クロスボーダーeコマースの税務コンプラプラットフォームTaxdooがシリーズAで21.7億円調達

クロスボーダーのeコマース企業を対象に「金融コンプライアンスのために自動化されたプラットフォーム」と呼ばれるものを構築するスタートアップTaxdoo(タックスドゥー)が2100万ドル(約21億7000万円)の新規資金を調達した。

シリーズAラウンドをリードしたのは、ベンチャーキャピタルファンドのAccelで、Visionaries Club、20VC、それに既存投資家からHTGFが参加した。資金は、国際的な展開を含むTaxdooの成長や、増える雇用、研究開発、販売、顧客サポートに投資する。AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏がTaxdooの取締役会に加った。

Harry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏の20VCが含まれていることは注目に値する。ポッドキャスターからVCに転向した同氏は当初、同氏のマイクロファンドがさまざまなステージの米国のスタートアップをターゲットにしているため、欧州のVCであるStrideのパートナーとしての同氏の役割とは競合していないと述べていた。Taxdooはドイツのハンブルクを拠点としている。「20VCは基本的に、米国に対して主に投資しますが、英国とパリ以外の欧州のどこでもStrideが投資しない場所なら投資できます」とステビングス氏はWhatsAppのメッセージで明らかにした。

創業は2016年5月。3人の創業者であるChristian Koenigsheim(クリスチャン・ケーニヒスハイム)氏、Matthias Allmendinger(マシアス・アルメンディンガー)氏、Roger Gothmann(ロジャー・ゴスマン)氏がハンブルク大学で財務の博士号を取得した後だ。Taxdooは自動化により、Amazon(アマゾン)、eBay、Shopifyなどのさまざまなマーケットプレイスやプラットフォームで販売活動を行うクロスボーダーのeコマース企業が直面する税金とコンプライアンスの負担に対応したいと考えている。企業は、複雑さを増す付加価値税、会計、その他のコンプライアンス上の要請に直面しているが、データは複数のオンラインシステムにまたがってサイロ化されたままだ。

Taxdooはそのデータを1つの場所にまとめ、独自の技術によりトランザクションレベルのデータの取り込み、税金計算、欧州各国での申告を自動化する。顧客はプラットフォームを介して税理士と協力し、イントラスタット申告(物流に関する統計申告)を含むその他のコンプライアンスの負担を軽減することもできる。

「マーケティングと物流の観点から、欧州で国境を越えて製品を販売することがますます容易になっていますが、結果として生じる会計や付加価値税などのコンプライアンスの義務は販売業者にとって悪夢です」とTaxdooのクリスチャン・ケーニヒスハイム氏は筆者に語った。

「スプレッドシートを使用してこうした問題に手作業で取り組めばトラブルの元になります。この問題を解決するため、社内の専門知識を使って、データの収集からさまざまな国での付加価値税申告書の提出や販売業者の会計システムへの取引の統合まで、プロセス全体を自動化しました」。

ケーニヒスハイム氏によると、典型的なTaxdooの顧客はさまざまな市場や自社店舗で製品を販売しており、年間売上高は約500万~1000万ユーロ(約6億3000万~12億6000万円)だ。「私たちの最大の顧客は、年間売上高が1億5000万ユーロ(約190億円)以上のグローバルな消費者ブランドです」と同氏はいう。

例としては、air upやYFoodなどのD2Cブランド、eコマース企業のOmniDealやsellvinなどがある。「とりわけ私たちは、税務専門家、ERPシステム会社、eコマースエージェンシーと提携して、クライアントのこうした複雑な問題の処理を支援しています」とケーニヒスハイム氏は付け加えた。

「私たちの秘訣は、ワークフロー全体をエンドツーエンドで自動化することです。これは、自動化されたコネクターを使用して、マーケットプレイス、ショップ、ERPシステムなどのさまざまなチャネルからのデータを集約することから始まります。私たちのシステムが、適用されるすべての規制の下でデータを分析し、EU全体で必要な申告書を作成します。そして、私たちが作成した便利なソフトウェアソリューションにより、税務パートナーの国際ネットワークが申告書を提出します」。

Taxdooのデータは、販売業者の会計システムにエクスポートすることもできるため、販売業者は地域の税理士と容易に協働できる。

対象となる市場は急速に成長している。パンデミックによるデジタル化の加速とeコマースの成長が一因だ。Taxdooは、西ヨーロッパとスカンジナビアのeコマース取引全体に占めるクロスボーダー取引は現在約25%であり、さらに増加していることを示すデータを引用している。

AccelのHarry Nelis(ハリー・ネリス)氏は声明でこう述べている。「eコマースは活況を呈しており、あらゆる規模の企業が自社の製品とサービスを国境を越えて販売しようとしているため、統合された金融および税務コンプライアンスツールが早急に必要とされています。Taxdooの創業者は、税務、財務、ソフトウェアの交差点で独自の経験を結集しています。Taxdooをカテゴリーを定義する会社に育てるために彼らと協力できることをうれしく思います」。

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(翻訳:Mizoguchi

ライブストリーミングプラットフォームのBoxCastが約20.7億円を調達

オハイオ州クリーブランドに拠点を置き、手軽にイベントのライブストリーミングを配信できるようにするBoxCastが、シリーズAで2000万ドル(約20億7000万円)を調達した。

共同創業者でCEOのGordon Daily(ゴードン・デイリー)氏は、同社を起業した2013年当時は「ストリーミングはみんなから理解されているようなものではなく」、ライブストリーミング配信をするにはプロの助けが必要だったと言う。BoxCastは誰もが配信できるようにすることを目指している。

BoxCastは数種類のビデオエンコーダーデバイスを開発したが、「小さい箱」はBoxCastプラットフォームのごく一部だとデイリー氏は言う。このプラットフォームは1080pのブロードキャスティングから、Facebook LiveやYouTube、自分のサイトへのストリーミング、さらに解析など、ライブストリーミングのニーズをすべてカバーするように設計されている。自動のスコアボード表示やイベントチケット発行などのアドオンもある。

「基本」ストリーミングプランの価格は1カ月99ドル(約1万300円)で、BoxCastエンコーダーを使う場合はプラス399ドル(約4万1200円)だ(iOSデバイスからストリーミングすることもできる)。

2020年が同社の「転換点」になったのは当然だろう。デイリー氏によれば、スポーツから宗教関連、スリランカ観光局が提供するバーチャルサファリツアー(Daily News記事)まで、年間数百万ものあらゆるイベントがBoxCastでライブストリーミング配信されているという。

BoxCastのダッシュボード

デイリー氏はこう説明する。「実際に会うことができなくなったら利用が増えることはわかっていました。しかしこれほど増えるとは思っていませんでした。新規のお客様も既存のお客様も利用し、ピーク時には(パンデミック前と比べて)利用が10倍に増えました」。

2021年には人が集まるイベントを実施しやすくなることが望まれるが、そうなってもライブストリーミングは参加できない聴衆にリーチし、新しいタイプのプログラムとして企業や組織のプロモーションに役立つ、価値のあるツールであり続けるだろうとデイリー氏は言う。

COOのSam Brenner(サム・ブレナー)氏は、BoxCastのパンデミック前の従業員は40人に満たなかったが現在では56人に増え、1年後には2倍ほどになる予定だと補足した。

シリーズAを主導したのはUpdata Partnersで、オーディオ機器メーカーのShureが参加した。

UpdataのCarter Griffin(カーター・グリフィン)氏は発表の中で次のように述べた。「ライブストリーミングビデオ市場はこの10年間で大幅に成長し、ここ数カ月では新型コロナウイルス(COVID-19)によってさらに利用が加速しました。BoxCastは手軽にライブストリーミングができるユニークなエンド・ツー・エンドのプラットフォームを提供しています。我々はゴードンやチームとの連携をうれしく思い、ライブイベントを誰もが利用できるようにするという彼らのビジョンに貢献することを楽しみにしています」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

大手銀行出身者のデータプライバシー専門スタートアップeXateが3.2億円調達

データのアクセスや共有は大きな企業ほど複雑な問題で、しかもそのセキュリティとコンプライアンスが多くの場合難題だ。ロンドンのデータソフトウェア企業eXateはこの問題に取り組んでおり、このほどOutward VCがリードするシードラウンドで230万ポンド(約3億2000万円)を調達した。これにはING VenturesとTriple Point Venturesが参加した。

eXateは、データプライバシー問題のそれぞれ特定の側面に特化しているHazyやPrivitar、そしてVery Good Securityなどと競合している。eXateによると、同社はこれらとは対照的に、複数のタイプのプライバシー問題を1つのソリューションにまとめて、集中管理的な統轄と制御を提供している。

eXateを創業したのはPeter Lancos(ピーター・ランコス)氏とSonal Rattan(ソナル・ラタン)氏で、どちらも大銀行HSBCでデジタル事業を担当していた。英国の伝統的な銀行であるINGも同社のクライアントで、新しい投資家でもある。

「大量のデータを保存し処理する企業は、データの共有に関して多くの難問に直面している。私たちの見解では、考え方や方針が統一されていないことが最大の障害です。個々の部門や事業所にしか通用しないソリューションを複数使用しているのでコストが高くつき、また国によって異なる複雑なポリシーを監視することも重なって、データ関連プロジェクトの開発所要時間と予算が高騰しています」とCEOのランコス氏は声明で述べている。

今回の資金でeXateは、チームを大きくしてDataSecOps(データセキュリティのオペレーション部門)の需要に大規模に対応できるようになる。またプラットフォームの開発を加速して、新たな国や業種にも進出できる。

Outward VCの投資家Andi Kazeroonian(アンディ・カゼロニアン)氏は今回の投資について「データを利用して顧客や投資家に価値を提供したいと願う企業にとって、機密データの確実な保護はミッションクリティカルなチャレンジだ。eXateのユニークなプラットフォームは、企業にデータのプライバシーを確保し保護するために必要な、最初からそのために設計されているツールを提供する」とコメントしている。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:eXate資金調達イギリス

画像クレジット:eXate

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Turing、エンジニアをリモートで調達・管理するAIベースのプラットフォームに3200万ドルを確保

リモートワークが今日のビジネスの重要な側面としての地位を確立し続けている中、企業向けにエンジニアのカテゴリーに特化してリモートスタッフの調達とオンボーディングを支援するプラットフォームを構築したスタートアップが、その需要に応えるため、さらなる資金調達を行っている。

遠隔地にいる有望なエンジニアを評価して企業に代わってマネジメントを行う、AIベースのプラットフォームを手がけるTurin(チューリング)が、WestBridge Capital(ウエストブリッジキャピタル)主導のシリーズBラウンドで3200万ドル(約33億円)を調達した。同社の計画は、対応する世界と同様に野心的だ。AIプラットフォームによって企業が成長のためにIT関連の人材を調達するための、未来の方法を定義するというものだ。

チューリング共同創設者兼CEOのJonathan Siddharth(ジョナサン・シダース)氏は、主要投資家について、先日のインタビューで「彼らはCognizant(コグニザント)やGlobalLogic(グローバルロジック)のようなグローバルITサービスへの投資に豊富な経験を有しています。彼らにとって、チューリングはそのモデルの反復だと私たちは考えています。ソフトウェアがITサービス業界を席巻すると、Accenture(アクセンチュア)はどうなるでしょうか?」。

同社のデータベースには現在、約18万人に上るエンジニアが登録されており、React、Node、Python、Agular、Swift、Android、Java、Rails、Golang、PHP、Vue、DevOps、機械学習、データエンジニアリングなどを含む約100種類のエンジニアリングスキルに対応できる。

ウエストブリッジに加えて、今回のラウンドにはFoundation Capital(ファウンデーション・キャピタル)、Altair Capital(アルテイア・キャピタル)、Mindset Ventures(マインドセット・ベンチャーズ)、Frontier Ventures(フロンティア・ベンチャーズ)、Gaingels(ゲインジェルズ)などの投資家が名を連ねている。また、著名なエンジェル投資家が数多く参加しており、創設者自身が蓄積してきたネットワークが顕著に示されている。その中には、名前を明らかにしていないが、Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Twitter(ツイッター)、Microsoft(マイクロソフト)、Snap(スナップ)などの幹部を始め、フェイスブック初のCTOであり現在はQuora(クオラ)のCEOを務めるAdam D’Angelo(アダム・ディアンジェロ)氏、Gokul Rajaram(ゴークル・ラジャラム)氏、Cyan Banister(サイアン・バニスター)氏、Scott Banister(スコット・バニスター)氏、Upwork(アップワーク)の創設者Beerud Sheth(ビーラッド・シェス)氏も含まれている(本記事の下に全リストを提供する)。

チューリングは評価額を公表していないが、ファウンデーション主導のシードラウンドで1400万ドル(約15億円)を調達したのが8月に過ぎないことがその勢いを示している。シダース氏によると、同社はその評価中に十分な成長を遂げており、評価額と関心の高さから、シリーズAを完全にスキップしてシリーズBに進んだという。

同社のプラットフォームに登録している開発者は、8月時の15万人から18万人とさらに数を増やし、その拠点は1万もの都市に広がっている。そのうち約5万人がチューリングのプラットフォーム上での自動審査を通過しており、今後はこうした人材を活用する企業の数をさらに増やすことに取り組む。

シダース氏はこの状況を「需要に束縛されている」と表現した。同時に、同社の収益は増加を続けており、顧客ベースも拡大している。収益は10月の950万ドル(約9億9000万円)から11月には1200万ドル(約12億5000万円)へと急増し、14か月前に一般公開されて以来17倍に達した。現在の顧客には、VillageMD(ビレッジMD)、Plume(プルーム)、Lambda School(ラムダスクール)、Ohi Tech(オーハイテック)、Proxy(プロキシ)、Carta Healthcare(カータヘルスケア)などがいる。

リモートワーク = 即時の機会

新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、多くの人がオフィスに出社することができなくなっている今日の状況の中で、リモートワークについて語られる機会も増えている。しかし実際には、もう何十年も前から、別の形でそのワークスタイルは存在してきた。

アクセンチュアやその他のシステムインテグレーターなど、サードパーティの支援によるオフショアリングとアウトソーシングの2つは、雇用、規模の拡大、場合によっては労働力そのものを縮小するために必要な運営コストを負担するのではなく、任意の機能を実行し、特定の分野を構築するこれらのサードパーティに一定の金額を支払うことによって企業の事業規模の拡大と運営を推進する方法である。

チューリングは実質的に両方のコンセプトを採用している。エンジニアに特化した人材チームの調達を代行し、チームを運用する新しい方法を創出した。その一方で、事業立ち上げの昨年来、この機会を活用して、以前はオフィスに人材を派遣することを強く希望していたであろうエンジニアリングマネージャーなどに対して、リモートで働いてもオフィスにいる場合と同様の生産性を維持できるという意識の変換を促している。

シダース氏と、共同創設者でCTOを務めるVijay Krishnan(ヴィジェイ・クリシュナン)氏は、その背景を十分認識している。両氏ともインド出身で、最初は学生としてシリコンバレーに移り住み(スタンフォード大学の大学院を修了している)、その後働いている。当時は、彼らのような野心家にとって、大規模でグローバルなテクノロジー企業に就職したり、スタートアップ企業を立ち上げたりするためには、事実上シリコンバレーに移住することが唯一の選択肢だった。

シダース氏は今年初め、その状況について「才能は普遍的なものですが、機会はそうではありませんから」と筆者に語った。

過去に両氏が共同設立したスタートアップであるコンテンツ発見アプリRoverは、市場のギャップを浮き彫りにした。遠隔地に分散したエンジニアチームを中心にスタートアップを構築したことで、コストを抑えながら優秀な人材を確保することができた。その間、ライバルたちはシリコンバレーでチームを構築していた。「パロアルトや周辺地域の競合他社は多額の現金を投じていましたが、状況は悪化するばかりです。給与水準が急上昇しましたから」と同氏は言う。

TaboolaやOutbrainなどと競合するレコメンドプラットフォームRevcontentにRoverを売却した後、両氏は、かつて自分たちがスタートアップを築きあげた方法に基づいて、新たなスタートアップを築くことに目を向けた。

リモートで働く機会のさまざまな側面を活用して人材の調達と管理方法に取り組む企業は、数多く存在する。

そうした企業には、11月に3500万ドルを調達したRemote(リモート)、9月に3000万ドルを調達したDeel(ディール)、同様に9月に4000万ドルを調達したPapaya Global(パパイヤグローバル)、7月に4500万ドルを調達したLattice(ラティス)4月に1600万ドルを調達したFactorial(ファクトリアル)などが挙げられる。

チューリングの興味深いところは、新しい人材を見つけるためのさまざまな段階に対応し、サービスを提供しようとしているところだ。まず、AIプラットフォームを使って候補者の情報を集め、精査する。そして、機会と人材をマッチングし、そのエンジニアのオンボーディングを行う。彼らの仕事と生産性を安全な方法で管理する手助けをし、請負業者、あるいは将来的にはフルタイムのリモート従業員として、最も準拠した方法で労働者を管理する最善の方法についてガイダンスを提供する。

同社はフリーミアムではないが、プロジェクトにコミットする前に2週間の試用期間を与える。チューリングは、アクセンチュアとは異なり、ある程度の弾力性を顧客に約束するのではなく、自社製品に持たせようとしている。

今では素晴らしいアイデアに思えるが、印象的なことに、このアイデアが本格的に軌道に乗り始めたのは、今年の3~4月ごろにリモートワークが一般的になってからだ。

ウエストブリッジキャピタルのマネージングディレクター、Sumir Chadha(スミル・チャダ)氏は、インタビューで、「コロナ禍がもたらしたことには驚かされます。それはチューリングにとって大きな機運となりました」と語っている。さらに、テクノロジーチームを立ち上げようとしている人たちにとって、「もはやエンジニアを見つけて顧客にマッチングする労力は不要になりました。これらはすべてクラウドでできるのです」とも述べている。

アルテイア・キャピタルのマネージングパートナー、Igor Ryabenkii(イゴール・リャベンキー)氏は声明の中で「チューリングのビジネスモデルは非常に興味深く、今の時節においてはとりわけ重要です。世界中の優れた人材にアクセスでき、適切に管理されたコスト効率の高いサービスの提供は、多くの企業にとって魅力的です。創設チームのエネルギーは同社に急速な成長をもたらし、Bラウンド後、その成長はさらに加速するでしょう」と述べている。

追伸:前述したように、今回のラウンドの完全なる長い投資家リストを掲載する。コロナ禍の時代において、今後しばらくの間はこれが最大のリストの1つとなるだろう。上記で既に挙げた投資家に続く、深いため息が出るほど長い一覧は次のとおり。Founders Fund(ファウンダーズファンド)、Chapter One Ventures(チャプターワンベンチャーズ)のJeff Morris Jr.(ジェフ・モーリス・Jr.)氏、Plug and Play Tech Ventures(プラグアンドプレイテックベンチャー)のSaeed Amidi(サイード・アミディ氏)、UpHonest Capital(アップオネストキャピタル)のWei Guo(ウェイ・グオ)氏、Ellen Ma(エレン・マー)氏、Ideas & Capital(アイディアズアンドキャピタル)のXavier Ponce de León(ハビエル・ポンセ・デ・レオン)氏、500 Startups Vietnam(500スタートアップス・ベトナム)のBinh Tran(ビン・トラン)氏、Eddie Thai(エディー・タイ)氏、Canvas Ventures(キャンバスベンチャーズ)のGary Little(ゲイリー・リトル)氏、B Capital(Bキャピタル)のKaren Appleton Page(カレン・アップルトン・ペイジ)氏、Kabir Narang(カビール・ナラン)氏、Peak State Ventures(ピークステートベンチャーズ)のBryan Ciambella(ブライアン・キャンベラ)氏、Seva Zakharov(セーバ・ザハロフ)氏)、Stanford StartX Fund(スタンフォードスタートエックスファンド)、Amino Capital(アミノキャピタル)、Spike Ventures(スパイクベンチャーズ)、Visary Capital(ビサリーキャピタル)のFaizan Khan(フェイザン・カーン)氏、Brainstorm Ventures(ブレインストームベンチャーズ)のAriel Jaduszliwer(アリエル・ジャドゥスリワー)氏、Dmitry Chernyak(ディミトリ―・チェリニャック)氏、Lorenzo Thione(ロレンゾ・ティオーネ)氏、Shariq Rizvi(シャリク・リズビ)氏、Siqi Chen(スィーキー・チェン)氏、Yi Ding(イー・ディン)氏、Sunil Rajaraman(スニル・ラジャラマン)氏、Parakram Khandpur(パラクラム・カンドプール)氏、Kintan Brahmbhatt(キンタン・ブランバット)氏、Cameron Drummond(キャメロン・ドラモンド)氏、Kevin Moore(ケビン・ムーア)氏、Sundeep Ahuja(サンディープ・アフジャ)氏、Auren Hoffman(オーレン・ホフマン)氏、Greg Back(グレッグ・ベック)氏、Sean Foote(ショーン・フット)氏、Kelly Graziadei(ケリー・グラジアデイ)氏、Bobby Balachandran(ボビー・ブラキャンドラン)氏、Ajith Samuel(アジス・サムエル)氏、Aakash Dhuna(アカーシュ・ドゥーナ)氏、Adam Canady(アダム・キャンディ)氏、Steffen Nauman(ステフェン・ニューマン)氏、Sybille Nauman(シビル・ニューマン)氏、Eric Cohen(エリック・コーエン)氏、Vlad V(ブラッド・V)氏、Marat Kichikov(マラット・キチコフ)氏、Piyush Prahladka(ピユーシュ・プララドカ)氏、Manas Joglekar(モナス・ジョーグレイカー)氏、Vladimir Khristenko(ウラジミール・クリステンコ)氏、Tim/Melinda Thompson(ティム/メリンダ・トンプソン)氏、Alexandr Katalov(アレクサンダー・カタロフ)氏、Joseph/Lea Anne Ng(ジョセフ/リーアン・イング)氏、Jed Ng(ジェド・イング)氏、Eric Bunting(エリック・バンティング)氏、Rafael Carmona(ラファエル・カルモナ)氏、Jorge Carmona(ホルヘ・カルモナ)氏、Viacheslav Turpanov(ビチャスラフ・トゥルパノフ)氏、James Borow(ジェームス・ボロー)氏、Ray Carroll(レイ・キャロル)氏、Suzanne Fletcher(スザンヌ・フレッチャー)氏、Denis Beloglazov(デニス・ベログラゾフ)氏、Tigran Nazaretian(ティグラン・ナザレティアン)氏、Andrew Kamotskiy(アンドリュー・カモツキー)氏、Ilya Poz(イルヤ・ポズ)氏、Natalia Shkirtil(ナタリア・シキルティル)氏、Ludmila Khrapchenko(ルドミラ・クラプチェンコ)氏、Ustavshchikov Sergey(ウスタブシチコフ・セルゲイ)氏、Maxim Matcin(マキシム・マッチン)氏、Peggy Ferrell(ペギー・フェレル)氏。

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タグ:リモートワーク 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

口コミで大流行の顔交換ビデオアプリRefaceにa16zなどの有名投資会社が約6億円を出資

Reface(リフェイス)は、ボタンをタップするだけで、自分のセルフィーを不気味なほどリアルな有名人のビデオクリップに変えて有名人気分を味わえるエキサイティングな顔入れ替えビデオアプリだ。そのRefaceがシリコンバレーのベンチャー投資会社Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)の目に留まり、a16zは米国時間12月9日、このテック系エンタテイメントスタートアップのために550万ドル(約5億7200万円)を調達するシードラウンドをリードすると発表した。

リフェイスによると、今年1月の創設以来、RefaceアプリはiOS版Android版合わせて7000万ダウンロードを記録しているという。ちなみに、今年8月に同社の共同創業者7人のうちの1人にインタビューしたときは2000万ダウンロードだった。また、米国を含む約100か国中でトップ5に入るアプリとして評価され、Google Playの年間最優秀アプリ賞も獲得している。2020年は同社にとって忘れられない年になった。

このように口コミで急拡散するビデオクリップは、多方面で注目を集めている。リフェイスはシードラウンドのリードとしてa16zの支援を得ているだけでなく、ゲーム、ミュージック、映画・コンテンツ制作、テック業界の著名なエンジェル投資家の多くからも資金を引き出している。

ゲーム業界からは、Supercell(スーパーセル)のCEO Ilkka Paananen(イルッカ・パーナネン)氏、Unity Technologies(ユニティ・テクノロジー)の創業者David Helgason(デイビッド・ヘルガソン)氏がラウンドに参加している。ミュージック業界からは、Scooter Braun(スクーター・ブラウン)氏(TQ Ventures(TQベンチャーズ)のマネージングパートナーで、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)やAriana Grande(アリアナ・グランデ)などの一流ポップスターのマネージメントでも知られる)とAdam Leber(アダム・リーバー)氏(Britney Spears(ブリトニー・スピアーズ)とMiley Cyrus(マイリー・サイラス)のマネージャーでUber (ウーバー)にも投資している)が参加している。

映画・コンテンツ制作業界から参加したエンジェル投資家として、Matt Stone(マット・ストーン)氏、Trey Parker(トレイ・パーカー)氏、Peter Serafinowicz(ピーター・セラフィノヴィッツ)氏(以上3名はDeep Voodoo(ディープ・ブードゥー)経由)、K5 Global(クライアントにBruce Willis(ブルース・ウィルス)、Jesse Eisenberg(ジェシー・アイゼンバーグ)、Eric Stonestreet(エリック・ストーンストリート)がいる)の創業者であるBryan Baum(ブライアン・バウム)氏とMichael Kives(マイケル・カイブス)氏、およびモデル、女優で慈善家でもあるNatalia Vodianova(ナタリア・ヴォディアノヴァ)氏がいる。

また、テック業界からは、Josh Elman(ジョッシュ・エルマン)氏(Greylock (グレーロック)の前投資パートナーで、Medium、Operator、Musical.ly、Jellyの取締役)とSriram Krishnan(シュリラーム・クリシュナン)氏(投資家でマイクロソフト、フェイスブック、スナップ、ツイッターの前製品開発リーダー)といったのエンジェル投資家が参加している。

これはまさに、ノーコードやバイラルソーシャルビデオなどのホットなトレンドが広まるときに業界を超えて発生する、あの熱狂的な反応だ(少なくとも、ノーコードの定義をRefaceのプッシュボタンにまで拡大するなら、Refaceはプロ仕様コンテンツ制作用AIツールと言えるだろう。ノーコードという用語は通常、アプリ構築を単純化するB2Bツールを指すが、どちらにも共通しているのはプログラマ以外の人間でも簡単に使える高い利便性である)。

アーリーステージの支援者に上記のようなそうそうたる面々を揃えたリフェイスのウクライナ人創業者たちは、ディープテックが、諦めずに追究する価値のある分野であることを証明している。今年の夏に書いた記事で取り上げたように、リフェイスの創業者のうち3人は、ほぼ10年前に共同作業を始め、大学卒業後すぐに機械学習の才能に磨きをかけていった。彼らの不屈の精神は今、確実に実を結びつつある。

アンドリーセン・ホロウィッツのConnie Chan(コニー・チャン)氏は今回の出資を発表する声明の中で次のように述べている。「リフェイスは非常に洗練された機械学習テクノロジーを、気構えることなく使え、友人とシェアして楽しめるコンシューマーエクスペリエンスという形に作り変えた」。

「彼らのコア・テクノロジーは、コンシューマー、エンタテイメント、マーケティングなど、広範なエクスペリエンスに応用できる潜在力を備えており、Refaceアプリはその発端にすぎない。リフェイスのチームは、そうした未来を形成できる創造性と専門知識を兼ね備えている」と同氏は付け加えた。

「リフェイスは、映画、スポーツ、ミュージックビデオ、その他人々が熱狂するさまざまな分野のゲーミフィケーション(参加者の意欲をかき立てるためにゲームの手法を応用すること)を実現する次世代のパーソナライゼーションプラットフォームとなる潜在性を備えていると確信している。リフェイスが成長し、人々がお気に入りのコンテンツを通して、アーティストとつながったり、お互いにアクティブな個人的つながりを形成したりできるコミュニティへと発展することを期待している」。

リフェイスの共同創業者Denys Dmytrenko(デニス・ドミトレンコ)氏、Oles Petriv(オレス・ペトリブ)氏、Ivan Altsybieiev(イワン・アルツィービーイエブ)氏、Roman Mogylnyi(ローマン・モジリニ)氏、Yaroslav Boiko(ヤロスラブ・ボイコ)氏、Dima Shvets(ディマ・シュベッツ)氏、Kyrylo Syhyda(キリオ・シャイダ)氏(画像クレジット:Reface)

リフェイスは、今回のシードファンドで成長の波に乗れると考えている。Reface自体の偽物を検出できるツールを開発する取り組みも進んでいる。このツールの目的はRefaceアプリのテクノロジーが乱用されるリスクを軽減することだ。

今年始め、リフェイスはこの検出ツールは秋までには完成すると言っていたので、予定より少し時間がかかっているのは明らかだ。しかし、有名人ビデオの顔入れ替えで成長を実現したことで、優先順位が少し変わったことも理解できる。

秋に予定されていた、顔交換を使ったUGC(ユーザー生成コンテンツ)ビデオサイトの立ち上げもまだ完全には実現していない。

制作価値の高い有名人ビデオクリップを作成および共有することで現在発展しているコミュニティには、自分の顔と弟や祖父母の体と組み合わせることが自由にできるといったものとはまったく違った種類の「不気味なリアリティ」があるように思える(顔交換前の写真の品質管理を行わなければ広範なリスクが発生することは言うまでもない)。したがって、時間をかけてしっかりとした管理体制を築くことはビジネス的に大きな意味がある。また、コンテンツパートナーを満足させて、新しい有名人コンテンツでこのブームに拍車をかけることに注力することも重要だ。

リフェイスによると、UGCビデオサイトの立ち上げが遅れてはいるが、ユーザーは現時点でもGIFをダウンロードできるので、「部分的には立ち上がっていると言える」という。「今はまだ、コンテンツの乱用を防止するために、検出システム、モデレーション、ユーザーとのやり取りについてテストと改良を行っているベータ段階だ。ビデオについては、当社に直接コンテンツを提供してくれるたくさんのクリエイターたちがいる。このようにして、UGCの仕組みをすべてテストできる。第1四半期の終わりまでにはUGCオプションを公開する予定だ」と同社は述べている。

開発中の検出ツールについては、UGCと並行してリリースする予定だという。

「現在、検出のクオリティを最大限にするためモデルをトレーニングしている」最中で、2021年の4月には完成させたいとしている。

リフェイスにとっての最大の野心は、「パーソナライズされたコンテンツの最大プラットフォーム」を構築し、コンテンツ所有者および有名人とパートナー関係を築いて、人が思わず振り向くような「創造的なデジタルマーケティングソリューション」を提供して収益を上げることだ。

このパンデミックで面白いソーシャルコンテンツを使ってくれるユーザーがほぼ自宅監禁状態になっていることは、このミッションの実現を大いに後押ししている。同時に、Snapのようなソーシャルメディアのライバル企業も業績を伸ばしている。

今年は自宅でスマホをいじりながら退屈している子どもがたくさんいるため、ソーシャルメディア業界全体で成長の機会が生まれている(a16zは、リフェイスの他にも、オーディオベースのソーシャルネットワークClubhouse(クラブハウス)、子ども向けのソーシャルゲーミングプラットフォームRoblox (ロブロックス)など、多数のソーシャルメディア企業に出資している)。

2020年8月、リフェイスは口コミで急成長を遂げ、米国のAppStoreで1位に輝いた。一時的にではあるが、TikTokとInstagramを凌ぐ勢いだ。Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)Britney Spears(ブリトニー・スピアーズ)Joe Rogan(ジョー・ローガン)、Chris Brown(クリス・ブラウン) Miley Cyrus(マイリー・サイラス)、Dua Lipa(デュア・リパ)などの有名人が今年、自分たちの顔がRefaceで加工されたビデオをソーシャルメディアでシェアしていることも注目に値する。

今年、リフェイスはBieber(ビーバー)、Cyrus(サイラス)、John Legend(ジョン・レジェンド)などのエンタテイメント業界の有名人とパートナー契約を結んで新しいビデオの制作を促すと同時に、Amazon Prime(アマゾン・プライム)とも提携してプレミア作品『ボラット』も宣伝しており、数百万を超えるシェアおよびリフェイスを獲得している。

「アンドリーセン・ホロウィッツから出資を受けたことで、当社は現在の成長を加速させ、チームを新しい人材で強化し、テクノロジーを改良していくことができる。また、当社のAIテクノロジーの責任ある利用を保証するため、偽ビデオ検出ツールの開発も継続していく」と共同創業者のデニス・デミトレンコ氏は付け加えた。

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タグ:資金調達 a16z

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(翻訳:Dragonfly)

産業用ドローンメーカーのPercepto社が4500万ドルを調達、Boston Dynamics社のSpotと連携

消費者向けのドローンは何年もの間、高価で精密なおもちゃでしかないというイメージから脱することができずにいる。しかし、産業、軍事、エンタープライズの分野においては、無人航空機には確かな需要がある。こうした用途でドローンを製造しているスタートアップ企業が11月24日、大規模な資金調達と、ドローン産業の今後の展望を期待させるパートナーシップを発表した。

ドローンのハードウェアとソフトウェアの両方を手掛けるメーカーであるPercepto(パーセプト)社は、シリーズBの資金調達で4500万ドルを集めた。同社のドローンは主に無人の産業用地やその他の作業エリアの監視や解析に使われる。

さらに、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)社との提携も進めており、同社のイヌ型ロボットSpotと自社のSparrowドローンを一体化し、インフラストラクチャ評価の向上を目指す。Spotの敏捷性が向上すれば評価もさらに上がる可能性がある。

今回の資金調達は戦略的投資家であるKoch Disruptive Technologies(コーク・ディスラプティブ・テクノロジーズ)が主導している。エネルギー、鉱物、化学製品およびその関連分野を扱う大手企業、Koch Industries(コーク・インダストリーズ)社の投資部門だ。他にも、State of Mind Ventures(ステート・オブ・マインド・ベンチャーズ)、Atento Capital(アテント・キャピタル)、Summit Peak Investments(サミットピーク・インベストメンツ)、Delek-US(デレクUS)などの新しい投資家も参加している。また、前回から引き続きU.S. Venture Partners(USベンチャーパートナーズ)、Spider Capital(スパイダーキャピタル)、Arkin Holdings(アーキン・ホールディングス)も参加している(ボストン・ダイナミクス社とソフトバンクは今回の投資には加わっていない模様)。

イスラエルに本拠地を置くパーセプト社は、2014年の創業以来7250万ドルを調達している。企業価値評価は開示していないが、CEOで創業者のDor Abuhasira(ドア・アブハシーラ)氏は「素晴らしいラウンドだ」と説明している。

同氏はインタビューで「この分野のリーダーになれるほどの支援が得られた」と語っている。同社は約10か国に顧客を抱え、顧客リストにはENEL社、Florida Power and Light(フロリダ・パワー・アンド・ライト)社、Verizon(ベライゾン)社などが名を連ねている。

ドローンメーカーには、ハードウェアの製造に注力するメーカーもあれば、ドローンを正しく安全に動作させるソフトウェアに用意する必要がある解析、コンピュータビジョン、その他の重要なテクノロジーの開発に力を入れているメーカーもある。パーセプト社は、すべてを自前で用意しているという点で、私が「アップル・アプローチ」と呼ぶ(アブハシーラ氏もそれを認めている)、垂直統合を採用している。

そのアプローチにはAI、コンピュータビジョン、ナビゲーション、解析の専門家や産業用ハードウェアの分野で優秀な人材を集めてチームを編成していることも含まれるが、テクノロジー業界が軍事投資と密接に関係しているため、いずれもイスラエルが強みを持つ分野である(注:同氏によると、パーセプト社は自社でチップを製造せず、Nvidia社から調達している)。

「アップル・アプローチはドローン開発で成功する唯一の方法です」と同氏は言う。「それは、ドローン開発のすべてがまだ複雑すぎるためです。アンドロイド・スタイルのアプローチでは、全体の流れのどこかでほころびが生じてしまいます」。

同社の製品は「ボックスに入ったドローン」として提供される。これは購入後にセットアップがほとんど必要なく動かせることを意味しているが、同時に、その仕組みも表している。ボックスから飛び立ったドローンはデータを収集し、充電のためにボックスに戻り、リアルタイムで集めたデータや、その他のデータを転送する。

ドローンそのものはオンデマンドで動作する。問題を示唆する可能性のある変化を検出するための定期的な監視の他に、エンジニアから情報のリクエストによって飛行してデータを収集することもできる。同社の製品は、Autonomous Site Inspection and Monitoring(自律型現場検査・監視)の略である「AIM」という名前で販売されている。

先週、Amazon(アマゾン)がプライムエア計画を変更するというニュースが飛び込んできたが、これは開発者がたくさんいても、消費者向けのビジネスアプリケーションは、商業的に実現するまでの道のりが多難であることを示している。パーセプト社のような企業はそれとは対照的に、完全に無人の環境における飛行とデータ収集に注力している。

同社の製品は、自動化で得られる効率性(とコスト削減)に産業界がより大きな関心を寄せている状況にしっかりと適合している。それは同時に、「デジタルトランスフォーメーション」という昨今のバズフレーズにいかに企業が投資しているかを最もよく表すものとなっている。

コーク・ディスラプティブ・テクノロジーズ社長のChase Koch(チェイス・コーク)氏は声明の中で、「パーセプト社のAIMは、多数の産業の数十億ドル規模の問題に対応し、製造現場の管理方法を、IoT、つまりインダストリー4.0時代の方法に変革すると考えています」と述べている。さらに「パーセプト社の自律テクノロジーとデータ解析における実績は素晴らしいものであり、同社は未来の遠隔操作センターを実現するという独自の位置に立っていると考えています。パーセプト社のチームと提携し、それを実現することを楽しみにしています」と続けている。

ボストン・ダイナミクス社とのパートナーシップは次の2つの理由で注目に値する。1つは、自動化された無人の環境で様々なロボティクスハードウェアが連携する方法を示している点、もう1つは、ボストン・ダイナミクス社がいかに気を引き締めているかを示している点だ。

後者について、同社は何年にもわたってロボティクスの分野に新しい風を吹き込んできた。特に、でこぼこした地形をものともせず、取っ組み合いをしても倒れない、俊敏で頑丈なイヌ型ロボット(「Spot」や「Big Dog」など)が有名である。

2013年、Googleはこの技術に注目し、秘密の研究開発計画の一部として同社を買収した。しかし、そこからビジネスは生まれなかった。また、既にこの技術がパワフルすぎるとみなされていたタイミングで、Googleに複雑な見通しをもたらしたと思われる。その後、2017年にソフトバンクが同社および他のロボティクスアセットの買収を発表した。この買収でも実際にはまだ何ら成果が挙げられていないようであるが、今月になってまたHyundai(ヒュンダイ)による買収計画が報じられている。

サードパーティとのパートナーシップが次々と進んでいることは、ボストン・ダイナミクス社の大規模なR&D投資が事業による配当でやっと回収できる可能性があることを強く示している。

確かにパーセプト社のアプローチは垂直統合型であるが、長期的、また全般的には、産業用の物理的の用途に合わせた「つながる」スマートハードウェアを構築する様々な企業間で相互運用性やコラボレーションを高めるための議論が必要である。

これは、特定の産業が必要な機器や専門技術に集中して取り組めると同時に、業界最高クラスとみなされるハードウェアとソフトウェアでその取り組みを補完できることを意味する。アブハシーラ氏は、ボストン・ダイナミクス社とのパートナーシップに続き、今後多くの企業とパートナーシップを築くことを期待していると述べている。

これは興味深い最初の例になる。パートナーシップにより、Spotにパーセプト社のドローンが搭載され、高解像度の画像とサーマルビジョンを撮影し、「AIMから送られたデータにより、マシンや導体の高温部、プラントでの水漏れや蒸気漏れ、性能が低下している機器などの問題を検出する」ことが期待される。また、飛行中に撮影した映像以上に詳細な映像も得られる。さらに、将来的には、連携したデバイスから得られたデータを基に、Spot(またはおそらく第三の自律型ハードウェア)で修理やその他の支援を実行できるかもしれない。

ボストン・ダイナミクス社のビジネス開発担当VP、Michael Perry(マイケル・ペリー)氏は声明で、「パーセプト社のSparrowドローンとSpotの連携は、固有の遠隔検査ソリューションになります。このパートナーシップは、ロボットとのコラボレーションを利用する価値と、危険な作業や遠隔作業を伴う産業にロボティクスがもたらす作業員の安全性とコスト削減という素晴らしいメリットを示すものです」と述べている。

関連記事:ドローンが視覚的に障害物を避ける技術でFAA規制の壁を乗り越えるIris Automationが約13.5億円調達

カテゴリー:ドローン
タグ:資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

SupabaseがFirebaseのオープンソース代替製品のために6.2億円を調達

Supabase(スーパベース)が、米国時間12月15日Coatueが主導する600万ドル(約6億2000万円)の資金調達ラウンドを発表した。同ラウンドにはYC、Mozilla、約20人のエンジェル投資家グループも参加している。Supabaseとは、Google(グーグル)のFirebase(ファイアーベース)や、それに類似したプラットフォームのオープンソースの代替製品を提供するYCインキュベートのスタートアップだ。

現在Supabaseには、PostgreSQLデータベース認証ツールのサポートが含まれており、ストレージならびにサーバーレスソリューションが間もなく登場する。また、データベースを操作するための通常のツールや、データベースの変更を監視するツール、そしてデータベースを管理するためのウェブベースのUIが提供されている。開発チームは、グーグルのFirebaseと比較されることは避けられないものの、1対1で置き換えることを意図したものではないことを、最初に指摘している。そして、NoSQLデータベースを利用しているFirebaseとは異なり、SupabaseはPostgreSQLを利用している。

実際、このチームは既存のオープンソースプロジェクトに大きく依存しており、可能な限りそれらに貢献している。たとえばSupabaseのフルタイム従業員の1人は、データベース上にAPIを構築するためのPostgRESTツールをメンテナンスしている。

「私たちは、また別のシステムを構築しようとしているわけではありません」と語るのは、Supabaseの共同創業者でCEOのPaul Copplestone(ポール・コプルストーン)氏だ。「私たちは、信頼性が高く、拡張性のあるエンタープライズ向けオープンソース製品は、すでに存在していると考えています。私たちが提供しようとしている、ユーザビリティを向上させるためのコンポーネントが不足しているだけなのです。ということで、実際には現在のSupabaseは6つのツールの集合体です。すぐに7つになりますけれど。その中には私たち自身が開発したものもあります。市場に出ていったときに、もしスケーラブルで、本当に問題を解決できそうなものが見つからない場合には、自分たちでそれを構築してオープンソース化することになります。ですが、それ以外の場合には既存のツールを使います」。

画像クレジット:Supabase

オープンソースのツールを市場に出すための伝統的なルートは、ツールを作成してから次にホストされたバージョンを立ち上げることだ 。おそらく作業に対する収益を得るために追加機能も加えられるだろう。Supabaseはこれとは少し違ったルートを取り、すぐにホストバージョンを立ち上げた。

もし第三者が自分でサービスをホストしたい場合には、そのコードを利用可能だが、自分自身でPaaSを運用するのは明らかに大きな挑戦だ。だがそれこそが、チームが今回のアプローチを採用した理由でもある。Firebaseが便利なのは、数クリックですべての設定ができることだと彼は指摘した。Supabaseは、同じような体験を提供できるようにしたいと考えている。「それは自分でホスティングをしている場合には得られないものの1つです」と彼はいう。「私たちが提供するような、文字通りワンクリックで数分後にはすべての設定が完了するようなホスト型プラットフォームと同じような感動を、セルフホスティングでは得ることができません」。

さらに彼は、同社が開発している安定したツールの成長をサポートできるようにしたいと考えており、そのためにはデータベースサービスをベースにしたツールを商業化することが最も簡単な方法だとも述べている

他のY Combinatorスタートアップと同様に、Supabaseは8月に開催されたアクセラレーターのデモデーの後に資金調達ラウンドをクローズした。チームは当初SAFEラウンド(未訳記事)の実施を検討していたが、創業者に有利な条件を提供してくれる機関投資家のグループを見つけたので、この機関投資家ラウンドを実施することにしたのだ。

「Firebaseが提供している手厚い無料ティアに対抗するためには、かなりのコストがかかるでしょうね」とコプルストーン氏は述べた。「そしてそれはデータベースですからね。使っていないからといって、状態を無効のままにしたり、シャットダウンしたりすることはできません。今回の資金調達ラウンドは、長期に渡って余裕のある資金を提供してくれます。さらに重要なのは、私たちのプラットフォーム上で開発してくれる開発者にとっては、好きなだけ時間をかけて、後から自分たちでマネタイズを始めることができるということです」。

同社は今回の新たな資金を活用して、成長をサポートするために、今後も様々なツールへの投資や採用を行っていく予定だという。

Coatueのジェネラルパートナーであり、Facebook(フェイスブック)の元グローバルコミュニケーション担当副社長でもあるCaryn Marooney(カリン・マルーニー)氏は、「週末に開発してすぐにスケールアップできるSupabaseの価値提案は、すぐに心に響きました」と語っている。「このチームと一緒に仕事ができることを誇りに思い、彼らの開発者に対する鋭いフォーカスと、スピードと信頼性へのコミットメントに大いに期待しています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Supabase資金調達

画像クレジット:GettyImages

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(翻訳:sako)

ハリウッドに焦点を変えたドライクリーニングロボのPressoが約1.7億円の資金調達

ロボットドライクリーニングのスタートアップであるPressoは米国時間12月16日、Pathbreaker、AME Cloud Ventures、SOSV、1517 Fund、YETI Capitalからの出資を受け、160万ドル(約1億7000万円)のプレシードを完了したことを発表した。アトランタを拠点とするこのスタートアップは、衣類を約5分でドライクリーニングできるキオスクを開発している。

当初はビジネス旅行者に焦点を当て、ホテルの廊下に製品を設置する計画だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行により、多くの他社と同じくPressoは焦点を切り替えることになり、同社は映画やテレビの制作方面に力を入れている。Pressoによると、同社の最新世代の製品は1日に最大150着までの衣装をクリーニング / 消毒できるという。Netflix、HBO、Apple TV、FOX、Disney、Huluが、同社のテクノロジーについて打診してきた。

最新のラウンドではPressoの資金調達額は220万ドル(約2億3000万円)に達し、今後6カ月で人員をほぼ2倍にする一方で、製造規模を拡大するための資金に充てる予定だ。また、米国で旅行者が増加すれば、ホテルデリバリーのような初期モデルにも力を入れていくことになる。

関連記事:自動ドライクリーニングマシンを実証実験、米国中西部のホテルで

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Presso資金調達クリーニング

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

スパやサロンにクラウド管理ソリューションを提供するインドのZenotiが約166億円調達しユニコーンに

スパ、サロン業界向けのサービスを開発する創業10年のスタートアップZenoti(ゼノティ)がユニコーンの仲間入りを果たした。ワシントン州ベルビューに本拠地を構えるSaaSスタートアップである同社はシリーズDラウンドで1億6000万ドル(約166億円)を調達し、このラウンドで「10億ドル(約1035億円)を優に超える」額で評価された、と創業者でCEOのSudheer Koneru(スドヒア・コネル)氏は今週初めのTechCrunchとのインタビューで述べた。本ラウンドはAdvent Internationalがリードし、Tiger GlobalとSteadview Partnersが参加した。Zenotiの累計調達額は2億5100万ドル(約260億円)だ。

インド発のZenotiはヘルス・ウェルネス産業向けのクラウド管理ソリューションを構築した。同社のプラットフォームでは顧客が予約を入れた後にモバイルアプリから直接支払いできる。また、顧客が店舗に入るときにその旨をプロバイダーに知らせる。

Zenotiを利用するクライアントは、予約やデジタル決済の受けつけ、給与支払い、バックエンド在庫管理、顧客が渡すチップのスタッフの銀行口座への直接送金などができる。Zenotiは2010年に設立されたが、2012年にサービスを構築してから事業を開始した。

ZenotiのプラットフォームはERP(基幹系情報システム)とCRM(顧客管理)のツールを組み合わせている。これはヘルス・ウェルネス産業の実情を示している。この業界はZenotiが参入するまではそうしたサービスを十分に受けられておらず、サービスの提供が必要とされていた、とAccel(アクセル)のパートナーShekhar Kirani(シェカール・キラニ)氏はTechCrunchとのインタービューで説明した。

AccelはZenotiに最初に出資した投資家だった。さまざまな業界の人が使用する「水平的」サービスを構築したMicrosoft(マイクロソフト)やNotion(ノーション)といった企業のプロダクトと異なり、スパとサロンの業界は直面している問題を解決することに専念する「垂直的」プレイヤーを必要としていた、と同氏は説明した。Zenotiはそれを実行した。

早い段階でZenotiがインド国外の顧客を獲得できることはかなり明確になった。そして早期の賭けは正しいことが証明された。同社の売上高の60%は米国でのもので、その次に多いのが英国だ。Hand & StoneやGene Juarezなどを含む50カ国にまたがる1万2000超の事業所がZenotiのサービスを使っている。同社はハイエンドな事業所と協業している。

キラニ氏はZenotiの成功をインドにおけるSaaSの成長だと表した。世界第2位のインターネット市場であるインドはFreshworks、Zoho、MindTickle 、Chargebeeといったスタートアップを輩出したが、そうしたスタートアップの顧客の大半はインド国外だ。

パンデミックによって企業が事業の一部をデジタルに移行するようになり、Zenotiのサービスはここ数カ月でその有用性をこれまで以上に証明した。以前はデジタルサービスに対応していなかったスパやサロンのチェーンが次々とモバイルアプリを展開し、現金に頼らなくなった。

「サービス強化に役立てようと事業所はZenotiのテクノロジーを使っています。また同社が昨年達成した成長に感銘を受けています」とAdvent InternationalのマネジングディレクターEric Wei(エリック・ウェイ)氏は声明で述べた。

パンデミックにもかかわらずZenotiは2020年、これまでで最大となる100%の成長を達成し、顧客になりたがっている事業所は数多くある、とコネル氏は話した。同氏はこの勢いを来年も維持したいと考えている。またZenotiの従業員はスパ、サロン産業の労働者に25万ドル(約2600万円)を寄付している。

約550人を雇用するZenotiはエンドカスタマーから儲けているわけではなく、事業所にサブスク料金を課している。以前、マイクロソフトで働き、オフラインのスパ事業に投資していたコネル氏は、Zenotiが現在のところまだ黒字化を達成していない一方で、利ざやは改善し、売上高の成長は加速していると述べた。具体的な数字は明かさなかった。

Zenotiは新たに調達した資金をグルーミングなどの部門へのサービス拡大に使う予定だ。ここ数カ月で、同社はジムやフィットネスセンターなどへのサービス提供も開始した。また、M&A機会の模索にも前向きだとコネル氏は話した。そうした買収がテクノロジー・タックの拡大ではなく同社の顧客成長の原動力になることが理想だ、とも語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ZenotiSaaS資金調達

画像クレジット:Manny Carabel / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ドローンが視覚的に障害物を避ける技術でFAA規制の壁を乗り越えるIris Automationが約13.5億円調達

ドローンが日常の物流インフラの要になるのはいまや時間の問題だが、現時点からそこまで行く間には、まだ大きな障壁が残されている。特に規制の壁は大きい。Iris Automation(アリス・オートメーション)は、無人飛行の標準規格づくりに関連する規制上の難題を解決に導くコンピュータービジョン製品を開発している。そこには、さまざまなカメラに幅広く対応できる障害物を検知して回避する同社の技術が活かされている。このほどIris Automationは、シリーズB投資ラウンドで1300万ドル(約13億5000万円)を調達し、その資金を技術の改良と発展、そして規制当局との協力による効果の実証実験に役立てようとしている。

Iris AutomationのCEOであるJon Damush(ジョン・ダマシュ)氏と、Iris Automationに投資を行っているBessemer Venture Partners(ベサマー・ベンチャー・パートナーズ)副社長Tess Hatch(テス・ハッチ)氏に、今回のラウンドと同スタートアップの今後と目標について話を聞いた。2020年の初めにCEOを引き継いだダマシュ氏は、Boeing(ボーイング)勤務時代の経験、パイロットとしての個人的な体験、そして、商用UAV業界に爆発的成長のステージを整えた小型で安価、かなり入手しやすくなった電動モーター、バッテリー、強力なコンピューターモジュールの出現が航空業界に与えるインパクトに関して語ってくれた。

「航空宇宙の世界に50年間存在していた障壁を、私たちはいくつも打ち破ってきました。以前ではあり得なかったほど簡単に、航空機を作れるようにした製造ツールの真の民主化が始まったからです」とダマシュ氏はいう。「そうした状況から、また人をコクピットに乗せずに飛ばせるようになったことから、課題がいくつも生まれています。中でも、規制環境の問題です」。

米連邦航空局(FAA)も、世界中のほとんどの航空宇宙規制当局も、商用飛行に関する規制を基本的に2つの大きなくくりに分けているとダマシュ氏は説明する。1つは操縦、つまり飛行中に行う即時的な行為に関するもの。もう1つはパイロットに関するものだが、これを無人航空機に適用しようとすると、非常に厄介なことが起きる。

「最大の課題の1つは、91.113bと呼ばれる規制に関するものです。そこには、許された気象条件では、航空機に搭乗しているパイロットが他の航空機を目視し回避する全責任を負うという条文があります。これは3マイル離れろ、5マイル離れろ、1マイル離れろといった分離標準とは違います。パイロットは最後の砦であり、セイフティーネットなのです。安全な飛行のための危険緩和策がほぼすべて失敗したとき、他の誰かとぶつからないためにパイロットが乗っているということです」。

そこでIrisの出番だ。光学カメラをベースにした障害物回避システムで、パイロットが乗っていない航空機の最後の砦の役割を実質的に代行する。そしてこれが、現在の商用ドローン規制環境における最大の制限因子、つまり人間の目視を越えて航空機を飛行させる能力を実現する。障害物回避システムにより、オペレーターが常時目で観察していなくてもドローンを運用できることを意味する。一聴すると、この制約因子は長距離飛行に関わるものであるかに聞こえるかもしれないが、実際にはむしろボリュームの問題だとダマシュ氏は指摘する。常に人間の目視の範囲内でドローンを飛ばさなければならないという制約を取っ払えば、ドローン1機にオペレーター1人という体制から、何機ものドローンを1人のオペレーターが運用する体制に移行できる。そうして初めて、商用ドローン運送の規模の経済が実際に意味を持ってくる。

Irisは、2020年に総合パイロットプログラムの一環としてFAAに協力し、2つの異なる使用事例のデモンストレーションを行い、それを実現へ近づけた。また同社は、Casia(カシア)システムの2つめのバージョンを発表した。これは、非常に離れたところにあるオブジェクトの検知能力を持つ。ハッチ氏は、この2つが、追加投資でさらに出資を増やすBessemerの判断要因になったと指摘する。また、業界の需要や商用ドローン市場への信頼が、新型コロナウイルスに何らかの影響を受けたかを尋ねた。すると、それは特筆すべき重要因子であり、この業界の本質がそれによって変化し始めていると彼女は答えている。

「現在、最も大きな産業は農業と公安の2つです」とハッチ氏は私に話した。「公安は去年、上位に入っておらず、入っていたのは農業、建設、エネルギーでした。ドローン業界におて、公安は確実に重要な垂直市場になっています。誰かが心臓発作やアレルギー発作を起こしたときのことを想像してみてください。救急車が来るまでに平均で14分かかります。ドローンなら、数分でその人にAEDやエピペンを届けることができ、命を救えます。新型コロナの収束後も、この追い風が続くことを切に願っています」。

今回のシリーズB投資ラウンドには、Bee Partners(ビー・パートナーズ)、OCA Ventures(OCAベンチャーズ)、そして新規の戦略的パートナーとしてSony Innovation Fund(ソニー・イノベーション・ファンド)とVerizon Ventures(ベライゾン・ベンチャーズ)が参加している(自己開示情報。TechCrunchはVerizon Media Groupの子会社だが、その投資部門とは直接、間接いずれの関与も受けていない)。ダマシュ氏は、ソニーは大変に有望な戦略的価値をもたらしたと話す。なぜならソニーは、ドローン業界で利用されているイメージセンサーの膨大なスタックを開発しており、ドローンそのものも開発しているからだ。その一部として、Verizonも大規模なドローン運用の際に欠かせないネットワーク接続の分野で、重要なパートナーとしての可能性を提供している。

カテゴリー:ドローン
タグ:Iris AutomationFAA資金調達

画像クレジット:Iris Automation

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(翻訳:金井哲夫)

2020年に収入を9倍に伸ばした生産性ツールのClickUpがシリーズBの会社評価額が10億ドルのユニコーンに

生産性ツールのスタートアップ、ClickUpが最初のベンチャー資金調達からわずか6カ月後にシリーズBのラウンドを実施し、1億ドル(約103億5000万円)を調達(ClickUpリリース)した(第一報はBloombergが報じている)。この際の会社評価額は10億ドル(1035億5000万円)に達したという。

同社は過去数カ月で、ユーザー数を2倍の200万人にするなど驚異的な成長を遂げて新しいユニコーンの地位を確立している。プレスリリースによれば、同社は2020年に入ってから収入を9倍に伸ばしている。

今回の1億ドルのラウンドは、カナダの企業Georgianがリードし、6月に3500万ドル(約36億2000万円)のシリーズAをリードしたCraft Venturesも参加した。 高い評価額の生産性ソフトウェア分野における大規模なユーザー数増大を受けて投資意欲が極めて高くなっていることによる。これはパンデミックにより企業がリモートワークに前向きに取り組むようになった姿勢の変化も追い風としている。

ClickUpは今後も社員数とプロダクトのラインナップを拡張するためにさらに資本調達を行う予定だ。CEOのZeb Evans(ゼブ・エヴァンス)氏はTechCrunchに対して「我々は前回の資金調達時から規模を2倍にし、現在社員200人を擁しているが、向こう数カ月のうちにさらに2倍にしたいと考えている」と語った。

ClickUpの生産性ソフトの特長は表計算、プロジェクト管理、カレンダーなど多数のツールを単一のプラットフォームに統合し、ユーザーが新たにインストールし習熟する必要があるソフトの数を大きく削減できるところにある。 最近、同社のエンジニアはメールなどのツールをユーザーが独自のワークフローに統合できるよう開発を進めている。

エヴァンス氏は「単にいくつかのツールを1つのアプリにまとめるだけでなく、多数のツールに習熟するための時間とフラストレーションをなくし企業が求める本質的なソリューションを提供します。これによって業務の効率を大きくアップできます」と語った。

iOSアプリは2020年12月15日にアップデート版がリリースされたが(Android版は翌日予定)、同社は今後も長期的にアプリを毎週更新して新しいエコシステムを構築していくという。

ただしエヴァンス氏は今回調達した資金のバーンレートについては明らかにしなかった。「この(資金で)しばらく保つと思います。しかし正直にいうと、シリーズAのときも同じことをいったかもしれません(が、すぐにシリーズBが必要となった)」とエバンス氏は語っている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ClickUp資金調達生産性向上ツール

画像クレジット:ClikcUP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SaaS購入・管理支援スタートアップのCledaraが約3.5億円の追加資金を調達

企業の膨大なソフトウェア・サブスクリプションの実行可能性を高め、その管理を支援するSaaS購入・管理プラットフォームのCledara(クレドラ)は、340万ドル(約3億5000万円)の追加資金調達を行った。

このラウンドはNauta Capitalが主導し、既存の投資家であるAnthemisが参加。その背景には、このスタートアップが2020年に20倍も収益を成長させていることがある。Cledaraは具体的な数字を公開していないが、2020年8月からだけで7倍も伸びている。

Cledaraは、2018年7月にCristina Vila(クリスティーナ・ヴィラ)氏が設立した会社で、企業がSaaSの利用状況や支出を追跡・管理できるようにするためのソフトウェアを開発しており、その中には資金が十分に使われているかどうかを理解するのに役立つ分析も含まれる。ヴィラ氏は、ロンドンのフィンテックであるDopayで働いていたときにSaaSの管理問題を直接経験した。また、彼女の共同創業者でCOOを務めるBrad van Leeuwen(ブラッド・ヴァン・ルーウェン)氏は以前、バンキングプラットフォームを展開するRailsbankの重役だった。RailsbankもCledaraの顧客の1つだ。

Cledaraのもう1つの特徴は、従業員や外部のチームが適切なSaaSを自由に購入できるようにするための無制限の仮想デビットカードを発行していることだ。これには、管理者が事前にすべての購入を承認し、全員が何を購入しているかリアルタイムで更新される情報にアクセスできるオプションが含まれる。Cledaraの収益の一部は、このカードの利用による交換手数料と、有料サブスクリプションによるSaaSモデルによって得られている。

Cledaraを利用している顧客は全部で100社を超え、その中にはFlorence.co.uk、Unmind.com、Butternut Boxなどが含まれる。Cledaraの顧客は、ソフトウェアの使用量を最大30%削減できる一方で、SaaSの請求書との格闘や簿記、「一般データ保護規則や決められたフィンテックに対するアウトソーシング規制への準拠」など、手作業で管理すれば膨大な時間が掛かる作業を毎月「何時間も」節約できると、同社は主張している。

画像クレジット:Cledara

Cledaraの製品は英国、フランス、アイルランド、ドイツ、スペインなど欧州20カ国以上で販売されている。今回の投資はその製品の成長を加速させ、米国への進出計画を含むさらなる国際的な拡大のために活用すると、同社では述べている。

「成長を加速し続けるためは、チームの成長が不可欠ですが、先月はいくつかのボトルネックのために、顧客のオンボーディングを遅らせなければなりませんでした」とヴァン・ルーウェン氏はいう。「 来年半ばまでにサポート、サクセス、プロダクト、エンジニアリング、コンプライアンス、マーケティング、セールスなど、ビジネスのあらゆる部分でチームを4倍に成長させる予定です。今回のラウンドでは、そのための資金を調達することができました」。

その新たな従業員の半分以上は、バルセロナで雇用することになるだろう。Cledaraは4カ月前にスペインオフィスを開設し、英国のEU離脱以後に英国以外の国からも人材を確保できるようにしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Cledara資金調達SaaS

画像クレジット:Cledara

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達

リファレンスチェック特化型ビジネスSNS「Parame」(パラミー)を運営するParameは12月15日、第三者割当増資による数千万円規模の資金調達を発表した。引受先は、F Ventures、インキュベイトファンド、大島礼頌氏(インフラトップ 代表取締役)、岩崎翔太氏(終活ねっと 創業者)、児玉昇司氏(ラクサス・テクノロジーズ 代表取締役)、天野和哉氏(経営コンサルタント)、佐名木亮平氏(経営コンサルタント)など。

調達した資金は、さらなる事業拡大へ向け、セールス・マーケティング面に投資予定。

Parameは、企業がフリーランスや副業人材へ業務を発注する際に、前職の上司や顧客などその候補者をよく知る人物から面接だけでは知れない候補者の性格や業務中のエピソードを、オンラインで質問でき、人材ミスマッチリスクを低減できるリファレンスチェック(第三者からの推薦状取得)サービス。

岡野亮義 代表取締役は、Parameはこのリファラル情報を重点にしており、他社のビジネスSNSとはコンセプトが異なると指摘。同様の機能を他サービスが実装する可能性あるものの、Parameではリファラル情報を基に信用スコアのような仕組みを5~10年かけて作りたいという。最終的な目標のひとつは、人材募集や転職支援ではなく、リファラル情報に基づいた信用スコアを他サービスと結びつけることにあるとした。その具体例としては、資金借入枠の拡大などだ。

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達

同社では、個人向けサービス「Parame」、法人の採用担当者向けサービス「Parame Recruit」を展開。

オンラインリファレンスチェックの「Parame Recruit」はビジネスSNS「Parame」と連動しており、リファレンスチェック時に候補者が受け取った推薦状の一部は、候補者のParameアカウントへ蓄積される。

これにより、従来のリファレンスチェックでは1度限りの利用となっていた推薦状のデータが候補者のParameアカウントに蓄積され、候補者にとっての信用補完として再活用が可能という。

企業が業務発注案件の募集を掲載すると、Parameアカウントを持つユーザーがこれに応募。企業は応募した候補者に対してリファレンスチェックを実施でき、候補者をよく知る人物からの推薦状を事前に取得した上で発注判断が行える。

フリーランス・副業向けのオンラインリファレンスチェック「Parame」が数千万円規模の資金調達
企業は、Parame内の掲載案件から応募が来た候補者に限らず、他社媒体や自社サイトなどから応募が来たParameアカウントを持っていない候補者へのリファレンスチェックの実施も可能。

企業側で取得できる推薦状のサンプルイメージ

企業側で取得できる推薦状のサンプルイメージ

Parameアカウント内のチャットを通じて、推薦状取得後に企業から推薦状の記載者へ追加で質問も可能

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カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達(用語)Parameリファレンスチェック日本(国・地域)

スニーカー・アパレル特化「板寄せ」売買プラットフォームの「モノカブ」が4.5億円を調達

スニーカー・アパレル特化「板寄せ」売買プラットフォームの「モノカブ」が総額4.5億円を調達

スニーカー/アパレル特化の売買プラットフォーム「モノカブ」(Monokabu。iOS版)運営のモノカブは12月15日、第三者割当増資による総額4.5億円の資金調達を発表した。引受先はGunosy Capital、ユナイテッド、Heart Driven Fund、YJキャピタルおよびW ventures。

調達した資金は、特に売買プラットフォーム「モノカブ」の価値提供の中心である鑑定および配送やCSなどオペレーション強化に資金を投資。

また、今まではスニーカー/アパレル特化のバーティカルCtoCサービスとしてサービスを運営しているが、今後はさらに商材の幅を広げ、より多くの方が安心して利用でき、利便性が高いCtoCサービスを提供していくとしている。

スニーカー・アパレル特化「板寄せ」売買プラットフォームの「モノカブ」が総額4.5億円を調達

スニーカー・アパレルの板寄せアプリ「モノカブ」は、スニーカー・ハイエンドファッション特化型CtoCマーケットプレイス。入札や出品、購入や販売が行えるという「もの」を「株」式の売買方法を取り入れた個人間の売買プラットフォームを提供。

特徴は、2018年のサービスリリース以来、CtoC売買マーケットプレイスで問題になる「偽物の流入」を徹底排除すべく、取引ごとに専任スタッフによる鑑定を行っている点。また、購入者・販売者双方が「指値」で取引できる「板寄せ」という証券取引所の売買成立方法を取り入れることで、入札と出品それぞれのオファーが可能となり、透明性の高いスニーカー相場を実現している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)ファッション(用語)モノカブ日本(国・地域)

インドの農家に収穫した農産物の保管・販売サービスと資金を提供するAryaが約21.8億円調達

インドの農家が生産した農産物のうち、大規模な市場に届くのは約3分の1に過ぎない。それらの農産物を生産している人々は、ポストハーベスト(収穫後)サービスを活用することができるが、それ以外のすべての農家はその恩恵を受けられていない。

このポストハーベストサービスの欠落を埋めるため、農家、食品加工業者、取引業者、金融機関など、すべての利害関係者と協力して活動を続けているインドのノイダを拠点とするスタートアップが、新たな資金を確保した。

創業7年のAryaは米国時間12月15日、シリーズBの資金調達ラウンドで2100万ドル(約21億8000万円)を調達したと発表した。このラウンドは、新興市場のフィンテックに特化したベンチャー企業であるQuona Capital(クオナ・キャピタル)が主導し、従来から投資しているLGT Lightstone AspadaとOmnivoreも参加。一方、Aryaによれば、複数の名前が明かされていない貸金業者もこのスタートアップに追加のデットファイナンス(負債による資金調達)を提供しているという。

現在インドでは、ほぼすべてのポストハーベストの措置が、インド北部ラジャスタン州のコタや首都ニューデリーのアザドプル・マンディなどの主要な農業センターを中心に行われていると、Aryaの共同設立者であり最高経営責任者のPrasanna Rao(プラサナ・ラオ)氏は、TechCrunchによるインタビューで説明した。

この不均等な集中は、国内の何百万もの農家から、農産物を効率的に保管・販売するための合理的な選択肢や、キャッシュフローを維持するための資金調達の選択肢を奪っている、と同氏は述べている。

「私たちの信念は、現在十分なサービスを受けられていない市場の3分の2に対応すべきだということです。たとえばコーターのマンディ(市場)には、半径1km圏内に35の銀行支店があります。しかし、コーターから70~80km離れた場所に行くと、これが本当に減少します」と、以前は銀行で働いていたラオ氏はいう。

Aryaは前述の課題をすべて解決する。インドの20の州で1500以上の倉庫のネットワークを運営しており、そこでは総額10億ドル(約1040億円)以上の産物が保管されている。このネットワークにより、農家は自分たちの農場に近い場所に農産物を保管することができ、農産物の損失や大規模市場のような莫大な不動産コストを回避できる。融資面においては、Aryaは農家に3650万ドル(約38億円)以上の資金を提供しており、その協力銀行は9500万ドル(約99億円)以上を提供している。

「Aryaは、インドの農家という広大で十分なサービスを受けていない市場に対処しています。その半数は、これまでポストハーベストのための資金をほとんど得ることができませんでした」と、クオナ・キャピタルの共同設立者であるGanesh Rengaswamy(ガネーシュ・レンガスワミー)氏は声明の中で述べている。「小規模農家に金融を組み込んだフルサービスのデジタルプラットフォームと差別化された効率性を提供するAryaのユニークなアプローチは、インドの農業の未来を牽引するものと我々は確信しています」。

2020年初めにニューデリーが世界で最も厳しいロックダウンを実施(未訳記事)した際には、このスタートアップの提供するものが、新型コロナウイルス感染拡大の中、さらに有用であることが証明された。ロックダウンはサプライチェーンネットワークを破壊し、農産物の価格は20%以上も下落した。

この状況に対処するため、Aryaは独自のデジタルマーケットプレイス「a2zgodaam.com」を通じて、農家の青果物組織(FPO)とバイヤーを結びつけた。「即時流動性の必要から、これらの倉庫収入に対する借入れ需要が増加した。Aryaの信用ポートフォリオは前年比3倍に跳ね上がった」と、インドのAccelの共同創業者であるPrashanth Prakash(プラシャーント・プラカシュ)氏とOmnivoreの共同経営者であるMark Kahn(マーク・カーン)氏は先週の業界レポートで述べている(Seed To Scale記事)。

ラオ氏によると、Aryaはインド全土に倉庫ネットワークを拡大していくとともに、新たな資本を投入してそのフィンテックプラットフォームを「大々的に」拡大していく予定だという。さらにこのスタートアップは、未組織の倉庫を集約するa2zgodaam.comを活用し、金融機関や保険会社を独自に組み合わせ、農家が必要に応じて直接これらの倉庫を介して販売できるようにすることで、その成長を促進させる計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Aryaインド農業資金調達

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Momboxはママ・ファーストの厳選された出産後ケア製品キット

ベンチャー投資企業General CatalystのPeter Boyce(ピーター・ボイス)氏は、企業創設者を見極めるときに最も重視する点は、その人が解決しようとしている問題に個人的なつながりを持っているかどうかだと話していた。Kate Westervelt(ケイト・ウェスターベルト)氏は、そんな企業創設者の1人だ。

ウェスターベルト氏は、子どもではなく母親に強く特化して厳選した出産後ケア用製品のキットを提供するMombox(マムボックス)の創設者。同社は先日、WayfundとTBD Angels、さらにFacebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Uber、Drizlyといった団体に属する裕福な個人投資家が主導するエンジェルラウンドで50万ドル(約5200万円)をクローズした。

ウェスターベルト氏は、最初の子どもを出産した直後、特に新生児を抱っこした状態で、産後の体の回復のために欲しい製品を探し回るのが困難であることを実感し、Momboxのアイデアを思いついた。

画像クレジット:Mombox

標準的なMomboxには、オーガニックの夜用パッド、ペリボトル、会陰アイスパック、マタニティーショーツ、その他の心と体を癒すケア製品が入っている。Momboxには他にも、帝王切開ボックスやDeluxe Momboxがある。

現在のところ、Momboxは単品販売のキットだが(ウェスターベルト氏によれば、ほとんどが出産祝いとして売れているという)、同社はキットのサブスクリプション、コンテンツ、プラットフォームなどを含む製品を構築して、産後1年間に求められるサービスの提供者とママとをつなぐ計画を立てている。ウェスターベルト氏は、これを24 / 7ポケットコンシェルジュと呼んでいる。新生児の母親が、授乳コンサルタント、骨盤底療法士、夫婦療法士、その他、出産1年以内に必要とされる人たちとつながりを作り、いつでも相談ができるようにするものだ。

「産後の回復期間は6〜8週間とする神話が、男性が支配する医療と母体健康管理コミュニティによって作り上げられました」とウェスターベルト氏。「実際は、母親の体は思春期とよく似たマトレセンス(Psychology Today記事)と呼ばれる母親への移行期を経て、肉体とホルモンとアイデンティティが変化します。これには少なくとも12カ月かかります」。

さらに彼女は、出産後に医師の診療が1回あるだけで、後は母親が自力で乗り越えなければならないと話す。Momboxは、母になった最初の12カ月間を母親に寄り添うことを目指している。ゆくゆくは母乳か人工栄養か、自宅で育児ができるか、仕事場に行かなくてはならないかなど、個々の母親の状況に合わせてMomboxのエクスペリエンスをパーソナライズしたい考えだ。

「最大の課題は、どんなときも子どもが第一と語られてしまうことです」とウェスターベルト氏はいう。「母親には、自らの健康を犠牲にしてでも新生児のために苦難を耐え抜く覚悟があります。課題は、母親に自分が中心なのだと理解させることです。自分が大丈夫なら、赤ちゃんも大丈夫なのです」。

ウェスターベルト氏は、家具と日用品のオンライショップであるWayfairが発行するLifestyle誌の編集者、ビーガン食品ブランドPurple Carrotのコンテンツ戦略ディレクターを経てMomboxを立ち上げ、現在まで自己資金でやってきた(従業員も自分1人)。現在までにMomboxがマーケティングに使った資金は0ドル。収益は、創業以来、口コミだけで前年比100%の成長を果たしている。

ウェスターベルト氏は、今回調達した資金を使って、人材を雇い入れて、収益倍増と、同氏が思い描く完全なサービスが提供できるプラットフォームの構築を目指した新しいマーケティング戦略を試す予定だ。

カテゴリー:フェムテック
タグ:Mombox資金調達

画像クレジット:mombox

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(翻訳:金井哲夫)

WaveOne、ビデオのAIネイティブ化とストリーミングの変革を目指す

ビデオはとても長い間、同じように機能し続けてきた。機械学習の爆発的な普及によって業界が刻々と変化しても、ビデオはその独自の性質により、ほとんど影響を受けていない。WaveOneは、数十年前からあるビデオコーデックのパラダイムをAIベースにすることでこの状況を変えようと試みており、コーデックの革命を目指す技術者やAI主導のスタートアップが陥りがちな落とし穴を避けつつこれに取り組んでいる。

同スタートアップは、最近まで紙面やプレゼンテーションで結果を発表する以外大きな動きを見せていなかったが、先日調達した650万ドル(約6億8000万円)のシードラウンドにより、実際の製品をテストし、展開していく準備が整ったようだ。これはニッチな領域ではない。ビデオ圧縮はやや目立たない存在でもあるが、現代のインターネットで最も重要なプロセスの1つになっていることは間違いない。

デジタルビデオが誕生してから辿ってきたことを簡単に説明しよう。開発者がビデオの圧縮と解凍のための標準的なアルゴリズムであるコーデックを作成する。このコーデックは、一般的なコンピューティング・プラットフォーム上で容易に配布および実行できる。MPEG-2やH.264などがこの方式である。動画の圧縮というハードな作業はコンテンツプロバイダーやサーバーで可能となるが、解凍という比較的軽い作業はエンドユーザーのマシンで行われる。

このアプローチは非常に効果的で、コーデックの改善(より効率的な圧縮を可能にする)によってYouTubeのようなサイトの可能性を広げてきた。動画が10倍の大きさだったら、YouTubeのローンチはもっと遅れていただろう。もうひとつの意義ある変化は、コーデックのハードウェアアクセラレーションの活用である。コンピューターやGPUにコーデックが組み込まれたチップが搭載されると、スマートフォンの汎用CPUよりもはるかに高速に解凍タスクを実行できるようになる。1つだけ問題がある。新しいコーデックには新しいハードウェアが必要となる。

ただし、新しい携帯電話には機械学習モデルを実行するために設計されたチップが搭載されており、コーデックのように高速化できる。しかし、ハードウェアはこのモデルに適していない。では、このMLに最適化されたチップをビデオに使用してはどうだろうか。それこそがWaveOneがやろうとしていることだ。

WaveOneの共同創設者兼CEOのLubomir Bourdev(ルボミール・ボールデフ)氏とCTOのOren Rippel(オレン・リッペル)氏の素晴らしい経歴にもかかわらず、当初著者はかなり懐疑的な視点で話を聞いた。コーデックを扱う会社が現れたり消えたりしているのを見てきたが、テクノロジー業界はいくつかのフォーマットや標準を融合させ、それを恐ろしくゆっくりと改訂してきた。例えば、H.265は2013年に導入されたが、その前身であるH.264はその数年後にやっとのことで普及し始めている。その傾向は、バージョン7からバージョン7.1というより、3G、4G、5Gシステムの移行に類似する。つまり、無料でオープンソースの優れたものであっても、より小さなオプションは業界にまたがる標準の歯車の下に潜んでしまう傾向がある。

コーデックのこうした状況に加えて、スタートアップが事実上すべてを「AI駆動型」と説明することを好むという事実から、良くても見当違い、悪ければ詐欺的なものだろうと想像していた。しかし、嬉しい驚きがもたらされた。WaveOneのやろうとしていることは後から考えると明らかに正しく感じられ、先駆者アドバンテージを有するように思われる。

リッペル氏とボールデフ氏が最初に明らかにしたのは、AIが実際にここで果たすべき役割を持っているということだ。H.265のようなコーデックは多くの点で非常に進歩しているが、決してスマートではない。一般的には、エンコーディングのカラーやディテールのどの部分により多くのビットを入れるべきかを提示することはできるが、例えば、微調整を施したい顔がショットのどこに位置しているか、時間を節約するために特別な方法で実行できるサインやツリーがあるのかといったことを判断することはできない。

しかし、顔とシーンの検出は、コンピュータビジョンの中で現実的に解決されている問題である。 ビデオコーデックが顔の存在を認識して、それに応じた量のリソースを割り当てるようになっていないのはなぜだろうか。これは良い質問である。答えは、コーデックの柔軟性が十分ではないということだ。そうしたインプットには対応しない。おそらくH.266が出るころには実現され、数年後にはハイエンドデバイスでサポートされるようになるだろう。

では、今どうするか。多くの携帯電話やコンピュータが備えている、あるいはすぐに備えることになるであろうAIアクセラレーター上で動作する動画圧縮・伸長アルゴリズムを構築し、シーンやオブジェクトの検出を最初から統合するのが正解だ。Krisp.aiは音声が何であるかを理解し、きわめて複雑なスペクトル分析をせずにそれを分離する。同じように、AIは視覚的なデータを使って驚くほど高速に判断し、実際の動画圧縮の部分にそれを渡すことができる。

画像クレジット:WaveOne

 

データの可変かつインテリジェントな割り当てにより、画質を犠牲にすることなく圧縮プロセスを非常に効率的に行うことができる。WaveOneは、ファイルのサイズを半分にまで縮小しながら、より複雑なシーンで改善が得られると主張している。何億回も動画を配信したり100万人に一度に配信したりする場合、このサイズの増加は言うに及ばず、数パーセントの端数でも加算される。帯域幅は以前ほどコストがかからないが、それでも無料ではない。

また、画像を認識する(あるいは指示を受ける)ことで、コーデックがその内容の種類を判別できるようになる。もちろん、ビデオコールでは顔の認識が優先されるかもしれないが、ゲームストリーマーは細かい部分にこだわりを持つだろうし、アニメーションは大きな単色領域でのアーティファクトを最小限に抑えるためにさらに別のアプローチを必要とする。これがすべて、AIを利用した圧縮方式によってその場で実行できる。

消費者向けテクノロジーを超えたものも予測できる。コンポーネント間または中央のサーバーにビデオを送信する自律運転車は、車両、歩行者、動物など自律システムが重要と指定したものに焦点を当て、意味のない空や遠くの木々などに時間とビットを無駄にしないようにすることで、時間を節約し、ビデオの品質を向上させることができる。

コンテンツ認識のエンコードおよびデコードは、おそらくWaveOneが主張する最も汎用性が高く、理解しやすい利点であるが、この方法は帯域幅の問題による中断に対してはるかに耐性があるとボールデフ氏はさらに説明している。従来のビデオコーデックのもう1つの欠点は、いくつかのビットが欠けていると全体の操作が中断されてしまうことだ。だからフレームがフリーズするなどの問題が起きるわけだ。しかし、MLベースのデコーディングは、どんなビットがあってもそれに基づいて簡単に「最善の推測」を生成できるので、帯域幅が突然制限されてもフリーズすることはなく、その期間の詳細さが少し減少される程度である。

同じフレームを圧縮する異なるコーデックの例

これらの利点は素晴らしいと思われるが、かねてからの問題は「現状を改善できるか」ではなく(明らかに改善できる)、「改善をスケールアップできるか」である。

「クールで新しいコーデックを作ろうとする試みは、あちこちで失敗しています」とボールデフ氏は認めている。「その理由の1つはハードウェアアクセラレーションです。たとえ世界最高のコーデックを思いついたとしても、それを動かすハードウェアアクセラレーターがありません。より優れたアルゴリズムを必要とするだけではなく、エッジ上やクラウド上でさまざまなデバイスに対してスケーラブルに実行できる必要があります」 。

最新世代のデバイスで特別なAIコアが非常に重要となっている理由がここにある。これは、新しい目的に合わせてミリ秒単位で調整できるハードウェアアクセラレーションである。そしてWaveOneは、これらのコア上で動作するビデオに焦点を当てた機械学習に何年も取り組んでおり、H.26Xアクセラレーターが何年にもわたって行ってきた作業を、より高速に、より柔軟に行えるようにしている。

もちろん「標準」の問題はまだ残されている。1つの企業が独自に開発したビデオ圧縮方式に誰かがサインオンする可能性はあるだろうか。誰かはすべきである。結局のところ、標準は石板に刻まれているようなものではない。そしてボールデフ氏とリッペル氏が説明したように、我々が考えるような方法ではないが、彼らは実際に標準を使用している。

かつては、動画の「標準」とは、アプリやデバイスが標準に対応した動画で効率的かつ正確に動作するように、厳密に定義されたソフトウェア手法に従うことを意味していた。しかし、それだけが標準ではない。WaveOneが行っているのは、すべてを包括するメソッドではなく、機械学習とデプロイメント側の標準に準拠した実装である。

同社は、TensorFlow、ONNX、AppleのCoreMLなどの主要なML配信・開発パブリッシャーと互換性のあるプラットフォームを構築している。一方、実際に動画のエンコードやデコードのために開発されたモデルは、エッジデバイスやクラウドデバイス上で他の高速化ソフトウェアと同じように動作する。AWSやAzureにデプロイしたり、ARMやIntelのコンピュートモジュールを使ってローカルで実行したりという具合にだ。

WaveOneは、主要なB2Bイベントのすべてのボックスをチェックするための何かを発見したように感じる。目に見えないところで顧客のために物事を改善し、変更なしで既存または将来のハードウェアで実行し、潜在的にではあるがすぐにコストを節約しながら、価値を追加するために投資する。

おそらくそれが、同社が650万ドルというこれほどまでに大きなシードラウンドを獲得できた理由だろう。Khosla Venturesがリードしたこのシードラウンドは、Vela PartnersとIncubate Fundからそれぞれ100万ドル(約1億円)、Omega Venture Partnersから65万ドル(約6800万円)、Blue Ivyから35万ドル(約3700万円)を調達している。

現在WaveOneはプレアルファ段階のようなもので、この技術を十分に実証してはいるが、本格的な製品を作るには至っていない。シードラウンドは技術のリスクを軽減するためのものであり、まだ多くの研究開発が残されているが、コアサービスが機能していることはすでに証明したとリッペル氏は説明する。インフラストラクチャーとAPI層の構築をこの後進めて、同社にとってまったく新しいフェーズへの到達を目指す。さらに資金を集める前に、テストを済ませて顧客を数社確保したいと同氏は語っている。

ビデオ業界の将来は、過去20年で見据えてきた展望とは異を呈するかもしれないが、非常に期待できそうだ。WaveOneが研究段階から製品創出へと移行していくにつれ、さらに多くの情報が得られることは間違いない。

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カテゴリー:人工知能・AI

タグ:動画編集 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

継続するEdTechブームの中、未就学児向け教育アプリのIntellectoKidsが約3億円調達

パンデミック後のオンライン学習への移行に対する投資の勢いは続いている。3〜7歳向けの教育アプリを開発しているIntellectoKidsはシリーズAで300万ドル(約3億1200万円)を調達した。米国に拠点を置くAllrise Capitalのほか、Genesis Investmentsなどの投資家がこのラウンドを主導した。

IntellectoKidsのプラットフォームは未就学児の保護者に対し、モバイルデバイスで利用できるゲーミフィケーションの教育コンテンツと体系化されたレッスンを提供している。

IntellectoKidsは幼稚園生と小学1年生向けのコースに算数、フォニックス(発音と綴り)、サイエンス、アート、論理の5つの重要な学習トラックを備えたクラスルーム機能を提供開始する。

現在はB2Cのモデルだが、同社の創業者たちはこれに加えて2021年には小学校と幼稚園に対し、オフラインでの学習プロセスをオンラインで補完するものとしてIntellectoKidsのプラットフォームを提供したいと考えている。

2017年にIntellectoKidsを創業したのはMike Kotlov(ミケ・コトロフ)氏とAndrey Kondratyuk(アンドレイ・コンドラチュク)氏で、ともに幼い子供が3人いる。

コトロフ氏は「教育の場では、未就学児に対する教育がとても活気のある市場になりつつあります。パンデミックによって、未就学児は教育コンテンツをオンラインで自発的に消化して効果を上げることが示されました。このようなタイプのプロダクトに対する保護者や企業からのニーズが増えていることは明らかです。オンライン教育はすでにオフラインと結びついて教育のプロセス全般に寄与しているので、パンデミック収束後もオンライン教育は確実に活用されます」と述べた。

IntellectoKidsによれば、北米と中央ヨーロッパ、北ヨーロッパで200万インストールを超えているという。

カテゴリー:EdTech
タグ:IntellectoKids資金調達

画像クレジット:IntellectoKids

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(翻訳:Kaori Koyama)

オーダースーツなどD2Cブランド展開のFABRIC TOKYOが13.5億円調達、商品開発とテクノロジー投資強化

オーダースーツなどD2Cブランド展開のFABRIC TOKYOが13.5億円調達、商品開発とテクノロジー投資強化

オーダースーツなどのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)は12月14日、新たな資金調達ラウンドにおいて、約13.5億円のファーストクローズを完了したと発表した。今回の資金調達はコンバーティブル・エクイティ(CE、J-KISS型新株予約権)発行やデットファイナンスなどを活用し実行。2021年に同ラウンドのセカンドクローズを実施する予定。

引受先は、新規株主としてD2C&Co.、ポーラ・オルビスホールディングス、千葉道場ファンド、Takram、複数の事業会社。またエンジェル投資家として、小泉文明氏(メルカリ会長)、児玉昇司氏(ラクサス創業者)、富島寛氏(メルカリ創業者)およびその他個人投資家。

調達した資金は、商品企画・開発およびテクノロジーへの投資に主に充てる予定。事業の提供価値をより一層強化し、顧客及び取引先工場へ還元していく。

FABRIC TOKYO」は、「Fit Your Life」をブランドコンセプトに、体型だけでなく、顧客それぞれの価値観やライフスタイルにフィットする、オーダーメイドのビジネスウェアを提供するD2Cブランド。

一度来店し、店舗で採寸した体型データがクラウドに保存することで、以降はオンラインからオーダーメイドの1着を気軽に注文できる。リアル店舗も自社で展開し、関東・関西・名古屋・福岡の合計14店舗を運営中。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)D2C(用語)ファッション(用語)FABRIC TOKYO日本(国・地域)

保険セールス向けSaaSサービスの「hokan」が2.5億円調達、Sansanと資本業務提携

保険セールス向けSaaSサービスの「hokan」が2.5億円調達、Sansanと資本業務提携

保険セールス向けSaaSサービス「hokan」を開発するhokanは12月14日、シリーズAラウンドにおいて、エクイティファイナンスにより総額2.5億円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、リード投資家のArchetype Ventures(既存投資家)、Sony Innovation Fund、Sansan、BEENEXT。テクノロジーを駆使した保険業界のアップデートをさらに推進すべく、併せてSansanと資本業務提携契約を締結したと明らかにした。

調達した資金は、システムの開発・販促体制強化を目的とした人材採用およびセキュリティ・データ活用技術を中心とした技術投資のために利用する。

hokanがメイン事業として展開する保険営業向けクラウド型顧客・契約管理システム「hokan」は、2019年1月に販売開始。週1回以上のアップデートを続けながら、現在は全国31都道府県・127拠点で利用されているという。

2021年に予定されている金融仲介業の規制緩和によって、保険販売に関与する新規事業者が増えることが見込まれており、多事業展開における顧客データ基盤の統一や営業生産性の維持・向上の観点から、現代的な顧客管理システムのニーズはますます増えると予想されるという。

こうした業界全体の成長トレンドもふまえて、同社が掲げる「保険業界をアップデートする」というミッションの実現に向けた取り組みを加速させるべく、資金調達を実施した。

また保険業界の営業活動においては、非対面における新たな顧客との接点構築や関係強化が難しくなっていることや、出会いのきっかけづくりが属人的・根性論的になっているといった課題が存在するという。紙書類をベースとした事務作業も依然として多く存在しており、さらなる業務の効率化が求められている。

そこでhokanは、名刺情報を起点とした出会いから生まれる新たな価値の創出や、アナログ媒体のデジタル化において、圧倒的な技術と実績を誇るSansanとの提携を実施。同社との提携の先には事業化を見据えており、すでに複数の大手保険会社や保険代理店との協議を進めている。

営業活動のDXや紙書類のデジタル化・データ化を通じて、保険業界全体のアップデートと顧客価値向上を目指していくとしている。

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