Waymoは「自動運転」という表現をもう使わないと宣言するが業界には賛否両論

Waymo(ウェイモ)は自社の技術に10年以上使い続けてきた「Self-driving(セルフドライビング、自動運転)」という用語の使用を止め、代わりに「Autonomous(オートノマス、自律走行)」と呼ぶことにした。

見るからに小さな変更だが、これにより同社の技術は何をして、何をしないかが明確になるとAlphabet(アルファベット)傘下のであるWaymoは話す。またこれは、Tesla(テスラ)がその先進運転支援システムの説明に使っている「Full self-driving(完全自動運転)」という言葉と自社(さらには業界全体)との距離をとるための取り組みとも見られている。

「この1年間、私たちはその言葉の重要性と、『自動運転車』といった用語がWaymoのような自律走行車メーカーの製品を正確に表現しないことの意味を考えてきました」と米国時間1月6日に公開された同社のブログ記事に書かれている。「Waymoの車両は、自分から走るわけではありません。むしろWaymoは、運転操作の自動化を目指しているため、自律走行のほうが正確な表現となります。先進運転支援システムと自律走行技術といった、大きく異なる技術の説明を1つの用語でひっくるめてしまうことは、『Autonowashing(オートノウォッシング)』と呼ばれています。そこには深刻な安全性の問題が潜んでいます。人々は一貫して、運転支援機能の能力を過大評価する傾向があるとの研究結果もあります」。

【訳注】Autonowashingとは、実際はそこまで自動化されていないにも関わらず、それを隠蔽(ウォッシュ)して自動運転ができるかのように思わせる用語のこと。

自動運転という用語を止めるWaymoの決断は、他の自律走行車メーカーからは、業界全体への行動の呼びかけとして見られている。だが、業界が用語の明確化と一般大衆の啓蒙の必要性に基本的に合意しているにも関わらず、Waymoが受け入れた具体的な用語体系に賛同しない企業もある。

TechCrunchが話を聞いた業界内部の一部の人たちや企業創設者たちは、「自動運転」という用語を使わなくなれば、不本意ながらその用語をTeslaに譲ってしまうことになりかねないと懸念している。啓蒙のほうに労力を振り向けるべきだと示唆する声もある。

「私たちは、この技術の無人運転へ適用を追究しつつ、自家用車やトラックを運転するテクノロジーと運転者を支援するテクノロジーとの違いを明確にする用語を使いながら、その恩恵について人々の認識を高めてもらう取り組みをしています」と、Aurora(オーロラ)のCEO、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏はいう。「他の企業の誤解を招くマーケティング活動に同調して技術の名称を変えるよりも、私たちが目指す命を救う技術を定義する明確な用語に沿うことのほうが、業界としては重要であるという考えに私たちも同意します」。

そうしたWaymoへの反発は、ひとつには業界内の同社の立ち位置に関する認識が影響している。WaymoはもともとGoogle(グーグル)の自動運転車プロジェクトであり、技術開発と自律走行車の商品化で先陣を切る企業だ。同社の事業はこの新興市場において、大きな責任と影響力を背負っているからだ。

今回の発表にともない、啓蒙キャンペーンの名称を「Let’s Talk Self-Driving(自動運転を語ろう)」から「Let’s Talk Autonomous Driving(自律走行を語ろう)」に変更したWaymoは、自家用車の先進運転支援システムを、自動運転または半自律走行と説明し宣伝してきた自動車メーカーのこれまでのやり方が混乱を招いたと主張する。この呼称変更の元凶としてWaymoがTeslaを名指しすることは決してないが、「オートパイロット」や「FSD(フル・セルフ・ドライビング、完全自動運転)」といった用語を使うTeslaは、自動車と安全に関連する数多くの団体のみならず、自動車メーカーの間にも批判を巻き起こしている。

Waymoは、自動運転車として宣伝されている乗用車、トラック、SUVに乗るドライバーたちは、その技術の能力の限界を理解しておらず、間違った使い方をしかねないとの調査結果について語っている。同社が取り上げたのは、2019年に実施された調査だ。回答者の半数が、運転車が決してハンドルから手を離してはいけないシステムの場合でも、その運転支援機能は手放し運転が可能だと信じていたという。

ドライバーが運転席にいなくてもクルマが自動的に運転してくれる技術をどう表現するかに関連する疑問や混乱は、もう何年間も消えずにいる。自律走行、自動化運転、無人運転、自動運転といった用語が、この10年間、入れ替わり立ち替わり使われてきた。復活して人気を得ることなく、時とともに消えていった用語もある。「完全自律走行」は、ごく最近になって自律走行言語学に加わった新語だ。当のWaymoも、自動運転という言い方を止めると発表したブログ記事の中で、状況に応じて「自律走行」と「完全自律走行」を使い分けている。

「自動運転」という用語は、自律走行車技術を開発し商品化しようとする企業にとっては頼もしい存在だ。Argo AI(アーゴエーアイ)、Aurora(オーロラ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Nuro(ニューロ)、Voyage(ボイエージ)といった同業界の他主要メーカーは、彼らの取り組みを各ウェブサイトで「自動運転」と称している。Zoox(ズークス)は、自律走行配車サービスを自称するはみ出し者だ。

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(翻訳:金井哲夫)

AppleとのEV提携の可能性に関する報道で現代自動車の株価が20%以上アップ

韓国の現代自動車(ヒュンダイ)は、自動運転電気自動車の生産に向けた協議をApple(アップル)と行っていると報じられたが、現代自動車はその協議はまだ「初期段階」で、何も決まったことはないと軽く扱う姿勢を崩していない。しかし、公表前には固い秘密主義を貫くことで知られたAppleとの協業の可能性に触れたそのニュースは、韓国時間1月8日、Korea Exchange(韓国証券取引所)における現代自動車の株価を20%以上押し上げた(Yahooファイナンス記事)。

協議が最初に報じられたのはKorea Economic Daily(コリア・エコノミック・デイリー)紙上で、その内容は韓国の自動車大手である現代自動車自らがBloomberg(ブルームバーグ記事)に対して以下のように認めている。「Appleと現代自動車は協議中です、しかしそれはまだ初期段階で、何も決定されていません」。また、同社はCNBCに対しては「Appleが現代自動車を含むさまざまな世界的な自動車メーカーと協議中であることは知っています。議論は始まったばかりなので、何も決まってはいません」と語っている。

現代自動車の広報担当者はTechCrunchへのコメントを拒否した。また、Appleにはコメントを求めている最中である。

2020年12月、Reuters(ロイター)が報じたところによれば、Appleの自動車構想Project Titan(プロジェクト・タイタン)はまだ続いており、自動運転式の電気乗用車の開発が計画されているという。だがこの車の発売は2024年以降になると考えられている。

現代自動車は2020年8月に独自の電気自動車ブランドであるIoniq(イオニーク)を立ち上げた。今後4年間の間に3種類の完全電気自動車を市場に投入する予定だが、これは2025年までにバッテリー式電気自動車を100万台販売し、EV市場で10%のシェアを取る戦略の一環である。また、現代自動車は自動運転技術企業のAptiv(アプティブ)との合弁会社を設立し、2022年までにレベル4とレベル5の量産可能な自動運転システムを、ロボタクシー、車両運用業者、自動車メーカーに提供することを目標としている。Aptivとの提携は2019年に発表されている。

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(翻訳:sako)

イーロン・マスク氏が「世界で最も裕福な人物」に

SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)を率い、時に物議を醸すこともある謎に包まれた起業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、過去20年間に他の3人だけが保持していた地位に到達した。「世界で最も裕福な人物」の称号を得たのだ。

マスク氏は2021年、Warren Buffet(ウォーレン・バフェット)氏やBill Gates(ビル・ゲイツ)氏など多くの億万長者を超えてトップに立った。彼がこの地位に上り詰めたのは、2020年3月から830%近く急騰したテスラの株価のおかげであり、決められた時価総額と収益性のマイルストーンを達成した後に有効になった実質的な給与体系のためでもある。これによってマスク氏は、2017年から世界一の富豪の座を保持していたAmazon(アマゾン)創業者兼CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を追い落とした。

Bloomberg(ブルームバーグ)の億万長者指数によると、マスク氏の財産は現在1880億ドル(約19兆5000億円)を超えている。テスラの株価は米国時間1月7日にも上昇を続け、5%以上も上昇して795.75ドル(約8万2737円)となった。

マスク氏一流の表現で彼はこのマイルストーンを認め「なんて奇妙なことだろう」「さて、仕事に戻るか……」とツイートしている。

世界で最も裕福な人物という肩書きよりも、興味深いのはマスク氏がそこに到達したスピードだ。ほんの1年前、マスク氏は世界長者番付の底に方にいた。2021年、テスラの株価が急上昇したおかげで、マスク氏は約1500億ドル(約15兆6000億円)もの富を手にした。マスク氏はテスラの株式を約20%保有している。またSECの報告書によると、同氏は約420億ドル(約4兆4000億円)の行使可能なストックオプションを持っている。

テスラ株はかねてより変動率の高さに悩まされてきた銘柄で、ツイートや財務更新の後に大きな変動が発生することがある。2018年を例に見てみよう。テスラの株価は約3.8%の上昇で1年を終えた。1月2日と12月31日という株式市場カレンダーの両端の間に生み出されたその3.8%の値上がりは、株価の混乱と激しく揺れる上下変動に終始した1年を煙に巻いた。

2020年のテスラの株価は上昇傾向にあった。この年、上場企業としてわずか10年で、テスラは時価総額でFord(フォード)、GM、VWグループ、Toyota(トヨタ)を抜き、世界で最も価値のある自動車メーカーとなった。テスラの時価総額は現在5770億ドル(約6兆円)だ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

高精度空中投下サービスのDash Systemsが8億円を調達、へき地や被災地への物資輸送のスピードアップが狙い

昨今、グローバルな配送インフラストラクチャに関して、その重要性と各種制約がかつてないほど顕在化している。Amazon(アマゾン)などの企業がドローンを使ってラストマイル配送のスピードアップを図る一方で、Dash Systems(ダッシュシステムズ)はミドルマイル(中間物流)の高速化を狙っている。元は軍の技術である空中投下により、パレット梱包された状態の小荷物を目的地の一歩手前の特定の地点まで運んでしまおうというのだ。この方法なら、アクセスが大変難しい地域への配送も可能となる。

一般に、航空機を使った輸送は4つのステップから成る。まず、配送品が倉庫から空港に運ばれる。次に、大型貨物機に搭載されて、主要ハブ都市に輸送される。ニューヨークからロサンジェルスにといった具合だ。3つ目に、トラックや小型飛行機で配送エリアの仕分け所/配送センターまで運ぶ。最後に、お馴染みの配送トラックで配達先に届けられる。

ダッシュシステムズの創業者兼CEOであるJoel Ifill(ジョエル・イフィル)氏が改善の余地があると感じたのは、この3つ目のステップだ。自身もエンジニアで、軍の誘導爆弾を開発した経験を持つ同氏は、軍の2地点間輸送アプローチから民間業務に生かせる点があるのではないかと考えた。そもそも着陸する必要などあるのか、というのが同氏の発想だ。

「世界中どこでも、翌日配送できるはずです」とイフィル氏は語った。続けて、「”どこでも”には、例えばアラスカ半島の先端も含まれます。航空機をすでに利用しているのに、へき地へのアクセスのために10億ドル(約1034億8700万円)の空港を建設する必要があるのでしょうか?」と問う。

同氏は、軍方式の輸送は必ずしも精度が高くない(スマート爆弾ではなく、空中投下の場合)ことが問題であると指摘し、「ノルマンディー上陸ならそれで十分ですが、郵便局の駐車場に落下させる場合には、話は別です。それで、精度が高くかつ商業ベースで有用なソリューションを考案しようということになりました」。

彼らが思いついた方法は、複数の荷物をスカイダイビングさせると考えれば分かりやすい。これなら1回のフライトで複数の目的地に投下できる。「この荷物をポッドと呼んでいます。ポッドには操縦翼面と尾翼キットが取り付けられていて、速度を落として着陸することができます。どの航空機でも機体後部に積載すれば利用できる、ターンキーソリューションなんです」とイフィル氏は説明する。

現時点でポッド1個あたりの規定積載重量は約22キログラムと、航空貨物としては少なめの容量だが、ポッドの個数については、もちろん何個でも航空機に積み込むことができる。

とはいえ、ポッドは同社が編み出した輸送方式を構成する要素の一部にすぎない。ダッシュシステムズでは、飛行経路の指示を含む、飛行全体の管理を手がけている。つまり、パイロットに正確な目的地を指示するということだ。特別なトレーニングを不要にするため、できるだけ簡単な仕組みになるよう注力したので、パイロットに求められているのは、システムに入力された座標に到達することだけである。また、着陸する必要がないため、1回のフライトで広範囲の飛行が可能だ。同社のシステムが最適な経路を計算し、あとは指定された地点で投下されたポッドが自力で目的地に到達することになる。

この方式により、今までは時間がかかる陸路輸送車両か、高価で燃料喰いの航空機を使うしかなかった中間物流が簡素化されるものと期待される。筆者は、この方式は少しコストがかさむのではと思ったのだが、イフィル氏とBryan Miller(ブライアン・ミラー)氏もその点は十分に理解していた。ミラー氏はダッシュシステムズのCOO兼チーフパイロットで、空軍での軍事オペレーションとエンジニアリングの経験もある。

「航空貨物は、直感的に理解しにくい分野です」とイフィル氏は認める。「貨物重量は全体のわずか0.5パーセントにも満たないんですが、輸送収益では全体の3分の1を占めます。航空貨物が提案する最大の価値は、効率性ではなくスピードなんです。貨物用航空機の平均稼働率は50%にも満たない状況です」。

画像クレジット:Dash Systems

ミラー氏は、アラスカのへき地コミュニティへの配送の難しさと遅さについて指摘した上で、「へき地への輸送市場には簡単に参入できると思います」と述べた。確かに、配送品をアンカレッジ空港から未開墾地にある小さな郵便局に運搬するのは難題である。しかし、アンカレジから航空機を飛ばして、5つの小さな空港やヘリポートにパレット梱包された荷物を投下できたら、通常であれば、たとえ道路が閉鎖されていなくても何十時間もの陸路輸送が必要になるところが、1回のフライトで済んでしまうことになる。それに、これは通常の航空輸送に比べても安全で安い。というのは、アラスカでは霧、凍結、ヘラジカ、風など、さまざまな要因で航空機の離着陸が阻害される可能性があるが、この方式なら空港での離着陸が不要になるからだ。

ミラー氏によれば、米国本土48州にもアマゾンの翌々日配送が不可能な地域はたくさんあるという。それには、上記の4つのステップを実施するためのインフラが整備されてない地域などが含まれる。しかし、もしアマゾンプライムの荷物が貨物便に積まれて、サンフランシスコ国際空港を飛び立ち(こうした貨物便は通常、最大積載量の半分ほどで運航している)、ペタルマ空港までの空路の途中でFedEx(フェデックス)の配送センターの屋上に投下されるとすれば、配送品に関係する全員がお金と時間を節約できるのだ。

商業ベースの契約はすべて順調に進んでいるものの、イフィル氏によれば、この構想が実際に始動したのはハリケーン・マリアがプエルトリコを襲った後だという。ハリケーンで通信インフラが損壊したため、人々に物資が何も届かない状態が約2週間続いた。「何が必要なのか、衛星電話で市長に聞かないといけなかったんです」と同氏は振り返る。しかし、輸送自体はサン・ファン空港から45分程度のフライトで済むものだった。商業ベースの物資の空中投下が既存のシステムに組み込まれていたなら、もっと簡単に救援物資を届けることができただろう。

こうした経緯もあって、ダッシュシステムズは、災害によって一時的に孤立した地域への物資輸送に参入する可能性を引き続き探っていく考えだ。しかし、同社のビジネスを成功させるための中核となるのは、あくまで既存の仕組みを拡張して、遠隔地への配送の簡素化を図る事業である。この点、イフィル氏はフェデックスやUPS(ユーピーエス)などの大手との競合が問題だとは考えていないようだった。

「新しい輸送ルートが開拓されたために、既存のルートが廃止されたことなどありません」と同氏は述べた。この考え方で、おそらくダッシュシステムズは業績を大きく伸ばしていくだろう。イフィル氏は、「当社が対抗しているのは、業界の現状なんです。重力や空中投下に関する特許は取得していませんが、私の知る限り、当社は最先端を走っています」と添えた。

「自社で航空機を所有するつもりはありません。既存の航空会社との協力体制を築きたいと思っています」とミラー氏は述べる。

意外だが、同社の輸送方式で規制関連の障害は少ない。重たい荷物を居住地の近くに空中投下するのだから、認可を取得するのはさぞ大変だろうと思いがちだが、実際にはすべて既存の規制の範囲内に収まっている。重要な点として、ポッドはドローンとはみなされない。そのため、ドローンに必要な登録手続きは不要となる。なお、ダッシュシステムズは、今までのところ、アラスカの試験フライトで約2200キログラムの貨物を投下している。

ダッシュシステムズの800万ドル(約8億2860万円)のシードラウンドは8VCがリードし、Tusk Venture Partners(タスクベンチャーパートナーズ)、Loup Ventures(ループベンチャーズ)、Trust Ventures(トラストベンチャーズ)、Perot Jain(ペロットジェイン)、MiLA Capital(MiLAキャピタル)の各社が参加した。イフィル氏は、調達した資金でチームを拡張し、事業展開とポッドの技術開発をさらに進めることができると述べた。ポッドは現状でも機能を果たしているが、まだ技術の完成には程遠い。ダッシュシステムズはすでに、最初の顧客となる民間および政府機関との契約を幾つか検討中だ。軍では何年も活用されてきた技術とはいえ、同社の編み出した輸送方式が遠隔の拠点や施設で有用性の高いツールとなることは想像に難くない。

ダッシュシステムズについて詳しくは、以下の動画をご覧いただきたい。

Dash Mission Video from Dash Systems on Vimeo.

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タグ:物流 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

FAAが超音速機の商業飛行再導入に向けたフライトテストに関する規則を発表

米国連邦航空局(FAA)は超音速機の商業飛行の再導入へと道を開くための新たな最終規則を発表した。FAAは超音速機の飛行試験の承認を得ようとしている企業のためのガイダンスを提供しており、これにはサブスケールの超音速機のプロトタイプを完成させ、2021年中に飛行試験を開始したいと考えているBoom Supersonicのようなスタートアップも含まれている。

Boom Supersonicは5000万ドル(約52億円)の資金調達ラウンドの最終段階にあり、これまでの資金調達は約1億5000万ドル(約150億円)に達し、超音速デモンストレーターのXB-1を2020年10月に発表している。このテスト機は同社の超音速旅客機ことOvertureよりも小型だが、飛行に関する基本技術の実証に使用され、その後にBoomが提携航空会社と2025年の共同展開を目指しているOvertureの開発に利用される。

Hermeusを含む他のスタートアップ(未訳記事)も、商業利用のための超音速機を開発している。一方、SpaceX(スペースX)やVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)のような宇宙飛行に焦点を当てた他の企業は超音速飛行だけでなく、地球の大気圏外縁部での飛行を含むポイントツーポイント飛行でフライト時間を劇的に短縮し、長距離飛行をはるかに短いほぼ地域的な飛行に変える可能性を模索している。

FAAの規則の最終決定は、現在の米運輸長官のElaine Chao(イレーン・チャオ)氏がPete Buttigieg(ピート・バティジーグ)氏を次期大統領候補に選出するために退陣するときから水面下で準備されてきた。FAAの最終規則の全文はここで読むことができる。

関連記事:超音速旅客機の商用化を目指すBoom Supersonicがデモ機XB-1を披露

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タグ:FAA超音速機

画像クレジット:Boom Supersonic

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

モビリティ市場のニッチ、車両を自宅まで届けてくれるレンタカー事業のKyteが約9.2億円調達

2年以上前、Ludwig Schoenack(ルートヴィヒ・シェーナック)氏、Nikolaus Volk(ニコラウス・ヴォルク)氏、Francesco Wiedemann(フランチェスコ・ヴィーデマン)氏の3人は、米国のほとんどの都市部で利用可能なスクーターサービス、ライドハイリングアプリ、公共交通機関、カーシェアリングといった選択肢の数々に注目し、モビリティ市場にニッチがあることを発見した。

自家用車を所有したくはないが、数日から数週間ほどクルマが必要な消費者には「空港や市街地の郊外によくあるレンタカーセンターに向かう」「カーシェアリングプラットフォームを利用する」という2つの選択肢がある。3人の友人同士(全員がドイツからの移民でサンフランシスコで出会った)は、BMW、McKinsey(マッキンゼー)、Uber(ウーバー)に関する専門知識を結集し、多数の車両を所有して維持するというコストのかかるビジネスをすることなく、新しい種類のレンタカー体験を創造するためにKyte(カイト)を立ち上げることを決めた。

Kyteは、ユーザーがアプリやウェブサイトを通じて車両をレンタルできる車両物流プラットフォームを構築した。都心のハブに配置された車両は、ギグエコノミーの労働者が借り手の自宅まで届けてくれる。Kyteは車両のピックアップと給油も無料で行う。

「私たちは、人々がクルマを所有するのは、ドアを開けたらすぐの場所にクルマがほしいからだと考えています。だから、そこまでクルマを持って行ってあげればいいと思いました」。

シェーナック氏は最近のインタビューでそう語っている。

Kyteは多くの車両を管理するレンタカー会社などの企業と提携しており、このスタートアップ企業は消費者とテクノロジーに焦点を絞ることができる。

2018年後半に創業しボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコで事業を展開している同社は、投資家の注目を集めている。

Kyteは米国時間1月5日、DN Capital(DNキャピタル)とAmplo VC(アンプロVC)から900万ドル(約9億2000万円)の資金調達を行ったと発表した。モビリティ業界の個人投資家も多数参加しており、その中には元Uber幹部のEd Baker(エド・ベーカー)氏、Jörg Heilig(ヨルグ・ハイリグ)氏、Josh Mohrer(ジョシュ・モーラー)氏、William Barnes(ウイリアム・バーンズ)氏をはじめ、Lime(ライム)の共同創業者Toby Sun(トビー・サン)氏、Kayak(カヤック)とTravelocity(トラベロシティ)の共同創業者Terry Jones(テリー・ジョーンズ)氏などが含まれる。

今回調達された資金は、ワシントンD.C.から始まったKyteの市場拡大のためにすでに活用されている。

画像クレジット:Kyte

Kyteの創設者達はその収益について、月々「6桁は確実」ということ以外、開示しようとしなかった。シェーナック氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広まる中、より多くの人々がクルマに乗るようになった2020年3月から、Kyteの月次収益が400%成長したことを加えた。

「新型コロナウイルスが流行する前から、我々はクルマとの関わり方を変える必要があることは明らかでした」と、シェーナック氏は述べている。新型コロナウイルスが多くの人々を空の旅から遠ざけてしまったため、代わりにKyteのような代替品を試してみようと思う人が増えている。

このような急成長にもかかわらず、シェーナック氏によると、Kyteの予約は半分以上が定期的に利用するユーザーからのものだという。

Kyteはまた、クライアント(シェーナック氏は国内最大手のレンタカー会社としか表現しようとしなかったが)が意欲的で熱心であることも発見した。そのレンタカー会社が抱える車両を、Kyteは消費者の手に渡す手助けとなるからだ。レンタカー会社は、営業所の多くが空港にあるため、新型コロナウイルスによって大打撃を受けた。これらの企業には、収益を生み出すことがなかった数百万ドル(数億円)分の減価償却資産が残されていた。

DNキャピタルの共同創業者で取締役社長のSteve Schlenker(スティーブ・シュレンカー)氏は、Kyteがモビリティの未来を担う中核的なビルディングブロックになると考えている。

「新型コロナウイルス感染流行の影響で、都市や消費者行動の交通機関に関する変革が加速しています」と、シュレンカー氏はいう。「Kyteの独自のオペレーションレイヤーは、他のソリューションでは対応できないレベルのサービスと利便性を提供しながら、この変革を促進させます」。

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タグ:Kyte資金調達自動車

画像クレジット:Kyte

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自動運転車用ソフトウェアを産業アプリケーションへ展開するためにOxboticaが48.3億円を調達

安全で信頼性が高く、費用対効果の高い自動運転車の登場を世界が待ち続ける中、自動運転車ソフトウェアの世界的先駆者の1社が、より直近のチャンスに対して注力するために、多額の資金を調達した。通常の道路外であるオフロード環境でのアプリケーションを構築するための技術を、産業界に提供することを狙う。

英国オックスフォードのスタートアップであるOxbotica(オクスボティカ)は、「universal autonomy(ユニバーサルオートノミー)」と呼ぶ技術を開発している。同社によればその技術は、使用されているハードウェアに関係なく、さまざまな環境で自動運転車のナビゲーション、知覚、ユーザーインターフェイス、車両管理、その他の機能を支える柔軟な技術だという。このたびOxboticaは有力な戦略的投資家や金融投資家たちからシリーズBラウンドとして4700万ドル(約48億3000万円)の資金調達を行った。

ラウンドを主導するのは石油・ガス大手BPの投資部門であるBP Venturesだ。他にラウンドに参加するのはBGF、安全装置メーカーのHalma(ハルマ)、年金基金のHostPlus(ホストプラス)、IP Group、Tencent(テンセント)、Venture Science(ベンチャー・サイエンス)、Doxa Partners(ドクサ・パートナーズ)がアドバイザーを務めるファンド群などである。

Oxboticaによれば、調達した資金はこの先顧客に向けて行われる展開のために使う予定だという。同社CEOによるとそのうちのいくつかは2021年中に稼働する予定とのことだ。対象となる顧客は鉱業、港湾物流などで、主要投資家がBPであることから、その顧客の規模や視野にあるプロジェクトが示唆されている。

CEOのOzgur Tohumcu(オスガー・トフムチュー)氏は、インタビューで「現在自動運転が必要とされている分野はどこでしょう?」という問いかけを口にした。「鉱山や港湾に行けば、車両がすでに使われているところを見ることができます」と彼はいう。「私たちは産業分野で大きな変革が起きていることを知っています」。

今回の資金調達と産業分野への注力は、Oxboticaにとって興味深い展開となる。スタートアップは2014年頃から存在していたが、元は学者であるPaul Newman(ポール・ニューマン)氏とIngmar Posner(イングマー・ポスナー)氏が一緒に創業したオックスフォード大学からのスピンアウトだった。その後ニューマン氏はCTOとしてスタートアップに残り、ポスナー氏はオックスフォード大学のAI教授のままだ。

これまでOxboticaは、たとえばNASAのマーズ・ローバーにセンサー技術を提供する(Financial Times記事)など、多くの注目を集めるプロジェクトに携わってきた。

時間をかけてSeleniumとCaesiumという名の2つの主要なプラットフォーム上に、それぞれナビゲーション、マッピング、知覚、機械学習、データエクスポートと関連技術そして車両管理を扱えるように技術を整えてきた。

ニューマン氏によると、Oxboticaが他の自律制御ソフトウェアプロバイダーと比べて際立っている点は、そのシステムが軽量で使いやすいところだという。

「私たちが得意とするのは、エッジコンピューティングの部分です」と彼はいう。「私たちのレーダーベースの地図は、1kmの範囲をカバーするためには、数百MBではなく10MBの容量を必要とするだけです【略】私たちのビジネスプランは、Microsoft(マイクロソフト)のような水平型のソフトウェアプラットフォームを構築することです」。だが、このような表現は、同社が開発しているものの価値に対して謙遜しすぎているかもしれない。Oxboticaはまた、自律制御システムに関連した膨大なデータを効率的に転送する方法も研究しており、シスコのような企業と協力して(PR Newswire記事)これらをオンライン化している。

近年では、Oxboticaは英国で路上における自動運転車の代名詞となっていたが、自動運転車のプロジェクトによくあるように、現状、すべてが期待通りには進んでいない。

Oxboticaが2018年にロンドンで始めた、自動運転パイロットプロジェクトのカーサービスAddison Lee(アディソン・リー)は、最初の車両を2021年には路上に投入するだろう予想されていた(未訳記事)。しかしそのプロジェクトは、Addison Leeが昨年Carlyle(カーライル)によって売却され(Addison Leeリリース)、同社がコストのかかる困難な目標だとして解体されたことで静かに幕が下ろされた。公的資金でバックアップされ、英国内の各都市に自動運転車を展開する予定のProject Endeavour(プロジェクト・エンデバー、プロジェクトサイト)はまだ道半ばのようだ。

ニューマン氏によれば、産業顧客への注目が、より野心的で大規模なアプリケーションと並行して進んでいるという。「道路外での応用である、精錬所、港湾、空港向けの産業用自動運転は、実際の路上自動運転に至る道の途中にあるものです」と彼はいう。異なるハードウェアで利用できるソフトウェアを提供する方針は堅持される。「私たちは常に『物理的対象ではなく、ただソフトウェアを(no atoms, just software)』というビジョンを掲げてきました」と彼はいう。「道は特別なものではありません。私たちのポイントは、どのようなハードウェアプラットフォームでも動作できるように、ソフトウェアの依存性をなくすことです」。

同社は、ハードウェアや応用に依存しない自律性に常に興味を持ってきたのだと主張しているだろう。だが最近では他の手段を試した結果、これまでのやり方ではなくOxboticaの戦略にならう他企業の例も増えつつある。そうした企業の中には、英国から出てきたもう1つの自動運転スタートアップであるFiveAI(ファイブAI)も含まれている。FiveAIは、元は自社で自動運転車の車両群を構築したいと考えていたが、2020年に他のハードウェアメーカーにソフトウェア技術をB2Bベースで提供する方針に切り替えた(未訳記事)。

これまでにOxboticaは約8000万ドル(約82億2000万円)を調達しているが、その評価額は公表していない。しかし、これからの展開や新しいパートナーシップによって、現状の市場の中でうまくいっていることが裏付けられるだろうと楽観視されている。

「BP Venturesは、Oxboticaに投資できることを喜んでいます。私たちは彼らのソフトウェアは自動運転車両の市場を加速できると信じているのです」と声明で語るのは、BP VenturesのマネージングパートナーであるErin Hallock(エリン・ハーロック)氏だ。「世界のモビリティ革命の加速への貢献は、顧客にソリューションを提供することに焦点を当てた総合エネルギー企業となるための、BPの戦略の中核をなすものです」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Oxbotica資金調達自動運転

画像クレジット:Oxbotica

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(翻訳:sako)

元アップルエンジニアによるLiDAR開発のAevaが上場を前に206億円調達

元Apple(アップル)のエンジニア2人が創業したLiDAR開発のAeva(アエヴァ)が上場に先立ち香港のヘッジファンドSylebra Capitalからプライベート投資で2億ドル(約206億円)を調達した。

カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置くAevaは2020年秋に、特別買収目的会社(SPAC)のInterPrivate Acquisition Corpと合併し、ディール後の時価総額は21億ドル(約2166億円)だと発表した。Aevaによると、InterPrivateの普通株を保有するSylebraからの今回の資金調達により、上場後の調達額は5億6000万ドル(約578億円)超になる。

Aevaは以前、PIPE(限られた投資家を対象に行う私募形式の株式の売出)でAdage CapitalやPorsche SEなどから1億2000万ドル(約124億円)を調達した。InterPrivateが投入していた2億4300万ドル(約250億円)を含め、累計調達額はSylebraが追加投資する前で3億6300万ドル(約374億円)だった。

さらに重要なことには、Sylebraは投資の大半で1年固定契約に踏み込み、全適格株で合併を支持する。合併は2021年第1四半期にクローズする見込みだとAevaは述べた。

Aevaの共同創業者でCEOのSoroush Salehian(ソロウシュ・セールヒアン)氏は投資について、同社の事業モデルと成長プランへの「自信の多数票」と表現した。Aevaは調達した2億ドルをさらなるR&Dへの投資とクルマ、電化製品、産業アプリケーションといった主要特定分野におけるプログラムを大規模展開するのに使う、と同氏はTechCrunchへの電子メールで述べている。

「ここ数カ月、そうした分野で当社のユニークな4D LiDARテクノロジーに対する顧客の関心が高まってきています。追加のリソースによって当社はこの増大する需要によりすばやく対応できます」と同氏は話した。

光検出とレーダー距離測定のLiDARは車周辺の高精度な3D地図を作成するのにレーザー光を使って距離を測定する。Aevaの創業者であるセールヒアン氏とMina Rezk(ミナ・レズク)氏は「4D LiDAR」と呼ぶものを開発した。太陽やその他のセンサーの干渉を抑制しながら、距離に加えて範囲はそのままにすぐさま速度も測定できるというものだ。同社のFMCWテクノロジーは省電力でもあり、知覚ソフトウェアに盛り込むことができる。

LiDARセンサーは、自動運転車の商業展開に必要不可欠なものと広くとらえられている。ただ、このセンサーには多くのユースケースがあり、自動運転車の商業展開への道のりが思っていたよりも長いものになるとわかってから、LiDAR開発会社は他のユースケースを追求し始めた。ここ2年間、自動車メーカーはLiDARを消費者に提供する新しい乗用車、トラック、SUVの高度ドライバーアシスタンスシステムの能力や安全性を高めるために使われる重要なセンサーとして考えられるようになってきた。Aevaのテクノロジーは、主に自動運転車両と高度な運転アシスタンスシステムでの使用を想定して開発されてきた。そしてこのテクノロジーは電化製品での活用でも関心を呼び起こしている、とセールヒアン氏は述べた。

従来のIPO手法を回避してSPAC合併を通じて上場するLiDAR企業はいくつかあるが、Aevaはそのうちの1社だ。VelodyneとLuminarもまた上場企業になるためにSPACと合併した。LiDARスタートアップのOusterは2020年12月にSPACのColonnade Acquisition Corpとの合併を通じて上場することに合意したと発表した。

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テスラの中国ライバルXpengがDJI系列LivoxのLiDARセンサーを採用へ

Tesla(テスラ)と中国のライバルである Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)の間での戦いは、Xpengが自動運転の将来に対する姿勢を明確にしたことで、加熱している。先の週末に、Xiaomi(シャオミ)やAlibaba(アリババ)たちが投資家として支えるXpengが、Livox(ライボックス)のLiDARセンサーを採用することを発表した。Livoxは中国のドローンの巨人DJIと密接な関係を持つスタートアップだ。

リモートセンシング技術であるLiDARに、中国のサプライヤーを選択したのは、米中技術戦争の複雑さを反映したものだ。これまでTeslaは知的財産権の窃盗疑惑でXpengを告発してきたが、Xpengはそれを繰り返し否定してきた。一部の業界専門家を驚かせたのは、Xpengが2021年には量産型自動運転車にLiDARを搭載すると発表した(Twitter投稿)ことだ。これはTeslaとの差別化を行うためと思われる。Xpengの発表を知ったElon Musk(イーロン・マスク)氏は、XpengにはTeslaの技術が欠けていると一笑に付した。

マスク氏は、これまでずっと自動運転に対するLiDARの採用を「不必要で高価なセンサー」と呼んで却下してきた。その代わりにTeslaは、同社の自動運転車のためにニューラルネットワークのトレーニングとカメラを使った視覚認識に頼っている。中国企業の中には、マスク氏のビジョンに賛同するものもいる。たとえばDaimler(ダイムラー)が出資するMomenta(モメンタ)は、より安価なミリ波レーダーや高精細カメラの利用に賭けている(未訳記事)。

Xpengはすでに、データを収集するために複数のソースを利用している。特にカメラ、ミリ波レーダー、超音波といったセンサーたちだ。今回のLiDARの追加に関して同社は「道路状況をより正確に映像化できるようにすること」で、主要なシステムコンポーネントが故障した場合でも、自動運転車の運転を継続することができる「より高いレベルの安全性のための冗長性を提供する」と述べている。また、LiDARは「目標検知能力、測定精度、低環境光下やその他の困難な知覚条件下での性能を向上させる」と同社は主張している。

Livoxが選択されたことも興味深い。Velodyne(ベロダイン)やLuminar(ルミナー)のような成熟した海外技術も選択肢としてあるが、中国政府が主要産業の技術的自立を推し進めていることを考えると、Xpengの選択は予想されたものだ。一方、中国内でLivoxはBosch(ボッシュ)や中国の検索大手Baidu(バイドウ、百度)が支援するHesai(ヘサイ、禾賽科技)や、国営自動車メーカーのBAIC(北京汽車)やSAIC(上海汽車)から資金提供を受けているRobosense(ロボセンス)などの強敵に直面している。

Livox自体は、スタートアップ自身の説明によれば、2016年にDJI社内インキュベーションプログラムを通じて「独立企業」として設立されたという。同社のセールスポイントの1つは、独自の光電子走査方式を採用することで、LiDARの低価格化を実現できたことだという。

DJIは農業用ドローンのようなB2Bビジネスへの移行を進めているため、自動運転への進出はその目的に適っている。しかし、DJIとLiDARスタートアップとの関係は、少なくとも世間から見れば謎に包まれたままだ。Livoxの企業紹介文には、同社は「センサーの革新とハードウェア製造に対するDJIの深い専門知識に支えられている」と記載されており、その製品はDJIの公式小売店を通して販売されている。それ以外のDJIが株式を保有しているのか、経営を支配しているのかといった点に関しては触れられていない。

この件に詳しい人物の話によれば、結局のところLivoxは「もともとDJI内の単なるチームであり、後から別会社として位置づけられたものである」という。また一方で、「まるで製品ラインの1つのように」製造やサプライチェーンを含むDJIのリソースへのアクセスを行っている、ということだ。

Livoxが意図的にDJIから距離を置いている動機の1つとして考えられるのは、LiDARを中国との技術戦争における重要な分野と見なしている米国政府から、精査を受ける可能性を回避するためだと、その人物はいう。DJIは最近、米国政府の禁輸リストに追加された。このリストに掲載されたHuawei(ファーウェイ、華為)やSenseTime(センスタイム、商湯科技)のような他の中国のハイテク企業たちは、米国のサプライヤーから主要なコンポーネントを入手することを制限されている。DJIの創業者であり最高経営責任者を務めるFrank Wang(フランク・ワン)氏も、世間の注目度を下げたいと考えていると思われている。

LivoxとDJIからのコメントは得られていない。

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(翻訳:sako)

2020年のテスラ納車台数が50万台に迫る

Tesla(テスラ)の2020年の納車台数は、前年比36%増の49万9550台となった。CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が5年以上前に発言し、達成が待たれていた大台に数十台足りないだけの結果である。

一方Teslaは、米国時間1月2日、2020年には50万9737台の電気自動車を生産したことを発表した。

Teslaは第4四半期に生産と販売を伸ばすことで50万台の目標に達することができた。これは最終四半期に多大な努力を投入した同社のラストスパートを反映したものだ。テスラは第4四半期に18万570台を納車し、前四半期比30%増として、四半期新記録を更新した。

また、ミッドサイズSUVであるModel Yの発売や、中国での新工場の稼働が、生産ならびに販売台数を牽引した。

第4四半期と通年の数字が示すのは、より手頃な価格の新型モデルへの需要の増加と、フラッグシップモデルである ModelSセダンとModel X SUVへの関心の低下だ。

同社は第4四半期にModel SとModel Xを1万8920台、年間では5万7039台を納車した。Model 3と新しいミッドサイズSUVのModel Yを合わせた販売台数は、第4四半期で16万2000台近く、年間では44万2511台に達した。

ほんの数年前のTeslaにとって、年間50万台以上の車両の生産と販売は、手の届かない目標のように見えていた。しかしマスク氏は同社について強気の見方を取り続けてきた。2015年の時点で彼は、Teslaが2020年には50万台の車を生産することを信じている、と表明したのだ。

当時マスク氏は「それは5年後のことです」と発言していた「5年前のTeslaを振り返ってみましょう、当時私たちは年間600台の車を生産していました。それが今では600台を3日で生産するのです。なので、それに比べればこれから年間50万台の車を生産できるようになるのは、より小さな飛躍に過ぎないと思っています」。

マスク氏はこの目標を繰り返し口にしてきたが、2020年1月にも納車台数は50万台を余裕で超えるだろうと発言していた。Teslaは、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行が経済を混乱させ、他の自動車メーカー同様に、2020年春には数週間の生産一時停止を余儀なくされたにもかかわらず、この予測を修正しなかった。

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(翻訳:sako)

ニューヨーク市地下鉄の非接触支払いシステム導入が完了、MetroCardは2023年に廃止予定

ニューヨーク市のMetropolitan Transportation Authority(MTA)は、2020年の最終日に非接触型決済システムの導入が完了(PIX 11記事)したと発表した。ブルックリンの最終地点が追加されたことで、5地区のすべてのMTA地下鉄駅とバスにOMNYの「Tap and Go」システムが採用されることとなる。

2020年5月にプロジェクトのロールアウトが始まったとき、米TechCrunchはGrand Centralのターミナルで初期デモを体験した。システムでは交通機関がMetro Cardを超え、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Samsung(サムスン)、Fitbit(フィットビット)のようなベンダーによるモバイル決済システムに移行するように主要なインフラをオーバーホールし、ユーザーはスマートフォンやスマートウォッチを使用して支払うことができる。

当初、MTAは10月までにプロジェクトを完了させる予定だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)により他の多くの計画と同じくにこの予定も中止された。結局、目標は12月に延期され、余裕はなかったがなんとか達成できたようだ。

MetroCardは今後も利用できるが、2023年のいずれかの時点で廃止されるとMTAは予想している。移行の一部には、新技術を使用しながらMetroCardと同様の機能を持つOMNYカードの登場が含まれる。2021年のどこかの時点で条件を満たした乗客のための近距離向けカードが登場する予定であり、新しいリーダーはMetro-NorthとLong Island Rail Roadのシステムにも導入される。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

フォルクスワーゲンがEV充電ロボットのプロトタイプを開発

Volkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)はモバイル型の電気自動車(EV)チャージャーを開発した。人間が介することなく、駐車場を自動走行してEVを充電し、基地に戻ることができる。

VW Group Componentsが製造したプロトタイプは、VWが電気自動車を生産・販売するのに伴って増大することが見込まれる需要に対応するのに今後数年間で充電インフラをどのように拡大するかを示すことを目的としている。VWグループは今後10年で数十のEVモデル立ち上げを約束している。同グループ傘下のフォルクスワーゲンブランドは2025年までにEV150万台を生産・販売する計画だ。

「将来のために効率的な充電インフラを整備することは業界全体の主な課題です」とVW Group ComponentsのCEO、Thomas Schmall(トーマス・シュマル)氏は声明文で述べた。「当社は費用のかかるスタンドアロンの方法を回避するのに役立つソリューションを開発しています。モバイル型の充電ロボットとフレキシブルな急速充電ステーションが現在取り組んでいるソリューション例です」

VWグループは一連の異なるDC充電プロダクトを開発している。ここには最大22キロワットで充電するDCウォールボックスも含まれる。VWは12月初め、ドイツにある生産工場でDCウォールボックスの試験を開始した。VWグループはまた、フレキシブルな(しかし設置型に近い)急速充電ステーションを2021年初めにマーケットに投入する計画だ。

モバイル型充電ロボットの発売時期はまだ決まっていない。プロトタイプが出来上がった段階であり、「全体的にさらに開発する」と同社は話した。モバイル型のチャージャーに関しては1つ注意点がある。モバイル型チャージャーがマーケットに浸透するには、車両がインフラに「話す」ことができるようになるカー・トゥー・エックスコミュニケーションが前提条件となる、とVWは述べた。

充電ロボットのプロトタイプは車両のオーナーあるいはカー・トゥー・エックスコミュニケーションが立ち上げるアプリでスタートできる。コミュニケーションが始まると、モバイル型チャージャーはオンになり(ディスプレイに2つのデジタルアイが現れる)、車両に向かって自動走行する。そして充電ソケットのフラップを開けてプラグを接続させたり抜いたりする。このチャージャーはまた、動き回って車両をエネルギーストレージユニットに接続させることもできる。充電が完了すると、ロボットはモバイルエネルギーストレージユニットを回収し、中央充電ステーションに戻す。

DC充電プロダクトは顧客のニーズとEVの技術的な前提条件にフォーカスするだけでなく、駐車場運営者などのパートナーとの経済的な可能性も開く、とシュマル氏は話した。

モバイル型充電ロボットが作動している様子は以下のビデオで閲覧できる。

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画像クレジット: VW Group

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(翻訳:Mizoguchi

Teslaが2021年「早期に」インドでEV事業開始へ、生産も視野

Tesla(テスラ)は2021年「早期に」インドで事業を開始する。テクノロジーを駆使している車メーカーTeslaが、世界で2番目に人口が多いインドのマーケットに来年参入すると確信していると述べた翌12月28日、インドの大臣が明らかにした。

Teslaの事業は2021年早期に販売で始まり、その後車の組立・生産も「おそらく」検討する、とインドの運輸大臣Nitin Gadkari(ニティン・ガッカーリ)氏がIndian Express(インディアン・エクスプレス)紙に述べた。来年の早期とはいつなのか? 絶対に来月ではない、とTeslaのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はツイートした。

同社は何年もの間、インド進出に関心を示してきた。しかし2018年のツイートで、同氏はインドの「政府規制」が障壁となっている、と述べていた。

世界の他の国でもそうだが、マスク氏はインドに数千万人のファンを抱える。ほんの一握りの人だけが2016年に1000ドル(約10万円)を払ってModel 3をプレオーダーした。後に同氏はインドの顧客への納車遅れに関してインドの規制を非難した。

「おそらく私は嘘を吹き込まれたのだろうが、パーツの30%はインドで調達したものでなければならないと伝えられ、それに応えるだけのサプライはインドには存在しない」と2017年にツイートした。

Teslaは長年グローバル展開に注力していて、今ではオーストラリア、カナダ、中国、日本、メキシコ、それから欧州各国にショールームを設置し、2013年にはオランダのティルブルフに最終組立工場を開所した。しかし同社が米国外での車両生産を開始したのは2019年だ。同年後半にTeslaは上海の工場で電気自動車の生産を開始した。同社はベルリン、そしてテキサス州オースティンにも工場を建設中だ。

米国、韓国、そして中国の企業にとってインドは世界最大の激戦地の1つとなっている。そうした企業はユーザー・顧客ベースを拡大させるために南アジアのマーケットに注目している。たとえば、ユーザーの数という点でインドを最大のマーケットとしてとらえているFacebook(フェイスブック)と Google(グーグル)は今年、インドの通信大手Jio Platforms(ジオプラットフォームズ)に数十億ドル(数千億円)規模の額を出資した。Apple(アップル)は近年、インドのスマホマーケットのシェアを拡大すべくインドでの生産を増やしてきた。インドのスマホマーケットの70%超を中国スマホメーカーが牛耳っている。

ここ何年かの間で1000以上の「古い法律」を廃止したと主張するインド政府は以前、マスク氏が指摘した悩みの種を認めていた。過去3年でインドは、電動車両への移行を促し、また石油消費を減らし大気汚染を抑制するのに役立つバッテリーの生産やイノベーションを加速させるために、車メーカーに対し数十億ドル(数千億円)ものインセンティブを提案してきた。

インドはまた、配車サービスのUber(ウーバー)とOla(オラ)に、同国で展開する車両の40%を2026年4月までに電動タイプに換えることを提案した。

今年初めにアムステルダム拠点のEtetgoを買収したインド企業のOlaは今月、インド南部のナミルナドゥ州に「世界最大のスクーター工場」を設置するために3億2700万ドル(約340億円)を投資する計画だと述べた。同社によると、工場設置で新たに1万人以上の雇用を生み出し、初期生産能力は年間200万台だ。

インドのナレンドラ・モディ首相が支援しているシンクタンクNiti Aayogが今年初めにまとめた提案書には、電動車両が広く浸透すれば、今後10年で石油輸入費用を400億ドル(約4兆1500億円)削減できるかもしれない、と書かれている。

ガッカーリ氏はインドのメディアに対し、インドが5年内に車生産の最大のハブになると期待している、と述べた。

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画像クレジット: Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ソフトバンク出資のNuroが自動運転トラックのスタートアップIkeを買収

自動運転配達会社のNuro(ニューロ)がIke(アイク)を買収した。Ikeは自動運転トラックの商品化を目指してApple(アップル)、Google(グーグル)、Uber Advanced Technologies Group(ウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)の卒業生が創業したスタートアップだ。

買収と統合で忙しいシーズンを送った自動運転車業界におけるこの最新の取引は、深い関係と共有するテクノロジーを持つ2社を結びつけた。また、Nuroはローカル配送、Ikeは長距離貨物という異なる分野に自動運転車のテクノロジーを応用しようとしているが、2社の創業者は物流の分野で共通のビジョンがあると言う。

取引の金銭的条件は明らかにされていない。

2社の関係の中でNuroは巨人だ。バリュエーションは50億ドル(約5200億円)、従業員数は600人を超える。情報筋によると、Ikeは約60人の従業員を抱え、昨年時点のポストマネーのバリュエーションは約2億5000万ドル(約260億円)だった。ただし2社の創業者らは、これを古典的なシリコンバレーのアクハイヤー(人材獲得を目的とする買収)だとは捉えていない。Jur van den Berg(ジュール・バン・デン・ベルグ)氏およびNancy Sun(ナンシー・サン)氏と会社を共同で創業したIkeのCEOであるAlden Woodrow(アルデン・ウッドロー)氏によると、Ikeの従業員55名以上と創業者3名がNuroに合流する予定だ。

「会社創業時に掲げた原則をいくつか実現する明確な機会でした」とウッドロー氏は述べた。同氏は12月23日にMediumのブログ投稿で買収を発表した。

ウッドロー氏はTechCrunchに対し、Ikeにはまだランウェイ(資金調達なしで経営できる期間)が残っており、独立経営を続けるために必要な資金があると語った。それでも、自動運転車の会社を商業ベースに乗せるには、5200万ドル(約55億円)を超える資金のプールだけでなく提携が必要だ。Ikeは今秋、DHL、Ryder、NFIの車両にテクノロジーを提供することで合意に達したが、それらはまだ初期段階にすぎない。

Nuroの共同創業者で社長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏はTechCrunchに、「Ikeのチームがどれほど素晴らしいか、そして彼らが開発したテクノロジーの質がどれほど素晴らしいかは極めて明白だと思います」と語った。「Nuroにとって特に魅力的なのはIkeが数年前にNuroのテクノロジースタックのライセンスを取得したためです。Ikeが開発したすべてのテクノロジーはそのスタック上にあり、共通のDNAがあります。Ikeが開発したテクノロジーは非常に簡単に移転することができ、ほぼプラグアンドプレイでシステムに組み込むことができます」

NuroはIkeが開発したテクノロジーを活用して、自社のローカル配達システムに取り込むだけでなく、将来の応用にも利用できるかもしれないとファーガソン氏は付け加えた。

将来の応用とは何か、という問いに答えは出ていない。Nuroによる特許出願は、熱々のホットピザやラテの配達から小型ロボットまでさまざまなアイデアを網羅している。Ikeのチームが加わったことで、Nuroはローカル配達だけでなく、スタートアップのGatik AIが注目を集めた領域である中距離の配達、その他のトラックを使った用途など他の種類の物流への応用へ拡大する可能性がある。ファーガソン氏は、R2と呼ばれるNuroのローカル配達ボットが最初の主要製品であると直ちに指摘した。

NuroはIkeにとって最高の家のように見えるかもしれないが、2つの情報筋はTechCrunchに、Ikeが少なくとも他の自動運転車の会社1社と取引について協議していたと語った。同情報筋は、その話はあまり進展しなかったと付け加えた。

創業物語

2社の創業者は、IkeをNuroのスピンアウトと表現することを好まない。技術面では正しいかもしれないが、2社のルーツは絡み合っている。

Nuroは、元Google(グーグル)のエンジニアのDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏が2016年6月に創業した。同社は当初ファーガソン氏とジュー氏が独力で経営していたが、2017年6月にはGreylockとBanyanからの投資で9200万ドル(約96億円)をAラウンドで資金調達し、NetEaseの創業者であるDing Lei(別名William Ding)氏にNuroの取締役会の席を与えた。

一方、バン・デン・ベルグ氏とサン氏は2人ともAppleの特別プロジェクトグループで働いていたが、2016年にAppleを去り、Uberに買収された自動運転トラックのスタートアップであるOttoに加わった。Google XのMakaniプロジェクトの製品リーダーであったウッドロー氏も2017年2月、自動運転トラックプログラムのグループ製品マネージャーとしてUber ATGに移った。

2018年にはOttoの創業者のうち最後の1人がUberを去り、自動運転トラックプログラムはひたすら落ちて行った。サン氏、ウッドロー氏、バン・デン・ベルグ氏は2018年春にはUberを離れた。数カ月後、Uberは自動運転トラック部門を閉鎖して自動運転車に集中した。

3人は当初、配達ボットと成長中のチームを収容するには小さすぎるNuroのオフィススペースで働いた。当時、サン氏のフォルクスワーゲンのキャンピングカーがIkeの会議室として使われていた。3人が7月に正式にIkeを設立する前にNuroのチームと数カ月間緊密に連携していたことが、カリフォルニア州とデラウェア州のビジネス記録が示している。Ikeという社名は、ドワイト ・D・アイゼンハワー大統領と彼が連邦補助高速道路法に署名して整備を後押しした米国の州間高速道路システムにちなんでいる。

最初のコラボレーションのポイントは、Nuroが開発したものをトラック輸送の新しい用途にどう応用するかを考えることだった。「これは私たちが独自の方向へ進む機会であり、Nuroがローカル配達に集中する間、私たちはそちらに真剣に取り組みました」とウッドロー氏は最近のインタビューで述べた。

Ikeは、Nuroのテクノロジー、特にハードウェアのデザイン、自動運転ソフトウェア、データの記録、地図、シミュレーションのライセンスを供与される。その見返りに、NuroはIkeのマイノリティ持ち分を取得した。

2018年10月にIkeがステルスモードから抜け出したとき、NuroはIkeとの関係を提携と位置づけ、「Ikeに自動運転とインフラのソフトウェアのコピーを提供し、その代わりにNuroはIkeの株式を取得しました」。

Ikeは小さく始め、仕事を進めるにあたりに穏便なアプローチを選んだ。2019年2月までにIkeは約30人を抱え、最終的にはBain Capital VenturesがリードするシードとシリーズAの資金調達ラウンドで5200万ドル(約55億円)を調達した。Redpoint Ventures、Fontinalis Partners、Basis Set Ventures、Neoもこのラウンドに参加した。Bain Capital VenturesのパートナーであるAjay Agarwal(アジェイ・アガワル)氏がIkeの取締役会に加った。

自動運転トラックに携わる他社とは異なり、Ikeの創業者は当時のブログ投稿で、最初の自動運転トラックを走らせることにこだわっていたわけではなかったと述べた。自動運転トラック配送業界の複数の情報筋によると、Ikeはシステムエンジニアリングのアプローチ、モーションプランニング、シミュレーションツールで業界内で高い評価を得ていた。

Ikeが静かに仕事を進めている間に、Nuroの方は2019年2月にソフトバンク・ビジョン・ファンドが9億4000万ドル(約980億円)を投資したおかげで注目を集めた。Nuroはチームを600人以上に拡大し、2018年にKrogerと提携しアリゾナで配送サービスを試験的に実施した。当初トヨタのプリウスを使用していたが、R1配達ボットに移行した。Nuroは、CVS、Domino’s、Walmartといった企業とも提携している。同社は、レストラン、食料品店、その他の企業向けのローカル配達サービス向けに設計されたR2と呼ばれる第2世代の車両を開発した。R2は今年初めに連邦政府から自動運転車の運用を許可する安全規定適用除外の認可を受けた。

投資家はNuroから離れたわけではなかった。新型コロナウイルスのパンデミックがシリコンバレーの多くのスタートアップの計画を遅らせた。しかしローカル配達の可能性など明るい点もある。Nuroは11月、シリーズCラウンドで5億ドル(約520億円)を調達した。ポストマネーのバリュエーションは50億ドル(約5200億円)だった。T. Rowe Price Associates, Incのアドバイスを受けたファンドや投資家がリードし、Fidelity Management & Research CompanyやBaillie Giffordなどの新しい投資家が参加した。このラウンドにはソフトバンク・ビジョン・ファンド1やGreylockといった既存投資家も参加した。

次に起こるのは何か

2社はNuroでよりシニアな役割を担うIkeの多くのエンジニアとの融合を始める。ウッドロー氏はCEOではなくなり、同氏の新しい役職は決まっていない。同氏の仕事は、自身の経験に基づく製品開発になると思われる。

Nuroがローカル配達に重点を置いているため、トラックを商品化するというIkeの使命は今のところ棚上げになっている。ローカル配達に目を向けるというその決定は、Ikeの創業者らがトラックへの情熱について何度も語った多くのコメントと対立するようにみえる。

「私たちが家で食べたり、触れたり、持ったりするものはすべて、おそらくどこかの時点でトラックに乗せられていたはずです」とサン氏は10月のTC Sessions: Mobilityイベントで述べた。「トラック輸送が実際に私たちの日常生活へ与える影響の大きさがまだまだ理解されていません」

しかし、ウッドロー氏と共同創業者らは、製品を世に送り出し、「私たちの多くが何年にもわたりさまざまな企業で取り組んできた自動化の約束を果たすこと」について語っている。

「結局のところこれは、Nuroはその約束を果たし、すぐにそれを実行し、非常に大きな規模で実行するという、信じられないほどユニークで本当に説得力のある立場にあると私たちは考えています」とウッドロー氏は言う。「それがNuroの申し出を受け入れ、こうして前進すると決めた原動力でした」

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タグ:Nuroソフトバンク・ビジョン・ファンド買収 / 合併 / M&A自動運転

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Mizoguchi

ライドシェアから食品の配達まで、Boltが欧州やアフリカでの事業拡大に向け190億円調達

欧州全域で新型コロナウイルス感染の大規模な第二波が広がる中、食品や人々を自動車やスクーター、そして最近では自転車で移動させるオンデマンドネットワークを構築しているエストニアのスタートアップ企業が、資金調達の大規模なラウンドを発表した。

ライドシェアから食品の配達まで、交通サービスを40カ国200都市で展開しているBolt(ボルト)は、エクイティラウンドで1億5000万ユーロ(約190億円)の資金を調達した。同社CEO兼共同創業者のMarkus Villig(マーカス・ヴィリグ)氏は、この資金が事業地域の倍増と、欧州で最大の電動スクータープロバイダになるために使われるとインタビューで語っている。

現在は約5000万人の顧客がBoltのサービスを利用しており、ヴィリグ氏は世界各地のUber(ウーバー)との差別化を図るために、主に2つの分野を中心に事業を構築してきた。1つは強力な資本効率、同氏がいうところの「倹約」。そしてもう1つは、ロンドンやパリ、そして近々事業が開始されるベルリンなどの都市とともに、新興市場向けのサービスに重点を置いていることだ。

「今回のラウンドは、新型コロナウイルスの圧力にもかかわらず、まだ前回のラウンドで調達した資金のほとんどが銀行に残っている状態で初めて行った資金調達でした」と、ヴィリグ氏は語っている。「これは当社の倹約家ぶりを示しています。ロックダウンのため、我々は望んでいたほど攻めることはできませんでしたが、財務的には2021年に向けて非常に良い状態になっています」。

今回のラウンドはD1 Capital Partnersが主導し、Darsana Capital Partnersも参加した。D1は2020年になってから、超大手スタートアップ企業の成長ラウンドで大きな活躍を見せている。メガネ大手のWarby Parker(ワービー・パーカー)、ゲームエンジンメーカーのUnity(ユニティ)、自動車販売ポータルのCazoo(カズー)、フィンテック企業のTransferWise(トランスファーワイズ)などに投資しており、その評価額は合計で数十億ドル(数千億円)に達している。

ヴィリグ氏はBoltの評価額を明らかにしなかったが、GMV(総流通額、Boltのプラットフォーム上で取引された総額)の1.5倍の倍数に近いと述べ、GMVの0.5倍に近い評価額と見られる「他の」輸送分野の企業よりも、最近上場したDoorDash(ドアダッシュ)に近いと語った。

彼はまた、Boltが現在、年間約20億ユーロ(約2530億円)のGMVを上げていることを認めた。彼のほのめかした計算によれば、評価額は35億ユーロ(約4420億円)程度ということになる。私が上げたこの数字に対し、ヴィリグ氏はコメントしなかったが、異を唱えることもなかった。

参考までに挙げると、2020年の5月にBoltは1億ドル(約104億円)あまりの資金を調達した後、19億ドル(約1970億円)と評価された。当時は3000万人のユーザーを抱えていると言っていたので、約半年で2000万人のユーザーを加えたことになる。

同社の成長は、Uberのように短期間で積極的に、そしてその結果として、非常に多くのコストをかけて、事業を構築してきた企業と比べると対照的で興味深い。Uberは複数の市場や製品分野で成長を遂げてきたが、最近ではその中のいくつかが売却されている。他の例としてはこれこれこれをご覧いただきたい。

当初はTaxify(タクシファイ)として設立されたこの企業は、比較的規制が緩い新興市場で数年間、配車送迎サービスを中心としたビジネスをゆっくりと成長させてきた。2019年にBoltと社名やサービス名を変更した同社は、ロンドンのような都市での事業開始や、主に電動スクーターを中心としたマイクロモビリティへの移行など、その戦略をより高いギアへと蹴り上げた。現在、同社にとって最大の市場となっている国名のリストには、それらのミックスが反映されている。ヴィリグ氏によれば、それは英国、フランス、南アフリカ、ナイジェリアであるという。

とはいえ、その積極的すぎる動きがすべて順調に進んだわけではない。最初の起ち上げに失敗したロンドン(Wired記事)は、ライセンスを取得するために抜け道を利用しようとしたら規制当局が早急に対応し、会社はすぐに焦げついてしまった。そしてこのことは、ヴィリグ氏にとって今後も肝に銘じるべき教訓となった可能性もある。

このような事業の変化があっても、新たな投資や成長の方法を検討する際に、ヴィリグ氏が目指していることは、変わらぬ質素な精神で会社を運営し続けることだと、同氏は語っている。そしてこれはBoltがスクーターの新型モデル(Boltブログ)を発表、炭素削減に取り組む(Boltブログ)というニュースに、潜在的に異なる役割を与えることになる。

彼は、特にユーザー数と使用量の大幅な減少が見られた大企業では、非常に多くの雇用が失われた年に、Boltは誰も解雇していないことを指摘した。

それは確かに興味深い。多くの企業が「ジグ」を選択するとき、どの企業がどのように「ザグ」を選択するのだろうか。

フードデリバリー事業はその一例である。UberがPostmates(ポストメイツ)を買収したり、Just Eat Takeaway(それ自体が大きな合併)がGrubhub(グラブハブ)を買収したりと、この業界では現在多くの統合が進行中だ。それと並行して、規模を拡大しようとするとあまりにもコストがかかることを発見した多くの小さな企業が、次々と撤退している。そのような状況の中で、Boltは16カ国33都市でBolt Foodsを展開しており、2021年にはさらに多くの都市での展開を計画している。

「ほとんどの人が気づいていないのですが、食品の分野は私たちが最も楽観視しているところです」とヴィリグ氏はいう。「現在、私たちは毎日のようにレストランを追加しています。ドライバーが乗客だけでなく食べ物を運ぶという供給側を含め、多くの面でコストの相乗効果があります。これまでは自動車をベースにしたサービスだったため、自動車運転免許を持たない人はお断りしなければなりませんでしたが、今では自動車運転免許を持っていない人にも、スクーターや自転車で商品を運ぶ仕事を提供できるようになりました。今までできなかったことを、提供できるようになる。それが意味するものは、ドライバーを見つけるためにお金を使う必要がないということです」。

ヴィリグ氏によれば、2019年以降でさえも、Boltは食品業界に参入して「ラッキー」だったという。すでに人気のあったレストランにも、ウイルスの流行による新たな波が押し寄せ、店内で食事する客が全体に減少したり、閉鎖を余儀なくされているからだ。「彼らはみんな、副収入を得ることに熱心で、新しいプラットフォームを試してみたいと思っていました」とヴィリグ氏はいう。

濁っていたり厳しいように見える市場でも、先を見通そうとするその意欲こそが、今回の投資家を呼び寄せたのだ。ヴィリグ氏は、すでに多くの投資家と話をしていたので、2021年に備えてラウンドを閉じることは理に適っていたと述べている。

D1 Capitalの創設者Dan Sundheim(ダン・サンドハイム)氏は声明の中で次のように述べている。「欧州とアフリカで市場をリードするモビリティ・プラットフォームを構築し続けているBoltとパートナーを組むことに興奮しています。チームは困難な1年の間に信じられないほどの成果を上げ、何百万人ものユーザーに安全性、柔軟性、そして優れた価値を提供し続けています。我々は新型コロナウイルス流行後のBoltの成長機会を楽観視しており、今後数年間にわたるイノベーションへの投資としてチームをサポートすることを楽しみにしています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt資金調達ライドシェアフードデリバリー

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Nuroの無人運転配達車がカリフォルニア州初の商業運用許可を獲得、2021年早々にもサービス開始予定

無人配達スタートアップのNuro(ニューロ)は、カリフォルニア州車両管理局(DMV)から認可を受け、同州の公道で無人配達サービス事業の開始が許可されることになった。同社はこのハードルをクリアした最初の企業となる。

Google(グーグル)出身のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏によって2016年6月に設立されたNuroは、2021年早々に商用配達業務を開始する予定だ。いわゆる「Autonomous Vehicle Deployment(自動運転車両展開)」許可を取得することで、Nuroはサンマテオ郡とサンタクララ郡で商業的なサービスを運営することができるようになる。つまり配達料を請求できるようになるということだ。同社は2021年の早い時期に、1つのパートナーと1つの都市で、トヨタ・プリウスの自動運転車を使ってサービス開始を目指すと、同社の最高法務・政策責任者を務めるDavid Estrada(デビッド・エストラーダ)氏はいう。最終的には、無人配達専用車両として開発された「R2」と呼ばれるデリバリーボットに移行し、さらに多くのパートナーを追加して、地理的に拡大していく計画だ。

Nuroはパートナーや都市の名前を特定していないが、同社がマウンテンビューに本社を置き、以前から本社の近くで事業を開始する意向を表明していたことは注目に値する。

「初の展開許可証の発行は、カリフォルニア州における自動運転車の進化において、重大なマイルストーンです」と、車両管理局のSteve Gordon(スティーブ・ゴードン)局長は現地時間12月23日に発行されたプレスリリースで述べている。「この技術が発展していく中で、我々は引き続き公道の安全を念頭に置いていきます」。

この展開許可証はアサートン、イーストパロアルト、ロスアルトスヒルズ、ロスアルトス、メンロパーク、マウンテンビュー、パロアルト、サニーベール、ウッドサイドといった各都市を含むサンタクララ郡とサンマテオ郡の指定された区域の路上において、商業配達サービスで小型の無人運転車両の一群を使用する許可をNuroに付与するものだ。DMVによると、この車両の最高速度は時速25マイル(約40km/h)で、晴天時に制限速度が時速35マイル(約58km/h)以下の道路でのみ、運行が認められているという。

今回の発表は、米国時間12月23日に自動運転トラックのスタートアップ企業Ike(アイク)を買収したことを発表したNuroにとって、節目の年を締め括ることになった。

さらにNuroは5億ドル(約518億円)を調達し、資金調達後の評価額を50億ドル(約5180億円)に押し上げ、州や連邦政府の規制において重要な勝利をいくつか確保した。

この展開許可証を獲得するために、Nuroはこれまで長く曲がりくねった道のりをたどってきた。2017年、カリフォルニア州で自動運転車を規制する機関である同州のDMVは、運転席に人間のドライバーが乗車することを義務づけた自動運転車試験許可証をNuroに発行した。同社は当初、改造したトヨタ・プリウスをこの公道テストで使用し、同時にアリゾナ州とテキサス州では試験的な食料品の配達を行った。

2018年12月に同社は、テスト車両を荷物配達用に設計された車両の第一歩となる「R1」に移行させた。その第2世代にあたるR2と呼ばれる車両は2020年2月に発表された。ミシガン州に拠点を置くRoush Enterprises(ラウシュ・エンタープライゼス)との提携により、米国で設計・組み立てが行われたR2はLiDAR、レーダー、カメラを搭載し、「ドライバー」に周囲360度の視界を与える。重要なことに、NuroはR2の車両について米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から無人運転車の安全規定免除を受けた。この免除により、R2はサイドミラー、フロントガラス、前方走行時にシャットオフされるバックカメラを装備しなくても運用が可能になった。

Nuroは2020年4月に、カリフォルニア州DMVから無人運転車両をテストするための許可証を取得したが、これはついに同社が、R2デリバリーボットを公道で走らせることができるようになったということを意味していた。数十社もの企業がカリフォルニア州DMVから、安全のために人間の運転手を乗せた自律走行車のテストを行う許可を積極的に取得しているが、カリフォルニア州の公道で無人運転車をテストすることを許可されている(カリフォルニア州DMVサイト)のは、AutoX(オートエックス)、Cruise(クルーズ)、Nuro、Waymo(ウェイモ)、Zoox(ズークス)だけだ。

それでも、Nuroは12月23日に発行された展開許可証を受け取るまで、配達料を請求することができなかった。

無人運転タクシーで人を運ぶことを目指している自動運転の企業に比べると、Nuroの場合は商業運営の実現に向かう道がまだ少しだけ平坦だ。無人運転車を使う商用ライドシェアリングサービスは、乗客を運ぶためには、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)からも認可を取得しなければならない。また、乗車料金を請求するためには、CPUCによる追加の許可が必要となる。

乗客から運賃を徴収するための許可を得ることは、先月までは可能ですらなかった。CPUCは11月に、認可を受けた企業に自動運転車によるライドシェアの提供と課金を許可する2つの新しいプログラムを承認した。自動運転車技術業界は、運用者による運賃の請求と無人運転車両を使ったライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討してもらうために、何カ月もCPUCに働きかけてきた。この決定は広く喝采を浴びたが、業界の一部では、この承認プロセスが商業的な自動運転タクシーの運用をさらに遅らせる可能性があると警告している。

自動運転タクシー事業者になる可能性のある企業は、CPUCとカリフォルニア州陸運局から適切な許可を受け、いくつかの報告要件を満たさなければならない。また、このプログラムに参加する企業は、安全計画と四半期報告書のほか、個々の運用区間における乗車場所と降車場所、車いす乗車可能な車両の有無と数、恵まれないコミュニティへのサービスレベル、そして車両が使用した燃料の種類、走行距離、乗客の移送距離などのデータを集計し匿名化した情報を、CPUCに提出する必要がある。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Nuro自動運転カリフォルニア

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国の自動運転技術スタートアップ、WeRideがバスメーカー宇通から207億円を調達

中国で自律運転技術を開発しているスタートアップの中でも、最も多くの資金を集めている会社の一つであるWeRideは水曜日、中国のバスメーカーYutong(宇通客車)からストラテジックラウンド資金2億ドル(約207億円)を調達したと発表した。

WeRideのように次世代のレベル4運転基準を開発している企業では、大規模な投資は珍しくないが、これは車が人間の介入なしに大部分の運転状況を独立して処理できることを示している。

同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、WeRideはシリーズBラウンドの第一トランシェである今回のラウンドのバリュエーションを公開していない。

今回の新たな資金提供により、WeRideは創立57年の宇通客車と提携し、自律走行ミニバスや市営バスの製造に加え、研究開発、車両プラットフォーム、モビリティサービスの共同開発を行う。両社はすでに量産用の前置き型無人運転ミニバスを共同開発している。ハンドル・アクセル・ブレーキのないこのモデルは、都市部の公道での運行を想定して設計されているとWeRideは述べている。

中国の顔認証大手SenseTimeが一部を出資したシリーズAラウンドの完了を受けて、ルノー・日産・三菱の戦略的ベンチャーキャピタル部門であるAlliance Venturesは、2018年にWeRideのストラテジックインベスターとなった。

中国の自動運転スタートアップは軒並み、支出ばかりの事業のために資金を誘致しようと、競ってその進歩を披露している。例えば、アリババの出資を受けたAutoXは、大胆な動きで深圳の道路に無人運転車を配備し始めた。WeRideとそのライバル企業は、地方政策が未来志向の交通技術を支援している米国と中国の主要都市の両方で、さまざまなレベルの自律走行車をテストしている。

「(中国での)COVID-19のパンデミックを受けて、首府の態度は変化しており、自動運転とその商業的な将来にますます強気になっています。投資家は自動運転の潜在的なリーダーを逃したくないため、この分野では多くの投資が行われています」とWeRideの広報担当者は述べている。「当社のシリーズBラウンドは、多くの関心を集めています。」

WeRideの競合他社には、距離的にも近い広州のPony.ai、深圳のAutoXとDeeproute.ai、蘇州のMomenta、北京のBaiduなどが挙げられる。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達 自動運転 中国

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(翻訳:Dragonfly)

イーロン・マスク氏がテスラ買収をアップルに持ちかけるもティム・クックCEOは興味なし

Tesla(テスラ)株は2020年、奇跡的で驚異的だったが、Apple(アップル)のTim Cook(ティム・クック)氏が数年前の会議で合意していたらまた違った道を歩んでいたかもしれない、とElon Musk(イーロン・マスク)氏はいう。

Appleが電気自動車プログラムを放棄せず、、まだ自動車を製造する計画を進めているというReutersの最近のニュースに反応して、マスク氏はModel 3の生産規模を縮小するという「最も暗い日々」の中でAppleのティム・クックCEOに接触し、同社にTeslaを買収する可能性を提起したことがあるとマスク氏はツイートした。クック氏は会議への参加を拒否したという。

現在、TechCrunchはAppleにコメントを求めている。

マスク氏の短いツイートでは、このタイムラインがいつだったかは明らかにされていないが、TeslaのModel 3の生産に関する公開情報からすると、2017年から2019年の間だった可能性が高い。マスク氏が提案した販売価格に関して、Teslaの現時価総額の1/10は約600億ドル(約6兆2200億円)であり、これは2019年の株式の公開価格からさほどかけ離れていないが、ここ数カ月で最高潮に達した。

Teslaは今週S&P 500に参加した後、上場市場で6000億ドル(約62億1900億円)以上の価値を持つようになったが、ウォール街のアナリストの多くは、Teslaの製品とCEOを支持する若い投資家や歴が浅い投資家のおかげで最近株価上昇に当惑しているようだ。

関連記事:「アップルカー」の噂が再燃、2024年発売を示す新たな報道

カテゴリー:モビリティ
タグ:TeslaApple買収

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(翻訳:TechCrunch Japan)

「アップルカー」の噂が再燃、2024年発売を示す新たな報道

Appleカー。このテクノロジー巨人のあまり秘密とはいえないプロジェクトが消滅した、というのはいい過ぎだったかもしれない。2019年に200人ほどメンバー削減されたApple(アップル)のいわゆる「Project Titan(プロジェクト・タイタン)」は、存続しているだけでなく、「画期的バッテリー技術」と自動運転技術を搭載した電気自動車を2024年までに生産する計画であると、Reuters(ロイター)が報じている。

どんな外観になるのか、製造パートナーが誰なのか、アップルが開発を続けている自動運転システムはクルマの一部になるのか、それともソフトウェア製品として他社に提供されるのか、何もわかっていない。Reutersの記事は、台湾の報道機関であるEconomic Daily Timesの報道に基づいており、そこにはアップルによる自動車部品や装備品の注文が同国で増加していると書かれている。ともあれ両報道とも、アップルが静かな少人数のチームであれ、クルマを諦めていないことの証拠を提供している。

Reutersの情報源は、これを乗用車だと説明しており、そうであればアップルは、自動運転テクノロジー会社でロボタクシーサービスの商業化を目指すWaymoとは違うカテゴリーに属することになる(Waymoは自社の乗用車向け自動運転技術をライセンスすることにも関心をもっているが、第一優先ではない)。

アップルでProject Titanの日常業務を指揮しているDoug Field(ダグ・フィールド)氏は、電気自動車メーカーのTesla(テスラ)で仕事をした後、2018年に同社に戻った。フィールド氏はTeslaでエンジニアリング担当上級副社長を務め、Model 3発売を支えた重要幹部の1人だった。フィールド氏の指揮の下、AppleカーはAlphabetのWaymoなどよりも直接Teslaと対決することになるかもしれない。

2020年12月上旬にBloomberg(ブルームバーグ)は、アップルがフィールド氏およびProject Titanチームを同社幹部であるJohn Giannandrea(ジョン・ジャナンドレア)氏の人工知能・機械学習グループ配下に移したと報じている。

関連記事:Apple、自動運転車部門の200人を配置転換

カテゴリー:モビリティ
タグ:Apple自動運転電気自動車

画像クレジット:Anthony Kwan/Bloomberg / Getty Images(画像は加工済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2022年発売のCanooの電動車両第2弾はラストマイル配達向け

12月下旬にNasdaq(ナスダック)上場を予定しているロサンゼルスを拠点とする電気自動車スタートアップCanoo(カヌー)は12月17日、全電動の多目的配達車両を発表した。

ハイルーフで、荷物ロッカーと車両を管理するためのサービスプラットフォームとしてのソフトウェアを有する電動配達車両は小規模の事業所や、宅配企業、小売業者、大企業、ロジスティック企業のようなラストマイルの配達を行う企業をターゲットとしている。

2019年のデビュー以来Canooにとって2つめのプロダクトとなるこの最新車両は、Canooのフレキシビリティと、消費者とB2Bへの応用に向けたプロダクトを作るという同社の意思を示すのが目的だ。Canooの全ての車両は同じ基礎アーキテクチャを共有し、車内や外観が異なる。

多目的配達車両の他のバリエーションも出る予定で、Canooは今後サービスネットワークの発表も計画している。

画像クレジット:Canoo

Canooは2017年にEvelozcityとして始まった。創業したのは元Faraday Futureの幹部、Stefan Krause(ステファン・クラウス)氏とUlrich Kranz(アルリッチ・クランツ)氏だ。同社は2019年春に社名をCanooに変え、その数カ月後に最初の車両をデビューさせた。同社にとって初の車両はサブスク限定で提供する予定で、これは投資家や企業、メディアの関心を集めた。

従来の電動SUVというよりマイクロバスのような外観の最初の車両は、キャビン下のキャシーにバッテリーと電動ドライブトレインを搭載する「スケートボード」式のアーキテクチャだ。これは今年初め、Hyundai(ヒュンダイ、現代自動車)の関心をひいた。Hyundaiは2月に、Canoo独自仕様のスケートボードデザインを元にして、Canooと共同で電動車両プラットフォームを開発する計画を発表した。開発するプラットフォームはHyundaiとKiaの将来の電動車両、そしてHyundaiグループの「多目的車両」に使われる。HyundaiがCES 2020で発表したPBVは、レストランやクリニックなどさまざまな目的のために使うことができる移動可能なポッド状の車両だ。

この新しい配達車両はまず2つのサイズで提供される。その後違うバージョンも展開される見込みで、特定の要件を満たすためにCanooとカスタム車両を共同開発するオプションも提供されるとCanooは述べた。

電動配達車両の価格は3万3000ドル(約340万円)からだ。ただし、購入は待たなければならない。販売は2022年からで、大量生産の開始は2023年が予定されている。1台あたり返金可能なデポジット100ドル(約1万円)でプレオーダーできる。

米国での商業デビューに続き、カナダやメキシコ、欧州といった他のマーケットでも多目的配達車両を立ち上げる計画だとCanooは話した。

同社の会長Tony Aquila(トニー・アクイラ)氏によると、配達車両はドライバーのエルゴノミックを念頭に置いてデザインされ、ドライバーが快適に、そして生産的に仕事ができるようディテールにこだわった。アクイラ氏はこの車両はリーズナブル価格であり、現在市場に出回っている同等クラスの電動配達車両よりも積載許容量が大きいとも説明した。

画像クレジット:Canoo

「車所有にかかる全体のコストを下げ、ローカルの零細企業から大企業までみなの投資に対するリターンを増やすことを目的としています」と声明で述べた。

実際、Canooは配達車両を注文する企業に対し、ユースケースにもよるが他社の最も売れている配達車両と比較したときに6年から7年で5万〜8万ドル(約517〜827万円)分の業務改善ができると約束している。

Canooはまた、配達車両にフレキシビリティを持たせ、異なるワークステーション用に生産できるとしている。バッテリーパックサイズは40〜80キロワットアワーの間でいくつか用意され、備品やツールを充電するのに使える双方向のチャージャーも搭載される。

Canooはまた、車両に搭載したテクノロジー、特に高度なドライバー補助システム、無線ソフトウェアアップデート、ソフトウェア・アズ・ア・サービスのプラットフォームが機能の管理やルートのプラン、走行の診断を行い、ドライバーをサポートすると宣伝した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Canoo、電気自動車

画像クレジット: Canoo

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(翻訳:Mizoguchi