アップルが新デザインのAirPods(第3世代)発表、空間オーディオ対応

AirPodsが発売されてから5年が経とうとしている。この間、ラインナップにはいくつか大きな追加があったが、エントリーレベルの製品ではほぼ同じような状況が続いてきた。

Apple(アップル)は米国時間10月18日、第3世代のAirPodsを発表した。このワイヤレスイヤフォンは、上位機種であるAirPods Proの機能とデザインに近いものになっている。新しいデザインでは、マイクのステムが短くなった他、硬いエッジを排除し、より輪郭のはっきりしたデザインになっている。

価格は179ドル(日本では税込2万3800円)で、前世代の159ドルよりも高い。本日より予約受付を開始し、10月26日に出荷が始まる(日本でも10月26日発売)。

新AirPodsは見た目が美しくなっただけではない。バッテリー駆動時間が6時間に伸び、新しいAirPods ProのようにMagSafe充電ケースを採用している。音響面では、新たに設計された「低歪み」ドライバーが搭載され、リスニング体験を強化している。また、これまでAirPods ProとAirPods Maxでしか利用できなかった空間オーディオも聴くことができるようになった。

その他のアップデートとしては、耐汗・耐水性が(ついに!)加わり、ワークアウトのお供として活躍する。また、AirPods Proで採用されているフォースセンサーによる入力を搭載しており、操作はタップではなくAirPodsのステムをつまんで行う。

またAppleは、AirPods第2世代も引き続き129ドル(日本では税込1万6800円)で販売する。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルのHomePod miniに新色イエロー、オレンジ、ブルー登場

おそらく誰もHomePodの登場は、期待していなかっただろう。現在、Appleの主要なスマートホームデバイスとなったこのminiに新色が登場する。

今回イベントで、Appleはこの小型スマートスピーカーにイエロー、オレンジ、ブルーのバージョンを追加。この新色は、従来のブラックとホワイトに加えて、それぞれのバージョンと同様に99ドルで販売される。miniの新バージョンは、ホリデーシーズンに間に合うよう、11月に発売される予定だ。

もちろん、Apple MusicのSiriに特化した月額5ドルのボイスプランとの連携も可能だ。

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

10月のアップル、グーグル、サムスンのビッグイベントに期待すること

ハードウェアの季節が来週、劇的なフィナーレを迎えようとしている。Apple(アップル)、Google(グーグル)、Samsung(サムソン)の順に、来週は大きなイベントが開催され、来るべきホリデーシーズンに向けて、最後の(望むらくは)大きな発表が行われる。

これは、あなたの身近なハードウェアエディターやTechCrunchのスタッフの多くが、これから数週間、あらゆる種類のガジェットについて記事を書いたり、レビューしたりして忙しくなるということだ。その前に、噂、リーク、消去法を組み合わせ、来週何が出てくるのかについてある程度の情報を得た。

特に、AppleとSamsungについては、消去法が使える。両社とも、最近大きな製品を発表しており、新しい製品ラインがない限り、次に来るものを三角法で予測できる。一方、Googleは、米国時間10月19日に何を予定しているかを概ね発表済みだ。

以下、時系列に沿って説明する。

Apple MacBook Proのシルバーキーボード。ブルーを背景にしたMacのクローズアップ

Appleは、米国時間太平洋時間10月18日午前10時(日本時間10月19日午前2時)に発表を行う。iPhone、Apple Watch、iPadの新製品を発表した同社の直近のイベントから1カ月ほど。だが、そこにはある大きな製品群が欠落していた。Macの新製品が見当たらないのだ。macOS Montereyのリリースが間近に迫っていることに加え、同社はすでにすべての製品を自社製シリコンにアップグレードする計画を発表しており、直近のイベントではその不在を実感した。

プレスリリースのような形で発表するのではないかと思われたが、そうではなく、AppleはMacにスポットライトを当てることを選んだようだ。以前も指摘したが、企業は一般的に、1つのイベントに必ずしもすべてを詰め込む義務はない。今や、世界中から飛行機を使って参加してもらうようなことはしていないからだ。この考え方を自社の都合のいいように解釈している企業もあるが、今回は当てはまらないと思う。少なくとも、私たちはMacに関する以下のようなビッグニュースを期待している

  • 新しいMacBook Pro(13インチと16インチ)
  • 新しいMac Mini
  • 27インチのiMac

画像クレジット:Brian Heater

最初の2つのモデルは、実質的には2020年のM1モデルに置き換わるもので、中身はほぼ同じだ。ただし、高速なM1Xチップが搭載される予定で、それに伴いハードウェアも一新される可能性がある。一方、27インチのiMacは、24インチのモデルを強化し、よりプロ向けのシステムとして提供される。

また、エントリーモデルのAirPodsも、音質とデザインの改善が図られるといわれているが、アクティブノイズキャンセリング機能は搭載されない。

画像クレジット:Google

新しいチップといえば、Googleグーグルはすでに自社製のTensorチップについて明かす計画を発表しており、Qualcomm(クアルコム)に代え自社製シリコンを採用する最新の企業となった。このチップは、新しいPixel 6とProモデルに搭載される。これらの端末はデザインを一新し、スマートフォンの競争の中での製品ラインの生き残りを図る。

Googleはイベントに先立ち、Pixel 6とProの製品ページを公開した。最初の発表については、Gregの記事を参照して欲しい。

  • ベースとなる6はマットなアルミニウム仕上げで6.4インチのディスプレイが、Proは光沢のあるアルミ光沢仕上げで6.7インチのディスプレイが搭載される。
  • Pixel 6には2つのカメラ(ワイドとウルトラワイド)が搭載され、6 Proには望遠ズームレンズが加わる。
  • 流行りの「カメラバンプ」がなくなることを期待する向きがあったかもしれないが、そうはならない。GoogleのRick Osterloh(リック・オステロー)氏は、優れたセンサーやレンズは小さなパッケージには収まらないと指摘する。

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最近のリーク情報から、カメラシステムの詳細が明らかになった。6では背面に2つ、Proでは3つのカメラが搭載される。どちらも50メガピクセルの広角レンズと12メガピクセルの超広角レンズを搭載し、Proには48メガピクセルの望遠レンズが加わる。このイベントは、10月19日火曜日の米国太平洋時間午前10時(日本時間10月20日午前2時)に開催される。

画像クレジット:Brian Heater

10月20日水曜日に開催されるSamsungのイベントは、3つのイベントの中で最も予想がつかないが、これまでの同社製品に関するリークの傾向を考えると、あまりいうべきことはない。先日、新しいフォルダブルが発表されたが、2022年2月から3月のMWCあたりまでは、もうGalaxy Sのデバイスは出てこないと思われる。PCやタブレットが妥当なところだろうか。しかし、今回の招待状の鮮やかな色がヒントになるかもしれない。このイベントは、10月20日水曜日の太平洋時間午前7時(日本時間10月20日午後23時)に始まる。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images:

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

XboxシリーズXミニ冷蔵庫が予約販売開始

Microsoft(マイクロソフト)は約束どおり、ホリデーシーズンに合わせてXbox Series X Mini Fridge(エックスボックスシリーズXミニ冷蔵庫)の出荷を開始する。同社によると、この冷蔵庫は100ドル(約1万1500円)で、10月19日に予約注文を開始する。出荷は12月になる。

このミニ冷蔵庫は、Xbox Series Xとフルサイズの冷蔵庫とのスケール感を示すために、Xboxがツイートした画像がルーツとなっている。Microsoftは2020年、ゲーム機の発売を促進するために、実際に6フィート(182cm)の冷蔵庫を作った。今回、ツイッターでのブランド対抗戦の結果、ミニ冷蔵庫が実際に購入できるようになった。

Microsoftは、商品メーカーのUkonic!(ユーコニック)と協力して、LEDを搭載し、Xbox Series Xにマッチしたデザインのミニ冷蔵庫を開発した。この小型家電には、お気に入りのエナジードリンクやその他の飲料を12缶まで入れることができる。また、扉内の棚にはお菓子を入れるスペースもある。DC電源アダプターが付属しており、USBポートも装備されているので、Xboxワイヤレスコントローラーの充電にも便利だ。

このミニ冷蔵庫は、米国とカナダのTarget(ターゲット)で販売される。英国では、Game(ゲーム)が90ポンド(約1万4000円)で販売している。また、フランス、ドイツ、イタリア、アイルランド、スペイン、オランダ、ポーランドでも順次出荷される予定だ。Microsoftは、2022年、さらに多くの市場にXboxミニ冷蔵庫を投入する予定だが、その場所と時期は、各国の規制当局の承認と制限による。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Xbox

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(文:Kris Holt、翻訳:Yuta Kaminishi)

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTC

HTCがVRヘッドセットの新製品「VIVE Flow」を正式発表しました。重さ189gの軽量さでメガネのように装着でき、スマートフォンとの併用でVRコンテンツやテレビを視聴できる一方、ユーザーのメンタル面のウェルネスを向上させるデバイスとしての利用を想定しています。

HTCはVIVE Flowについて、これまでのVRヘッドセットとは異なる用途の面を強調しているため、そのスペック面の情報は積極的に紹介してはいませんが、わかるものを紹介すれば、ディスプレイは2つの”1.6K”解像度のものたリフレッシュレート75Hzで駆動し、100°の視界をユーザーに提供します。電源はバッテリーを搭載せず、USB-C経由での供給となり、もし不用意に動いてしまってケーブルが抜けてしまっても、自動的に安全にシャットダウンするための補助電源が搭載されているとのこと。

VRヘッドセットと言えば、ゲームのようなインタラクティブなコンテンツも魅力のひとつですが、VIVE Flowはゲームよりもパーソナルシネマとして最適化されているようで、たとえば近視の人手もメガネなしでヘッドセットを利用できるよう、視力に応じてレンズを調整できるようになっています。

また、バッテリーは非搭載としたものの、その電源仕様はUSB3の上限である7.5W給電に対応しており、これと互換性あるバッテリーパックを接続して利用することも可能とのこと。ヘッドセット内には換気用のファンが搭載され、こもった熱を逃がします。

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTC

装着のしやすさもVIVE Flowの特徴のひとつと言えるでしょう。リーク画像からも確認されていましたが、発表とともに公開されている紹介動画でも、デュアルヒンジシステムによってメガネ型のフレームがどのようにあらゆる人の頭部にフィットするかを詳しく説明しています。メガネの”つる”の部分に内蔵されるスピーカーも説明では「驚くほど高品質」とされます。またメガネ型であるため、仰向けに寝ても普通に利用できるのも利点でしょう。

スマートフォンとの接続はBluetoothもしくはMiracastを使用し、VRコンテンツの視聴ではスマートフォンをポインティングデバイスとして利用できます。既存のVRヘッドセットが備えるような、両手に持つタイプのコントローラーはないため、FPSシューターやBeat Saver的な激しいアクションのゲームをプレイすることはできないと思って良いでしょう。ただ、ヘッドセット前方を向く2つのカメラが搭載されており、将来的にこれが利用可能になれば、ユーザーの手の動きをトラッキングしてより没入感あるVRコンテンツを楽しむこともできるかもしれません。

HTCが重さ189gのVRヘッドセット「VIVE Flow」発表、エンタメ視聴とウェルネスに特化

HTC

なお、あくまでVIVE FlowはVRヘッドセットとして設計されているため、この前方カメラもARヘッドセットのように前方映像を見せるための性能は備えていない模様です。HTCはこのヘッドセットを「ウェルビーイングや脳トレ、生産性アプリケーション」と「ライトなゲーム」のためのものだとしています。

アプリケーションはVIVE Flow向けのアプリストア「VIVEPORT Infinity」を通じて提供され、月額5.99ドルで数々のアプリを利用可能になるとのこと。

HTCは発表と同時にVIVE Flowの予約受付を開始しています。出荷は11月中の予定。価格は499ドルで、7つ尾VRコンテンツが無料で付属します。記事執筆時点では、HTC日本のウェブサイトに情報は掲載されていません。

多くの情報が事前にリークされた内容そのままではあったものの、VIVE Flowは厳密に言えば噂にあったスタンドアロン型ではなく、スマートフォンとの接続が実質的に必要です。そしてこのデバイスはゲームのためではなく、日々の生活にフィットした、ヘルス&ウェルネスを高めるためのデバイスを求める人たちに向けた製品に仕上がっています。

追記:日本では近日中にお知らせがある模様です。

(Source:HTCEngadget日本版より転載)

電子ペーパータブレット「reMarkable」が新機能を利用できるようになるサブスクサービスを追加

電子ペーパータブレット「reMarkable」シリーズのメーカーが、最新機種により高度な機能を実現するためのサブスクリプションサービスを追加したことは、かなり意外な動きだった。既存ユーザーには生涯サービスが提供され、新規ユーザーには約1年間の無料サービスが提供されるため、ほとんどのユーザーにとってはほとんど何も変わりはないが、それでもこのスタートアップにとってはかなりの方向転換となる。

関連記事:あらゆる面で初代を上回りニッチを貫くE Inkタブレット「reMarkable 2」

reMarkable Connectサービスには2つのプランが用意されており、月額5ドル(約560円)の基本的なサービスでは、ドキュメントの無制限クラウドストレージにアップグレードされ、月額8ドル(約900円)のプランでは、GoogleドライブとDropboxへの統合、手書き変換、画面共有、メール送信、高速同期などの機能が追加される。サブスクリプションがない状態でも、デバイスは同期するが、50日間未開封で放置されたファイルは同期してくれない(つまり、基本的にアーカイブとしては使えない)。reMarkableを購入する人は、Connectのサブスクリプションを一緒に購入すると最大150ドル(約1万7000円)の割引が受けられるので、1年程度であれば十分元をとることができるだろう。

一方で、これは予想外であり、少し怪しい動きにも見える。つまり、数カ月前に単にreMarkableのツールの一部として発表された機能に課金するというわけだからだ。実際、それらの機能はここ数週間のうちに通常の無料機能として提供されてきた。

その一方で、収益の面では理解ができるし、この方法はこれを実施するための最良の方法であるともいえる。現在のユーザーには無料で提供され、他のユーザーには1年間無料で提供され、さらに、デバイスをごく普通に使用するのであれば、あまり問題にならない無料オプションもあるからだ。

この決定の理由について、同社にコメントを求めたので、返答があり次第、この記事を更新する予定だ。

2020年、reMarkable 2をレビューした際には、そのハードウェア、画面の反応、インターフェースのシンプルさに感銘を受けた。しかし、その時に指摘したように、このタブレットは、その長所にもかかわらず、まだ非常にニッチなデバイスだ。私はクリエイターと何度か話をしたことがあるが、彼らが「集中力を重視し、気が散らない未来の紙」というビジョンに献身的に取り組んでいることを確信している。それは理解できるのだが、デジタル経済は基本的に注意散漫と情報過多の上に成り立っているので、そのパイを切り開くのは困難に違いない。

同社はこれまでに10万台以上を出荷し、資金調達も行ってきたが、ハードウェア専門のスタートアップ企業はほとんどない。ハードウェアの販売が飽和状態に近づく中で、同社が収入を増やす方法を模索するのは、さほど不思議なことではないだろう。

いや、わからない。もしかしたら、より広い範囲での「集中した生産性」製品という戦略なのかもしれない。だとすると、私も絶対に使いたいと思うだろう。このデバイスとサービスに対する私の批判は「できることはできたが、十分ではなかった」というものだ。Chromeの拡張機能で記事の保存ができるようになったが、Pocketのユーザーとしては、それをつなげられればいいのにと思ってしまう。reMarkable上で体験した方が単純に良いと感じる他のコンテンツについても同様だ。ミニマリストの理念は評価するが、恣意的に制限されているようにも感じたのと、スクリーン共有やGoogle Drive/Dropboxの統合がある今、他のサービスを含めることに反対することはもはやできない。

メールやチャット、ソーシャル機能などは一切使用せず、私に集中させて欲しい。しかし、何かに集中したいのであって、reMarkableの欠点に当てはまるものだけに集中したいのではない。誰もが生活の中でもう少し集中できるはずだが、これは集中するための摩擦を減らすのにも役立つ。

それと、フロントライトもいいかもしれない。これは機能面でのリクエストになるが。ほら、私の視野は以前のものと同じではない。だから、聞いて欲しい。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、Akihito Mizukoshi)

【レビュー】Apple Watch Series 7、アップルがトップを走り続ける要素がすべて揃う

スマートウォッチカテゴリー全体の第2四半期の業績は好調で、前年同期比で27%の増加となった。 新型コロナウイルス流行の懸念にもかかわらず、あるいはその懸念があったからこそか、前年同期比で20%の増加となっている。これらのデバイスの人気は、まさに潮の満ち引きのようなもので、大手企業のほとんどが全体的な普及率の上昇から恩恵を受けている。

しかし、かなり成熟したカテゴリーでは滅多に見られないあり方で、1つのモデルが引き続き大きくクローズアップされている。Counterpoint Researchによると、前四半期、Apple Watchのアクティブユーザー数は1億人を超えたそうだ。Apple Watchは「Series 6」「SE」「Series 3」で世界のスマートウォッチ市場のトップ4のうち3つを占めており、Samsungは最新の「Galaxy Watch Active」でなんとか3位に食い込んでいる。

ローエンド市場では、100ドル(約1万1300円)以下のデバイスが続々と登場し、競争が激化しているが、プレミアムおよびミッドレンジ市場では、SamsungやGoogleなどの競合他社が手を組んで対抗するほど、Appleは圧倒的な強さを維持している。Appleはどうしているか?ただ多少の手を加えるだけでいい。画面を少しだけ大きくしたり、充電器の機能を上げたり、そして何よりすでに良いものにはあまり手を加えないようにしている。

画像クレジット:Brian Heater

ヘルス面でのアップデートなど、変わった噂情報が飛び交っていたが、それは間違いで、Appleはデバイスの外観を変えることに注力する道を選んだ。Series 7は、過去数世代の中で最も大きなデザイン変更の1つとなるが、それも急激な変化とはいえない。むしろ、つけて歩いていても誰にも気づかれないかもしれないレベルのものだ。

一方、日常的にApple Watchを使用している方であれば、腕につけた瞬間にその違いに気づくはずだ。Series 6からSeries 7へのアップグレード。大型モデル(今回のレビュー記事ではこちらを中心に扱う)の画面サイズは、1.78インチ(スマートフォンと同様に対角線上の測定)から1.9インチにアップデートされている。これは、Series 6に比べて20%、なぜかいまだに販売されているSeries 3に比べて50%の増加となる。

世代を超えた急激な変化というわけではない。また、電卓のボタンが12%大きくなったからといって、誰もがアップグレードを希望するわけでもないだろう。実は、ウェアラブルという製品の性質上、デザイナーはあまり過激なデザイン変更をすることができない。なぜなら、製品は身体にフィットしなければならないからだ。初期のスマートウォッチは、装着性を阻害してしまう大きなデザインで苦戦した。

画像クレジット:Brian Heater

画面サイズが大きくなっても、周囲のハードウェアが小さくなれば、それに見合うだけの効果が得られるはずだ。それが、ベゼルを1.7mmまで薄くしたことで一部成功することになった。黒いベゼルが完全になくなったわけではないが、Series 6と比較しても、明らかにスリムになっている。にもかかわらず、ケース全体のサイズを40 / 44mmから41 / 45mmへと拡大せざるを得なかった。これまで、スマートウォッチのケースサイズが大きくなることに問題を感じていた者としても(Samsungのことを指している)、この1mmの増加による違いはあまり感じられなかった。手首に装着しても、寝るときに装着しても同じ感覚だ。私は、スマートウォッチを寝るときに着用することが完全に快適だとは思わないが、ヘルス計測結果は変わってくるかもしれない。

2インチ以下の画面では、ミリ単位での調整が必要になるが、このような調整によりUIも調整され、驚くほど多くのコンテンツを追加できるようになった。同社によると、メッセージなどのアプリケーションでは、Series 6に比べてテキストを50%以上追加で表示できるようになったとのことだ。また、文字数が少なくて済む場合には、文字サイズが2倍になり、たとえばパスコード画面のボタンが大きくなるなどの効果がある。

しかし、日常生活での最大の変化は、フルQWERTYキーボードが追加されたことだ。テキスト入力は、タップするか、QuickPathで文字をスライドさせて行う。小さな画面で、どちらもうまく機能していることに驚いた。アプリケーションを開くとすぐに、接続しているiPhoneに「Apple Watchキーボード入力」の通知が表示され、iOSでテキストを入力するかどうかを尋ねてくる。ほとんどの場合、答えはおそらく「イエス」だろう。しかし、もし少しの間携帯電話から離れることになった場合、その選択肢があるのはすばらしいことだ。

画像クレジット:Brian Heater

今回のモデルでは、ディスプレイのクリスタルに厚みを持たせることで、強度を高めている。腕時計は携帯電話ほど砕けて割れるようなことはないだろうが、私にはちょっとしたことで時計をドアにぶつけてしまう悪い癖がある。まだ割れるようなことにはなっていないが、すでに何度か危ない目にあっている。また、この時計は、従来のWR50の防水に加えて、防塵機能を追加した初めてのモデルだ。IP6Xで、完全な防塵性能を実現している。

ディスプレイのエッジが少しだけカーブしてケースと同じ高さになり、横から見たときでもディスプレイが少しだけ見えるようになっている。新しいカウンターウォッチフェイスは、数字を縁に沿って伸ばし、この利点を活かしているといえる。他の2つの新しいフェイス(モジュール式デュオとワールドタイム)は、追加されたスペースを利用して、さらに多くのコンプリケーションを詰め込んでいる。

画像クレジット:Brian Heater

ケースが大きくなったことで、実質より大きなバッテリーも搭載できるようになったことになる。実際に容量を増やしたかどうかについては、Appleが明らかにしていないので、必ず行われるであろう分解の検証結果を待つしかない。しかし、これまでと同じバッテリー駆動時間を維持するために、電池容量を少し増やした可能性は高いと思われる。Appleは18時間を約束しているが、確かに、ディスプレイが大きくなり、常時点灯でもかなり明るくなった(内側では70%、同社調べ)にもかかわらず、問題なく1日を過ごすことができるはずだ。

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競合他社の中には、1回の充電で何日も使えることを謳っているものもあるので、純正の睡眠トラッキング機能が追加されたことで、バッテリー駆動時間に対してもより積極的なアプローチができるのではないかと期待していた。少なくとも新たに得たものは、Series 6に搭載されているものよりも33%高速で、約45分で80%の充電が可能な新しいUSB-Cマグネット式充電器だ。実際には、10分以内にひと晩分の充電ができることを意味する。つまり、計画的に充電すれば、快適に昼夜を問わず装着できるというわけだ。

新しい充電器は、旧モデルの時計との互換性があり、それらを通常速度で充電することができる。しかし、廃棄物を減らすというAppleの方針に基づき、Series 7には電源アダプターは付属していない。しかし、みんなが(願わくば)持っているUSB-Cのものを使って充電することができる。また、新しいバンドもいくつか用意されているが、Series 7は、ありがたいことに、Appleのサイトにある既存のバンドすべてと互換性がある。

画像クレジット:Brian Heater

センサー類はほぼそのままで、Series 7にはこれまでと同じプロセッサとLTEチップが搭載されている。Series 8では5Gになるのだろうか?新色もいい。Appleから送られてきた「グリーンアルミニウム」は、予想以上に繊細な色合いだった。濃いオリーブ色で、光の加減によってはダークグレーやブラックと見間違うほどだ。もうちょっとポップな感じにしたいなら、赤や青がいいかもしれない。

Series 7の価格は、41mmが399ドル(日本では税込4万8800円)から、45mmが429ドル(日本では税込5万2800円)から。バンドの種類や仕上げによって、価格も上がる。もしすでにSeries 6を持っている人にとっては、それほど大きなアップグレードにはならないだろう。まだ使えるのであれば、1年か2年待って、ヘルス機能やその他の機能について、Appleが今後どのような展開を見せてくれるのか見てみてはどうだろうか。今のところ、Appleがトップを走り続けるには十分な要素が揃っている。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

iPadをPCのディスプレイとして使える「Luna Display」が(ようやく)Windowsに対応

Astropad(アストロパッド)の「Luna Display(ルナ・ディスプレイ)」は、iPadをセカンドディスプレイとして使用できる優れたプロダクトだ。当初はMac向けに発売されたが、Apple(アップル)自身がこれに競合する機能を導入したため、Astropadはこの2年ほど危機に瀕していた。しかし、米国時間10月13日、ついにLuna DisplayがWindowsマシンにも対応し、Astropadはマルチプラットフォームプロダクトへの転換を成し遂げた。

Astropadがプロダクトを市場に送り出すためにしてきた苦労は、並大抵のものではない。TechCrunchでは、同社とそのプロダクトの長く困難な道のりを追い続けてきた。同社が最初のプロダクトを発売したのは5年ほど前のこと。2018年には無線モジュールを追加して、厄介な配線を排除した。その急速なスターダムへの上昇は、しかし2019年にアップルが「Sidecar(サイドカー)」を発表したことで水の泡となる。Luna Displayというプロダクトは事実上意味を失い、同社は危機的状況に陥った。

関連記事
ワイヤレスでポータブルなiPadディスプレイアダプターLunaが80ドルで発売
もうアップルのSidecarが手放せない

名誉のために言っておくと、同社とその創業者たちは、提供するプロダクトの透明性を保つことに長けていた。アップルに打ちのめされた後も、創業者たちは明かりを絶やさず、1年前にはWindowsプロダクトの開発に軸足を移すことを発表。クラウドファンディングのKickstarter(キックスターター)で40万ドル(約4540万円)を集め、プロダクト開発に拍車をかけた。

ノートPCの左側に差し込まれた赤いドングルがLuna Display。ここでは、セカンドディスプレイとして動作しているiPadに無線で接続されている(画像クレジット:Astropad)

Kickstarterプロジェクトの中で、Astropadは当初、2021年5月の発売を約束していたものの、プロダクト開発の世界ではよくあることだが、同社と6000人のKickstarter支援者は、途中で何度も遅れを受容することになった。長い間待たされたが、ついにそのWindows対応版が、Luna Displayバージョン5.0とともに登場した。少なくとも資料を見た限りでは、このプロダクトは期待が持てそうだ。

Luna Displayのドングルは、パソコンに接続するとMacやWindowsのOSと通信し、iPadのジェスチャー、Apple Pencil、外付けキーボードの使用を可能にする。遅延はわずか16msとのこと。アップルがSidecarで謳っている9msという遅延時間には及ばないものの、リアルタイムの入力を必要としないほとんどのユースケースでは十分な速さだ。言い換えれば、このディスプレイを負荷の高いデザイン作業やゲームに使うことは期待できないが、Chrome(クローム)のタブやWord(ワード)の文書を表示するにはまったく問題ないはずだ。

同社によれば、Windowsへの対応を熱望する顧客は多く、現在までに合計8000件の予約が入っているという。辛抱強く忠誠心が高いフォロワーたちは、待ち望んでいたプロダクトをようやく手にすることができ、歓喜に震えるに違いない。

このソリューションには、いくつかの異なるモードが用意されており、iPadをセカンダリーディスプレイとして使用したり、他のMac(旧いモデルも含む)をセカンダリーディスプレイとして使用したり、あるいはモニターを持たないデスクトップ機を「ヘッドレス・モード」で動作させることができる。つまり、iPadをMac Miniのメインディスプレイとしても使用することができるわけだ。

関連記事:古いMacもセカンドディスプレイ化してしまうLuna Display

Astropadは、このソリューションを実現するためのソフトウェアスタックの構築に、プログラミング言語「Rust(ラスト)」を採用した。AstropadのCEOであるMatt Ronge(マット・ロンゲ)氏は、低遅延ソリューションを構築するために比較的新しい言語を使用することの長所と短所について、興味深い考察を行っている

「Rustによって、Mac、iOS、Linux、Android、Windows上で簡単に動作させることができる、高性能でポータブルなプラットフォームが実現します」と、ロンゲ氏はいう。「これにより、潜在的な市場規模が飛躍的に拡大するだけでなく、当社のLIQUID技術(低遅延、高品質のビデオストリーミング技術)に多くの興味深い新用途を見出し、Rustベースのプラットフォームを追求していくことができます」。

Luna Displayは接続方式によって、USB-C(Mac&Windows対応)、Mini DisplayPort(Mac対応)、HDMI(Windows対応)の3タイプが用意されており、価格はいずれも129ドル(約1万4600円)。現在、Astropadから直接購入することが可能だ

画像クレジット:Luna Display under a Luna Display license.

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Nothingがさらに約56.7億円を調達、新カテゴリー参入を準備中

7月31日に最初の製品である「Ear(1)」を発売したNothing(ナッシング)は、米国時間10月13日、5000万ドル(約56億7000万円)の「シリーズAエクステンション」を発表し、同社の累計資金調達額は7400万ドル(約83億9000万円)となった。今回のラウンドは、2月に発表された1500万ドル(約17億円)のシリーズAに続くものだ。

関連記事
【レビュー】成熟した市場に参入する低価格の変わり種、Nothingのワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」
元OnePlusのカール・ペイ氏がコミュニティに新会社Nothingへの投資機会を提供

そのシリーズAの直後、Nothingは、創業者Carl Pei(カール・ペイ)氏が前に立ち上げた会社であるOnePlus(ワンプラス)が長い間培ってきたコミュニティ意識の活用を目指して150万ドル(約1億7000万円)のエクイティラウンドを発表した。シリーズAはGVがリードし、iPodの発案者であるTony Fadell(トニー・ファデル)氏、Bemeの共同創業者で映画監督のCasey Neistat(ケイシー・ナイスタット )氏、TwitchのCOOであるKevin Lin(ケビン・リン)氏、Redditの共同創業者兼CEOであるSteve Huffman(スティーブ・ホフマン )氏などの個人投資家が参加したが、同社は今回のラウンドでは出資者の名前を明らかにしていない。

今回の資金調達は「ブランドのエコシステムの一環として、新しいカテゴリーの製品に参入するための研究開発」に使用される予定だという。2021年の初めにペイ氏は「我々の製品開発パイプラインにはたくさんの製品があります」と語っていた。

13日朝のもう1つのニュースは、Qualcomm(クアルコム)との「コラボレーション」だ。具体的には、Nothingが今後のデバイスにSnapdragonチップを採用することを発表した。

ペイ氏は、リリースで次のように述べている。「シームレスな接続性は、人とテクノロジーの間に障壁のない未来という当社のビジョンを達成するために最も重要です。Qualcomm Technologiesおよび戦略的投資家のみなさまとともに、Nothingの次の成長を実現することを楽しみにしています」。

Nothingは先日、同社のワイヤレスイヤフォンが発売後2カ月で10万個以上出荷されたことを発表した。また、同社は以前から製品の追加を示唆していたが、詳細な情報はまだ提供されていない。QualcommのSnapdragonシリーズは、ウェアラブルからノートPCまで幅広い製品に採用されているが、その中心は常に携帯電話だ。

Qualcommは昨今、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)が独自のチップを社内で製造するようになったことで、間違いなく頭を抱えている。

画像クレジット:Nothing

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

人間の網膜を模倣し目の錯覚も再現した人工視覚イオニクス素子をNIMSが開発

人間の網膜を模倣し目の錯覚も再現する人工視覚イオニクス素子をNIMSが開発

国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)は、10月11日、固体中のイオンの移動とイオン間の相互作用を利用して動作する人工視覚イオニクス素子の開発を発表した。人間の網膜の神経細胞を模したもので、明暗、色、形の境界線を強調して感じることができる機能(側抑制)を、ハードウェアのアナログ信号処理だけで再現することに成功した。

近年、人間の知覚原理を応用したセンサーのやアナログ情報処理システムの研究が進められているが、これまではソフトウェアで高度な処理を行うものが多く、専用の処理モジュールや複雑な回路が必要となり、システムのサイズも消費電力も大きくなる傾向にある。

人間の目は、網膜で捉えた光の信号を脳内に伝え、さまざまな処理が行われることによって物を見ることができる。網膜には、外から入ってきた視覚情報の中の光のコントラスト、色、動きなどを、神経細胞間の高度な相互作用により認識、識別する細胞が埋め込まれている。NIMSは、この相互作用をハードウェアだけで再現できれば、ソフトウェア処理に伴う大規模なプログラミングや回路を必要とせず、小型で省電力な人工知覚システムができると考えた。そうして人工視覚イオニクス素子が生まれた。

この研究では、人工視覚イオニクス素子が明暗のコントラストによる輪郭の抽出、つまり「明暗の錯視」を模倣できることを実証したが、人の目には、傾き、大きさ、色、動きなどによる錯視もある。この素子には、これらの錯視も模倣できる可能性があり、NIMSでは、集積化や受光回路などと統合することにより、さらに人間の網膜に近い機能を持った資格センシングシステムの開発を目指すという。

人間の網膜を模倣し目の錯覚も再現する人工視覚イオニクス素子をNIMSが開発

人間の網膜を模倣し目の錯覚も再現する人工視覚イオニクス素子をNIMSが開発

長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測

長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測
長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測

Pro2sound via Getty Images

米国のPCユーザーは今年の年末商戦期、マシンを新調するのが難しくなるかもしれません。世界的な半導体不足はいまも続いており、PC用部品の受給に大きく影響を及ぼしています。リサーチ企業CanalysのアナリストIshan Dutt氏によるPCの供給不足は2022年にまで続くことが予想され、ホリデーシーズンに見込まれる注文を捌ききれない可能性があるとのこと。

ワークステーションを含むPC市場の出荷台数が伸びない最大の要因は、世界的な部品サプライチェーンの混乱にあるとDutt氏は述べています。特にアジアでの渡航規制やロックダウンは、PCメーカーやそのパートナー企業の製品生産を困難にしています。

ただし、世界的に見れば2021年第3四半期のPC市場はCanalysが5%、IDCが3.9%の成長を示していることが報告されています。しかし米国では前年比マイナス9%以上(Canalys)と報告されており、電源管理用チップやWiFiチップの供給不足が報告されています。ただ、一方では米国では買い替え需要がすでに一巡して売上げの端境期にあるとの見方もあります。

IDCのシニアリサーチアナリストNeha Mahajan氏によれば、「リモートワークや遠隔授業などのためにPCやタブレット購入が加速した1年を経て、PCへの支出も比較的に鈍化しており、現在の米国PC市場は多少軟化していると言える。とはいえ、主要なセグメントにおいて、供給が需要に追いついていないことは明らかであり、在庫は依然として通常のレベルを下回っている」とのこと。

また一部のPCメーカーは米国のようなすでに成熟した市場よりも、成長の度合いが高い市場へ優先して製品を出荷しているとのこと。

長引く半導体不足で米国のPC市場は2022年まで供給逼迫の予測

IDC

ちなみに日本国内のPC出荷数は、電子情報技術産業協会(JEITA)の集計によると、2021年4月以降、7月までは前年比86.6~96.5%で推移していたものの、最新の集計月である8月期は前年比56.1%と大きく落ち込みました。これは前年同期に新型コロナ禍におけるオンライン授業のための需要急増があり、それが結果的に今年の集計に影響したため。2020年8月期は、モバイルノートPCの出荷台数が前年比約3倍に急増していました。メーカー各社はこの結果に対して、在宅勤務向けの高機能製品に注力していくと伝えられています。

(Source:CanalysIDC。Coverage:JEITAEngadget日本版より転載)

TileがApple AirTagのライバルとなる次期製品Tile Ultraを含む新製品ラインナップを発表

Tile(タイル)は、先日の4000万ドル(約45億円)の資金調達に続き、Apple AirTagに対抗するために長い間期待されていたウルトラワイドバンド(超広帯域)搭載トラッカーTile Ultraを含む、最新の紛失物トラッカーのラインナップを発表した。この製品は、正式に発表されたものの、まだ購入することはできない。その代わりに、バッグ、鍵、バックパック、荷物などに取り付けるというコアとなるユースケースに対応するために、新しいデザインを採用したTileのプレミアムデバイスであるTile Proが最初のアップデートとして発表された。また、Mate、Sticker、SlimといったTileの既存のトラッカーも、音の大きさ、検出範囲の長さ、耐水性の向上などの新機能が追加されている。

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Tileは、1月に新技術に関する同社の計画を詳細に説明しており、Tile Ultraの開発には以前から取り組んできた。このデバイスは、Tile Proと同じフォームファクターでありながら、よりプレミアムなデザイン処理が施され、ステンレススチール製のリングを付けて出荷される予定だ。さらに、このデバイスにはAppleのAirTagと同じウルトラワイドバンド技術が採用され、より正確な検索機能が実現される。

Tile Ultraは、Bluetoothとウルトラワイドバンドの両方の機能を備えており、400フィート(約121メートル)離れた場所にある物体を探し出し、その位置を最新のモバイルアプリケーションのインターフェースに表示する。そして、以下の画像のように、自分の部屋やその他の場所がカメラビューで表示され、大きなARの矢印が消えたTileの位置を示してくれている。

画像クレジット:Tile

ここ数カ月の間、Apple(アップル)を厳しく批判しているTileは、Appleが自社の市場に参入し、競争面で不利になったことを訴えてきたiPhoneの新しいモデルには、U1チップによるウルトラワイドバンド機能が搭載されているが、その機能を利用することは、iOS 15が登場するまでサードパーティの開発者にはできなかった。そのため、AppleはAirTagを先行して開発した。それに比べてTileは、パートナーであるGoogle(グーグル)と緊密に協力して、新しいデバイスが、Androidに初めてウルトラワイドバンドを導入したAndroid 12でうまく動作するようにしていると述べた。

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TileのCEOであるCJ Prober(CJ・プローバー)氏は、Tile Ultraの発売が遅れたことについて「Appleは、最初の自社製品を発売し、その製品がしばらく市場に出回るまで、ウルトラワイドバンドを試験的に利用できるようにすることを控えていました」と指摘している。このため、次期Tile Ultraの出荷は2022年初頭となる。

近い将来、Tileの他のラインアップも大幅に刷新される。

人気のTile Proは、よりスリムになった新しいフォームファクターで、見た目が大きく変わった。Tileは、社内で約16種類のデザインをテストした後、このデザインを採用した。

「このフォームファクターは、キーフォブのように鍵に引っ掛けることができるため、ユーザーの共感を得ることができました」とプローバー氏は述べている。

今回のアップデートでは、外観の変更が大きなポイントとなっており、性能面ではわずかな改良にとどまっている。また、400フィート(約121メートル)の電波到達距離と、1年間交換可能なバッテリーも引き続き搭載されている。

画像クレジット:Tile

Tileの他のラインアップも更新された。Tile Mateは、財布や鍵にもフィットするような、より洗練されたデザインに変更され、カラーもブラックとホワイトの2色になった。到達距離は250フィート(約76メートル)(従来比25%増)、防水性能の改良(IP67、水深1メートルで30分)、リングの音も大きくなり、3年間交換不能のバッテリーを搭載している。

テレビのリモコンなど、トラッカーを簡単に取り付けられないものに貼ることができるTile Stickerは、通信距離が67%向上して最大250フィート(約76メートル)になった。また、リングの音量が大きくなり、耐水性が向上し、3年間交換不能のバッテリーが搭載されるといったTile Mateと同様のアップデートが施されている。

また、財布の中に入れられるように設計されたTile Slimは、通信距離、バッテリー、リングなどの性能が同じようにアップデートされている。

ProとSlimの販売価格は34.99ドル(約4000円)で、Mateは24.99ドル(約2800円)、Stickerは29.99ドル(約3300円)だ。

画像クレジット:Tile

製品のアップデートと同時に、Tileは、Lost and Foundと呼ばれる紛失物を見つけるための新しい方法を提供するモバイルアプリをアップデートしている。このサービスは、紛失したTileのアイテムを見つけた人が、デバイスのQRコードをスキャンすると、持ち主の連絡先が表示され、返却の手続きができるというものだ。

画像クレジット:Tile

Tileは、未知のAirTagがあなたの後をつけていると定期的に警告するというAirTagのセキュリティ機能にヒントを得て、未知のデバイスが近くにあるかどうかも識別する。ただし、この機能はAppleのAirTagとは仕組みが異なる。ユーザーは、Tileアプリをダウンロードし、ボタンを押すことで、近くにある望まれないTileを手動でスキャンすることができるようになる。その際、Tileのアカウントは必要ない。この機能はまだ実装されていないが、National Network to End Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス撲滅のための全米ネットワーク)の勧告に基づいて設計されたものだそうだ。

「ストーカー被害者の約70%は加害者を知っています」とプローバー氏はいう。「彼らの指導は、見逃してしまうかもしれない通知を待たせるのではなく、このような安全機能をユーザーに提供する必要があるというものでした」。

Scan and Secureと呼ばれるこの機能は、2022年初めにiOSとAndroidに搭載される予定だ。

Tileは自社製品に紛失物検索機能を搭載したいと考える企業とのパートナーシップを通じて事業を拡大してきたが、Tileの収益の大部分は、依然として自社デバイスの直接販売によるものだ。Tileはこれまでに4000万台のトラッカーを販売し、42万5000人以上の有料会員を抱えているが、これはプレミアムサービスに加入していない多くのユーザーのごく一部にとどまっている。上半期の売上高は50%以上増加しているが、同社はその数字を公表していない。

Tile Ultraを除くTileの新しいラインナップは、Tile.comおよびAmazon(アマゾン)、Costco(コストコ)、Best Buy(ベストバイ)、Target(ターゲット)などの小売店で販売される。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Google Pixel 6の相次ぐリークでカメラ・セキュリティ戦争が激化

Google 公式Pixel 6紹介ページのスクリーンショット(画像はトリミング済み)

小売業界とGoogle(グーグル)は、来たるべき同社のフラグシップモデルGoogle Pixel 6とGoogle Pixel 6 Proの情報をどちらが多くリークできるかのチキンレースを展開しているかのようだ。GoogleのPixel端末シリーズは、Android(アンドロイド)オペレーティングシステムができる限りいじられないことを望んでいる我々Android無敵艦隊にとって、伝統的な旗艦モデルだ。Pixel 5ではミッドレンジの3モデル併存で真の旗艦機種がなかったことで失望されたのをGoogleは学習したようだ。新モデルの発売数週間前に自らリークするというAppleと正反対のアプローチによって、すべての注目は新モデルデュオに向けられている。

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米国時間10月19日の発売日を前に、情報が公にされるペースが落ちる様子はない。先週末、英国の携帯ショップCarphone Warehouse(カーフォン・ウェアハウス)は2台の携帯電話の販売ページを公開した。もちろん同社はそのページをできる限り早く取り下げたが、1人のリークハンターの鷹の目がスクリーンショットを撮るより遅かった。Googleも、未発売製品の広告をさまざまなメディアで展開しており、おそらく懐疑的な人々がAppleの最近発売されたiPhone 13の「今すぐ購入」ボタンを押すのを思い止まらせようとしているのだろう。はるかに遡る8月から広告・マーケティング活動を始めているGoogleは、クパチーノ生まれの従兄弟たちに対するいくつかの優位性を強調し、激しい勢力図の中を闊歩している。

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みなさんが想像する通り、スマートフォン戦争の大部分が好戦的行動をシフトしていることを受け、リークされたページはカメラ品質を重点的に強調している。

Google Pixel 6は、Androidのトレンドである写真撮影プロセスへのコンピュータービジョンとAI機能の追加を続けている他、トップクラスのハードウェアも加えている。報道によるとPixel 6は50mpxの広角カメラと12mpxの超広角カメラを搭載している。Pixcel 6 Proは3基のカメラを備え、弟分と同じ2基に48mpxの望遠レンズが加わる。

もう1つの大きな注目点は両新機種でデビューを飾るすでに話題となっているTensor(テンサー)チップだ。

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そのマーケティングページでは、バッテリーテクノロジーに関するGoogleの宣伝にも光を当てている。適応型バッテリー性能とは、端末のバッテリーが、放電状態から50%状態までわずか30分で充電可能というもので、オペレーティングシステムには、昨今の電源からはるか遠くへ冒険する人たちのバッテリー寿命をいっそう引き伸ばすための知能が組み込まれている。同社は、ケーブル不要の高速ワイヤレス充電も力を入れて宣伝している。

主要なライバルたちがセキュリティに大きく力を入れている中、Googleもその最前線に参加し「他のどの端末よりも多いレイヤーのハードウェアセキュリティ」を謳い、セキュリティチップ、Titan M2の採用と「5年間のアップデート」による「長期にわたるセキュリティ」の確保を約束した。それがファームウェアのアップデートなのかOSアップデートなのかはまだ不明だが、Androidが、年を経て忘れられそうな端末にも責任を持つというのは明るい話題だ。

発売日が近付くにつれ、さらに多くの情報が入る予定だ。予約は来週10月19日に始まると思われる。

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AMDがRyzenプロセッサーとWindows 11による性能低下に関する情報公開、修正プログラムを10月中公開へ

AMDがRyzenプロセッサーとWindows 11による性能低下に関する情報公開、修正プログラムを10月中公開へ

米AMDは自社製プロセッサ「Ryzen」を搭載したパソコンに「Windows 11」をインストールすると、アプリケーションなどの性能が低下する可能性があると発表。米マイクロソフトと協力し、問題を修正すると発表しました。

AMDのサポートページによれば、現在確認されている問題は2点。1つはプロセッサに搭載されたL3キャッシュのレイテンシが増大するというもので、これによりアプリケーションによっては3〜5%の性能低下があるとしています。また、特にゲームなどで影響が顕著になるとのこと。

これに関する修正プログラムはWindowsアップデートとして、10月中に配布予定です。

もう1つは、プロセッサの最速コアへとスレッドを優先的に割り当てる機能が、うまく動作しない問題です。これにより、1〜数コアのCPUを利用するアプリケーションが影響を受ける可能性があります。また8コアかつTDP 65W以上のプロセッサにて、影響が顕著です。

この問題はソフトウェアアップデートとして、同じく10月中に公開予定となっています。

Windows 11のパフォーマンスに関する問題としては、仮想化を利用したセキュリティ技術「VBS(Virtualization-based Security)」により、ゲームのパフォーマ寸が低下する問題が報告されています。やはりリリースされたばかりのOSということで、いくつかの問題の発生は仕方ないのかもしれません。

(Source:AMD。Via Ars TechnicaEngadget日本版より転載)

カップホルダーを車上荒らし防止デバイスに変えるKeep Technologiesのプロダクト

David Moeller(デビッド・メラー)氏は次の会社を起業するつもりはなかった。ウェブサイトバックアップスタートアップのCodeGuard(コードガード)とハードウェア企業Claw Hanging Systems(クローハンギングシステムズ)を起業したことで連続起業家としての称号をすでに勝ち得ていたからだ。

ところが、車上荒らしが相次ぐ中、メラー氏は自分のクルマを盗難から守る製品を急いで探していた。それでわかったのは、市場の車上荒らし対策製品は需要に応えていない部分があり、それを埋める製品を出せばビジネスチャンスになるということだった。

メラー氏は数年に渡ってプロトタイプと研究開発を行い、ビジネスプランを立て、Keep Technologiesという会社を創業する。このアトランタ本拠のスタートアップは、TechCrunch Startup Battlefieldで事実上のデビューを果たし、2020年秋に正式に創業した。

「最初は起業しない理由を本当に探していました」とメラー氏はいい、市場調査、特許調査、消費者調査に数カ月を費やしたあと、プロトタイプを制作したと説明する。「ちょうど会社を売却したところでしたし、起業を検討していたときは、ゴルフも本格的にやりたかったし、下の娘も生まれたばかりだったので、何か危険信号はないか、起業すべきでない理由が欲しかったのです」。

しかし、起業しない理由は見つからなかった。それどころか、車両の安全性とセキュリティを実現するスマートデバイススイート、および付随するクラウドサービスとモバイルアプリも開発してしまった。フラグシップ製品のKnightは、車両への侵入と車周辺の動きの検出器で、車内のカップホルダーに取り付けて使う。もちろん、カップホルダーもそのまま使用できる。

すでに5つのユーティリティ特許を取得し、他にも16の特許を申請中のKeep Technologyは、多くの投資家の目を惹きつけている。メラー氏は最初、自己資金でKeepを立ち上げた。以降、数多くの投資家たちから4億ドルの資金を調達している。Cloudflareの共同創業者兼CEOのMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏、アーリーステージのテクノロジー投資企業TechOperators(テックオペレーター)の共同創業者Tom Noonan(トム・ノーナン)氏、Ellis Capital(エリスキャピタル)のBert Ellis(バート・エリス)氏、 Kenzie Lane Innovation(ケンジーレーンイノベーション)のCEO Tripp Rackley(トリップ・ラックレー)氏、Intercontinental Exchange(インターコンチネンタルエクスチェンジ)の最高情報セキュリティ責任者Jerry Perullo(ジェリー・ペルロー)氏などがKeepに投資している。

動作原理

Keep TechnologyのKnightデバイスは、車両のOBDポートに接続して使う。コードは床板の下を通って車両の中央コンソールに接続される。そこには通常、カップホルダーがある。Knightはカップホルダーに固定して使う。デバイスを回してしっかり固定するとアクティブ化される。

Knightデバイスは所有者以外の誰も取り外すことができない、とメラー氏は説明し、取り付けおよび取り外し作業中のアラーム機能に関する特許もいくつか取得していると付け加えた。Knightにはカメラが内蔵されており、180度の視界を確保できる。携帯電話にも接続可能で、パッシブ赤外線方式(PIR)およびマイクロ波センサーによって車内外の動きを検出できる。

画像クレジット:Keep Technologies

つまり、Knightは車上荒らしの犯人の動画を記録し、そのデータをクラウドに送信し、ユーザーのモバイル端末にも送ることができる。また、クルマの所有者の代わりに動画を確認して、警察に通報するという行動を取ることができるモニタリングサービスも提供している。

目的はもちろん、クルマへのいたずらやパーツの盗難を記録するだけでなく、車上荒らしを防ぐことだ。Keep製のデバイスはBluetooth経由で付属のフォブまたはユーザーのモバイルアプリと通信する。いずれにしても、所有者がドアをロックしてクルマを離れると、デバイスが自動的にアクティブ化される。

何者かがクルマに近づき車内を覗き込んだら、デバイスは抑止モードになり、LED光が点滅し甲高い警告音が鳴る。これは今日市場に出ている大音量の屋外用アラームとは異なる。光の点滅と甲高い警告音は誰かがクルマの周辺をうろついているときだけ発動され、その人が去ると止む。その人がクルマのドアを開けようとすると、最大120dbの警告音を発するブザー(メラー氏によると100人の赤ん坊が泣き叫んでいるような音)が鳴り、魚眼レンズがビデオを録画し転送する。

メラー氏によると、Knightデバイスの価格は299ドル(約3万3000円)、サブスクリプションの場合は年50ドル(約5500円)にする予定だという。本格的な監視サービスを望むユーザーには、月30ドル(約3300円)の価格設定を考えている。製品のリリースは2022年の中頃の予定だ。

Keep創業までの経緯

ジョージア工科大学で機械工学の学位を取得したメラー氏は、GEに就職し、ごく普通にプロとして仕事を始めた。GEでは中東、中国、ダラスの各支社に配属され、4年間在籍した。その後、投資銀行に転職するため仕事を辞め、ハーバードビジネススクールに入学した。起業家精神が芽生えたのはその頃だった。

メラー氏と友人はAmerican Inventorというリアリティーテレビ番組(2007年にABCで放送されたShark Tankの先行番組)に出演する。2人はThe Clawという自転車用ラックを発明し、ファイナリスト6組に残った。最終的には、The ClawをWhirlpool(ワールプール)にライセンス供与し、Lowe’s(ロウズ)、Home Depot(ホームデポ)、Amazon(アマゾン)で100万台以上を売り上げた。

メラー氏は、その夏の前半にAmerican Inventorの撮影を行い、後半は某投資銀行でインターンとして経験を積んだ。

「その夏の終わりまでには、その自転車用ラックが売れなくても、起業家になると決心しました」とメラー氏はいう。「あの経験で、大きなリスクを取ること、そしてその結果起こり得ることに対する私の考え方は大きく変わりました」。

Claw Hanging Systemsを立ち上げたメラー氏は、続いてCodeGuardを起業する。Clawの創業者は製品が番組で紹介されたときに先行予約を受けられるようにウェブサイトを立ち上げていた。ワールプールや他の会社に、この製品の需要があることを示すことが目的だった。が、このウェブサイトは、American Inventorが放映される前にクラッシュしてしまった。

数年後、メラー氏は、ウェブサイトバックアップスタートアップCodeGuardをジョージア工科大学の教授と共同で創業する。CodeGuardはTechCrunch Disrupt 2011に参加し、コンペでファイナリストに残った。その後すぐ、CodeGuardはCloudflareと提携し、2018年、Sectigoに買収された。

メラー氏はその後2年間、Sectigoに在籍していた。当時、同氏は、夜間も週末も費やして神経科学向けのハードウェアの開発を始めた。この取り組みはジョージア工科大学とMITからのスピンアウト組で構成されるNeuromatic Devicesとして会社化され、メラー氏は開発したハードウェアをこの会社から販売するようになる。

CodeGuardをSectigoに売却した頃から、メラー氏は立て続けに車上荒らしの被害に遭う。アトランタで近隣に引っ越した直後に被害に遭ったのを期に、同氏は、車上荒らしの被害を防ぐためのセキュリティデバイスまたは製品について考えるようになった。

今後の展望

画像クレジット:Keep Technologies

KeepはKnight以外にもいくつか製品を出している(製品名はチェスの駒の名前から取っているものが多い)。具体的には、カメラは内蔵していないが、クルマの周辺の動きや車内への侵入は検知できる廉価版のPawn、フロントガラスに貼り付けて使う360度の視界を提供するRookなどがある。

メラー氏によると、Knight、Pawn、Rookの3機種はKeepの初期製品に過ぎないという。同社はメラー氏を含めて11人の会社だが、例えば盗難の被害に遭うことが多いガス浄化装置(自動車の排出ガス中の有害成分を、触媒を使って低減する装置)の盗難防止デバイスなど、上記以外のセキュリティデバイスやセンサーの開発にも取り組んでいる。今後登場するアドオン製品としては、座席モニタリングセンサー、ドア / トランク / 給油口監視装置、カップ式無線充電装置、GPS追跡強化タグなどがある。

またKeepは、Lookoutと呼ばれる製品も設計している。これは、フロントガラスに取り付けて、警察官による職務質問を録画する小型パック型デバイスだ。といっても、メラー氏はこのデバイスでドライブレコーダー業界に参入しようとしているわけではない。むしろ、大手のドライブレコーダーメーカーと提携して、Lookoutを組み込んでもらうほうが可能性があると考えているようだ。

画像クレジット:Keep Technologies

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

44億円を調達した紛失物探索デバイスのTile、新製品でAppleのAirTagに対抗

Bluetoothを利用した紛失物探索デバイスのメーカーTile。最近ではApple(アップル)を激しく非難している同社は、現地時間9月16日、Capital IP(キャピタルアイピー)から4000万ドル(約43億8000万円)の希薄化をともなわない融資を獲得したことを発表した。今回の資金調達は技術開発への投資に充てられる。また、同社はAppleのAirTagsに対抗し、新製品や機能を発表して市場の拡大を図る。

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Tileは、ハンドバッグやスーツケース、自転車、財布、鍵などのアイテムに取り付けられる小型紛失物探索デバイスの分野で長年にわたり業界をリードしてきた。ユーザーはiOS、Androidのスマートフォンアプリ「Tile」を使ってそのアイテムを追跡することができる。アイテムを紛失した場合、Tileアプリを使って、Bluetooth経由でアイテムを探索し、アイテムに取り付けられたデバイスで音を鳴らしてアイテムを見つける。アイテムが近くにない場合は、アプリをインストールしている他のユーザーやその他のアクセスポイントで構成される、より広範な探索ネットワークを利用する。Tileはこのネットワークを介して、自動的かつ匿名でアイテムの位置を持ち主のTileアプリに伝える。

画像クレジット:Tile

同社は、オーディオ、トラベル、ウェアラブル、PCなど40以上の企業について、その企業のデバイスとTileの検索ネットワークを統合するパートナーシップを締結している。代表的なブランドパートナーとしては、HP(ヒューレットパッカード)、Dell(デル)、Fitbit(フィットビット)、Skullcandy(スカルキャンディー)、Away(アウェー)、Xfinity(エクスフィニティ)、Plantronics(プラントロニクス)、Sennheiser(ゼンハイザー)、Bose(ボーズ)、Intel(インテル)などが挙げられる。Tileによると、同社のサービスが組み込まれたデバイス上のアクティベーションは、前年比で200%の伸びを示しているという。

これまでにTileは4000万台以上の探索デバイスを販売し、42万5000人以上の有料顧客を獲得している。これらの数字は今回初めて公表されたが、同社は無料と有料を合わせた総ユーザー数は公表していない。同社は2021年上半期に収益が50%以上増加したとしているが、これについても正確な数字は公表されていない。

Tileは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、一部の市場の回復が遅れ、海外展開に影響があったことを認めているが、海外での業績は好調であり、今後も注力していく予定だという。

しかし、Tileにとっての唯一の障害がパンデミックという訳ではない。

AppleがAirTagsを発売してTileに対抗する計画を発表した際、Tileはそれを「不公正な競争」として批判した。Tileの製品とは異なり、AppleのAirTagsでは、iPhoneの新モデルに搭載されたU1チップが実現するウルトラワイドバンド(超広帯域)技術を利用して、より正確な探索が可能だ。一方、Tileは独自のウルトラワイドバンドを利用したデバイスを計画していたが、iPhoneでウルトラワイドバンドを利用することができなかった。つまり、Appleは自社の紛失物探索デバイスに、競合他社との差別化を図るための機能をいち早く、独占的に利用したのだ(Appleはその後、ウルトラワイドバンドのAPIをサードパーティ開発者に提供することを発表したが、APIが利用できるようになったのはAirTagが発売された後のことである)。

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Tileのコンセプト図(社内資料)

Tileは、Appleの反競争的行為を問題視し、Spotify(スポティファイ)やMatch(マッチ)といった他のAppleに批判的な企業とともに複数の議会公聴会で証言してきた。規制当局からの圧力が強まった結果、Appleは後になってFind Myネットワークをサードパーティ製デバイスに開放し、AirTagsによって不利益を被るTileや他の競合他社を懐柔しようとしている。

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しかし、Tileは、顧客をAppleのファーストパーティアプリに誘導するのではなく、独自のアプリを使用して、独自の機能やサービスで勝負するつもりだ。Tileのサブスクリプションにその姿勢が良く表れている。基本となるTile Premiumプランは年額29.99ドル(日本では3600円)で、無料のバッテリー交換(日本では延長保証)、スマートアラート、ロケーション履歴などの機能を提供する。また、年間99.99ドル(約1万1000円、日本未対応)のPremium Protectプランでは、発見できなかったアイテムに対して年間1000ドル(約11万円)までの保険が適用される(AirTagには同様のサービスは存在しない)。

多くの差別化要因があるにもかかわらず、TileはウルトラワイドバンドのAirTagとの激しい競争に直面している。なぜなら(Appleの製品である)AirTagには、潜在的に数億人のiPhone所有者から成るAppleのネットワークを利用できるという利点があるからだ。

それでも、2018年にTileに参入したCEOのCharles “CJ” Prober(チャールズ・プローバー)氏は、AirTagは同社の収益やデバイスの販売に影響を与えていないと主張する。

同氏はAppleについて次のように話す。「……しかしそれは、Appleが私たちのビジネスを難しくしているという事実を取り除くものではありません」「私たちのビジネスは成長を続け、ユーザーに支持されています。Appleは不公平な競争をしています」。

「プラットフォームを所有している以上、参入したいカテゴリを決めて、そのカテゴリの既存企業を不利にすることで自分たちが有利になるようにすることは許されません。彼らが私たちにしたようにね」。

TileはAirTagに対抗するために、製品のリニューアルを発表する準備をしている。詳細は来週発表されるとのことだが、おそらく、これにはすでに発表されたウルトラワイドバンドバージョンのTileが含まれると思われる。より競争力を高めるために、デザイン、サイズ、形状、機能などの面でラインナップを拡大する可能性もある。

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資金調達については、Tileは2019年にグロースキャピタル(未上場株投資の一種)で4500万ドル(約49億円)を調達した。現在は融資にシフトし、今回の資金調達で、新たな融資に加えて、既存の融資の一部を借り換えているという。

「私は、融資と株式を混在させるのが良いと考えています。ですから、バランスシートにある程度の負債があることは良いことです。株主に希薄化をもたらすものでもありませんから」「私たちは、この資本選択の組み合わせが適切だと思っています」とプローバー氏。

Capital IPは、Tileが過去3年関係を築いてきたグループであり、Tileは同グループを投資家として迎えることを検討していた。「Capital IPグループは、Tileに関心を持ち続け、Tileの将来に期待を寄せている」とプローバー氏は指摘する。

Capital IPのマネージングパートナー、Riyad Shahjahan(リヤド・シャージャハン)氏は、声明の中で次のように述べる。「私たちは、Tileのチームと提携できることをうれしく思います。Tileはハードウェアおよびソフトウェアベースの革新的な技術によって探索システムのカテゴリを定義し、リードし続けています」「収益成長は素晴らしく、急速に上昇する加入者数の傾向は、Tileがプラットフォームに依存せずに提供できる価値提案を裏付けるものであり、当社が投資を決定する上での重要なポイントとなりました。Tileのチームは意欲的なロードマップを持っています。私たちは、Tileのチームが新しい市場やアプリケーションに参入し、市場でのリーダーシップをさらに強固なものにすることを楽しみにしています」。

画像クレジット:Tile

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

セガトイズがPC型トイ「すみっコぐらしパソコン」限定カラー版を10月14日オンライン発売

セガトイズがPC型トイ「すみっコぐらしパソコン」限定カラー版を10月14日オンライン発売

カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアムプラス リミテッドエディション

セガトイズは10月7日、PC型トイ「すみっコぐらしパソコン」シリーズ新製品として、特別な配色を施した「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアムプラス リミテッドエディション」(リミテッドエディション)を発表した。公式通販サイトセガトイズ.com限定製品として、10月14日10時から発売する。直販価格は2万900円(税込)。

なお、「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアム」(プレミアム)とマウスパッドおよび専用ACアダプターがセットになった、「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス」(プレミアムプラス)も同日発売される(こちらは量販店などでも購入可能)。直販価格2万900円(税込)。

セガトイズがPC型トイ「すみっコぐらしパソコン」限定カラー版を10月14日オンライン発売

カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアム

リミテッドエディションは、プレミアムプラスのセガトイズ.com限定カラーバージョンにあたり、華やかなピンクと、鮮やかなパープルのツートーンからなる配色を採用している。

セガトイズがPC型トイ「すみっコぐらしパソコン」限定カラー版を10月14日オンライン発売

カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアムプラス リミテッドエディション

リミテッドエディションのPC本体については、プレミアムやプレミアムプラスと同様の内容・機能を継続。搭載カメラや音声認識機能を利用し、すみっコぐらしのキャラクターたちと一緒に遊びながら学べる110アプリ183メニューを収録している。

マウス操作やタイピングの練習ができる「パソコン」、学研の「ことばパズル」「毎日のドリル」シリーズから小学1・2年生の問題が出題される「こくご」「さんすう」、ネイティブスピーカーの発音で学ぶ「えいご」、マウス操作でお絵描きや塗り絵を楽しめる「ずこう」、プログラミングを学べる機能など、就学前の予習から就学後の復習にまで役立つ機能を利用できる。セガトイズがPC型トイ「すみっコぐらしパソコン」限定カラー版を10月14日オンライン発売

カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプレミアムプラス リミテッドエディション

・同梱内容:パソコン本体(マウス付き)、きせかえマウスカバー×5、たぴおかレリーフ×1、マウスパッド、専用ACアダプター、取扱説明書(保証書付き)
・サイズ:幅275×高さ68×奥行205mm
・CR2032コイン電池×1個(テスト用電池付属)
・対象年齢:6歳以上


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脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

メガネの販売専門店チェーン、「JINS」を運営するジンズが、独自開発のセンサでまばたきや視線移動を計測できるウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」の新モデルを発表、JINS一部店舗(100店舗)、JINSオンラインショップ、Amazonが10月14日に取り扱いを開始します。

JINS MEME の初代は2015年11月に発売。研究開発に5年以上を費やした今回の新モデルは、分散して配置していた2つのセンサーとバッテリーを小型化しつつ、すべてノーズパッド周りに集約することで、軽量化に成功。これまで以上に“メガネ感覚”で楽しめそうです。

度付きレンズを含む価格は1万9800円(税込)。求めやすくなったのも旧モデル(4万2120円)からの改善点です。

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

JINS MEME 旧モデル

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

JINS MEME 新モデル

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円

旧モデルに比べてフレームやカラーバリエーションが増えた

JINS MEME の特徴は大きく3つあります。まず1つ目は眼球の動きにより生じる電位差を3点式眼電位センサーが計測し、まばたきの強さと速度、まばたきの間隔、視線移動の速さから脳の状態を分析できること。

2つ目は3軸方向(x・y・z軸)の加速度を計る加速度センサーと、ジャイロセンサーを組み合わせ、身体の姿勢を計測できること。

そして3つ目は計測したデータをBluetooth経由でスマホに転送し、専用アプリで可視化してくれることです。具体的には、姿勢の状態、前後左右の傾きの角度をリアルタイムで表示したり、姿勢や歩行の状態やスコアを集計したりできます。

脳の状態を分析できるウェアラブルJINS MEME新モデルが10月14日発売、度付きレンズを含む価格は税込1万9800円
単に“データを可視化”するだけでなく、身体と精神のバランスをうまく保てるような機能をアプリに搭載。具体的にはストレッチやヨガ、瞑想の正しいやり方を指導してくれるほか、姿勢が悪く緊張しているときに通知してくれる機能などを備えます。

なお、同アプリはiOS版が先行配信され、Android版は11月に登場予定。初年度は無料で使えますが、2年目以降は月額500円か年額5000円の追加料金がかかります。

また、カメラによるモーションキャプチャーを使わず、取得したデータを活用してユーザーのアバター動画を作れるiOS向けアプリ「VTUNER」(11月下旬ローンチ)も発表。同社いわく、かんたんにダイナミックなアバター動画を作成できる、とのことです。

このほか、同社は10月6日の記者会見で、頭の動きやまばたきの情報を基に、PCやスマートフォンといったデジタルデバイスを操作できる構想を掲げ、「JINS MEME CONTROLLER」として研究開発を進めていることも明らかにしました。

昨今のコロナ禍で在宅時間が増えるとともにリモートワークが浸透し、デジタルシフトに向けた各界の動きも活発化しています。テクノロジーで心身ともに健康でいられる──というメッセージ性が強く具体化されたのが JINS MEME 新モデルだと筆者は考えます。

(Source:JINSEngadget日本版より転載)

【レビュー】Windows 11搭載「Surface Pro 8」は快速で新鮮な印象、新OSとライバルiPad Proとの比較

最新のSurface Proには、新しい良さが詰まっている。スクリーンが新しくなり、筐体も新しくなった。最新のIntel(インテル)製チップセットを搭載し、ついにThunderbolt 4にも対応してくれた。「Surface Pro 8」にはWindows 11も搭載され、多くの新機能が追加されている。特徴的なキックスタンドの動きも良くなり、オプションのキーボードも改良されている。唯一欠けているのはMicroSDXCスロットで、今回のバージョンでは採用されなかった。

Surface Pro 8は、これまでのモデルから大幅にアップデートされているが、それでいて親しみやすさも兼ね備えている。Microsoft(マイクロソフト)は、ついにSurface Proのデザインをアップデートしたが、そろそろ頃合いだったのだろう。同社は2013年にSurface Proを発表したが、7世代のプロダクトを通じて筐体はほとんど変わってこなかった。Surface Pro 8では、Microsoftが2020年に発表した「Surface Pro X」のすばらしいボディを活用した。最高だ。Surface Pro 8はこれまで以上に優れている。

私自身、これをいうことに何のためらいもない。Surface Pro 8は、これまでで最高の2in1であると。気に入っている。使っていて楽しいし、コンパチブルタイプのWindowsマシンを探している人には最適なソリューションと言えるだろう。

レビュー

Surface Pro 8はすばらしい。キックスタンドを開くと、Windows 11が起動する。遅延もほとんどない。読み込みも反応もすべてがスピーディなのだ。第11世代のIntel Core CPUを搭載したSurface Pro 8は、LightroomからFactorioまで高速に動作する。

ディスプレイも美しく、これまでのモバイルデバイスの中で最高のものの1つだと思う。残念なことに、Windowsが120Hzのオプションをコントロールパネルの奥深くに隠しているので、すべての購入者がこのスクリーンの良さを体験できるというわけではない。また、HDRのサポートについては、私は動作させることができなかったのでここで報告することができない。

Windowsは、Surface Pro 8の弱点のように思える。新しいWindows 11の状態であっても、OSはやはりSurface Proの欠点の1つだろう。Windows 11には、ユーザー泣かせな奇妙な癖があり、それに慣れるのに時間がかかった。新しいスタートメニューはあまり好きになれないし、ウィジェットのようなモバイルファーストの機能はすべてただ無造作に追加されているだけのように映る。

ハードウェア

Surface Pro 8は、2020年に発売されたSurface Pro Xの美しいアルミニウム筐体の中で、最新のIntelチップを動かしている。新しい筐体のおかげで、指紋が表面に付着することがなくなった。エッジは丸みを帯びており、過去のモデルよりも洗練されたハードウェア体験を提供してくれる。先代モデルと比較して、厚さは2mm、重さは100g増加している。その理由を尋ねたところ、Microsoftの担当者は、冷却性能の向上と大容量バッテリーは、多少の厚さに見合う価値があると感じていると答えてくれた。

Surface Pro 8は、あらゆるポータブル機器の中で最高のスクリーンを搭載している。このスクリーンは、画質とタッチスクリーン機能の両方の点で見事な仕上がりだ。明るく鮮明で、ピクセル数が多く、クリアな画面だ。リフレッシュレートは120Hzだが、この機能を有効にするには、詳細メニューの「ディスプレイ設定」で有効にする必要がある。また、HDRにも対応する予定のようだが、現時点では対応していないようだ。アダプティブ・カラー・アジャストメントにも対応している。Surface Pro 8は、周囲の光に合わせて色温度を微調整してくれる。

11.3インチのディスプレイ解像度は2880×1920、1インチあたり267ピクセル(ppi)だ。ちなみに、最新iPad Proの11インチのディスプレイは2388×1668、264ppiだ。

ディスプレイは、この新しいSurface Proの魅力の大きな部分を占めているといえるだろう。とても美しく、SlackからPhotoshopまで、あらゆるものを新しいもののように輝かせてくれる。

タッチスクリーンの操作性も向上しているようだ。新しいディスプレイ(あるいはWindows 11)は、スタイラスや指を使ったときの感触がより滑らかになっている。加えて、画面に触れることが楽しくなった。大げさに聞こえるかもしれないが、私はそう感じている。

Microsoftは「Surfaceスリムペン」の新バージョンをリリースした。この第2モデルでは、先端部のデザインを一新し、ハプティックフィードバックとともに遅延を低減している。スリムペン2は使っていて楽しい。さまざまな種類のブラシに合わせて異なるハプティックフィードバックを感じられる。ブラシを使うと、スマッジングスタンプを使うのとは違う感覚を得られる。鉛筆を選択すると、スリムペン2は擦れるような感覚を与えてくれる。アプリケーションがこの機能をサポートする必要があるが(現在はいくつかのアプリケーションがサポートしている)、この体験は過去のものとは根本的に異なるものとなるだろう。

また、Surfaceスリムペン2は、キーボードヒンジの気の利いた場所に収納して充電することが可能だ。しかし、これはSurfaceシリーズの新機能というわけではない。Microsoftは2020年に「Surface Pro X」でこれを採用していたからだ。

内部では、第11世代のIntelチップがSurface Pro 2を動かし、アクティブな冷却によって安定したパフォーマンスを維持している。今回のSurface Proは、過去のモデルほど大幅にパフォーマンスをスケールアップしているようには見えない。

私の試用機は、Core i7に16GBのRAMと256GBのSSDを搭載している。IntelのIris Xグラフィックスを採用している。このマシンの価格は1599ドル(日本では税込21万5380円)で、これにキーボードの価格が加わる(Surfaceスリムペン2の有無にかかわらず)。このモデルが、CPUにCore i7を搭載したモデルの中では最も安価な選択肢だ。もっとお金をかければ、ストレージやRAMを増やしたモデルを選ぶこともできる。価格は2599ドル(日本では税込32万5380円)まで上昇し、32GBのRAMと1TBのSSDを搭載している。

これまでのUSB-Aポートはなくなってしまった。その代わりに、ついにSurface ProシリーズにUSB-Cを導入し、最新のThunderbolt 4を採用した。この構成では、Surface Pro 8は複数の4Kディスプレイに電源を供給したり、外部GPUに接続したり、その他の激しいデータ転送を行うアクセサリーも使用したりすることができる。USB-CポートはSurface Proの充電にも対応しているが、Microsoftは独自のSurface Connectポートでの充電を推奨している。

microSDXCスロットはなくなってしまったが、SSDはユーザー自身で交換できるようになった。MicrosoftがmicroSDXCスロットを廃止したのは残念だ。これはiPad Proと比較して大きなセールスポイントだったからだ。SSDはキックスタンド下のパネルに隠れている。それを突き出せば、SDDに簡単にアクセスでき、ネジ1本で固定できる。SSDの交換には1分もかからないだろう。

バッテリー駆動時間

Surface Pro 8は、1日中使えるポータブルデバイスだ。試用機を手にしてからまだ1週間も経っていないが、頻繁に使用していて、一晩中コンセントにつないでいただけだ。しかも、私はMicrosoftのアプリを使っていない。EdgeやTeamsではなく、Chrome、Slack、Xoomを使っている。これは重要なことだ。バッテリー駆動時間について語るとき、Microsoftは、バッテリー駆動時間を延ばすためにアプリを最適化したことを明らかにした。

同社によると、Surface Pro 8は18時間のバッテリー駆動が可能とのことだが、私はその数字を達成できなかった。Chromeの使用、YouTubeTVのストリーミング、ビデオ通話などで、平均して約10時間のバッテリー駆動時間を確認した。

Surface Pro 8には新しいアクティブクーリングデザインが採用されているが、それでも触ると熱さを感じる。この熱さのために、メディアを編集する際にタブレットとして使用すると不快感があった。Lightroomは問題なく動作するが、PhotoshopではSurface Pro 8が不快なレベルまで熱くなってしまう。

ウェブカメラ

Surface Pro 8にはすばらしいウェブカメラが搭載されており、しかも適切な位置に設置されている。この配置については、MicrosoftがApple(アップル)を軽く非難してすらいる。発表会でMicrosoftの広報担当者は「そして前面カメラは、横ではなく中央の、本来あるべき場所に配置されています」と笑顔で語っていた。Appleはなぜか、iPadのカメラを画面の短辺側に配置し続けている。そのため、タブレットをラップトップモードにしてキーボードを接続すると、ウェブカメラが横にずれてしまい、奇妙なウェブカメラ体験となってしまう。

前面のカメラは非常に優れている。1080pの動画と5mpの静止画を搭載しており、ホワイトバランスや露出などの高度なコントロールが可能だ。

以下、Surface Pro 8やiPad Pro(2020)との比較だ。

Windows 11についての簡単な説明

私がPCを使う目的は主に2つある。ゲームとメディア編集だ。私がこのレビューをMacで書いているのは、それが私の仕事環境だからだ。Windowsは私の毎日の仕事道具ではないし、Windows 11は私にMac OSをやめさせようとするものでもなかった。

新しいスタートメニューは、ユーザーに圧迫感を与えるものだ。画面の中央にかなりのスペースを占めており、その大きさを正当化する理由が見当たらない。その新しいスタートメニューの大部分は空白となっている。さらに悪いことに、以前のバージョンのようにスタートメニューをカスタマイズすることはほとんどできない。

それ以外の新しいWindows体験については一応許容範囲内だ。Windowsのトップレイヤーしか使わない私にとっては、この新しいシステムは古いシステムと同じように感じる。

私はMac OSではウィジェットを使わないし、Windows 11でも使うことはないだろう。今のところ私の試用機では、これらのウィジェットはカスタマイズできない。プリインストールされているウィジェットはカスタマイズできるが、ウィジェットを追加することができない。また、読み込みや更新にも時間がかかる。

Windows 11を日常的に使用しているユーザーから見たWindows 11の詳細をまた待っていて欲しい。

Surface Pro 8とiPad Proの比較

Surface Pro 8とiPad Proは、根本的に異なる製品だが、ターゲットとする市場の多くは同じだ。Surface Pro 8が完全なデスクトップOSを搭載しているのに対し、iPad ProはiPhoneで使われているソフトウェアのモバイル版を搭載しているが、その機能は強固だ。

Surface ProとiPad Proは、どちらもすばらしいディスプレイを備えており、タッチスクリーンの機能も同様にすばらしいものだ。スタイラスも同様に機能する。新しいSurface Penの方にはハプティックフィードバックが搭載されている一方、最新のApple PencilとiPad Proの方がより正確で、より楽しく使える。

この2つを選ぶには、それぞれのユースケースを見る必要がある。Surface Pro 8はデスクトップに代わるデバイスとして優れているが、ユーザーによっては、タスク次第でモバイルOSを使った方が良い場合もあるだろう。

ここで、いくつかアドバイスがある。

Surface Pro 8がおすすめな方。

  • 独自のソフトウェアを実行する機能を備えている、デスクトップに代わるデバイスを探していている方
  • Microsoftの法人向けアプリを動かすためのポータブルデバイスが必要な方
  • ゲームが好きで、Xboxゲームのストリーミングに満足している方
  • フルサイズの着脱式キーボードが必要な方

iPad Proがおすすめな方。

  • 主流のアプリ(Adobe PhotoshopやLightroomなど)でメディアを編集するためのデバイスを探している方
  • Google(グーグル)のG-Suiteを動作させるためにハイエンドのポータブルデバイスを必要としている場合
  • Microsoft Office 365の基本機能やアプリを使っている方
  • スマートフォンに搭載されているようなモバイルファーストのゲームを楽しみたい方

その価値は?

Surface Proは、これまでのバージョンで最も優れたモデルとおえるだろう。発売時にはいくつかの重要な機能が欠けているが、可能性を十分に秘めている。この製品は、美しいディスプレイと優れた品質を備えたすばらしいセットだ。新しいスタイラスは歓迎すべきアップグレードであり、Intelの最新チップはパフォーマンスにおいて、コンピューターとしてより信頼できるものにしてくれている。

Surface Proシリーズの製品ラインは常に奇妙なポジションに位置していたが、今回のバージョンでメインストリームとしての選択に近づくことができた。これまでは、パフォーマンスがわずかに不足していて、ハードウェアもぎりぎりまぁ良いかなという具合だった。Surface Pro 8では、パフォーマンスはようやく許容できるものになり、ハードウェアは美しいものになった。Surface Pro 8は、最高のWindows 2in1といえるだろう。

画像クレジット:Matt Burns

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(文:Matt Burns、翻訳:Akihito Mizukoshi)

長距離ワイヤレス給電技術「AirPlug」により配線のないデジタル社会を目指すエイターリンクが2億円調達

長距離ワイヤレス給電技術「AirPlug」により配線のないデジタル社会を目指すエイターリンクが2億円のシリーズA調達

ワイヤレス給電によって配線のないデジタル社会の実現を目指す、米スタンフォード大学発のスタートアップ「エイターリンク」は10月5日、シリーズAラウンドにおいて第三者割当増資による2億円の資金調達を発表した。引受先は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)運営のKII2号投資事業有限責任組合、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ運営のテクノロジーベンチャーズ5号投資事業有限責任組合。

調達した資金により開発体制を早急に整え、まずはFA(Factory Automation)、ビルマネジメント領域の製品投入を実現する。メディカル領域への市場導入も進め、ワイヤレス給電による配線のないデジタル社会の実現を目指す。

エイターリンクは、心臓のペースメーカーをはじめとする「メディカルインプラントデバイス」にワイヤレス給電する研究開発を行ってきた。デバイスを体外から体内深部20cmへワイヤレス給電で稼働させることが同社の基盤技術となっており、実用レベルでの完全ワイヤレス給電「AirPlug」を実現したという。

また同技術は、医療用途以外にも応用可能なことから、現在FA、ビルマネジメント、メディカルの3領域への応用を目指している。

FA(Factory Automation)領域

ダイナミックに稼働するロボット先端部の配線は、高頻度で断線することが多く、FA業界においては長年の課題となっている。ロボットハンド先端部など、「断線しやすい可動部」や「配線しにくい箇所」のセンサーのワイヤレス給電を実現することで、この課題を解決する。またこれにより、取り替えコストの大幅な削減も可能という。現在、市場導入は2022年後半以降を予定し、製品開発を行っている。

ビルマネジメント領域

タスク&アンビエント空調は、空間の中で人がいる領域「タスク域」は最適な環境を保ち、不在時や人がいない領域「アンビエント域」は環境条件を緩めることで、快適性と省エネルギーの両立を図るシステム。しかし、センサーを設置するのに多額の配線コスト、バッテリー交換コスト(廃棄も含め)がかかるため、十分なビルマネジメントシステムが構築できないという課題がある。

エイターリンクが持つ技術を大手ゼネコン、ディベロッパーと実証実験を実施した結果、ワイヤレス給電によって温湿度センサー、照度センサーやCO2センサーを稼働させるだけでなく、ドア・窓センサー、人感センサー、漏水センサー、コンクリート内のひずみセンサーなどを一括してワイヤレス給電を行うことが可能となったという。

同技術は2021年11月より実際の市場投入を予定。今後「世界初のマイクロ波ワイヤレス給電」による建築物のデジタルトランスフォーメーションに貢献するとしている。

メディカルインプラント領域

メディカル領域における最初のターゲットアプリケーションは、感覚器へのデバイスを想定しており、現在基礎開発を行っているという。市場導入は2025年以降を予定。