空き車両を効率活用させるAutofleetが約8億円を調達

成功したオンデマンドモビリティは、信頼できるサービスを提供し利益をあげながら、需要と供給のバランスをうまく取っている。それは、見つけるのが不可能ではないにしても、難しいスイートスポットだ。

Autofleetは、十分に活用されていない車両群を、配車サービスや配送サービスへと割り当てる車両群(フリート)最適化ソフトウェアを開発して、その難しい命題の解決を狙うスタートアップだ。元AvisとGettの従業員によって設立された同社は、国際市場に拡大し、研究開発チームを強化するために、シードとシリーズAを通して750万ドル(約8億1000万円)を調達した。

シリーズAはMizMaa Venturesが主導し、Maniv MobilityNext Gear Ventures、そしてLiil Venturesが参加した。なおシード調達を主導したのは、Maniv Mobilityだった。

Autofleetは、レンタカー会社、カーシェアリング企業、そして自動車メーカーが、モビリティサービスを開始したり、より適切に管理するために利用できる、車両群管理プラットフォームを開発した。このプラットフォームには、ドライバー用アプリはもちろん、予約アプリや配送サービスへの統合、需要予測、待機と最適化ためのアルゴリズムも含まれ、コントロールセンターも提供される。同社はまた、1台の車両を路上配備する前に、オペレーターが車両群の配備方法を計画することができるシミュレーターツールを開発した。

たとえば、車両を沢山所有していて、これまで複数日契約の需要がほとんどなかったレンタカー会社は、このプラットフォームを使用して、カーシェアリングサービスを開始し管理することができる。Autofleetは既にAvis Budget Group、Zipcar、Keolis、そしてSuzukiと提携している。

供給側の制約の管理に重点を置いている点が、Maniv MobilityをシードならびにラウンドAの投資へと踏み切らせたと、同社のジェネラルパートナーであるOlaf Sakkers(オラフ・サッカーズ)氏は語った。

現在Autofleetの最大の市場はヨーロッパとアメリカにあると、CEOのKobi Eisenberg(コビ・アイゼンバーグ)氏はTechCrunchに語った。また同社は、ラテンアメリカとアジア太平洋地域で力強いスタートと急速な成長を見せている。アイゼンバーグ氏は、これらの市場にさらに注力する計画だと語った。同社はまた、アジア地域での成長を加速するために、アジアでのパートナーシップを発表する予定だ。

アイゼンバーグ氏によると、Autofleetはまた、マイクロモビリティ企業が部門効率を改善するのを支援する手段などに向けた、車両群の活用方法についても新たな機会を模索しているという。

この新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の時代の中で、レンタカー会社のような資産を多数抱えるビジネスが倒産の憂き目に遭う事態に陥ったとき、Autofleetはすでにそのプラットフォームの新しい用途を開発済だった。このプラットフォームは、現在の物流と医療輸送の需要に応えるために、企業が車両群を転用するために用いられている。Autofleetは、自社の車両資産を配送サービスに活用したいと考えている企業にも、プラットフォームを販売している。

「需要の劇的な低下を経験している世界中の車両パートナーからの連絡を受けています。車両群とドライバーの多くが活用されていないのです」とアイゼンバーグ氏は語った。「同時に、小売業、スーパーマーケット、レストランなど、あらゆる業種のビジネスからの配送サービスの需要が急増しています」。

画像クレジット: Autofleet

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(翻訳:sako)

Uberが2020年の業績予想を撤回

Uber(ウーバー)は新型コロナ・パンデミックの影響を考慮し、2020年のガイダンス(業績予想)を撤回した。

アップデート:本稿[原文]はガイダンスが2020年のものであり、第4四半期のEBITDA利益目標の変更ではないことを反映するよう修正された。Uber CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は先般、2020年の最終四半期までに営業利益を上げる計画であると語った。これを年間ガイダンスと混同すべきではない。

Uberは木曜日(米国時間4/16)、グロスブッキング(総取扱高)、修正後純売上、および修正後EBITDAの2020年ガイダンスを取り下げた。この業績予想は2020年2月6日の決算会見の中で発表された。従来の2020年ガイダンスでは、グロスブッキングは750~800億ドル、修正後純売上は160~170億ドル、修正後EBITDA損失は14.5~12.5億ドルだった。Uberは新たな2020年ガイダンスを発表していない。

「継続する新型コロナの現状および全世界の全産業が受けている影響を踏まえると、このパンデミックが当社の将来の収支に与える影響を精度をもって予測することは不可能である」とUberは声明で語った。

またUberは、少数株式投資の価値減少に伴う減損費用19~22億ドルの計上を予定していることも警告した。UberはDidi(ディディ/滴滴出行)、Grab(グラブ)、Yandex.Taxi(ヤンデックス・タクシー)、およびZomato(ゾメート)の少数株を保有していることが年次報告書に書かれている。これは一回限りの出費であり、Uberの第1四半期の修正後純売上、修正後EBITDA、保有現金および現金相当物、短期投資などに影響する可能性は低い、と同社は語った。

Uberはこの日のガイダンス変更の機会に、新型コロナ・パンデミックを受けてスタートした同社のドライバーおよび配達員の財政支援プログラムなどの取り組みを紹介した。

Uberは、このプログラムをContra Revenue(損失を前提とした売上)として計上する予定であり、GAAP売上を第1四半期に推定1700~2200万ドル、第2四半期に推定6000~8000万ドル減少させる見込みであると語った。Uberは新型コロナ対応経費の一部を修正後純売上および修正後EBITDAから除外する予定であり、「当社の財務状態に対する新型コロナの影響を投資家が評価する」のに役立てるとしている。

同社の第1四半期決算会見は5月7日13:30(西海岸時刻)に予定されている。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Lyftが新型コロナ影響受けた団体向けに食料や医療品の配送開始

Lyftは米国時間4月15日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが進行する中、医療や政府機関、非営利団体のニーズに応えるためのプログラム「Essential Deliveries」を開始すると発表した。

本日から開始されるこのサービスでは、食料品や食事からクリーニングや医療用品に至るまで、さまざまな必需品をドライバーが配達する。Lyftによると、このプログラムはオプトイン方式で提供され、配達の内容はドライバーに通知され、完全に非接触で行われるという。

Lyftは以前、ウイルスと診断されたドライバーや隔離されたドライバーに資金を提供するプログラムも発表していた。

今回のプログラムは、アトランタやオースティン、ダラス、ヒューストン、インディアナポリス、オーランド、フェニックス、サンフランシスコ、サンディエゴ、サンアントニオ、シアトルなど、さまざまな地域で提供される。なお、新型コロナウイルスの症例数と死亡者数が最も多いニューヨーク市は、最初のリストには含まれていない。その他の地域として、ノース・カロライナとアトランタが含まれる。

Lyftはプレパック食品を提供するDole(ドール)のような、いくつかの大企業や地元の組織と提携している。このプログラムは、危機的な状況に対しどのように協力するかをドライバーに尋ねる、約12万人が署名したオプトインサービスのLyftUp Driver Community Task Forceのローンチに続くものだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

テスラの新型コロナによる一時帰休は販売・納車部門の従業員が対象

Tesla(テスラ)は4月10日、販売・納車部門の従業員の一時帰休を明らかにした。経験が少ない従業員が対象となる。この数日前には、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによる給与カットと人員削減が全従業員向けのメールで発表されていた。

今回、一時帰休の対象となった販売・納車部門の従業員が匿名を条件にTechCrunchにその詳細を説明した。それによると誰が社に残るのか、あるいは一時帰休になるのかについて成績はさほど考慮されなかった。その代わり、経験やポジションで決まった。情報筋によると、入社して2年未満の販売・納車部門の従業員が一時帰休となる。

一時帰休は米国内の販売・納車部門の半分に影響する、とCNBCは10日報じている。しかし合計何人が影響を受けるのか、TechCrunchは確認できなかった。

今回の一時帰休は四半期末を1週間ほど過ぎてのものだ。普通、四半期末というのは、納車部門の従業員は社内目標を達成しようと忙しい。顧客はカリフォルニアやニューヨーク、その他の州での納車を噂していたが、COVID-19が納車を阻害した。

一時帰休は、Teslaの人事責任者Valerie Workman(ヴァレリー・ウォークマン)氏が4月7日に内部メールを送って以来、予想されていたことだった。そのメールではTeslaが給与制従業員の給与をカットし、一部の従業員を一時帰休とすると通達した。

しかし、具体的に誰が影響を受けるのかは10日まで明らかでなかった。

TechCrunchが確認した内部メールでは、米国の工場での生産は新型コロナウイルスのパンデミックにより少なくとも5月4日まで停止され、これによりコストを抑制する必要に迫られたと従業員に説明している。

給与制の従業員は、ポジションによって給与が10〜30%カットされる。電子メールによるよ、この給与カットは第2四半期の終わりまで続く見込みだ。給与カットと一時帰休は4月13日から始まる。在宅勤務ができない、あるいは重要なオンサイトポジションを割り当てられていない従業員は5月4日まで一時帰休となる。

関連記事:テスラは新型コロナで工場を一時閉鎖、社員給与の削減と一時レイオフを実施

画像クレジット: Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

テスラが中国マーケット向けロングレンジ後輪駆動式Model 3の生産を開始

Tesla(テスラ)は今、上海工場で電気自動車Model 3のロングレンジ後輪駆動(RWD)バージョンを生産し、販売している。同社は中国政府から1カ月前に許可を得ていた。

この動きはマイルストーンではないかもしれないが、同社が現在、米国で同バージョンを生産していないことを考えると特筆すべきことだろう。また、中国ではModel 3ベーシックバージョンの方を多く販売するという当初の計画からのシフトともなる。

Teslaは、上海工場で初めて生産された標準レンジプラスのバージョンとロングレンジRWDバージョンを紹介している中国のウェブサイトをアップデートした。この変更についてはBloombergが最初に報じた。ロングレンジRWDバージョンのインセンティブ適用後の価格は36万6550元(約560万円)からで、納車は6月に始まる見込みだ。

標準レンジプラスのモデルは、自治体の助成が適用される前だと32万3800元(約500万円)からとなっている。

ウェブサイトによると、標準レンジプラスのModel 3はフル充電で276マイル(約444km)走行できる。ロングレンジRWDのModel 3の航続距離は415マイル(約668km)だ。これらの距離は、欧州が数年前にWLTPに代わって採用した新欧州ドライビングサイクルに基づいている。実際の航続距離はもっと少ないだろう。

画像クレジット: Tesla / スクリーンショット

Teslaは、2019年末に上海工場での標準レンジプラスModel 3のRWDバージョンの生産をスタートさせた。初の納車は1月初めに始まった。同社は中国のポートフォリオへのロングレンジRWDのModel 3追加について、3月に産業大臣から許可を得ていた。

今後TeslaはModel Yも上海工場で生産する計画だ。

画像クレジット: Qilai Shen/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

テスラは新型コロナで工場を一時閉鎖、社員給与の削減と一時レイオフを実施

テスラは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行により、少なくとも5月4日まで米国工場での生産を一時停止、社員の給与を10%から30%削減し、工場労働者の一時レイオフを行う。4月7日の夜にTechCrunchに転送された内部の電子メールの情報から明らかになった。

電子メールによれば、第2四半期の終わりまで社員に対する給与カット(副社長は30%、取締役レベルの幹部は20%、残りの社員は10%)が予定されている。給与の削減と一時レイオフは4月13日から始まる。電子メールによると、在宅勤務ができず重要なオンサイトポジションを割り当てられていない従業員は、5月4日まで一時レイオフ対象となる。

テスラの人事部門の責任者であるValerie Workman(バレリー・ワークマン)氏からのメールには「最小限の重要な業務のみは継続します。重大な変化がない限り、米国の施設では5月4日に通常の生産を再開する予定です。それまでは、長期計画を達成することを確実にするための行動をとることが重要です」と述べられている。

「これは会社全体で共有する痛みであり、これらの困難な時期に私たちが進歩することを可能にします」と電子メールは続けている。

一時レイオフされる従業員は、テスラ従業員のままだが無給で、医療保険には加入したままとなる。電子メールでは一時レイオフされる従業員に対し失業手当を申請するように指示している。

またテスラは従業員への電子メールで、株式付与などの成果に基づくアクションも保留にすることを明らかにした。

テスラはカリフォルニア州フリーモントの主要組立工場、Model 3のバッテリーパックと電気モーターを生産するネバダ州のギガファクトリー、ソーラー製品を製造するニューヨーク州バッファローの工場といった多数の工場と施設を、全米で運営している。

また同社は3月19日に、フリーモントとバッファローの工場で生産を停止する計画を発表していた。その当時、同社はいつ生産を再開するかについては明らかにしなかった。フリーモント工場の生産停止は、新型コロナウイルスのパンデミックによりアラメダ郡で屋内避難指示が出されてから1週間後の3月23日から始まった。

テスラの充電インフラストラクチャをサポートするいくつかの基本的運用と、「車両およびエネルギーサービス運用」と呼ばれるサービスは、通常の状況では1万人以上を雇用するフリーモント工場で継続されている。工場ではまだ約2500人の労働者が働いている。

3月の時点でテスラは、現在のパンデミックによる操業停止を乗り切るのに十分な流動性資金を持っていると述べている。最近行った23億ドル(約2500億円)の資金調達前の、第4四半期末の現金ポジションは63億ドル(約6860億円)だった。

「このレベルの流動性資金は、長期にわたり不確実性をうまく乗り切るために十分なものであると考えています」とテスラは述べている。

同社は、2019年第4四半期末に上海工場を拡張するための資金調達の他、全地域の運転資金ラインを含め、約30億ドル(約3270億円)相当のクレジットラインを確保していた。

画像クレジット:Mason Trinca for The Washington Post / Getty Images

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(翻訳:sako)

Nuroの無人配達車がカリフォルニアでの公道試験許可を取得

自動運転配達のスタートアップNuro(ニューロ)は、カリフォルニアの公道での無人走行試験の許可を取得し、カリフォルニア州全土での事業化への道が拓かれた。

2019年にソフトバンク・ビジョン・ファンドから9億4000万ドル(約1020億円)の資金を調達したNuroは、サンタクララ郡とサンマテオ群の一部の公道で、低速電気配送車R2を2台走ることが許されたと、カリフォルニア州での自動運転車のテスト走行を監督する政府機関のカリフォルニア州車両管理局(DMV)が発表した。

無人運転の許可を得ると、制限速度時速35マイル(約56km/h)以下の公道を最大速度時速25マイル(約40km/h)で、晴れの日に限り走行できるようになるとDMVはいう。この許可はアサートン、イーストパロアルト、ロスアルトスヒルズ、ロスアルトス、メンローパーク、マウンテンビュー、パロアルト、サニーベイル、ウッドサイドの9つの街で有効となる。

「車に乗る公衆の安全を守ることがDMVの最優先事項であり、こうした許可は簡単に与えられるものではありません」とDMV局長Steve Gordon(スティーブ・ゴードン)氏は声明の中で述べている。「NuroはDMVの要件を満たしたことから、カリフォルニアの公道での無人運転配送車のテストが許可されました」

カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事が新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックを受けて自宅待機指示を出したことから、Nuroは無人車の走行試験を今すぐ始めることができない。試験が始められるようになれば、同社は積極的に公道試験の実施計画を推し進める予定だと、Nuroの最高総務責任者David Estrada(デビッド・エストラーダ)氏はブログ記事に書いている。「近隣の街や郡の住民のみなさんは、すぐにでもR2が路上を走る姿をご覧になるでしょう」と彼は述べている。

事業化への道

安全のために人間のドライバーを乗せるという条件で、自動運転車走行試験の許可を得ているZ企業は65社ある。しかしカリフォルニアの公道を無人で走行試験ができる許可を取得したのは、Wyamo(ウェイモ)と、新しく加わったNuroだけだ。

それを実際に行うのは、Nuroが先になりそうだ。かつてはGoogleの自動運転プロジェクトであり、その後に独立してAlphabet(アルファベット)傘下の企業となったWaymoは、最初にこの許可を得たのが2018年10月だった。ところが同社はカリフォルニアの公道での走行試験を一度も行っていない。なぜならWaymoは、アリゾナ州に重点を置いているからだ。そこではWaymo One(ウェイモ・ワン)と呼ばれるロボタクシーがすでに運用されており、より確実な事業化への道を進んでいる。

カリフォルニアは、自動運転車開発業者にとって事業化への道が見えにくい場所となっている。DMVは、州の法律に従い自動運転車の試験を規制している。乗客を運びたい場合、つまり配車サービスを運用したいと思えば、Autonomous Vehicle Passenger Service(自動運転車旅客サービス)の仮免許をカリフォルニア公益事業委員会(CPUC)から取得しなければならない。

CPUCは、人の輸送に自動運転車を使う許可を企業に与える。しかし、運賃を取ることはできず、必ず安全のためのドライバーを運転席に座らせなければならない決まりだ。

NuroのR2は、人を乗せるようには作られていない。荷物専用だ。荷物の配送料を請求できなかったとしても、地元の小売業者と協力して自動運転車による配送事業を立ち上げ、利益を得ることは可能だ。

Nuroはまず、マウンテンビューの一部の顧客への無料配送サービスから始める予定であり、これが地元ブランドや小売店と提携で公式な配送サービスにつながるとエストラーダ氏はいう。

同社はすでに、州全体をカバーする配送サービスに着目している。エストラーダ氏によると、カリフォルニア全土の住民にサービスを提供するため、Nuroは完全な商業展開許可を申請するとのことだ。

「無人R2配送車を公道で走らせることは、私たちにとって、さらに自動運転業界にとって重要な一歩になります。しかしこれは、未来のほんの小さな光に過ぎません」とエストラーダ氏。「私たちは、自動運転車の輸送パワーをずっと信じてきました。この新型コロナウイルス危機においては、その可能性はより意味深いものになると理解しています」。

NuroのR2ユニット

画像クレジット:Nuro

Nuroは、2016年6月に、Google出身のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏によって創設された。安全のための人間のドライバーを乗せる条件での走行試験許可は2017年に取得している。当初、同社はトヨタのプリウスを改造した車両で走行試験を、そしてアリゾナとテキサスでは食品配送の先行サービスを行っていた。

同社は2018年、荷物専用車両の第一歩となるR1に車両を切り替えた

R2と名付けられた第2世代の車両は、2020年2月に公開された。R2は、ミシガンを拠点とするRoush Enteprises(ラウシュ・エンタープライゼズ)との契約により米国内でデザインされ組み立てられているが光を用いたリモートセンシング技術であるライダー、レーダー、カメラを備え、周囲360度の視野を「ドライバー」に提供する。しかし、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が求める安全基準をいくつか満たしていない。

規制当局と3年間交渉を重ねた結果、NuroはR2の無人運転車のNHTSAの基準に関する適用除外措置を引き出すことができた。これによりサイドミラー、フロントガラス、前進時にはオフになるリアビューカメラが装備されていなくても走行できることになったのだ。

この措置は、自動運転ユニットCruise(クルーズ)ためにGMが現在交渉しているものとは内容が異なる。クルーズは低速車ではないため、必要な適用除外項目はもっとずっと多い。

画像クレジット:Nuro

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(翻訳:金井哲夫)

GMとHondaが2024年発売の電気自動車2モデルを共同開発

GMとHondaが2024年発売予定の2種類の電気自動車を共同開発する。これは両社の既存のパートナーシップをさらに深めたものとなる。

計画では、両社はそれぞれが得意な部分を担当する。Hondaは新しい電動車のエクステリアとインテリアをデザインし、GMは電動車の新しいアーキテクチャとUltium(アルティウム)バッテリーで貢献する。GMが2020年3月に披露したこの新しいアーキテクチャは同社独自のEVプランを示すものであり、そのバッテリーとドライブユニットの構成は19通りもある。このアーキテクチャには、LG Chem(LG化学)とGMの合弁事業で製造された、大型のパウチ型バッテリーが含まれている。

これらの車両にはHondaのネームプレートが付き、GMのセーフティアンドセキュリティ機能であるOnStarが搭載される。また、Super Cruiseと呼ばれるステアリングから手を離すことができるGMの先進運転支援システムも新型車両に搭載される。

車両は北米にあるGMの工場で製造される。発売は2024モデル年度の初めとされており、Hondaの米国市場とカナダ市場で展開される。

American Honda Motor Co.の上級副社長であるRick Schostek(リック・ショスティック)氏によると、狙いは両社の長所を合わせて電気自動車にスケールメリットを引き出すことだという。氏によると、両社はすでに、パートナーシップのさらなる拡大についての話し合いも行っているとのことだ。

両社の協力関係は長い。車両の共有化は1990年代にまでさかのぼり、そのときはいすゞがGMの傘下だった。共同プロジェクトの大部分は水素燃料電池技術とバッテリー、そして最近では自動運転車が中心となっている。

GMとHondaは2013年に戦略的提携を結び、水素燃料電池を開発し、そこからおよそ1200件の特許が取得している。両社は2017年に水素燃料電池システムを生産するFuel Cell System Manufacturing LLC(FCSM)という名のジョイントベンチャーを作っている。FCSMは同社初の量産型水素燃料電池システム製造施設の生産設備をミシガン州ブラウンズタウンに設置し、GMによれば2020年中に生産を開始する予定だという。

両社は2018年に、Hondaが北米市場向けに作られた電気自動車にGMのバッテリーセルとモジュールを使用することで合意したと発表した。

GMは2016年にCruiseを買収。その後Hondaは27億5000万ドル(約2982億円)で、GMとその自動運転技術の子会社Cruiseとの独占的協定により、新種の自動運転車の開発と生産をしていくことになった。電動で自動運転のライドシェア用の車である、その協定の最初の製品Cruise Originが、1月21日に披露されている。

画像クレジット:GM/Photo by Steve Fecht

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

テスラのQ1販売台数は予想を上回る8万8400台

Tesla(テスラ)は第1四半期に8万8400台を販売した。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによる需要減とロジスティック問題のために前四半期から21%減となったが、それでもアナリストの予想を上回った。

同社は2日、2020年第1四半期に前四半期より2%少ない10万3000台の電気自動車を生産したことを明らかにした。

販売台数と生産台数いずれも大方のアナリストの予想を上回り、同社の株は時間外取引で10.4%超上昇した。新型コロナパンデミックのために少ない数字を見込んでいたアナリストの予想数字はそれぞれ異なる。FactSeatのアナリスト予想では販売台数は7万9908台だった一方で、RefinitivのIBESデータによる予想は9万3399台だとロイターは報じた。

ディーラーを使わずに消費者に直接販売するテスラは、部分的には新型コロナウイルスのパンデミックにもかかわらず生産と販売を続けたために、予想を上回ることができた。パンデミックにより州や郡の当局は必要不可欠ではない事業の閉鎖を命じる外出禁止令を出した。製造業は往々にしてこうした命令の対象外となるが、全米自動車労働組合からのプレッシャー、そして需要の落ち込みによりGM(ゼネラルモーターズ)、日産、Ford(フォード)、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービル)、トヨタ、Volkswagen(フォルクスワーゲン)などの自動車メーカーは米国の全工場での生産を停止した。

テスラもまたカリフォルニア州フリーモントのプラントでの生産を3月23日から停止した。しかし販売は継続した。新型コロナウイルスによってTeslaも影響を受けたが、それでも2019年第1四半期の実績を上回ることができた。

2020年第1四半期の販売と生産の台数は以下のとおりだ。

  • 8万8400台を販売(2019年第4四半期は11万2000台、2019年第1四半期は6万3000台)
  • 10万3000台を生産(2019年第4四半期は10万5000台、2019年第1四半期は7万7100台)

今期販売した車両には最新車種であるModel Yが含まれる。テスラによると、Model Yの生産は1月に、販売は3月に始まった。同社はまた、中国の顧客向けにModel 3を生産している新しい上海工場は「かなりの頓挫にもかかわらず、記録的な生産レベル」を達成している、と述べた。ただし、上海工場の生産状況について詳細は明らかにしなかった。上海工場で生産されたModel 3の販売は1月7日に始まったが、同工場は同社にとって米国外に設ける初の工場で、ちょうど1年前に建設が始まった。

画像クレジット: Tesla

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナによる外出禁止が続く中、Uber Eatsがグローサリー配達を強化

Uber Eats(ウーバー・イーツ)は、新型コロナウイルス(COVID-19)による影響が深刻な3つのマーケットでグローサリー配達オプションを強化している。

Uberのフードデリバリー部門は4月1日、パリ市民に毎日の食材やトイレ用品、掃除用品などを30分で家庭に届けるために、フランスのスーパー大手であるCarrefour(カルフール)と提携したと発表した。まずはパリ市内15店舗でサービスを開始するが、Uber Eatsは「数週間内に」全国展開する計画だ。

スペインではグローサリー配達サービスを提供するのに、Galp(ガルプ)サービスステーションと提携した。バダホス、バルセロナ、カディス、コルドバ、マドリッド、マラガ、パルマ、バレンシアの8地方の15都市で、基本的な食材や処方薬、飲料、掃除用品などを配達する。

まずはGalpのコンビニ25店舗が参加する。このサービスはUber Eatsアプリからだけでなく、スマートフォンやインターネットへのアクセスがない人も電話で利用できる。

3つめのマーケットはブラジルだ。同国でUber Eatsはサンパウロのさまざなま薬局やコンビニ、ペットショップと提携し、必需品を家庭に届ける。

「処方薬はPague Menosの薬局チェーンで、グローサリーはShell Selectコンビニで、ペット用品はブラジルで最大のペットショップチェーンの1つであるCobasiで入手できる」としている。「数週間以内に他の州や都市でもサービスを立ち上げる計画で、新サービスはUber Eatsアプリで展開される」。

グローサリーストアとのタイアップはUber Eatsにとってこれが初めてではない。同社はすでにオーストラリアのスーパーであるColes(コールス)や、英国のCostcutter(コストカッター)ブランドと提携し、英国では独立系コンビニ600店がUber Eatsのアプリを通じて利用できるようになっている。

Uber Eatsはまた、世界中の独立系コンビニが自分たちでUber Eatsアプリにリストアップできるようにしている。しかし最新のタイアップは、さらに多くのブランドを取り込むもので、これは欧州やラテンアメリカでグローサリーをより広く提供することを意味する。フランスのCarrefourとのパートナーシップは、欧州における初の大手スーパーとの提携だ。

スペインでのフードデリバリーのライバルGlovo(グロボ)は、スペインを含むいくつかのマーケットでCarrefourとグローサリー配達の提携を結んでいることは記すに値するだろう。このためにUber Eatsはスペインで異なるパートナーと提携したと思われる。

公衆衛生の危機に見舞われている他のマーケットでグローサリーデリバリーの拡張を検討するのか尋ねたところ、Uber Eatsは世界中のスーパーやコンビニ、その他の小売などと提携する機会を模索している、とのことだった。

また、新型コロナウイルスパンデミックへの対応策の一環として、同社は全てのデリバリーをコンタクトレス(非接触)に切り替えた。注文の商品は玄関先かユーザーが指定した場所に置かれる。

Uber Eatsはまた、手指消毒薬や手袋、消毒手拭きが入手出来次第、ドライバーや配達員に提供していると話した。加えて、アプリユーザーには衛生を保つための最善の方法やウイルスの拡大抑制についてのガイダンスを案内しているとも述べた。

Uber Eatsはこれより前に、新型コロナウイルスに感染したり、感染拡大リスクのために公衆衛生当局によって自宅隔離となったドライバーや配達員に対し、14日分の経済援助を提供すると発表している。援助額は過去6カ月の平均収入に基づく。

このポリシーは4月6日に見直される。

画像クレジット: TechCrunch

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

オンデマンドシャトルのViaが森ビルなどから資金調達しバリュエーションは約2420億円に

オンデマンドシャトルViaのバリュエーションが、Exor(エクソール)がリードしたシリーズE投資ラウンド後に22億5000万ドル(約2420億円)になった。ExorはAgnelli(アニェッリ)家の持ち株会社で、PartnerRe(パートナー・リー)やFerrari(フェラーリ)、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービル)の株式を保有する。

Exor以外にいくつかの投資家も参加したシリーズE投資ラウンドは、この件に詳しい情報筋によると、4億ドル(約430億円)だった。Exorが2億ドル(約215億円)投資したとViaとExorが発表している。Exorのアーリーステージ投資部門を率いるNoam Ohana(ノーム・オハラ)氏がViaの役員会に加わる。

新規投資家としてMacquarie Capital、森ビル、Shellが、既存投資家からは83North、Broadscale Group、Ervington Investments、Hearst Ventures、Planven Ventures、Pitango、RiverPark Venturesが今回のラウンドに参加した。

約700人を雇用するViaは今回調達した資金の大半を、事業のソフトウェアサービスの「提携」拡大にあてる計画だ。同社はシカゴ、ワシントンD.C.、ニューヨークで消費者向けのシャトルを運行している。しかし実際のところ、事業の中核はソフトウェアプラットフォームだ。同社はこのプラットフォームを、自前のシャトルバスを展開する自治体や運輸当局に販売する。

Viaの創業者でCEOのDaniel Ramot(ダニエル・ラモット)氏によると、Viaが2012年に創業されたとき、自治体はソフトウェアプラットフォームにほとんど関心を示さなかった。同社は消費者向けのシャトルにフォーカスして始まった。その後、サービスを通じて集めた膨大な量のデータを使ってダイナミックなオンデマンドルート決めのアルゴリズムを改善した。このアルゴリズムではシャトルが最も必要とされている場所を通るようにするためにリアルタイムデータを用いている。

Viaはオースティンの交通当局にプラットフォームを無料で提供し、その後2017年後半にオースティンと初の自治体との提携を結んだ。この提携によってViaはケーススタディを進めることができ、また他の自治体にも同社のサービス購入を促すものとなった。2019年に事業提携部門が立ち上がった、とラモート氏は最近のインタビューで語り、新型コロナウイルス(COVID-19 )が拡大する前は、週に2、3の自治体と提携を結んでいたとも述べた。

今日では、Viaのプラットフォームはカリフォルニア州のロサンゼルスやクパチーノといった都市、Arriva  Bus UKなど100以上のパートナーに使用されている。Arriva Bus UKはドイツ鉄道のサービスで、通勤客を英国のケントにある高速鉄道駅に運ぶのにViaのプラットフォームを活用している。

パンデミックの中での資金調達

スタートアップにとって、今は新型コロナウイルスパンデミックのために資金確保が極めて厳しい。そうした不運な状況でViaはなんとか資金調達ラウンドをクローズした。新型コロナウイルスは製造から運輸、エネルギー、不動産に至るまであらゆる産業や事業セクターのマーケットを滅茶苦茶にした。

クレジットの厳格化や不透明さにもかかわらず、Viaはかなりの規模の資金を調達できた。ラモット氏はラウンドがずれ込むかもしれないと心配していたとき、ExorがViaと同じビジョンを共有する長期的かつ辛抱強い投資家であることに気づかされたとTechCrunchに語っている。

公共交通や配車、シェア用マイクロモビリティ、航空を含む運輸のあらゆるカテゴリーが利用減やサービス停止に直面している今ですら、ラモット氏とオハラ氏は約束された未来を描いている。

低いユニットエコノミクスや定かではない収益化への道のりといったハードル、つまりライドシェアの限界をマーケットは理解し始めているとオハラ氏は述べた。「一方で、オンデマンドのダイナミックなシャトルバスサービスのマーケット規模は大きく、現在は過小評価されている」とも話している。「今日の公共交通機関に目を向けると、Viaにとって大きなチャンスがある。当社はすでに、世界中の自治体や公共交通パートナーと協業し、かなりの経験を持っている」。

だからといってViaが広がりつつあるパンデミックの影響を受けないわけではない。Viaの消費者向け事業は、感染拡大のために乗車が落ち込むなどしてマイナスの影響を受けている。

しかしパートナーシップの事業はいくぶん約束されている、とラモット氏は話した。

すでに提携しているパートナーとしては、ドイツのベルリンやオハイオ、マルタの交通当局が含まれ、これらはViaとともにパンデミックの間の新たな需要に対応するソフトウェアに変更したり導入したりしている。自治体は商品や必要不可欠の業務に従事する人たちを輸送するのにシャトルサービスを使うかもしれない。例えばベルリンは120台のシャトル車両を、ヘルスケアワーカーの通勤向けの無料夜間サービスにあてている。

「緊急サービス分野が真の関心を寄せている」とラモット氏は話し、パンデミックが広がるにつれてソフトウェアプラットフォームや同社が提供するフレキシビリティに対するさらなる需要が出てくると予想している、と付け加えた。

画像クレジット:Via

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(翻訳:Mizoguchi

Wheelsがハンドルとブレーキレバーをセルフクリーニングする電動バイクを展開

新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散を抑制するために、シェアバイクサービスを最近に休止したWheelsは、ギグワーカーやレストラン、非営利団体、その他自分で配達をする人たちのために、ペダルのない電動バイクを提供している。その特徴は、自己洗浄機能を持つNanoSepticのハンドルとブレーキレバーを備えていることだ。

光によって作用するNanoSepticの技術は、会社のウェブサイトによると、漂白剤よりも強い酸化反応を起こす未メラルナノ結晶を使用する。同社はその技術をスキンやマットの形として、例えば、マウスパッドからドアハンドル、ハンドルバーまで、あらゆるものをセルフクリーニングできるようにする。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

TuSimpleが量産型自動運転トラック技術に向けてサプライヤーZFと提携

自動運転トラックのスタートアップであるTuSimpleは、自動車サプライヤーZFと提携し、センサーなどの自動運転車技術の、商用規模での開発と生産を始める。

4月に開始予定であるこのパートナーシップは、中国、ヨーロッパ、そして北米をカバーする予定だ。両社は、カメラ、ライダー、レーダー、そして中央コンピューターなどの、自動運転車両技術に必要なセンサーを共同開発する。パートナーシップの一環として、ZFはTuSimpleの自律システムを検証して、車両に統合するためのエンジニアリングサポートを行う。

2015年にローンチされたTuSimpleは、中国や、サンディエゴ、そしてアリゾナ州ツーソンで事業を展開している。同社はこれまで「フルスタックソリューション」に取り組んできた、この言葉は自動運転に必要な、すべての技術要素を開発して統合することを意味する業界用語である。TuSimpleが開発しているのはSAE(米国自動車技術協会)の定義によるレベル4システムである。これは特定の条件下(領域内)で車両がすべての運転を行う自動運転だ。

TuSimpleは、この新しい自動運転技術産業の他の企業たちが行き詰まる中で事業を拡大し、投資家を引き付けることになんとか成功した。同社はこれまでに、Sina、UPS、そしてティア1サプライヤーのMando Corporationといった投資家たちから約3億ドル(約326億円)を調達している。現在、アリゾナ州とテキサス州の間で毎週40台以上の自動運転トラックが、約20回の自動運転走行を行っている。すべてのトラックには、ハンドルの前に人間が安全オペレーターとして同乗している。

TuSimpleのチーフプロダクトオフィサーであるChuck Price(チャック・プライス)氏は声明の中で、この提携はTuSimpleが自動運転トラックを市場に投入するための重要なマイルストーンだと語っている。TuSimpleの計画は、同社の自動運転ソフトウェアと、ZFの自動車品質製品を開発する能力を組み合わせることだ。

だがこのパートナーシップが、TuSimpleのすべての課題を取り除いてくれるわけではない。開発から出荷への移行には、さらに多額の投資が必要だ。もし企業がテスト段階から商用展開に移行できたとしても、利益率を上げるためには、日常業務を効率的に進める必要がある。

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(翻訳:sako)

Helm.aiが無人運転車用AI向け無人学習技術に14億円調達

4年前、数学者のVlad Voroninski(ブラド・ボロニンスキー)氏は、自動運転技術開発における数々のボトルネックの一部を深層学習が取り除く可能性を見い出していた。

そして現在、彼がTudor Achim(チューダー・アーキム)氏と2016年に共同創設したスタートアップHelm.aiは、A.Capital Ventures、Amplo、Binnacle Partners、Sound Ventures、Fontinalis Partners、SV Angelなどによるシードラウンドで1300万ドル(約14億円)を調達したことを発表し、沈黙を破った。

これにはBerggruen Holdingsの創設者のNicolas Berggruen(ニコラス・バーグルエン)氏、Quoraの共同創設者のCharlie Cheever(チャーリー・チーバー)氏とAdam D’Angelo(アダム・ダンジェロ)氏、NBA選手のKevin Durant(ケビン・デュラント)氏、David Petraeus(デイビッド・ペトレイアス)大将、Maticianの共同創設者でCEOのNavneet Dalal(ナブニート・デーラル)氏、Quiet Capitalの業務執行社員Lee Linden(リー・リンデン)氏、Robinhoodの共同創設者のVladimir Tenev(ウラジミール・テネフ)氏など数多くのエンジェル投資家も参加している。

Helm.aiは、この1300万ドルのシード投資を、工学技術の高度化、研究開発、人材増員、さらに顧客の囲い込みと契約の実行にあてる予定だ。

同社はソフトウェアのみに特化している。自動運転車に必要となるコンピューター・プラットフォームやセンサーは作らない。そうした変化の激しい分野には依存せず、わかりやすく言えばHelm.aiは、センサーのデータや人の行動を理解しようとするソフトウェアを作っているのだとボロニンスキー氏は言う。

それなら、他の企業でもやっていることのように思える。だが注目すべきは、Helm.aiのソフトウェアへのアプローチだ。自動運転車の開発者は、その多くが自動運転車のいわゆる「頭脳」の訓練と改善を、シミュレーションと路上テスト、そして人の手でアンノテーションされた大量のデータセットの組み合わせに頼っている。

Helm.aiは、その工程をスキップすることでスケジュールを短縮しコストを削減できるソフトウェアを開発したという。同社では、人間の教師を必要としない学習アプローチを使い、ニューラルネットワークを訓練できるソフトウェアを開発している。膨大な走行データも、シミュレーションも、アンノテーションも不要だ。

「自動運転車のAIソフトウェア開発は、非常に長い戦いであり、コーナーケースの無限の海を渡らなければなりません」とボロニンスキー氏。「本当に重要なのは効率化の度合いです。ひとつのコーナーケースを解決するのに経費はいくらかかるのか、どれだけ早くできるのか。そこを私たちは改革したのです」。

ボロニンスキー氏は、UCLA時代に自動運転に初めて興味を抱いた。そこで彼は、米国防高等研究計画局主催のロボットカーレース、DARPAグランド・チャレンジに参加したことのある学部教師からその技術を教わった。やがてボロニンスキー氏は次の10年の応用数学に興味が移り、カリフォルニア大学バークレー校で数学の博士号を取得し、MIT数学科の教師になった。だが、いずれは自動運転車に戻ろうと考えていた。

2016年に深層学習にブレイクスルーがあり、ここへ戻る機会が得られたとボロニンスキー氏は話している。彼はMITを去り、後にNetskope(ネットスコープ)に買収されることになるサイバーセキュリティーのスタートアップSift Security(シフト・セキュリティー)を辞めて、2016年11月にアキーム氏とHelm.aiを創設した。

「私たちは、従来のアプローチでは対処できていないと思われる重要な課題を特定したのです」とボロンスキー氏。「早々にプロトタイプを作ったことで、それでやっていけると確信できました」

Helm.aiは、まだ15人の小さなチームだ。彼らは2つの使用事例に向けたソフトウェアのライセンシング事業を目指している。ひとつは、レベル2(新しい規定ではレベル2+)の乗用車向け高度運転補助システム、もうひとつはレベル4の自動運転車両隊だ。

Helm.aiにはすでに顧客がある。名前は明かせないが、その中には試験運用段階を終えたものもあるとボロニンスキー氏は話していた。

画像クレジット:Helm.ai

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(翻訳:金井哲夫)

米ユナイテッド航空が新型コロナの影響で国内便を52%削減へ

United Airlines(ユナイテッド航空)は、すでに国内線・国際線の大幅な運休を発表していたが、米国時間3月25日、さらに思い切った運航中止を発表した。同社は当初国内便の42%運休を計画していたが、新型コロナの影響による需要減少が続いたためその数字は52%へと増えた。全体ではユナイテッドの国内・国際線の便数は4月と比べて68%減になる。

改訂されたスケジュールはユナイテッド航空の ウェブサイトに本日掲載される予定だ。同社が最初の運休計画を発表したときは、これまで運航していた都市への便をなくすことはないと強調していたが、今もそうなのかは不明となっている。TechCrunchはユナイテッド航空に詳細を問い合わせいてるので追加情報が入り次第続報する予定だ。

アップデート:ユナイテッド航空は、追加の運休が実施された後も、米国のいずれかの都市への運航を中止することはないと語った。

同社は他の米国航空会社と同じく、ほとんどの国際便をすでに運休している。そして事実上世界中の航空会社と同様、現在の利用低迷は、通常なら定期的な増便さえしている需要の高まる時期に深刻な打撃を与えている。

ユナイテッドでは、これも他社と同じく無乗客の旅客機を使って貨物輸送を行っている。同社のスターアライアンス・パートナーであるLufthansa(ルフトハンザ航空)も同様であり、さらに座席と荷物棚にも貨物を積載しようとしている。しかしほとんどの場合、航空会社は機体を格納し、スケジュールを縮小してパンデミックの終わりと需要再開を待っている。航空各社は政府の大規模な支援を受ける可能性もあるが詳細は未定だ。

画像クレジット:FREDERIC J. BROWN/AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボルボは完全電気自動車Polestar 2を中国で生産開始

Polestar(ポールスター)は、COVID-19のパンデミックで自動車産業が大打撃を受け、世界中に自動車工場の閉鎖の波が広がる中、完全電気自動車Polestar 2の生産を中国の工場で開始した。

Polestar 2の生産開始は、Volvo Group(ボルボ・グループ)傘下の独立した高性能電気自動車ブランドであるPolestarにとって重要な一歩となる。それは、世界が新型コロナウイルスが引き起こす感染症COVID-19による大騒動の真っ只中に開始したというだけの理由ではない。ちょうど3年前、新たな使命を帯びて再出発したボルボの名前で売り出される初の完全電気自動車だからだ。

かつてPolestarは、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)の高性能車のブランドだった。2017年に同社は、エキサイティングで運転が楽しい電気自動車の製造を目指すブランドとして再編成された。そこはTesla(テスラ)が最初に製品を投入して以来、独占状態が続いているニッチな市場だ。Polestarは、Volvo Carsと中国の浙江吉利控股集団が共同で保有する企業だ。2010年に、Volvoはこの吉利に買収されている。

COVID-19は、Polestarとその親会社の事業に影響を及ぼした。世界で最初にこの感染症が猛威を振るった中国で工場閉鎖が始まった。現在、COVID-19の流行の中心が欧州と北米に移り、中国の工場は再開されている。だが欧州と北米の自動車メーカーは、ほとんどが生産を見合わせている。

PolestarのCEO、Thomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏は、従業員の健康と安全にしっかりと配慮した上で、この厳しい状況の中で生産を開始したと話している。また、中国の路橋区の工場は、同社がいかにしてその親会社の専門性を活用しているかを表す好例だと言う。

集団感染に対処すべく、頻繁な職場の消毒や従業員のマスク着用と定期的な体温測定の義務付けといった特別な感染予防対策が施されているという。こうした取り組みの結果、中国人従業員にはCOVID-19の検査で陽性になった者はいないとPolestarは話している。

COVID-19は、Polestarのスケジュールにも影響を及ぼした。同社はオンラインでのみ車の販売を行い、車両のサブスクリプションも提供することに決めた。以前は客が車に触れ、予約すれば試乗もできる「ポールスター・スペース」というショールームの開設予定を公表していた。これは、既存のVolvo販売店の中に併設されるのではなく、独立したショールームだ。Polestarでは2020年までにオスロ、ロサンゼルス、上海など60カ所にオープンすることにしていた。

そのショールームのオープン予定が、COVID-19によって延期させられてしまった。しかし状況が改善すれば、直ちに仮設の販売店を開設し、現在まだ建設中の恒久的なショールームができるまでの間、人々に実車を見て知ってもらおうと同社は計画しているとのことだ。

Polestar 2が何台生産されるかは、明らかになっていない。PolestarがTechCrunchに話したところによると、年間「数万台」が計画されているという。その数はPolestar 2の需要と、同じ工場で生産される他のモデルとの兼ね合いでも変わってくる。

画像クレジット:Screenshot/Polestar

またPolestarは、出荷を開始するまで正確な予約台数は公表しない。出荷はヨーロッパでは今夏、中国と北米がそれに続くことになっている。予約台数は5桁だと、同社はTechCrunchに明言した。

Polestar 2が初お目見えしたのは2019年2月。テスラのModel 3に対抗する車という位置づけだった(初代のPolestar 1はプラグインハイブリッドで、モーターを2基、34kWhのバッテリーパックを3基、ターボとスーパーチャージャーを備えた直列4気筒のガソリンエンジンを搭載していた)。

だが、2020年から2021年にかけてVolkswagen(フォルクスワーゲン)、GM、Ford(フォード)それにLucid Motorsなどのスタートアップ、さらにオフロードに特化したRivianといった他メーカーから販売される新型電気自動車とも競合することになりそうだ。

出力408馬力、トルク487ft·lb(約660Nm)、78kWhのバッテリーパック1基を搭載し、航続距離は欧州のWLTPモードで292mi(約470km)というこのファストバックスタイルの車の技術と性能が人々を魅了するものと、ポールスターは期待している。

Polestar 2の情報システムは、Android OSで管理されるため、結果としてGoogleアシスタント、Googleマップ、Google Play StoreといったGoogleのサービスが車内で利用できるようになる。Android Autoと混乱することはない。Android AutoはOSの上層に位置する二次的なインターフェイスだからだ。Android OSは、Linux上で走るオープンソースのモバイル用オペレーティングシステムを元に作られているが、スマートフォンやタブレットではなく、自動車の中で使うように作り変えられている

画像クレジット:Screenshot/Polestar

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(翻訳:金井哲夫)

Fordが新型コロナによる北米工場の閉鎖継続を発表

Ford(フォード)は24日、米国、カナダ、メキシコの工場について当初予定していた3月30日の操業再開を見合わせると発表した。

同社は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大のために北米工場での生産を中止していた。各国の政府が国民に外出禁止や在宅勤務を命じていることを受け、同社は操業再開しないことを決めた、とFord北米社長のKumar Galhotra(クマール・ガルホトラ)氏は声明で述べている。

「私たちは、労働者の健康福祉を最優先に考えながら、車両生産再開の適切なタイミングについてさまざまな選択肢を検討している。全米自動車労働組合(UAW)やカナダの労働組合Uniforなど労組リーダーと共に取り組んでいる」とガルホトラ氏は付け加えた。

今回の北米工場の閉鎖継続は、ドイツのケルンとザールルイ、ルーマニアのクラヨバにある工場の閉鎖に続くものだ。今週初め、同社はオフサイトでは作業できない重要な役割を担う人を除く全従業員に、案内するまでリモートワークするよう呼び掛けていた。

3月15日、UAWそしてGM(ゼネラル・モーターズ)、Ford、Fiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアット・クライスラー・オートモビルズ)は労働者を新型コロナウイルスから守り、感染拡大を抑制するための専属チームを結成した。

GMとFCAも先週操業を取りやめたが、3月30日に再開するかどうかは明らかにしていない。

画像クレジット: Bill Pugliano / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Lyftが新型コロナ感染拡大で医薬品や食事を配達するサービスを提供へ

Lyftは新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に対する取り組みをさらに強化しようと、オンデマンド輸送ネットワークを通じて提供するサービスを拡大する。同社は「高齢者や慢性疾患を抱える人など医薬品などを必要とする個人へそれらを届けるサービスを提供する」と発表した。また、学校からランチを支給されていた学生や高齢者へ食事を届ける。

この新たな取り組みは、ブログ投稿の中で詳細が発表された。ヘルスケアサービスや治療などを受ける必要がある人向けにすでに展開されている医療輸送サービスの拡大も含まれる。その一方で新型コロナによってヘルスケアシステムにかかっているかなりの負荷にも対応する。同社はすでに、救急ではない医療目的の輸送を、救急車を呼ぶほどではないが治療のためのオンデマンド輸送があればありがたいという(特に低収入の)人向けに提供してきた。

Lyftの新たな食事デリバリーオプションは、サンフランシスコ・ベイエリアで小規模なパイロット事業として始まる。家から出られない高齢者や州の食事支援に頼っている低収入の学生に食事を提供している政府機関の配給センターでの食事ピックアップにフォーカスする。これはUber Eatsのような食事デリバリーサービスではなく、必要不可欠なサービスを提供する優先順をつけた方法だ。Lyftはこのプログラムをカリフォルニアの広域に拡大したい考えで、最終的には全米中での展開を視野に入れている。

こうした手段によって、コロナウイルス感染拡大を抑制するために現在行われている屋内退避や自宅隔離、自宅待機で最も影響を受けているグループや個人は、間違いなく必要不可欠なサービスにアクセスしやすくなる。ドライバーからすると、自宅に閉じこもっている人と接する機会が増えることでリスクは高まるが、Lyftはドライバーたちの安全を確保するために一歩進んだ対策を取っていると話す。例えば、新型コロナウイルスに感染していると診断されたり、感染者との接触のために衛生当局から自己隔離を求められたドライバーのための基金の提供だ。

Lyft、そしてUberは通常の配車サービスも提供し続けている。しかしUberは、新型コロナウイルスの感染が最も深刻な都市では利用量は70%ほど落ちていると話した。また、可能な限り人と距離をとるよう呼び掛けている疾病予防管理センターのガイダンスを守るべく、両社とも乗合サービスの提供は一時停止している。

画像クレジット:Jeenah Moon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

スマホとAIで運転動態をスコアリング、タイでモビリティー事業を手がけるFlareが1.5億円調達

タイでモビリティー関連事業を運営するFlareは3月23日、Spiral Ventures、千葉道場、Sun Asterisk、VOYAGE VENTURESを引受先とする第三者割当増資により総額1.5億円を調達したことを明らかにした。

同社ではこれまでKVP、Sun Asterisk、VOYAGE VENTURESなどから資金調達済み。今回はそれらに続くシリーズAラウンドとなる。主にエンジニアおよびセールスメンバーの採用に投資し、体制強化した上でさらな事業拡大を目指す計画だ。

Flareは2017年に代表取締役の神谷和輝氏が設立したスタートアップ。スマートフォンを活用した運転動態の解析プラットフォーム「Flare Analytics」を基盤技術として、カーラッピング広告プラットフォーム「Flare AD」やドライバー勤怠・動態管理システム「Flare Dash」を手がける。

本社は日本に構えているものの、現在は現地の100%子会社を通じてタイを軸に事業を展開中だ(現地法人としても豊田通商タイランドから出資を受けているとのこと)。

スマホだけで様々な運転データを取得

基盤となるFlare Analyticsはこれまで車載デバイスを用いて取得していた運転データを“スマートフォンだけで”取得できるのが特徴。スマホのGPSやセンサーから取得したデータをAIなどを活用して解析し、その傾向や運転スコアをダッシュボード上で可視化する。

急発進や急ブレーキ、走行スピードなどの基本的なものから、スマホを持った・触ったという情報を基に「スマホの脇見運転」などもわかる。これについても数万円〜数十万円するようなカメラデバイスを車内に設置したら把握できるものではあるけれど、Flare Analyticsはデバイスの初期コストや設置の手間もないので導入ハードルが低い。

神谷氏によるとタイは交通事故の死亡率が高く(以前WHOが公開したレポートでは10万人当たりの交通事故死亡者数が世界2位となった)、スマホの脇見運転は主要な原因の1つになっているそう。たとえば後述するFlare Dashを導入している企業であれば、自社のドライバーの脇見運転や危険運転を事故に繋がる前に把握し、対策を打つこともできるようになるわけだ。

Flare AnalyticsではSDKを提供していて、これをアプリに実装することで行動データを取得できるようになる。現時点で2つの自社プロダクトに実装されているほか、今後は他社とタッグを組み、テレマティクス保険や車両管理、タクシーの不正チェック、ローン審査などの領域でも事業展開を見据えているという。

Flare Analyticsを活用しC向け・B向け双方でプロダクトを展開

自社プロダクトのFlare ADの場合は、ドライバーと交通広告を出したい企業をマッチングする際に運転スコアを活用(スコアが高いドライバーをマッチング)。企業の広告をステッカーとして自分の車にラッピングして走ることで報酬を貰える仕組みで、開始以来のべ3万人が登録している。特にGrabなどライドシェアのドライバーが車の維持費やガソリン代を稼ぐ目的で始めるケースが多いとのことだ。

Googleマップと連動し、人が多い場所・時間帯で運転するほど収入があがる。広告主はダッシュボード上でリアルタイムに走行距離や走行ルートをチェックできるため、広告効果を簡単に把握することが可能だ。神谷氏の話では自動車広告領域ですでにタイ1位の実績があり、カンボジアへの展開も進めているという。

もう1つのFlare Dashは企業向けのサービスだ。タイを含めた東南アジアの新興国では交通インフラが十分に整ってないので、マネージャークラスや営業マンには1人1人にドライバーがついてるそう。ただ勤怠管理はいまだに紙ベースが主流で、効率化の余地があるほか虚偽報告の多発が課題になっている。

Flare DashはFlare Analyticsを通じて各ドライバーの動態や挙動を可視化することで不正を防止するとともに、ドライバーがアプリから簡単に勤怠を打刻できるようにすることで紙の勤怠管理の手間をなくす。

「(Flare Analyticsと連動することで)安全運転も管理できて、不正もなくなり業務も効率化される。ドライバーに関する業務を一括管理できるのが特徴だ。東南アジアの企業はまだそこまで安全運転意識が高くないところも多く、安全運転の機能だけを訴求してもそこに投資をする企業は限られる。一方で勤怠管理のニーズは明確にあり、自分たちはその両軸からアプローチできている」(神谷氏)

昨年12月にローンチしてからまだ日は浅いものの、タイに進出している日系大手企業などを始めミャンマーやインドネシアでも導入企業があるという。

今後は自動車のP2P保険などへの展開も

FlareとしてはADとDashを軸に経営基盤を整えつつ、今後はAnalyticsを使った自動車のP2P保険やてれマティクス保険などに事業を広げていく考え。今回の資金調達もそれに向けた組織体制の強化が目的だ。

同社の強みは個人ドライバーと法人に所属するドライバー双方にサービスを展開することによって、多様な運転データを取得できること。そしてAnalyticsをベースにした自社プロダクトも持っているため、細かいテストや改善などPDCAをスピーディーに回し、そこから得られたものを再びAnalyticsに反映した上で他社にも提供できることがあげられる。

「業務車両の動態を取得するプロダクトはあれど、個人ドライバーのデータを持っているプレイヤーはまだまだ少なく、保険領域への展開などを考えるとそこが重要だ。一般の人が持っているもので運転データを取得できるものはないか、そう考えた時にベストなのがスマートフォンだった。(Flare ADを通じて)自分たちはすでに約3万人のデータを蓄積できているのは強みだ」(Flare CSOの林真也氏)

水面下ではAnalyticsのアップデートも進めているところで、危険運転のイベントなどから事故率を推定して事故を起こしにくい人を判定したり、評価の高いドライバーの運転挙動を分析することで「会社で高いパフォーマンスを出すドライバーの傾向」を見極められる仕組みも開発中なのだそう。そうなるとドライバー採用などの領域でもFlareの技術を活かせるようになる。

また、今は車の領域に絞って事業を構築しているものの「スマホ×移動×データ」というジャンルであれば同社の技術を転用できるため、ゆくゆくは車以外での領域に進出することもありえるだろう。

ちなみに日本での事業展開も中長期的に検討していくそう。Flare ADについては難しいようだけれど、Flare AnalyticsやFlare Dashなどを用いた取り組みに関しては日本でもありえるとのことだった。

電気自動車メーカーのRivanが新型コロナで全施設を閉鎖

Amazon(アマゾン)やFord(フォード)が支援する話題の自動車スタートアップRivian(リビアン)は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を受け、全施設を閉鎖する。

Rivanはミシガン州プリマスの本部やイリノイ州ノーマルの工場、そしてエンジニアが自動運転技術に取り組んでいるカリフォルニア州サンノゼとアーバインの拠点など、いくつかのロケーションで2000人超を雇用している。そして英国にもオフィスを構える。

同社は20日、給与雇用並びに時間給雇用の従業員は閉鎖の間も引き続き賃金は支払われると話した。大半の施設の出社率はこの1週間、2〜5%だったという。施設閉鎖の期間は現時点では未定、と広報担当は語った。

Rivanは2018年11月にLAオートショーで全電動のR1TピックアップとR1S SUVを発表するまで、ほとんどの時間鳴りを潜めてきた。しかしこのショー以降、同社は消費者の予約に加え、投資家、そしてフォードやAmazonといった企業顧客を集めてきた。

昨年12月に同社は4回目のラウンドとなる資金調達で新たに13億ドル(約1440万円)を獲得したと発表した。その前には、Amazonがリードする7億ドル(約780億円)、電気自動車テクノロジーのコラボレーション込みでのフォードからの5億ドル(約550億円)、Cox Automotiveからの3億500万ドル(約340億円)があった。

フォード傘下のラグジュアリーなブランドLincolnは「まったく新しい」電気自動車の開発でRivianと協業している。AmazonはRivianに電気自動車の配達バン10万台を発注し、2021年から納車される見込みとなっている。

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、自動車メーカーは状況がひどくなっている欧州や米国でのオペレーションを一時的に停止することを余儀なくされている。一方で、この感染が最初に始まった中国では、工場を再開し始めている。

今回の感染拡大に対する自動車メーカーの対応はさまざまだ。一部の企業は他社よりも早く操業を停止した。米国ではホンダが先頭を切って工場を閉鎖した。そしてフォードやGM、FCAのビッグ3は全米自動車労働組合(UAW)とタスクフォースを結成してその後に続いた。これらの自動車メーカーはタスクフォースの勧めに従って工場で新たな安全のための取り組みの導入を始めたが、UAWは工場を閉鎖するようプレッシャーをかけ続けた。何人かの従業員が新型コロナウイルスの検査で陽性となったのも工場停止への流れを加速させた。そして日産とフォルクスワーゲンも米国での操業を停止した。

Tesla(テスラ)はかなり粘っていた。3月19日にカリフォルニア州フリーモントにある工場を3月23日から閉鎖すると発表した。生産を停止するという判断は、アラメダ郡の当局が必要不可欠でない事業の停止を命令した数日ごのことだ。当局が、テスラの事業は必要不可欠ではない、と公に述べた後ですらテスラは操業し続けた。

同社はニューヨーク工場の操業も一時停止した。電動モーターやバッテリーを生産するネバダ州リノ近くのギガファクトリーはフルに稼働している。

テスラは3月18日に従業員に送った電子メールで「操業に関して政府の異なるソースからのガイダンスと相違があるため」操業を続けていると述べた。HR部門は電子メールで従業員に対し、もし職務が生産やサービス、納車、テストであるなら出社するよう呼び掛けた。

しかし3月19日までに、郡当局との面会の後に、同社は生産を停止すると発表した。テスラの充電インフラをサポートするオペレーションの一部や「車両とエネルギーサービスのオペレーション」なるものは工場で続く見込みだ。そこでは通常と同じく1万人以上が働く。

画像クレジット: Rivian

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(翻訳:Mizoguchi