カウンセリングなど対人援助のオンライン相談室を開設できる「ソラハル Client First」のソラハルが1500万円調達

カウンセリングなど対人援助のオンライン相談室を開設できる「ソラハル Client First」のソラハルが1500万円調達

コーチング、カウンセリング、対人援助のオンライン相談室を開設できる「ソラハル Client First」(クライアントファースト)を開発するソラハルは7月21日、エンジェルラウンドにおいて、第三者割当増資による1500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はSK Impact Fund Japan、SEVEN、エンジェル投資家。調達した資金を活用し、ソラハルClient Firstの開発体制強化を図る共に、事業拡大を見据えた組織基盤を構築する。

創設者で代表の北村健氏は、大学や専門学校で学生支援に従事していたときに、紙ベース、口頭報告、関係部署との調整など、非効率で属人的なやり方に限界を感じていた。その経験が、カウンセリングなど人を支援する事業を改善したいという思いにつながり、ソラハルを起業した。その主要サービスとなるソラハル Client Firstは、小規模企業や個人向けのSaaS型オンラインコーチング、カウンセリングプラットフォームという位置づけで、小規模事業者のカウンセラーなどが相談室を開設でき、同時に業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を省けるというもの。

現在、日本のカウンセラーは「非常勤や有期雇用が半数以上」であり、「一人職場」も多く、燃え尽きや過労が問題視されているという。ソラハルは、カウンセラーの負担を軽減することで、カウンセラーがクライアントに寄り添う時間を増やし、カウンセリングのスキルアップに取り組む時間的余裕が取れるようになり、ひいては「社会全体のウェルビーイングを高める」と考えている。

現在はまだ開発中だが、ソラハル Client Firstでは先行登録を受け付けている(対象は、心理支援に関わる資格・身分を有する者)。「世界中の相談と援助の窓口が、すべてソラハルに代わる日を目指して、開発の加速とマーケットローンチにむけて走り続けます」と北村氏は話している。

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メンタルセルフケア・アプリ「emol」と第一生命グループが協業、ミレニアル世代向け保険商品を提供開始

メンタルセルフケア・アプリ「emol」と第一生命グループが協業、ミレニアル世代向け保険商品を提供開始

AIチャットを介したメンタルセルフケア・アプリ「emol」(エモル。iOS版。Android版は秋予定)を提供するemolは7月19日、アプリ上で第一生命保険および第一スマート少額短期保険(第一生命グループ)との協業開始を発表した。emolのアプリ上で、第一生命グループによるミレニアル世代向け保険の提供を開始する。

emolは、2020年9月から11月にかけて、第一生命と共同で、AIがユーザーの悩みに合わせて適切な保険商品をレコメンドするというDX実証実験を行ってきた。emolアプリ上で、AIとユーザーとの会話の中に保険に関する話題が出たときに、AIがヒヤリングを行い、適切な保険商品をレコメンドし、ユーザーに第一生命のウェブサイトへ誘導するという内容という。そこでユーザーが第一生命のウェブサイトへのリンクを実際にクリックした割合(クリック率。CTR)を測定したところ、TwitterやFacebookなどSNS広告のCTRを圧倒的に上回ったそうだ。

今回の協業では、emolアプリ上でユーザーがチャットでAIに悩みを話した際に、保険に関連する話題に合わせレコメンドする機能を採用。またemolアプリ上にAIが保険の診断を行う保険の窓口を設置し、いつでも対象の保険についてAIに質問できる場を提供する(emol保険の窓口は後日発表予定)。

第一生命グループは、スマホで契約ができるミレニアル世代向け新ブランド「デジホ」の保険商品として、「所得保障保険」(emolお仕事ほけん)、「コロナminiサポほけん」(emolコロナほけん)を展開する。

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医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

テクノロジーによる緊急医療の改善に取り組む千葉大学発の医療スタートアップSmart119(スマートイチイチキュウ)は、医療機関用災害対策システム「Smart:DR」(スマートディーアール)をスマートフォンやタブレットに対応させた「Smart:DRアプリ」を開発。7月15日、Android版iOS版を公開した。

Smart:DRは、災害やテロの発生時に「スタッフの安否確認」「集合要請」をスムーズに行い、医療機関や企業が被害を最小限に抑え、BCP(業務継続計画)策定による事業継続や復旧、傷病者の救命を支援するシステム。Smart119によると、同システムを導入した医療機関からの要望に応え、アプリ版を開発したという。

アプリ版では、受信したメッセージをより明瞭に把握できるほか、災害発生地点の表示や、健康状態の報告も従来より容易になっているそうだ。また、新型コロナウイルスのワクチン接種状況や副反応発生の有無などの情報収集も可能で、院内クラスター発生抑止や職員の健康管理に貢献するとしている。

主な特徴は次のとおり。

Smart:DRの特徴

  • スタッフへの緊急連絡、安否確認
  • 緊急時の集合状況をリアルタイムに把握でき、最適な人員配置を支援
  • 医学的見地に基づいた健康管理情報を自動集計
  • 返信は、ワンクリックで完了でき、ログイン不要
  • 掲示板機能を有し、平時においても活用できる

アプリ版を使うことで「医療従事者が通常時からSmart:DRを積極的に活用し、緊急時に、スムーズに危機管理体制へ参加」することが期待されるとSmart119は話している。

2018年5月設立のSmart119は、「安心できる未来医療を創造する」を目指し、現役救急医が設立した千葉大学医学部発のスタートアップ企業。Smart:DRをはじめ、音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」、緊急時医師集合要請システム「ACES」の開発・運用も行っている。また千葉県千葉市において、日本医療研究開発機構(AMED)の救急医療に関する研究開発事業を実施した。

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新型コロナワクチンの「打ち手不足」問題解消を支援、一般的な3Dプリンターで作れる筋肉注射練習モデルが開発・公開

新型コロナワクチンの「打ち手不足」問題解消を支援、一般的な3Dプリンターで作れる筋肉注射練習モデルが開発・公開

掲載写真は手技確認時のイメージのため、手袋の着用は省略している

慶應義塾大学SFC研究所は7月12日、同大学看護医療学部 宮川祥子准教授らが、3Dプリンターで作れる製筋肉注射練習モデルを開発し、その設計データ・作り方・使い方に関する説明書を特設サイトで公開したと発表した。ライセンスは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY-SA 3.0)。

新型コロナワクチンの「打ち手不足」問題への対応として、職場を離れている看護師、いわゆる「潜在看護師」の活用が求められているが、長期間現場を離れている看護師がなんの準備もなくいきなりワクチン接種業務に就くのは難しく、協力を得にくいという課題がある。そこで、科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」が支援し、慶應義塾大学を中核拠点とする「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」が、上腕三角筋への筋肉注射の練習ができるモデルを生み出した。

今回の開発の中心となった宮川准教授は、かねてより「FabNurse(ファブナース)プロジェクト」を推進し、看護、介護分野にターゲットを絞った3Dプリンターを用いた「ケアのものづくり」による課題解決を研究してきた人物だ。

このモデルは、すでに臨床経験のある(初学者ではない)看護師が上腕への筋肉注射を練習するものとしており、以下の特徴がある。

  • 一般的に販売されている3Dプリンターで出力が可能
  • 肩峰に触れることができ、注射の部位(肩峰から三横指下)を確認することが可能
  • 実際に針を刺して、液を注入することが可能
  • 3Dの設計データは無償で使用することができ、改変可能
  • 作成方法・使用方法に関する説明書が添付されている

このデータは無料で公開されているが、CC BY-SA 3.0ライセンスに基づき製造販売も可能とのこと。ただし、「販売する場合は、新型コロナウイルス対策への貢献という趣旨に鑑み、適正な価格での販売をお願いします」と宮川准教授は話している。

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買い物データから栄養を分析しレシピを提案する「SIRU+」と西鉄ストアが健康的食生活を支援する社会実験を開始

「がんばらないヘルスケアアプリ」SIRU+と西鉄ストアが買い物内容から健康的食生活を提案する社会実験を開始

買い物から健康的な食生活を目指す「がんばらないヘルスケアアプリ」SIRU+(シルタス。Android版iOS版)を展開するシルタスは7月12日、西鉄ストアと共同で、福岡ヘルス・ラボの支援を受けた健康寿命延伸のための社会実験を開始すると発表した。

購買履歴から栄養を分析し食材・レシピを提案するSIRU+と西鉄ストアが買い物内容から健康的食生活を支援する社会実験を開始

2019年からサービスを開始した「SIRU+」は、スーパーのポイントカードなどを紐付けることで、購買履歴から栄養の偏りを可視化し、栄養バランスが整う食材やレシピを提案するというアプリ。消費者には、より健康的な食材の購入に役立ち、スーパー側にとっては、店舗や地域ごとの消費者の栄養傾向がわかり、健康的な品揃えの参考にできるという。

今回の実験では、福岡市内で西鉄ストアが運営する「にしてつストア レガット」22店舗において、にしてつストアの「ナイスカード」または「あんくるふじやカード」を持つ20代から60代の男女を対象に、購入商品の栄養バランスを自動的に分析し、不足栄養素を補う食品やレシピを提案する。2021年7月15日から8月15日まで被験者の募集を行い、利用開始から6カ月間続けられる。

社会実験の概要

  • 募集期間:2021年7月15日~8月15日(300名程度想定)
  • 参加方法:募集期間中、にしてつストアのポイントカードをアプリに登録。利用は無料
  • 実験期間:利用開始日から6カ月間
  • 対象者:「ナイスカード」または「あんくるふじやカード」を所有する20代〜60代の男女(既往などによる食事制限がない方、妊娠中・授乳中でない方)
  • 実施店舗:福岡市内の、にしてつストア・レガネットの22店舗(SIRU+利用可能店舗は、市外店舗を含む61店舗)
  • 検証内容:SIRU+の利用前後における、参加者の栄養摂取状況や健康意識、購買意識、購買行動の変化

この実験は、福岡市と福岡地域戦略推進協議会が設立した「福岡ヘルス・ラボ」の支援によるもの。福岡ヘルス・ラボは、リビングラボ(市民参加型の共創活動)の手法で、市民、企業、大学などが一体となり社会課題を解決するという取り組み。実験は、その第三期事業に採択されたことで実現した。

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唾液とアプリだけで迅速・正確な新型コロナの検査を可能にする英Vatic

新型コロナウイルスのパンデミックでは、デルタ型の感染が一気に拡大する局面を迎えている。しかし、世界中で予防接種が進む今、社会にとっての主なコストは、医療サービスが逼迫することではなく、企業の従業員が追跡システムによって自己隔離を強制されるためにその会社に生じる大規模な混乱だ。このように、職場(あるいはその他の環境)におけるバイオセキュリティが非常に重要になっている。

上の段落は、英国の著名な科学者たちがパンデミックの次の段階に関して最近政府に送った公開書簡の内容を言い換えたものだ。

職場のバイオセキュリティがより効率的でなければならないとすれば、より迅速で優れた検査方法が必要になる。英国のスタートアップが、この問題を解決したかもしれないと考えている。

バイオセキュリティ企業のVatic(バティック)は、新型コロナの「KnowNow」検査を開発した。同社は、この検査が、ラテラルフロー検査よりも正確で、より速く、より簡単で(必要なのは口の中に入れる綿棒だけ)、検査データの共有が可能で、さらにサービスや職場へのアクセスを可能にする「パスポート」のQRコードも作成できると主張している。

Vaticは今回、家庭用検査の展開のために637万ドル(約7億1000万円)を調達した。まず新型コロナウイルス向け検査から始める。

今回のシード資金ラウンドは、ロンドンのVCであるLocalGlobeとHoxton Venturesが主導した。

2019年創業のVaticは、家庭内でデータを生成することを目的とした唾液ベースの検査を開発した。同社によると、検査にかかる時間は15分以内で、身体が感染を撃退したことにともなう偽陽性を回避し、検査時に実際に感染している人を特定できるという。今までの抗原検査では、200人に1人の割合で偽陽性になる可能性があった。

Vaticの検査

Vaticによると、同社の検査は、人間の細胞表面を模倣することで感染性ウイルスを特定するもので、ラテラルフロー検査の開発方法を効果的に再設計し「その精度を高めている」という。

唾液のみによる新型コロナのスピード抗原検査KnowNowは、CEマークの承認を得て、実際に英国で使用されている。唾液検査とアプリを組み合わせることで、自宅での検査結果を医療機関や他のプラットフォームと即座に共有することが可能になる。唾液を使った検査は、喉の奥や鼻腔を綿棒でこする必要がある現在のラテラルフロー検査に比べ、はるかに簡単で不快感も少ないことは明らかだ。Vaticは現在、FDA(米食品医薬品局)から緊急使用許可を得るために米国で臨床試験を行っている。

Vaticの共同創業者でCEOのAlex Sheppard(アレックス・シェパード)氏は次のように説明した。「新型コロナのスピード検査導入が最近減少している理由の1つは、サンプリング技術にあります。今の検査は、受ける人にとって非常に不快でわずらわしいものです。今後、オフィスや学校、接客業などで新型コロナが発生した際の混乱を最小限に抑え、正常な状態に戻すためには、大量の検査を行う際の苦痛を取り除く必要があります。そのために私たちは、検査と一緒にバイオセキュリティ技術を開発し、ユーザーが独自のQRコードを作成して会場に安全に入場できるようにしました」。

どのような仕組みなのか。Vaticによると、同社の技術は、感染力の指標としてウイルスの「スパイク」を探すが、ウイルスの潜在的な変異に対しても免疫があり、どのような変異があっても新型コロナを検査することができるという。

シェパード氏によれば、このVaticの検査はまだ第1段階に過ぎないという。人間の細胞の表面を模倣することで、他の感染性ウイルスも検出できる。

「私たちは、新型コロナウイルスの中から、皮下注射針のようにスパイクを使ってヒトの細胞に侵入する部分を選びました」とシェパード氏は話した。「この部分が、今回の検査で基本的に相互作用する部分です。つまり、今回の検査では人間の細胞を模倣していることになりますが、これは完全にユニークなものです。通常のラテラルフロー検査とはまったく異なるエンジンを搭載していますが、それは動力源となる化学物質がまったく異なるからです」。

Vaticの検査のもう1つの特徴は、唾液の交換検査と連動したアプリを採用していることだ。検査が終わると、暗号化されたQRコードが表示される。

「NHS(英国民保険サービス)の検査とまったく異なるというわけではありません」とシェパード氏はいう。「しかし、完全に信頼ベースのシステムなので、健康データを危険にさらす必要はありません。政府のウェブサイトに自宅の住所を書き込むわけではないのですから。もちろん、通知可能な疾患の報告に関する政府の要件を満たしていますが、健康データを提供しすぎていないことを確認できるよう設計されています。安全なのです」。

シェパード氏と共同創業者のMona Omir(モナ・オミール)氏は、オックスフォード大学の2019年9月のアクセラレータープログラム「Entrepreneur First」で出会い、その後、ロンドンの投資家と、オックスフォード大学のOxford FoundryとInnovate UKからの助成金支援の両方から資金を調達している。

LocalGlobeのパートナーであるJulia Hawkins(ジュリア・ホーキンス)氏は、次のようにコメントした。「Vaticのテクノロジーは検査の未来です。英国の多くのトップ企業が率先して、従業員の検査を事業回復計画の最優先事項としていると聞き、すばらしいことだと思っています。今回の新たな投資は、英国内および海外でのKnowNow検査の展開を成功させ、中断を最小限に抑えて経済活動を再開させるための鍵となるでしょう」。

Hoxton VenturesのパートナーであるRob Kniaz(ロブ・ニアズ)氏は「綿棒で唾液のみの採取は、不快で厄介なスピード検査の世界では真のブレイクスルーであり、Vaticチームの市場への投入の速さは非常に印象的です。Vaticにとっては、この検査は旅の始まりに過ぎず、家庭での検査という市場に革新をもたらす機会は無限にあります」。

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画像クレジット:Vatic founders, Alex Sheppard and Mona Kab Omir

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

8万人以上が利用する心のセルフケア・トレーニングアプリ「Awarefy」運営のHakaliが1億円のシード調達

心のセルフケア・トレーニングアプリ「Awarefy」(アウェアファイ。Android版iOS版)を手がけるHakaliは7月8日、第三者割当増資による約1億円の資金調達を発表した。引受先はANRI。調達した資金は、Awarefyのユーザー体験向上に向け、プロダクト開発・マーケティング・人材採用などにあてる。

8万人以上が利用する心のセルフケア・トレーニングアプリ「Awarefy」運営のHakaliが1億円のシード調達

Awarefyは、誰もが気軽に自身のメンタル状態をモニタリングし、それにあったプログラムやトレーニングを利用できるというサービス。リリース以来1年で8万人以上が利用しているという。蓄積されたデータは、AIによってわかりやすく見える化することで自己理解を促進できるようになっているほか、効果的なセルフケアやトレーニングを見つけ、それを習慣化する助けに活用できる。

またHakaliは、早稲田大学人間科学学術院の熊野宏昭研究室と共同研究を行い、Awarefyにおけるメンタルケアに関する手法の検討や実証実験なども行っているそうだ。メンタルヘルスに関する独自の指標研究も行っており、Awarefyの有効性についての検証・研究を日々続けている。

Awarefy搭載のチャットボットにおける対話シナリオでは、カウンセリングや心理療法の現場で活用されている認知行動療法(CBT)やアクセプタンス&コミットメント・ セラピー(ACT)などの手法を取り入れているとした。

8万人以上が利用する心のセルフケア・トレーニングアプリ「Awarefy」運営のHakaliが1億円のシード調達

Awarefyの機能例

  • チャットボットとの対話で感情やコンディションを記録し、自分の感情や状態を見える化
  • 自分にあったストレス対処法やセルフケアを見つけられる
  • 毎週届く感情レポートを基に、自分でも知らなかった思考や感情の傾向に気づく
  • マインドフルネスインストラクターや公認心理師が執筆・監修したオーディオガイド
  • 「自分自身と良好な関係を築けているか」を測る、セルフ・リレーションシップ診断機能

2018年3月設立のHakaliは、「心の健康を支えるデジタル・メンタル・プラットフォームを実現する」をミッションに、Awarefyの企画・開発・運営を行っている。今後、Awarefyを通じてユーザーに価値を提供するべく、アプリの機能拡充にとどまらず、様々な事業展開を行うとしている。

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VRリハビリ機器を提供する「mediVR」が5億円のシリーズB調達、世界初の「成果報酬型自費リハ施設」開設を計画

VRリハビリ機器を提供する「mediVR」が5億円のシリーズB調達、「成果報酬型自費リハ施設」開設を計画

VRを活用したリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」を販売するmediVR(メディブイアール)は7月8日、シリーズBにおいて5億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のMedVenture Partners、また日本政策投資銀行グループ DBJキャピタル、積水化学工業、TARO Ventures。累計調達額は約8.9億円となった。

調達した資金を活用し、mediVRは営業部門を強化するとともに世界初の「成果報酬型自費リハ施設」を2021年中に開設する。これは、慢性期で改善が困難と医師から匙を投げられてしまった患者に対し、「あらかじめ設定した目標の達成に応じた分だけ費用を受け取る」という方式の施設という。「自分らしいからだと暮らしを取り戻したい」と願う患者に、VRを活用した質の高いリハビリを提供できるよう、事業を拡大する。

mediVRは2016年に大阪大学発スタートアップとして設立。2019年3月よりリmediVRカグラを販売してきた。VRリハはエビデンスが弱いとされる中、mediVRでは医師が神経科学・行動科学の知見に基づいて機器を開発。大学との共同研究を行うなど、様々な方向からエビデンスを確認しているという。

医師や理学療法士からの信頼を得て、2021年7月現在、大学やリハビリテーション病院、介護付き有料老人ホーム、デイケアなど全国25の施設に導入されているそうだ。コロナ禍においては、「患者との接触時間の軽減につながる」という点からも期待されているとした。

VRリハビリ機器を提供する「mediVR」が5億円のシリーズB調達、「成果報酬型自費リハ施設」開設を計画

VRリハビリ機器を提供する「mediVR」が5億円のシリーズB調達、「成果報酬型自費リハ施設」開設を計画

mediVRカグラは、仮想現実空間上に表示される対象に向かって手を伸ばす動作(リーチング動作)を繰り返すことで、姿勢バランスや重心移動のコツを掴んでいただくリハビリテーション用医療機器。以下の特徴を備えているという。

mediVRカグラの特徴

  • 立位姿勢の保持や歩行が困難な方でも安全に取り組むことのできる座位トレーニング
  • 認知課題と運動課題に同時に応えることを必要とする二重課題トレーニング
  • これまで曖昧になりがちだったリハビリの指示・評価が的確に行える
  • 認知機能が落ちた患者の自発性を引き出せる設計
  • 視覚・聴覚・触覚と多方面からのフィードバックにより脳の報酬系を刺激しリハビリへのモチベーションを高められる

背景がシンプルで認知負荷が低い「水平ゲーム」「落下ゲーム」、注意障害を惹起するよう認知負荷を高めた「水戸黄門ゲーム」「野菜ゲーム」「果物ゲーム」があり、失調、歩行、上肢機能、認知機能、疼痛などに課題を持つ患者も楽しくリハビリを行えるとした。

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新型コロナ後遺症の検出にFitbitデバイスやApple Watchなどウェアラブル機器が役立つとの研究結果が公表

新型コロナ後遺症の検出にFitbitデバイスやApple Watchなどウェアラブル機器が役立つとの研究結果が公表

Apple

新型コロナウイルス感染拡大が始まって以降、Apple Watchなどウェアラブル機器で感染の初期症状が検出できるかどうかを調べる研究はいくつか行われてきました

そして新たに、感染した人々への長期的影響(いわゆる後遺症)もウェアラブル機器により追跡調査ができ、患者の回復に役立てられるかもしれないとの研究結果が公表されています。

医学専門誌「JAMA Network Open」に掲載された新たな論文(The New York Times経由)が根拠とするデータは、米カリフォルニア州のスクリプス研究所(生物医療科学の研究と教育を行う非営利の医療研究施設)の科学者たちが実施した試験から得られたもの。

この試験は2020年3月25日から2021年1月24日まで実施され、Fitbitsの機器やApple Watchなどを着用した3万7000人が参加し、研究用アプリ「MyDataHelps」が使われたとのことです。

この試験に関わった研究者らは、10月にウェアラブルの収集したデータと患者の自己申告を組み合わせることで、新型コロナの症状をより正確に検出できることを報告していました。

そして最新の報告では、感染から回復した後の持続的な健康への影響( ロング・コビッド(long COVID)とも呼ばれています)に焦点を当てて、データをさらに深く掘り下げています。

まず注目されたのはFitbitユーザーのデータであり、持続的な変化を検出できると示されたとのことです。感染症の専門家であるJennifer Radin博士は「新型コロナに感染した人の安静時心拍数の変化は、他のウイルス感染に比べてはるかに大きい」とともに「歩数や睡眠にも、より劇的な変化が見られます」と述べています。

また、新型コロナに感染した被験者は、最初に症状を訴え始めてから約9日後に安静時の心拍数が低下したことも判明。その後に心拍数は数ヶ月間も上昇し続け、正常に戻るまで平均79日もかかったとのことです。それに対して新型コロナではない(他のウイルス感染の)グループではわずか4日でした。

そして睡眠や身体活動のレベルも、他の疾患を持つ人に比べて、新型コロナに感染した人は基準値に戻るのが遅かったとも述べられています。

今回の研究はFitbitのデータに焦点を当てたものですが、Radin博士いわく「これは予備的な研究であり、将来的には他の多くの研究の可能性を秘めています」とのこと。

新型コロナ感染はたとえ軽症で済んだとしても、回復後に倦怠感や脱力、脱毛や味覚異常、動悸や食欲不振などの後遺症が長引くとの報告もあり、追跡調査や手厚いケアも必要なはず。こうした研究成果が日本でも反映されるよう祈りたいところです。

(Source:JAMA Network Open。Via 9to5MacThe New York TimesEngadget日本版より転載)

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5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援Holoeyesは、Dental Predictionとソフトバンクの協力のもと「5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証」に関する実証実験を7月12日から実施します。

5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用した実験で、東京にいる指導医が大阪にいる若手歯科医に、VR・AR映像を通して診断・治療の指導と手術を支援をするといった内容です。

具体的には、歯が欠損した場合に行うインプラント手術の症例を扱います。インプラント手術は、知識的にも技術的にも比較的難易度の高い処置です。5GとXR技術、3Dプリンティング技術を活用して、物理的な場所の制約を受けずに若手歯科医への知識や技術の伝授ができるかを検証します。

5GとVR・AR技術、3Dプリンティング技術を活用し東京の指導医が大阪の若手歯科医による歯科手術を遠隔支援

3Dモデル/3Dプリンティング模型

実験では患者のデータを基に作成した頭蓋骨の3Dモデルを使い手術に必要な3次元の動きをVR空間で共有します。診断と検討の後、指導医は3DモデルをAR空間で操作しながら、同じ患者の顎骨の3Dプリンティング模型を使って指導します。

若手歯科医はAR映像を見ながら模型にドリルで穴を開けるなどの実習を行うことで、インプラント手術の一連の流れを体験できます。最終的には、指導医が東京からAR映像を通して支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者の手術を行います。

なお、遠隔指導および遠隔手術支援に当たっては、現役の歯科医であるDental Prediction代表の宇野澤氏が、診断を行う上で重要なポイントや解剖に関する手順を解説します。

各種デバイスに対応したHoloeyesの医療用画像表示サービス「Holoeyes XR」と、オンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、ソフトバンクの5GネットワークでVR・AR映像を送受信することで、指導や手術支援を行います。

以降リリースより転載です。

実証実験の概要

  1. 名称:5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証
  2. 実施期間(予定):2021年7月12日~9月
  3. 実施場所:東京会場:ソフトバンク本社(東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー)、大阪会場:5G X LAB OSAKA(大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟 6階「ソフト産業プラザTEQS」内)

実施の流れ

  • ステップ1(7月12日実施予定):過去に手術を受けた患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。複数の若手歯科医へ同時に遠隔指導することで、その有用性を検証します。
  • ステップ2(8月実施予定):これから手術を受ける患者のデータを基に作成した3Dモデルで症例検討と解剖手順の確認を行った後、同じ患者の3Dプリンティング模型を使って、若手歯科医が手術の一連の流れを体験します。今後予定している手術を、複数の若手歯科医が同時に疑似体験できることを検証します。
  • ステップ3(9月実施予定):東京の指導医が遠隔支援しながら、若手歯科医が大阪市内の歯科クリニックで実際の患者(ステップ2の患者)の手術を実施します。若手歯科医が、指導医の遠隔支援の下で安全かつ確実に手術ができることを検証します。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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見守りタグ「biblle」のジョージ・アンド・ショーンが7000万円を調達、早期認知症の回復に向けた新規サービス開発

見守りタグ「biblle」のジョージ・アンド・ショーンが7000万円を調達、ヘルスケアAI事業を推進

位置追跡可能なタグとモバイルアプリによる見守りサービス「biblle」(ビブル)を展開するジョージ・アンド・ショーン(G&S)は7月7日、NTT西日本を引受先とする第三者割当増資による7000万円の資金調達を実施したと発表。NTT西日本との資本業務提携により、高齢者の認知症および軽度認知症(MCI)の早期発見のためのライフログ解析AIエンジンと、早期認知症の回復に向けた新規サービスの開発を進めるという。

G&Sはこれまでも、医療データに頼らず、日常的な生活習慣データを利用して認知症やMCIの発見する技術の開発を進めてきた。それを、その他の認知症早期発見や回復を目指したコンテンツやサービスと共に、必要な人にいち早く、できるだけ負担の少ない形で提供することが重要と考えたG&Sは、複数のパートナー企業と連携して、次の3つの柱を軸に社会実装を目指している。

ひとつは、「生活様式を変えない」ログ取得。高齢者の長期にわたる生活行動の記録データ「ライフログ」を、「biblle」や、高齢者施設用見守りシステム「施設360」(シセツサンロクマル)といった製品を活用して、当人に負担をかけずに取得する。

2つ目は、「気づき」を与える検知アラート。認知症またはMCIが疑われる人を高感度でスクリーニングし、当人に早い段階で認知症を疑うきっかけを与える。すでに、 認知症とMCIのスコアリング予測を行うAIプラットフォーム「Cognivida」(コグニヴィーダ)を高齢者施設に導入している。現在、認知症高齢者の検出精度は最大95%、MCIは最大81.8%とのこと(最大精度は睡眠データ利用時。センサーごとに推定精度は異なる)。検知に用いるデータは「位置情報の履歴」「睡眠サイクル」「家電利用の状況」「会話データ」などとしている。

3つ目は、「楽しみながら」の回復コンテンツ。食事、運動、コミュニケーション、脳トレなどを日常的に親しみながら継続できる回復コンテンツを提供する。すでに、食を通じて回復を促す動画コンテンツが展開されている。

これらの取り組みは、NTT西日本をはじめとするパートナー企業との連携で行われている。たとえば、NTT PARAVITAとは、睡眠情報を用いた認知機能推定のためのAI開発が進行中だ。今後は、投薬や医学療法との連携も重視し、医療機関や製薬会社との協力を推進してゆくという。

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アマゾンが米国で自社ブランドのコロナ検査キットの販売を開始、価格は約4400円

米国時間7月6日、Amazon(アマゾン)は米国で自社ブランドの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)在宅検査キットの販売を開始すると発表した。検査キットは米国の利用者を対象にAmazon.comのウェブサイトで販売され、処方箋なしで購入できる。価格は39.99ドル(約4400円)。この新型コロナウイルスPCR検査キットはAmazonプライムで顧客の自宅に配送され、鼻腔を綿棒で拭う検査に必要なものがすべてセットになっている。利用者は綿棒を回収容器に入れ、キットに同梱の箱で返送する。Amazonは、検査機関で検体を受け取ってから24時間以内で結果を通知できるとしている。

検体はAmazon社内の検査機関で処理される。この検査機関は、同社が現場で勤務する従業員向けに社内COVID-19検査プログラムの一環として設けたものだ。同社はこれまでに米国と英国の検査機関で、従業員のうち75万人以上を対象に数百万回の検査を処理したと述べている。今回発売する新しい在宅検査キットで、同社は米国の検査機関の処理能力を顧客に拡大する。

Amazonによれば、検査は正確性に優れるRT-PCRという手法を用いているため、検査機関で処理をする時間が必要だという。このキットは米国食品医薬品局の緊急使用許可(EUA)を受けている。

画像クレジット:Amazon

Amazon.comの販売ページによれば、このキットには綿棒、生理食塩水の入った回収容器、吸水剤付きのビニール袋、返送用ラベルが貼られた箱が同梱されている。返送にはUPSが使われ、顧客の追加費用負担はない。検体はCAP(米国病理学会)認定とCLIA(臨床検査室改善法)認証を受けたケンタッキー州ヘブロンにあるAmazonの検査機関に送られる。

キットには、AmazonのセキュアなウェブサイトであるAmazonDx.comで検査結果を確認する方法の説明と検査の証明に必要な書類へのアクセスも含まれている。Amazonは、この検査はハワイを除く米国内、および米国から多くの海外諸国へ旅行する際に求められる要件を満たすとしている。このキットは米国医療費免税制度のFSAとHSAの対象となる。

Amazonで新型コロナウイルス検査業務を担当するバイスプレジデントのCem Sibay(ジェム・シバイ)氏は「ワクチン接種が進んではいますが、手頃な価格で信頼できる検査は感染拡大と戦うために依然として欠かせません。Amazonの検査キットは必要に応じていつでもどこでも新型コロナウイルスの検査を受けられるもので、お客様がAmazon.comに期待する利便性を提供します。この検査キットは極めて正確に短時間で結果が得られ、お客様は自信を持って安全に旅行や仕事、学校、日常生活に戻れるようになります」と述べている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

赤外線レーザーを応用し採血なしで血糖値を測定可能な非侵襲センサーを開発するライトタッチテクノロジーが1.2億円調達

赤外線レーザーを応用し採血なしで血糖値を測定できる非侵襲血糖値センサーを手がけるライトタッチテクノロジーが1.2億円調達

赤外線レーザーを応用した採血のいらない非侵襲血糖値センサーの開発を行うライトタッチテクノロジー(LTT)は7月5日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億2000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、テックアクセルベンチャーズ、GA投資組合、フューチャーベンチャーキャピタルの各社が運営するファンド。2017年の創業以来の資金調達総額は補助金などを含めて約3億円となった。

LTTは、採血による血糖値測定における糖尿病患者の苦痛・ストレスの緩和、感染症リスクの低減、ならびに糖尿病予備軍や健常者の血糖値管理よる糖尿病予防を目標として、赤外線レーザーを応用した採血のいらない非侵襲血糖値センサーを開発している。調達した資金により、量産化に向けた試作器の開発を行い、臨床試験、薬事承認に向けた展開を加速させる。

赤外線レーザーを応用し採血なしで血糖値を測定できる非侵襲血糖値センサーを手がけるライトタッチテクノロジーが1.2億円調達

糖尿病患者は、1日4~5回、指などを針で穿刺する採血型自己血糖値センサー(SMBG: Self-Monitoring of Blood Glucose)を用いて血糖値を測定しなければならず、痛みや精神的ストレス、さらに感染症の危険を伴うなどの多くの問題を抱えている。LTTは、最先端レーザー技術により、従来光源と比較して、約10億倍の明るさの高輝度赤外線レーザーの開発に成功し、非侵襲血糖測定技術を確立した。採血なしに約5秒で血糖値を測定できるため、糖尿病患者や健常者による気軽な血糖値管理に活用することで、糖尿病人口の増加抑制、年々増加する医療費や介護費の削減とともに、健康寿命の延伸を目指すとしている。

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メンタルヘルスのセルフケアアプリ「emol」と早稲田大学が千葉県市原市の職員対象に心理介入実験を実施

メンタルヘルスのセルフケアアプリ「emol」と早稲田大学が心理介入実験を千葉県市原市の職員対象に実施

AIチャットによるメンタルヘルスのセルフケアを目的とするアプリ「emol」(エモル。iOS版)を展開するemolは7月5日、早稲田大学大月研究室と共同でデジタルセルフケア・プログラムの開発を進め、千葉県市原市の協力でアプリによる心理介入実験を実施したと発表した。デジタルプログラムを実施しなかった群との比較において、デジタルプログラムを実施した群に抑うつ・不安への軽減がみられたという。

emolは、ユーザーが感情を記録でき、AIロボットの「ロク」がユーザーとの会話などを通してメンタル状態を分析しアドバイスしてくれるというアプリ。2018年3月からベータ版が公開され、以後改良が重ねられてきたが、2020年12月にAIによるレクチャーやデジタルセラピーの機能を実装して正式リリースとなった。Android版は2021年秋リリース予定としている。

オラクルが2020年10月に発表した報告によれば、日本を含む11カ国、1万2000人を対象に行った調査で、「仕事のストレスや不安を上司よりもロボットに話したい」と回答した人は68%、「メンタルヘルスのサポートを人よりもロボットに頼りたい」と回答した人は82%、さらに「仕事でのメンタルヘルスの改善にAIが役立った」と答えた人は75%いた。こうした背景を受けてemolは、早稲田大学人間科学部・大学院人間科学研究科大月友准教授が顧問を務める大月研究室と「アプリ内でACTを活用した心理療法の研究」を共同で行ってきた。

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)とは、マインドフルネスや実践的な取り組みを基本とする認知行動療法の一種。emolと大月研究室は、「アプリでACTを実践できるデジタルプログラム」共同開発の一環として、2021年3月、千葉県市原市職員から希望者を募り、2週間にわたり実証実験を行った。実験終了の心理テストの結果から、実験の時期が市の繁忙期と重なったために、抑うつや不安のスコアは全体的に高くなっていたものの、このプログラムを使った群と使わなかった群を比較すると、使った群には軽減が見られ、一定の予防効果があったことが期待できるという。

今後は、新型コロナ禍の影響もあり、非対面でのメンタルヘルスサポートを求める声に応えて、24時間対応できるAIによる個人に合わせたメンタルヘルス介入を目指す。また、自治体、企業、学校で、産後うつ予防、小中学生のメンタルヘルス不調予防などの実証実験も行う予定。

なお今回の取り組みは、千葉県市原市の公民連携のオープンイノベーション推進事業「いちミラ~いちはら未来創造プログラム~」に採択されたことから、千葉県市原市の協力が得られたという。

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グーグルのアップデートで新型コロナワクチン接種記録と検査結果をAndroid端末に保存

Googleは、新型コロナウイルスの検査結果とワクチンカードをAndroidデバイスにデジタルで保存できるようにしている。米国時間7月1日の発表で、同社は現在、Passes APIをアップデートしており、それによりヘルスケア団体や政府機関、および公衆衛生当局が認可しているその他の団体のデベロッパーは、検査やワクチンカードの情報のデジタルバージョンを作成し、それをユーザーのデバイスに直接保存できるようになる。Passes APIは通常、搭乗券やポイントカード、ギフトカード、チケットなどをユーザーのGoogle Payウォレットに保存するために使われている。ただし今回の場合では、Google Payアプリは要らない。

Google Payアプリのない人は新型コロナウイルスカードのデジタル版をデバイスに直接保存可能で、ホーム画面のショートカットからアクセスできる。Googleにカードのコピーはないので、複数のデバイスに新型コロナウイルスのカードを保存する必要のある人は、ヘルスケアプロバイダーなどのアプリからそれぞれにダウンロードしなければならない。

カードの上部にはヘルスケアプロバイダーのロゴや名前があり、その下に本人の名前と誕生日、そしてワクチンのメーカーや接種または検査した日付などの情報がある。Googleが提供している文書によると、ヘルスケアプロバイダーや関連団体は、カードをメールやテキストメッセージ、モバイルのウェブサイト、アプリなどからダウンロードできることをユーザーに伝えてもよい。

事例写真でGoogleは、ロサンゼルス郡で患者管理サービスを提供しているHealthvanaの新型コロナウイルスワクチンカードを例示している。ただしこの新しい技術に関心があったり採用する計画のあるヘルスケアプロバイダーの案内はない。この件でGoogleに問い合わせると、すでに大手のパートナーや州からの利用申し込みはあるが、現時点ではその名前を公表する許可がないという。数週間後に、いくつかの名前が公表されるようだ。

Passes APIが更新されても、Androidのユーザー自身が新型コロナウイルスのワクチンカードのデジタル版を作れるわけではない。これまで多くの人が、バックアップの手段としてカードの写真を撮ったり、良くない例としてカードをラミネートしていた。2回目以降の接種でもカードが必要なので、ラミネートはしない方が良い。

APIの更新では、デベロッパーが自分のシステムにある新型コロナウイルスの検査や予防接種のデータを、Androidデバイス上のローカルなデジタルカードにエクスポートするツールを作れるようになる。なるべく広く使われているデジタルカードを選んで採用することが、デベロッパーの仕事になる。

この機能の利用には、Androidのバージョンが5以上、そしてデバイスがGoogleの真正のアプリを使っていることを証明するライセンスプログラムであるPlay Protectの証明が必要だ。ユーザーはまた、セキュリティを確保するために、画面をロック画面にセットする必要がある。

Googleによると、APIのアップデートは米国に始まり、その後、他の国でも行われる。

ワクチンカードのデジタル化では、米国は他の国に後れを取っている。今日では、個人のワクチン接種状態や検査結果、発病後の回復状態などを示すEUの新型コロナウイルス証明書が使われている。そのEUDCCと呼ばれる証明はすべてのEU加盟国が認識し、国境を越える旅を可能にする。またイスラエルは2021年の初めにワクチンパスポートというものを発行して、予防接種が要件となっている場所で提示する「通行証」を提供している。日本も、海外旅行用のワクチンパスポートを2021年7月中に発行するようだ。

米国では、ごく一部の州がワクチン証明アプリを提供している。その他の多くの州は、ワクチンパスポートそのものを否定したり、それが政治問題になっているので不採用を検討している。

Googleのデジタルワクチンカードもこんな状況を反映して、紙のカードのデジタルコピーだ。政府のその他の計画との連係はなく、「ワクチンパスポート」でもない。

関連記事:EUが新型コロナ「デジタル証明書」を本格運用、ワクチン接種や検査陰性を証明

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画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

着用者の新型コロナ感染を検出できるセンサー搭載マスクをMITとハーバード大の研究者らが発表

着用者の新型コロナ感染を検出できるマスクのプロトタイプをMITとハーバード大が発表

MIT

マサチューセッツ工科大(MIT)とハーバード大学の研究者らは6月28日(現地時間)、約90分以内に着用者の新型コロナウイルス感染有無を診断できるフェイスマスクのプロトタイプを発表しました。マスクには使い捨てのセンサーが取り付けられており、このセンサーは他のマスクにも装着が可能。また、新型コロナウイルス以外の検出にも応用可能です。

このセンサーは、もともとエボラ出血熱やジカ熱などのウイルスを検出するために研究されていたもの。ペーパー診断用に開発した、凍結乾燥させた細胞機構をベースにしています。ようするに、有機材料で作られたバイオセンサーです。タンパク質やRNAなどの生体分子が凍結乾燥(フリーズドライ)の状態で含まれており、これが水分によって活性化されると、標的となるウイルスの分子と相互作用を起こし、色の変化などでウイルスの有無を検出できる仕組みです。

当初はウイルスに晒される機会の多い医療従事者向けに開発していたもの。白衣に取り付けることでウイルス暴露を検出できるウェアラブルセンサーとして、2020年初頭にはすでに完成していたとのこと。その後すぐに新型コロナのパンデミックが発生し、これを検出するためのマスクの開発に着手したとしています。

マスクの内側に装着することで、呼気中の唾液に含まれるウイルスを検出可能。なお、プライバシーに配慮し、色の変化は内側でのみ確認できるようになっています。

ハーバード大学の研究員Peter Nguyen氏は、ゴールドスタンダード(精度が高く信頼性があり広く容認されている手法)である高感度PCR検査と同程度の感度で、COVID-19の迅速な分析に使われる抗原検査と同じくらいの速さで検出できるとしています。

また、新型コロナウイルス以外にも、インフルエンザやエボラ出血熱、ジカ熱など、他の病原体を検出するセンサーも取り付けられるほか、もとの用途通り、衣服に装着しての利用もできるとのことです。

まだ試作品の段階ではありますが、承認プロセスなどを経て製品化を考えている外部グループからも関心を寄せられているとのことなので、意外と早く世に出てくるかもしれません。

(Source:MIT NewsEngadget日本版より転載)

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【インタビュー】アップルがiOS 15で明らかにした「ヘルスケア」の未来、同社VPが語る初期Apple Watchから現在まで

Apple(アップル)が最近開催した世界開発者会議(WWDC)の基調講演には、iPhone、Mac、iPadの新機能が詰まっていた。2014年に最初のヘルスケアアプリがデビューして以来ほぼ一貫してそうだったように、それらの新機能には、個人のヘルスケアや健康を中心としたアップデートが含まれている。Appleがこの分野で行っている取り組みの影響は、すぐには評価できないことが多い。例えば、ヘルスケア関係の新機能は一般に、Appleのデバイスのソフトウェアで行われるユーザーインターフェイスの全面的な見直しほど目立つことはない。しかし全体として見ると、Appleは、個人が利用可能な、最も強力でわかりやすいパーソナルヘルスケアツールスイートを構築したようだ。そして、その勢いが衰える兆しは見えない。

筆者は、Appleの技術担当VPであるKevin Lynch(ケヴィン・リンチ)氏にインタビューする機会を得た。実はリンチ氏は、2014年9月のAppleの基調講演イベントにおいて、世界の舞台ではじめてApple Watchのデモを行った人物であり、Apple Watchが大きく成長するのを見てきただけでなく、Apple Watchにおけるヘルスケアの取り組みの進展に欠くことのできない人物でもある。Apple Watchがどのようにして今日の姿になったか説明してくれた。また、将来の展望のヒントも与えてくれた。

「これまでの進展ぶりに驚いています」と、最初のヘルスケアアプリについてリンチ氏は語った。「このアプリは実は、Apple Watchから始まりました。Apple Watchで、カロリー消費アクティビティと『アクティビティ』のリングを完成させるための心拍数データを取ったため、心拍数データを保存しておく場所が必要でした。それで、データを保存する場所としてヘルスケアアプリを作りました」。

Appleのヘルスケアアプリは2014年に、Apple Watchのアクティビティデータを保存する簡単なコンパニオンアプリとして始まった(画像クレジット:Apple)

そこでAppleは、中心になる場所ができれば、他の種類のデータも保存できるシステムを開発して、プライバシーを尊重した方法で開発者が関連データをそこに保存できるAPIとアーキテクチャも構築できることに気づいた、とリンチ氏は語る。最初の頃、ヘルスケアアプリは基本的にまだ受け身の格納庫で、ヘルスケア関係のさまざまな情報の接点をユーザーに提供していたが、Appleは間もなく、それをさらに発展させて他にも何かできることはないか、と考え始めた。そして、アイデアのきっかけはユーザーからもたらされた。

ユーザーに導かれた進化

ヘルスケアに対するAppleのアプローチの主要な転換点は、ユーザーがApple Watchの機能を使って、Appleが意図した以上のことを行っていることにAppleが気づいたときに訪れた、とリンチ氏はいう。

リンチは次のように説明する。「私たちは、ユーザーに心拍数を示そうとしており、実際、ユーザーは自分の心拍数を見ることができました。私たちは、心拍数を消費カロリーの測定に使っていました。しかしある時、こんなことがありました。ワークアウトをしていないときに心拍数を見て、心拍数が高いことに気づいた一部のユーザーが【略】医師に診てもらうと、心臓の異常が発見されたのです。Appleはそのようなユーザーから手紙を受け取るようになりました。今でも、私たちがしている仕事について手紙が来ます。それはとてもうれしいことです。しかし、初期のそうした手紙の中にはヒントを与えてくれたものがありました。『待てよ、実は同じことをバックグラウンドで自分たちでできるんじゃないか』ってね」。

その後Appleは、心拍数が高い場合にアラートを通知する仕組みを開発した。ユーザーがあまり動いていないときにApple Watchが異常に高い心拍数を検出すると、それをユーザーに知らせることができる。休息時の高い心拍数は、潜在的な問題に関する良い指標である。Appleは後に、異常に低い心拍数の通知も加えた。これはすべてユーザーがすでに利用できるデータであったが、Appleは、目ざといApple Watchオーナーがすでに享受しているメリットを、先を見越して機能として提供できることに気づいた。

2017年、心拍数が高いことを知らせる通知がApple Watchに導入された(画像クレジット:Apple)

そこでAppleは、似たようなインサイトを探り出せる検討対象の分野を増やすための投資を大きく増やし始めた。ユーザーの行動によって研究対象の新たな分野が特定されるのを待つのではなく(リンチ氏によれば、これはチームにとって依然として重要であるが)、ヘルスケア機能の発展への道筋を切り開くために、臨床医や医療研究者の採用を増やし始めた。

その成果の一例が、WWDCで発表された「Walking steadiness(歩行の安定性)」である。これは、Apple Watch装着者の平均的な歩行の安定度を簡単なスコアで示す新しい基準だ。

リンチ氏は次のように説明する。「歩行の安定性【略】は実は、転倒の検出から得られたものです。私たちは転倒の検出に取り組んでいました。本当にすばらしい取り組みだったのですが、進めていくうちに、ただユーザーの転倒を検出するだけでなく、ユーザーが実際に転倒しないようにサポートする方法についてブレインストーミングを行うようになりました。転倒するその瞬間にサポートするのはかなり困難です。実際に転倒し始めたら、できることは限られています」。

リンチ氏は、Appleが2018年に導入した転倒検出機能のことを言っている。モーションセンサーのデータを使って、突然の激しい転倒と思えるものを検出し、転倒した装着者をできれば助けるために緊急アラートを送る機能である。Appleは、10万人が参加した心臓と運動に関する研究でユーザーの転倒検出データを調べ、それを歩行の基準に関する同じ研究でiPhoneから収集したデータと結び付けることができた。

「(心臓と運動に関する研究のデータ)は、この機械学習に関する仕事の一部でとても役立っています」とリンチ氏は述べた。「それで私たちは、特に転倒と歩行の安定性を中心とした研究に重点を置き、歩行の安定性に関する従来の測定データ一式を、真実を語る資料として使いました。アンケート調査、臨床観察、受診と医師による歩行の様子の観察も同様です。そして1~2年の間、研究対象の人が転倒することがあれば、転倒に先立つ測定基準をすべて調べて、『転倒の可能性を測る本当の予測因子は何か』を理解することができました。その後、それを基にモデルを構築できました」。

iOS 15におけるAppleのヘルスケアアプリの「歩行の安定性」に関する測定基準(画像クレジット:Apple)

実はAppleは、歩行の安定性の機能によって、ヘルスケアやフィットネスの業界では非常にまれなことを成し遂げた。個人のヘルスケアを中心として、臨床的に検証された、意味のある新しい測定基準を作ったのだ。ヘルスケアアプリでは、AppleのiPhoneのセンサーを通して受動的に収集されたモーションセンサーのデータに基づいて「とても低い」から「低い」または「OK」までのスコアが示される(リンチ氏の話では、iPhoneの方が、腰の位置にあるので測定基準をより正確に検出できるという)。おそらくこのデータは、ユーザーが本当に意味ある改善を実際に行うのに役立つだろう、とリンチ氏はいう。

「別のすばらしい点は、すぐに使えるということです」と氏は述べた。「変えるのが難しいものもある中で、歩行の安定性に関しては、改善するためにできるエクササイズがあります。それで、私たちはそうしたエクササイズをヘルスケアアプリに組み込みました。ビデオを見てエクササイズを行い、転倒する前に、安定性を改善するために努力できます」。

歩行の安定性というのはおそらく、ヘルスケアに関してAppleが重視する分野を最も効果的に具現化した機能である。持ち歩くデバイスが、周囲を取り巻く一種のプロテクターに変わるのだ。

「インテリジェントな保護者」

Appleのヘルスケアアプリは、追跡対象の測定基準を概観するのにうってつけである。Appleは、目に映るものを理解することを容易にする、入念に吟味した状況認識情報のライブラリを着実に構築してきた(例えば、研究室のアップデートされた新しいディスプレイでは、結果がiOS 15でわかりやすい言葉に変換される)。しかし、革新の点でAppleが比類のない位置にいる分野の1つは、先を見越した、または予防的なヘルスケアである。リンチ氏は、歩行の安定性の機能はそうした努力の進展の結果であることを指摘した。

「歩行の安定性に関する取り組みは、私たちが『インテリジェントな保護者』と考えているこのカテゴリーに属します。『どうすれば、他の方法では見ることも気づくこともないかもしれないデータを使ってユーザーを見守るサポートができるだろうか。そして、変化の可能性を知らせることができるだろうか』ということです」と同氏は語る。

「インテリジェントな保護者」のカテゴリーは実のところ、当初はApple Watchとヘルスケアの計画に含まれていなかったことをリンチ氏は認めている。

「最初の頃は、『インテリジェントな保護者』について今のような考え方はしていませんでした。Apple Watch初期にユーザーから寄せられた手紙によって、私たちは、本当に意味のあるアラートをユーザーに通知できることに気づきました。ユーザーからの手紙のおかげで、本当に意義深いひらめきを得られました」。

Apple Watchの転倒の検出(画像クレジット:Apple)

そのような手紙は、ヘルスケアの機能に取り組むチームに今もひらめきを与えており、チームに動機付けを与えてその仕事が正しいことを証明するのに役立っている。リンチ氏は、Appleが受け取った1通の手紙を引用してくれた。ある人が父親にApple Watchを買ってあげたが、父親は自転車で外出中に自転車から溝に落ちてしまった。Apple Watchはその転落を検出し、父親の意識がないことも検出した。幸いにも、Apple Watchは緊急連絡先と911番に通知するように設定されていて、その両方に通知が送信された。Apple Watchによって地図上の場所が息子に通知されたので、息子は現地に駆けつけたが、現場ではすでに救急医療隊員が父親(幸い大事には至らなかった)を救急車に乗せているところだった。

リンチ氏は次のように語る。「『人について私たちが感知して知らせることができることとして、他に何があるだろうか』と考えたことはたくさんあります。ヘルスケアに関する取り組みの中で、私たちは、臨床的な観点から人について知るべき真に意味のある事柄とは何か、という点について常に話し合っています。また、人について感知できることについて科学的な観点からどう考えるべきか、という点についても話し合っています。この2つの点が重なる部分にこそ、収集データを理解して活用するための鍵があります。あるいは、疑問に対して臨床的にしっかりとした根拠に基づく回答を出すためのデータを構築する新しいセンサーを開発するヒントが得られる可能性があります」。

個人のヘルスケアに対するコミュニティとしてのアプローチ

iOS 15でAppleのヘルスケアアプリに加えられる別の大きな変更は共有だ。ユーザーと家族や、医師など世話をする人の間で、ヘルスケアのデータを非公開で安全に共有できるようにする。ユーザーは、共有するヘルスケアのデータを正確に選ぶことができ、いつでもアクセスを無効にできる。Apple自体がデータを見ることは決してなく、データはデバイス上でローカルで暗号化され、受信するデバイスのローカルメモリーで復号化される。

iOS 15でのAppleのヘルスケアアプリの共有(画像クレジット:Apple)

ヘルスケアの共有は、インテリジェントな保護者に関するAppleの取り組みの自然な拡張である。これによって、個人のヘルスケアは、常にそうであった状態、つまり個人がつながっているネットワークによって管理される状態に引き上げられるからだ。しかも、現代のテクノロジーとセンサー機能によって拡張されている。

リンチ氏は次のように説明する。「見守り対象の相手はその情報を見たり、変化の通知を受け取ったりすることができ、見守る人は小さなダッシュボードで情報を見ることができます。特に年配者やパートナーの世話をする人にこれが大いに役立つことを願っています。一般的に言って、ヘルスケアの過程で相互にそうしたサポートができるようになります」。

リンチ氏は、単に他の方法では見いだせなかったデータを明らかにすることが目的ではなく、実際には、ヘルスケアに関連した家族間のコミュニケーションを活発にしたり、普通なら決して生じないような個人的なつながりの扉を開けたりすることが目的だということを指摘している。

「最近どれくらい歩いたかとか、よく眠れるかといった話を自然にすることがないような状況で、会話が促されます。そうしたことを共有する気があるなら、さもなければしなかったような会話ができます。医師とのやり取りでも同じです。医師とやり取りするとき、医師は患者の普段の健康状態をあまり見ていないかもしれません。サイロ思考になって、その時の血圧など、部分的にしか診ません。では、医師と話すときに、どうすれば短い時間で全体像を伝えて、会話の内容を豊かにするサポートができるでしょうか」。

医師との共有は、医療提供者の電子医療記録(EHR)システムとの統合に依存するが、リンチ氏によれば、そのシステムでは相互運用可能な標準が使用されていて、さまざまなプロバイダーがすでに米国を広くカバーする準備を整えている。この機能を利用する医療従事者は、ユーザーが共有するデータをWeb表示のEHRシステムで見ることができる。データは一時的に共有されるだけだが、医療従事者は患者のために、簡単に特定の記録に注釈を付けて、永続的なEHRに保存し、必要に応じて診断結果や治療過程をバックアップできる。

EHRには導入と相互運用性の点で困難な問題に直面してきた歴史がある。この点についてリンチ氏に尋ねると、同氏は、Appleが何年も前にEHRとの連携に取り組み始めた当時は、実際に機能させるためにApple側に多大の技術的な負担が求められたと語った。幸い、業界は全般的に、もっとオープンな標準の採用に向かった。

「業界は、もっと標準化された方法でEHRに接続する方向に大きく変化してきました。確かにAppleは、EHRに関するすべての問題に取り組み、改善を支援するために努力してきました」とリンチ氏は語る。

ユーザーとの長期的な関係を築くメリット

ユーザーと医師の両者にとって、Appleのヘルスケアアプリが持つ大きな潜在的メリットの1つは、長期にわたって大量のデータにアクセスできることである。Appleのプラットフォームにこだわり、ヘルスケアアプリを使ってきたユーザーは、少なくとも7年ほど心拍数のデータを追跡してきたことになる。その理由で、iOS 15の別の機能であるHealth Trends(健康のトレンド)は、将来に向けてさらに大きな影響力となる可能性を秘めている。

iOS 15のAppleの健康のトレンド機能(画像クレジット:Apple)

リンチ氏は次のように説明する。「トレンド機能では、長期的な変化を調べ、各分野で統計的に重要な変化の特定を開始します。最初は20ほどの分野が対象となります。注意すべきトレンドが現れ始めたら、それを強調表示し、その様子を表示することができます。例えば、休息時の心拍数に関する現在と1年前のデータを比較できます」。

これもまた、Appleの心臓と運動に関する研究と、Appleがその研究から継続的に引き出したインサイトの結果である。Appleはこの研究の間、提供するインサイトの微調整に大いに力を注いだ。活用できるインサイトをユーザーに提供すると同時に、過剰な負荷や混乱の増大を回避するためだ。

「健康のトレンドのような機能を扱う場合、インサイトでユーザーを圧倒したいとは思いません。しかし、示すべき関連情報がある場合は、それを抑えたいとも思いません。どのように調整すべきか考えました。私たちは、心臓と運動に関する研究で得たデータを調整することに力を注いだので、それが公開されている様子を見ると胸が高鳴ります。これは何度でも言います。これは長期的な変化を理解する本当に強力な方法になると思います」。

ヘルスケアの未来は「融合」にあり

Appleのヘルスケアに関する今日までのストーリーは主に、iPhoneやApple Watchに搭載されている、最初は別の目的を持っていたセンサーを通じてヘルスケアに関するすばらしいインサイトが継続的に提供されたことによって成り立っている。以前はまったく不可能で、実際的ではなかったことだ。その状況は、Appleが、Apple WatchやAppleの他のデバイスに統合できる新しいセンサー技術を探し出して、日常のさらに多くの健康問題に取り組むという、意図的な戦略へと進展した。また、Appleは引き続き、既存のセンサーを使う新しい方法を見つけ出している。iOS 15に追加された、睡眠中の呼吸数の測定が主な例である。一方で、さらに多くのことを行うため、次なる新しいハードウェアの開発にも取り組んでいる。

しかし、将来のヘルスケア機能の観点から見ると、さらに可能性を探るべき分野は、センサーの融合である。歩行の安定性は、iPhoneとApple Watchが単に独立して機能する結果ではなく、Appleがそれらを組み合わせて活用するときに得られる成果である。Appleのソフトウェアとハードウェアの緊密な統合によって強化される分野もある。そのような分野は、デバイスとそのデバイスに搭載されているセンサーで構成されるAppleのエコシステムとして増殖し、成長を続ける。

インタビューの最後に、AirPodsのことを考慮に入れるとどんな可能性が開かれるのか、リンチ氏に尋ねた。エアポッドにも独自のセンサーがあり、iPhoneやApple Watchでモニタリングされるヘルスケア関連データを補完できるさまざまなデータを収集できるためだ。

「現在すでに、いくつかのデバイス間でセンサーの融合を行っています。ここには、あらゆる種類の可能性があると考えています」とリンチ氏は語った。

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画像クレジット:Apple

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Dragonfly)

パーソナライズされた栄養改善アドバイスを提供するZoe、ビッグデータと機械学習で食品に対する身体の反応を予測

パーソナライズドニュートリション(パーソナライズされた栄養改善アドバイス)のスタートアップ企業Zoe(ゾーイ)がシリーズBラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達し、累計調達額が5300万ドル(約58億円)に達した。ちなみに、社名の由来は人名ではなく「生命」を意味するギリシャ語の言葉だ。

今回クローズしたシリーズBラウンドをリードしたのは、2人のノーベル賞受賞者をサイエンスパートナーに擁するとZoeが述べているAhren Innovation Capital(アーレン・イノベーション・キャピタル)だ。加えて、元アメリカンフットボールプレイヤーのEli Manning (イーライ・マニング)氏とOsitadimma “Osi” Umenyiora(オシタディマ(オシ)・ウメニーラ)氏の2人の他、米国ボストンを拠点とするシードファンドのAccomplice(アコンプリス)、ヘルスケアに特化したベンチャーキャピタル企業のTHVC、アーリーステージのスタートアップを支援する欧州系VCのDaphni(ダフニ)が参加した。

Zoeは英国と米国を拠点として2017年に創業したスタートアップなのだが、最初の3年間は自社のサービスや製品について外部に公表せずに活動し、その間、マサチューセッツ総合病院、スタンフォード大学医学部、ハーバード大学 T.H.チャン公衆衛生大学院、ロンドン大学キングス・カレッジの科学者と協力してマイクロバイオームの研究を進めてきた。

創業者の1人は、食をテーマにしたサイエンス系の人気書籍を多数執筆しているキングス・カレッジのTim Spector(ティム・スペクター)教授だ。人間の健康における遺伝子(自然要因)と栄養(環境・生活要因)の役割の対比など、数十年にわたる双子研究を続けた末、健康全般における(一般的な)食の役割、(特に)マイクロバイオームの役割に興味を抱いたという。

Zoeは、2つの大規模なマイクロバイオーム研究のデータを使って同社の最初のアルゴリズムを開発し、2020年9月にそれを商品化した。同社の商品化第一号として米国市場に投入されたこの製品は家庭用検査キットだ。Zoeの栄養分析プログラムに登録するとこの検査キットが届き、ユーザーは、各種食品に対して自分の身体がどのように反応するのかを理解し、自分だけの栄養改善アドバイスをもらうことができる。

プログラムにかかる費用はおよそ360ドル(約4万円)で、6回の分割払いも可能だ。さまざまな検査を(自分で)行うことが必要だが、このプログラムにより、血中脂質や血糖値、腸内細菌の種類の変化など、代謝や腸内環境に関する情報を収集し、生物学的に分析することができる。

Zoeでは、ビッグデータと機械学習を活用して各種食品に対する身体の反応を予測し、何をどう食べれば腸内環境を改善し、食事による炎症反応を抑えることができるか、個人に合わせたアドバイスを行っている。

さまざまな生物学的反応を組み合わせて分析する手法により、血糖値などの単独の数値に焦点を当てた商品を展開する他のパーソナライズドニュートリションのスタートアップ企業とは一線を画している、とZoeは主張する。

しかし、誤解のないように言っておくと、Zoeの商品化第一号であるこの製品は医薬品として認定されたものではない。同社のFAQにも、特定の疾患に対する医学的診断や治療を行うものではないと明言されている。あくまで「一般的な健康増進のみを目的としたツール」だという。つまり、今のところは、Zoeのアドバイスが実際に役立つことをそのまま信用するしかない。

1つ確実なことは、Zoeの共同創業者がTechCrunchのインタビューで明言しているように、マイクロバイオームの科学研究がまだ始まったばかりということだ。そのため、データとAIの活用により個人に合わせた有用な予測をはじき出そうとするスタートアップによく見られるように、Zoeでも初期の顧客のデータが研究の推進に役立てられていることに留意すべきである。食事が健康に与える影響について未知の部分が多い現状を鑑みれば、個人の期待に応えるよりも、まずはデータ収集が優先されることは仕方のないことかもしれない。

それでも、果敢に(お金を払って)プログラムを試してみるユーザーは、特定の食品に対する自分の身体の生物学的反応を数千人と比較した詳細な個人レポートを手に入れることができる。レポートにはさらに、自分に合う健康的な献立作りに役立てることができるよう、特定の食品に関する個人データを点数化した「Zoe」スコアも表示される。

Zoeのウェブサイトには「1人ひとりの身体の状態と生活スタイルに合わせた4週間プランで食事による炎症反応の抑制と腸内環境の改善を実現」「フードスコアに基づいた毎週の食事改善ノウハウをアプリで学べる」などの宣伝文句が並ぶ。

マーケティング資料にも「食べてはいけない食品」は一切なしと書かれており、前述のZoeスコアが、特定の食品群を禁止することもある(減量重視の)ダイエットとは異なることを示唆している。

「必要な情報とツールを提供することで、自分の健康にとって最善の決断ができるようにすることが目標」だとZoeは胸を張る。

その根底には、同じ食品でも身体が示す反応は人によって異なるという前提がある。食事内容(または食事量)に関わらず、痩身で(一見)健康な人を誰でも少なくとも1人は知っているだろう。その人と同じ食生活を送っても、期待通りの結果は得られないことが多い、ということだ。

共同創業者のGeorge Hadjigeorgiou(ヨルゴス・ハッジゲオルギオ)氏は次のように説明する。「Zoeは、昔から言われてきたことに初めて科学的な裏づけを与えている。(マイクロバイオームの科学研究は)始まったばかりだが、Zoeは、双子でさえ腸内マイクロバイオームが異なること、食事やライフスタイル、生活様式によって腸内マイクロバイオームが変化すること、特定の(腸内)細菌と食品の間につながりがあることを説明し、自社の製品を用いた実際的な改善方法を全世界に発信している」。

Zoeのこの製品を利用するには、各種食品に対する身体の反応を分析して自分だけの栄養アドバイスを得るため、検便や血液検査、血糖値モニタリングなど、身体に関するさまざまなデータを収集するための検査を自力で行う意思(と能力)が必要となる。

食事が身体に与える生物学的な影響を調べるためにZoeがこのプログラムで採用しているもう1つの方法は、一定のレシピで作られた「検査用の特製マフィン」だ。このマフィンを数千人に食べてもらい、カロリー、炭水化物、脂質、タンパク質の特定の組み合わせに対する栄養反応を比較し、ベンチマーク解析を行っている。

特製マフィンを食べるだけならまったく問題はなさそうだが、実は、Zoeの家庭用検査キットを利用するのにかかる労力は、栄養改善に何となく興味があるだけの消費者には面倒に感じられる可能性が高い。

ハッジゲオルギオ氏も、今のところは食事や栄養に関する特定の問題(肥満、高コレステロール血症、2型糖尿病など)を抱え、解決を希望している人に焦点を当てているとあっさり認めている。ただし、データや見識を引き続き収集しつつも、Zoeの目標はあくまでパーソナライズされた栄養アドバイスを入手する機会を広げることだという。

ハッジゲオルギオ氏はTechCrunchの取材に対し「これまで同様、解決すべき問題を抱えている人たち、人生を変えるような経験を提供できそうな人たちから始めようという発想」だと答え「現時点では広く一般を対象とした商品にしようとは思っていない。初めは小規模にやるしかないことは分かっている。ただし、現在の限定的なターゲットグループでもかなりの人数になるはずだ」と述べた。

「もちろん、全体のコンセプトとしては、初期(のユーザー)の検査を終えた後、収集したデータや経験を踏まえてプログラムを簡素化し、対象者を拡大したいと考えている。内容面でも価格面でも利用しやすいようにシンプルにしていきたい。もっと多くの人に使ってもらえるように。最終的には、誰もが自分で最適化、理解、管理できるようになるべきだし、そうすることがZoeの目標でもある」と同氏は語る。

「生まれ育った環境も社会経済的地位も関係ない。それに実際、こうした手段や能力は、健康などの大きな問題を抱える人たちの方が限られている場合が多いかもしれない」。

Zoeは今のところ初期登録者の数を発表していないが、ハッジゲオルギオ氏によれば需要は高いようだ(現在、新規登録は順番待ちの状態だ)。

さらに同氏は、初期グループの中間トライアルの速報結果は期待を持たせるものだと胸を張る。AIを活用してカスタマイズした栄養改善プランを3カ月間試した結果、活力が増し(90%)、空腹だと感じることが減って(80%)、体重が平均約5kg減少したという。とはいえ、トライアルの参加人数が公表されていないため、これらの指標を定量化することはできない。

シリーズBで調達した追加資金は、年内に予定されている英国でのローンチを控え、プログラムの展開を加速させるために使用される予定だ。2022年にはさらに地域を拡大する。また、工学技術・科学分野の人材確保を継続するための資金にも充てられる。

Zoeは2020年、欧米で新型コロナウイルス感染症が拡大する中、症状自己申告アプリをローンチして注目を集めた。収集したデータは、新型コロナウイルスが人にどう影響するかを科学者や政策立案者が把握する一助として利用されている。

2020年1年間でZoeの新型コロナウイルス感染症アプリは約500万ユーザーを獲得したという。こうした(非営利の)取り組みは、Zoeが栄養改善サービスの分野で推進していきたい斬新な社会参加活動の一例だとハッジゲオルギオ氏は説明する。

同氏は「新型コロナウイルス感染症に関する新たな科学的知見を得るため、何百万、何千万もの人々が突如、協力してくれるようになった」と述べ、アプリ利用者から入手したデータが数多くの研究論文に利用されていると強調する。「一例を挙げれば、嗅覚障害や味覚障害といった症状を初めて科学的に(根拠を)示すことができた。その後、英国政府の公式症例リストに掲載されたのも、そのおかげだ」と同氏はいう。

「販売開始当初には思いもしなかったスピードで人々が参加したことで、大きな影響を生むことができたすばらしい例である」とハッジゲオルギオ氏は述べた。

ここで食生活のことに話を戻そう。食生活については、野菜を食べるとか、加工食品を控えるとか、糖分を減らす(またはゼロにする)といった、誰もが簡単に実践できるシンプルな「経験則」がすでに存在しているのではないだろうか。いまさらオーダーメイドの栄養改善プランにお金を払う必要はあるのだろうか。

「経験則は確かにある」とハッジゲオルギオ氏は同意する。「そんなものがないというのはおかしなことだ。経験則はあるし、時間が経過するにつれて、例えばZoeの研究などを通して洗練されていくだろうが、問題は、ほとんどの人が徐々に不健康になっているという実情に集約されると思う。実際、生活は乱れがちだし、経験則に基づく食事の法則さえ無視されている。そのため、乱れた生活やライフスタイルを改善するにはどうすれば良いかを自分で判断し、無理なく楽しく実践して健康になれるように人々を教育し、そうした能力を高めていくことも重要だと考えている」。

「それこそが、私たちが顧客とともに目指していることだ。そうした判断ができるように能力を高める後押しをしている。個人でカロリー計算をする必要はないし、糖質制限(食事制限)などの我慢をする必要もない。私たちは基本的に、食品が身体に及ぼす影響を把握できるように個人をサポートしているにすぎない。自分の血糖値や体内細菌、血中脂質がどう変化しているかをリアルタイムに理解できるよう、能力を育成して理解を深めた上で、『こんなコースはどう?ゲーム感覚で簡単にできるよ?』と呼びかける。そしてさまざまな食品をカスタマイズして組み合わせるためのツールをすべて提供する。食べてはいけないものもない。Zoeのアプリが示すフードスコアが75点になるような食事を日常的に心がけるだけでよい」。

「このように能力向上を図るアプローチはやる気を引き出すらしい。ユーザーはゲーム感覚で楽しみながら腸を整えて代謝を向上することができ、いつの間にか驚きの効果を実感し始める。活力に満ち、空腹感が減って体重が減少し、時間の経過とともに見違えるほどの健康を手に入れることができる。『人生を変える』と言われる所以だ」。

「人生を左右する目標にゲーム感覚で取り組める」なんて、確かに平均的な消費者にとっては「野菜を食べろ」と言われるよりよほど心惹かれる提案だろう。

ただし、ハッジゲオルギオ氏が認めたように、Zoeが商業的・研究的に独自の強みを持つマイクロバイオームは研究分野としてはまだ歴史が浅い。そのため、研究を進めるためにより多くのデータを収集することが当面の事業課題となっている。食事や運動などの生活要因と健康の関係は複雑で分からないことも多いため、色々とやるべきことが残っていると言える。

しかしハッジゲオルギオ氏は思いつくアイデアに1つずつ取り組んでいくつもりのようだ。

「砂糖はだめでケールは良いという単純な話ではない。魔法そのものはその間に発生するからだ」とハッジゲオルギオ氏は続ける。オートミールはヘルシーなのか。コメや全粒粉パスタはどうか。全粒粉パスタとバターはどう組み合わせれば良いのか。どれくらいの量を食べるべきか。どれも基本的にほとんどの人が日常的に直面する疑問だ」。

「アイスクリームを食べない日もあれば、ケールを食べない日もあるが、その間に色々な食品を摂取しているからこそ、魔法が生まれる。食品の摂取量やより良い組み合わせ、食事と運動の最適なバランス、食後3時間経っても血糖値を下げず、空腹だと感じない食べ方を知る必要がある。Zoeなら、これらをすべて予測し、分かりやすく説得力のある方法で点数化できる。そして食事成分の代謝反応を(本人が理解できるように)示すことができる」とハッジゲオルギオ氏は説明する。

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タグ:Zoe資金調達ビッグデータ機械学習

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

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ストレスと白髪には顕著な相関、心理的負荷取り除けば元の色に戻る可能性をコロンビア大学の研究者が確認

Columbia University

フランス革命でとらえられたマリー・アントワネット王妃が、一夜にして白髪になってしまったという有名な話は、ストレスと白髪の関係を示す逸話として誰もが知るところですが、個人の心理的なストレスと髪の毛の色素沈着の相関性をはかるのは困難であるため、その真偽は定かではありませんでした。

しかし、コロンビア大学の研究者らは、集めたボランティア14人に「ストレス日記」なるものを毎日つけてもらい、週ごとにカレンダーを見ながら日々のストレスを評価してもらいました。そしてこれらの被験者から髪の毛のサンプルをとり、ストレスとそのときに成長した部分の髪の毛の色素沈着の度合いの相関を取りました。ちなみに人の髪の毛は1時間で約1/20mmほど伸びるとのこと。

白髪の度合いと言っても、髪の毛の部分部分における色の変化がくっきりはっきり出るわけではないので、目視でそれを確認するのは困難です。しかし、研究者らは「高解像度のスキャナーなら、色の微妙な変化を確認でき、それを測ることができる」と述べています。

こうして得た髪の毛の色の変化を、その人がつけた「ストレス日記」と比較したところ意外な発見があったと研究者は述べています。それは「ストレスと白髪のあいだの顕著な相関」だけでなく、「ストレスが軽減されれば一時は白髪化していた部分の色が本来の濃さに戻る」ケースも確認できたとのこと。「休暇中にレジャーに出かけた人の頭髪5本を調べたところ、休暇期間中の髪の毛が黒髪に戻った人がいた」と研究者は述べ、これまで白髪が元の色に戻ることが定量的に記録されたことはないとしました。

さらに、髪の毛の長さに応じて数千種類のタンパク質の量を測定したところ、白髪に変化するにつれて約300種類のタンパク質が変化していました。研究者らは、この変化が、ストレスによってミトコンドリアに変化を来したために発生したと考えています。研究者は「ミトコンドリアは細胞の動力源だとよく言われるものの、役割はそれだけではなく、実際にはまるで小さなアンテナのように、心理的なストレスを含むいろいろな信号に反応する」と述べています。

コロンビア大学の研究は、人の白髪の発生メカニズムが可逆的であることを示しています。しかし、これはすべての白髪の発生メカニズムに当てはまるわけではない模様です。

数学的モデルによると、白髪になる前に髪がある閾値に達するはずだと研究者は考えています。そして生物学的な年齢やその他の要因によって髪がその閾値に近づくとストレスが閾値を超え、白髪になってしまうのだと説明します。つまり長年白髪だった70代の人がストレスを徹底的に減らしたところで、髪が黒くなることはなく、また10代の若者がある程度高いストレスを受けても、髪が白髪になる閾値を超えるとも考え難いとのことです。

ちなみに、ハーバード大学の研究者が2020年に発表した研究では、マウスに急性のストレスを与えたところ、毛根の色素生成幹細胞が機能しなくなるとの結果が示されています。

(Source:Columbia UniversityEngadget日本版より転載)

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タグ:コロンビア大学(組織)メンタルヘルス(用語)

CTOなど技術幹部志向のITエンジニア対象、paizaでデジタルヘルス領域アイデアソンの参加者募集開始

ITエンジニア向け転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」(パイザ)を運営するpaizaは6月21日、ITエンジニア向け転職サービス「paiza転職」において、「BNV x NCCHE NEXT医療機器開発センター デジタルヘルス スタートアップ創出アイデアソン」参加者の受付を開始した。paizaは、将来CTOなど技術幹部を志向するITエンジニアを約10名募集しており、詳細については「スタートアップ創出アイデアソン!革新的なデジタルヘルス・医療機器を創出」で公開している。

今回のアイデアソンは、Beyond Next Ventures(BNV)主催の創業経営人材育成プログラム「Innovation Leaders Program」の一環として、BNVと国立がん研究センター東病院(NCCHE) NEXT医療機器開発センターとのコラボレーションにより開催するもの。

Innovation Leaders Programは、BNVが提供する創業経営人材育成プログラムシリーズの総称。プログラムでは国内トップクラスの研究チームとともに、将来スタートアップの経営参加を志望するビジネスパーソン、エンジニアがチームで事業プラン作りやブラッシュアップ、資金調達を目指す。過去にはのべ280名が参加、多くのスタートアップ共同創業・参画者を輩出しているという。

NCCHEは、国内屈指の医療研究機関にあたり、その院内にあるNEXT医療機器開発センターは、臨床ニーズに基づいた次世代に望まれる革新的医療機器を開発する専門機関となっている。アイデアソンでは、NCCHE所属医療研究者が温めている事業コンセプトをベースに、チームで革新的なデジタルヘルスサービス(デジタル診断、医療AI、画像診断、予防領域など)のいくつかのアイディアの事業化を目指すことになる。

医療現場の課題を「AI・画像解析・デジタル」で解決するプロダクトを生むという目的の下「実質2日間」で次世代のデジタルヘルスサービスを磨きあげる、短期集中のプログラムとしている。

プログラムで議論するテーマ(シーズ)

  • 人工知能を用いた腹腔鏡下肝切除術におけるリアルタイム手術支援システムの開発
  • 組織深部に存在する微小な癌を検出できるシステムの開発
  • せん妄の早期検知支援システムの開発
  • 医療者から患者への適切な情報提供とコミュニケーションを補助するシステムの開発

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タグ:paiza(製品・サービス)Beyond Next Venturesプログラミング(用語)日本(国・地域)