Amazonが電動配達トラック10万台を発注、2021年に納車され環境貢献をアップ

AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は9月19日に、気候変動への影響を縮小するための取り組みを今後も拡大すると発表した。その一環として同社は、ミシガン州の電気自動車メーカーであるRivianに10万台の電動配達トラックを発注する。そしてこのeコマースの巨人は、2040年までにカーボンニュートラルの目標を達成する。それは、国連のパリ協定の合意よりも10年早い。

ワシントンのNational Press Clubのイベントで行われたベゾス氏の発表によると、タイムラインを早めたのは気候変動が急激に拡大しているためだ。現状は、パリ協定が成立した5年前の深刻な予測すら控えめに見えるほど変化が激しい。

会社全体をカーボンニュートラルにするというAmazonの包括的な取り組みは、同社の気候誓約(Climate Pledge)と呼ばれる計画文書にまとめられている。この文書は、近く他の企業にも開示される。Rivianに排気ガスのない配達車を発注したことに加え、Amazonは太陽光エネルギーの利用やカーボンオフセットなどの努力でカーボンフットプリントの削減に努めている。

Rivianによると、これは電動配達車の受注としてはこれまでで最大であり、Amazonへの実際の納車は2021年に始まる。Amazonは2月にRivianに7億ドルを投資し、さらに今月は自動車業界の大手Cox Automotiveが同社への35000万ドルの投資を発表した。また4月には、自動車メーカーのFord(フォード)がRivianへの5億ドルの投資を公表している。

Rivianは昨年、全電動ピックアップトラックやSUVなど消費者製品の生産計画を発表したが、それらの実際の納車は2020年にも始まる予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a.hiwa

「ギグワーカーは労働者」とする法案にカリフォルニア州知事が署名

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は「ギグワーカー」を守るための法案「AB-5」に署名した。AB-5は最近カリフォルニア州下院および上院を通過した。

「本日、我々は現状維持を破壊し、中産階級を再構築して労働者の未来を再建するための大胆な一歩を踏み出した」と同法案を起草したロレーナ・ゴンザレス議員が声明に書いた。「世界最強水準の経済圏として、カリフォルニアは他の州や国の規範となるべく労働者保護の世界標準を設定しようとしている」。

AB-5は、ギグエコノミーの労働者が最低賃金や労災補償などの給付を受けられるように、雇用者がABCテストを適用することを義務付けている。最初に同法案が出されたのは2018年12月で、Dynamex Operations West対ロサンゼルス最高裁判所の裁定を成文化することを目的としていた。その判例では、法廷がABCテストを適用し、Dynamexが労働者を個人契約者であると誤って分類していたと判定した。

そのABCテストによると、ある労働者を独立自営業者として合法的に分類するためには、労働者が雇用者の管理や指示の支配下になく、雇用者の事業範囲外で働き、定期的に他の独立した業務や類似する事業に従事していることを証明する必要がある。

「カリフォルニアには賃金保証や保険と柔軟性のバランスのとれた思慮深い解決を望む大多数のライドシェアリングドライバーを支援する可能性がまだある、という点でニューサム知事にわれわれは同意する」とLyftの広報担当者であるAdrian Durbin[エイドリアン・ダービン)氏がTechCrunch向けの声明で語った。「我々は知事のリーダーシップの下で歴史的合意に達することができると信じている。しかし必要であれば、ドライバーと乗客の望む自由と権利を守るためにこの問題を州民投票にかける準備がある」。

先週Uberは、ドライバーを個人事業主として扱うためにはどんなことでもする、という意思を表明した。

「我々は引き続き妥協による合意を主張する」とUberの法務責任者、Tony West(トニー・ウェスト)氏が先週の電話会見で語った。

先週Uberが説明したように、同社は最低賃金を保証し、引き継ぎ可能な年金を与えるとともにドライバーが「団結して発言する」ことを可能にする枠組みを作ろうとしている。

さらにウェスト氏は、2020年の州民投票の基礎づくりのための法的、政治的な方法も引き続き追究していくと語った。UberとLyftは、6000万ドルの共同プロジェクトを先月発表しており、Uberはさらに投資を増やすことも辞さないと同氏はコメントしている。

「これは我々の第一選択肢ではない」とウェスト氏は言った。「それと同時に我々は、あらゆる選択肢と代替案を検討して21世紀経済にふさわしい枠組みを推進していかなくてはならないが、我々はそのための枠組みをすでに持っていると確信している」

Uberをはじめとするギグエコノミー企業の反対にもかかわらず、同法は2020年1月1日に施行される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転のTuSimpleがUPSなどから約130億円を追加調達

自動運転トラックのスタートアップであるTuSimple(ツーシンプル)がシリーズDラウンドで新たに1億2000万ドル(約130億円)を調達した。本ラウンドを主導したのは中国最大のミニブログサイトWeibo(微博)を運営するSina(新浪)で、この調達により総額は2億1500万ドル(約233億円)となった。

2015年に創業し、中国、米国ではカリフォルニア州サンディエゴとアリゾナ州ツーソンに拠点を置くTuSimpleは2月にシリーズDラウンドで9500万ドル(約103億円)を調達してバリュエーションが10億9500万ドル(約1184億円)となり、ユニコーンの仲間入りを果たした。今回の追加調達にはUPSからの投資が含まれる。UPSは、アリゾナでTuSimpleと自動運転トラックの使用テストを開始した数カ月後の8月にTuSimpleの少数株を取得したと発表していた。

TuSimpleの累計調達額は2億9800万ドル(約322億円)となる。本ラウンドにおける新規投資者としてはCDH Investments、Lavender Capital、そして一次部品サプライヤーのMando Corporationが名を連ねる。

TuSimpleは、調達した資金を自動運転車両技術の開発の継続やアリゾナ−テキサス間の長距離輸送ルートの拡大に使う計画だ。

TuSimpleは業界用語で言うところの「フルスタック・ソリューション」に取り組んでいる。これは、自動運転に必要な各技術をすべて開発して統合することを意味する。TuSimpleはレベル4システムを開発中だ。SAEの定義では、このレベル4というのは車両が特定の状況で運転のすべてを担うことになる。

2017年後半にTuSimpleは、中国と米国でフルトラック2台のテストを拡大することを目的に5500万ドル(約59億円)を調達した。そして2018年までに、アリゾナ州のツーソンとフェニックスを結ぶ120マイル(193km)の高速道路、そして上海で公道試験を開始した。

TuSimpleのCFOであるCheng Lu(チェン・ルー)氏によると、同社はトラック50台以上と顧客18社を抱える。

そうした顧客の1社がUPSだ。UPSは当初、TuSimpleにレベル4の自動運転トラックがネットワーク内でどのように機能するか理解を深めるためのサポートを依頼した。その提携関係は拡大した。両社は5月、UPSネットワークのサービスと効率を改善できるか試そうと、ツーソンとフェニックスを結ぶルートで貨物を積んで走る自動運転トレイラーの試験を開始した。UPSとTuSimpleは目下、フェニックス-ツーソン間で毎日試験を行っている。

画像クレジット: TuSimple

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(翻訳:Mizoguchi)

インド最大のライドシェアサービス「Ola」が2輪車サービスに本格参入

インド最大のライドシェアサービスOlaは、同社の2輪車サービスOla Bikeが現在インド国内150以上の市町村で運用中であり、来年にはこの事業の規模を3倍にする計画であることを発表した。

ソフトバンクの支援を受けている創業8年の同社によると、Ola BIkeは「インドの辺境地」での運用が可能であり、数百万の人たちに便利なオンデマンド輸送手段を低価格な提供している。この2輪車ビジネスは、4輪自動車と同じくドライバーが乗客を載せて運ぶシステムで、2016年の開業以来インドの30万人近い人たちに新たな生計手段をもたらしてきた。

インド最大のライドシェアサービスOlaは、同社の2輪車サービスOla Bikeが現在インド国内150以上の市町村で運用中であり、来年にはこの事業の規模を3倍にする計画であることを発表した。

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Ola Bikeの利用料金は、1kmあたりわずか5ルピー(約7.6円)から。インドにおけるOlaの最大のライバルであるUberも、Uber Motoの名前で2輪車ビジネスを展開している。ただしUber Motoはまだインドの10都市程度でしか利用できない。OlaとUberはともに、3輪自動車によるサービスも同国で提供している。

近年インドではBounce、Vogo、Yuluなどのスタートアップが登場して2輪車レンタルサービスを提供しており、毎日数万人以上の人々が利用している。

Bounceの幹部は最近のTechCrunchのインタビューで、現在バンガロールでは同社のサービスが毎日約8万回が利用されていると語った。

Ola自身も、スクーターレンタルのスタートアップ、Vogoにおよそ1億ドルを出資している。Uberは今年、Yuluと提携してバンガロールで電動バイクサービスの試行を開始した。インドのUber広報担当者は今月TechCrunchに宛てた声明で、パイロットテストは継続中であると話したがそれ以上の詳細は明らかにしなかった。

Olaのマーケティング責任者であるArun Srinivas(アルン・スリニヴァサ)氏は声明で、「来年Olaは100万人以上のバイクパートナーを集める計画」であると語った。そして「Ola Bikeはビハール州チャプラのような小さな村から、グルガオンのような大都市まで、 あらゆるインド国民に早くて信頼性のある移動手段を手頃な価格で提供することを可能にするサービスだ」と付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自転車シェアのJUMPが米国の複数の都市でサービスを中止

Uberが所有するシェアリングサービスのJUMPがここ数カ月、自転車やスクーターをいくつかのマーケットから引き上げている。直近でこの影響を受けた都市はサンディエゴで、同市では海軍基地2カ所を除き9月19日をもって利用できなくなる。

「日々の通勤や通学にかなり大きな影響を及ぼすことは承知している。サービスをこれ以上提供できないことを申し訳なく思う」とサンディエゴの顧客にあてた電子メールに書いている。

この決断は、財政的に責任を持てる方策を見出せるまでサンディエゴ市におけるスクーターサービスを凍結することを市評議員Barbara Bry(バーバラ・ブライ)氏が要求したことを受けた措置だ。

「我々は、現在のマイクロモビリティ規則では運営環境を持続できないとするサンディエゴの当局に同意する。この指摘が、今日サービス提供をやめるとした理由だ」とUberの広報はTechCrunchに対し語った。「より良い規制の検討で市当局に協力したい」。

今週はじめ、JUMPは破壊行為や誤使用にかかる条例を受け、ロードアイランド州プロビデンスから自転車を撤去した。JUMPはまた今月、9カ月しかサービスを展開していなかったアトランタからも自転車を撤去した。しかしスクーターはまだ残されている。

「我々はアトランタで展開している電動自転車サービスを終わらせつつある」とUberの広報はTechCrunchに語った。「スクーターは今後も展開し、市のトップと我々がいかに交通の選択肢を広げていけるか対話を続けることを楽しみにしている」。

アトランタでのサービス中止は、市当局がドックレス自転車に関する許可プロセスを中止し、夜間の使用中止を実施したことを受けてのものだ。一方、JUMPはダラスサンアントニオからも何の説明もなしに自転車を引き上げた。スタテン島では、当局がJUMPに自転車を撤去するよう命じた。6月以来、JUMPは少なくとも6つのマーケットで自転車サービスを取りやめている。

「我々のゴールはJUMPの電動自転車とスクーターを交通エコシステムにおける持続可能な選択肢にすることだ」とUberの広報は語った。「現在、世界25都市でJUMPを展開していて、それぞれの状況に応じて運営を判断している」。

そうしたケースバイケースの決断は、少なくとも部分的には利用状況や破壊行為、盗難などそれそれの点を鑑みてのことのはずだ。

一方、サンフランシスコはJUMPの自転車事業にとっていいマーケットのようだ。8月、JUMPのサンフランシスコにおける利用が100万回を達成した。サンフランシスコでは2018年1月に自転車500台でサービスが始まった。今年はじめ、JUMPは他のドック型自転車サービスのプロバイダーに比べて高い利用率であることをアピールした。ただ、他の自転車シェアプロバイダーの展開を阻止しようと、つい最近裁判所がLyftの試験展開を承認したことを考えると、そうした状況はすぐに変わるかもしれない。

もちろん、マイクロモビリティの運営で問題に直面しているのはUberのJUMPだけではない。7月、Lyftはバッテリー火災を受けてサンフランシスコから電動自転車を引き上げなければならなかった。そして8月、Limeの自転車がシアトルで火災を起こした。Uberにとって、自転車やスクーターの火災を起こしていないのは少なくとも前向きなことといえる。

言いたいのは、マイクロモビリティは手軽なビジネスではないということだ。法規制、破壊行為の可能性、不全バッテリーなど、成功に向け多くの要因が立ちはだかっている。

画像クレジット: PHILIPPE LOPEZ/AFP/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

砂の惑星タトゥイーンで乗りたいアウディのオフロード仕様の電動コンセプトカー

コンセプトカーはモーターショーには不可欠のもの。ほとんどの車は、結局生産されることなく終わってしまうが、自動車メーカーが何を考えているのか、そしてどこを目指しているのかを知る手がかりになる。

このAudi(アウディ)のコンセプトカーは、デザイナーやエンジニアが、地球から遠く離れた惑星を思い浮かべて開発したものかもしれない。少なくとも広大な荒野を想定したものだろう。

Audiは、米国時間9月10日に、フランクフルトのモーターショーで「Audi AI: TRAIL Quattro」を発表した。「オフロード車の未来」を念頭に設計された電動のコンセプトカーだ。この「TRAIL」は、同社が2017年以降、あちこちの自動車ショーで発表してきた4種のコンセプトカーのうちの1台で、オフロード車だ。他の3種のコンセプトカーは、スポーツカー、高級車、そして巨大都市を想定して設計されたもの。

Audiは、こうしたコンセプトカーは、無益な試みではないと主張している。こうした4種の車は、将来の同社の車が、特定のユースケースに対して、どのように設計されうるものかを示しているという。

「将来的には、お客様は、Audiのオンデマンドの車両プールの中から、お好みや目的に応じて特徴的なモデルを選び、一定期間だけリースできるようになります」と、同社は発表した。

Audiでは、このオンデマンドのサブスクリプション方式をさらに推し進めようとしている。そのため、まだこの世に存在しない、完全に概念的なオンデマンド製品を使用する顧客ごとの好みに合うよう、車の構成を変更可能なものとすることも考えている。同社によれば、重要な顧客情報は、すべてmyAudiと呼ばれるシステムと、それに付随するアプリに保存されるという。

以下のビデオでは、Audiのデザイン責任者マーク・リヒト(Marc Lighte)氏が、こうしたコンセプトの背後にある考え方を説明している。

Audi AI: TRAILの場合、デザイナーが重視したのは、探検心と、周囲の環境の眺望だ。この車には、5機のドローンが付属している。ヘッドライトの代わりになるだけでなく、たとえばキャンプする場所や、ピクニックスポットを照らし出したりすることができる。

このコンセプトカーは、フル電動で、航続距離は最大310マイル(約500km)だ。全長は約13.5フィート(約4.1m)、幅は7フィート(約2.1m)で、22インチのホイールを装着している。オフロード仕様なので、デザイナーは13.4インチ(約340mm)の最低地上高を確保した。この車がこの仕様のまま現実のものとなれば、50cmを超える深さの川でも渡ることができる。航続距離は、悪路の場合には約155マイル(約250km)と短くなる。これでは、この車が実在したとしても、実際に荒野を走破するのはちょっと躊躇するかもしれない。

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バッテリーユニットは床面に組み込まれていて、定員の4人が乗っても広々とした室内を確保している。キャビンはガラスで囲まれているので、周囲の眺めは並ぶものがないほど良好だ。地球の風景はもちろん、タトゥイーンの砂漠に沈む2つの太陽の眺めもすばらしいはず。

車体の外装はハイテク鋼、アルミニウム、炭素繊維を組み合わせたもの。総重量は3858ポンド(約1750kg)に抑えられている。

この車は、4機の電動モーターによる4輪駆動方式を採用している。自動運転も可能な、運転アシスト機能も搭載する。ただし、移動中にストリーミングビデオを観るためのディスプレイは装備していない。この車のコンセプトは、あくまで外の世界の眺望を楽しむことにあるのだ。

リサイクル素材を使用した内装は、必要最小限のもの。ペダル、ヨーク型のハンドル、いくつかのボタンがあるだけ。あとは、ハンドルの中央にスマホをセットして、車の機能やナビゲーションのコントロールセンターとして使えるようになっている。

後席のシートは、ハンモックのようにして使うこともできる。また取り外して車の外に設置し、アウトドア用の椅子として利用することも可能。

ドローンをヘッドライトに

中でも最も興味深いのは、5機のローターレス電動ドローンを装備し、さまざまな目的に利用できることだろう。このドローンは、マトリックス状のLED照明を備えている。また屋根に取り付ければ、電磁誘導による充電機能を使って電力を供給することも可能だ。

Audiでは、こうしたドローンを「Audi Light Pathfinders(光の先導者)」と呼んでいる。飛行しながら車の前方の道を照らすことができるからだ。同社は、これらのドローンによって、車のヘッドライトを完全に置き換えることができるとしている。車を止めて駐車すると、ドローンは車の周囲を照らすこともできる。

このような仮想のユースケースでは、車の乗員がスマホを使って、ドローンをコントロールすることができる。ドローンに搭載されたカメラの映像は、Wi-Fiを介して送信し、ドライバーの前のディスプレイに表示できる。Audiでは、これを「空にある目」だとしている。

画像クレジット:Audi

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

EVピックアップトラックのRivianがCox Automotiveから380億円調達

冒険心をくすぐるピックアップトラックやSUVの展開を計画している電気自動車メーカーのRivianが、自動車関連のサービスをグローバルで提供しているCox Automotiveから3億5000万ドル(約380億円)を調達した。

両社は米国時間9月10日火曜日、「サービスオペレーションやロジスティック、デジタル小売で協力する機会を模索する」とも話した。それ以上の詳細は語られなかった。しかし、Rivianの共同創業者でCEOのRJ Scaringe(RJ・スカリンジ)氏は、この提携はRivianが消費者にサービスを提供するのをサポートすることになる、とほのめかした。

「我々はケアや配慮が行き届いた車両、というような体験になるように取り組んでいる」とスカリンジ氏は話した。「この一環として、一貫した顧客体験を提供するためにCox Automotiveとともに働くことを楽しみにしている。Cox Automotiveはグローバルでの存在感、サービスとロジスティックの能力、小売テクノロジープラットフォームを有する、素晴らしいパートナーだ」。

Cox Automotiveはロジスティックや車両管理、サービス、そして同社が販売してサービスを提供する車が必要とするバックエンドの小売サービスであるデジタル小売など、さまざまな専門を抱える。例えば、Cox Automotiveは1月にPivetという名称のタスクマネジメントを管理する車両サービスブランドを立ち上げた。タスクマネジメントには車両登録や車両登録抹消、クリーニング、修繕、燃料補給と充電、メンテナンス、ストレージ、パーキング、ロジスティックなどが含まれる。

Rivianはこれまではっきりと車両の定額利用サービス計画を発表していないが、車メーカーがビジネスモデルとして定額利用を扱うなら、このタイプのサービスは使い勝手がいいだろう。

Cox Automotiveはまた、電気自動車の機運の高まりを最大限生かそうと、バッテリー診断や使用済みバッテリーの再利用方法といった事業を構築してきた。

親会社Cox Enterprisesと同様、Cox AutomotiveはRivianを売り込むベースを持っている。Cox EnterprisesはAutotrader、Kelley Blue Book、Pivet、 RideKleen、そして世界150カ所で車両の輸送やサービス、オークションを展開しているManheimなどを含む30の自動車関連ブランドを抱えている。

Cox Automotiveとの提携は、今年あった巨額の資金調達2件に続く動きだ。2月にRivianはAmazonが主導するラウンドで7億ドルを調達した。その2カ月後、Ford Motorからの5億ドルもの投資を発表した。

こうしたビッグネーム投資家がいるにもかかわらず、Rivianは依然として独立した会社であり続ける。これはスカンリジ氏が過去数年間、TechCrunchに対して繰り返し語ってきた願望だった。Cox AutomotiveはRivianの役員会に1人メンバーを送り込む。

「新たなモビリティの将来において重要な役割を果たすであろう車両の電動化で、今回の提携はCox Automotiveにとって新たな発見と学習の機会となる」とCox Automotive Mobility Groupの会長であるJoe George(ジョー・ジョージ)氏は声明文で述べた。「バッテリーテクノロジーの進歩と車両の電動化は我々がフォーカスしている主要分野で、この提携が互いに恩恵をもたらすと確信している」。

Rivianは2018年11月に全電動R1TピックアップとR1S SUVをLAオートショーで発表するまでなりを潜めていた。スカンリジ氏は2009年にMainstream Motorsという名称で会社を立ち上げた。2011年までに現在のRivianに名称を変更し、拠点をフロリダに移した。今では同社は米国内の4カ所に置く開発拠点と英国のオフィスで1000人超の社員を抱える。社員の大半は対応能力のある自動車サプライチェーンに近いミシガンにいる。

Rivianはまたカリフォルニア州サンノゼとアーバインにも事業所を抱えている。そこではエンジニアが自動運転車両テクノロジーに取り組んでいる。加えて、イリノイ州ノーマルに工場を持っている。その工場はかつてクライスラーとのジョイントベンチャーDiamond-Star Motorsという形で三菱が所有していたものだ。

フレキシブルなスケートボードプラットフォームを採用しているRivian車両の米国での納車は2020年後半が予定されている。

画像クレジット:Rivian

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(翻訳:Mizoguchi)

ギグワーカーの権利を護る法案がカリフォルニア州上院を通過

UberやLyft、DoorDashなどが反対していたギグワーカーのための法案、カリフォルニア州下院法案5(Assembly Bill 5、AB5)が州上院を通過した。その直前にはGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)州知事がこの法案を公式に支持すると署名入り記事で述べていた。

AB5はギグエコノミーの労働者に最低賃金と、労災保険などの福利厚生を確保する。

州上院はこの法案を米国時間9月10日夕方、29対11の票決で通した。すでにこの法案を承認していた下院は今後、法案の修正に関して票決する。そして法案が下院を通れば、支持を表明しているニューサム知事のところへ行く。

労働者団体Gig Workers RisingのメンバーでドライバーのEdan Alva(エダン・アルヴァ)氏は声明で「AB5は始まりにすぎない。毎日のように、変化を求めるドライバーたちの声を聞くが彼らは恐れている。自分の唯一の収入源を失いたくないからだ。でも、仕事がどうしても必要であることは、彼らの労働者としての権利が踏みにじられてもよいことではない。だからこそ団結は重要だ。それがなければ、何も実現しなかっただろう」とコメントしている。

法案は2018年12月に提出され、ロサンゼルスの高等裁判所でDynamex Operations West社に対して下された裁定を法文化することを狙っていた。その訴訟では裁判所は被雇用者かそうでないかを判定するためのABCテストを使って、Dynamexが同社の労働者たちを不正に独立の契約労働者と分類していたと判決した。裁判官は「雇用者のためにサービスを実行する労働者は被雇用者であり、賃金や福利厚生に関し主張しうる」と述べた。

契約労働者として働く1099名の労働者は自分でスケジュールを決め、いつどこでどれだか働くかを決められる。雇用主にとっては、1099名を契約労働者として雇用すれば、給与税や時間外給与、労災保険などの福利厚生を払わずにすむ。

そのABCテストでは、雇用者が労働者を合法的に契約労働者と分類できるためには、労働者がコントロールされないこと、雇用者から指示されないこと、一定範囲以外の仕事をさせられないこと、そして頻繁に「その仕事と同質の仕事や職業や事業に関与している」こと(フリーの専門職)を証明しなければならない。

この法案の主なターゲットに属するUberとLyftは猛烈に反対した。先月、UberとLyftとDoorDashは、この法案が成立しないためなら何でもすると言い出した。ドライバーが被雇用者なら、企業の営業コストが増えるからだ。

Lyftのスポークスパーソンはメールでこう声明した。「本日我々の州の政治のリーダーたちは、圧倒的多数のライドシェアドライバーたちを支援する重要な機会を逃した。彼ら圧倒的多数は、収入のスタンダードと福利厚生を柔軟に均衡させる思慮あるソリューションを求めている。AB5の起草に50以上もの業界が関わったことは、きわめて示唆的である。この問題をカリフォルニアの州民投票にかけて、ドライバーとライダーが望み必要とする自由が保全されることを、心から切望する」。

UberとLyftとDoorDashはそれぞれ3000万ドルずつ資金を拠出して、2020年に州民投票を行い、ドライバーをあくまでも独立の契約労働者として位置づけるつもりだ。

ニューサム知事が署名すれば、この法案は2020年1月1日に法として発効する。

AB5が上院を通過した。LorenaAD80の尽力に感謝したい。組織づくりに何年も費やした全州のドライバーたちと共に祝福したい。次は、本物のドライバー組合づくりだ!

【訂正】AB5は上院による修正を票決するため下院に戻される。TechCrunchはこのことを表すために見出しと記事を修正した。

画像クレジッ:TechCrunch/MRD

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

フォルクスワーゲンの新しい電動ハッチバックID.3の内装をチェック

フランクフルトでのIAA国際モーターショーに先駆けてデビューしたフォルクスワーゲンID.3は、コンパクトなハッチバックのように見えるだろう。もちろんそのとおりだ。

しかし実際に乗り込んでみると、もっと大きな車の中に座っているように感じられる。エンジニアやデザイナーが、電気自動車であることのメリットを最大限に活用して設計した成果だ。内燃機関のエンジンとスペースを争う必要もないので、設計の自由度が向上する。高圧の扁平型バッテリーを、車体の底面に配置することでも、スペースを節約している。また、エアコンのコンプレッサーなどの補機類や、ステアリングラックといった部品は、車の前方にまとめられている。

ID.3の全長は、フォルクスワーゲン・ゴルフと同じだが、オーバーハングが短いため、ホイールベースはゴルフより長い。内装の細部と内部構造を写真で確認してみよう。

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  17. ID - Workshop bei VW Sachsen

簡単にまとめると、この5人乗りのID.3は今年中に生産を開始する。まだ米国での販売の予定は発表されていないが、2020年春には並行輸入で米国にも入ってくるだろう。

最初に量産される車両は、ID.3 1STと呼ばれる特別仕様車。58 kWhのバッテリーパックを搭載し、最長420 kmの航続距離を実現している。装備の違いによって、3種類のモデルがある。ID.3 1STの価格は、エントリーモデルでは4万ユーロ(約476万円)以下となる予定だ。

画像クレジット:フォルクスワーゲン

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ドライバー向け音声ゲームの開発のDrivetimeにアマゾンやグーグルが約12億円を投資

完全な自動運転車は、もう目の前まで来ているかも知れない(いや、まだ先かも)。それに向けて、ドライバーが運転席で時間をつぶすための車内用アプリを開発する、あるスタートアップが投資ラウンドを獲得した。

Drivetime(ドライブタイム)は、運転中に音声で楽しめるクイズや、ゲームや、インタラクティブストーリーを作っているが、このほどゲーム関連スタートアップに多額の投資を行っているMakers Fund(メイカーズ・ファンド)主導による1100万ドル(約11億8000万円)の投資を獲得した。これには、Amazon(アマゾン)がAlexaファンドを通して、Google(グーグル)はGoogle Assistant Investmentsを通して参加している。

現在、Drivetimeのプラットフォームには8つの“チャンネル”があり、限定的な無料版と有料サブスクリプション版(月9.99ドルまたは年99.99ドル)でゲームやストーリーが楽しめるようになっている。同社は、今回の投資を使ってカタログの内容を増やす計画を立てているが、同時に、自身も長年にわたり車内体験のための音声サービスやコンテンツの充実に力を注いでいる今回のビッグネームの戦略的投資会社との関係を、さらに深めるためにつぎ込むという。

共同創設者でCEOのNiko Vuori(ニコ・ブオリ)氏は、究極の目標をTechCrunchにこう話した。「Drivetimeを車のための『インタラクティブ・コンテンツのシリウスXM』に成長させ、独立したコンテンツのチャンネルを数百に増やす」(【訳注】シリウスXMは米国とカナダで通信衛星を使い放送を行っているデジタルラジオ局)。

この目標のために、今回の投資にともない、Drivetimeは米国時間9月9日、鍵となるコンテンツの契約を発表した。

Drivetimeは、米国の長寿クイズ番組「Jeopardy!」(ジェパディ!)と提携して、プラットフォームにクイズチャンネルを開設し、ドライバーが自分の知識を試したり、他のドライバーや知っている人たちと競ったりできるようにする。「ジェパディ!」チャンネルは、同テレビ番組が持つ膨大な知的財産からコンテンツの提供を受ける。さらに、ナレーションは番組司会者のAlex Trebek(アレックス・トレベク)氏が務めるなど、細かい部分にも凝っている。またプレミアムユーザーには、平日に毎日新しいクイズが出題される。

「ジェパディ!」ゲームのソーシャル要素は、できるべくしてできた。サンフランシスコに本社を置くDrivetimeの創設者はみな、ソーシャルゲームの大手Zynga(ジンガ)の出身者だ。ブオリ氏と共同創設者のJustin Cooper(ジャスティン・クーパー)氏、 Cory Johnson(コリー・ジョンソン)氏は、ともにジンガを退社したあと、Rocket Games(ロケット・ゲームズ)という別のスタートアップで働いていた。ロケット・ゲームズは大手ゲーム会社Penn National(ペン・ナショナル)に1億7000万ドル(約183億円)のイグジットを達成している。この記録的な成功例は、この新しいスタートアップに今回のそうそうたる顔ぶれが投資を決める理由にもなっている。

「ソーシャルおよびインタラクティブのフォーマットは、音声エンターテインメントの次なるフロンティアです」と、Makers Fundの投資パートナーであるJay Chi(ジェイ・チ)氏は声明の中で述べている。「10年来の仕事仲間であり、新しいプラッフォフォーム構築では記録的な業績を残したニコ、ジャスティン・クーパー、コリー・ジョンソンは、最高のチームとしてこのアイデアを実現してくれます」。

「ゲームと娯楽は、アレクサの使用事例として顧客が最も好むものです。Alexaが多くの車両に統合されることで、このカテゴリーは人気を増す一方となります」と、AmazonのAlexaファンドでディレクターを務めるPaul Bernard(ポール・バーナード)氏は、また別の声明で述べている。「Drivetimeは、車の中で楽しむ音声主体のゲームへの特化で際立っています。私たちは、彼らと共にアレクサオート体験を拡大し、運転席に座る顧客にできる限り楽しい時間を提供することを大変に楽しみにしています」

今回の3つの投資企業からの投資に先立ち、Drivetimeはおよそ400万ドル(約4億3000万円)の資金調達を行っている。Felicis Ventures(フェリシス・ベンチャーズ)、Fuel Capital(フュエル・キャピタル)、Webb Investment Network(ウェブ・インベストメント・ネットワーク、メイナード・ウェブ氏のファンド)、Access Ventures(アクセス・ベンチャーズ)などからの支援だ。

現在の彼らのアプリのインストール数とユーザー数についてはブオリ氏は明言を避けたが、調査会社App Annie(アップアニー)の資料によれば、大ヒットとまではいかないが、iOSAndroidでそこそこの数字を記録している。

その代わりに、Drivetimeは別の数字に目を向けさせたがっていた。実質的な市場規模だ。北米だけで1億1000万人のドライバーが利用しているという。

そして、これまで順調に築き上げてきたこの実績の上に「ジェパディ!」チャンネルが加わることになる。現在、最も人気が高いカテゴリーがクイズだ。2番目が曲当てクイズ、3番目が朗読となっている。

Drivetimeの前提が面白い。ドライバーは囚われの身の顧客であり、今までは彼らのために提供される娯楽は比較的限定的で、音楽かおしゃべりぐらいしかなかったというものだ。

しかし、個人向けのアシスタントアプリやAmazon Echoなどの家庭用ハブに後押しされて、自然言語に対応した音声ベースのインターフェイスやインタラクティブ機能が発達したことで、新たな機会が開かれた。ドライバーがもっと積極的に参加できる、インタラクティブな音声ベースのコンテンツが開発できるようになったのだ。

交通事故を誘発しないかと心配されるかもしれない。第4代米国大統領の名前や、米国憲法の父と呼ばれた人が誰だったかを思い出そうと(同じ人です)気が散ってしまうことはないのか。

ブオリ氏は、それは逆だと主張する。声を出すことが要求されるインタラクティブなゲームに参加することで、ドライバーの注意力は高まるというのだ。

「安全には何重にも気を遣っています」と彼は言う。「ひとつには、 Alertness Maintaining Tasks(注意力維持作業、AMTs)の安全に関する考え方を採り入れています。また、私たちの製品は予防策にもなります。Drivetimeで遊んでいる間は、その他のことに気を取られることがありません」

現在のコンテンツは、運転中にするべきではない行為にドライバーが向かわないよう抑制する効果があるということだが、運転の必要性が少なくなれば、ドライバーが時間をつぶすためのコンテンツを提供するという別のチャンスも増えてくるのは明らかだ。

長い目で見ると、「ジェパディ!」との契約は、その他の人気テレビ番組を基にしたチャンネルの開設につながる可能性がある。「ジェパディ!」の権利を持つSony Pictures Television Games(ソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・ゲームズ)は、「Wheel of Fortune」(ホイール・オブ・フォーチュン)と「Who Wants to Be a Millionaire」(フー・ワンツ・トゥー・ビー・ア・ビリオネア、訳注「クイズ$ビリオネア」のオリジナル版)の権利も持っている。

「Sony Pictures Television Gamesと共同で、世界で最も偉大なクイズ番組「ジェパディ!」を、最も娯楽に飢えているオーディエンス、つまり、毎日家と職場の間を行き来している北米の1億1000万人の通勤者に提供できることを、とてもうれしく思っています」とブオリ氏は声明の中で話している。

面白いことに、AlexasのスキルやGoogle Homeやその他のスマートホームハブのアプリが成長し、アプリの操作や情報の検索を音声で行う方法が人気を呼んでいるにも関わらず、ブオリ氏によれば、Drivetimeと同じ方法でドライバーに音声ベースの娯楽を提供する競合アプリ開発企業がひとつも現れていないという。

そのためDrivetimeは、今のまま余裕をもってユーザーを増やすことができる。さらに、レガシーな知的資産の有効活用や新しいビジネスを求めるパブリッシャーやコンテンツ企業との契約も楽に増やせる。

「Drivetimeは、車に乗ったドライバーのための安全で刺激的な娯楽開発の先陣を切る開拓者です」と、Googleアシスタント投資グループの代表Ilya Gelfenbeyn(イリヤ・ジェルフェンベイン)氏は声明で述べている。「移動中に音声を使って生産性を維持する人たちが、どんどん増えています。AndroidやiOSのスマートフォンでGoogleアシスタントを使ってテキストメッセージを送ったり、電話をかけたり、手を使わずに遊んだり。私たちはDrivetimeと同じビジョンを掲げています。日々の通勤をもっと楽しくするために、彼らと仕事をするのが楽しみです」

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(翻訳:金井哲夫)

テスラの2018年1月の衝突事故はAutopilotの設計と運転者の不注意が原因と判明

NTSB(National Transportation Safety Board、米国家運輸安全委員会)は、2018年1月にTesla(テスラ)のModel Sが、米国カリフォルニア南部の高速道路に駐車していた消防車に衝突した原因を、米国時間9月4日に明らかにした。運転者の不注意、先進的ドライバー支援システムAutopilot(オートパイロット)の設計、そうした機能への過信といった要因の組み合わせによるものという。

NTSBは、事故に関する重要な詳細を示した暫定的な概要を発行した翌日に、衝突の推定原因に関するブリーフィングを提出した。そこには、消防車に衝突した際に、Model SはAutopilotモードに入っていたことが記されている。

2014年式のTesla Model Sによる衝突事故は、2014年1月22日にカリフォルニア州カルバーシティで発生した。州間ハイウェイ405の上に駐車していた消防車に衝突するまでのほぼ14分間にわたって、そのTeslaではAutopilotが作動していた。運転者は、その事故で負傷しなかった。また消防車には人が乗っていなかった。

Tesla Model Sのオーナーズマニュアルには、こうした機能の制限事項とともに、運転者がハンドルを握り続けることの必要性について、多くの警告が記載されている。しかし運転者は、そうしたことに注意を払っていないのだと、NTSBは言う。さらに重要なことは、TeslaのAutopilotの設計は、運転者が運転操作を放棄することを許していると、NTSBは結論付けている。

NTSBによると、Autopilotは、衝突直前の13分48秒の間作動していた。その間、運転者がハンドルにトルクをかけていたのは、わずか51秒間だけだったと、システムが検出していた。また衝突した車両は、「ハードウェア1」というバージョンであったことにも注意する必要があるという。Model Sの「ハードウェア2」バージョンは、2016年に生産が始まり、より信頼性の高いセンサー類を装備している。

Teslaは、報告書に回答して以下のように述べている。これまでにTesla車のオーナーは、Autopilotを有効にした状態で延べ何十億マイルも走っている。同社の四半期ごとの車両安全性レポート(Vehicle Safety Report)のデータによれば、Autopilotを利用する運転者の方が、そのようなアシスタント機能を利用しない人に比べて、より安全であることが示されている、というのだ。

その衝突事故以降、TeslaはAutopilotシステムに改良を加えてきた。手放し運転に対する警告の時間間隔や、作動可能な条件などを調整したと、同社の広報担当者は声明で述べている。

Autopilotには、2つの重要な機能が含まれている。Autosteer(自動操舵)とTraffic-Aware Cruise Control(交通量感知型クルーズコントロール)だ。自動操舵は、同じ車線を維持して走行することを支援するシステムであり、交通量感知型クルーズコントロールが作動してからでなければ機能しないようになっている。交通量感知型クルーズコントロールは、カメラとレーダーからの情報に基づいて、速度を自動調整する。

衝突の詳細

NTSBによると、そのModel SではAutopilotが作動中であり、相乗り専用レーンを他の車の後ろについて走っていた。衝突の15秒前に、Autopilotシステムは、先行する2台の車を検出して追走を始めた。データによると、衝突の3〜4秒前に、先行車が右に車線を変更したと、NTSBのレポートは述べている。交通量感知型クルーズコントロールは、先行車を検出しなくなったため、Teslaを約21mph(約34km/h)から、クルーズコントロールにセットされていた80mph(約129km/h)まで加速しようとした。この値は、衝突の約5分前に、運転者によって設定されていた。

Autopilotシステムは、Teslaの進行方向に静止している物体を衝突の約0.49秒前に検出し、衝突および衝突予告警告が発動した。これは、視覚および聴覚に訴える警報を発するもの。衝撃の瞬間には、Teslaは30.9mph(49.7km/h)にまで加速していた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ソフトバンクが巨額投資したカーシェアリングのGetaroundがユニコーンに

TechCrunch DisruptのNew York 2011で優勝したGetaround(ゲットアラウンド)は、カーシェアリングのプラットホームだ。同社は今年、新株によるほぼ2億ドルの資金を調達し、ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ)の仲間入りをするだろう。

PitchBookの推計によると、これで2009年創業のGetaroundは評価額が17億ドル(約1820億円)になる。これに対し同社は「資金に関する憶測」にはコメントしないという社則を引用した。

本誌の質問に対する8月29日朝の同社スポークスパーソンは「Getaroundとその投資家たちは密接に協力して成長戦略を進めており、今後の適切な時期により詳しいお話ができるだろう」と語る。

このニュースの前には同社はフランスのカーシェアリングスタートアップであるDrivyを3億ドルで買収した。Drivyはパリに本社があり、ヨーロッパの170の都市で営業している。

Getaroundは昨年3億ドルのシリーズDを完了したが、このラウンドはソフトバンクがリードしてトヨタ自動車が参加した。携帯電話から1時間5ドルで車を借りられる同社のサービスを会員数20万人にまで育てたこれまでの投資家にはMenlo VenturesやSOSVがいる。

近未来に2億ドル(約213億円)の投資があると想定すると、Getaroundのこれまでの調達総額は6億ドル(約640億円)あまりになる。

Getaroundのこの前の資金調達にソフトバンクが参加したかは不明だ。しかし、ソフトバンクはこれまでカーシェアリング市場に積極的に投資しており、代表的な例としては中国のライドシェアDidi Chuxing、Uber、自動運転のCruiseなどが挙げられる。これらについてソフトバンクはコメントをくれなかった。

Getaroundの共同創業者であるSam Zaid(サム・ザイド)氏は昨年の取材で、モビリティへの投資家としてのソフトバンクの能力を強調して「ソフトバンクのいいところは、とても長期的な視野を持っていることだ。だからモビリティの未来に対する考え方もすごくいいし、すべての車が共有車になる、といううちのビジョンを彼らも持っているんだ」と語った。

この前の資金調達でGetaroundは国際進出をすると期待されていた。そして実際に同社は、フランスとドイツ、スペイン、オーストリア、ベルギー、そして英国に「Drivy by Getaround」というブランドで進出した。ただしノルウェーでは「Nabobil」になった。

同社が2011年にカーシェアリングサービスを始めたときは、主にギグワーカーたちに頼り、彼らが自分の車をGetaroundのマーケットプレースに載せて、借りられる頻度により月に500〜1000ドルを稼いでいた。しかしその後は、同じビジネスモデルによる競合他社が続出した。例えば、TuroやMavenは一流のVCたちから資金を得ているカーレンタルサービスだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ポルシェがEVメーカーRimac Automobili株の持分を15.5%に増やす

Porsche(ポルシェ)は、電気自動車部品とハイパーカーの製造を手がけるクロアチアのRimac Automobili(リマック・アウトモビリ)の株式の持分を増やしつつある。ポルシェによる直近の持分増加は、電動モビリティ、特にバッテリーテクノロジーへのさらなる投資を意図している。

ポルシェがリマック株の10%を取得したのはわずか14カ月前のことだ。そしていまこのドイツ車メーカーは9月6日の発表によると、持分を15.5%に増やそうとしている。

ポルシェ執行役員会の副会長であるLutz Meschke(ルッツ・メッサー)氏は「バッテリーテクノロジー分野でのコラボレーションを強化する狙いがある」と話した。電動スポーツカーのTaycan(タイカン)を披露したばかりのポルシェは、2025年までに電動モビリティに60億ドル超を投資すると明らかにした。Taycanの開発には、工場の拡張を含め10億ドル超を費やした。

なじみのない人のために説明すると、リマックはMate Rimac(メイト・リマック)氏によって2009年に設立され、2018年にジュネーブ国際モーターショーでデビューさせた2シーター「C Two」のような電動ハイパーカーで知られている。

C Twoは驚異の1914馬力、最高速度は時速256マイル(約412km)、わずか1.85秒で時速60マイル(約96km)にまで加速できる。これはTesla(テスラ)CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が2017年11月に発表した次世代Roadsterプロトタイプよりも速い。Rimacのバッテリーはまた、フル充電で404マイル(約650km)の走行を可能にする。これは緩いNEDC基準に基づく数字だが、それでも市場に出回っている他のEVを凌ぐ。

しかし、ザグレブに拠点を置き、550人ほどを雇用するリマックはハイパーカーを生産しているだけではない。同社は高電圧のバッテリーテクノロジーにフォーカスし、また電動パワートレインのエンジニアリングと製造を行い、人とマシーン間のデジタルインターフェースの開発を行っている。同社はまた、電動自転車の開発と生産も手がけている。この自転車事業は姉妹会社Greyp Bikes(グリープ・バイク)という形態で2013年に設立された。

「株主にポルシェを迎えたことは我が社の歴史において最も重要なマイルストーンの1つとなった。ポルシェがいま、持分を増やしているという事実は我々のコラボレーションを表す最高の形であり、さらなる緊密な関係の基礎を表している」と創業者のリマック氏は発表文で述べた。「パートナーシップのまだ始まりにすぎないが、それでもすでに期待に応えるものになっている。将来、我々の暮らしに持って来たい多くの共同開発のアイデアを抱えている。基本的には両社にとってウィンウィンの状況をつくること、それからエキサイティングな電動化モデルを開発することで我々の顧客に付加価値を提供することにフォーカスする」。

リマックに関心を寄せていたのはポルシェだけではない。リマックはすでにRenault(ルノー)、Jaguar(ジャガー)、Aston Martin(アストン・マーティン)とも提携している。そして今年5月、韓国の現代自動車と起亜自動車がジョイントで8000万ユーロ(約95億円)をリマックに投資した。このディールでは、3社は高パフォーマンスの電気車両を共同開発することに合意している。

画像クレジット: VW

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(翻訳:Mizoguchi)

ポルシェ初の電動スポーツカーTycanの最新画像21枚

4年前にポルシェは、投資、研究開発、製品方針などあらゆる面で同社の転換点になるコンセプトを披露した。Mission Eと呼ばれたそのコンセプトへの反応を見た同社は、電気自動車を1台作るだけではなく、電動化に向けて数十億ドルを投資するポルシェの決意を強く推し進めている。

米国時間9月4日に3カ国で同時に行われた発表イベントで、世界は初めて同社の戦略の成果を目にすることとなった。

TechCrunch編集部はナイアガラの滝で華々しいデビューを見た。本誌は発表された2モデルのTycan(タイカン)の詳細(価格、パワー、性能など)を報じた。そしてもちろん、タイカンとテスラModel Sとの1対1比較も。さらには、ポルシェのTycan開発過程の詳細も写真とともに紹介した。

本稿では、Tycan Turbo Sセダンがカナダで披露された際の写真21枚をまとめてお贈りする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

UPSが場所により完全EVモードに切り替え可能なハイブリッド長距離トラックを導入

UPSは英国で15台の新型車両を導入する。これは従来の電気自動車に比べて航続距離が長いが、排気ガス規制がある地域や密集した都市部などで、必要に応じて完全にEVモードでも移動できるものだ。これらのトラックは、商用電気自動車技術のスタートアップであるTevvaとの提携により開発されたもので、ハイブリッドモードと完全EVモードを切り替えることで、同サイズのディーゼルトラックと同じ積載量で、400kmの総走行距離を実現する。

これらのトラックは、通常約60マイル(約97km)の走行距離の完全EV配送トラックよりも、はるかに長い距離を走ることができる。また、地域の交通規則にのっとるためにモードを切り替えることもできる。これは特に、英国のバーミンガムとサウサンプトン地域にて展開するのに役立つ。バーミンガムは、市内中心部で電気自動車以外の商用車を遮断するためのクリーンエアゾーンを来年中に導入するからだ。

UPSはすでにEV配送車両を導入しているが、走行距離が長いため、中央倉庫から市内の集配拠点まで移動できなかった。さらにUPSによれば、このハイブリッド方式の配送車両ソリューションは、完全EVトラックよりも多くの荷物を運ぶことができるため、路上の車の台数を減らすことができる。

これらのトラックと標準的なハイブリッドトラックの決定的な違いは、純粋な電気モーターとディーゼルハイブリッド動力を自動で切り替えることができ、排気ガス規制区域に入る時にはジオフェンシングで切り替えることができる点だ。

UPSはこれらのトラックのうち15台を、英国のタムワースとサウサンプトンの顧客向けにすでにしている。これはUPSによる排気ガスの削減と、環境への配慮の取り組みの1つにすぎない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

2018年のテスラ車の衝突事故当時「オートパイロット」が作動中だった

昨年Tesla Model Sが米国南カリフォルニアで消防車に衝突したとき、同社の最新運転支援システムである「オートパイロット」が作動していたことが、米国時間9月2日に国家安全委員会(NTSS)が公開した中間報告書でわかった。

ロイターは、この公開文書の内容を最初に報じた。NTSBが決定した推定原因を含む最終事故報告書は米国時間9月3日に公表される予定だ。

2014年型Tesla Model Sが関与した衝突事故は、2018年1月22日にカリフォルニア州カルバーシティーで起きた。Tesla車は州間高速道路405号線に駐車していた消防自動車に衝突するまでの約14分間オートパイロットが作動していた。運転者に怪我はなく、消防車は無人だった。

Tesla(テスラ)は報告書についてコメントしていない。

報告書によると、オートパイロット走行中に運転者は多数の警告を受けていたにも関わらずほとんどの時間ハンドルを持っていなかった。オートパイロットは衝突前の13分48秒間作動しており、その間に運転者がハンドルに力を加えたことをシステムが検出したのは51秒だけだった、とNTSBは書いている。

その他の発見事項は以下のとおり。

  • システムはオートパイロット作動中の手放し行為について4回の個別の状況下で視覚的警告を与えた。
  • システムは第一レベルの音声警告を1回与えた。それは最初の視覚的警告の後だった。
  • 運転手がハンドルに力を加えていなかったことをシステムが検出した最長時間は3分41秒だった。

2018年に消防車に衝突した事故で、当該車両では「ハードウェアバージョン1」および2017年12月28日にインターネット経由のソフトウェアアップデートでインストールされたファームウェアが動作していた。同テクノロジーは、車線維持、側面接触警告、緊急自動ブレーキに加え、適応型クルーズコントロールやオートステア機能など数多くの便利な機能や安全機能を提供している。

報告書によると、運転者が事故当時携帯メールや通話をしていた証拠は見つかっていないが、ある目撃者は捜査担当者に、運転者は下を向いてスマートホンと思われるものを見ていたと話した。運転者は事故当時コーヒーかベーグルを持っていた可能性があると報告書は伝えている。

オートパイロットは、特に2016年にフロリダ州で起きた死亡事故や、最近カリフォルニア州でModel X運転中に高速道路の分離帯に衝突して死亡したWalter Huang(ウォルター・ファン)氏の事故以来、NTSBが厳しく監視している。2016年の死亡事故の後、国家道路交通安全局(NHTSA)も捜査に乗り出し、最終的にオートパイロットに欠陥は見つからなかった。NTSBは2016年の事故を、システムの制約を含む複数の要因の組み合わせによって起きたものだと結論を下した。

ファン氏の遺族は2019年5月にテスラおよびカリフォルニア州運輸局を相手に訴訟を起こした。不法死亡訴訟はカリフォルニア州最高裁判所サンタクララ郡に提出され、テスラのオートパイロット運転支援システムの欠陥が事故の原因であると訴えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3Dプリンターで作る自動運転シャトルバス「Olli 2.0」が都会のモビリティを変革する

遠くから見る限り、Olli(オリー)も、ここ数年よく見かけるようになった、未来を先取りしたような電動の自動運転シャトルと区別が付きにくい。

背の高い長方形のポッドのような本体に、間隔を思い切り空けて取り付けられたヘッドライト、丸みを帯びたフレームにはめ込まれた開放的な窓。「こっちにおいでよ、乗ってみてよ」と、親しみやすい顔つきで、優しく声をかけられているような気がしてくる。

しかしOlliは、製造方法や、誕生にまつわる話を含めて、普通とはまるっきり違っている。そして今回、メーカーのLocal Motors(ローカル・モータース)は、Olliにアップグレードを施した。それによって、この自動運転シャトルの採用が加速されることを期待している。

Local Motorsの共同創立者兼CEO、John B. Rogers Jr(ジョン・B・ロジャーズ・ジュニア)氏によると、この3Dプリンターによって製造される電動自動運転シャトル、Olli 2.0は、今後急速に普及する見込みだという。

「未来はここにあります。まだ均等に分配されていないだけです」と、ロジャーズ氏は、最近のインタビューで述べている。「私は、よくそう言っています。多くの人が私に『ねえ、この車、いつから走り出すの? 2023年? どうなの?』と聞くのです。私の答えは、今すぐにでも、というものです。まだどこにでもあるわけではない、というだけなのです」。

ロジャーズ氏の未来のビジョンを信じるかどうかは、人それぞれだ。しかし彼によれば、すでにOlli 1.0が説得力のある大使のような役割を果たしてきたのだという。

Olli 1.0は、2016年にメリーランド州のNational Harbor(ナショナル・ハーバー)で発表され、デビューした。ワシントンDCからわずか数マイル南にある、多目的の開発都市だ。それから2年、OlliはオートモビリティLAなどのイベントに登場し、TechCrunchを含むさまざまなメディアにも取り上げられてきた。なんと、あのJames Cordon(ジェームズ・コーデン)でさえ乗ったことがあるという。

Local Motors自体は2007年に設立された。その製品、Olli 1.0シャトルとともに、新興の自動運転車業界では、よく知られた存在だ。しかし、これまでは、Argo AI、Cruise、Uber、Waymoといった、市街地を走るロボタクシーの実現を目指す大きな会社の影に隠れることが多かった。

Olliは、そもそも、病院、軍の基地、大学のキャンパスなど、低速で走行する環境向けに設計されている。

「ニューヨーク市の街中を自動運転車が常に走り回っているというような状況が、すぐに実現するわけではありません」と、ロジャーズ氏は言う。それに対してキャンパスは、今すぐに自動運転車を配備したいと考えているLoal Motorsのような会社にとって、スイートスポットなのだ。キャンパスにはモビリティが必要であり、人々はOlliのような、ロジャーズ氏に言わせれば「親しみやすいロボット」を身近なものと感じ、仲良くすることができる、という。

Olli 2.0

OlliとOlli 2.0は、紛れもない兄弟だ。両方とも低速で走行するものであり、最高速度は同じ25mps(約40km/h)。車体の形状もほとんど同じだ。また、いずれもLocal Motorsの衝突試験に合格し、SAE(米自動車技術者協会)の規定によるレベル4の自動運転機能が搭載されている。これはこの車が、さまざまな条件下で、人間の介入なしに、運転のあらゆる操作を実行できることを意味している。

Olli 2.0では、航続距離がかなり伸びていて、スペックシートによると、1回の充電で最大100マイル(約160km)走行できる。Olli 2.0の製造プロセスも進化し、全体の80%が3Dプリンターで製作できるようになった。またOlliが車軸ホイールモーターを搭載しているのに対し、2.0はハブモーターとなっている。さらにOlli 2.0では、座席も2つ増加し、室内の照明もプログラム可能なものになった。

しかし、Olli 2.0が本当に際立っているのは、改善されたユーザーインターフェースと、特定のニーズに合わせてシャトルをカスタマイズすることを検討している顧客向けの選択肢が増えたこと。ロジャーズ氏は、「適切な相手と組めば、彼らが求めるものを、ほとんど何でも作ることができます」という。

Olli 2.0の外側には、前部と後部に、歩行者を意識した拡声装置とディスプレイが装備されている。前部のディスプレイには「目」を表示して、Olli 2.0を擬人化し、より親しみやすいものに見せることができる。

シャトルの室内では、乗客は高音質のスピーカーとマイク、タッチスクリーンを利用できる。Local MotorsはAPIを公開しているので、ユーザーインターフェースの可能性は無限に拡がる。たとえばLGは、5Gを利用して、Olliのメディアコンテンツをカスタマイズしているという。ただロジャーズ氏によれば、今はまだ詳細を明らかにできないそうだ。

顧客の希望があれば、ARやVRを追加することも可能だ。また、さまざまなニーズに合わせて内装を変更することもできる。たとえば病院では、座席を減らしてスペースを確保し、患者をベッドに乗せたまま運びたいという要求もあるだろう。このようなカスタマイズにより、Local Motorsは他の自動運転シャトルのメーカーよりも優位に立つことが可能になると、ロジャーズ氏は考えている。

Olli 2.0では人とのコミュニケーション方法も進歩している。

Olli 1.0では、IBMのAIプラットフォームであるIBM Watsonを利用して、言語の発声と聞き取りを実現していた。Olli 2.0では、選択肢が増えている。自然言語の処理には、AmazonのディープラーニングによるチャットボットサービスのLexと、IBM Watsonが使用できる。顧客は、そのうちの1つを選択するか、あるいは組み合わせて使うこともできる。いずれについても、変更を加えて、システムをOlliにとって使いやすいものにすることも可能だ。

Olliに関わる多くの人々

自動運転車の配備は、それ自体が一種のレースのようなもの。その参加者としてのLocal Motorsは、カテゴリに分けたり、ラベル付けするのが難しいメーカーだ。その理由はシャトルの製作の過程にある。

それは単に、Local Motorsの2つの工場が、「マイクロファクトリー」と呼べるような、面積が1万平方フィート(約930平方メートル)という小さなものだからではない。アリゾナ州チャンドラーの本社と、テネシー州ノックスビルにあるマイクロファクトリーには、従来の自動車メーカーの工場に見られる工具や金型、プレスの機械がないのは事実だが、Olliが3Dプリンターによって製造されているから、というわけでもない。

決定的ながら、さほど目立たない違いは、Local Motorsと、その親会社のLocal Motors Industries(LMI)が、Olliや、他の製品を生み出す方法にある。LMIは、共同制作と少量生産を特徴とする現地生産のビジネスモデルを持っている。LMIのLaunch Forthと呼ばれるユニットが、数万人ものエンジニアとデザイナーのデジタルデザインコミュニティを管理し、顧客向けの製品を共同製作するというもの。そうして創作されたモビリティ製品の企画の一部は、Local Motorsに持ち込まれ、少量生産用の3Dプリンターを利用したマイクロファクトリーで、OlliやOlli 2.0、さらにはRally Fighterといった製品として製造される。

ロジャーズ氏によれば、こうしたコミュニティと、研究所とのパートナーシップを活用する能力を、直接的なデジタル製造手法を採用したマイクロファクトリーと組み合わせることで、設計から、実際に動作するプロトタイプの製作まで、何ヶ月や何年といった単位ではなく、わずか数週間で持っていけるのだという。

LMIは、コミュニティに向けてコンテストを実施している。コンテンストの優勝者には賞金が与えられるだけでなく、製品が商品化された場合にはロイヤリティを受け取ることもできる。2016年には、コロンビア共和国ボゴタ出身のエドガー・サルミエント(Edgar Sarmiento)という男性が、都会の公共交通システムを設計するというLocal Motorsのコンテストで優勝した。彼が設計したものが、最終的にOlliとなったのだ。

Local Motorsでは、Olliをどこに配備するか決める際にも、コンテスト形式を採用している。

Olliや、その他の製品のUIとサービスを改善するために、新しいデザインコンテストが定期的に開催されている。しかし、それだけでは、共創によって得られる成果を完全には捕獲できない。Local Motorsは、何十もの企業や研究機関と提携している。3Dプリンターの技術は、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)から提供されたもの。他にもOlliには、センサー、AV技術、サプライヤーコミュニティなどについて、有力な協力者がいる。

Local Motorsによれば、たとえば、スタートアップのAffectivaが、Olliの認知システムを提供している。乗客の顔や感情を認識したり、ダイナミックな経路の最適化にも貢献する。また、Velodyne、Delphi、Robotic Research、Axis Communicationsといった企業は、自動運転シャトル本体の知覚スタックを担当している。NvidiaとSierra Wirelessは、ヒューマン・マシン・インターフェイスの主要な部分を担っている。その他、主なところを挙げるだけでも、Bosch、Goodyear、Protean、Eastmanといった会社が、Olliにさまざまな部品を供給している。

Olliは今どこを走っている?

現在、Olli 1.0は全部で9ヶ所のキャンパスに配備されている。中でも最近走り出したのは、Joint Base Myer – Henderson Hallだ。これは、バージニア州アーリントンにある米軍の統合基地で、Fort Myer、Fort McNair、Henderson Hallを統合したもの。またOlliは、カリフォルニア州サクラメント近くのRancho Cordovaにも、最近になって配備された。

Olli 2.0の製造は7月に始まり、今年の第4四半期には納車も開始される予定だ。その前にも、今後6週間ほどで、さらに3ヶ所にOlliシャトルが配備される予定だというが、Local Motorsは、それ以上の詳しいことは明らかにしていない。

Olli 1.0の製造は、顧客から注文を受けた分の納品が済みしだい、今後数ヶ月で段階的に停止される。Olliは、まもなくヨーロッパをも目指す。Local Motorsは、3番めのマイクロファクトリーを、ヨーロッパに建設することを計画している。

画像クレジット:Local Motors Industries

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ギリシャとポーランドでオンライン中古車ショップ運営のSpotawheelが6億円調達、さらなるイノベーションを目指す

ギリシャとポーランドで、米国のCarvana(カーヴァナ)のようなビジネスモデルのオンライン自動車販売を手がけるSpotawheel(スポタホイール)が、新たに500万ユーロ(約5億800万円)の資金を調達した。VentureFriendsがこの投資をリードし、Velocity Partnersと匿名の戦略的投資家たちが参加した。

この投資は株式と融資の両方で行われ、後者は主に、前払いで車を仕入れるための運転資金に充てられる。アテネに本社を置く同社は、2016年に創業以来これで計800万ユーロを調達した。

Spotawheelの共同創業者でCEOのCharis Arvanitis(カリス・アバンティス)氏は「中古車販売は世界的に市場が大きいだけでなく、年率5〜7%で成長しているが、その多くは今だにオフラインの、悪名高い透明性を欠くやり方で行われている」と語る。

そのため買い手は欠陥車をつかまされることを恐れ、複雑すぎる手続きや隠れ手数料、それにバラバラで細切れ状態の供給サイドに悩まされている。バラバラと言うのは主に、3行広告にあふれる零細な売り手と、伝統的なオフラインの中古車販売店の分断を指している。

アバンティス氏は「この業界は売り手の構造がばらばらで、全体的なコントロールがどこにもない。そのためこれまで20年以上もイノベーションとは無縁だった。そして最初のイノベーションは、オンラインの3行広告(Classified Ads)だろう。市場の分断はヨーロッパでとくに著しい。車の売買が複数の国にまたがって行われるので、クオリティーのコントロールや車の履歴の追跡が難しい」と語る。

そこでSpotawheelは、中古車販売のためのオンラインのB2Cプラットホームを提供し、その上で売買のプロセスをゼロから新たに設計して、互いに信頼できてトラブルの起きない買い物体験を作ろうとしている。彼らが考えたのは、eコマースが提供しているような利便性と消費者保護を中古車購入に導入することだ。

それをアバンティス氏を「うちの顧客は車の試乗ができる。全国どこにでも納車し、最大7日間は返品できる。5年の限定保証はヨーロッパ最長だ」と説明する。このビジネスモデルを支えるためにSpotawheelは、予測分析を利用して個々の車の状態や予想される故障を管理している。

同氏によると、Spotawheelは車の仕入れに融資で獲得した資金とマーケットプレースの慣行を併用することによって、全ヨーロッパの個人オーナーやB2Bのリセラーから最良の車を入手している。それには運転資金を利用する車の前払い仕入れや、委託販売などの手法がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ポルシェのTaycanが米航空母艦で0-90-0マイルのテスト走行を実施

Porsche(ポルシェ)は完全電気自動車のTaycan(タイカン)の世界デビューを前に、新たなティーザーを公開した。今回の動画は、まさに遠慮なしの内容だ。

プロレーサーのShea Holbrook(シーア・ホルブルック)氏は、プロトタイプのTaycanを静止状態から時速90.58マイル(約150km)に加速し、その後ブレーキを踏み10.7秒で完全に停止させた。最高速に到達するまでの距離は、わずか422フィート(約130m)だった。

今回のテストが行われた米航空母艦のHornet(ホーネット)は、月面ミッションを行ったアポロ11号や12号の帰還にも使われた。下の動画では、テストの様子が確認できる。

これはポルシェによる劇場型のマーケティング戦略だ。また、ポルシェが電気自動車にかける安全性と性能を誇示するための楽しい方法でもある。なお、今回のテストが0-100-0マイルではなく0-90-0だった理由は明かされていないが、スペースの問題が理由だったのかもしれない。

ポルシェ

Taycanの製品ラインでバイスプレジデントを務めるStefan Weckbach(ステファン・ヴェックバッハ)氏は、このデモが「真剣なテストというより楽しさを求めたもの」だと認めているが、また同時に開発が終りに近い同車両のパワーを示すのに適した方法だとも付け加えた。

「厳しく変わりやすいデッキのサーフェイスにおいても、Taycanの信じられないほどの加速と停止性能は本当に印象的だった。しかし最高速度ではなく、時速100マイルのマージンを目指すことに決めた」と、ヴェックバッハ氏は語る。「ドライバーのシーア氏とTaycanは特別なことができると信じていたが、それでも誰も泳ぎにいかなくてよかった」。

またホルブルック氏によると、外観とは異なりデッキはかなりでこぼこしていたという。

「空と海に向かって意図的に加速するのは私にとって新しい経験だが、Taycanは私に大きな自信を与えてくれた。車体は加速中に、そしてなによりもブレーキ中にも非常に安定していた」と、彼女は付け加えた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Tesla Model 3の内装がハンドル含め完全レザー未使用に

Tesla(テスラ)は米国時間8月31日、同社のModel 3の内装が完全にレザー未使用になったと述べ、今年の年次株主総会でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が約束した内容を履行した。

Teslaはここ数年、レザーを使用しない内装に近づいていた。しかし障害となっていたのは、PETAの活動家からの要請に応えて、マスク氏が6月の同社の株主総会で言及したハンドルだった。

「我々はもう少しで非加熱でレザーを使用しないハンドルを手に入れるところだ」と当時マスク氏は語っていた。「非革素材を加熱する際の課題や、時間の経過とともにどれだけ長持ちするかといった課題がある」。

マスク氏は、Model YとModel 3は2020年までにレザー未使用になると述べたが、Model SとModel Xでも同じ目標を達成できるかどうかは分からないと語っている。

Teslaは一部の株主から2015年に、2019年までに同社の電気自動車の内装に動物由来のレザーを使用しないという提案を受けた。株主はこの提案を拒否したが、一方でレザー未使用の内装部品の採用が始められた。

Teslaはまず、非レザーのシートをオプションで提供することから始めた。また同社は2年前に、Model 3、Model X、Model Sで合成素材の基準を設定した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter