SpaceXのISS補給船がドッキングに失敗―金曜に再挑戦

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今日の明け方(米国時間2/22)、GPSに問題が起きてSpaceXのDragon補給船はISS〔国際宇宙ステーション〕とのドッキングに失敗した。補給船はISSから800メートル程度の距離まで接近していたが、ドッキングは中止された。NASAによればDragon補給船、ISSおよび乗員の安全に問題は生じていないという。

再挑戦は木曜日〔日本時間金曜〕に行われる。SpaceXがISSへの補給ミッションを中断さぜるを得なくなったのはこれが最初だ。SpaceXはISSへの補給任務を2012年から開始している。偶然だが、数時間前にロシアの補給船がカザフスタンの基地から打ち上げられている。こちらの補給船は金曜日〔日本時間土曜日〕にドッキングが予定されている

SpaceXのDragon補給船は予定では今朝ドッキングし、宇宙から地球大気のオゾン層をモニターするために特別に製作された機器などの物資をISSに移すことになっていた。GPSの不具合によりDragon補給船のシステムは自動的にランデブーを中断してISSから距離を取った。

今回のSpaceXの補給船はケネディー宇宙センターの39発射施設から打ち上げられた。ここはアポロ計画で用いられ、またスペースシャトルを発射した発射施設でもある。NASAにとっては大きな歴史的な意義のある場所だ。SpaceXではこの発射施設から2018年上半期にも有人宇宙船を打ち上げたいとしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ボーイング、3Dプリントで衛星の小型化、製造の効率化へ

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宇宙航空産業のボーイングは衛星の小型化、組立工程の省力化を進めようとしている。Wall Street Journalの記事によれば、ボーイングは衛星を運用可能にするまでの複雑な手順の多くをオートメーション化して製造を効率化するという。

衛星打ち上げ事業のSpaceXやナノ衛星開発のスタートアップ、PlanetKepler Communicationsなど、効率に優れた身軽な新企業の参入はボーイングのような既存の大企業に圧力を与え始めているようだ。

以前から(宇宙航空に民間企業が関与し始めた当初から)、宇宙空間はボーイングのような政府との契約に大きく依存する少数の大企業が独占していた。こうした企業は長年にわたってコストに利益を上乗せすることができる政府契約に守られて楽なビジネス運営を続けてきた。しかしSpaceXのようなスタートアップの参入で事情が大きく変わった。効率的な経営のSpaceXはロケットの打ち上げ費用を大きく引き下げ、これはボーイングの宇宙事業の利益を大きく圧迫した。つまりレガシーの宇宙航空企業もそのあり方を根本的に見直す必要に迫られていたといえる。

ボーイングの衛星事業部の責任者、Paul RusnockはWSJのインタビューに答えて、同社は可能な限りあらゆる部分に3Dプリンティングのような最新テクノロジーを取り入れていくとしている。また衛星自体の設計も見直し、可動パーツを最小化することで組み立ての工数を減らし、信頼性をアップさせていくという。

ロケット同様、衛星もこれまでは個別に特注された部品によって組み立てられていた。こうした部品は非常に高価であり製造にも長時間を要した。これに対して、可動部分を減らし、汎用部品を多用したモジュラー化が進めば衛星の製造コストは劇的に減少する。WSJの記事はさらに、衛星の作動テストについても触れ、コンピューター・シミュレーションをもっと取り入れること、また衛星自身に自己テスト機能を組み込むことでさらに効率化が可能になるはずと指摘している。こうした面でもボーイングなどの大企業には努力の余地が多いにあるようだ。

スタートアップは今やボーイングなどの既存企業が請求していた金額の100分の1程度の価格で同様の機能の衛星を製造可能だとしている。また衛星の開発、製造の期間も数分の一に短縮されると主張している。ビジネスという否応ない現実がボーイングに新しい考え方の採用を迫っている。いずにせよ小さなスタートアップが既存の巨大企業に自己変革を迫るような影響を与えるのは素晴らしい。こうした刺激が産業を前進させていくのだと思う。

画像: Wesley Nitsckie/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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NASAが考えたエウロパの着陸船は三流SF誌の表紙絵のようにケバいぞ

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別の惑星へのミッションが実際に始まるずっと前から、NASAなどの宇宙関連部局は、なぜどうやってそれに取りかかるか、に関する報告書を作らせていた。今週出た、その種の報告書の最新版は、木星の第二衛星エウロパを扱っているが、これは全太陽系の中でももっとも興味深くて神秘的な天体のひとつだ。そしてまた、生命の痕跡がありそうな天体、にも属している。

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エウロパの凍った地殻の下にあると思われる金属が滲出した液状の水は、地球外生物がいちばん見つかりそうな環境、とされている。

報告書はとても長くて技術的だが、関連の文書や研究はここでダウンロードできる。でもこの記事では、エウロパの着陸船を想像で描いた、アーチストの作品を鑑賞しよう。大きな画像を、ここで入手できる。でも、画像の上にタイトルがほしいよね。

報告書はエウロパへのミッションの目標を三つ挙げている。生命の証拠を探すこと、この衛星の可住性を評価すること(温暖ではないが液状の水はプラスだ)、そして、今後の参考のために地表と地表直下の性状を調べること。

これらの目標を達成するために必要な、機器も挙げている。まだ、今の技術では存在しないものもあるが、いずれも、今あるものや、近く実現するものに類似している。上図の着陸船は、それらの物の組み合わせの一例だ。あまり丈夫そうに見えないのも、意図的なのだ。われわれはついつい、長期滞在による探査活動を連想してしまうが、実際にはほんの数週間で、木星からの大量の放射能で、鶏の唐揚のように揚げられてしまうだろう。

報告書は、熱心な宇宙ファンの人にとっては、ざっと見るだけでもおもしろいだろう。でもぼくはここで、表紙のすばらしいアートをみんなに見せたかった。すごいね、Michael Carrollさん。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleが衛星画像事業Terra BellaをPlanet Labsに売却、Earthの画像はライセンスにより継続

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本誌TechCrunchが1月25日に報じたように、Googleは、SkySat Earthの画像衛星群を含むTerra Bellaの事業をPlanet Labsに売却することを、金曜日(米国時間2/3)に確認した。しかし売却の条件に複数年のライセンス条項が含まれているので、Google Earthなどの宇宙から地表を見た画像は、従来どおり提供される。

Planet LabsのWill MarshallInが、買収を発表するブログ記事で、SkySatの高解像度の画像衛星を7基入手できたことは“たいへんありがたい”、と言っている。中解像度の画像衛星を、同社は60基保有している。中解像度というのは3〜5メートルの精度、という意味で、Googleの衛星なら1メートル弱の精度を提供できる。だからGoogle EarthやGoogle Mapsの画像は、上図のように非常にくっきりしている。

PlanetはTerra Bellaの能力を宣伝して顧客層を広げたい。今でも同社の事業は順調だが、高解像度の画像を提供できれば、顧客企業が抱える消費者製品の増客にも貢献するだろう。そういう新市場開拓の形はまさに今、Googleへのライセンス提供、という形ですでに一つ実現している。

Terra Bellaも元々はGoogleによる買収の成果で、2014年に5億ドルで取得したSkybox Imagingがその原型だ。Googleは最近、包括的な親会社Alphabetを創設するなど、機構の合理化に取り組んでおり、衛星画像に関しても、機械設備の自社保有よりも専門企業からのライセンス購入の方が合理的、と判断されたのだ。

買収の価額等は公表されていないが、本誌の前の記事では、もうひとつの買い手候補Climate Corporationの予定価額が3億ドルとされていた。

金曜日の朝Planetは、キュビスト(cubist)と呼ばれる小型で低コストの衛星を、新たに88基打ち上げる計画を発表した。一度に打ち上げる人工衛星の数としては新記録であり、打ち上げは2月14日を予定している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpaceX、回収したFalcon 9の再利用も「間もなく」

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SpaceXといえば、打ち上げたロケットを安定的に回収している。しかし目的は回収ではなく再利用だ。その再利用がいつになるのかと期待して待っている人に朗報がもたらされた。回収したロケットの再利用に向けてのステップとして、Falcon 9ロケットの静止状態におけるエンジン点火実験に成功したそうなのだ。

点火実験に成功したのは、昨年4月に行った国際宇宙ステーション補給ミッションで使用したもので、海上のドローン船によってはじめて回収に成功したロケットだ。共同ファウンダー兼CEOのElon Muskは、当時からこのロケットを再利用に用いる可能性について言及していた。はやければ2016年の6月にも再利用を行えるのではないかというような楽観的な見通しも語っていた。予定日については大幅に遅れているわけだが、これは無理めの予定を発表するElon Muskにとって、とくに珍しいことではない。

もちろんMuskたちも、予定の遅れを当然であると開き直っているわけではない。SpaceXは「人生はままならぬものだ」というようなことを言っている。Muskの徹底的楽天主義以外にも、9月にはロケットの爆発事故があり、これによって5ヵ月の間はロケットを飛ばすこともできなくなった。

それはとかく、ロケットの再利用はヨーロッパで衛星事業を手がけるSESのミッションで行われる予定だとのこと。詳細は現在詰めているところだが、はやければ3月にも発射を行いたい(今年1月に行われたIridium-1のミッション中にも、初めてとなる再利用を間もなく行う予定である旨をアナウンスしていた)としているようだ。

現在のロケットについて、再利用回数は2、3回の予定となっている。回数が少ないようではあるが、SpaceXはそれにより打ち上げコストは30%程度に抑えられるようになるとしている。すなわち打ち上げを繰り返すほどに、SpaceXのコストメリットが出てくると期待されているわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

民間月面着陸競走、GoogleのLunar XPrizeが山場へ―日本のHAKUTOもファイナリスト

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民間チームによる月着陸一番乗りを競うGoogleのLunar XPrizeは今年いよいよ山場を迎える。2017年末までに民間企業として初の月面着陸を果たすという競走に参加する5組のファイナリストが決定した。ファイナリストの5チームは、SpaceIL、Moon Express、Synergy Moon、Team Indus、Hakutoだ。勝利を得るためには単に月面に着陸するだけでなく、月面で最低500メートル移動し、月面から写真とビデオをライブで送信するなどの条件を満たす必要がある。

各チームはそれぞれ異なる月面到達の方法を採用している。XPrize受賞のためには2017年12月31日までにロケットを打ち上げ(着陸は後でよい)ることが求められている。月着陸その他の条件を満たした最初の参加チームには2000万ドルの大賞が贈られる。2位には500万ドルだ。また人類が初めて地球以外の天体に足を踏み入れた記念すべき場所、つまりアポロの最初の着陸地点に到達したチームにはボーナス賞が用意されている。

今回のファイナリストに選ばれなかった11チームもそれぞれ若干の賞を得る。Googleは総額100万ドルの賞金を用意し、宇宙航空と教育の進歩に貢献したという理由で参加した全16チームに分配する。

全チームのうち、月着陸機の打ち上げ契約が確認された5チームがファイナリストとして認められた。SpaceILが一番乗りで、SpaceXと2017年後半に月への打ち上げを行うという契約を結んだ。NASAと提携するアメリカのスタートアップ、Moon Expressの打ち上げを行うのはRocket Labという宇宙開発企業で、Electronロケットはまだ実際に飛行したことがない。Moon Expressは政府からミッションの許可を得た。Synergy MoonはInterorbital社のNeptune 8を利用する。こちらもまだ実際に宇宙への飛行を行ったことがない。インドのIndusと日本のHakutoはインド政府の宇宙開発機構の実績あるロケットを共同利用する予定。

このプロジェクトでは打ち上げロケットが重要な要素になるものとみられる。5チームのうち宇宙に到達した実績がある打ち上げロケットの利用を契約しているのは3チームだけだ。SpaceXも昨年の打ち上げ途中の爆発事故などの影響で計画に遅れが出ている。ではあるが、ここまでプロジェクトを進めてくることができたチームが5組もあったというのは素晴らしい。

〔日本版〕HAKUTOチームの公式ページ。Wikipediaにも解説がある。WikipediaによればMoon Expressは月で鉱物資源を開発することを目的としている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ちょいと冥王星へ散歩しよう

何かの理由で、今すぐ、ものすごく遠くへ行きたくない? 冥王星はどうかな…こいつは遠いぞぉ。

NASAは、無人探査機New Horizonsが撮った約100枚の画像からビデオを作った。同機は2006年に打ち上げられ、この準惑星への接近飛行を2015年に完了した。ビデオにはNew Horizonsが撮った写真が使われているが、それらはオリジナルのモノクロ写真に、この探査機が別のカメラで撮った低解像度のカラー画像をオーバレイして、高解像度でフルカラーのビデオに似せたものだ。一部のフレームは、ほかのデータを利用して“補完”した絵だ。つまり全体としては、宇宙船の機械装置が実際に撮った動画ではなくて、推測作品だ。

でも、それらしく見せるためにサウンドトラックも一役買っている。まさに、人工的宇宙映像にぴったりの宇宙音楽だから、ラリった状態でプラネタリウムに行ったときのような、うっとりした気分になってしまって、まさに‘遠くへ行きたい’の目標を達成できるだろう。

出典: Gizmodo

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpaceXがドローン船を使ったFalcon 9ロケットの回収に成功

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SpaceXは土曜日に行われたFalcon 9の打ち上げで、ロケットの1段目を回収することに成功した。これで今までに回収したロケットの数は7台になったほか、「Just Read The Instructions」と名付けられたドローン船でのロケット回収は今回が初だった。回収の様子はロケットに取り付けられたカメラにも収められており、着陸までのプロセス全体を映像で見ることができる。

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SpaceXが初めてドローン船を利用して、洋上でFalcon 9の一段目を回収したのは昨年4月8日のことだった。そして最後にドローン船での回収を行ったのが同年8月で、その後9月1日に件の爆発事故が起きた。これまで5度の回収を成功させた無人で航行するドローン船は、海の状況にあわせて動き、ロケットとやりとりをしながら着陸場所まで向かうようになっている。

宇宙飛行のコスト削減というSpaceXのミッションにおいて、ロケットの回収は大きな鍵を握っており、最終的にはこれが人間の惑星への移住というもっと大きなゴールに繋がると考えられている。現在SpaceXは打ち上げ一回あたりにかかる料金を約6000万ドルに設定しており、これは同じように商業宇宙飛行を行っている他社の水準と比べるとかなり低いが、その結果SpaceXのマージンもかなり薄い。

回収したFalcon 9の一段目を複数のミッションで利用できれば、宇宙に何かを送り届ける度に全く新しいロケットをつくる必要がなくなるので、SpaceXの利益が大幅に増えることになる。同社はまだ回収済みのFalcon 9の一段目を再利用していないが、回収プロセスの効果を最大化するために機体の調査は行っている。そして本日SpaceXは、”近いうちに”回収したロケットを使った初めてのミッションを行う予定だと語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Moon Expressが2000万ドルを調達、月面着陸に向けて本格始動

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Google Lunar X-Prizeに参加中のMoon Expressは、シリーズB1で2000万ドルを調達し、月への処女航海に必要な資金が揃ったと発表した。今回の調達資金を含め、Moon Expressはこれまでに合計4500万ドル以上を、個人やVCのFounders Fund、Collaborative FundさらにはAutodeskなど民間から調達している。

2016年7月に、Moon Expressは民間企業として初めて月への渡航許可を手に入れた。同社は宇宙船MX-1Eを2017年中に月へと飛ばそうとしており、同時にX-Prizeの賞金2000万ドルの獲得を狙っている。

「ついに月への発射に必要なリソースが整いました。私たちのゴールは、地球の社会・経済圏を大部分が未開拓のまま残った8番目の大陸である月へと広げ、学生や科学者、宇宙機関、営利団体のために低価格で月の探索や開発ができるようにすることです」Moon Express 共同ファウンダー兼CEO Bob Richards

Moon Expressが月面への軟着陸を成功させれば、これは民間企業としては初めて、歴史上4番目の偉業達成となる。これまでに月面軟着陸を成功させたのは、全てアメリカ、旧ソ連、ロシアの政府系巨大組織だった。

もちろんこのタイトルを獲得するために、Moon ExpressはイスラエルのSpaceILやインドのTeam Indus(日本チームのHAKUTOが観測機で相乗り)、そしてさまざまな国の組織から成るSynergy Moonといった他のX-Prize参加者を打ち負かさなければならない。それぞれのチームはコンテストへの残留条件として、ロケットの打ち上げ契約をX-Prizeに見せて承認を得なければならなかった。

そして参加者で一番早く月面を500メートル移動し、高画質の動画と画像を地球に送ることができたチームには2000万ドル、2位のチームには500万ドルがおくられる。

おそらくX-Prizeの要件の中で1番厳しいと思われるのが期日だ。賞金を獲得するためには、全ての課題を2017年中に完了させなければならないのだ。ちなみにX-Prize Foundationは、既に一度期日を延ばしている

Google Lunar X-Prizeが特にユニークなのは、参加者が必要資金の90%を民間から集めなければならないと言う点だ。理論的はこの条件によって、利益を重視したビジネスプランが集まり、月に関連したビジネスの発展が加速することになる。

またMoon Expressは、衛星の打ち上げを行っているRocket Lab USAとロケット5台分の契約を結んだ。設立間もないRocket Lab USAは、同社の実験的な宇宙船Electron(Moon ExpressのMX-1Eを月まで運ぶロケットと同じもの)をまだ実際に飛ばせていないが、初めての打ち上げが今月末に予定されている。そして全て計画どおり進めば、Moon Expressの宇宙船は今年中に月へと向かうことになる。

Rocket LabのElectron初打ち上げは今週末を予定。一方NASA VCLSミッションは彼らにとって6回目の打ち上げにあたる予定で今年中に実施される計画。

(編集部注)その後本ツイートには、Rocket Labから「今月はテストを行いませんが、打ち上げ実験には確実に近づいています」という連絡があったと付け加えられている。

複数台のロケットを手に入れること、何か問題が起きてもMoon Expressは複数回チャレンジすることができる。計画では、Rocket Lab USAのElectronがMX-1Eを地球の軌道まで運び、そこでMX-1Eをロケットから切り離し、それ以降はMX-1Eが機体に取り付けられたロケットエンジンを使って月まで移動していく。

そして4日間におよぶ移動の後、MX-1Eは月面に着陸する予定だ。他のチームは探査機を使って500メートルの移動という条件を達成しようとしているが、Moon ExpressはMX-1Eのスラスターを使って500メートル先の地点まで機体を”跳ね”させようとしている。

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X-Prizeの結果はどうあれ、Moon Expressは月に行くことを何らかのビジネスと繋げようとしている。彼らはいくつもの月面でのロボットミッションを計画しているほか、長期的にはロケットの燃料に変えられる月の水など、月の資源を調査・調達しようとしている。

「月には1兆ドル分の貴重な資源が存在すると分かっており、今後私たちは急成長しているテクノロジーを使って、これまで超大国しかなし得なかったことを起業家ができるようにし、全ての人類のために月の資源を開放するチャンスを掴めるかもしれません」

なお4500万ドルの民間資金は、Moon Expressのオペレーションや製品のテスト・開発、打ち上げ費用などにあてられる予定だ。また同社は既にフロリダ州のケープカナベラル(Cape Canaveral)宇宙ロケット打ち上げ基地17、18のリノベーションに着手しており、今年中の打ち上げに向けて宇宙船のテストやオペレーションがこちらで行われる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

SpaceX、事故調査を終了、1月8日にIridium通信衛星打ち上げへ

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SpaceXはケープカナベラル宇宙基地で大型ロケットが打ち上げ直後に爆発した事故の調査を完了したと発表した。調査はFAA、NASA、NTSB、空軍等の宇宙航空の安全に関わる連邦機関と協力して実施された。収集された残骸やデータを綿密に調査した他、カリフォルニア州ホーソンとテキサス州マクレガーのSpaceXの施設でも実験が行われた。

事故の調査は去る9月のFalcon 9ロケットの爆発事故の原因を打ち上げに先立つ燃料注入過程に求めている。 SpaceXの調査によれば、第2段ロケットのエンジンの液体酸素タンク内に設置された加圧用ヘリウム容器に問題が起き、圧力上昇により液体酸素が2段目ロケットの外被とライナーの間に入った。この際液体ヘリウムの温度が低すぎたために液体酸素が固化し〔固体酸素はいっそう発火の原因となりなすいため〕問題をさらに悪化させたとみられる。SpaceXではこの問題の短期的、長期的改善に取り組んできた。発表によれば燃料供給過程に関する安全性は短期的に確保されており、長期的な改善も成功すると確信していることを発表した。

事故調査の完了に伴い、SpaceXは来る1月8日にFalcon 9による打ち上げを再開する。ペイロードは10基のIridium通信衛星だ。he Iridium衛星はすでにFalcon 9の打ち上げカプセルに収容されている。

SpaceXが実際に今回の打ち上げを成功させ去年秋の事故発生から飛行再開までのターンアラウンド時間は記録的な短さだ。それでも衛星企業各社の信頼を完全に回復するまえにはかなりの時間がかかるだろう。

〔日本版〕Iridiumを含めた衛星電話全般に関してはこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

衛星インターネットのOneWebがソフトバンクなどから12億ドルを調達

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衛星を利用したインターネットをめぐる闘いが激しさを増している。Teslaが何千もの衛星を利用したインターネットサービスを開始するための許可を米国政府に求めたと報じられてから約1週間後、そのライバルのOneWebが新たに12億ドルを調達したことを発表した。同社は2019年までにサービス開始を目指す。

今後数年間のうちに衛星インターネットを利用できる人は限られているだろうが、すでにこの分野には多額の資金が流れ込んでいる。OneWebはこれまでに、Airbus、Qualcomm、Virgin、Boeing、Coca Colaなどから5億ドルを調達している。今回の調達ラウンドをリードしたのは日本のソフトバンクで、同社からの出資金額は10億ドルだ。

今回調達した資金は、今年初めに発表されたフロリダにある衛星製造工場の「サポート」に利用される。このプロジェクトでは1週間に15機もの衛星を製造することを目指しており、その開発コストは「他社が衛星を製造するのにかかるコストの、何分の1にも満たないコスト」だとOneWebは話す。フロリダの製造工場が完成するのは2018年を予定しており、これにより今後4年間で3000人の雇用が創出されるという。

先日、ソフトバンクはアメリカに資金を投入して雇用を創出すると約束している。今回の出資によって同社はその約束を果たしたと言えるだろう。ドナルド・トランプ次期大統領との会見後、ソフトバンク CEOの孫正義氏は米国のスタートアップに500億ドルを投資し、アメリカ国内に5万人の雇用を創出すると約束しているのだ。その資金はソフトバンク本体から出資されるだけでなく、サウジアラビア政府が出資するPIFと共同で設立した1000億ドル規模のVision Fundを通して行なわれる予定だ。

「私は今月初めにトランプ次期大統領と会見し、アメリカへの投資と雇用の創出という私のコミットメントを共有しました」と孫氏は話す。「この出資はそのコミットメントの第一ステップです。アメリカは常にイノベーションとテクノロジー開発の中心地であり、当社が真のグローバル・エコシステムの創出に参加し、アメリカの成長に寄与できることを大変嬉しく思います」。

OneWebの長期的な目標は、衛星を利用して世界中に安価なインターネットを提供することだ。これにより、既存のインターネットがもつカバレッジを低いコストで広げることができ、現状のネットワークではカバーされていない国や地域でもインターネットを利用することができる。OneWebが掲げる高尚な目標は様々あるなかで、同社は2020年までにすべての学校へインターネットアクセスを提供することを目指している。また、OneWebのインターネットはIoTやコネクテッドカーなど、誕生したばかりのテクノロジーを普及させることにも役立つだろうと同社は話す。

OneWebの創業者兼会長のGreg Wylerは、同社のWebサイト上でこのように語る。「今回調達した資金、そして昨年に大きく進展した技術開発の進捗度を踏まえ、私たちがこれまでに掲げてきたものよりも大きな目標をここで発表したいと思います:当社は2027年までに情報格差をこの世から無くし、すべての人々に安価なインターネットアクセスを提供します」。

同社は2018年初めに10機の衛星を打ち上げてテストを行ったあと、その6ヶ月後には72機の低軌道衛星を打ち上げる予定だ。すべてが上手くいけば、2019年にはOneWebが提供する遅延の少ないインターネットが利用できるようになる。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

追悼ジョン・グレン

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1962年2月20日、ジョン・グレンは問題を抱えていた。

地球周回軌道を飛行した最初のアメリカ人であるグレンは、その時フレンドシップ7のカプセルの中にいた。ミッションコントロールは、彼にカプセルの手動制御を引き継がせた。その間に自動システムが故障し、彼にはそれまでに人類が作成した最も複雑な成果物の1つを完全に制御する使命が残された。宇宙空間でただ1人、うっかりすれば地球から彼を弾き飛ばしてしまうか、あるいはその厚い大気の中に転落させかねない乗り物の舵を握っていたのだ。

「私は手動制御に移行して、2周目、3周目、そして再突入をそのモードのまま継続しました」とグレンは語った。「この故障は、私たちが長い時間をかけて検討してきたものが正しかったかどうかを、素早く証明してみせることを私に迫りました」。

そして彼は米国上院議員になるために生き残り、科学と実践主義に彩られた政策の策定に何十年も携わった。その男が亡くなった。彼の生まれたオハイオ州ケンブリッジから100マイルも離れていない場所で、家族に囲まれながら。

グレンは凄腕のパイロットだった。無数の出撃を通して何千時間もの飛行を行った。彼は宇宙最古の男であり、アメリカの希望と可能性の生きたサンプルだった — そして何よりも — 中心だった。戦後の恐怖と懐古的な無知によって大部分のアメリカ人が盲目的に這い回っていたときに、彼は超音速で飛行し、地上での希望が薄かった時に私たちを前へと押してくれた。彼はピッグス湾の上を飛び、ビートルズの「ラブ・ミー・ドゥー」に先んじて飛んだ。彼は最初のコンコルドを製造するエンジニアたちの上を飛び、アメリカのそして世界の戦争の際にアメリカの上を飛んだ。

彼はそれら全ての上を飛んだのだ。

ジョン・グレンのような男たちと女たちが重要だ。彼のときと同じ争いで形作られるこの時代には、熱い恐れと冷たい戦争の時代には、片手にはスロットルを、もう一方の手にはステアリングを握り、私たちを前へ導いてくれる男女が必要なのだ、宇宙で、地上で、研究室で、そして政治の場で。私たちには、手動制御に切り替えることを恐れない、思想家たち、実践者たち、製作者たち、男たち、そして女たちが必要なのだ。大勢のジョン・グレンが必要だ。

宇宙開発競争の英雄たちは高齢化している。それに続く世代は宇宙に対する敬意に欠けている — 少なくともまだ今は — そして彼らにとって宇宙飛行はありふれた奇跡に過ぎない。私たちは、出産時に死ぬことはない。私たちは、数時間で数1000マイルを移動し、数秒で世界の誰にでも電話をかけることができる。私たちは、この指先に世界中の情報を集めている。私たちは、願いが人生で徐々に叶っていく素晴らしい夢の中で眠っているのだ。私たちは、グレンでさえ予測することができなかった世界に住んでいる。

だから、グレンと彼の同類たちが私たちに与えてくれたものに感謝して、その先へ進もう。手動制御に切り替えよう。恐れを見せることなく。なぜなら私たちの可能性を無視することこそが恐怖なのだから。

グレンはかつて宇宙飛行の魔法についてこう言った「1日に4度の美しい夕焼けを見た日のことはどのように語ればいいのか分かりません」。世界を変えるために私たちがしなければならないことは、生涯に渡って日の出を見つめることだ。

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(翻訳:Sako)

NASA、GIF公開のためGiphyにNASA公式チャネルを開設

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NASAの仕事は太陽系を探索したり、地球についてさまざま重要な研究を行うにとどまらない。宇宙の様子を多くの人に伝えることも彼らのミッションのひとつだ。その中でビジュアルな「動き」を伝えるにはGIFが最適ツールのひとつだろう。NASAもそれに同意するようで、GiphyのNASAチャネルができた。過去のものから最新のものまで、数百ものGIFが掲載されている。

過去のアーカイブといえば、まずこうしたものが頭に浮かぶだろう。


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via GIPHY

あるいは「魅惑的」という言葉はきっとこういう写真のためにあるのだと思う。


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via GIPHY

NASAはもちろんお堅いばかりではない。


via GIPHY


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出典となる科学情報ないしニュースへのリンクのついたものも多い。GIFを眺めながらお勉強までできてしまうことになる。

現在のところは500枚程度が公開されているようだ。もちろんこれは増えていくことになるのだろう。ソーシャルメディアなどで共有しようとする場合、#nasagifというタグを使っている人が多いようだ。

参考までにお伝えしておくと、Pinterest上にもNASAページがある。

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(翻訳:Maeda, H

データサイエンスとロケットサイエンスが人類を火星へ連れて行く

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【編集部注】著者のKapil Kedarは、Alpine Dataのテクニカル・セールス部門のディレクターである。

最近CNNの論説で、オバマ大統領は、火星へ有人ミッション送り込む米国のコミットメントを再確認した。データサイエンス上の課題が複雑すぎると思うだろうか?火星遠征が健康へ与える影響を理解するために行う、データマイニングの難しさを想像して欲しい。

数年にわたる宇宙の滞在で、宇宙飛行士の筋力や肺活量に何が起きるのだろうか?どのくらいの体重なら安全に減らすことができるのだろうか?乗務員の居住スペースのCO2はどの程度であればよいのか?個々の宇宙服の関節の柔軟性を計算するのに必要とされているセンサーの数はいくつだろうか?

人間を「これまで誰も行っていない場所(where no one has gone before)」に送り出すときには、考慮すべき多数の変数があり、そのためにNASAは、将来の火星行きミッションに備えて健康と安全のリスク研究を熱心に行っている。これらのリスクを理解することはとても重要だ、なぜならそれらは旅行計画を行う際に必要となる多くの意思決定にインパクトがあるからだ — それはおよそ全ての項目に及ぶ。乗組員候補をどのように評価するべきかというものから、機器エンジニアリング、ミッションの物流、そして燃料の必要量の決定まで。

賭け金は高いが、NASAは最初の段階から、完璧な分析モデルの開発ではなく、意思決定者が連続的に変化する多くの疑問に分析を使って答えることができるようにするための、データサイエンスプロセスを構築することにより力を注ぐ必要があることに気が付いていた。とはいえ、NASAの分析アプローチから学ぶために、ロケットサイエンスに精通している必要はない。以下に示すのは、これからビッグデータ分析を始めようとしている組織、あるいはビッグデータ分析に行き詰まっている組織に当てはまる、有用なキーポイントである。

複雑にするな

簡単に言えば、データサイエンスはロケットサイエンスのように複雑であってはならない(そこで昔私がやっていたことを知りたい人はいるだろうか?)もちろん、ビッグデータの分析には様々な課題がある、そしてもちろん、どのような洞察を得たいかによって、アプローチも変化する。しかし、状況が必要としていること以上に物事を複雑にする必要はないのだ。

あまりにも頻繁に、多くの組織が、データ分析を行うことに集中すべきときに、ひたすら分析のためのデータ移動の無限のサイクルに落ち込んでいる。ビッグデータは、その定義から明らかなように、その移動は不可能ではないにせよ、大変難しい。Hadoopのような分散ストレージと処理のフレームワークが存在する理由はここにある — クラウド内のデータは、サイロ内のローカルデータよりもはるかにスケーラブルなのだ。

火星行きのプロジェクトでは、見るべきデータに大変多くのレベルが存在する、たとえば前回の宇宙ミッションを完了したScott Kellyのような宇宙飛行士から収集したヘルスデータから、非宇宙飛行士を使った研究や、ヒューストンのJohnson Space CenterにあるHuman Exploration Research Analog(HERA)のような模擬宇宙空間で行われる研究まで。

全てのデータを1箇所で得ることが、重要な最初のステップだ。このためにNASAは、Lockheed Martinを始めとする複数の分析パートナー(例えばAlpine Data)によって開発された、高度分析と情報供給のための共同プラットフォーム(Collaborative Advanced Analytics and Data Sharing platform)を用いて、データをその提供元で分析するために使っている。仕事をするために一々分離した分析環境へデータをダウンロードすることを待つ必要がないので、研究者たちはその時間とエネルギーを、火星行きミッションを計画する際の問い合わせと回答を得る作業に集中できる。

打ち上げは単なる始まりに過ぎない

ロケット打ち上げの成功は、数年にわたる火星へ遠征の最初の1ステップに過ぎない。過去の経験から、NASAはその全行程の間に、多くの問題が発生し、対処を迫られること知っている。同じことが、データ分析プロジェクトにも当てはまる。モデルをデプロイすればプロジェクトが完了するというわけではない。実際には、最も貴重な分析の取り組みは、モデルが継続的に洗練され反復される形で行われる。

データサイエンスはロケットサイエンスのように複雑であってはならない。

科学的方法と同様に、分析を最大限に活用するためには、実験、テスト、失敗からの学び、そして更なる再びテストを必要とする。米航空宇宙局(NASA)は、自由に大容量のデータを照会できるようにしたいと考えていて、これまでの知見に洞察を注ぎ込み新しいモデルを構築できるようにしたいのだ。これが、データサイエンスに関わるこの活動が「振り子」に似ている理由である、前に振り出しながら研究者の洞察を深め、後に戻しながらモデルの定量化、結果評価、そして精細化を行い、そしてまた新たな振りを繰り返すのだ。

持っているデータを使え。持っていれば良いなと思うデータではなく

素早く簡単に分析モデルを洗練することが出来る能力は、データセットは完璧ではないときに、特に貴重なものとなる。(いや実際に、完全データセットなどというものがあるだろうか?)。

NASAにとって、データ上の最大の課題は、宇宙飛行士のサンプルサイズが小さいことである — わずか300人の個人がこれまでにNASAの宇宙飛行士として受け入れられてきた。研究者らは、この小さなサンプルから収集したデータをなんとかマイニングし、外挿を行う必要があるのだ。

例えば、120ポンドの体重を持つ35歳の女性の宇宙での5ヶ月の旅の記録に基づいて、出発時32歳で123ポンドの人に2年間の間に何が起きるかを計算できるだろうか?30歳で118ポンドなら?更には、これまで宇宙飛行士が、赤い惑星に足を踏み出したことはないので、実際に火星に住むことへの健康への影響については何のデータもない(マット・デイモンは除いて)。

しかしNASAは、月へ行った、あるいは国際宇宙ステーションで1年を過ごしてきた宇宙飛行士たちから、何を学ぶことができるのだろう?模擬宇宙環境に住んでいる被験者からのデータが予測モデルに適用されたときに、何が起きるのだろうか?迅速なモデルの展開と洗練を支援する分析ツールを使用すれば、組織は例え重要な情報が欠落している場合でも、より良い予想を行わなければならない洞察を、データから引き出す様々な方法を試し続けることができる。

ブラックボックスを打ち破れ

火星ミッションでは、NASAは納税者の何十億ドルをつぎ込んでいるだけではなく、宇宙飛行士たちの命も預かっている。宇宙飛行士達は科学と探求の名のもとに、彼らの健康と安全をリスクに晒すのだ。

分析の他の消費者と同様に、NASAは結果として得られた提案が信頼できるものであるようにする必要がある、しかし、もしこうした予測が、データサイエンスの専門家だけが扱ったり理解できる「ブラックボックス」ので計算されている場合にはそうした信頼の獲得は難しい。

このようなプロジェクトのためには、データサイエンスの博士号を持たない分析結果の利用者たち(ヘルス研究者、機器エンジニア、その他のミッション計画実施者たち)の力を拡大して、自分自身のデータに対して実際に問い合わせを組み立てて実行できるようにすることが鍵である。これは、ビジネスとITステークホルダーの間の緊密な協力を必要とし、同時に利用と変更が簡単で、必要な人へ洞察を届ける能力を持つツールも必要とする。これがNASAが共同分析プラットフォームを選んだ理由である。このプラットフォームには、火星ミッションで働く科学者と意思決定者たちによって使われているシステムとアプリケーションに直接出力を展開するツールが含まれている。

大規模で複雑なデータセットは、分析の展開に着手しようとするどのような組織に対しても、課題を提起する。しかし、NASAによるデータを最も複雑な旅(火星への遠征)へと結びつけようとする例は、その課題が乗り越えられないものではないということを証明している。適切なツールと、最も重要な一貫性のあるよく計画されたアプローチを使えば、データサイエンスはロケットサイエンスのように困難なものとはならない。

注:Lockheed MartinのInformation Systems & Global Solutionsは、現在Leidos Holdingsの一部である。

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(翻訳:Sako)

インフォステラが6000万円を調達、人工衛星との通信手段を「クラウド化」で低コストに

人工衛星向けアンテナシェアリングサービスを手がけるスタートアップであるインフォステラがシードラウンドで6000万円の資金を調達した。フリークアウト、500 Startups Japan、エンジェル投資家の千葉功太郎氏に対して第三者割当増資を実施する。

同社のビジネスモデルは、人工衛星のための通信リソースを効率よくシェアすることでコストを下げ、使い勝手を高めるというものだ。いわば衛星通信インフラのクラウド化だ。同社は「宇宙通信分野のAWS(Amazon Web Services)になりたい」(取締役COOの石亀一郎氏)と話している。

打ち上げられる人工衛星の数は急増しているのに対して、人工衛星の運用に不可欠な地上局の運用コストは高価なまま──同社はここに目を付けた。

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インフォステラの提供するサービスの概念図。既存の地上局のアンテナ、同社の無線機、それにクラウドサービスを組み合わせ、人工衛星運用に欠かせない「通信機会」を効率よくシェアして提供する。

低コスト人工衛星の需要増に対応し、地上局との通信機会を提供

商用宇宙開発のブームについては読者はすでにたくさんの話題を耳にしていることだろう。イーロン・マスクのSpace X、ジェフ・ベゾスのBlue Originが再利用可能な打ち上げロケットを開発し、日本では堀江貴文氏が後押しする小型ロケットのスタートアップであるインターステラテクノロジズ(ITS)がチャンスをうかがっている。彼らが目指すのは、より低コストな人工衛星打ち上げ手段を提供することだ。背景には人工衛星の需要が急増していることがある。

特に超小型人工衛星の需要が急増している。以下のグラフを見てほしい。低コストを特徴とする超小型人工衛星(Cube Sat)の打ち上げ数を示すグラフだが、2013年から2014年にかけて打ち上げ数が年間100機のラインを突破して急増していることが分かる。「打ち上げる衛星の予約は先まで詰まっていて、今はロケットがネックになっている。安いロケットがあればバサバサ決まる状態にある」(石亀氏)。

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超小型人工衛星(Cube Sat )の打ち上げ数は急増している。Satellite Industry Reportより引用。

打ち上げ手段と人工衛星の需要が揃えば、次に解決すべき課題は通信手段の確保だ。人工衛星を追尾可能なアンテナを備えた地上局の設備は有限の資源だ。さらに、超小型人工衛星が投入される低軌道では人工衛星が視野に入る可視時間が短く、一つのアンテナで通信できる時間は1回あたり十数分にとどまる。つまり、人工衛星との通信機会は希少性がある資源なのだ。

こうした背景から、人工衛星向け通信手段を提供する企業は数が限られており(ノルウェーKSAT、スウェーデンSSCが寡占状態にあり、最近ではRBC Signalsが登場している)、価格も高止まりしているのが実情とのことだ。つまり、スタートアップの参入余地がある分野ということだ。

人工衛星の需要増に伴い、人工衛星と地上局との間のデータ通信の需要も急増している。例えばリモートセンシングによる地上の画像のデータを集めて気象、交通量などのデータを抽出する取り組みが盛り上がっているが、こうした分野では大量の画像データを人工衛星から地上局へ転送する必要がある。地表をくまなく撮影できる人工衛星を打ち上げても、通信機会を十分に増やさなければ取り出せる画像データが限られてしまう。

インフォステラが狙うのは、既存の地上局のネットワークを作り、通信機会という資源を効率よく配分し、低コストで顧客に供給することだ。衛星通信に必要なアンテナは既存の設備を借りる。ただし、通信機は自社開発のものを使う。衛星通信分野では標準規格が確立していないことから、幅広い周波数帯(バンド)に対応できる通信機を開発して適用することで通信機会を増やす狙いだ。

クラウドサービスは大規模なサーバーインフラを多数のユーザーでシェアし、手軽かつ低コストに時間課金で利用できるようにする。同様に、インフォステラのサービスでは世界各地に散らばる人工衛星用の地上局をパス(通信機会)単位の課金で利用できるようにする考えだ。地上局設備の初期投資なしに、人工衛星との通信機会(パス)を買うことができるのだ。

宇宙開発では、自分たちの人工衛星のために地上局のアンテナを設置してきた事例が多い。ただし、自分たちの人工衛星の運用に使うだけではアンテナの空き時間が長く、稼働率は低いままとなる。アンテナ保有者にとって、アンテナの空き時間を売ることができれば新たなビジネス機会となる。

創業メンバーは宇宙と無線のプロ

インフォステラは2006年1月の設立。創設メンバーはCEOの倉原直美氏、COOの石亀一郎氏、社外取締役の戶塚敏夫氏の3名である。

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超小型人工衛星「ほどよし」1号機の外観。形状は1辺約50cmの立方体で質量約60kg。

桑原直美CEOは人工衛星の地上システムのプロフェッショナルだ。東京大学で、内閣府の最先端研究開発支援プログラム(FIRST)に採択された超小型衛星「ほどよし」のプロジェクトにおいて地上システム開発マネージャーを務め、北海道大樹町における人工衛星データ受信用パラボラアンテナと運用管制システムの設置にも関わった。なお、「ほどよし」プロジェクトは人工衛星スタートアップであるアクセルスペースが参加していることでも知られている。

石亀一郎COOは、学生時代に宇宙ビジネスに関するメディアastropreneur.netを運営し、アニメグッズのフリマアプリを運営するセブンバイツのCOOを経験している。今回で2度目のCOOへの挑戦となる。社外取締役の戶塚敏夫氏は無線機メーカーのエーオーアール取締役専務だ。エーオーアールはインフォステラのシステムに必要となるユニバーサル無線機の開発も手がけている。

創業メンバー以外に、顧問として超小型人工衛星の第一人者である東京大学の中須賀真一 教授(前述の「ほどよし」プロジェクトの中心人物でもある)と、元ヤフーCTOで現在フリークアウト執行役員の明石信之氏が名前を連ねている。

アドテク、Web、IoTの技術を投入

ところで、今回のシードラウンドで筆頭に挙がっている投資家はアドテクノロジーを手がけるフリークアウトである。前出のフリークアウト執行役員の明石氏はインフォステラに対してエンジニアリング面での支援を行っているとのことだ。

ここでは取材内容から想像できる部分を記すに留めるが、アドテクノロジーと衛星通信との関係は、どうやらあるようだ。アドテクノロジー分野では、ユーザーが広告を閲覧する機会(インプレッション)と広告主のニーズとをマッチングする仕組みがビジネス価値の源泉となっている。一方、インフォステラのビジネスでは、人工衛星が地上局と通信できる通信機会(パス)という資源と、人工衛星を運用するユーザーとのマッチングがビジネスの根幹となる。この部分で、Webやアドテクノロジーで培った技術的なノウハウが役に立つ──らしい。

インフォステラでは、「今回のシード投資をテコにエンジニアの求人を活性化させたい」(石亀氏)と話している。同社が作り上げているのは、人工衛星用のパラボラアンテナと接続した通信機から取り出したデジタルデータをリアルタイムに処理し、さらにクラウドサービスに吸い上げて処理する仕組みである。いわゆるエッジコンピューティングやAWSのIoT向けの機能群などの最新技術を投入する必要があるとのことだ。

宇宙ビジネスに取り組む起業家が活躍し、人工衛星打ち上げが増え続けていることから、人工衛星向けアンテナシェアリングサービスの必要性も増していく。同社のチャレンジに期待したい。

ベゾスのBlue Origin、ロケットからの乗員脱出テストに成功―ブースターも5回目の垂直着陸

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今日(米国時間10/5)のBlue Originの飛行テストは成功したと同時に非常にユニークなものになった。今回ジェフ・ベゾスの宇宙企業では乗員安全確保システム(打ち上げ時にロケットに異常があった場合、乗員を安全に退避させる)を実験し、乗員カプセルは正常に回収された。この際、New Shepardロケット自体も(予定外だったが)安全な垂直着陸に成功した。

Blue Originではこのテストで打ち上げロケット本体を無事に回収できる可能性は低いとみており、事前にそのことを強調していた。ベゾスはメール中で「今回の乗員カプセル回収テストではブースターはすでに飛行中であり、条件は極めて厳しいのでブースターはおそらく破壊されるだろう」と述べていた。〔ビデオでは1:06:16にブースターのエンジンに点火〕

このテストでブースターは破壊されるだろう。ブースターはフライト中の乗員カプセルの脱出に耐えるようには設計されていない。

ともかく今回の実験の目的はクルーカプセルを飛行中のブースターから脱出させ、安全に着陸させることだった。ブースター自体の回収は目的に入っていなかった。しかしビデオで見られるとおり、ブースターも垂直着陸に成功し、New Shepardシステムの堅牢性を示す結果となった。このブースターにとっては今回が5回目の垂直着陸成功だった。またこれが最後の飛行となるようだ。ベゾスはこう述べている。

もしブースターも無事に生き残るようであれば、われわれは功績を讃えて引退パーティーをを開催し、ブースターは博物館に展示したい。

今回の実験はもちろん無人で行われた。打ち上げ途中で飛行継続できない異常が発生するという極限的な場合を想定した実験であり、そのような場合のシステムの挙動の情報を収集し、分析することが第一の目的だった。Blue Originが脱出システムを作動させるとロケットモーターによってカプセルはブースターから分離した。分離が行われるのは飛行中の空力的な圧力が最大になる地点が選ばれた。

この地点はシステムが音速を超える瞬間であり、Max Qと呼ばれ、カプセルに最大の力がかかる困難な地点と考えられている。今回のMax Qは高度1万6000フィート(4.9km)だった。

35分の遅れの後、東部時間午前11時35分にNew Shepardはウェストテキサス打ち上げ基地から発射された。打ち上げ後45秒で固体ロケットが2秒間噴射され、クルーカプセルをブースターから切り離した。〔ビデオでは1:07:03で脱出ロケット点火〕

Blue Origin escape system activated / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originの乗員脱出システムが作動 / Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

分離成功後、乗員カプセルは通常の手順どおり、姿勢安定用のドローグ・パラシュート、続いて減速用のメイン・パラシュートを開いた。カプセルはリング状のフィンによって姿勢を制御しながら下降し、最後にエンジンを逆噴射して時速3マイル程度で静かにタッチダウンした。

Blue Origin crew capsule touching down in West Texas / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originのクルーカプセルがウェストテキサス打ち上げ施設付近にタッチダウン/ Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

クルーカプセルのタッチダウンから3ほどでブースターも安定した姿勢で垂直着陸に成功した。このブースターがこれで連続5回、垂直着陸に成功しているというのはNew Shepardの安全性を考える上で印象的だ。

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Blue Originが打ち上げ時の乗員脱出のテストをするのはこれが初めてではない。2012年10月には同じクルーカプセルを使って静止状態からの脱出実験を実施している。ただしこのときは実物のブースターは用いられていない〔下のビデオ〕。

今回の脱出テストで用いられたクルーカプセルは2012年のテストで用いられたカプセルそのものだ。発射台に静止している状態からの脱出と異なり、加速して飛行中のブースターからのカプセル切り離しは考えられる中でもっとも過酷な条件でのテストだった。

こうしたテストは有人飛行のために必須の準備だ。ベゾスは早ければ2018年にも宇宙高度に乗客を送れると述べている

まだ有人での飛行ミッションは行われていないものの、ベゾスとBlue Originはさらなる未来を計画中だ。先月、Blue Originは衛星打ち上げ能力を備えた新しい大型ロケット、New Glennの開発計画を公式発表した

New Shepardと同様、New Glennのブースターも垂直着陸による再利用を目指している。今回のテストの成功をみるかぎり、Blue Originのブースター再利用による衛星打ち上げ計画は着々と前進しているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

民間企業の宇宙レース激化―ボーイングCEOが「SpaceXより先に火星に着く」と宣言

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競争は進歩の源だ。ボーイングのCEO、Dennis Muilenburgが人間を火星に送り込むレースでSpaceXに勝つことを宣言したのは素晴らしい。

Bloombergによれば、Muilenburgば火曜日、シカゴで開催されたカンファレンスで「火星に足を踏み入れる最初の人類はボーイングのロケットを使っているものと確信している」と語った。

ボーイングはスペース・ローンチ・システム(Space Launch System)と呼ばれる大重量打ち上げシステムを開発中だ。これはTechCrunchでも紹介したSpacecXの惑星間輸送システム(Interplanetary Transport System)とほぼ同様の目標を狙っている。先週開催された宇宙開発に関するコンベンションでSpaceXのCEO、イーロン・マスクはキーノート講演を行い、この惑星間システムについて詳しく説明した。

ボーイングとSpaceXはすでにNASAからの衛星打ち上げの契約獲得でビジネス的に激しい競争関係にある。ボーイングがSpaceXに対抗して有人火星探査計画に力を入れているのはこうした現実のライバル関係を反映したものだろう。ボーイングでは早ければ2030年代後半に火星の有人探査を実現する計画であり、これにはNASAの資金援助を受けて600億ドルの開発費用がかかるとみている。

これに対してマスクの計画によれば、火星の植民が実現する時代にはSpaceXの1人あたり費用は20万ドルという実現可能な額になっているという。火星プロジェクトの資金は企業、公的組織から広く集められる(マスク自身も投資する)としている。

単なるマーケティング上の効果を狙った発言ではなく、ボーイングが実際にSpaceXと競争する計画であるなら、こうした競争関係はプロジェクトを前進させる効果が期待できよう。その結果、火星有人探査が単なる夢から現実の目的になっていくことを期待したい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

炎と栄光、そして科学のために逝った周回機Rosettaと着陸船Philae、冥福を祈る

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しばらく、Rosetta(ロゼッタ)について比喩的に考えてみよう。それは、初めて彗星に着陸した画期的な宇宙船だ。この軌道周回機はその最後の仕事を、今朝(米国時間9/30)早く実行し、最後まで制御されている状態で彗星の表面に激突して、自分を破壊した。そして、その最後の1分間に収集したデータが、きわめて貴重だった。

硬着陸で探査機のPhilae(フィラエ)を失ったが、リスクに満ちた、魅惑的な、そして大成功のミッションだった。彗星とのランデブーは、難しいけどすごいことだ。そして今日は、European Space Agency(欧州宇宙機関)のチームの12年に及ぶ労苦の、終わりだ。

多くのミッションがハードウェアの悲運で終わるが、その点ではRosettaも最初から、そのほかの多くの探測機や軌道周回機と変わらぬものとして計画された。今回のRosettaの場合は、最後の仕事が彗星の希薄な大気からガスと粉塵を採集することと、その表面の数百フィート上空から高精細の画像を撮ることだった(それまでは19キロ上空を軌道周回していた)。

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最初の(記事タイトルの下の)写真が、最後の画像だ。そして上の画像は、探査機が永眠したあたりのモザイクだ。下のサウンドは、宇宙船オペレーションマネージャーのSylvain Lodiotによる、信号消滅の公式発表だ。

ESAのディレクターAlvaro Giménezが、ミッションの終了を告げるブログ記事でこう述べている: “数十年にわたる大規模な国際的努力によりわれわれは、世界的な科学研究所が彗星の経年進化を研究するという、そのほかの彗星追跡事業が試みなかったミッションを達成できた”。

“このミッションは人びとの一生のキャリアとなり、得られたデータは今後の数世代に及ぶ科学者たちを、向こう数十年にわたって多忙にするだろう”。

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記事を書いてる当人が感傷的になってきたので、このへんにしよう。次のミッションもあるからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

国連が2021年に宇宙へ行く、民間企業をスポンサーにして

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United Nations Office for Outer Space Affairs(国際連合宇宙局, UNOOSA)は、50年代の後期からいろいろ姿を変えつつ*存続しているが、1962年には完全に公式の機構となり、当時新設されたDepartment of Political and Security Council Affairs(政治安全保障局)の傘下となった。そのときは同局が専門家グループとして支えるCommittee on the Peaceful Uses of Outer Space(国連宇宙空間平和利用委員会)というすばらしい名前の委員会の、初会合も行われた。〔*: もっとややこしい話がWikipediaにある。〕

でも、プラネタリウムを楽しんだことのある人にはお分かりのように、宇宙について語ることと、実際に宇宙に行くことは、二つのまったく異なる事柄だ、本当は。

しかし計画通りに事が進めば、私企業化された宇宙運送企業Sierra Nevada Corporation(SNC)との契約により、委員会は2021年についに、後者を実現する。SNC社は今、NASAとの長期にわたるさまざまな契約を数多く抱えているが、UNOOSAとのパートナーシップにより、宇宙計画のない国連加盟国を支援して、5年後には彼らが地球の頑固な束縛を逃れられるようにする。

国連加盟国は、その地球低軌道ミッションでやりたいことを届ける。乗員は2週間、準無重力環境で訓練を受ける。

UNOOSAのディレクターSimonetta Di Pippoは曰く:

UNOOSAの主な責任のひとつは、宇宙の平和利用における国際協力を推進することである。パートナーSNCとの協力でそのための方法の一つが、その責任を達成することを誇りに思う。それは準無重力における全ミッションを国連加盟国に捧げるが、とりわけ、単独の宇宙計画を支えるだけのインフラストラクチャや財政的支援を持たない多くの国に捧げられるものである。

選ばれた参加国は、荷重の大きさに応じて、ミッションの費用の一部をそのときの為替レートで国連に払わなければならない。SNCは、2021年のミッションではスポンサー役を申し出ている。

出典: Space

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ボイジャーのゴールデンレコード、Kickstarterに登場

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ボイジャーのゴールデンレコード(Golden Record)は人類のために作られたものではない。エイリアンのために作られたものだ。このエイリアン用に作られたものを、地球人類向けに提供しようとするプロジェクトがKickstarterに誕生した。

ながらくBoing Boingのエディターを務めるDavid Pescovitzが、Amoeba RecordsのマネージャーであるTimothy Dalyや、グラフィックデザイナーのLawrence Azerrad(ザ・ビーチ・ボーイズやクリントンファウンデーションなどの仕事をしている)と組んで、打ち上げ40周年を控えたボイジャーに搭載されたゴールデンレコードを人類に提供しようとするクラウドファンディングキャンペーンを立ち上げたのだ。

キャンペーンはスタートしたばかりだが、既に目標額を大きく上回っている。もちろん、レコードや、その他付属品は宇宙に送り出されたものをそのまま安売りしているというものではない。たったひとつの本物の、デラックスな復刻版を98ドルで入手できるとされているのだ。

ボイジャーに積まれたゴールデンレコードは、カール・セーガンの率いるNASAチームが、地球がどのような星であるかを、遠く離れた異星人に伝えるために製作したものだ。レコードには自然界の音、55ヵ国語による挨拶、モールス信号によるメッセージ、そしてバッハからチャック・ベリーまで広くにわたる音楽が録音されている。チャック・ベリーの曲を含めることについては、1977年当時、大いに議論になったものだった。

カーター大統領の言葉などもおさめられている。

This is a present from a small, distant world, a token of our sounds, our science, our images, our music, our thoughts and our feelings. We are attempting to survive our time so we may live into yours.

(訳注:訳文はWikipediaの「ボイジャーのゴールデンレコード」にあります)。

ボイジャー1号は2013年の時点で星間空間に到達している。Kickstarterのキャンペーンページには次のように記されている。「ボイジャー1号は4万年間後に、きりん座から1.6光年の場所に到達します。ボイジャー2号もその後を追っています」と記されている。その頃にはきっと「ジョニー・B.グッド」は純然たる名曲として受け入れられていることだろう。

キャンペーンプロダクトには、レコードに収録されたイメージ画像をプリントしたハードカバー本も同梱されている。

via Boing Boing

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(翻訳:Maeda, H