ボストン・ダイナミクスが物流用ロボットStretchの販売予約受け付けを開始

Stretchはこれまで、Spotほどには注目されてこなかった。当然といえば当然なのだが。というのも、1つにはBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が数十年にわたる研究開発を経て、初めて商品化したロボットではなかったからだ。また、人目につかないところで箱を移動させるなど、舞台裏で活躍することを想定して設計されているからでもある。有名なSpotは、Hyundai(現代自動車)傘下のロボットメーカーBoston Dynamicsにとって、世間の注目を集め、ちょっとした論争を巻き起こす一種のブランドアンバサダー的な存在となっている。

同社のHandleプロジェクトから生まれたStretchは、ここ数カ月で限られた顧客に試験的に使用されている。同社はまた、1月にDHLと1500万ドル(約18億円)相当という大規模なロボット購入契約を締結した。その他、衣料品チェーンのGapやH&Mも初期の顧客だ。

3月30日、このシステムの販売が始まった。2023年か2024年まで納品されないので、予約受付中といった方が正確かもしれない。予想通り、同社はこの新型ロボットへの関心の主な要因として、現在進行中の労働問題を挙げている。

画像クレジット:Boston Dynamics

「人手不足とサプライチェーンの混乱は、モノの流れを維持するための課題を生み出し続けています」と、CEOのRobert Playter(ロバート・プレイター)は話す。「Stretchは物流業務をより効率的かつ予測可能なものにし、倉庫内で最も身体的負荷の大きな作業を担うことで安全性を向上させることができます。当社のアーリーアダプターの顧客の多くは、すでにこのロボットの大規模な導入を決定しており、Stretchが間もなくより広範囲に活用され、小売業者や物流会社が継続的に急増する商品需要に対応できるようになることを期待しています」。

これらのシステムが世界で活躍するのを見るのは興味深い。これまで私たちは主に、制御された環境下でのBoston Dynamicsの動画を見てきた。Stretchは厳しい競争に直面している。企業がAmazon(アマゾン)の巨大な自動化軍団に対抗するための足がかりを探す中で、倉庫や物流は近年ロボティクスで最も注目されている分野の1つとなっている。直近では、そうした企業は雇用のギャップを埋めるのに役立つシステムを探している。

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用、「ユカイなピコハンロボットキット」発売

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

「ロボティクスで、世界をユカイに。」を掲げ、コミュニケーションロボットなどの開発販売を行うユカイ工学は3月30日、ピコピコハンマーを振り下ろす楽しいロボット「ユカイなピコハンロボットキット」の販売を開始した。価格は9900円(税込)。小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

「ユカイなピコハンロボットキット」概要

  • 価格:9900円(税込)
  • 完成ロボットサイズ:W250×D150×H200mm
  • 完成ロボット重量:約260g(電源を含まず)
  • 内容物:ピコピコハンマー(1個)、本体フレームパーツ(16種。計17個)、タイヤ(2個)、回転モーター(2個)、角度モーター(1個)、ココロキット+(1個)、スイッチ(1個)、コネクター(3個)、腕シート(4枚)、カプセル(2個)、結束バンド(長4+短20)、両面テープ(6枚)、ねじ(長6+短3)、ドライバー(1本)、目シール(1枚)、Welcome Guide(1枚)
  • 電源:単4乾電池3本(電池は別売)

ピコハンロボットは、ユカイ工学の教育向けの製品やプログラミング環境を提供する「Kurikit」(クリキット)シリーズから発売される。簡単に組み立てることができ、特別な専門知識がなくともロボットを動かすソフトウェア開発に挑戦できる。小学生を対象とした競技プログラミング大会「ゼロワングランドスラム2021年度大会」の公式競技用ロボットに採用されたものだ。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

組み立て後は、タブレットのリモコン画面で操作できる。本体前面には何かが当たるとカウントされるセンサーがあるため、これを利用すれば2台のロボットで対戦して得点を競うことができる。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

リモコン操作のほかに、Scratch 3.0(スクラッチ)互換のソフトウェアをロボット専用にカスタマイズしたビジュアルプログラミング環境でプログラムすることもできる。ハードウェアだけでなく、ロボット制御のソフトウェア開発も体験できるということだ。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

今回のピコハンロボットの原型は、高専ロボコン出身エンジニアの和田義久氏が開発したものだ。ユカイ工学が毎年実施している学生インターンプログラムに2016年に参加した和田氏は、そこで100円ショップで買える素材でロボットを作ってバトルするという課題に挑んだ。そのとき製作されたものをベースに、ハードウェアエンジニアの高岡亜輝氏が設計した。ビジュアルに関わるデザインはデザイナーの水落裕氏が担当。和田氏はこれを「自分が一番作りたかったロボット」だと話す。「ゼロから創造するのは得意ではないけれど、ロボットやプログラミングに興味がある」という子どもたちに向けたものだという。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

左が原型。中央が開発途中のもの。右が製品版

経産省、ロボットを導入しやすい「ロボットフレンドリーな環境」実現を目指す取組みで惣菜盛り付けロボの実用化開始

経産省、ロボットを導入しやすい「ロボットフレンドリーな環境」実現を目指す取組みで惣菜盛り付けロボの実用化開始

RT Corporation

経済産業省は、官民一体の取り組みとしてロボットフレンドリーな環境の構築を目指し、惣菜工場への惣菜盛り付けロボットの配備を開始したと発表しました。

経産省のリリースによると「人手不足やコロナ禍の影響により、今後の日本社会における自動化、無人化、非接触へのニーズはますます高まって」いることを背景に、2019年より「ロボットを導入しやすい“ロボットフレンドリーな環境”の実現に向けた取組」を進めてきたとのこと。

とくに食品製造の分野ではいまだ人手のかかる作業が多くを占めており、なかでも惣菜の製造現場、特にパックなどへの盛り付けの工程における人手が多く必要とされているため、これをいかに自動化するかが課題となっています。

今回の発表ではロボット実装モデル構築推進タスクフォース(TF)のメンバーである一般社団法人日本惣菜協会が指揮をとり、マックスバリュ東海、イチビキ、ヒライ、藤本食品、グルメデリカ、デリカスイト、ニッセーデリカの7社に惣菜盛付ロボットやシフト計算最適化システムなどを開発導入したことが報告されました。

Japan Ready-made Meal Association
なかでも絵面的に興味が引かれるのは、イチビキ、ヒライ、藤本食品に導入された(株)アールティの惣菜盛り付けロボット「Foodly」で、本体ボックスの上に人の上半身が生えたような、まるでケンタウロスのような風体が非常にわかりやすい未来的デザイン。この形状は単にステレオタイプなロボットを作ったからではなく、比較的小柄な人型とすることで生身の従業員が立つ製造ラインに並んで配備することができ、人と人の間に配置すればソーシャルディスタンスの目安としても有効です。

さらに人用の作業着を着せられるため本体の汚れを最小限に抑えられ、清掃の手間を省略できます。両手は複数種類のトングを付け替えて使用でき、まるで人間のように惣菜をつまんではトレイに乗せていくことが可能。髪の毛もなく喋ることもないので、惣菜への異物混入の可能性も大きく減らせるとメーカーは説明しています。

その他の盛り付けロボットやシフト管理システムの導入も、惣菜製造現場の煩雑な作業の軽減、人手不足の解消に役立つことが期待されるもので、経済産業省はこのような成果を他のTF関係者にも共有し、中小企業を含めた多くの惣菜製造現場にも導入可能な低価格な盛付ロボットの開発を進めていくと述べています。

(Source:METI(経済産業省)Japan Ready-made Meal Association。Coverage:RT CorporationEngadget日本版より転載)

HarvestXが1.5億円調達、植物工場での実証実験に向け開発加速―実証結果踏まえた製品バージョンのベータリリースも計画

HarvestXが1.5億円調達、植物工場での実証実験に向け開発加速―実証結果踏まえた製品バージョンのベータリリースも計画

農業用ロボットを手がけるHarvestXは3月30日、総額1億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ANRI 4号投資事業有限責任組合(ANRI)、オープンイノベーション推進 1号投資事業有限責任組合(東京大学協創プラットフォーム。東大IPC)、DEEPCORE TOKYO 2号投資事業有限責任組合(ディープコア)。

レタスなどの葉物類の植物工場が展開を広げる一方、イチゴのような果実類の生産にはハチ・ハエを媒介とした虫媒受粉または人の手による授粉が必要で、収量の不安定さ、高コスト、ハチの短いサイクルでの使い捨てが課題となっているという。そこでHarvestXは、ハチに代わるロボットを活用した授粉技術の開発に取り組み、世界で初めてロボットによるイチゴの授粉の実証に成功した。社内の研究施設「HarvestX Lab」内で実証試験機「XV-1」「XV-2」による授粉の実証実験を実施しており、ハチや人間を超える精度での授粉を行えるそうだ。

また現在は、HarvestX Labに植物工場と同等の栽培設備を導入し、植物工場事業会社での授粉ロボットおよびソフトウェアシステムの実証実験に向けたプロトタイプの開発を進めているという。

調達した資金により、パートナーである植物工場事業会社との実証実験に向けたハードウェア・ソフトウェアの開発、および実際の植物工場での実証実験を通じてオペレーションの検証やさらなる授粉精度の向上を進める。さらに、その実証実験の結果を踏まえた製品バージョンのベータリリースを計画している。

さらに、日本初の取り組みとして徳山工業高等専門学校提携。高専内に事業所を開設し、授粉・収穫用ロボットの共同研究を行う。

カーネギーメロン大学発先進「触覚センシング技術」の社会実装を推進するFingerVisionが1億円のシード調達

カーネギーメロン大学発「触覚センシング技術」の社会実装を推進するFingerVisionが1億円のシード調達

FingerVisionは3月23日、シードラウンドとして、第三者割当増資による総額1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII2号投資事業有限責任組合)。大学発の「視触覚」技術の実用化を通じロボット・機械の適用範囲を広げ、様々な社会課題を解決することを目指しており、調達した資金により経営・開発体制を強化し、触覚センシングデバイスやロボットハンド、業界向けソリューションを実用化するという。

今後、様々な分野においてロボット化・AI化の流れがさらに加速すると予想されるものの、「触覚」の⽋如が実世界におけるロボット・機械の適⽤範囲を限定されているという。そこでFingerVisionは、同社の触覚技術でロボットの⾏動⽣成能⼒を向上させることで、⼈⼿をかけて対応せざるを得なかったタスク(特に過酷・劣悪な労働環境、危険な作業など)をロボットが担えるようにする。

同社は、ロボットの活⽤範囲を広げることについて、社会システムにおける人の役割・ロボットの役割を再定義することにつながると指摘。より良い社会のあり方を実現するための具体的な解決策の1つとして、革新的かつ実用性の高い触覚技術・ロボット技術を提示し続けるとしている。

FingerVisionは、コア技術のコンセプトとして「画像(カメラ)をベースに触覚を再現する」を採用。ロボットハンドなどの指先に搭載することで、触覚(力や滑りの分布など)を知覚できるようになり、あたかも人が「手のひら」の感覚を使って物体を扱うような制御をロボットで実現できるという。

この技術は、カーネギーメロン大学において、同社取締役の⼭⼝明彦氏がロボットAIやAIベースドロボットマニピュレーションの研究を進める中で、食品など従来のロボットが扱うことが難しかった対象物を操作する研究の過程で、Christopher Atkeson教授とともに生み出したものがベースという。基礎的なアルゴリズムなどを研究をしつつ、実用性も強く意識し研究を進めた経緯から、高機能(高分解能・マルチモダリティ)でありながら、経済性に優れる実用性の高さを特徴とするそうだ。

「触覚」センサーとはいいつつも把持対象物を見る(視覚)モダリティも備えた、まったく新しいコンセプトの「視触覚センサー」であり、ロボットと組み合わせたプロセス自動化だけでなく、無限の応用可能性を持つとしている。
カーネギーメロン大学発先進「触覚センシング技術」の社会実装を推進するFingerVisionが1億円のシード調達

自動実験ロボとデータ科学により人の100倍以上の速度でリチウム空気電池の電解液の調合・電池性能評価を実施、充放電サイクル寿命が2倍に

自動実験ロボとデータサイエンスにより人の100倍以上の速度で蓄電池の電解液の調合・電池性能評価を実施、充放電サイクル寿命が2倍に

各種探索手法を用いた際の、発見した電解液性能の経時変化。ランダム探索(黒線)に比べて、局所最適値法(赤線)やベイズ最適化(青線)を用いた場合の方が、より効率的に高性能電解液を発見できる

物質・材料研究機構(NIMS。松田翔一氏、Guillaume Lambard氏、袖山慶太郎氏)は3月23日、リチウム空気電池の電解液材料の材料探索において、独自の電気化学自動実験ロボットと、ベイズ最適化に代表されるデータサイエンス的手法を組み合わせた新しい手法を確立し、充放電サイクル寿命を2倍に向上させる電解液材料の開発に成功したと発表した。次世代蓄電池の開発を加速する、有力な手法になることが期待される。

車載用やスマートグリッド用など、蓄電池の需要が高まっていが、現在多く使われているリチウムイオン電池の性能は限界に達している。そこで革新的な蓄電池のいち早い実現が求められているが、その候補となっているのがエネルギー密度がリチウムイオン電池の2倍から5倍というリチウム空気電池だ。しかし、リチウム空気電池は充放電サイクル寿命が短いことがネックとなり、実用化が進んでいない。そこを改善するには、正極と負極での反応効率が高い電解液材料を開発する必要がある。それには、膨大な数の化合物の候補の選定や組み合わせを行わなければならず、研究者の勘と経験を頼り試行錯誤されているのが現状だ。

電気化学自動実験ロボットの(a)注液部、(b)全体像、(c)電極部

研究チームは、独自に開発した電気化学自動実験ロボットとデータサイエンス的手法を組み合わせて、この問題に取り組んだ。このロボットは、電解液の調合と電池性能評価を人の100倍の速度で行える。そこでアミド系電解液に的を絞り、その弱点である負極の反応効率の低さを解消する電解液の添加剤を探すことにした。添加剤の候補の組み合わせは1000万通り以上あり、そこからランダムに選び出した4320種類のサンプルの負極反応効率を評価した。その結果、86.1%まで反応効率を高める添加剤の組み合わせを発見できた。これに対して、局所最適値法とベイズ最適化といったデータサイエンス的手法を採り入れて探索を効率化すると、最大で92.8%まで反応効率を高める組み合わせが見つかった。この添加剤を導入した電解液を使用すると、リチウム空気電池の充放電サイクル寿命は約2倍に増大した。

この研究は、「試行錯誤的に行われてきた電解液材料の開発に対して、大きなインパクトを与えるもの」だという。またこの手法は、ナトリウムイオン電池やマグネシウム電池などの蓄電池用電解液の材料開発への適用も期待されるとのことだ。

農地をスキャンし、壁を作り、窓を掃除するロボットたち

私のGmail受信箱は、アグリテック(農業技術)の売り込みでいっぱいになり、正直なところ、最後の2通のニュースレターで話題にしたことを少々後悔している(といいつつ、またやっているわけだが)。あれはいつ始まったのだろう?私の住む半球では、ちょうど東海岸時刻午前11時33分に正式に春が訪れたためだ。花は咲き、鳥はさえずり、私たちはみな、どうやってロボットを導入しようか考えている。

そして(おそらくは関連する事実として)World Agri-Tech Innovation Summit(世界農業技術イノベーション・サミット)が今週サンフランシスコで始まったことが、少なくとも部分的には、宣伝メールが大気を埋め尽くす大量の花粉のように増えた理由だろ。別に私は腹を立てているわけでもなんでもない(もしそう聞こえたなら、今私の脳内の半分を占めている花粉のせいだ)。事実、それはこの分野の大きなトレンドへの興味深い洞察を与えてくれた。

以前私は、アグリテックロボティクスが期待されたほど普及していないことに言及し、今も変わっていない。しかしそれは、努力が足りていないからではない。今この分野で最も重要なのは、農作物監視、特に潜在的問題に備えた監視だ。何度も引き合いに出しているが、米国の農業従事者の平均年齢は57.5歳で、日本ではさらに約10歳高い。ここ米国で、約40年間この年齢は上がり続けている。

この話を持ち出す理由は、農業が著しく困難な仕事であり、多くの人々が(少なくとも理論的には)引退を考えている年齢で、彼らは日の出から農地に出ている。伝統的な監視は、日中の多くの時間を独占する退屈な作業だ。そして、正しく行わないと、問題のある場所が実際の問題になる前に見つけることは困難だ。

画像クレジット:Growmark/Solinftec

私が思いつく新しい監視方法は4つ、衛星画像、IoTデバイス、ドローン調査そしてGrowmark(グローマーク)とSolinftec(ソリンフテック)の名前のないデバイスをはじめとするロボティクスだ。農作物監視は、農業にロボットを導入する重要な第一ステップだが、それ以外の果実収穫、除草、耕耘(こううん)などの作業にその機能を組み合わせたいっそう魅力的なモデルもある。これらのデバイスの多くが効率的にレンタルされていることから考えると、農業従事者は費用に見合う最大の価値を求めているのだろう。

さて、今週はずいぶんとたくさん農業の話をしてきた。ロボティクス普及の未来について少し考えてみよう。2021年の終わり頃、私はCMU(カーネギーメロン大学)の新しいディレクターと今後の目標について話した。彼はインタビューの最後をこう締めくくった「工場の現場などに行けばロボットを見ることができるでしょうし、家にはロボット掃除機があるかもしれませんが、私は窓の外を見るとロボットがいるというレベルにしたいと思っています」。

ここでSkyline Robotics(スカイライン・ロボティクス)について少し話そう。最近の記事に書いたように、私は自動化したい仕事リストの上位にビルの窓掃除を置いている。この仕事が比較的危険であることを考えると、ロボット化はかなり進んでいると思っていたが、私の見た数字はそれを反映していなかった。

統計的にみて、世界で最も危険な職業ではないかもしれないが、路上数百メートルの空中に宙ぶらりんになるのは、最も恐ろしい状態の1つではあるだろう。Skylineは2021年遅くにOzmo(オズモ)システムを披露して、何度かマスコミに登場した。具体的には、ロボティック・アームのKuka(クカ)を2台、吊り下げられたプラットフォームに載せたものだ。3月24日、同社は 650万ドル(約7億9000万円)の資金調達を発表し、総調達額は900万ドル(約10億9000万円)に達した。

「このラウンドと初のOzmo展開の成功は、我々の製品とサービスに対する需要が目に見えて投資家に伝わっているだけでなく、Skylineの前に大きなビジネスチャンスがあることを示しています」とCEOのMichael Brown(マイケル・ブラウン)氏は話した。「私たちのチームの信念は、投資家のみなさんのものと一致しています」。

画像クレジット:OTTO

危険な職業と言えば、先週書いたように、フォークリフトも実はかなり危険だ。当然多くの企業がこの作業の自動化を目指しており、カナダ・オンタリオ州拠点のOTTO(オットー)もその1つだ。今週同社は、新しい自動パレットムーバーであるOTTO Lifter(オットー・リフター)を発表した。

Plotlogicの創業者でCEOのAndrew Job(アンドリュー・ジョブ)氏(画像クレジット:Sarah Keayes/The Photo Pitch)

ちなみに、最近同僚のDevin ColdweyがPlotlogic(プロトロジック)の1800万ドル(約21億8000万円)の資金調達について記事を書いている。オーストラリア、ブリスベーン拠点のスタートアップはハイパースペクトルイメージングと呼ばれる手法を用いて、土壌から検出困難な元素を見つける。

CEOのAndrew Job(アンドリュー・ジョブ)氏は次のように話している。

「経済的なメリット、環境維持のメリット、安全性のメリットの3つがあると考えています」とジョブ氏はいう。「より多くの鉱石を処理し、廃棄物を減らすことができるため、より収益性が高くなります。より正確に、より多くの岩石をその場に残し、燃料や温室効果ガスを廃棄物の移動に費やさないようにすることができるのです。そして、それは鉱山での人間の被曝時間も減らします」。

画像クレジット:NVIDIA

今週GTC 2022カンファレンスで、NVIDIAはJetson AGX Orin(ジェットソン・エージーエックス・オーリン)を発表してロボット開発分野への参入を印象づけた。2000ドル(約24万円)の開発キットは、先行機種と比べてコンピューティング・パワーが大幅に強化されている。製品版の発売は第4四半期になる。

オートメーションは、10兆ドル(約1218兆円)の建設産業に今後5年以内に革命を起こす態勢にある。そこで、Rugged Robotics(ラギド・ロボティクス)は、さらなる自動化を目指している。同社は、フィールドプリンターを完全自立型にして24時間運転を可能にすることを発表した。同社のシステムは床に建物のレイアウトを印刷し、作業者に正確な建設位置を教える。

今週同社は940万ドル(約11億円)を調達し、資金総額は約1200万ドル(約14億6000万円)になった。「私たちは建設業界の近代化を目指し、建設業者が毎日苦労している痛点を解決するための実用的なソリューションを構築したいと考えています」と、Derrick Morse(デリック・モーズ)CEOは声明で述べている。「レイアウトは理想的なその出発点であると確信しています。レイアウトは、建設の自動化のための足がかりになります。デジタルと物理の世界の交差点に位置し、大きな問題を解決でき、非常に有意義な方法でロボットを現場に配備することが可能です」。

そうそう、今週お別れする前にこれを言っておかなくてはならない。Open Robotics(オープン・ロボティクス)10歳の誕生日おめでとう。私はまだ、何でも持っているこのRobot Operating System(ROS、ロボット・オペレーティング・システム)管理者に何をプレゼントすればよいかわからないので、ちょっとしたコラムのスペースで我慢してもらおう。

画像クレジット:Skyline Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Preferred Roboticsが6億円調達、旭化成ホームズと家庭向け自律移動ロボ開発や三井住友銀行と自律移動ロボの決済機能開発

Preferred Roboticsが6億円調達、旭化成ホームズと家庭向け自律移動ロボ開発や三井住友銀行と自律移動ロボの決済機能開発

Preferred Robotics(プリファードロボティクス。PFRobotics)は3月22日、第三者割当増資による約6億円の資金調達を3月18日に実施したと発表した。引受先は、旭化成ホームズ三井住友銀行

調達した資金により、財務基盤の強化、優秀な人材の確保、ロボットの開発および製造のための投資を行う。

同時にPFRoboticsは、親会社Preferred Networks(PFN)と旭化成ホームズが実施した実証研究を引き継ぎ、今後PFRoboticsと旭化成ホームズで家庭向けの自律移動ロボットの共同開発を行う予定。また三井住友銀行とは、自律移動ロボットの決済機能や金融サービス提供機能などの共同開発を目指すとともに、同社のネットワークを活用して、顧客ニーズに基づく新たなロボットを多様な事業者などと共創する。

PFRoboticsは、PFNおよび協業企業との連携を強化し、共同開発および自社開発の自律移動ロボットの販売を年内に開始する計画という。

Preferred Roboticsは、PFN子会社として 2021年11月に設立。PFNと共に掲げるビジョン「すべての人にロボットを」の実現に向け、自律移動ロボットの研究開発を行っている。また同社は、PFNの機械学習・深層学習技術を応用し、様々な用途の自律移動ロボットの製造・販売を目指している。

外食産業の労働力不足を狙い配膳ロボットを手がけるBear Roboticsが約96億円調達

数年前からフードロボットのスタートアップ企業を追いかけていて最も興味深いことの1つは、下ごしらえから配達まで、各社が自動化を目指しているさまざまな作業を見ることだ。ベイエリアに拠点を置くBear Robotics(ベア・ロボティクス)は、ロボットをカウンターの前に連れ出そうとしている唯一の企業というわけではないが、近年、最も注目を浴びる企業の1つとなっている。

Bearは、日本でより多くのレストランに同社のシステムを導入しようとするなど、最近の展開で成功を収めている。これには、同社に出資しているSoftBank(ソフトバンク)の後援や、日本では労働力不足が続いているという事情がある。日本は以前から、高齢化社会の中で事業を継続させるための方法としてロボットに注目しており、近年の新型コロナウイルス感染流行がそのニーズを加速させた。一方、米国では、同社はChili’s(チリズ)、Compass Group(コンパス・グループ)、Denny’s(デニーズ)、Marriott(マリオット)、Pepsi(ペプシ)と提携している。

同社のビジネスモデルが、ソフトバンクから多大な信頼を得ていることは間違いない。ソフトバンクは最近、ロボットに対してさらに強気になっており、2020年にはBearのシリーズAを主導した。そして米国時間3月15日、新たな投資家としてIMMが、Cleveland Avenue(クリーブランド・アベニュー)などの既存投資家とともに、同社の8100万ドル(約96億円)のシリーズBを主導するために参入した。この最新のラウンドにより、Bearの資金調達総額は、これまでに約1億1700万ドル(約139億円)に達している。

Bearは、全自動化にははっきりと慎重な姿勢を示している。同社はこれまで、レストランが人間の給仕スタッフに取って代わるのではなく、それを補うための手段として自社を位置づけてきた。これは、同社の機械がロボット・ウェイターというよりも自走型テーブルに近いものであり、A地点からB地点まで注文を載せて運ぶだけという事実が一因であることは間違いないだろう。

「数年前に自分のレストランを始めたことで、私はその難しさを身をもって知りました」と、創業者兼CEOのJohn Ha(ジョン・ハー)氏はリリースで語っている。「そこで私は、レストランの良さを失うことなく、繰り返しの作業を自動化する方法はないものかと考えました。だから私たちはServi(サーヴィ)を作ったのです。これは、お客様、従業員、そして経営者の体験を向上させることを目的としたソリューションです。他の企業が仕事を完全に自動化しようとしている一方で、私たちは毎日この業界を支えている利害関係者のために、仕事の未来を向上させようとしているのです」。

Bearによると、同社のServiロボットは、これまでに総計33万5000マイル(53万9100キロメートル)を移動して、2800万食を配膳してきたとのことだ。

画像クレジット:Bear Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

タカラトミーとJAXAなどが共同開発した変形型月面ロボSORA-Qが月着陸実証機SLIMに搭載決定

タカラトミーとJAXAなどが共同開発した変形型月面ロボSORA-Qが月着陸実証機SLIMに搭載決定

変形型月面ロボット「SORA-Q」。画像中央部分左側が変形前、右側が変形後

タカラトミーは3月15日、JAXAなどと共同開発した超小型変形型月面ロボットが、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」に搭載され、月面でのデータ取得を行うことになったと発表した。これでこのロボットは、ispace(アイスペース)の月着陸船「HAKUTO-R」による月面探査と合わせて、計2回の月面ミッションを実施することになる。またこれまでのLEV-2という名称に代えて、「SORA-Q」(ソラキュー)という愛称が与えられた。

SORA-Qは、運搬時(変形前)は直径約8cm、重量約250gの球体だが、月面の放出されるとすぐに、走行可能な形態に変形する。球体が左右に開いて車輪となり、中央には前方撮影用カメラがせり上がり、後方には後方撮影用カメラと尻尾のようなスタビライザーが展開される。車軸を偏心させることで、レゴリス(月面の細かい砂)に覆われた傾斜地も乗り越えることができ、転倒しても起き上がれるようになっている。撮影した画像はSORA-Q自身が選別して、ペアで行動するもう1つの小型ロボット「LEV-1」にBluetoothで送られ、着陸船を介さず、そこから直接地球に送信される。

ミッションは、レゴリス上を移動して走行ログを取得して保存すること、着陸機周辺を撮影して画像を保存すること、画像データ、走行ログ、ステータスを「LEV-1」経由で地球に送ることなどとなっている。将来の月面有人自動運転技術や走行技術の検討に必要な月面データを集めることが狙いだ。ミッション実行時間は、1〜2時間が予定されている。

タカラトミーとJAXAなどが共同開発した変形型月面ロボSORA-Qが月着陸実証機SLIMに搭載決定SORA-Qという名前には、宇宙を意味する「宙」(そら)に、Question(問い)、Quest(探求)を表す「Q」をつなげているが、「Q」には「球」の意味もある。運搬時の体積を最小限にでき、着陸の衝撃に耐え、どの角度に放出されても展開できることから、球体が選ばれた。そこから月面活動ができる形態に変形させる技術には、変身ロボットやメカニズムの小型化といったオモチャの開発で蓄積されてきたタカラトミーの知見が活かされている。JAXAと共同で20回以上もの試作を重ねた末、ようやく完成させた。そもそもこのプロジェクトは、JAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」共同研究提案公募の枠組みで2016年に開始したものだが、2021年にはソニーグループ同志社大学も参加している。

画像クレジット:
JAXA
タカラトミー
ソニー
同志社大学

南紀白浜空港でHoloLens 2利用のスマートメンテナンスや複数ロボットの協調制御による来訪者案内などローカル5G活用実証

南紀白浜エアポート日本電気(NEC)、THKオリエンタルコンサルタンツは3月14日、和歌山県南紀白浜空港においてローカル5Gなどのテクノロジーを活用し様々な課題解決を図る実証実験を実施すると発表した。

また、日本マイクロソフト凸版印刷が協力し、MR(複合現実。Mixed Reality)やロボットによる新技術・新サービスを試行する。今回の実証実験により、地方の業務環境創出と来訪者増大を目指す。実証期間は2023年3月31日まで。

実験は3種類あり、南紀白浜空港の空港ターミナル内と航空機の駐機場所(エプロン)、滑走路周りの場周道路を対象に行われる。これらの場所において、4.8~4.9GHzを利用する固定型と可搬型のローカル5G基地局を活用し、高速大容量・低遅延なローカル5Gネットワークを構築する。

HoloLens 2を利用したスマートメンテナンス

Microsoft HoloLens 2、NECの点群データ活用侵入検知技術、ローカル5Gの大容量通信を組み合わせて制限表面を樹木などが超えていないか分析・検知し、点検者のHoloLens 2に表示を行い点検時の見落としを防ぐ。制限表面とは、航空機の安全な航行を目的として飛行場の周辺空間に設定される面のこと。また路面劣化などの点検時は、HoloLens 2上で現実空間に過去の点検記録を重ね合わせて表示し、目視よりも作業時間を短縮し確認の効率化を目指す。熟練労働者の技術力継承の一助とし、生産性が高い業務環境創出を実現する。

制限表面を超えた樹木を検知した際のHoloLens 2の映像

制限表面を超えた樹木を検知した際のHoloLens 2の映像

複数ロボット協調制御による来訪者案内・デジタルサイネージ広告

THKのサイネージロボットとNECの複数ロボット協調制御技術を活用し、空港内を2台のロボットが協調連携しながら分担して来訪者を目的地まで案内する。案内後は移動型デジタルサイネージによる宣伝広告に切り替わる。加えて、ローカル5Gネットワークを利用しロボット搭載カメラから映像を取得することで、オペレーターが遠隔地からロボットを操作し案内することも可能。これにより、案内スタッフのテレワークの実現と、省人化・無人化されたサービスや業務の柔軟かつスピーディーな開発・社会実装に大きな役割を果たすとのこと。

1台目のロボットから2台目のロボットに案内を引き継ぐ様子

1台目のロボットから2台目のロボットに案内を引き継ぐ様子

MR空間でペイントしたオリジナル飛行機の着陸見学

南紀白浜空港では、バックヤードツアーとして、滑走路の間近からの航空機の離発着見学など普段は立ち入ることのできない空港の裏側を巡る体験ツアーを実施している。このツアーのコンテンツ拡充を見据え、ローカル5Gの低遅延・リアルタイム伝送という特徴とMR技術とを活用し、新たな観光体験を提供する新サービスの実証を行う。

6社は、将来的にHoloLens 2などMRデバイスにおける現実空間とデジタル空間の位置を調整する方法の高度化や、複数ロボットの協調制御機能を空港・他業種のソリューションに応用するなど、今後もローカル5Gを活用し南紀白浜空港の魅力を向上させ、生産性が高く働きがいのある業務環境の創出、来訪者の増加という課題解決を目指す。

エクサウィザーズと日本製鉄、ロボットAIソリューションで熟練作業の効率的な技能伝承を目指すデータ解析基盤を検証

エクサウィザーズと日本製鉄、ロボットAIソリューションで熟練作業の効率的な技能伝承を目指すデータ解析基盤を構築・検証

AIを活用したサービスで産業革新と社会課題の解決を目指すAIスタートアップ「エクサウィザーズ」は3月9日、マルチモーダルなロボットAIソリューション「exaBase ロボティクス」を使い、重機操業の作業状況を可視化し、熟練作業の効率的な技能伝承を可能にするデータ解析基盤を構築。2022年2月から、日本製鉄の東日本製鉄君津地区にて検証を行っている。

製鉄所では、鉄を融解した際に発生する副産物であるスラグを分離する作業が必要になる。スラグは1000度を超える高温溶融物であるため、作業員は遠隔で重機を操作し、変化するスラグの状態を見ながら、知識と経験を活かして作業を行う。だが、その技能やノウハウは形式知化することが難しいため、技術の伝承が困難になっている。そこで、エクサウィザーズと日本製鉄は、スラグ分離作業における重機操作をデジタル化するプロジェクトを進め、その一環として、exaBase ロボティクスを使った熟練作業の技能伝承のためのデータ解析基盤を構築し、検証を行うことにした。

その結果、これまでデジタル化ができなかった様々なデータの可視化と熟練要素の解析を実現し、勤続10年以上の作業員の操作技術を明確にすることができた。同時に、熟練作業員と同じ操作を新人作業員でも行えるようAIが指導するソフトウェアを導入。作業の効率化と均質化が期待されるという。

データ解析と可視化は、センサーデータ、動画データ、操業情報について行われた。センサデータは、重機の操作位置や速度に関する情報だが、制御板の操作情報なども含め、リアルタイムに取得したデータから作業傾向を解析した。動画データは、操業エリアに設置したカメラで撮影したスラグ分離作業の様子や溶融物の状態だが、これを用いてスラグ分離状況を解析した。

そして、処理日時や作業者情報などの操業情報から、作業員と対象作業の難度を紐付け、総合的な解析を行った。

exaBase ロボティクスは、様々な種類の(マルチモーダルな)データを活用して、工程の自動化や最適化を行うロボットAIソリューション。重機を操作する熟練者の動作の再現も、その得意分野の1つだ。

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ロボットの発話に「重み」を加えるとイライラするユーザーに許しの気持ちが芽生える

AIやロボットの発話に「重み」を加えるとイライラするユーザーに許しの気持ちが芽生える

筑波大学は3月1日、ロボットやAIが話すときに、ユーザーの手に「重み」を伝えることで話相手に与える影響を調査した。その結果、ユーザーがロボットに対して感じる真剣さの度合いが有意に高まることが確認され、イライラした感情た抑制される効果も認められたと明らかにした

ロボットやAIの話し方は平坦で、メッセージ内容について感情や意図が伝わりにくい。そこで、人と人のコミュニケーションを仲介する社会的仲介ロボットを研究する筑波大学システム情報系知能機能工学域の田中文英准教授らは、会話に合わせて内部の重りを動かして、ユーザーの手に運動を伝える小型ロボットを開発した。手に持って使用する小さなロボットに、250gのタングステンの重りをいろいろな軌道や速度で2次元運動させられる機構を内蔵し、会話の内容に合わせて重りが動くようにした。


AIやロボットの発話に「重み」を加えるとイライラするユーザーに許しの気持ちが芽生える
研究グループは、このロボットを用いて、筑波大学校内で募集した94人の成人を対象に実験を行った。対話シナリオは、社会心理学の既存研究にもとづいて設計された、ユーザーが怒りやフラストレーションを感じる場面、具体的には、待ち合わせに友人が遅刻してくる場面が使われた。ロボットは、友人からの連絡メッセージを伝えるとき、重りが動く場合と動かない場合の両方を被験者に体験してもらい、その効果を聞き取った。

それによると、重りが動くと、ユーザーはロボットに対して感じる真剣さの度合いが有意に高まることがわかった。そして、ユーザーの怒りの度合いが平均で23%抑制された。また。加害者に報復しようとする思いである「報復的動機づけ」と、加害者を避けようとする思いである「回避的動機づけ」の両方も有意に抑えられた。これらは、他人を許す思いに大きく関わるとされている。このことから、「ユーザーが他人に対して感じる許しの気持ちを促進する可能性」が示唆されたという。

研究グループは、この研究を含め提案している社会的仲介ロボットは「人と人の間に立ち、人と人の関係をより良い形にしていくための仲介を行う能力を備えたもの」だと話している。

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農研機構、栽培施設内を無人走行し果実の収穫量をAIで予測する「着果モニタリングシステム」

農研機構、栽培施設内を無人走行し果実の収穫量をAIで予測する「着果モニタリングシステム」

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は施設栽培向けに、着果を監視し収穫量を予測するAIシステム「着果モニタリングシステム」を開発。従来対象のトマトに加え、パプリカにおいて実用化の目途がたったと3月1日に発表した。モニタリング装置を施設内で無人走行させ、収穫可能な果実数を推定することで、管理や収穫に必要な人員を効率的に配置できるようになる。

施設園芸の大規模化が進んでいるが、大規模生産法人では生産コストの約3割が人件費とされている。特に収穫には多くの時間がかかるため、収穫作業の効率化が経営改善に大きく影響する。だが作業を効率化するためには、収穫に必要な人員の数や配置を適切に計画する必要があり、それには収穫できる果実の位置や数を適切に予測することが重要となる。

農研機構が開発したこのシステムは、着果モニタリング装置を搭載した高所作業車を施設内で無人走行させながら植物を撮影し、その画像をつなげた展開画像をAIで分析することで、収穫可能な果実を自動検出するというものだ。深層学習により構築した果実検出モデルにより、画像から果実を検出。画像の色から果実の成熟度を評価し、成熟順に分類。そこから収穫可能な果実の数と位置を割り出し、管理や収穫に必要な人員の効率的な配置を策定できるようにする。

この技術はトマトを対象に開発されてきたが、パプリカでも実用化の目途がついた。大規模パプリカ生産法人で試験を行ったところ、同システムが収穫可能と判断した果実の数と、翌週の実際の収穫量とがほぼ一致した。そこで農研機構は、3月9日から12日まで東京ビッグサイトで開催される「国際ロボット展2022」にこのシステムを出展することにした。

同開発機は、2022年度以降の実用化を目指すという。また今後は、作業者の違いによって生じる収穫作業時間の予測誤差の低減、予測適応時間の拡大を図り、トマトとパプリカ以外の作物の適用可能性、着花計測、病害虫や整理障害株の検出、葉面積計測など、汎用的な画像収集装置としての利用も検討する予定。

CuBoRex、届いてから30分で遠隔走査型移動ロボットを開発できる「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」発売

CuBoRex、届いてから30分で遠隔走査型移動ロボットを開発できる「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」発売

動力内蔵型タイヤやクローラの開発・販売を行うCuBoRex(キューボレックス)は2月28日、遠隔操作のためのコントローラー部分とバッテリーをあらかじめ装着し、約30分で遠隔操作型移動ロボットの開発が可能となるテスト用電動クローラーユニット「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」の販売を開始した。直販価格は32万9780円(税込)。

CuBoRexでは、農地や建築現場などの不整地での作業を効率化する一輪車の電動化キット「E-cat kit」を販売しているが、同時に、移動ロボットの開発を支援する動力内蔵クローラーユニット「CuGo V3版 遠隔操作ロボットキット」も提供してきた。これは、研究開発用に留まらず、スマート農業やスマートコンストラクションの現場ですでに活躍している。累計販売500台を超える中で、「CuGo」にバッテリーや配線類を収納する専用ボックスが欲しいという要望があった。そこで、本来のミッションである「作りたいモノを早く、安く、簡単に、テスト機をスピーディに制作できる」を実現するために、あらかじめ専用ボックスにコントローラーとバッテリーを搭載したこの製品を開発した。

CuGoV3遠隔操作コンプリートキットの特徴は、届いてすぐに開発が可能なこと、高い走破性で農地や瓦礫での走行ができること、コンパクトなので1人で持ち運べること、動力機構がFA用アルミフレームの車体に取り付けられていること、フレーム構造やモーター交換などカスタムしやすいことなどが挙げられている。

今後は、大学・高等専門学校などの教育機関や研究機関への普及、災害現場などでの活用、あらゆる不整地作業での移動ロボット化に対応するため「日本製モーターを利用した高耐久な新型開発」を進めるという。「不整地産業において、利用者自身が欲しいものを作り、利用することが当たり前となった社会の実現」を目指すと、CuBoRexは話している。

「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」概要

  • サイズ:L430×D516×H268mm
  • 重量:13kg
  • 定格出力:100W×2台
  • 電源:DC24V
  • 耐荷重:〜80kg
  • 速度:3km/h

キット内容

  • 電動クローラユニット「CuGo V3」組立済×2台
  • 制御ボックス(バッテリー、モータードライバー、受信機、配線など)
  • アルミフレーム2020 500mm✕2
  • ブラケット・ネジ類
  • コントローラー

理化学研究所、機械学習・最適制御技術により人の動作意図を推定し運動を精度よく支援する装着型アシストロボット

理化学研究所、機械学習・最適制御技術により人の動作意図を推定し運動を精度よく支援する装着型アシストロボット

開発した装着型アシストロボット(黒の部分)をマネキンの両足に装着

理化学研究所情報統合本部ガーディアンロボットプロジェクト人間機械協調研究チーム(古川淳一朗氏、森本淳氏)は2月15日、膝の関節に装着する軽量な「装着型アシストロボット」を開発した。機械学習により装着者の動作の意図を推定して、適切な運動支援を行うというものだ。

カーボン樹脂のフレームに空気圧人工筋アクチュエーターを内蔵した、片足わずか810gという軽量なアシストロボットだが、装着者の意図を推定することにより、様々な身体の動きに対応して、適切に目的の動作だけを支援できるようになっている。例えば、椅子に座った状態から立ち上がる場合、従来の方法でも立ち上がる動作を支援できたが、腰を浮かして遠くのものを取ろうとしたり、座り直したりといった「紛らわしい」動作の場合も、立ち上がりと判断して作動してしまう可能性がある。そこで理化学研究所は、様々な動きの中から、いくつかの動きだけを選択して支援するアルゴリズムを提案した。

機械学習では、学習の手本となるラベルを使う。たとえば、立ち座り動作のみを支援するロボットの場合は、座った状態のラベルと、立ち上がろうとして体幹が傾き始め、ロボットの支援が必要になる状態に「立位動作」とラベルを付けて学習させればよい。ただし、これでは「紛らわしい」動作のときもロボットが作動してしまう恐れがある。それを避けるには、あらゆる動作に正確なラベル付けをしなければならないが、それは不可能だ。できるだけ少ないラベルで正確な推定を行う必要がある。

理化学研究所は、立ち上がりの動作にのみラベルを付け、その他の動作にはラベルを付けずに学習させる方法をとった。そして、機械学習を使い、筋活動と関節運動のセンサー信号から支援対象の動作意図を精度よく推定する技術と、対象動作に対して個人に合わせた適切な量で支援する制御の法則(制御則)を導き出す「最適制御技術」を組み合わせて、提案アルゴリズムを実現させた。

理化学研究所、機械学習・最適制御技術により人の動作意図を推定し運動を精度よく支援する装着型アシストロボット

装着者の動作意図を推定し適切な運動を支援するアルゴリズムの概要。PU-ラーニング(Positive and Unlabeled learning)で構築された動作分類(PU-分類器)から適切な制御戦略を選択する。支援対象の動作に関しては、最適制御技術iLQG(iterative Linear-Quadratic-Gaussian)を用いて制御戦略を算出する。装着者の動作意図がポジティブと推定された場合は、支援対象動作に対する「πtarget」でロボットを空気弁コントローラーにより駆動させる。ポジティブではないと推定された場合は、装着者の動きを妨げないようにロボットの重さを常に打ち消す「πother」で駆動させる

数名の被験者の協力で、このシステムの動作支援実験を行った。支援対象をイスからの「立ち上がり」とし、その他「脚を組む」「少し離れた物を手を伸ばして取る」「座り直す」という動作を想定し、ロボットの装着者から取得した筋活動と関節角度のデータに基づき、提案アルゴリズムでロボットを駆動させた。その結果、立ち上がりには100%の確率で支援動作の制御則が選択され、その他の動作では83.4%の確率で支援対象以外の制御則が選択された。

また、ロボットが装着者の動作を妨げたかを、ロボットの軌道と本来の関節の軌道との誤差で比較したところ、従来手法に比べて提案方法では誤差が小さいこともわかった。これらの結果から、理化学研究所が提案した手法は「精度よく装着者の動作意図を推定」していることがわかったとのことだ。このアルゴリズムを使えば、「一部のデータに対してだけ分類情報が整理されている状況」でも適切に運動を支援できるため、ウェアラブルセンサーが普及して多様な運動データが収集できるようになれば、ロボットによるさらなる支援技術に貢献できると理化学研究所は話している。

船の自律航行技術開発を行うエイトノットが1億円調達、2025年までの社会実装目指す

船の自律航行技術開発を行うエイトノットがシードラウンドファーストクローズとして1億円調達、2025年までの社会実装目指す

船の自動運転技術開発スタートアップ「エイトノット」は2月15日、シードラウンドのファーストクローズとして、J-KISS型新株予約権方式による1億円の資金調達実施を発表した。引受先は、DRONE FUND、15th Rock Ventures、リアルテックファンド。累計資金調達額は1億5000万円となった。

2021年3月設立のエイトノットは、「ロボティクスとAIであらゆる水上モビリティを自律化する」をミッションに掲げる、自律航行技術開発スタートアップ。ロボティクス専門家集団による開発チームを擁し、実用的な技術を現実的なコストで、かつスピーディに開発可能としており、創業から半年で小型船舶向けの自律航行技術の開発と実証実験を成功させている。同社は、2025年の自律航行無人船の社会実装を目指し、事業活動を加速させるという。

調達した資金は、「ロボティクスおよびAIに精通したエンジニアリングチームの強化」「EVロボティックボートを活用した事業開発チームの強化」などにあてる。

調達した資金の主な用途

  • ロボティクスおよびAIに精通したエンジニアリングチームの強化
  • EVロボティックボートを活用した事業開発チームの強化
  • 自律航行機能を備えた小型船舶の開発
  • 遠隔監視システムの開発
  • 事業化を見据えた実証フィールドでの航行試験

昨今、陸の自動運転・空のドローンなど、モビリティの自律化・自動化技術は隆盛著しく、その動きは船舶など水上モビリティにも及んでいる。水上モビリティにおいても自律化による安全性・利便性・経済合理性の向上が見込め、とりわけ四方を海に囲まれた日本では、旅客・物流において新たな移動・輸送手段となることが期待されているためという。災害時に代替輸送手段として活用することも期待されている。

またグローバル市場、特に新興国の場合、都市部の交通渋滞が深刻な社会課題となっていることから、船運は重要な交通・輸送手段として活用が推進されている。

これら状況においてエイトノットは、ロボティクス・AIなど先端技術を活用した「水上モビリティのロボット化」をコンセプトとし、環境に配慮したEVロボティクスボートによるオンデマンド型水上交通を実現することで、課題解決に貢献するという。

ヒトの幹細胞から培養し作った心筋細胞を利用、自動的に泳ぐロボット魚をハーバード大ウィス研究所が製作

ヒトの幹細胞から培養し作った心筋細胞を利用、自動的に泳ぐロボット魚をハーバード大ウィス研究所が製作

Michael Rosnach, Keel Yong Lee, Sung-Jin Park, Kevin Kit Parker

米ハーバード大学ウィス研究所の研究チームが、ヒトの心筋細胞の性質を利用し、自動的に泳ぐロボット魚を作り上げました。このロボット魚は、ヒトの幹細胞から培養して作り出した心筋細胞を、魚の形をしたゼラチン製模型の脇腹に埋め込んだもの。心筋細胞は糖分を動力源として、心臓が鼓動を打つように収縮をリズミカルに繰り返す性質を持っており、それがここでは魚の泳ぐ動作を生み出します。

筋肉はイオンの流入で収縮をする性質を持っています。これは通常、神経インパルスがトリガーとなって起こります。しかし、研究者はロボット魚に対して特定の波長の光に反応してイオン流入を起こす、光活性化イオンチャンネルのはたらきを持つタンパク質をいくつか発見し、ロボット魚の両脇の心筋細胞の一方が青い光で、もう一方が赤い光で収縮するように仕組みました。これにより、ロボット魚に青と赤の光を交互に当てることで、身体を左右にくねらせ、泳ぐ動作を誘発できました。

ヒトの幹細胞から培養し作った心筋細胞を利用、自動的に泳ぐロボット魚をハーバード大ウィス研究所が製作

Michael Rosnach, Keel Yong Lee, Sung-Jin Park, Kevin Kit Parker

また、研究者らは別の方法も作り出しました。それは心臓の構造から着想を得たもので、2つの脇腹の心筋細胞を中央で繋ぐ心筋細胞の球を作り、それが収縮を制御するペースメーカーの役割を果たすような仕組みです。この方法では、ペースメーカーとなる中央の細胞で始まったイオンの流入が両脇の心筋細胞に拡がり、収縮を引き起こすようになっています。

この方法の場合、普通に考えれば両脇の筋肉が同時に収縮するかとも思われますが、実際にはどういうわけか両側の細胞が互いに収縮するタイミングを調整するようになりました。心筋細胞は筋肉が収縮をした時、伸長を促すための受容体が活性化されることで、伸ばす動作に転じる性質があります。この性質によって、右側の筋肉が収縮をした際に反対、つまり左側の細胞が伸び、次のサイクルでは左が収縮した際に、右側の細胞が伸びるようになりました。この動作は、それぞれが勝手に動いていれば周期のズレからだんだん同期が取れなくなっていきますが、中央のペースメーカーとして機能する細胞が、左右それぞれの動きの同期を保つ役割を果たしました。

このロボット魚は、上のようなやり方で3か月にわたって壊れることなく泳ぐ動作を続けることができました。しかも、製作から1か月の時点までは心筋細胞の成長により筋肉が増強して性能的な向上がみられ、1秒間にその体長よりも長い距離を泳げるようになったとのこと。

この研究で生み出されたバイオロボット魚は、鑑賞するぶんには多少面白いかもしれませんが、将来的に何らかの用途に使うことを想定したものではありません。それでも、ヒトの心臓は死ぬまでに数十億回拍動を繰り返すことから、非常に高い耐久性を必要とする用途に応用するための可能性が、この研究によって少しは拡がったと言えるかもしれません。

(Source:Wyss Institute for Biologically Inspired Engineering at Harvard UniversityEngadget日本版より転載)

建設現場の省人化・省力化を実現するロボットソリューションを手がける建ロボテックが2.7億円のシリーズA調達

建設現場の省人化・省力化を実現するロボットソリューションを手がける建ロボテックが2.7億円のシリーズA調達

「世界一ひとにやさしい現場を創る」をミッションに、建設現場の省人化・省力化を実現するロボットソリューションを提供する建ロボテックは2月14日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資による総額2億7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家のリアルテックファンド3号投資事業有限責任組合(リアルテックジャパン)、またMICイノベーション5号投資事業有限責任組合(モバイル・インターネットキャピタル)、いよベンチャーファンド6号投資事業有限責任組合(いよぎんキャピタル)、ちゅうぎんインフィニティファンド1号投資事業有限責任組合(中銀リース)、エンジェル投資家3名。

調達した資金により、鉄筋結束作業領域以外のロボットの新規開発・製造を加速させる。より多くの建設現場で働く方の安全向上と負担軽減を図り、建設現場の生産性向上と建設業界のDX化に貢献することを目的とした開発費用とその製造や販売、コンサルティングを担う人材採用等に充当する計画。

建ロボテックは、建設現場出身の創業者が2013年に設立したスタートアップ企業で、建設現場の状況やニーズに則した、「実践的な省力化・省人化ソリューション」を独自開発している。人とともに働く協働型ロボット「トモロボ」、鉄筋工事の省力化製品「速鉄」など、建設現場の 「生産性向上」と作業者の「安全確保と負担軽減」を促すソリューションを通じて、建設産業の健全な進化・発展に貢献するとしている。建設現場の省人化・省力化を実現するロボットソリューションを手がける建ロボテックが2.7億円のシリーズA調達

 

高齢者などの見守りロボ「BOCCO emo LTEモデル Powered by ネコリコ」に離れた家族の見守りを支援する4つの新機能

高齢者などの見守りロボ「BOCCO emo LTEモデル Powered by ネコリコ」に離れた家族の見守りを支援する4つの新機能

家庭向けIoTサービス事業などを展開するネコリコは、コミュニケーションロボット「BOCCO emo LTEモデル Powered by ネコリコ」(emo。エモ)に4つの新機能を追加し、サービスの提供を開始した。新機能は、すでにemoを利用している人も無料で利用できる。

emoは、ユカイ工学による共感型コミュニケーションロボット「BOCCO emo」(ボッコエモ)のバリエーションモデルとして、家族と離れて暮らす高齢者の見守り機能&LTE通信機能を搭載した製品。2021年5月に提供を開始した。

専用アプリを使った家族同士の遠隔コミュニケーション機能の他にも、センサー情報から熱中症やインフルエンザの危険性を注意したり換気を促す「おせっかい通知」のような能動的な機能も備えている。LTE内蔵のため、WiFi環境への接続などの手間がかからず、簡単に利用できる。

ネコリコでは、これまでにユーザーから寄せられた要望をもとに、次の4つの新機能を開発した。

おかえり機能

おかえり機能は、内蔵の人感センサーで同居人を見守る機能。しばらく見かけないとき、何をしていたのか、体調に変化はないか、声かけをする。メッセージを録音すれば、アプリに音声メッセージが届く。

長期不在通知機能

長期不在通知機能は、12時間、24時間、48時間以上同居人を見かけなかったときにアプリに通知する。

おへんじ機能

おへんじ機能では、emoに「おはよう」「おやすみ」などとあいさつをすると返事をしてくれる。あいさつをすると、それがアプリに通知される。

記念日でおしゃべり機能

記念日でおしゃべり機能は、記念日を設定しておくことで、その日になるとemoがメッセージを話してくれるというもの。

「おかえり機能」と「長期不在通知機能」には、同居人の起床や帰宅を検知したときにemoが声かけすることで、emoと見守られる人とのコミュニケーションの頻度を高めるという狙いもある。スマートフォンのアプリで見守っている人たちは、相手の生活リズムをより細かく感じられるようになり、声かけを必要とするタイミングを把握しやすくなるということだ。「おへんじ機能」と「記念日でおしゃべり機能」には、emoへの愛着を高めてもらい、関わりを増やしてもらう目的がある。