Appleの「マップ」が新型コロナワクチン接種場所を表示、まずは米国で

Google(グーグル)は2021年初め、人々が近くの新型コロナウイルスワクチン接種会場を見つけるようにするためGoogleマップのアップデートを発表した。そして今、Apple(アップル)も同様のことを行う。Appleデバイス所有者は米国内でワクチン接種を受けられる場所をSiriに尋ねるかAppleの「マップ」で検索して探すことができる。検索結果にはサービス提供時間や住所、電話番号、ウェブサイトへのリンクといった主要な情報が含まれる。

音声コマンドを通じて情報にアクセスするのに、ユーザーはSiriに「どこで新型コロナワクチンを接種できる?」などと聞くことができ、その後マップに誘導される。

Siriやマップ内でのワクチン情報検索に加えて、マップの「Find Nearby」メニューでも「新型コロナワクチン」というオプションが利用可能だ。

ワクチン接種のロケーションデータは、ボストンの子ども病院が主導するイニシアチブVaccineFinderを情報源としている、とAppleはいう。このデータはGoogleマップのワクチン検索にも使われている、とGoogleは述べていた。ヘルスケアプロバイダー、ラボ、他の事業所も扱っている新型コロナ検査やワクチン会場についてApple Business Registerページから情報の提供を選ぶことができる、とAppleは説明。情報を提供するとAppleが内容を認証し、周辺の新型コロナリソースを検索しているユーザーに表示する。

立ち上げに際しては、ワクチンを提供している2万カ所についての情報がAppleマップを通じて提供される。今後数週間無内にさらにワクチン提供場所の情報が追加される。

パンデミックでは、Appleは米国内外で他の新型コロナ関連健康リソースをAppleマップに統合してきた。たとえば2020年同社はオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、オランダ、ニュージーランド、ポルトガル、シンガポール、台湾、タイ、米国で新型コロナ検査場所を表示するためにAppleマップをアップデートした。また事業者ページに新型コロナモジュールを加え、新型コロナや検査場所、そして今、ワクチン接種場所についての知識をSiriに盛り込んだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleAppleマップ新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

空調の改修不要、低コストで新型コロナの室内感染を防ぐCurran Biotechの新しいナノコーティング

Curran Biotechが開発した新しいナノコーティングは、新型コロナウイルスの室内への拡散を防ぐための空気ろ過を劇的に改善する可能性がある。

同社の「Capture Coating」技術は、家庭用または商業用のHVAC(空調)システムの補助的な役割を果たし、フィルターの繊維に結合して疎水性を高める。この複合的な効果により、ウイルスを運んできた飛沫がフィルター繊維を通過するのを防ぐことができるという。処理をしていない場合、防げるウイルス感染は一部にすぎない。

Curran Biotechの創業者でヒューストン大学の物理学教授であるShay Curran(シェイ・カラン)博士はメールでこう述べている。「『Capture Coating』は、従来のエアフィルターを通過して再循環する可能性のある、ウイルス粒子キャリアとして作用する水性呼吸器飛沫に対して、通気性、柔軟性、非浸出性、撥水性のあるバリアを形成することにより、特定のエアフィルター媒体を介した新型コロナウイルスの感染を緩和し、大幅に減少させるように設計されています」。コーティングの分子構造は複雑だが、製品自体はHVACシステムのフィルターにスプレーするだけでよい。

この飛沫をターゲットにした新しいコーティングは、乾いた分子だけをターゲットにする現在のろ過方法を改善するものだ。それらの方法では、少なくともいくらかウイルスの飛沫感染の可能性があるだけでなく、それを改善する既存のソリューションは、必ずしもエネルギー効率が良いとはいえない。

「昨今のエネルギー管理が非常に重要な世界では、クロスコンタミネーション(交叉汚染)のリスクをともなう建物内の同じ空気をリサイクルすることになります」とカラン博士は書いている。「外気を取り入れるのは空気を希釈する1つの方法ですが、それはエネルギー面でも大きな損失となり、人が集まる場所からウイルスを取り除くという問題も解決できません」。

屋内空気の換気は、学校や中小企業などの公共施設における新型コロナウイルスの蔓延を緩和するための重要な手段だが、古いHVACシステムをCDC(米国疾病予防管理センター)の推奨基準に合わせて改修するにはコストがかかる。カラン博士は、Capture Coatingがこの問題の解決に役立つことを期待している。「数ドルのコストで、標準的なMERV8のフィルターに使用するだけで、室内を強力に保護し、建物全体への拡散を防げるということです」と彼はいう。

ナノコーティングの性質上、Curran Biotechの技術は新型コロナウイルスのパンデミックが終わった後もウイルスの飛沫感染を防ぐことができる。コーティングの疎水性により、くしゃみや咳などの呼吸器系の飛沫がフィルターを通過するのを防ぎ、HVACシステム自体は通常の乾式分子ろ過の機能を維持する。Capture Coatingを使用することで、インフルエンザや風邪などの一般的な飛沫感染ウイルスも循環から排除されるという。

同様に、新型コロナウイルスの亜種もすべて飛沫感染するため、このナノコーティングはそれらの感染を防ぐのにも役立つ。カラン博士は「手洗いやマスクの着用などの予防措置が不要になるわけではありませんが、屋内での作業をより安全に行うことができるようになります」と書いている。

Curran BiotechのCapture Coating技術はこれまでに米国の11の州で使用されており、近々、コーティングされたフィルターを消費者に直接提供するために、流通業者やフィルター会社との提携を発表する予定だ。カラン博士は、ニューヨーク市でもこの技術の試験が成功しており、これから米国各地の企業や機関での使用をさらに拡大したいと考えていると述べた。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Curran Biotech新型コロナウイルス

画像クレジット:Courtesy of Curran Biotech

原文へ

(文:Sophie Burkholder、翻訳:Aya Nakazato)

Serimmuneが新型コロナ向けに新しい免疫反応マッピングサービスを開始

免疫情報のスタートアップであるSerimmune(シリミューン)は、抗体エピトープ(抗体に結合する抗原分子の一部分)と新型コロナウイルスとの関係を深く理解しようとしている。

もともとカリフォルニア大学サンタバーバラ校で開発された同社独自の技術は、少量の血液サンプルから個人の抗体の配列全体をマッピングする新しく特異的な方法を提供する。同社は、細菌ペプチドディスプレイ(サンプル中で抗体と結合した細菌からプラスミドDNAを分離する一種のスクリーニングメカニズム)を利用する。次にDNAの配列を決定し、エピトープを特定する。エピトープは、その人がさらされた可能性のある抗原、および免疫系が抗原にどのように反応したかについての情報を提供する。

「これは、検体中の抗体が見つけ出したエピトープを調べる非常に高度に多重化された、極めて特異的な方法です」とSerimmuneのCEOであるNoah Nasser(ノラ・ナッサー)氏は述べた。同氏はカリフォルニア大学サンディエゴ校で分子生物学の学位を取得した。Serimmune以前は複数の診断会社で働いていた。

Serimmuneは2021年3月第2週、新型コロナの症状を引き起こす新型コロナウイルスによる病状と免疫反応を理解するのに役立つ、同社のコアテクノロジーを新しく応用し始めることについて発表した

「私たちが行っているのは、弊社が開発した抗体プロファイルを約12のアミノ酸とともに特異的な新型コロナウイルスプロテオームにマッピングすることです」とナッサー氏は述べた。「そして私たちが見つけたのは、抗体の発現が病状と高度に相関していることです。そのため、検体に存在する抗体に基づき軽度、中等度、重度、無症候性の疾患を区別できます」。

Serimmuneが収集できる患者データが多いほど、同社のコアテクノロジーはさまざまな抗原曝露と疾患の重症度に関するパターンをうまく見つけることができる。このパターンに早く気づくと、医師や研究者は新型コロナウイルスがどのように働くのかを深く理解できるだけでなく、あらゆる抗原の診断、治療、ワクチンへの新しいアプローチを知ることができる。

Serimmuneによる新型コロナ抗体エピトープの新しいマッピングサービスの開始により、新型コロナウイルスに対する免疫反応の理解を深めることに関心を示すワクチン会社、政府機関、学術研究所などの顧客は、同社のデータにアクセスしやすくなる。

「重要なのは、研究者が知りたいと思っていた情報に焦点を合わせ、それを標準化することでした」とナッサー氏は述べた。「実際には、サンプルを受け取ってからわずか2日で結果を得ることができます」。

この新しいサービスに加え、Serimmuneには新型コロナウイルスに対する免疫に関する横断的な臨床研究を開始する計画もある。研究への参加者は、痛みのない在宅収集キットを使用して、少量の血液サンプルをSerimmuneに送る。同社はそのコアテクノロジーによりその人の免疫マップの概要を示す。

「私たちは研究参加者に関する結果を、その人の新型コロナに対する免疫の全体像というかたちで返します」とナッサー氏はいう。「私たちがやろうとしていることは、その免疫反応がどのように変化するか、そして新型コロナウイルスに繰り返しさらされると免疫反応に何が起こるかを時間をかけて理解することです」。

マッピング技術は今や極めて特異的であるため、患者が保持する新型コロナウイルスへの抗体が自然曝露によるものか、ワクチンによるものなのかを知ることができる。

Serimmuneが主に注力しているのは、今のところ新型コロナパンデミックへの応用にとどまる。だがナッサー氏は、同社がパーソナライズされた医療に移行し、関心のある患者には直接マッピングサービスを提供する可能性があると述べた。

「これは、個々の患者の免疫の状態と、どの抗原にさらされているかを理解する上で価値があると信じています」と同氏はいう。Serimmuneはそれが達成されるまで、より多くの患者サンプルをによりデータベースを拡張し続ける計画だ。

カテゴリー:バイオテック
タグ:Serimmune新型コロナウイルス免疫

画像クレジット:Serimmune

原文へ

(文:Sophie Burkholder、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitterが新型コロナワクチン誤情報への注意を喚起するラベルを導入、まずが英語でのツイートが対象

Twitter(ツイッター)は米国3月1日、新型コロナウイルスワクチンの展開を混乱させる恐れのある誤情報を排除すべく、ユーザーのタイムラインに新たなラベルを導入すると発表した。リツイートのウィンドウにポップアップのメッセージとしても現れるラベルは、同プラットフォーム上での行いをさらに良いものへと誘導する同社の最新の実験だ。

Twitterはツイートされた誤情報に通知を添付して、コンテンツが「ミスリードしている」とユーザーに警告し、十分に精査された公衆衛生情報へのリンクを案内する。3月1日から始まったこうしたワクチン誤情報の排除は自動のモデレーションシステムではなく同社の人間のモデレーターが行う。

目標は、今後人間による作業と自動作業の混合でワクチン誤情報のサイトを精査するよう、初期の判断をAIシステムの訓練に使うことだと同社は話す。最新の誤情報対策は、拡大する前にまず英語でのツイートを対象とする。

Twitterはまた、パンデミック関連規則の違反に新たにストライクシステムも導入した。新システムは投票妨害や投票関連の誤情報の対策で導入された一連のものをモデルとしている。これらの対策では「ストライク」が2つ、3つとなったユーザーは12時間アカウントをロックされる。違反4回となると1週間アカウントにアクセスできなくなり、5回以降は永久追放となる。

同社はパンデミックに関する規則を1年前に導入した。人々を新型コロナ拡散の大きなリスクにさらすようなコンテンツとともに、偽の治療や予防を推進するツイートを禁止するというものだ。2020年12月に人気のワクチン陰謀説に照準を当てた新規則を追加し、その際、警告ラベルの導入を準備中だと発表していた。

関連記事
Twitterが新型コロナ感染拡大につながるツイート削除を強化
Twitterが新型コロナワクチンに関する陰謀論の削除をユーザーに求める

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Anadolu Agency / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

EUが安全な旅行を支援する新型コロナワクチン接種・検査状況を表示する「デジタルパス」を準備中

欧州委員会は、新型コロナウイルス時代に国境を超える旅行を促進することを目的とする「デジタルグリーンパス」というデジタル認証に関する立法計画を2021年3月下旬に示すと明らかにした。

欧州委員会委員長のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏は2021年3月1日、計画されているデジタルツールはワクチン接種の証明を提供することが目的だと述べた。しかしそれだけではない。「デジタルグリーンパス」は、たとえばまだワクチンを受けられない人のためのコロナテスト結果や「新型コロナからの回復」に関する情報も表示する。

「データ保護、セキュリティ、プライバシーを尊重します」とフォン・デア・ライエン氏はいくつかのツイートで付け加えた。

「デジタルグリーンパスは欧州人の生活を楽にします」とも述べた。「目的は、徐々に欧州人が仕事や旅行のためにEU内外を安全に移動できるようにすることです」。

ロイターによると、欧州委員会は2021年3月17日に立法計画の詳細を発表する。

EUの首脳は、加盟国同士が独自に2カ国間取り決めを行うなど単一マーケットの細分化を回避するために汎EUシステムの設置に熱心だ。あるいはサードパーティの商業システムが足がかりを得るのを回避するためだ(2021年初め、数多くのテック企業がワクチン接種ステータスのための「ユニバーサル」な基準を設けるために取り組んでいると発表した)。

関連記事:新型コロナワクチン接種のデジタル記録開発でテックとヘルスの企業がタッグ

欧州委員会は、ワクチンへのアクセスがまだかなり限られていることに基づく人々の自由の制限が醜い差別の材料となるとして、デジタルパスを「ワクチンパスポート」と呼ぶのを注意深く避けている。

と同時にEUの首脳は明らかに、経済的に外国人旅行客に大きく頼っているギリシャやスペインのような加盟国をサポートしなければならない重圧を感じている。2021年1月にEU幹部はワクチン書類提示の相互承認のための共通のアプローチが「最も重要」だと述べた。

ワクチンの接種と新型コロナテスト結果を表示するための汎EUデジタル認証はソリューションとなる。ただし、デジタルパスの使用を義務化することにはならないようだ。

欧州委員会は、筆者がコメントを求めて連絡をとった際、そして3月1日の報道機関との会見でデジタルパスの計画についての詳細を求められた際にさらなる情報の開示を却下した。

別の疑問は、計画しているデジタル認証システムがどれほど早く立ち上げられて運用されるかだ。数カ月後には夏のバケーションの到来が見込まれ、欧州委員会は迅速に進めなければならないというプレッシャーを受けることになる。と同時に、ロイターによると、欧州委員会はシステムがEU外でも機能するよう国際組織と協業したいと考えている。

Apple(アップル)は2021年2月、ワクチンパスに関するiOSレビューのプロセスを厳格化していると述べた。デベロッパーはそうしたアプリを提出する前に、公衆衛生当局や当局とつながっている企業に認証された組織と協業する必要がある、としている。Appleは「こうしたアプリが機密データを責任を持って扱い、信頼できる機能性を提供することを確かなものにするために」変更を加えた、とBBCは報じた。

2020年、多くの欧州のプライバシー専門家が、別の新型コロナ関連デジタルツールのための分散型プライバシー保護基準を考案するために結集した。このツールは、新型コロナにさらされたリスクを予測するBlutooth駆動の接触追跡アプリだ。AppleやGoogleが接触追跡のための分散型アプリのみをサポートすることを選んだにもかかわらず、(フランスのように)一部のEU加盟国は一元化されたシステムを選んだ。

関連記事
EUのプライバシー専門家が新型コロナ接触追跡において分散型アプローチを推進
アップルが新型コロナ接触追跡の新ツールをiOS 13.7でリリース
フランスが新型コロナ接触者追跡アプリをリブランディングしてダウンロード促進を狙う

カテゴリー:ヘルステック
タグ:ヨーロッパワクチン新型コロナウイルス

画像クレジット:ADEK MICA/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

米国が1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチン緊急承認、通常の冷蔵庫で保管可能

FDAが1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンを緊急承認、通常の冷蔵庫で保管可能

Leah Millis / reuters

米食品医薬品局(FDA)は、ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発した1回の接種だけですむ新型コロナウイルス用ワクチンに緊急使用許可を出しました。これは米国ではモデルナ、ファイザーに続いて3番目に認可された新型コロナワクチンで、通常の冷蔵庫で保管できます。

先発のモデルナおよびファイザー製新型コロナワクチンは、いずれもmRNAと呼ばれる種類のワクチンで、ウイルスの一部の遺伝物質を体内に直接送達する仕組み。ただし、遺伝子の構造が破壊されやすく、保管温度がマイナス20℃(モデルナ)、または−75℃(ファイザー)と指定されています。そのため、医療施設には専用の保管用冷蔵庫が必要となり、運搬時の温度管理をどうするかといった課題があります。またどちらも2回の接種が必要とされます。

これに対し、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは英アストラゼネカのワクチンと似た種類を採用、不活性化した風邪ウイルス(26型アデノウイルス)に新型コロナの遺伝子を挿入したウイルスベクターワクチンで、1回の接種で完了するうえに、通常の冷蔵庫に保管が可能と手間と管理コスト両方にメリットがあるのが特徴です。米国、南アフリカ、ブラジルで行われた治験では、85%の重症化予防効果があり、中程度の症状も66%を予防できたとされます。FDAが出した緊急使用許可は、米国の18歳以上を対象とします。

先発2社のワクチンは予防効果が約95%と言われており、その点でジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンの効果が低いとする声も一部にはあるようですが、CNNは専門家の意見としてジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは治験が伝染性が高いとされる変異種も含む状況で行われたためとの見方を示しました。そして米国でも春頃から変異種の感染が急増する可能性があると指摘。「今日ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンが打てて、明日モデルナのワクチンが打てるなら、待つ必要はありません。今日打つ方を選ぶべきです」との言葉を伝えています。

ちなみに、日本では2月17日から医療従事者を対象としてワクチンの先行接種が始まったばかり。3月1日にはファイザー製ワクチンの第3便が到着する予定で、第1便から数えると合計で68万人(x2回)分が到着するとのこと。今後は国内の医療従事者470万人に順次優先接種が行われ、高齢者も含めてそれぞれ2回接種可能な分のワクチンを全国に分配する見通しです。

また、アストラゼネカは日本政府との契約のもと厚生労働省にワクチンの日本国内生産を申請しており、承認され次第、最大9000万回分を国内から供給する予定です。一方で、他の製薬会社による日本独自の国産ワクチンの開発も進められてはいるものの、こちらは輸入(国内生産含む)ワクチンの接種が本格化すれば臨床試験の実施が難しくなる可能性も考えられ、いつ頃実用化できるのかはまだわかりません。

(Source:FDA。via:Ars Technica。Coverage:CNNBBCNikkeiEngadget日本版より転載)

関連記事
1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンは米国で3月に配布開始の見込み
モデルナが既存の新型コロナワクチンも変異株に効果ありと発表
米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目
ファイザーの新型コロナワクチンが米FDAから緊急使用許可を取得、数日以内に配布開始

カテゴリー:バイオテック
タグ:Johnson & Johnson(企業)新型コロナウイルス(用語)米食品医薬品局 / FDA(組織)ワクチン(用語)アメリカ(国・地域)

民泊管理ツールなど提供のmatsuri technologiesがシリーズBのエクステンションラウンドで資金調達、民泊業界の支援進める

アフターコロナマーケットに向けて支援策を講じていく(画像は同社HPより)

アフターコロナマーケットに向けて支援策を講じていく(画像は同社HPより)

民泊管理ツールやコロナ禍における自主隔離物件などを提供するmatsuri technologiesは2月26日に、シリーズBエクステンションラウンドにおいて第三者割当増資を行ったと発表した。エクステンションラウンドでの金額は非公開。調達資金の一部は、「コロナを超える」をスローガンにアフターコロナに向けた産業全体への投資を進める資金とする。コロナ禍で深刻なダメージを受ける民泊業界。同社は資金繰りが難しい現在におけるクッションとなりつつ、アフターコロナを見据えた業界活性化の環境づくりを進めていく。

引受先はオールアバウト、ALL-JAPAN観光立国ファンド投資事業有限責任組合、個人投資家の坂野敦氏(資産運用会社Aspex Managementのパートナー)、既存投資家となる。今回は2019年9月に実施した総額約5億8000万円の資金調達に続くものだ。

今回の資金調達とコロナ禍での金融機関の融資によって、2016年8月からの累計資金調達額は約14億円となった。調達した資金は人材の獲得費用や既存製品の強化、民泊施設の拡充のほか、組織・事業の強化もはかる。

「コロナを超える」キャンペーンの背景

民泊市場はコロナ禍で大きく傾いた。日本政府観光局(JNTO)によると、2020年の訪日外国人旅行者数は約412万人(推計値)で、19年の約3188万人と比べて約87%の減少となった。2020年の1月下旬以降の新型コロナの拡大や、2月から順次水際対策が強化されたことに伴って、訪日外国人旅行者数は激減。民泊は訪日外国人旅行者が約7割を占めるマーケットであるため、民泊関連の事業者はかなりの深手を負った。

2021年1月に出された2度目の緊急事態宣言は追い打ちをかけた。コロナ禍であっても、事業者らは人員を削り、業務のスリム化をはかるなど傾くマーケットに対抗してきた。政府主導の「Go To トラベルキャンペーン」で少しずつだが戻りつつあった客足も、途絶えることとなる。「もうどうすればいいかわからない」。そんな悩みが同社の吉田圭汰代表のもとに多く寄せられたという。

「このままでは旅行・宿泊需要が回復するまでに、民泊マーケットそのものが崩壊してしまい、人が戻ってくることが難しくなるのではないか。その危惧が現実とならないようにアフターコロナに向けたキャンペーンを展開していく」(吉田代表)。

3本柱のキャンペーンで支援

アフターコロナを視野に同社は3本柱のキャンペーンを打つ。

1つはコロナ期間(2021年4月からの半年間)に、民泊物件などの運営代行サービス「m2m Premium」の各種プランの手数料を無料とする。さらに、宿泊施設向け本人確認ソフトウェア「m2m Check-in」でも4月からの半年間、タブレット代金・ソフトウェア利用料を不要とする。

もう1つは、民泊物件のマンスリーマンション化を支援するというもの。コロナ期間を乗り越えるため、政府の「事業再構築補助金」の活用なども含めた上で行う見通し。

民泊は旅行需要ありきだが、マンスリーマンションに転換することで受け皿を広げる。マンスリーマンション化によって、1カ月といったように長いスパンで利用者が借りることになる。同社はテレワーク用のデスクの用意といったハードウェア部分や、集客プラットフォームに関わる費用などを支援する考え。

残りの柱としては、別荘オーナーが使用しないとき、貸別荘として運用して収益を生む「S-Villa」の販売を一般公開する。同社が別荘を選定し、貸別荘としても運用可能な物件を紹介。別荘購入後はオーナーの代わりに同社が、別荘のリフォームから運用、清掃、清算、管理まで行っていく。また、すでに別荘オーナーである場合は、貸別荘への変更や運用代行にも対応する。

「長期的に繁栄するアフターコロナマーケットを作り上げるための、包括的なキャンペーンとなっている」と吉田代表は説明する。

コロナ禍でも新事業を次々に展開

民泊オーナーだけでなく、コロナ禍で不況のあおりを受けたのは同社も同じだった。コロナ禍によって既存のオフィスを解約し、規模を縮小したオフィスに移転した。

一方で、向かい風を受けながらも、2020年には6つの新事業を展開。事業の巻き返しをはかった。政府からの自主隔離規制要請に合わせた「一時帰国.com」や新型コロナ陽性者の濃厚接触者の避難所を提供する「自主隔離.com」では、旅行者がいなくなった民泊物件などを活用した。

2020年の半ば、新型コロナが一時的に落ち着いたタイミングも見逃さなかった。カップル向けに「お試し同棲」を始め、新たな需要の掘り起こしに力を入れた。初期費用なしで、家具家電付き物件に文字通り「お試し」で住めるというサービスだ。20代前半の若年層から人気を博し、多いときには1時間で300件ほどの問い合わせがあったという。

さらにスマホで完結する短期賃貸プラットフォームの「Sumyca(スミカ)」もリリース。「一時帰国.com」や「自主隔離.com」、「お試し同棲」はSumycaのプラットフォームを通して事業を回せるようにした。

6つの新事業で巻き返しを図った

6つの新事業で巻き返しを図った

吉田代表は「6つの事業展開により、一時期は9割ほど落ち込んだ売り上げも最終的な着地では前年を超える見通しとなり、資金調達の実施もできた」とし、その上で「コロナ禍に対して我われがいまできることに力を注ぐ」と強調する。

アフターコロナマーケットを盛り上げる

民泊市場はまだまだこれからが勝負の市場だ。旅行需要について吉田代表は、ワクチンが国民に行き届き、新型コロナの変異などが起きなければ「はやくて秋ごろ、遅くても来年の春前には回復するのではないか」と予想する。

コロナ禍の暗闇から新たな灯がともるまで、もうひと踏ん張りの力がほしい。そんな民泊オーナーや事業者に支援の手を差し伸べるmatsuri technologies。吉田代表は「コロナ禍で悲観的な考えに陥ってしまう気持ちはよくわかる。アフターコロナマーケットを大きく盛り上げるため、いまを一緒に乗り越えましょう」と呼びかける。

関連記事:民泊や短期賃貸物件の共有データベース「nimomin」が正式リリース

カテゴリー:その他
タグ:matsuri technologies資金調達旅行新型コロナウイルス民泊日本

遠隔医療従事者にオンデマンド在宅検査を提供するAxle Health

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック期間中に遠隔医療サービスの利用が急増しているが、診断検査のために医療従事者が近くにいなくてはならない場面もある。現在Y Combinatorに在籍しているAxle Healthは、遠隔医療会社と協力してバーチャルと対面のギャップを埋めようとしている。

「自宅に派遣する医療従事者は瀉血専門医、メディカルアシスタント(MA)、准看護師、および看護師です」とAxleの共同創業者であるConnor Hailey(コナー・ヘイリー)氏は語った。

悲しい現状を反映して、会社が受ける電話のほとんどが新型コロナ関連だとヘイリー氏はいう。

また、現在同社は健康保険を受けつけていないが、ヘイリー氏によると、同プラットフォーム上の多くの会社が、患者には自己負担分を請求し、その後保険会社から払い戻しを受けている。

「現金で支払っている患者はほとんどいません。私たちの在宅向けサービスは自己負担なのです」とヘイリー氏はいう。料金は訪問する医療従事者の免許資格によって変わる。

同社の最大のパートナーであるSameday Healthは、在宅PCR検査の料金は250ドル(約2万6300円)で、保険適用はなく自己負担だとヘイリー氏は言った。ヘイリー氏とSamedayは、近々保険適用の在宅PCR検査を100ドル(約1万500円)の往診料金でできるよう計画している。

Axle Healthは2021年1月末にこのサービスを開始し、治療の範囲を新型コロナウイルス感染症検査以外にも広げる考えだが、現在は市場の要求に答えているだけだという。

ヘイリー氏は、ZocDocで数年働き、Uberにしばらく在籍した後この会社を立ち上げた。ヘイリー氏と共同ファウンダーのAdam Stansell(アダム・スタンセル)氏を突き動かしたのは、同じようなコンセルジュサービスを幅広い患者に低価格で提供したいという思いだった。

「裕福な人々は在宅医療を利用できます。私たちはこれを低価格にして誰でも使えるようにします」

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Axle Health遠隔医療新型コロナウイルスY Combinator

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米FCCが生活困窮者に対し緊急時にブロードバンド接続を提供する補助事業を起案

FCCが、パンデミックの間にブロードバンドの料金を払えない人々を経済的に支援する大きな一歩を踏み出した。Emergency Broadband Benefit Program(EBBP)と呼ばれる施策は、承認されれば数百万の世帯に月額50ドル(約5200円)を助成し、部族の所有地にはさらに多くの助成を行う。

EBBPは2021年初めに議会を通過した予算の中にあり、困窮世帯のブロードバンド費用を補うために32億ドル(約3358億6000万円)を割り当てている。

FCCの委員長代理であるJessica Rosenworcel(ジェシカ・ローゼンウォーセル)氏は、次のように声明で述べている。「この度の危機で、インターネット接続がなければ、多くの世帯が仕事や医療、教育をはじめとした現代の生活から締め出されてしまうということが明らかになりました。ブロードバンドがもはや便利なだけのものでないことは、これまで以上に明らかです。必要不可欠なものです。しかし、米国民の多くは、この重要なサービスを利用できるだけの費用を用意することができないでいます」。

EBBPの全体的なところはすでに知られているが、2020年に議会が提案して以来、実際の形状を決めるのはFCCに任されている。ローゼンウォーセル氏が米国時間2月22日に内部的に回覧した規則は、それをアイデアから現実のものにするための重要な一歩となっている。

その重要な点は、誰がその恩恵を受ける資格があるのかを正確に説明するところにある。

  • FCCの既存のライフライン接続性補助プログラムの対象
  • 給食や朝食の助成を受けている人
  • 政府の返還不要奨学金の受給者
  • インターネップロバイダーの既存の低所得者補助やパンデミック関連事業の受給資格を満たす者
  • 2020年2月29日以降、大幅な損失を計上した者

最後の項は少々曖昧であるため、FCCに詳細を確認している(提案された規則はまだ公表されていない)。失業保険の受給者や、所得の減少率を文書で示せる者が対象になるのだろうか。その定義によっては、プログラムの対象は相当な数になるだろう。その点も現在、FCCに問い合わせている。

有資格世帯の多くが月額50ドルを受給し、部族所有地の住民は月額75ドル(約7900円)を受け取る。またデバイスの購入費用補助として、特定の業者から買った者には100ドル(約1万500円)が、1回限り提供される可能性もある。

この補助制度は、ルールからも想像できるように、実際に受給できるまでの手順が面倒なことになりそうだ。何よりもまずFCCのルールを議会が承認しなければならず、それは最速で進んでも2カ月はかかるだろう。その後、プロバイダーからのリクエストの検討にさらに時間を要する。あらゆる処理が最速で行われたとしても、最低で3カ月、問題が起きればさらにそれ以上を要するだろう。

ルールができた以上は、あとは時間の問題となる。低所得者はホッとしたかもしれないが、まだ先が長い。

カテゴリー:その他
タグ:FCC新型コロナウイルス

画像クレジット:John Lamb/Getty Images

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ファイザーとビオンテックの新型コロナワクチン管理温度が緩和へ、輸送管理が容易に

Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)が共同開発した新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの輸送管理要件が当初よりも緩和される。もともとmRNAベースのワクチンは有効性を維持するために輸送中に摂氏マイナス60度〜マイナス80度という超低温を維持する必要があった。両社が集めた品質安定性に関する新たなデータが米食品医薬品局(FDA)に提出され、そこには大半のクリニックや医療施設にある標準の医療用冷凍庫で対応可能な摂氏マイナス15度〜マイナス25度で保存できる、とある。

この温度で最大2週間ワクチンを保管でき、これは輸送オプションのフレキシビリティ、接種会場でのラストマイル保管を大きく改善する。これまでワクチンは接種会場に届けられるまでの管理を主に既存の「コールドチェーン」インフラに頼ってきた。こうした制約はModerna(モデルナ)のワクチンにはなく、同社のワクチンは冷蔵庫の温度で最長1カ月品質を維持できる。

今回の管理温度の改善は、米国や世界各地の当局によって緊急承認されすでに使用されているワクチンに関する取り組みが継続していることを示す1つの例だ。PfizerとBioNTechは、そうした保管のための温度要件をさらに緩和できる方向で取り組んでいると話しており、Modernaワクチンの要件に近づく可能性がある。

加えて、PfizerとBioNTechのワクチンは2回接種することになっているが、1回の接種で最大85%の効果があるというイスラエルの研究者による調査結果があり、これは世界の接種プログラムにとって大きな前進だ。新しい保管温度要件は、配車サービスやオンデマンド配達を展開する潜在プレイヤーの参加に扉を開く。ここには、バイデン政権に協力を申し出たAmazonワクチン教育プログラムでModernaと提携したUberのような巨大ネットワークも含まれる。

関連記事
アマゾンがバイデン新大統領の新型コロナワクチン接種公約に同社リソース提供で協力
Uberと米製薬会社Modernaがなかなか進まない新型コロナワクチン接種の啓発、促進で提携

また、大規模対応能力がない、あるいは超低温のコールドチェーンストレージのための特殊装置がないロジスティックやケアデリバリー分野のさまざまなスタートアップや零細企業にも参加の扉を開く。アシストする方法を模索しながらも必要なハードウェアや効率的に行うための専門性を持たない業者にとって、テクニカルな問題が参入を阻んでいた。

カテゴリー:バイオテック
タグ:PfizerBioNTech新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic / Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

エアロシールドが大分空港ターミナルに空気環境対策として紫外線照射装置を追加導入、設置数計74台に

エアロシールド(旧エネフォレスト)は2月19日、大分空港のターミナル内各所において、紫外線照射装置「エアロシールド」計29台が空気環境対策の一環として2月12日に追加導入されたと発表した。2020年導入分と合わせると計74台の設置となった。

大分航空ターミナルが運営する大分空港は、全国に先駆けて、搭乗待合室やラウンジなどにエアロシールド計45台を2020年11月に導入済み。また今後、国内外から増える利用客を見込み、今回1F国内線・国際線到着ロビー、2F喫煙ブース(出発ロビー、搭乗待合室)、3F各レストランに合計29台追加導入した。2020年導入分と合わせると計74台の設置となった。

エアロシールドが大分空港ターミナルに紫外線照射装置を追加導入、設置台数が計74台に

エアロシールドが大分空港ターミナルに紫外線照射装置を追加導入、設置台数が計74台に

エアロシールドは紫外線の中でも最も効果が高いとされているUV-Cを室内上部に水平照射し、自然対流により空気が循環することで、人がいる空間でも24時間365日安心・安全に空気環境対策ができる製品。

紫外線照射方式は、CDC(米国疾病対策センター)発行の「医療機関における結核菌の伝播予防のためのガイドライン」でも空気環境対策に有効な空気清浄法として推奨されている。

関連記事
JR東スタートアッププログラム採択のエネフォレストがJR渋谷駅工事事務所に紫外線照射装置を導入

カテゴリー:ハードウェア
タグ:エアロシールド新型コロナウイルス(用語)日本(国・地域)

Uberは新型コロナによる在宅勤務を2021年9月中旬まで延長

Uberは米国時間2月18日、在宅勤務を2021年9月13日まで延長することを従業員に通知した。

「延長の検討においては、各国が異なる回復ステージにあるという事実、新学年の開始など、最新の科学的データや専門家の意見を参考にしました」と同社のCPOであるNikki Krishnamurthy(ニッキ・クリシュナマーシー)氏は従業員への電子メールに書いた。この電子メールはTechCrunchも内容を確認した。「CommOps、IT、その他の部門の一部従業員がオフィスに出社しなければならないことは理解しています。ですので、所属部門が導入した規則の範囲内で業務を継続してください。ただし、いつものことですが、健康上の懸念を抱えている人に出社は強要しません」。

Uberはまた、可能になったときには新型コロナウイルスのワクチンを接種するよう推奨している。電子メールの中でクリシュナマーシー氏は、ワクチン接種のためにUber従業員は仕事を休むことができると述べた。

2020年8月に同社は従業員に2021年6月まで自宅から働くことになると通知した。他のテック企業はというと、Google(グーグル)は2020年7月に在宅勤務措置を2021年6月までに延長し、Facebook(フェイスブック)は2020年8月にリモートワーク措置を2021年7月までに延長した。

関連記事:フェイスブックが新型コロナによる在宅勤務措置を2021年7月まで延長

新型コロナ後はUberはおそらくハイブリッドな勤務モデルを導入するとクリシュ氏は述べたが、まだ取り組んでいる最中だ。

「オフィスで一緒に働くことにどれくらいメリットがあるか、あるいは生産性やコラボレーション、エンゲージメントを減らすのか、我々はさまざまな面を考慮しています。現況や進捗状況を数週間以内にアップデートします」と同氏は書いている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber新型コロナウイルスリモートワーク

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Nariko Mizoguchi

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

プレシジョンは2月17日、2000名の著名医師による医学情報データベースを活用し、一般向け医学情報サイト「お医者さんオンライン」として無償公開した。また診療所向けのAI診療支援システムについて、2022年3月末まで月額利用料を無償化し提供すると発表した。

医学情報サイト「お医者さんオンライン」

お医者さんオンラインは、気になる病気や検査・治療について調べられる資料集。体調に不安を感じても病院を受診しづらいコロナ禍において、専門医が監修する信頼度の高い情報が参考になればとサイトを開設したという。

プレシジョンが医療機関に提供している医学情報データベース「Current Decision Support」(CDS)の情報と同一の内容で、これまで診察後に説明資料として医師から患者に印刷して渡すなどの形で使用されていたものを活用している。

お医者さんオンラインの情報内容については、国を代表する著名医師7名からなる総合編集委員会を中心に、各診療科22領域23名の権威ある医師を監修者とし大学教授など信頼のおける約500名の医師を選定。約700の疾患についてイラスト付きで症状や原因・治療の流れなどの解説を閲覧できる。

例えば、新型コロナウイルス感染症に関する説明ページの著書は国立国際医療研究センター 国際感染症センター総合感染症科の忽那賢志先生で、監修は国立国際医療研究センター 国際感染症センター長の大曲貴夫先生が担当している。

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

医学情報データベース「Current Decision Support」とAI問診票「今日の問診票」

プレシジョンでは、CDSとAI問診票「今日の問診票」アプリを組み合わせ、国内初のAIを用いた本格診療支援システムを開発。東京大学工学院工学系研究科の松尾豊教授がAIアドバイザーを務めている。

また、2020年4月から提供を開始しており、これまで全国35の医療機関が導入を決めているそうだ。

CDSは、総合編集委員計14名、監修41名、2000名の著名医師が作成・更新。3000疾患700病状の所見、全処方薬情報を掲載する「次世代診療マニュアル」にあたり、国内最大級の情報量となっているという。

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

今日の問診票は、診療録作成から教科書検索までをサポートする、タブレットやスマートフォン用問診票アプリ。タブレット入力やお薬手帳のOCRで、初診カルテ作成にかかる時間を1/3に削減するという。

患者が診察を受ける前に今日の問診票アプリの約30の質問に答えると、AIが自然文で電子カルテの下書きおよび検索単語の候補を作成。その検索単語により、著名医師が記載する電子教科書の診療マニュアルを検索できる。また診療マニュアルには、著名医師が考える病気の候補と、検査例、処方例が記載されている。

プレシジョンが一般向け医学情報サイト公開、診療所向けにAI診療支援システムも期間限定で無償提供

関連記事
妊産婦のオンライン診療で安心安全な出産を目指すメロディ・インターナショナルが1.6億円調達
精神科医が監修のオンラインカウンセリング「マイシェルパ」が資金調達とサービス開始発表
救急外来特化の患者情報記録・管理システム「NEXT Stage ER」提供のTXP Medicalが2.5億円調達

カテゴリー:ヘルステック
タグ:医療(用語)AI / 人工知能(用語)新型コロナウイルス(用語)日本(国・地域)

NY州司法長官がアマゾンを提訴、新型コロナ対策の不備と従業員への報復的措置を指摘

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、Amazon(アマゾン)が同州にある2つの施設で適切な健康安全対策を怠ったこと、そして苦情を言った従業員を不当に懲戒解雇したことを主張し、ニューヨーク州最高裁判所に提訴した

ジェームズ氏は2020年3月にAmazonの調査を開始した。同氏の事務所によると、当初はスタテン島の発送センターとクイーンズ区の配送センター(合計5000人以上の従業員を雇用)の状況に焦点を当てていたが、後に従業員の解雇や懲戒処分にまで調査を拡げることになったという。

関連記事:NY州司法長官がAmazonの新型コロナ対策を不適切でぞっとする労働方針と呼ぶ

声明の中で、ジェームズ氏は次のように述べている。

AmazonとそのCEOは、この危機の間に数十億ドル(数千億円)の利益を上げましたが、勤勉な従業員は危険な環境に耐えることを余儀なくされ、そしてこれらの懸念を正当に表明した従業員は報復を受けました。新型コロナウイルス感染流行が始まって以来、Amazonが人々よりも利益を重視し、従業員の健康と安全の確保を怠ったことは明らかです。パンデミックの間も、この国を動かし、それを維持してきた労働者が、最悪の待遇を受け続けているということです。私たちがAmazonの行動に対して責任を追及しているように、私の事務所は、あらゆる形での搾取や不公正な扱いからニューヨークの労働者を守ることに、引続き専念していきます。

Amazonは先週、ジェームズ氏を先制して提訴し、職場の安全は米連邦に属する問題であり、彼女には提訴する権限がないと主張していた。

「先週の提訴で示した通り、私たちは従業員の健康と安全を深く気にかけており、司法長官の提訴は、Amazonの業界をリードするパンデミックへの対応を正確に表現したものではないと考えています」と、Amazonの広報担当者であるKelly Nantel(ケリー・ナンテル)氏は声明で述べている。

今回の訴訟では、Amazonが適切な清掃・消毒や接触者追跡について定めた州法に違反し、従業員が「保健、衛生、社会的距離、必要な清掃に取り組める時間が取れるように」生産性の方針を改めなかったことなどを訴えている。

この訴訟はまた、Christian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏の解雇(自身も同社を提訴している)と、Derrick Palmer(デリック・パーマー)氏への警告を「労働者の不満に対する迅速な報復的措置」であると指摘している。

関連記事:Amazonはパンデミック中に労働者に個人防護具を提供しなかったと訴えられる

ジェームズ氏の事務所によると、この訴訟ではAmazonの方針の変更、スモールズ氏への未払給料および損害賠償の支払いと同氏の復職、パーマー氏への損害賠償、そして「Amazonが違法行為の結果として得た利益の放棄」を求めているという。

関連記事:2020年の注目すべき労働問題を振り返る

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon新型コロナウイルス裁判ニューヨーク

画像クレジット:ANGELA WEISS/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Notable Healthはインテリジェントな自動化で新型コロナワクチン管理の効率化を目指す

効率的かつコストパフォーマンスの高い新型コロナウイルスワクチンの配布は、2021年最大の課題の1つであり、Notable Healthは自動化プラットフォームを提供し、支援しようとしている。

2017年にスタートアップが創立された当初、Notable Healthは全米で年間2500億ドル(約26兆5000億円)にもなるヘルスケアの管理コストの削減を目指していた。ヘルスビジネスにおける管理部門には、時間のかかる反復的かつ単純なタスクが膨大に存在するため、自動化には大きなメリットがあった。しかしパンデミック以後、Notable Healthはワクチン接種プロセスの管理にこのテクノロジーを適用することを考え、2021年に1月に具体的計画を発表した。

Notable Healthの医療担当ディレクターであるMuthu Alagappan(ムトゥ・アラガパン)氏はTechCrunchのインタビューに対して「私は内科医として診療の現場を熟知していますが、新たな患者に治療を開始するには90ステップ程度の処理が必要です。我々はこれらの処理の大部分は自動化できると信じています」と述べた。

Notable Healthの核心となるテクノロジーは従来からあるRPA(ロボッティック・プロセス・オートメーション)、NLP(自然言語処理)と機械学習を組み合わせて新型コロナワクチンを接種すべき患者を発見できるプラットフォームだ。このプラットフォームは病院システムの電子カルテのデータと総合しワクチン接種を受ける資格がある患者を判別し、予約を受けつけることができる。またこの際、新型コロナウイルスに関する情報を提供し、各種の啓蒙的リソースに誘導する。

NotableHealthの戦略アドバイザーであり、バイデン大統領の新型コロナウイルス感染症関連政権移行チームのメンバーでもあるEzekiel Emanuel(エゼキエル・エマニュエル)博士は 「このプラットフォームは接種資格がある患者の判別、患者への周知、啓蒙に加え医療機関側のトリアージでもインテリジェント化、自動化を活用します。これにより医療システムを効率化し公平なワクチン接種のワークフローを実現できます」とプレスリリースで述べている。

ワクチン接種の予約は、特に高齢の人々にとって難しい作業だ。医療機関のウェブサイトをナビゲーションするのに苦労している人々が多いことが報告されている。アラガパン博士はこれをサイトのデザイン上の欠陥のせいだと考えている。「人々は悪いテクノロジーの実例に出会うことが多いため、テクノロジー全体が悪い印象を得てしまいがち」だという。

Notable Healthはシンプルで洗練されたアプローチを通じてユーザーと会話しようとしており、ユーザーに対しては「基本的かつ誰でも覚えているような情報」のみをテキストメッセージとして求める。博士は「ユーザーの使い勝手を念頭に置いたデザインであるため、高齢者ユーザーに対しても優れたエンゲージメント率を維持できていると思います」と述べた。

このプラットフォームの当面の効果は、病院や医療システムがワクチン接種の効率化を図るために役立つことだ。しかしRPAとNLPの適用は将来、医療システム全般における最適化を実現するのに役立つに違いない。他のビジネス分野ではオートメーション化テクノロジーによりすでに数十億ドル(数千億円)の評価額を得て投資家の強い関心を引き寄せているスタートアップがいくつも存在する。

関連記事:業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

ヘルスケア分野でも今後数年間でAI(人工知能)は急成長すると予想されている。アラガパン博士はヘルスケア業務の大幅な改善には、利用しやすい既存のインテリジェント化テクノロジーとAIを組み合わせることが重要だと考えている。

我々がインテリジェント化、自動化というとき、実は2つの側面が含まれています。AIは『何をすべきか』を教え、ロボットプロセス自動化は『実行方法』を教えてくれます。この複合的アプローチによりNotable Healthはヘルスケア管理業務上の煩雑な手続きを回避し、システムに効率的かつ柔軟な方法でタスクを実行する具体的な指示を与えます。

Notable Healthはワクチン接種のロジスティクス、特に適格者の発見、選別と予約受付にプラットフォームを使用するためにすでに複数の州の病院システムと協力している。現在このプラットフォームは1日あたり数万人の適格者にワクチン接種を受けるよう連絡している。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Notable Health新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Notable Health

原文へ

(文:Sophie Burkholder、翻訳:滑川海彦@Facebook

NASAが宇宙飛行士や従業員の新型コロナ感染予防にFitbitsデバイスを活用

NASAは150人の宇宙飛行士を含む1000人の従業員に、主要な宇宙ミッションに先立ってミッションクリティカルな人員の健康を保つ取り組みを補完できるかどうか確認するパイロットプログラムとして、Fitbitデバイスを提供する。このプログラムでは、NASAの従業員がウェアラブルデバイスを装備し、潜在的な症状を毎日記録するチェックインアプリへのアクセスを提供し、体温やその他の主要な健康指標を確認する。

NASAはすでに宇宙飛行士を隔離し、米国内にある同社の施設への新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散を制限、または防止する措置を講じている。もちろん新型コロナウイルスの検疫に関する地元のガイドラインや要件には従っているが、2020年には独自のレベルベースのシステムを導入し、可能な限り多くの従業員にリモートワークを導入した。宇宙飛行士側では、国際宇宙ステーション(ISS)に行く前に病気にならないことを保証するために、かなり厳格な隔離とその手順をすでに強化している。

新しいFitbitプログラムは、これらの既存の指標を補完するように設計されており、安静時心拍数や心拍数の変動、呼吸数などの健康指標を提供し、これらすべてが新型コロナウイルスに関連づけられている。これらの指標は潜在的な症状の報告を含む、ユーザー自身によって記録された自己申告の指標とともに、アプリによってプログラムに参加している個人に、仕事に行くべきか家にいるべきかについてのガイダンスを提供し、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを知るための追加の手段を取るために使用される。

Fitbitは、ウェアラブルデバイスとそれらが記録するデータが、新型コロナウイルスの早期検出を提供するのに役立つかどうかを判断するための研究にすでに取り組んでいる。これらの結果に関係なく、デバイスからアプリに記録される基本的なヘルスデータは、すでに調子が悪いと感じている場合に他の人にもたらすリスクのレベルに関する自己評価手段の補足に役立つ可能性があり、これがNASAとのこのプログラムの主な目的となっている。

カテゴリーハードウェア
タグ:Fitbit、NASA、新型コロナウイルス

画像クレジット:Fitbit

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Apple WatchでPCR検査より1週間早く新型コロナの陽性診断予測可能、マウントサイナイ医科大学発表

マウントサイナイ医科大学の研究者によると、Apple Watchをはじめとしたウェアラブルハードウェアにより、現行のPCR検査よりも最大1週間早く新型コロナウイルス(COVID-19)の陽性診断を効果的に予測できることが、「Journal of Medical Internet Research」に査読済み論文として発表された。

Warrior Watch Study 」という調査では、Apple WatchとiPhoneのアプリを使いマウントサイナイ医科大学のスタッフが参加した。参加者はアプリを使用して健康データのモニタリングと収集を行い、新型コロナウイルスの潜在的な症状やストレスを含む、その他の要因について直接的なフィードバックを1日ごとに記入し提供するよう求められた。

研究期間中、研究チームは「数百人の医療従事者」の参加を募り、2020年4月から9月までの数カ月間に渡ってデータを集めた。この研究の著者らが観察していた主要な生体信号は心拍変動(HRV)で、人の神経系への負担を示す重要な指標となる。この情報が新型コロナウイルスに関連して報告された症状に関する情報(発熱、疼痛、空咳、胃腸の問題、味覚および嗅覚の消失など)と組み合わせられた。

Warrior Watch Studyでは検査の確定診断が出る1週間前までに感染症を予測できただけでなく、診断後すぐに参加者のHRVパターンが正常化し、陽性検査から約1~2週間後には正常に戻っていたことも明らかになった。

この研究の実際の医療現場への影響について、この研究の著者らは結果を予測し、リスクのある他の人々から個人を分離するのに役立つと述べている。最も重要なことは、これにより遠隔で行う手段が提供されることで、介護者は身体検査やPCR検査を行うことなく新型コロナウイルスの発症を予測または検出できるようになり、発症が疑われるリスクの高い状況下において予防措置を講じるのに役立ち、感染力が強くなる前に伝播を予防できる可能性がある。

この研究は現在進行中で、新型コロナウイルスがケアワーカーの健康に与えるその他の影響について、睡眠や身体活動といった要因が疾病とどのように関連しているのかを含めて、Apple Watchのようなウェアラブルデバイスとその搭載センサーが他に何を伝えることができるかを検討するために拡大していく予定だ。

関連記事:フェイスブックがワクチン接種の邪魔をする新型コロナ陰謀論を削除へ

カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルスマウントサイナイ医科大学Apple Watch

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter

フェイスブックがワクチン接種の邪魔をする新型コロナ陰謀論を削除へ

ワクチンに関する誤った情報は パンデミックのかなり前から出回っているが、世界的に変化する致命的なウイルスの蔓延と戦う中で、反科学的な陰謀がネット上で盛り上がらないようにすることは、これまで以上に重要な意味を持つ。

今回Facebook(フェイスブック)は、虚偽のワクチンに関する主張を取り下げるための基準を拡大すると発表した。同社はWHO(世界保健機関)などと協議して作った新しい規則の下で、新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンには「効果がない」「病気にかかる方が安全である」といった主張や、広く論破されてきた「ワクチンが自閉症を引き起こす可能性がある」という、反ワクチン派の主張を削除する。

acebookはルールを破ったグループ、ページ、アカウントに対して「特定の焦点」を当て、プラットフォームから削除される可能性を示唆している。

Facebookは2020年12月に新型コロナウイスワクチンに関する誤った情報を制限する措置を講じ、ワクチンのロールアウトのためのプラットフォームを準備していたが、その一方で、反ワクチン派の広がりへの対応では大きく遅れをとっている。同社は「新型コロナウイルスワクチンにマイクロチップが含まれているという虚偽の主張」や、ワクチンが一部の人々の同意なしに実験されていると主張する内容を含む、いくつかの誤報を含む投稿の削除を開始した。

なぜこの種の情報が、Facebookの新型コロナウイルスの誤報規制の対象にならなかったのかは、誰にもわからない。同社は新型コロナウイルスに関連した陰謀論の爆発的な広がりを防ぐために、パンデミックの早い段階から新しいポリシーを導入していたが、何度も何度も規則を均一かつ十分に施行することに失敗している。

関連記事:Facebookが新型コロナウィルス情報センターをニュースフィードの上に設置

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook新型コロナウイルス陰謀論

画像クレジット:ANGELA WEISS/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

配車サービスGrabが東南アジアでの新型コロナワクチン接種拡大を支援するプログラムを発表

東南アジアの配車サービス・オンデマンドデリバリー大手Grab(グラブ)は米国時間2月3日、新型コロナワクチン接種へのアクセスを拡大するためのプログラムを発表した。同社の目標は、2022年までに全従業員、ドライバー、配送パートナーを対象にワクチン接種を実施することだ(医学的に接種を受けられない人を除く)。また、Grabは各国政府と協力し、アプリを通じてワクチンに関する情報を提供すると述べ、ラストマイルのワクチン配布や、接種センターへの送迎サービスを提供するための協議を行っているという。

同社は現在、東南アジア8カ国で事業を展開している。シンガポール、カンボジア、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、 そしてベトナムだ。Grabは、各国政府のワクチン接種プログラムを支援しようと名乗りを挙げた多くの民間企業の仲間入りをしたことになる。米国ではMicrosoft(マイクロソフト)、Oracle(オラクル)、Salesforce(セールスフォース)、Epic(エピック)などのハイテク企業がその中に含まれる。一方、中国最大の配車サービスであるDidi Chuxing(滴滴出行)は、13カ国のワクチン接種プログラムを支援するために1000万ドル(約10億5000万円)の基金設立を約束している。

「少しでも早く集団免疫を獲得できれば、我々の地域社会と経済の再建を早急に開始することにつながります。パンデミックとの戦いのいくつかの大きな局面で、官民のパートナーシップは重要な役割を果たしてきました。このコラボレーションは続けていくべきです」。

ドライバーと配送パートナーに対しては、国のワクチン接種プログラムでカバーされていない新型コロナワクチンの費用を助成するとGrabは述べている。また、同社はグループ長期医療休暇保険を拡大し、ワクチン接種による潜在的な副作用の結果としてドライバーが失った収入をカバーするという。従業員とその近親者においても、各国のワクチン接種プログラムでカバーされていない費用はすべてGrabが負担するとのこと。

ワクチン教育の面では、Grabのアプリは政府や保健当局の情報を目立つように表示し、新型コロナワクチンに対する国民感情を理解するためのユーザーアンケートを実施していく。Grabによると、同社アプリは2億1400万回以上ダウンロードされているという。

関連記事:GrabやAnt Groupがシンガポールのデジタル銀行免許を取得

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Grab 新型コロナウイルス

[原文へ]

(文:Catherine Shu、翻訳:Nakazato)

新型コロナ時代の調査とインスピレーションについて投資家が知っておくべきこと

【著者紹介】本稿著者のNili Metuki(ニリー・メトトゥキ)氏は、デジタルプロダクトデザインおよび開発におけるインクルーシブな協働のためのプラットフォームInVision(インビジョン)の調査担当シニアディレクター。

ーーー

企業は、イノベーションを先導するアイデアで特定分野に衝撃を走らせる「スパーク」によって業界リーダーとなる。Apple(アップル)は、見た目も使い心地もよいコンピューターをポケットに入れて持ち運びたいという人々の願いを実現し、世界を変えた。

スパークを可能にするのは調査だ。現代の経済では「エウレカ」の瞬間は滅多に訪れない。iPhoneやPaypalや、その他数々のプロダクトマーケットフィットは、たしかにイノベーションのスパークの賜物だが、それより重要なものは厳密な調査だ。とはいえ、シャワーを浴びながら素晴らしいアイデアを思いつくことはある。だが大きな前進は、数え切れないほどの時間を市場調査やABテストなどにかけた末に訪れるものだ。

ご想像のとおり、パンデミックによって調査はオンラインに頼らざるを得なくなった。リモート調査の方法を会得した企業は、いまだに躊躇している企業を尻目に、いち早く成功し利益を上げることができる。リモート調査は、幸いにもなんとかパンデミックが終息したとしても、私たちの生活には数カ月間、あるいは数年間にわたって大変動が尾を引くであろうことを考えれば、優位な立場を維持できるはずだ。テック企業への投資を考えている企業にとって、新たに磨き上げたリモート調査の能力は、まだ資産として正当な評価が得られず、企業の健全性を示す指標としては目立たない存在だが、決定的な意味を持つ

パンデミックは、良好な企業調査の大きな障害となった。私自身も含めほとんどの研究者は、顧客や潜在顧客に直接会い、面と向かって話をするのが、昔からの当たり前のやり方だった。すでに2021年がスタートし、企業にはリモート調査問題をどのように解決したか、その方法の説明が求められている。企業には対処のための時間が10カ月あった。まだ解決していない企業は、対応計画を立てるべきだ。

投資家も、企業幹部も、組織の底辺で働く人たちも、企業が適正に調査を行っているかを確認し、またはそうするよう要求することが大切だ。そこには数十億ドル(数千億円)かかっている。誰もQuibi(クイビー)の二の舞は御免だろう。消費者調査をきちんと行ってさえいれば、あんなことにはならなかったはずだ。

デジタルで効果的な調査方式を再構築する方法は、いくつかある。まずリーダーは、調査担当者にどのようなツールを使っているかを知っておくことだ。つまり、斬新な方法で会社の需要を満たすために、彼らがどのような手段を開発したかだ。また調査担当者は、アイデアを引き出し、人々をより深く理解するために協働ツールを活用しているかどうか。

たとえば私は、ある人物の生活状況を理解したいときに、その人の住まいの写真のコラージュを依頼することがある。次に確かめるべきは、調査チームはそうしたツールをどう使っているかだ。ただプレゼンテーションを行うためだけに使っているのか、それとも範囲を限定せずに活発な会話が促されるようなかたちで使っているか。私はよく、デジタルホワイトボードでリアルタイムにスケッチを描いたり図解をして個人的な感覚を伝えているが、楽しいこともあれば、たわいない話になることもある。だがこれによって、人々は心を開くようになる。

次にリーダーは、たとえパンデミックで協働が難しい状況であっても、デザイン工程に必ず会社が関わるように仕向けなければならない。調査担当者とデザインチームは、以下の問題について考えほしい。

  • 調査は、単にチェックマークを付けるだけのものなのか?または、デザイナーや開発者は常にそれを参照しているか?
  • 調査チームは適切に報告を上司に伝えているか?理想的には、最高製品責任者に頻繁に報告し、幹部チームで見識を共有させ、消費者の要望に対する感覚を磨かせているか?
  • 調査担当者は今の異常な現実に対処するために消費者たちが行っている工夫について、深く調査する自由が与えられているか?
  • デザイナーと開発者は調査結果をジャンプ台として利用しているか?新しいかたちでのデザインや開発が許されているか?

いかなる場合でも、優れた製品の判断において、また健全なデジタル製品のデザインと開発において、調査は中核を担っている。もしそうなっていない企業があれば、2021年中に改善すべきだ。

この主張を裏づける定量的データがある。InVision(インビジョン)が行った業界調査によると、対象となった2300社のうち、デザイン的に高度に成熟した調査を実施することで、市場展開を早め、収益と評価額を高めていたチームはわずか10%だった。顧客の意見を重視し、顧客とともに製品を開発している(重要な調査方法だ)と答えたチームはわずか7%に過ぎない。

はっきりいえば、投資対象の企業は、調査を最善のかたちで活用していない傾向にある。この業界調査では、数千社のうちの10%に満たない企業だけが、デザイン調査を重要視していた。つまり、今日のリモート調査の課題を簡単に克服でき、新たな現実をすばやく受け入れ、この極端な変動の時期に成功できる企業は、10%にも満たないということだ。パンデミックの猛威の中では、これは深刻な問題だ。

新型コロナ終息後にも繁栄が続けられるのは、成熟したデザイン能力を持ちデジタル第一に考えられる企業だ。そうでなければ、生き残ることすら難しい。それらの企業は、より多くの収益を呼び込み、顧客との対話を重ね、新たな見識をデジタル式の調査で獲得していく。そうした経済においては、テクノロジーとエンジニアリングの卓越した能力が必須となるが、どのように高い技術的能力を備えていても、消費者が何をほしがっているかを理解できなければ、それは無用の長物だ。フィードバックがなければ役に立たない。イノベーションにつながる見識を持たなければ役に立たない。

有効性を立証し、理解し、アイデアのスパークを実体化できる、調査を活用した成熟したデザイン工程を持たなければ意味がない。

関連記事:Twitterが学術研究者向けの新しいAPIプラットフォームを公開

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:新型コロナウイルス市場調査

画像クレジット:Eskay Lim/EyeEm / Getty Images

原文へ

(文:ゲストライター、翻訳:金井哲夫)