大統領選挙戦でデジタル広告担当だった私がTwitterの政治広告禁止を支持する理由

2020年大統領選挙キャンペーンで、当時は大統領候補だったセス・モルトン下院議員(8月に撤退を表明)のデジタル・ディレクターとして私は、インターネット上で行われるあらゆるキャンペーン活動を取り仕切っていた。嫌われ者の電子メール、拡散して欲しいと願う動画、実地で活動してくれる支援者をまとめるオンラインインフラなどいろいろあるが、中でも時間的にも資金的にも最大の投資先はデジタル広告だった。

私たちのキャンペーンでは他の多くの候補者の場合と同様、給与を除き、単独で最も多くの資金が費やされるのがデジタル広告だった。ところが、そうした広告は、キャンペーンにとっては非常に厄介なものだ。民主主義にとって有害であり、それで利益を得ている企業にとっても害悪だ。先週、Twitter(ツイッター)のCEOジャック・ドーシー氏は政治広告を禁止するという、大胆にして初めての一歩を踏み出した。Facebook(フェイスブック)のCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏とGoogle(グーグル)のCEOであるサンダー・ピチャイ氏も、それに続くべきだ。

デジタル広告は、新しい支持者を得るためには最も重要なチャンネルのひとつであり、「10ドル、5ドル、または、できることならなんでも構わないのでご支援いただけますか?1ドルでも大助かりです!」といった極めて重要なお願いをすることができる。米民主党全国委員会がこの2月に、大統領候補者が最初の2回の討論会に参加するためには、少なくとも6万5000人の個人寄付者を集めなければならないと発表して以来、そのような少額の寄付をしてくれる人たちがキャンペーンの生命線になった。

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困ったことに、民主党の寄付市場で競合する企業は、2016年にはたったの5社だったものが今では25社となり、どの陣営も新しい寄付者を集めようと必死になっているため、費用が高騰している。激増だ。

私たちは(他所も同じだと推測するが)、本来は利益を生むはずの広告で、10ドル、20ドル、あるいは30ドルを出費して、わずか1ドルの新しい寄付者を獲得するという赤字の運営を日常的に続けていた。キャンペーンにおいて、これは最悪の取引だ。金を失うために大量の資金を投入して、数週、数カ月と、高価なキャンペーンの花道を伸ばす。そこで儲けているのはFacebookだけだ。大きなスケールになると、その結果は膨大なことになる。残っている18名の民主党候補者もこの悪循環にはまり、Facebookとグーグルにすでに5300万ドル(約58億円)以上を投じている。そのほとんどが、政治広告費用だ。

この5300万ドルの資金があれば(これに前候補のクリステン・ギルブランド上院議員とジェイ・インスリー、ワシントン州知事の数百万ドルを加えれば)、誰が候補者になろうとも有権者の支持を民主党に集めるためのインフラ整備や、11月の民主党候補者討論会に役立てることができたはずだ。ところが、そのすべてがFacebookとグーグルの懐に入ってしまった。

政治広告は民主主義の敵だ。ネット上での関心の移り変わりの素早さ、それを助長する文字数制限、そしてデジタル世界の門番となっているエンゲージメントアルゴリズムにより、キャンペーンでは複雑な政治的課題をたったの2行の骨子もどきに凝縮しなければならず、それにで討論会の司会者も説得できない。誰かに政治広告をクリックして欲しいと願うなら、できるだけ扇状的な内容にするべきだ。人は怒りを覚えるとクリックするものだ。

それを一番簡単にやるには、話をでっち上げるだけでいい。ほとんどの候補者が思いも寄らないことをだ。幸いなことに、11月第2週に開かれた米議会の公聴会で、ザッカーバーグ氏は、Facebookは喜んでそれを受け入れると明言していた。

Facebookやグーグルなどの企業は、白か黒かだけの世界を有権者に提示するよう私たちに強要する。そこでは、その中間の微妙な感覚など邪魔者に過ぎず、ほんの1ドルをスマートフォンから寄付することが、市民の社会参画(エンゲージメント)ということになる(毎月継続的に寄付をしたいという人などは、かつてないほど貴重な支持者だ!)。これは、十分に情報に基づく健全な民主主義のあり方とは言えない。

政治広告は、それを出す企業にしても、良いものではない。ドーシー氏の発表と同じ日に開かれた四半期の収支報告会でザッカーバーグ氏は、大統領選挙の候補者による政治広告の収益は、2020年のFacebookの予想収益の0.5パーセントに過ぎないと見積もっていた。それを過去12カ月間の収益と同等の660億ドル(約7兆2000億円)と想定するなら、政治広告による収益はおよそ3億3000万ドル(約360億円)となる。

その代償として、Facebookはこの数年間、悪評に悩まされてきた。米議会の積極的な議員たちは、これを国家の安全保障上の問題と見なすようになり、規制のリスクが高まっている。しかも大統領候補のエリザベス・ウォーレン上院議員は、大統領に選出されたならFacebook を解体すると宣言し、生存の危機まで浮上している。それだけの収益があっても、議会の公聴会のために何時間も準備を重ねるザッカーバーグ氏の潜在的コストは正当化されないだろう。

それでは、こうした広告で利益を得るのは誰なのだろうか?それは、事実は主観的なものであり、現実ははかなく、信頼できる唯一の情報はソーシャルメディアを操る人たちが流すものという、支離滅裂な情報環境をアメリカ合衆国にもたらしたいと考える人物だ。

そのため、ドーシー氏の決断を最初に非難した団体が、ロシアの後ろ盾になっている通信社ロシア・トゥデイであったことはうなづける。わずかな収益と生存の危機との間で、アメリカの民主主義のバグの修正とロシアのプロパガンダの幇助との間で、ドーシー氏は、自身の収支と国の両方のために賢明な決断をした。ザッカーバーグ氏とピチャイ氏も、ドーシー氏に従って欲しい。

【編集部注】著者のAaron Bartnick(アーロン・バートニック)はセス・モルトン米下院議員の選挙キャンペーンでデジタル・ディレクターを担当していた。現在は、大学院大学ハーバード・ケネディー・スクール・オブ・ガバメントで勉学中(@AaronBartnick)。

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(翻訳:金井哲夫)

マネーフォワードがスマートキャンプを子会社化、SaaS事業拡大へ

マネーフォワードは11月11日、SaaSマーケティングプラットフォームを提供するスマートキャンプを子会社化(グループ会社化)したことを発表した。来期となる2020年11月期初よりP/Lが連結対象となる。株式取得の費用は、手元現預金と金融機関からの借入金を充当予定としているが、当期業績への影響は軽微としている。

具体的には、スマートキャンプの既存株主から19億9800万円で72.3%の議決権所有割合ベースの株式を取得。内訳は、複数のVCが持っていた66.0%の株式をすべて買い取ったうえで、経営陣の持株の一部も約20億円で買い取って、持ち分を72.3%とにした。

スマートキャンプは、SaaSプロダクトと導入希望企業をつなぐBOXIL、見込顧客獲得・興味喚起を目的とした「インサイドセールス支援」を実現するうBAILES、Biscuetなどのサービスを手掛けており、コア事業のBOXILは同社の売上高の7割を占め、黒字安定化している。また、BALES事業は前年比で売上高が287%と急成長。Biscuet事業は現在先行投資の段階だ。

今回のグループ会社の狙いについてマネーフォワードは、高成長するSaaSマーケティング領域への事業拡大を挙げる。マネーフォワードが注力する、バックオフィスSaaSの潜在市場規模は約1兆円、スマートキャンプがカバーする国内SaaSマーケティングの潜在市場規模は約0.9兆円。今回のグループ会社により、グループ全体の潜在市場規模は1.9兆円と約2倍になることから、マネーフォワードはバックオフィスSaaS、SaaSマーケティ ング領域で圧倒的No.1を目指すとしている。なお今後も、アライアンスやM&Aを通じて、その他SaaS領域への展開を図るとのこと。

スニーカーの巨大マーケットプレイス「StockX」の鑑定プロセスと今後の戦略

Joshua Luber(ジョシュア・ルーバー)氏は、企業評価額10億ドル(約1080億円)のスニーカー帝国「StockX」の共同創業者だ。これは「本物を適正な価格で売り買いできる」ことがセールスポイントのスニーカーのマーケットプレイスとして急成長したが、ルーバー氏によればまだ「ほんの入口にたどり着いたに過ぎない」という。

消費者自身も売り手になってブランド商品を取引できるマーケットプレイスはこのところ急成長している。StockXも最近5番目のカテゴリーとしてコレクター向けアイテムを集めた「コレクティブル」を追加した。「いわば、eBayの進化した姿で、株式市場に似た仕組みでアイテムの価格を決定する。StockXの核心は、適正な市場価格の発見だ」と同氏は言う。

我々(Burns, Cao)は、StockXの1400平方mにもおよぶデトロイトの鑑定センターを訪れ、鑑定プロセスを見ると同時にLuber氏からも話を聞くことができた。

以下は、Matt Burns(マット・バーンズ)記者のインタビュー概要だ、

Matt Burns(MB):StockXの本質は何か?

Josh Luber(JL):我々はeBayの進化形態で、売り手と買い手を結びつけてマーケットプレイスを作ることだ。ただし我々は株式市場が株価を決定するメカニズムを参考にして、スニーカーであれ他のアイテムであれ、適切な市場価格を発見する。

MB:この施設では何が行われているのか?

JL:売り手が発送したスニーカーやカジュアル衣料はまずここに来る。ここでは検品と鑑定が行われる。朝届いた商品はその日のうちに処理される。

MB:鑑定には特別な資格が必要?

JL:理論的には誰でもできるようになる。しかし毎日たとえばスニーカーばかり何百足も鑑定するわけだから、やはりその商品に対する愛着がないと難しい。

スニーカー鑑定部門責任者(SAC):まず箱をチェックする。次に書類がそろっているか確認する。スニーカーを箱から取り出して正しい一足になっていることをチェックする。左ばかり2つとか左右ばらばらとかでないことを確かめる。スニーカーの外観を360°観察し、続いて細部をチェックする。

MB:特に注目する部分は?

SAC:スニーカーのモデルによっていろいろだがステッチはしっかり見る。最後ににおいを嗅いでみる。売り手によってはタバコやペットの臭いが残っていることがある。納得がいったら鑑定済みのタグを取り付ける。

MB:ニセモノだったらどうするのか?

SAC:売り手はニセモノだと知らずに売りに出すことが多い。「これはニセモノだ」という鑑定結果をつけて売り手に送り返している。

MB:StockXの今後の戦略は?

JL:1つはユーザーの拡大だ。いままで中古品を売り買いすることを考えなかった層にもStockXを拡大したい。もうひとつカテゴリーの拡大だ。既存のカテゴリーに出品されている中にレアもの、限定アイテムなどがよく含まれていた。そこで自然の成り行きとしてコレクティブルというカテゴリーを新設した。スター・ウォーズやGIジョーのおもちゃなど有望だ。

MB:スニーカー帝国を運営するようになってもやはり個人的にスニーカーが好きか?

JL:実は好きだ。気づいてみると(StockXをスタートしたときすでに著名なスニーカーのコレクターだったが)、さらにたくさんスニーカーを買っている。

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滑川海彦@Facebook

国際物流クラウド「Shippio」がシリーズAで10.6億円を資金調達

B2B向け国際物流のスタートアップShippioは11月11日、シリーズAラウンドで総額10.6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

Shippioは、オンラインで輸出入の発注・管理ができる「デジタルフォワーディング」事業を展開する。海上、航空、陸送、通関といった輸出入に関する手配を一貫して依頼でき、輸送状況や通関書類、連絡先などはクラウド上で一元管理することが可能だ。荷主は輸出入情報の一元化、貨物情報の可視化により生産性向上、貿易業務の負担軽減を図ることができる。

2018年12月の正式リリース後も、Shippioはプロダクトのアップデートを続けており、今年2月にはANAグループとの業務提携による航空輸送プロセス電子化・効率化の取り組みもスタート。4月にはアリババジャパングローバルB2Bサービスの海外輸送パートナーに認定されている。また7月には東京海上日動火災保険とともに、WebAPIを利用して外航貨物海上保険の申込データが自動連携するシステムを開発、保険申し込みの効率化を進めている。

サービスは2019年10月末時点で述べ108社が利用。米国・欧州・中国・ベトナムなど計30カ国を対象に輸出入業務が行われている。Shippio代表取締役の佐藤孝徳氏は、「今後、知名度のある大企業にも利用が広がるよう、接点を強化していく」と話す。調達資金を使って、展示会への出展などでタッチポイントを増やし、認知度を上げるプロモーション活動にも取り組んでいくという。

またShippioは現在、社員15名のコンパクトな組織で運営されているのだが、今回の調達資金を組織強化にも投資して「勝ちきれるチームづくりを目指す」(佐藤氏)とのこと。プロダクト面でも、顧客向け、Shippio社内のオペレーター向けのものに加えて、実際のロジスティックスを担うサプライヤーに向けたものも開発していく。現行システムでも、船舶のリアルタイムトラッキングを可能にするなど、ダッシュボードの進化にも取り組んでいくと佐藤氏は述べている。

国土交通省のデータによれば、全世界の港湾におけるコンテナ取扱個数は、2006年で4億168万だったものが、2016年には6億142万と、約1.7倍に増加している(単位は国際標準規格の20フィート・コンテナを1、40フィート・コンテナを2とする「TEU」)。佐藤氏は「貨物のトランザクションが増える一方、日本では少子化で物流に従事できる人の数は限られていく。このギャップをテクノロジーで埋める取り組みを、今の時点からやっていく。島国日本が貿易立国として、これからも成立する基盤を作りたい」と語る。

「デジタルフォワーディングは総合格闘技。テクノロジーに詳しくなければならないことはもちろん、各種法令や規制にも精通し、国をまたいでそれぞれのレギュレーションに対応していかなければならない。だが、疲弊している日本の物流を、テクノロジーを使ってアップデートしていきたい」(佐藤氏)

今回の調達ラウンドに参加した企業は以下の各社だ(★は新規株主)。

商業不動産情報の大規模データベース運営のReonomyが約65億円を調達

不動産の投資、建設、購入、賃貸、保守を行う個人や企業が関わる不動産業界は、特にデータソースに関しては非常に細分化されている。不動産に関するすべてのデータを統合するデータベースを構築している、ニューヨーク拠点のスタートアップが、米国外への進出のため、グロースラウンドで資金を調達した。

Reonomy(リオノミー)がシリーズDラウンドで6000万ドル(約65億円)の調達を完了した。同社は公開・非公開を問わず約100件のソースから取り込んだデータをAIで処理し、開発者、投資家、購入者など商業不動産(企業向けビルから集合住宅までを含み、個人向けの戸建ては含まない)に関わるすべての人が使える市場情報を提供するスタートアップだ。

現在、同社には10万人以上の顧客がいる。1人の顧客が複数のユーザーアカウントを持っていることもある。データベースは米国内の商業不動産の約99%にあたる約5000万の物件をカバーする。 データベースには、企業が8000万社、不動産に関わる個人が3億人、住宅ローンが3800万件、販売事例が6800万件登録されている。

データソースは増え続けている。このラウンドに併せてReonomyは、CoreLogic、Black Knight、Dun&Bradstreetとの新しいパートナーシップを発表した。

フィナンシャルインベスターとストラテジックインベスターの両方が資金を出した。これは会社の可能性と現在の顧客の質の良さの両方を示している。Georgian Partnersがリードするこのラウンドには、Wells Fargo Strategic CapitalとCiti Ventures(不動産融資に関わる両社はReonomyのユーザーでもある)、既存株主からSapphire Ventures、Bain Capital、Primary Venture Partnersが参加した。

Reonomyはバリュエーションを公表していないが、創業者兼CEOのRich Sarkis(リッチ・サーキス)氏は「間違いなく最高のラウンド」だと述べた。2013年に設立された同社はこれまでに1億2800万ドル(約140億円)を調達し、PitchBookのデータによると直近ラウンド(2018年)でのポストマネーのバリュエーションは1億5300万ドル(約170億円)だった。これは、現在のバリュエーションがおそらく2億ドル(約220億円)を大きく上回っていることを意味する。

「家のように安全」という表現は、不動産価格は常に上昇するため良い投資であるという考えから生まれた。だが、現代における市場の広範な発展によって、非常に不安定な領域になる可能性がある。クオンツによる難解なアルゴリズム、果てしない欲望、止むことのない腐敗、世界経済の状況などが市場に強い影響を与え、巨大なブームや破壊的な不均衡をもたらしている。

Reonomyは、現在何が起こっているかを正しく把握するだけでなく、将来何が起こるかを予測するためのツールとしての地位を確立した。 多数の異なるデータソースから成るデータベースであることを踏まえれば当然かもしれないが、いざ自分で同じものを構築するとなれば、多くの人手と投資を必要とするはずだ。

データベースプラットフォームによってはシェーピングとクエリに技術的な知識が必要だが、Reonimyが目指すのはユーザーの水先案内人として、技術の知識がなくても使えるデータベースを開発することだ。

「Reonomyが使えそうな分野は多岐にわたる」とサーキス氏は語った。すぐに思いつく分野は販売だが、研究などの分野でも使用されている。顧客には、住宅ローンの貸し手や不動産購入者だけでなく、不動産業界でも現場に近い場所で働いている人たちもいる。例えば、屋根修理業者がある時期に開発された建物のリストから、屋根の交換が必要になる建物のリストを作成できる。

サーキス氏は「顧客に共通しているのは、不動産市場について何かを理解するためのソリューションを探しているということだ。我々は乱雑なデータを意味のあるデータに変える。Reonomyの利用者が投資家、屋根修理業者、ローンの引き受け人であるかどうかに関係なく」と説明した。

サーキス氏によると、同社は現在、米国の商業不動産の約99%をカバーしており、カナダ、アジア、オーストラリア、英国、ヨーロッパなどの類似した市場でそのコンセプトを拡大する計画だ。

Georgian PartnersのプリンシパルであるEmily Walsh(エミリー・ウォルシュ)氏は声明で「Reonomyは、米国の商業不動産1つ1つに識別子を割り当て、強力なプラットフォームを開発した。この識別子を大企業が活用し、公開・非公開両方のデータソースを結び付け、以前は達成できなかった不動産データの可視化を進めている」と述べた。

画像クレジット:Spencer Platt

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(翻訳:Mizoguchi)

アリババが物流子会社のCainiaoに約3600億円増資

Alibaba(アリババ)は、2年前に過半数の株式を取得した物流会社のCainiao(ツァイニャオ)の持ち分を増やす。11月8日に233億元(約3600億円)を追加投資し、Cainiaoへの持ち分を51%から63%に引き上げると発表した。

アリババは声明で、今回の資金調達ラウンドでCainiaoが発行する新株を引き受けると同時に、既存株主からも持ち分を取得すると述べた。Cainiaoは、中国の特にeコマース分野に組織的な物流をもたらすことを目的に、2013年にアリババが共同創業者の1社となって設立された。現在Cainiaoは、アリババの中国での物流ニーズの大半を担っている。

9月に終了した四半期に6億8000万ドル(約740億円)の売上高を計上した。eコマースプラットフォームのTaobaoやTmallを配送や倉庫などの物流面で支援している。Alipayが決済面を支援しているのと同様だとアナリストらはみる。

百貨店のオーナーであるIntime Group、コングロマリットのFosun Group、その他多くの物流会社もCainiaoの株式を所有している。

2017年にアリババがCainiaoへの出資比率を47%から51%に引き上げた際、物流事業拡大に向け5年間で1000億元(約1兆6000億円)以上投資することを明らかにした。アリババは近年、国内の物流部門への関与を強化している。同社は今年初め、STO Expressの約15%の株式を取得した。年初時点でアリババは、ZTOの約10%、YTOの11%、Best Logisticsの27.9%も所有していた。

アリババは昨年、速達便と物流がeコマース企業にとって非常に重要だと述べた。同社によれば、昨年、国内のeコマース企業から507億を超える小包が配送された。

画像クレジット:Visual China Group / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Instagramが「いいね」の数を隠すテストを米国でも開始、インフルエンサーへの影響は?

InstagramのCEOであるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、「ビジネスにとって有害な意思決定でも人々の幸福と健康に資するなら行う」と言っている。そこで来週、Instagramは米国で「いいね」の数を投稿の作者と一部のユーザーを除いた全員に隠すテストを拡大する。でも、そんなことをしたらインフルエンサーが困らないかという大問題がある。

モセリ氏はその計画を、米国時間11月8日のWired25カンファレンスで発表し、次のように言った: 「人々がどう感じるかを知りたい。Instagramの使い方がどう変わるか知りたい。作者のエコシステムに及ぶ影響を知りたい」。

さらに続けて「Instagramをもっと軽くすることが目的だ。競争はないほうがいい。好きな人や物とつながって何かを得ることにフォーカスしたい。互いに比較したりされたりによる不安をなくしたい」。

女優でCEOのTracie Ellis Ross(トレイシー・エリス・ロス)と一緒の席でモセリ氏は、Instagramではショッピングへの関心が増えていることを話し、インフルエンサーに新しい収益源を提供したいと言った。彼はまた、Instagramの幸福への3本柱について説明し、ヘイトスピーチ対策や、喧嘩やいじめの原因になりそうなものの早期発見、「いいね」の数を隠すことなどによるInstagramの原点回帰(基本に戻ること)などについて語った。

Instagramは4月にカナダでこのテストを開始し、その後アイルランドとイタリアと日本、ブラジル、オーストラリア、そして7月にはニュージーランドに広げたFacebookも9月に同じ実験をオーストラリアで開始した。

Instagramから人気競争を減らすことは平均的ユーザーにとって良いことだが、作者やインフルエンサーのエンゲージメントとビジネスの成功を損なわないことも重要だ。コンテンツの作者はInstagramの成功の鍵であり、ユーザーは、友だちがつまらなくても、コンテンツとその作者のファンとしては何度も何度もInstagramに帰ってくる。

Social Media Todayが報じたHypeAuditorの最新の研究によると、「いいね」の数を隠すテストをしている国では、フォロワーの数とは関係なく、インフルエンサーの「いいね」の数が一律に減っている。すべての国を合わせると、フォロワー数が5000人から2万人のインフルエンサーは「いいね」が3%から最大で15%減っている。

日本だけは、フォロワー数が1000人から5000人、または10万から100万のインフルエンサーは、このテスト以降、「いいね」が約6%増えている。逆にインフルエンサーの「いいね」の数がいちばん減ったのはブラジルだ。どうやら、何かを「いいね」するときに、群集心理が働く国と、そうでない国の違いがありそうだ。

インフルエンサーへのネガティブな影響が大きいと判断したら、「いいね」の数をなくすという変更は実施されないだろう。モセリ氏は、金銭的に損になることでも躊躇しない、と言っているが、ユーザーの幸福度がすごくアップするのでないかぎり、インフルエンサーのキャリアを損なうような決定は無理だろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Cloudflareはパテントトロールに勝った、今後の展開は?

2017年夏、TechCrunchはCloudflareと2人の弁護士の争いについて書いた。Cloudflareはサンフランシスコに本拠を置くインターネットセキュリティおよびコンテンツ配信ネットワーク企業。係争相手の弁護士らは過去に多数のテクノロジー大企業を代表して知的財産の訴訟に関与したことがある。弁護士らはボストンとシカゴに拠点を置くBlackbird Technologiesを設立後すぐに特許をかき集め、Cloudflareを含む多くの企業を相手に特許侵害訴訟を仕掛けた。

この訴訟は、Cloudflareがどのように対応したかを除けば、あらゆる点で典型的だった。Cloudflareはいわゆるパテントトロール(編集部注:特許を盾に特許権を侵害している可能性のある企業などから損害賠償金やライセンス料などをとる組織や人のこと)の通常のターゲットのように密かに示談に持ち込むことはせず、すべてをオープンにして反撃すると決めた。たくさんのブログを書き、TechCrunchのようなメディアと話をし、そして最も重要なのは先行技術を見つけてくれそうな相手なら誰とでも接触した。狙いは、BlackbirdがCloudflareを訴えるために確保した特許を無効にするだけではなく、Blackbirdの特許すべてを無効にすることだった。Cloudflareは宣戦布告したのだ。

Cloudflareは勝利を収め、功績を残した。少なくともCloudflare自体に対する訴訟は最終的に却下された。同社は11月3日に発表した事後分析で、Blackbirdの特許を無効にする先行技術発見に懸賞金をかけたゲームプランなど詳細を説明した。

懸賞プロジェクトには、49の特許に155人から275の応募があり、26の特許で複数の応募があった。応募のうち約40%がCloudflareの訴訟に関連していたが、他の企業、例えばNiantic、Lululemon、New Balanceを守るものもあった。NianticはCloudflare同様Blackbirdを撃退しようとしている。LululemonとNew BalanceはBlackbirdから「一体型収納ポーチを備えたスポーツブラ」関連特許をめぐって訴えられていた。

CloudflareはBlackbirdの創設者である弁護士に対し、職業倫理に関する苦情申し立てを行った。弁護士の職業行動規範は、自分自身の利益のために訴因を作り出すことを禁止している。申し立ての今後の展開は全くわからない。注目に値するのは、Blackbirdの創設者の1人Chris Freeman(クリス・フリーマン)氏が大手法律事務所のKirkland & Ellis出身で、現在はシカゴの訴訟ファンドに在籍している点だ。

Cloudflareの勝利はメディアにあふれる悪いニュースの中で気持ちの良い話だが、この先どう展開するのか。

Cloudflareに不正義と戦い続けて欲しい向きも多いと思われるが、期待するとがっかりするだろう。Cloudflareは当初から、Blackbirdとの係争が終われば、パテントトロールにはもう関わらないと明らかにしていたし、同社のゼネラルカウンセル(法務の最高責任者)であるDoug Kramer(ダグ・クレイマー)氏からも先週末に確認が取れた。彼が言うように、Cloudflareの「十字軍」活動は、他のより差し迫った問題(9月の公開を含む)を考えればこの先ずっと続ける性質のものではなかった。

それでも、バトンタッチするのは簡単ではない。クレイマー氏は「特許訴訟の対象になっている会社のゼネラルカウンセルやCEO、また知的財産専門の弁護士から、『貴社の役割を引き継いで懸賞に小切手を切るほかに我々にできることは何か』といった電話を多くもらった」と述べた。彼らは当然のことながら、Cloudflareが学んだことに便乗しようとしている。「我々のようなやり方は他に見たことがない」とクレイマー氏は語った。

11月3日のCloudflareのブログの投稿では、単にBlackbirdに対する勝利について自慢したかったわけではない。「Cloudflareが大いに頼ったコミュニティに感謝したい気持ちが強かった。我々のようなやり方もあるということをはっきり示したかったこともある」とクレイマー氏は述べた。同氏は他の企業が自身の戦い方を確立するだけでなく、Cloudflareの方法も参考にして欲しいと考えている。

誰もが戦う意志を示すわけではない。クレイマー氏が言うように企業が特許訴訟で訴えられると「選択肢は悪いものしかなく、大半の企業が最もましな選択肢を取る」、つまり小切手を切って示談に持ち込む。そしてBlackbirdのような企業がますます勢いを増す。「彼らが抵抗に直面することはほとんどない」

クレイマー氏は、狙われた企業が事態を速やかに収拾しようとしがちな点を非難する気はない。Cloudflareのように、戦うと決めた場合でも訴訟には数年かかることがあり、数百万ドル(数億円)ではなくても数十万ドル(数千万円)の費用がかかることはある。「訴訟は大成功だったが、それでも小切手を切るより高くついた」

だが、もし特許を本来の目的で使いたいなら、多くの企業が行動を起こす必要がある。クレイマー氏は「もっと抵抗する」ことが一つの方法だと言う。同氏は「非常に活気があり、賢く、思慮深い従業員や社外の人間でパテントトロールに対抗するチームを作る」など、方法はいくつかあると語った。

別の対抗策としては、マサチューセッツ州上院議員であるEric Lesser(エリック・レッサー)氏のような政治家がしているように、パテントトロールを州の経済に対する脅威とみなし、パテントトロールの追放やその侵害請求の無効化を試みる方法もある。

味方になってくれるエンジニアもいる。自社の商品やサービスを生産するのではなく、ライセンスや訴訟によって利益を得るパテントトロールのような企業の台頭を嫌うエンジニアは多い。また実際のところ、すべての企業がCloudflareのような財務力を備えているわけではない。同社は、公開前に投資家から3億ドル(約330億円)以上を調達した。加えてBlackbirdとの戦いのために匿名の寄付者から5万ドル(約550万円)を受け取った。たとえそうした資金ががなくても社外コミュニティからのサポートは大変役に立つ、とクレイマー氏は説明した。

「我々は、特許を取得して使用料を要求したり損害賠償の訴えを起こすような輩に悩まされている人が多いことを知った。同僚、友人、志を同じくしてビジネスに携わる人、縁があってテクノロジー企業で働く人たちなどだ」

特許訴訟件数が着実に増加する中、完璧な解決策は存在しないが、どんな小さな事であっても、どんな支援者からであっても、提供される有用な情報はすべて役立つ。クレイマー氏は「Cloudflareがこういう類いの特許訴訟をすべて解決したわけではなく、問題は依然存在している。だが我々は世間の感情を味方にできた。世の中には支援する味方がいるという証拠になれば良いと思う」と語った。

画像クレジット:mith Collection / Gado / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

WhatsAppがモバイル注力の小企業に向けたカタログ機能を追加

WhatsAppは、スマートフォン経由で顧客にリーチしたいと考えるビジネスオーナー向けに、専用アプリの機能を拡張する。Facebook(フェイスブック)傘下の同社は米国時間11月7日、WhatsApp Businessに新しいカタログ機能を導入した。この機能では企業は製品やサービスを紹介して共有し、一方で潜在的な顧客は写真や価格を見たり、製品の説明を読んだりすることで、購入の後押しができる。

これらのカタログはWhatsApp上のモバイルストアとして機能し、ウェブページを必要としない。そのかわり、ビジネスオーナーはアプリ設定のカタログから、販売する商品の写真をアップロードして詳細を記入でき、必要なら商品やサービスのコード(SKUなど)を含めることもできる。

これらのカタログ上のアイテムは、WhatsAppのチャットメッセージで顧客に送信できる。例えば、顧客からの商品への質問やおすすめをする場合、ビジネスオーナーは要求された情報をカタログをタップして送信できる。

このカタログは、ユーザーのオンライン活動の多くがウェブ上ではなくアプリ内で行われている、新興市場のWhatsAppユーザーとって特に魅力的だ。これらの地域では新しいユーザーはPCをスキップし、代わりに最初からスマートフォンにアクセスするのだ。

WhatsApp Businessアプリは、すでに市場で存在感を示している。今年に入ってWhatsAppは、同アプリが500万の企業に採用されたと述べた。

今回のカタログ機能は、ビジネスプロファイルやメッセージへのクイック返信、チャットのラベル、自動メッセージなど、ビジネスニーズを念頭に置いて設計されたほかの機能に追加される。

WhatsAppによると、この新機能はまずブラジル、ドイツ、インド、インドネシア、メキシコ、英国、米国のAndroidとiPhoneでWhatsApp Businessを利用する企業に提供される。また具体的な時期は明かされていないものの、他の地域にも近日中に展開される予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Disney+は2020年3月からさらに5カ国でサービス開始、日本はまだ?

Disney+は11月12日に、米国、カナダ、オランダでサービスを開始する。もう1週間以内に迫っている。さらに11月19日には、オーストラリアとニュージーランドでも開始する。

しかし、その他の国々ではどうなっているのだろう?ディズニーは、これまでの他の国での計画については口を閉ざしてきた。おそらく、いろいろな国でサービスを開始するのは、単にスイッチをオンにすればいいというものではなく複雑な事情があるのだろう。それぞれの国には、サブスクサービスについて、それぞれ異なるプライバシー/税金に関する法律がある。各作品の著作権やライセンシングについても、既存の契約に対して調整しなければならない。

それでも今回、さらに5つの国での、Disney+のサービス開始日が発表された。ディズニーは、来年の3月31日に、英国、ドイツ、イタリア、フランス、スペインで開始すると発表したのだ。

ただし英国に住む人は、このニュースには、あまり興味をそそられないかもしれない。というのも、すでにDisneyLifeというサービスによって、ディズニーの膨大な作品を視聴できるからだ。このストリーミングサービスは、2015年からディズニーの試験サービスとして提供されていた。でも、スター・ウォーズの「ザ・マンダロリアン」はDisney+専用だろう。

注意を要するのは、Disney+の中身が世界中でまったく同じになると期待してはいけないということ。すでに述べたように、世界中ですでに施行されている著作権/ライセンシングに関する契約が影響する。ディズニーが言うように「タイトルは地域によって異なる場合があります」ということだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AWSがわかりやすいディスカウントプランを発表

リザーブドインスタンス(RIs)は、一定コストでAWSリソースを使いたい企業のために作られた仕組みだ。しかし、AWSのJeff Barr(ジェフ・バー)氏も認めているように、複雑でわかりにくい。そこで同社は、新たに「Savings Plans」を発表した。

「本日提供を開始するSavings Plansは、1年または3年の間、一定量のコンピューターパワー(時間当たりの金額で計算)の利用を約束することで、RIs同様のディスカウントを得られる柔軟で新しい料金プランです」とバー氏が新サービス発表のブログ記事に書いた。

AWSの価格体系にはいくつか種類がある。第一がオンデマンド価格で、基本的にホテルのラックレート(正規料金)と変わらない。いきなりやってきてその場で注文するので料金は高くなる。

多くの企業は一定期間に必要なリソースの量をわかっているので、事前にまとめ買いすることで節約することができる。そうすることで企業はコストの不確定性が減り、Amazonにとっても企業が一定の量を利用することがわかるので計画が立てやすい。

リザーブドインスタンスも存続するが、Amazonは顧客を新しいプランに移行させようとしているようだ。「RIsの販売は続けるが、Savings Plansのほうが柔軟なので多くのユーザーがそちらを選ぶと思っている」とバー氏は書いた。

Savings Plansには2種類ある。Compute Savings Plansは最大66%の割引を受けられ、その点ではRIに似ている。顧客に喜ばれそうな特徴は、さまざまなAWS製品に割引を適用できることで、ワークロードをリージョン間で移動しても割引率は変わらない。

もう1つがEC2 Instance Savings Plans。こちらもリザーブドインスタンス同様、オンデマンド価格より最大72%安くなるが、利用は単一リージョンに限られる。それでも柔軟性はあり、同じインスタンスタイプを異なるサイズから選んだり、オペレーティングシステムをWindowsからLinuxに切り替えても、割引率に影響はない。

本日からAWSコストエクスプローラーでサインアップできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeがUIをリニューアル、ユーザビリティー重視、クイックリスト復活

YouTubeがトップページのリニューアルを発表した。同社は米国時間10月7日、メジャーアップデートを行い、使いやすさを優先したシンプルなデザインを採用した。

これまでYouTubeのトップページは情報過多でゴチャゴチャした印象だったが、これが整理され視認性が向上した。またAdd to Queue(キューに追加)というクイックリスト作成機能が復活した。ビデオをこのキューに追加していけば、YouTube側のお勧めが次々に再生されてしまうことはない。

新デザインはデスクトップPCとタブレット端末をターゲットとしており、本日から公開が始まっている。YouTubeによれば、ウェブ、アプリともモバイル版には変化はないという。

YouTubeの親会社であるGoogleはすでに検索ページをコンパクトにし、テキスト、画像とも一見してコンテンツが理解しやすいレイアウトに変えてきた。例えば、7月にはGoogle検索でニュースのタブのデザインがアップデートされ、密集した大量の見出しから見やすいカードになった。 こうしたアップデートは可読性を大いに改善したが、一方ではスクロールせずに一見して読める情報量の減少も招いている。今回のYouTubeのデザイン変更にも同じきことが言えそうだ。

新デザインでは各行に表示されるビデオの数が減少している。そのかわりタイトルも詳しくなり、サムネールも大型化されてどんなビデオなのかわかりやすくなっている。

プレビューの精細度もアップされ、ビデオ下部のチャンネルアイコンも目立つデザインになった。ユーザーはお気に入りのクリエーターの作品であることがすぐに見てとれる。

こうしたアップデートにともなってページのレイアウトにも変更が加えられている。YouTubeによれば、 チャンネルやトピック別の表示部分をいくつか削除したという。新デザインでもビデオが所属するチャンネル、トピックは表示されるが、それぞれにグループ化はされない。新デザインでは「新着ビデオ」「トップビデオ」という分類となる。

一方、YouTubeのデスクトップ版の新しいオプション、Add to queueはビデオのサムネールに付加されたアイコンで、クリックすると従来どおり「後で見る」に追加できると同時に、新オプションであるクイックリストにも追加できる。

Add to Queueアイコンはビデオ視聴中はページの隅に最小化されているが、随時クリック可能だ。

「キューに追加」するというのは簡単にいえばクイックリスト作成機能だ。その場で簡単にプレイリストを作れるのはとても便利だ。ただしここで作られるリストは一時的ななもので、本来のプレイリストを代替するわけではない。つまりクイックリストをすべて再生してしまえばリストは消滅する。YouTubeではデスクトップのクイックリストはブラウザを閉じたときクリアされるという。つまりテレビやタブレットなど別のデバイスでビデオを見たい場合は、従来どおり「後で見る」リストに追加する必要がある。

さらに今回、モバイルのみの機能のいくつかがデスクトップに追加された。今年に入って、YouTubeはいくつかのアップデートを行ったが、これはこれはアルゴリズムによりトップページのサムネールや「次のおすすめ」としてビデオが選択される際に、ユーザーのコントロールを大きくしようとするものだった。モバイルでは「次に再生」をキャンセルすることが可能なった。

この「チャンネルのおすすめ」のキャンセルがデスクトップにも移植されたわけだ。.これはトップページのビデオのタイトル右横の「…」メニューに含まれる。5番目のオプションをクリックすると、そのチャンネルに属するビデオはトップページに表示されなくなる。ただし、これは完全なブロックボタンではない。検索結果や人気急上昇には表示されるし、そのチャンネルを訪問しても表示される。

これも今年のアップデートだが、YouTubeのAndroidアプリではユーザーが好みのトピック選ぶことでビデオのフィードをカスタマイズできる機能が導入された。この機能はデスクトップ、タブレットの各アプリにも近く導入されるというが、今回のアップデートには含まれていない。

新デザインによって見通しがよくなったことは確かだが、クリエーター側から見ると副作用もなくはない。サムネール、キャプションが大きくなり視認性がアップしているが、トップページの情報密度は減った。つまりスクロールせずに表示されるビデオの数、つまりはクリエーターの数も減少したわけだ。

ヘイトスピーチやフェイクニュースの拡散をアルゴリズムが手助けしているという批判が強まっているが、一方ではどんな内容であれ、多くの人々見ていればアルゴリズムはそれを取り上げる。

ヘイトスピーチや人々の過激化にYouTubeがどの程度責任があるかというのが激しい議論の的となっている。ニューヨークタイムズの主張とは逆にWiredは人々の過激化にアルゴリズムはほとんど関係がない、責任があるのはむしろオンライン上で積極に活動するグループだと報じている。これは判断が難しい問題だ。孤独な若者がたまたま目にしたYouTubeビデオをきっかけにさらに暗い迷路に迷い込み過激化して最後にはそうしたコミュニティーに加わるというコースもなくはないだろう。

YouTubeではこうした批判に対し、(少なくともある程度)言論の自由を擁護しつつ、人々に「見たくないものを見ない」ですむような裁量権を増やそうとしているようだ。今回のアップデートもこの流れに沿ったものだろう。

「見たくないものは表示しない」(「おすすめ」キャンセル)機能の導入はYouTubeに限ったことではなく、最近はビデオサービスの標準となりつつある。Facebookでも他人のスレッドに反対意見を書き込む人間は「いやなら読むな」と言われがちだ。YouTubeも「良識あるコメント」を心がけるようユーザーに注意している。インターネットではますますユーザー個々の責任が重要となっている。

YouTubeによればこのアップデートはデスクトップ(Android、iOSのタブレット・アプリを含む)ですでに公開を始めたところだというという。すぐにユーザー全員が利用できるようになるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterの政治広告禁止はプラットフォームの本当の問題点を隠す目眩しだ

インターネットのプラットフォームでは、何もかもが逆さまに感じられることがある。政治とパブリッシング、文化と商売、そしてそう、嘘のための真実のすり替えだ。

今週は、Twitter(ツイッター)のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏の周囲に広がる光景に奇妙な逆転現象が起きていた。その製品が何のプラットフォーム(舞台)になっているか(たとえばナチス)を示すモラルの歪曲を真後ろで支えているハイテク企業のCEOとして名高い彼が、政治的発言の倫理性に泥縄のツイートストームを展開したのだ。

実際、彼は、民主主義と社会を擁護する態度を示し、人々の生活に強大な影響力を与える巨大無料プロパガンダ帝国を運営しつつ、現実からはまったく遊離したもう一人のハイテク兄弟であるFacebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の師匠だ。

したがって、完全な逆転とは言えないかも知れない。

要は、Twitterは今後は政治広告を受け付けないという、それだけの話だ。

Jack(ジャック)
私たちは11月15日に、いくつかの例外を含む最終ポリシーを発表する(例えば、有権者登録を促す広告は認められる)。新しいポリシーは、広告主への変更の周知期間を設けるため、11月22日から施行される。

Jack(ジャック)
最後通達。これは言論の自由とは関係ない。問題は、金でリーチを伸ばすことだ。政治的発言のリーチを金を払って伸ばすことには計り知れない悪影響があり、今日の民主主義の社会基盤は、その準備ができていない。これに対処するために、一歩後退することには意味がある。

一方、Facebookは、政治広告のファクトチェックはもう行わないと先日発表した。つまり、Facebookに料金を支払って拡散する限りは、嘘でも構わないということだ。

Facebookの立ち位置は、表面上はハッキリしていると言えないこともない。すなわち「政治に関して、我々は倫理感を持ち合わせていない」と要約できる。おそらく「だから偏向していると責めることはできないよ」と論点をずらそうとしているのだろう。

だが、これは何も不合理な推論ではない。政治キャンペーンに対して倫理的基準を一切設けないことで、Facebookは最も倫理観の乏しく、身勝手な規範しか持たない者たちの味方になっている。そのためその立場は、控えめに言ってもトゥルース・ライト(現実の希薄化)だ(どちらの政治陣営が優勢かを自分で決められる)。

Twitterの立場にも、やはり表面的な明確性がある。全面禁止だ。政治広告も問題提起広告もみなゴミ箱行き。だが私の同僚Devin Coldewey(デビン・コールデウィ)は、それが政治広告なのか(またはそうでないのか)を、さらに数少ない例外には何が該当するかを明確に判断しなければならない状況になると輪郭がぼやける傾向にあると、すぐさま指摘していた。

事実、Twitterの定義には、すでに疑わしい部分がある。例えば、気候変動は政治問題だと明確にしている部分だ。そのため、科学に関する広告も禁止されることになる。その一方で、おそらく大手石油企業からの金にはオープンで、気候変動を招く汚染ブランドの宣伝を許している。そう、めちゃくちゃなのだ。

Will Oemus(ウィル・オリマス)
問題提起広告とは何かをTwitterはどう決めてるのか?

Jack(ジャック)
私たちは、政治広告だけを禁止して、問題提起広告は猶予しようと考えた。だが、政治家だけが訴えたい問題のための広告枠が買えるのでは不公平だと思った。だから、これも禁止する。

Vijaya Gadde(ビジャヤ・ガディ)
現在の定義はこうです。1. 選挙や候補者に言及している広告。2. 国家的に重要な立法上の問題(気候変動、医療、移民、安全保証、税金など)。

Twitterの基準を挑発したり迂回を試みる動きは、必ず起きる。このポリシーは単純に見えるが、そこには同社の策略的な計算と、偏向や道義上の失敗を責められたときの逃げ道を確保するためのあらゆる判断が透けて見える。それでも、コンテンツの基準においては、ルールを定めることは簡単で分別のある行動であり、そうあるべきものだ。こうしたプラットフォームが本当に苦労するのは、その適用段階だ。

それもまた、Facebookが政治広告に関するルールを一切定めないという実験を決断した理由になっているのだろう。政治的発言のお目付役を押し付けられたくないという(はかない)望みのためだ。

それが戦略なのだとしたら、Facebookはすでに呆れるほど愚鈍で何も聞かないふりをする者を目指していることになる。同社は、自身の消極的な姿勢が招いた故意にポリシーに逆らった広告の摘発を強いられるという、今まさに渦中にある広告の悪夢への準備を整えたところだ。自ら望んで腐敗した警察官となったのだ。周囲から、パラパラと拍手が聞こえる。

とは言え少なくともそれは、自らの倫理感を迂回して金儲けをしている自分自身への慰めとしては役に立っている。

Erick Fernandez(エリック・フェルナンデス)
アレクサンドリア・オカシオ・コルテスからマーク・ザッカーバーグへの全質問。予備選挙中の共和党員に向けてグリーン・ニュー・ディールに彼らが賛成票を入れたという広告を私が出すことはできますか?』

Twitterの政治広告に対する逆のポリシーも、すでに述べたとおり批判は免れない。実際、政治広告の全面禁止は、一般の認識度が低いところからスタートする新人候補者に不利になるとの批判が起きている。その議論のエネルギーを、選挙費用の厳格な支出制限を含む、選挙運動資金調達の広範な改革に費やしたほうがましかも知れないが、すべての候補者が平等に戦えるようにして政治活動を再起動したいと本当に考えるならそれも必要だ。

また、不正な資金を厳格に管理できる規制も大切だ。それは、変身マントでマイクロターゲッティングによるハイパーコネクティビティーの姿をぼかしながら、嘘を大衆の真実だと偽って宣伝するために民主主義を買収する、あるいはインターネットプラットフォームのリーチとデータを乱用してプロパガンダの目に見えない種を播いては内部から民主主義を変貌させてしまうことを阻止するものだ。

説明責任を負わず民主主義の監視を受けず、豊富なデータを抱える億万長者から安く影響力を買おうという歪んだ関心が、新しい歪められた普通になっている。しかし、それは間違っている。

別の問題も伝えられている。政治宣伝のプラットフォームとしてTwitterは決してメジャーではないことを考えると、 同社の政治広告の禁止は目くらましだと言える。

2018年、米国の中間選挙の間にTwitterが政治広告で得た収益は、300万ドル(約3億3000万円)に満たない。

Ned Segal(ネッド・シーガル)
質問を受けたので:この決断は金ではなく原則に基づくものです。背景として、2018年中間選挙の際に得た政治広告の収益は300万ドル以下であることを公表している。Q4ガイダンスでも変化はない。私はTwitterで働くことに誇りを持っている!

Rich Greenfield(リッチ・グリーンフィールド)
Facebookは政治広告は収益の0.5パーセントだと言っている。2019年の政治広告の予想収益は最大で3億5000万ドル(約380億円)。Twitterは政治広告は300万ドル以下と言っている。2019年の予想収益の0.1パーセントであることを示している。

もうひとつ、Twitterにオーガニックなツイートとして投稿されたものはすべて、政治的な召集の呼びかけに利用できる。

Natasha(ナターシャ)
もちろん、実質的にはTwitterはみんな政治広告。

このでたらめなオーガニック”なツイートは、Twitter上の正真正銘の政治活動だ(ですよね、トランプさん)。

個人の純粋な気持ちではない、意図した(料金を払っていることが多いが)フェイクである偽のオーガニック”ツイートも含まれる。これはゴーイング・ネイティブ”(現地人に染まる)広告と呼ばれている。嘘を真実であるかのように言い広めることを目的とした偽ツイートだ。ボット軍団(偽アカウント)によって増幅され、見た目は普通のツイートを装い(Twitterのトレンドの話題が標的にされ)拡散される。関心を惹くことを目的とした、真実に逆らい歪める、一般の世論を模したジェスチャーとしての非公式”な広告もどきの構造だ。要するに、プロパガンダだ。

ボットのネットワークで宣伝ができるのに、なぜわざわざTwitterの政治広告に金を出す必要があろうか?

ドーシー氏も、一部の著名な政治家(これもまた基本的にトランプだけど)のツイートにはプラットフォームのルールを適用しないハイテク企業のCEOであることを忘れてはいけない。

なので、Twitterが政治広告を禁止すると言っても、世界の指導者たちのツイートには今後もダブルスタンダードが適用される。具体的には、米大統領の独裁的で右翼思想の政治的目標を達成するための弱い者いじめの暴言や脅しを許していることだが、Twitter社はその矛盾を両立させている。

最近になって、Twitterはポリシーをわずかに変更した。無法な世界的リーダーのツイートのリーチに制限を加えるというのだ。だが、引き続き2つのルールで運用される。

この葛藤を自身のツイートストームの中で前面に押し出したドーシー氏の行動は評価できる。彼はこう書いている。

インターネットによる政治広告は、民間の議論にまったく新しい課題を提示しています。機械学習によるメッセージの最適化やマイクロターゲティング、野花しの虚偽情報、ディープフェイクなど。これらすべてが急激に増大し、発達し、圧倒的な規模に発展しています。

こうした課題は、政治広告のみならず、あらゆるインターネット・コミュニケーションに影響を及ぼします。その根本にある問題に、さらなる負担や複雑性、費用をかけずに対処することが得策です。二兎を追うものは一途も得ず、私たちの信頼にも傷をつけます。

ドーシー氏にしては、よい文章だ。彼とTwitterの長年にわたる言論の自由原理主義のことを思えば、驚くほど良い。同社は、表現の自由をインターネット上に蔓延させるために、故意に目をつぶり耳を塞いで、一般社会による制限に対する盾になることで評価を得た。それがなければ、あらゆるひどいことを増幅させる自由”が、マイノリティーを一方的に傷つけ、言論の抑圧につながってしまう。

いわゆる言論の自由は、リーチの自由とは違うと、ドーシー氏は今になって話している。

今回の政治広告禁止に向けて、政治問題の定義に関するTwitterの判断にはいくつか残念なものもあったが、それは、まだ同じ熱い空気の中でもまれているFacebookやザッカーバーグ氏とは対照的だ。民主主義を、自身が所有する会社ですら忠誠を示すことができない二元論的イデオロギーに売り払うという、つじつまの合わないプラットフォームのポリシーを正当化しようとする姿は、硬直しているように見える。

Facebookの収支報告会の最中というドーシー氏のツイートストームのタイミングは、まさにその点を突こうと意図したものだ。

「ザッカーバーグは、複雑性の中に溺れかけている会社を経営しているにも関わらず、微妙な意味合いも、複雑性も、文化的特異性も関係なく、人は言論の自由に賛成か反対かのいずれかでなければならないと信じさせたいようだ」と、文化史家Siva Vaidhyanathan(シバ・ベイドヒャナサン)氏は、ザッカーバーグ氏の言論の自由に関する宣言”を受けた最近のガーディアンの記事で、道徳観を欠いたFacebookを批判した。「彼は、我々の議論をできる限り抽象的に観念論的にしたがっている。Facebook自身のことをあまり近くから見ないで欲しいと思っている」

言論に関するFacebookの立場は、単に抽象論の中でのみ成立する。その広告ターゲティング事業が、規制されていない曖昧さの中の道徳的な怒りとは無縁の場所でしか運用できないのと同じだ。そこに焼き付けられた偏見(アルゴリズムとユーザーによって生成される)は、目に見えない安全なところに隠されているため、人々は、そのことと自分にもたさされる被害とを結び付けて考えることができない。

次々とスキャンダルを生み出すその企業が、今ではそのでたらめなイデオロギーのために議会から呼び出されるまでになったことは驚きに値しない。ここ数年間のプラットフォーム規模の虚報や世界的なデータ漏洩スキャンダルのおかげで、一部の政治家たちはこの問題に詳しくなってきた。彼らは、Facebookのポリシーが現実世界ではどのような形で実行されるか、つまり不正選挙や社会的暴力だが、それをよく見て体験してきている。

関連記事:政治広告の嘘を容認しているとして英国議会がFacebookを非難(未訳)

これらの、プラットフォームの巨人を問題視するようになった政治家たちには、反社会的なソーシャルメディア事業に直接効く有意義な規制を立案することが期待される。

とりわけ、Facebookの自主規制は、いつだって新手の危機管理広報に過ぎない。本物の規制を、先手を売って回避するためにデザインされている。それは、私たちの関心を逆手に取って収入源を堅持しようとする冷笑的な試みだ。同社は、その有害な言論問題の修正に必要な体系的な改革に着手したことは一度もない。

つまるところ問題は、毒性と分断がエンゲージメントを高め、関心を引き、Facebookに膨大な利益をもたらしているということだ。

Twitterは、そのビジネスモデルからは少々距離を保っていると言ってもいい。その理由は、関心を独占して利益を生み出すことに関して、Facebookの大成功の足元にも及んでいないことの他にも、自分の興味に従ってネットワークを構築したりフォローできる大幅な自由をユーザーに与えていることがある。そこでは、アルゴリズムの介入は受けない(たしかにアルゴリズムを使ってはいるが)。

またTwitterはしばらくの間、改革と自称する道を進んでいたことがある。最近になって同社は、プラットフォーム上で会話的健康の推進に責任を持ちたいと語っている。そこにはすでに会話的健康があると言い切れる人間はいないものの、政治広告の禁止がTwitterに迅速な広報の勝利をもたらしたこととは別に、私たちはついに何らかの行動を見ることになりそうだ。

しかし、本当に骨の折れる仕事は今後も続く。例を挙げるなら、悪意のプロパガンダで公的空間が汚染される前にボット軍団を摘発するという作業だ。Twitterはまだ、その可能性が高まっているとは言っていない。

Facebookも、オーガニック投稿を装った政治的なフェイク・コンテンツの尻尾を捕まえられずにいる。フェイクは、ヘイトと嘘を撒き散らし、私たちの民主主義の負担で儲けている。

その手のコンテンツに関して、Facebookは検索可能なアーカイブを提供していない(今では政治的と判断された有料広告には提供がある)。つまり、グループやページでの無料の投稿という、民主主義を狡猾にハッキングする不正資金の隠れ蓑を提供し続けているということだ。

さらにFacebookは、有料政治広告の影響力を隠していたカーテンを開いて透明化すると宣言してはいるが、みごとに失敗続きだ。その政治広告用APIは、学術研究の世界からは目的に適わないいまだに非難されている。その間も、Facebookのポリシーは、政治家による嘘の広告を容認し、外部のファクトチェック団体への圧力を強めている。

Facebookは、組織的な非認証行為と彼らが遠回しに呼ぶ増幅とリーチ稼ぎのために設定した偽アカウントのネットワークを排除する際に、問題となるプロパガンダが米国内から発せられていて、政治的右派に傾いている場合は、偏向した基準を適用している点でも非難されている。

シバ・ベイドヒャナサン(10月26日付けツイート)
4000もの広告主がブライトバートに金を使わなくなったとき、なぜFacebookがブライトバードに資金を出すようになったかを考えて欲しい。
【訳注:ブライトバードは右派のニュースメディア】

Facebookは、例えば米国の保守系ニュースサイトThe Daily Wire(ザ・デイリー・ワイヤー)の内容を専門に広めているとされているFacebookページのネットワークは「米国の実在の人が運営する本物のページであり、彼らは我々のポリシーには違反していない」と主張し、それを否定している(そうした結論に至った詳細は、私たちには明かされていない)。

同社の広報担当者は、こうも言っている。「将来、Facebookのこうしたページに関する情報を人々がより多く得られるよう、透明化を進めています」

同社が約束しているのは、いまだにさらなる透明化”であって、実際に透明化するとは明言していない。そして、Facebookは、法的拘束力が一切ないポリシーの解釈と適用を行う唯一の裁判官で居続けている。つまり、いかさまの規制だ。

さらにFacebookは、国内でヘイトスピーチを撒き散らす特定の人物による有害なコンテンツを何度か禁止してきたものの、例えばAlex Jones(アレックス・ジョーンズ)氏のInfoWars(インフォウォーズ)ページを削除したとき、まったく同一のヘイト・コンテンツが新しいページで復活するのを止められなかった。または実際に、同じようなヘイト思想を持つ複数の人物が、別のFacebook内の公的空間で別のアカウントを持っていたりもする。ポリシー適用に一貫性がないのはFacebookのDNAだ。

それとは真逆に、ドーシー氏の政治広告に反対する姿勢をとるという判断は、良い意味で政治家的に思える。

また、基本的なレベルにおいて、明らかに正しい行動だった。政治活動で集めてきたよりも、ずっと大きな関心を金で買うということは、豊富な資金を持つ人間に有利に働くために逆進的だ。とは言え、Twitterのスタンスでも、金が流れ続け、政治を汚染しているこの崩壊したシステムを立て直すことはできない。

しかも、オーガニックなツイートの形式に収まっている場合に、Twitterのアルゴリズムが政治的発言をどのように増幅させるかについて、本当に詳しいところはわかっていない。そのため、そのアルゴリズムによって強調されるのが、煽動的な政治的ツイートなのか、または情報を提供し団結を求めるツイートなのかは判然としない。

前述したとおり、Twitterのプラットフォームは、全体が政治広告だと言うことができる。同社は、独自の(そして商業的な)エンゲージメント性”を基準にしたツイートを表に出すか抑制するかの判断を、実際にアルゴリズムにさせている。つまり、ツイートされた言葉をどれだけ広く伝えるか(または伝えないか)を選別ことこそが、Twitterの事業なのだ。

そこに数多くの政治的発言が含まれることは明らかだ。トランプのお気に入りのプラットフォームがTwitterなのは、理由があってのことだ。政治広告を禁止したところで、そこが変わることは一切ない。したがって、今回もまた、ソーシャルメディアの自主規制は、よくても端っこを少しいじくる程度のものと考えざるを得ない。

Twitterが政治広告を禁止したのは、関心を集めることを目的としたインターネット・プラットフォームに焼き付けられている構造的な問題から人々の目を逸らすためだと、皮肉な見方もできる。

世界の民主主義と社会が格闘を余儀なくされている有害な政治的論説の問題は、インターネット・プラットフォームのコンテンツの配信方法と公的な討論の作り方が招いたものだ。そのため、本当の鍵となるのは、これらの企業が私たちの個人情報をどのように使って、個々の私たちが目にするものをどのようにプログラムしているかだ。

私たちが心配しているのは、Twitterの政治広告禁止によってドーシー氏が何かのついでに話した根本の問題”から人々の目が逸れてしまう危険性だ(おそらく彼は、彼らの理念に別の定義を持ち出すであろうが。ツイートストームの中で彼は「私たちのシステムが虚報を広めているという批判を止めさせる努力をしている」と話していた)。

Facebookの、同じ問題に関する一般の診断は、つねに、じつに退屈な責任転嫁というものだ。それは単に、人間の中には悪い者もいるがゆえに、悪いものがFacebookでプラットフォーム化されることもあると言っているに過ぎない。問題の原因を人間性にすり替えている。

別の言い方をしよう。インターネット・プラットフォームが有害なプロパガンダを拡散することに関連するすべての問題に共通する核心は、私たちの関心を操作するために人の個人情報を集めているという根本的な事実だ。

マイクロターゲティングという事業(行動ターゲット広告とも呼ばれる)は、すべての人を、なんらかのプロパガンダのターゲットにする。これは、ドナルド・トランプにやられても、ディズニーにやられても、気分のいいものではない。左右非対称だからだ。不均衡だからだ。搾取的だからだ。そして本質的に反民主主義的だ。

またそれは、産業規模で個人情報をあまねく収集し大量備蓄するよう奨励する。したがってそれは自ずとプライバシーの敵であり、安全を脅かし、大量のエネルギーとコンピューター資源を消費する。なので、環境面から見ても不快なものだ。

そしてそれはすべて、非常に卑しい目的のために行われる。他の人たちがあなたに何かを売りつけるために、あなたの情報を売り渡すというプラットフォームだ。石鹸も政治的意見も同じ扱いだ。

このプロセスをザッカーバーグ氏は、Relevant ads”(関連広告)と命名した。下流で私たちの関心を売るのに必要な個人データを吸い上げるパイプに油を注すための億万長者の巧妙な嘘だ。

マイクロターゲティングは、個人にとっても(気味の悪い広告、プライバシーの喪失、偏向やデータ乱用の危険)、また、まったく同じ理由で社会にとっても不愉快なものだ。さらに、選挙への不当な介入や、苦労して勝ち取った民主主義を敵意に満ちた勢力が踏みにじるなど、社会レベルでも深刻な危険をもたらす。

個人のプライバシーは、公衆衛生と同じ、公共の利益だ。病気や、まさに虚報に対する予防接種は、私たち全員を感染症から守ってくれる。

間違いのないように言えば、マイクロターゲティングは、ターゲット広告の料金をプラットフォームが受け取ったときにだけ実行されるのではない。プラットフォームは、つねにこれを行っている。兵器化されたレイヤーを設け、扱うものすべてをカスタマイズしているのだ。

これが、ユーザーが自由にアップロードした情報を大量に配布しプログラムする方法だ。彼らが日課として作り上げている人々の日常の混沌の中から最大限のエンゲージメントを引き出すために、情報を魅力的でパーソナルな物語に作り替える。それを、人間の編集者を大勢雇うことなく行っている。

Facebookのニュースフィードは、行動ターゲット広告が関心を引きつけ保持するのに使用しているものと同じデータ駆動の原則に依存している。Twitterのトップツイート”も、ビューをアルゴリズムでランク付けしている。

これは、ソーシャル”サービスに詰め替えられた大規模な関心操作のプログラムだ。プラットフォームがインターネットのユーザーをスパイして学んだことを、対立を煽り、個人の関心を縛りつけるために利用している。たとえその目的が、私たちを互いに敵対させることであったとしてもだ。

ある特定の政治的な意見を投稿すると、文字通り秒速で、何年も会っていなかったFacebookの友達”から暴力的な反論が示されるのは、そのためだ。Facebookは、彼らが所有するデータのプリズムを通してあらゆる人を神のように監視しているため、その投稿に強烈なパンチを与えることができる。データは、エンゲージメントを跳ね上げる可能性がもっとも高い順にランク付けされ、関連する”ユーザーに表示するようアルゴリズムにパワーを与える。

本物の友だちのグループにそんな遊び感覚のストーカーが含まれているかどうかは、誰にもわからない。みんなの会話を盗聴し、定期的にチェックして、集めた情報を使って友だちを喧嘩させて楽しんでいるような輩だ。そんな人間がグループの親睦を高めるなんてことはあり得ない。しかしそれがFacebookが監視下に置いたユーザーの扱い方だ。

直近の米議会公聴会で、痛い質問をされたザッカーバーグ氏が気まずそうに沈黙したのも合点がいく。

政治家たちも、ようやくデータのためにコンテンツを扱い社会技術プラットフォームに埋め込まれた本当の根本的問題”を理解し始めたようだ。

私たちを招き入れ、注視してもらうことで永遠の親密な間柄を築こうとするプラットフォーム。しかしそれには、スパイによって学んだ、さらなるスパイ技術と、より早くデータを悪用する技術が使われている。

つまり政治広告の禁止は、聞こえはいいが、目眩しだ。あちらからはあらゆる方向から監視されているにも関わらず、こちらからは彼らが何をしているのか見せないようにしているマジックミラーのようなプラットフォームが、社会に反抗して固持しているものを粉砕できる本物の手段は、プライバシーを完全に守れるカーテンを閉じることだ。個人情報に対するターゲティングを許さないことだ。

投稿や広告を表示させるのは構わない。投稿や広告を、少数の一般的な情報に基づいて、その文脈の中で表示するのもいいだろう。住宅や日用品の広告を見たいかどうか、私たちに聞いてもいい。双方で話し合ってルールを決めるのだ。それ以外のこと、つまり誰と話し、何を見て、どこへ言って、何を言ったかなど、プラットフォームの内外での行動については、厳格に立ち入り禁止とする。

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(翻訳:金井哲夫)

Uberが広告事業に参入、新たな収入源を模索

Uberは広告プラットフォームになる。より多くのフードデリバリー注文を取りたいレストランに、Uber Eatsアプリ内のスペースを売る。TechCrunchが見つけたUberの最近の求人情報リストでは、「カスタマーベースを成長させるために、Eatsアプリを利用する人が目新しい料理やレストランを見つけられるようにする新しい広告事業を構築するのを統率」するUber Eats Ads Leadのマネジャーを探している。

Uberの広報は、同社が広告事業に参入しようとしていることを認め、TechCrunchに対し「Eats内での関連広告を模索している」と話した。広告事業は、Eatsのマージンを改善するのに貢献するかもしれない。Eatsでは修正後の純利益でのUberの取り分は10.7%にすぎず、大半はレストランとドライバーにいく。

この新規求人は、Uberが苦境にいる中でのもので、同社は次につながる可能性を探すのに必死だ。Uberの株価は下降線をたどっていて、11月5日は28.02ドルで引けた。これは6月の最高値46.38ドルから40%下がっている。そして今日、Uberの上場後ロックアップ期間が終わり、初期投資家は保有するUber株を売却できるようになった。これは株価への新たな圧力となる。

TechCrunchは今年12月、他社に先駆けてSpecialsと呼ばれるEatsの広告のプロトタイプを見つけた。Specialsでは、レストランは割引を提供する代わりにアプリ内で特集してもらえる。これは、お腹を空かせたユーザーが特定のレストランに注文するのをUberが舵取りできることを示している。

Uberのシニアディレクター兼Eatsプロダクトの責任者であるStephen Chau(ステファン・チャウ)氏にフォローの連絡をとったところ、彼はUberが広告事業に意欲的なことをほのめかした。「レストランと連携をとる方法はたくさんある。もしマーケットプレイスにある全てのレストランを抱えているとしたら、そうしたレストランが成長できるよう、ツールを提供する。そうすることでかなり能率的なマーケットプレイスになる。彼らは広告費用をどこかで使うだろう」とチャウ氏は述べた。以来、我々は同社の広告事業の取り組みをチェックしていた。

予想どおりUber Eatsへの顧客取り込みにつながるかもしれない割引を行うレストランに、アプリでの露出を提供するという単なる報償ではなく、Uberはいま正式に広告を販売する。

「これはUberにとってまったく新しい業界で、トロントに拠点を置くEats Ads Leadはこの新しいプロダクトのビジョンを明確にし、どこから構築し始めるか責任を負う」。

求人情報にはまた、この職に就く人は「広告のための事業やプロダクト、計画戦略をまとめるのに携わり、クリエイティブな実験や初期テストを繰り返し行う」と記されている。Eatsの広告に関してはグローバルな野心があり、リードはこのサービスを「世界中でカスタマイズしてスケール展開することになる」。

こうした取り組みはUberのマーケティングとは別のもので、Uberは乗客やドライバー、Eatsの顧客取り込みに毎年10億ドル(約1090億円)を費やしている。そして広告を買うだけでなく、今度は売ることになる。

Eatsでの広告のアイデアは、食事をオーダーするだけでなく食べたいものを選ぶ場所、という発想から来ている。何かを探すときはいつでも有料のサービスがある。Uberがメーンの配車アプリの中でのEats利用促進にフォーカスするとき、レストランがお金を払って提供する提案にオープンなユーザーをUberは取り込める。

Uberの広告が正確にどのようなものになるかは、詳細は持ち合わせていない。しかしホームページ上やブラウズセクション、あるいは特定の料理ジャンルやレストランを検索したときの結果に広告が表示されるというのは想像に難くない。注文を増やしたいレストランは、お腹を空かせていて何を食べようか迷っているユーザーの目にとまるように、あるいは同じジャンルのレストランの前に表示されるよう有料広告を出すことができる。

Amazonも、マーケットプレイスから広告プラットフォームへと同様に事業を拡大した。eMarketerの予想では、Amazonの米国広告事業は今年33%成長して98億5000万ドル(約1兆700億円)に達する。これは米国広告マーケットの7.6%を占め、Googleに次いで大きな検索広告プレイヤーとなる、としている。

Uberは広告で得たお金を活用することができる。今期、同社は10億ドル(約1090億円)の赤字を計上し、そのうちEatsぶんは3億1600万ドル(約340億円)だった。しかしEatsの売上高は前年同期比で64%伸びていて、人気が高まっていることを示している。これは、ユーザーの注意を十分に引きつけて広告でもうけることができるかもしれないということを意味する。

また、広告はUberにとって、レストラン向けのインテリジェントサービスに深く踏み込むための足がかりとなるかもしれない。Uberはレストランが価格を最適なものにしたり、スタッフを振り当てたり、メニューを改善したりするのをサポートするために、データをEatsに適用することもできる。

株価をなんとかするためのUberの最善策は、ドライバーやレストランと共有しなくてもいい新たな収入源を見つけることだ。かなりのコストからUberを救うために自動運転車両が登場するまでにはまだ数年はかかりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Friendedは現実を重視する新しいSNS

ソーシャルメディアの世界は、数社のメジャーなプレーヤーに支配されている状態だが、それでも消費者は常に新しい何かを求め続けているようだ。TikTokもその1つだろう。

そして、また新しいソーシャルアプリがリリースされた。このFriendedと呼ばれるアプリは、人々をオンラインでつなぐことについて、これまでとはまったく異なった戦略を採用している。Friendedは、Thumbの共同創立者でCEOのダン・クラニ(Dan Kurani)氏が始めたもの。ユーザー同士のつながりが、より深く、意義のあるものになることを目指している。同社はそれが不可欠だと考えている。

Friendedのユーザーは、自分が考えていることや感じていることについて、コミュニティに投稿できる。しかし、街の集会所的なスタイルのグループ会話を育むのではなく、コミュニティのメンバーが、投稿者本人に個人的に応答し、洞察、逸話、アドバイスなどを伝えることができる。

つまり、デリケートな1対1の関係に置かれたときにどう感じるか、ということを共有する機会を作ろうという考え方だ。私自身、しばらくこのアプリを使ってみた。その際には、ニューヨーク市で友達を作る方法とか、自分が他の人について気にかけているほどには、他の人は自分のことを気にかけてくれないと感じるのはなぜか、といったことについて人々と会話してみた。

スレッドには誰でも応答でき、そのスレッドに加えたコメントには、投稿者や応答者が「いいね」を付けることができる。しかし、応答が来た瞬間から、その会話は1対1のプライベートなものになる。

「人々は、これまでにないほど孤独を感じています」とクラニ氏は言う。「その責任の一端は、ソーシャルメディアのアルゴリズムにあります。広告インプレッションを稼ぐために、ユーザーの注目度を高めようとしているだけだからです。みんなが幸せそうにしているのを見れば孤独感は強くなります。そのくせ何か微妙な問題について話そうとすると誰も応答しないのです。それに、完璧であろうとするプレッシャーもあるので、自分を開いて感情を共有するのもかなり難しいものです」。

Friendedでは、常に誰かと話すことができる場所になることを目指しているので、収益源としての広告を排除した。その代わり、一部を有料化する実装に取り組んでいる。現在では、ユーザーは会話のスターターを8時間に1回だけ投稿できる。プレミアムユーザーは、週4.99ドル(約540円)を払えば、好きなだけ投稿できるようになる。また、近所にいる人に話しかけるなど、いくつかのプレミアム機能も使えるようになる。

Friendedは、Jonah Goodhart(ジョナ・グッドハート)氏、Lara Otte(ララ・オッテ)博士、Jared Fliesler(ジャレッド・フライスラー)氏、Bobby Goodlatte(ボビー・グッドラテ)氏などの投資家から50万ドル(約5450万円)のシードラウンドを達成している。同社は毎月のアクティブユーザー数を公開していないが、ベータ期間中に50万人の登録ユーザーを集め、1アクティブユーザーあたり、1日平均11のセッションが開始されたことを明かした。先月だけで、250万件以上のメッセージが送信されたという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

NBA TVがネット視聴者向けに試合のライブやオリジナルコンテンツを配信

コードカッター(ケーブルテレビの契約をやめてネットで動画を視聴する人のこと)のバスケットボールファン向けに、バスケを余すところなく楽しめる新たな選択肢が登場した。NBA TVは11月5日、公式に消費者と直接購読契約を結ぶサービスを開始した。こうした動きはスポーツリーグネットワークとしては初めてだ。ウェブのNBA.comとNBAアプリの両方で利用できるこのサービスは、視聴が制限されている100以上の試合やオリジナルプログラム、オンデマンドビデオを月6.99ドル(約760円)で閲覧できる。年払いの59.99ドル(約6500円)だと少し安くなる。

このサービス開始による有料テレビ視聴者への影響はなく、これまで通りTVプロバイダーの認証によりNBA TVを視聴できる。

NBAとTurner Sportsが共同で管理するNBA Digitalはこのほど、Center Courtという名称の新たなフランチャイズを発表した。新たなカメラのアングルや、セレブのインフルエンサーを含むライブのオンスクリーンチャット、徹底分析、統計グラフィックスなどを含めた、視聴体験を向上させるための実験を行う。

ゲーム(リストはここにある)はウェブとモバイルのほか、メーンのCenter Courtブロードキャストを通じてNBA TVでも特集される。そこでは改善された「フロントコート」と「バックコート」のストリームが用意されている。フロントコートのストリームは、順番で担当が代わるNBAインフルエンサーのグループによるオーディオ代替のオプションとなる。一方で、バックコートストリームは統計の重ね合わせなどSecond Spectrumテクノロジーを活用する。

Center Courtのカバレッジは2019〜2020年にかけてのシーズン期間中に利用できる。

視聴体験の向上に加え、NBA TVは放映権許諾地域でのみ放映される100以上の試合と、WNBA、NBA Gリーグ、LNBA サマーリーグのライブを約束している。そしてスタジオ番組やレポート、「Beyond the Point」のような雑誌スタイルの番組、「Shaqtin’ a Fool」のようなタレントショー、試合前の番組、「The Warm Up」、そして「NBA Crunchtime」「NBA Game Time」といった毎晩の番組などオリジナルのプログラムも用意されている。

新しい番組は、「The List」「#Handles」「Say What」「High Tops」「Basketball Stories」などソーシャルなやりとりやレジェンド、現役のプレイヤーにフォーカスしている。そして、昔の試合や2000〜2019年のNBAファイナル、その他のアーカイブコンテンツに24時間いつでもアクセスできる。

NBA TV購読者はまた、NBA TVを購入したり加えたりするのと同じNBAアプリとウェブサイトからすべてのNBAの試合にアクセスできるようになるプレミアムな購読サービスNBA League Passを購入することもできる。購読すれば、ウェブやモバイル、ネットに接続しているTVデバイスやゲームコンソールでNBA TVを視聴できる。

「イノベーションは常に、NBA Digitalパートナーシップと直接消費者に向けたプロダクトの立ち上げの中心にあった。新たなコンテンツイニシアチブでもって、NBA TVとブランドの蓄積されたポートフォリオを利用する機会をNBAファンに提供する」と Turner Sportsの上級副社長兼ゼネラルマネジャーのTina Shah(ティナ・シャー)氏は発表文で述べた。「スポーツ消費は発展しつつあり、ファンがプレミアムなNBAコンテンツにアクセスして楽しめるよう新たな機会の模索を続ける」

ライブスポーツへのアクセスは、ファンが従来の有料TVの契約を続ける要素の1つだった。しかしこのところ、ケーブルからネットへの移行を簡単にするさまざまなリソースが登場している。ここには、MLBのMLB.TVのような特定のスポーツ専門のものや、Amazon Prime VideoでのNFLの試合のような、ソーシャルメディアなどを介しての試合のライブストリーミングも含まれる。また、より包括的なライブのスポーツに対するスポーツファンの需要から生まれたfuboTVのようなフルサービスもある。

しかし新たな鑑賞方法があっても、ブラックアウト規制はファンを有料テレビにつなぎとめ(ログインするのにおそらく友人のアカウントを使用する)、またはVPNへと向かわせる。NBA TVではこうしたものを解決できないだろうが、ファンに試合やNBAのコンテンツをもっと視聴してもらうことはできる。

画像クレジット:Moses Kinnah / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Shopify上のオンライン店舗で手軽にメールマーケティングが可能に

誰でもネットショップを開けるサービスShopifyがこのところ、eコマース以外のサービスを次々と提供している。最近立ち上げた新サービスが、メールによるマーケティングのShopify Emailだ。

Shopifyのプロダクト担当最高責任者のCraig Miller(クレイグ・ミラー)氏とマーケティングテクノロジー担当部長のMichael Perry(マイケル・ぺりー)氏は米国時間11月4日、そのデモを見せてくれた。ミラー氏はそれを、「eコマースのために設計された初めてのeメールプロダクトだ」と主張している。

まずそれはShopifyの上でユーザーが開いている店舗に組み込まれているので、簡単にメールによる商品の宣伝ができる。また、そのメールが実際に売上に及ぼした効果もわかる。そしてShopifyのデータに基づいて、メールを送るべき顧客を選別できる。

ペリー氏は「自慢できるのは、われわれがメールマーケティングのプロになったことだ。いろいろ調べたところ、セグメンテーション(層別分類)の価値を分かっていない人が多い。そこでうちは、送付先の正しいリスト機能を組み込むことによってメールマーケティングの効果を高めたのだ」と語る。

Shopify Emailは現在、Shopify上の限られた店舗でテストしている。本番展開は来年の予定だ。ミラー氏によると、使用料はテストの時点では無料だが、一般公開時の料金は追って発表するそうだ。

Shopifyは最近ほかにも、ネット上ではない実店舗のためのPOSハードウェアや、広告キャンペーンのためのツールを新製品として発表している。

ミラー氏によると「うちの新製品に共通しているのは、各お店が顧客に直接売れるようにすることだ。最近は、消費者に直接という言葉が流行っているけど、それは弊社が15年も前からやってることだ」とのこと。

関連記事:Shopifyが密かにB2BeコマースプラットフォームHandshakeを買収

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

YouTubeがクリエーターを支援するスタンプ[Super Stickersを公開

YouTubeは7月に予告していたクエリーター向けの新たな収入源としてSuper Stickersを世界で公開した。このステッカーないしスタンプはファンがクリエーターを支援するために少額の「投げ銭」を支払える仕組みでSuper Chatと似ている。

有料のSuper Chatを購入すると投稿メッセージがライブチャットのストリームのトップに一定期間ハイライトされる。クリエーターがSuper StickersないしSuper Chatを利用するには収益化可能なチャンネルを設置し、1000人以上の登録者を集めている必要がある。

熱心なファンから随時収入を得る方法としてSuper Chatがスタートしてからすでに3年近くたっている。この機能は大量のメッセージが飛び交う人気あるクリーエターのライブチャットのストリーム中で非常に有効であることが示されている。 ライブ配信のチャットで投稿者のメッセージがハイライトされるという点ではTwitchのCheering機能に似ている。

購入者のプロフィール写真と色付きメッセージが購入金額に応じた一定期間ストリームのトップに表示されるのでたいへん目立つ。YouTubeによれば、公開以後すでに10万以上のチャンネルがSuper Chatを利用しており、なんと毎分400ドル(4.4万円)もの収入を生んでいるという。

これに対してSuper StickersはTwitchでいえばCheermotesに似ており、チャット内に有料でスタンプないしステッカー(GIFアニメの場合もある)を投稿する仕組みだ。

YouTubeのSuper Stickersのルック&フィールはもちろんTwitchとはまったく異なる。TwitchのGemやカスタマイズされたCheermotesよりも一般のソーシャルメディアのメッセージで用いられるスタンプに近い。YouTubeでは「Super Stickersはゲームだけでなく、ファッション、美容、スポーツ、音楽、料理など広いカテゴリーで有効だ」と述べている。

ローンチ時点で8種類のSuper Stickersが利用可能だ。5種類はアニメ化されている。「Hi, Popo」はカバ(ヒポポタマス)をキャラクターにしている。「Baby Lemon」はレモン、「Energetic Lemon」は元気のいいレモン、「Bushiba」は日の丸の鉢巻でサムライの格好をした柴犬、それに「Biggest Fans」(大ファン)などがある。

これらのSuper Stickersは、英語、日本語のほかにフランス語、韓国語、ポルトガル語のキャプションがつく。Super Chatを利用している60カ国のクエリーターは即日利用可能だ。YouTubeによれば、Super Stickersの価格は99セントから50ドルまでだという。

YouTubeがSuper Stickerの登場を予告したのはこの7月のVidConイベントで、「新しいステッカーが2019年中に利用できるようになる」としていた。その後Super Stickerは一部でベータテストが開始されたものの、世界で広く利用できるようになったのは今日が初めてだ。

Super StickersはこのところYouTubeが力を入れている収入のチャンスを増やしてクリエーターを支援する仕組みの一環だ。同社は2018年以降、チャンネル登録、商品販売、プレミアプランなどを導入していいる。

YouTubeのこうした努力にはTwitchの影響が強く感じられる。Super Chat、Super StickersがTwitchの機能によく似ていることのほかにも、ゲーム・カテゴリー、YouTube Gamingに導入されたスポンサーシップはTwitchのライブビデオ視聴の有料メンバーシップモデルにそっくりだった。

YouTubeではTeespring、Crowdmade、DFTBA、Fanjoy、Represent、Rooster Teethなどのパートナーと提携し、チャンネルの動画の下部に商品購入棚を用意した。最近ではMerchbarと提携し、アーティストが物販からも収入を得られるようにしている。またこれ以外にも広い層ののクリエーターを支援するプログラムが実行されている。

YouTubeではこれらのプロジェクトがどれほどの効果を上げているのか具体的な数字は示していないが、今年始めに「Super Chatなどのプログラムを導入した数千のチャンネルが収入を2倍以上に増加させた」としている。

Super Stickersは本日、全種類が公開されたが実際にライブチャット中で利用できるようになるには数日かかる場合もあるという。プロセスは今週中に完了するとYouTubeは述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Microsoft TeamsにYammerとの統合やセキュアなプライベートチャネルなどの新機能

Microsoft(マイクロソフト)のYammer(ヤマー)といえば、原始的なSlackのような、あまりリアルタイムでもないチャットアプリで、もうなくなってしまったと思う人がいても無理はない。しかし実は生きていて、しかも元気だ。全社的なチャネルやチーム全体へのお知らせといった動きの速くないソーシャルネットワークの用途で使われている。米国時間11月4日、同社はYammerをSlackのライバルであるMicrosoft Teamsに統合すると発表した。Teamsでは、Yammerは左のサイドバーに置かれる。

SAN FRANCISCO, CA – MARCH 30: Microsoft CEO Satya Nadella delivers the keynote address during the 2016 Microsoft Build Developer Conference on March 30, 2016 in San Francisco, California. The Microsoft Build Developer Conference runs through April 1. (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

これにより、マイクロソフトの2つの企業向けコミュニケーションプラットフォームはついに一緒に成長していくことになり、ユーザーは動きの速いチャットはTeams、FacebookのMessengerやニュースフィードのような社内SNSはYammerと、お互いに補完しながら使い分けられるようになる。

Yammer自体も、全プラットフォームにわたってマイクロソフトのFluent Design Systemを使って再設計された。またYammerをOutlookにも組み込み、受信メールボックスから直接、メッセージに返信できるようになる。新しいYammerは12月にプライベートプレビューとして公開が開始される。

今回のアップデートで、Teamsにはほかにも、セキュアなプライベートチャネル、マルチウィンドウのチャットとミーティング、チャネルのピン固定、Microsoft To DoおよびPlannerとのタスクの統合(To Doアプリは1つでは不十分なようだ)など、多くの新機能が追加される。Teams Roomsも大幅に機能強化され、Cisco WebExとZoomのミーティングのサポート、緊急通話に対応したTeams Phone System、管理者がTeamsのセキュリティを守るためのIT管理機能が追加される。

Linux版のTeamsクライアントも開発中で、今年中にはパブリックプレビューが公開される予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトが共同編集ツール「Fluid Framework」の公開プレビューを開始

今年前半にMicrosoft(マイクロソフト)が開催したデベロッパーカンファレンスのBuildで、最も興味深く、そして最もわかりづらかったニュースのひとつが、同社のFluid Frameworkの初めての一般公開のデモだった。Fluidは複数のデベロッパーがリアルタイムでコードを共同編集するツールだ。しかし同社はそれをOfficeやOutlookのような自社のツールにも入れてしまった。そのため、単なるコーディングエディターというより、ドキュメントのルック&フィールの形を変えてしまうものだった。

米国時間11月4日、フロリダ州オーランドで行われた同社のクラウドテクノロジーのためのカンファレンスであるIgniteでは、そのFluid Frameworkのエンドユーザー体験の初めての公開プレビューと、デベロッパーのための非公開プレビューが提供された。

マイクロソフトが言うには、Fluidのメインの能力は3つある。ひとつは複数の人が共同でドキュメントを編集できること。そしてドキュメントモデルをコンポーネントに分割できること。それから、テキストのリアルタイム翻訳とか語句の提案などさまざまな機能を持ったインテリジェントエージェントを組み込めることだ。

これらは、あるところまではGoogle Docsとあまり変わらないし、Officeにあるマイクロソフト自身のコラボレーション機能にも似ている。新しいのは、マイクロソフトがこれをデベロッパーに公開し、Fluid Frameworkをドキュメントを解体してコンポーネントに分割する新しい方法と見なしていることだ。そのようなドキュメントを、いろんなアプリケーションで利用できる。

マイクロソフトの計画ではFluid FrameworkをMicrosoft 365全体の、さまざまなユーザー体験に組み込んでいく。具体的には、Teams、Outlook、SharePoint、OneNote、Officeなどいろいろだ。関心のある方は、公開プレビューを見て試してみればドキュメントの編集方法がどんな感じかわかるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa