さくらインターネットのIoTプラットフォームの本質は、閉域網に巨大なデータを蓄積することにある

さくらインターネットが以前から発表していたIoT向けのプラットフォームがいよいよ本格稼働する。同社は2月8日、「さくらのIoT Platform」のアルファ版のパートナー申し込み受付を開始した。4月にもアルファ版サービスを開始する予定。また9月にベータ版としてサービスを拡大。2016年度内の正式サービス提供を予定する。

さくらのIoT Platformは、同社オリジナルのモバイル通信モジュールである「さくらのIoT通信モジュール」(設計、開発はCerevoが担当。ソフトバンクおよびソラコム(NTTドコモ)の回線の2種類を提供)を通してL2接続した閉域網を用意。閉域網内ではストレージやデータベースといったバックグラウンド環境を構築、外部のクラウドやアプリケーションなどから呼び出し可能なAPIも提供する。

プラットフォームのコンセプトは「どこでも誰でも手軽に今すぐに」。マイコンやIoT製品にモジュールを組み込むことで、通信経路やサーバとの通信プロトコル(モジュールマイコンのUART、SPI、I2Cといった通信規格に対応)などを意識せず、モノ(ハードウェア)の制御とAPIを使ったデータ処理だけに対応すればいい。

アルファ版のためプラットフォームは無償で提供。通信モジュールや通信費などをベースにした定額料金ではなく、通信モジュールと閉域網で実際にやりとりされるメッセージと、APIを利用したデータの取得に応じて料金が設定される予定だ。「メッセージに関しては2年間期限で100万件(2年間、1分単位での通信に相当)で無償」といったプランも検討されている。3G回線の通信モジュールはこれまで数万円ほどの価格帯が一般的だったが、1万円以下で提供する見込み。なおアルファ版に関しては無償で提供。現在モジュールは1000台生産しており、それ以上のニーズがあれば別途対応を検討する。

閉域網にアップされるデータは、パブリックなものとプライベートなものに分けられる。パブリックなデータに関しては、APIを利用して開発者が自由かつ無償で扱える。一方でプライベートなデータは有料で利用することになる。さくらインターネットでは、プラットフォーム上により多くのデータが集まるよう、API取得時の料金の一部を、データをアップする開発者に還元することを検討している。

開発中の通信モジュール

開発中の通信モジュール

アルファ版の開始にあたり、Amazon Web Services(AWS)やヤフーのIoTプラットフォーム「myThings」などとも連携。さらに「Priority Partner」と呼ぶ先行パートナー企業も集まった。NECパーソナルコンピュータとはホームIoTやパブリックIoTの実現に向けた共創プロジェクトを展開。Cerevo、ソラコムはそれぞれ前述のとおり、また医療IoTスタートアップのサイマックスやM2Mのデータソリューションを提供するアプトポッドなどがすでにプラットフォームの採用を決定している。

と、ここまではすでに各メディアでも報じられている話。ざっくり言えば、IoT機器メーカーにとっては、「とにかく簡単に作れる(組み込みソフトのスキルが低くてもいける)、なのにセキュア」ということだ。会見後Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏にも話を聞いたのだが、閉域網にデータを預けることは、「セキュアな環境なので極論を言えば暗号化せずに通信できる。組み込みのマイコンにおいては、SSL通信などは重くて無駄な処理。そう考えるとマイコンの品質を下げて、原価低減ができるというメリットもある」といった利点もあるのだそうだ。

膨大なデータを閉域網に集めることこそが本質

さくらインターネット創業メンバーであり、現在同社のフェローとしてこの事業に携わる小笠原治氏によれば、さくらインターネットがこのプラットフォームで狙うのは、別に通信料やAPI利用料によるマネタイズではない。IoT機器から送られる膨大なデータのプールを閉域網に作ることだという。

小笠原氏は会見の中でも「(通信モジュールで)格安MVNOをやるわけではない」「デバイスメーカーになるわけでもない」「インターネットに開かれた繋がれたクラウドサービスを提供するわけでもない」と語っていた。もちろん正式サービス時には課金を行うわけだが、とにかく色んなデータを集めて、それを使った新しいビジネスのシードを見つけていくことこそが重要だという。このプラットフォームは「人々が気づけなかった世界の相関性に気づくためのプラットフォーム」を目指すとしている。

岩佐氏は、作り手の立場からこう語る。「IoT機器のメーカーが、誰かのセンサー値を使える世界というのはめちゃくちゃ面白い話になる。もちろんそんな構想があるメーカーは(現状では)ほぼいないが、スタートアップからは出てくるのではないか」

例えば世の自動車がリアルタイムに車速のデータをさくらのプラットフォームにリアルタイムでアップロードしているとしよう。そのデータがオープンなモノであれば、「ある道が混んでる」と瞬時に判断して、リアルタイムに迂回ルートを提案してくれるなんてこともできる。一部の自動車メーカー(ホンダのインターナビなど)では自社製品に閉じてこういった仕組みを提供しているが、これがパブリックなデータで実現できるようになるわけだ。もちろんこれはあくまで一例。正式サービスのローンチはまだ少し先だが、はたしてこのプラットフォームからどんなIoT機器が生まれてくるのだろうか。

さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏(一番左)、同社フェローの小笠原治氏(左から4人目)ほか、Priority Partner各社の代表ら

さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏(一番左)、同社フェローの小笠原治氏(左から4人目)ほか、Priority Partner各社の代表ら

ブロックチェーン活用の金融向け事業でテックビューロとシンガポールDragonfly社が合弁

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ブロックチェーン技術NEMを活用した金融機関向け決済プラットフォーム「Automated Clearing and E-Settlement (ACES)」を日本市場に提供するため、テックビューロとシンガポールDragonfly Fintech Pte Ltdは日本に合弁会社を設立することで合意した(プレスリリース)。2016年第3四半期のサービス提供を目指す。合弁会社の設立時期や資本金などの詳細は今後明らかにしていくとのこと。

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決済プラットフォームACESの概要。「従来型の決済手法と比べコンプライアンス上の煩雑さを軽減できる」としている。

決済には法定通貨(例えば円)とペグするデジタルマネーを使う。従来の即時グロス決済(RTGS)に替わる銀行どうしの即時決済の手段として、双方の取引勘定をブロックチェーンに記録する機能を提供する。

テックビューロはNEMをベースとするプライベートブロックチェーン技術mijinの各分野での業務提携を多数発表しているが(関連記事)、現時点で発表された提携先に金融機関は含まれていない。関連する案件として、住信SBIネット銀行は野村総合研究所(NRI)と共に実施する実証実験において NEMとmijinを併用するとしており、実装を担当する一社としてDragonfly社の名前が上がっている(発表資料)。

最近、米Ripple社が日本を含むアジア市場の展開でSBIホールディングスと合弁すると発表している。Rippleの決済システムとACESは、銀行向け決済システムという点で競合する。

「日本のブロックチェーン界隈」の議論を可視化、ブロックチェーンハブの旗揚げイベント

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2016年2月4日に開催された株式会社ブロックチェーンハブの旗揚げのイベント「創業記念講演会」では、果てしなく続く「ブロックチェーン界隈」の議論を目の当たりにした。ここでは私的な印象を切り取って記録しておきたい。

同社は、金融大手を含む“スーツ”族と、ブロックチェーン技術に取り組む“ギーク”族を結ぶ接点(ハブ)となることを目指している。ブロックチェーン技術に関する情報発信、教育(例えば2月12日から始まるブロックチェーン講義)、コンサルティング、人的ネットワーク構築やベンチャー支援を活動内容としてこの1月7日に設立されたばかりだ(プレスリリース)。

ブロックチェーンハブ創業記念講演会から(その1)

斉藤賢爾氏の講演の様子。40人強と限られたメンバーが集まるイベントだったが、金融大手からブロックチェーン界隈のギークまで多様な参加者が集まった。

 

同社の陣容から紹介しよう。代表取締役社長の増田一之氏は、日本興業銀行からキャリアを出発し、インターネット証券取引システムのファイテック社長を経て、現在はベンチャー支援の活動を続けている。取締役CMOの本間善實氏は「日本デジタルマネー協会」の活動を2年続け、ビットコイナー、ブロックチェーン関連の人脈が豊富だ。取締役CTOの志茂博氏は、ブロックチェーン技術Ethereumを活用した実証実験などに引っ張りだこの技術者だ。技術情報の蓄積が進んでいるQiita(関連記事)でブロックチェーン技術に関するポストを調べてみると志茂氏のポストばかり出てくることに驚く(例えばこの記事)。

乾杯の挨拶は日本IBM相談役の北城恪太郎氏だ。1993年から99年まで日本IBM社長を勤めあげ、財界での活動歴も長い。北城氏はブロックチェーンハブのアドバイザーの一人でもある。北城氏は挨拶の中で、朝日新聞が報じた三菱東京UFJが開発中とする仮想通貨の話題を取り上げ、この分野は一般紙が取り上げる話題となったことを強調した。

北城氏による挨拶から想像できるように、日本の有力企業のスーツ姿の紳士と、“ブロックチェーン界隈”のギークを結びつけることがイベントの狙いだ。増田氏は「4大メガバンクはもちろん、多くの有力企業の方々に来ていただいた」と顔をほころばせる。

「株式会社の後を継ぐイノベーションは何か」を問いかける斉藤賢爾氏

最初の講演は慶應義塾大学SFC研究所上席所員の斉藤賢爾氏。斉藤氏は、ブロックチェーン技術Orbと、減価の概念を組み込んだ地域通貨を発行できるシステムSmart Coinを推進するOrb株式会社CTOでもあるが、この日は「慶應の斉藤として話します」と前置きして講演は始まった。

斉藤氏はまず「世界史に名を残す会社を挙げてください」と語りかける。客席から上がった名前は世界初の株式会社である東インド会社である。斉藤氏はもう1社、日本初の株式会社的な組織である海援隊の名を挙げる。株式会社は、事業リスクを複数の株主で分担しながらより大きな経済的リターンを目指す組織であり、人類史上に残るイノベーションだった。では、次の世代のイノベーションは何か。それが現在ブロックチェーン技術の上に構築されつつあるDAO/DAC(Destributed/Decentralized Autonomous Corporation/Organization)ではないか。例えば、ビットコインのエコシステムは、法や契約ではなく分散したノード上で動くアルゴリズムにより組織が機能している例といえる。株式会社とは異なる原理で、分散化/非集権化したコンピュータネットワークの上で動くアルゴリズムにより、人々の集団が事業を営む基盤を作れるのではないか。ここで斉藤氏は、このような考え方はEthereumが目指している世界観そのものだと指摘する。

斉藤氏は、ソフトウェア技術により経済活動そのものを変革するアイデアを持っているのが自分だけではないことを示したかったのだろう。斉藤氏はビットコイン登場以前から仮想通貨を研究し、経済活動の基盤となる「地球規模OS」という概念を提唱している(例えば角川インターネット講座第10巻『第三の産業革命 経済と労働の変化』の第9章「インターネットと金融」を参照)。

斉藤氏は、自分自身は「アンチブロックチェーン派」だと話す。例えばビットコインのブロックチェーンは取引の確定が完全には決定できないファイナリティ(決済完了性)の問題があると指摘する。ビットコインではブロックチェーンの分岐により取引がくつがえる可能性がわずかにある。そこで6回の確認を約60分かけて実施することにより取引を確定しているが、斉藤氏は、これが決済の整合性を証明するとはいえないと指摘する。また、「ドローンで運んできた缶入り飲料を購入して落としてもらう」との例を挙げ、ブロックチェーンの動作には現実世界で求められるリアルタイム性が欠けていることを指摘する。なお、斉藤氏が取り組むOrbでは決済のファイナリティ問題の解決とリアルタイム性の追求を試みているのだが、今回の講演ではそこまでは触れなかった。

ブロックチェーン技術をめぐる百家争鳴状態を可視化

ブロックチェーンハブ創業記念講演会から(その2)

パネルディスカッションから。ビットコインマキシマリストと、アンチビットコイナーの対決。

 

斉藤氏の講演の後は、ビットコインによる支払いシステム「ビットクダイレクト」を提供する「Bi得」の創設者兼CEOのJerry Chan氏が「ブロックチェーンとコンセンサスレジャー」と題して講演。予定されていた演題は「ビットコインなしのブロックチェーンに価値はあるのか」だった。ビットコインと技術投入を含めたそのエコシステムの価値を高く評価するのがJerry氏の立場だ。続いて、Metaco社CTOのNicolas Dorier氏(.NET Frameworkによるビットコイン実装で知られる)、株式会社ソーシャル・マインズ創設者のEdmund Edger氏、Open Assets Protocolにより使用権をブロックチェーンで管理するスマート電源プラグを開発するNayuta代表取締役の栗元憲一氏がショートプレゼンテーションを行った。

Nicolas Dorier氏は、「ビットコイン9つの神話」について話した。ビットコインに対する「スケールできない」「プライベートな取引に使えない」などの批判の多くは、Dorier氏の立場から見れば解決済みだったり見当違いだったりするそうだ。

Edmund Edger氏は、当初はビットコインのブロックチェーンを手掛けていたが、その後Ethereumの方が有望だと鞍替えした。一方、Nayutaの栗元憲一氏は、Ethereumからブロックチェーン技術に入ったが、技術的に安定しているOpen Assetsの方が有望だと感じた。ブロックチェーン技術は複数あり、選択に際しての評価と判断は、おそらくプロジェクトの内容、目的により変わってくる。そうした立場の違いを可視化する講演者の配置だったといえる。

最後の企画は、パネルディスカッションである。斉藤賢爾氏、Jerry Chan氏、新たな合意形成プロトコルPoI(Proof of Importance)を取り入れた暗号通貨NEMの開発者である武宮誠氏が登壇し、本間善實氏が司会に回った。Jerry Chan氏はビットコインの価値を信じるビットコインマキシマリストの立場に立ち、斉藤賢爾氏と武宮誠氏はビットコインの弱点を克服する新技術(斉藤氏はOrb、武宮氏はNEM)を作る立場に立っている。

ビットコインやブロックチェーンに関しては、こうした異なる立場にある人々どうしのディベートが活発に行われていて、この日はその一端に触れることができた。武宮氏は、「ビットコインは面白いが大きな欠点がたくさんある。例えばマイニングは本当に必要なのか」と指摘し、「これが決定的なインフラになるとは思えない」と主張する。データベース製品がたくさんあるように、ブロックチェーン技術も複数あっていい。例えばNEMは最近Mosaic Tileという新機能を取り入れたが、このような新技術を積極的に試していけることは、新しく作った技術ならではの特徴だ。もちろんJerry Chan氏も黙ってはいない。Chan氏は、ビットコインのブロックチェーンにこそ最も大きな価値があると考えている。

ところで、この日に不在だったのにも関わらず存在感があったのは、プライベートブロックチェーン技術mijinに関する業務提携の発表を立て続けに行ってきたテックビューロだ(関連記事)。mijinやそのユースケースに関する情報が不足していることから(これは私たち報道側が、もっとがんばらないといけないところだ)、パネルディスカッションではプライベートブロックチェーンに対する疑問の声も上がった。「一つの組織内で閉じたブロックチェーンに意味があるとすれば、それは会社を畳んだ後にも事後的に監査に使えることではないか」と斉藤氏は意見を述べた。なおmijinのベースとなったNEMの開発者の1人である武宮誠氏は以前はテックビューロでmijinのために働いていたが今は離れている。現在のmijinは、武宮氏以外のNEM開発者を軸に開発を進め、この2月には誰でも参加できる公開ベータテストが始まった。情報不足は今後解消されていくことを期待したい。

議論を続け、しかし決して合意に至らない彼らの姿は、おそらく現実のブロックチェーン界隈の射影だったはずだ。この状況に似ているのはなんだろう……強いていうなら、異なるプログラミング言語の使い手どうしの論戦に似ていることに気がつく(つまり日本で毎年開催されるLL(Lightweight Language)イベントと少しだけ似ていた)。プログラミング言語にも、長年にわたる蓄積を取るか言語設計の新しさを取るか、仕様の安定を取るか新技術の取り入れの早さを取るか、こうした決して相容れない議論がある。

もちろん例え話が当てはまらない部分もある。ソフトウェアの利用者は開発に使われたプログラミング言語のことは気に止めない。だがブロックチェーンは資産価値や信用など重要な「なにか」を刻みつける対象なので、利用者にとっても重大な意味を持つ。資産を蓄積するプラットフォームという点では、OSに近い……いや、ひょっとすると国家にも匹敵する意味を持つかもしれない。

そんな事を考えるうちにも、立ち話の議論はいつまでも続き、イベントの夜は更けていった。ブロックチェーン界隈はあまりにも情報量が多く、あまりにも動きが速い。追いかけるのは大変だが面白い。このイベントの参加者それぞれが異なる印象を持ったことだろうが、「何か重要な事が起こっている」との感触は共有できていたのではないだろうか。

「チケット化」と「継続販売」で需要を喚起するクラウドファンディング「ENjiNE」

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日本でクラウドファンディングといえば、新製品のマーケティングかチャリティー的な支援が中心。2014年に資金決済法が改正されて投資型のクラウドファンディングも始まったが、利用はまだこれからというところだろう。

そんな中でスタートしたReLicのクラウドファンディングサービス「ENjiNE(エンジン)」。彼らは「チケット」という概念を持ち込むことで、より手軽にクラウドファンディングを利用できるようにすることを考えているという。

ENjiNEは、先行する他社のクラウドファンディングサービス同様、サイト上に掲載されているプロジェクトに対して支援を行うというモノだ。支援の対価として製品やサービスを得られる、いわゆる「購入型」と呼ばれるサービスに分類される。

だがENjiNEがこれまでの購入型クラウドファンディングサービスと違うのは、これまでであれば、「お金を払って支援を行う」としていたユーザーのアクションを「電子チケットを購入する」というものに変えたことにある。プロジェクトが終了して、その製品やサービスが提供されるタイミングになれば、電子チケットを使用(ENjiNE上でコードを入力する)することができる。

ReLic代表取締役CEOの北嶋貴朗氏

ReLic代表取締役CEOの北嶋貴朗氏

クラウドファンディングの仕組みを知っている読者は「そこに何の違いがあるのか?」なんて思うかも知れない。だがReLic代表取締役CEOの北嶋貴朗氏は、この「チケット」こそが国内で購入型クラウドファンディングの市場を成長させる鍵になると語る。

「チケット化」でECの市場を取りに行く

「日本のクラウドファンディングの市場は20億円程度と欧米に比べればまだまだ小さい(米国のクラウドファンディング市場規模は2014年度で1億ドル程度だという)。それは投資や寄付という文化が欧米のように根付いていないから。だが見方を変えれば購入型のクラウドファンディングは実態としてはECと同じ仕組み。であればECの市場を取っていける仕組みにしていけばいい」(北嶋氏)

ではクラウドファンディングをECのように使ってもらうにはどうすればいいか? そこで考えたのがチケットという概念だという。「プロジェクトへの支援」と考えるよりも面白い商品を買うという動機を作るだけでなく、購入後に友人などにプレゼントすることもできる(ENjiNEのアカウントが必要になる)。そのための不正防止の仕組みも導入しているという。

それに加えて、ENjiNEで楽天市場やYahoo!ショッピングといったショッピングモールのアカウントを取得。ENjiNEに掲載されたプロジェクトのオーナーは、今後ENjiNEに運用を任せるかたちでショッピングモールで商品を販売できるようになる(モールによっては「チケット」が販売できないケースもあるため、商品の予約販売にする、製造後に販売するなどの対応を行う)。通常のクラウドファンディングであれば、プロジェクトが終了した時点までしか支援できないが、この仕組みを使って継続した商品の販売が可能になる。このあたりはヤフーとソニーが組んだ「First Flight」の発想に近い。

オープン時点ではフォトウエディングサービスを手がけるスタートアップのFamarryによる家族写真撮影のプロジェクトや、スタッズを使った革小物を扱うTheTHIRDによる展示会出展プロジェクトなどが並ぶ。システムの外部提供も決まった。サザビーリーグの主催するビジネスプランコンテスト「Lien PROJECT2016」と連携。3月に開催されるイベントでは、プレゼンの最中にリアルタイムにファンディングを行う「ライブファンディング」の仕組みを提供する。

クラウドファンディングの「前後」も支援

実はReLicが手がけるのはこのENjiNEだけではない。すでにピッチイベントや新規事業制度等の応募資料や合否の管理、メール送信などを行うサービス「Ignition」を提供しているほか、今後はマーケティングオートメーション、CRMといった領域のサービスも開発中だという。

北嶋氏は「会社の理念は『志ある挑戦を創造し、日本から世界へ』。プロジェクトの構想(Ignition)から事業化(ENjiNE)、成長(開発中の新サービス)までをカバーしていきたい」と語る。クラウドファンディングはあくまで1つの事業に過ぎないのだと。

北嶋氏は新卒でワイキューブ、プライマルとコンサル会社を経てディー・エヌ・エーに入り、EC関連の新規事業や事業企画、戦略アライアンスなどの責任者としてキャリアを積んできた。2015年7月にReLicを設立。これまでにベータカタリスト(DeNA元会長の春田真氏らの新会社)や個人投資家からシードマネーを調達している。

「Tech Academy」運営のキラメックスをユナイテッドが約6億円で買収

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スマートフォンアプリやアドテク領域での事業を展開するユナイテッドは2月3日、エンジニア向けのオンラインスクール「Tech Academy」を運営するキラメックスを買収し、完全子会社化することを明らかにした。買収額は約6億円。

キラメックスは2009年2月の創業。当初はグルーポンモデルのクーポン共同購入サイト「KAUPON」を展開。創業期にエンジェル投資家(現:ヤフー執行役員ショッピングカンパニー長兼CFO室長を務める小澤隆生氏)、その後グロービス・キャピタル・パートナーズなどから資金を調達してサービスを拡大するも、2013年には同事業をサイブリッジに売却。売却を検討していた2012年半ばからは、新事業としてTech Academyを展開してきた。

当初はオフィスの一部を教室にしてオフラインでのスクールを展開してきたが、2015年5月からはスクールをすべてオンライン化。「オンラインブートキャンプ」をうたい、ウェブアプリ、iPhoneアプリ、WordPressの3つのコースを展開してきた。同社によると、インターネット関連上場企業をはじめ100社7000人以上の教育実績を持つという。

ユナイテッドは2015年後半から、スマホ、アドテクに次ぐ新事業を模索していた。「スクラッチで事業を立ち上げることからM&Aまで幅広く検討している中で、Tech Academyと出会った。ユナイテッドの持つオンラインプロモーションのノウハウや顧客基盤を掛け合わせることでTech Academyの成長加速と収益拡大を見込む」(ユナイテッド代表取締役社長COOの金子陽三氏)

「Tech Academyで3年やっている事業。時間は掛かったがオンライン化してしっかりと伸びてきた。ここからスケールするために外部資本を調達することも考えたが、昨年(ユナイテッド)オファーをもらった。ヒト・モノ・カネを一気に得てサービスをここで成長させることがユーザーにとっても重要だと考えた」キラメックス代表取締役社長の村田雅行氏はこう語る。

グロービスからの調達で2億円、当時のバリュエーションも気になるところだが(もちろん資金調達とM&Aではバリュエーションについて同じように考えてはいけないと思っている。すごくざっくり言えば、調達では「未来」を見越した価格になるのに対して、M&Aは「今」の価格になる)約6億円という金額について、「フルタイム6人でここまでのサービス規模まで育てて、今もグロースしている。他のオファーもなかった訳ではないし、グロースしてから売却すると言うことで価格を上げることは正直できたと思う。ただ何よりサービスの成長が重要」(村田氏)だったという。同氏は今後もTech Academyの事業に注力する。またTech Academyのユーザーへの影響はない。

なおユナイテッドでは同日、キラメックスの買収とあわせてトレンダーズ傘下だったSmarpriseへの出資・子会社化も発表している。

創業期のスタートアップとエンジェル投資家を結ぶ「Tokyo Angel Network」、ANRIが立ち上げ

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独立系ベンチャーキャピタルのANRIが、創業前後のスタートアップとエンジェル投資家のマッチング支援に乗り出した。2月3日より「Tokyo Angel Network」を立ち上げる。まずはGoogle Docs上で、スタートアップがエンジェルに対して事業や資本政策のメンタリングを希望するスタートアップを募る。

Tokyo Angel Networkに参加するエンジェル投資家は川田尚吾氏(ディー・エヌ・エー共同創業者)、木村新司氏(グノシー・アトランティス創業者)、山田進太郎氏(メルカリ・ウノウ創業者)、笹森良氏(フンザ創業者)、赤坂優氏(エウレカ創業者)、佐藤裕介氏(フリークアウト・イグニス創業者)、中川綾太郎氏(ペロリ創業者)の7人。応募するスタートアップの事業プラン対してANRIがスクリーニングを実施。一定基準(具体的には公開していないが、市場性や実現性、起業家の熱意といった話だろう)を満たしたスタートアップをエンジェルに紹介するという。ただしANRIはあくまでプラットフォームを運営するという位置付けになっており、応募するスタートアップへの投資の権利や義務を持たない。

このネットワーク、あくまでメンタリングのためのマッチングであり、それ以上の内容はうたっていない。だが、ここでエンジェルと話す機会を得てコミュニケーションをとることがきっかけとなって、将来的に投資や支援に繋がる可能性は決して低くないだろう。

VCとエンジェルで担えることは違う

ANRI代表パートナーの佐俣アンリ氏いわく、エンジェル投資をめぐる課題として、「スタートアップは良いエンジェルへのアクセス方法がない、一方でエンジェルはスタートアップからたくさんの連絡が来てしまうのが困る」ということがあるのだという。エンジェルへのアクセスがないゆえにシードVCからの調達を受けたあとにエンジェル投資を受ける、なんていうケースも少なくないそうだ。

日本でエンジェル投資家による出資といえば、数百万円程度というケースが少なくないので、シードファイナンスでバリュエーションが上がった後になると、エンジェルの持てる株式は非常に少なくなる。以前にも触れたが、そもそもエンジェル投資というのは「リターンありき」という話ではなく「スタートアップへの還元」という意味合いがある。なので持てる株式の割合がすべてではないのだが、それでもエンジェルこそが最初にスタートアップを支援すべき、というのがTokyo Angel Networkの考えだ。

「VCが担えることと、エンジェルが担えることは違う」と佐俣氏は語る。もちろんVCにはいろいろなバックグラウンドの人物がいるが、同氏は「僕は起業家出身ではないので、メンタルやチームの雰囲気について言ってあげるようなことしかできない」と自らについて語った上で、「例えばSEOの話なんかは3カ月でトレンドが変わる話。であれば現役でその領域を見ているエンジェルに力を貸してもらうのが一番いい。またイグジットして少し経った起業家したエンジェルなら、現役とは違う、達観したアドバイスもできる。何より尊敬している人のお金を預かることにこそ責任感と自信になるのではないか」とした。

米国ではAngel Listのようなエンジェル投資家のマッチングプラットフォームがある。もちろん日本では法律やエンジェルの数も違うので(そもそもこの数年で自らのスタートアップをイグジットさせた起業家が増えたことで、やっとエンジェルに関する話題も出てきたのではないか)そのまま持ってくるというわけにもいかないのだろうが、Tokyo Angel Networkも将来的にはそういったプラットフォームを目指すとしている。

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Josh McGinn

BearTailが中小企業向けにクラウド経費精算サービス、2000人のオペレーターが人力でデータ入力

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スマートフォンでレシートの写真を撮影してアップロードすれば、オペレーターが人力で入力を代行し、カテゴリの分類を行った上で家計簿を作成できるサービス家計簿サービス「Dr.Wallet」。このサービスを提供するスタートアップのBearTailが2月1日、クラウド経費精算サービス「Dr.経費精算」ベータ版の提供を開始した。

Dr.経費精算は中小企業をターゲットにした経費精算サービス。Dr.Wallet同様にスマートフォンで領収書を撮影し、スマートフォンアプリもしくはウェブブラウザからアップロードすれば、自動的に経費データ化し、同時に仕訳も行う。クレジットカードや電子マネー等の利用明細の自動取得にも対応する。

スマホ+ウェブ

取り込んだデータからプライベートでの利用を除外するなどの編集機能も用意。法人向けということで、経費のデータ入力に加えて、管理者への経費申請を行うワークフロー機能も提供する。承認を得た経費データは管理者向けのウェブ画面からダウンロード可能。

全銀フォーマットのデータ形式に準拠しているため、各種会計ソフトへの取り込みが可能だ。承認の際、特定の勘定項目で一定額以上になっていた場合や、領収書が不足している場合に知らせるアラート機能、申請者と承認者で申請内容の確認ができるコメント機能も用意している。

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サービスの強みとなるのは、データの自動入力を裏側で支えるクラウドソーサーだ。BearTailではDr.Walletを提供するため、遠隔地で働く主婦など、約2000人の入力オペレーターを集めている。今回提供するDr.経費精算でもこのオペレーターが写真を目視してデータを入力する。これにより、自動読み取りするよりも高い精度を実現しているのだという。「重要なのはアプリやシステムと人力でのオペレーションの融合だ」(BearTail代表取締役社長の黒﨑賢一氏)

料金は1アカウントにつき月額980円。競合としてはクラウドキャストの「Staple」やマネーフォワードの「MFクラウド経費」などがある。BearTailでは6月をめどに、ICカードリーダーを活用した交通系電子マネーの自動読み取り機能を導入するほか、専用スキャナーの提供も予定する。

Instagram上の9枚の写真から“内面”の合う人と繋がるマッチングサービス「nine」

 

2015年末から2016年氏にかけて、約7日間で1500万人がサービスを利用。米国のテレビやウェブメディアが紹介、米国大統領夫人のミシェル・オバマ氏や米大統領選挙候補者のドナルド・トランプ氏にはじまる各著名人も参加——一体何のことかを言っているのかと思うかも知れないが、実はこれ、「2015bestnine」という日本人がリリースしたサービスの話だ。

2015bestnineは、InstagramのユーザーIDを入力すると、そのユーザーがInstagram上に掲載した写真のうち、もっとも「いいね」の付いた写真9つをピックアップして、1枚のコラージュ写真にしてくれるサービスだ。生成した写真はそのままInstagramやTwitterで共有することができる。

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当初はユーザー自身のIDのみに対応していたが、リリース間もなく公開されているInstagramユーザーのIDを自由に利用できるようになった。すると著名人のIDを使って写真が生成され、それが本人の目に触れることでシェアされ…といった具合で、ノンプロモーションながら世界のソーシャルメディアを席巻することになった。

マッチングサービスの提供を目指して起業

2015bestnineを作成したのはマッチングサービスやSNSを手がけるスタートアップのLIP。しかもこれ自体、同社の新サービス「nine」のプロモーションのために生まれたものだった。

LIPは2014年11月の設立。IBMで人工知能を研究していた代表取締役社長の松村有祐氏と、自身で起業してマッチングアプリを開発していた取締役副社長兼プロダクトディレクターの関口舞氏の2人で創業した。

同社はこれまで午後5時以降の利用に限定したサービス「5pm」を2015年6月に米国西海岸をターゲットにローンチ。続けて同年7月には人口知能による審査を通過した大学生・大学院生限定のSNS「Lemon」をローンチした。そして万を持してリリースする3つ目のサービスがnineなのだそうだ。

内面で合う人と繋がるカギはInstagram

「創業時からオンラインマッチングサービスをやりたいと思っていた。5pmは気軽な出会い、LemonはLinkedIn的な自己紹介のサービス。もっと直感的に趣味や内面を理解して、マッチングするにはどうすればいいかとなっていた。マッチングサービスというと顔と年収、肩書きで選ぶものもあるが、それ以外の選択肢もあるのではないか」(関口氏)——そんな中で、Instagramにその答えがあるのではないかと考えた。Instagramにアップするファッションや食べたもの、見た景色……そんな写真の1つ1つで人となりが分かるのではないかと。

nineでは冒頭の2015bestnine同様、ログインすると、ユーザーがInstagramに投稿した写真の中から1年間でもっとも「いいね」が付いた写真9枚を組み合わせて1枚のコラージュ写真を生成する(写真は入れ替え可能)。この写真に、「#fashion」「#pet」「#cooking」といった趣味や性格を表すハッシュタグを付ければプロフィールの完成だ。

プロフィールを作成すれば、今度はマッチングだ。性別や距離などの検索条件にあわせてほかのユーザーのプロフィールが表示されるので、Tinderのように気に入れば右にスワイプ(Like)、気に入らなければ左にスワイプしてプロフィールを閲覧していく。お互いがお気に入りになれば、チャットを通じて会話することができる。写真の内容をフックにして会話を行えば、コミュニケーションのハードルも下がると同社は説明する。「コンセプトには自信がある一方、半信半疑なところもある。だが『いいね』の多い写真のクオリティが高いのは事実。そんな写真を並べることは、自己表現(の手段)としていいものだと思う」(松村氏)

アプリは英語版のみ、フリーミアム形式で提供する。月額9.99ドル(日本では1200円)支払えば、Like数が無制限になるほか、半径50km圏内のユーザーの検索機能、9枚以外の写真の閲覧機能なども提供する。今後はInstagram広告のような画像を中心とした広告の導入も検討する。

今後は海外を中心にマーケティング

2015bestnineを通じて、すでに13万⼈がnineの事前登録を行っている。またそのうち75%が⼥性という、マッチングサービスとしては少し珍しい結果が出ている。年齢層では18~24歳が最多。ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコなど米国の都市や、ジャカルタをはじめとした東南アジアの都市からの登録が多い。

同社ではもちろん日本でもサービスを展開するが、まずは事前登録者の多く、マッチングサービスの利用が盛んな米国からマーケティングを進める。なお2015bestnineについても、「今でも1日数万件のユニークユーザーがいる。今後は2015年のベスト写真以外も生成できるようにしていくことを考えている」(関口氏)

左からLip代表取締役社長の松村有祐氏、取締役副社長兼プロダクトディレクターの関口舞氏

左からLip代表取締役社長の松村有祐氏、取締役副社長兼プロダクトディレクターの関口舞氏

スマートロックで「不動産×IT」を開拓するライナフが資金調達、三菱地所と業務提携へ

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スマートロック「NinjaLock」や、そのNinjaLockと連携するアプリケーションなどを開発するライナフは2月1日、三井住友海上キャピタルおよび三菱地所を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。同社が外部から資本を調達するのはこれが初めて。金額は非公開だが、1億円以上資金を調達しているとみられる。同社は今回の資金調達をもとに人材採用を積極化。開発およびマーケティング体制の強化を計る。また三菱地所グループと業務提携し、不動産業界向けのソリューションを共同開発していという。

ライナフは2015年5月にNinjaLockの販売を開始した。国内でこの領域を手がけるのは、「Akerun」(2015年4月発売)を提供するフォトシンスや「Qrio SmartLock」(2014年12月にクラウドファンディングサービス「Makuake」で発表。2015年8月出荷)を提供するQrioなどがある。

スマートロック単体でなく、サービスと組み合わせて展開

NinjaLockでは、単にスマートロック単体を販売するのではなく、アプリやサービスと組み合わせることで「不動産業界のインフラ」になることを目指しているのだという。

実は同社は「シェアルーミング」という空きスペースのレンタルプラットフォームを提供している。これはスペースのオーナーが、サービス上で会員制の「シェアクラブ」を作成し、会員に限定してスペースを時間貸しするというもの。スペースにNinjaLockを取り付けており、会員はオンラインで事前にスペースの予約をしておけば、予約した時間にブラウザ経由で開錠できる。今後はこういった「スマートロック×サービス」の提供を進めていく考えだ。

「シェアルーミング」のイメージ

「シェアルーミング」のイメージ

三菱地所グループとの取り組みもこのシェアルーミングの延長線上にあるサービスからスタートする。両者は三菱地所レジデンスが開発する高品質賃貸マンション「ザ・パークハビオ」にNinjaLockを導入。「スマート内覧」と呼ぶ無人内覧サービスを開始する。

競合製品も含めて、これまでもスマートロックを利用した内覧サービスはあった。しかしその多く現場まで不動産仲介業者が同行してスマートロックで開錠する、もしくは現場で不動産仲介業者に電話をしてスマートロックを遠隔操作で開錠するというものだったのだという。今回のスマート内覧は、不動産のデベロッパーが直接内覧の機能を提供するかたちとなるため、あらかじめウェブ上で日時を指定して内覧予約していれば、現場では仲介業者等に連絡することなく、ブラウザ経由で開錠して自由に内覧ができるという(エントランス用の後付け式スマートロックも用意している)。

ライナフは今後もスマートロック単体だけでなく、連携サービスにも注力するとしている。「例えば月額1万円でスマートロックのサービスだけ提供するというのではお金を払ってもらえないかも知れない。だがカギの入退室からセキュリティまでスペースの『運営システム』として一括で提供できるようになればビジネスは大きく変わる」(ライナフ代表取締役社長の滝沢潔氏)

駐車場シェアリングのakippaが6億円の資金調達——拠点数で業界第3位に、今後は時間貸しの試験運用も

 

akippa代表取締役社長の金谷元気氏

akippa代表取締役社長の金谷元気氏

駐車場のシェアリングサービス「akippa」を運営するakippa(2015年にギャラクシーエージェンシーより社名を変更)は1月29日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(1月に発表された5号ファンドの1号案件)、トリドール(2015年4月設立の投資子会社「TDインベストメント」からの出資)、朝日放送(2015年12月に発表された投資子会社「ABCドリームベンチャーズ」のファンドの第1号案件)、ディー・エヌ・エー(追加出資)の4社を引受先とした総額約6億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達した資金をもとに人材の採用を加速するほか、PRや駐車場獲得のための施策を進める。

2014年に大阪でサービスをスタートしたakippa。個人や法人が所有する駐車場の遊休スペースと、一時的に駐車場を探しているユーザーをマッチング。1日単位で駐車場をレンタルできるサービスだ。駐車場の所有者には、駐車料金の60%が入る仕組みとなっている。

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現在akippaが持つ駐車場は4410拠点。これは業界第1位のタイムズ(約1万5000拠点)、第2位の三井のリパーク(約1万拠点)に次ぐ数字になっている。akippaでは現在月に600拠点のペースで新規開拓を進めており、2017年内にも業界ナンバーワンの拠点数を目指す。駐車場のシェアは旅館業法などの絡む宿泊施設のシェアリングとは異なり、貸し主にとっても参加に心理的なハードルが低いのだとか。

東急電鉄や住友不動産、三菱地所、大阪市など、法人や自治体からの貸し出しも増えている。法人貸し出しは1社で大きく拠点数を増やせるためakippaにとってもメリットが大きいようだ。

拠点数の拡大に伴って売上高も増加している。具体的な金額は明らかにされなかったが、売上高は前年同月比で20倍以上になっている。予約のニーズが高いのは、スタジアムやイベント会場周辺や都心部など。具体的には東京の山手線圏内、大阪市内、名古屋はナゴヤドーム周辺などは稼働率が高い(40〜50%)。

当初は想定していなかった法人ニーズも見えてきた。例えばコンビニエンスストアなどは店舗ごとに1日7回程度配送トラックが訪れるわけだが、駐車場のない店舗では、そのトラックの路上駐車が問題になっていた。そういった課題を解決するため、akippaを利用しているのだという。現在大手コンビニ3社中2社がakippaを利用。今回出資したトリドールが運営する飲食店「丸亀製麺」なども、ロードサイド店舗の従業員用駐車スペースの確保のためにakippaを利用しているという。ただしあくまでもakippaは「遊休スペースのシェア・マッチング」を目的としたサービスであり、法人に特化して「駐車場獲得代行を目指しているわけでない」(akippa代表取締役社長の金谷元気氏)としている。

akippaが人材採用やPR、駐車場確保と並行して進めるのが、駐車場の時間貸しだ。これまで1日利用だったところを1〜3時間程度の短時間で貸し出すことで、回転率の向上を狙う。「1日3回転程度できるように、4月から試験運用を行う。駐車場は利用時間の超過なども起こるので、まずはオペレーションを作っていく」(金谷氏)

端末データを子どもの見守りに利用、FULLERとKDDIがサービスを共同開発

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スマートフォンアプリの解析サービス「App Ape」などを提供するスタートアップのFULLERは1月28日、KDDIと子ども向けのスマホサーポートサービスを共同開発したことを明らかにした。

FULLERではアプリ解析サービスと並行して、おもに10代後半〜20代をターゲットにした端末管理アプリなどを提供している。今回共同開発したサービスのベースとなる「スマホスピタル」は2015年5月のリリース。スマホ依存症の予防・改善のために、ユーザーがスマホの利用状況を確認できるAndroid端末向けアプリだ。

ユーザーの所持アプリなどの情報をもとにユーザーの「スマホタイプ」を診断。年代性別ごとの平均と利用状況を比較できる。また電池を消耗している起動中アプリの確認や停止といったバッテリー管理機能も備える。日本のほか韓国でも利用されており、ユーザー数は10万人以上となっている。

一方のKDDIでは、子どもの安全なスマホ利用に向けてスマホ利用時間やアプリの制限、電話帳登録の制限、防犯ブザーと連動する位置情報取得、不適切な言葉の入力を警告するあんしん文字入力といった機能を備える子ども向け端末「miraie」を2015年1月より提供している。今回、そのmiraieの機能を追加すべく、スマホスピタルをベースにしたスマホサポートサービスを共同で開発するに至ったのだという。

「miraie」

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「KDDIでは『子どものスマホ利用』を1つの(研究の)テーマとしていた。またFULLERとしても端末の利用データを子供の見守りに使えないかという構想があった。そこでVCなどの支援もあって、タイミングよくお声がけいただき、共同開発に至った」(FULLER代表取締役の渋谷修太氏)

FULLERによると、3月以降は順次他キャリアのユーザー向けにも機能を提供していく予定。今後の展開については「Google Playがそもそも13歳以上でしか使えないため、そこの世代にニーズがあるのかを利用状況を見て検討したい」(渋谷氏)

SoftBank、「Pepperだらけの携帯ショップ」を東京に期間限定オープン

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今日(米国時間1/27)、日本のSoftBankは 同社の人型ロボット、Pepperのためにユニークなエコシステムをつくる計画を発表した。なかでも強い興味を惹くのは、日本の大手テレコム・キャリヤ、インターネット・プロバイダーであるSoftBankが接客の大部分をPepperロボットが担当する携帯ショップを開設する点だ。

Japan Timesの記事によれば、SoftBankは東京に「Pepperだらけの携帯ショップ」を3月28日から4月3日まで開く。ショップには6台のPepperが配置される予定だ。このロボット部隊は顧客に挨拶し、スマートフォンをデモし、さまざな方法で購入を助ける。ロボットが最近得た新しい能力を完璧に信頼している人々には残念な情報だが、店内には人間のスタッフもいてロボットの接客に問題がないかチェックする。また顧客が実際に新規契約を結ぼうとする場合、人間のスタッフが身分証の確認を行うという。

SoftBankは昨年秋に法人向けPepperの発売を開始しており、現在、日本ではネスレやみずほ銀行を含む約500社が利用している。

約200社が「ロボアプリマーケット」と呼ばれる法人向けPepper for Biz用のアプリを開発中であり、2月22日以降、ユーザーがダウンロードするすることが可能になる。ダウンロードとインストールは各社の所有するPepperに対して直接実行できる。来週、東京、大阪、名古屋、福岡の4箇所に「Pepper
for Bizアトリエ」と呼ばれるスペースがオープンし、Pepperの導入を希望する法人ユーザーを助ける。

Pepperはパリに本拠を置くスタートアップ、Aldebaran Roboticsによって開発された。SoftBankはAldebaranを2012年に買収している。Pepperは表情、声、動作などから人間の感情を認識し、それに応じて適切な動作をするよう設計されている。法人ユーザーは月額5万5000円(約$465)、3年間のレンタル契約でPepperを導入することができる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

リノベーション特化のマーケットプレイスを運営するツクルバ、グロービスなどから数億円の資金調達

左からツクルバの高野慎一氏、中村真広氏、村上浩輝氏、GCPの上村康太氏、高宮慎一氏

左からツクルバの高野慎一氏、中村真広氏、村上浩輝氏、GCPの上村康太氏、高宮慎一氏

リノベーション住宅特化のオンラインマーケット「cowcamo」等を運営するツクルバは1月27日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)を引受先とした第三者割当増資および金融機関からの借入による資金調達を実施したことを明らかにした。金額等は非公開だが、数億円規模になるという。また調達にあわせて、GCPの上村康太氏が社外取締役に就任する。

リーマンショックからの起業

ツクルバの創業は2011年。信用金庫から数百万円の借入を行い、渋谷にコワーキングスペース「co-ba」を設立するところからスタートした。代表取締役CEOの村上浩輝氏と代表取締役CCO・クリエイティブディレクターの中村真広氏の2人は新卒でコスモスイニシア(旧:リクルートコスモス)に入社。しかしリーマンショックのあおりを受け、1年も経たずに会社を辞めることになる。

その後村上氏はネクストで不動産関連のビジネスに、中村氏は大学時代に学んだ建築学を武器にデザイン事務所に入社。それぞれキャリアを積んだ後にツクルバを立ち上げた。なお冒頭の写真にいる高野慎一氏はリクルートコスモスの元役員。2人がコスモスイニシアに入社するきっかけになった人物だ。2015年10月にツクルバに参画した。

受託から自社事業への転換

コワーキングスペースの運営からスタートした同社だが、その後は2人のキャリアを生かして空間プロデュースに乗り出す。最近では、六本木ヒルズに移転したメルカリのオフィスなんかも彼らのプロデュースだ。そんな同社だったが、2015年に入ってcowcamoを立ち上げ。社内にエンジニアを置き、自社でウェブサービスを開発するに至った。これにあわせて、2015年2月には、East Venturesとアカツキを引受先とした第三者割当増資も実施した。

 

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「デザインの会社が(資金を調達して)ITの会社になったのは、突然変異ではなくこれまでの延長線上。思いつきで『メディアを作る、アプリを作る』と考えたわけではなく、どんなベンチャーでもテクノロジーを活用することが必須になったと考えたから」——村上氏はこう語る。

ツクルバ創業時から代表2人には「大量生産大量消費でない、『先進衰退国』となった今の日本だからこそできる事業で成長していく」という思いがあったそうだ。もちろんそんなことを言ってもまずは自分たちの食い扶持を稼がないといけない。「『会社を経営する』ということも最初は手探りで、受託もやってとにかく必死でやってきた。3期で黒字になって、より急角度に成長するために受託から自社事業に切り替えようとなった。会社の知見や信用、ノウハウを考えれば、cowcamoのモデルだった」(村上氏)

不動産全体では縮小しているが中古住宅だけは伸びつつあるという市場環境(政策としても2020年に中古住宅流通・リフォーム市場の規模倍増(20兆円)を掲げている)、オフィスの空間プロデュースに加えて住宅リノベーションなども手がけていたことでできた仕入れルート。起業前に不動産仲介を手がけていたノウハウ——これらがあってcowcamoというサービスは生まれたという。最近では360度動画によるバーチャル内覧機能なども実装。月間流通額もサービス正式ローンチから半年で数億円規模に成長した。ツクルバでは今回の資金調達をもとに、開発体制強化や営業人員拡大を進めるほか、各種プロモーション施策も展開していく。

また冒頭に書いた通り、今回の調達にあわせて、GCPの上村康太氏が社外取締役に就任する。このほか公認会計士の服部景子氏が常勤監査役に、同じく公認会計士の小池良平氏が監査役に、GCPの高宮慎一氏がアドバイザーにそれぞれ就任する。

実は上村氏と村上氏は同年代の起業家(上村氏はかつて「ソーシャルランチ」を運営するシンクランチを起業。Donutsに売却している)としても数年来の親交があるということ。両者はビジネスに関する相談はしていたが、もちろん資金調達は私情ではなく「VCとして素晴らしかったのでGCPに引受をお願いした」(村上氏)、「チームだけでなくプロダクトや数値を厳しく判断して、半年ほどかけて投資決定に至った」(上村氏)とのこと。

労務管理クラウド「SmartHR」運営のKUFUが資金調達、あわせて社労士法人を立ち上げ

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2015年11月に開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2015」。その目玉企画である、創業3年未満・サービスローンチ1年未満のスタートアップ限定のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」で優勝したKUFU。労務クラウドサービス「SmartHR」を提供する同社は1月27日、East VenturesおよびDGインキュベーション、Beenextの3社を引受先とする第三者割当増資資を実施したことをあきらかにした。金額や出資比率は非公開だが、数千万円程度と見られる。同社は今回の調達をもとに開発やサポートの体制を強化する。

またKUFUではこれにあわせて、SmartHRの運営に携わる社会保険労務士(社労士)の 海野慶子氏が「社会保険労務士法人スマートエイチアール」を立ち上げたことを明らかにしている。

これまでにも紹介している通りだが、SmartHRは社会保険や雇用保険など、労務に関わる手続きを自動化するサービスだ。各種の手続きに応じて、画面上のフォームに必要事項を入力していけば、書類を自動作成できる。総務省が提供する電子政府「e-Gov」の外部連携APIと連携することで、今冬にもウェブから役所への申請も可能になる予定だという。料金は従業員数にあわせて月額980円から。以前、サービス開始から3カ月半の導入企業数が200社以上と聞いていたのだが、現在その企業数は480社にまで増加。売上も月次約170%のペースで成長しているという。

例えば税務会計ではfreeeやMFクラウド会計といったクラウドサービスが登場し、税理士がこれらのサービスに対応していくという動きがあるようだが、SmartHRの登場によって、社労士でも同様の動きがあるという。つまり、社労士の仕事を奪うのではなく、社労士の仕事をクラウドサービスでサポートするということだ。実際従業員数50人以上の企業の多くが社労士とアカウントを共有してSmartHRを利用しているという。

KUFU代表取締役の宮田昇始氏によると、最近は社労士から「社労士事務所向けの管理画面を作って欲しい」という要望も届くのだそうだ。最近ではサポートにも注力しており、実績をサイト上で公開するなどの取り組みも行っている。また社労法人スマートエイチアールでは、社会保険労務士の視点からSmartHRの導入を支援していく。今後はKUFUと協力してSmartHRの改善を図っていくほか、社労士向けの機能の提供も進める。

KUFUでは今後、SmartHRで対応する手続きを拡充。さらに人事情報管理システムの強化を進める。同社は2016年内に3000社、2017年内には2万社の導入を目指すとしている。

グルメQ&Aの「ペコッター」、インキュベイトやiSGなどから資金調達しサービスを加速

ブライトテーブル代表取締役社長の松下勇作氏(左から3人目)、デザイナーの大塚晴香(同4人目)と投資家陣

ブライトテーブル代表取締役社長の松下勇作氏(左から3人目)、デザイナーの大塚晴香(同4人目)と投資家陣

グルメQ&Aサービス「ペコッター」を運営するブライトテーブルは1月26日、インキュベイトファンド2号投資事業有限責任組合(追加出資)、iSGインベストメントワークス(2月よりiSGSインベストメントワークスに社名変更予定)、East Ventures、松本龍祐氏(ソウゾウ代表取締役社長)を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。金額は非公開。

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なお同社は2015年11月にベンチャーユナイテッドからも第三者割当増資を実施している。こちらも金額は非公開で、今回はこれと同ラウンドでの調達となる。ブライトテーブルでは、今後採用を強化してサービス開発体制の強化。Q&Aデータの解析なども進めるとしている。

ペコッターは、希望する飲食店の条件を投稿すると、ほかのユーザーがその条件に合った飲食店の情報を教えてもらえるというサービスだ。ユーザーの質問の投稿に対して、複数のユーザーがチャット形式で回答するインターフェースを採用する。

サービスは2015年3月に開始。現在のユーザー数は2万人。一般のユーザーによる質問・回答に加えて、運営サイドでも回答を行っているそうだが、これまでの回答率は100%、平均5分以内に3〜4件の回答がつくという。ユーザーの割合としては男性のほうが多いが、回答率では女性が65%と男性を上回っている。

また、2015年11月からはチャットによるレストラン予約代行サービス「ペコッター予約」を正式に開始。開始前と比較して、アクティブユーザー数が3倍、予約数は約4倍に伸びているという。加えて、アプリ上でのアクションに応じて「ペコ」と呼ぶポイントを付与。ペコはAmazonギフト券などに交換できる。

ただし前述の予約代行機能、裏側でペコッターの運営が手動で電話をかけているそうで、正直現状のままの運用ではスケールすることは難しそうなところもある。これについてブライトテーブル代表取締役社長の松下勇作氏は、「自動音声を使った予約の仕組みや予約台帳サービスとの連携などを検討していきたい」と説明する。

また冒頭で触れたように、今後はQ&Aデータの解析にも力を入れる。投稿内容から値段や地名、人数、時間、ジャンル、喫煙の可否、朝食やデート利用といった要素を解析し、人力での回答だけでなく、機械的にも飲食店のレコメンドも行う考えだ。それに向けて、ペコッターのキャラクターである「はらぺこくん」を機械化した「メカペコくん」の開発者も募集している。

ペコッターは現在すべてのサービスを無料で利用できる。今後はまず春までにDAU1万人を目指す。将来的には「投げ銭」機能の導入ほか、飲食店やユーザーへの課金でのマネタイズを進める考えだ。

“非エンジニア向けSlack”を開発するOneteam、ニッセイ・キャピタルから約2億円の資金調達

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非エンジニア向けのコミュニケーションツールを開発するOneteam。2015年5月にサイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を実施した際、プロダクトの一部の機能のみを提供していた同社が間もなくサービスを一般公開するという。それに先かげて1月26日、同社はニッセイ・キャピタルを引受先とした総額約2億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今後は人材の強化や東南アジア地域を中心としたマーケティングを強化する。

Oneteamが開発するのはビジネス向けのコミュニケーションツール「Oneteam」。「各トピックに紐づくリアルタイムチャット」「各種クラウドサービスの連携と横断検索機能」の2点が大きな特徴だという。

僕らが取材などでコミュニケーションをとるスタートアップの話を聞くと、多くが(主に開発時の)コミュニケーションツールとしてSlackやChatWorkを使ってるのだけれども、Oneteamは冒頭でうたったように非エンジニア向けのコミュニケーションツールだ。トピックごとにリアルタイムチャットが可能な構造のため、ほかのコミュニケーションツールに比べてストレスなく履歴を追うことができるのだという。

一方で五月雨式にメッセをやりとりできるSlack等は、着席してリアルタイムに内容を確認できるエンジニアには最適であり、競合ではなく想定ユーザーが違うサービスというのが同社の認識だ。そういえば以前の取材で、Oneteam代表取締役の佐々木陽氏は、「非エンジニア向けの、GithubとSlackを組み合わせたようなツール」といった説明をしていた。

コンセプトは「手のひらにチームを持ち歩く」。コミュニケーション機能だけでなく、チームを知るプロフィール共有機能なども備えている。

同社は2015年2月の設立。サイバーエージェント・ベンチャーズから約6000万円の資金を調達してサービスを開発。東南アジア地域をターゲットに提供(プロフィール共有機能を「Profike Book」として切り出して先行リリース。利用企業は800社・海外比率は85%だという)してきた。2016年1月からは一部企業にOneteamを試験的に提供開始。2月中にもオープンベータ版として公開する予定だという。

iSGインベストメントワークスに3人目のキャピタリスト、元CAVの佐藤真希子氏が参画

左からiSGS インベストメントワークス取締役の菅原敬氏、同取締役の佐藤真希子氏、同代表取締役の五嶋一人氏

左からiSGS インベストメントワークス取締役の菅原敬氏、同取締役の佐藤真希子氏、同代表取締役の五嶋一人氏

2015年10月にスタートしたばかりのベンチャーキャピタルがわずか3カ月で社名を変えると聞くのは珍しいケースだが、ポジティブなニュースだ。アイスタイル子会社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)・iSG インベストメントワークスは1月19日、元サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)のキャピタリスト、佐藤真希子氏が参画。取締役 マネージング・ディレクターに就任することを発表した。またこれとあわせて商号を「iSGS インベストメントワークス」に変更することをあきらかにした。いずれも2月1日開催の臨時株主総会で決議する予定だ。

iSG インベストメントワークスは、昨年10月にアイスタイルキャピタルから社名を変更してスタートしている。それまで代表取締役社長を務めていたアイスタイル取締役 兼CFOの菅原敬氏が取締役に異動し、元コロプラの五嶋一人氏が代表取締役社長に就任している。社名のiSGは両氏の頭文字から取ったものだ。今回新たに佐藤氏が参画したことから、佐藤氏の頭文字「S」を付けて「iSGS」と社名を変更するのだという。

佐藤氏はサイバーエージェントの新卒1期生。同期はiemo代表取締役・DeNA執行役員の村田マリ氏などをはじめ、サイバーエージェント内外問わずIT業界で活躍する人物も多い。主に営業を担当した後にCAVへ出向。産休を挟みつつ、足かけ9年投資事業に携わり、2015年に同社を退職した。2012年上場のメディアフラッグ、2013年上場のフォトクリエイトをはじめ、LiB、ビザスク、トークノート、groovesなど多くの投資経験を持つ(ちなみに佐藤氏は元フォトクリエイトで現在スペースマーケットの代表を務める重松大輔氏と結婚している)。

「CAVでは最高の経験をさせてもらった」と振り返る佐藤氏。しかし、キャピタリスト10年目を迎えるにあたって、「今まで以上に自分の判断で自分が決めた人に入れる(投資する)、そして最後まで責任を持ってその人を見ていくということにチャレンジしたい」と思って独立を考えた。プライベートでは3人目の子どもを出産して復帰しており、「女性起業家の活躍が紹介されるように、女性VCのロールモデルになっていきたい。実は女性VCは現場で活躍し続けるよりミドル・バックオフィス業務に移ることが多い。もちろんそれも価値ある仕事だが、結局はダイバーシティ。フロントに立ち起業家と接し続け、色んな見方で事業を見ていかないと見えないこともある」(佐藤氏)と語る。

その後、独立してベンチャーキャピタルの組成、スタートアップのインキュベーション事業の立ち上げに向けて動いていたが、最終的に、退職間もなくから声が掛かっていたiSG インベストメントワークスへの参画を決めた。「ベンチャーキャピタルなのに社名に『ワークス』と入れているのは、『起業家と一緒に汗をかく』という意味がある。メンバー3人とも営業、ファイナンス、買収先の経営まで事業畑を長く続けて来た。私も投資先の営業から、リストラ、経営の再生と泥臭いところまでやってきている。そこに一緒にやって欲しいと声をかけてもらった。1人ではできることの限界があるが、チームで起業家をサポートしていきたい」(佐藤氏)。

同社は現在ファンドの組成中。スキームの詳細は公開されていないが、本業とのシナジーを求めるCVCではなく、独立性の非常に高いファンドになるという。また、投資対象は「インターネット+アルファ」「既存産業+インターネット」が中心。シードからレイターまでのステージのスタートアップに対して、数百万円から数千万円程度の投資を行う。すでに昨日紹介したウィンクルのほか、ヘルスケアスタートアップのサイマックスなどに出資している。また既存ファンドのセカンダリー投資をバルク案件を組成して買い受ける「バルクセール」や、ある企業の株式のVC分を全部、あるいは経営者の分も買い受ける「バイアウト投資」も行う予定。さらに、佐藤氏が参画したことで、スタートアップコミュニティの創造、大企業とスタートアップの連携なども進めて行くという。

「Dear」はLINEとTwitterの“いいとこどり”を実現したコミュニケーションアプリ

アプリアイコン毎日一緒にいるような友人のことを「いつものメンバー」を略して「いつめん」なんて呼ぶ若者言葉もあるようだが、そんな「いつめん専用」をうたうコミュニケーションアプリがREVENTIVEの「Dear(ディアー)」だ。利用は無料。iOSおよびAndroid向けにアプリをリリースしている。

Dearではクラスやサークル、部活など、特定の属性の友人に限定した「グループ」をいくつでも作成できる(テーマカラーは6種類から選択可能)。作成したグループのタイムラインは、左右にスワイプすることで切り替え可能。グループはその名称とIDを設定して作成し、IDを元にユーザーを検索して、招待していく。すでにあるグループを検索して参加申請をすることも可能だ。

各グループでは画面左右にあるボタンを使って、即時性の高いコミュニケーションを目的とした「チャット」と、独り言や状況報告をタイムラインに投稿する「つぶやき」のそれぞれを利用できる。なお、UI/UXの設計はデザイン特化のスタートアップであるオハコが担当した。

チャットとつぶやき、1つのアプリで2つのインターフェースを持つ理由が正直分からなかったのだが、REVENTIVE代表取締役の水田大輔氏いわく、中高生は「LINEでチャット」「鍵付きのTwitterアカウントでLINEと同じメンバー向けにツイート」という使い分けをしていることが多いとヒアリングして分かったのだという。Twitterのアカウントは、趣味や雑談などテーマによって複数運用することも少なくない。このを使い方を1つのアプリで実現しようとしたのがDearだ。

「仲良しな友人であっても、どんな内容も同じ場所に投稿するわけでない。Dearでは、そんな中高生のLINEとTwitterの使い方を1つのアプリにまとめている。さまざまなテーマ、グループを横断したコミュニケーションを作っていく」(水田氏)

REVENTIVEは2011年に京都で設立されたスタートアップ。当初はクローズドSNSの「Close」を提供していた。2013年にミクシイ、ディー・エヌ・エー(DeNA)などから6000万円の資金を調達。2015年にもDeNAほか金融機関3社から5000万円の調達を調達。現在は拠点を東京に移し、このDearの開発に注力している。

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1つのグループに対してTwitter的なタイムライン投稿(左)とLINE的なチャット投稿(右)が可能な「Dear」

結果がすべてを癒やす——イグジットした起業家がエンジェル投資をする意義とは

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昨日僕は、イグジットした起業家の投資に関わる記事を書いた。そして記事の公開後、あらためて起業家兼エンジェルを中心に、多くのスタートアップ業界関係者とその内容の是非について話をすることになり、起業家の本業とエンジェル投資のあり方についてもさまざま意見を聞くことができた。元記事で説明しきれなかった話ともあわせて、ここで整理して紹介したい。

やはり「本業ありき」ではないか

特定の企業を指しての話ではないという前提で、あらためて言うと、一度イグジットした起業家が(代表を続ける、M&Aであればロックアップが外れるまで事業を担当するという意味で)責任を持つ限りは、まず本業に注力することが重要だと思っている。M&AであろうがIPOであろうがKPIや業績を伸ばさないといけないし、IPOしたなら株価の維持・向上を目指さないといけない。

もちろん例外的な話を挙げればキリはないだろう。例えばM&Aの場合、売却先と求めているゴールが——内的要因であれ、自分たちでコントロールできないような外的要因であれ——ズレてしまうというケースもあると聞く。そういった話はあっても、基本的には本業ありきだ。買収先も、市場の投資家も、スタートアップの現状だけでなく未来を期待して彼らを買うのが市場の原理ではないだろうか。

本業で最終的な結果を出してから投資をしないと…なんて厳密なことを言うつもりはない。でも本業が厳しい状況で起業家がエンジェル投資に注力しているなんて話を聞けば、買い手がどう見るか、どう考えるかを意識する必要があるのは当然ではないか、ということだ(あとは、取締役会などを通じた社内との合意形成なんかも大事かもしれない)。

成功者がリスクマネーを出す意味は大きい

その話とは別に、成功者が挑戦者に対してリスクマネーや知恵を提供することは本当に価値があると思っている。いくらVCや投資を受けた事業会社の担当者が相談に乗ったところで、起業家同士でないと共有できない悩みやトラブルだってある。エンジェル投資をする側の起業家は「投資することが自分の知見になる」と語っていた。投資する側にとっても情報収集や思考の整理、業界のリサーチなど、自身の学びになるということは大きい。

また成功者、すなわちイグジットした起業家というのは、自分たちがリスクマネーを得て成功しているわけだ。ある起業家は「そんな(リスクマネーを得て成功した)人間が自分の興味がある分野にリスクマネーを提供しないでどうするのか」と語った。玉石混交のエンジェル投資は、リターンを求めると決して効率がいい投資とは言えない。だけれども成功者は、若きスタートアップのチャレンジに興味があるから、エコシステムを回そうとするから、率先してリスクマネーを出すのだという。「もちろん本業もあるが、投資にはタイミングがある。エコシステムのことを考えれば、投資によってノウハウが回るだけでも価値になる」(ある起業家)

余談めいた話になるのだが、本業の状況に関わらずスタートアップに出資するべきという話をする中で、「キャバクラや旅行で100万円払うなら、若いスタートアップに100万円出資した方が、世の中はよくなる」と語る起業家がいた。その例え話に笑ってしまったが、内容としてはごもっともな話だ。本業ありきとは書いたが、その話とは別で、豪遊するくらいならば、是非とも若い起業家の成長を応援してほしい。ただ勘違いしないで欲しいのだけれど、別に起業家に極度の禁欲を求めている訳でもない。

シリコンバレーのスタートアップを支えるエンジェル

それこそシリコンバレーのスタートアップなら、同じようなステージのスタートアップや界隈の「ちょっとしたお金持ち」が出資することだって日本よりもはるかに多いと指摘する起業家がいた。日本のエンジェルは100〜200人、対してシリコンバレーのエンジェルは20万人とも言われている。彼らを源泉としたリスクマネー、そしてその知恵の積み重ねは、シリコンバレーのスタートアップの土台を支える1つの要素になっている。

シリコンバレーつながりで話をすれば、PayPalの成功後にTesla MotorsやSpaceXを立ち上げ、さらに投資を行うElon Musk氏、TwitterとSquareの代表を兼ねたこともあり、また投資家としても活躍するJack Dorsey氏なんていうずば抜けた存在がある。イグジット経験があるが今は本業のグロース中。そんな希代の起業家も、本業を複数持ちつつ、シリコンバレーのスタートアップエコシステムを回す存在になっている。こういった背景を踏まえれば、本業の結果というのはあくまでも原則論で、リスクマネーが流れること自体が重要だという考え方もできるだろう。

スタートアップが「内輪ごと」で終わらないために

起業家によるエンジェル投資について、数人の関係者から「(投資の事実を公開せず、)黙ってやるのが一番いい」というコメントも得た。買収先や株主の目線を意識すれば、僕はそれに堂々と賛成だとは言えない。だが、本業の苦しさで対外的に指摘を受けるくらいなら、黙ってこっそりエンジェル投資をしたほうがいいという意見には反論しにくい。

ちなみに元記事で名前を挙げた起業家兼エンジェルは、あくまで個人投資をしていることを公言している人物というだけだ。各社の本業の状況をひとくくりにして是非を問うような意図はない。名前こそ出していないが、彼らよりも積極的に投資を行っている起業家は数多くいる。

そんなことを言いながら、なぜ「本業ありき、市場の目線を意識するべき」と書いたのか。それは、この数年で成熟してきたスタートアップのエコシステムが、「ムラ」とでも呼ぶような、内輪ごとになりがちなことに、危機感とまで言わないが不安を持っているからだ。

上場企業を取材対象にする全国紙やビジネス誌の記者や証券会社をはじめとした金融業界関係者、そのほか「市場」に近い人たちと話したとき、スタートアップ界隈の「未成熟さ」についてツッコミが入ることは少なくない。元記事にもあるが、例えばIPOまわりの話で言うと、去年一昨年で上場直後の下方修正が何度あったのか? 上場承認後の取り消しがなぜ続いたのか? となる。

日本でスタートアップが時価総額数千億円、数兆円規模の会社を作るとなれば、株式市場を無視することなんてできないはずだ。なのに彼らのロジックにスタートアップの状況を当てはめると、たとえスタートアップコミュニティで評価されている会社ですら、ツッコミに反論ができないことがある。

本当に世界を変える挑戦をしている起業家がそんなことで批判されるのは、僕はもうなんというか、ものすごく悔しい。僕がスタートアップ(当時はそんな言葉はなかったけど)に初めて関わったのはちょうど10年前。10年前の1月といえばライブドアショックが起こったタイミングだ。そこからやっとここまでスタートアップのエコシステムもコミュニティもできてきたのだ。だからこそ、スタートアップ関係者には市場や世の中と、きっちり対話できるようになって欲しいと思っている。

成長が、結果がすべてを癒やす

こんな話をずっと続けていたのだけれど、最後にある起業家が語った言葉を紹介したい。たまたまなのかこの話こそが起業家の本質だからか、このあと数人の業界関係者から同じようなメッセージをもらうことになった。

「GoogleがYouTubeを買収したときも、FacebookがInstagramを買収したときも非難ごうごうだった。どこか一点(のタイミング)で切って(本業の是非について)判断をするのも難しい。ならば結局は、結果を出すしかない」

成長が、結果が、スタートアップのすべてを癒やすのだという。事業を続けていれば時には苦しい時期だってある。いや、苦しい時期ばかりかもしれない。起業家についてまわるのは、つまるところ結果に対する責任だ。苦しい時期があっても、最後にどうなったか、その結果がすべてなのだという。それならば苦しい局面において外から何を言われようが、結果に突き進むしかない。

ではそんな起業家を追いかける僕らはどうするべきか? 挑戦し続ける彼らについて、苦しいときも、結果を出したときも、そしてその先のさらなる挑戦についても、ずっと取材し、紹介していくだけだ。これからも起業家と対話し、その成長を公平な目線で追いかけて行きたい。

元「246(ニーヨンロック)」担当者が立ち上げたINU MAGAZINEはペットのライフスタイル提案メディア

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「ペットをテーマにしたメディアは数多くあるが、その多くは飼い方、しつけ、医療といったハウツーか、『かわいい動物動画』のようなもの。それらはいずれも必要なのもだと思うが、我々は嗜好品、ファッションやペットグッズ、ライフスタイルなどの情報をファッション誌感覚で見てもらいたい」——1月12日にペットメディア「INU MAGAZINE」を正式ローンチしたアルファペットコーポレーション代表取締役の味上友宏氏はこう語る。

味上氏が語るように、INU MAGAZINEはペットの「ライフスタイル提案メディア」を目指したメディアだ。国内外のドッグファッションやグッズ、インテリアなどの紹介のほか、ペット向けアイテムの使用レポート、ブランドや愛犬家インタビューなどを掲載していく予定だという。またキュレーションメディアが1つできただけか……とも思ったのだが、「オリジナルコンテンツは重視していく」(味上氏)のだそうで、ファッションフォトグラファーやスタイリストを起用した写真コンテンツ、自社にチーム(取締役の髙橋遼氏はVRや動画などを取り扱うクリエーターでもある)を抱えての動画コンテンツなども提供していくという。

日本では現在、860万世帯・1080万頭の犬が飼育されており、さらに専用フードの発達や室内飼育の一般化、動物医療の充実を受け、犬の寿命は大きく伸びているのだという。そうなると、「愛犬とのより上質な暮らしを求める愛犬家」(同社リリースより)も数多く生まれてくる。それらに商品やブランドの情報を整理して伝えるのがINU MAGAZINEの使命だという。

今後はECと広告での収益化を進める。2月にもメディアと連携するECサイトをローンチする予定だ。また自社でもオリジナルブランドのペットグッズを開発し、ECサイトで販売することも検討しているという。さらに5月をめどに、オリジナル動画を利用した新しい形式のECも始めるとしている。

アルファペットコーポレーションは2015年9月の設立。代表の味上氏は2002年、いくつかのネットベンチャーを経てサイバーエージェントに入社。その後マーケティングエンジンの立上げに携わった後、スマホアプリ等の開発会社へ移籍し、通ブルーへ出向。同社にて、スマートロック「246(ニーヨンロック)」の事業責任者を務めた。その後、すでにINU MAGAZINEの原型となるペット向けメディアを運営していた高橋氏と出会って現在に至る。同社は現在、個人投資家複数人からシードマネーを調達している。金額は非公開だが、数千万円前半だという。

左からアルファペットコーポレーション取締役の髙橋遼氏、代表取締役の味上友宏氏。2人とも犬を飼っている

左からアルファペットコーポレーション取締役の髙橋遼氏、代表取締役の味上友宏氏。もちろん2人とも犬の飼い主だ