キユーピーが卵から生まれた「加熱変性リゾチーム」による新型コロナウイルスの不活性化を確認

キユーピーが卵から生まれた「加熱変性リゾチーム」による新型コロナウイルスの不活性化を確認

キユーピーは6月21日、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授、帯広畜産大学との共同研究により、卵白に含まれるタンパク質「卵白リゾチーム」を加熱して変性した「加熱変性リゾチーム」に、新型コロナウイルスを不活性化させる効果があることを確認したと発表した。

キユーピーグループは「国内の鶏卵生産量の約1割を取り扱う商品メーカー」として、卵に関する研究を重ねてきた。その中で、加熱変性リゾチームについては、東京海洋大学との共同研究により、ヒトノロウイルス、新型ヒトノロウイルス(GⅡ.17)、A型肝炎ウイルスを不活性化させることを確認し発表している。

今回の研究で、濃度1%の加熱変性リゾチームは、新型コロナウイルスを20秒で99.5%以上不活性化することがわかった。試験は次の2通りが実施された(試験はアルコールの影響を排除するため、希釈などにアルコールは使用していない)。

試験1:加熱変性リゾチームを用いた短時間での新型コロナウイルス不活性化効果

加熱変性リゾチーム溶液の最終濃度が1%になるよう、新型コロナウイルス溶液(ウイルス力価は約6.75 log10 TCID50/mL)と混和。これを20秒間静置した後培養細胞に接種し、TCID50(50%培養細胞感染価)測定方によりウイルス力価(ウイルスりきか。ウイルス量)を算出。その結果、99.5%以上の新型コロナウイルスが不活性化された。

試験2:加熱変性リゾチームの濃度と新型コロナウイルス不活化効果

加熱変性リゾチームの最終濃度が0.25%、0.5%、1%になるよう新型コロナウイルス溶液と混和。これを5分間静置した後、培養細胞に接種し、TCID50法でウイルス力価を算出。その結果、0.25%の加熱変性リゾチームでは98.5%、0.5%と1%では99.5%以上の新型コロナウイルスが不活性化された。

アルコールによる新型コロナウイルスの不活性化はすでに知られているが、肌荒れ、アレルギー反応、宗教上の制約などで使えない人がいる。この研究は、そうした人たちへの活用が期待されている。今後は変異株の不活性化を検証するとのこと。

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カテゴリー:ヘルステック
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MICINが外科手術患者の手術前から退院までの期間・周術期をケアするアプリ「MedBridge」を開発

MICINが外科手術患者の手術前から退院までの期間・周術期をケアするアプリ「MedBridge」を開発

オンライン診療やデジタルセラピューティクスなどの技術開発と提供を行うヘルステック企業MICIN(マイシン)は6月21日、外科手術を受ける患者の周術期ケアを行うアプリ「MedBridge」(メドブリッジ)の開発を発表した。また、心臓血管外科手術を受ける患者の周術期ケアアプリ「MedBridge heart care」(ハートケア)を7月から地域限定で提供開始すると明らかにした。

周術期とは、手術前から退院までの期間をいう。しかし外科手術の分野では、開胸しない低侵襲化などの技術進歩により手術患者の入院日数が短縮され、早期退院した患者による自宅でのセルフケアが重要になっているという(侵襲は、身体的負担といった意味の医学用語)。また、「術前からセルフケアを行い術後に備えること」や、退院後の生活習慣を適切に保つことが日常生活への復帰を早めるといわれている。そこで、「周術期ケアに取り組むことは、術式の進歩と並行して大切」との考えから、MICINはこのアプリの開発に着手した。MICINが外科手術患者の手術前から退院までの期間・周術期をケアするアプリ「MedBridge」を開発またMedBridge heart careについては、MedBridgeのローンチに先駆け7月から地域限定で提供を開始する。MedBridge heart careは、患者が使用するモバイルアプリと、医療機関が使用するウェブシステムで構成される。患者には次のような利点がある。

  • アプリから周術期に必要な情報を入手し学習できる
  • 自身の医療や健康に関する情報を一元管理するPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を自宅で記録することで、体調管理の習慣が身に付く
  • PHRをつけておくことで、退院後の診察時に回復の経過を医師に伝えやすくなる
  • PHRを家族と共有するこで、家族・周囲の方が安心して見守りを行える
  • 患者の在宅時の情報について主治医とも共有を行え、診療の効率化と質の向上が期待できる

MICINでは、アプリ開発に先立ち、2020年6月から東京ベイ・浦安市川医療センター、オムロン ヘルスケアとの協力で実証実験を行ってきた。MedBridge heart careは、ビジネスモデルの検証などを行った後に全国展開する予定。

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Qidni Labsの「水を使わない」携帯型透析装置、埋め込み可能な人工腎臓実現への小さな一歩

この1年、カナダにいる3頭の羊は、自分の腎臓を袖につけていた。もっと正確にいうと、フワフワの毛で覆われた背中にジャケットを着ているのだ。

この3頭の羊は、水を使わない携帯型血液浄化システムを追求しているスタートアップ企業Qidni Labs(キドニー・ラボ)が実施している継続的な動物実験の一環だ。2014年にニューヨーク州バッファローで設立されたQidni Labsは、これまでに150万ドル(約1億6500万円)の資金を調達しており、現在は新たな投資ラウンドに向けて企業精査を行っている。同社が開発したウェアラブル腎疾患治療機器の空気除去システムは、2019年のKidneyX Summitで賞を獲得したこともある。

羊が身につけているジャケットは、Qidni Labsの携帯型血液透析装置「Qidni/D」の試作品だ。そのアイデアは、従来の血液透析装置よりも大幅に小型化し、使用する液体の量を少なくすることで、患者がより動き回りやすくなるというものだ。

「このデバイスと技術は、患者が動き回ることができる血液浄化技術への橋渡しになると我々は考えていますが、これがそのまま最初の製品になるとは思っていません」と、Qidni Labsの創業者でCEOを務めるMorteza Ahmadi(モルテザ・アフマディ)氏は語っている。

CDC(米国疾病管理予防センター)によると、米国では7人に1人が何らかの慢性腎臓病を患っていると言われている。時間の経過とともに腎不全が進行する可能性があり、その時点で透析や移植を受けることが推奨される。その基準となるのが、体重減少、息切れ、不整脈などの症状だ。

透析には大きく分けて、血液透析と腹膜透析の2種類がある。血液透析は、体外に導き出した多量の血液を、特殊なフィルターと透析液という液体に通してまた体内に戻す方法。腹膜透析は、体内に透析液を注入して血液中の老廃物を吸収させ、それを排出する。Qidni/Dは、羊サイズのジャケットに収まる大きさの血液透析装置で、独自のカートリッジとゲルをベースにしたシステムを使うことで、透析を行うために必要な液体の量を削減している(TechCrunchはこの装置の画像を確認している)。初期の動物実験(結果はまだ査読付きジャーナルで出版されていない)では、このデバイスは、従来の透析と同等の適切な値まで、羊の血液中の尿素のレベルを下げることができた。TechCrunchでは、この研究のデータをZoomで確認している。

この羊たちは機能する腎臓を持たず、4時間から8時間半ほどこの機器に繋がれていた。アフマディ氏によれば、これまでのデータから、羊の血液をきれいにするには4時間の治療で十分だと考えられるという。

今回の研究は小規模な動物実験であり、大きな結論を導くことはできない。例えば、この研究では能動的な対照群を設けておらず、羊の血液から除去された尿素と電解質の量を、他の透析研究で公表されている基準と比較している。

この技術を市場に投入できると判断するには、今回の研究だけでは十分ではないものの、Qidni Labsの携帯型透析装置の設計が、さらなる試験に耐えうるものであることを示していると、社内では考えている。

「今回の研究では、データに基づいて私たちは毎日の透析を置き換えることができたと言えるでしょう」と、アフマディ氏はいう。

チームは年内に、さらに羊を使った研究で技術の改良を続けていき、2022年には人による臨床試験を開始することを目指している。臨床試験で安全性と有効性が実証されれば、2023年後半にFDA(米国食品医薬品局)の承認を申請するというのが全体的な目標だ。

腎臓の治療は、負担の大きい治療である透析が主流となっている。多くの場合、腎臓移植によってその負担を軽減することができるにもかかわらずだ。

現時点では、腎臓移植を受ける人よりも、透析を受ける末期腎不全患者の方がはるかに多い。CDCの推計によると、米国には約78万6000人の末期腎不全患者がいるが、そのうち71%が透析を受けており、29%が腎臓移植を受けている。

人工透析事業では、特に業界の約70%を支配する2大企業であるFresenius(フレゼニウス)とDaVita(ダヴィタ)が複雑な歴史から業績不振に陥っており、そのリスクとコストは物議を醸している

腎臓治療の状況は、メディケア(高齢者および障害者向け公的医療保険制度)でカバーされているという点でも注目を集めているが、依然として費用が高額であることに変わりはない。透析と移植は、メディケアの予算の約7%を占めている。このように状況が複雑であるため、いくつかのスタートアップ企業が埋込み式人工腎臓のような代替手段を追求している。

Qidni Labsの現在の製品は、機能しなくなった腎臓の代わりに患者の体内に永久に埋め込まれるという意味での人工腎臓ではない。そうではなく、より移動やすく人工透析を行うためのものだ。Qidni/Dと呼ばれる血液浄化装置が、当面の間はQidni Labsの主力製品となる。

とはいえ、Qidni/Dには、アフマディ氏が期待するように「破壊的」な効果をもたらす可能性のある、いくつかのユニークな要素がある。それは、サイズが小さいことと、必要な水の量が少ないことだ。

CDCによると、平均的な患者は1週間の透析治療の間に、約300〜600リットルの水を必要とする。この水の一部は、血液中の毒素を排出するための透析液に使用される。アフマディ氏によると、Qidni/Dでは1回の治療で使用する水はわずかコップ1杯分で、そのほとんどが透析液に含まれるという。

「私たちが知る限り、水を使わない技術が、大型の動物モデルで血液浄化に長期にわたり有用であることが確認されたのは、おそらく世界でも初めてのことだと思います」と、アフマディ氏は語る。

透析から液体を取り除くことができれば、現状では非常に大変なプロセスを効率化できる可能性がある。それによって、自宅での透析が可能になり(水の安全性に関する要求が緩和される)、感染症のリスクが軽減される(透析中に水による感染症が発生することがある)ことを、アフマディ氏は期待している。

それはまた、埋め込み可能な腎臓の実現に向けた小さな一歩でもある。埋め込み可能な腎臓は、大量の液体を必要としないのが理想だからだ。とはいえ、現在Qidni Labsが重点を置いているのは、あくまでも移動可能な透析だ。同社がこれから行う資金調達ラウンドでは、小規模な臨床試験を行い、カートリッジ式の技術を人体で試すことに注力する予定だ。

「今度の投資ラウンドでは250万ドル(約2億7600万円)を調達し、この技術を少人数の患者でテストしたいと考えています。テストでは患者を既存の既存の透析装置に接続し、透析液の代わりに当社独自のカートリッジを使用します」と、アフマディ氏は述べている。

患者にとって究極の命題は透析を必要としないソリューションではあるとはいえ、Qidni Labsの取り組みは最終的により臓器に近い機能を持つ透析装置を実現するための一歩となるだろう。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Emma Betuel、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

HACARUSと東京大学がアルツハイマー病やパーキンソン病の治療法開発を目指すAI創薬研究を開始

HACARUS(ハカルス)と東京大学大学院薬学系研究科は6月16日、アルツハイマー病やパーキンソン病の治療法開発を目指す、AI創薬の共同研究を開始すると発表した。今回の共同研究では、両疾患の病因となるタンパク質の凝集・散開するメカニズムの解明をHACARUSのAIを活用した画像解析技術を用いて試み、治療法開発を目指す。

アルツハイマー病、パーキンソン病ともに、脳内でのタンパク質凝集が病因となることがわかっている。人間にはタンパク質を分解する能力(オートファジー)が備わっているものの、アルツハイマー病・パーキンソン病は、この能力の機能不全であることも解明されてきているという。

研究課題としては、アルツハイマー病では、病因となるタンパク質の生産を抑制する阻害剤がいくつか見つかっているものの、毒性の問題があり治療への活用に至っていないこと、またパーキンソン病では対症療法が「L-ドパ」という薬を使ったドパミン補充が中心であることを挙げられている。ともに根本的な治療法が発見されておらず、新たな予防・診断・治療法の開発が必要としている。

東京大学大学院薬学系研究科は、「医薬品」という難度が高く、かつ高い完成度が要求される「生命の物質科学」と、国民生活に直結した「生命の社会科学」を探求し、2つの科学の最終目標である「人間の健康」を最重要課題としていることが最大の特徴の部局。同機能病態学教室の富田泰輔教授は、アルツハイマー病やパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の病態生化学に関する研究を行っている。

HACARUSは、スパースモデリング技術をAIに応用したデジタルソリューションを提供しており、少ないデータ量で高精度なAIを活用できることから産業分野だけでなく、希少疾患への応用など医療分野でも数多くの課題解決に貢献している。

富田教授によると、様々な神経変性疾患において、細胞内外の異常タンパク質の蓄積や細胞内輸送の異常などが発症プロセスにおいて重要であることが明らかとなっており、これらを定量的に解析し、様々な薬剤の影響を見積もる必要が出てきているという。ただ従来は、細胞や組織を染色後画像データの解析を人為的に行っていたため、HACARUSと共同でそのプロセスを自動化し、機械学習を用いてノンバイアスに解析する手法を開発することで詳細に解析できるのではないかとしている。

またHACARUSは、スパースモデリング技術を用いた画像診断およびR&Dプロセスの自動化に取り組んできており、その2つの強みを掛け合わせて、CNS(中枢神経系)分野において富田教授と共同研究に取り組むとしている。

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「のど」撮影画像の解析で診断、アイリスがインフルエンザを判定可能な感染症診断AI搭載医療機器を日本初承認申請

医療機器の研究開発・製造、機械学習の技術開発を手がけるアイリスは6月16日、咽頭(のど)画像の解析を基にインフルエンザ判定を行うAIアルゴリズムを開発し、咽頭カメラを含むAI搭載システムを「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)に基づき、厚生労働大臣宛て医療機器製造販売承認申請をしたと発表した。

今回申請した機器では、AIプログラムのみならず、AI解析に適した咽頭画像を撮影するための咽頭撮影専用カメラも自社で設計・開発。これにより既存の内視鏡などを用いずに口腔内・咽頭を鮮明に撮影することを実現した。

今回申請の機器では、専用カメラで撮影した患者の咽頭写真を基に、体温などのデータと組み合わせて人工知能(AI)がインフルエンザの「陽性」「陰性」を短時間で判定する。患者にとっては侵襲性の低い検査法となり、また医療機関での診療プロセスを工夫することで医療者が患者由来の唾液飛沫を浴びる場面を減らしながら効率よく診察できることを目指している。この仕組みには、日本人医師の宮本医師が発見したインフルエンザ濾胞(ろほう)の知見も活かされているという。

アイリスによると、前向き試験としてAI医療機器の有効性検証治験が実施し承認申請を行う日本初の事例となり、承認後は、全国の医療機関での導入や医療現場での活用が可能となる。ちなみに米国FDA(アメリカ食品医薬品局、医療機器の認可を行う機関)認可の130のAI医療機器においても、4製品のみとしている。

既存のインフルエンザ検査法は、発症早期では診断精度が十分に発揮されず、現場で実践した際の精度が6割程度との研究報告があるという。また、検査時に綿棒を鼻腔内に挿入する行為は、患者の痛みを伴うと同時に、検査時の医療者に対する飛沫感染リスクが懸念されているそうだ。

アイリスはこれら課題を解決すべく、2017年11月の創業時から研究・開発に取り組んできた。これまでに6名の医師を含む9名の医療従事者や厚生労働省・経済産業省出身者、医療AI領域に特化したデータサイエンティスト、大手医療機器メーカー出身者など多数の専門職が揃い、医療現場、技術(ハードウェア・ソフトウェア・AI)、規制を深く理解したうえでAI医療機器をスピーディに開発する体制を構築している。

2018・2019年度には、自社開発の咽頭カメラを用いて、臨床研究法における特定臨床研究として大規模な前向き研究を実施。のべ100医療機関・1万人以上の患者に協力してもらい、50万枚以上の咽頭画像を収集し、独自の咽頭画像データベースを構築した。また、同データベースの活用によりインフルエンザ判定AIプログラムを開発。これをもって2020年に治験を実施し、機器の有効性・安全性などの検証を行ったという。

アイリスは今後、機器の製造販売承認取得後に向けた販売体制の構築を進める。さらに、世界でも研究報告の前例がない、咽頭画像からインフルエンザ判定が可能なAIアルゴリズムとして、日本から世界への展開を目指す。同時に、咽頭画像を活用することでインフルエンザ以外の感染症や感染症領域以外の疾病判定が可能となるよう、大学病院、クリニック、学会などと引き続き連携の上、次なる医療機器の開発をより加速する。

アイリスは医師の技術や医療の知見を集約させ、デジタル化することで、医療技術を共有・共創できるような医療の姿を目指して、これからも研究開発を続ける。

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脚を失ったヒゲハゲタカが鳥類で初めて特殊な骨インプラントを直接埋め込む義肢を得た「バイオニックハゲタカ」に

脚を失ったヒゲハゲタカが鳥類で初めて特殊な骨インプラントを直接埋め込む手法で義肢を得た「バイオニックハゲタカ」に

Scientific Reports

大型の猛禽類、たとえばハゲタカなどは、怪我などで脚を使えなくなってしまうと、歩行だけでなく獲物の捕獲なども困難になってしまい、生きていくための栄養を摂取できず弱ってしまいます。これまでにも鳥類の脚を義肢で補った例はたくさんありますが、ソケット式の義肢は羽毛のある脚には装着が困難でした。

オーストリアのハリングゼーにあるフクロウと猛禽類の保護施設に保護された、”Mia”と名付けられたこの鳥は、空を飛ぶ鳥としては欧州で最大のヒゲハゲタカの雌です。脚に重傷を負い、切断せざるを得なかったMiaはいま、オッセオインテグレーションと呼ばれる、骨にパーツをインプラントする手法によって義肢を得た初めての鳥になりました。

6月11日に学術誌「Scientific Reports」に掲載されたレポートによると、ウィーン獣医科大学が形成外科、再建外科、美容外科の権威であるウィーン医学大学のOskar Aszmann氏のチームに助けを求め、手術でMiaの脚に取り付けられる特殊な骨インプラントを設計・製造したとのこと。

脚を失ったヒゲハゲタカが鳥類で初めて特殊な骨インプラントを直接埋め込む手法で義肢を得た「バイオニックハゲタカ」に

Scientific Reports

オッセオインテグレーション手法では、酸化チタン製のアンカーを骨に埋め込むことで、このアンカーと骨が光学顕微鏡レベルで結合するため、非常に強固な接続が可能になります。結合がしっかりすることで装着者は四肢を直感的に扱うことができ、おそらくはMiaも普通の義肢よりも歩行や摂食を自然に行えるようになるはずです。

Aszmann氏は「われわれは今回、初めてヒゲハゲタカの四肢を生体で再構築することに成功した」と述べ「(Miaは)わずか3週間で初めて歩こうとし、6週間後には義足に十分な負荷をかけられるようになった。今日、ヒゲハゲタカは再び着地し、両足を使って歩くことができるようになり、初めての “バイオニックバード “になった」と説明しました。

ちなみに、オッセオインテグレーションは歯科インプラントではよく使われる手法ですが、インプラントと骨組織の結合が強くなるのに早くて3~4週間ほどの時間がかかるとのこと。鳥でも同じ定着期間なのかはわかりませんが、Miaはもう3週間を過ぎたとのことで、もう安心しても良い頃なのかもしれません。

(Source:Scientific ReportsEngadget日本版より転載)

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タグ:義肢(用語)

大論争の末、2003年以来初のアルツハイマー病治療薬を米食品医薬品局が承認

米国時間6月7日月曜日、米食品医薬品局(FDA)は、医薬品メーカーのBiogen(バイオジェン)が開発した注目のアルツハイマー病治療薬「aducanumab(アデュカヌマブ)」を承認した。過去に失敗作として研究が中止されていたaducanumabの承認については、数カ月前から科学界や規制当局の間で議論が交わされていた。

FDAのプレスリリースによると、aducanumab(米国商品名:Aduhelm、アデュヘルム)は、2003年以来初の新しいアルツハイマー病治療薬の承認である。aducanumabは、アルツハイマー病の原因とされているいくつかの要因のうち、脳内に蓄積され、神経細胞の伝達を阻害するβアミロイドによるアミロイド斑を対象とした初めての治療薬でもある。

重要なのは、aducanumabが「迅速承認プログラム」と呼ばれる条件付きの承認を受けたことだ。迅速承認とは、重篤な疾患の治療薬かつ疾患の指標に作用するものであれば、臨床試験の全体的な結果にFDAが懸念を持っていても早期に利用できるように承認するプログラムで、Biogenは、承認後もaducanumabの再検証を行う必要がある。

FDAは声明で「意図したとおりの効果が得られなければ、市場から排除する措置を取ることができます。今後の臨床試験でさらに多くの人々がAduhelm(aducanumab)の治療を受けるようになり、効果が証明されることを期待しています」と述べる

TechCrunchはBiogenに今後の確認試験についてのコメントを求めている。回答があればこの記事を更新する。

今回の迅速承認プログラムの採用が、FDAの決定に至るまでの数カ月間、aducanumabを悩ませてきた長引く論争に対処するためのものであることは明らかだ。

aducanumabの初期段階の試験では、アルツハイマー病の主な症状である認知機能の低下を遅らせる可能性があるという有望な兆候が見られた。Natureに掲載された2016年の試験では、125名の軽度または中等度のアルツハイマー病患者に月1回の点滴を行ったところ、アミロイド斑のレベルが低下し、認知機能低下の症状が改善された。

Lancet Neurologyに掲載された論文では、脳内のアミロイド斑の減少は「強固で疑う余地のないもの」だったが、治療によって人々の認知機能がどの程度向上したのかという臨床的な知見は不明瞭だった。

このような初期の試験を経て、最終的にFDAは、薬の投与量を特定するための第II相臨床試験をスキップして、第III相臨床試験に進むことを許可したが、一部の医師からは批判されている

論争の的となったのは「ENGAGE(エンゲージ)」または「EMERGE(エマージ)」と呼ばれる、この第III相臨床試験だ。どちらも初期のアルツハイマー病患者約1600人を対象に、月1回の静脈注射を行う試験だったが、2019年、両試験とも中止された。試験の主要評価項目である、認知機能の低下を遅らせる効果が認められなかったからである。

EMERGE試験の追加データは2019年末に分析され、プラセボ(偽薬)との比較で、aducanumabが認知機能の低下を23%抑制することにつながったことを示した。試験参加者の約40%に副作用(脳の腫れや炎症)が見られたが、ほとんどが症状をともなわず、症状をともなうもの(頭痛、吐き気、視覚障害)であっても大部分が4~16週間後に解消された。

しかし、この新しいデータも、独立機関であるFDA諮問委員会を説得するには十分ではなく、2020年11月、委員会はaducanumabの承認を不支持とした。

FDAは米国時間6月7日の声明で、βアミロイド斑に対するaducanumabの効果は、リスクを上回る有益性を十分に示唆する、と主張している。ここで重要なのは、FDAは臨床試験の成果についてコメントしていないという点にある。要するに、この承認は、各患者の認知機能の反応ではなく、アミロイドβ斑に対する薬剤の効果に基づくものであり、今後の調査では、認知機能の改善という結果を出す必要がある。

しかし、米国のアルツハイマー病患者約600万人と患者団体は、aducanumabに期待を寄せ、アルツハイマー病協会は、この薬を「アルツハイマー病とともに生きる人々への勝利」と称賛している。

米国時間6月7日のFDAの決定を待たずとも、aducanumabが承認されれば、すぐに「ブロックバスター (従来の治療体系を覆す薬効を持ち、開発費を回収する以上の利益を生み出す新薬)」になることは明らかだった。この薬を取り巻く財務状況は、その考えを裏づけている。

発表直後に取引が停止されたBiogenの株式は、その後米国時間6月8日には40%上昇。Biogenと提携しているエーザイ株式会社の株価もFDAの承認後、3時間で46%以上も上昇した。

もちろんBiogenはこの承認を長期的な戦略として当てにしていただろう。同社は2021年4月の決算説明会で、承認後、すぐに治療を開始できる施設が600施設あると発表している。同社はさらに、ブラジル、カナダ、スイス、オーストラリアでもaducanumabの販売承認申請を行っていて、米国時間6月7日には、年間費用は5万6000ドル(約613万円)であると発表した。

アルツハイマー病治療薬の世界では、今回の承認が、βアミロイド斑を標的とする他の薬剤の概念実証とみなされる可能性がある。

Banner Alzheimer’s Institute(バナー・アルツハイマー研究所)のエグゼクティブディレクターであるEric Reiman(エリック・レイマン)氏は、aducanumabに関する2016年のNature論文を受けたエディトリアルで、βアミロイドを標的とした治療が認知機能の低下を遅らせると科学的に確認されたら「ゲームチェンジャー 」になるだろう、と述べている。aducanumabの臨床試験は、この考えを検証するためのテストに例えられる。Alzheimer’s Drug Discovery Foundation(アルツハイマーズドラッグディスカバリー財団)の創設者であるHoward Filit(ハワード・フィリット)氏は、フィナンシャル・タイムズの取材に対し、aducanumabを「βアミロイド仮説の最初の厳密なテスト」と称した

その意味で、今回の条件付き承認は、FDAがこの手法によるアルツハイマー病治療に好意的であるとも言える。

大手製薬会社の臨床試験では、少なくとももう1つ、Eli Lilly(イーライリリー)のβアミロイド標的薬がある。Biogenのaducanumabの確認試験でFDAが承認を取り消すようなことがなければ、近いうちにいくつかが承認されるかもしれない。

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タグ:米食品医薬品局 / FDAアルツハイマー病

画像クレジット:Nature

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

前年比100%の成長を遂げたスウェーデンの遠隔医療サービス「Kry」、パンデミックで地位向上

スウェーデンのデジタルヘルススタートアップKry(クリー)は、臨床医と患者をつなげて遠隔診療を行う遠隔医療サービス(およびソフトウェアツール)を提供している。同社は、パンデミックが西欧を襲う直前の2020年1月に、シリーズCで1億4000万ユーロ(約184億6000万円)を調達した。

2021年4月末に発表されたシリーズDには、前回に続き応募者が殺到し、資金調達額は3億1200万ドル(2億6200万ユーロまたは約339億2400万円)。資金は、西欧地域での事業拡大を加速させるために使われる。

2015年に創業したスタートアップであるKryの今回のラウンドには、新旧入りまじった投資家たちが参加した。シリーズDはCPP Investments(カナダ年金制度投資委員会)とFidelity Management & Research LLC(フィデリティ・マネジメント&リサーチLLC)が主導し、The Ontario Teachers’ Pension Plan(オンタリオ州教職員年金基金)やヨーロッパを拠点とするベンチャー・キャピタルのIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Accel(アクセル)、Creandum(クリアンダム)、Project A(プロジェクトA)などの既存投資家が参加している。

新型コロナウイルス感染症が世界的に大流行し、ソーシャルディスタンシングが必要になったことから、遠隔医療分野の地位が明らかに向上した。そのため、遠隔診察を可能にするデジタルヘルスツールの導入が患者と臨床医の両方で加速している。Kryは2020年、医師によるオンライン診察を可能にする無料サービスの提供にすばやく取りかかった。当時、医療を支援しなければならないという大きな責任を痛感していた、と同社は語っている。

公衆衛生上の危機的状況の中で、Kryの俊敏性は明らかに功を奏し、2020年のKryの前年比成長率は100%になった。つまり1年前に約160万件だったデジタルドクターの予約数が、現在は300万件を超えているということだ。また6000人もの臨床医が同社の遠隔医療プラットフォームとソフトウェアツールを利用している(登録されている患者数は公表されていない)。

しかし共同設立者兼CEOのJohannes Schildt(ヨハネス・シルト)氏によると、医療の需要に関しては、ある意味では穏やかな12カ月だったようだ。

パンデミックの影響で、新型コロナウイルス感染症の検査(Kryが一部の市場で提供しているサービス)など、新型コロナウイルス感染症に関連する特定の需要が高まっていることは確かだ。しかし同氏がいうには、国家的なロックダウンや新型コロナウイルス感染症への懸念から、医療に対する通常の需要がいくらか抑制された。そのため、新型コロナウイルス感染症による公衆衛生上の危機の渦中に、Kryが100%の成長率を達成したのは、医療の提供がデジタル化されていく中での次なる展開を占う出来事にすぎない、と同氏は確信している。

「世界的なパンデミックに関して、言うまでもなく当社は正しい道を進んできました。振り返ってみると、メガトレンドは明らかにパンデミックよりずっと前から存在していましたが、パンデミックがそのトレンドを加速させました。そして当社の活動を支えるという点で、そのトレンドが当社と業界に貢献しました。現在、医療システムの前進に遠隔治療とデジタル医療が重要な役割を果たすという考えは、世界中にしっかりと定着しています」とシルト氏はTechCrunchに語った。

「この1年間で需要が増加したことは明らかです。しかし医療提供をより広い視点から見てみると、欧州のほとんどの国で、医療サービスの利用率が実質的に過去最低になっています。なぜなら、厳しい制限がかけられたことで、多くの人々が病気にならないからです。かなり不思議な力が働いています。一般的な医療サービスの使用状況は、実質的に過去最低になっていますが、遠隔治療は増加傾向にあり、当社は以前よりも多くの業務を行っています。これはすばらしいことです。当社は多くの優秀な臨床医を雇用し、臨床医がデジタルに移行するのを助ける多くの優れたツールを提供しています」。

Kryの無料版の臨床医向けツールは、同社の「地位を大きく向上させた」とシルト氏はいう。パンデミックによってデジタルヘルスツールの導入が加速し、サービスの提供に大きな変化が起こっていることに、シルト氏はとてもワクワクしている。

「私にとって最大のポイントは、今や遠隔治療がしっかり確立され、定着しているということです。ただし成熟度のレベルは、欧州市場の間で差があります。2020年のKryのシリーズCラウンドのときでさえ、遠隔治療は当たり前のものではなかったかもしれません。もちろん当社にとっては、ずっと当たり前のものなのですが。どんな場合にもはっきり分かっていた点は、遠隔治療は未来への道であり、必要不可欠だということです。医療提供の多くをデジタル化する必要があります。そして当社がやるべきことは、着実に前進することだけです」。

(現在のパンデミックによるロックダウンが原因の需要の抑制はさておき)医療資源の需要が高まるなか、デジタルへの移行は(必然的に)制限されている医療資源の活用を拡大するために必要なものだとシルト氏は主張する。どんなときにも、Kryが医療提供における非効率性を解決することに注力してきた理由はここにある。

Kryは、公的医療制度で働く臨床医を支援するツールを提供するなど、さまざまな方法で非効率性を解決しようとしている(シルト氏によると、例えば、税金で賄われているNHSを通して大部分の医療が提供されている英国市場では、全GP[一般開業医]の60%以上がKryのツールを使用している)。さらに(いくつかの市場では)遠隔治療と外来診療所のネットワークを組み合わせた総合的な医療サービスを提供しており、利用者が臨床医の診察を直接受ける必要がある場合には、外来診療所に行くことができる。また、欧州の民間医療機関とも提携している。

要するにKryは、医療提供をサポートする方法にはこだわらない。この考えは技術面にも及んでいる。つまりビデオ診療は、感染症、皮膚疾患、胃の疾患、心理的障害など幅広い疾患に対する遠隔診療を提供する遠隔治療事業の一環にすぎない(いうまでもなく、すべての疾患を遠隔治療できるわけではないが、一次診療レベルの診察の多くは、医師と患者が直接面会する必要はない)。

今回の新たな資金調達によって投資が拡大されるKryの製品ロードマップでは、Internet Cognitive Based Therapy(ICBT:インターネットベースの認知行動療法)やメンタルヘルスの自己評価ツールなどの患者向けアプリを拡張して、デジタル指向の強い治療を提供することにも取り組んでいる。シルト氏によると、同社は、慢性疾患をサポートするためのデジタルヘルスケアツールにも投資する予定だ。このために、(実績のある既存の治療法をデジタル化するか、新しいアプローチを提案するかして)より多くのデジタル治療法を開発したり、買収や戦略的パートナーシップを通じて能力を拡大したりしている。

過去5年以上にわたり、不眠症不安神経症などの疾患、理学療法士の施術を直接受ける必要のある筋骨格疾患や慢性疾患のための、実績のある治療プログラムをデジタル化するスタートアップが増加している。Kryがプラットフォームを拡大するために連携するパートナーの選択肢は確かに豊富にある。しかし同社は、ICBTプログラムを自社開発しているため、デジタル治療分野そのものに取り組むことに不安はない。

「医療の大きな変化と移行の第4ラウンドに入ったことから、臨床医が高品質の医療を極めて効率的に提供するための優れたツールに投資し続けること、そして患者側の経験を深めることは、当社にとって非常に大きな意味があります。そうすることにより、より多くの人々の支援を続けることができるからです」とシルト氏はいう。

「当社は、ビデオやメッセージのやり取りを通して多くのことを行っていますが、それはほんの一部にすぎません。当社は現在、メンタルヘルス管理計画に多くの投資を行い、ICBT治療計画を進めています。また慢性疾患の治療への関与も深めています。当社に、臨床医がデジタル的にも物理的にも高品質な治療を大規模に提供するための優れたツールが存在するのは、当社のプラットフォームがデジタル面と物理面の両方を支えているからです。また2021年は、ときには同社が自力で、ときにはパートナーの力を借りて行っているデジタルでの医療提供と、物理的な医療提供を結び付けるために尽力しています。ビデオ自体はパズルの1ピースに過ぎません。当社が常に大切にしてきたことは、最終消費者の視点、患者の視点から医療を見ることでした」と同氏は語っている。

同氏は次のように続ける。「私自身も患者なので、当社が行っている多くのことは、一部の分野で構築されているシステムの非効率さ加減に対して私が感じたフラストレーションが動力源になっています。世の中には優れた臨床医が数多くいますが、患者目線の医療が足りていません。そして欧州市場の多くで、アクセスに関する明確な問題が発生しています。このような問題が、常に当社の出発ポイントでした。どうすれば、患者にとってより良い方法でこの問題を確実に解決できるのでしょうか。その解決策として、患者のための強力なツールとフロントエンドの両方を構築する必要があることは明らかです。そうすれば患者は簡単に治療を受けることができ、自分の健康を積極的に管理できるようになります。また臨床医が操作、作業できる優れたツールの構築も必要です。当社はそれにも力を入れています」。

「当社が抱えている臨床医だけでなく、提携している臨床医も含め、多くの臨床医が当社のツールを使用してデジタル医療を提供しています。そして当社はパートナーシップの下で、多くのことを行っています。当社が欧州のプロバイダーであることを考えれば、最終消費者が実際に治療を受けられるようにするには、政府や民間保険会社とのパートナーシップも必要です」。

デジタル医療提供分野の別のスタートアップたちは、AIを活用したトリアージや診断用チャットボットを使った医療へのアクセスを「デモクラタイズ」する(多くの人に普及させる)という大きな目標について話している。人間の医師が行っている仕事の少なくとも一部をこれらのツールで置き換えることができるという考えがあるからだ。そのスタートアップたちの先頭に立ち、大きな存在感を示しているのは、おそらくBabylon Health(バビロン・ヘルス)である。

それとは対照的に、Kryは、同社のツールに機械学習テクノロジーが高い頻度で取り入れられているにもかかわらず、AIを派手に宣伝することを避けてきた、とシルト氏は述べている。同社は診断チャットボットも提供していない。方針にこのような違いが出るのは、重視する問題が異なるからだ。Kryは医療提供における非効率性を問題視している。シルト氏は、医師による意思決定は、この分野におけるサービスが抱える問題の中では優先順位が低いと主張している。

「当社はいうまでもなく、製造しているすべてのプロダクトにAIや機械学習ツールだと考えられるものを使用しています。個人的には、テクノロジーを使ってどの問題を解決するかよりも、テクノロジーそのものについて声高に叫んでいる企業を見ると、少しイライラします」とシルト氏は話す。「意思決定支援の面では、当社には他社と同じようなチャットボットシステムはありません。もちろん、チャットボットは本当に簡単に構築できます。しかし私が常に重要だと考えているのは、『何のために問題を解決するか』を自問することです。答えは『患者のため』です。正直に言って、チャットボットはあまり役に立たないと思います」。

「多くの場合、特に一次医療には2つのケースがあります。1つ目は、尿路感染症にかかっており、以前にもかかったことがあるため、患者はなぜ助けが必要なのかをすでに知っているというケースです。目の感染症も同じです。また湿疹が出て、それが湿疹だと確信していれば、誰かに診てもらったり助けを得たりする必要があります。自分の症状に不安があり、それが何なのかよくわからないケースもあります。そして患者は安心感を得たいと考えます。それが深刻なものかどうかに関わらず、チャットボットがそのような安心感を与えてくれる段階にあるとは思えません。やはり患者は人間と話がしたいでしょう。ですからチャットボットの用途は限られていると思います」。

「そして意思決定については、臨床医が適切な意思決定を行えるようにするなど、当社は臨床医のための意思決定支援を行っています。しかし臨床医が得意とするものが1つあるとすれば、それは実のところ意思決定です。そして医療における非効率性について調べると、意思決定プロセスは非効率的ではありませんでした。マッチングが非効率的なのです」。

シルト氏は「大きな非効率性」がもたらすものとして、スウェーデンの医療システムが翻訳者に費やしている金額(約63億7500万円)を挙げているが、この金額は多言語を話す臨床医と患者を適切にマッチングすることで簡単に削減できる。

「ほとんどの医師はバイリンガルですが、患者と同じ時間に活動しているわけではありません。そのためマッチング面では多くの非効率が生じます。当社が時間を費やしているのが、たとえばこの非効率なのです。どうすれば非効率に対応できるか。当社に助けを求めている患者が最終的に適切な治療を受けられるようにするにはどうすればいいか。あなたの母国語を話す臨床医がいれば、互いに理解しあうことができるのか。看護師が十分に対応できるものか。心理学者が直接対応すべきものか、などを考える必要があります」。

「すべてのテクノロジーにおいて常に重要なのは、実際の問題を解決するためにテクノロジーをどのように使用するかであって、テクノロジーそのものはあまり重要ではありません」とシルト氏は付け加えた。

欧州における医療提供に影響を与える可能性のあるもう1つの「非効率性」は、患者が一次医療にアクセスしにくくすることで、コストを削減しようとする(民間の医療機関の場合は、保険会社の利益を最大化しようとする)問題のある動機によるものだ。請求プロセスを複雑にしたり、サービスにアクセスするための情報やサポートを必要最低限しか提供しない(あるいは予約を制限する)ことで、患者は特定の症状に関わる専門医を見つけ出し、その専門医に診てもらうための時間枠を確保するという、面倒な作業をしなければならない。

できるだけ多くの病気を回避するために、できるだけ多くの人々の健康維持に取り組むべき分野で、こうした動きがあるのは非常に残念である。こうした取り組みにより、患者自身にとっても良い結果がもたらされることは明白だからだ。実際に病気の人々を治療するための費用(医療費および社会的費用)を考えた場合、2型糖尿病から腰痛まで幅広い慢性疾患は、治療にかなりの費用がかかる。しかし適切に介入すれば完全に予防できる可能性がある。

患者にとっても医療コストにとっても、あらゆる点で優れた予防医療への移行が切望されているが、シルト氏は、それを促進するための重要な役割をデジタル医療ツールが果たすと考えている。

「本当に頭にきます」とシルト氏は言い、続けてこう述べた。「医療の提供にはコストがかかるという理由から、医療システムは人々が簡単に医療にアクセスできないような構造になっていることがあります。これは非常にばかげたことであり、一般的な医療システムでコストが増加している原因にもなっています。まさにその通りです。なぜなら臨床医と患者が最初に接する一次診療にアクセスできないからです。その結果、二次診療に影響が及んでいるのです」。

「欧州市場のすべてのデータから、そのような問題が見えてきます。一次診療で治療を受けるべき人々が救急処置室で治療を受けています。一次診療へのアクセス方法がないために、一次診療を受けることができなかったのです。一次診療の受診の仕方がわからず、待ち時間が長く、何の助けも得られないまま、さまざまなレベルにトリアージされます。そして最終的に尿路感染症の患者が救急処置室に来ることになるのです。医療システムが患者を寄せつけなければ、莫大なコストがかかります。それは正しいやり方ではありません。システム全体をより予防的で積極的なものにする必要があります。当社は、今後10年間にそのための重要な役割を果たすことができると考えています。その鍵を握るのがアクセスです」。

「患者が当社に支援を求め、当社は患者に適切なレベルの治療を提供する。当社は医療をこのようなシンプルなものにしたいと考えています」。

欧州で医療を提供するには、取り組むべき課題がまだ数多くあるため、Kryはサービスを地理的に拡大することを急いでいない。主な市場は、スウェーデン、ノルウェイ、フランス、ドイツ、イギリスであり、同社はこれらの国々で(必ずしも全国的にではないが)医療サービスを運営している。留意すべきは、同社が30の地域でビデオ診療サービスを提供していることだ。

米国でのローンチの計画はあるかと尋ねられたシルト氏は「現在当社は欧州に非常に注目しています」と答えた。「欧州以外に進出することは決してない、とは言いません。しかし今は欧州にかなりの力を注いでおり、その市場を熟知していますし、欧州の制度の中でどのように行動すべきかを知っています」。

「欧州と米国では医療費の支払いに関する制度が大きく異なっています。また欧州では最上のものが注目されます。そして欧州は巨大な市場です。欧州すべての市場で、医療はGDPの10%を占めているので、大きなビジネスを築くために、欧州の外に出る必要はないのです。当分の間は、欧州に注力し続けることが重要だと考えています」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

慶應発スタートアップOUIのiPhone装着型眼科診察機器「Smart Eye Camera」がEUで医療機器登録

慶應発スタートアップOUIのiPhone装着型眼科診察機器「Smart Eye Camera」がEUで医療機器登録

慶應義塾大学医学部発のスタートアップ企業OUI(ウイ)は6月11日、iPhoneに取り付けて眼科診察を可能にするアタッチメント型医療機器「Smart Eye Camera」(SEC)が欧州連合地域(EU)で医療機器登録を行い、EU指令・規則における必須要求事項に適合したことを示すCEマークの表示(CEマーキング。Conformité Européenne)が可能となったと発表した。

慶應発スタートアップOUIのiPhone装着型眼科診察機器「Smart Eye Camera」がEUで医療機器登録

SECは、すでに日本国内での医療機器として登録済み。眼科医の駐在がない離島におけるドクター to ドクターでの遠隔相談や、医療機関を訪問できない患者さんに対しての訪問診療で使用されているそうだ。また、アジア・アフリカ地域をはじめとする世界10カ国以上で、現地の眼科医・NGO・医療機関・国際機関と協力して、様々なパイロット実証を行っている。国際的な認知度の高いCEマーキングにより、欧州市場のみならず、これら地域においてもSECに対する認知度・信頼度がさらに高まることが期待できるという。

OUIは、今後も国内外の多様なパートナーと連携しながら、SECを国内外に広めることで2025年までに世界の失明を50%減らすことを目指す。

OUIは、「医療を成長させる」を理念に、慶應義塾大学医学部の眼科医が2016年7月に立ち上げたスタートアップ企業。眼科の診察を可能にするiPhoneアタッチメント型医療機器SECをゼロから開発し、約1年半で完成させた。iPhoneのカメラと光源を利用した眼科診療機器は本邦初としており、動物実験の結果およびヒトの眼を使用した臨床研究の結果にて、既存の細隙灯顕微鏡と同等の性能があることが証明されているという(Evaluation of Nuclear Cataract with Smartphone-Attachable Slit-Lamp DeviceSmart Eye Camera: A Validation Study for Evaluating the Tear Film Breakup Time in Human Subjects Translational Vision Science & Technology April 2021, Vol.10, 28.など)。

世界の失明原因第1位は白内障とされており、白内障は適切な時期に治療をすれば失明に至らない可能性が高いにもかかわらず、発展途上国においては白内障による失明が社会問題となっている。SECは、iPhoneに取り付けて使用する小型な医療機器であるため、電気のない地域や被災地など場所を選ばず眼科診察を可能にするとしている。

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アップルの最新アクセシビリティ機能は手足や声が不自由な人へさらに寄り添う

Apple(アップル)はWWDC 2021で、さまざまなニーズに対応するアクセシビリティ機能を発表した。その中には、通常の方法でデバイスに触れたり話したりすることができない人々のための機能も含まれている。Assistive TouchやSound Controlなどの改良により、これらの人々はiPhoneやApple Watchと対話するための新たな選択肢を得る。

Assistive Touchは発表時にも取り上げたが、先日、その詳細が明らかになった。この機能は、Apple Watchを持っている人が、さまざまなジェスチャーを使って片手で操作できるようにするものだ。腕が欠損している人や腕を思いどおりに使えないといった四肢に障がいを持つ人々のコミュニティからの、Apple Watchを気に入っているが、鼻で電話に出るのにはうんざりだという声を同社が耳にしたことから生まれた。

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研究チームは、他の指と親指をくっつけたり、手を握りしめたりするジェスチャーをApple Watchが正確に人気する方法を開発した。これらのジェスチャーとそのダブルバージョンは、さまざまなクイックアクションを設定することができる。その中には、ユーザーの手首の動きを模した小さなドットである「モーションカーソル」を開くものもある。

手の不自由な人が多いことを考えると、音声操作に頼らずにジェスチャーでメッセージや通話、健康管理といった基本的な操作を行えるため、とても便利だ。

とはいえ、声も誰もが自由に使えるものではない。しかし、流暢に話すことができない人でも、基本的な音をたくさん出すことができるため、それらに意味を持たせてもいい(Siriには無理だけど)。「Sound Control」という新しいアクセシビリティオプションを使えば、これらの音を音声コマンドとして使うことができる。オーディオでもボイスからではなく、Switch Control(スイッチコントロール)からアクセスして、オーディオスイッチを追加する。

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セットアップメニューでは「click(カチッ)」「cluck(コツッ)」「e(イ)」「eh(エッ)」「k(クッ)」「la(ラァ)」「muh(ムフ)」「oo(ウ)」「pop(ポン)」「sh(シー)」などさまざまな音を選ぶことができる。音を選択すると、システムがその音を正しく理解していることを確認するための簡単なトレーニングプロセスが表示され、その後、アプリの起動、よく使われる質問、他のツールの呼び出しなど、さまざまなアクションを設定することができる。

Apple製品をスイッチシステムで操作したいという方に、同社は大きなサプライズを用意していた。かつてはゲームにしか使えなかったゲームコントローラーが、一般的な用途にも使えるようになる。Xbox Adaptive Controllerは、ボタンやスイッチなどのアクセサリーのハブとグループで、コンソールゲームのアクセシビリティを改善する。この強力なツールは多くの人に利用されており「Fortnite(フォートナイト)」を終えてポッドキャストを聞きたいときに、操作方法を完全に切り替える必要がないことに感謝するに違いない。

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iOSの機能の中で、アクセシビリティの観点からもう1つ興味深いのが「Walking Steadiness(歩行時の安定性)」だ。この機能は、iPhoneを持っている人なら誰でも利用でき、ユーザーの歩行の安定性を追跡します(ご想像のとおり)。この指標は、1日または1週間を通して追跡することで、人の運動能力がいつどのように向上するのかを実際に把握できる可能性がある。この指標は、Apple Heart and Movement研究で収集された、実際の転倒やそれにつながる不安定な動きなどのデータに基づいている。

最近、義足を装着した人、足の手術をした人、めまいに悩まされている人などは、いつ、どのような場合に転倒の危険性があるのかを知ることは非常に重要だ。本人は自覚していないかもしれないが、夕方以降や階段を上った後、長時間並んだ後などは、動きが安定しない。また、義肢に慣れたり、慢性的な痛みが軽減したりすることで、着実に改善していくこともある。

このデータを実際の理学療法士や医師がどのように利用するかは未知数だが、重要なのは、ユーザー自身が容易に追跡し、理解できることだ。

画像クレジット:Apple

さらにAppleのその他の支援機能として、音声コントロールの新しい言語、ヘッドフォンの音響収容力の向上、双方向補聴器のサポート、そしてもちろん、人工内耳や酸素チューブのメモへの追加がある。同社の担当者がいうように、機能面だけの違いではなく、パーソナライゼーションや楽しさの面でも違いを受け入れたいと考えているようだ。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

気になる症状から病名と適切な受診先を調べられる、「AI受診相談ユビー」がサービス開始1年で月間利用者数100万人を突破

気になる症状から病名と適切な受診先がわかる、「AI受診相談ユビー」がサービス開始1年で月間利用者数100万人を突破

「テクノロジーで人々に適切な医療を案内する」をミッションにサービスの開発提供を行うUbie(ユビー)は6月8日、生活者向けウェブ医療情報提供サービス「AI受診相談ユビー」の月間利用者数が100万人を突破した(20201年5月現在)と発表した。

AI受診相談ユビーは、何か気になる症状があるとき、考えられる病気と、適切な受診先を調べられる一般消費者向けのサービス。スマートフォンまたはパソコンからサイトにアクセスし、20問ほどの質問に答えると、症状に関連する参考病名、診療科、位置情報に応じた地域の医療機関、さらに#7119などの救急車対応や公的な相談窓口への案内も示される。症状、病名、診療科から検索することも可能。

Ubieによれば、「医療機関への受診タイミングを逸し重症化してしまう」「症状の軽重にかかわらず救急車を呼んだり大病院にかかったりしてしまう」といった生活者の課題に対処すべく、「適切なタイミングで適切な医療機関にかかる支援をするサービス」の開発を進めてきたという。しかし新型コロナウイルス感染症拡大による受診控えや医療崩壊など医療状況の深刻化を受けて開発予定を大幅に前倒しし、2020年5月から無償提供を開始した。

現在は、30代・40代を中心に利用され、曜日や時間帯を問わずに使われるのが特徴だと同社は話している。2021年2月17日〜2月20日に行ったユーザーを対象にしたインターネット調査では(回答192件)、80.3%がサービス利用後「医療機関への受診意欲がある」と答え(サービス利用前から受診意欲があったユーザー37%を含む)、58.4%が「サービス利用後実際に医療機関を受診した」と答えた。

今後AI受診相談ユビーを活用して、生活者とかかりつけ医をつなぐ新たな取り組みを開始する予定。

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千葉大研究グループが任天堂「リングフィット アドベンチャー」で慢性的な腰痛が改善と発表

千葉大研究グループが任天堂「リングフィット アドベンチャー」で慢性的な腰痛が改善と発表

Nintendo

千葉大学大学院医学研究院整形外科学の研究グループは6月7日、Nintendo Switchのリングフィット アドベンチャーが腰痛や臀部痛の軽減に役立つとする研究成果を発表しました。研究論文は米学術誌Games for Health Journalに掲載されたとのことです。

コロナ禍にあって、自宅での運動目的でフィットネス系ゲームの人気が高まっていますが、リングフィット アドベンチャーもその一つ。これを自宅で手軽にできる運動療法の手段として注目したのが、千葉大の研究です。

慢性腰痛症などは強い痛みを自覚する一方、病変などの原因を特定できないことが少なくありません。このため、内服や注射、リハビリなどの治療が行われるのですが、運動療法にも一定の効果が認められています。ただ、運動療法は継続するのが困難なケースも多く、手軽に実施できる新たな治療ツールが求められているとのこと。

そこで千葉大では、千葉大学医学部附属病院を受診した難治性腰痛の患者40名を対象に研究調査を実施。通常の内服治療に加えて、週1回40分間リングフィット アドベンチャーを実施する20名と、内服のみを行う20名のグループに分け、それぞれ腰痛や臀部痛、下肢の痺れ、痛みに対する自己効力感(痛みがあっても幸せな生活を実現できるという自信の強さに関する指標)などを比較しました。

その結果、リングフィット アドベンチャーを実施したグループでは、痛みの軽減や自己効力感について、実施前後で有意な差が認められたとのことです。

  1. 千葉大研究グループが任天堂「リングフィット アドベンチャー」で慢性的な腰痛が改善と発表

    千葉大学

この結果について、単に運動療法で筋肉関節の柔軟性や可動域・血流改善による痛みの改善だけではなく、自ら汗を流してキャラクターを操作し、ゲームをクリアしていくといった主体的な達成感により、自己効力感が高まり、痛みの軽減につながった可能性があるとしています。

もちろん、痛みがある場合は、自己判断せずに医療機関を受診すべきです。ただ、その上で運動療法として自宅で手軽に実施できるフィットネスゲームが利用できるなら、通院にかかる医療費も削減でき、患者にとっては大きなメリットとなりそうです。

(Source:千葉大学Engadget日本版より転載)

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夜間・休日の往診サービス「コールドクター」が企業向け「職域接種」ワクチン接種業務を行う医師・看護師紹介を開始

夜間・休日の往診サービス「コールドクター」が企業向けワクチン接種業務を行う医師・看護師紹介を開始、副反応へのアフターケアも実施

健康保険が適用可能な夜間・休日の往診サービス「コールドクター」(Android版iOS版)を手掛けるコールドクターは6月7日、企業向け新型コロナウイルスワクチン接種に係る医療従事者の紹介派遣サービスを6月21日より開始すると発表した。

政府は、新型コロナウイルスのワクチン接種における自治体負担を軽減し、ワクチン接種の加速化を図るべく、職場や大学などで行う「職域接種」を6月21日から始めると発表した。これを受けコールドクターは、職場接種の実施を検討する企業向けに、ワクチン接種業務に従事する医師・看護師を紹介すると明らかにした。同サービスには300名以上の医師が登録しており、スピーディーな人材提供が可能としている。紹介人数などの詳細は問い合わせ時の情報をもとに調整する。なお、自治体向けについては、ワクチン大規模接種会場に300名規模の医師・看護師派遣の実績がすでにあるそうだ。

対象企業は、職域接種の実施基準を満たす事業所(以後政府の発表に準ずる)で、対象エリアは主要都市圏に本社・支社がある企業。

  • サービス開始日:2021年6月21日から
  • 対象企業:職域接種の実施基準を満たす事業所(政府の発表に準ずる)
  • 対象エリア:主要都市圏に本社・支社がある企業

また、コールドクターでは新型コロナウイルスワクチン接種後に起きた副反応にも対応。副反応に対するアフターケアとして、職場接種で接種を受けた従業員がコールセンターに問い合わせると、症状に合わせて医師が自宅まで訪問し、その場で薬を処方する。対応時間は平日夜間および休日のコールドクターサービス提供時間内としている。

コールドクターはこれにより、国内のワクチン接種の加速化に貢献するとともに、職場接種を実施するにあたり、迅速な対応が求められる企業担当者の力になりたいと述べている。

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書く瞑想アプリ「muute」のAndroid版が提供開始、AIが思考と感情を分析しフィードバックとともに支援

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ミッドナイトブレックファストは6月7日、「AIが感情と思考を分析しフィードバックをすることで新しい自分を知ることのできる」AIジャーナリングアプリ「muute」(ミュート)について、iOS版に続きAndroid版アプリを公開した(iOS版Android版)。Android 8.0以上に対応している。

muuteは、感じたことや思ったことを日記のように自由に書き出し、AIがそれらの感情や思考を分析・フィードバックを行い、自分の感情と思考を客観的に振り返ることができるAIジャーナリングアプリだ。ユーザーは今まで気づかなかった自己の感情の揺れ動きや思考パターン、価値観や願望などを発見でき、新しい自分を見つけられるという。

「ジャーナリング」とは、欧米で人気のメンタル・セルフケア/マインドフルネスの手法のひとつ。頭に思い浮かんだことをありのままに書くことから「書く瞑想」ともいわれる。さらにmuuteの場合、AIによる分析のもと日々のちょっとした気づきや発見を得られる「インスピレーション」、友人からの手紙のような分析レポート「インサイト」などの形で、ユーザーに対してフィードバックを行う。ジャーナル投稿の内容をAIが分析し、感情アイコンを⾃動予測・選択することで、よりスムーズなジャーナリング体験を実現するというAIによる感情予測なども搭載している。

これにより、ジャーナリング本来の効果「気分や感情の改善」「心身の健康状態の向上」などに加え、過去を視覚的かつ楽しく振り返ることができ、ユーザーは今まで気づかなかった自己の感情の揺れ動きや思考パターン、価値観や願望などを発見でき、新しい自分を見つけることにつなげられるとしている。

ミッドナイトブレックファストは、今後も提供価値の向上を目指し、継続的にユーザーの声を聞き、より使いやすく、より楽しい体験を作ることが大切だと考えているとしている。特に感情のプラットフォームのmuuteとしてより充実した体験ができるように、新機能開発などでmuuteを進化させていきたいと述べている。

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推しアイドルが生配信で一緒にエクササイズするアプリ「BAKOON!」のアンバサダーにマジカル・パンチラインが就任

推しアイドルが生配信で一緒にエクササイズするアプリ「BAKOON!」のアンバサダーにマジカル・パンチラインが就任

SBイノベンチャーは6月7日、アイドルの生配信を見ながら一緒にエクササイズできるアプリ「BAKOON!」(バコーン!、iOS版)のアンバサダーにアイドルグループ「マジカル・パンチライン」が就任したと発表した。

「BAKOON!」は、ジムに行くのは面倒だが、家でオンラインのフィットネスサービスを続けるのも難しいと感じている人たちのために、「おうちで楽しく運動を継続できる」仕組みを揃えたエクササイズアプリ。次の特徴がある。

  • エクササイズ動画はアイドルが生配信:アイドルの生配信が見られるだけでなく、他の参加者と時間を共有しながら運動できる。生配信は過去1週間分を視聴可能
  • モーションキャプチャー機能:インカメラで計測した運動量をもとにしたスコアが表示され、上位に入るとアイドルから表彰してもらえる。自分の映像は公開されないため、他人の目を気にせず利用できる
  • コミュニケーション機能:スタンプや身振りでリアクションを送信すると、アイドルが応えてくれることがある。また、ランダムに選ばれた参加者のアイコンや運動量が画面に表示される「バーチャルスタジオ」機能で、モチベーションを維持できる

エクササイズには、高負荷の運動と低負荷の運動を交互に繰り返すHIIT(高強度インターバル・トレーニング)方式を採用。「お腹重点バージョン」「下半身重点バージョン」「全身運動バージョン」など、日替わりメニューが用意されている。

マジカル・パンチラインの生配信は、週3日ほど行われる。初回登録後2週間の無料トライアルを提供中。また割引キャンペーン中は、月額2900円(税込)が月額500円(税込)で利用できる(キャンペーンは予告なく終了する場合がある)。現在はまだ事業検討中のベータ版サービスということで、「今後一定の基準を満たした場合」に正式サービスが提供される予定。

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サイケデリック療法とテックが融合したメンタルヘルスソリューションのNUE Life Health

NUE Life Healthは、サイケデリックセラピーなどの治療法と、グラフデータベース駆動型アプリを組み合わせた「次世代のメンタルウェルネスソリューション」を開発している米国の遠隔医療スタートアップだ。

マイアミを拠点とするこのスタートアップは、Jack Abraham(ジャック・アブラハム)氏(Atomic Ventures、Hims)、Shervin Pishevar(シャービン・ピシェバー)氏(元Sherpa Ventures、UBER)、Martin Varsavsky(マーティン・バーサフスキー)氏(Prelude Fertility、Overture)、Jon Oringer(ジョン・オリンジャー)氏(Shutterstock、Pareto Holdings)、James Bailey(ジェームス・ベイリー)氏(Multidisciplinary Assoc. for Psychedelic Studiesのキャップストーン・サポーター)、Christina Getty(クリスティーナ・ゲティ)氏などの投資家から出資を受け、330万ドル(約3億6000万円)のシードラウンドを実施した。上述の投資家は全員が、最近シリコンバレーからマイアミへ移住したグループの一員だ。

NUE Life Healthは現在、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州で事業を展開しており、今後は全米に拡大する予定だ。このプラットフォームでは、市場で最も即効性のある抗うつ剤とされるケタミン療法を自宅で行い、音楽療法やデータ主導のアプローチと組み合わせて提供する。

NUE Lifeによると、ボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学やインペリアル・カレッジ・ロンドンで行われたMDMAとシロシビンを用いた心理療法に関する研究では、これらが精神疾患の治療において「安全な代替法」であることを示しているようだという。

NUE LifeのCEOであるJuan Pablo Cappello(フアン・パブロ・カッペロ)氏は次のように述べている。「当社は、ケタミン療法やサイケデリック療法を単に変化のためのカタリストとしてとらえています。患者さんのリセットを支援することは重要ですが、NUE Lifeでは、サイケデリック療法の効果が薄れた後も、メンバーがデジタルプラットフォームを通じてコミュニティやつながりを見つけることができるよう支援していきます」。

NUE Life Healthのデジタルプラットフォームは「ナレッジグラフとAIを活用して、患者さんのケアを総合的に考え、エビデンスに基づいた個別の治療法を提供します」と、共同設立者兼CTOのDemian Bellumio(デミアン・ベルミオ)氏は述べている。同社のエンタープライズHIPPA準拠のヘルスプラットフォームは、2021年の晩夏にサービス開始を予定している。

NUE Life Healthの共同設立者であり、投資家でもあるクリスティーナ・ゲティ氏はこう語った。「米国では女性の5人に1人が抗うつ剤に頼って1日を過ごしており、1日に22人の退役軍人が自殺で亡くなっていることを考えると、これまでとは異なる種類のメンタルウェルネス企業を立ち上げなければならないと思いました」。

NUE Lifeは、MindMedやATAIなどのサイケデリック医療のプレイヤーが上場を果たしている中で登場した。

ベルミオ氏の説明によるとこのプラットフォームは、患者の詳細な「ナレッジグラフ」を作成する。これにより、統合精神医学と呼ばれるアプローチを用いて、患者のメンタルヘルス状態を診断・治療するために、患者を全体的に理解することができる。そしてAIアルゴリズムを導入し、どの治療法を使うべきか、どのサプリメントを飲むべきか、治療中にどの音楽を聴くべきかなど、パーソナライズされた提案を行う。独自の音楽ストリーミングサービスも、このサービスの一部となる予定だ。

ベルミオ氏はかつて、Accenture(Knowledge Graph Center of Excellenceを2年間運営)やNEORISに在籍していた際に、グラフデータベースに取り組んでいた。この手法は、United Healthcare(ユナイテッドヘルス・グループ)の「Connected Healthcare」プラットフォームでも採用されている。

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画像クレジット:NUE Life Health app

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

Apple Watchで心疾患発見を目指す、慶應医学部 木村雄弘先生に訊く(WWDC 2021)

Apple Watchで心疾患発見を目指す、慶應医学部 木村雄弘先生に訊く(WWDC 2021)

アップルの開発者イベントWWDC 2021は、日本時間6月8日午前2時から始まります。世界開発者会議WWDCといえば、 iOS / macOS / watchOS等の新機能に加え、これから登場するデバイスやサービスの可能性をいち早く開発者に紹介する場です。

「アップル史上もっともパーソナルな製品」として2015年に登場した Apple Watch も、世代を重ねるごとに心電計や血中酸素濃度計、睡眠計測など新たな機能を導入し、フィットネスやヘルスケアの分野で新たなアプリやサービスの可能性を開いてきました。

WWDC 2021を前に、そうしたアップルのテクノロジーで社会を変える取り組みとして、一般のApple Watchユーザーを対象にした心疾患の臨床研究アプリ Apple Watch Heart Study をリリースした慶應義塾大学医学部の循環器内科特任講師 木村雄弘先生にお話をうかがいました。

ウェアラブルで心疾患の早期発見を目指す

まずは臨床研究 Apple Watch Heart Study と同名のアプリについて。慶應義塾大学医学部が2021年2月から開始した Apple Watch Heart Study は、Apple Watch の睡眠計測・心電図記録・心拍計と、着用者が手動で回答する質問表を組み合わせて「心電図はいつ計測するのがもっとも有効なのか?」を解明するための研究。

Apple Watch は日本国内では2021年1月末に心電図アプリが解禁されましたが、常時着用するウォッチでも心電図は常時計測できないため、ユーザーが手動でアプリを起動して30秒間指を当てる必要があります。

しかし木村先生によると、たまたま心電図をとったときに異常が見つかることは稀。心筋梗塞などの予防には、異常が出ているときの心電図が手がかりとして役立ちますが、診療に役立つタイミングで都合よく取得できるとは限りません。

「調子が良いときに測っても良いと出るのは当たり前。一度計測して結果が良かったからといって、必ずしも病気がないって話にはならないんですね。いかに異常があるときを捉えるか? が非常に大事で、その心電図一枚で治療の方針が変わることもあります」(木村)。

Apple Watchで心疾患発見を目指す、慶應医学部 木村雄弘先生に訊く(WWDC 2021)

Apple Watch

Apple Watch Heart Study ではこの問題に対して、Watchの心拍計と睡眠検出、毎朝の質問票、自覚症状があった場合に手動入力する動悸記録を組み合わせて、ライフスタイルや生活パターンとの関連性を見つけ出し、将来の心疾患予防や診断に役立てることを狙います。

対象は一般のApple Watchユーザーすべて(20歳以上、日本語が理解できること。心電図記録は22歳以上)。具体的には、アプリをインストールして説明の確認と同意を済ませたら、あとは毎晩就寝時にApple Watchを着けること、毎朝質問票に答えること、もし脈が飛んだ、胸が痛い等の症状があったら手動で選択肢を選んで入力することで参加できます。今回の取り組みで収集するのは7日分のデータ。

一般のApple Watchユーザーを対象とした研究とは別に、慶応義塾大学病院で心房細動患者を対象にした研究も実施しています。そちらでは臨床の現場で使われる医療機器での計測と、Apple Watchを使ったデータとを比較し、機械学習で不整脈が発生しやすい条件を推定するアルゴリズムを構築します。一般のApple Watchユーザーを対象とした研究は、この患者グループの研究で得られたアルゴリズムが一般にどれほど適用できるのかの答え合わせともいえます。

あくまで臨床研究へ協力するためのアプリなので、参加しても個人の診療に役立ったり、健康改善につながるわけではありません。ただし記録へのモチベーション維持のために、毎日の計測結果には睡眠中・日中の心拍数などを元にシンプルなロジックで生成された「コメント」がつくため、睡眠中の心拍傾向を見て飲酒・寝不足などを見直す契機にはなるかもしれません。

医療のDXとWWDCへの期待

Apple Watch Heart Study の実務責任者である木村先生と、アプリを開発した株式会社アツラエの担当者お二方にお話をうかがいました。

Apple Watchを使った臨床研究に取り組んだきっかけは?

・個人的に、Apple Watchは心拍計が使える初代モデルから利用していた。健康のためを意識しなくても、時計として着けているだけで心拍や運動など役立つデータを常時記録できることが大事。

・一度の検査だけではなかなか分からない。「病院で良い検査結果を出そうと思うと、たとえば一週間酒を止めたとか、そういうことができてしまうんですよ」。家庭で実際にどういう生活をしているかを医療に反映させるためには、常時計測できるApple Watchを使う必要がある。

・特に心電図アプリケーションについては、医療機器ではないApple Watchである程度信頼できるデータが取得できる、本当に革命的なことが起きた。一回測って終わりではなく、継続して有意義に使ってもらうにはどうするか、が今回の研究に至る経緯。

心疾患は高齢者に多いと思いますが、Apple Watchを着けている高齢者は多くありませんね

「高齢者こそApple Watchだ!と思います」。慶應で臨床研究をする際は、意図的に高齢の方にお願いすることもある。たしかに操作から覚えてもらう必要はあり、利用者と医療従事者の双方にもっとデジタルリテラシーが必要になるが、自分の健康状態を意識するきっかけにもなる。高齢者こそ使ったほうが良いんだよ、ということを啓発していきたい。

高齢者といえば、Watchを使った「見守り」のアプリケーションについてはどうでしょうか

・ICT技術的には非常に簡単。医療者としても、電子カルテにプラスアルファのヘルスケアデータとして管理できれば非常に有用。

・ただ簡単にできたとしても、異常があったときに誰が対応するのか、具体的にどこまでの緊急性をもって対応するのか? など、リソースの配分やマネジメントをどうするかのルールが統一できていない。体制づくりが必要。

(注:Apple Watchを使った見守りサービスを独自に提供している企業はあります)

セコムがApple Watchで見守りサービスなどを開発。今年秋より順次提供

アプリ作成について。実際のアプリ開発を担当したアツラエとはどんなふうに仕事を進めたんでしょうか。苦労した点があれば教えてください

・ユーザーからすれば、医学研究って堅苦しいとか、たくさん質問票が出てきて面倒くさい! といった点が問題になる。打破するにはユーザーインターフェース、UXできれいなデザイン性を持たせることが重要。それができるデベロッパーを探していて辿り着いたのがアツラエ。研究参加にあたっての同意など、必須のステップをユーザーフレンドリーに構築していただけた。苦労としては、オンラインの打ち合わせを中心に進めざるを得なかったこと。(木村)

・アツラエは前身の会社に遡れば2008年から、クライアント向けのiOSアプリ開発をお手伝いしてきた。iOS / iPadOSと使いやすいデザインには自負もあった。苦労したのは、このコロナ禍でなかなか先生にもお会いできずオンライン打ち合わせで進めたこと。

・UI、UXの開発については、木村先生が求めるものに対してどこまで省略できるのか、遊びをもたせるか、を汲み取るのが重要だが、対面ならば表情や口調も大きな手がかりになる。オンラインでは、本当に喜んでくれているのだろうか? ユーザーに役立つものができているのだろうか? を探り探りで進める必要があった(アツラエ有海)。

・技術的には、開発時点で国内での心電図アプリケーションがまだ解禁されておらず、テストに苦労した(アツラエ早川)。

(日本国内での心電図アプリケーション解禁は1月22日、Apple Watch Heart Studyアプリ配信はわずか一週間後の2月1日)

今回の臨床研究で得られた成果は、今後具体的にどのような形で活かされるのか。「心臓病予防アプリ」への課題は

「最終的な結果はただ研究で終わらせることなく、医療のDXとして提供できるような形を考えています」(木村)。一つ大きな壁は、医学的なアドバイスや計測結果を出すとして、どこまで言えるのか、(認可的な意味で)医療機器の扱いになるか否か。診断を与えることではなく、日々の生活を見守り、自分の変化に気づかせることがおそらく一番重要。長い時間をかけて医療機器を作るんだ! ではなくても、ヘルスケアに貢献できるソリューションは色々ある。

・必ずしも医療機器の精度でないとしても、個々のユーザーに対していま測ったほうがいいのかな、いま病院にいったほうがいいかなという気づきを与えること。知らないうちに見守られていて、変化を教えてくれるものが増えていけば、早期発見や健康寿命に貢献していくことになる。今回の研究も、ソリューションはとしてはそうしたところを目指したい。

Apple Watch Series 6からは、医療機器としての数字ではないものの「血中酸素ウェルネス」でSpO2も取得できるようになりました。今後さらにこんなデータが取れればと期待しているものは

・色々とうわさはあり、今度のWWDCでもジェスチャ検出など新しいものが出てくるようだが、大事なのは同じ機械で計測し続けること。

・計測したデータに医療機器と同じ精度があるかどうかまで立ち戻らなくても、同じ機器で計測し続けた変化量は、その個人にとっては評価できるものになる。もちろん、これが欲しいあれが欲しいという期待はあるが、いずれにしても個人に紐付けられたデータであれば非常に貴重なものになると考えている。

次のWWDCへの期待をお願いします

「WWDCには毎年驚かされていて、素人ながら分かる範囲の開発者向け動画はすべて見るようにしています」。毎年大幅に変わるが、今回のアプリでも睡眠計測やウィジェットなど、新しい機能をできるだけ使うようにお願いした。うわさの血糖値やジェスチャは大変興味深いと思っている。(木村)

・アクセシビリティ・デイで発表済みのジェスチャ操作はどうなるのか、自分たちのアプリに組み込めるか? は注目。日本国内のアプリはアクセシビリティが行き届いていないことが多く、いちデベロッパーとして注目していきたい。過去でいえば、watchOS 2でガラリと変わったこと、6でできることが一気に増えたのが印象深い。Apple Watchのアプリ開発は今後もっと注目されてくるのではないかと思っている(アツラエ早川)。

・プランニングの観点から。毎年WWDCの時期には、クライアントから自社のアプリにこの新機能は使えるんじゃないか、どう変わるのかと問い合わせや提案が増える。応えるためにいち早くプロトタイピングをしたり、社内でディスカッションするのが恒例行事 (アツラエ有海)。

WWDC 2021 のキーノートは日本時間で6月8日午前2時から。Engadgetでも速報体制でお伝えします。

病院がアプリを処方する時代。iOS活用で進む未来の医療
Apple Watch Heart Study

Engadget日本版より転載)

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電動歯ブラシや3Dプリント製マウスピースを安価で提供するシンガポールの審美歯科D2C「Zenyum」

審美歯科をもっと手頃な料金で提供したいと考えるZenyumが、シリーズBで4000万ドル(約43億8000万円)を調達した。これには、非上場の消費者ブランドに投資をしているL Cattertonからの2500万ドル(約27億4000万円)が含まれている。この投資ラウンドに参加したその他の投資家は、Zenyum自身がそのアクセラレーター事業Surgeに参加したSequoia Capital India、RTP Global、Partech、TNB Aura、Seeds CapitalそしてFEBE Venturesなどとなる。L Catteron Asiaの成長投資部門のトップであるAnjana Sasidharan(アンジャナ・サシダラン)氏がZenyumの取締役会に加わる。

これでZenyumの調達総額は5600万ドル(約61億3000万円)になり、これには2019年の1360万ドル(約14億9000万円)のシリーズAが含まれる。発表声明でサシダラン氏は「Zenyumはビジネスモデルを差別化して、競争で優位に立つことができました。成長意欲の強い創業者たちの経営チームも、投資家にとって心強い」と述べている。L Catteronが投資している歯科関連の企業には、他にIdeal Image、ClearChoice、dentalcorp、OdontoCompany、Espaçolaser、そして98point6などがある。

2018に創業された同社の製品には、電動歯ブラシ「ZenyumSonic」や3Dプリントで作った透明なアライナー(マウスピース)「Zenyum Clear」、もっと複雑な矯正が可能な「ZenyumClear Plus」などがある。

創業者でCEOのJulian Artopé(ジュリアン・アルトペ)氏によると、アライナーであるZenyum Clearはその他の矯正器よりも最大で70%安いという。患者の歯の状態や彼らの希望により、これまでは金属製や舌側矯正器、Invisalignのような透明なアライナーなどが使われてきた。Zenyum Clearは約1800ドル(約19万7000万円)、ZenyumClear Plusは2500〜3000ドル(約27万4000〜32万8000万円)弱というお値段だ。

同社の透明アライナーが実質的に低価格なのは、技術力のある歯科医や歯科技工士のパートナーのネットワークがあり、患者があちこちのクリニックを訪ねなくても済むからだ。

患者はまず自分の歯の写真をZenyumに送り、ZenyumClearやZenyumClear Plusが有効かチェックしてもらう。OKなら次は歯科医の面接検査となり、X線検査や3Dスキャンが行われる。その費用90〜130ドル(約9400〜1万2400円)はクリニックへいく。透明アライナーが完成すると、患者は再び歯科医へ行き、装着してもらう。その後歯科医は、Zenyumのアプリを使って患者の歯の状態の改善をモニターする。そのとき歯科医が患者にいうのは、もし問題があったらまた来てくださいということだけだ。

現在、ZenyumClearを利用できる区域はシンガポールとマレーシア、インドネシア、香港、マカオ、ベトナム、タイ、そして台湾だ。

Sequoia IndiaのトップPieter Kemps(ピーター・ケンプス)氏は次のように述べている。「Zenyumの主力市場である東南アジアと香港、台湾には3億の顧客がいます。彼らが美容に費やす可処分所得は日に日に増えています。透明アライナーへの支出も、今よりずっと増えるだろうが、しかし複雑な製品が消費者に選ばれるためには強力な業務実行体制が必要です。その点で優れているのがZenyumです。実行体制は優れており、新製品も強力、NPSもこのクラス最高です。成長力はあるし、経済も好調、シリーズBがそれを証明しています。この先には、もっと大きな商機があることも確実です」。

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画像クレジット:Zenyum

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

高齢者転倒時の骨折リスクを軽減する床「ころやわ」の累積出荷「高」が通天閣を突破

製造枚数6000枚に到達、高齢者転倒時の骨折リスクを軽減する⾻折予防床材「ころやわ」の累積出荷「高」が通天閣を突破

出典:photolibrary

医療機関や介護施設で、高齢者の転倒による大腿骨骨折のリスクを軽減させる、「転んだ時だけ柔らかい床『ころやわ』」を製造するMagic Shields(マジック・シールズ)は5月31日、「ころやわ」の製造枚数が6000枚に達し、これを積み上げた高さ他が大阪通天閣の103mを超える120mを突破したことを発表した。

ころやわは、厚さ約2cmのシート。車椅子や杖でへこむことがないため、移動時の安定性は保持されるが、衝撃を加えたときには大きく沈み込みクッションの役割を果たす。基本的な資材サイズは30X30cm。緩衝材エラストマーと塩化ビニールシートで構成されている。「メカニカルマテリアルの概念を応用したもので、素材では出せない特性を独自の構造体で実現」しているという。大きさに合わせて塩化ビニールシートでカバーするので、つなぎ目はない。畳1畳分の「マットタイプ」、既存の床に設置する「設置タイプ」、新築時に施工する「新築 / 改築タイプ」の3つの商品展開を行っている。「マットタイプ」はレンタルもある。

2019年に創設されたMagic Shieldsは、医療機関や介護施設で働く人たちの知見を取り入れたエビデンスに基づく商品開発を行い、2021年5月1日現在、導入施設での転倒骨折報告数0人を達成している(同社調べ)。また衝撃吸収性だけでなく、歩行安定性も重要であるとの指摘を受け、2021年2月に商品仕様を一新。歩行安定性を高めた製品の本格的な販売を開始した。

転倒骨折は、毎年100万件発生すると言われている。同社では、広島県での実証実験(ひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT」)を継続し、「ころやわ」の骨折軽減効果と、医療費、介護費の削減効果の試算を進め、「最終的に医療費、介護費1兆円の削減を目指す」という。

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カウンセリングやコーチングなど相談援助業務の支援アプリ「ソラハルClientFirst」がトライアルユーザー募集

対人援助・心理支援に従事する専門職が資格や職域を越えて交流できるオンラインコミュニティ「ソラハルBridge」を運営するソラハルは5月31日、業務支援アプリケーション「ソラハルClientFirst」の一般向けランディングページをオープンし、希望者からのトライアル申し込みを開始したと発表した。

ソラハルClientFirstは、カウンセリングやコーチング、キャリアコンサルティングといったコミュニケーションを通じた対人援助(遠隔心理支援)に特化した業務支援ツールだ。想定ユーザーは、開業・医療・福祉・司法・教育・産業などの領域において心理支援をはじめとする相談援助業務に関わる仕事をしている方、またその資格・免許を有する方。

コロナ禍において心の健康やウェルビーイングに注目が集まるなか、臨床心理士・公認心理師をはじめとするカウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラーなど、相談と援助を仕事とする職種が自ら相談室をオープンし、広く社会に価値提供できる社会基盤となることを目指している。

今回は、2021年夏に予定しているソラハルClientFirstのα版・β版リリースに先駆けて、一般向けにプロダクトを紹介するランディングページをオープンした。また対人援助・心理支援職の従事者らのトライアル申し込みも受付を開始している。トライアル期間中のアプリケーション利用料や登録は無料だ。

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