AIベースのオートバイ用安全システムのイスラエルRide Visionが約7.3億円を調達

AIでオートバイの衝突を予防する安全システムを開発するイスラエルのスタートアップであるRide Vision(ライド・ビジョン)は、米国時間11月16日、クラウドソーシングプラットフォームのOurCrowd(アワークラウド)が主導するシリーズA投資700万ドル(約7億3000万円)の調達を発表した。2018年に同社への250万ドル(約2億6000万円)のシードラウンドを主導した本来はサイバーセキュリティー系スタートアップの支援を専門とするYL Ventures、Mobilion VC、オートバイ用のミラーのメーカーMetagalも参加した。

この新規投資ラウンドの他に、Ride Visionは、オートバイ用部品メーカーContinental(コンティネンタル)との新しい提携も本日発表している。

「オートバイを愛するものとして、私たちRide Visionは、海外ローンチへの期待とContinentalとの提携に胸を踊らせています」と、Ride VisionのCEOで共同創設者のUri Lavi(ユリ・ラビ)氏は本日の発表の中で述た。「これは、高い安全性によりライディングを楽しむライダーに力を与えるという私たちの夢に大きく近づく、歴史的瞬間となります」。

基本的な考え方は極めて単純で、自動車の死角モニターシステムと共通するものでもある。Ride VisionのシステムRide Vision1(ライド・ビジョン・ワン)は、コンピュータービジョンを使い、ライダーの周囲の交通をリアルタイムで分析する。前方衝突警報や死角モニターに加え、他のオートバイや車両との車間距離が縮まり過ぎたときにも知らせてくれる機能もある。さらに、ドライブレコーダーや、重大事故の際にライダーに変わって緊急通報する装置も備わる。

同社が主張するとおり、パンデミックの影響でオートバイの数が増えた(自走式の二輪車も含む)。公共交通機関の利用を避け、それに代わる比較的安価に手に入りやすい移動手段が求められた結果だ。ヨーロッパでは、パンデミックの間に二輪車の売り上げが30%増加した。

オートバイに装着されるハードウェアも、とても簡単なものだ。2基の広角カメラ(フロントとリアに1基ずつ)と、ミラーの警告表示灯、そしてメインのコンピューターユニットで構成される。Ride Visionはマンマシン警報インターフェイスと視覚アルゴリズムの特許を取得している。

オートバイ用の視覚モニターソリューションは、 Innovv(イノブ)やSenzar(センザー)など、すでに何種類か市販されていることは指摘しておくべきだろう。同様の技術でホンダも特許(Jalopnik記事)を取得している。だがこれらのシステムでは、Ride Visionが目指す360度の視野は得られない。

Ride Visionは、2021年の早い時期にイタリア、ドイツ、オーストリア、スペイン、フランス、ギリシャ、イスラエル、英国で販売を開始すると話している。米国、ブラジル、カナダ、オーストラリア、日本、インド、中国などその他の国々では、その後に発売される予定だ。

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(翻訳:金井哲夫)

TeslaがS&P500種株価指数の構成銘柄に、12月21日取引前に追加

Tesla(テスラ)がS&P500種株価指数に採用される。同社にとって、投資家ベースを拡大し、またApple(アップル)やBerkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)、Microsoft(マイクロソフト)といったヘビー級と同じ地位を得るマイルストーンだ。

米国時間11月16日のS&P Dow Jones Indices(S&P ダウ・ジョーンズ・インディシーズ)の発表により、Teslaの株価は時間外取引で終値を13.7%上回った。12月21日の取引開始前にテスラがベンチマークインデックスに正式に加わる、とS&P Dow Jones Indicesは声明文で説明した。

テスラはS&P500への追加時にベンチマークで最も価値の大きな企業の1社となる見込みだ。同社の規模が大きいため、S&P Dow Jones Indicesは浮遊株調整時価総額でテスラ株を1度に追加するか、それとも2度に分けるか検討中だ。

「テスラは過去10年で最も規模の大きな追加の1つとなり、従ってS&P500の歴史の中で最大のファンド売買の1つを生み出すでしょう」とS&P Dow Jones Indicesは声明文で述べた。「しかしながらTeslaは流動性があり、来たる12月の四半期銘柄入れ替えでのテスラ株の追加は、ストックオプション、株式先物取引、株価指数オプション、株価指数先物の期限と同時に起こり、これは資金調達取引を促進するのに貢献するかもしれません」

S&P500への採用は、インデックス連動のファンドを持つ投資家が株式購入を余儀なくされるなどメリットがある。すでにTeslaの株価は上昇し、これは投資家がテスラ株を購入するために他の株を売却しなければならないことを意味する。逆に既存投資家は需要を利用して売却するかもしれない。結論、従来移り気な株はもっと移り気になりそうだ。

ベンチマークへの採用は、テスラが2020年8月に普通株1株を5株に分割したのに続くものとなる。

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(翻訳:Mizoguchi

ニューヨーク市の電動スクーター参入競争が開始

マイクロモビリティシェアリング業界が非常に期待している市場の1つであるニューヨーク市は、電動スクーターの試験運用に関する情報提供依頼書(RFI)を公布し、同市内での事業運営の機会をめぐる企業間の競争が正式に始まった。

同市はまた、データの集計や分析、路上充電や駐車場、安全運転のトレーニングコース、スクーターの回収・保管サービスなど、電動スクーター業界に付随するサービスを提供する企業に対して、関心表明依頼書(「RFEI」)も公布した。

ニューヨーク市は、住民が移動するための新しい方法を提供し、その過程で急成長する業界をサポートしようとしている。Bird(バード)Lime(ライム)Spin(スピン)、Voi(ヴォイ)などのほぼすべての大手eスクーター会社や、知名度があまり高くない他のいくつかの企業が許可の申請を計画しており、各企業がベストプラクティスと独自の特別な運営ブランドを公約として打ち出して同市を説得しようとしている。TechCrunchに電子メールで送られてきた声明により、今回の競争がどのように繰り広げられるか予測できる。ライムやヴォイのような企業は自社の経験を売り込んだ。

ライムの政府関係担当シニアディレクターであるPhil Jones(フィル・ジョーンズ)氏は、電子メールでの声明で「当社はニューヨーク市と協力して、安全性、アクセシビリティ、公平性を優先する世界トップクラスのeスクータープログラムを作成できることをとても楽しみにしている」と述べている。「ロサンゼルス、シカゴ、パリ、ローマなどの大都市のほか、世界中の100以上の都市で事業を運用した経験から学んだように、eスクーターはニューヨーク市がより弾力性と適応性のある交通システムを構築するのに役立つ。ニューヨーク市民が新しい移動手段を模索する中、eスクーターは、ソーシャルディスタンスを保ちながらニューヨーク市内を移動したい人にとって理想的な選択肢となるだろう」とも述べている。

ヴォイは、ヨーロッパでの事業展開から得たノウハウを売りにしている。

ヴォイの共同創設者兼CEOのFredrik Hjelm(フレドリック・イェルム)氏は、次のように語っている。「サイクリングインフラストラクチャーが拡大を続けていること、公共空間をオープンストリートやアウトドアダイニングに変える構想が最近立てられていることなどからわかるように、ニューヨーク市は、街並みを変革するという米国全体での取り組みをリードしている。当社はこれまでヨーロッパの50以上の都市が自動車の利用価値を再考するのを支援してきたが、今後、ニューヨーク市を米国の拠点にしたいと考えている」。

バードは、公平性、安全性、アクセス、効果的な駐車場ソリューションを優先することを公約にしている。スピンはさらに踏み込み、プログラムがどのようなものであるべきかを提言し、いくつかの競合他社の排除を狙う戦術をとった。

スクーター会社がいわゆる格差解消ゾーンを設定し、低所得者向けの料金を少なくとも50%引き下げ、スマートフォンなしでスクーターをレンタルする手段を提供することを求めるよう、ニューヨーク市の交通機関当局に提案したとのことだ。スピンは、このプログラムで許可を与えるのは3~4社のみに限り、1業者あたりのスクーターの上限を2000台にすべきだとも主張している。また同社は、障害者向け車両、スクーターを駐輪施設に確実に固定できるロック技術、および企業が地元で雇用することを条件としたW-2従業員の使用を要件とすることも提案している。

背景

ニューヨーク市議会は6月下旬、市内における電動スクーターシェアリングの試験運用プログラムを作成するよう、ニューヨーク市運輸局(DOT)に求める法案を承認した。DOTは10月までに、eスクーターシェアリングの試験運用プログラムに参加するための提案依頼書を公布する必要があった。

試験運用プログラムは2021年3月1日までに開始しなければならない。ニューヨーク市議会は、DOTと引き続き協力し、試験運用プログラムの実施場所を決定することになっている。TechCrunchがeスクーターを推進する複数の企業や支持者から入手した情報によると、試験運用プログラムの実施エリアが限定されると、このプログラムが失敗する可能性があるとのことだ。

マンハッタンでは運用が禁止されているが、残りの4つの行政区(ブロンクス、ブルックリン、クイーンズ、スタテン島)については規定がない。

スクーターを許可する法案が最初に提出されたのは2年以上前のことだった。しかし、2020年4月にニューヨーク州知事のAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)氏がスロットル式の電動スクーターと電動バイクの同州における使用を合法化する法案に署名するまで、試験運用プログラムの実施は技術的に不可能だった。同州法の下では、マンハッタンでのスクーターシェアリングは許可されず、残りの行政区でも、スクーターのシェアリングサービスを運営するには、試験運用プログラムがニューヨーク市議会で承認されなければならない。

提出された地方法案では、試験運用プログラムがどのように構成されるかについていくつかの要件を設けている。既存のバイクシェアリングプログラムを利用できない地域は、試験運用プログラムの地理的境界を決定する際に優先的に考慮される。許可を受ける企業は、アクセシビリティに配慮したスクーターのオプションを提供するなどの運営規則を満たすことが求められる。

その他の激戦市場

電動スクーターシェアリング企業にとって、ニューヨーク市が世界で唯一の重要な市場というわけではない。シカゴ市、シアトル市、パリ市をはじめとして、他のいくつかの大都市では、パイロットプログラムの申請手続きが完了し、運営許可が下りている。パリ市では、16社もの企業がスクーターを運営するための許可を求めて競争した。同市は7か月間の入札プロセスを経て、ライム、Dott(ドット)、Tier Mobility(ティアモビリティ)に運営許可を与えた。バードは、ちょうど1年前にフランス市場を見込んで大きな賭けをし、パリ市にヨーロッパ最大のオフィスを開設する計画を発表したが、競り負けた。バードは当時、2021年半ばまでに1000人を雇用したいと述べていた。Bolt(ボルト)、Comodule(コモジュール)、スピン、ヴォイ、Wind(ウィンド)も、パリ市での営業許可を受けられなかった。

8月、シカゴ市は2回目の試験運用プログラムにおいて、バード、ライム、スピンに参加を許可した。今回、シカゴ市では、スクーターの使用時間を午前5時~午後10時に限定し、最高速度も時速25キロメートルに制限しているほか、レイクフロント・トレイルのようにスクーターの利用を禁止しているエリアもいくつかある。各スクーター会社が運用できる台数は3333台以下に制限されており、そのうちの50%は格差解消エリアに配備しなければならない。2回目の試験運用では、利用終了時にスクーターを固定物に固定するよう利用者に求めるロックシステムをすべてのeスクーターに実装する、という要件が追加された。

多くの大規模市場では運営業者が既に決まっており、残っている大きな市場はロンドン市とニューヨーク市の2都市のみである。ロンドン市交通局はこの夏、スクーター会社が市内で営業できるようにすると発表した。ただし、営業許可はまだ与えられていない。バード、ボルト(エストニアで創設されたライドシェアリングのスタートアップ)、ライム、Neuron Mobility(ニューロンモビリティ)、ティア、ヴォイ、Zipp Mobility(ジップモビリティ)はすべて、ロンドン市のスクータープログラムに関心を示した。

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(翻訳:Dragonfly)

Uberがトラブル続きだった自動運転技術部門ATGをライバルのAuroraに売却か

18カ月前、Uber(ウーバー)の自動運転部門である Uber Advanced Technologies Group(ATG)はトヨタやデンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドル(約1047億円)の出資を受けてバリュエーションが72億5000万ドル(約7600億円)になった。そのATGはいま、売りに出ている。競合相手のスタートアップがATG買収でUberと交渉中だ。この件に詳しい3人の情報筋が明らかにした。

Google(グーグル)、Tesla(テスラ)、そしてUberで自動運転技術に携わった3人の業界ベテランによって設立されたスタートアップAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)はUber ATG買収で交渉している。取引条件などはまだ明らかになっていないが、両社は2020年10月から交渉しており、そのプロセスは進展を見せていると情報筋は話す。

Uberの広報担当は、当社はこうした種の問い合わせには答えない、としてコメントを却下した。Auroraの広報担当は憶測についてはコメントしないと述べた。

交渉は決裂することもあり得る。しかしもしうまくいけば、Auroraの社員は3倍に増え、Uberにとっては短い社歴の間にいくつかの議論の種を抱え込むことになった費用のかかる長期的プロジェクトという荷をおろすことになる。

Uberは「売買」してきた

Uber ATGの売却は、ここ数カ月Uberが配車サービスや配達といった主要事業に注力し、また資金を注ぐことになったスピンオフや他のディールに続く動きだ。2年前の2018年、Uberのビジネスモデルは「上記のすべて的」なアプローチだった。配車サービス、マイクロモビリティ、ロジスティック、荷物・フードデリバリー、そして将来の自動運転ロボタクシーすらも含むあらゆる交通の形態から売上を生み出すことに賭けていた。

Uberが上場してから戦略は変わり、また新型コロナウイルスパンデミックが経済をひっくり返し、人々の暮らしを根本的に変えて以降、その戦略変更は加速した。過去11カ月、Uberはシェアリングマイクロモビリティ部門のJumpをたたみ、成長しているもののまだ黒字化を達成できていないロジスティック部門Uber Freightの株式を売り、Postmates(ポストメイツ)を買収した(Postmatesの買収は2020年第4四半期のクローズが見込まれている)。

Uber ATGは、価値が大きい最後のUberの所有物だ。多くの長期的約束、そしてかなりのコストをUber ATGは抱える。Uberは2020年11月に、 ATGと「他のテクノロジー」(Uber Elevateを含む)が2020年9月30日までの9カ月で3億300万ドル(約320億円)の赤字だったと報告した。UberはフォームS-1の中で、ATGと「他のテクノロジープログラム」の取り組みの研究・開発費用4億5700万ドル(約478億円)が発生した、と述べた。

4人の業界情報筋はTechCrunchに、Uberが今年、自動車メーカーを含む数社にATG売却を打診してきたと語った。また、Uber ATGがダウンラウンドの可能性に直面しており、これがAuroraとの交渉の裏にあるもう1つの動機かもしれない、とも話した。

2017年創業のAuroraは完全自動運転の構築に専念している。車が高速道路や街中の通りをドライバーなしで走行できるようにする技術だ。同社は著名なベンチャーファーム、資産運用会社、そしてGreylock Partners、Sequoia Capital、Amazon、T. Rowe Priceといった企業の関心と資金を集めてきた。創業者のSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏も出資している。

アームソン氏は、後にAlphabet(アルファベット)傘下のWaymo(ウェイモ)となるためにスピンアウトしたグーグルの自動運転プロジェクトを率いていた。アンダーソン氏はTeslaのModel XとAutopilotプログラムの開発・立ち上げを主導したことで最もよく知られている。カーネギーメロン大学の准教授であるバグネル氏はUberの自動運転部門立ち上げをサポートし、ピッツバーグにあるAdvanced Technologies Centerの自律・認知チームを率いていた。

Auroraは零細の新スタートアップから、いまやサンフランシスコのベイエリア、ピッツバーグ、テキサス、モンタナ州ボーズマンに事業所を展開し、従業員600人を抱える企業に成長した。ボーズマンは、Auroraが2019年に買収したLiDAR企業であるBlackmore(ブラックモア)の拠点だった。LinkedIn(リンクドイン)の記録によると、Auroraの現在の従業員の約12%が元Uber従業員だ。

そうした成長にもかかわらず、AuroraはUberを大株主にもつUber ATGよりもまだだいぶ小さい。Uber ATGは従業員1200人超を抱え、ピッツバーグやサンフランシスコ、トロントなどに拠点を構える。米証券取引委員会に提出された書類によると、UberのUber ATGの持分は86.2%だ。残りの投資家の持分は13.8%となっている。

Uberの自動運転車両テクノロジーへの参入は、同社がカーネギーメロン大学のNational Robotics Centerとの戦略的提携を発表した2015年に本格的に始まった。ドライバーなし車両テクノロジーの開発を共同で行うという提携は、Uberによる数十人ものNRECの研究者や科学者のハンティングにつながった。1年後、社内にAV開発部門を立ち上げ、共同創業者のTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が当時率いていたUberはOtto(オット)という自動運転トラックのスタートアップを買収した。

この買収は最初からトラブル続きだった。Ottoはグーグルのスターエンジニアの1人Anthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキー)氏、それから3人のグーグルのベテラン、Lior Ron(リオル・ロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏らがその年の初めに共同で創業した。そして創業から8カ月も経っていなかったOttoをUberが買収した。

買収の2カ月後、グーグルはレヴァンドフスキー氏とロン氏に対して仲裁を要求した。どちらの要求にもUberは含まれなかった。この件は決着がついたが、それとは別にWaymoは2017年2月に企業秘密の窃盗と特許侵害でUberに対して訴訟を起こした。Waymoは2018年に和解した裁判の中で、レヴァンドフスキー氏が同社の企業秘密を盗み、それが後にUberによって使用されたと主張した。

和解の中でUberは、Waymoの機密情報をハードウェアやソフトウェアに組み込まないことに同意した。Uberはまた、シリーズG-1ラウンド時のバリュエーション720億ドル(約7兆5000億円)に基づく同社の発行株式の0.34%を含む賠償金を払うことにも同意した。当時、その額は約2億4480万ドル(約256億円)と算出された。

TechCrunchが最初に報じた裁判資料によると、Otto買収の初期にUberは2019年までに自動走行車両7万5000台を走らせ、2022年までにドライバーなしのタクシーサービスを13都市で展開できると想定していた。そうした野心的な目標を達成するのに、Uberは自動運転テクノロジーの開発に1カ月あたり2000万ドル(約21億円)を使っていた。

同社がそうした目標の達成に近づくことは決してなかった。技術的困難、Waymoとの裁判、トラブルに満ちたレヴァンドフスキー氏との関係、そして2018年3月にアリゾナ州テンペで同社の自動運転テスト車両が起こした死亡事故など、ミッションは狂った。

事故を受けて同社はテストを中止し、過去18カ月はより対外的なオペレーションをゆっくりと展開してきた。自動運転車両開発の事業は多額の資金を要することから、Uberはトヨタ、車部品メーカーのデンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドルを調達した後の2019年春にATGをスピンアウトすることになった。

公開企業としてUberがデビューする1カ月前にあったスピンアウトは、何カ月もの間、憶測の対象だった。費用のかかる事業を他の投資家と共有し、主要事業の業績と短期的な利益目標にフォーカスするための手段としてみられた。

Auroraは何を得るのか

トラブルはさておいて、Uber ATGはAuroraにとって魅力的な2つの重要かつ重大な要素を有している。人材とトヨタだ。

トヨタは2019年に現金を注入する前にUberに5億ドル(約523億円)を投資している。当時、2社は「Uber ATGの自動運転技術、トヨタの高度安全サポートシステムGuardianの強みを展開する」べく、トヨタのSiennaに自動走行技術を搭載したライドシェア車両の試験を2021年にUberのライドシェアネットワークで始める意向を発表した。

2019年のUber ATGへの投資により、トヨタのUberとの関係は深まった。

Uberが企業秘密窃盗に関する裁判でWaymoと対決している間に、Auroraは華々しく創業された。18カ月の間に同社はHyundai(現代自動車)、Byton(バイトン)、VW Group(フォルクスワーゲングループ)などと複数の提携を確保した。いくつかは立ち消えになったが、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)といった大手との提携も獲得した。いす取りゲームのような変化は、自動運転事業における有望なプレイヤーが多いことを示すものだ。この業界は、よく知られていない事業者や最善の技術とディールを求める移り気な車メーカーで溢れている。

2018年1月にAuroraと提携したVW Groupは2019年6月に、「提携が終了した」ことをTechCrunchに認めた。VW Groupは最終的に、もう1つの自動運転車両テクノロジー開発会社のArgo AI(アルゴAI)に出資した。Argo AIはFord(フォード)からの出資と取引を獲得していた。

現代自動車はAuroraの少数株を保有している一方で、2019年秋に自動運転テクノロジー企業Aptiv(アプティブ)との合弁会社の設立を決めた。AptivとのディールによるMotional(モーショナル)という合弁会社の両社の持分は50%ずつとした。Motionalへの両社の投資総額は計40億ドル(約4200億円)となる見込みだ(エンジニアリングサービス、R&D、IPの合算額を含む)。

それでもAuroraは勝利を収めた。同社は2019年春、Sequoiaがリードし、AmazonとT. Rowe Priceからの「巨額投資」があったシリーズBラウンドで5億3000万ドル(約555億円)を調達した。Auroraの当時のポストマネーでのバリュエーションは25億ドル(約2620億円)だった。直近では、Aurora内ではDavid Maday(デイビッド・メディ)氏の部屋が特に活発だ、と業界筋は話す。Auroraの新しい副社長である同氏は、21年にわたってGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)で事業開発とM&Aを統括した。

Auroraは常に、AVのブレインとなるソフトウェアとハードウェアを組み合わせた同社の完全自動運転技術は特定の車両に限定されないものだと述べてきたが、初期テストで同社はロジスティックではなくロボタクシーへの応用にフォーカスしているようだ。同社は2019年に、長距離トラックへの技術応用についてこれまでよりもオープンに語り始めた。特にBlackmore買収後に、応用により積極的になった。

Auroraは2020年7月、テキサス州に進出し、ダラス・フォートワースエリアでFiat Chrysler Pacificaのミニバンと大型トラックを使っての商業ルートテストを計画していると発表した。まずは少数のPacificaが当地に運び込まれるとされた。同社によると、年末までにトラックもテキサスの道路を走行する見込みだ。

Jumpの先例

よくわかっていないのは、Uber ATGの買収がどういう仕組みになるのかということだ。さらに重要なのは、果たしてAuroraがUber ATGに興味を持ち続けるのか、ということだ。たとえUber ATGのバリュエーションが若干減少したとして、外部からの追加の投資が確保できない限りAuroraの守備範囲を超えるか、Uberが株の一部を所有し続けるような買収構造にするか、となりそうだ。

後者の場合は先例がある。2020年初め、UberはLime(ライム)への1億7000万ドル(約178億円)の投資をリードした。複雑なディールの一環として、Uberは自社の自転車・スクーターシェアリング部門Jump(ジャンプ)をLimeに引き取らせた。

過去において、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏がUber ATGを切り離そうと熱心だという噂は時々あった。しかし新型コロナパンデミックでそれは鳴りを潜め、同氏や他の同社幹部は配車サービスという主幹事業に注力し始め、デリバリーに賭けた。マイクロモビリティ部門とUber Freightのスピンオフに加えて、同社はローカルのライバル企業との競争でコストが増大していた世界各地の事業の多くを売却した。

2人の情報筋によると、Uber ATG売却への関心はJumpのディール後に大きくなった。

ある業界投資家はUber ATG売却を、やや上昇傾向であることの恩恵を受けつつATGを切り離すことができる、Uberにとって興味深いプランBだと表現した。

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画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

フォードが約470万円の2022年型商用電気カーゴバンE-Transitを公開

Ford(フォード)は米国時間11月12日、さまざまな仕様が選べる純電気自動車のカーゴバンE-Tansit(イートランジット)を公開した。法人顧客の新たな主力車両になると同社は見込んでいる。

E-Transitは、115億ドル(約1兆2000億円)を投じたFordの車両電動化計画のほんの一端に過ぎない。しかしこの車には、計画の中でも最も重要な存在となる可能性が秘められている。Fordは、消費者市場での車両の電動化に重点を置いてきた。その代表格が、2020年末からディーラーに出荷されるMustang Mach-E(マスタング・マックイー)だ。

E-Transitで、Fordはカーゴバン市場での優位性をいっそう確かなものにすることを目指している。ガソリンエンジンを搭載した現行のTransitバンは、このカテゴリーで40%のシェアを誇っているものの、EVならさらに大きな機会が期待できる。BEV(バッテリー式電気自動車)の商用バン市場では、2030年までの商用バンの売上げは1100億ドル(約1兆1550億円)にのぼるとFordは見積もっている。

E-Transitは3種類の屋根の高さと長さ、カーゴバン、キャブシャーシ、カットアウェイといった形状など、8種類の仕様が選べる。また、標準で12インチのタッチスクリーン、音声コントロールとカーナビゲーションを内蔵したFordのSync 4(シンクフォー)情報システムが装備され、オプションで電動工具用の2.4kWのコンセントも付けられる。どの車両にも、Fordの8年間または10万マイル電気自動車保証がつく。

Fordは11月12日に、低屋根型のカーゴバンの詳細を公開した。価格は米国のフリートカスタマー向けの場合、最もも安いもので4万5000ドル(約470万円)を下回る。このタイプは67kW時のバッテリーを搭載し、1回の充電で126マイル(約203km)走行できる。Fordが配布した仕様書によれば、中程度の屋根の高さでロングボディーのE-Transitは1回の充電の走行距離が116マイル(約187km)、ホイールベースを延長したタイプで108マイル(約174km)となっている。

画像クレジット:Ford

E-Transitは、交流と直流の高速充電の両方に対応する。家庭用の120Vのコンセントに接続して使えるFord Mobile Charger(フォード・モバイル・チャージャー)は標準で付属する。これを240Vのコンセントに挿せば高速充電が可能になる。また、E-Transitを8時間でフル充電できる性能を持つConnected Charger Station(コネクテッド・チャージャー・ステーション)の販売も予定している。

走行距離はTesla(テスラ)の改造トラックに劣るが、法人顧客は価格に敏感で、何が必要かを正確に把握しているとFordは豪語する。

「法人顧客は、車両の保有にかかる総経費というレンズを通して車両を見る点で際立っています」と電気トラック、バン、商用車両のグローバルマーケティング・ディレクターであるYaro Hetman(ヤロー・ヘットマン)氏は、先日のインタビューでTechCrunchに話していた。いい換えれば、法人顧客は実用性第一だということ。できる限り効率性を追求するが、過剰な性能にコストはかけたくない。それは走行距離にも当てはまる。

ヘットマン氏によれば、Fordは現行のエンジン式Transitバンの、北米での3000万マイル(約4800万km)を超える走行状況を分析したという。その結果、平均的な商用バンの場合、1日に74マイル(約120km)も走れれば事足りるとわかった。

それ以上の走行距離を望む声が出てくることも、当然考えられる。ヘットマン氏は、走行距離がより長く高性能なバージョンの発表も、将来的に期待して欲しいと話していた。

T-Transitの維持経費の安さも、Fordのセールスポイントだ。2020年型ガソリンエンジン式Transitの8年間または10万マイル走行までの平均的な定期点検費用に比べて、40%安くなると同社は見ている。

このE-Transitカーゴバンと、純電気自動車のF-150トラックの両方を発売することで、FordはEV市場のシェア拡大を狙っている。米国内の多くの都市でガソリン車の規制がますます厳しくなる中、これが競争力と収益性の両方を約束してくれることに、同社は賭けている。

しかし、純電気自動車のT-150は2022年半ばにならないと発売されないため、すべての注目と期待はカーゴバンのほうに集中している。同社は、フリートカスタマー向けの細かい仕様を打ち出した。車線検知、ドライバーの居眠り警告、衝突防止アシスタント、自動非常ブレーキなどが標準装備される。もちろん、後付けのオプションもある。車間距離調整機能付きのクルーズコントロール、ナビゲーション機能付き制限速度標識認識および自動速度制限装置、駐車とバックの支援装置などを含む高度ドライバー支援システムだ。

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また、車両の運用管理を改善するFord Telematics(フォード・テレマティックス)やFord Data Service(フォード・データサービス)とペアリングできるモデムも搭載される。

生産性の向上、ドライバーの安全確保と指導を助ける車両管理ツールも、顧客を魅了するものになるとFord Commercial Solutions(フォード・コマーシャル・ソリューションズ)のCOOであるJulius Marchwicki(ジュリアス・マーチウィッキ)氏はいう。

「私たちのツールでは、充電レポートなどによるドライバーの支援が可能になります。車がどの程度の性能を発揮しているかを把握し、仕事場に向かう前に、リモートで走行距離を最大にできるよう事前調整ができるのです」と、マーチウィッキ氏は先日のインタビューで話していた。

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タグ:Ford電気自動車

画像クレジット:Ford

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(翻訳:金井哲夫)

BMWが次世代電気自動車のフラグシップ「BMW iX」を発表

米国時間11月11日にバーチャルで開催されたBMWのNextGen 2020イベントで、同社はBMW iXを発表した。これまでiNextと呼ばれていた新しい純電気自動車のフラグシップだ。2021年末に発売開始される。BMWの第五世代eDriveg技術を採用したiXは、外観が一新され、キドニーグリルのデザインも新しくなったが、サイズは現行のX5やX6 SUVと同等だ。BMWでは、航続距離は300マイル(約483km)、0-60マイル毎時加速は5秒を下回ると公言している。

iXの価格に関する発表はまだない。2020年の初め(BMWBLOG記事)時点での噂では、10万ドル(約1050万円)近いとされていた。

 

2021年末までには、100万台以上の電気自動車を公道に走らせると同社は話している。現在は、ヨーロッパで登録されているBMWとMINIの全車種のおよそ13%が純電気自動車かプラグインハイブリッドだ。その割合は、2030年までには50%に増えると予想される。

画像クレジット:BMW

来年、2021年のBMWのラインナップには、この他の電気自動車も数多く加わることになっているが、目玉はなんといってもiXだ。次世代のeDrive(イードライブ)システムは、2021年発売予定のi4にも採用される。またBMWでは、5シリーズの車両を使って最大出力720英馬力(日本式では730馬力)という3種類の新型モーターの実験を行っている(さすが、性能と豪華さの両立で名を上げたメーカーだけのことはある)。

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最大200kWの交流急速充電で、10%から80%までの充電にかかる時間はおよそ40分間。高速充電ステーションで10分間で充電できる最大量は、およそ75マイル(120km)分と余裕がある。とはいえ、同じ充電方式の車との差はあまりない。またTesla(テスラ)V3 Supercharging(スーパーチャージング)を利用すれば、充電時間は少し短くなるとのことだ。そこでは、他社製の車なら200kW以上での充電も可能になる。

BMWの電気自動車のフラグシップという他に、iNext(つまりiX)は、当然のことながら、同社の革新的な最新テクノロジーのショーケースでもある。BMWはiNextコンセプトカー(未訳記事)を何度も作り直し、最新テクノロジーを次世代自動車に組み込む最良の方法を模索してきたことを考えれば、まったく驚くには当たらないことだ。

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iXの場合、現在期待できるあらゆる標準的なドライブアシストシステム(詳細は未発表)、ヘッドアップディスプレイ、12.3インチのデジタルメーターディスプレイと14.9インチのコントロール用ディスプレイを含む大型スクリーンが搭載されている。だが、最も興味を惹くのは、同社が「Shy tech」(シャイテック、控えめな技術)と表現する哲学だ。

「シャイテックとは、普段はほとんど後ろに隠れていて、必要なときにだけ現れる技術のことをいいます」と同社は本日の発表会で話していた。「車に乗り込んだときに現れる機能は、電気式のドアロックです。インテリアは、5つのシートに座った人たち全員を豪華なラウンジスタイルの雰囲気で歓迎し、車の中の新しい過ごし方を楽しむための空間を提供します」。

通常は、ほとんどのユーザーインターフェイスは姿を消し、ドライバーが運転に集中できるようになる。

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いずれ、自動運転車の中でドライバーもくつろげるようにしたいという考えは、BMWも表明している。そんな未来はまだ実現されていないため、BMWはドライブアシスタントシステムについて詳しい説明はしていないが、あの車内のセンタートンネルを排除できたなら、もっと「広々ゆったりとした感覚」が確保でき、「ラウンジのような雰囲気と快適な長距離移動をインテリアによって」提供できるようになると主張している。

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iXはさまざまな面において電動化に向けた現在のBMWが抱く野心の理想型であり、他社と違い開発の多くを社内で行っているという点は注目に値する。ドイツ・ディンゴルフィングの工場もしかりだ。さらに同社は本日、独自のバッテリーセルを開発し、それを製造するための新しいパイロット工場をミュンヘンの近くに2022年にオープンすると発表した。「このパイロット工場でBMWは、電気駆動系の全工程を自社でカバーする最初の自動車メーカーになります」とBMWは話していた。

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5G対応でなければ、重要な技術発表にはなっていなかっただろう。実際、iXには5G通信機能が内蔵される。そのためiXは、最初ではないにしても、5Gに対応した量産車としては最初の仲間に入る。つまり理論的には、広帯域幅で遅延の少ない通信がBMWクラウドとの間で実現するということだ。私たちは、このところ発表された新型スマートフォンから、5Gが単なるバズワードではなく、世の中の仕組みを変える美術であることを知った。自動車にとってそれは、C-V2X(セルラー式の自動車とすべてのものとの通信)ソリューションの実現に寄与すると思われる点で、さらに大きな意味を持つ。これは、モバイルネットワークを使うことなく、自動車同士、さらに近くのスマートフォンとの通信を可能にするものだ。

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(翻訳:金井哲夫)

ホンダが市販車初となるドライバーの監視が不要な自動運転レベル3の「レジェンド」を2021年3月発売

Honda(ホンダ)はSAEレベル3機能の自動運転車を初めて量産するメーカーになったことを発表した。Honda Legend luxury sedanの完全認定済み自動運転装置付きモデルは2021年3月に日本で販売開始される。Hondaはこのニュースをプレスリリースで発表し、これは日本政府が同社の自動運転装置「Traffic Jam Pilot(トラフィック・ジャム・パイロット)」を認定したのを受けたもので、ドライバーは初めて、装置作動中実際に道路から目を離すことが許される。

同じ日本の日産自動車には、Pro Pilot Assist(プロ・パイロット・アシスト)という機能が以前からあるが、これはSAE基準のレベル2で、速度と操舵を自動制御できるが、運転席のドライバーは必要な時はいつでも手動制御に切り替えるよう常に準備しておく必要がある。SAEレベル3は、実際に無人運転であるとほとんどの専門家が感じられるカテゴリーに属すものでドライバーは車の制御を完全に任せることができる。レベル3はそれでも、システムの要求があった時にドライバーが代わって運転できなければならないが、レベル4、5ではその必要がない。

Tesla(テスラ)も独自の「完全自動運転」機能のベータプログラムを開始しており、徐々にテストドライバーを増やしているが、批評家によると、その名前と異なり実際には完全な自動システムではなく、規則の上でもその分類にはまだ入らないという。Hondaによる2021年3月のレベル3レジェンドの発売は、当局承認済みの量産自動運転システム初の本格的テストとして、世界中の規制当局と一般ドライバーが注目するだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

駐車場を有効活用するREEF Technologyがソフトバンクなどから7億ドルを調達

SoftBank(ソフトバンク)とMubadala Corp.(ムバダラ・コーポレーション)は、米国の商業用不動産ビジネスでの大胆な振る舞いを止めることはないようだ。WeWork(ウィワーク)の破たん後も、この2社は、7億ドル(約731億円)をREEF Technology(リーフ・テクノロジー)に投資する企業連合に参加して、同様のビジネスモデルへの投資を強化している。

リーフの前身は、駐車場向けの設備、ソフトウェア、管理サービスを提供する企業としてマイアミで創業したParkJockey(パークジョッキー)だ。同社は創業以来、基本的なビジネスモデルを忠実に守りながら、ビジョンを拡大してきた。現在も駐車場の管理サービスを提供しているが、それに加えて、クラウドキッチン、ヘルスケアクリニック、ロジスティクス、ラストマイル配送などのインフラ、さらには、使われなくなった駐車場や駐車用建造物に小売用の実店舗や体験型の消費者向けスペースを設置して有効活用する事業を展開している。

ウィワークと同様に、リーフは運営する不動産のほとんどをリースで確保し、改装してからテナントに貸し出している(またはスペース自体を使用している)。一方、ウィワークと異なるのは、特に新型コロナウイルス感染症のパンデミック拡大防止対策をうけて加速したビジネス好機を非常にうまくとらえている点だ。

そう言える理由の1つは、リーフが敷地内で自社のビジネスを運営し、スタートアップ企業と協力して、地元の企業だからこそ成功し収益をあげられる商品やサービスを提供しているという点だ。

リーフの共同創業者兼CEOであるAri Ojalvo(アリ・オヤルヴォ)氏によると、今回調達した資金は、拠点数を現在の約4800か所から全国1万か所へと拡大し、駐車場を「地域のハブ」へと生まれ変わらせるために使用されるという。

ソフトバンクとムバダラは、プライベートエクイティや金融投資の巨人であるOaktree(オークツリー)、UBS Asset Management(UBSアセットマネジメント)、欧州のベンチャーキャピタルであるTarget Global(ターゲット・グローバル)と共に、リーフに対して巨額なエクイティファイナンスを行うための資金を提供している。一方、ブルームバーグが月曜日に報じたように、リーフとオークツリーは3億ドル(約313億円)の不動産投資ビークルであるNeighborhood Property Group(ネイバーフッド・プロパティ・グループ)でも提携している。

総じて、「地域の店舗版ウィワーク」とも言えるリーフは、「proximity-as-a-service(サービスとしての近接空間)」プラットフォームと呼ぶものを構築するために10億ドル(約1040億円)の資金を持っている。

2018年にソフトバンクから部分出資を受け(同社を10億ドル(約1040億円)と評価したと報じられている投資)、パークジャッキーからリーフ・テクノロジーへと変貌を遂げて以来、同社はバーチャルレストランチェーンの増加をサポートするために、活況を呈するクラウドキッチン事業を追加した。

さらに、ラストマイル配送の新興企業であるBond(ボンド)および物流大手のDHL、全国的なプライマリーヘルスケアサービスのクリニック運営およびテクノロジー開発企業であるCarbon Health(カーボンヘルス)、電気自動車の充電およびメンテナンス企業であるGet Charged(ゲットチャージド)、そしてロンドンの事業所では、新しい垂直農業開発企業であるCrate to Plate(クレート・トゥ・プレート)など、多くのサービスプロバイダーをパートナーに加えてきた(ちなみに、オヤルヴォ氏によると、クレート・トゥ・プレートについては、米国の既存の垂直農業企業との提携の可能性を探るべく現在交渉中であるという)。

オヤルヴォ氏によると、同社は来年、オースティンで運営しているスペースに、最初の体験型の屋外エンターテイメント施設を立ち上げる予定とのことだ。

そしてさらにその先には、同社は21世紀のスマートシティを牽引するデータ処理センターや通信ゲートウェイのハブとしての役割を果たす機会を見据えている、とオヤルヴォ氏は語る。

「エッジコンピューティングを行う企業や5Gの準備をしている企業からの関心が寄せられている。データとインフラストラクチャは、地域のハブにとって、まるで電気のように重要なものだ。電気と接続がなければ、望み通りの未来を築くことはできない」と同氏は続ける。

ドジャースタジアムの駐車場にレンタカーが保管されている。2020年5月27日水曜日、米国カリフォルニア州ロサンゼルス上空から撮影。Hertz Global Holdings Inc.(ハーツ・グローバル・ホールティングス)は、経営破たんにあたり、可能な限り多くのレンタカーを売却し、パンデミック後の経済において減少が見込まれる需要に合わせることにしている(画像:Bing Guan/Bloomberg via Getty Images)

同社の収益源の大部分は駐車場事業だが、クラウドキッチン事業の拡大が続けば、その図式も変化していくとオヤルヴォ氏は考えている。「当社のクラウドキッチンサービスであるNeighborhood Kitchens(ネイバーフッド・キッチンズ)は、駐車場以外の収益の重要な部分を占めるようになる」と同氏は語る。

リーフはすでに北米の20以上の都市で100以上のネイバーフッド・キッチンズを運営しているが、対応地域の拡大にともない、その数はさらに増えていくだろう。リーフは、David Chang(デビッド・チャン)のFuku(フク)のような有名シェフのバーチャルキッチンをホストしているほか、同社によると、ニューヨークのチェーン店Jack’s Wife Freda(ジャックズ・ワイフ・フレダ)やマイアミのMichelle Bernstein(ミシェル・バーンスタイン)のキッチンのような、地元で愛されるレストランへのライフラインを提供している。

このようなレストランの中には、リーフが運営する各地のキッチンで採用した従業員を活用しているものもある。これは、ウィワークとリーフのもう1つの違いだ。リーフはスペースを提供するだけでなく、多くの場合、労働力を提供しビジネスの規模拡大も支援している。

すでに1000人以上のキッチンワーカーを雇用しており、彼らはレストランで料理の下ごしらえをしている。また、リーフは5月初めに、ある会社を買収し、オンデマンド配送のバックエンドサービスを統合した。

この戦略は、同社の他のサービス事業にも適用される可能性が高い。

「当社は近接空間のプラットフォームを構築している。この近接性は、駐車場や駐車ガレージに設置された店舗設備によって推進されており、それによって、あらゆる種類の企業がその近接空間をプラットフォームとして使用することが可能になる。基本的にはテナントが活用できるマーケットプレイスを構築している」とオヤルヴォ氏は述べる。

英国、カーディフ、12月22日:2018年12月22日、英国カーディフで夜間配達中のDeliveroo配達員(写真 Matthew Horwood/Getty Images)

事業拡大に向けて資金を調達するリーフは、アムステルダムからアリゾナ州テンピに至るまで、各都市の市長たちが支持している都市開発の新理論「15分シティ(快適な都市生活に必要なアメニティが15分以上離れていない都市)」を活用している。

それは価値のある目標だが、市長たちがアクセスしやすいアメニティの可用性を重視している一方、リーフのリーダーたちは、近隣住民がアクセスしやすく、多目的に利用できる駐車場やガレージはごく一部にすぎないことを認めている。広報担当者によると、同社が計画している1万件の事業案件のうち、近隣住民のアクセスを促進するようなマルチユースのモール環境が整備されるのは数百件にとどまるという。代わりに、そのビジネスは、ほとんどの配達サービスは15分以上離れていないはずだという考えに基づいているようだ。

これは別のプロジェクトだが、多くの支持者がいる。Zuul(ズール)、Kitchen United(キッチン・ユナイテッド)、Travis Kalanick(トラビス・カラニック)氏のCloud Kitchens(クラウド・キッチンズ)のようなクラウドキッチンのプロバイダーは、すべて同じ理念を持っていると言えるだろう。Uberの共同創業者であり、ソフトバンクから数十億ドルの資金を調達したことがある元CEOのカラニック氏は、City Storage Systems(シティ・ストレージ・システムズ)という投資ビークルの下で米国とアジアの不動産を買収してきたが、これも駐車場や廃墟となったモールをフルフィルメントセンターとして利用する事業だ。

大手小売企業もこの新しい収益源に注目しており、米国の小売大手の1つであるKroger(クローガー)は中西部でゴーストキッチンの実験を行っている。

それだけでは不十分な場合でも、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる景気後退とパンデミックを抑えるための政府の対策のおかげで、すでに市場に出回っている利用率の低い資産が数多くある。

あるベンチャー投資家はメールの中で次のように書いている。「国内の大手企業(スターバックス、マクドナルド、ドミノなど)が焦点を当てているように見えるドライブスルーやカーブサイドピックアップに対して、配送業者が今後数年の間どのようにうまく対応していくかによって大きく異なると思う。しかし、配送業者はこれらのスペースを活用する方法には限りがあるが、それに対して、小売業者にはステージングやパッケージの返品に使用できる低コストの小売スペースがたくさんあると言える。既存の駐車場にモジュラーやプレハブのユニットを追加して、拡大のための柔軟性を提供する余地はあるかもしれないが、誰もが急速に成長しているというわけではない。新しい活用方法を探している小売店やオフィスのための商業スペースと、有効活用のために転換された駐車場をどのように比較して考えればいいのか、まだよくわからない」。

リーフ・テクノロジーのラストマイル配送車とDHLブランドの配送車(画像クレジット:REEF Technology)

米国の現代生活を、1年という短いスパンで急速に、これほどまでに変えてしまった新型コロナウイルス感染症の発生が都市環境変革の衝動を生み出したわけではないが、その変革を大きく加速させたことは間違いない。

リーフが認識しているように、都市には未来がかかっている。

2050年までに世界の人口の約3分の2が都市に住むことになり、世界の大都市では、これまで効果的に対処できていなかった経済、市民、環境の変化の圧力により歪が生じている。

モビリティ、ひいてはそれを支える車両を保管し、維持する場所が問題の一部となっている。リーフが指摘するように、現代の米国の平均的な都市の約半分は駐車場に充てられているが、公園が占めているスペースは都市空間の10%にすぎない。リーフの言葉は駐車場の世界を楽園のような空間に変えることを中心に据えているが、その言葉とは裏腹に、コミュニティの交流ではなく、(少なくとも今のところは)商業的なニーズが配達によって満たされるように個人を個々のスペースに隔離することで収益を得ているのが実情である。

それでも、何かを変えなければならないという事実は変わらない。

投資会社Urban.Us(アーバンUs、リーフの投資者ではない)を通じた都市環境の変革への投資家であるStonly Baptiste Blue(ストンリー・バティスト・ブルー)氏はこう語る。「従来のデベロッパーや地域の政策は、新しいテクノロジーや運営モデルの導入に腰が重い。しかし、より良い『都市製品』への需要は高まっており、環境と私たちの生活のために都市をより良いものにしたいというニーズはかつてないほど大きくなっている。未来の都市を建設するという夢は決して消えることはない。今、その夢を支援しているのがベンチャーキャピタルだ」。

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タグ:資金調達 物流

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(翻訳:Dragonfly)

Uber乗車を30日前に予約可能に、お気に入りドライバー指定機能も追加

新型コロナウイルスパンデミック下で消費者を引きつける新たな方法を模索しているUber(ウーバー)は、ユーザーが30日前に乗車を予約し、お気に入りのドライバーを指定できる機能の提供を間もなく開始する。

来週からアプリに登場するUber Reserveという新オプションは、少なくとも乗車の2時間前に配車を予約したいユーザーのためのものだ。2時間以内の乗車の予約ができる「schedule a ride(乗車を手配する)」オプションはそのまま残すとUberは説明した。

「当社の核心のサービスでユーザーの時間を節約しながら、よりフレキシブルにユーザーの暮らしに合うモビリティ機能を構築することで、このアイデアをレベルアップさせたかったのです」とオペレーションリーダーのHolley Beasley(ホーリー・ビーズリー)氏は話した。

画像クレジット:Uber

Reserve機能を使う客にはあらかじめ運賃が示され、乗車に先立ってドライバーがマッチングされる。Uberはまた「お気に入りのドライバー」機能も搭載した。客はアプリにお気に入りのドライバーを加えることができ、Reserve時に「お気に入りのドライバー」から選べる。こうしたお気に入りのドライバーはマッチングで最初に表示されるようにもなる。Uberはドライバーが乗車を引き受けなくても罰則を科されることはないと強調した。

Uberはまた、2つの特典を加えた。客は乗車を予約した時間から15分の遅刻が認められること、それから予約した時間にドライバーが1分でも遅れたら客にUber Cash50ドル(約5300円)を提供してオンタイムを保証することだ。Uber Cashはドライバーの稼ぎからではなくUberから直接提供されるとTechCrunchに語った。

ドライバー向けの保護も追加したともUberは話した。Reserve予約が乗車1時間前にキャンセルされた場合、ドライバーは運賃の全額を受け取る。

UberのプロダクトマネジャーであるGeoff Tam-Scott(ジオフ・タム・スコット)氏によると、この機能は新型コロナ前に開発されていた。しかし新型コロナが拡大するにつれ、既存のスケジューリング機能がより頻繁に使用されていることに気づいた。夏前までには「Reserve機能の開発を加速させようと、総力を挙げて取り組んでいた」と同氏は付け加えた。

Uber Reserveはまず米国の20都市で、プレミアムなUber BlackとBlack SUVで提供される。そして年末までにUber X、comfort、XLといった他の乗車オプションでも利用できるようになる。立ち上げ時に利用できる都市はアトランタ、オースティン、シャーロット、チャールストン、シカゴ、ダラス、デンバー、D.C.、フォートマイヤーズ / ネープルズ、ヒューストン、ラスベガス、マイアミ、ミルウォーキー、ナッシュビル、ニュージャージー、ニューヨーク市、ニューオリンズ、オーランド、フィラデルフィア、フェニックス、シアトルだ。

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タグ:Uber

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

電動キックスクーターのTierがソフトバンクがリードするシリーズCで263億円調達

ベルリン拠点のマイクロモビリティスタートアップであるTier(ティア)がシリーズCラウンドで2億5000万ドル(約263億円)と巨額の資金を調達した。本ラウンドをリードしたのはSoftBank Vision Fund 2で、同ファンドのチームがまだリスクとポテンシャルの高い賭けにフォーカスしていることを物語っている。

念のために記しておくと、SoftBank(ソフトバンク)はVision Fundを通じて多くのレートステージ企業に投資してきた。ポートフォリオにはNuro、Getaround、GetYourGuide、DoorDash、Grab、WeWorkなどの名が並ぶ。しかしスクーターシェアのスタートアップに投資するのは今回が初めてだ。

Tierの既存投資家であるMubadala Capital、Northzone、Goodwater Capital、White Star Capital、Novator、RTP Globalも今回のラウンドに参加している。Financial Timesによると、Tierのバリュエーションは10億ドル(約1054億円)を少し下回る。

Tierは米国ではあまり知られていないが、欧州で急速に事業を拡大してきた。現在10カ国80都市で展開している。利用できる電動キックスクーターの数は6万台だ。

LimeやBird、Dottなど他の電動キックスクーターレンタルスタートアップと同様、Tierでもアプリを使ってスクーターの施錠・解錠ができる。請求書は数分もせずに届く。

新たに調達した資金で、Tierはサービス提供都市と車両を増やし、新たなプロダクトも投入する。同社はまた、車両を増やすのに重要な融資限度額を決める過程にある。

そしてTierは競合相手と差別化を図ろうとしている。例えば、同社はユーザーがバッテリーを交換できる第4世代のスクーターの開発に取り組んでいる。

画像クレジット:Tier

ほとんどのスクータースタートアップがすでにデッキ部分に交換可能バッテリーを搭載し、マイクロモビリティ企業がそうしたバッテリーの取り替えのために町中を徘徊している。しかしTierはそうしたバッテリーをユーザーたちが取り替えられるよう、目のつくところにバッテリーを設置したいと考えている。

だからこそTierは欧州でのエネルギーネットワーク構築を視野に入れている。小規模店はTierと提携して4つのスロットがあるバッテリードックを提供することができる。ユーザーはライドの終わりにバッテリー交換と無料クレジットを獲得するためにそうした店に立ち寄ることができる。このバッテリーネットワークはGogoroが台湾で展開している充電ステーションネットワークを彷彿とさせる。

DottのようにTierも、自社をシェアリングエコノミー企業ではなくロジスティック企業と認識している。十分な支払いを受けていないフリーランスのパートナーに頼ってコストを下げる代わりに、同社はプロセスを最適化し、一元化されたシステムを採用しようとしている。

他に差異化を図っている点として、Tierはユーザーのために折りたたみ式ヘルメット(未訳記事)をハンドルバー下のボックスに用意している。古いスクーターが交換時期にきたときは、Tierは改装してmyTIER上でドイツの消費者に販売する。同社はまたベルリンの電動モペッドの会社も買収した。

Business Insiderによると、Tierの2020年第3四半期決算はEBITDAベースで黒字だった。しかし同社は2020年上半期に赤字を計上している。人々は夏にスクーターによく乗る傾向があるため、スクーター利用には季節性要素がある。

また、現在も続いている新型コロナウイルスパンデミックのためにマーケットがどのように進化するか予想するのは難しい。しかしTierはいま、当面展開するだけの十分な資金がある。

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タグ:TierSoftBank Vision Fund資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

イーロン・マスク氏のThe Boring Companyがオースティンで事業立ち上げか

最近の求人広告を見ると、Elon Musk(イーロン・マスク)氏の、トンネル掘削と輸送のスタートアップであるThe Boring Companyはオースティンで次をプロジェクトを狙っているようだ。

2019年にラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)のピープルムーバーの建設と運営に関する契約を獲得したThe Boring Companyは、米国時間11月9日にオースティンでの採用に関するツイートを投稿した。同社のウェブサイトにはエンジニアリング、会計士および事業開発の職種など募集する職種が記載されており、これによりThe Boring Companyがオースティンにおける恒久的な事業を行おうとしていることががわかる。

The Boring Company:「オースティン・チョーク」は地質学的にトンネル掘削に最適な土壌の1つだという噂がある。​それが本当か知りたい?オースティンに仕事がある。

オースティンは、イーロン・マスク氏の活動の中心地になりつつある。マスク氏が率いるTeslaも2020年7月に、米国の第2工場の立地としてオースティン近郊を選び、そこに11億ドル(約1155億円)を投じて400万から500万平方フィート(約40万平米)の工場を作り、同社の未来的なCybertruck(サイバートラック)とTesla Semi、そして東海岸地区の顧客に販売するためのModel YとModel 3を生産する予定だ。

マスク氏は未来の工場を「エコロジカルパラダイス」と呼び、遊歩道や自転車レーンがあり、一般の人も歓迎される場所だとしている。The Boring Companyの最初の顧客がTeslaになるのかは不明だ。

The Boring Companyには5つの製造ラインがあり、そのすべてがトンネル関連だ。同社は2019年夏に1億2000万ドル(約126億円)を調達した。顧客だけでなく、公益事業者、歩行者、貨物、そしてLoopと呼ばれるサービスが利用するために設計されたベースとなるトンネルを提供している。

同社は「Loop」を、自動運転車で駅間のトンネルを通って時速150マイル(時速約241km)で乗客を輸送する地下公共交通システムだと説明する。また自律走行車はTesla Model S、3、Xだという。ちなみにTeslaの車両には強力な先進的な運転支援システムが搭載されているが、米国運輸省といった政府機関は完全な自動運転車と認めていない。

ラスベガス・コンベンション・センターの職員たちが飛びついたのはこのLoopだ。契約によると、LVCCのLoopは、会議などへの参加者を長さ1kmの2つのトンネルで、一度に4、5台のTesla車に乗せて運ぶ。TechCrunchが確認した計画文書によると、LoopはLVCCが期待しているほど多くの人を運べないようだ。The Boring Companyもそれを認めている。

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タグ:The Boring CompanyTesla

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa

新型コロナワクチンのニュースでUberの株価が上場以来の最高値を記録

新型コロナウイルスのワクチンの候補が90%有効(The New York Times記事)で、数か月後には市場に出回るというニュースの後、Uberの株価が7.38%上がり、48.18ドルに接近した。

製薬企業のPfizerとBioNTechによる発表が、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けていたさまざまな産業に楽観主義を広めたが、その中にはもちろんライドシェアのようなサービスもある。

Uberの株価上昇は、ワクチンのニュースによるその日限りの高値であるだけでなく、同社が2019年に上場してからの最高の終値だ。また、それが45ドルのIPO価格よりも上で終わったのは、2019年の6月以来のことだ。

Uberの株価は、ギグワーカーを独立の契約業者とするカリフォルニア州の条例が成立した先週以来、上向きに振れていた。UberやLyftなどギグワーカーに依存している企業は、その州条例が否決されたら巨額の構造改革に直面しただろう。

その数日後にUberは第3四半期の決算報告を出し、同社の互いに異なる2つの中核事業のもつれた関係が明らかになった。Uberのライドシェア事業は縮小したが利益を生み、一方のフードデリバリー事業は拡大したが、依然として損失が続いている。

Uberの第3四半期の売上は投資家の期待を満たさず、それにより株価は一時的に下げた。しかし投資家たちが州条例の成立と本日のワクチンのニュースを重視したため、安値は短命に終わった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動運転配達のNuroが新たに約526億円調達、ソフトバンクも追加出資

元Google(グーグル)のエンジニア2人が創業した自動運転配達スタートアップのNuro(ニューロ)が5億ドル(約526億円)を調達した。投資家らはロボティクスや自動走行車両のテクノロジーの長期的追求にまだ関心を持っていることをうかがわせる。ポストマネーのNuroのバリュエーションは50億ドル(約5260億円)だ。

今回のシリーズCラウンドはT. Rowe Price  Associates, Inc.のアドバイスを受けたファンドと投資家がリードした。また新規投資家としてFidelity Management & Research CompanyとBaillie Giffordが、そしてSoftBank Vision Fund 1、Greylockといった既存投資家も参加した。

Nuroは2016年6月にGoogleの元エンジニア、Dave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジウ)氏によって設立された。当初はファーガソン氏とジウ氏の資金で賄っていたが、投資家を引きつけるのに苦労はしなかった。NuroはシリーズAの資金調達ラウンドを2016年に中国で終え、NetEaseの創業者Ding Lei(ディン・レイ)氏がNuroの役員会に加わった。そして2つめの資金調達を米国で2017年6月に実施し、NuroのシリーズAラウンド調達総額は9200万ドル(約97億円)となった。しかし、自動走行車両テクノロジーを商業化しようと多くのスタートアップがしのぎを削る中でNuroのリードを支えたのは、2019年2月のSoftBank Vision Fundによる9億4000万ドル(約990億円)という巨額投資だった。この投資により、Nuroのバリュエーションは27億ドル(約2840億円)になり、18カ月で倍増した。SoftBankの資金によってNuroは従業員650人超の企業に成長した。

自動走行車両業界の他のスタートアップと異なり、Nuroは人ではなく荷物を運ぶために低速で走る電気自動走行車両のデザインに注力してきた。同社の最初のテストは、自動運転システムを搭載したトヨタのプリウスで行った。Nuroは2018年にアリゾナ州での配達サービス試験でKroger(クローガー)と提携した。試験では当初プリウスを使い、その後R1配達ボットに移行した。NuroはまたCVS、Domino’s(ドミノズ)、Walmart(ウォルマート)といった企業とも提携した。

それからNuroは第2世代車両R2を開発した。レストランやグローサリーストア、他の事業所向けにデザインされたこの配達ロボットは2020年初め、ドライバーレス車両として走行することできると米政府から例外として認められている。

「我々は安全、そして安価なローカル配達サービスに対する消費者需要における先例のないシフトを目にしている」とCEOで共同創業者のジウ氏は声明文で述べた。「世界のトップ投資家の多くと協業することになった今回の資金調達は、当社の世界に誇れる技術が人々の日常に受け入れられるという未来に向けて自信を与えてくれるものだ」。

R2をアリゾナ、カリフォルニア、テキサス州の公道でテスト走行させている同社はTechCrunchに対して、「複数の都市でサービスを構築し、複数のマーケットで展開するのには数年かかるが、新たな資金により今後しばらくは自信を持って成長できる」と述べた。Nuroは短期的には、ヒューストンでのサービス拡大と商業サービスでのR2活用を目指している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Nuro自動運転資金調達

画像クレジット:Nuro

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(翻訳:Mizoguchi

後付け自動運転システムを開発する中国のスタートアップPony.aiが276億円の資金調達、評価額5476億円に

中国のスタートアップ、Pony.aiが自動運転車ビジネスに参入したのは比較的新しいが、2億6700万ドル(約276億円)のベンチャー資金の調達に成功して53億ドル(約5472億円)の会社評価額を達成した。

今回のラウンドはカナダの教員年金基金を運用するTIPがリードした。画期的なテクノロジーを持つ後期スタートアップの成長を助けることを主な目的としている。ラウンドには中国のFidelity China Special Situations PLC、5Y Capital(以前のMorningside Venture Capital)、ClearVue Partners、Eight Roadsもパートナーとして参加している。資金は主として同社の研究開発に使われるという。

Pony.aiは創立以来4年の間に投資家、OEM、一次下請メーカーの支持を得ることに成功した。中国とカリフォルニアに拠点を持つ同社は、2020年初めのトヨタ自動車からの4億ドル(約413億円)を含めて(Pony.aiリリース)総額10億ドル(約1033億円)以上の資金を調達している。Ponyはトヨタ、Hyundai、Boschなどの著名な自動車メーカー、部品メーカーと提携している。

Ponyが開発している「バーチャルドライバー」は自動車というハードウェアに依存せず、乗用車からトラックまでモデルを問わず後付けできる自動運転システムだ。これは自家用車からライドシェアリング、ロジスティックスまで広い利用範囲を狙っている。同社によればすでに2019年に自動車関連メーカーに長距離輸送トラック向けのテクノロジーを提供していたという。しかし一般に最もよく知られているのは自動運転車によるタクシーサービス、いわゆるロボタクシーだろう。

Ponyはカリフォルニア州フリーモントとアーバイン、中国の広州でライドシェアリングと通勤システムのテストを開始している。Ponyによれば2019年にHyundaiの電動車、KonaとViaのロボタクシー、BotRideに同社の自動運転システムが搭載され公道で通勤用タクシー業務をテストした。これは完全な無人運転ではなく安全確保のために運転席には常に人間のドライバーがいた。BotRideのパイロットプログラムは2020年1月に終了した。

この後、Ponyはカリフォルニア州アーバイン地区でPonyPilotというロボタクシーの公開テストを始めている。新型コロナウイルスによるパンデミックに対応してPonyのロボタクシーも通勤などのシャトルサービスから企業向けパッケージサービスに重点を移している。2020年4月にPony.aiは通販プラットフォーム、Yamibuyに協力し、アーバイン地区で宅配業務の戸口配達部分、いわゆるラストワンマイルを実施することを発表した。Pony.aiは「パンデミックによりオンライン通販の需要が急増し、配送能力が逼迫している中、私たちのサービスは宅配能力の拡大を助けます」と述べている。

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タグ:Pony.ai資金調達

画像クレジット:Pony.ai

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

センサーとAIを使った自動車安全プラットフォーム開発のProvizioが約6.4億円調達

自動車の安全性を向上させるハードウェアとソフトウェアを組み合わせたスタートアップのProvizioは、620万ドル(約6億4000万円)のシード投資ラウンドを終了した。投資家にはAutonomous Stuffの創設者であるBobby Hambrick(ボビー・ハンブリック)氏、Movidiusの創設者、欧州イノベーション評議会(EIC)、ACT Venture Capitalなどが名を連ねている。

Provizioは「5次元」の感覚プラットフォームを開発しており、リアルタイムかつ見通せる範囲の外側で交通事故を感知し、予測し、防止することができるという。同社の「事故防止技術プラットフォーム」は独自のビジョンセンサー、機械学習、超長距離レーダー、予知機能を備えており、高速走行時やあらゆる気象条件での衝突を防止するとのことだ。Provizioのチームは、ロボット工学、AI(人工知能)、ビジョン・レーダーセンサー開発の専門家で構成されている。

ProvizioのBarry Lunn(バリー・ルーン)CEOは、「交通事故死をゼロにすることが、Provizioのすべての原動力です。私たちは日々成長している素晴らしいチームを編成しました。AIは自動車事故防止の未来であり、最先端のAIを搭載したProvizio 5Dレーダーはその目標に向けた第一歩です」。

Provizioには以前にカーネギーメロン大学ロボット工学部門に在籍し、Google / Waymo、Argo、Aurora、Uberなどの初期の自動運転技術を開発したことで有名なScott Thayer(スコット・セイヤー)博士とJeff Mishler(ジェフ・ミシュラー)教授も参加している。

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タグ:Provizio、資金調達

画像クレジット:Provizio

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

フロリダの住民が空飛ぶタクシーLilium Jetをいち早く見ることができる理由

フロリダは、おかしなニュースの出所として名高い。この数週間だけでも、ガレージにワニがいると女性が通報したが、それはプールの浮き具だったとか(News18記事)、洗濯機の中に大蛇を発見した女性とか(MSN記事)、消防士が浄化槽から馬を救い出した(CBS記事)なんて話もあった。

それでも、頭の上を空飛ぶタクシーが飛んでいったというオーランドの住民からの報告は無視するべきではない。それは間もなく現実になるかも知れないからだ。ドイツのミュンヘンに本社を置く創立5年のLilium Aviation(リリウム・エイビエーション)は、ベンチャー投資に支えられ電動垂直離着陸航空機の開発と製造を行うスタートアップだが、フロリダ州オーランド市の税制上の優遇を受けて、およそ5200平方メートルの交通ハブの建設を請け負い、100の高賃金職の提供を目指していると報じられた(Orland Business Journal記事)。

Orlando Sentinel Business(オーランド・センティネル・ビジネス)の記事によると、この計画中の施設は、同社の垂直離着陸機Jet(ジェット)の発着場としてLiliumが初めて米国で展開する交通ネットワークの一角をなす。そこには2500万ドル(約26億円)の投資と、同市の見積もりでは10年間で170万ドル(約1億8000万円)の経済効果が見込まれている。また、2020年9月(Shifted記事)にLiliumはこれとは別に、ドイツのデュッセルドルフ空港とケルン・ボン空港を地域航空交通の拠点にする方法を検討し始めている。

Liliumの航空機は2025年にならなければ運用が始まらないため、いまは各空港の収益増加を話し合うには絶好の時期となった。パンデミックのおかげで旅客輸送はどん底の状態にある。貨物輸送も例外ではない(国際空港評議会報告)。一方、空港の収益の95%は、航空および非航空サービスが占めている。

Liliumは、Tesla(テスラ)の筆頭投資主であるBaillie Gifford主導による投資で、2020年6月に3500万ドル(約36億円)を調達し、使える資金が少し増えた。このラウンドによって、同社の本日までの総調達額は3億7500万ドル(約388億円)となった。

同社への以前からの投資会社にはAtomico、Tencent Holdings、Freigeistも含まれる。

2016年(YouTube投稿)、AtomicoがLiliumに1000万ユーロ(約12億円)(AZO記事)のシリーズA投資を行った際に、TechCrunchではAtomicoの創設者Niklas Zennström(ニクラス・ゼンストローム)氏に話を聞いた。当時は、すでにTerrafugia(テラファージア)やAeroMobile(エアロモバイル)といったライバル企業が存在していたものの、この投資は時期尚早に思われた。しかし、この種の乗り物が日常の足になる日は意外に早いかも知れない。少なくとも、投資家と創設者たちは同じ考えのようだ。いわゆる空飛ぶ車や空飛ぶタクシーを開発している企業は15社を下らない(Digitaltrend記事)。

関連記事:電動航空タクシーのLiliumがBaille Giffordから38億円を調達、評価額が1000億円超に

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タグ:Lilium Jet資金調達

画像クレジット:Lilium

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(翻訳:金井哲夫)

ベントレーモーターズが2026年から電気自動車のみの生産にシフト

VW Group(フォルクワーゲン・グループ)傘下の超高級車メーカーBentley Motors(ベントレーモーターズ)は2026年からプラグインハイブリッド車と電気自動車のみを生産する。今後10年でガソリン車から脱却するのが狙いだ。

同社は米国時間11月5日、ラインアップする全モデルを2030年までにEV化すると発表した。Beyond 100というこのプランはすでに進められており、2つのプラグインハイブリッドモデルが来年、2021年にお目見えする。同社初の電気自動車は2025年に発売される予定だ。

ベントレーモーターズによるとこのプランの目的は、12シリンダー内燃エンジンで動くグランドツーリング車で知られる同社を「持続可能なラグジュアリーモビリティ」におけるリーダーに変えることだ。ベントレーはすでに、築80年の本部を改築し、Carbon Trustによってカーボンニュートラルと認定された英国初の工場となったと説明している。

社長兼CEOのAdrian Hallmark(アドリアン・ホールマーク)氏によると、Beyond 100プランは同社のEV化モデルの開発やオペレーションから、ティア1サプライチェーン、小売ネットワークに至るまで、社のあらゆる部門に関係するという。

ベントレーのシフトは親会社の電動コネクテッドカー生産・販売のリーダーになるという広範な戦略の一環だ。フォルクスワーゲンは2025年までに年間100万台の電気自動車を販売する目標を打ち出している。

同社のプランは、2023年までにすべてのモデルラインにハイブリッド車を持ってきて、オペレーションを改善するという以前の約束を広げるものだ。全サプライヤーは持続可能性の査察をパスし、年末に持続可能性の資格を証明することになる。

ベントレーはただ電気自動車にシフトしているだけではない。自社を「不況知らず」にすることを狙っている。これは、リストラと従業員800人の削減(うち200人は契約社員に置き換わった)で始まった野心的な目標だ。同社は厳しい状態にあったが、他の多くの自動車メーカーもまた新型コロナウイルスパンデミックで政府が命令した事業停止の影響を受けた。ベントレーモーターズは11月5日、コスト削減やリストラによって、社は「酌量できる外部要因にも関わらず、2020年通年で良好な財務実績を達成できる」位置につけていると述べた。

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タグ:ベントレー電気自動車

画像クレジット:Bentley

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(翻訳:Mizoguchi

デリバリー需要の急増もUberの第3四半期売上減少を止められず

デリバリー需要の急増にも関わらず、Uberの第3四半期売上は投資家の期待に届かなかった。

Uberの四半期総取扱高は147億ドル(約1兆5200億円)で、前年同期比10%減だった。売上は31億ドル(約3200億円)で、対前年比18%減だった。

アナリストは売上32億ドル(約3310億円)と予測していた。同社の売上予測未達は、1株あたり損益の予測超えで部分的に緩和された。同四半期のUberの1株あたり損失は0.62ドルで、予測された損失0.65ドルを上回った。

Uberの第3半期純損失は11億ドル(約1140億円)で、1年前の12億ドル(約1240億円)からわずかに改善された。

会社の2つの中核事業は、「二都物語」だった。Uberのライドシェアリング(モビリティー)ビジネスは縮小したが利益は上げた。一方、フードデリバリービジネスは成長したものの依然として赤字だ。

財務用語でいうと、モビリティの調整後純売上は、前年同期の29億ドル(約3000億円)から14億ドル(約1450億円)に下がった。この52%の下落は、2020年第3四半期の「セグメント調整後EBITDA」という強くひねられた指標を61%減の2億4500万ドル(約250億円)へと下落させた。

対照的にデリバリー事業の調整後純売上は、前年同期の3億9200万ドル(約410億円)から11億ドル(約1140億円)へと躍進した。190%の伸びは、同事業部門の不採算性を著しく減少させた。このセグメントは調整後EBITDAを2019年第3四半期のマイナス3億1600万ドル(約330億円)から2020年第3四半期のマイナス1億8300万ドル(約190億円)へと改善することに成功した。

全体で、Uberの調整後EBITDAはマイナス6億2500万ドル(約650億円)で、1年前の同四半期より7%悪化した。

世界に目を向けると、Uberの運はさまざまだった。米国とカナダでは2020年第3四半期の売上は2019年第3四半期と比べて30%減だった。ラテンアメリカでは39%の急落だった。しかしEMEA(欧州・中東・アフリカ)とAPAC(アジア太平洋)地域では、それぞれ20%と43%上昇した。

Uberの四半期末の保有現金および同等物は62億ドル(約6410億円)で、他に短期投資11億ドル(約1140億円)がある。帳簿の反対側を見ると、Uberには約67億ドル(約6930億円)の長期借入金負債がある。

米国のテック系巨人は2020年第3四半期のコストを2019年第3四半期と比べて大幅に縮小し、運用およびサポートの費用を減らし、研究開発および一般管理支出は1年前より増えた。

Uberの株価は時間外取引で2.2%下がった。

いくつかの向かい風を受けながらも、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロウシャヒ)氏は会社の将来と黒字化への道に自信をにじませる。Uberはモビリティ総取扱高の大幅減にもかかわらず、その利益目標を維持するとコスロウシャヒ氏は米国時間11月5日の決算会見で語った。

「現在のコスト構造に基づき、我々は会社の調整後EBITDA損益なし、モビリティ事業の総取扱高、2019年第4四半期の10~20%減を実現できると確信しています」とコスロウシャヒ氏は語った。「2021年のどこかで収支トントン損益なしを実現できると予想しています」。

関連記事:カリフォルニア州でのギガワーカー法案通過を見込んでUberとLyftの株価が高騰

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タグ:Uber

画像クレジット:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏のTeslaブランドのテキーラ「Teslaquila」が約2万6000円で発売

議論を巻き起こしたTesla(テスラ)が経営破綻したという同社CEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏のエイプリルフールのジョークで登場したTeslaブランドの酒、Teslaquila(テスラキーラ)がお目見えした。

同社はいま、Teslaテキーラ(オリジナルのTeslaquilaブランドとは少し異なる)をウェブサイトのリストに載せている。「持続可能な方法で調達しているプレミアムなハイランドアガベとローランドアガベ100%のスモールバッチ」と説明されているこのテキーラは、充電のシンボルをかたどった手吹きガラス瓶に入っている。価格は250ドル(約2万6000円)だ。

セレブがプロデュースしたテキーラはさほど目新しいものではない。俳優のGeorge Clooney(ジョージ・クルーニー)氏が共同で興したテキーラブランドCasamigos(カサミゴス)はDiageo(ディアジオ)に買収され、買収額は10億ドル(約1036億円)だった。Teslaのテキーラは自動車メーカーが販売する初のアルコールかもしれない。同社によると、中身はNosotros Tequila(ノソトロス・テキーラ)が生産しているという。

Teslaのテキーラは2018年4月、頬に乾いた涙の跡が残る意識消失したマスク氏がTesla Model 3に寄りかかり、そして近くに「Teslaquilla」のボトルが転がっているという自身の写真をツイートしたときに初めて登場した。写真の中でマスク氏は「破産」と書かれた段ボールを持っていた。

Teslaは2019年に、米特許商標庁に「Teslaquilla」の商標登録を出願していた。

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タグ:Teslaイーロン・マスク

画像クレジット:Tesla/screenshot

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(翻訳:Mizoguchi

マサチューセッツ州の有権者が自動車データへの前例のないアクセス権限を与える「修理する権利」法案に賛成

マサチューセッツ州の投票者の75%が賛成した投票法案(ballot measure)によって、自動車業界にとって広範な意味を持つ可能性のある厄介な問題が決着した。ある人が車両を購入したならば、そのデータはすべて所有者のものとなるということだ。

投票用紙に第一項として(法案一覧サイト)記載されたその法案は、マサチューセッツ州の消費者に対して、所有している車両を修理する権利を与えている法律を、改定し内容を拡大するものだ。この法案決定により、マサチューセッツ州でテレマティクスシステムを備えた車両を販売する自動車メーカーは、2022年以降のモデルからは、標準化されたオープンデータプラットフォームを装備する必要がある。この標準化されたオープンデータプラットフォームは、車両所有者と独立した修理業者に対して、直接アクセスを提供し、モバイルベースのアプリケーションを通じて、自動車のデータを取得したり診断を実行したりできるようにする必要がある。

重要なことは、この法案が、テレマティクスシステムが収集しワイヤレスで送信するデータをも包含していることだ。また、機械のデータにアクセスできるだけでなく、オーナーや独立したメカニックが修理、メンテナンス、診断テストのために車両にコマンドを送ることも許可する。

マサチューセッツ州には、「修理する権利」(right-to-repair)を率先して訴えてきた歴史がある。2012年には有権者が、自動車メーカーが車載診断用ポートに非独自の標準規格を使用することを義務付ける法律を承認した。このポートとは、ディーラーがデータを取得するために使用している物理的なポートのことだ。その結果、車の所有者は、エンジンチェックのライトが点灯した場合、ディーラーに行く必要がなくなり、代わりに地元の整備士から診断を受けることができるようになった。この法律では、無線で送信されるデータは免除されていた。だがこの免除は、現代の車両のテレマティクスシステムがより高度化するにつれて、「修理する権利」支持者にとってより差し迫った課題となってきていた。

米国時間11月3日に通過したこの法案は、消費者保護の支持者によって称賛される一方、自動車メーカーだけでなく一部のデータセキュリティ支持者からは激しく反対されている。カリフォルニアに拠点を置くiFixitの創業者であるKyle Wiens(カイル・ウィンズ)氏は、「これは大きな前進です」と、TechCrunchへのメールで述べている。「もし自分で修理できないなら、対象を本当に所有していることにはなりません。メーカーが車両にテクノロジーを追加するときには、オーナーが自分で手を入れる権利と、地元の整備士が修理を行えるようにすることに注意を払う必要があります」。

それはまた、利益を生み出す可能性のある機会だともみなされている。

Gartner (ガートナー)のアナリストであるMike Ramsey(マイク・ラムゼイ)は最近のインタビューで、「これは、私たちが携帯電話上に持っているような、アプリの巨大なエコシステムを生み出す大きな可能性を秘めています」と語っている。例えば大規模な車両群を所有する企業が、車両をより適切にモニターし、管理できるようになるだろう。

一方、業界ロビー活動グループのAlliance for Automotive Innovation(AAI、米国自動車イノベーション協会)は、この法案はセキュリティと安全上のリスクを生み出すと主張している 。例えばCoalition for Safe and Secure Data(CSSD)を含む、同投票法案に批判的な人たちは、それはあまりにも範囲が広すぎると主張している。「カリフォルニア州では、より侵襲性の少ない類似法案が否決されました、不要かつ危険だと思われたからです」とTechCrunchへのメールで指摘するのはCSSDの広報担当者であるConor Yunits(コナー・ユニッツ)氏だ。

「自動車会社の懸念は理に適ったものです、つまり『車両に新しいソフトウェアを投入したら、車に変なことが起きるぞ、そいつ安全上まずい』ということなのです」とラムジー氏は語る。

AAIの協会長でCEOのJohn Bozzella(ジョン・ボゼラ)氏は、協会がリスクを軽減するためのなんらかの方策を探ることを、最新の声明として発表している。だが同協会が積極的に法案の範囲を狭めるために戦うかどうかははっきりしていない。

「The National Highway Traffic Safety Administration (米国運輸省道路交通安全局)は、私達の顧客の車両に真のリスクをもたらす、この法案への多大な懸念を示した多くの関係者の1つです。これらの懸念は残されたままです」とボゼラ氏は声明で述べている。「自動車メーカーは、車両に対して安全かつセキュアなサービスを行うために必要な、すべての診断および修理情報を入手可能にしています。消費者が選択できることは変わりません。今後も、自動車メーカーはお客様を保護し、安全性、プライバシー、車両のセキュリティを優先する取り組みを続けていきます」。

この法案の効力は、マサチューセッツ州内に限定されているものの、そうしたものが国内の残りの部分に拡大したという前例がある。最初の「修理する権利」法は、2013年にマサチューセッツ州で施行された。2014年までに業界は、その法案を拡大し、国の残りの部分もカバーするという覚書で合意した。Teslaはその覚書に署名しなかった唯一の自動車メーカーだと、ウィンズ氏は指摘した。

「再び同じことがおきる可能性はとても高いと思います」とウィンズ氏は語り「異なる法律のパッチワークは誰も望んでいませんけれどね」と付け加えた。

「いまこそスマートフォンから農業機械に至るまで、自動車からすべてのテクノロジーに対して『修理する権利』を拡大しべきときです」ウィンズ氏は語る。そして、マサチューセッツ州をはじめとする他の多くの州が、2021年には広範な電子機器「修理する権利」に関する立法の検討を行う準備が整っている、と付け加えた。

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タグ:修理する権利

画像クレジット:Jackie Niam / Getty Images

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(翻訳:sako)