Boseの最新睡眠イヤフォンSleepbuds IIは現時点で最も洗練されている

2020年は睡眠という点で不思議な年だった。筆者の睡眠レベルは「少なすぎる」と「多すぎる」の間を行ったり来たりしたが、多くの場合、前者に近づく傾向があった。2020年は、個人的なストレスからより大きな社会的懸念まで、睡眠不足のいい訳に事欠くことがなかった。

そしてありがたいことに、過去数年間、不眠の問題に対する技術的解決策が不足することもなかった。もちろん、時として根底にある問題を特定するのは難しいし、治すのはさらに難しい。特効薬はない。筆者がこの仕事でいつも得ている教訓だ。1つのテクノロジーですべての病気を治すことはできない(何年にもわたる大がかりで高額の治療で解決できないことは何もないと確信している)。

スリープイヤフォンはそれ自体新しい現象ではまったくない。Bose(ボーズ)は2018年半ばに本格的にこの分野に参入し、このカテゴリーに洗練された(そして高価な)アプローチを提示した。同社は、たとえばオーバーイヤーソリューションを提供するKokoon(コクーン)とはまったく異なる方向に進んだ。

Sleepbudsはその名が示すように完全ワイヤレスのイヤフォンだ。第2世代のこの製品は、Boseがオリジナルで抱えていた大きな問題をいくつか克服した。その中にバッテリーに関する深刻な苦情もあった。250ドル(日本では税込3万3000円)のイヤフォンへの影響はかなり大きく、それは文字通りひと仕事だった。

バッテリーと接続に関する苦情は、こう表現しても良いと思うが、すぐに解決されたようだ。筆者が数週間、就寝時に着脱したユニットは現在大きな接続の問題はない(電話をベッドの近くに置いているものと仮定する)。概ねバッテリーは一晩中もち、残量は20%弱となる。目を覚ましたらケースに入れて、数時間で充電される。

画像クレジット:Bose

とにかく作りはしっかりしている。会社名とそれから連想する価格からそう期待されているはずだ。スライド式のフタがついたランプ内蔵の金属製充電ケースからイヤフォン自体まで、デザインを全体的にきちんと掘り下げて見ていきたい。ささいなことが眠りの大きな障害になると思う人間として、筆者はイヤフォンが煩わしく感じられないことに好意的に驚いた。イヤフォンは快適に耳に滑り込み、耳と同じ高さに保たれるため、何かに引っかかることはない。柔らかくてゴムのようなウイングも、イヤフォンを所定の位置に保つ素晴らしい仕事をしている。

イヤフォンの最大の制限は、実際にはデザインによるものだ。オリジナルと同様、Sleepbuds IIは付属のアプリでのみ動作する。アプリでイヤフォンをペアリングして位置を特定し、Boseの音楽ライブラリーを提供する。同社のスリープサウンドのキュレーションは全般的に成功している。サウンドは、雨や風のような自然の音から、同社が選んだアンビエントトラック(環境音楽)まである。毎晩「Moby Dick(白鯨)」を読みながら海の音を聞く習慣がついた。とにかくこれは眠りにつくかなり良い方法だ。

機能をある程度限定するという判断を評価したい。筆者はおそらく、デバイスでポッドキャストやテレビ番組を聴き始めると思う。だが、バイノーラルビートやアンビエントセレクションなどにより、イヤフォンで何が達成できるのかを見極めたい。究極的には、消費者に選択肢を与えることは正味ではプラスになると思う。

とはいえ、イヤフォンは限られた(しかし拡大する)サウンドライブラリーに対応できるよう調整されている。アクティブノイズキャンセリングはないが、イヤフォン自体のパッシブキャンセリングとオンボードサウンドが、環境ノイズやいびきなどをうまく遮断する。おそらく、たとえば建設現場の騒音には適さないが、睡眠を妨げる微妙な障害にはうまく機能する。また長距離フライトにも適している。再開された時には。

睡眠市場向けイヤフォンは現在何点かあるが、Boseは現時点で最も洗練されたパッケージだと思う。価格は当然のことながら多くの人にとって障壁となると思われる。そして限られたサウンドライブラリーが断念する理由になる人もいるだろう。だがお金があり、眠りにつくのが難しいなら検討する価値がある。

関連記事:ボーズが睡眠に特化したイヤフォン新製品「Sleepbuds II」を発表

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Boseレビューイヤフォンレビュー

画像クレジット::Bose

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

8コアRyzenノートならコレ、1.5kg切りの14型「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」

ファーウェイ・ジャパンは、8コア16スレッドの「Ryzen 7 4800H」を搭載したハイパフォーマンス14型モバイルノートPC「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」を11月17日に発表、11月20日より販売を開始した。市場想定価格は税抜10万9800円。同時発表された「MateBook X」(市場想定価格税抜15万4800円)より低価格ながら、ハイパフォーマンスなAMDプロセッサーを搭載することで、現在日本向けに販売されている同社ノートPCの中で最も高い性能を備えている。

ファーウェイ・ジャパンの14型ノート「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」。市場想定価格は税抜10万9800円。マルチタッチ対応液晶ディスプレーの解像度は2160×1440ドット。指紋認証センサー(電源ボタン一体型)搭載

ファーウェイ・ジャパンの14型ノート「HUAWEI MateBook 14 2020 AMD」。市場想定価格は税抜10万9800円。マルチタッチ対応液晶ディスプレーの解像度は2160×1440ドット。指紋認証センサー(電源ボタン一体型)搭載

8コア16スレッド、7nmプロセスのRyzen 7 4800H搭載による圧倒的パワー

MateBook 14は、CPUに7nmプロセスの第3世代「Ryzen 7 4800H」(8コア16スレッド、2.9~4.2GHz)を採用。メモリー(RAM)は16GB、ストレージは512GB SSD(PCIe接続)を搭載している。

ベンチマークを実施したところ、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は「10009pts」、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは「4040」(快適)だった。

ファーウェイのフラッグシップであるMateBook X(Core i5-10210U搭載)では、CINEBENCH R23のCPU(Multi Core)の数値は「2869 pts」。あくまでも同社ラインナップ内の比較ではあるが、MateBook 14はMateBook Xの約3.49倍の処理性能を備えていることになる。RAW画像の現像、4K動画の書き出しなどにも活躍してくれるはずだ。

TDP45W、7nmプロセスの「Ryzen 7 4800H」を搭載

TDP45W、7nmプロセスの「Ryzen 7 4800H」を搭載

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は10009 pts、CPU(Single Core)は「1253pts」

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は「10009 pts」、CPU(Single Core)は「1253pts」

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは「4040」(快適)

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは「4040」(快適)

「CrystalDiskMark 8.0.0」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は「3569.98MB/s」、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は「2978.55MB/s」

「CrystalDiskMark 8.0.0」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は「3569.98MB/s」、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は「2978.55MB/s」

新旧インターフェースを装備、SDメモリーカードスロット非搭載は残念

インターフェースはUSB Type-C(充電、データ転送、DisplayPort対応)、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI 1.4b、3.5mmヘッドセット端子を用意。通信機能はWi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 5.0をサポートしている。

無線LANがWi-Fi 6(11ax)に対応していない点、SDメモリーカードスロットが用意されていない点は残念だが、新旧インターフェースを揃えているところは使い勝手がよさそうだ。

ボディーはアルミニウム合金製で、カラーはスペースグレーを用意

ボディーはアルミニウム合金製で、カラーはスペースグレーを用意

ディスプレイには14型IPS液晶(2160×1440ドット、185ppi、輝度300cd/平方m、色域sRGB100%、コントラスト比1500:1、タッチ対応)を採用

ディスプレイには14型IPS液晶(2160×1440ドット、185ppi、輝度300cd/平方m、色域sRGB100%、コントラスト比1500:1、タッチ対応)を採用

色域を計測したところ、sRGBカバー率は99.3%、sRGB比は101.1%と表示された

色域を計測したところ、sRGBカバー率は99.3%、sRGB比は101.1%と表示された

8コア16スレッドのRyzen 7 4800Hを効率的に冷やすために、大きめの冷却口が設けられている

8コア16スレッドのRyzen 7 4800Hを効率的に冷やすために、大きめの冷却口が設けられている

キーボードはバックライト付きのフルサイズ日本語キーボード

キーボードはバックライト付きのフルサイズ日本語キーボード

フラッグシップのMateBook Xと同様に、ポップアップ式のウェブカメラ(720p)がキーボード奥に内蔵されている

フラッグシップのMateBook Xと同様に、ポップアップ式のウェブカメラ(720p)がキーボード奥に内蔵されている

本体前面と本体背面

本体前面と本体背面

右側面にUSB 3.2 Gen1 Type-A×2、左側面にUSB Type-C(充電、データ転送、DisplayPort対応)、3.5mmヘッドフォン端子、HDMI 1.4bを用意

右側面にUSB 3.2 Gen1 Type-A×2、左側面にUSB Type-C(充電、データ転送、DisplayPort対応)、3.5mmヘッドフォン端子、HDMI 1.4bを用意

本体以外に、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、クイックスタートガイド、PCリサイクルマークシール、WPS Officeライセンスカードが同梱。本体がUSB Type-A、HDMI端子を備えているのでUSBハブは同梱されていない

本体以外に、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、クイックスタートガイド、PCリサイクルマークシール、WPS Officeライセンスカードが同梱。本体がUSB Type-A、HDMI端子を備えているのでUSBハブは同梱されていない

コストパフォーマンス抜群、モバイル用途にも活用できる携帯性

本体サイズは308×224×15.9mm、重量は約1.49kg。設計容量5万5237mAhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており(Battery reportコマンドで確認)、バッテリー駆動時間は約11.2時間(JEITA2.0)とされている。ディスプレイ輝度100%、バッテリー残量2%までという条件でバッテリーベンチマーク「BBench」を実施したところ、5時間36分12秒動作した。最大輝度でもモバイル用途に十分活用できるバッテリー駆動時間を備えている。

本体の実測重量は1457g

本体の実測重量は1457g

ACアダプターとUSB Type-Cケーブルの合計重量は実測193.6g

ACアダプターとUSB Type-Cケーブルの合計重量は実測193.6g

設計容量5万5237mAhのリチウムイオンバッテリーを搭載

設計容量5万5237mAhのリチウムイオンバッテリーを搭載

14インチで1.5kg切り、モバイルできる8コアRyzen搭載ノート

Ryzen 7 4800Hを搭載しているノートPCはASUS、Dell、HP、MSI、ドスパラなどから発売されているものの、その多くが1.9~2.6kgとかなり重めで、1.5kgを下回るMateBook 14はめずらしい部類に入る。また、実売価格が11万円を切るなど、同CPUを搭載するマシンの中でも特にリーズナブルだ。コストパフォーマンスが魅力のRyzen 7 4800H搭載モデルの中でも、特にお買い得のマシンであることは間違いない。

関連記事
まるで12型MacBookの発展系、13型ノート「HUAWEI MateBook X 2020」
4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」
価格8万円のRyzen 3 4300Uノートの実力は?「ASUS VivoBook Flip 14 TM420IA」レビュー
Ryzen Pro 4000採用で32GBメモリー搭載可能、13.3型「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」
3万7000円という高コスパが信じられない充実装備の13型ノートPC「GemiBook」
4G LTE対応で約8万円、性能バランスが絶妙な日本HPの2in1ノート「HP Pavilion x360 14」
Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」レビュー
完成しているからこそあえて変えない新ThinkPad X1 Carbon、第10世代搭載の順当進化だが発熱は高め

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AMD(企業)ガジェット(用語)Huawei / ファーウェイ(企業)MateBook 14Ryzenレビュー(用語)

まるで12型MacBookの発展系、13型ノート「HUAWEI MateBook X 2020」

ファーウェイ・ジャパンはMateBookシリーズの最新フラッグシップ「HUAWEI MateBook X 2020」を11月17日に発表、11月20日に販売開始した。市場想定価格は税抜15万4800円。MateBook X 2020はフラッグシップに位置づけられているものの、搭載CPUは「Core i5-10210U」と最上位ではない。つまり、それ以外のスペックが最上位にふさわしいということになるわけだ。

ファーウェイ・ジャパンの13型ノート「HUAWEI MateBook X 2020」。市場想定価格は税抜15万4800円。液晶ディスプレーの解像度は3000×2000ドット。サイズW284×D207×H13.6mm。重量は約1.0kg

ファーウェイ・ジャパンの13型ノート「HUAWEI MateBook X 2020」。市場想定価格は税抜15万4800円。液晶ディスプレーの解像度は3000×2000ドット。サイズW284×D207×H13.6mm。重量は約1.0kg

パッと見の印象は、かつての12型MacBookをオマージュしたかのよう

率直にいって、MateBook Xを手にしたときの第一印象は、かつての12型MacBookを彷彿とさせる。実際、サイズ・重量を比較してみると、「MacBook(Retina, 12-inch, 2017)」がサイズW280.5×D196.5×H3.5~13.1mm、重量0.92kg。MateBook XはW284×D207×H13.6mm、1.0kgとかなりサイズが近い。ファーウェイは12型MacBookを意識してMateBook Xを開発したのかもしれない。

  • MateBook X 2020:W284×D207×H13.6mm、重量1.0kg
  • MacBook(Retina, 12-inch, 2017):W280.5×D196.5×H3.5~13.1mm、重量0.92kg
  • MacBook Air(M1, 2020):W304.1×D212.4×H0.41~16.1mm、重量1.29kg
本体の実測重量は1014g

本体の実測重量は1014g

ACアダプターとUSB Type-Cケーブルの合計重量は実測191.4g

ACアダプターとUSB Type-Cケーブルの合計重量は実測191.4g

ただし、MateBook Xはウェブカメラをディスプレイ上部からキーボード奥に移動することにより、ディスプレイを狭額縁化して、13型LTPS液晶を搭載している。いわばパッケージングとしてはMateBook Xは12型MacBookの発展系といえよう。

ディスプレイには13型LTPS液晶(3000×2000ドット、278ppi、輝度400cd/平方m、色域sRGB100%、コントラスト比1500:1、タッチ対応)を採用

ディスプレイには13型LTPS液晶(3000×2000ドット、278ppi、輝度400cd/平方m、色域sRGB100%、コントラスト比1500:1、タッチ対応)を採用

色域を計測したところ、sRGBカバー率は97.6%、sRGB比は99.6%と表示された

色域を計測したところ、sRGBカバー率は97.6%、sRGB比は99.6%と表示された

キーボード奥にポップアップ式ウェブカメラ(720p)が内蔵されている

キーボード奥にポップアップ式ウェブカメラ(720p)が内蔵されている

一般的な用途に処理性能は十分だが、最新ゲーム用には厳しい

CPUは前述のとおり、第10世代(Comet Lake)の「Core i5-10210U」(4コア8スレッド、1.60~4.20GHz)を採用。メモリー(RAM)は16GB、ストレージは512GB(PCIe接続SSD)を搭載している。

ベンチマークを実施したところ、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は2869 pts、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは2248(普通)だった。一般的な用途には十分な処理性能だが、最新3Dゲームをプレイするのはちょっと厳しそうだ。

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は2869 pts、CPU(Single Core)は717 pts

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は2869 pts、CPU(Single Core)は717 pts

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは2248(普通)

「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは2248(普通)

「CrystalDiskMark 8.0.0」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は3425.04MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は2979.82MB/s

「CrystalDiskMark 8.0.0」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は3425.04MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は2979.82MB/s

左右にUSB Type-Cインターフェースが分かれているのが◎

12型MacBookと非常に似たデザインのMateBook Xだが、大きく異なっているのがインターフェース。USB 3.2 Gen1 Type-C×2、3.5mmヘッドセット端子と数は決して多くはないが、USB Type-Cを左右にひとつずつ搭載。通信機能はWi-Fi 6(11ax)とBluetooth 5.0をサポートしている。

Apple M1搭載MacBook Pro、MacBook Airのように端子が片側にしか用意されていないと、一方からしか充電できず不便だ。両側面にインターフェースを用意している点は、使い勝手を重視した設計と高く評価できる。

また、HDMI 2.0×1、VGA端子×1を増設するためのアダプター「HUAWEI MateDock 2」が同梱されている点もポイント。別途USBハブを用意する必要がないユーザーフレンドリーな施策といえる。

本体カラーはシルバーフロスト

本体カラーはシルバーフロスト

吸気口などがないスマートな底面

吸気口などがないスマートな底面

キーボードはもちろん日本語仕様。「-」、「^」、「」以外のキーが等幅に揃えられている、打ちやすいキーボードだ

キーボードはもちろん日本語仕様。「-」、「^」、「」以外のキーが等幅に揃えられている、打ちやすいキーボードだ

本体前面にデュアルマイクが内蔵されている

本体前面にデュアルマイクが内蔵されている

右側面にUSB 3.2 Gen1 Type-C×1、左側面にUSB 3.2 Gen1 Type-C×1、3.5mmヘッドセット端子×1が配置

右側面にUSB 3.2 Gen1 Type-C×1、左側面にUSB 3.2 Gen1 Type-C×1、3.5mmヘッドセット端子が配置

本体以外に、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、HUAWEI MateDock 2、クイックスタートガイド、PCリサイクルマークシール、WPS Officeライセンスカードが同梱

本体以外に、ACアダプター、USB Type-Cケーブル、HUAWEI MateDock 2、クイックスタートガイド、PCリサイクルマークシール、WPS Officeライセンスカードが同梱

モバイルのためのトータルバランスを重視した薄型軽量ノートPC

MateBook Xのバッテリー駆動時間は約11.3時間とうたわれている。そこで、ディスプレイ輝度100%、バッテリー残量2%までという条件でバッテリーベンチ「BBench」を実施したところ、6時間30分6秒動作した。モバイルノートPCとして十分なバッテリー駆動時間を備えている。

MateBook Xには最新、最上位のCPUは搭載されていない。しかし、13型の高解像度ディスプレイを12型MacBookと同等の薄型ボディーに搭載しつつ、インターフェースの使い勝手もいい。絶対的なパワーではなく、トータルバランスに優れた薄型軽量モバイルノートPCを求めている方にもってこいの1台だ。

まるで12型MacBookの発展系、13型ノート「HUAWEI MateBook X 2020」

関連記事
4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」
Ryzen Pro 4000採用で32GBメモリー搭載可能、13.3型「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」
3万7000円という高コスパが信じられない充実装備の13型ノートPC「GemiBook」
4G LTE対応で約8万円、性能バランスが絶妙な日本HPの2in1ノート「HP Pavilion x360 14」
Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」レビュー
Surface Book 3はiPad ProとMacBook Proがライバルの2 in 1 PC
13インチと16インチのMacBook Pro、どちらを買うべきか?
携帯性と操作性を両立したSurface Go 2はモバイル特化型PCだ
完成しているからこそあえて変えない新ThinkPad X1 Carbon、第10世代搭載の順当進化だが発熱は高め

カテゴリー:ハードウェア
タグ:ガジェット(用語)レビュー(用語)Huawei / ファーウェイ(企業)

税込4980円!? 触れて聴いて思わず唸ったワイヤレスイヤホン「SOUNDPEATS Sonic」

充電中はフェイスプレート部分の「S」がオレンジ色に光る

税込4980円!? 触れて聴いて思わず唸ったワイヤレスイヤホン「SOUNDPEATS Sonic」

TWS(完全ワイヤレス)イヤホンの「進化」と「深化」

「TWS(完全ワイヤレス)イヤホン」と一口に言うが、最初の製品が発売されてからわずか5年の間に大きな技術的変化を遂げている。オーディオ信号の転送にしても、当初は左から右、あるいは右から左へと片チャンネル分をリレーする形式が主流だったが、近距離磁気誘導技術の一種「NFMI」やQualcomm(クアルコム)の「TrueWireless Streo Plus」など新技術が登場。Bluetooth SoCも進化し、送受信の安定化のみならずDAC部やアンプ部の改良により音質が飛躍的に向上している。

急速な技術的進化にもかかわらず、市場規模拡大や参入企業増加による競争の激化により価格は大幅に低下。つい3、4年前は2万円以上が当たり前だったところ、いまや1万円以下の製品が目白押し。しかも途切れにくくなり、音質も飛躍的に改善されている。音質については、振動板の性能やボディ構造などアナログな部分の影響も大きく、メーカー・製品の差が存在することに変わりはないが、「コーデック」の種類と音響的な性能は5年前から大きく変化している。

今回取り上げるSOUNDPEATSの「Sonic」は、そんなTWSイヤホンの急速な「進化」、あるいは「深化」を感じさせる製品だ。Qualcommの最新Bluetooth SoC「QCC3040」を採用、接続安定性や省電力性を高める「TrueWireless Mirroring」をサポートするほか、状況に応じてビットレートを変動させるコーデック「aptX Adaptive」も利用できる。後述するが、音もしっかり……というより、かなり良い。

「SOUNDPEATS Sonic」。バッテリー駆動時間は約15時間。片側重量は約6g。防水レベルIPX5

「SOUNDPEATS Sonic」。バッテリー駆動時間は約15時間。片側重量は約6g。防水レベルIPX5

物理ボタン兼用のフェイスプレート。タッチ方式より操作ミスが少ないところがいい

物理ボタン兼用のフェイスプレート。タッチ方式より操作ミスが少ないところがいい

音質「aptX Adaptive」

音途切れしにくさ、ケースとイヤホン本体の質感の高さ、先進機能を積むTWSイヤホンとしては圧倒的なプライシングと、このSonicを語るキーワードはいくつもあるが、まず最初に挙がるのは「aptX Adaptive」。このコーデックをサポートするスマートフォン/トランスミッターは、SnapDragon 855/865など比較的新しいQualcomm製チップを積む端末に限られるが、音質を保ちつつ音途切れを減らすという可変ビットレート機構はメリットが大きい。

早速Androiスマホ「Xiaomi Redmi Note 9S」(SoCはSnapDragon 720G)にSonicをペアリングすると、画面には「aptX Adaptive」の文字が。Sonic側に特別な反応はないものの(どのコーデックで接続しても「Connected」とアナウンスされる)、aptX Adaptiveで接続していることが分かる。

aptX Adaptiveはベストな通信状態のときはaptX HD相当(最大420kbps、48kHz/24bit)、通信状態がかんばしくない場合はビットレートを下げaptX相当(279kbps、44.1kHz/16bit)となる。ただしそれはaptX Adaptive対応端末を利用したときの話で、aptX対応だがaptX Adaptive非対応のスマートフォンの場合はaptXでの接続となるため、それがオーディオ信号の情報量の差、ひいては音質差になって現れる。

※:Snapdragon 865で最大ビットレートは640kbps、96kHz/24bitに拡張されている。

そのaptX HD相当かaptX相当かの音質差は、想像以上にはっきりと感じ取れる。シンバルやスネアをロールしたときやピアノのサスティーンなど、音の消え際や余韻が違うのだ。屋内で聴いているとき(通信安定時)はエコーの広がり、音の定位や奥行きもつかみやすく、全体的にすっきりと見通しがいい。aptX Adaptive対応スマートフォンの場合、よほど混雑した場所でもないかぎりaptX HD相当での接続となるはずで、それがSonicの実力だ。

aptX Adaptive非対応スマートフォンでSonicの音を聴くと、印象は少々変わる。iPhone 12(AAC接続)でも整然として緻密なサウンドキャラクターは共通だが、量子化ビット数が24bitから16bitとなり低域・高域の情報量が減るためか、ややおとなしく感じられるのだ。この点、こだわる向きはaptX Adaptive対応端末で聴くべきだろう。

Sonicの充電ケース。一見樹脂製とは思えない質感だ

Sonicの充電ケース。一見樹脂製とは思えない質感だ

充電中はフェイスプレート部分の「S」がオレンジ色に光る

充電中はフェイスプレート部分の「S」がオレンジ色に光る

ウェブ会議にも便利な「TrueWireless Mirroring」

もうひとつの注目点は「TrueWireless Mirroring」。Qualcommが開発したTWS向け左右独立受信技術で、音途切れを減らすとともに省電力効果がある。

TWS向け左右独立受信の技術としては、同じQualcommの「TrueWireless Stereo Plus」があるが、TrueWireless MirroringにはSoC依存がないため、iPhoneでも左右独立受信が可能という大きなアドバンテージがある。Bluetoothアドレスがひとつのため、ペアリングの際「◯◯◯-L」と「◯◯◯-R」のふたつが表示され混乱するということもない。

iPhone 12 Proにペアリングして試してみたが、効果はすぐに確認できた。一般的なTWSイヤホンは、両耳利用から片耳利用のとき、あるいは片耳利用から両耳利用に戻すとき、オーディオ信号を左右のどちらで受信するか交通整理のために音途切れが発生するものだが、TrueWireless MirroringをサポートするSonicではマスター/スレーブの入れ替え(ロールスワップ)を瞬時に行うため、それがない。

だから両耳利用の状態で左側を充電ケースへ戻しても、右側からは途切れることなく音楽が聴こえる。その状態から左側を充電ケースから取り出し、今度は右側を充電ケースへ戻すと左側から音楽が。しかもステレオミックスのモノラル再生だから驚きだ。この仕様は、音楽鑑賞というより音声通話やウェブ会議で重宝されることだろう。

aptX Adaptive対応端末で本領を発揮できる

aptX Adaptive対応端末で本領を発揮できる

TrueWireless MirroringとTrueWireless Stereo Plusの比較

感嘆と呻吟のプライシング

このSonic、さらに驚くべきはプライシング。2020年12月現在、ここ日本での販売はオンラインのみと販路は限られるものの、価格はなんと税込4980円(Amazonでの価格。公式サイトでは税込4794円)。aptX AdaptiveとTrueWireless Mirroringに対応したTWSイヤホンはすでに数モデル存在するが、Sonicはそれらの半値近い価格だ。機能とスペックだけでオーディオ機器は語れない(質が最優先!)ものの、ことTWSイヤホンにおいてaptX AdaptiveとTrueWireless Mirroringというフィーチャーは魅力だ。

記事執筆のためのテストをひととおり終えたあと、思わず腕組みして唸ってしまった。AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用した通販オンリーの製品ということもあるが、ほぼ最先端といっていい機能としっかりした音、そして高い品質 ― イヤホン本体やケースはもちろんパッケージまでハイクオリティだ ― の製品が、税込5000円以下で手に入るとは。うーん。唸るしかない。

関連記事
深夜でも爆音サラウンドを楽しめる「Victor EXOFIELD THEATER XP-EXT1」
オーディオテクニカの意欲作、初の完全ワイヤレス+ノイキャンイヤフォン「ATH-ANC300TW」
シャオミのコスパモンスターなミドルレンジスマホ「Redmi Note 9S」を試す
違いのわかる大人の完全ワイヤレスイヤフォン「Technics EAH-AZ70W」

カテゴリー:ハードウェア
タグ:ガジェット(用語)SOUNDPEATSレビュー(用語)

フォードの新型EV「マスタング・マックE」に初試乗、第一印象はがっかり

これは2021年型Ford Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)スポーツSUVのレビューではない

数週間前、私はこのフォードが間もなく発売するEVに、2時間という短い時間のみ乗ることができた。わずか数時間ほど運転しただけで結論を出すのは気が引ける。マックEにはもっと時間が必要だし、フォードがこの記事を読んだ後、私はおそらく長期テストの列の最後に並ぶことになるだろう。

私がマックEと短い時間を過ごしている間に、1つのことが明らかになった。マックEはマスタングと呼ばれるべきではないし、SUVと呼ばれるべきではない。

マックEをマスタングのSUVと呼ぶことで、フォードは実体のない体験を顧客に売り込もうとしている。これは意味論による議論ではない。マックEは、伝統的な作法に則ったスポーティSUVではない。それはAudi E-Tron Sportback(アウディ・イートロン・スポーツバック)やTesla Model X(テスラ・モデルX)を見ればわかるだろう。これらはマックEに欠落しているいくつかの重要な特性を備えている。マックEが小さく、ゆるく、締まりがなく感じるのに対し、これらのSUVは頑丈で、骨太で、パワフルだ。

気になる点はいくつかある。私はヴィークルダイナミクス(車両の運動性能)に疑問を感じた。スロットルは不快感を覚えるし、リアエンドはトラクションを維持するのに苦労している。航続距離(一度の満充電で走れる距離)はライバル車に比べて劣っており、AWD(4輪駆動)バージョンはテスラの競合モデルより80kmも短い。電気自動車において、運動性能や航続距離よりも重要なことが他にあるだろうか?

  1. Ford-Mustang-Mach-E-2021-06

  2. Ford-Mustang-Mach-E-2021-07

  3. Ford-Mustang-Mach-E-2021-11

  4. Ford-Mustang-Mach-E-2021-01

  5. Ford-Mustang-Mach-E-2021-09

  6. Ford-Mustang-Mach-E-2021-08

  7. Ford-Mustang-Mach-E-2021-05

  8. Ford-Mustang-Mach-E-2021-03

  9. Ford-Mustang-Mach-E-2021-04

  10. Ford-Mustang-Mach-E-2021-10

初期の印象

数週間前、私は2021年式マスタング・マックE AWDに乗って、ミシガン州南部の慣れ親しんだルートを回った。自動車ジャーナリストなら、誰もがこの地域をミシガン州の地獄と呼ぶことを知っている。だが、そんな名前とは裏腹に、原生林の広葉樹が並び、クルマが息を吹き返すような緩やかなワインディングロードが続く素敵なエリアだ。幹線道路を降りて、砂利道でちょっとしたスリルを味わうのも楽しい。しかし、このエリアはマックEには優しくなかった。

短時間のテストだったが、いくつかの印象が残っている。

マックEは、安物のクロスオーバーのようにガタガタと走る。乗り心地やハンドリングに自信も安心も感じられない。「マスタング」という名前がついていても、マックEはマスタングのようには走らない(冗談は置いといて、最新型のマスタングは素晴らしいクルマだ)。マックEは、コーナーに飛び込んで安全に立ち上がることを期待できるようなクルマではない。ボディは大きく傾き、後輪はだらしなく滑り、マスタングという名前に対する敬意は失われてしまう。

アクセルは過敏で微妙な調整がやりづらい。ペダルに足を乗せるだけで、マックEは前方に飛び出す。アクセルペダルを戻すと積極的に作動する回生ブレーキと相まって、マックEの運転には慣れが必要だ。パワートレインは気力が感じられない。電気自動車には洗練させるための修練が必要だ。電気モーターは滑らかに、そしてドライバーの予想どおりにパワーを供給する必要がある。威圧することなく、ドライバーに興奮と自信を感じさせなければならない。難しい公式であり、最初から正解を導き出せる自動車メーカーはほとんどない。

運転してすぐに、AWDのマックEのハンドリングの酷さに困惑させられた。最近のEVは、運転しても安定しているが退屈なものが多い。しかしマックEは違う。リアエンドは乗用車にしては元気が良すぎる。かといってスポーティな性格というわけでもない。これでは単に粗雑で無頓着なだけだ。普通の交差点を曲がるだけで簡単にタイヤが滑ってしまう。アクセルペダルを踏み込んで車輪を回転させようとすると、後輪が空転しないように頻繁にトラクションコントロールが作動する。

マックEをスポーティなクルマと言い張ることで、フォードは自らの技術力以上のものを顧客に期待させようとしているのだ。だが、ドライバーがマックEの性能面に向き合うと、緩みが生じてしまう。私がマックEに試乗していた時、普通にコーナーを回っているのに後輪が予想外の挙動をしたり、車幅が広すぎると感じることが何度かあった。これはスピードが上がるとさらに誇張される。AWDシステムが雪や氷にどれだけ対応できるかも気がかりだ。私が試乗中に、砂利の上で何度か苦労したからだ。

試乗後、フォードのエンジニアにオーバーステアがあまりにも強いことについて尋ねると、彼は「ああ、そんな運転をした場合にはね」と答えた。それが引っかかったのは、私は自分のせいではないと思うからだ。私はミシガン州アナーバー周辺で、マックEを特にアグレッシブに走らせたわけではない。しかも路面は乾いていた。それなのに、私の短いドライブの間に、何度かトラクションコントロールが作動した。そんなことはあってはならないはずだ。

マックEは、真っ直ぐ走る分にはずっと良かった。加速は速い。アクセルペダルを床まで踏み込むと、マックEは後ろ足で路面を蹴り、勢いよく前方に飛び出す。テスラより速いかって?それはない。だが、それでもこの価格帯のクルマの中では一番速いし、信号が変わって発進する際に隣車線のクルマを置き去りにすることは容易だろう。

マックEには3つのドライブモードが用意されている。標準モードとエコノミーモードでは、粗雑で扱いにくい印象のあるパフォーマンスモードよりも、より洗練された秩序に基づいてパワーが供給される。どのモードでも、積極的に回生ブレーキを利用して、いわゆる「ワンペダル走行」(ブレーキペダルを使わず、アクセルペダルの開閉だけで加減速をまかなう走り方)が可能だ。

航続距離もマックEで考慮すべき要素の1つだ。EPA(米国環境保護庁)による推定航続距離は、テスラ Model Y(モデルY)のAWDバージョンが326マイル(約524.6km)であるのに対し、マックEのAWD仕様は最大270マイル(約434.5km)に過ぎない。

今回のような短いテストでは、マックEのバッテリーが現実の路上でどのくらいの距離を走れるかについて、判断を下すことはできない。それにはもっと長い時間、日常的にマックEと過ごし、街中と長距離の両方を含む様々な状況で実際に走らせる必要がある。私が報告できるのは、2時間のドライブの結果だけだ。その際に私は、1kWの電力で平均2.7マイル(約4.3km)の距離を走行した。クルマを返却した時、あと112マイル(約180.2km)の距離が走行可能と表示されており、バッテリー残量は56%だった。私が試乗したのは、容量88kWhのエクステンド・レンジ・バッテリー(標準バッテリーは68kWh)を搭載したAWDモデルだったが、EPAとフォードによると、このバージョンのマックEは1度の充電で270マイル(約434.5km)の距離を走行できるとされている。

マックEの価格設定は、4万2895ドル(約444.2万円)からと競争力がある。AWD+エクステンド・レンジ・バッテリー搭載バージョンは5万4700ドル(約566.5万円)からで、オプションを付ければさらに高くなる。米国の購入者のほとんどは、7500ドル(約77.7万円)の税額控除を受けることができる。テスラ Model 3(モデル3)は3万7990ドル(約393.4万円)から。ロングレンジAWDのModel 3は4万6990ドル(約486.7万円)から、クロスオーバーのModel Y(モデルY)は4万9990ドル(約517.7万円)からだ。

競合他社にも不利な面がある。テスラのModel 3とModel Yは、クラストップの航続距離を誇る斬新なクルマだが、製造品質に疑問が残るなど、欠点がないわけではない。他にもPolestar 2(ポールスター2)のような素晴らしいクルマはあるが、航続距離が短く、価格も5万9900ドル(約620.4万円)からと高い。

  1. Mustang-Mach-E-6

  2. Mustang-Mach-E-7

  3. Mustang-Mach-E-5

  4. Mustang-Mach-E-4

  5. Mustang-Mach-E-2

マックEのインテリアは素晴らしい。だが、それで驚くことはなかった。フォードはそのクラスで最も美しいインテリアをいくつか作っているからだ。マックEの車内もとても素敵だ。

ほとんどのEVと同様に、フォードは伝統的な自動車の部品を現代的な同等品に置き換えるという大きなステップに踏み出した。メーターパネルの代わりに、小さな細長い液晶画面がドライバーの前に装備されている。高級感があり効率的だ。センタースタックには、メディアの再生や空調コントロール用の大型LCDスクリーンが設置されている。スクリーンの下部には回転するノブが取り付けられており、物理的な操作で音量調節が可能だ。私はこのボリュームノブがとても気に入った

シートも問題なさそうだ。私は2時間しか座っていないが。

車内は少し窮屈だが、小型クロスオーバーとしては許容範囲。ドライバーはコマンダーポジションと呼ばれる高い位置に座るので、これがこのSUVを選ぶ理由になるかもしれない。大人2人が座れる後部座席は、街中を巡る小旅行には最適だが、足元のスペースが不足しているので、長時間座っていたいとは思わない。

マックEの車内にはいくつかの楽しい装備も見られるが、私にはそれよりも運動性能に対する不満の方が大きかった。オーナーは自分のスマートフォンをクルマのキーとして使用でき、よくできたロードトリップマップのアプリを使ってドライブ前にナビゲーションルートを設定しておくことができる。ドアはボタン操作で開閉可能。それによってドアノブのないすっきりしたエクステリアを実現している。フォードはさらに、無線アップデートでハンズフリー運転機能も追加するという。しかし、これらの項目はほとんど重要ではない。残念な味のケーキを食べたとき、誰がその飾り付けを気にするだろうか?

長すぎて読む気がしない人へ

私はマックEに乗れることに興奮し、楽観的な気分で短い試乗に臨んだ。だが、私のこのクルマに対する第一印象は悪かった。私にとって、このフォード・マックEは、電気自動車の楽しさを、慣れ親しんだ車名と伝統ある自動車メーカーを通じて、大衆に届ける存在であるはずだった。私はミシガンに住んでいるフォードファンであり、地元の誇りを持ってマックEの開発を見てきた。それなのに、がっかりだ。

現時点では、私は自分の第一印象に基づき、消費者がフォード・マスタング・マックEを購入する前に、競合他車を試すように勧めすることしかできない。私はこのクルマがテスラよりも十分に買う価値があるとは思えない。

関連記事
新型EVフォードマスタングMach-Eを体験、まずはタッチスクリーンの「ボリュームノブ」に感心
フォードがオール電化SUVのMustang Mach-Eの価格を約30万円引き下げ、完全な競争力維持狙う

カテゴリー:モビリティ
タグ:フォード電気自動車Mustang Mach-Eレビュー

画像クレジット:Matt Burns

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

サイバーパンク2077:巨大な可能性を秘めたレトロかつ未来型のファンタジー ― サイバージャンクには目をつぶろう

開発者CD Projekt Redが提供する、「The Witcher 3(ウィッチャー3)」に続く待望の「Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)」の真のレビューを提供することは、実際のところほぼ不可能である。まず第1に、これはあまりにも規模が大きく、この数日間ではゲームを現実的に評価するには十分ではなかった。第2に、これが完成されたゲームになる前にレビューするのは間違っていると感じるほど、あまりにバグが多くてジャンクであった。そして最後に、結局誰もが買うことになるだろうからだ。

ウィッチャー3は、この10年で最も称賛されたゲームのひとつであり、「Breath of the Wild(ブレス オブ ザ ワイルド)」、「The Last of Us(ラスト・オブ・アス)」、「Dark Souls(ダークソウル)」と並ぶものだ。このゲームには精彩を欠いた戦闘、限られた範囲という欠点があったが、主に文章の改良、魅力的なキャラクター、プレイヤーの選択がもたらす効果により、オープンワールドで繰り広げられることを比類ないレベルで実現した。

「サイバーパンク2077」が発表されたのはいわゆるハネムーン期間中であり、それ以来、このゲームには度が過ぎた期待が集まっている。筆者には人々の期待に応えることはできなくともそれ自体はきわめて良いゲームになるだろうと思われる。

しかし、最近の論争は発売に暗い影を落としている。リリース前の危機的状況に対する開発者からの偽善的な非難、ゲームの多様性に関するいくつかの弁解不能な選択(人種差別されたギャングや性とトランス表現への疑わしいアプローチ)および遅延は、これが人々が望んでいた最高傑作とはならないかもしれないことを示唆している。

まず、このゲームはおそらく、少なくとも筆者がプレイしたプラットフォームであるPC上で、さらに数ヶ月磨きをかけるべきだったのではないかと思う。筆者は最初から、キャラクターのアニメーション化の失敗、空中に浮かぶオブジェクト、シミュレートされたオブジェクトが相互作用するオープンワールドのゲームに見られる、明らかな物理的ゆがみといったバグに遭遇した。最初のパッチで修正できるものもあるかもしれないが、これほど大きなゲームを完全にスムーズなものにするのは不可能に近いことは明らかだ。(筆者は40時間のキャンペーンを途中で終えたに過ぎないのだが、前作同様サイドクエストでかなり引き延ばされている)

これは残念なことだ。なぜならCD Projekt Redが創り出した世界は、テーブルトップRPGをベースにしているだけに豊かで愛情に満ちたものであることは間違いないからだ。これを説明するもっとも簡単な方法は、「サイバーパンク」という言葉から想起されるもの、ということだ。それ以上でもそれ以下でもない。

奇妙な未来の人々で埋め尽くされた混雑する通りの外観は、樽でしつらえた肉を提供するフードカートの間を移動し、サイバネティックな手足やハッキングツールのための浮遊するネオン広告の下で、怪しげな意図を持つ巨大企業によって監視されている。これらは、オリジナルのRPGだけでなく、時代の流れの中で「サイバーパンク」の一般的なイメージを作り出したBlade Runner(ブレードランナー)、Johnny Mnemonic(JM)、Strange Days(ストレンジ・デイズ/1999年12月31日)、Ghost in the Shell(ゴースト・イン・ザ・シェル)、Neuromancer(ニューロマンサー)、その他数十種類ものジャンルの作品から生まれたものだ。

この分野に精通していれば、驚くようなことはほとんどないだろう。それは多くの点で良いことではある。住み慣れた場所のように感じられるからだ。独自の限界を持っていたオリジナルの「Deus Ex(デウスエクス)」を除けば、どこかで見たことはあるが手に入ることはなかったアイデアが結晶化され広がっている。

しかし同時に、想像力と意欲の欠如が大きく感じられ、安易な方法でそれらのアイデアを更新しようとしているかに思える。人種的偏見に基づくギャングは、この時代にも将来にも、特に夜の街のような巨大な人種のるつぼの中では、このような区別が間違いなく消えていっていることを考えるとあまりふさわしくない。他の点では好感の持てるお友達のジャッキーとのステレオタイプ的な「メキシコのタフな男」的な会話は、例えば、荒坂のコーポレートホテルのスタッフの堅苦しい、日本らしさを思わせるしぐさのようなものだ。

ジェンダーについてもすっきりしない。PolygonKotakuのクィアレビュアーによるレビューは、筆者がここで伝えることよりもはるかに的を得たことを語っている。筆者はプレイヤーが外見を選択する際に持っている自由は、ゲームにおけるクィアネスのより良い表現に向けた重要な一歩であるものの、「自分がするようにではなく、自分が言うようにする」という感覚がある、ということには同意することができる。ゲームの別の場所では、性とジェンダーは、街角で数ユーロで誰でも身体改造できるこの世界では人種と性別は流動的で重要ではないという明確な合意に対し、退行的または矛盾した形で処理される。

この未来は、、未来志向ではあるが、限られた心の持ち主である、90年代のスマートな白人男性たちからもたらされたかのようである。そのせいか、とても居心地がいい。しかし「Ready Player One(レディ・プレイヤー1)」が示したように、これらの手法で達成できることには限界がある。

同時に、さまざまな形状、サイズ、色、傾向、その他のあらゆる人々で満たされた未来を創りあげるためなされた配慮を強調したいと思う。それが不運な規則性でつまずくとしても、ここに真の善意があることは明らかだ。

すでに800語も費やしてしまったが、読者は問いかけるだろう。「ゲーム自体はどうなのか。それは良いものなのか?」と。

良いものだが分類が難しい。一方で、登場人物が遭遇する多様な状況にアプローチする能力を形成する際に、どうしていいかわからなくなるほどの自由が存在する。ブルートフォース、ステルス、ハッキング、ガンプレイ、どれも実行可能だが、1つだけに絞るのはやめたほうがよい。例えば「純粋なハッキング」のアプローチは、その価値よりもはるかに退屈なものになるだろうし、「純粋なガンプレー」のアプローチも同様に的はずれなことになってしまう。

敵の基地を探索したり、街のチンピラをやっつけたり、あるいはこのゲームの非常に複雑な犯罪行為をくぐり抜けたりする際には、あらゆる状況に対して多くの選択肢があるが、他の手段に頼らずに切り抜けられるほど信頼できるものはない(いずれにしても早い段階ではない)。

都合の悪い場所に配置された警備員は目をハックされやすいかもしれないし、別の警備員は注意を引く無数のアイテムの1つに気を取られやすいかもしれない。しかし、最終的に失敗して弾丸が飛び始めても、そこから抜け出す方法をうまく見つけることはできないだろう。でも大丈夫。メスではなく、スイスアーミーナイフを手にしている。そのように振る舞おう。

これらすべてのミッションを引き受けるオープンワールドは充実している。おそらくあまりにも豊かだ。マップを開くとたくさんのアイコンが表示されるが、これはガンショップ、犯罪活動、探索する興味深い場所が不足することのない、大きくて密集した都市であることを知らせるUbisoft StyleのTo-Doリストというほどではない。マップを一般的な「ビデオゲームマップ」というよりも「この辺にリッパーがいるのか。携帯を確認させてほしい」と考える方が理にかなっているが、これは明らかにゲームマップだ。

また、多くのドライブを行うことになるが、このプロセスは「Grand Theft Auto 3(グランド・セフト・オートIII)」とほぼ同じくらいスムーズである。筆者は自身の車の操作にまったく不適切なキーボードコントロールを駆使しながら、パニックや事故を起こしたり、人を傷つけたり、交通を妨害したりしてきたが、あらゆる法律を遵守し、できるだけ注意を引かないようにした。ゲームのこの部分は「Assassin’s Creed: Odyssey(アサシン クリード オデッセイ)」の中で全地形対応型の馬車が、ゲームの中の多くの山道の1つを歩く愚かな不法者に恐怖と死をもたらすオブジェクトであったように、滑稽なほど前世代的に感じられた。

便利なGPS方向指示により(筆者がそれを呼び出した時画面外に消えてしまったものの)、ちょうど車を閉じ込めてしまいそうな狭いゲートのある、歩行者が大勢いる場所を通り抜けることができた。別のときには、車を筆者のいる場所に呼び寄せたが、すぐに遠くで爆発音と叫び声が聞こえた。30秒後に到着した車は完全に破壊され、片側のドアがなくなっていた。幸いなことに、見ていないときに不可解な方法で修復されるようだ。

しかし、自分がやるべきことをしているとき(つまりサイバーパンク的なことをしているとき)は、それが最新と呼べるようなものではないにしても、物事はもっとスムーズだ。筆者は、8年前に骨子が作られそれを何層にも積み重ね、いくつかの点で信じられないほどクールなシステムや環境を創出していながら、他の面では大きく後退したゲームをしているような感覚をずっと感じていた。銃撃戦は今日のどのシューターよりも良くなかったし、乱闘は「Skyrim(スカイリム)」品質であり、ハッキングはおそらく「デウスエクス」レベルであり、ステルスは「Metal Gear(メタルギア)」どころではない。しかし、これらのゲームのどれひとつとして、「サイバーパンク2077」ほどのシステムと環境の幅広さと豊かさを実際に提供したものはない。

最終的分析としては(この記事は非常に限定的で初期的なものだが)、このゲームは「GTA: Night City 2077」であり、全体として不完全であると言えるだろう。独自性がありながら完全に派生物的でもあり、未来的かつ退行的であり、広く開放的ながら痛みを伴う制約がある。最近の多くのAAAのゲームのように、「サイバーパンク2077」は多数の要素を含んでおり、お話にならない、というようなものでは決して無い。サイバーパンクのディストピアをうろつき、ハッキングや銃撃、策略、より良いアームブレード、眼球の代替品、未来の銃を入手したい何百万ものプレイヤーにとって、大きな魅力と価値がある。

筆者のレビューとして最も簡単な要約は、 完成後に「サイバーパンク」をプレイするのを楽しみにしているということだ。「ウィッチャー3」は、称賛だけでなくそのシステムに関する多くの批判もありながら、時間の経過とともにジャンルをリードするゲームに進化した。「サイバーパンク」 にもその可能性はあるが、現実的な問題があることは否定できない。忍耐力があるなら、最低でも数か月は静観して、このゲームの光るものが不完全な点によって閉ざされることのないようにしてほしい。将来のある時点で「サイバーパンク」 がゲームの要となるタイトルになると思うが、まだそうではない ― 2077年までには実現することを願うばかりだ。

関連記事:SteelSeriesがゲームコントローラー周辺機器販売のKontrolFreekを買収

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:レビュー

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

Logitech、Audio-Technica、SteelSeries、HyperXなど、おすすめのワイヤレスヘッドフォン実機レビューまとめ

最近は自宅で過ごす時間が長くなった。その長さを考えると、ヘッドフォンのグレードアップを検討してもいいだろう。コンピューターや、もしかするとコンソールでも使えるワイヤレスのヘッドフォンや、通話用のマイクが付いたもの、ゲームや映画用にサウンドの優れたものはどうだろうか。幸いなことに選択肢はたくさんあるので、読者におすすめの製品をいくつか試してみた。

筆者は、オーディオや周辺機器を扱う大手企業に、およそ100ドル(約1万400円)から250ドル(約2万6000円)の価格帯のワイヤレスヘッドフォン主力製品を送ってくれるよう依頼した。この価格帯を外れると、選択肢が急に少なくなる。使い心地の良さ、サウンド、利便性を考えると、現在はこれが最適な価格帯だと思う。

筆者は何年もの間、ワイヤレスヘッドフォンを避けてきた。妥協しなければならないことが多すぎたからだ。しかし今は「レイテンシーは解消されており、今回評価したヘッドセットのバッテリー寿命は一様に優秀だ」と喜んで言える(ちなみに、ワイヤレスタイプは高すぎると感じる場合、有線タイプなら50ドル(約5200円)から100ドル(約1万400円)の範囲で買えることが多い)。

テストしたヘッドフォンはすべて、ビデオ通話から映画や音楽(自然なサウンドを感じ取るため、最小限のイコライジングにとどめた)、AAA(トリプルエー)のゲームやインディーズまで、日常のさまざまな用途に使ってみた。どれもアプリを使う必要はないが、一部のヘッドフォンには、LEDやゲームプロファイル用のソフトウェアが付属している。これはあくまでも私見だが、筆者の頭はかなり大きく、耳は中くらいのサイズである。どのヘッドフォンもかなりかさばるとはいえ、写真ではアングルのせいで実際より大きく見えている。頭の中でイメージできるとは思うが、すべて大体同じサイズだ。

今回テストしたヘッドフォンはどれも、アクティブノイズキャンセリング機能こそ備えていないが、その多くは、外界の音を伝える「モニター」機能を提供している。つまり、そのような機能を必要とする程度まで物理的な音を遮断する性能を備えている、ということだ。これは、ゲームをしながらオーブンの予熱完了ブザーを待っているときなどに便利だ。最初に紹介するヘッドフォンのみマイクが内蔵されたタイプで、その他のものは取り外し可能なマイクが付属しているタイプである。どのマイクも必要十分な品質で、ストリーミングやチャットには十分だが、放送用の品質を求めるなら別のマイクを使う方が良いだろう。また、本記事で紹介するヘッドフォンはすべてUSB-Aタイプのドングルを使うものだが、7P/7XにはUSB-Cコネクターもあることを付け加えておく。

SteelSeries(スティールシリーズ)7P/7X:149ドル(約1万5500円)

画像クレジット:Devin Coldewey/TechCrunch

 

SteelSeries 7Pと7Xは、それぞれPS5とXbox Series X(エックスボックス・シリーズX)およびPCを念頭に置いて設計されており、筆者が無条件でイチ押しするヘッドフォンだ。

SteelSeries 7Pと7Xの際立った特徴は、はっとするほどの広がりを感じさせるクリアなサウンドである。テスト用の曲をこのヘッドフォンで聴いたときは、何度も聴いたことがある曲なのに、まるで別の曲を聴いているように感じた。これは7.1chのシミュレーションやそれに類するものとは異なるが、ゲームにフォーカスしたことがサウンドステージの向上につながったことは間違いない。そのおかげで素晴らしいヘッドフォンに仕上がっている。

また、使い心地も非常に良かった。長さを段階的に調整する部品の代わりに「スキーゴーグル」のようなストラップで調整できるため、とても軽くて、自分の設定をいわば「記憶させておく」ことができる。ゆったりしたイヤーカップは、回転させて動かしたり、快適な位置に調整したりできる。

内蔵マイクは目立ちすぎることなく、うまく収まっているが、位置にこだわりがある場合、調整するときに少しグラグラする。完全に取り外しできるもっと高性能なマイクが付属しているヘッドフォンも多いが、取り外しできるのは便利な半面、筆者の場合は紛失してしまいそうで少し心配だ。

SteelSeries 7Pと7Xについて筆者が一番気になる点は、コントローラー部分が安っぽい感じで、レイアウトがあまり良くないことである。ヘッドフォンの下部はポートやボタンで乱雑になっており、ボリュームダイヤルは動かせる範囲が狭い。フルに動かすと、1回で0から100になる(ボリューム調節はシステムボリュームから独立している)。

ドングルは、本体側はUSB-Cだが、USB-Aケーブルが接続されているという点で、その他のヘッドフォントとは異なっている。これは互換性のためには良いが、ケーブルの長さが3フィート(約91センチメートル)もあるので、ラップトップなどに接続するのは少しばかげている。とはいえ、短いケーブルは自力でも簡単に手に入るだろう。

価格は150ドル(約1万5600円)なので、この価格帯で探している人にならほとんど誰にでもおすすめできる製品だ。

Audio-Technica(オーディオテクニカ)AT-GWL:250ドル(約2万6000円)

画像クレジット:Devin Coldewey/TechCrunch

 

このヘッドフォンの価格が高いのは、有線でも使えるワイヤレスヘッドフォンであるためだ。確かなオーディオパフォーマンスと心地良いフィット感がほしいなら、有線タイプのみの製品を選べばいくらか節約できるだろう。

AT-GWLのサウンドは豊かであり、当然のことながら、メディア音声の臨場感を左右するアッパーミドルの声域にフォーカスしている。サウンドが少しこもっているような感じがしたが、「サラウンド」設定をオンにすると改善された。この種の仮想化には概して難色が示されてきたことは知っているが、こうした設定が行き過ぎで歪んだものになって以来ずいぶん日がたつ。サラウンドがゲームに適していることはわかったが、音楽を聴く場合は必ずしもそうではない。しかし、オンとオフを切り替えるのはとても簡単だ。

このヘッドフォンは軽くて、調整はよく見る実用的な金属製のバンドで行う。また、頭頂部に当たる部分に1か所、パッドが付いている。テストした中で最も軽い感じで、その次に、いくらか重量感とサイズ感が増すスティールシリーズとRazer(レイザー)が続く。AT-GWLはコンパクトだが空気のように軽い感じで、それでいて大きくはない。革とマイクロファイバーを組み合わせたイヤーカップは素晴らしく、時間と共によく馴染んで防音効果が向上すると思う。

インターフェイスには改善の余地がある。オーディオテクニカにリクエストしたい最初の点は、通知ノイズを小さくしてほしい、ということだ。ヘッドフォンの電源を入れて、マイクのオンとオフを切り替えたり、システム非依存のボリュームを最大にしたりすると、予想外に大きなビープ音がする。これがうるさすぎる。

第二に、ボタンとダイヤルが固くて、小さくて、質感が同じ、という点だ。例えば、前述の騒々しいビープ音が鳴ったときに、急いで手を上げてボリュームを下げようとすると、電源スイッチとボリュームダイヤルを間違えやすい。ダイヤルにはサラウンドモードのボタンの機能もあり、その横には、サラウンドサウンドのオンとオフを切り替える極小のボタンがある。少し乱雑だ。慣れないものではないが、今回テストした他のヘッドフォンのコントローラー類の出来が非常に良いことを考えると、指摘せずにはいられない。

HyperX Cloud II(ハイパーエックス・クラウドII)ワイヤレス:100ドル(約1万400円)

画像クレジット:Devin Coldewey/TechCrunch

 

ハイパーエックス(Kingston(キングストン)が所有)は、かなり最近まで、厳密にはオーディオで知られていたわけではない。しかし、前モデルであるCloud(クラウド)ヘッドフォンが有名な製品レビューウェブサイトWirecutter(ワイヤーカッター)で高評価を得ており、その実力は証明済みだ。クラウドの後に続いたヘッドフォンは(筆者もちょうど今、使っている)、本記事で扱うどのヘッドフォンよりも安価で、サウンドと防音に優れている。

サウンドステージが7P/7Xと同じくらい広くて驚いたが、ディテールやプレースメントよりも、力強い低音域にフォーカスしている。テスト用の曲を聴いてみると、音楽を大きく近くに感じることができたが、ゲームをプレイしたときも同じ雰囲気で、臨場感がさらに増したように感じた。

クラウドIIのコントローラー部分はシンプルで印象的だ。ボリュームダイヤルは、システムボリュームに直接つながっており、素晴らしい。すべりにくく、動きが滑らかで、ちょうど良い抵抗があり、目盛り直前のちょうどいい位置でカチッと音がする。かなり大きなサイズのボタンが2つあり、電源ボタンはへこんでいて、マイクミュートボタン(ミュートにする場合とアクティブにする場合で違う音がする)は出っ張っている。

ただ、今回テストした他のヘッドフォンと比べると、これらのボタンの使い心地は残念ながらそれほど良くはなかった。イヤーカップ(少し熱がこもる感じがするが)とバンドはとても素晴らしい。イヤーカップはほとんど回転せず、頭の形に合わせる遊びがない。よくわからないが、もしかしたら筆者の頭が大きいことが原因かもしれない。しかし、耳の後ろより、耳の前で著しくきつかったので、絶えず調整したり、ねじってみたりした。

イヤーカップにもう少し調整を加えれば、このヘッドフォンは7P/7Xを上回る筆者の定番おすすめ製品になるだろう、というのが結論だ。スティールシリーズのサウンド性能も驚きの出来だったが、クラウドIIはそれ以上にユーザーの期待に応える製品だと思う。しかも、スティールシリーズより50ドル(約5200円)安い。

Logitech(ロジテック)G-733:130ドル(約1万3500円)

筆者のカメラではG733のマット仕上げ部分が原因で奇妙な斑点が写り込んでしまったが、実際にはこのような斑点模様は付いていない。画像クレジット:Devin Coldewey/TechCrunch

 

ロジテックのG-733は、ストリーマー向けで、カラーコーディネートされたLED付きヘッドフォンだが、派手な外見から想像されるよりも高性能だ。

サウンドは間違いなくゲーム向きで、ローエンドを強調しており、クラウドIIにとてもよく似た、中央に存在感のあるサウンドである。

正直に言うと、G733の使用感がこんなに心地良いとは想定外だった。固いプラスチックの外観から、キーキー音がして、耳に重くのしかかり、頭が締め付けられるヘッドフォンを想像していたからだ。しかし実際は、本当に軽くて、なかなか快適だった。イヤーカップのポジションには遊びがたくさんある。フィット感の調節方法は少し変わっていて、調整段階は4つしかなく、7P/7Xの「スキーゴーグル」のようなストラップに比べると明らかに劣る。一方、イヤーカップは約17ミリメートル上下にスライドする。筆者の(また言うが、見た目がとても大きな)頭が十分収まった。

マイクブームはかなり短く、悲しいことにマイクのオンとオフを示すものがない。これは、さして不便でないこともあれば、大きな悩みの種になることもある。しかし、ミュートボタンを押すと音が鳴るので、それでマイクのオンとオフを区別できる。

ボリュームダイヤルは良い出来で動きもスムーズだが、カチッと音がする位置がとても離れている。ボリュームダイヤルの質感は気に入っているが、マイクのミュートボタンと電源ボタンはそれほどでもない。しかし、機能に問題はない。

カラーは万人に好まれるものではないが、そこはロジテックに主義を貫いてほしいと筆者は思っている。ヘッドセット、マイク、そしてUSBドングルも、色合いがすべて同じなので、他のヘッドフォンやウィジェットの山が大きくなっていってもロジテックのヘッドフォンは簡単に見つけられる。

Logitech Pro-X(ロジテック・プロエックス):200ドル(約2万800円)

画像クレジット:Devin Coldewey/TechCrunch

 

現在、ロジテックのゲーム用ヘッドフォンの最上位モデルであるPro-Xでは、同社の他のモデルで採用されているプラスチック感のある明るい色とは対照的に、控えめな黒が採用されている。

Logitech Pro-Xのサウンドは大きくて非常に明瞭であり、レファレンスとして使えるのではないかと感じるほど周波数帯のバランスが良好だった。また、他のヘッドフォンに比べて、はっきりとした低音再生の中低音域が強調されているように感じた。ヘッドフォンというより、入念に構成されたスピーカーが設置された部屋の中にいるような「サラウンド」感がある。これは、センターチャンネルのディエンファシス効果だろう。ヘッドフォンの「内側」ではなく「向こう側」からメディアの音が聞こえてくる感じがする。良し悪しの問題ではなく、ただ他とは違うのだ。

コントローラー部分はクラウドIIと同程度だ。程よい抵抗のあるボリュームダイヤルでシステムボリュームを制御できる。よく出来ているマイクの切り替えボタンと、かなりしっかりしたオン・オフスイッチを間違えることはなさそうだ。

また、クラウドIIと同様、イヤーカップは回転しないため、筆者にとってはオーディオテクニカやスティールシリーズ、ロジテックの安いG-733より快適度は劣る。筆者より頭が大きい人には(もしそんな人がいれば、の話だが)間違いなくきつく感じるだろう。十分装着できると思うが、それでも、もう少し遊びがあれば大いに助かる。

外部の材質は、サテンのようなマット仕上げのプラスチックで、本当に魅力的な外観を作り出しているのだが、これは絶対に指紋の跡が目立つと思う。繰り返し使うことを考えると(正直なところ、必ずしも常に洗ったばかりの手で扱うわけではない)、拭く頻度は今回テストした他のヘッドフォンよりもかなり増やす必要があるだろう。

Razer Blackshark V2 Pro(レイザー・ブラックシャークV2プロ):180ドル(約1万8700円)

画像クレジット:Devin Coldewey/TechCrunch

 

地味な感じがするRazer Blackshark V2 Proだが、筆者の場合、スティールシリーズのヘッドフォンをPS5専用に使うようになった途端、Razer Blackshark V2 ProがPCゲーム用のメインヘッドフォンになった。

サウンドは間違いなくゲームにフォーカスしており、低音と真ん中低め音が強調されているが、音楽のサウンドは同じ方向に過度に調整されているわけではなかった。サウンドステージは十分広い感じがしたが、驚くほどではなく、すべてのサウンドが心地良い程度にディテールまで聴こえた。

このRazerヘッドフォンは重そうに見えるが、実際はそうでもない。日によって違いはあるが、「非常に快適」という点で間違いなくオーディオテクニカやスティールシリーズに匹敵すると思う。イヤーカップはゆったりしていて、程よい密閉されており、防音性に優れたリスニング体験を実現している。フィット感の調整方法に変わったところはなく、イヤーカップに取り付けられたワイヤーで行う。この調整部分で角度と高さも同時に調整できればもっと便利になると思う。材質はロジテック製品に似ている。指紋が付きやすいが、テストした感じでは、ロジテック製品より少しましかもしれない。

コントロール部分の設計とレイアウトは非常に優れており、すべて一方の側にまとめられている。突き出た(システム非依存の)ボリュームノブは最初は奇異に見えるかもしれないが、すぐに気に入るだろう。大きな刻み目1つ分、またはカチッという音がちょうど50%を示す。これはすばやく「調整」するのにとても便利だ。ノブの回転はスムーズだが、ちょうどいい抵抗感があるので、動きが滑らかすぎて調整を間違うことはなかった。また、区別しやすいミュートと電源のボタンが便利な位置にあり、取り外し可能なマイクのポート、充電コード、3.5mm入力ポートも備わっている。

コンソールで使えないこと以外に、Razer Blackshark V2 Proの短所を見つけるのは難しいと思う。

関連記事:大音量と自然な静音を両立させたノイキャンヘッドフォン、おすすめトップ3

カテゴリー:ハードウェア
タグ:ヘッドフォン レビュー

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

mikme pocketはポッドキャスター、リポーター、クリエイターに最適なモバイルオーディオソリューション

携帯型のオーディオ録音ソリューションは数多くあり、最近発売された数々のデバイスには、ポケットに入れて持ち運べる録音デバイスの利便性と品質を向上するためのさまざまな取り組みがなされている。これはスマートフォンとそのビデオ録音機能の継続的な進化によっても促進された。オーストリアのmikme社が提供する新しいデバイスmikme pocket(369ユーロまたは450米ドル弱、日本円で約4万7000円)は、非常にポータブルなパッケージながらきわめて高い柔軟性と品質を実現し、レポーター、ポッドキャスター、ビデオクリエイターたちに究極のポケットサウンドソリューションを提供する。

製品の概要

mikme pocketは小ぶりで、スマートフォンの約半分の大きさだが、スクエア型で厚さはスマートフォンの2倍程度だ。Rode Wireless GOほどコンパクトではないが、オンボードメモリとBluetoothアンテナを内蔵しており、最大3つのmikme pocketから音声をローカルに録音し、接続されたスマートフォンに直接送信することができる。

mikme pocketには、コントロール用のボタンだけでなく、専用の音量ボタン、オーディオをモニターするための3.5mmヘッドフォンジャック、充電および物理的な接続を介してファイルをオフロードするためのマイクロUSBポート、Bluetoothペアリングと電源ボタンが付いている。内蔵のベルトクリップとマイクスタンド用の3/8インチ(約9.53mm)のネジ式マウントがあり、1/4インチ(約6.35mm)の標準的なカメラの三脚接続用アダプターが付属している。

商品の箱の中には、mikme pocket向けのインターフェースであるミニXLRコネクター付きのラベリアマイク、マイク用のクリップと風よけのウィンドスクリーンが2つ入っている。また、付属のラベリアマイクよりも音質とダイナミックレンジの点で優れた性能を発揮する「プロ仕様」のラべリアマイク(mikme lavalier pro microphone)が別売されている(149ユーロまたは約180米ドル、日本円で約1万9000円)。

画像クレジット:mikme

 

mikme pocketの内蔵バッテリーは最大3.5時間の録画時間で、録画の合間のスタンバイモードでは6か月以上持続する。

デザインと性能

mikme pocketはかなり飾り気のない黒いブロックのような姿ではあるが、その控えめなデザインが強みのひとつだ。マットな質感が特徴で、ダークな服装であればほとんど目立たず、ベルトクリップが内蔵されているので声を拾おうとしている対象の人物に容易に固定できる。制御を簡素化するため大きなボタンが1つだけ装備されており、LEDバックライトを使用して接続状態を簡単に確認することが可能だ。

Bluetooth接続やmicro-USBポートなど、より高度な機能のためのコントロールは、録音中に誤って圧力がかかることのないように底部に位置している。マイク用のミニXLRインターフェースは、マイクが差し込まれるとその位置にしっかりとロックされ、セッション中にずれないようになっている。

16GBの内蔵ローカルストレージを備えるmikme pocketはもちろん単独で使用できるが、スマートフォンアプリを使うことでさらにその良さが光る。アプリは最大3つのmikme pocketを同時に接続することができ、内蔵ビデオレコーダーを備えているので、iPhone 12のような最新デバイスの録音機能をフルに活用して、撮影しながらリアルタイムで同期したオーディオを簡単に取り込むことができる。mikme pocketとアプリにはフェイルセーフ機能も内蔵されており、ローカルでの録音バックアップにより、接続が途切れることで生じるギャップを埋めることができる。

音質の面では、セッティングを調整することなく生み出されるサウンドが素晴らしい。他のラベリアマイクと同様、実際のマイクカプセル自体をスピーカーの口元に近づけるほどより良い結果が得られるが、細かい設定を施さなくても、特別に遮音性がない、またはバックグラウンドノイズがない環境であれば、非常にクリーンで高品質なオーディオが生成される。

同梱されているミニXLRラベリアマイクはほとんどのアマチュアや愛好家のニーズに対応しているが、lavalier proは、特にデスクトップオーディオ編集ソフトウェアを介してポスト処理を行うことで録音を最大限に活用したい人にとって、秀逸のアップグレードオプションだ。mikmeアプリにはオーディオの微調整コントロールが内蔵されており、リアルタイムで微調整処理の効果を聞くことができる素晴らしいビジュアルインターフェースを備えている。これは、デバイスからソーシャルネットワークまたは公開プラットフォームに直接クリップやビデオを共有する前に、外出先で音質を最大限高めるのに最適だ 。

総合評価

携帯電話用のショットガンマイクからハンドヘルドレコーダーまで、外出先での録音にはさまざま選択肢が存在する。そうした中でmikme pocketは、高音質なサウンドをすぐに配信できる状態にし、どこへでも持ち運びやすく、耐久性と使い勝手の良さを兼ね備えたパッケージで、初心者にもエキスパートにも適した特性を有している。

関連記事:NokiaがインドでノートPC「Nokia PureBook X 14」発売、価格約8万5000円

カテゴリー:ハードウェア
タグ:ガジェット レビュー ポッドキャスト

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

大音量と自然な静音を両立させたノイズキャンセリングヘッドホン、おすすめトップ3

筆者はこれまで、本格的なノイズキャンセリングヘッドホンが必要だと思ったことはなかった。国際線のフライト中にずっと聞こえている飛行音のホワイトノイズも気にならないし、ノイズキャンセリングのせいで頭部が石で固定されているかのように風通しが悪く感じるのは嫌いだったので、周囲の音が入ってくる開放型ヘッドホンをずっと使ってきた。しかし、2020年に状況は一変した。

筆者は、いろいろと気が散る自宅よりも、静かな空間で誰かのおだやかな話し声が聞こえるコワーキングスペースのほうがずっと気に入っていた(毎日、一日中Zoomを開いている必要がある妻には気を悪くしないほしいのだが)。多くの人が同じ空間でそれぞれの仕事をすることで生じる、少しざわついている程度の、生産性を刺激する心地良い雑音のある場所を失ってしまい、突如として本当の静けさが必要となったのだ。かくして、ノイズキャンセリングヘッドホン購入への準備が整った。

この記事ではオーバーイヤー型ヘッドホンを取り上げる。というのは、同じ価格帯のノイズキャンセリング製品を比較した場合、耳を覆う厚手のタイプのヘッドホンの方がイヤホン型より格段に性能が良いからだ。この記事でお勧めするヘッドホンの音を聞いてみれば、音質面でもやはりオーバーイヤー型のほうが優れていることに同意いただけると思う。

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

Sony WH-1000XM4

Sony(ソニー)の高級ワイヤレスアクティブノイズキャンセリングオーバーイヤー型ヘッドホンは、ここしばらくの間、最高のヘッドホンとして評価されているが、その評判に十分に値する製品だ。価格は350ドル(約3万6000円)と安くはないが、高品質のハードケースからしっかりとした作りまで、高いだけのことはあると断言できる。情報の完全開示:筆者は、この1世代前のヘッドホンをパンデミックが始まった頃に使い始めたのだが、それ以来、ノイズキャンセリングヘッドホンを必要とする多くの友人に推薦してきた。

音質は満足の一言に尽きる。白いイヤホンを装着して真剣に音楽を聴いているところなど死んでも見られたくないというオーディオマニアなら、このヘッドホンに癒やされることだろう。ソニー製品の設定は容易で、アプリも実に便利だ。イコライザーの微調整機能、サウンドプロフィール、ノイズキャンセリングのレベルを調整するスライダーなどが用意されているが、イヤホンを手で覆うことで外音を取り込むこともできる。音楽を最大音量で聞くのが好きな方(筆者がそうだ)は大きな音にすることもできる。

このヘッドホンは多くの点で的確に設計されている。音質は素晴らしく、ノイズキャンセリングは、音楽を再生していないときでさえ静かすぎるくらい効いている。前機種も十分に魅力的だったが、少しだけクオリティ・オブ・ライフが向上するという特典のおかげで、この最新機種はさらに魅力的な製品になっている(そして前機種は大変お買い得になっている)。ちょっとした改良点がうまくはまっており、M4はM3に比べて装着時に頭を挟まれる感じが少なくなっている。今回の新機種にはマルチデバイスペアリング機能が追加されており、また耳検知センサーによってヘッドホンを外すと自動的に停止するようになっている。これは個人的には必須の機能だと思う。また、M4では通話品質も向上しているが、これは取り立ててM4の強みと言えるものではない。

他にもWH-1000XM4の、あまり評価できない点を挙げてみよう。まず、このクラスの他社製品と同様、少し重たく感じる。連続で5時間も装着していると途中で一度外したくなるが、職場で机に突っ伏して休みたいときに1時間ほど完全に無音の状態が欲しいという場合にはまさにうってつけの製品だ。また、ソニーならではのパンチの効いた重厚な低音があまり好きではないという方は、他社製品を探したほうがよいかもしれない。この最新機種は典型的な厚手のオーバーイヤー型ヘッドホンの設計を踏襲しており、ワクワクするような感じはないが、それでも外観は美しい。また、オーバーイヤー型のヘッドホンで長電話をするつもりなら、他社製品のほうがよいだろう。

最近は仮事務所を他社と共有するケースがよくあるが、そうした場合に、周りの雑音をかき消す最高クラスのノイズキャンセリング機能が必要という場合には、このヘッドホンは最適だ。音質の素晴らしさは単なるおまけと言ってもいいくらいだ。

評定:最高クラスのノイズキャンセリング機能と素晴らしい音質を兼ね備えたヘッドホン

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

Bose Noise Cancelling Headphones 700

Bose(ボーズ)のこのヘッドホンと上記のソニーのヘッドホンを挙げておけば、オーバーイヤー型ヘッドホンの評判など興味がないという方でも、何かしら気に入る点が見つかるはずだ。Bose 700シリーズのノイズキャンセリング機能は最高クラスだ。ボーズの特徴である正確で歯切れの良い音質と周囲の雑音を完全にシャットアウトする能力を兼ね備えている。

また、多機能でどのような用途にも対応できるヘッドホンにしては素晴らしい音質だ。ボーズの無彩色でクリーンなサウンドは、低音はソニーよりも軽く、少し活力に欠けるが、これまでボーズのヘッドホンを気に入って使ってきた人なら、今回の新機種にもおそらく大満足だろう。

デザイン的には標準から弱冠逸脱している。このヘッドホンは、ヘッドバンドの真ん中あたりが伸縮するのではなく、イヤーカップの側に柄のようなものが付いていて上下にスライドさせてサイズ調整するようになっている。このサイズ調整メカニズムは、製品の良し悪しを判断する決定打になるほどのものではないが、このおかげで従来の厚手のデザインに比べて、見た目とバランスという点で異なる印象を与えている。タッチ制御の反応は非常によく、イヤーカップのミラーボタンを使って各種ノイズキャンセリングモードを切り替えることができる。バッテリー駆動時間は20時間とかなり長いものの(通常の使用では十分すぎるほどだが)、ソニーのヘッドホンより10時間ほど短いため、非常に長い持続時間を望むなら不満かもしれない。

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

設定は少し難しく感じた。よくわからないひどい出来だと思っていたら、実は、ファームウエアをアップデートする必要があるというだけの話だった。ボーズ製品の場合、残念なことに、アプリを使うにもヘッドホンを設定するにも、まずはアカウントを取得しなくてはならない。これは、ばかげており不愉快ではあるが、結局のところ、多くの人にとってはそれほど面倒なことではないのかもしれない。また、アプリがダウンロードするよう求めてきた2つ目のファームウエアのアップデート中にエラーメッセージが表示され、いろいろいじり回した末にやっと再接続できた。イライラしたが最終的には解決した。ファームウエアをアップデートしない状態ではイコライザーの調整ができなかったので、最新のアップデートの適用前に出荷されている場合は、ファームウエアの更新状態をチェックすることをお勧めする。アップデート後は、イコライザーの調整が低音、中音、高音のみとなり、スライダー全体で任意に調整することはできなくなるので注意が必要だ。この点については、本当に悩む人とまったく気にしない人に分かれるだろう。

Bose 700シリーズの価格は現在、ボーズのサイトで340ドル(約3万5000円)となっており、淡いソープストーン色の機種は300ドル(約3万1000円)に値下げされている。標準の黒よりも淡い色が好きなら、この色が選べるのは嬉しいだろう。今回は、シルバーのレビュー用モデルをテストした。このモデルはちょっと未来的な感じで、ヘッドバンドに滑らかなマット素材が使用されている。ボーズのヘッドホンはおしゃれでモダンな印象を与え、人目を引く特徴を備えている。黒以外の色は特にそうだ。

電話するためにノイズキャンセリングヘッドホンを使うことが多い場合は、マイクと通話品質という点でこのボーズのヘッドホンが高評価となるが、その点では新しいソニーのヘッドホンも大いに進化している。ボーズとソニーどちらの製品にも補助ケーブルが付属しているため、もともと十分に長いバッテリー駆動時間を誇る両機種だが、さらなる長時間使用も可能となっている。話し言葉で操作するユーザー向けに、どちらもAlexa、Googleアシスタント、Siriに接続可能となっている。

ボーズの特徴である澄んだ音がお好みで、優れたノイズキャンセリング機能と高品質のマイクを備えたヘッドホンを必要とする人には、このボーズのヘッドホンは極めて質の高い製品だ。

評定:本格的なノイズキャンセリング機能を必要とする人向けのもう1つの選択肢

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

Sennheiser PXC 550-II

Sennheiser(ゼンハイザー)のPXC-550 IIは高級ノイズキャンセリングヘッドホンのトップの座を競り合うというほどではないが、今回のテストでダークホースとして浮上してきた。ソニーやボーズの製品と同様、このゼンハイザーのノイズキャンセリングヘッドホンもワイヤレスでオーバーイヤー型デザインを採用しているが、似ているのはそこまでだ。

ボーズとソニーのヘッドホンは高価でしっかりした作りという印象だが、ゼンハイザーのPXC-550 IIはそれに比べるとプラスチック感が強い。しかし、かえってそれでよかったのかもしれない。ノイズキャンセリング機能は通常の使用であれば十分なレベルだが、ソニーやボーズのような業界トップクラスというわけにはいかない。背景音は無理のない範囲で消音されるが、完全な静寂の世界に入れるというほどではない。それでも多くの人にとっては十分なレベルだろう。音質は特に低価格帯製品としてはかなり良い(本記事の執筆時点で、ゼンハイザーのサイトで200ドル(約2万1000円))。ゼンハイザーの特徴である澄んだクリアな音質だ。ゼンハイザーの音質が好きな方は、今回の最新機種も気に入ることだろう。

ゼンハイザーは、日常的に使う際に強みを発揮する。筆者はテスト期間中、このヘッドホンに手を伸ばすことが多かった。上位機種のヘッドホンがたくさん近くに置いてあるにもかかわらずだ。なぜかというと、第一に、プラスチック製なので軽いということだ。かなり長時間(連続して数時間)装着しても快適だった。また、ペアリングと設定が非常に簡単だった。

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

さらに、自分でも驚いたが、PXC 550-IIの電源オンの仕組みが大変気に入ってしまった。いくつか並ぶ小さなボタンの中から電源ボタンを手探りで探す必要はない。イヤーカップをクルッと回すとクリック音がして電源をオン/オフできる。最初は単に目先の変わった仕掛けだと思っていたが、これが本当に便利なのである。誤って電源を入れたまま放置してバッテリーを浪費することがないことを確認できるのは気分がよい。小さなバッテリーインジケーターも付いており、バッテリーの残量を知らせてくれる。これは、退化だと思う人もいるかもしれないが、個人的にはこの上なく便利だと感じた。

マイナス面をいくつか指摘しておこう。高級感が低いというのは、受け入れられない人もいるだろう。充電は時代遅れのマイクロUSBポート経由で行う。つまり、多くの場合は充電のために1本余分にケーブルを携帯しなければならないため、面倒だ。2台以上のデバイスを一度にペアリングできるのはよいのだが、AI音声で「電話1が接続されました、電話2が接続されました」とイラつくモノトーンで不必要に繰り返されるのには閉口した。

自分でもよくわからないのだが、筆者はこのゼンハイザーのヘッドホンがひどく気に入ってしまった。日常的に使用するなら、ソニーのWH-1000XM3sではなくこのヘッドホンを選択すると思う。そのくらい魅力的なのだ。またソニー製やボーズ製よりも150ドル(約1万5000円)安いというのも本当にお買い得だ。

評定:切れのある音質で一日中使える低価格のノイズキャンセリングヘッドホン

耳を覆うタイプのヘッドホンには耐えられないという方もご心配なく。近いうちに、イヤホン型のノイズキャンセリングモデルについてもレビューを掲載する予定だ。いずれにしても、厚手のヘッドホンに抵抗がなく、最高クラスのノイズキャンセリング機能と高い音質を兼ね備えたヘッドホンが必要という方は、今回紹介した3機種のいずれを選択しても、がっかりすることはないだろう。

関連記事:アップル新ヘッドフォンAirPods Maxファーストインプレ、高品質で非常に重いがサウンドはしっかり

カテゴリー:ハードウェア

タグ:ヘッドフォン レビュー

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

アップルの新ヘッドフォンAirPods Maxファーストインプレッション、超高品質で非常に重くサウンドはしっかりしている

Apple(アップル)の新しいオーバーイヤーヘッドフォン、AirPods Maxを使ってみた。ただし手にしてからまだ24時間経っていない。こんな短期間では本式のレビューは書けないそうにない。しかし「第一印象」には大いに反響があるようだ。私も読者と共有したい体験をした。以下の報告は主にプロダクトの品質についてだが、最初に聴いてみたときの感想も含まれている。

断っておくが、これは現在私が受けている印象であり、テストは今後も続けるつもりなので評価もそれに応じて深化すると期待している。レビューではないにしろ、ある種のレビューのドラフトと考えていただきたい。いわばプロトレビューだ。

まず、これはゴージャスな製品だ。アルミニウムのイヤーカップは美しい。左右のイヤーカップを接続するヘッドバンドはおそろしく頑丈。ヘッドバンドのメッシュネット部分は高級家具のように緻密だ。伸縮するステムのデザインも仕上げも優れている。ステムは高級車のエンジンのピストンのように精密にヘッドバンド部にはめ込まれており、スムーズに引き出せる。

メッシュ、イヤーパッド、巧妙な(いまではそれほど珍しくなくなったが)マグネットセンタリングがきちんと固定する。イヤーカップカバーはシームレスにフィットする。それぞれのイヤーカップはアルミニウム板から一体成型されている。コストパフォーマンス?米国では550ドル(日本では税抜6万1800円)は高くない。素材と仕上げからいって、AirPods Maxははるかに高価な製品だと感じさせるものだ。

ただし、この「レビューのドラフト」でも触れておかねばならないトレードオフがある。AirPods Maxは重い。ヘッドフォンの重さが気になるなら購入はお勧めできない。この製品は強く自己主張する。まっすぐに座るか、背もたれに寄りかかる姿勢が確実に要求される。家の中を歩き回り、床から子供の服やおもちゃを拾ったりするなら、ヘッドフォンの重量で頭が前方に引っ張られることを感じるだろう。重量は386gありBeats2セットよりさらに100g以上重い。ハイエンドヘッドフォンのユーザーならこの重さは予期しているかもしれない。しかしそのようなハイエンドのユーザーは少ないだろう。この点については慣れもあるので、後日もっと詳しく説明したい。

またいくつかデザイン上の問題も見られた。ピストン方式で伸縮するイヤカップは驚くべき仕組みだが、カップ自体のスプリング内蔵バックルの可動範囲が限られているため、BoseのQuietComfort 35 IIやSonyのWH-1000XM4といったヘッドフォンのように内側に折り畳むことができない。これは不便だ。

これまでのところコントロール類は悪くない。ダイヤル式つまみはApple Watchとほぼ同様の感触だが、多少抵抗が強い。つまみを長押しするか「Hey Siri」と呼びかけることでSiriの機能が起動する。これも問題ない。イヤーカップは精密な位置検出機能を内蔵するので、1つのイヤーカップを軽く持ち上げるだけで再生を一時停止できる。

ヘッドフォンを頭から外して下に置くとオフになる。電源ボタンはない。これは非常に自然で、いかにもアップルらしい仕組みだ。頭にかければ使える。外せば停止する。非常に簡単だ。

充電器は同梱されていないが、どんな電源アダプタからでも充電できる。アップルによれば5分間の充電で1.5時間作動するというが、急速充電はサポートされていない。USB充電の場合、出力電力と無関係に2時間だ。

BoseやSonyの製品と異なり、3.5mmケーブルが付属していないので飛行機のシートバックシステムその他を音源としたい場合は35ドル(約3600円)の追加支出が必要となる。

旅行といえば、上で触れたように折り畳んで格納できないこと、メッシュの素材、重量その他の方向性は明確で、ごく初期の印象でも旅行に持って出るような製品ではないと感じた。それに製品のケースがまた見た目どおり具合の悪いしろものだ。残念ながらケースはMagSafeデュアル充電パッドと同じくらい危っかしく 安っぽく、汚れやすい。到底トラベルケースに必要な能力を備えていない。だいたい見た目も人間のお尻に似ている。

サウンドは素晴らしい。Beatsヘッドフォンのような騒がしいコンサート会場向きの低音を効かせた音ではない。低音は十分に出ているが、はるかにニュアンスの豊富な音だ。全周波数帯で鮮明な音作りがされている。映画を観たり、音楽を聴いたり、電話で会話したりしてみたが、どのユースケースでも素晴らしい音だった。たとえば空間オーディオは大型のスピーカードライバーと耳を覆うイヤーカップによって大幅に改善されている。Atmosのコンテンツで試してみたが、オーディオの方向定位やパンは非常に巧妙だった。iOS デバイスを通じて動画を観た場合、巨大な音空間内にいてその中心がデバイスのスクリーンであるように感じる。ヘッドフォンを通して音を聞いているとは思えず、まさにその部屋にいるように感じる。これは信じられないほどすごい。

と、まあ現在のところはそんなことろだ。これからも引き続きチェックしていくつもりだ。いまいえるのは「これまでのところ超高品質で非常に重くサウンドはしっかりしている」ということになる。

興味のある読者のためにいっておくと、私はレイテンシーをテストする予定だが、セットアップにコーディングが必要なので、まだ結果を報告できる段階にない。

【更新】有線接続によるレイテンシーをテストしたが、問題ないようだ。

オーディオ関係で最も多かった質問の1つに答えておこう。これは特にポッドキャスターから尋ねられた点だ。有線接続すればレイテンシーはなくなる(ツールでテストはしていない)。つまりポッドキャスティングとオーディオミキシング作業のために利用できる。ただし35ドルのケーブルが必要だ。

関連記事
アップルがオーバーイヤー型ノイキャン搭載ワイヤレスヘッドフォンAirPods Maxを発表
確かに便利だ、しかし高価で少々期待外れなアップルの新充電器「MagSafeデュアル充電パッド」

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleAirPods Maxヘッドフォンレビュー

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

約1万円のガジェットで音楽を作る

去る1月のCESで、筆者は楽器製作のためのクラウドファンディングをしていた/している何人かの創設者に会った。これは魅力的な分野であり、音楽やテクノロジーに差し当たりの興味を持っている人の注目を集めている。大多数のハードウェアスタートアップと同様、この分野の大部分の企業は、運が良ければ1つ製品を生み出すが、それさえも見込みがないと感じられがちだ。

Hail Maryのハードウェア開発と、楽器を再発明しようとする真剣な試みを組み合わせることは、無益な行為のように感じられるし、正直なところ、その通りである。しかし、ときおり刺激的なかたちで何かが起こる。ROLIは近年の現象の最も良い例の1つであろう。同社のSeaboardはシンセサイザーを巧みに利用したもので、このイギリスの会社は巧妙な音楽関連製品をリリースし続けている。

ナッシュビルを拠点とするArtiphonも、Instrument1というシンプルな名前の製品でオンライン音楽愛好家の想像力をかきたてることに成功した。ギターとピアノのハイブリッドスタイルのデバイスは、2015年にKickstarterで130万ドル(約1億3600万円)という途方もない額を集めた。今年のCESでこのプロジェクトについて同社の創設者と話をしたが、筆者が真に興味を持ったのは同社の2つ目のデバイスだ。

画像クレジット:Brian Heater

昨年行われたOrbaのKickstarterキャンペーンでは、140万ドル(約1億4600万円)の資金を調達した。理由は容易に理解できる。同社はキャンペーンページで次のように説明している。

Orbaという新しい楽器を体験してください。シンセサイザー、ルーパー、MIDIコントローラーで、誰でもすぐに音楽を作ることができます。Orbaのシンプルなデザインは、ゲームコントローラーとグレープフルーツの半切れを掛け合わせたような形で、指や手からのジェスチャーが軽やかな感度で音に生まれ変わります。これまで楽器を演奏したことがなくても、Orbaなら、どこでも音楽を作ることができる新しくて楽しい方法をご提供できます。

特に最後の言及が気になった。1月に私が見たほとんどのデバイスにはある種の基本レベルの音楽スキル要件があり、それは理解できるのだが、限られた能力しか持たない熱心な音楽愛好家としては、能力を超えて音楽を楽しめる何かを探していた。正直、ROLIのBlocksにかなり期待していたが、最終的にはその初心者向けのアピールが誇張されていることに気づいた。

筆者は1月からOrbaの発売時期をチェックしていた。COVID-19のシャットダウンがここニューヨークで本格的に始まったのを機にOrbaへの関心が一気に高まったのは、Tiger Kingの再視聴に頼らずに時間を過ごすには良い方法だと思ったからだ。当初は4月に発売予定であったが、創設者兼CEOのMike Butera(マイク・ブテーラ)氏によると、COVID-19や現在進行中の貿易戦争が計画の足を引っ張っているという。

「そうした状況でも、私たちは1万2000人以上のKickstarter支援者への出荷を今年の夏に開始し、今や全世界で95%出荷済みです。販売を開始した国では100%に達しています」と同氏は語る。「残りもすべて出荷準備に入っています」。

画像クレジット:Brian Heater

 

デバイスが届くまでしばらくかかったが、ついに手に入れ、今夢中になっているところだ。筆者の興味の持続が1〜2週間を超えるとは断言できないが、今それを深掘りしている。音楽のスキルは役に立つが必須条件ではない。学習曲線は驚くほど小さく、文字通り箱から出してすぐに使える。パソコン(USB-C経由)やスマートフォン(Bluetooth)に接続すれば、もちろんエクスペリエンスは向上するが、それも必須ではない。

この特徴的で小さなオブジェクトを簡単に言い表すとすれば、プログラム済みの小型MIDIコントローラーのようなもので、その場でループを重ねて曲を作ることができる。「グレープフルーツ」の例えはかなり適切で(特に柑橘系のシリコンカバーがあれば)、各「スライス」は楽器の異なる要素を表している。「リード」または「コード」モードでは、これらは概して異なる音符を表す。「ドラム」とは、キットやその他の打楽器に含まれるさまざまな部分のことだ。

大きな「A」を押すと、楽器の切り替え、BPM(テンポ)の調整、トラックの録音または再生が可能。一番簡単なアプローチは、ドラムでリズムトラックを作り(内蔵メトロノームにする)、その上にコードを重ねることだ。これが1日目にしてできる。BachやWendy Carlosとまではいかないが、全体像は掴むことができる。

このソフトウェアは現在曲の保存/エクスポートをサポートしておらず、これはとても残念だ。上記の録音は、再生中に楽器をマイクにかざすという非常にローファイで簡易的な形で行われる。他にもヘッドフォンジャックをオーディオアウトにするなどの方法はあるが、これが一番簡単な方法であった。この機能は説明書に記載されているが、アプリには備わっていない。ブテーラ氏によると、録音/共有機能はまもなく追加されるとのことである。

今のところ、このアプリは音を切り替えるのに適している。楽器ごとに約10のサウンドパックが存在し(かなりの重なりがある)、これはなかなか良いスタートではあるがほとんど電子的な印象から脱することなく、ドラムサウンドはアナログドラムキットというより808に近い。理にかなってはいる。繰り返しになるが、これはMIDIコントローラーであって、チェンバーオーケストラとは異なるものだ。

画像クレジット:Brian Heater

 

コード/リードは音階があるため、間違った音を出すことはない(少なくとも難しい)。Artiphonは、サウンドライブラリの拡張に取り組んでいる。ユーザーがライブラリに投稿できるようにする予定はないが、MIDIコントローラーとしてシステムを使用することで、ユーザー自身がサウンドを変更できるようになる。

現在のレベルのカスタマイズに若干不十分な点はある。しかし、これは小規模スタートアップの第1世代製品にはありがちなことだ。そして、正直なところ、最初は比較的シンプルにしておくべきである。プラスチックの小さな塊は、物理的な相互作用に関しては驚くほど万能であることも指摘しておく必要がある。「キー」はないが、同社は入力を変えるための巧妙な方法をいくつか追加した。慣れるまでには多少時間がかかり、時折意図しない結果が出ることもあるが、全体的に見て良い機能だ。

画像クレジット:Artiphon / Kickstarterからの画像引用

現時点では、Orbaを本格的な楽器として分類することは難しい。とはいえ、それが重要だとも思わない。次のFlying LotusやDan Deaconになるという幻想は持っていないが、99ドル(約1万円)のガジェットが、横になって息抜きをしたり、時間をつぶしたり、退屈な電話会議をしている間(もちろんミュートにして)に自分を満たしてくれることに楽しさを感じずにはいられない。

関連記事:「Galaxy Z Flip 5G」は折り畳めば5Gスマホで最もコンパクト

カテゴリー:ハードウェア
タグ:音楽 レビュー ガジェット

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

AppleのM1搭載MacBook Proは特にバッテリー駆動時間が驚異的

サバイバルゲームや戦略ゲームは段階的に進められることが多い。序盤ではロープの使い方を学習したり、システムを理解したりする。中盤ではリソースを集めたり、それを使ったりする。筆者が最も楽しいと感じるのは、この中盤部分の後半だ。能力やスキルをフルに管理できるうえ、リソースを活用できるし、終盤の難局に備えて自分の作戦を実行できる。

半導体産業というゲームにおいて、Apple(アップル)は現在この段階にいる。一方でIntel(インテル)は終盤戦を迎えようとしている。

アップルは、新しいM1システムをチップに搭載したマシンを3種類発表した。M1チップは、アップルが10年以上にわたり設計、開発を進めてきたARM命令セットをベースとする独自CPUである。これらのマシンは、高性能かつ強力で高い安定性を備えているが、中でも最大の進歩が見られるのはワットあたりのパフォーマンスだ。

筆者は13インチのM1搭載MacBook Proを自分でテストしてみた。厳しいテストを通して明らかになったのは、このマシンはこれまでの高性能ポータブルMacをパフォーマンス面で上回るだけでなく、同時にバッテリー駆動時間が最低でも2~3倍はあるということだ。

この結果は驚くべきものだが、これはアップルがゲームの序盤で長らくAシリーズプロセッサを使って取り組んできたことの産物だろう。アップルは2008年にPA Semiconductor(PAセミコンダクタ)を買収してこの取り組みを本格化させ、以来、プロセッサメーカーの製品ロードマップから、デバイスの機能や性能を解明しようとしてきた。

M1搭載MacBook Proの動作はスムーズだ。アプリも素早く起動するため、カーソルがDock上にあるうちにアプリが開くことも多い。

動画編集やレンダリングのパフォーマンスも素晴らしい。過去のマシンに劣るのはGPUの負荷が高い場合だけだ。それも、5500MやVega IIなどの高性能の専用カードを使用している場合だけである。

WebKitなどのプロジェクトをコンパイルすると、ほとんどのマシンよりもビルド時間が短くなる(M1搭載Mac miniが数秒差でMac Proに勝利)。しかも、能力の一部しか使わない。

iPadのような動作。簡潔に言うならそのような表現が最適だ。筆者はこれまで、あるイラストを使って、現在のMacBookユーザーが感じていることを説明してきた。慢性的な痛みを示すイラストだ。健康状態やケガによる継続的な痛みが投薬、セラピー、手術などで緩和された経験がある人は、痛みが突然緩和されるのがどのような感覚かわかるだろう。長い間重荷を背負っていたため、どれほどの重さなのかもわからなくなっている状態だ。他のMacを使用した後でこのM1搭載MacBookを使用するとそのような感覚に陥る。

クリックの反応がよく、処理も素早い。最高の状態にあるiOSデバイスのようだ。

チップレベルではiOSデバイスでもある。つまり、「M1で動くiOS」なのである。

M1で動くiOS

M1搭載マシン上でのiOS体験、というのが一番わかりやすい言い方かもしれない。アプリをApp Store(アップストア)からインストールして問題なくスムーズに実行できる。iOSアプリで測定されたベンチマークが示すところによれば、アプリはオーバーヘッドなしでネイティブに実行されている。iOSベースのグラフィックのベンチマーク測定も実行したが、良好な結果を示した。

しかし称賛はここまでだ。Big Sur(ビッグサー)を実行するM1搭載マシン上での現在のiOSアプリ体験は滑稽と言ってもよい。ばかげている。一般的なiOSの操作(端からのスワイプなど)を再現する方法を説明するツールチップがデフォルトでは用意されていない。代わりに、メニューの中にひどい形式のチートシートが埋め込まれている。アプリはウィンドウ内でのみ起動、実行される。全画面のiOSアプリはまったくない。MacでiOSをすぐに利用できるネイティブサポートがあることは、最初は素晴らしいと感じる。しかし1日使ってみれば、これはマーケティング面での勝利であって、ユーザーエクスペリエンス面での勝利ではないことがわかる。

アップルは、「Macで数百万のiOSアプリがサポートされるようになった」と言っている。しかし実際には、M1上でそれらのアプリを実行した場合の使用感は平均点以下である。この状況は間違いなく改善されるだろう。しかし現時点では、M1上でのアプリ体験は確実にネイティブM1アプリ>Rosetta 2(ロゼッタ2)アプリ>Catalystアプリ>iOSアプリの順番だ。当然、これはCatalyst(カタリスト)ポートをMac中心の動作や操作の環境に組み込める場合の話だ。iOSは存在するものの、M1上のあるべき場所にはないのは明らかだ。

Rosetta 2

ロゼッタ2については、たくさん語りたい点と、それほどでもない点がある。M1アーキテクチャ上でx86アプリケーションを正常に動作させるこの新しいエミュレーション層を使ってアップルが実現したことについては、今後、より詳しい情報が明らかになっていくだろう。しかし注目すべきは、アプリの変換で元の性能から約26%減(以下のグラフを参照)という結果を実現できるほど高性能なチップを作成できたことだ。しかもインテルのプロセッサを搭載したMacBookを超えるとまではいかないが、同程度の速さで動く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは実に驚くべきことだ。ユーザーはPowerPC(パワーPC)から昔のロゼッタへの移行を忘れたがっているが、アップルもユーザーにそれを忘れてほしいと思っている。それならば筆者は喜んで言おう。簡単に忘れられる。なぜなら、16インチMacBook Proのような、より古く「理論上はより高性能」なMacと比較した場合に実際のパフォーマンスヒットが見られなかったからだ。

ほとんどの場合、この点は問題にならない。Adobe(アドビ)やMicrosoft(マイクロソフト)のような企業では、すでにネイティブM1アプリをMacで使えるようにしようと取り組んでいる。そのため、必要性が高い生産性向上アプリやクリエイティブアプリは、基本的にはネイティブ対応によって無料で約30%のパフォーマンス向上を実現できる。ただし、それらのアプリは現在でも十分に高速であるため、ウィンウィンの状況である。

実機テスト方法

筆者が実施したテストの方法はシンプルだ。実際のパフォーマンスやタスクと人工的なベンチマークの両方が対象マシンに反映されるように設計したバッテリーテストを行った。はじめはマシンを電源に接続した状態でベンチマーク測定を実行し、その後バッテリーのみを使用して再度実行した。これは、安定したパフォーマンスと、ワットあたりのパフォーマンスを算出できるようにするためだ。基準が一定になるように、冷却期間を設けてすべてのテストを複数回実行した。

テストには以下のマシンを使用した。

  • 2020 13インチM1搭載MacBook Pro 8コア 16GB
  • 2019  16インチMacBook Pro 8コア 2.4 GHz 32GB(5500Mを使用)
  • 2019 13インチMacBook Pro 4コア 2.8 GHz 16GB
  • 2019 Mac Pro 12コア 3.3 GHz 48GB(AMD Radeon Pro Vega II 32 GBを使用)

これらのベンチマークの多くには、Matt Burns(マット・バーンズ)によるM1搭載Mac miniのレビュー、Brian Heater(ブライアン・ヒーター)がテストしたM1搭載MacBook Air(こちらで確認できる)の数字も含まれている。

WebKitのコンパイル

まずは「何だこれは」というようなグラフから紹介しよう。筆者はGitHub(ギットハブ)からWebKitをチェックアウトし、全マシンでパラメータを指定せずにビルドを実行した。上記で触れた仕様から乖離しているものがある。13インチマシンに原因不明の問題があったためだ。この問題はインターネットで見つけた友人に助けてもらって解決した。また、Tapbots(タップボッツ)のPaul Haddad(ポール・ハダッド)氏にもヒントを教えてもらった。

ご覧のように、M1は全モデルで素晴らしいパフォーマンスを示している。MacBookとMac miniはMacBook Airをわずかに上回る。20分以上続く高負荷のタスクとなる場合があるが、パフォーマンスの違いを可視化するうえでこれは非常にシンプルな方法だ。MacBook Airではスロットル冷却ファンが動作していないため、M1で多少時間がかかっている。スロットルを使用している場合でも、MacBook Airは高性能のMac Proを除く他のモデルより勝っている。

しかしここで重要なのは2つ目のグラフだ。WebKitのビルドを1 回実行した後で、M1搭載MacBook Proのバッテリーはまだ91%も残っていた。ここでは複数のテストを試したが、バッテリーを1回フル充電すれば、M1搭載MacBookでWebKitのフルビルドを8~9回は簡単に実行できただろう。一方、16インチでは約3回、13インチ2020モデルでは1回しかできなかったと思われる。

この常軌を逸したワットあたりのパフォーマンスがM1の秘密兵器だ。バッテリーのパフォーマンスは圧倒的である。プロセッサに負荷のかかるタスクを実行する場合でも同様だ。説明しておくと、WebKitのこのビルドで、Pクラスタ(パワーコア)では各サイクルで非常に高いピークを記録した。一方、Eクラスタ(効率性コア)では安定した2 GHzを維持していた。そのような状態でも、電力効率は非常に優れている。

バッテリー駆動時間

実環境でのテストにおけるバッテリーのパフォーマンスのグラフ化に加えて、専用のバッテリーテストもいくつか行った。あるテストでは、バッテリー駆動時間が長かったため、誤って電源をつないだままにしたかと思ったほどだ。それほど優れていた。

ブラウジングを再現するために、複数のページを開いて30秒間待機してから次に移動するという、ウェブブラウジングとウェブでの動画再生を組み合わせたスクリプトを実行した。結果は我々のテストでよく見られる内容と同じで、M1は他のMacBookを25%上回っているだけだった。

4K/60 fpsの動画をフルスクリーンで再生した場合、M1はさらによい結果を示し、輝度を50 %に固定した状態で簡単に20時間を記録した。その前に行ったテストでは、自動調整をオンにした状態で簡単に24時間を超えた。丸一日である。iOSのようなマイルストーンだ。

M1搭載MacBook Airも非常に優れているが、バッテリーが小さいため、再生時間も16時間と短かった。しかし両方とも以前のモデルを完全に凌駕した。

Xcode Unzip

これもリクエストがあったデベロッパー向けのテストだ。今回もPUバウンドで、M1はテストグループに含まれる他のシステムより優れていた。8コアの16インチMacBook Proより速く、13インチMacBook Proより大幅に速く、さらに3.3GHz Xeons搭載2019 Mac Proに比べると2 倍の速さだった。

画像クレジット:TechCrunch

 

性能の曲線を確認しよう。この期間中にMacBook Proのスロットリングがないことを示すために、使用率の曲線を示す(ちなみに、これより長い期間のスロットリングを筆者は見たことがない)。

ユニファイドメモリとディスク速度

アップルは大きな話題を提供している。たとえば、この最初のM1マシンのメモリがたったの16GBであることだ。しかし実は、アップルがユニファイドメモリアーキテクチャへ移行したことによる効果を感じられる程度までマシンを使う機会を筆者はまだ得ていない。RAMをSoCに移行するということは、増設できないということだ。永遠に16GBのままである。一方でこれは、メモリを最も必要とするシステム上のチップが、非常に高速でそのメモリにアクセスできるということでもある。

筆者の予想では、これは個別RAMという概念を完全に排除するための中間ステップである。最終的には、アップルMシリーズチップの将来(遠い将来。現時点ではただの想像)のバージョンで、永続ストレージとしても機能する大規模プールからさまざまなチップにメモリを提供するようになる可能性がある。しかし現時点で利用できるのは、限界はあるが、非常に高速のメモリプールだ。このメモリプールは、CPUコア、GPU、その他SoC上にあるもの(Secure Enclave(セキュアエンクレーブ)やNeural Engine(ニューラルエンジン)など)で共有される。

こちらの動画を見てほしい。Safari(サファリ)とChrome(クローム)でタブを400個開いて比較したものだ。アプリがM1(およびBig Sur)に最適化されている場合、このマシンでは非常に高性能だ。

OS X Big SurとM1プロセッサの密接な関係をアップルがどのように考えているか知りたければ(OS X Big SurとM1プロセッサはお互いのために作られた)、M1搭載MacBook Proのシステム情報画面にクロックスピードがまったく表示されていない点に注意しよう。

多くのアプリケーションを同時に実行している間、M1は極めて優れたパフォーマンスを示した。この新しいアーキテクチャは各要素が近い場所に配置されており、メモリはPCIeバスの向こう側ではなくすぐ近くにあるため、アプリケーション間のスワップはまったく問題にならなかった。タスク(負荷が高く多くのデータを使用するタスク)がバックグラウンドで実行されている場合でも、システムの残りの部分はスムーズに動作していた。

アクティビティモニタのメモリ圧迫を確認できるタブに、OS Xがスワップ領域を使用していると表示されている場合(これは時々表示される)でも、パフォーマンスの低下は確認できなかった。

実際に試すことはできなかったが、パフォーマンスが低下していることを表示させるには、膨大なファイルを投入する必要があるだろう。

M1搭載MacBook ProのSSDはPCIe 3.0バス上にあり、書き込みと読み取りの速度がそれを示している。

Thunderboltとウェブカメラ

M1搭載MacBook Proには2つのThunderbolt(サンダーボルト)コントローラがある。各ポートに1つずつだ。つまり、PCIe 3.0を4 つ、フルスピードで各ポートから利用できる。今後、アップルがアーキテクチャをあまり変更せずにポートを最大4つにする可能性が高い。

この構成はつまり、アップルのPro Display XDRと他のモニタを簡単に並べて使えるということだ。ただ、アップルのPro Display XDRモニタを2台並べてテストすることはできなかった。

ウェブカメラも強化された。アップルは、M1搭載マシンのISPは前世代より向上したと言っている。しかしカメラ自体はこれまでもMacBookに搭載されていた720pのウェブカメラだ。筆者が実施した多くのテストの結果では、今回もウェブカメラの性能は低く、これまでよりは多少ましという程度だ。おそらく、ホワイトバランスが向上し、ノイズ処理も多少向上したため「合格」となったのだろう。それでも高性能とは言えない。

冷却とスロットリング

筆者が実施したテストでは、どれだけ時間がかかる場合でもM1搭載MacBook ProでCPUのスロットリングは確認できなかった。我々がこれまで行ったテストによれば、処理が長くなると(20~40分以上)、明らかに時間とともにMacBook Airの性能が多少落ちる場合があった。

アップルは、M1搭載MacBook Proのために新たな「冷却システム」を設計したと言っているが、確かにそう言うだけのことはある。ファンは1つだが、他のどのファンよりも静かである点に注目すべきだ。実際、M1が「温かい」状態よりも大幅に温度が上がることはなかった。また、ファンのスピードは他のMacBookのような「ターボエンジン」の状態というより、水冷型リグのようだった。

Cinebench R23の長く負荷の高いセッションを処理した場合でも、M1搭載MacBookで大きな音は出なかった。高性能コアをすべて実行してベンチマークを測定している間、定期的に3GHzを記録した。また、効率性コアは2GHzを記録した。それにもかかわらず、他のMacBookと比較して非常に低温かつ静かに処理を続けた。まるで航空ショーのステルス爆撃機だ。

このCinebenchのテストでは、昨年の13インチMacBookのマルチコアの2倍のパフォーマンスを示し、16インチMacBook Proのシングルコアのパフォーマンスにも勝っていることがわかる。

筆者は自分のテスト用スイートでFinal Cut Pro(ファイナルカットプロ)のテストを何度か行った。最初はiPhone 12 Proを使用した5分間の4K60fpsのタイムラインショットで、オーディオ、トランジション、タイトル、カラーグレードを使った。M1搭載MacBookは素晴らしいパフォーマンスを示し、16インチMacBook Proをやや上回った。

同じ長さの8Kタイムラインでは、16インチMacBook ProでRadeon 5500Mを使用すると、Final Cut ProのGPUアクセラレーションが素晴らしい結果だった。しかしM1も健闘し、13インチMacBook Proで統合型グラフィックスを使用した場合の3倍の速度だった。

この処理を行った際にM1搭載MacBook Proの消費電力が極めて少なかったのは印象的だ。17%のバッテリーだけで81GBの8Kレンダリングを出力した。13インチMacBook Proは1回のバッテリー充電ではレンダリングを終わらせることもできなかった。

 

このGFXBenchのグラフからわかるように、M1搭載MacBook Proは高性能ゲーム用ラップトップというわけではないが、Metalのラックのテストを実行したGPUテストでは、非常に驚くべき、印象的な結果を残した。それでも元々の性能は16インチMacBook Proのほうが高いが、Retinaでゲームをレンダリングする可能性は高い。

M1はCPU設計の未来

長年にわたり、インテルが提供するチップやチップセットの機能のせいで、Macのリリースに何度も制限が課されてきた。最近の16インチMacBook Proでも、アップルは1世代以上後れを取っていた。iPhoneが大ヒットした時点で前兆は現れていた。つまり、コンピューティング業界の残りの企業をすべて足したよりも多いチップをアップルが製造し始めるのではないかということだ。

アップルは現時点で20億以上のチップを出荷済みである。これはインテルのデスクトップ向けビジネスが贅沢品を作っているように見える規模である。先週の発表でインテルの名前に言及しなかったのは、アップルの政治的判断だったのだと思う。一方で、次の点も明白だ。つまり、インテル製チップがMacに搭載される日々が終わりに近づいていること、そして、アップルが他社向けにチップを作る可能性が極めて低いことが業界の他の企業にとって唯一の救いであることだ。

数年前、筆者はiPhoneの重大な欠点についての記事を書き、ワットあたりのパフォーマンスのせいで、提供できるはず新たな体験が制限されているという点を指摘した。その記事は不人気だったが、筆者は正しかった。アップルはこの10年間、Aシリーズチップで大きなパフォーマンス向上を実現しつつiPhoneのラインナップでも基本的には同じ(または多少優れた)バッテリー駆動時間を維持できるように努力を続け、バッテリー問題を「修正」しようとした。しかしバッテリーに関する奇跡のテクノロジーは出現していない。そのためアップルは方向転換し、チップの対応に力を入れるようになった。

現在我々が見ているものは、アップルが電力効率を本気になって追究し、それをMacに採用した成果だ。Macはそのままのバッテリーで5倍の性能を実現できる。素晴らしい成果である。

関連記事:ARMベース「Apple M1」搭載MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniが11月17日発売

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Macbook Pro レビュー Apple

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

「Galaxy Z Flip 5G」は折り畳めば5Gスマホで最もコンパクト

auはディスプレイ折り畳み型Androidスマートフォン「Galaxy Z Flip 5G SCG04」を11月4日に発売した。価格は税込18万5835円。同製品は2月28日に発売された「Galaxy Z Flip SCV47」(税込17万9360円)の後継モデル。大きな進化点としては5Gへの対応が挙げられ、ボディデザインはまったく同じでマイナーチェンジモデルとして位置づけられる。そこで今回は前モデルからの進化点にスポットを当ててレビューしていこう。

auから発売された、ディスプレイ折り畳み型Androidスマートフォン「Galaxy Z Flip 5G SCG04」(税込18万5835円)

auから発売された、ディスプレイ折り畳み型Androidスマートフォン「Galaxy Z Flip 5G SCG04」(税込18万5835円)

5G、SoC、Wi-Fi、カラー以外のスペックはまったく変わらない

Galaxy Z Flip 5GはOSに「Android 10」、プロセッサー(SoC)に「Qualcomm Snapdragon 865 Plus 5G Mobile Platform」(3GHz×1、2.4GHz×3、1.8GHz×4)を採用。メモリー(RAM)は8GB、ストレージ(ROM)は256GBを搭載。メモリーカードの装着は非対応だ。

通信機能は前述のとおり5G(sub6)、Wi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.0をサポート。5Gの最大通信速度は下り3.4Gbps、上り183Mbpsとされている。

ディスプレイはふたつ搭載。メインディスプレイは約6.7インチFHD+有機EL(2636×1080ドット、425ppi)、カバーディスプレイは約1.05インチ有機EL(300×112ドット)。小さなカバーディスプレイもカラー表示に対応している。

カメラは超広角(1200万画素、1.12μm、約123度、F2.2)、広角(1200万画素、1.4μm、約78度、F1.8、デュアルピクセルAF、OIS)、セルフィー(1000万画素、1.22μm、80度、F2.4)という構成。セルフィーカメラはパンチホール仕様だ。

本体サイズはオープン時で約73.6×167.3×6.9~7.2mm、クローズ時で約73.6×87.4×15.4~17.3mm、重量は約183g。実際に持ってみると非常に薄く感じられる。「iPhone 12 mini」は64.2×131.5×7.4mm/133gで5Gスマホとして世界最小・最薄・最軽量を謳っているが、折り畳んだときのフットプリントという限定条件であればGalaxy Z Flip 5Gに軍配が上がる。

バッテリーは3300mAhを内蔵しており、連続通話時間は約1350分、連続待受時間は約350時間、電池持ち時間は4G LTE/WiMAX 2+エリアで約100時間、5Gエリアで約95時間とうたわれている。防水・防塵には非対応。FeliCa(おサイフケータイなど)、NFC機能も搭載されていない。

  • メインディスプレイ:約6.7インチ Dynamic AMOLED(有機EL)
  • カバーディスプレイ:約1.05インチ Super AMOLED(有機EL)
  • プロセッサー(SoC):Qualcomm Snapdragon 865 Plus 5G Mobile Platform(3.0GHz×1、2.4GHz×3、1.8GHz×4、Octa Core)
  • メモリー:8GB
  • ストレージ:256GB(外部ストレージなし)
  • 無線機能:Wi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.0
  • 背面カメラ(超広角):約1200万画素(1.12μm、約123度、F2.2)
  • 背面カメラ(広角):約1200万画素(1.4μm、約78度、F1.8、デュアルピクセルAF、OIS)
  • 前面カメラ:約1000万画素(1.22μm、80度、F2.4)
  • サイズ(開いた状態):幅73.6×高さ167.3×厚さ6.9(最厚部7.2)mm
  • サイズ(閉じた状態):幅73.6×高さ87.4×厚さ15.4(最厚部17.4)mm
  • 重量:重量183g
  • バッテリー容量:3300mAh
  • 連続通話時間/連続待受時間:約1350分/約350時間
  • 対応通信規格:5G(sub6)、4G LTE、WiMAX 2+
  • OS:Android 10

Galaxy Z Flip 5GとGalaxy Z Flipの差分をまとめると下記のようになる。つまり、5G、プロセッサー、Wi-Fi、カラー以外のスペックはまったく変わらないわけだ。

  • Galaxy Z Flip 5G:5G、SD865+、11ax、カラー(ミスティックブロンズ)
  • Galaxy Z Flip:LTE、SD855+、11ac、カラー(ミラーパープル、ミラーブラック、Thom Browne Edition)
オープン時

オープン時

クローズ時。カバーディスプレイの情報は一定時間で消灯する

クローズ時。カバーディスプレイの情報は一定時間で消灯する

本体下面にはUSB Type-C端子を用意

本体下面にはUSB Type-C端子を用意

本体右側面にはボリュームボタンと指紋認証センサー一体型電源ボタン、左側面にはnanoSIMカードトレイが配置

本体右側面にはボリュームボタンと指紋認証センサー一体型電源ボタン、左側面にはnanoSIMカードトレイが配置

折り畳んだときのコンパクトさが「Galaxy Z Flip 5G」の真骨頂

改めてフォルダブルスマホ(折りたたみスマホ)としてのGalaxy Z Flip 5Gの魅力を挙げておくと、とにかく折り畳んだときのコンパクトさに尽きる。サイズ感的にはポロシャツやワイシャツの胸ポケットにすっぽり入り、それでいて本体を開けば約6.7インチの大型ディスプレイが現われる。縦に長めの画面比率はマルチウインドー表示に最適だ。

筆者が携帯性以外のメリットと感じているのが、ディスプレイを閉じると強制的に情報を制限できること。クローズ状態では小さなサブディスプレイにしか情報が表示されなくなる。スマホを机の上に置いているとついつい気が散ってしまうという方に、Galaxy Z Flip 5Gは絶好の端末だと思う。

横幅が73.6mmと狭いので、手が小さめの方でもしっかりと握りやすい

横幅が73.6mmと狭いので、手が小さめの方でもしっかりと握りやすい

折り畳めば誇張抜きで「手のひらサイズ」。ガラケー時代を彷彿とさせるサイズ感だ

折り畳めば誇張抜きで「手のひらサイズ」。ガラケー時代を彷彿とさせるサイズ感だ

ディスプレイは好きな角度に無段階で調整可能。三脚などがなくても自立させてタイマー撮影が可能だ

ディスプレイは好きな角度に無段階で調整可能。三脚などがなくても自立させてタイマー撮影が可能だ

AnTuTu Benchmarkのランキングで8位を獲得

処理性能については「Qualcomm Snapdragon 865 Plus 5G Mobile Platform」を搭載しているだけに、定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは「581533」を記録した。12月3日時点のランキングを見てみると、1位の「ROG Phone 3」のスコアは「647919」で、Galaxy Z Flip 5Gは8位にランクインしている。Galaxy Z Flip 5GのスコアはROG Phone 3の約90%に相当するが、現時点のAndroidアプリを動かしてパフォーマンスに不満を感じる局面はないはずだ。

定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは「581533」、CPU/Computeベンチマーク「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは「3213」、3Dベンチマーク「3DMark」のWild Lifeは「4149」

定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは「581533」、CPU/Computeベンチマーク「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは「3213」、3Dベンチマーク「3DMark」のWild Lifeは「4149」

Galaxyシリーズならではのカメラクオリティー

Galaxy Z Flip 5Gのカメラ画質は満足感が高い。搭載されているカメラのスペック自体は「Galaxy S20 Ultra 5G SCG03」や「Galaxy Note20 Ultra 5G SCG06」とは見劣りするが、広角、超広角カメラで撮影できる写真は同等のクオリティーだ。特に優れているのが「ナイトモード」。強い光源が画面内にあっても白飛びを押さえつつ、全体を明るく撮影してくれる。ただし望遠カメラを搭載していないので、8倍デジタルズームでは塗り絵感の強い写真となってしまう。この点だけは割り切りが必要だ。

超広角カメラで撮影

超広角カメラで撮影

広角カメラで撮影

広角カメラで撮影

広角カメラ(8倍デジタルズーム)で撮影

広角カメラ(8倍デジタルズーム)で撮影

広角カメラで撮影

広角カメラで撮影

広角カメラ(ナイトモード)で撮影

広角カメラ(ナイトモード)で撮影

フォルダブルが当たり前の選択肢になる時代が早く来てほしい

ディスプレイを折りたためること自体にはメリットしかない。コンパクトに折り畳めるiPhone、iPad mini、iPad Proなどを待ち望んでいる方も多いはずだ。そこで問題になるのは価格だが、この点は折り畳みディスプレイを大量生産すれば解決される。それでもとにかく安価な端末を求める層、ひたすら丈夫なデバイスを必要とする方、考えうる機能を詰め込みまくったスマホを要求する人はいらっしゃるだろうが、フォルダブルが当たり前の選択肢になる時代が早く到来してほしいと思う。

関連記事
約3.6万円でペン&トリプルカメラ搭載!6.4型スマホ「moto g PRO」
完成度を高め使い勝手が大幅に向上した折り畳みスマホ「Galaxy Z Fold2 5G」、ただし中途半端感も
Galaxy Note20 Ultra 5GはApple Pencil&iPadユーザーにこそぜひ1度試してほしい
「AnTuTu」60万超え、約6万1000円から購入できるゲーミングスマホ「RedMagic 5S」
サムスンの新しい試み「折り畳みスマホ」は定着するか? 第1世代「Galaxy Fold」を振り返る
モトローラの第2世代折り畳みスマホRazrは10月2日に米国発売決定、価格は約12.6万円
カメラの性能が素晴らしい4万円台のGoogle Pixel 4a、5G対応Pixelを待つ必要なし
Surface Duoファーストインプレッション、Gmailや電子書籍リーダーは使い勝手良好、カメラは次期モデルに期待
TCLのラストモデル「BlackBerry KEY2 Last Edition」の実力は?そして物理QWERTYキースマホの系譜はこれからも続く
シャオミのコスパモンスターなミドルレンジスマホ「Redmi Note 9S」を試す
スライド式キーボード搭載スマホ「F(x)tec Pro1」は実用性より心地よさに価値がある
2画面スマホ「LG V60 ThinQ 5G」は5Gの可能性を引き出せるか?
ファーウェイが折り畳みスマホ「Mate Xs」を披露、不運な初代が堅牢に

カテゴリー:ハードウェア
タグ:折り畳みスマートフォン / フォルダブルスマートフォン(用語)Samsung / サムスン(企業)Samsung Galaxy(製品・サービス)ガジェット(用語)スマートフォン(用語)レビュー(用語)

新型EVフォードマスタングMach-Eを体験、まずはタッチスクリーンの「ボリュームノブ」に感心

2021年型フォードマスタングMach-Eには巨大なタッチスクリーンが搭載されており、その下部にはボリュームコントロール用の大きなノブがある。私はこれがとても気に入った。タッチスクリーン上に、物理的なノブが備わっているのだ。それをひねって!回す!ひねるとカチッと手応えがある。このノブはタッチスクリーンのスライダーバーよりもはるかに使い勝手がよい。私は他の自動車メーカーに、フォードの先導に従うことを強くお勧めしたい。このノブは驚くほどシンプルなソリューションだ。

このノブの裏にはタッチスクリーンが感応する小さな帯が仕込まれており、ノブを回すとその部分がスクリーン上でドラッグされる。人間がタッチスクリーン上のスライダーを指で触れて操作したかのように、システムを騙すのだ。私が知る限り、このノブはスクリーンに接着されたプラスチックのパーツに過ぎない。

フォードがマスタングMach-Eに搭載したシステムは、巨大なタッチスクリーンと優れたユーザーインターフェースの間の幸せな妥協点である。ユーザーは回転するノブの恩恵を受けることができるが、フォードはそのために物理的な部品を追加で製作したり設置したりする必要がない。私の経験によれば、ボリュームのコントロールには知覚できるようなラグはなく、非常にうまく機能する。回転させれば音量を変更できるし、中央のボタンを押せばオーディオをミュートできる。思った通りに操作できるというのは、優れたデザインである証だ。

オーディオの音量は、回転するノブやダイヤル、ホイールで操作するべきである。議論の余地はない。

自動車メーカーは長い間、何度となくこれに替わるボリュームコントロールを導入してきたが、私はまだシンプルなノブより使いやすいものを見たことがない。

BMWは車内でジェスチャーコントロールを採用している。センタースタックの上に手を置き、片方の指を突き出して空中に円を描く。確かにこれはちゃんと機能する。私はいくつかの点でこのジェスチャーコントロールを良いと思う(未訳記事)が、しかし音量を変えるために指を回していると、馬鹿みたいに感じる時がある。

他にキャデラックなどの自動車メーカーは、音量をコントロールするためにタッチ感応式のスライダーバーを採用してきた。しかし、そのほとんどの自動車メーカーは、いくつかの理由からこのデザインを放棄してしまった。コントロール用のタッチスライダーはダッシュボードの表面に埋め込まれていることが多く、触れてもユーザーにフィードバックを返さない。また、システムの反応も遅いことが多く、イライラするばかりでちっともおもしろくない。

ありがたいことに、最近のほとんどのクルマには、メインのボリュームノブのほかに、ステアリングホイールにオーディオのコントロールが装備されている。回転するホイール式もあれば、上下ボタンを押して操作するものもあるが、私は明らかに回転ホイール派だ。

車内にタッチスクリーンが普及し始めると、より多くの自動車メーカーがボリュームのコントロールを画面上のスライドバーで行わせようとした。多くの場合、物理的なボタンよりもタッチスクリーンを使う方が安価だからだ。しかし、操作性は決して優れているわけではない。現在、ほとんどの自動車メーカーはインタラクティブなコンテンツを画面に表示し、音量とミュートのためのノブをダッシュボードの別の場所に設置するようになっている。

2021年型フォード マスタングMach-Eは運転するとどうだったかって?それは数日後まで話すことはできない。

ところでこの記事では、私に割り当てられた1カ月分の「ノブ」という言葉を消費してしまったことに留意していただきたい。全部で14回もこの言葉を使ってしまった。申し訳ない。

カテゴリー:モビリティ
タグ:フォード電気自動車Mustang Mach-Eレビュー

画像クレジット:Matt Burns

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

約3.6万円でペン&トリプルカメラ搭載!6.4型スマホ「moto g PRO」

モトローラ・モビリティ・ジャパンはスタイラスを内蔵したAndroid 10搭載6.4型スマートフォン「moto g PRO」を10月26日に発表、10月30日に発売した。ペン内蔵スマートフォンといえばGalaxy Noteシリーズが圧倒的なシェアを獲得しているが、moto g PROは直販価格税込3万5800円という低価格が魅力。また、2世代のOSアップグレードと2年間のセキュリティーアップデートが保証されたAndroid One端末なので、長く安心して利用できる点も特徴だ。今回、moto g PRO実機をモトローラから借用したので、ペン機能にスポットを当ててレビューをお届けしよう。

モトローラの6.4型「moto g PRO」。Android 10搭載でスタイラスペンを内蔵。直販価格は税込3万5800円

モトローラの6.4型「moto g PRO」。Android 10搭載でスタイラスペンを内蔵。直販価格は税込3万5800円

SoCはミドルレンジクラス、トリプルカメラは変則構成

moto g PROはOSにAndroid 10、SoCに「Qualcomm Snapdragon 665」を採用。メモリー(RAM)は4GB、ストレージ(ROM)は128GBを搭載しており、最大512GBのmicroSDメモリーカードを装着可能だ。

通信機能は2G/3G/4G、Wi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 5.0、NFCをサポート。nanoSIMカードを2枚装着可能で、デュアルSIMデュアルVoLTEに対応する。ただし、2枚目のnanoSIMカードとmicroSDメモリーカードは排他利用だ。

ディスプレイは6.4インチのFHD+ IPS液晶(2300×1080ドット、19:9)。輝度や色域、コントラスト比は公表されていない。

カメラは4800万画素メイン(F1.7、1.6um)、200万画素マクロ(F2.2)、1600万画素117度広角アクションカメラ(F2.2、2.0um)、1600万画素イン(F2.0、1um)という構成。ただし、4800万画素メインカメラは4つの画素を合わせて1200万画素相当の明るい静止画を撮影する「クアッドピクセルテクノロジー」が採用されており、最大解像度は4000×3000ドットとなる。また、1600万画素117度広角アクションカメラは動画専用だ。

最大解像度は「12MP(推奨)48MP/クアッドピクセル」

最大解像度は「12MP(推奨)48MP/クアッドピクセル」

本体サイズは158.55×75.8×9.2mm、重量は約192g。バッテリーは4000mAhを内蔵。バッテリー駆動時間、バッテリー充電時間は公表されていない。

生体認証は本体背面に指紋認証センサーが用意されている。また、通常のインカメラを使うが顔認証機能も利用可能だ。

6.4インチのFHD+ IPS液晶ディスプレイはパンチホール仕様

6.4インチのFHD+ IPS液晶ディスプレイはパンチホール仕様

モトローラのロゴ部分に指紋認証センサーを内蔵

モトローラのロゴ部分に指紋認証センサーを内蔵

本体下面にUSB Type-C(USB 2.0)、3.5mmイヤフォン・マイク端子、スタイラススロットを配置

本体下面にUSB Type-C(USB 2.0)、3.5mmイヤフォン・マイク端子、スタイラススロットを配置

本体右側面にボリュームボタン、電源ボタン、本体左側面にnanoSIMカード&microSDメモリーカードスロットを用意

本体右側面にボリュームボタン、電源ボタン、本体左側面にnanoSIMカード&microSDメモリーカードスロットを用意

パッケージには本体以外に、クリアケース、充電器、USBケーブル、ヘッドセット、イヤピース、SIMピン、クイックスタートガイド、LG(法令/安全/規制)が同梱されている

パッケージには本体以外に、クリアケース、充電器、USBケーブル、ヘッドセット、イヤピース、SIMピン、クイックスタートガイド、LG(法令/安全/規制)が同梱されている

クリアケースは軟らかなTPU素材

クリアケースは軟らかなTPU素材

充電器の仕様は入力100-240V~0.6A、出力5V/3.0A、9V/2.0A、12V/1.5A、容量18W

充電器の仕様は入力100-240V~0.6A、出力5V/3.0A、9V/2.0A、12V/1.5A、容量18W

ヘッドセットには大、中、小の3種類のイヤピースが付属

ヘッドセットには大、中、小の3種類のイヤピースが付属

パームリジェクション非対応ながらペンの使い勝手は◎

moto g PROのスタイラスペンはパッシブ方式で、手のひらなどの接触を無視する「パームリジェクション」機能は搭載されていない。また筆圧検知も非対応だ。しかしスタイラスペンで描画しているときに指で線を描いてみると、一瞬表示されるもののすぐに指で描いた線は消去される。パームリジェクション機能は実装されていないものの、ソフトウェア的に誤描画を防止する仕組みを取り入れているようだ。

また、Galaxy Noteシリーズほど多機能ではないが、スタイラスペンを抜き出せば対応アプリのアイコンがフローティング表示され、そこから専用メモアプリ「Motoメモ」の新規ページ、スクリーンショットへの書き込み、「Motoメモ」のページ一覧、Google製メモアプリ「Google Keep」などを起動できる。「メモスマホ」として十分実用的だ。

スタイラスペンを抜くと対応アプリのアイコンがフローティング表示される。つまり2アクションでメモ書きを始められる

スタイラスペンを抜くと対応アプリのアイコンがフローティング表示される。つまり2アクションでメモ書きを始められる

これは専用メモアプリ「Motoメモ」。ペン先は軟らかめ。適度な摩擦があって個人的には好みの書き味だ

これは専用メモアプリ「Motoメモ」。ペン先は軟らかめ。適度な摩擦があって個人的には好みの書き味だ

上からふたつ目のアイコンをタップするとスクリーンショットが撮影される。さらに左下のサムネイルをタップすると、画像にスタイラスペンで注釈などを書き込める

上からふたつ目のアイコンをタップするとスクリーンショットが撮影される。さらに左下のサムネイルをタップすると、画像にスタイラスペンで注釈などを書き込める

moto g PROがロックされているときにスタイラスペンを抜くと、そのままMotoメモの新規ページが開かれ、すぐにメモ書き可能。Galaxy Noteシリーズの「画面オフメモ」と同等の機能だ

moto g PROがロックされているときにスタイラスペンを抜くと、そのままMotoメモの新規ページが開かれ、すぐにメモ書き可能。Galaxy Noteシリーズの「画面オフメモ」と同等の機能だ

ミドルレンジ向けSoC搭載スマホとして順当なパフォーマンス

パフォーマンスについては、定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」を実行したところ、総合スコアが178200、CPUが70650、GPUが34802、MEMが38648、UXが34100という結果になった。記事執筆時点(11月26日)のランキングトップが総合スコア647919の「ROG Phone 3」だ。つまりmoto g PROは、ROG Phone 3の約28%のパフォーマンスということになる。

ミドルレンジ向けSoC搭載スマホとして順当なスコアであり、ウェブ閲覧、SNS利用、動画視聴、音楽鑑賞などの一般的な用途であれば処理性能に不満を感じることはないはずだ。

定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは178200、CPUベンチマーク「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは1376、「3DMark」のSling Shot Extreme - OpenGL ES 3.1は1125

定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは178200、CPUベンチマーク「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは1376、「3DMark」のSling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1は1125

見たままの色で撮影できる素直なカメラ

moto g PROのカメラは基本的に見たままの色で撮影でき、非常に使いやすく感じた。また、4800万画素メインカメラで4画素を合わせて明るい1200万画素相当の静止画を撮影する「クアッドピクセルテクノロジー」の効果は、夜景モードの「ナイトビジョン」などで実感できる。3.6万円弱のスマホの夜景モードとしては高いレベルだ。

ただし、「料理」モードを有効にしたら、驚くほど色が引っ張られてしまった。オフにすれば普通においしそうに撮れるが、適度な補正効果に改善されることを期待したい。

背面カメラは、4800万画素メイン(F1.7、1.6um)、200万画素マクロ(F2.2)、1600万画素117度広角アクションカメラ(F2.2、2.0um)のトリプル構成

背面カメラは、4800万画素メイン(F1.7、1.6um)、200万画素マクロ(F2.2)、1600万画素117度広角アクションカメラ(F2.2、2.0um)のトリプル構成

4800万画素メインカメラで撮影

4800万画素メインカメラで撮影

1600万画素117度広角アクションカメラで撮影した動画を画像として書き出し

1600万画素117度広角アクションカメラで撮影した動画を画像として書き出し

4800万画素メインカメラで撮影(8倍デジタルズーム)

4800万画素メインカメラで撮影(8倍デジタルズーム)

200万画素マクロで撮影

200万画素マクロで撮影

4800万画素メインカメラで撮影(ナイトビジョン)

4800万画素メインカメラで撮影(ナイトビジョン)

上が料理モードオフ、下が料理モードオン

上が料理モードオフ、下が料理モードオン

ペン搭載スマホを安価に手に入れたい方にもってこいの1台

カメラの構成はちょっと変則的だが、画質は基本的に良好。スタイラスペンも必須機能はしっかり押さえており、メモ帳として便利に活用できる。Galaxy Noteシリーズと比較すると及ばない性能、足りない機能は多々あるものの、3.6万円弱という価格を考えるとコストパフォーマンスでは優劣つけがたい。

ペン搭載スマホをできるだけリーズナブルな価格で手に入れたいという方に、これ以外に選択肢はないと言い切れるほどもってこいな1台だ。

約3.6万円でペン内蔵&トリプルカメラ搭載!6.4型スマホ「moto g PRO」実機レビュー

関連記事
「AnTuTu」60万超え、約6万1000円から購入できるゲーミングスマホ「RedMagic 5S」
5G、OLED、トリプルカメラを搭載し約6.5万円の高コスパスマホ「AQUOS zero5G basic」
モトローラの第2世代折り畳みスマホRazrは10月2日に米国発売決定、価格は約12.6万円
カメラの性能が素晴らしい4万円台のGoogle Pixel 4a、5G対応Pixelを待つ必要なし
5G対応の折り畳みスマートフォン「Motorola Razr」が約15万円で登場
TCLのラストモデル「BlackBerry KEY2 Last Edition」の実力は?そして物理QWERTYキースマホの系譜はこれからも続く
シャオミのコスパモンスターなミドルレンジスマホ「Redmi Note 9S」を試す
モトローラは2020年も低価格スマホ中心の戦略、Moto G FastとMoto Eが登場

カテゴリー: ハードウェア
タグ: ガジェット(用語)スマートフォン(用語)モトローラ / Motorola(企業)レビュー(用語)

4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」

4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」レビュー

ASUS JAPANの「ZenBook Flip S UX371EA」は、軽量薄型で高級感あふれるデザインを採用したプレミアムクラスの2in1ノートPCだ。CPUには最新のインテル第11世代Coreプロセッサーを採用し、従来にはない高いパフォーマンスを実現している。加えて堅牢性やモバイル性能に優れている点も魅力。いまもっとも注目されているモバイル2in1だ。

ASUS JAPANの13.3インチ2in1ノートPC「ZenBook Flip S UX371EA」。インテルの第11世代Coreプロセッサーを搭載。直販価格はCore i5-1135G7搭載の下位モデルが税別12万2545円から、Core i7-1165G7搭載の4K OLEDモデルは税別21万8000円から

ASUS JAPANの13.3インチ2in1ノートPC「ZenBook Flip S UX371EA」。インテルの第11世代Coreプロセッサーを搭載。直販価格はCore i5-1135G7搭載の下位モデルが税別12万2545円から、Core i7-1165G7搭載の4K OLEDモデルは税別21万8000円から

ラグジュアリー感と高い堅牢性を両立させた本体デザイン

ZenBook Flip S UX371EAを手にしてまず驚くのが、繊細かつ洗練されたデザインだ。本体のフットプリントは幅305×奥行き211mmで、A4サイズよりもわずかに大きいながらも13.3インチの2in1としては非常に小さい。厚さは13.9mmと薄く重量も1.22kgと軽量で、見た目も手にした印象も軽やかだ。さらに本体カラーのブラックとカッパーの組み合わせは高級感抜群。細部までこだわり抜いた仕上げにより、まるで高級文具のようなラグジュアリー感を漂わせている。

繊細な見た目とは裏腹に、高い堅牢性を誇る点も見逃せない。米国国防省制定のMIL-STD 810H準拠で、ミリタリーグレードの耐久性を実現。シャーシには剛性に優れるアルミ素材を採用しており、本体の両端に力を加えてもねじれや歪みは感じられなかった。持ち歩く機会やディスプレイの開閉が多いモバイル2in1では、極めて重要なポイントだ。

本体カラーはジェードブラック。実際の色合いはわずかに青みを帯びながらも、ややくすんだ黒という感じ

本体カラーはジェードブラック。実際の色合いはわずかに青みを帯びながらも、ややくすんだ黒という感じ

天板にはレッドカッパーのロゴを配置。ロゴを中心とした同心円状のヘアライン加工が施されており、光の当たり方によってハイライトの向きが変化する様子が趣深い

天板にはレッドカッパーのロゴを配置。ロゴを中心とした同心円状のヘアライン加工が施されており、光の当たり方によってハイライトの向きが変化する様子が趣深い

エッジ部分はレッドカッパー。ダイヤモンドカット加工によるきらめきが高級感を演出

エッジ部分はレッドカッパー。ダイヤモンドカット加工によるきらめきが高級感を演出

パームレストもアルミ製。キートップの文字が大きく、さらにパームレストに貼られたシールやバッジによりゴチャついた印象を受ける

パームレストもアルミ製。キートップの文字が大きく、さらにパームレストに貼られたシールやバッジによりゴチャついた印象を受ける

ベゼル幅は左右5.4mmで上部9.7mm、下部20.1mm。左右は細いが、下部がやや太い。おそらくディスプレイ回転時の強度を確保するためだろう

ベゼル幅は左右5.4mmで上部9.7mm、下部20.1mm。左右は細いが、下部がやや太い。おそらくディスプレイ回転時の強度を確保するためだろう

高さは公称値で13.9mm、実測で14.7mm。ゴム足を含めた設置時の高さは15.7mm。非常にスリムだ

高さは公称値で13.9mm、実測で14.7mm。ゴム足を含めた設置時の高さは15.7mm。非常にスリムだ

重量は4K OLED(有機EL)モデルで約1.22kg、フルHDモデルで約1.25kg。4K OLED搭載の試用機では実測1.215kgだった。電源アダプターを含めれば1.429kg

重量は4K OLED(有機EL)モデルで約1.22kg、フルHDモデルで約1.25kg。4K OLED搭載の試用機では実測1.215kgだった。電源アダプターを含めれば1.429kg

見た目はスリムかつコンパクト。どちらかといえば一見華奢な印象なのだが、実はMIL-STD 810H準拠の高い堅牢性を確保している

見た目はスリムかつコンパクト。どちらかといえば一見華奢な印象なのだが、実はMIL-STD 810H準拠の高い堅牢性を確保している

4K OLEDディスプレイは非常に高精細かつ鮮やか

ディスプレイは13.3インチで、解像度は3940×2160ピクセルの4Kまたは1920×1080ピクセルのフルHDだ。4Kパネルはコントラストの高いOLEDで映像は非常に明るく、しかも目を見張るほど鮮やか。DCI-P3 100%の広色域に対応しており、一般的なNTSC 72%/sRGB 100%のディスプレイよりも赤みが強くより自然な色合いに感じる。かつ4Kの映像はとても高精細で、細部のディティールまで潰れることなくハッキリと映し出されていた。普段使いはもちろんのこと、クリエイティブな用途にも十分活用できるクオリティーだ。

画面サイズは13.3インチ。4K OLEDモデルは文字のドット感がまったくなく、印刷物のようになめらかに映し出される

画面サイズは13.3インチ。4K OLEDモデルは文字のドット感がまったくなく、印刷物のようになめらかに映し出される

映像は高精細かつ色鮮やか。ハイエンドクラスのノートPCでも赤みが弱いことが多いのだが、OLEDモデルは色のバランスがよく映像のクオリティーが非常に高い

映像は高精細かつ色鮮やか。ハイエンドクラスのノートPCでも赤みが弱いことが多いのだが、OLEDモデルは色のバランスがよく映像のクオリティーが非常に高い

付属のペンは4096段階の筆圧感知に対応。ツルツルとした抵抗の少ない描き心地で、レスポンスは良好

付属のペンは4096段階の筆圧感知に対応。ツルツルとした抵抗の少ない描き心地で、レスポンスは良好

キーボードは十分なサイズとストロークだが、やや変則的

キーボードはテンキーなしの日本語配列。キーピッチは公称値で19.05mmとサイズ的には十分なように感じるが、これは横のキーピッチのサイズだ。縦のキーピッチは実測16.9mmほどで、実際にはかなり横長に作られている。そのため上下の指の動きがやや窮屈で、慣れないうちはタイプミスがあるかもしれない。また右端に特殊キーが縦に並んでいる点も、標準的な配列にはない仕様だ。

キーボードはテンキーなしの日本語配列でバックライト対応

キーボードはテンキーなしの日本語配列でバックライト対応

キーストロークは1.35mmとやや浅めながらも、薄型ノートPCとしてはしっかり確保されている。キートップは0.1mmへこんでおり、タイプ時に指にフィットしやすい作りだ。ただし入力時にスイッチに微妙な軸のブレを感じる。クリック感は軽めだが、手応えはハッキリと感じられた。タイプ感については総合的には標準的な仕上がりで、配列やキーの作りの部分で工夫は感じられるものの、プレミアム感に乏しい仕上がりだ。

キーが横長で上下の指の動きがやや窮屈に感じる。キートップは指にフィットしやすいシリンドリカル形状だが、キートップの文字が大きく全体的に雑然とした印象だ

キーが横長で上下の指の動きがやや窮屈に感じる。キートップは指にフィットしやすいシリンドリカル形状だが、キートップの文字が大きく全体的に雑然とした印象だ

右端に縦に並ぶ特殊キー。スペースを最大限に利用する「エッジ to エッジキーボード」という触れ込みだが、キーボードの標準仕様であるJIS/OADG配列にはない部分なので、個人的には違和感がある

右端に縦に並ぶ特殊キー。スペースを最大限に利用する「エッジ to エッジキーボード」という触れ込みだが、キーボードの標準仕様であるJIS/OADG配列にはない部分なので、個人的には違和感がある

タイプ音は比較的静かだが、底面部のすき間で反響するため低音域が響きやすい。軽いタッチで入力する人向きだ

タイプ音は比較的静かだが、底面部のすき間で反響するため低音域が響きやすい。軽いタッチで入力する人向きだ

タッチ部分の右上を長押しすると、テンキーとして数値入力が可能なNumber Pad。一般的なテンキーの配列と異なるが、慣れれば便利に使えるだろう

タッチ部分の右上を長押しすると、テンキーとして数値入力が可能なNumber Pad。一般的なテンキーの配列と異なるが、慣れれば便利に使えるだろう

インターフェースに最新のThunderbolt 4を2ポート用意

周辺機器接続用のインターフェース類は多くはない。ただ、持ち運びの多いモバイルノートPCであることを考えれば、妥当な構成だ。最近は多機能なType-Cドックが増えてきているので、自宅や職場で使うなら拡張性の高いドックを用意しておきたい。

特徴的なのは、Thunderbolt 3の上位互換規格であるThunderbolt 4を2ポート用意している点だ。4K×2画面または8K 1画面の映像出力に対応しているほか、従来規格に比べて機能面も拡張されている。今後Thunderbolt 4対応のドッキングステーションや対応機器が充実すれば、より便利に使えるようになるはずだ。

左側面にはHDMIとThunderbolt 4(Type-C兼用)×2

左側面にはHDMIとThunderbolt 4(Type-C兼用)×2

右側面は電源ボタンとUSB3.2 Gen1。対応機器が多いフルサイズのUSB端子があるのはなにかとありがたい

右側面は電源ボタンとUSB3.2 Gen1。対応機器が多いフルサイズのUSB端子があるのはなにかとありがたい

ディスプレイ上部には92万画素のウェブカメラと、顔認証用のIRカメラを配置

ディスプレイ上部には92万画素のウェブカメラと、顔認証用のIRカメラを配置

付属のUSBイーサネットアダプター

付属のUSBイーサネットアダプター

USB Type-Cオーディオジャックアダプターはハイレゾ機器に対応

USB Type-Cオーディオジャックアダプターはハイレゾ機器に対応

専用スリーブケースも付属

進化したIris Xe Graphicsでグラフィックス性能が大きく向上

ZenBook Flip S UX371EAではCPUとして、インテル第11世代のCore i5-1135G7またはCore i7-1165G7が使われている。前世代のCPUに比べてクロックが上がったことでパフォーマンスアップも期待できるが、最大の特徴は進化した内蔵グラフィックス(iGPU)であるIris Xe Graphicsが使われている点だ。ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を期待したい。

標準収録ユーティリティ「MyASUS」の「ファンモード」でパフォーマンスの調整を行なえるが、今回は標準時のパフォーマンスを計測するためにあえて調整は行なわず、「スタンダードモード」のままでテストを行なっている

標準収録ユーティリティ「MyASUS」の「ファンモード」でパフォーマンスの調整を行なえるが、今回は標準時のパフォーマンスを計測するためにあえて調整は行なわず、「スタンダードモード」のままでテストを行なっている

熱を抑えながらもしっかり使えるパフォーマンスを発揮

CPU性能を計測するCINEBENCH R20から。マルチコア性能については前世代のCore i7-1065H7と変わらない結果だったが、これは本体の熱対策やパフォーマンス調整が影響しているのかもしれない。同じCPUを搭載したほかの機種ではスコアが「2000」を超えているので、ZenBook Flip S UX371EA固有の仕様だろう。とは言えこれだけ薄型コンパクトでありながら、しっかりと使えるパフォーマンスを確保している点は評価したい。

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

スタンダード/モバイルノートPC向けCPUとの性能比較

スタンダード/モバイルノートPC向けCPUとの性能比較

グラフィックス性能はRyzenや非ゲーム系dGPUを超える

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われる。内蔵タイプのためパフォーマンスは高くないと思いきや、3Dグラフィックス性能を計測するベンチマークテストでは、旧世代のゲーム用専用グラフィックス(dGPU)であるGeForce GTX 1050に迫る結果となった。非ゲーム用dGPUであるGeForce MX250や、第3世代Ryzenモバイル内蔵のRadeon Graphicsを大きく上回っているのは正直なところ驚きだ。これだけのパフォーマンスを発揮できるのであれば、ちょっとしたゲームやクリエイティブな用途にも活用できるに違いない。

3Dグラフィックス性能を計測する「3DMark Fire Strike Graphics score」の結果

3Dグラフィックス性能を計測する「3DMark Fire Strike Graphics score」の結果

スタンダード/モバイルノートPC向けGPUとの性能比較

スタンダード/モバイルノートPC向けGPUとの性能比較

処理がごく軽めの「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4k」では、フルHDの最高画質で「とても快適」

処理がごく軽めの「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4k」では、フルHDの最高画質で「とても快適」

処理の重さとしては中量級の「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では「快適」との評価だが、平均31FPSでシーンによってはかなりカクつくだろう

処理の重さとしては中量級の「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では「快適」との評価だが、平均31FPSでシーンによってはかなりカクつくだろう

1TB SSDのアクセス速度計測結果。試用機ではWDのSN730が使われていた。速度も容量も十分だ

1TB SSDのアクセス速度計測結果。試用機ではWDのSN730が使われていた。速度も容量も十分だ

こだわりの仕上がりで満足感の高いプレミアムな2in1ノートPC

ZenBook Flip S UX371EAの価格はCore i5-1135G7搭載の下位モデルで税別12万2545円、Core i7-1165G7搭載の4K OLEDモデルで税別21万8000円(いずれも直販価格)。決して安くはなくどちらかといえば高価なモデルだが、スペックやパフォーマンス、そして品質面を見れば十分納得できるクオリティーだと言っていいだろう。価格の安さよりもツールとしての高級感や使い心地、所有することへのステータスなどを重視する人におすすめしたいプレミアムなモバイル2in1だ。

4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」レビュー

関連記事
価格8万円のRyzen 3 4300Uノートの実力は?「ASUS VivoBook Flip 14 TM420IA」レビュー
Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」レビュー
AMD Ryzenモバイル搭載を期待したくなる?さらに完成度を高めたデルの13.4型モバイル「New XPS 13(9300)」
もう「変態」とは言わせない、実用性を備えた2画面ノートに進化したASUS ZenBook Duo
デュアル4KノートPCは未来のノートPCになりうるか?ASUS ZenBook Pro Duoで検証
Nvidiaが驚異の360Hz駆動eスポーツ向けG-Syncディスプレイを発表

カテゴリー: ハードウェア
タグ:ASUS(企業)ガジェット(用語)ZenBook(製品・サービス)レビュー(用語)

Demon’s Souls:真の意味での次世代ゲームは偏向的だが印象的な要素満載

次世代ゲーム機、PlayStation5とXbox Series Xが登場した。ただし、これらでプレイできる次世代ゲームはほとんど存在しない。PS3のゲームのリメイクではあるが、Demon’s Soulsは本当の意味で次世代と呼べる最初のタイトルといえるだろう。

オリジナルのDemon’s Soulsは非常に影響力のあるゲームであった。続編のDark Soulsのほうが人気が高く、第1作からかなり改良されたが、今ではメジャーとなっているシリーズを成功に導いた要因の多くはすでに確立されていた。「ソウルシリーズ」は今では事実上のジャンルとなっているが、オリジナルは当然のことながら未だに比類ない存在となっている。

Demon’s Souls をプレイした少数の人々は、それがBluepoint(伝説のShadow of the Colossusもリメイクした)によってリメイクされていると聞いて歓喜したが、このゲームが現代の標準にそぐわないのではないかと心配した。

10年も前に生まれた古いゲームを、とてつもなく見栄えの良い塗装を施して、次世代機の超大作としてデビューさせることが本当にできるのだろうか?もっとも、そうするほかに選択肢はない。幸いなことに、このゲームはしっかり持ちこたえ、多少のきしみはあるが、実際には重厚なダークファンタジーの映画的体験をもたらすものとなっている。

ゲーム自体の完全なレビューはここでは述べない。ただし映像や動作はずっと良くなっているものの、ゲームの本質的部分はほとんど変わっていないということだけは言っておこう。過去10年のレビューに見られた「魔法が強力すぎる」や「インベントリの負担が煩わしい」といった点は、依然としてそのままである。

しかし、次世代ゲーム体験としては、Demon’s Soulsは以前として比類ない存在だ。PS5のグラフィック性能を始め、サウンドデザイン、ハプティクス、スピード、OSの良さをこのゲームは伝えている。

画像クレジット:ソニー

まず、グラフィック。ソニーとBluepointが真に豪華なリメイクにしようと意図していたことは明らかで、ゲームの構造は基本的に長い、ほとんどが直線的な5つのレベルとなっており、ユーザー体験に合わせて慎重に調整された、息をのむようなビジュアルを実現するための優れたプラットフォームを提供する。

環境は驚くほど詳細に描かれていて、戦うさまざまな敵をよく描写しているが、感心したのはライティングだ。リアリスティックライティングは一流の開発者でさえ困難を極める技術で、ハードウェアにそれを適切に行うのに十分な余裕ができたのはごく最近になってからだ。

Demon’s Soulsでは、計算負荷の高いライティング技術であるレイトレーシングは実装当初から使用されていないが、そのリアルタイムライティング効果はドラマチックで非常に魅力的だ。このゲームはまったくダークな世界で、プレイヤーは個人の光源が非常に限られているため、その環境を体験する方法は慎重に設計されている。

鎧や小道具、モンスターなどの細部にまでこだわった描写も素晴らしいが、それを引き立たせているのはリアリスティックライティングだ。ダイナミックレンジが適切に使用され、ダークな領域でオブジェクトの密度を劇的に引き上げ、塔のラトリアの恐ろしい雰囲気などが鮮明に感じ取れる。

画像クレジット:ソニー

このゲームは現在のPCが提供する最高レベルの性能を大きく上回るものではないが、光と影をゲームプレイの要素として使いたいと思っているゲームデザイナーにとっては刺激的な存在だろう。

(ちなみに「シネマティック 」オプションと「パフォーマンス 」オプションの違いはあまり気にする必要はない。後者はゲームプレイをスムースにし、Soulsゲームを贅沢なものにするが、前者の設定はフレームレートに顕著な影響を与える一方で見た目に変化はまったく感じられなかった。高品質な写真を撮るのでなければスキップしてほしい)

同じようにサウンドもゲームの中で極めて優秀に仕上がっているが、ソニーの「3Dオーディオ」を大げさに称賛することには慎重になる。実際、ゲームの世界では多くのプラットフォームで何年も前からこの種のことを何年も行ってきたからだ。質のよいヘッドフォンを持つことは重要だが、おそらくPS5は音を空間化するための改善されたワークフローを提供するだろう。Demon’s Soulsのすべてのイベントにおいて、サウンドの印象は非常に良く、見事な識別、ロケーション、明確さが感じられた。攻撃してくる敵の特徴的なうなり声を認識して画面外からの敵の攻撃を確実にかわしたし、ラトリアで全般的に感じた感覚と同じように、ドラゴンやボスモンスターの悲鳴や咆哮からぞっとするリアルさを感じ取ることができた。

画像クレジット:ソニー

これは、DualSenseコントローラーの改善されたハプティックとうまく組み合わさり、イベントごとに異なる「感覚」をもたしてくれる。頭上を飛ぶ竜、地面を踏みつける悪魔、ブロックされた攻撃、エレベーターに乗るといった場面のほとんどにおいて効果的で、ゲームの世界への没入を促すが、エレベーターなどのいくつかの箇所では、ゴロゴロというよりむしろ電動工具を持つようなうっとうしい音のように感じられるものもあった。開発者がこれらのことに気を配り、不快な振動パターンの識別が図られることを期待したい。幸いなことに、PS5のコントロールで強度を調整することはできる。

同様に、アダプティブトリガーも良かったが、画期的というほどのものではなかった。弓を使うときに矢がいつ放たれるかを知るの、といったことには役立ったものの、それ以外にあまり有効性は感じられなかった。

プレイの仕方にもっと直接的な影響を与えたのは、大幅に短縮されたロード時間だ。Soulsシリーズでは各エリアへのアクセスや死の際の長いロード時間に悩まされ、改善の余地ある弱点だった。しかし今では篝火のところで回復するのに3つまでカウントしなければならないことは稀である。

この改善により、硬派な難易度の容赦ないゲームに対するフラストレーションを大幅に減らし、まったく異なるアプローチでプレイできる。以前はちょっとしたことのために別のエリアやハブに移動するのが面倒だったが、今では楔の神殿に戻って、負荷をかけて少し動き回っても、30秒フラットでボーレタリアに戻ることができる。死に至っても、20秒どころかほんの5秒でアクションを再開でき、プレイ速度が大きく改善した(PS5で実行するPS4ゲームでもロード時間が全面的に改善されている)。

これをある程度支援しているのが、ソニーが新コンソールに導入した新しいポーズ画面だ。(やっかいなPS形の)PSボタンを押すと、一連の「カード」が現れ、最近の達成とスクリーンショットだけでなく、進行中のミッションやゲームの進行も表示される。ラトリアで一息つくと、メニューは一瞬にして他の世界の1つにワープする機能を提供し、魂を失っても通常必要な楔の神殿のストップをスキップできる。これは確かにスピードランの達成方法を変えるだろうし、注意力散漫なプレイヤーにとって、没入感を破ってくれる有効なオプションとなるだろう。

ボーズメニューでは、テキスト形式とビデオ形式の両方でアドバイスやヒントを表示することもできる。この点でも、本ゲームはこれらの機能をデビューさせるという観点では違和感がある(ゲームとテクノロジーのデモが含まれるAstroのPlayroomも同様の印象ではあるがそれほどでもない)。Soulsシリーズの特徴の一つはプレイヤーが生成したノーツとゴーストで、新しいプレイヤーを交互に警告し、だますというものだ。他のゲームであればPS5のヒントにもっと頼るかもしれないが、本タイトルに関してはこうした機能は少々冗長に思える。

Demon’s Soulsは唯一の「真の」PS5ローンチタイトルと言っても過言ではなく、異色ではあるが印象的な存在だ。この新しいコンソールは確かにいくつかの点で優位に立っているが、ゲーム自体(未だに素晴らしいものではある)は多くの点で時代遅れであり、最初のゲームとして、可能性をアピールするには力不足の感は否めない。

事実、このリメイク版はクラシックをプレイするのに最適な方法(少なからず)であり、それだけでもお勧めはできる。ただし、70ドル(約7300円、ヨーロッパやその他の地域ではもう少し高い)という価格はやや微妙だ。この価格にもう少しプラスすれば、次世代のゲームプレーと次世代のビジュアルの両方が期待できる。とはいえ今のところは、得られるものを手にするしかないだろう。

関連記事:

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:PlayStation レビュー

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

電動自転車Charge Cityレビュー、実用的で万人向けな英国製、価格約15.5万円


英Charge Bikesの創設者であるNick Larsen(ニック・ラーセン)氏と製品担当副社長のPeter Vallance(ピーター・ヴァランス)氏は、電動自転車を購入して所有することの苦痛を軽減し、日常生活で自転車を使う人々やサイクリング愛好家を惹きつたいと考えた。

同社は、週末のレジャーライドに最適な「Comfort」、通勤者向けの「City」、オフロード愛好家向けの「XC」という3つのモデルを販売している。私はしばらくの間、Cityに乗れる機会を得たので、日用品の買い物に出かけ、使い勝手を確かめてみた。

この電動自転車は、250Wを発生するギアハブモーターを搭載。最高速度20km/hまでペダルをアシストする。取り外し可能なロック式バッテリーは、1回の充電で約80kmの距離を走行可能だ。シマノ製Tourney 7段変速機や、前後のライト、折りたたみ可能なペダルとハンドルバー、パンクに強いグッドイヤー製タイヤを装備し、さらにタイヤ空気圧センサー、速度とパワーアシストセレクターを表示する見やすいディスプレイも搭載されている。フェンダー、ラック、便利でダンディなキックスタンドを含めても、重量は約20kgほどに抑えられている。

画像クレジット: Charge Bikes

開梱は簡単で、発泡スチロールの梱包が省かれているのが好ましい。私は手を動かしてモノを作るのが本当に好きなのだが、この自転車の組み立ては簡単すぎた。ハンドルとペダルを広げて前輪を取り付け、シートポストを調整するだけ。タイヤに空気を入れてバッテリーを充電したら、乗車準備完了だ。

まずは平坦な場所から乗り始めた。ほとんどの場合、電動モーターの設定は「最高」で使用した。そうしない理由があるだろうか?シート、グリップ、乗車姿勢は快適で、楽に長く乗れそうだ。

折りたたみ式のペダルには違和感があった。曲がったりしなったりするため、クランクから車輪に伝わる力を失っているのではないかと気になった。壊れてしまうのではないかと心配になる。しかし、折りたたみ式のハンドルバーはしっかりと固定されている感じがして、まったく不安はない。

画像クレジット:Charge Bikes

会社の宣伝文句の1つである「汗をかかずに、行って帰ってこれる」という言葉は、少なくとも私にはまったく当てはまらなかった。平坦な道では十分に速く、ペダルを見事にアシストしてくれるが、私が期待していたような「平地のように坂を登れる」自転車ではない。オークランドにはたくさんの丘があり、地元の食料品店に行くルートにはいくつかの変化に富んだ傾斜があった。最も急な坂道では、アシストレベル5で必死に漕いでも速度は8km/hがやっとだった。

それでも電動アシストがないより、あった方がいいことは間違いない。私が普通の自転車でこんな坂道に挑むことはまずないだろう。普段はクルマでこの食料品店に行くのだが、電動自転車を持っていればクルマを駐車場に置きっぱなしにしておける。素晴らしい。

この自転車にはクリティカルポイントが、決定的なものではないけれどいくつかある。まずフェンダー。便利な装備だが、しばしば曲がってタイヤに擦れてしまう。それから折り畳み可能なペダルは良いアイディアだが、私ならストラップが付いた普通のペダルに交換したい。

坂道を登る途中では、ギアが変速しなくなるという問題にも出くわした。そんな状況でより軽いギアに切り替えられないというのは最悪な事態である。これは親指で電動アシストのパワーを最大に発揮させているときに起こった。また、充電器がひと晩でバッテリーを100%充電できないという問題も発生した。これは何度か起こったし、原因も私にはわからない。一度すべてのプラグを抜き、また差し込むと直る。不思議なことに。

画像クレジット: Charge Bikes

総合的に見て、Cityは一般的な人々が普段の生活で使うための非常に実用的な自転車といえる。購入から保管に至るまで、電動自転車を所有する上で抵抗となる点を、Charge Bikesは本当に減らしてくれた。Cityは同社のサイトで1499ドル(約15万5000円)で購入できる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Charge Bikes電動自転車レビュー

画像クレジット:Charge

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

Ryzen Pro 4000採用で32GBメモリー搭載可能、13.3型「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

Ryzen Pro 4000採用で32GBメモリー搭載可能、13.3型「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

携帯性もパフォーマンスも妥協しないというコンセプトで人気があるレノボ・ジャパンの「ThinkPad X」シリーズ。そのラインナップにAMD製CPU「Ryzen Pro 4000」シリーズを搭載した「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」が加わった。13.3インチの液晶ディスプレイを搭載しながら質量が約1.28kgに抑えられており、自宅でのテレワークはもちろん、出先にも気軽に持ち運んで使用できる。今回は、その実機を試用できたので、使用感や実力を紹介していこう。

レノボ・ジャパンの13.3型ノート「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

レノボ・ジャパンの13.3型ノート「ThinkPad X13 Gen 1(AMD)」

ThinkPadシリーズの伝統的なデザインを踏襲

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)は、13.3インチの液晶ディスプレイを搭載したクラムシェル型のノートPCだ。マットブラックを基調にしたシンプルな筐体や天板にあしらわれた斜めのロゴ、赤いアクセントカラーなど、パッと見で「ThinkPad」と分かる伝統的なデザインを踏襲している。

本体サイズは幅311.9mm、奥行き217.2mm、高さ16.9mmで質量は約1.28kg(質量は構成により異なる)。13.3インチのノートPCとしては比較的コンパクトなほうだ。天面も底面もフラットで凹凸(おうとつ)が少ないため、細身のバッグにもスムーズに収納できるのがありがたい。

ThinkPadといえば頑強さも特徴のひとつだが、ThinkPad X13 Gen 1(AMD)も12項目の米軍調達基準に準拠した品質テストをクリアしており、過酷な環境でも安心して使用することが可能だ。

天板の左上にはThinkPadのロゴが配置されている。「i」のドットが赤く光るのも従来通り

天板の左上にはThinkPadのロゴが配置されている。「i」のドットが赤く光るのも従来通り

フットプリントは幅311.9mm、奥行き217.2mmと比較的コンパクト

フットプリントは幅311.9mm、奥行き217.2mmと比較的コンパクト

底面も凹凸の少ないフラットなデザインになっている

底面も凹凸の少ないフラットなデザインになっている

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)のディスプレイは4種類が用意されており、予算や用途に合わせて選択可能だ。

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)のディスプレイは4種類が用意されており、予算や用途に合わせて選択可能

このうち、ThinkPad Privacy Guardは視野角を狭めて覗き見を防ぐ機能。電車のホームや座席、カフェなど、人の目が気になる環境で使用する機会が多い場合に役に立つ。

今回はPrivacy Guardもタッチパネルも搭載していないノーマルなフルHD液晶ディスプレイを採用したモデルを試したが、色再現性や階調表現力はかなり高い。IPS方式のパネルということもあって視野角が広く、斜めから見ても色や明るさの変化が少ないのも好印象だった。

ちなみに液晶ディスプレイは180度まで開くことができ、打ち合わせなどで相手に画面を見せながら説明したいときなどに便利だ。

試用機は、IPS方式のフルHD液晶ディスプレイを搭載していた。発色がよく、一般的なノートPCの液晶だとくすみがちな原色の赤や青、緑もあざやかに再現された

試用機は、IPS方式のフルHD液晶ディスプレイを搭載していた。発色がよく、一般的なノートPCの液晶だとくすみがちな原色の赤や青、緑もあざやかに再現された

液晶ディスプレイは180度まで開くことができる。視野角が広いため、開ききった状態でも画面が見やすい

液晶ディスプレイは180度まで開くことができる。視野角が広いため、開ききった状態でも画面が見やすい

ThinkPadならでは、タイピングしやすいキーボード

キーボードはキーピッチが約19mmで、モバイルノートPCとしてはキーストロークも深め。また、キーの下辺がゆるいカーブになっていて押さえやすいなど、タイピングのしやすさを考慮した作りになっている。キーは高級感はあまりないものの打鍵音が小さめで、静かな場所でも作業しやすく感じた。

キーボードは標準的な配列でキーピッチ、キーストロークともに余裕があってタイピングしやすい

キーボードは標準的な配列でキーピッチ、キーストロークともに余裕があってタイピングしやすい

キーボードの中心付近に赤いTrackPointが搭載されているのもThinkPadならでは。個人的にはあまり使用しないのだが、文章を書いている途中でカーソルを移動する場合など、手の位置をあまり動かしたくないときには重宝する。

キーボードの中央に赤いTrackPointが、その手前にクリックボタンが搭載されている

キーボードの中央に赤いTrackPointが、その手前にクリックボタンが搭載されている

タッチパッドはクリックボタン一体型で指の滑りがよく、カーソルの移動やジェスチャーがスムーズ。その右横のパームレストには指紋認証センサーも搭載可能。試用機は指紋認証センサーも搭載していたが、指を当てるだけでパスワード入力なしにログインできるのはやはり便利だ。

タッチパッドはクリックボタン一体型。操作スペースはそれほど大きくないが、ジェスチャーはやりやすい

タッチパッドはクリックボタン一体型。操作スペースはそれほど大きくないが、ジェスチャーはやりやすい

オーダー時のカスタマイズでは、指紋認証センサーを選択することも可能。タッチパッド右横に搭載される

オーダー時のカスタマイズでは、指紋認証センサーを選択することも可能。タッチパッド右横に搭載される

USB 3.1 Gen2 Type-C、USB 3.1 Gen1、HDMIとインターフェースは充実

ビジネス向けノートPCということもあり、インターフェースは充実している。本体左側面にはUSB 3.1 Gen2 Type-C×2、イーサネット拡張コネクター、USB 3.1 Gen1、HDMI、マイクロホン/ヘッドフォン・コンボ・ジャックが、本体右側面にはUSB 3.1 Gen1ポートが搭載されている。イーサネット拡張コネクターには、オプションのThinkPad イーサネット拡張ケーブルをつなぐことで有線LANを利用することが可能だ。

本体左側面にはUSB 3.1 Gen2 Type-C×2、イーサネット拡張コネクター、USB 3.1 Gen1、HDMI、マイクロホン/ヘッドフォン・コンボ・ジャックが搭載されている

本体左側面にはUSB 3.1 Gen2 Type-C×2、イーサネット拡張コネクター、USB 3.1 Gen1、HDMI、マイクロホン/ヘッドフォン・コンボ・ジャックが搭載されている

本体右側面にはUSB 3.1 Gen1ポートが搭載されている

本体右側面にはUSB 3.1 Gen1ポートが搭載されている

イーサネット拡張コネクターにはオプションのThinkPad イーサネット拡張ケーブルをつないで有線LANを使用することができる

イーサネット拡張コネクターにはオプションのThinkPad イーサネット拡張ケーブルをつないで有線LANを使用することができる

また、本体背面にはmicroSDメディアカードリーダーも内蔵されている。トレイに装着するタイプで抜き差しがめんどうなので、スマホとデータをやり取りする用途にはあまり向かないが、セカンドストレージ代わりに使うには便利そうだ。

本体背面にはmicroSDメディアカードリーダーを搭載

本体背面にはmicroSDメディアカードリーダーを搭載

microSDメディアカードリーダーはトレイ式。少々脱着がめんどうなので、頻繁にカードを抜き差しするような用途にはあまり向かない

microSDメディアカードリーダーはトレイ式。少々脱着がめんどうなので、頻繁にカードを抜き差しするような用途にはあまり向かない

なお、カスタマイズでワイヤレスWANを選んだ場合はここにSIMカードも装着できる(2020年11月21日時点、直販サイトでは「WWANは現在販売休止中です」となり選択できない)。

このほか、ディスプレイの上部には720pで撮影できるウェブカメラも搭載している。カメラには、レンズ部分を物理的に隠して撮影できなくするThinkShutterも装備されており、盗撮などの心配が少ないのはうれしいポイントだ。

ディスプレイ上部のウェブカメラ。物理的なシャッターを備えており、盗撮などの被害を防ぐことができる。直販サイトでは、カメラなしや、IRカメラ付きも選択できる

ディスプレイ上部のウェブカメラ。物理的なシャッターを備えており、盗撮などの被害を防ぐことができる。直販サイトでは、カメラなしや、IRカメラ付きも選択できる

Ryzen Pro 4000シリーズの実力は?

ThinkPad X13 Gen 1(AMD)は、プロセッサーにAMDのRyzen Pro 4000シリーズを採用しているのが大きな特徴になっている。直販サイトでは、AMD Ryzen 7 PRO 4750U、AMD Ryzen 5 PRO 4650U、AMD Ryzen 3 PRO 4450Uの3種類から選択することが可能だ。

今回の試用機には、そのうちミドルモデルのAMD Ryzen 5 PRO 4650Uが搭載されていた。そのほか、主な仕様は次の通り。

試用機の主なスペック

  • プロセッサー:AMD Ryzen 5 PRO 4650U (6コア12スレッド/最大4.0GHz)
  • グラフィックス:AMD Radeon グラフィックス(CPU内蔵)
  • メモリー:8GB(PC4-25600 DDR4 SDRAM)
  • ストレージ:256GB SSD(M.2、PCIe-NVMe)

Ryzen Pro 4000シリーズは7nmプロセスのZen 2コアを採用しており、前世代に比べてマルチスレッド性能が大幅にアップしている。また、インテル製CPUに比べてCPU内蔵グラフィックス機能のパフォーマンスが高いのも特徴だ。

実際、CPU性能やPCの総合力をチェックするベンチマークテストでは、普段使いはもちろんのこと、負荷の高いクリエイティブ系アプリも十分快適に利用できる結果になった。グラフィックス系のベンチマークも好スコアで、軽~中程度の重さのゲームなら十分快適にプレイすることが可能だ。

CINEBENCH R20では、マルチコアが2386pts、シングルコアが454ptsという結果に。マルチスレッド性能が非常に高いことが分かる

CINEBENCH R20では、マルチコアが2386pts、シングルコアが454ptsという結果に。マルチスレッド性能が非常に高いことが分かる

PCの総合力をテストするPCMARK 10では、基本性能を示すEssentials、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivity、クリエイティブアプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationのいずれもが快適さの目安となる3000を上回った

PCの総合力をテストするPCMARK 10では、基本性能を示すEssentials、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivity、クリエイティブアプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationのいずれもが快適さの目安となる3000を上回った

グラフィックス性能を測る3DMARKでは、ゲーミングPC向けのDirectX 12ベンチマークテスト「Time Spy」が960、同DirectX 11テストの「Fire Strike」が2676、統合型グラフィックス向けDirectX 12テストの「Night Raid」が11054、ミッドレンジPC向けテストの「Sky Diver」が9849という結果に。インテルUHDグラフィックスに比べると倍近いパフォーマンスになっている

グラフィックス性能を測る3DMARKでは、ゲーミングPC向けのDirectX 12ベンチマークテスト「Time Spy」が960、同DirectX 11テストの「Fire Strike」が2676、統合型グラフィックス向けDirectX 12テストの「Night Raid」が11054、ミッドレンジPC向けテストの「Sky Diver」が9849という結果に。インテルUHDグラフィックスに比べると倍近いパフォーマンスになっている

ドラゴンクエストX ベンチマークソフトはフルHD、標準品質で「とても快適」という評価に

ドラゴンクエストX ベンチマークソフトはフルHD、標準品質で「とても快適」という評価に

ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、フルHD、標準品質で「快適」という評価になった

ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、フルHD、標準品質で「快適」という評価になった

ストレージの性能をCrystalDiskMarkでチェックしてみたところ、PCIe接続のSSDを採用しているだけあって、シーケンシャルリード(1MiB Q8T1)が3500MB/s超と高速。実際、OSの起動やアプリの起動なども非常にスムーズだった。

SSDは4レーンのPCIe 3.0で接続されており、シーケンシャルリードが3500MB/s超と非常に高速

SSDは4レーンのPCIe 3.0で接続されており、シーケンシャルリードが3500MB/s超と非常に高速

バッテリー駆動時間は最大13.9時間(公称、JEITA2.0)となっているが、バッテリーベンチマークソフト「BBench」での計測では7時間42分という結果になった(電源モードは「より良いバッテリー」に、明るさは40%に設定し、BBenchは「60秒間隔でのWeb巡回」と「10秒間隔でのキーストローク」にチェックを入れて満充電状態から自動休止するまでの時間を計測)。

公称値にはおよばなかったものの、これだけ動作するなら、電源につながず使う場合も比較的安心して作業に集中できそうだ。

付属のACアダプターは45W出力のもの。比較的コンパクトで本体と一緒に持ち歩いてもあまり邪魔にはならない

付属のACアダプターは45W出力のもの。比較的コンパクトで本体と一緒に持ち歩いてもあまり邪魔にはならない

コストパフォーマンスに優れるビジネスモバイルノートPC

ThinkPadらしい質実剛健なボディにAMD Ryzen Pro 4000シリーズを搭載し、携帯性とパフォーマンスを両立させたThinkPad X13 Gen 1(AMD)。直販サイトでは最小構成のスタンダードモデルが10万1838円(税込、通常販売価格18万3810円にeクーポン適用後の価格)となっており、コストパフォーマンスの高さも大きな魅力になっている。

キーボードやインターフェース、液晶ディスプレイなど、細部の作りも丁寧なので、実用性重視で長く使いたいというユーザーにはオススメしやすい。高品質なビジネスノートPCを探している人や、テレワークを機に買い替えを考えている人には、ぜひ注目してほしい製品だ。

関連記事
価格8万円のRyzen 3 4300Uノートの実力は?「ASUS VivoBook Flip 14 TM420IA」レビュー
Ryzen 7 4800H+Radeon RX 5500M搭載、オールAMDのゲーミングノート「Bravo 15」レビュー
圧倒的な性能アップで注目されるAMDのモバイルCPU「Ryzen Mobile」とは?
最新ノートPCでIntelモバイルCPU「Core i7-1065G7」とAMD「Ryzen 7 4700U」の性能を確認する
AMD Ryzenモバイル搭載を期待したくなる?さらに完成度を高めたデルの13.4型モバイル「New XPS 13(9300)」
完成しているからこそあえて変えない新ThinkPad X1 Carbon、第10世代搭載の順当進化だが発熱は高め
レノボの14型ノートPC「Yoga S940(14)」はMacBook Proのライバルになるか?

カテゴリー:ハードウェア

タグ:AMD(企業)ガジェット(用語)Thinkpad(製品・メーカー)Ryzen Mobile 4000(製品・サービス)Radeonレノボ / Lenovo(企業)レビュー(用語)

レビュー:時代の先を行くMicrosoftのXbox Series X

最初のXbox One(エックスボックスワン)発売から7年、Microsoft(マイクロソフト) の最新ゲーム機Xbox SeriesX(エックスボックスシリーズX)が新しい境地を切り開き、これまでにない製品としてエックスボックスのエコシステムに加わった。マイクロソフトはサブスクリプションサービスGamePass(ゲームパス)とクラウドストリーミングのxCloud(エックスクラウド)を展開している。それでも、彼らはいまだ、非常にパワフルで巨大な金属製ボックスの製作に力を注ぎ、画期的な新規ゲームタイトルを消費者の家庭に届けようとしている。

最初に言っておくと、499ドル(約52500円)のシリーズXと299ドル(約31500円)のシリーズSのシステムはレビューするのが難しかった。最新のゲーム機の発売ラインナップにはいつも少し不満な点があるが、今世代は特にタイトル発売の遅れが多く、発売日に出たシリーズXのタイトルの中には、発売前にレビュアーにすら提供されなかったものもいくつかあった。発売日の遅れに関しては新型コロナウイルス感染症に伴う遅延が、すでにタイトなスケジュールに影響を与えていることが考えられるが、レビュアーへの提供タイトルが少ないことに関してはレビュアーに不必要な制限がかけられているように感じた。

とはいえ、そうしたタイトルがプレイできるようになったら、このレビューを更新したいと思う。

画像クレジット: Lucas Matney(ルーカス・マットニー)

エックスボックスシリーズXは高いスペックを備えている。コア数とテラフロップス数が多い。マイクロソフトが推し進めている未来的でギミックな機能はない。Kinect(キネクト)はセットになっておらず、VRヘッドセットもない。シリーズXはただ、それ以前のどのエックスボックスよりも優れたゲームプレイができる巨大な黒い箱だ。

シリーズXとシリーズSの大まかな違いをざっと紹介する(このレビューは主にシリーズXに焦点を当てている)。

シリーズX

  • 最大120fpsの出力に対応し、4Kでタイトルを実行。最終的には最大60fpsで8Kをサポートする*
    1TBストレージ
  • 4K UHDブルーレイドライブ
  • 非常に大きい
  • *開発者がゲームプレイ品質を決定する

シリーズS

  • 最大120fpsの出力に対応し、最大1440pでタイトルを実行
  • 512GBストレージ
  • 光学ドライブなし
  • シリーズXほど大きくない

前世代機は、ゲーム機の世代の概念を大いに揺るがした。それまでは、中間世代のハードウェアのアップデートは主に外観的なものだった(例:同じパワーを搭載しつつ、パッケージのスリム化を図る)。しかし、Xbox One S(エックスボックスワンエス)とOne X(ワンエックス)はそれまでの慣習を壊した。中間世代のアップグレードにおいてパフォーマンスの向上を提供し、新しい4Kテレビを最大限に活用できるとの触れ込みで、PlayStation(プレイステーション)からユーザーを奪おうとしたのだ。

その結果、今回はマイクロソフトの前作であるワンエックスに比べて圧倒的なアップグレードだという感覚がすぐにわかない。テラフロップスに関しては2倍高速だが、この特長を実際に活かせるタイトルがまだない。時代の先を行っているのだが、発売初日にゲーム機を購入する消費者は、その高機能を最大限に利用できるようになるまでかなりの時間待たなければならないと思われる。

グラフィックス的にはユーザーが発売タイトルのプレイ品質に圧倒され、衝撃を受けるといったことにはならないと思うが、ゲーム機の世界で当たり前になってしまった大きなイライラを解消するのに、いずれシリーズX/Sのパワーが大いに役立つだろう。

画像クレジット:ルーカス・マットニー

主に新しいSSDストレージによってロード時間が大幅に短縮されている。おそらくユーザーがすぐに気付く大きな変化はここだろう。これまでにない別の特長は、ゲーム機のファンがささやくように静かで、ゲームに熱中するとシリーズXから音がほとんど聞こえなかったことだ。さらに大きな性能の向上にQuick Resume(クイックレジューム)がある。これによりユーザーは、ゲーム全体をリロードしたりスタートメニューを行ったり来たりすることなく、少し前にプレイしていたゲームをすばやく再開できる。これはかなりの優れものであり、少なくとも当面の間プレイステーション5に導入されることがない機能だ。

こういったことすべてを考えると、実際のところ、理論上の話ではあるが、プレイアビリティの面でもシリーズXとソニーのPS5に大きな差はないと言えるだろう。どちらにも内部システムの大幅な改善、SSDによるロード時間の劇的な短縮、UIの改善といったメリットがあり、それにコントローラーも新しくなった。

両者の見た目は全く違う。 シリーズX本体は非常に大きく(PS5ほどではないが)、購入を考えている多くのユーザーがゲーム機用の棚に横置きで収まるかどうか寸法を確認する必要があるだろう。 シリーズXはゲーム機というより、デザイン性の高いゲーミングPCのような感じだ。シャシーは非常にしっかりとしていて密度が高く、これまでに見てきたゲーム機のシャシーの中でも非常に頑丈なデザインの部類に入る。ハードウェアに関して、シリーズX/Sのコントローラーは前世代と非常に似ているが、さりげない改良、特にその感触と質感は多くのユーザーが気に入るだろう。

これを読んでいる人のほとんどは、シリーズXを購入するかどうかすで決めていることだろう。そして、その多くは単に新製品という理由で購入するのだろう。シリーズXの性能に対する現時点での必要性や、その性能を手持ちのゲーム機器に活用できるかどうかといったことは二の次で、新しいタイトルをプレイし、時代に乗り遅れないようにしようと思っている。それは確かに悪い理由ではない。

画像クレジット:ルーカス・マットニー

シリーズX/Sまたはプレイステーション5を購入しようかどうか迷っている人もいるかもしれない。 アメリカの政治と同じように、私はそれほど多くの浮動層(決心のついていない人)がいるとは思っていない。 ユーザーは、どのシリーズもののタイトルがプレイステーション専用であり、どのタイトルがエックスボックスでのみ発売されるのかをよく知っている。Sony(ソニー)とマイクロソフトの両者とも数十年、独自のゲームタイトルの展開を推し進めているが、マイクロソフトはここ数年でゲームスタジオの買収に積極的になっていて、サブスクリプションサービスのゲームパス向けに膨大なタイトルからなるライブラリを構築しようとしているため、独占タイトルはすぐに増えていきそうだ。

とはいえ、迷っている人のほとんどは、自分が本当にプレイしたいゲームタイトル用のゲーム機を最終的に選ぶことになる。しかし今のところ、PS5やシリーズXの発売タイトルの中に何が何でもプレイしたいものがある場合や、前世代機でプレイできなかったタイトルが最適化された形式でプレイできるようになっている場合でもなければ、今すぐ決めるのは少し難しい。ホリデーシーズンに発売予定だったシリーズXの目玉タイトルHalo Infinite(ハローインフィニット )は2021年まで発売が延期された。現実問題、このハードウェアを本当にアピールできるゲームタイトルは、おそらく来年の終わりまで登場しないと思われる。

とにかく、ほとんどのユーザーは来年までシリーズXを最大限に活用できないだろう。自宅のテレビやAVレシーバーが、シリーズXの性能、つまり8Kゲームや高フレームレート(120fps)の4Kゲームを最大限に活用できる状態に対応していない可能性が圧倒的に高い。ハイエンドを実現するには、HDMI 2.1というテクノロジーが必要とされるが、これを採用しているのは一部の新しいテレビのみである。来年はもっと全面的に標準化されそうだが、今のところ、こういったテレビやAVレシーバーは実際に家庭ではあまり使われていない。4Kテレビが対応しているHDMI2.0があれば、シリーズXのタイトルを最大60fpsの4K解像度(前世代のエックスボックスワンエックスに近い品質)でプレイできる。

真新しいテクノロジーを取り入れる場合、妥協することが増えるが、それはシリーズX/Sも例外でない。 最先端の映像規格に対応したゲーム機はライフサイクルが長い。しかし最新のAVハードウェアを手に入れるまで、消費者は最適な環境でプレイできない。 発売初期に購入する人にとっては、たいてい新しいタイトルが少ないことも、とてもいら立たしい。 マルチプラットフォームのヒット作がいくつかお目見えするが、シリーズX/Sのパワーを最大限に活かせる、プレイ必須のタイトルはなさそうだ。 性能を重視してゲーム機を購入している消費者にとっては残念なことだが、シリーズX/Sのタイトルが徐々に充実していくことは間違いないと思われる。というわけで消費者は、シリーズX/Sの性能の向上を目当てに、2020年に思い切って購入すべきか否か決断を迫られている。

関連記事:フォートナイトがPS5とXbox Series X/Sで発売決定

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Xbox Microsoft レビュー

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)