コンテナで野菜果物のハウス栽培をするAgricoolがさらに$28Mを調達し中東にも進出

フランスのAgricoolが、昨年に次ぎ今度は2800万ドルの資金調達を行った。同社は、都市部で果物や野菜をコンテナの中で育てることに取り組んでいて、最初の作物は苺(いちご)だ。

今日(米国時間12/2)の投資ラウンドには、Bpifrance, Danone Manifesto Ventures, Marbeuf Capital, Solomon Hykes, そして数名のエンジェルたちが参加した。daphni, XAnge, Henri Seydoux, Kima Venturesなど、これまでの投資家も参加した。

クレイジーに聞こえるかもしれないが、コンテナ栽培は従来の農業の方法よりも効率的だ。たとえば、コンテナなら温度や湿度、光のスペクトルなどをコントロールできる。Agricoolは、太陽光の代わりに大量のLEDを用いる。

その結果には、説得力がある。苺は年中栽培できるし、コンテナは閉じているから水やスペースを節約できる。輸送も簡単だ。

作物は完全に地元産で、遺伝子組み換えなし、農薬なしの苺(等々)だ。苺はすでにパリのMonoprixでも売っている。

Agricoolは2021年までにパリとドバイに計100基のコンテナを設置する予定だ。そのためには新たに200名を雇用する必要がある。苺だけでなく、作物の多様化も計画している。

ぼくはこれまでに、複数回Agricoolを取り上げている。今日までロードマップは変わっていないが、資金は増えた。過去に例がないからあれだけど、コンテナのネットワークを作るにはかなりの資本が要るようだ。でも将来性のある事業だし、排気ガスの抑制にも貢献する。

関連記事: Agricool raises $9.1 million to grow fruits and vegetables in containers(未訳)…コンテナの建設過程を示すスライドあり。

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甲虫の幼虫を高濃度タンパク源として収穫する体験で科学を学習するHive Explorer

Livin Farmsのオフィスの中は、体の向きを変えるのも難しい。でも香港の都心ではこれが普通で、スペースは常日変らず貴重だ。そこは、深圳のハードウェアアクセラレーターHAXが支えるこのスタートアップの、ささやかな拠点だ。デスクをいくつか置くと、もう残りのスペースはない。このスタートアップの最新のプロダクトHiveがドアの横にある。それは一見何の特徴もないトレイが、いくつか重なっているだけのものだ。

でも、ぼくがここに来たのはHive Explorerを見るためだ。その小さなトレイは、部屋の中央に置かれている。上部は開(あ)いている。ドアを開けて入ったときから、その小さな明るい色のプラスチック製品が目を引く。その中身が、奇妙なランダムなリズムでぴくぴく動いている。近づいてよく見ると、茶色く見えたのは実は白で、黒いのは生きている。ミールワームたちが小さなベッドの中で互いに上になったり下になったりしながらうごめいている。チームが置いたカラスムギの残りを、がつがつ食べている。

それらの上には、ネオンイエローのトレイの中に完全に成長した甲虫たちと、2ダースほどの蛹(さなぎ)がいる。成虫はたえず動きまわり、互いにぶつかり合い、ときにはライフサイクルの継続のためにそれ以上のこともする。蛹は横たわり、生きていないように見えるが、ときどきピクッと動いて、中に生命があることを思い出させる。

ExplorerでLivin Farmsはその地平を、STEM教育の世界へ広げようとしている。前のプロダクトはスケーラブルな持続可能性にフォーカスしていたが、この新しいKickstarterプロジェクトは若者や子どもに狙いを定めている。そしてバケツ一杯の甲虫には、学ぶことが山ほどある。たとえば、死だ。ファウンダーのKatharina Ungerは近くの瓶をつかみ、蓋をねじった。

瓶には、乾燥したミルワームがいっぱい詰まっている。彼女はその一つをつまみ、自分の口に放り込んだ。期待を込めて、ぼくの手にも渡した。ぼくも彼女の真似をした。カリッとしている。味がないことはないが、はっきりしない。たぶん、ちょっと塩気がある。でも最大の感触は、気味の悪さだ。下を見ると、今ぼくが食べているものの兄弟である小さな幼虫が、数インチ先で餌を食べ続けている。

The Mountain Goatsの歌詞を引用するなら、それは今や未来のタンパク源だ。Livin Farmsは、幼虫の無味無臭の粉末も作っている。そしてその、持続可能な高濃度タンパク質食品の、ある種の概念実証として、意外にもおいしいグラノーラを作っている。この、世界でもっとも人口密度の高い場所で、同社のミッションは家庭にも浸透している。


[彼女は少しおみやげにくれた。おなかをすかせている誰かのために。]

Explorerには、若者たちに未来の持続可能な農業を見せる意味もある。ただし食品メーカーは、昆虫を食べることに伴う消費者の嫌悪感を打破しなければならない。Explorerのユーザーである子どもたちは、過密を防ぐために幼虫の収穫を奨励される。幼虫は、唐揚げではなく乾煎り(からいり)して食べる。ボックスは、比較的臭気の少ない堆肥作り容器になる。虫たちへの給餌は、人間の食べ残しを投げ込むだけだ。小さな虫たちは、それを噛み砕いていく。下のトレイに、彼らの粉状の廃棄物がたまる。

虫たちの暖房のためのヒーターや、湿度を調節するためのファンもある。それらにより、虫たちが仕事をするための最適の環境が作られる。Livin FarmsはシステムのコントロールをSwiftのコードで公開して、プログラミングという要素も加えようとしている。

ExplorerがKickstarterに出たのは今週だ。初期の出資者はそのボックスを、113ドルで入手できる。

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作物/農地のスペクトル画像から適切な営農診断をするCeres Imagingが$25Mを調達

アグテック(agtech, 農業+テクノロジー)のスタートアップCeres Imagingは、コンピュータービジョンとスペクトル画像(spectral imaging, 分光イメージング)を利用して、作物に関するインサイトを農家に届ける。同社はこのほど、 Insight Venture Partnersが率い、Romulus Capitalが参加する投資ラウンドにより2500万ドルを調達した。同社の調達総額は、これで3500万ドルになる。

この前のシリーズAの資金調達以来同社は、対象作物をこれまでのブドウ園や果樹園から、大豆や小麦のような列状作物にも広げてきた。これらの作物は単位面積あたりの利益は低いが、同社の業容をスケールアップし、大規模な問題に挑戦する機会を与える。

Ceres ImagingのCEO Ashwin Madgavkarは、こう声明している: “われわれの画像技術により農家は、気候変動や人手不足、市場の低迷などの問題に前向きに対応できるようになる”。

上空からの画像で作況分析を提供するスタートアップは多いが、Ceres Imagingはドローンには固執せず、むしろ同社独自開発の機器を搭載した、人が操縦する航空機を利用して、自動化ではなく手作業的に画像データを集める。

そのようにして撮った画像データは、人間の肉眼に見える像からはほど遠い。それらのスペクトルデータを分析して、作物の水分や栄養分の状態が分かる。そのデータは被害の早期警報にもなり、アメリカとオーストラリアの顧客に、必要な肥料や灌水、農薬などの情報を提供する。

画像クレジット: @SelimAzad

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屋内農業をセンサーデータで助けるAgrilystが新たに$1.5Mを調達、中国進出もねらう

屋内農業の管理をセンサーのデータで補助するAgrilystが今日(米国時間2/7)、150万ドルの資金調達を発表した。投資家はiSelect Fund, Argonautic Ventures, Horizons Lab(Horizons Ventureのシードファンド), Onlan Capital Fundらの面々だ。既存の投資家Compoundとニューヨーク州のNew York State Innovation Capital Fundも、このラウンドにつき合った。Agrilystとってこれは、2016年の100万ドル以来の資金調達だ。

Agrilystの協同ファウンダーでCEOのAllison Kopfによると、2015年の本誌TechCrunch主催Disrupt San FranciscoのStartup Battlefieldで優勝した同社は、最近かなり好調だった。2017年には新しい顧客が100増えて、売上も顧客数も2016年以来500%増加した。同社のサービスは今では10か国で利用でき、そのツールは50種以上の野菜と800種のその他作物をサポートしている。

同社は、ローンチしたとき、大麻の屋内生産者のためのツールだとは絶対に見られたくない、と頑強に主張していたが、最近では大麻のサポートも加わり、また花卉や昆虫の屋内生産もサポートしている。

“今やコンピューターを使用するコストはほとんどだゼロだし、どんな作物でもその成長と健康と生態をモニタできるほどのリソースがある”、とHorizons LabのアドバイザーPhil Chenは語る。“Allisonと彼女のAgrilystのチームには、そのデータを解読して未来の食糧を確保する能力がある”。

チームに関しては、同社は最近新しいCTOとカスタマーサクセス担当VPを新たに迎えた。協同ファウンダーで最初のCTOだったJason Campは昨年、同社を去った。

Agrilystが計画している新たな資金の使途は、その成長と新市場開拓、そして製品開発だ。新たな投資家の多く(Horizons, Argonautic, Onlan)が巨大な中国市場に注目しているので、もちろん中国への進出も行われるだろう。

関連記事(未訳)〕

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スペクトルカメラで撮った農地の画像を機械学習で分析して最適解を農家に推奨するCeres Imagingが$2.5Mの追加資金獲得

アグテック(agtech, 農業のテクノロジー化)はスタートアップの数が少ないけど、実は農家自身は新しい技術の導入に、想像以上に積極的だ。

Ceres Imagingのピッチ(売り込み文句)は、単純明快だ。低空から独自のセンサーを備えたスペクトルカメラで農場の航空写真を撮り、それに基づいて今作物に水や特定の栄養が必要か教え、また作物の病気や害虫の危険性についても現状や今後の可能性を教える。

同社は5月のシリーズAで500万ドルの資金を調達したが、今日(米国時間11/1)はそれに加えて、250万ドルを調達したことを発表した。投資会社は、前の500万ドルと同じく、Romulus Capitalだ。

Ceres ImagingのCEO Ashwin Madgavkarが同社を創ったのは、まだスタンフォードの学部学生だった4年前だ。当時の彼は、スペクトルカメラのクールなアプリケーションの数々に感激して、それらをクリーンエネルギーや資源利用の効率化に生かせないものか、と考えていた。

農業へのスペクトル画像カメラの利用は、最初のうち、ぶどう園や果樹園などの高密度作物に限定していたが、今では顧客層がカリフォルニア、ハワイ、中西部、オーストラリアと広がるにつれて、多様化している。新しい作物向けのソリューションを開発するときは、その作物の特性の勉強から始める。水の不足や過剰への強さ弱さ、葉緑素濃度、林冠活力、温度分析、栽培密度、そしてこれら要素の最適測度、などなど。

Madgavkarによると、アグテック企業の多くが、作物の多様性に配慮しない画一的な画像分析をしている。しかし彼のチームは、新しい顧客に対してはまず詳細なコンサルテーションにより、その営農や地域の特殊性を細部まで把握する。すなわち、個別オーダーメイドのソリューションを、提供する。

今とくに重要な課題とされているのが、中西部における大豆やコーンの収量アップ対策だ。これらの作物は従来、メンテナンスをほとんどしない、粗放作物の典型だったが、でも本当は、最初から農家の賢い判断を必要とする作物なのだ。

今では同社が提供するソリューションも多様化しており、しかも今後は、今回の資金でさらなるグローバル展開を目指している。

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マグネシウム製の食べられる温度センサーが食品の鮮度を保つ

生鮮食品の温度を輸送時に適温にキープすることは意外と難しいが、スイスの人たちはそれに取り組んでいる。この前彼らは本物の果物の荷の中に混ぜ込むロボットフルーツを発明したが、今度は別のチームが、食品に貼り付ける生分解性の温度センサーを作った。そのセンサーは、食品の出荷地からあなたの口の中胃の中まで旅をする。

食品の現在の温度を目視で、あるいは手作業で確認するのは困難だが、温度をコンスタントにかつワイヤレスでモニタできるなら、時間と労力の大きな節約になる。

これまでもRFIDタグなどを使えばそれはできたが、金属製のタグを誤飲したりしたら、それが毒物である可能性もある。今回ETH Zurich(チューリッヒ工科大学)のGiovanni Salvatoreが考えたのは、人間が安全に消化できる素材を使って、超薄型のセンサーを作ることだ。

彼と彼のチームによるその研究は、Advanced Functional Materials誌に載っている。彼らが作ったセンサーは厚さがわずか16マイクロメートルで(人間の髪の毛の太さは100マイクロメートルぐらい)、マグネシウムでできている。ETH Zurichのニュースリリースによると、マグネシウムは人体の必須栄養素のひとつだ。たしかに、それはそうだ。

酸化シリコンと窒化シリコンも使っているが、こちらも無害だ。そしてチップの全体をコーンとポテトのでんぷんで作った分解性のポリマーが包んでいる。曲げたり伸ばしたりできるし、くしゃくしゃになっても機能は生きている(ただし食べ物自体の状況も確認しよう)。

ケースの中のごく一部のリンゴや魚やバナナなどにこれを貼り付けて、船やトラックに積む。すると冷蔵室の外からでも、食品の温度(気温ではない)を知ることができる。そして、それが行きつくべきところへ行き着けば、あとは体内で分解される。

もちろん、電源やワイヤレスの部位は生分解性ではない。それらは外部にあって、同じく必須栄養素のひとつである亜鉛のケーブルで接続する計画だが、この難問が解決するまでは、まだ完全解ではない。でもセンサー部分が完成しただけでも、すごい。

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SparkLabs Groupがアグテックスタートアップを専門的に育成するアクセラレーターをオーストラリアに開校

アジア最大のアクセラレーターグループを自称するSparkLabs Groupが、オーストラリアのニューサウスウェールズ州第一次産業省とパートナーして、アグテック(農業×テクノロジー)のスタートアップを育てる新しい事業、SparkLabs Cultiv8を立ち上げる。その本部はニューサウスウェールズ州オレンジに置かれ、2018年の第二四半期にアクセラレーターとしての事業を開始する。

一回の育成期間は8か月で、8から12のスタートアップを受け入れる。彼らはSparkLabsと一次産業省が作った学習施設Global Ag-Tech Ecosystem(Gate)で学び、オレンジにある同省の研究所や農場…シドニーから車で3時間ぐらい…を利用して、プロトタイピングを行う。また一社につき10万オーストラリアドル(約8万USドル)の資金を授与される。

“それは都市のコワーキングスペースではない。アグテックやサステナビリティのスタートアップにとって重要な最上級の施設や便宜へのアクセスを与える”、とCultiv8のパートナーJonathon Quigleyは語る

Cultiv8のローンチによりSparkLabsは、韓国、台湾、中国、香港、オーストラリアなどでアクセラレーター事業を展開する。オーストラリアの農業はすでにアジアだけでも数十億ドルの農産物を輸出しているからとくに重要だ。2050年には輸出量が倍増すると予想されているから、アグテックスタートアップのスケールアップに関しても実践的な勉強ができる。

農業と食品関連のテクノロジーは最近投資家たちも注目するようになり、投資総額は2015年に記録的な額に達した。しかしQuigleyによると、それはまだ初期的な投資の段階にすぎない。彼によるとIoTのコストがもっと下がれば、さらに多くのスタートアップが、農家の資源管理や廃棄物〜無駄の減少、反収のアップなどのための監視分析ハードウェアやソフトウェアを手掛けるようになるだろう。

Quigleyによると、Cultiv8は農業技術に大きな影響を与えうるIPを持っているスタートアップをとくに歓迎したい。彼らが正しい経営をしていけば、急速にスケールするだろう。

“アグテックの現状は、2009年ごろのAIに似ている”、とQuigleyは語る。“SiriはAppleに買われてから爆発的に伸びた。アグテックの分野にも、起業や投資の機会を求めている優秀な才能の持ち主がたくさんいる。われわれは、実際に会社を興して農業をディスラプトしたいと考えている未来のファウンダーたちを育てていきたい”。

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AIとコンピュータービジョンを使って農地の点検と分析を行うProsperaがシリーズBで$15Mを調達…農学の広範な学際化を目指す

テルアビブのProsperaは、コンピュータービジョンと人工知能を利用して農地の様子をチェックする。同社はこのほど、Qualcomm Venturesが率いるシリーズBのラウンドで1500万ドルを調達した。ほかにCisco Investments, ICV, 以前の投資家Bessemer Venture Partnersらがこのラウンドに参加した。これで同社の調達総額は2200万ドルになる(シリーズAは2016年7月に本誌が取り上げた)。

新たな資金は、グローバル市場への参加の拡大と、農家と接する現場担当者の増員に充てられる。農家が収入を上げるためには、“インドアからアウトドアへの移行が必要だ。アメリカの土地の40%は農地だから”、と協同ファウンダーでCEOのDaniel Koppelは語る。

シリーズAを獲得してから同社は、ヨーロッパ、メキシコ、アメリカなどに新しい顧客を開拓してきた。顧客の中には、流通大手のWalmart, Tesco, Sainbury’s, Aldiなどに産品を納めている農家もいる。

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Koppelによると、同社の技術も、害虫や病害の自動検出から、“農業生産のあらゆる側面のチェック”へと進化してきた。それには、作物栽培学, 耕種学, 農地管理学などの専門的農業科学の分野が含まれ、また生産性を上げるための労働管理も無視できない分野だ。

今ではDJIAgribotixなどのドローン企業がアグテック分野に進出しているが、Prosperaの場合も、投資家のQualcommCiscoが、ドローンの利用を同社に導入しようとしている。

Koppelは、それらドローン屋さんたちをコンペティターとはみなさず、むしろ将来のパートナーと考えている。“ドローンは私たちの分析のための、価値ある新しいデータを提供してくれるだろう。データが一層充実すれば、われわれが顧客に提供できる価値も大きくなる”、と彼は語る。

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農薬や化学肥料の濫用を防ぐCeresのハイパースペクトル農地画像分析技術が$5Mの資金を獲得

カリフォルニア州オークランドのCeres Imagingが、Romulus Capital率いるシリーズAの投資ラウンドで500万ドルを調達した。同社は、カメラとセンサーとソフトウェアを使って、農家の農地に作物のストレスを見つけ、そこにタイミング良く除草剤や殺虫殺菌剤、灌水などを投じられるようにする。

Ceresは、最近多い、ドローンの農業利用に着目したスタートアップのひとつだ。しかしCEOでファウンダーのAshwin Madgavkarによると、専業農家の農地面積は数千エーカーもあり広すぎるので、ドローンでは仕事にならない、とすぐに悟ったそうだ。

そこでMadgavkarたちは、セスナのような通常の航空機に搭載する独自のセンサーとカメラを開発した。それを毎日、広大な農地の上空に飛ばすのだ。

同社はさらに、撮影した画像の中に作物のある農地だけを特定できる画像分析ソフトウェアを作った。それにより、裸の土地や影などは分析対象から外す。“農地の画像から読み取れる特殊な“署名”を、そこで起きている事象に翻訳する”、とCEOは語る。同社はカリフォルニア大学デービス校の研究者たちやデータの助けを借りて、分析技術を完成させた。

Romulus CapitalのファウンダーKrishna K. Guptaによると、Ceresがほかのアグテック企業より優れているのは、ハイパースペクトルな〔==可視光以外も含む〕画像分析によって、地上で作物や土壌を実際に調べたときと変わらない洞察を農家に提供できることだ。競合他社の多くは、NDVI(normalized difference vegetation index)に頼って作況の分析をしている。それは一定面積における作物の葉の測度だ。しかし、“Ceresは農家の作況や灌水、土壌栄養などに関してもっと細かい粒度の情報を提供できる”、とKrishnaは語る。

Ceresはすでに、世界最大のナッツとぶどうの栽培農家上位10軒(10社)のうち6社と契約していて、ほとんどの仕事をカリフォルニアとオーストラリアで行っている。同社が画像分析を提供しているアーモンドの樹園面積は、全世界のアーモンド作付面積の10%あまりに相当する。

今回のシリーズAの資金は、社員増と、営業マーケティングの拡大、そして画像分析の対象をコーンや大豆など、中西部のそのほかの商品作物にも広げることだ、とCEOは述べている。

競合他社はTerrAvionIntelinairなどだが、PrecisionHawkのようにドローンを使っているところもある。

シリーズAの前には、ウォーターテックのアクセラレータImagineH2Oや、Laurene Powell JobsのEmerson Collectiveが支援しているNPO Elemental Exceleratorなどから、100万ドルの非希釈的助成資金を(non-dilutive grant funding)獲得している。

規制はスタートアップの邪魔になることもあるが、Madgavkarによると、Ceresの場合は需要増に貢献している。“農家に対する規制はますます厳しくなって、以前のように化学物質や肥料などを大量に使えなくなっている”、と彼は語る。農地の航空写真を見て、作物がストレスを経験している箇所や、窒素やカリウムが欠乏している農地を素早く特定する同社の技術は、農薬や化学肥料の無差別的な濫用を防いでいる。

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ディープラーニングで蜂たちを致死的な害虫から救う養蜂家作のアプリBeeScanning

Makoto Koike(小池誠)のディープラーニングによる胡瓜(きゅうり)選別機のことは、今では誰もが知っている。世界中のホビイストたちが、機械学習を利用して彼らの問題のソリューションをハックしている。先日は、スゥエーデンの養蜂家で発明家のBjörn Lagermanが、エンジニアたちと研究者たちのチームに助けられて、BeeScanningというアプリを作った。このアプリは、スマートフォンで撮ったふつうの写真に巧妙なコンピュータービジョン技術を適用して、蜂のコロニーに危険な害虫(ミツバチヘギイタダニ, Varroa)の兆候を見つける。

蜂に寄生して文字通りその命を吸い取ってしまうそのダニは、蜂と養蜂家の悪夢だ。放置すると、コロニー全体がやられてしまう。だから継続的な監視が必要だが、これまでのダニ発見方法は時間がかかってたいへんだった。でも早期に発見して退治しないと、彼らは指数関数的に増殖してしまう。

そこで、機械学習の知識と技術が役に立つ。蜂の背中の色は黒だが、ダニは赤い。オブジェクト認識のアルゴリズムを使えば、蜂の画像中に害虫を素早く見つけられる。

彼のグループは今、世界中の10000の蜂のコロニーから40000の画像を集めている。それらの画像でモデルを訓練したら、手作業で害虫の数を数えたデータと突き合わせてベンチマークする。その面倒で時間のかかる処理には、蜂をアルコールで洗ってダニを分離する作業も含まれる。

BeeScanningは養蜂家がダニを素早くチェックする方法だが、同時に研究者のコミュニティにとっては、その害虫を研究するための新しいツールでもある。Lagermanは、今の化学薬品を使う処置には長期的な持続性がない、抵抗性のある蜂を見つける方法も必要だ、と強い口調で語る。

BeeScanningはごく最近、Kickstarterに登場した。来月はとりあえず5000ドル、長期的には35万ドルの募金が目標だ。お金の最初の用途は、データベースを作って一般の関心を高めること。Lagermanは12月が締め切りのEuropean Innovation Programなど、サードパーティからのサポートも期待している。

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コーヒー豆の等級分けロボットとブロックチェーンを使って生産農家に公正な支払いをするBext360

コーヒーは、石油に次いで世界で二番目に大きい貿易商品だ。Fairtrade Foundationの推計では、およそ1億2500万の人びとがコーヒーの栽培で生計を立てている。その多くが小農または農業労働者で、世界銀行の調査では家族が1日2ドル未満で生活している。そこで、デンバーのBext Holdings Inc.は、これらの農家が豆の公正な価格に見合う代金を容易にかつ迅速に得られるようにしたい、と考えた。

同社は、見たところ高級な秤(はかり)に見えるモバイルのロボットを作った。バイヤーはこのロボットを農家の農地で使ってコーヒー豆の品質を分析し、計量する。ロボットは一回分(30〜40ポンドの袋に詰める)の豆をサイズで選り分けて、良品の比率を計算する。そして優・良・可などのマークをつける。もちろんそのマークは、バイヤーと農家の両方に見える。そして彼らは、Bext360のモバイルアプリを使って公正価格を交渉する。

同社のアプリとクラウド上のソフトウェアは、Stellar.orgのブロックチェーン技術を使って、豆の生産者生産地、バイヤーと支払い金額、などを記録する。CEOのDaniel Jonesによると、コーヒーを飲む人も、カップ一杯ごとに、コーヒーの産地や、農家が公正な代金をもらったかどうかを、分かるべきだ、という。

“そうすれば、消費者はこれまでになく啓蒙される。そしてコーヒー業界の企業は、彼ら消費者の高いスタンダードを満たそうとする”、と彼は語る。“でも今日一般的には、フェアトレードを推進する人たちにとって、いろんな材料やデータを調べる仕事がたいへんすぎる。調べる方法も、原始的だ。だから精度も低い。そして産地の農民たちは、依然として搾取されている”。CEOの目標は、コーヒーのサプライチェーンに完全な透明性をもたらし、またカカオなどそのほかの産品にもそれを拡張することだ。

アグリテックを手掛ける前のJonesは、コンゴ民主共和国から金属をアメリカへ輸出する企業を創業した。その仕事を通じて、すべてのサプライチェーンの要件とトレーサビリティーを定めたDodd-Frank Act(ドッド-フランク法)の存在を知った。彼はまた国防情報局(Defense Intelligence Agency)でも働き、トップシークレットなネットワーク上で音声とビデオとデータを送信する通信システムを作った。というわけでJonesは、西側の顧客の利益のために途上国で事業をするやり方を、よく知っている。そして彼は、官僚主義との付き合いを恐れていない。

Bext360はローンチ時に、SKS Venture Partnersから120万ドルのシード資金を獲得している。SKSは主にフィンテックに投資している家族経営のVCだ。Bext360に投資したMark Spencerは曰く、“スマートフォンを利用して支払いを農家に直接行う。不当な中間搾取をする仲買がいない。この点に注目して投資をした”。

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ニューヨークで野菜を地産地消―、ハイテク農業のBoweryが750万ドルを調達

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環境汚染や異常気象、人口過密によって、大規模な屋外農場の存続が危ぶまれている。Bowery Farming Inc.と呼ばれるスタートアップは、この度のラウンドで750万ドルを調達し、都市部でも屋内で食物を栽培できるよう努力を重ねている。同社は、ロボット工学やLED照明、コンピュータビジョンやセンサー、データ解析といったハイテク技術を駆使し、農薬ゼロかつ少量の水を使って葉物野菜を栽培している。

Boweryは、自社で栽培したレタスやケール、ほうれん草、バジルなどの野菜を、業務用スーパーやレストラン、食料品店などに販売して収益を挙げている。同社の技術を使えば、1年を通して野菜が栽培でき、収穫量は同じ作付面積の従来の屋外農場と比べて100倍以上にもなる上、水の量は95%も少なくてすむ。

Boweryの共同ファウンダーでCEOのIrving Fainは、「過去10年間のテクノジーの進歩によって、今では農作物を安定して生産できるようになりました。私たちは2年前から、この進化したテクノロジーの活用に取り組みだし、近いうちに世界の人口は90億人に達すると言われ、そして約35年後には世界中の70%の人が都市部に住むことになると言われている状況で、人々に食べ物を供給するにはどうすれば良いのだろうと考えはじめました」と話す。

Leafy greens growing at a Bowery indoor farm.

Boweryの屋内農場で育つ葉物野菜。

Boweryがつくった「現代的な屋内農場」を使えば、都市部でも新鮮な野菜の地産地消が実現できるとFainは言う。「LED照明など人工の光源を使った屋内栽培は、既に何年間も行われています。しかし照明機器の値段が下がったことで、商業目的での屋内農業ができるようになったんです」

Boweryの施設のほとんどは市販の製品から構成されているが、同社が開発した「FarmOS」とよばれる自前のシステムで全てが管理されている。Boweryはコンピュータビジョンの技術やセンサーを使って、作物の様子や屋内の気候をモニタリングし、作物に影響のある数値を何百万というデータポイントからリアルタイムで集めることで、何が作物の成長度合い、もしくは色、質感、味といった個別の要素に変化をもたらすかというのを把握することができる。

First Round Capitalがリードインベスターを務めた今回のラウンドには、Box GroupLerer Hippeau Ventures、さらにはショートリブの蒸し煮が看板メニューのシェフで、レストラン経営者としても人々に愛されており、その上Bravoのテレビ番組Top Chefで審査員も務めるTom Colicchioが参加していた。Fainによれば、Colicchioが経営するレストランの中にも、既にBoweryの野菜を使っているところがいくつかあるという。同社の作物は、それ以外にもWhole Foods Marketsなど、ニューヨークを含むトリステートエリア(3つの州の境界が交わる地域。この場合だとニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州)のお店で販売されている。

Greens grown at a high-tech indoor Bowery farm.

Boweryのハイテク屋内農場で生産された野菜。

First Round CapitalのパートナーRob Hayesは「今すぐにとは言わずとも、仮に15年もすれば水の値段は上がり、作物を育てられるような土壌は貴重な存在になり、屋内よりも屋外で作物を育てるほうが高くつくようになるというのは、農業に携わっている人たち全員が考えていることです。そこで、わざわざ悲劇が起きるのを待つ必要もないだろうと私たちは考えました」

自称楽天家のHayesの言っていることは、決して誇張ではない。California Climate and Agriculture Network(CalCAN)によれば、「サラダボール州(salad bowl state)」とも呼ばれるカリフォルニア州の農地は、開発のせいで毎年平均5万エーカーも減少しており、この状況が過去30年間続いている。昔は作物の栽培や家畜の育成に使われていた土地が、ここまで舗装されてしまっているとは驚きだ。

Boweryの競合には、葉物野菜の生産大手のEarthboudやFarms、Doleがいるほか、屋内での持続可能な農業に取り組んでいるスタートアップとしてはAerofarmsや、温室栽培のBrightFarmsなどが存在する。しかしHayesは、ただソフトを開発して、他人の農場で作物をリスクにさらしながらビジネスを展開するよりも、「種からお店まで」のアプローチで、自社の農場を使って実際にシステムに効果があることを証明してきたBoweryのやり方に惹かれたと話す。

今回の調達資金は、新しい屋内農場の設置や、他の作物を屋内で育てるための新しいテクノロジーの開発・テスト、そして引き続き食料品店やレストラン、食品EC企業などへの営業に使っていく予定だとFainは話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

なぜシリコンバレーのトップ投資家たちは今、ラテンアメリカに投資するのか?

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ベンチャー〔編集部〕Julie Ruvoloは元TechCrunchライターで、現在はLatin American Private Equity and Venture Capital Associationの論説主任を務めている。

ラテンアメリカは、今地球上で最も見過ごされている市場かもしれない。

ラテンアメリカのベンチャー市場規模はインドや中国には及ばない。ウォールストリートジャーナルによれば、2016年前半の中国における新規ベンチャーキャピタルファンドは118億ドル(14%減)に上るのに対し、ラテンアメリカでは2億1800万ドルだった。「真のスタートアップ」となるには10億を超えるユーザーが必要だと考える投資家たちは、同地域の6億人という人口規模も見落としている。

しかしAndreessen Horowitz(コロンビア)、Founders Fund、Sequoia Capital(ブラジル)、QED(メキシコおよびブラジル)からの初投資によって、その様相は変わりつつある。

自分はここ数年、TechCrunch向けにラテンアメリカでの投資について書いてきた。VivaRealPSafeComparaOnlineDescomplicaなどのスタートアップのラウンドについて取り上げたこともある。また、幅広く成功中のMercadoLibreが設立した「KaszeK Ventures」や、その名のとおりRedpointとe.Venturesのジョイントベンチャーである「Redpoint e.Ventures」のようなラテンアメリカ地域の主要なローカル投資家を取材したこともある。

ローカル投資家の視点から見た場合、ラテンアメリカにおける機会には次のようなものがあるだろう。

  • インターネット人口は3億人から6億人へと倍増する見込み。
  • 人口の半数が銀行システムを利用していない(たとえばメキシコではわずか15%しかクレジットカードを所持していない)。
  • 人々のほとんどが安価なAndroid経由でオンラインに接続している。

注目に値するのはブラジルで、その人口2億人のうち、半数しかオンラインにいないにもかかわらず、すでに主要ソーシャルプラットフォームで世界2位または3位を占めている事実だ。また、データよっては、ブラジル人は(不思議なことになぜかOrkutに端を発して)世界のどの国民よりもオンラインで時間を過ごしているという。

ではベンチャーに関するデータはどうだろうか。ベンチャーキャピタルによる投資はこの5年間で着実な増加をみせている。2015年には過去最高となり、総額5億9400万ドル、182件以上の取引があった。ブラジルは経済的・政治的危機にもかかわらず、調達額と投資額の点でラテンアメリカのベンチャー市場ではトッププレイヤーだ。

Latin American Private Equity and Venture Capital Association(LAVCA)による年半データによると、ラテンアメリカでのベンチャーキャピタル取引は前年比で46パーセント増加したという(ちなみにLAVCAは筆者が勤務するOmidyar Networkがサポートする非営利団体だ)。

アメリカ国境よりも南では「大したことは起きていない」と思っているあなたのために、以下に自分が気づいた投資トレンドをいくつか紹介しよう。

シリコンバレーのトップ企業がラテンアメリカで投資を始めた

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ちょうど今年、Andreessen Horowitzがコロンビアの食料品宅配サービスRappiに、ラテンアメリカで初めての投資を行った。

Founders Fundもラテンアメリカでデビューを飾った。投資先は弁護士マッチングプラットフォームのJusbrasilと、フィンテック関連のスタートアップNubankだ。Nubankは昨年にかけてFounders Fund、Sequoia Capital(同キャピタル初のブラジルへの投資)、Tiger Global、KaszeK Ventures、QED Investorsから8000万ドルを調達し、さらに今年に入ってゴールドマンサックスによる5200万ドルの債務投資も受けた。

またゴールドマンサックスは今年、ブラジルの物流系スタートアップCargoXに対する1000万ドルの投資も率いた。その際にはValor Capitalと、Uberの共同設立者Oscar Salazarの参加があった。

メキシコではAccel PartnersとQED Investorsが初めての投資を行った。Accelは同国の食料品ショッピングサービスCornershopへのシリーズAで670万ドルを出資したのだ。このラウンドはラテンアメリカで最もアクティブなベンチャーキャピタルの1つ、ALLVPが率いた。QEDはKaszeK、Quona Capital、Accion Frontier Inclusion Fund、Jaguar Ventures(メキシコの投資会社)とともに、融資プラットフォームKonfioに向けた800万ドルのシリーズAに参加した。

メキシコは2015年、資金調達で初めてブラジルを追い抜いた

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2016年上半期には、メキシコの資金調達件数はラテンアメリカでトップとなった。取引数は47件(2015年上半期と比較して4.2倍)で、政府機関であるFondo de FondosとNational Institute of the Entrepreneur(INADEM)がここ数年で提供した資本によって活気づいたところが大きい。

(ちなみに、ブラジルにおけるベンチャーキャピタルのエコシステムも、BNDESFINEPからの政府出資で活性化した経緯がある。また、多数国間投資ファンドFOMINのSusana Garcia-Roblesが、ラテンアメリカ地域における70ファンド以上で個人的にアンカー投資を率いているのも注目に値する。)

今のところラテンアメリカのベンチャー投資ではフィンテックが優勢

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IT関連の投資では、フィンテックが投資額面で2015年には29パーセント、2016年上半期では40 パーセントを占めた。メキシコでは前述のKonfioに加えて、同じく融資プラットフォームのKueskiがCrunchFund、Rise Capital、Variv Capitalなどから1000万ドルを調達した(さらに2500万ドルの借入もあり)。ブラジルではIFCが1500万ドルを調達したGuiaBolsoのシリーズCを率い、KaszeK Ventures、Ribbit Capital、QED Investorsが名を連ねた。興味深いのは、ラテンアメリカでは人口の半数が銀行サービスを利用していないため、ほとんどすべてのフィンテック系スタートアップは直接的、あるいはそうと意図せずとも、市民の金融サービスへのインクルージョンに影響していると言える点だ。

MonsantoやQualcomm、BASFによる大規模投資で、アグテックもヒートアップ中

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ブラジルは、アメリカに次いで世界第2位の農業ビジネス市場だが、ラテンアメリカにおけるアグテックは全くといっていいほど注目されておらず、2011年以降は同地域におけるベンチャー投資の1パーセント以下しか占めていなかった。しかしこれも変わりつつあるようだ。Monsantoが、ブラジルのアグテックファンドBR Startupsに最大9200万ドルを投資することになった。このファンドはMicrosoftがQualcomm Venturesとの協力のもと管理しているものだ。

またQualcomm Venturesは、ブラジルで200万件以上あるすべての農場にドローン1機を配置するプログラムをローンチした。さらにドイツの大手殺虫剤メーカーBASFも、アグテックアクセラレーターのAgrostartを先頃ローンチしたばかりだ。

買収に精を出すブラジルのモバイル複合企業Movile

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ラテンアメリカ関連のデジタルM&A取引については、公に入手可能なデータが十分とはいえないが(これについては現在改善中だ)、現在最も活発に買収活動を行っているのはMovileのようだ。

Movileの子会社で、ラテンアメリカでオンデマンド式フードデリバリーの先陣を切るスタートアップのiFoodは、シリーズFで調達したばかりの3000万ドルでSpoonRocketを買収した。これは過去2年以内で15件目の買収にあたる。

また、メキシコではMovileのオンデマンド式デリバリー・配送サービスのRappidoが、ブラジルでのライバル会社99Motosを合併し、ますます勢いを増している。

注目の集まるアルゼンチン

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新たに選出されたマウリシオ・マクリが大統領となったアルゼンチンでは、起業を促そうと構造改革が進行中だ。

マクリ大統領とNational Secretary of Entrepreneurship(起業庁)長官のMariano Mayerは、起業家精神と新規企業設立の促進を目的とした一連の法案を発表した。このLey del Emprendedor(起業家法)では、起業家はオンラインから24時間かからずに登記して会社を設立できるようになる。Ley de Sociedades de Beneficio de Interés Colectivo(集団的利益に関する会社法)は、持続可能な環境的・社会的影響について定義し、ビジネスを承認する法律としてはラテンアメリカ地域で初めてのものとなる。

加えて、新たに10件のファンドを設立して起業家が資本にアクセスできるようにする計画(このうち3件は今年末までにそれぞれ3000万ドルを調達する予定)や、クラウドファンディングの許可に関する法案も提出予定となっている。これと似た企業の新設を後押しするための法案プロジェクトは、メキシコシティとブラジルでも進行中だ。

<筆者付記>ラテンアメリカのベンチャー資金調達や投資データ、ローカルおよび世界で最もアクティブな投資家と最大規模の取引などについては、LAVCA発行の5年間の動向レポートをお読みいただきたい。最新のベンチャーキャピタル取引をフォローするには、同じくLAVCAが隔週発行するLatAm Venture Bulletinの定期購読をおすすめする。

 

画像提供:LEIRIS202/FLICKRCC BY 2.0ライセンス)

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(翻訳:Ayako Teranishi / website

農業の無駄を省くべくFarmers Business Networkが2000万ドルを調達

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Farmers Business Network(FBN)というスタートアップが新たに2000万ドルを調達し、農業に従事するプロ用のソーシャルネットワーク兼データ共有プラットフォームの拡大を目指している。

FBNの共同設立者兼製品担当ヴァイスプレジデントであるCharles Baronによれば、同社のプラットフォームを利用することで、農家の人たちは、地域集会や昔ながらのバーンレイジング(小屋の建設をサポートする近所の集まり)、その他の同業者の集まりにおいてオフラインで行われてきた、農業に関するノウハウの共有をオンライン上で行うことができる。

恐らくこのプラットフォームで最も重要なのが、業界用語で「インプット」と呼ばれる商品の価格情報共有・評価機能だ。インプットには、お金のかかる種子や肥料の他、元気な作物を育てるために土壌にまかれる化学品などが含まれている。

また、FBNのプラットフォームでは、天気や作物の発育、土壌の質や農地の水位を測定することができ、段々と使用例が増えているアグテック(農業テクノロジー)システムから生成されたデータをアップロード、保管、分析することができる。アグテックシステムには、ドローンや、衛生システム、モバイルアプリの他、地上にあるセンサーやカメラが含まれる。

農家や個人の農業コンサルタントは、インプットに対して実際に支払われた価格を知ることで、必要なものに余計なお金をかけることなく、さらには必要以上の量の購入・使用を防ぐことができる。

また、自分の作物に関するデータを分析し、他の人のデータと比較できるため、農家の人たちは市場で広まっている新たな手法や代替製品のうち、何が本当に機能するのかというのを判断することができる。

Baronによれば、農業界は製薬業界と同様に、ブランド名を冠した高価な製品が広く流通している一方、小さな「ノーブランド」の企業が製造する種子やその他のインプットも、高価な製品と同じくらいの効果を持っている。

しかし、種子や肥料を日頃から買っている農家には、近所の薬局のように、高い効能をもったジェネリック医薬品を使えば出費を抑えられるといったアドバイスしてくれる人がこれまでいなかったのだ。BaronはFBNのコミュニティがこの役割を担うことが出来ると言う。

食品や農業に特化したファンドのAcre Venture Partnersが、FBNのシリーズBラウンドを主導し、GV(元Google Ventures)Kleiner PerkinsDBL Partnersがここに加わった。この新たなラウンドで、これまでのFBNの資金調達総額は4400万ドルに達した。

近年、ベンチャー投資家は農業テクノロジーの分野にとても興味を持っており、食物の生産性向上を目指し、ここ2年で食品や農業にフォーカスしたファンドがいくつも新設された。さらには、もっと大きなテック企業全般への投資を行うファンドのポートフォリオを見ても、アグテック企業の存在感が増してきている。

FBN cofounder Charles Baron at the startup's Farmer 2 Farmer 2015 conference in Davenport, Iowa.

FBNの共同設立者Charles Baron。アイダホ州ダベンポートで行われたFarmer 2 Farmer 2015でのFBNのカンファレンスにて。

Campbell Soup Co.を唯一のリミテッド・パートナーに持つAcre VCでパートナーを務めるGareth Astenは、同VCがFBNに投資した理由についてこう語っている。

「農業界では、インプットの供給市場がある種の寡占状態にあります。そのため、農家の人たちが仕入の判断をするときや、サプライヤーとの交渉時に使えるような実際の価格データを提供することで、彼らの出費を抑え、利益を増やし、もっと効率的に作物を育てるためのサポートを行うことができます」

彼は、FBN Procurementと呼ばれる同社のサービスを高く評価している。このサービスでは、ユーザーが欲しい商品といくらなら購入したいかという情報を登録することができる。

その後、FBNが登録されたインプットの生産者のもとへ向かい、大量購入による割引やその他の大幅割引を利用して価格を固定し、商品を購入したユーザーは近くの倉庫にピックアップへ向かうか、自分の農場まで商品を発送してもらうことができる。

投資家は、FBNが調達した資金をスタッフの雇用や農家の間でのFBNの知名度向上、さらには同社のプラットフォームを違う品種の作物やインプットに展開させていくのに使うことを期待しているとAstenは語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

近未来地球社会の最重要分野: アグテック(Agtec, 情報テクノロジによる農業生産性向上策)の、よちよち歩きの現状

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[筆者: Robyn Metcalfe](Dr. Robyn MetcalfeはFood + Cityの編集長で出版人。世界の食糧系に対する果敢な探求を行っている。)

ほぼ2世紀前にJethro Tullが、馬に曳かせた播種機を使って、作物の種子を一つずつ蒔き、それまでのばらまき方法を置換した。精密農業の初期の形とも言える彼の独創的なツールは収穫を劇的に増やし、農業の革命に導いた。

もう一人の初期の農業起業家Robert Bakewellは、1700年代の後期に同種交配法を完成させ、農家が、特別の性質を持った家畜だけを選んで、繁殖できるようになった。前世紀には、アメリカの生物学者Norman Borlaugが興した緑の革命(Green Revolution)により、種子、中でもとくに小麦の新品種が開発され、世界中の何百万もの人たちが十分な食べ物を得られるようになった。

TullやBakewellやBorlaug、それに彼らの同時代の多くの人たちが農業の生産性の向上に努力してきた。現代の農業の始まり以来、農家や起業家たちは、技術によって母なる自然の気まぐれや、食糧価格と政府の政策の変動に対応する方法を、探してきた。

そして、第二の千年紀に入った今では、最小の入力と管理費用、そして環境の尊重を伴いながら、生産性を上げる新しい方法の発見が課題だ。今の私たちはひとつの岐路に立たされており、しかも緊急の課題がある。農地と水の供給量は少ない。気候変動が作物の性質と収量に大きな影響を与えている。世界の食糧システムは2050年までに、そのころの予想人口90億人のための食べ物を作り出す能力を、持たなければならない。それはとうてい、ささやかな責任ではない。

世界の食糧システムは2050年までに、そのころの予想人口90億人のための食べ物を作り出す能力を、持たなければならない。

これらの問題を、どうやって解決するのか? 幸いにも私たちは、Jethro Tullの馬に曳かせる播種機以来、多くの進歩を成し遂げてきた。今日のイノベーションは明白にハイテクであり、農業に流入するベンチャー資本は大きく増えている。2014年の、アグテックへの投資は、23億6000万ドルと推計されている。同じ年のクリーンテックへの投資は20億ドル、フィンテック(金融テクノロジ)は21億ドルだった。

イノベーションの重要な領域のひとつが、労働の減少短縮と、トラクターなど農業機械の安全性および電脳性の向上だ。たとえば無人運転のトラクターは、それだけなら1940年からある。そのときイリノイ州の農夫Frank W. Andrewが、無人トラクターにアームをつけて“渦巻き耕作”(spiral farming)を発明したのだ。

より最近では、物のインターネット(IoT)が農業とくっついて、新しい知識とハードウェアを提供していく可能性がある。さしずめそれは、センサからビッグデータを集め、その処理と保存を担当するロボットやドローンだろう。それらが、農地の生産性をかつてなく上げる可能性もある。ロケットが安価になれば、農地の宇宙への拡大もありえる。

マサチューセッツ州WalthamのVC Polaris Venturesと、そのパートナーAmir Nashatは、微生物を利用して収量を上げるAgBiomeに入れ込んでいる。Nashatはマイクロバイオームに関心があるだけでなく、干ばつなどの異常気象を管理するシステムの開発にも注目している。

Nashatと協働しているアグテック起業家Tom Lauritaは、NewLeaf Symbioticsの社長でCEOだ。Lauritaは農業のイノベーションを、地面の上の空間や地下に見出そうとしている。たとえば地下では、植物性微生物を使って種子の生産性を上げるのだ。

農業の起業家は世界のあらゆる片隅から芽吹き始めている。

世界中の農家が利用するデータベースをオープンシステムとして作ろう、という動きもある。ユーザ農家とそんなデータベースを取り持つAgricultural Extension Service(農業拡張サービス)という大規模なサービスがあってもよい。たとえば、作柄や天候、消費者の選好、ロジスティクス、生産性データなどのビッグデータを分析して有益な情報を農家に提供するサービスは、すでに芽生えている。

つまり全体を一言で言えば、この新興の起業分野ではすでに、大量の試行が行われているのだ。農業の起業家は世界のあらゆる片隅から芽吹き始めている。動きが活発化しつつ増大しているのは頼もしいが、まだまだやるべきことは多い。今日のテクノロジが農業に与えるインパクトの、全貌をまだわれわれは見通していない。将来性の大きい初期段階の技術も、まだまだ市場の創出に苦労している。

あれやこれやで、まだ、賑やかだがアイドリング中のようなエンジン音しか聞こえないのは、アグテックの分野ではコラボレーションが未発達だからだ。たとえば農家とシェフたちを結びつけようとするスタートアップも、農家の生産性がボトルネックになっている。その現状では、多くのシェフを顧客として集めることができない。多くの農家のコミュニティを作る、などの努力が必要だ。

農家に対するコンサルティングを抜きにして、農業にビッグデータを持ち込もうとする起業家は、廃棄物やパッケージングの問題に対応していない。

アグテックがアイドリングから本番走行へ移行できるためには、個々のスタートアップやアイデアをそれ単独で見るのではなく、コラボレーション的なコミュニティの育成課題として見ることが重要だ。すでにその動きはある。シェフたちは農家と結びつき、農家は消費者と結びつき、ヘルスケアは食品科学と結びつく。しかし今何よりも重要なのは、科学者とエンジニアと農家と環境問題の活動家たちが、もっと密接な関係を築き、食糧システムの将来の生産目標を実現する方法を、それぞれの分野の知恵を寄せあって互いに触発し合い、考え、試行していくことだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。