Uberがフードデリバリー大手のGrubhubと買収交渉、成立すればDoorDashを抜き米国シェア1位に

Uber(ウーバー)は、全額株式交換によるGrubhub(グラブハブ)の買収に付いて交渉中であるとThe Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル、WSJ)が伝えた。同紙の情報筋によると、Grubhubは同社の1株に対してUberの2.15株を要求している。

Uberが最初にGrubhubに接近したのは今年の初めだったが「両社の交渉はいまも続いている」とWSJは書いている。Bloomberg(ブルームバーグ)は、今月中には契約がまとまるのではないかと報じている。今から数カ月前にGrubhubは、UberやDoorDash(ドアダッシュ)などの会社に売却を持ちかけている(未訳記事)という話が持ち上がった。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、フードデリバリー業界が熱い。第1四半期、Uber Eats(ウーバーイーツ)は総取扱高46.8億ドル(約5017億円)、前年比52%増と大きく伸びた。一方Grubhubも食料品総売上が16億ドル(約1715億円)と前年同期の15億ドル(約1608億円)から上昇した。

しかし、Uber Eatsの市場シェアは2020年3月現在20%でGrubhubは28%、一方DoorDash(ドアダッシュ)のシェアは42%であると調査会社のSecond Measure(セカンド・メジャー)は報告している。Uber EatsとGrubhubが合併すれば、オンデマンドフードデリバリー分野におけるUberの優位性が高まることは間違いない。

今月、Uber Eatsがフードデリバリーサービス市場でトップか少なくとも2位を目指していることが明らかになった。5月初め、Uber Eatsは、チェコ共和国、エジプト、ホンジュラス、ルーマニア、サウジアラビア、ウルグアイ、ウクライナの各国から撤退した。またアラブ首長国連邦では、現地のライドシェエリング完全子会社であるCareem(カリーム)にフードデリバリー事業を移管した。

「一連の決定は、Uber Eats市場全体で1位または2位を目指すという当社の現行戦略の一環であり、一部の国への投資を強化する一方、一部からは撤退する」とUberが提出書類に記載した。

現在Uberの株は7.65%高の34.05ドル、Grunhubは28.61%高の60.23ドルでそれぞれ取引されている。Grubhubは本件に関するコメントを拒んだ。Uberからはまだ返答がない。

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画像クレジット:Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンがインドのフードデリバリー市場にまもなく参入か

インドのフードデリバリー市場では、数週間前にUber(ウーバー)が地元大手のSwiggy(スイッギー)とZomato(ゾマト)に敗北したことを認め、撤退した。そして今度は別の新しいプレイヤーが、SwiggyとZomatoの2社が市場の大半を占めている厳しい市場に挑戦する準備をしているという。その新しいプレイヤーとは、Amazon(アマゾン)だ。

画像:Pradeep Gaur / Mint / Getty Images

Amazonは今後数週間以内にインドのフードデリバリー市場に参入する計画だと、情報筋はTechCrunchに語った。このサービスはAmazonのPrime NowまたはAmazonフレッシュの一部として提供され、3月にも開始される可能性がある。

このビジネスがまだ非公開であることを理由に情報筋が匿名を条件として語ったところによると、Amazonは開始に向けてバンガロールにあるいくつかのレストランをパートナーとしてフードデリバリーサービスのテストをしてきた。

ここ数四半期、Amazonはフードデリバリービジネスに取り組んでいて、以前はインドの大きな祭りで10月または11月に開催されるディワリの時期にサービスを開始しようとしていた。これが遅れた理由は不明。

Amazonの広報はTechCrunchに対し「我々はお客様のために革新を起こし、お客様の新しいエクスペリエンスを生み出している。この信念の一環として、常に新しい分野やチャンスを検討し、お客様とつながりを持ちサービスを提供している。今後何か進展があれば発表する」と述べた。

TechCrunchでは、インドのレストランのパートナーとの間で交わされた何らかの合意を確認することはできなかった。インドのレストランの多くはオンラインのフードデリバリー事業者に対し、不満を募らせている

Amazonがフードデリバリー市場に参入するとなれば、Prosus Venturesが支援するSwiggyとZomatoにとっては新たなライバルとなる。Zomatoは10年前に創業したスタートアップで、1月にUber Eatsのインドでの事業をおよそ1億8000万ドル(約195億円)で買収した。

SwiggyとZomatoは両社の合計で20億ドル(約2200億円)以上を調達しているが、まだ黒字にはなっていない。新規顧客の獲得と既存顧客の維持に、毎月1500万ドル(約16億円)以上をつぎ込んでいる。

India QuotientのVC、Anand Lunia(アナンド・ルニア)氏は最近のポッドキャストの中で「フードデリバリー企業の選択肢は少なく、自社プラットフォーム上のフード商品のコストの一部を負担し続けていかなければ顧客の大半は商品を購入することはできない」と語った。

インドで採算をとるのは、米国などの先進的な市場に比べると難しい。バンガロールを拠点とする調査会社RedSeerの試算によれば、米国ではデリバリーの単価は約33ドル(約3300円)だが、インドでは同等のデリバリーの単価は4ドル(約440円)だという。

おそらくこのことが、ここ数年、SwiggyもZomatoもフードデリバリー以外の事業に手を広げてきた理由だ。Swiggyは現在、インド最大のクラウドキッチンのネットワークを運営していると述べており、フード以外の多くの商品のデリバリーも始めている。Zomatoは「Project Kisan」と称して生鮮食品を農家や漁師から直接調達し、レストランに対する食材供給のコントロールを試みている。

Amazonがインドでフードデリバリービジネスを成長させるのは簡単ではない。Swiggyの1社だけで、インドの520以上の都市で事業を運営し、16万以上のパートナーを得ている。

現地時間219、Swiggyは最新の資金調達に関する発表の中で、毎月1万のペースでパートナーを増やしていると述べた。RedSeerによれば、昨年末時点で42億ドル(約4600億円)だったインドのフードデリバリー市場は厳しい状況にあるという。

Amazonは独自のロジスティクスチェーンと地元の多くの店舗との提携により、インドで密度の高い配送ネットワークを確立してきた。

Amazonの動きは、インドでの最大のライバル、Flipkart(フリップカート)が食品小売ビジネスに参入するのと時を同じくしている。Flipkartは昨年、同社の株式の大半をウォルマートに160億ドル(約1兆7300万円)で売却した。FlipkartグループのCEO、Kalyan Krishnamurthy(カリヤン・ クリシュナムルティ)氏が昨年10月にTechCrunchに述べたところによると、同社は食品小売に特化した「Flipkart Farmermart Pvt Ltd」という会社を登記した。

クリシュナムルティ氏は、同社が食品小売に参入するのは「インドの農業や食品加工産業を成長させるための、我々の重要な取り組みのひとつ」だと述べ、すでに多くの小規模農家と提携しているという。Flipkartは新事業にすでに2億5800万ドル(約280億円)を投資している。1月には新鮮な野菜と果物の配送をテストしたと、インドの新聞、Economic Timesに報じられた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

フードデリバリー大手のDoorDashがIPOを非公開申請

米国でのオンデマンド・フードデリバリーの戦いは未だにヒートアップを続けている。米国時間2月27日、DoorDashは証券登録届出書のForm S-1をSECに非公開で提出したことを発表し、現在確認手続き中であると語った。売出し予定の株数やIPO株価の範囲、次のステップの時期などについては何も語っていない。

株式公開は、同社がオンデマンド配達業界の重要な時期に大規模な資金を調達するひとつの方法だ。競合は激烈で全世界で多くの統合が起きている。このニュースのタイミングも、いかにこのビジネスがキャッシュに依存しているかを強調している。一部で米国フードデリバリー市場のトップと見られているDoorDashは、わずか3カ月前の昨年11月に調達ラウンドを終えたばかりだ。調達額は7億ドル(約762億円)で、当時の会社評価額は130億ドル(1兆4160億円)だった。

DoorDashが、カナダ、プエルトリコ、オーストラリアとともに主要な市場としている米国で、同社は市場シェア38%を占めていると言われている。シェア10%のPostmates、20%のUber Eats、伝統的企業であるGrubhubは31%と熾烈な争いを繰り広げており、資金も多く必要だ。この激しい競争は極めて資本集約的であり、DoorDashがUber EatsとPostmatesとの合併を目論んでいるという噂がここ数年出回っている。

しかしDoorDashはそれ以外にも課題を抱えている。数千人の契約労働者との接し方や支払いに関する労働問題のほか、昨年のデータ漏洩問題は、500万人近い顧客、労働者、売り手などに影響を与えた。ほかにも、Scotty Labsを買収して自動運転システムの導入(人間の配達ドライバーの補助または置き換え)を検討するなど技術蓄積も密かに進めている。

IPOを非公開申請することで、まだ「成長」段階にあるスタートアップ(ほとんどが赤字)が、手続き中に世間の監視を受けることなく準備を進められる。SpotifyとSlackが取った手法で、必ずしもIPOにつながらない(両社は上場済み)。WeWorkの申請とその後会社の状態を詳しく公表したしてからのUターンを思い出してほしい。またPostmatesは1年前にIPO申請したが、その後資金調達を行っており、上場は遅らせると言われている。

画像クレジット:Photo by Tibrina Hobson/Getty Images for Los Angeles Times Food Bowl / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フードデリバリー大手のDoorDashがIPOを非公開申請

米国でのオンデマンド・フードデリバリーの戦いは未だにヒートアップを続けている。米国時間2月27日、DoorDashは証券登録届出書のForm S-1をSECに非公開で提出したことを発表し、現在確認手続き中であると語った。売出し予定の株数やIPO株価の範囲、次のステップの時期などについては何も語っていない。

株式公開は、同社がオンデマンド配達業界の重要な時期に大規模な資金を調達するひとつの方法だ。競合は激烈で全世界で多くの統合が起きている。このニュースのタイミングも、いかにこのビジネスがキャッシュに依存しているかを強調している。一部で米国フードデリバリー市場のトップと見られているDoorDashは、わずか3カ月前の昨年11月に調達ラウンドを終えたばかりだ。調達額は7億ドル(約762億円)で、当時の会社評価額は130億ドル(1兆4160億円)だった。

DoorDashが、カナダ、プエルトリコ、オーストラリアとともに主要な市場としている米国で、同社は市場シェア38%を占めていると言われている。シェア10%のPostmates、20%のUber Eats、伝統的企業であるGrubhubは31%と熾烈な争いを繰り広げており、資金も多く必要だ。この激しい競争は極めて資本集約的であり、DoorDashがUber EatsとPostmatesとの合併を目論んでいるという噂がここ数年出回っている。

しかしDoorDashはそれ以外にも課題を抱えている。数千人の契約労働者との接し方や支払いに関する労働問題のほか、昨年のデータ漏洩問題は、500万人近い顧客、労働者、売り手などに影響を与えた。ほかにも、Scotty Labsを買収して自動運転システムの導入(人間の配達ドライバーの補助または置き換え)を検討するなど技術蓄積も密かに進めている。

IPOを非公開申請することで、まだ「成長」段階にあるスタートアップ(ほとんどが赤字)が、手続き中に世間の監視を受けることなく準備を進められる。SpotifyとSlackが取った手法で、必ずしもIPOにつながらない(両社は上場済み)。WeWorkの申請とその後会社の状態を詳しく公表したしてからのUターンを思い出してほしい。またPostmatesは1年前にIPO申請したが、その後資金調達を行っており、上場は遅らせると言われている。

画像クレジット:Photo by Tibrina Hobson/Getty Images for Los Angeles Times Food Bowl / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

“副業型クラウドキッチン”で飲食店のキッチン稼働率を上げる「クラウドフランチャイズ 」が資金調達

飲食店のアイドルタイムと人気のフードデリバリーブランドを繋ぐ「クラウドフランチャイズ」事業を展開するCLOUD FRANCHISEは2月26日、THE SEED、野口圭登氏、西尾健太郎氏を引受先とする資金調達を実施したことを明らかにした。具体的な金額は非公開だが、数千万円規模の調達になるという。

ここ数年、「クラウドキッチン」と呼ばれるネット注文特化型のキッチンしか保有しない店舗や、デリバリーに注力した「ゴーストレストラン」タイプの飲食店に注目が集まっている。日本国内でもUber Eatsを含むデリバリープラットフォームの広がりに伴い、デリバリー専業ないしデリバリーを主力とした飲食店が登場し始めた。

CLOUD FRANCHISEではその中でも人気を集めるフードデリバリーブランドと、キッチンの稼働率を上げたい飲食店をフランチャイズのスキームを用いて繋ぐことで双方の成長を後押しする。

飲食店の空き時間をクラウドキッチンに変える

具体的には飲食店の空き時間にフードデリバリーブランドを導入し、飲食店スタッフがデリバリーメニューを調理した上でUber Eatsなどを通じて顧客に届ける。たとえば夜だけ営業をしている焼肉屋や居酒屋が、お昼の空き時間を使って“副業的に”ゴーストレストランを経営するようなイメージだ。

デリバリー用のメニューは冷凍もしくは冷却(チル化)された状態で飲食店に届き、電子レンジで温めたりなど簡単な調理だけで完成するため飲食店側の負担が少ないのが特徴。飲食店は空き時間で新たな収益源を作れる。

一方のデリバリーブランドにとってはフランチャイズ形式を採用しているため、自社ブランドの店舗をコストを抑えながらスピーディーに拡大できるのがメリットだ。各飲食店が自社のクラウドキッチンとしてデリバリー拠点の役割を果たすため、複数のエリアに一気に進出することもできる。

CLOUD FRANCHISEは両者をマッチングする立場だが、マッチングといってもWeb上でプラットフォームを提供している訳ではなく、現在は1つ1つの飲食店とブランドを手動で繋いでいる。販売データやUber Eatsなどのプラットフォーム上で公開されているデータを分析し、エリアごとの特性などを見極めた上で、どの飲食店にどのブランド(メニュー)を導入するかを決めているそうだ。

「キッチンスペースや冷蔵庫などの大きさなど飲食店側の設備の特徴に加えて、たとえばカレーがよく売れるエリアなどエリアごとの特性も踏まえて提案している。あくまで本業に支障が出ない範囲という前提で、最初はだいたい5つのメニューで毎日20食の注文が入るようなイメージで導入してもらっている」(CLOUD FRANCHISE代表取締役の桑原竣亮氏)

年内に100店舗以上の出店目指す

現在ベースとなっている副業キッチンプランではCLOUD FRANCHISEが仕入れ費用(ブランド側からメニューを購入する費用)を負担するため、飲食店側の初期費用や手数料などはゼロ。実際に売れた金額の内15%が飲食店に支払われ、残りの85%からデリバリープラットフォームの手数料や仕入れコストを引いた金額が同社の収益となる仕組みだ。

仮に月の売上が100万円だったとすると、飲食店に入ってくるお金は15万円になる計算。これが大きいか小さいかは飲食店ごとによっても捉え方が変わってきそうだけれど、ある店舗では撤退を検討しているタイミングでサービスを導入したところ「導入初月で100万円の売上を達成できたために運営の継続に繋がった」事例もあるとのこと。

桑原氏の話では特に小規模な飲食店や一等地から少し離れた店舗などには相性が良い反面、大規模な駅近くの一等地などの飲食店とは合わずメインターゲットにはならないという。

現時点では究極のブロッコリーと鶏胸肉など複数のブランドと都内を中心に約10店舗の飲食店が集まっている状況。今回の資金調達では主に人材採用を強化し、飲食店数を年内に100店舗以上へ拡大することを目指す。

CLOUD FRANCHISEは2018年4月の創業。代表の桑原氏が最初にビジネスに触れたのは10代の頃にライフネット生命保険創業者の出口治明氏らの講演会を企画・運営したこと。その後インスタグラマーのアパレルブランド作りを支援する事業を立ち上げ、売却を経験した。

これまでの事業を通じて人のブランドやIPを適切な形で届けることができれば多くの人に喜んでもらえることを体感したそうで、それが今回の事業にも繋がっている。「強いIPを最大限活かせる事業を考えた時に行き着いたのがフランチャイズのモデル。中でも1番参入しやすいと感じたのがフードデリバリーだったため、クラウドキッチンやゴーストレストランの文脈からスタートした」(桑原氏)

フードデリバリーのDoorDashが490万人の個人情報流出を確認

DoorDash が先ごろ報じられた個人情報流出を確認した。

フードデリバリーの有力企業は木曜日の公式ブログで顧客、従業員、登録先、合計490万件の個人情報がハッカーに窃取されていたと発表した。同社によればハッキングが起きたのは今年の5月4日で、2018年4月日以降のユーザーにには被害はなかったという。

DoorDashがデータを盗まれたことに気づくのに5カ月もかかった理由は明らかではない。

DoorDashの広報担当であるMattie Magdovit(マッティ・マグドヴィッド)氏は「実際にハッキングされたのはサードパーティーのプロバイダーだったため」と発見の遅れを説明している。このプロバイダーの実名は明かされていないが同氏は、「我々はただちに対策チームを組織し、外部のセキュリティー専門家に詳細の調査を依頼した」としている。

2018年4月4日ないしそれ以前にこのプラットフォームに参加したユーザーは、氏名、メールアドレス、配達先住所、注文履歴、電話番号などが盗まれた。パスワードも流出したがハッシュ化され、ソルトを付加されていたという。

DoorDashによれば、盗まれたカード情報は番号の下4桁の数字だった。幸いカード番号全体、セキュリティーコード(CVV)は安全だった。配達従業員と登録マーチャントは銀行口座番号の下桁を盗まれた。

また約10万人の配達従業員の運転免許情報も流出したという。

ちょうど1年前のいまごろ、DoorDashの顧客多数がアカウント情報がハッキングされたと苦情を申し立てた。当時DoorDashは自社システムが侵入されたことを否定し、カード情報の悪用はクレデンシャルスタッフィングによるものだと主張した。これは一種の総当り法で、ハッカーは他のサイトから流出したパスワードとユーザーのリストを利用し、別のサイトで同じユーザーが同じパスワードを利用しているかどうか試してみるなどの方法による攻撃だ。しかしTechchCrunchが取材した多くのユーザーはパスワードの使いまわしを否定し、「DoorDashのみのパスワードだった」と主張していた。

当時、我々の取材に対し、DoorDashはアカウントがどのような方法で攻撃を受けたのか説明できなかった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フードデリバリーのPostmatesが非公開で上場申請、今年はユニコーンのIPOラッシュ

先ごろ1億ドルのプレIPOラウンドを実行したフードデリバリーのPostmatesがSEC(証券取引委員会)に非公開で上場申請書類を提出していたことが明らかになった。これはBloombergがまず報道し、その後Postmates自身がブログで確認した。

18億5000万ドルの時価総額を目標に上場が行われる予定だが、これは先月1億ドルの資金調達を行ったときの評価額だ。PostmatesはSpark Capital、Founders Fund、Uncork Capital、Slow Venturesなどのベンチャーキャピタルから総額で6億8100万ドルの資金を調達している。

創立8年になるPostmatesは上場幹事としてJPMorgan Chase、Bank of Americaと話し合いを行っているという。

Postmatesはフードデリバリー市場でUber Eats、DoorDashなど何社かの有力なライバルと激しい競争を繰り広げている。同社は毎月500万件の配達を実行しており、2018年のフードデリバリーでは12億ドル分の料理を宅配して4億ドルの収入を得たと報じられている

現在、Postmatesは世界の550以上の都市で事業を展開している。最近ではさらに5000万の潜在的顧客を有する100都市を追加し、事業の拡大を図っている。

これでPostmatesも2019年に上場を計画している多数のユニコーン(評価額10億ドル以上のスタートアップ)のクラブに仲間入りした。2018年末にLyftとUberも公開で上場申請を行っている。TechCrunchはSlackが非公開で上場を申請していることを報じたばかりだ。

画像:Postmates

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滑川海彦@Facebook Google+

東南アジアでUber事業を買収したGrab、フードデリバリーにも進出――インドネシアのGo-Jekは強力なライバル

さる3月下旬にUberの東南アジア事業を買収したタクシー配車サービスのGrabがフードデリバリー事業にも乗り出した。今日(米国時間5/28)、GrabFoodがスタートした。

このサービスはここしばらくタイなど数カ国でベータ版としてテストされていたが、いよいよGrabの本社があるシンガポールで正式にスタートした。また近くGrabの主要マーケットである東南アジア6カ国で営業を開始する。

Grabが東南アジアでUberの事業を買収した中にはUberEatsも含まれていた。UberEatsの運営を停止する前にマーチャントとユーザーベースはそのままGrabFoodに引き継がれる。

GrabFoodはシンガポールではスタンドアローンのアプリとなるが、オンデマンドでオートバイ・タクシーを提供している諸国ではGrabの配車サービスと一体で提供される。新サービスは既存のDeliveroo、FoodPanda、Go-JekのGoFoodその他がライバルとなる。

GrabFoodはGrabのポイント・システムなどのロイヤルティプログラム、GrabRewardsの一部となる。利用者は代金をキャッシュ、クレジットカード、GrabPayで支払うことができる。配達時間の指定ができること、利用最低額が設けられていないことが大きな特長だ。

前述のようにGrabは3月にUberの東南アジア事業を買収したことを発表しているが、現実の事業移行は難航した。 先月TechCrunchが報じたように、各国の規制、UberからGrabに移管されることになった従業員の不満、Grabが市場を独占することへのユーザーの懸念などがGrabにとっては「成長の痛み」となっている。

とはいえ、Grabは声明で「フードデリバリーへの参入は消費者の日々を生活をインターネットによって結び付けられたエコシステムによってさらに快適なものにする」という戦略において重要な部分を占める」と述べた。

最大のライバルだったUberを排除したことはこの目標を現実的なものにしたかもしれないが、依然として Grabは地域のライバル多数と競争する必要がある。たとえばインドネシアでは市場のリーダーはGoogle、Tencentが支援するGo-Jekだ。同社はベトナム、タイ、シンガポール、フィリピンの市場に近々参入することを確認している。Go-Jekはこの事業拡張に5億ドルを用意している。同社は他国への展開にあたって現地のパートナーを活用するモデルを採用するものとみられ、パートナーがそれぞの国情に合わせてブランドを含めた事業内容を決定していくという。

Grabも手を拱いてはおらず、 Wall Street Journalによれば、100億ドルの会社評価額で新たに10億ドルの資金を調達する。これは昨年7月に日本のSoftBankと中国の滴滴出行から20億ドルの資金を得たときの評価額60億ドルと比べて大幅なアップだ。

一方、Go-Jekも最近Tencent、JD.com、Google、Allianz、Meituan、シンガポールのファンド、GICやTemasekを含む多数の投資家から15億ドルを調達している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ドミノピザが20分以内の宅配サービスを開始、ただしシステムがいけると判断した場合のみ

空腹のせいなのか、ワクワクが抑えきれないのか。ピザのデリバリーを待つ時間は、やけに長く感じる。

そりゃ少しでも早く届けてくれるに越したことはないけれど、そんなことを保証してしまっても大丈夫なのだろうか。ドミノピザが本日から始めた「ミッション20ミニッツ」には、ついついそんなコメントを残したくなってしまう。

ネーミングが全てを物語っているが、これは「注文からデリバリーまでを、たった20分で完了させる」という取り組みだ。

創業時から焼き立てのピザを30分で届けることを目指してきたドミノピザ。それでもアツアツの感動を届けるためには30分では物足りない、ということなのだろうか。“デリバリーは時間がかかる”という業界の常識を打ち破る挑戦を始める。

ミッション20ミニッツではピザの料金にプラス200円(税抜き)で20分以内、プラス300円(税抜き)で15分以内の注文を保証する。もちろん「いつでもどこでも」ということはない。

ウェブサイトでピザの注文を受け付つける際に、独自の計測システムで配達予測時間を導き出す。住所や混雑状況、交通状況をもとにシステムが「これはいける!」と思ったときにだけ、サービスを利用できるというわけだ。

注文後はピザトラッカー画面で、ミッションの進行状況を確認できるようになっている。もし時間内にピザを届けることができなかったら、次回使えるMサイズピザの無料クーポンをプレゼントするそうだ。

そういえば僕自身は体験したことがないけれど、かつては30分以内に宅配できなければピザを無料にするという取り組みもしていたと耳にした。交通事故やスピード違反の原因にもなりえるため現在は実施していないようだが、確かにリスクもありそうだ。

この点について、今回のサービスでは独自の技術で開発した3分オーブン、磨き上げてきたピザメイクの技術、ドライバーの運転速度や配送ルートを管理できるデリバリーテクノロジーを結集することで可能になったという。

ネット注文限定で本日より利用できるので(一部店舗では利用できないとのこと)、まずは一度試してみたいところだ。

Delivery Hero、取引初日に時価総額が50億ドルを突破

フランクフルト証券取引所への上場を果たしたフードデリバリー企業Delivery Heroの時価総額が、取引初日(現地時間6月30日)に50億ドルを突破した。

今月に入ってから上場の意向を示した同社のIPO価格は、1株あたり25.50ユーロに設定され(仮条件の上限値)、取引初日の最高値は27.70ユーロ(約8.6%の値上がり)だったとBloombergが報じている。つまり、設立から6年が経ち40か国以上で営業しているDelivery Heroの時価総額は、最高で47億ユーロ(53億ドル)に達したのだ。

Delivery Hero自体はIPOで4億6500万ユーロ(5億3000万ドル)を調達し、この資金は債務の返済やビジネスの成長のために使われる予定だ。一方、その24時間ほど前にニューヨーク証券取引所で上場を果たした食材宅配サービスのBlue Apronは、Delivery Heroとは対照的に前途多難なスタートを切った

IPOがうまくいったとはいえ、Delivery Heroは未だ黒字化を果たせておらず、昨年度の純損失は2億200万ユーロ(2億3000万ドル)だった。その一方で、2016年の売上高は3億4700万ユーロ(3億9000万ドル)で前年比71%の伸びを見せ、オーダー数も51%増加した。これにはRocket Internet傘下だったFoodPandaの買収が深く関係している。Delivery HeroはこのM&Aを通じて、東欧や中東、アジアを含む合計20か国への進出を果たし、その他の市場でも大きな力をつけることができたのだ。

FoodPandaの売却によってDelivery Heroの株式の35%を手に入れたRocket Internetにとっても、本日のIPOは大きな追い風となった(投資会社NaspersもIPO直前の投資を通じて、同社の株式の10%を保有している)。

ドイツのインキュベーター兼投資会社であるRocket Internetは、ポートフォリオ企業の赤字体質で批判を受けてきたが、Delivery HeroのIPOによってこれまでに合計2社をエグジットさせたことになる。さらに同社は、FoodPandのほかにも先日東南アジアのEC企業Lazadaの株式を全て売却した。逆にAlibabaは、今週10億ドルもの資金を投じてRocket InternetやTescoを含むさまざまな投資家からLazada株を買い取り、同社の持株比率は51%から83%に上昇した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Facebookがメインメニューからの“Order Food”オプションをテスト中

Facebookアプリを使うと、デリバリーサービスやレストランの独自のアプリやウェブサイトに移動しなくても、お気に入りのレストランの料理を、Facebookアプリ内で直接注文することが容易になるようだ。Facebookのウェブとモバイル双方のメインナビゲーションの中には、現在限られたユーザーを対象に”Order Food”という新しいオプションが登場している。

デスクトップ上ではカラフルなハンバーガーアイコンで、あるいはモバイル上では青と白のハンバーガーアイコンで示されるこのオプションを使えば、Facebookユーザーたちは、Delivery.comまたはSliceを使うレストランのメニューを選び配達を注文することができる。

上図;モバイル上の”Order Food”メニュー

上図:デスクトップ上の”Order Food”メニュー

このメニューオプションを利用すれば、注文からチェックアウトまでの全プロセスがFacebook上で完結する。

この機能は、昨年の10月にFacebookが発表した、Delivery.comならびにSliceとの間に締結したオンライン注文ビジネスの拡張の1つだ。そのときには、Facebookユーザーたちは、サポート対象レストラン自身のFacebookページから、”Start Order”ボタンを通して注文が行えるようになると発表されて、現在それが可能になっている。

メインナビゲーション内の”Order Food”の働きも似たようなものだ。しかし、全てのサポート対象レストランが1つのページに集められているので、より便利なものとなっている。そこには、ピックアップ写真、価格帯($$$などの形式で表示)、星による評価、料理の種類などを伴う、レストランのリストが掲載されている。また配達可能なのか、店に取りに行くのは、あるいはどちらも可能なのかといった情報も提示される。

店を選んで”Start Order”をクリックすると注文プロセスが始まる。ここから先はレストランのFacebookページから行っていたこれまでのやり方とほとんど変わらない。

昨夜カルツォーネをモバイルで注文するのに利用した、とあるユーザーによれば、タップして注文を始めて、メニューを眺め、カートにアイテムを追加し、注文を編集し、チップを入力し、Facebookの中でDelivery.comもしくはSliceが提供しているモバイル機能を使って支払いを行ったそうだ。

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支払いが完了すると確認画面が表示され、注文内容、注文が到着する予定の時間帯、または引き取り可能予定時刻が表示される(同時に電子メールも送られてくる)。

おそらく機能がまだ公開途上であるため、利用開始に際しては少し不安定なところも見られた。たとえば、あるときはオプションそのものが消えて、再び現れたりしたし、また別の場合には私の場所に配達できるレストランはないと言われたり、また私自身が試していたときには”Order Food”は私のiPhone上に表示はされたものの、それをタップしても正常にページがロードされなかったりした。

Facebookユーザーにとって、これは便利な機能の1つだ。Facebookアプリを離れて注文したり、個々のFacebookページにいちいちアクセスして、オンライン注文が利用可能かどうかを確認する必要はない。しかしFacebookにとって、これはユーザーがデバイス上に既にインストール済の他のアプリの機能を複製して、内部に取り込む別の例でもある。こうして様々な機能を提供することで利用者たちを壁(アプリ)の内側に留めようとしているのだ。

ここ数カ月の間に、Facebookは天気 、”discover people“(フォローする人を見つけよう)というセクション、”city guide“と呼ばれるトラベルセクション、”town hall“を介した行政情報、オンライン求人情報、募金活動 、インスタントゲームなどの様々な種類の機能を導入して来た。

Facebookにコメントを求めたところ、この”Order Food”は昨年10月に発表されたFacebookページを介したSliceとDelivery.comによる注文機能と関係しているが、この新しいボタンが一般米国ユーザーに開放され始めるのがいつかは決まっていないとの回答を得た。

しかし、このプロダクトに詳しい情報筋によれば、この機能は昨年10月に公開された機能と同じもので、現在Facebookはそのメインナビゲーション上でのフード注文の場所をテストしている最中だということだ。これはテスト運用に過ぎないので、Facebookユーザー全員が現時点でこのオプションを見ることができるわけではない。

(画像クレジット:@fbjag; @mattlynley)

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(翻訳:Sako)

UberEatsがインドでローンチ――まずはムンバイに住む2000万人がターゲット

Uberは現地時間5月2日より、ムンバイを皮切りにインドでUberEatsをスタートさせた。

今年中にはムンバイを含むインドの計6都市にUberEatsを展開させる予定だと同社は語っているが、今後進出を予定している都市名については明かされなかった。インドの三大ビジネスハブのひとつで2000万人の人口を誇るムンバイは、スタート地点としてはうってつけだ。

「国内外を問わず多彩な食文化が溢れるムンバイでは、食のビジネスが盛り上がっています。そんなムンバイを最初の都市としてUberEatsがインド市場に進出するというのは、世界中へのビジネス展開を目指す私たちにとって大きなステップであると同時に、インドへの私たちのコミットメントを見せる良い機会でもあります」とUberEats Indiaでトップを務めるBhavik Rathodは声明の中で語った。

1月には既にテストが行われていたインドへの進出により、UberEatsが利用できる地域は世界中で26ヶ国78都市に拡大した。2014年にパイロットプロジェクトとしてロサンゼルスで産声をあげた同サービスは、当初Uberアプリの機能のひとつでしかなかったが、その後スタンドアローンのアプリがリリースされた。昨年3月のシンガポールでのサービス開始でアジア市場への初進出を果たし、その後東京とバンコクでもUberEatsは営業している。

もちろんインドは世界的にも注目が集まっている国だが、特にUberは中国市場からの撤退後、それまでにないくらいの熱量で同国でのビジネスに力を入れている。the Internet and Mobile Association of Indiaが共著したレポートによれば、インドのオンライン人口は2017年6月までに4億5000〜4億6500万人に到達するとされており、タクシーや車、食べ物などさまざまなモノがネットを通じて消費者と繋がるようになっていくだろう。例えばEC業界だけを見てみても、2020年までには売上額が480億ドルを突破すると、調査会社のForresterは予測している。

一方で、ムンバイにはUberEatsのライバルも数多く存在し、これまで何年間もFoodPandaやSwiggy、Zomatoなどがしのぎを削ってきた。先月には、Googleでさえもがインドでフードデリバリーサービスや家事代行サービスを利用できるアプリを発表した。しかしインドにおけるUberのライバルOlaは、フード事業に手を出したものの昨年12か月も経たないうちに同サービスを終了した

Uberは競合サービスへの対策については、あまり情報を発信していない。他の街では、利用できる飲食店のキュレーションに力を入れている(逆にFoodPandaをはじめとする他社は利用できる飲食店の数に力を入れている)が、もちろん彼らはOlaと熾烈なバトルを繰り広げている配車サービスをインドビジネスの柱としていくのだろう。

どの企業が先頭を走っているのかについては明確な指標がないが、Olaは継続的に資金調達を行っているイメージがあり、評価額の低下が懸念される。最近でも30億ドルの評価額で2億5000万ドルを調達したとThe Economic Timesが報じていたが、2015年の同社の評価額は50億ドルだった。このダウンラウンドは、インドの農村部にテックビジネスを展開することの難しさのあらわれなのかもしれない。また、常にOlaにつきまとうUberの影も関係しているのだろう。

営業地域の拡大以外にも、Uberは最近UberEatsに力を入れており、最近のアップデートではユーザーごとのレコメンデーション機能や配達場所の指定機能、新しいフィルター機能などが導入された。さらに同社は飲食店向けのマネジメントサービスをスタートさせ、経営に役立つデータの配信を行っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

メニューはわずか数種類 ― マレーシアのフードデリバリー「Dah Makan」が1300万ドルを調達

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東南アジアのフードデリバリー企業として今年初めて大型の資金調達を果たしたのは、Dah Makanとなった。同国の投資家から浴びていた批判を跳ね返したかたちだ。

Dah Makanは現地時間19日、シードラウンドでNFQ Capital、East Ventures、Asia Venture Group、Gruparaなどから1300万ドルを調達した。Nestléの前CEOもエンジェル投資家として本調達ラウンドに参加している。

Dah Makan(現地の言葉で「もうご飯は食べた?」)は、2年前にクアラルンプールで生まれたサービスだ。どうサービスはアジアにおける「フルスタック」サービスの1つであり、業務のすべて(調理、配送、支払いなど)を自社で行っている。これは、創業初期のフード系サービスとしてはめずらしいことだ。Rocket InternetのFoodPandaは、地域のレストランと共同でビジネスを行い、レストランと顧客を結びつける大きな役割を果たしている。しかし、プロセスの中に外部関係者を多く含めれば含めるほど、プロセス全体の複雑性と不確実性が増す可能性がある。FoodPandaはサードパーティにプロダクトのクオリティ管理や配送を委託しているにもかかわらず、ユーザーの期待に応えるサービスではあるだろう。一方で、その同類のDah Makanは、サービスとシステムの管理がしやすい体制を整えている。

例えば、Dah Makanはランチとディナーのあらかじめ決められた時間にしか配送を行なわない。そして、その時間の45分前に注文された分だけを受け付ける。顧客にとってはかなり制限のあるサービスだということだ(ランチとディナーのメニューは日ごとに決められた数種類の料理しかなく、ビッグブランドの料理は取り扱っていない)。しかし、そのトレードオフによってDah Makanは徹底的なプロダクト管理を可能にしている。

配達ルートも最適化されている。注文が入るごとに配達用のバイクを送り出すのではなく、Dah Makanはその日の注文数と顧客の位置情報をもとに最適化された配達ルートを計算する。Dah Makanにとって、これは金銭的なメリットにもつながる。従来のフードデリバリーサービスでは、ある注文が利益を生む一方で、またある注文では損失を生むというのが一般的だった。しかし、同社のサービスではすべての注文から利益を得ることができると彼らは話している ― ただし、マーケティングや給与などのコストはユニットごとの損益計算にはもちろん含まれてはいない。

Dah Makanでは1回かぎりの注文をすることもできるが、同社は顧客に会員オプションに加入することを奨励している。彼らの会員サービスは固定されたプランというよりも、どちらかというとポイント制プランのようなものだ。99MYR(22ドル20セント)で5回、379MYR(85ドル)で20回、999MYR(225ドル)で50回分の注文をすることができる。しかし、ユーザーが数日のあいだ街を離れていたり、その日のメニューが気に入らない場合は、そのポイントを後々のためにとっておくことが可能だ。

同社のファウンダーたちはTechCrunchの取材に対して、会員制サービス「Dah Makan Prime」からの収益が「大半を占めている」と話している。

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Dah MakanとFoodPandaのサービスが似ているので、Dah Makanの共同創業者たちが元FoodPandaの従業員だったと言われてもそこまで驚かなかった。Dah Makan CEOのJonathan Weins氏とCOOのJessica Li氏は、2014年に同社のアイデアを考えつくまではFoodPandaの香港チームに所属していた。そして、後にCTOのChristian Edelmann氏が加わったことでアイデアが現実化した。

Weins氏は「フードデリバリーをもっと手軽な価格で提供し、もっと便利なサービスにしたかった」と語る。

Dah Makanは現在、1日あたり1000件の注文を獲得しているという。しかし、同社はマレーシア全土にビジネスを拡大するつもりはない。その代わり、彼らは今年のおわりまでに他の東南アジア諸国へと海外展開を進める予定だ。

「今回調達した資金はクアラルンプールに投下する予定です。この市場は非常に大きいからです。この市場にはまだ、私たちがリーチできる潜在顧客がたくさんいます」とWeins氏は説明する。彼によれば、クアラルンプールでリーチ可能な潜在顧客は約600万人だという。

「テクノロジーにも大きく投資していきます。ルーティングやクラスタリング、そしてドライバーの配送場所を決める機械学習などがその例です」と彼は加えた。

同社は「今年末をめどに」シリーズAの調達ラウンドも実施する予定だ。その資金を利用することで、人口密度、現地の購買力、競合関係などのファクターを考慮しながら海外展開を進めていくという。そうなれば、シンガポールのGrainなど、他の「フルスタック」フードデリバリー企業と直接的に競合する可能性が非常に高い。

Grainと同じように、人々がヘルシーな食べ物や利便性にどれだけ魅力を感じるのか、そして彼らがFoodPandaのメニューにあるようなビッグネーム企業の食べ物にどれだけ飽き飽きしているのか、という点が勝負の分かれ目となるだろう。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Foodpandaが1億ドルでロシアのフードデリバリー事業をMail.Ruに売却

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Rocket Internetの投資先で、フードデリバリー事業を営むFoodpandaが、海外事業のさらなる処分を進めている。本日同社は、ロシアにある子会社のRussian Delivery ClubをMail.Ru Groupに1億ドルで売却すると発表した。

売却益を他の事業に投じることで「コアとなる地域にさらにフォーカスできる」とFoodpandaは話す。今回の売却は、Mail.Ruがロシアの顧客に売れるような他のサービスがないか探しているタイミングで起きた。Mail.Ruによれば、mail.ruやFacebookのようなSNSのVK.com、ICQといったサービスを通じて、同社はロシア国内のインターネット人口の94%と繋がりをもっている。

Foodpandaのロシア事業は短期間で終わりを迎えることとなった。2012年に同社はロシア市場へ参入し、2014年には現地企業のDelivery Clubを買収してロシア事業を増強したばかりだった。

Develiry Club単独での評価額は不明だが、FoodpandaはDelivery Clubが全売上の10%を占めていたと話す。さらにFoodpandaは今回の売却を成功と捉えており、彼らの言葉を引用すれば「素晴らしいリターン」を得ることができた。

しかし、Foodpandaの株式の49%を保有する親会社で、今では上場企業となったRocket Internetは、広範囲に渡る投資先の中から赤字事業を切り続けている。対象となっているのは、芽が出はじめた、もしくは成長を続ける世界中のECスタートアップだが、なかなか上手く進んでいない。なお、Foodpandaは今回の売却によって、今後20の市場でビジネスを展開することになる。

今年に入ってから、Foodpandaは他にもスペイン、イタリア、ブラジル、メキシコの子会社をJust-Eatに1億4000ドルで売却し、インドネシアを含む東南アジア事業も売却した。

さらにDelivery Clubの売却は、Rocket Internetが(いつものようにカリスマ性のある名付け方で)Global Online Takeaway Groupと呼ぶ、事業統合計画の一部でもある。その一環としてRocket Internetは、以前は競合相手であったDelivery Heroに投資し、アセットスワップも実行している。

Foodpandaのロシア事業単体が黒字であったかどうかは分からないが、一般的に言って今回の売却は、オンラインテイクアウェイ・デリバリーサービス市場で利益を増やすことの難しさ、そしてギャップを埋めるために必要な外部資金を調達するのが最近難しくなってきていることを表している。

実際にFoodpandaも「今回の売却益は、アジア、中東、東欧といったFoodpandaのコアとなる地域で、引き続き事業を拡大するために投資される予定です」と発表しており、Delivery Clubの売却は確かに自分たちで資金を調達するための手段だったとも考えられる。

そして、Foodpandaはコア地域に注力せざるを得ない状況にある。というのも、FoodpandaとDelivery Heroの関係が良化したところで、DeliverooUber Eats、そして新たに加わったAmazon Restaurantsといった競合の影が既に見え始めているのだ。

Uber Eatsは、シェアライド界の雄であるUberにとって重要な新規事業で、今年の夏には新たな幹部をアジアで採用していた

なお、Foodpandaはこれまでに外部から3億1800万ドルの資金を調達したと発表している。”発表”としたのは、Rocket Internetがインキュベーターとなったスタートアップは、資金情報を進んで公開していないため、調達額がこれ以上である可能性があるためだ。3億1800万ドルというのは、これまで公にされている調達資金の合計額ということになる。

「Deliery Clubの売却はFoodpandaにとっての大きなマイルストーンであり、市場をリードするようなフードデリバリー事業を立ち上げてスケールさせる力をFoodpandaが持っている、ということの証明でもあります」とFoodpandaグループのファウンダー兼CEOのRalf Wenzelは声明の中で語った。「私たちの事業を現地のネット業界のリーダーであるMail.Ruに移管することで、Foodpandaはアジア、中東、東欧市場での事業拡大に集中でき、結果として私たちのマーケットリーダーとしての地位を確固たるものにすることができます」

Mail.Ruは、事業の多角化および、既存のビジネスに新たなサービスを付加しようとしている同社の動きの一環として、Delivery Clubを買収した。Mail.Ruの既存ビジネスには、ロシアで1番の人気を誇るメールクライアントのmail.ruや”ロシアのFacebook”として知られるVK.com、メッセージングプラットフォームのICQなどがある。

ゲームなどのサービス以外にも、Mail.RuはGoogleやYandexからヒントを得て、巨大なカスタマーベースを利用した決済サービスの開発を行っている。

「Mail.Ru Groupがロシアのモバイル界を牽引する中、Delivery Clubの買収によって、私たちのモバイルサービスの幅がさらに広がっていくことになるでしょう」とMail.Ru Groupの会長兼共同ファウンダーであるDmitry Grishinは話す。彼は先週CEOの座から退き、今後は同グループの戦略面にフォーカスした業務を行っていく予定だ。

「フードデリバリー市場は引き続き安定した成長を見せており、私たちのネットワークやリソース、専門性と、Delivery Clubのマーケットリーダーとしてのポジションが組み合わさることで、この市場でさらなる成功を掴むことができるでしょう」

さらに興味深いことに、FoodpandaによるDelivery Clubの売却から、フードデリバリー業界の別のトレンドが浮き彫りになった。それは、もともと保有していた食品関連事業を手放すEC企業がいる一方で、同業界へ真剣に参入しようとしている企業も同時に存在するということだ。

ちょうど昨日も、AmazonのクローンのようなLazada(以前はRocket Internetの傘下にあったが、現在はAlibabaの子会社)が、Instacartのクローンのようなシンガポール企業RedMartの買収を発表した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

同業他社が沈む中iFoodが3000万ドルを調達し南米市場を攻める

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世界的にフードデリバリースタートアップの勢いが落ちてきているようだが、南米の投資家は、少なくともひとつのある企業に新たな光を見出している。

ブラジル発のオンデマンドフードデリバリーサービスを展開するiFoodは、この度3000万ドルを新たに調達し、南米でのビジネス拡大とオンラインフードデリバリー市場での基盤固めをしようとしている。

オリンピック選手がブラジルで金メダルを目指す中、iFoodは新規に調達した資金を利用して、フードデリバリースタートアップ界の表彰台のトップを見据えているのだ。

3000万ドルの資金はiFoodもよく知る投資家から出資されることとなった。Naspersが投資を行ったモバイルコマースの雄Movileや、イギリスを拠点とするグローバルオンラインテイクアウトサービスの上場企業JUST EATは、昨年にもiFoodに対して5000万ドルの投資を行っていた

そのため、この度の資金調達は3社の複雑に絡み合った関係の延長線上にあると言える。今年に入ってiFoodはブラジルにあるJUST EAT傘下のhellofood Brazilを買収しており、新たな資金の一部はメキシコへの拡大を目的として、JUST EATのメキシコ子会社SinDelantalの買収に利用される予定だ。

以前のTechCrunchの報道によれば、MovileはiFoodの支配権の60%を握っている一方、グローバルプレイヤーであるイギリスの巨大フードデリバリー企業Just Eatもその30%を保有している。

メキシコ最大のフードデリバリー企業であるSinDelantalは、2015年2月にJUST EATに買収された。そして2016年2月にJUST EATが買収したhellofood MexicoのオペレーションをSinDelantalと統合したことで、SinDelantalの勢いはさらに増した。

新しい買収話がまとまれば、iFoodはSinDelantalの株式の49%を保有し、SinDelantalはiFoodと、iFoodの30%を保有するJUST EATのジョイントベンチャーとして事業を行うこととなる。なお、買収金額は発表されていない。

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「iFoodは常にモバイルエクスペリエンスのことを意識しています。私たちは携帯電話を使ったフードデリバリー業界で、1番簡単で使いやすいサービスを提供したいと考えています」とiFoodの共同設立者兼CEOのFelipe Fioravanteは説明した。「Movileが持つモバイルの強みのおかげで、常に進化を続ける世界レベルのサービスを生み出すことが出来ました」

この南米のスタートアップに対する新たな投資は、フードデリバリー業界への投資に勢いが無いグローバル市場の流れとは逆行するように映る。

グローバル市場で企業の統合や評価額の急低下が普通になっている中、JUST EATとiFoodだけがその恩恵を受けているのだ。アメリカではSpoonRocketが業務を停止し、その資産をiFoodに売却した一方、ヨーロッパではRocket InternetがJUST EATに対してフードデリバリー事業の売却を行った。

新興市場の状況はさらに悪く、最近のBloombergの記事が示唆しているように、特にインドは大きな打撃をうけている

以下はBloombergのウェブサイト上にあるSaritha Raiの記事の抜粋だ。

ベンチャーキャピタルの資金は干上がり、スタートアップは次々と市場から消えていっている。ムンバイを拠点とし、フードデリバリーアプリの先駆け的存在でもあるTinyOwlは、Sequoia Capitalを含む投資家から2300万ドルを調達していたものの、資金がほぼ底をついてしまったため、TinyOwlよりも規模の小さな競合のRunnrに身売りすることとなった。また、GoogleやAmazon幹部から資金調達を行ったDazoの昨年の事業停止に続き、SequoiaとSnapdeal.comの支援を受けた食料品配達サービスのPepperTapも4月にその幕を閉じた。グルガーオンを拠点とし、インドで唯一のフードテック系ユニコーンであるZomatoでさえ、HSBC Securities and Capital Markets (India)のアナリストによって、今月その10億ドルにおよぶ評価額を半減させられてしまった。

一方、南米でも特にブラジルとメキシコのビジネスは様子が違うようだ。

5年前にローンチしたiFoodは、1万軒以上のレストランとパートナシップ契約を結び、毎月170万件の配達実績を積み上げている。

「ブラジルでの成功を見た後、メキシコでもiFoodと協力関係を結ぶというのは当然の決断でした。」とJUST EAT CEOのDavid Buttressは声明の中で述べた。「iFoodはローカル市場について細部まで理解していて、モバイルサービスにも強みを持っています。この勝利のコンビネーションこそ、私たちが拡大に向けて求めているものでした」

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細かな情報を超えて、南米中のテクノロジー・サービス業界の成長率を表す数字の中には驚くべきものがいくつかあり、これがJUST EATやMovileによる南米企業への投資の理由なのかもしれない。

言葉にするととても味気ないが、世界銀行は南米の中期的な経済見通しの中で、その大きな成長可能性について触れている。

以下が世界銀行のコメントだ。

マクロ経済の持続や物価・金融の安定、さらには引き続き強気の投資家の存在を背景に、経済成長の原動力が再度バランスし、安定した消費拡大を補完するような形で(ネット)輸出額や、プライベートセクターへの投資が増加していくだろう。中期的には、金融・通信・エネルギー分野でのさらなる構造改革によって、経済活動の活発な拡大に向けた土台が固められることが期待される。

世界銀行のこの評価は星の数で言えば3個半くらいに値する。また、マクロ指標と同じくらい重要なのが、他の業界が縮小している南米経済でのEC業界のシェアの大きさだ(多くの新興市場で似た現象が起きている)。

南米中で劇的に増加しているスマートフォンの保有率や、WhatsApp・Facebookといったソーシャルメディアを支配する膨大な利用者数(人口の半分しかインターネットを利用できないにも関わらず、南米のユーザーがWhatAppのユーザーベースの38%、Facebookのユーザーベースの20%を占めている)を背景に、ソーシャルメディアの利用者数は今後さらに増えていくだろう。

同時にアメリカのテック企業は南米の可能性に気づきはじめた。PayPalは最近メキシコの通信大手América Móvilとパートナシップを組んで、モバイルウォレットプラットフォームの開発にあたっている。

18カ国で約3億人の契約者(AT&Tの契約者数の約3倍)を抱えるAmérica Móvilも、Uberと同社のLTV(顧客生涯価値)の一部を含む戦略的提携を行い、南米でモバイル業界が担う役割の重要性を強調する結果となった。

ECが同地域では突出しており、2015年には南米全体で23%の成長率を記録している。これは中国を除く全ての市場を上回る成長率で、中でも経済危機で何年にもわたる打撃を受けたアルゼンチンでは40%の成長を遂げていた。クレジットカードの普及率が15%程度で、人口の約半数が銀行口座を持っていない地域におけるこの数値の意味を考えてみてほしい。このような状況にあっても、様々なデジタルソリューションが人々に求められるているという実態が数字から見て取れる。

これらのトレンドは、iFoodが成功し続ける上で良い前兆となるものばかりであると同時に、マクロ経済が振るわない市場にあってもデジタルビジネスは成長できるということを証明している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter