電子メールデータ抽出を自動化するAlkymiが5.5億円調達

電子メールや添付ファイルから財務データをコピーして貼り付けるといった、多くを手動に頼る業務プロセスに対して、インテリジェンスの導入を狙うアーリーステージのスタートアップであるAlkymi(アルケミー)が、米国時間2月26日に500万ドル(約5億5000万円)のシード資金とともにサービスをローンチした。

ラウンドを主導したのはCanaan Partnersで、以前からの投資家Work-Benchも参加している。また、SimCorpも戦略的投資家として貢献している。投資契約中の条項に基づき、CanaanのJoydeep Bhattacharyya(ジョイディープ・バタチャリア)氏はAlkymi取締役会のメンバーとなる。

創業者でCEOのHarald Collet(ハラルド・コレット)氏によれば、Alkymiは仕事の面倒な手作業の多くを自動化することを目標に、ビジネスアナリストのメール受診箱に機械学習を適用しようとしている。同社が開発したのは、これまではアナリストたちが手作業で、アプリケーション、スプレッドシート、そしてデータベースに対してコピー&ペーストをしなければならなかったデータを、自動的に抽出するソリューションだ。

「Alkymiが行っているのは、電子メールとドキュメント関連タスクの自動化に焦点を合わせることですが、特に力を入れている点は、ビジネスアナリストの皆さんがビジネスデータープロセシングセンターやファイナンスデータを抽出して他のビジネスプロセスに流し込む作業(の自動化)です」とコレット氏はTechCrunchに語った。

現段階では、このサービスは金融サービスと緊密に結びついている、金融業界はコレット氏が過去20年の経験を持つ業界であり、このアプローチから多大な利便性を受ける筈だ。彼は利用例として投資資産マネージャーの場合を挙げた。こうした人物は、投資に関するデータが記載された電子メールを受信し、データをコピーしてアプリケーションまたはデータベースにペーストする、そしてこの作業を何度も繰り返して全体的な投資パフォーマンスを報告する。Alkymiはこのデータの一部を自動的に抽出し、手動での全体的なコピー&ペーストの作業を削減する。

GIF提供: Alkymi

基礎となるマシンモデルを訓練するには、操作のサイズと複雑さに応じて数時間から数日の時間がかかるが、コレット氏によれば、一度その訓練が終了したなら、ソフトウェアは自分の知っているものを処理しつつ、扱えないものに関しては人間による作業のために取り分けることができるようになる。そしてその結果から典型的な機械学習のループを通してさらに学習を行う。時間が経つにつれて、ビジネスアナリストたちは、分析を始めるためのデータ入力に時間を費やすのではなく、分析そのものにより多くの時間を使うことができるようになる。現時点では、彼らは40〜50%を自動化することから始めることを狙っている(複雑ではないデータセットの場合それ以上のレートを狙う)。

また今は、同社は金融サービスに注力しているが、長期的には、徐々に他の業種にも拡大していく計画だ。現状としては、有料の金融サービス顧客によって急速に成長している。また、金融サービスの専門家を対象としたプラットフォームでサービスを提供する、投資家のSimCorpとも提携している。

会社は2017年に創業され、コレット氏は製品を開発する前に、潜在的な顧客たちと対話を重ねた。オンプレミスバージョンおよびクラウドバージョンを提供し、ワークフローごとに請求を行う。現在、ニューヨークに本拠を置き、7人の従業員を抱えるが、今年は倍増する計画だ。

画像クレジット: Wavebreakmedia / Getty Images

原文へ

(翻訳:sako)

Abbyyがスキャンとワークフローに新たな命を吹き込むためにRPAに目を向けた

Abbyyは長い間スキャンやワークフローツールを使って企業を助けてきたが、古いベンダーたちと同様に、従来のビジネスモデルを拡張する方法を模索していた。そうするための手段の1つが、UIPathのようなRPA企業とチームを組むことだ。本日同社は、UiPath Go!アプリストア内で、Abbyy FlexiCapture Connectorの提供を開始したことを発表した。

AbbyyのプロダクトマーケティングシニアバイスプレジデントであるBruce Orcuttによれば、このコネクタはコンテンツをUIPathに取り込んだり、Abbyyからコンテンツを取り出してそれをUIPathの他の自動ワークフローへと送り込むことができる。

UIPathは最近絶好調である。ちょうど2ヵ月前には、30億ドルの評価額の下に、2億2500万ドルのシリーズC投資をクローズした。同社はたった21ヶ月で、年間売上高が100万ドルから1億ドルに成長することができた。資金調達時に記事として書いたように、「(UIPathは)企業が既存のシステムを実際に置き換えることなく、買掛金、従業員入社手続、調達、調整などのレガシープロセスに、ある程度の自動化をもたらすことを可能にする」。

Orcuttは、より現代的な文脈の中での、会社のワークフローの起源との自然な繋がりを認識している。「RPAはユーザーエクスペリエンスを簡素化します。Abbyyはコンテンツとコンテキストをもたらします」と彼はTechCrunchに語った。彼は、構造化されていないコンテンツを読み取るためにまだOCRは行なっているが、これは完全に自動化されたデジタルプロセスで行うことができ、UIPathはそのコンテンツを取得して自動ワークフローの他の部分に投入できると言う。

Abbyyにとって、UIPathは大きなパートナーだが、これは会社の能力をRPAに拡大するための広範な戦略の一環である。彼は同社が、会社のブランドと製品に新しい息吹を吹き込むために、UIPathに限らず様々なRPAベンダーたちやシステムインテグレーターたちと作業をしていると語った。

Orcuttは、これは会社の一部にとって、重要な焦点であり投資の一環であると語った。RPAは明らかにAbbyyにとって自然な適応分野だが、彼はさらに深いパートナーシップについて思案してはいなかった。「私たちは、できることに最善を尽くすことに集中でき、それによって他社はそのプラットフォームのメリットに集中することができます。Abbyyはそうした機能を補完することができるのです」。

[原文へ]
(翻訳:sako)

SlackがMissionsを買収してルーチン的なタスクの統合を支援

Slackは有料の企業ユーザーが増えているので、彼らの仕事に役に立つような他サービスの統合が、容易にできるための方法を模索している。

今日(米国時間7/17)同社は、Robots and PencilsのMissionsを買収したことを発表した。これによりSlackのユーザーは、コードを書かなくても、毎日の仕事の単純なルーチンを自動化できるようになる。買収の条件は、公表されていない。

有料ユーザーは、Slackにいろんなものを統合することが好きだ。Slackのアプリケーションディレクトリを見ると、今すでに1500あまりのアプリ/アプリケーションをSlackの中から使える。同社によると、企業ユーザーの94%がほかのアプリとそれらの統合を利用し、64%は独自のアプリを作っている。しかし、非技術系の部署にとって、統合は簡単な仕事ではない。そこでMissionsは、ビジュアルな流れによってその過程を単純化する。

これまでユーザーの多くは、Slackのチャットの中で「××を使って○○しよう」という会話をし、Slackをいったん終了してから××を立ち上げていた。Missionsを使うと、何度も同じことをやるプロセスをSlackの中からできるための、ワークフローを作れる。

よくやるタスクといえば、たとえば新人のオリエンテーションだ。新入社員に記入すべきフォームを教え、彼らが会うべき人を教え、彼らがその日その週内に完了すべき仕事を教える。また人事などでは、人の採否決定〜通知のプロセスを頻繁に繰り返すことが多い。頻繁に繰り返すといえば、社内的なチケット発行なんかもそうだ。

Missionsの現在のユーザーは向こう数か月は無料で利用できる。その後SlackはMissionsを本格的に統合する。では、Slackの中でMissionsを使えるようになるのはいつか? 同社によると、詳細がはっきりするのは“今年の終わりごろ”、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

JenkinsによるCI/CDの自動化サービスを提供するCloudBeesが$62Mを調達、ますます買収志向に

最近Codeshipを買収したCloudBeesは、主にJenkinsを使用するDevOpsプラットホームだ。同社はこのほど、6200万ドルの新たな資金を調達したことを発表した。そのラウンドは3700万ドルがDelta-v Capitalがリードする通常のエクィティラウンドで、2500万ドルがGolub Capitalのレイトステージレンディング(Late Stage Lending)による成長融資だ。既存の投資家Matrix Partners, Lightspeed Ventures, Unusual Ventures, Verizon Venturesもラウンドに参加した。

このラウンドで、2010年に創業されたCloudBeesの調達総額は1億ドルあまりになる。DevOps分野は急成長している競争も激しいビジネスだから、小さなプレーヤーを買い集めて拡大を早くし、大手と有利に競争できるほどのマーケットシェアを獲得するためには、これぐらいの資金が必要なのだ。

CloudBeesのCFO Matt Parsonは、次のように語る: “今日では、ほとんどの企業がソフトウェアを使って、製品と事業の継続的な改良に努めている。継続的経済のそのようなグローバル化により、DevOpsの市場も爆発的に拡大している。弊社も最近の数年間で、自分たちのビジネスの大きな成長を見てきたが、しかし今では、ソフトウェアの継続的デリバリがすべての企業にとって喫緊の戦略的課題になり、それに伴って弊社の目の前にもさらに大きな機会が出現している”。

CloudBeesの現在の顧客には、Fortune100社が46社、Fortune10社が3社いる。

オープンソースのJenkinsを動かすオートメーションサーバーが、CloudBeesのプロダクトの中核だ。Jenkinsの教育訓練や資格試験/証明も、提供している。オープンソースのツールを使って有料の商用サービスを提供する企業の例に漏れず、CloudBeesも主力ツールであるJenkinsをエンタープライズ向けにいろいろ拡張して、多種類のサービスを構築している。また、最近Codeshipを買収したことによって、Jenkinsにあまり縛られない継続的インテグレーションとデリバリのプラットホームをサービスとしてホストできている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ビジネスプロセスオートメーションのWorkFusionが$50Mを調達して買収に向け力をつける

ビジネスプロセスオートメーションのソフトウェアを作っているWorkFusionが、同社の4月の5000万ドルの資金調達ラウンドに新たな投資家を2社加えた。

これで同社の新たな戦略的投資家は、大手保険会社のGuardian、ヘルスケアサービスプロバイダーNew York-Presbyterian、商業銀行のPNC Bankとなる。主に人工知能企業に投資しているベンチャー投資家のAlpha Intelligence Capitalも、この新たな投資に参加した。

企業が手作業で、あのサービスを使ったり、このサービスを使ったりしてやっているビジネスプロセスを、WorkFusionは最初のうち、クラウドソーシングで獲得した労働者にアルゴリズムを教育訓練して、それらのワークフローの自動化*を行っていた。そのころからすでに10年近い年月が経っているが、Crunchbaseによれば、その間に約1億2100万ドルの資金を調達している。それが今では同社の評価に結びつくし、同社の中核的市場である金融サービスと保険業界には、本物のファン層が形成されている。〔*: SaaSインテグレーション、クラウドインテグレーションなどとも呼ばれる。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleがApache AirflowによるワークフローオートメーションツールCloud Composerをローンチ

Google Cloudgが今日(米国時間5/1)、Cloud Composerの最初の公開ベータを立ち上げる。それは、Apache Airflowプロジェクトをベースとするデベロッパーのためのワークフローオートメーションツールだ。

通常、ITチームは必要に応じて独自に自動化ワークフローを作るが、それは、さまざまなツールと、いつも動くとは限らないBashスクリプトを寄せ集めた混乱になりがちだ。AirflowとCloud Composerは、ワークフローを作ってオーケストレーションするための標準化された単一の方法をチームに提供する。

Googleによると、この新しいツールはPythonをデフォルトの言語として使用し、これによりチームは、オンプレミスのさまざまなツールや複数のクラウドにまたがるワークフローを構築できる。またオープンソースのプロジェクトなので、ワークフローを複数のプラットホームに亙っても使用できる。Google Cloud Platformに深く統合されているサービスだが、ロックインはない、とGoogleのチームは言っている。

“Cloud Composerでは、Google Cloud Platformの長所とAirflowを結びつけたかった”、とCloud Composerのチームが今日の発表で書いている。“Airflowの最良の機能をそのインストールや管理に要するオーバヘッドなしで提供できるサービスを作ろうと思った。余計な作業に時間を取られなくなれば、もっと重要なもの、すなわちワークフローに多くの時間を割けるようになる”。

Airflow、そしてその拡張であるCloud Composerでは、さまざまなタスクとそれらに期待する結果を、Directed Acyclic Graph(DAG, 有向非循環グラフ)というもので定義する。これらは、標準的なPythonのファイルで、ワークフローをその細部まで定義している。完全なドキュメンテーションは、ここにある。

Googleによると、同社はAirflowのコミュニティにも積極的に参加している。そしてすでに、相当数のプルリクエストを貢献している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DeepCodeはAIの力でコードを洗う…未来のフロントエンドはプログラミングの自動化

チューリッヒのDeepCodeは — 基本的にはコードを分析して改良するためのツールだが — プログラマーのための文法チェッカー/文章改良ツールGrammarlyみたいだ。このシステムはユーザーのGitHub上のリポジトリを読み、25万のルールのコーパスを使って問題とその修復方法を教え、ただしそれによって互換性が壊れないように、そしてもっと良いプログラムになるようにする。

Veselin Raychevが創業し、アドバイザーとしてMartin VechevとBoris Paskalevが加わった同社のチームは、機械学習とAI研究の幅広い経験がある。このプロジェクトはスイスのチューリッヒ工科大学からスピンオフした独立の研究プロジェクトが、プログラミングのためのユーティリティになったものだ。

で、その実際の仕事ぶりはどうか? かなりよろしい。自分の公開リポジトリのひとつをこのシステムに通してみたが、449のファイルに対して49件の提案をもらった。その中には文字通りのコード書き換え — name: String,name: {type: String},に変える — もあるし、必要なファンクションコールがないようだ、という示唆もある。自分のコードに隠れているバグを見つけたいときには、なかなかおもしろいツールだ。このツールがくれるアドバイスは、驚くほど正確だ。それは、人間が見逃しがちな間違いのあるコードを大量に読んだ(学習した)結果作りだすリコメンデーションだからだ。

Paskalevは語る: “コードの意図を理解するプラットホームを作った。それは何百万ものリポジトリを自動的に理解し、デベロッパーがやろうとしている変更に注目する。そしてAIエンジンをそれらの変更で訓練し、プラットホームが分析するコードのすべての行に、ユニークな提案を提供する”。

“今は25万あまりのルールがあり、毎日増えている。競合システムはルールを手作業で作ってるから、最大のシステムでも、長年かけてやっと3000か4000のルールを作った程度だ”。

自己資本のみだった同社は最近、ドイツのbtov Partnersから110万ドルを調達した。ファウンダーたちはいずれも複数回の起業経験がある。PaskalevはVistaPrintとPPAGの創業に関わったし、Raychevは、プログラミング言語のセマンティクスの機械学習という分野の研究者だが、以前はGoogleで働いていた。

DeepCodeは単純なデバッガーではなく、コードを“読んで”それを他の実装と比較する。そしてそれにより、どの行も最高のパフォーマンスを発揮できるように、改良を示唆する。今チームは、多くのプログラマーがそれを使ってくれることを待っている。

“われわれのは、Grammarlyが書かれた言葉を理解するようにソフトウェアのコードを理解する、ユニークなプラットホームだ。その最初のサービスだけでも、ソフトウェア開発のコミュニティは数十億ドルを節約できるし、その次には業界をコードの完全な自動合成へと変身させるフロントエンドを提供できるだろう”、とPaskalevは述べている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Elon Muskが過剰なオートメーションを過失と認め、人間を過小評価していたと反省

なにごとにも機敏な億万長者、TeslaのCEO Elon Muskにしては珍しく、自分の会社が生産工程でロボットに頼りすぎていた、と認めた。

Wall Street Journalの記者のツイートに応えてMusukは、こう言った: “Teslaの過剰なオートメーションは間違いだった。人間が過小評価されていた”。彼はこれを、CBS NewsのGayle Kingにも語った: “工場にはコンベヤベルトの複雑でクレージーなネットワークがあったが、それほどの生産効果があるわけでもない。だから、全部捨てた”。

Teslaは低価格車Model 3の生産が遅れているため、批判を浴びていた。最近は、週2500台の生産目標を達成できないことが明らかとなり、投資家を幻滅させた。

その不確実性ゆえに、株価は乱高下した。1か月前は340ドルだったが、252ドルまで落ちた。しかしMuskが、第三四半期の黒字とキャッシュ・フロープラスの予想を述べてからは、回復した

Muskは金曜日(米国時間4/13)に、The Economist誌に宛てたツイートで、このことを明かした。

彼はそのツイートで“資金調達の必要性はない”、と述べ、株価は金曜日に300ドル34セントで引けた。

同社の時価総額は507億ドル、対してFord Motorsは450億ドルだ。

画像クレジット: Tesla Club Belgium/Flickr

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Appleが、iPadとiPhoneのための強力なオートメションツールWorkflowを買収

AppleがWorkflowの買収を完了した。このツールは複数のアプリとアプリ内の機能を一連のコマンドへと組み合わせて、タスクを自動化してくれるものだ。私たちはここしばらく、この案件を追っていたが、いま(記事の公開は米国時間3月22日午後20時ころ)やっと確認がとれたところだ。こう書いている間にも、契約書の上のインクが乾きつつあるところだろう。

取引の金銭的な詳細は入手できていないが(入手できた際には更新する)。私の知る限りでは、これは開発チームにとってはその努力がしっかりと報われた日であり、投資家たちにとってはささやかな収益となったということだ。私たちは、Workflowが公表されていないシードラウンドで、Lowercase、Eniac、そしてGeneral Catalystから数百万ドル規模の調達をしたと聞き及んでいる。

このアプリは、元iPhoneのジェイルブレイカーAri Weinsteinの加わった、小さなチームで開発された。私はiPod Linuxの時代から彼の動向をフォローしており、数年前には彼の作ったとても便利なDeskConnectアプリを取り上げたこともある。

Workflowは既に数年の間市場に存在していて、私たちはそれを更新を含めて取り上げて来た。それはIFTTTと幾分似通っていて、ユーザーはたくさんのアクションを束ねて、複雑なタスクを1タップで行うことができるようになる。過去数年の間に、かなりの数のユーザーとダウンロードを獲得していたアプリだ。

Workflowアプリは、その開発チームである WeinsteinConrad Kramer野中彩花、そしてNick Freyと共に獲得される。Appleにとってはやや珍しい動きであり、アプリは今後もAppStore上で公開が続き、今日(米国時間3月22日)以降は無料となる。

その発表の中でWeinsteinは、「私たちはAppleの一員になることに、わくわくしています」と述べている。「私たちは、最初にWWDCに学生スタートアップとして参加したときから、Workflowを開発し発表して、AppStore上で驚くような成功を見るまで、ずっとAppleと密に作業を進めて来ました。Appleで私たちの仕事を次のレベルに引き上げて、世界中の人たちに使ってもらえるプロダクトに貢献できることがとても楽しみです」。

Workflowの買収で獲得されるのは才能だけではない、純粋な人材買収(acquihire)ではないのだ。Workflowそのものが、iOSエコシステムの中で需要をどのように見出し、プラットフォームに対する尊重を賢く注意深く行いながら、上手く取り込んでいく際の手法を示す貴重な例であるので、私は今回のAppleの動きは理にかなっていると思うし、それを目にできたことを嬉しく思っている。単純にそれはとてもスマートで、本当に良くデザインされており、きちんと動作する

Workflowは2015年にApple Design Awardを受賞した。そのときにはAppleのアクセシビリティエンジニアであるDean Hudsonが、そのアクセシビリティを扱う方法について高まる興奮と共に紹介した。「最初にこのアプリに出会った時、私は本当に驚きました。これは、とんでもない代物です!」。

Appleは契約について認め、Workflowについて以下のように語った。

「Workflowアプリは、iOSアクセシビリティ機能の素晴らしい利用方法が認められて、2015年のApple Design Awardに選ばれました。特に明快なラベルを付けられたアイテムを使ったVoiceOverの素晴らしい実装、考え抜かれたヒント、ドラッグ/ドロップの際のアナウンスが、盲目あるいは弱視の人たちに、アプリを素早く利用可能なものにしています」。

Workflowのアクセシビリティ機能は、特に複雑なマクロを構築するツールとしてアプリだと考えると、とても印象的だ。おそらく「いやこれはヘビーユーザーのためのものなので、100%アクセシブルなものにする必要はないと思います」と言ってしまうことは遥かに簡単だっただろうと思う。しかし彼らはそう言わず、その苦労に見合う数々の賞を受賞した(そしてエグジットも手にした)。

Workflowによるアプリとの既存の統合は、広範囲なものであり、アップデートは続けられる。Workflowのマニアの1人であるFederico Viticciによるこの投稿から、このアプリの極めて突出した機能を見て取ることができるだろう。

スーパーナードの読者たちにとっては、これは伝説のSal Saghoianの最近の辞職後の、良いニュースの1つだろう(Sal SaghoianはAppleのオートメーションの皇帝だった。彼の担当していたポジションはもう存在しない)。一部の人びとは、この辞職によって、Appleはもはやオートメーションカテゴリーへの興味を失ってしまったのだと解釈していたのだ。

Workflowの特製ソースがユーザーたちに、個々のアプリの中に「深くリンクされた」特定の機能へのアクセスを許し、それらのアクションをシームレスで目には見えないコマンド列へとまとめ上げる。もしこれが馴染み深く聞こえるなら、あなたの胸には、おそらくこの先時間が経つにつれて充実が期待される、Siri APIのことが心をよぎっているかもしれない。

すこし考えてみれば、WorkflowがSiriと密接に統合されるだろうということは容易に想像できる、チームが今や、これまで公開されてきたSiriの断片よりも頑強な、AppleのプライベートAPIへのアクセスを得たことで、さらにシームレスな呼び出しとアクションの組み立てが可能になるだろう。

iPadエコシステムに対する、「パワーユーザー」向けの付加価値の提供にも大きなチャンスがあるだろう。Appleがこれまで、人びとにiPhone、iPad、そしてApple Watchエコシステムを、多数の軽めから中難度のタスクに利用できるものとして認知させようとしてきた努力が、これによって大きく下支えされることになる。

AppleWatch向けWorkflowは、とりわけ賢く素晴らしいマッチングだ。私はずっとApple Watchのインタラクションモデルとして「1.5秒以内、さもなくばアウト」を提唱してきた。Workflowの「入口」は、シングルタップで呼び出され、裏で行われる複雑なコマンドやインタラクションを「隠す」自動化アクションだ。これはApple Watchにとって理想的なものだ。

Workflowの買収は、成功が少々分かりにくくなったサービスの時代における、とても明快なアプリ成功例の1つだ。小さく賢いチーム(かつてWWDC学生奨学金も受け取った)が、iOS上でとても有益なツールを作り上げ、より良いやり方を実現できなかったApple自身がそれを捉えて買収した。この先どのようなことが起きるのか興味深く見守ろう。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

ソフトウェアテスティングの自動化ツール「Tricentis」がInsight Venturesから1億6500万ドルを調達

Portrait of girl lighted with green numbers

企業の開発チーム向けにソフトウェアテスティングの自動化ツールを提供するTricentisは本日、Insight Venture Partnersから大量の資金を調達した ― 正確にいえば、1億6500万ドルだ。同時に、Insightのマネージング・ディレクターであるMike TriplettがTricentisの取締役に就任することも明らかになった。

従来のソフトウェア開発の現場では、プロダクトを市場に送り出すまでに数カ月もの時間がかかっていた。ソフトウェア・テスティングを行うためには、フロントエンドのインターフェイスからバックエンドのコネクターにいたるまで、プログラムの隅々をテストするためのスクリプトを書かなければならない。しかし、ソフトウェアの中身が変更されると過去のスクリプトをそのまま利用することはできず、多大な時間をかけ、マニュアルで修復作業を行う必要がある。

今よりも物事がゆっくりと進んでいた過去の時代は、それで上手く行っていた。しかし、これまでよりも頻繁にプログラムのアップデートが行なわれるようになり、それに適した素早いソリューションが必要とされている。そこでTricentsの出番だ。

Tricentis CEOのSandeep Johriは、同社のサービスについてこう説明する。「私たちが行うのは、GUIとAPIの両方を対象にしたアプリケーションのスキャンです。それによって、コードの内容をネイティブに解釈していきます。私たちはそのアプリケーションがビジネスの文脈でどのように機能するかを解釈し、理解して、テスティングの土台を構築していきます。その後、.NET、HTML、Javaなど、想定されるものすべてに対してテストを行います」。プログラムがアップデートされたら、再度スキャンをし直すだけでいい。

Insightはこのアプローチに目をつけた。従来のウォーターフォール式のソフトウェア開発手法から、モダンなアジャイル式へとシフトしつつある企業のソフトウェア開発現場。そこで生まれる大きな問題を解決するのがTricentisだ。

Tricentisに似た機能を提供するオープンソース・ツールはすでに存在しており、そのようなツールを利用する企業も多い。それについてJohriは、Tricentisが顧客として抱えるのは複雑な環境下にさらされている企業がほとんどであり、そのような環境においては、Tricentisのオートメーション化のスピードにかなうツールは他にないと語る。

Johriに取材してみた限りでは、彼はTricentisのバリュエーションを公開するつもりはないし、それについて心配をしているようにも見えない。Insightという単独投資家を持てたことに幸せを感じるとJohriは語る。さらに彼は、「ユニコーン」と呼ばれるような過大評価された企業は、従業員や投資家に対してそれに見合う価値を現実化できていないのではないかと話す。

Tricentisは2007年にオーストラリアで創業した。現在は主に、ドイツ、スイス、オーストリアなどドイツ語圏の国でツールを提供している。同社は、その6年後の2013年にシリーズAで700万ドルを調達し、本格的なビジネス拡大を決断した。

同社はこれまでに400社の顧客を獲得しており、現在260人の従業員を抱えている。Tricentisの開発チームは今もオーストラリアに拠点を置いている。1億6500万円を手にした同社は今後、営業およびマーケティングチームの強化を図るようだ。Tricentsはこれまでバーンレートを低く抑えてきたとJohriは話す。彼は、今後もそれを変えないようにしたいと話しているが、戦略的買収のチャンスは探し続けていくという。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

テクノロジーが「人間の温かみ」を置き換えることはできない

robotdap-e1433960740130

最近、どこに行ってもオートメーションが人間の職を奪うという議論を耳にする。テクノロジーはもちろん急速に進歩し、クリックを中心とするメディア環境のなかではセンセーショナリズムが生まれる。しかし、テクノロジーが人間の代わりに働けるからといって、私たちがテクノロジーによるサービスを望むとは限らない。テクノロジーがまずまずの働きをするとしても、状況によっては、人間とやりとりしたいと思う場面があるのだ。

機械は与えられたタスクを人間よりも効率的にこなせる一方で、それらが行うアクティビティには「芸術性」が欠けている。つまり、ニーズに応える能力だ。たとえ定められた手順があったとしても、優秀な人材はいつそのプロトコルを修正するべきか、そして、そこで必要となる機微とは何かを理解している。

オバマ政権は先日、人工知能とオートメーションが与える経済的な影響をまとめた調査結果を発表している。この調査結果は、この問題を政策運営を担う立場から捉えたものだ。このレポートでは、「AIが失業を増やすのかどうか、そして長い目でみて不平等を増加させるかどうかは、テクノロジーそのものだけに依存する訳ではなく、その時の政権や政策に依存する」と述べられている。また、今後10年から20年間でオートメーションによって影響を受ける職業は全体の9%から47%程度だろうと推測している。そのレンジの大きさから分かるのは、オートメーションが与える本当の影響はまだ未知数だということだ。

スタートアップのエコシステムに関わる人々はたいてい、自分たちであればテクノロジーを存分に普及させることができるし、また自分たちであればそれが可能だと考えている。しかし、誰もがそのアプローチに賛成という訳ではない。先週、New York TImesはMcKinseyによるレポートを発表したが、その調査で明らかになったのは、オートメーションは成長している一方で、そのペースは私たちが思っていた程のスピードではないということだ。「オートメーションが人間の職に与える影響の大きさを決めるのは、多くのテクノロジストがフォーカスするような、”技術的に可能なものは何か”という問いではありません」とNew York Timesに語るのは、McKinseyのJames Manyika氏だ。

結局のところ、オートメーションが与える影響の大きさを決めるファクターは実にさまざまだ。人間との交流に対する欲求もその1つである。現金自動支払機(ATM)を例に考えてみよう。ATMが開発されたのは1960年代のことで、それが普及したのは70年代から80年代にかけてのことだった。ATMは銀行の窓口業務を置き換えるだろうと言われていたが、2017年になってもまだ銀行の窓口では人間が働いている。もちろん、銀行の営業時間外でもお金を引き出せるのは便利なことだ。最近ではスマホでお金のやり取りも完了する。それでも、いまだに銀行では人間が働いている。それはなぜなら、お金に関してはプロに相談してみたいと思う人々がいるからだ。

また、医療に関しても同じことがいえる。たとえ適切な診断結果や治療法を提案する機械があったとしても、私たちは病気になったときには優秀な医師に相談したいと思うだろう。たとえ機械が適切な医療プランを決定するとしても ― 医療の分野には絶対的な治療法は数えられるほどしかないと理解しているが ―、考えられるオプションについて患者とともに考え、治療手順を実行するように訓練された医師と一緒に治療に励みたいと私たちは思うのだ ― 科学の”アート”について理解している彼らとだ。

人間はいまだ重要な存在である。そして、そのことを心に留めておく必要がある。高度な教育を受けた医師の場合に限らず、人間である私たちは、人間の代わりに機械と交流することを望んでいるわけではないのだ。

例えば、給仕スタッフをiPadのメニューに置き換えるというテクノロジーが存在する。サンフランシスコには人間を完全に除外したレストランも存在している。iPadで料理を注文すると、注文された品が小さな棚から出てくる ― 料理を運ぶ人間もいないので、そこに人間との交流はまったくない ―。だが、誰もがその体験をしたいと思っているわけではない。人間の店員に「いらっしゃいませ」と言われたい人もいるし、メニューや出される料理について人間に質問したいと思う人もいるのだ。

同じことがUberやLyftでもいえる。ドライバーレスは明らかに実現しつつあるし、その方がコストが低くなるから企業もそれを望んでいる。だからといって、すべての顧客がドライバーレスを望んでいるわけではない。ドライバーとの会話を楽しみたいと思う人もいる。ただ単にA地点からB地点まで運んでくれればいいと思う人ばかりではないのだ。

私はラダイト(19世紀初頭のイギリスで機械化に反対した熟練労働者の組織)になりたいわけではない。テクノロジーは容赦なく進歩を続けていく。それに反対することは馬鹿げたことだろう。しかし、テクノロジーによってファンダメンタルが失われることはない。人間と人間とのあいだのコミュケーションもその1つだ。あることを可能にするテクノロジーが存在するからといって、それが最良のオプションであるとは限らないのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter