Shops in Groups(グループ内ショップ)」「商品のおすすめ」そして「Live Shopping for Creators(クリエイター向けライブショッピング)」のテストだ。

Shops in Groupsは、Facebookグループの管理者が、関連するFacebookページにオンラインストアを設置することができる機能だ。得た金をどうするかは管理者次第だが、この機能をテストしたページ、OctoNationの場合、利益は人々にタコ(タコ?) について教育するOctoNationの非営利団体に寄付された。明確な慈善活動を目的としていないグループにとってはこうしたことは難しいかもしれないが、これまでにもFacebookグループがドラマの舞台になったことがないわけではない。しかし、Meta(メタ)の製品管理担当副社長であるYulie Kwon Kim(ユリエ・クウォン・キム)氏は、多くのグループ管理者はボランティアであり、このようなショップは彼らの仕事に対する収入源になるだろうと指摘する。

「お金はグループ管理者に行き、彼らはそれをどう使うかを決めることができます」とキム氏はTechCrunchに語った。「これは、人々がグループを維持・継続するためのすばらしい方法です

Facebookは、2021年11月初めに開催された「Facebook Communities Summit」で、ショップ、募金活動、購読料など、グループの収益化機能の計画を発表していた

画像クレジット:Facebook

Facebookはまた、スキンケアやメイクアップのグループなど、ユーザーがグループ内で商品のレコメンデーションを求めることが多いと話す。このため、ユーザーがFacebookのショップに掲載されている商品について言及した場合、その商品をタグ付けしてコメントに埋め込むことができるようになっている。グループからの人気商品のレコメンデーションは、ユーザーのニュースフィード内に表示される。

Facebookは何年も前からLive Shoppingを展開しているが、ブランドとクリエイターのパートナーシップがより一般的になるにつれ、これらのコラボレーションをよりシームレスに見せる機能のテストを始めた。そしていま、インフルエンサーが商品を販売する様子を見せるためにファンを別のページに誘導したり、その逆を行ったりするのではなく、クリエイターとブランドが双方のページでクロスストリームを行うことができる。

画像クレジット:Facebook

いまMetaという会社名になったFacebookは2021年、企業やクリエイターのためのショッピングツールの構築に一貫して取り組んできた。だからこそ、ホリデーシーズンが近づくにつれ、Facebookアプリでお金を使う方法を増やしている。これらの機能は、今日からウェブ、そしてiOSおよびAndroidのFacebookモバイルアプリで利用可能だ。

現在、Metaの主な収入源は広告だが、ショッピングへの投資は別の収入源につながる可能性がある。創業者でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は今夏、Metaがクリエイターやコマースのツールを充実させていく中で、2023年まで企業やクリエイターの収益をカットしない、と発表した。ザッカーバーグ氏は、Metaが売上シェアを導入する際には、Apple(アップル)の30%よりも少ない取り分にすると述べている。しかし今eコマースのための強固なインフラを構築することで、Metaは将来の利益に向かっている。

画像クレジット:Facebook

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

米アマゾンがPayPalと提携、2022年からVenmoでも支払い可能に

PayPal(ペイパル)は米国時間11月8日、Amazon.comが2022年から、米国ユーザーの精算にVenmoオプションを追加すると発表した。そのニュースとともに、オンライン決済大手の同社は、第3四半期に前年同期比13%の増収という堅調な業績を発表した。

Amazon(アマゾン)の利用者は2022年中に、Amazon.comとモバイルショッピングアプリのいずれで購入した商品についても、自分のアカウントを人気のモバイル決済サービスにリンクさせることができるようになる。

「当社の顧客が、Amazonでの買い物の方法に選択肢と柔軟性を求めていることは理解しています」とグローバルペイメントアクセプタンス担当ディレクターのBen Volk(ベン・ボルク)氏は声明で述べた。「Venmoと提携し、顧客がVenmoアカウントを使って支払いができるようになり、Amazonで新しい支払い方法を提供できることをうれしく思います」。

この取引が双方にとって有益であることは間違いない。PayPalによると、同社のユーザー数は現在、米国内だけで8000万人を超えている。同社はまた、最近行われた社内の「行動調査」を引用し「Venmoユーザーの65%が、パンデミックの間にオンラインでの購買行動が増えたと答え、47%が加盟店で精算する際にVenmoで支払うことに興味を持っている」と指摘する。

問題は、これまで何の支障なくクレジット決済に頼ってきたAmazonのユーザーが、このサービスをどれだけ利用するのかということだ。Amazonでは現在、クレジットカード、デビットカード、ストアカード、当座預金、HSAやFSA、EBTカードなどの支払い方法が用意されている。だが支払い方法としてPayPalをサポートしていないため、Venmoが加わったことはPayPalにとってうれしい勝利だといえる。

広く言えば、PayPalがもうすぐAmazonへ組み込まれると、多国籍電子商取引企業であるAmazonに、待望した暗号資産(仮想通貨)という先進的な一面をもたらす可能性がある。

PayPalは3月、米国の消費者が何百万ものサイトで暗号資産による支払いができるようになると発表した。一方、Venmoは最近、Venmoクレジットカードを使って買い物し、そこで得たキャッシュバックを利用して暗号資産を購入できる新機能を用意し、暗号資産への対応を拡大した。

しかし、それは現時点では現実というよりもビジョンにとどまっているのかもしれない。Amazonは、デジタル通貨とブロックチェーン技術の責任者を募集しているが、最近では、支払いに暗号資産を受け入れる計画についての噂を否定した。PayPalは、TechCrunchへの声明で、Venmoが暗号資産に全面的に対応しているわけではないことから、今後の提携に暗号資産は含まれないと示唆した。

「本日の発表は、米国におけるVenmoの顧客が精算時にVenmoで支払えるようにするためのものです。今後もこの関係を発展させていきたいと考えていますが、現時点ではこれ以上お伝えできることはありません」と同社は声明で述べた。

画像クレジット:Venmo

原文へ

(文:Brian Heater、Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi