Rent the Runwayを進化させた英国のファッションレンタル・シェア「HURR」が約6.1億円調達

「Rent the Runway」スタイルの英国のファッションレンタルマーケットプレイス「HURR」は現地時間12月10日、欧州のVCであるOctopus Venturesが主導するシードラウンドで540万ドル(約6億1000万円)を調達したと発表した。今ラウンドにはAscensionやD4 Venturesなども参加した。

2019年にローンチしたHURRは、ピアツーピアのファッションレンタル、ファッションアウトレットとの直接提携、(英高級百貨店セルフリッジズのレンタルサービス)Selfridges Rentalなどの小売店とのホワイトレーベルサービスを組み合わせたハイブリッドなビジネスモデルを展開している。また、Selfridges London(セルフリッジズ・ロンドン)に実店舗を持ち、世界的なフリマアプリDEPOP(ディポップ)との提携も行っている。

HURRの創業者兼CEOであるVictoria Prew(ヴィクトリア・プリュー)氏は、次のようにコメントしている。「私は、オーナーシップを共有するのが大好きなミレニアル世代の一員です。私たちは皆、AirbnbやUber(ウーバー)のような破壊的な技術を駆使したビジネスの台頭を目の当たりにしてきましたが、家やクルマをそうしてレンタルできるのであれば、ワードローブを貸し借りすることもできるはずです」。

Octopus Venturesのコンシューマー部門投資家であるMatt Chandler(マット・チャンドラー)氏は、次のように述べている。「HURRは、新しいオーナーシップモデルへの移行を利用して、より気候に優しいファッション業界への移行を先導できる絶好の立場にあります」。

画像クレジット:HURR

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

【TC Tokyo 2021レポート】キノコの菌糸体からレザーを作るBolt Thread、2022年には日本ブランドとのコラボも

先に開催された「TechCrunch Tokyo 2021」。「海外スタートアップとSDGs」と題したセッションでは、スピーカーにBolt Threadsの創設者でCEOのDan Widmaier(ダン・ウィドマイヤー)氏を迎えた。モデレーターは米国を中心にスタートアップやテクノロジー、VCに関する最新トレンドなどを配信する「Off Topic」を運営する宮武徹郎氏が務める。

2022年春には大手ブランドからキノコの菌糸体で作ったレザー製品が発売される

Bolt Threadsは代替レザー素材の「Mylo」(マイロ)で注目されている。マイロは、キノコの根にあたる部分で繊維質が多く糸状の形状をしている菌糸体から作られる環境負荷の少ない素材だ。動物性の毛皮やレザーを使わないことで以前から知られるStella McCartneyの他、adidasやKering、lululemonなどのグローバルブランドとコンソーシアムを形成して、マイロを使った製品開発を進めている。adidasはスニーカーの「スタンスミス マイロ」を2022年春夏コレクションで発売、ルルレモンはヨガマットとバッグを2022年春に発売することを、それぞれ発表済みだ。Stella McCartneyも2021年3月にマイロを使った衣服を公開した。

ウィドマイヤー氏はカリフォルニア大学サンフランシスコ校で化学と化学生物学の博士号を取得した。2009年に2人の共同創業者とともに、バイオテクノロジーを活用して次世代の材料を開発するBolt Threadsを設立。現在の同社は、社員約100人を擁する生体材料プラットフォーム企業に成長した。同氏は2021年に英国・グラスゴーで開催されたCOP26でマイロを紹介した。

自然の材料エコシステムと自分たちの専門性から生まれたビジネス

「クレイジーで破壊的なビジネスについて、あますところなくお話しします」とセミナーの口火を切ったウィドマイヤー氏。創業の経緯について「私たち世代のメガトレンドとなるであろうものを見据え、そこにビジネスチャンスがあると考えました。気候変動とそれに対する人類の適応です。自然界にすばらしい材料エコシステムがあることと、自分たちが合成バイオロジーとバイオテクノロジーの専門家であることを結びつければ、今後長く続くであろうメガトレンドにフィットした製品やサービスを提供できるというシンプルなアイデアからBolt Threadsを立ち上げました」と説明した。

こうした考えから開発したのが、キノコの菌糸体から作るマイロだ。ウィドマイヤー氏は「地球上には38億年前から生命が存在しています。あなたの周囲を見れば生物が成長しているでしょう。見渡す限り、すばらしい材料が存在しているはずです。これらはすべて循環的に進化しています。自然は、自然の中にある材料を摂取し、新しい材料の中に返すのです」と循環型経済の素晴らしさを語る。

これに対して宮武氏は、同社のサステナブルなイノベーションがファッション業界に与えるインパクトを尋ねた。

ウィドマイヤー氏によれば、ファッションのサステナビリティに影響する要素として「環境負荷の75%は製品の原料とその調達方法の選択によるもの」で、同社は将来的に大きなインパクトを与えられるという。

同氏は「今、私たちは地球環境に大きな影響を与えるかどうかの瀬戸際にいます」と語り、オーディエンスに対して「科学技術者は将来何を実現できるかについて、夢追い人かつ楽観主義者であるべきです。資源をより効率的に使用している未来を夢想し続けるのです」と呼びかけた。

マスマーケットで販売する道筋が見えてきたマイロ

では、マイロとはどういう素材で、現在はどのような状況なのか。

ウィドマイヤー氏は「自然が創り出した非常に細かい繊維です。これを利用すればまるでレザーのような感触のものを作れるのです」と説明し、実際にマイロレザーをカメラの目の前にかざして見せてくれた。布状にした後で、エンボス加工と仕上げの加工を施したものだという。菌糸体は効率的に育てることができ、土壌の中で有機分を分解してそれを他の生物が食べて成長するという循環が成立する。

マイロのサンプル

こうした特性を活かした製品化にあたっては「技術は拡張可能でなければならない、高品質でサステナブルで価格競争力がなければならない。こうした要件をすべてクリアしてきました。菌糸体は間違いなく最適な選択でした」と同氏はいう。

ウィドマイヤー氏から「価格競争力」という言葉が出たことから、宮武氏はマイロが市場で価格競争力を得る見込みを尋ねた。

ウィドマイヤー氏は、マイロに関しては2021年に生産設備を増強し、2022年に稼働させて、年間生産量を100万平方フィート(約9万2000平方メートル)に拡大すると説明した。ただし「ファッションは巨大産業で年間350億平方フィート(32億5000万平方メートル)のレザーが消費される世界ですから、当社が生産量100万平方フィートになり、さらに拡大していったとしても到底およばないのですけどね」とのことだ。

「人が開発するものは、それが何であれ、最初は非常に高い価格となります。しかしその価格は急速に下がります。私たちはスケールアップのためのいくつかのステップをクリアして、マイロをマスマーケットで販売する道筋が見えています」(ウィドマイヤー氏)

サステナブルな素材を消費者に届けるための協業

マイロをマスマーケットで販売する道筋、それがブランドとともにコンソーシアムを作った目的だ。「流通システムを持っているのは誰か、人気商品を販売するための消費者との接点を持っているのは誰か。そこでしか人々に影響を与えたり消費者とつながったりすることができません」(ウィドマイヤー氏)

同氏は次のように言って、ブランドにマイロを売り込んだという。「これは世界が必要とするもの、消費者が求めるもの、あなた方が求めるものです。生物が住み続けることのできるサステナブルな地球を維持したいでしょう?ビジネスモデルを変えていきましょう。Bolt Threadsは御社の力なしではこの技術を消費者に届けられません。御社はBolt Threadsの技術がなければ消費者に製品を提供できません。1つのブランド、1つのスタートアップ企業が達成できる以上のことを、ともに協力して成し遂げようではありませんか」。

サステナビリティなビジネスを牽引するのは消費者

宮武氏から消費者の変化について聞かれたウィドマイヤー氏は、次のように語った。

「消費者はこの10年間で劇的に変化しました。10年前はサステナビリティやビーガンなどの用語は笑い飛ばされるだけでした。ベンチャーキャピタルも企業も消費者も誰も相手にしてくれませんでした。それが今では山火事など気候変動による急速な影響を目の当たりにして、人々は環境保護に熱心になりました。若い世代ほど熱心です。彼らは私たちがダメにしたこの地球でこれからも生きていかなければならないですから。こうした大きな変化によってBolt Threadsが成長できただけでなく、多くのブランドがコンフォートゾーンを抜け出してでも解決策を模索し、採用するようになりました。このビジネスを牽引しているのは、まさに消費者です。多かれ少なかれ、企業は消費者の需要に応えるものです。消費者がトレンドを引っ張り、変化を実現するのです」。

日本のブランドとの協業も!

セッションの最後に、ウィドマイヤー氏は日本のオーディエンスに向けてサプライズを用意していた。具体的な社名は明かさなかったものの「2022年に日本のブランドと初めてパートナーシップを結びます」と公表し、発売予定の財布のプロトタイプを見せてくれたのだ。菌糸体でできたレザー製品を実際に見て試す機会は、すぐそこまで来ている。

日本のブランドとコラボした財布を見せるウィドマイヤー氏

(文:Kaori Koyama)

スニーカー・フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAがSoftBank Vision Fund 2から資金調達、評価額約380億円に

スニーカー・フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAがSoftBank Vision Fund 2からシリーズD調達、評価額約380億円に

国内最大級スニーカー&ハイブランドC2Cマーケットプレイス「スニーカーダンク」(SNKRDUNK。Android版iOS版)を運営するSODAは12月2日、シリーズDにおいて、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先はSoftBank Vision Fund 2。今回の資金調達により評価額は約380億円となった。

調達した資金は、シンガポール、オーストラリア、香港などのアジア市場獲得、国内事業の拡大および強化、AIを活用したロジスティクス、真贋鑑定、カスタマーサポートなどにあてる。

SODAは「世界中に熱狂的ファンを生み出すマーケットプレイスを。」をミッションに、スニーカーダンクを運営。スニーカーダンクは、個人取引の間に真贋鑑定を行うことで偽造品の流通を防ぎ、安心・安全に取引ができるプラットフォームとなっている。2019年9月にスニーカー売買からスタートし、現在ではストリートウェア、ハイブランド、ホビーなどファッション・コレクティブ領域のアイテムを取り扱っている。また、人気スニーカーやブランドアイテムの新作・発売情報を配信するメディアや、コーディネート写真など月間数万件以上が投稿されるコミュニティも提供している。

【コラム】美的Vlogの大統一理論

まだパンデミックが始まったばかりの頃のこと。5人のルームメイトとともに薄暗いブルックリンのアパートで暮らしていたRian Phin(リアン・フィン)氏は、ストレスの多い仕事から一時解雇され、コンテンツの制作も思うように捗らず悩んでいた。やがて、天井が高く大きな窓が配された美的感覚が優れたアーティストロフトに引っ越したことで、同氏はようやく自分の生活を美しく演出したライフスタイルコンテンツを作ることに成功した。

若い頃からTumblr(タンブラー)で有名なファッションブロガーとして活躍し、現在はYouTube(ユーチューブ)で7万人以上のフォロワーを持つフィン氏。自身を「審美眼の持ち主」と名乗る彼女や多くの人々にとって、美的Vlog(ビデオブログ)とは、膨大な量の情報をすばやく処理して「美的な」ものへとまとめ上げる能力を披露する場である。美的Vlogのタイトルで最も人気があるのは、ライフスタイルそのものに沿った内容のもので、例えば「一緒にお出かけの準備を」「私が今日食べたもの」「お部屋を大公開」「私の朝の習慣」「おうち時間の朝の習慣」などがある。バンライフ本の紹介勉強、ウェルネス、ファッションなどジャンルが何であれ、これらのVlogの中核にあるのは、商業化されたメインストリームのインフルエンサーたちによって作り上げられてきた憧れの存在というものを拒絶する美学なのである(戦略や目的は同じようなものなのだが)。

しかしファッションサイトのSsense(エッセンス)で購入したルックやブラックを多く用いたフィン氏のスタイルは、他の美的ブイロガーたちとは一線を画している。同氏がメールで筆者に教えてくれたところによると、同氏の感性は他のプレイヤーたちと重なる部分はあるものの、かわいいものやガーリーなものは本質的に「市場性」が高く「売れるもの」であるため、そういったものは意識的に避けるようにしているという。「そうすることでブランドがビデオのスタイルに合わせて、商品やデジタルなどの広告キャンペーンを展開してくれるようになります」。

情報や映像の見せ方に注意を払うことはあっても、大抵の人は美的価値よりも機能を優先させる傾向にある。しかし美的ブイロガーは違う。彼らはインターネットを美的対象として捉えて評価し、いかに見た目が美しいか、またはかわいいかを最も重要な要素としている。

無限にカスタマイズできる時代(Myspace、Tumblr、Neopets、Live Journal)は終わり、現代の美意識の高い人たちには、中期から後期にかけてのファッションブロガー(Lookbook.nu、The Sartorialist、Style Bubbleなど)や、2010年代のビューティーグルたちが残したコンテンツの空白を創造的に埋めるというタスクが課されている。

ファストファッションとデジタルショッピングがもたらしたトレンドサイクルの短縮化によって大量発生した無限コンテンツの世界では、もはやファッションブロガーが公共の場の壁の前でその日のルックを記録したり、ビューティーブイロガーがメイクアップについて議論したりする必要がない。突然変異的な形態である美的ブイロギングでは、High Fashion Twitter(ハイファッション・ツイッター)のようなサブカルチャーからEtsy(エッツィー)やDEPOP(ディポップ)のような販売プラットフォームまで、インターネット上のファッションに焦点を当てたさまざまなエリアが重なり合いながら、これらすべてを組み合わせているのだ。

世に出た新しくて美しいものをうまくコラージュするというのが基本の考え方であり、その根底には統一された美学が存在する。手書き風の筆記体のカラフルなサムネイル用フォントにポップな雰囲気のカラーパレット、かわいい洋服にすてきインテリアというところか。

フレンチガールのクールさや、なりたい自分を演出した理想の女性像を崇拝する美的ブイロガーも少なくない(参照:「That Girl」トレンドNotionアプリのチュートリアル)。

女性らしい身繕いに精を出し、食事や用事、社交、化粧、エクササイズなどの日常的な作業をカメラに収めて理想的かつ共感を持たれる「影響力」を振りまいて、あらゆるセルフケアが生産性や仕事と区別できない状況にあるにもかかわらず、頑張るという行為には不満を持っている(「I Don’t Dream of Labor(労働は目指さない)」のトレンド)。美的ブイロガーが、より明確な労力を必要とする他の種のインフルエンサーと異なるのは、彼らの放つ気楽さと、実際には収入という同じ結果をもたらす労働の一形態である労働を否定していることにある。

Elena Taber(エレナ・テイバー)、Jenny Welbourn(ジェニー・ウェルボーン)、Orion Carloto(オロオン・カルロト)などの最も有名な美的ブイロガーたちは、年齢や文化的環境の違いを超えて、ものや興味の集合体として自分自身を表現し、スプレッツァトゥーラ(「計算され尽くした無頓着さ」)とかわいらしさを融合させているのだ。古着、デザイナーズ、アップサイクル、コーチからのギフト(例えば個性的な小物やDetroit Floydのベッド)などのアイテムや、ヨガ、読書、映画写真などの興味にまつわる個性や歴史すべてが彼らを作り上げている。

スプレッツァトゥーラはこんな感じで小馬鹿にするのである。「15世紀の宮廷人とAlexa Chung(アレクサ・チャン)と最先端のデザイン会社が一緒になって努力しているように見える、意図的なデザインとキュレーションね。一体どうしてこんなことになるのかな。ははは」。努力の証は失敗であり、何も気にしていないように見えることが重要なのである。

これを見事に演出してくれるのが、ミニマルな白い壁とダークウッドのトリムとのコントラスト、むき出しのレンガ、質感、ダウンタウンクールな雰囲気、合わせガラスのテーブル、ラッカー仕上げのフローリング、パイン材の床に広げられ積み重ねられた本、1960年代から1980年代のパリやイタリアのモダニズムデザイン、ミッドセンチュリーモダンの家具や小物、アシンメトリー、高い天井、適当に投稿したように見せかけたエフォートレスなInstagram(インスタグラム)の「フォトダンプ」、レイヤリング、手描きやハンドメイドのもの、フィルム関連、アートコレクション、レコードコレクション、編み込みスローピロー、計算され尽くした散らかり方、フィルターなしの低解像度の自撮り写真、ブラウンやベージュの世界、自然光、植物や花など自然界への感謝、ハイパーリアルな個人主義、流行への雑食性、古着によるカウンターシグナリングなどである。

かわいらしさというのは、遊び心のあるガーリーな身振り、親密な雰囲気やアイテムの他、決してキャンプでもキッチュでもない、マキシマリズムなピンクや緑、黄色など、遠慮のないカラーパレットによって演出されている。

B21によるKOYAのぬいぐるみやキノコのランプなどのキュートなインテリアが、ボヘミアンデザインの個性と目新しさの中に入り混じっている。それは、さりげなく美しい生活品の中に生きる彼らの生活の記録であり、美的センスを厳選してコラージュすることであり「Instagramを再びカジュアルに」というムーブメントであり、大人になったオルタナ系女子の必死の自己表現なのである(ライフスタイルよりも教育的な観点からチャンネルを運営している美的ブイロガーたちは、既存のオルタナ系女子の持つべき美意識を事細かに描写し、執拗にカタログ化している)。

ヨーロッパで育ったMadelynn De La Rosa(マデリン・デ・ラ・ローザ)氏29歳は、ハイクオリティな映像コンテンツで人気の美的ブイロガーの1人である。3年ごとに軍事基地を転々とするという幼少期を過ごしたこともあり、美に対して幅広い視野を持つようになった同氏は、メイクアップ、映画、ファッション、アートなど、どの土地や文化でも適応できるあらゆることに興味を持つようになった。

彼女のYouTubeチャンネルでは、彼女の人生をアーティスティックかつロマンチックに表現した、手の込んだ美意識の高いVlogが公開されている。映像の中では美しく装飾されたスペイン風のアパートや、友人とビーチに出かける様子、持続可能なファッションやビーガニズムなどのテーマについての談話が繰り広げられている。

デ・ラ・ローザ氏は女性としての平凡さやスリルを記録し、それを美化する方法として自分の映像を記録し始め、芸術的に実体化しているのである。

10万人のフォロワーを獲得した後、Michelle Phan(ミシェル・ファン)氏が経営するIpsy(イプシー)から3年間の美容コンテンツ制作の契約を与えられたデ・ラ・ローザ氏。ロサンゼルスに引っ越すことになり、それから6年間をその地で過ごした。

しかし2020年のロックダウン中、デ・ラ・ローザ氏はフィン氏と同様、美しいコンテンツを制作することができず頭を抱えていた。人生の中の美しいものに対して、ここに来てもやはり真面目に取り組んではいけないのだろうか。しかしデ・ラ・ローザはこの前例のない時期こそ、成長のチャンスだと考えた。セルフケアを重視し、健康に配慮し、社会的にも距離を置いた、美しいライフスタイルを推進するVlogのあり方を考えたのである。

彼女の作った美しいコンテンツを見て褒め称えてくれる人々を、デ・ラ・ローザ氏は筆者との電話での会話の中でお茶目に真似てみせる。「どうしたらこんな素敵な生活ができるの?LAに生まれた時から住んでいるけど、こんなLA見たことない!」。

2019年、美的VlogはTikTok(ティックトック)やInstagramに移行し、世界的パンデミックの開始とともに注目を集めた。特に日常生活をロマンチックに描写した「主人公のエネルギー」的動画が人気を博すようになる。

主にZ世代の若者に浸透している美的Vlogコンテンツは、Emma Chamberlain(エマ・チェンバレン)氏をトップに押し上げたよりカジュアルなスタイルのライフスタイル・Vlogから発展したものだ。「エマ・チェンバレンは『That girl』の定義に近いものがありますが、彼女はあたかもそうなることを望んでもいないのになってしまった、という感じを演出しています」とメディアおよびYouTubeの専門家であるTiffany Ferg(ティファニー・ファーグ)氏はいう。

また、Z世代が作り上げてきた美学のほとんどには、彼らが生み出して普及させた用語が使用されている。Cringe-yやCringe(「イタい」や「ドン引き」)がCringeworthyに変わり、Aesthetic (美学や美的)は、かつては誤用だったものの今では「美しい」や「かわいい」という意味として使われている。もし何かが「Aesthetic」であれば、それは醜くなく、意図的にそうしているものなのである。また、Gaby Rasson(ギャビー・ラッソン)氏の造語である「Cheugy」という言葉はがんばりすぎているスタイルを指す。これらの用語はすべて美学に関連しており、態度や人々を表現するものなのである(「スターターパック」のミームが画像に一般的な記述を付け加えたのと同じように)。

新しいスラングの使い方に初めはとまどうが、やがて文化を牽引する若者たちのコンセンサスリアリティに誰でも適応できるようになる。自分の主観を、Z世代の思考、感情、関心事、不安、嗜好に合わせて再構成することを学んでいけば、長い間続いていた世代間の溝をなくすことができるだろう。

90年代半ばから2000年代初頭に生まれた人々が支配する市場トレンドを観察するミレニアル世代は、文化的に言えば、はるかに若い世代と大差ない存在となっている。その結果、若者がミレニアル世代に影響を与えるということを前提とした思い込みが人口統計学の崩壊をもたらし、後期資本主義下での女性性の過剰な優先順位付けが生じている。

若さを重要視する文化の中で、若者の文化的生産への固執は、女性性と美しさを若さと結びつけるという悲しい性質を悪化させるばかりである。キュートなスプレッツァトゥーラ精神は基本的には見ていて楽しいものだが、それを少しだけ崩し、通常女性らしさとは結びつかない被作用性を特権化している。ソーシャルメディアのフィードの一番下までスクロールした後に、かっこ悪くてダサい過去の自分に遭遇することによってもたらされる疲労感というどうしようもない現代の危機を、努力したという形跡、つまり失敗したという感覚を取り除くことによって軽減するのである。

くすんだピンクのアートプリントや大理石風デザインなど、ミレニアム世代の美意識に関連した大量生産のデザインや、洗練された贅沢で派手な消費は必然的に逆効果となる。

しかし本質的には、特に「かわいらしさ」が押し出されていると売れやすいというのは間違いない。リアン・フィン氏が自分の美学を市場に同化させないために、かわいらしさを取り除きたいという考え方は正しいのだろう。

しかし、かわいらしさとは見た目だけの話ではなく、非常に複雑なものである。理論家のSianne Ngai(シアナ・ガイ)氏は著書「Our Aesthetic Categories:Cute, Zany and Interesting」の中で「かわいらしさ」とは、消費性が高く、コピー可能で、女性特有の美的カテゴリーであり、無力感を「美化」して「エロティック」にすると主張している。私たちが老人をかわいいと思うのは、そのもろさのためであり、少女や女性にかわいらしさを押し付けるのと同じ理由なのである。そして少女や女性は意識的または無意識的に、自分自身をそのようにパッケージ化するのである。

例えばAudrey Tautou(オードリー・トトゥ)氏が演じるアメリや、Hello Giggles(ハローギグルス)の生みの親であるZooey Deschanel(ズーイー・デシャネル)氏、サンリオのハローキティなどのキャラクターは、非常に親しみやすく「かわいい」ものを見事に表現してみせている良い例だ。事実、彼らのように誰でもかわいくなれるのだ。美容と違って誰にでも手の届くものであり、飽和状態のクリエイター経済の中で、なんとか自分の居場所を確保しようとしているコンテンツクリエイターにとっては魅力的な領域なのである。

ジェニー・ウェルボーン氏 (YouTubeのスクリーンショット)

前述した、架空および実在の正統派キュートガールズは、現代のインターネット上で生まれた「it girl」やインフルエンサーたちと多少の摩擦をともないながらも共存している。ユーチューバーのAshley(アシュリー)こと@Bestdressedもその1人だ。倹約家の母親からサステイナブルなファッションを教わったという移民の少女によるコンテンツなのだが、彼女がAmazon(アマゾン)とのブランド契約を結んだことにより、それを理解できないZ世代の怒りを買っている。

情報密度の高い文化における市場ニーズと、Z世代が最も賢明な消費者であるという現実によって、思慮深く多才であるということが一種の前提条件のようなものになっている。インフルエンサーになる若者たちは、もはや影響を与えるというだけでは不十分なのである。

さらに彼らは、私は「おもしろい」のだということを証明しなければならない。これは「情報の美学」というもう1つの美的カテゴリーであり、ガイ氏は「Our Aesthetic Categories」の中で「個人とシステムの間のテンションがおもしろいという価値を補強している」と述べている。

こうした若い女性たちのモデルとなりうる存在なのがTavi Gevinson(タヴィ・ゲヴィンソン)氏だ。

文才に恵まれ、文化的にも鋭敏なゲヴィンソン氏は、当初ファッションブロガーとして登場し、やがてRookie Magazine(ルーキーマガジン)の編集長として活躍するようになる。彼女はYara Shahidi(ヤラ・シャヒディ)氏、Amandla Stenberg(アマンドラ・ステンバーグ)氏、Zendaya(ゼンデイヤ)、Willow Smith(ウィロー・スミス)氏など、同様にスマートで早熟なスターたちに影響を与えている(Tumblrで知り合ったスミス氏とステンバーグ氏は、ルーキーと類似しつつもより中心的ではない自分たちのためのスペースを作りたいと考え、強いビジュアル・アイデンティティを持つ若い女性アーティスト集団The Art Hoe Collectiveのメンバーとなった)。またこれは、人々の社会問題への意識が高まっていた時期と重なっており、この頃若い少女や女性の多くが、主流メディアでは見られない左派的な政治意識を展開し始めていた。新たなタイプの「it girl」の出現を象徴するゲヴィンソン氏は、これまでの「it girl」の前提条件(パッケージとして考えられた彼女の外見)を備えているだけでなく、パッケージの中にあらゆる種類の情報を忍ばせていたのである。

生まれつきのおもしろさに恵まれていない人にも、これが実現できるようだ。影響力にまつわるさまざまな領域の中で、この事実は映画「Ingrid Goes West(イングリッド -ネットストーカーの女)」のような偽者たちの基準を作り出しており、私はこれをTastefishing(テイスト・フィッシング)と呼んでいるのだが、彼らは俗物的な自分を暗号化して模倣というレイヤーをまとい、すでに起こっているミメーシスの引力を強めているのである。まるで半袖シャツの下に長袖シャツを着ることで、自分の個性を演出するかのように。

その例を挙げてみよう。Kendall Jenner(ケンダル・ジェンナー)氏は最近、テイストメーカーと呼ばれる、「高い神聖さ」や「高いステータス」を象徴するようなテイストを持つとされる人物となった。同氏のマネージャーであるAshleah Gonzales(アシュリア・ゴンザレス)氏が選んだ流行のフィクション小説や詩集と一緒にポーズをとり、男性の注意を引き、アートバーゼルから持ち帰った芸術品を自宅に飾り、自身のApple Radio(アップルラジオ)番組「Zaza World(ザザ・ワールド)」で古い曲を流す。5年前のVogue 73 Questions(ヴォーグの73の質問)で好きな映画に「Marley and Me(マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと)」と「The Notebook(きみに読む物語)」を挙げ、Tupac(2パック)をスピリットアニマルとして答えていた時とは大違いである。

しかし誰が彼女を責められようか。美人で金持ちであるだけではもはや十分ではないという状況下、ブックチューバーや美的ブイロガー、ゲヴィンソン氏の他、Kaia Gerber(カイア・ガーバー)氏、Emily Ratajkowski(エミリー・ラタコウスキー)氏、Emma Roberts(エマ・ロバーツ)氏など、スタイリッシュで文才があり、本好きで若い数え切れないほどの女性たちに遅れをとらぬよう、興味深い人物でなければならないというプレッシャーがあるのだ。

知的でおもしろい人物を演じる必要性、大きなアイデアに満ちた無限で漫然としたインターネットの世界をスタイリッシュに切り抜ける能力を示すことへの必要性は果てしない。この必要性によって彼らは圧倒的な情報量を、手に負えないものではなく、むしろ生成的なものに変えてしまい、ピクセルや16進コード、フォント、静止画、動画などの細かなディテールが私たちに美的感覚を与えるのである。

特に少女や女性などの美意識の高い人たちにとっては、イメージを重要視する文化の中で、YouTubeやTikTok、Snapchat、Instagramなどのパフォーマンス型のプラットフォームを介して自分のアイデンティティを演じることがより明白に求められている。そのため、視覚や聴覚、記憶、はかない感覚や印象の蓄積が生成的なものとなるのだ。

ライフスタイル系のインフルエンサーが憧れられるのは、それをマネタイズする能力があるからだ。ファンが彼らを尊敬するのは、自分も同じように生きたいと思うからだけでなく、自分の人生をマネタイズしたいと思うからなのである。

美的Vlogへの憧れは、美しいものに囲まれて優雅に生活したいという願望だけではなく、すべての静的なものを切り取り、溢れかえるものの中から美しくかつ売れるものを作り出す能力への願望なのである。オンライン上で美意識や経験を変化させたり、厳選したりするのに女性や少女ほど適した存在はいないだろう。結局のところ、彼らは「他人が自分を見る」のを見るという想像力を持っており、別の身体や経験の中にいるかのように自分自身を見つめる不思議な能力を持っているのだ。女たちの視線は、最先端のテクノロジーや男性の視線よりも優れた観察能力を持っているのである。

編集部注:本稿の執筆者Safy-Hallan Farah(セイフティ-ハラン・ファラ)氏は、TechCrunchの特別寄稿評論家。「Vanity Fair」「The New York Times」「Pitchfork」「NY Mag’s The Cut」などに寄稿している。

画像クレジット:Madelynn De La Rosa / YouTube

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(文:Safy-Hallan Farah、翻訳:Dragonfly)

衣服の素材イノベーション企業Allbirdsが新規上場、次代を制する企業を見極める鍵は「持続可能性」

Allbirds(オールバーズ)は米国時間11月3日、NASDAQに新規上場し、それにふさわしいティッカーを選んだ。「BIRD」だ。

天然ウールを使用した控えめなデザインの(そして大変履き心地の良い)靴から始まったAllbirdsだが、現在は単なるアパレル企業ではない。今や衣服の製造方法に革新をもたらす素材イノベーション企業となっている。素材をオープンソース化して他者に提供することで業界に変化をもたらし、それによって持続可能性を実践する業界の旗手だ。

ファッション業界では、毎年21億トンもの二酸化炭素を大気中に排出している。これは、現在米国で使用されているすべての自動車から排出される量の2倍に相当する。現在、私たちが身体に身につけているもののほとんどは合成樹脂でできている。その合成樹脂は、化石燃料である石油から作られる。

この状況は変える必要がある。そしてそれは変わるだろう。

Allbirdsは、単に顧客に服を着せるだけではない。人々が自分の子どもたちも自分がしてきたような生活を楽しめるようにする可能性に貢献できるように、しかもそれを製品の快適さ、スタイル、性能を通じて、気持ちよく行えるようにすることで、人々が賛同するだけでなく、人々に愛されるブランドを作ろうとしている。

このようなビジョンやイノベーションは、Allbirdsだけのものではない。例えばTesla(テスラ)の仕事は、単にドライバーをある場所から別の場所に移動させるだけではなく、Impossible Meats(インポッシブル・ミート)の仕事は、空腹の客に食事を提供するだけではない。これらの企業の仕事は、我々の住む地球が数十年後も確実に生き残るだけでなく繁栄できるようにすることであり、同時に消費者がライフスタイルの質を落とさずに、積極的にそれに参加できる選択肢を提供することでもあるのだ。

持続可能性に取り組む企業が次世代をリードする

「サステイナブル(持続可能)」になることの重要性は認識されているものの、「サステイナビリティ(持続可能性)」を実現するためには何年もの時間が必要になる。このような一般的な見方は、レースが始まってから単に追いつくことが、どれほど難しいかを過小評価している。逆に起業家にとっては、社会に世代を超えて影響を与える「目的ネイティブ」な企業を構築する大きなチャンスとなる。従業員や投資家にとっても同様だ。

持続可能性というテーマは、消費財に限らず、あらゆるビジネスに当てはまる。ある日突然、町外れにある小さなサステイナブル・テクノロジーの会社に、巨額の資金提供が行われたというニュース(大手ベンチャーキャピタルはすべて、少なくとも1社の代替食肉会社を投資先に入れている)や、大企業のESG(環境・社会・企業統治)責任についてのニュースを見つけることは珍しくない。

The Economistによると、2021年に投資家が「エネルギー移行(エネルギーや輸送から産業、農業まで、あらゆるものを脱炭素化すること)」に注ぎ込む金額は5000億ドル(約57兆円)を超え、2010年の2倍になるという。地球の脱炭素化に必要な投資額は30兆ドル(約3400兆円)以上と推定されており、人々は炭素排出量のネットゼロを目指すレースに参加する企業に投資できる貴重な機会を得ている。気候変動は投資家にとって、今世紀最大の追い風だ。

EV(企業事業価値) / NTM(今後12カ月)の収益が、約16倍というテスラのような企業の現在の評価は、収益の7倍から10倍の間で取引されている他の自動車メーカーや、フォワード収益の約10倍で取引されているBeyond Meat(ビヨンド・ミート)と比較すると、非常に高額であるという認識がある。

このようなビジネスに投資するには、単に「持続可能」という変化だけでなく、長期的に劇的な変化があり、そこでは持続可能な活動をすべての意思決定の中心に据えることができる企業が長期的な勝者となると信じる必要がある。

今、会社を設立するのであれば、それは「目的ネイティブ」でなければならない。こうした企業にとって、現在の採用率と成長率は、この優位性のおかげで、同業他社よりも長く継続することが可能であり、おそらく実際にそうなるだろう。サステイナブル・ファーストの企業は、次世代の勝者となる可能性が最も高いのだ。

Allbirdsは次のNike(ナイキ)のような企業となり、数十年にわたって最大25%という成長率を記録できるだろうか?私にはわからないが、他のどのアーリーステージの挑戦者よりも、その可能性が高いことは確かだ。持続可能性がCO2を噛み砕く前に、世界が自分自身を食べてしまわないことを祈ろう。

TDM Growth Partners(TDMグロース・パートナーズ)は、Allbirdsに出資している。

編集部注:本稿を執筆したEd Cowanは、国際的投資会社TDM Growth Partnersの投資チームメンバー。

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(文:Ed Cowan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

TC Tokyo2021「SDGs」セッションに菌糸をベースにした代替レザー開発のBolt Threadsダン・ウィドマイヤー氏が登壇決定

12月2、3日にオンラインで開催される「TechCrunch Tokyo 2021」。本年度は、期間中、7つのテーマで国内・海外のスピーカーを招いたセッションが行われる。

「SDGs」をテーマにしたセッションでは、Bolt Threadsの創設者兼CEOであるDan Widmaier(ダン・ウィドマイヤー)氏が登場する。

Bolt Threadsは菌糸をベースにした代替レザー「Mylo」など商業的に利用可能な素材を開発、adidas、Kering、lululemon、Stella McCartneyといったグローバルブランドと提携を果たしている。

関連記事:Bolt Threadsがバレンシアガやグッチ、アディダスなどと新素材マッシュルーム代替皮革で提携

ダン・ウィドマイヤー氏はカリフォルニア大学サンフランシスコ校で化学と化学生物学の博士号を取得し、大学院では微生物の細胞小器官を制御する遺伝子回路の設計を研究した。2009年、2人の共同設立者とともに、バイオテクノロジーを活用して次世代の材料を開発するBolt Threadsを設立している。

すでに参加者チケットは発売中。参加者チケットは2日間の通し券で、他の講演はもちろん新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」もオンラインで楽しむことができる。本講演は英語でのセッションとなるが、日本語の字幕が入る。

チケット購入

本記事執筆時点では「早割チケット」は税込3500円、2021年12月31日までアーカイブ配信も視聴できる「早割チケット プレミアム」は税込3500円となっている。また、スタートアップ向けのチケット(バーチャルブース+チケット4枚セット)は後日販売予定だ。

オンラインでの開催で場所を問わず参加できるため、気になる基調講演を選んで視聴することもしやすいはず。奮ってご参加いただければ幸いだ。

もうビデオ会議用の服装に悩まずにすむ!? 東京大学が体形・姿勢にリアルタイムで対応する仮想試着システムを開発

もうビデオ会議用の服装に悩まない!? 東京大学が体形・姿勢にリアルタイムで対応する仮想試着システムを開発

東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻五十嵐健夫研究室は10月8日、多様な体形や姿勢にリアルタイムで対応する高品質な仮想試着システムの開発を発表した。オンラインショップなどでも仮想試着や、体を動かしても違和感のない映像が作られるため、ビデオ会議に仮想衣服を着用して参加するといったことが可能になるという。

既存の仮想試着システムの研究には、3D CGを用いたものや、画像ベースのものがある。しかし、CGでは写実的な画像の生成が難しく、画像ベースのものは、1つの深層学習モデルで異なる衣服の試着画像を生成するため、リアルタイムで高品質な画像を生成するのが難しい。それに対して、五十嵐健夫研究室が提案するシステムは、「特定の衣服の画像の生成に対象を絞って深層学習モデルを構築」するという手法でこれらの問題を克服した。

大まかな処理の流れはこうだ。試着者は、特別な柄の服(計測服)を着てカメラの前に立つと、深度センサー付きカメラで撮影される。その色と深度情報から、試着する服の画像が、服の部分と体の部分に分けられる。次に試着服の部分の領域分割を行い、画素の値に対応するラベル付き画像に変換される。そこから、深層学習モデルの一種である画像変換ネットワーク(画像を入力すると色づけなどの変換を施した画像が出力される)を使って試着する服の画像が生成される。それを試着者の体の画像と合成する。

ここで使われる画像変換ネットワークは、膨大な量の入力画像で訓練する必要があるが、入力画像と出力画像は、体形と姿勢が同一でなければならないため、人を使って行うのが極めて難しい。そこで同研究室では、この目的のために、人の体形(胴体の厚さと横幅)や姿勢を数値的に制御できるロボットマネキンも開発した。

もうビデオ会議用の服装に悩まない!? 東京大学が体形・姿勢にリアルタイムで対応する仮想試着システムを開発

写真左3枚が体形の変化。右4枚が姿勢の変化

これにより、計測服を着た試着者の画像から、衣服のサイズやポーズに応じた衣服の詳細な変形の様子をリアルタイムで画像に生成できるため、オンライショップでの試着や、テレビ会議で仮想的な衣服を着るといった応用が可能になる。今後は、長袖と半袖など構造的に大きく異なる衣服への対応、光源などが異なる撮影条件での制御、より自由度の高いマネキンの開発、生成画像向上のための計測服の最適化などに取り組んでゆくとしている。もうビデオ会議用の服装に悩まない!? 東京大学が体形・姿勢にリアルタイムで対応する仮想試着システムを開発

この研究結果は、10月10日にバーチャル開催されるるユーザーインターフェース分野の国際会議「ACM UIST 2021」にて発表される予定。

デジタルサンプルとAI需要予測によりアパレル業界サプライチェーンの変革を目指すGOOD VIBES ONLYが5.5億円調達

デジタルサンプルとAI需要予測によりアパレル業界サプライチェーンの変革を目指すGOOD VIBES ONLYが5.5億円調達

GOOD VIBES ONLY(グッドバイブスオンリー)は10月8日、第三者割当増資および融資による総額約5億5000万円の資金調達を発表した。引受先はマルイグループ、SMBCベンチャーキャピタル、豊島株式CVC、Sun Asterisk、セレス、スタイレム瀧定大阪。

2018年4月設立のGOOD VIBES ONLYは、デジタルサンプルとAI需要予測を活用することで、アパレル業界におけるサプライチェーンの変革を目指すスタートアップ。アパレルにおける全商流を一気通貫させたビジネスモデルを構築し、自社D2Cブランドも6ブランド展開。他社のブランドプロデュースも多数請け負っているという。

調達した資金は、既存アパレル業界へのDX導入を加速させるためのデジタルサンプルプラットフォームの開発、中国、アジア圏内への展開を目的とした採用・マーケティング強化にあてる。来春には3Dデータを軸にしたアパレルのプラットフォームをスタートさせる。

デジタルサンプルは、サンプル費用の削減だけでなく、従来のサンプル生産方式から30日以上のリードタイムを短縮し、実物サンプルを生産することなくSNSなどでの訴求投稿、EC商品画像として活用することで撮影販管費の削減と効率化、サスティナブルな取り組みにもつながるという。

またSNSに投稿された画像は、AI需要予測により事前需要(予測点数)を可視化し、これまで人の感覚や前年比実績に基づく属人化された発注・生産体質を変革させ、シームレスに製品生産までを一気通貫したシステム提供を行うことが可能となるとしている。

 

【中国】Tencentが年齢制限を回避するサイトに対抗策

TechCrunchチャイナ・ラウンドアップへようこそ&おかえりなさい。今週も中国テック業界の近況と世界の人々に与える影響ついてお送りする。

中国政府による新たなゲーム規制の執行はイタチごっこの様相を見せている。同国のインターネット巨人と若きプレイヤーたちは常に相手を出し抜こうと伺っている。Didi(ディディ、滴滴出行)アプリが禁止された後、中小ライドシェアリング・アプリ各社は市場の真空地帯を狙っている。

Tencentと若きゲーマーたち

中国のことわざ「ポリシーのあるところに対抗策あり」は、この国のビデオゲーム環境の規制強化で今起きていることをうまく言い表している。2021年9月、中国は低年齢ユーザーのゲーム時間に関して過去に類を見ない最も厳格なルールを制定した。18歳未満のプレイヤーたちは騒然となり、週3時間の割当てを打開する方法を必死に探し始めた。

関連記事:中国政府が子どものオンラインゲームを週末3時間のみに制限、健康懸念で

数日のうちに、ゲーミングの巨人、Tencent(テンセント、騰訊)は、一連の回避策を一掃する行動を起こした。同社は未成年プレイヤーへの成人アカウントの販売あるいは取引を行う20以上のオンライン・サービスに対して訴訟あるいは声明を発行したことを、今週同社のゲーミング部門がWeibo(微博)に関する発表の中で語った

子どもたちはそのアカウントを2時間当たり数ドルで借りることで通常の年齢確認を行わずにゲームをプレイできる。この手のサービスは「実名ゲーミング・システムと未成年保護の仕組みにとって深刻な脅威」であるとTencentは語り、一連の慣行を中止するよう要請した。

教育的ゲーム

中国政府は中毒を誘発するゲームや、未成年者にとって「身体的および精神的に有害」と考えられるゲームを主な標的としている。しかし「子どもたちにとって良い」ゲームはどうなのか?

TencentとRoblox(ロブロックス)が2019年に中国でジョイントベンチャーを設立した時世間は、クリエイターに焦点を絞ったゲーミングプラットフォームがTencentが教育ゲームを制作して創造性をかきたてたり、テクノロジーをもっと社会を良くするために使うように、という政府の要請との整合性を高める後押しになるだろうと推測した。TechCrunchは以下のように報じている。

Robloxの「創造性」の奨励に焦点を当てたマーケティングは、テック企業は「良いことを行うべし」というTencentが応じた中国政府の要請と調和していると考えられる。Robloxの中国語ウェブサイトは、同社のビジネスには学習とSTEMツールがあり、地域の学校と教育者との協調も計画していると謳っている。

もしRobloxが、若き中国人たちに世界的な人気ゲームをデザインするよう喚起することができるなら、中国当局は同社を中国文化とソフトパワーの輸出ルートとみなすようになるかもしれない。ゲーミング業界は、政府の関心と一致することが国の支援を受けるために必要であることを十分認識している。実際、ゲーム業界を始めとする非政治的団体による政治的、社会的な重要問題に関する提案を支援をするための組織である中国人民政治協商会議のあるメンバーは、ビデオゲームは中国文化輸出の有効な手段であると6月に語った。

Robloxのこの事例は、ゲームの教育および輸出目的利用に対する中国政府の姿勢の変化を見る興味深い題材だ。

Didiへの挑戦

Didiには数年来多くのライバルがいるが、中国ライドシェアリング業界における同社の支配を脅かすものは現れていない。しかし最近、一部のライバルたちは、当局がサイバーセキュリティの懸念からDidiアプリの新規ダウンロードを禁止した後、新たなチャンスを見出そうとしている。Cao Cao Mobility(曹操出行)はその1つだ。

Cao Caoは中国の自動車メーカー、Geely(吉利汽車)傘下の高級ライドシェアリングサービスで、今週5億8900万ドル(約647億6000万円)のシリーズB調達ラウンドを発表した。このラウンドは、Cao Caoがドライバーと乗客の支持を得るための武器を与えるはずだ。しかし、政府による反競争取締りが強化される中、昨今のインターネットプラットフォームは、2015年頃のDidiほど資本注入による成長フェーズに熱心ではないかもしれない。

アプリの禁止がDidiに与えた影響は今のところ限定的だ。むしろアプリによる注文は7月に13%増加したことを運輸局のデータが示している。新たにスマートフォンを手に入れた人はDidiをダウンロードできないが、それでもWeChatで動くミニアプリを使うことができる。WeChatは中国で広く普及しておりサードパーティーアプリのエコシステムを広げている。Didiがアクティブユーザーを何人失ったのかはわかっていないが、同社のライバルが巨人のドライバーと乗客を誘う多額のインセンティブを払うわなくてはならないことは間違いない。

DTCファストファッション

ベンチャーキャピタリストたちは中国のDTC(消費者直接販売)ブランドに資金を注入しており、この国のサプライチェーンの優位性と抜け目ないマーケター集団が欧米消費者を取り込むことに期待している。7月に、ベビー服ブランドのPatPat(パットパット)は5億1000万ドル(約560億7000万円)の大型調達を完了した。2021年9月、Z世代ファストファッションを中国で生産して米国で販売している新進気鋭のDTCブランド、Cider(サイダー)が、シリーズBラウンドで1億3000万ドル(約142億9000万円)を調達し、企業価値は10億ドル(約1099億5000万円)以上だったというニュースがやってきた。中国のテックニュースサイトである36Krが最初に報じ、TechCrunchも独自に確認した。

DST GlobalがCiderの最新ラウンドをリードし、既存の出資者であるA16Z(アンドリーセン・ホロウィッツ)とGreenoaks Capital(グリーンオークス・キャピタル)も参加した。投資家たちはShein(シェイン)の世界中での勢いにはっきり勇気づけられている。同社の新規ダウンロード数は数十の国々でAmazonを超え、業界の巨人Zara(ザラ)と比較されることも多い。純粋なインターネット企業と異なり、輸出志向のEコマースには、デザインから、製造、マーケティング、出荷からアフターサービスまで長くて複雑なバリューチェーン(価値連鎖)があることで知られている。Sheinの物語は多くのフォロワーを元気づけるだろうが、簡単には真似できない。

関連記事:ファストファッション「SHEIN」がアマゾンを抜き米国で最もインストールされたショッピングアプリに

画像クレジット:Visual China Group / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

人工タンパク質素材「Brewed Protein」のSpiberが344億円調達、グローバルな量産・販売網を強化

人工タンパク質素材「Brewed Protein」のSpiberが344億円調達、グローバルな量産・販売網を強化

「クモの糸」で知られる構造タンパク質素材の人工合成に世界で初めて成功したSpiber(スパイバー)は9月8日、機関投資家カーライルおよび海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)を主な割当先とする第三者割当増資による244億円、また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券をアレンジャーとした「事業価値証券化」(Value Securitization)による100億円、総額344億円の資金調達にかかる決議を行ったと発表した。

その他、Fidelity InternationalやBaillie Giffordといったグローバル投資家、既存投資家である東京センチュリー、山形銀行や佐竹化学機械工業といった国内企業も同資金調達ラウンドに参加する予定。また同ラウンドにおけるアンカー投資家であるカーライル、クールジャパン機構からそれぞれ1名ずつ取締役を受け入れる予定としており、両投資家の持つ知見やネットワークを最大限活用できる環境を整え、大規模なグローバル展開を一層加速していくとともに、数年内に計画するIPOに向けて、グローバルな機関投資家との対話を強化する。

Spiberは、人工タンパク質素材「Brewed Protein」(ブリュード・プロテイン)を開発する、⼭形県鶴岡市に拠点を置くバイオベンチャー。Brewed Proteinポリマーは、植物由来の糖類を主原料に使⽤し、微⽣物による発酵(ブリューイング)プロセスにより製造され、⽤途に応じて多様な特徴を付与することが可能。

そのため、アパレル分野や輸送機器分野など、様々な産業における脱⽯油・脱アニマルのニーズに対し⼤きな役割を果たせる可能性を秘めており、持続可能な社会の発展に資する次世代の基幹素材と⽬されているという。

2021年内にタイ・ラヨン県において同社初となる量産プラントの稼働を開始する予定。また、現在米アイオワ州で同社協業先のADMと新たに量産体制を構築しており、早ければ2023年に稼働を開始する予定という。

またBrewed Protein素材は、植物由来でアニマルフリーかつ環境分解性を併せもち、さらに、同社ライフサイクルアセスメントの結果によると、カシミヤをはじめとする動物由来繊維と比較して、温室効果ガスの排出量を大幅に軽減できる可能性が示されたとしている。

アパレル産業をはじめとする各産業セクターにおいて、持続可能な素材へのニーズが急速に高まる中同素材は高く評価されており、多数のグローバルアパレルブランドと共同プロジェクトが進行しているという。

カーライルは、高度な業界専門性や、サステナビリティに関する知見、ラグジュアリーブランドや繊維・素材を含む各産業セクターとの豊富なグローバルネットワークを持つ世界有数の機関投資家。同社は、これまでグローバルでジーノロジア(Jeanologia)やビューティーカウンター(Beautycounter)などのサステナビリティ関連企業や、モンクレール(Moncler)やゴールデングース(Golden Goose)などの世界有数のアパレルブランドに投資を行っている。またカーライルとしては、同案件は日本国内初のマイノリティグロース投資となる。

ZOZO研究所が分布シフト研究促進に向けファッションの流行変化を検証するデータセット・実装基盤をオープンソースで公開

ZOZO研究所が分布シフト研究促進に向けファッションの流行変化を検証するデータセット・実装基盤をオープンソースとして公開

ZOZOテクノロジーズの研究開発組織「ZOZO研究所」は9月2日、同所研究員が研究において使用している大規模データセット「Shift15M」および実装基盤をオープンソースとして公開したと発表した。データセットおよび実用基盤をGitHub上に公開し、データセットの概要説明を同研究所上に掲載している。

また、同データセットを使用した研究結果をまとめた研究論文「SHIFT15M: Multiobjective Large-Scale Fashion Dataset with Distributional Shifts」をarXivに公開している。

ZOZO研究所は、「ファッションを数値化する」をミッションに掲げるZOZOグループの研究機関。ZOZOグループが保有するファッションに関する情報資産を基に、ファッションを科学的に解明するための研究開発を行っている。

同データセットは、ZOZO研究所が2020年公開した「Open Bandit Dataset」に続くオープンデータプロジェクトの第2弾。同データセットを公開することで、データの分布シフトが起こることによって生じる新たな課題を見出し、解決策を探るための研究開発を促進する一助となることを目指しているという。

Shift15M

Shift15Mは、ファッションアプリ「IQON」に投稿されたコーディネートを基に構成された大規模データセット(IQONは2020年4月にサービスを終了。公開データは商品やユーザーの特定が不可能なよう十分に匿名化しており、利用規約とプライバシーに配慮している)。

同データセットは、IQONのサービス提供期間である2010年から2020年までに投稿されたコーディネート約255万件のほか、これらのコーディネートを構成する約1500万件のアイテムに関する特徴量、アイテムカテゴリに関するデータやコーディネート投稿への「いいね」数などの関連データも含む。

データセットの詳細

  • アイテムの特徴量
  • コーディネートに含まれるアイテムの情報
  • アイテムやコーディネートの付加情報(投稿日時、「いいね」の数、ジャンル・カテゴリー、統計情報、学習のための教師信号など人間が付与したラベル)

データに収録されるアイテム数の詳細

  • コーディネートの数:2,555,147
  • コーディネートを構成するアイテム数(重複あり):15,218,721
  • コーディネートを構成するアイテム数(重複なし):2,335,598

あわせて公開する実装基盤では、コーディネートデータの年ごとに異なる傾向を認識し、その変化によって生じるデータ分布のシフトを再現実験で確認することが可能という。これによって、年々変化するファッションの流行をより正確にとらえ、研究のさらなる発展に役立てられるとしている。また、回帰問題、分類問題、集合マッチングなど、データ分布のシフトが生じる条件のもとで様々なタスクを検証するためのコードが整備されている。

分布シフト研究の発展を支える新たな研究基盤

ZOZO研究所による研究開発の1つに、ファッションの流行が変化しても、継続的に認識精度を高く保つことができるAI技術の実現を目的とするものがあるという。

ファッションに関連するデータは、流行の変化による影響を受け、分布シフトと呼ばれる数理的現象が生じると考えられている。分布シフトは、流行・時間などの変化に伴って入力データの分布が変化することで生じ、ファッションに限らず多くの分野に共通して現れる現象とされる。この分布シフトによって、AIの認識精度が低下することから、近年注目を集めているそうだ。ZOZO研究所が分布シフト研究促進に向けファッションの流行変化を検証するデータセット・実装基盤をオープンソースとして公開

ただ分布シフトの検証は、AI技術の実用性にかかわる重要なテーマである一方、検証に用いる実用的なデータセットの不足により、学術界における当該分野の研究の進展はこれまで制限されてきたという。

そこで、分布シフト研究の発展を支える新たな研究基盤として、ZOZO研究所が保有する実データで構成された大規模データセット「Shift15M」と実装基盤を公開することを決定した。

同データセットと実装基盤は、ファッションに限らず幅広い分野での活用が可能としている。分布シフトの再現実験と典型的なタスクにおける効果検証や比較検証など、目的に合わせて利用できる。

コンピュータビジョンとAIで服のフィット感をより正確に見られる仮想試着室「Revery.ai」

ウェブサイトで洋服のサイズやフィット感を確認する作業は、時としてオンラインショッピングの楽しみを奪ってしまう。そこでRevery.aiは、コンピュータビジョンとAIを活用したツールを開発し、より良いオンラインドレッシングルーム体験を実現しようとしている。

イリノイ大学Center for Computer ScienceのアドバイザーであるDavid Forsyt(デビッド・フォーサイス)博士の指導のもと、博士課程の学生であるKedan Li(ケダン・リー)氏、Jeffrey Zhan(ジェフリー・チャン)氏、Min Jin Chong(ミン・ジン・チョン)氏からなるチームは、既存のカタログ画像を利用して、従来のバーチャルドレッシングルームでは困難であった、毎週100万着以上の規模の処理を行う初めてのツールを作成しているとリー氏はTechCrunchに語った。

Revery.aiの共同ファウンダーのジェフリー・チャン氏、ミン・ジン・チョン氏、ケダン・リー氏(画像クレジット:Revery.ai)

カリフォルニアを拠点とするReveryは、Y Combinator(Yコンビネータ)の2021年夏のコホートに参加しており、8月末のプログラム終了を目指している。YCは、同社に12万5000ドル(約1370万円)投資している。リー氏によると、同社はすでに2年間のランウェイを持っているが、150万ドル(約1億6500万円)のシードラウンドを調達することで成長を加速させ、大手小売業者に対してより成熟した企業であることをアピールしたいと考えているという。

Reveryの前には、リー氏はパーソナライズされたメールの分野で別のスタートアップに取り組んでいたが、すでに大手レガシー企業の無料版があったため、うまく機能させることができなかった。独占が少なく、テクノロジーを収益化できる分野を探していたところ、ファッションに興味を持ったという。別のアドバイザーと協力してワードローブコレクションを始めたが、そのアイデアは頓挫してしまった。

チームは、フォーサイス教授との共同作業でエンジンがかかり、すでにウェブサイトに画像を掲載しておりユーザーはいるが、コンピュータビジョンの側面を求めていたB2B顧客をターゲットに、技術のイテレーションを数回行っている。

多くの競合他社は、3Dモデリングや画像を手作業で加工してモデルに重ね合わせる方法を採用しているが、Reveryはディープラーニングとコンピュータビジョンを活用することで、服のドレープ性を高め、さらにユーザーは肌のトーンや髪型、ポーズなどをカスタマイズして自分に似せたモデルを作ることができる。また、完全に自動化されており、何百万ものSKUを扱うことができ、数週間で顧客に提供することができる。

同社のバーチャルドレッシングルームは現在、東南アジア最大級のファッション企業であるZalora-Global Fashion Groupを含む多くのファッションECプラットフォームで利用されている、とリー氏はいう。

Revery.aiランディングページ(画像クレジット:Revery.ai)

「こんなに良い結果が出ているのはすごいことです」と彼は付け加えた。「お客様からは、3〜5倍といった、これまでになかったような高いコンバージョン率の報告を受けています。ZaloraでABテストを行ったところ、380%の増加が見られました。これから当社の技術をZaloraのすべてのプラットフォームに展開していくことを大変うれしく思っています」。

この技術は、2020年、パンデミックの影響でオンラインショッピングが急増した時期に登場した。米国だけでも、2020年にはファッションリテール売上高の29.5%をeコマースファッション業界が占めており、2021年に同市場の価値は1000億ドル(約11兆円)に達すると予想されている

Reveryは「オンラインレースで勝つためのロードマップにこれを入れている」40社以上のリテーラーとすでに交渉中です、とリー氏はいう。

同社はこれからの1年、より多くの顧客に採用され、本番運用を開始することに焦点を当てている。競合他社との差別化を図るために、リー氏は、リテーラーから求められているボディタイプ機能を搭載したいと考えている。このような技術は、多様な体型のモデルがあまり存在しないため、難度が高いと彼は語った。

Reveryがユーザーにアバターを作成して服の見え方を確認できる機能を提供するためには、自社で独自のデータを収集する必要があると同氏は考えている。

「もしかしたら今見ているのは実際に大きな波の始まりで、そのニーズに応える適切な製品を私たちは持っているのかもしれません」と彼は付け加えた。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

日本のスニーカープラットフォームSODAが急成長でライバルのMonokabuを買収

SODAのシリーズBをリードしてからわずか半年後のSoftBank Ventures Asiaが、この東京のスニーカー再販プラットフォームへの賭け金をつり上げている。SoftBank Groupのアーリーステージベンチャーキャピタル部門であるSVAは米国時間7月28日、またSODAに戻ってきて同社のシリーズCをリードする、と発表した。その現在の額は5640万ドル(約61億8000万円)とされている。

その他の投資家は、韓国のスニーカー再販プラットフォームKREAMとAltos Ventures、そしてJAFCOだ。KREAMはSVAのポートフォリオ企業でもある。

2018年にローンチしたSODAが運営しているSNKRDUNKは日本最大のスニーカー再販プラットフォームの1つで、月間ユーザー数は約250万に達する。今回新たな投資とともにSODAが発表したのは、ライバルのMonokabuを買収したことだ。SODAによると、この買収によって同社のスニーカー再販におけるマーケットシェアは80%になり、群を抜いたマーケットリーダーになる。

SoftBank Ventures Asiaの広報担当者はTechCrunchに、SODAに再び投資することに決めたのは、同社の成長が前の投資以来大きくなっているからだ、と述べた。SODAの投資前の評価額は今や約240億円、米ドルで約2億1800万ドルとなる。

SODAのシリーズCの一部は、他のアジア市場への進出のためにも使われる。最初はインドネシア、2022年にはフィリピンを予定しているが、いずれもeコマースの市場が成長しており、Z世代の人口比率が大きい。SNKRDUNKにとって理想的な、2つの市場条件を有している。

この前のシリーズBの2200万ドル(約24億円)は、1月に発表された。当時、創業者の内山雄太氏はTechCrunchに、スニーカーの需要はパンデミックの経済への影響にもかかわらず高いし、オンラインショッピングにも人気があるから売上は伸びている、と語っていた。

SODAは2021年5月に、3470万ドル(約38億円)という記録的な売上を達成した。それは、前年同期比で900%の成長だ。新型コロナウイルスにも関わらず、多くのスニーカーC2Cマーケットプレイス、たとえばStockXなども、売上が増加した。

SNKRDUNKはKREAMとの協力関係があり、スニーカーの真偽認証や在庫管理、ロジスティクスなどオペレーション関連の知識を共有している。両社合わせてアジアにおけるスニーカー再販市場のシェアを増大することが目標だ。

SoftBank Ventures AsiaはKREAMとSODAだけでなく、中国のスニーカー売買プラットフォームNiceにも投資している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:スニーカー(製品・サービス)スニーカーダンク(製品・サービス)SODA(企業)ファッション(用語)フリマアプリ(用語)モノカブ資金調達(用語)買収 / 合併 / M&A(用語)日本(国・地域)

画像クレジット:SODA

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スニーカー特化フリマ「スニーカーダンク」運営が約62億円調達、「モノカブ」を買収しグローバル展開を加速

スニーカー特化フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAが約62億円のシリーズC調達、「モノカブ」を買収しグローバル展開を加速

月間300万人以上が利用するスニーカー&ストリートウェア特化フリマ「スニーカーダンク」(SNKRDUNK。Android版iOS版)を運営するSODAは7月29日、シリーズCにおいて、第三者割当増資による約62億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のKREAM Corporation(NAVER子会社)、またAltos Ventures、SoftBank Ventures Asia、JAFCO Group、既存全投資家。累計調達額は約87億円、評価額は約240億円となった。また、「モノカブ」を運営するモノカブの買収を完了し、グローバル展開を加速する。

SODA代表の内山雄太氏は、「今後、国内事業では取扱商品の拡大および強化に加え、アジア市場獲得を少しでも早く実現するため、韓国のKREAM、中国のniceとの連携を強く進めていきます」とコメント。また、「モノカブ」との統合・連携により、真贋鑑定、ロジスティクス、カスタマーサポートなど両社の知見を掛け合わせることで、より安心・安全なサービスへと成長させる。モノカブ代表の濱田航平氏は、「世界で戦える十分な市場のチャンスがある中で、お互いが国内で戦っていくのではなく、一緒になりグローバルで展開していきたいという戦略に意気投合しました」と明かしている。

2018年7月設立のSODAは、「世界中に熱狂的ファンを生み出すマーケットプレイスを。」をミッションに、スニーカーダンクを運営。マーケットプレイスに加え、人気スニーカーの新作やリーク・発売情報を配信するメディア、スニーカーを中心としたコーディネート写真やリストック情報など毎月数万件以上が投稿されるコミュニティを提供している。

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事業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」のスペースエンジンが1.8億円のプレシリーズA調達

事業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」のスペースエンジンが1.8億円のプレシリーズA調達

D2Cブランドやクラフト商品など、通常の卸では入手しにくい独自性の強い商品を簡単に仕入れられる業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」(オロシー)を運営するスペースエンジンは7月21日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億8000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先には、SIG Japan Fundをリードインベスターに、Light Street Capitalパートナーのガーラブ・グプタ(Gaurav Gupta)氏、STRIVE、G-STARTUP、そして既存投資家のCoral Capital、ANOBAKA、Plug and Play Japanが参加している。2018年創設以来の累計調達額は3億4000万円となった。

事業者向け卸仕入れマーケットプレイス「orosy」のスペースエンジンが1.8億円のプレシリーズA調達

通常の問屋では扱わない個性的で高感度な商品を、大手小売店舗・地方の個人商店・EC事業者に提供するorosyは、商品提供のほかにも、契約書作成や口座管理、時間のかかる仕入れ作業などを代行し、支払いを1本化してくれるというサービス。現在は、取り扱い商品1万点、利用店舗は500店にのぼっている。今回の資金は、「海外事例を知る投資家から知見を得る」ための取り組み、「orosyの事業成長の核であるテクノロジー強化に向けたエンジニア採用」「サービス認知拡大のためのマーケティング」に使われるという。

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ルイ・ヴィトンから35個のLEDが光るポータブルスピーカー「ホライゾン ライト・アップ・スピーカー」、価格35万2000円

ルイ・ヴィトンから35個のLEDが光るポータブルスピーカー「ホライゾン ライト・アップ・スピーカー」、価格35万2000円

Louis Vuitton

スマートウォッチやワイヤレスイヤホンなどテクノロジー製品にも積極的なルイ・ヴィトンが、ポータブルスピーカー「Louis Vuitton Horizon Light Up Speaker」(ルイ・ヴィトン ホライゾン ライト・アップ スピーカー)を発売しました。

直径18cmほどの独楽のような形状で、立てれば360度オーディオ、倒せば傾いた方向に指向性を持つユニークな仕組みです。

ライト・アップの名のとおり、天面のトップリングや周縁部のミドルリングに35個のLEDを搭載。音楽にあわせ、LOUIS VUITTON の文字やフラワーモノグラムがカラフルに光ります。

ルイ・ヴィトンから35個のLEDが光るポータブルスピーカー「ホライゾン ライト・アップ・スピーカー」、価格35万2000円

Louis Vuitton

素材はステンレススチールと強化ガラス、牛革。Bluetooth 5.1とAirPlay 2, Qplayに対応しており、iPhoneほか一般的なスマートフォン、ワイヤレスオーディオ機器と接続できます。

スピーカーとしての構成は0.75インチ径ツィーター x2 と3インチ径ウーファー。アンプ出力は2 x 30W。

ルイ・ヴィトンらしい旅のおともとして内蔵バッテリーで最大15時間再生できるほか、部屋に飾って使うために充電ドック兼スタンドが付属します。内蔵バッテリーは12V 3A USB-C高速充電に対応するのも優秀。

中身にはクアルコムのスマートスピーカー向けSoC QCS 404を採用。3つのマイクを搭載しスピーカーホンとしても機能します。

ルイ・ヴィトンから35個のLEDが光るポータブルスピーカー「ホライゾン ライト・アップ・スピーカー」、価格35万2000円

Louis Vuitton

サイズは直径18センチ、高さ14センチ。重さ約1kg。モノグラムも含めてSF映画に出てくる古代のエイリアン・アーティファクトのようですが、形状としてはルイ・ヴィトンが以前から販売している独楽型のバッグ「トゥピ」そのものです。

ルイ・ヴィトンから35個のLEDが光るポータブルスピーカー「ホライゾン ライト・アップ・スピーカー」、価格35万2000円

Louis Vuitton

価格は35万2000円。国内向けにもすでに販売しており、7月30日以降に順次出荷予定です。

(Source:ルイ・ヴィトン ホライゾン ライト・アップ スピーカー |ルイ・ヴィトン 公式サイト – QAC000Engadget日本版より転載)

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1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

Razer

ゲーミング機器のRazerが、光るスマートマスク Project Hazel の販売計画を発表しました。

当初はあくまでコンセプト扱いでしたが、改良を施した製品版を今年の第4四半期(秋冬)にもオンラインのRazer公式のみで販売する計画です。

1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

Razer

今年1月に「光るゲーミングマスク」として話題になった RazerのProject Hazel は、口元が見える樹脂素材のマスクにN95グレードのフィルター、アクティブ換気ファン、マスク内マイク、そして1670万色に光るライトを備えたゲーマー向けマスクのコンセプト。

Razer、光る『スマートマスク』を本当に製品化。夏秋にも発売へ

マスクとしての高機能を備えつつ、話している口元や表情が見えない、声が聞き取れないといったソーシャルコミュニケーションの問題を解決することが狙いです。

今年4月に製品化が決定した際には、コンセプト版の機能から変更や削除の可能性があるとされていましたが、E3 2021のライブ配信中に明らかにされた新情報によると、商品版はマスク内にライトを追加するとのこと。

1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

Razer

狙いがマスクによって損なわれるソーシャルコミュニケーションの補完にあることから、口元を曇り止め加工の透明樹脂にするだけでなく、見やすく照らすライトも必要との判断のようです。このライトは周囲が暗くなると自動的に点灯します。

1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

Razer

そのほかの仕様は、漏れを減らすシリコン樹脂性フェイスシーリング、一般的な使い捨てマスクの3倍持続し廃棄物を大幅に削減できる交換式フィルタなど。

販売計画についてはオンラインのRazerストア専売で、限定数を段階的に受注・出荷する「ドロップ」方式になることが明らかにされました。

1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

Razer

最初のドロップは2021年第4四半期(10〜12月期)の早い時期。価格やそのほかの仕様を含め、詳細は今後改めて発表予定です。

1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

Razer

アクティブベンチレーションとフィルタを組み合わせたマスクは他社も販売していますが、RazerのProject Hazel は当初コンセプトにあった内蔵マイクとアンプの仕様が残るか、マスクをしたままクリアな音声コミュニケーションや音声アシスタントが使えるかあたりも注目点です。

1670万色に光る「透明スマートマスク」をゲーム機器メーカーRazerが年内に限定販売、製品版はライト追加

Razer

Xupermask

Xupermask

いわゆる「スマートマスク」製品としては、人気グループ Black Eyed Peas の will.i.am が企画、アベンジャーズやダフト・パンク等の衣装デザイナー ホセ・フェルナンデス氏がデザインを手掛ける Xupermask はすでに販売中。

こちらはフィルタと換気ファン、着脱式のイヤホン・マイクを搭載。もちろん光ります。

換気ファンとイヤホンつきマスク Xupermask、ダフト・パンク衣装や宇宙服デザイナーとwill.i.amがコラボ
The World’s Smartest Mask – Project Hazel

Engadget日本版より転載)

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eコマースEtsyが中古品も扱う英国のZ世代向けマーケットプレイスDepopを約1780億円で買収

eコマース業界におけるかなり大きなニュースが6月2日、欧州から届いた。手芸クリエイターやスタイルに関心のある人がさまざまなアイテムを発見したり購入したりできる、ニューヨーク拠点のマーケットプレイスEtsy(エッツイ)が、ソーシャルショッピングという新たなアプローチでミレニアル世代とZ世代の消費者をターゲットにしているロンドン拠点のマーケットプレイスDepop(デポップ)を買収すると発表した。買収額は16億2500万ドル(約1780億円)で、Etsyは大半をキャッシュで支払う取引だとしている

わずかな差で、今回の取引はEtsyにとってこれまでで最大の買収ではない。同社はこの他に7件の買収を行ったが、ほとんどが10億ドル(約1095億円)以下だった。とはいえ、欧州のeコマースにとっては大きな買収で、ビジネスモデルの中でも特に若い、そして、あるいはよりクリエイティブなユーザーをターゲットとしているコマースモデルを構築している企業にとってはかなり心強いものだ。

Depopのユーザーの90%ほどが26歳以下で、EtsyはDepopのそうした若い人々やそのコミュニティにアクセスする大きな機会を手にするが、Depopはより多くのコンテンツや若い買い物客をEtsyに持ってくる橋渡しのように機能しそうだ。Etsyは若い人に目を向け始めたが、かなりの数の若くないユーザーも抱えている。同社は上場企業であり、直近の時価総額は200億ドル(約2兆2000億円)を超えている

Depopが最後に資金調達したのは2019年のようで(6200万ドル、約68億円のラウンド)、ユーザー1300万人を抱えて米国で急成長中と当時は絶好調だった。それから約2年、同社のユーザー数は2100万人を超え、その多くはスタイリストやデザイナー、アーティスト、コレクター、ビンテージ販売者などで、米国(Etsy最大のマーケットだ)とホームマーケットである英国(こちらもEtsyの大きなマーケットだ)でかなりのユーザーを抱えている。

Etsyにとってこれはボリュームゲームだが、必ずしも最初から利益をともなうわけではない。2020年のDepopの流通総額は6億5000万ドル(約712億円)だったが、売上高はわずか7000万ドル(約77億円)で、いずれも前年は100%増だった。

ただし、Etsyが自社の成長についてのとらえ方、特に衣服、家庭用品、そして消費財の買い物という分野における反Amazonという点で、Depopの精神は有望だ。Depopはまた現代の風潮にもぴったり合っている。2020年はeコマースが急成長したばかりでなく、人々が地元で買い物したり個人をサポートしたりし、またこれまでよりも中古品を買うようになった結果、零細事業や家内工業が繁盛した。Depopが強みを持っている分野だ。

「Z世代にとっての再販のホームだと我々が信じているDepopがEtsyファミリーに加わることに胸躍らせています。Depopは活気がある二面性のあるマーケットプレイスで、情熱的なコミュニティ、高度に差別化されたユニークなアイテムの提供をともなっています。そして我々はさらなる展開の大きな可能性を確信しています」とEtsyのCEOであるJosh Silverman(ジョッシュ・シルバーマン)氏は声明文で述べた。「Depopのワールドクラスの経営陣と従業員はこのコミュニティを育て、EtsyのDNAそしてKeeping Commerce Humanというミッションとよく一致している方法でオーガニックで正真正銘の成長を推進するというすばらしい仕事を成し遂げました。我々は専門性を共有するすばらしい機会、それぞれに異なる巨大な「ハウス・オブ・ブランド」ポートフォリオ、そしてかなり特別なeコマースブランドになる成長シナジーを目にしています」。

シルバーマン氏はeBayで何年もShopping.comを率いた経歴を持ち、これはEtsyの成長を今後どのようにとらえるか考えるときに考慮するに値するものだ。

DepopのCEOであるMaria Raga(マリア・ラガ)氏は次のように述べた。「我々はDepopを次世代がユニークなファッションを見つけるために訪れ、買い物方法を変えるコミュニティの一部になる場所にするというすばらしい旅をしています。当社のコミュニティは新たなトレンドを確立し、古いものから新しいものをつくることで新しいファッションシステムを創造する人によって構成されています。彼らは衣服のためにDepopにやって来ますが、カルチャーのためにとどまります。当社はいま、Etsyファミリーの一員としてジョッシュと彼のチームの専門性、Depopのものと一致する価値観を持つ大企業のリソースの恩恵を受けながら、エキサイティングな躍進を遂げようとしています」。

米国と英国の当局の承認やクロージング条件次第ではあるが、買収は2021年第3四半期に完了する見込みで、取引完了後はEtsy、そして2019年に買収された楽器マーケットプレイスReverbとともにDepopは別のブランドとして運営されるとEtsyは話した。

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画像クレジット:Paul Zimmerman / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

ゲーム機器メーカーRazerが光る「透明スマートマスク」を正式商品化、発売は今年第3四半期の見込み

ゲーム機器メーカーRazerが光る「透明スマートマスク」を正式商品化、発売は今年第3四半期の見込み

Razer

ゲーム機器メーカー Razer が、話題を呼んだ「透明スマートマスク」コンセプトを正式に商品化します。

Razer によれば、コンセプトを継承した製品版の発売は今年第3四半期になる見込み。

ゲーム機器メーカーRazerが光る「透明スマートマスク」を正式商品化、発売は今年第3四半期の見込み

Razer

今年1月に公開された『Project Hazel』は、N95マスク相当の高いフィルタ性能とファン換気システムを備えつつ、透明な樹脂素材とLEDライトで口元の動きや表情が見えるようにし、マスクで阻害されていたソーシャルコミュニケーションを助けるコンセプトのスマートマスク製品。

マスク内マイクとアンプを搭載することで、マスクで声が届きにくい、伝わらない問題にも対処します。

ゲーム機器メーカーRazerが光る「透明スマートマスク」を正式商品化、発売は今年第3四半期の見込み

Razer

ゲーマー向けライフスタイル商品やアパレルも扱う Razer 製品なので、ゲーミングPCやアクセサリと連動して光るRazer Chroma RGBライトも搭載。

「ゲーマーには光るものに引き寄せられる習性があるから」といってしまえばそれまでですが、一般論としては、光るデバイスは eスポーツ会場にありがちな薄暗い環境でも見つけやすく、パーソナルカラーやチームカラーを識別しやすい実用性?があるともいえます。

ゲーム機器メーカーRazerが光る「透明スマートマスク」を正式商品化、発売は今年第3四半期の見込み

Razer

あくまでコンセプトとされていましたが、Razer はProject Hazel を継承した一般コンシューマー向けバージョンの商品化を正式に認めました。

世界的なマスク不足時、Razer は自社の生産ラインを割いて使い捨てマスクを緊急生産し世界の医療従事者に寄付していましたが、Project Hazel は次の段階として、サステナブルでない使い捨てマスクや簡易的な布マスクとは別に、Razer が設計する最高のマスクを想定したコンセプトです。

  1. ゲーム機器メーカーRazerが光る「透明スマートマスク」を正式商品化、発売は今年第3四半期の見込み

    Razer Project Hazel
  2. 2021-04-13-002-b

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コンセプトモデルとしては高性能なフィルタやファン換気、マイクとアンプ、口元を照らすライトなど機能を詰め込んでいましたが、製品版がどこまで受け継ぐかは不明。

Razer によれば、製品版は日常アイテムとしての実用性と購入しやすい価格に主眼を置くとしていることから、コンセプトより機能が少なくなる可能性は考えられます。ほぼ確実なのは光ることくらい。

ゲーム機器メーカーRazerが光る「透明スマートマスク」を正式商品化、発売は今年第3四半期の見込み

Xupermask

ファッション性と実用性の両立をうたう高性能マスクとしては、人気グループ Black Eyed Peas のアーティストで実業家、重度のガジェット愛好家でもある will.i.am も、アクティブノイズキャンセルヘッドホンとデュアルファンを組み合わせた「Xupermask」を発表しています。

デザインはバットマンやスパイダーマン、アベンジャーズ等の衣装デザインや、映画『トロン:レガシー』でダフト・パンクが着用したヘルメット、SpaceX社のリアル宇宙船 Falcon 9用宇宙服などを手掛けたホセ・フェルナンデス氏。こちらは約300ドルで発売したばかりですが、初期出荷分はすぐに売り切れています。

換気ファンとイヤホンつきマスク Xupermask、ダフト・パンク衣装や宇宙服デザイナーとwill.i.amがコラボ

Face masks: Razer’s smart mask is coming, recycled clothes out now

(Source:RazerEngadget日本版より転載)

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B2B向けD2Cソリューション「BRANDIT」でファッション業界のDXを推進するBranditが2億円調達

B2B向けD2Cソリューション「BRANDIT」でファッション業界のDXを推進するBranditが2億円調達

自社生産・自社ECにおいてインフルエンサーを起用したD2Cブランド「TRUNC 88」、生産から物流までをワンストップで提供できるB2B向けD2Cソリューション「BRANDIT」を展開するBrandit(ブランディット)は4月12日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による2億円の資金調達を実施したと発表した。同ラウンドにおけるリードインベスターとして大広と資本業務提携を交わし、新たにSMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合を引受先として迎え入れた。さらに、シード期からの既存株主であるDIMENSIONから3度目のフォローオンによるラウンド調達を実施した。

「顧客価値」を基点にした事業開発やマーケティングサポートを提供する大広が、その実績・ノウハウをさらに発展させ、eコマース事業の中でも特にD2C事業に関しての支援体制を強化・拡充していくことを受け、Branditの事業・ノウハウと掛け合わせることで幅広いクライアントに対するアプローチができると考え、資本業務提携を交わしたという。

D2Cブランドを展開するクライアントに対して、コミュニティ形成や販売支援などのファンマーケティングに基づく設計からEC構築に至るまでのサポート体制を確立し、ソリューション提供における連携を図るとしている。

さらにBranditは、事業拡大における経営体制・組織体制の強化を目的に、CxOを含む人材採用を積極的に行う。

2019年9月設立のBranditは、「Make Next Branding by Fashion Tech.」をビジョンに掲げ、D2CブランドやD2Cソリューション事業を通してファッション業界のDXを推進するスタートアップ企業。D2Cソリューション事業では、BRANDIT production、BRANDIT system、BRANDIT logisticsとして、「生産・EC・在庫管理・マーケティング/分析・ロジスティクス」の一気通貫サービスも実施している。

BRANDIT productionでは、自社オリジナルアイテムの企画・デザインをサポートし、小ロットでの生産による在庫リスクを軽減したアイテムの提案から生産を実現

BRANDIT productionでは、自社オリジナルアイテムの企画・デザインをサポートし、小ロットでの生産による在庫リスクを軽減したアイテムの提案から生産を実現

カート機能だけでなく、別々のツールで管理していた「受注」「原価」「各チャンネル別手数料」「販売開始日」「配送データ」「出荷売上」などの項目を一括管理できるECシステム「BRANDIT system」を運営

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BRANDIT logisticsでは、商品マスタ登録→商品の入荷→受注データの連携→商品の出荷→出荷データの連携→売上計上→在庫引当後の在庫管理という一連の流れを自動連携させることで大幅に工数を削減

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