【コラム】ウクライナの暗号資産法は正しい方向への第一歩である

現地時間9月8日にウクライナ議会が可決した法案にVolodymyr Zelensky(ウォロディミル・ゼレンスキー)大統領が署名することで、暗号資産がまもなくウクライナで合法的に使用されるようになる見通しだ。

この法律は仮想資産の所有者や取引のためのプラットフォームを詐欺から保護するためのものであり、ウクライナが完全デジタル化経済への移行に向け、ビットコインを法定通貨とみなす準備を進めているという噂が飛び交っている。この法律からウクライナがどのように今後暗号資産市場を規制しようとしているかを判断することができる。またこの法律によりウクライナでビットコイン事業を行うことが正式に許可される。

2009年にBitcoin(ビットコイン)が作られた当初、暗号資産は取るに足らないものという扱いであり、ほとんど注目されることのないテクノロジーであったが、現在では富を生み出す金融商品として人々を刺激し、グルーバル経済の変革に大きな役割を担うまでに成長した。暗号資産経済は次なる1兆ドル産業と目されているが、そのイノベーションは始まったばかりの段階である。

ウクライナ政府、またはそれ以上にウクライナ国民はこのことを理解しており、この法律により、経済成長に参加するために必要な措置を講じられるよう社会の進歩を促している。ウクライナの代表者たちは、エルサルバドルがビットコインを法定通貨にした後、その導入の詳細を知るため同国の担当官に会いに赴いたとされている

暗号資産はデジタルワールド内でのみ取引される通貨の形態で、本来政府からは完全に切り離された存在だ。ユーザーはブロックチェーン(分散型の公的台帳の役割を果たすリストのことで、記録は増え続け、変更することができない)で取引を監視したり承認したりすることが可能である。オンライン上で公開された台帳があることから、取引に銀行などの金融機関の介在を必要としない。

暗号資産経済が活況を呈しているのはウクライナ国民の民意を反映したもので、暗号資産を支持する法律の起草は、この産業にとって重要なステップである。暗号資産はウクライナ国内で人気があり、支払いプラットフォームTriple Aによると、総人口の12.7%にあたる550万人強が現在何らかの形で暗号資産を所持していると推定されている。  ブロックチェーンデータ会社Chainalysisは、2020年9月にウクライナを世界で最も暗号資産の受け入れに積極的な国の1つとするランク付け を行った。

ウクライナでは、電力の半分近くが15基の原子炉によって発電されているのだが、暗号資産のマイニングスペースはウクライナのエネルギー業界に興味深い影響を及ぼしている。ウクライナのエネルギー相は「暗号資産マイニングは余剰エネルギーを消費するための現代的で効率のよい方法だ」と述べた。エネルギー相はこれまでエネルギー浪費の問題を解決し、効率を改善するための革新的な解決策を探し求めてきた。

ビットコインマイニング業界は、余剰電力を引き取り、それを暗号資産マイニングに使用することで原子炉からの余剰電力を利用する理想的なパートナーになっている。これは、エネルギー生産要件を維持しながら、ウクライナの原子力発電所への新しい投資資金を引き付けるのに役立つはずだ。

これにより、ウクライナ政府はマイニングネットワーク全体の強力なサポートノードとなっている。このことは、クリーンで持続可能なビットコインマイニングを提供し、同時にエネルギー部門の非効率性に対し自由市場的解決策を提供するのに役立つだろう。

経済的影響は非常に大きい。ウクライナの原子力発電所の運営にあたっている国営企業NAEC Energoatomは、2020年、1億7000万米ドル(約189億円)を超える損失を計上した。これがウクライナのエネルギー部門がブラックホールから浮上する契機となった。Energoatomが「電力をBitfuryの暗号マイニング部門のマイニングオペレーターに供給する契約に合意した」ことにより、そのプロジェクトがすでに始まっている。ウクライナ政府はビットコインをマイニングし、それを手元に保管しておくことも、マイニングされたビットコインを市民の口座に振り込むことも、または国民総生産を高めるためにビットコインを売却することもできる。

さらに、ウクライナは2019年7月から2020年6月までに80億ドル以上(約8886億円)の暗号資産を受信した。ウクライナはWeld Money、Hacken、Propyなど、暗号資産スタートアップの発祥地であり、また堅牢な暗号資産やブロックチェーン業界も有している。ウクライナには暗号資産分野にすでに100を優に超す数の企業が存在しているのだ。

ウクライナは2020年ビットコインへの投資から約4億ドル(約444億円)を稼ぎ、ウクライナの暗号資産投資家は世界でも有数の金持ちになっている。ウクライナの暗号資産は、市民の間だけではなく、公務員や政府の広い範囲で流行している。2021年初頭、ウクライナの公務員全体で26億ドル(約2888億円)を超えるビットコインを所有していると公表し、その報告書の中で「これまでで最大数の暗号資産所有者が市議会、国防省、国家警察で働いている」と述べた。

世界銀行によると、ウクライナのGDPの10%近くがウクライナへ送られた個人送金によるものだ。多くのウクライナ人は他国へ移民した後もウクライナに残してきた家族に送金するのだが、従来の銀行を通した送金に法外な料金を支払い続けてきた。しかし暗号資産がすべてを変えた。暗号資産により、ウクライナの人々は銀行や金融サービス業者が介在しない形で迅速で安く国際送金することが可能になったのだ。

ビットコイン以前、銀行や金融サービス業者はお金を変換し、受取人の国にそれを送金し、さらに現地通貨に変換し直すということをしていた。しかし、世界銀行の調査によると、平均の送金料は送金額の約6.38%にのぼるという。

この送金料よりさらに悪いのが、ウクライナ国民は深刻な汚職のため銀行システムをほとんど信用していないことである。いくつかの大手銀行が崩壊し、ウクライナ政府は90以上の銀行が破産したことを宣言した。また多くの人が打ち続く銀行スキャンダルによりお金を失った。2016年、ウクライナの銀行部門の20%を占めるPrivatBankの元帳から50億ドル以上(約5554億ドル)が紛失したことが明らかになり、政府が介入してPrivatBankを国営化する事態となった。銀行部門は機能しておらず、腐敗した財閥に支配されていると多くの人が信じている。

2014年にロシアがウクライナに侵攻して以降、ウクライナ経済は急激に落ち込み、ウクライナの通貨であるフリヴニャのドルに対する価値は70%下落した。これが国民の貯金能力や購買能力をさらに弱体化させた。蓄えが少額の人の場合、家にお金を隠す事が多く、敢えて銀行に預け入れることはない。

ソ連崩壊以後ウクライナの銀行業界は、不埒な習慣が横行するようになる以前でさえ、西側諸国と同じようには発展することができなかった。送金プロセスはインフラの不備のため問題が多く、そのためバウチャーや両替といった金融商品を通し悪辣な方法が開発され、大規模なマネーロンダリングや胡乱な商習慣の素地となった。

政府、企業、銀行部門に深く根付いた腐敗、悪徳政治家に摂取された不法な資産、ウクライナのいくつかの著名な銀行の崩壊のため、分散化された性質を持ったビットコインが国民に受け入れられたのはうなづける。ウクライナ人は自らの資産を守るために暗号資産を受け入れ、若く革新的な世代の人々は将来に熱心に目を向け、崩壊したスキャンダルにまみれたシステムとおさらばしようとしている。ウクライナ人が変化を望む気持ちは大きく、彼らが暗号資産に寄せる期待は大きい。

暗号資産の受容率は高まるばかりであり、政府がサポートする枠組みにより、この領域で成長する企業が増え、国家に税金を納め、さらなるイノベーションを促進することが可能になるだろう。暗号資産の受容率が高いという事実や、国が推進する暗号資産に有利な法律の存在を通し、ウクライナは暗号資産の世界的中心地の1つになるチャンスを手にしているのであり、この機会を無駄にしてはならないのである。

編集部注:本稿の執筆者David Kirichenko(デビッド・キリチェンコ)氏はEuromaidan Pressの編集者。サイバースペース、デジタル通貨、経済、テクノロジーについて執筆している。

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:David Kirichenko、翻訳:Dragonfly)

DeFiにおけるプライバシー確保のために、Sienna Networkが自動マーケットメーカーSiennaSwapを導入

DeFi(分散型金融)に未来があるならば、プライバシーを重視した金融ブロックチェーンプロジェクトの台頭は、非常に重要な意味を持つことになるだろう。人々は「通常の」金融生活においてプライバシーを期待するようになっている。ブロックチェーンや暗号資産の世界でも、それを期待するようになるのは当然だ。

そんな動きが始まっている気配を、我々が感じたのは2021年5月のこと。プライバシーを重視したスマートコントラクトプラットフォームであるSecret Network(シークレットネットワーク)ブロックチェーンが、Arrington Capital(アーリントン・キャピタル)とBlocktower Capital(ブロックタワー・キャピタル)から投資を受けたのだ。さらに同時期に、分散型金融企業のSienna Network(シエナ・ネットワーク)が、機関投資家や一般の支援者から1120万ドル(約12億5000万円)を調達したことも明らかになった。

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Siennaが前述のSecret Network上に構築されていることは偶然ではない。そして米国時間10月7日、Siennaはそのプラットフォーム上で動作する自動マーケットメーカー(Automated Market Maker)の「SiennaSwap(シエナスワップ)」を導入した。これによって、Siennaトークンの保有者は、トークンをプライベートな等価物に変換し、それを交換したり、流動性プールに預け入れたりして、利回りを得ることができるようになった。

これは、ユーザーが何をしているかを他人に見られてしまう取引所のプライバシーの欠如や、現在の暗号取引の重大な弱点である「フロントランニング」によるさや取りを、ユーザーが回避できるようになるということを意味する。

このプライバシーという点においては、Uniswap(ユニスワップ)やPancakeSwap(パンケーキスワップ)などのDEX(分散型取引所)も、暗号エコシステム上で効果を発揮している。しかし、SiennaSwapが差別化を謳っているのは、そのプライバシー保護機能で、フロントランニングの問題に対応していると、Siennaでは主張している。同社はCøsmos Ecosystemの一員でもあり、そこではほぼ毎日のように多くの新しいプロジェクトが立ち上がっており、多様性がさらに高まっている。

SiennaによるSiennaSwapの発表は、5月に行われた1120万ドルのトークンの非公開および公開セールに続くものだ。非公開セールでは、Magnus NGC(マグナスNGC)、Inclusion Capital(インクルージョン・キャピタル)、Lotus Capital(ロータス・キャピタル)、FBG、SkyVision Capital(スカイビジョン・キャピタル)などの投資家から1000万ドル(約11億2000万円)を調達した。

Sienna Networkが、カーボンフレンドリーなPoS(Proof-of-Stake、プルーフ・オブ・ステーク)ブロックチェーンであり、マイニングに大量の電力を必要とするビットコインのようなPOW(Proof-Of-Work、プルーフ・オブ・ワーク)ブロックチェーンよりも、はるかに少ないエネルギーしか必要としないことも、おそらく注目に値するだろう。

Secret Foundation(シークレット・ファンデーション)の創設者であるTor Bair(トー・ベア)氏は次のように述べている。「Siennaの発表は、SecretのDeFiエコシステムにとっても、DeFi全般にとっても、大きな転換点となります。デザインされたプライバシーをユーザーに提供することは、これらの新しい金融プラットフォームの安全性と拡張性を確保するために不可欠であり、つまりこれは、Siennaが新しい爆発的な成長を生み出す素地を作っていることを意味します」。

画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ファンタジー「スタートアップ」ゲームVisionrareは実際の企業のフェイクNFT株を購入し最高のパフォーマンスを誇るポートフォリオ構築を競う

所有権のミーム化と、未公開スタートアップのバリエーション高騰を背景に、ベンチャーキャピタルの元アソシエイトが「ファンタジースタートアップ投資」のための暗号資産(仮想通貨)マーケットプレイスを創設した。ユーザーは、リアルの資金で、リアルのスタートアップの、フェイクの株式を購入する。株式はもちろんNFT(非代替性トークン)の形態だ。

【更新】「Visionrare」はオープンベータ1日で有料マーケットプレイスを閉鎖してしまった

米国時間10月6日からクローズドベータで始まったこのゲームは「Visionrare」と呼ばれる。創設者のJacob Claerhout(ジェイコブ・クラーホート)氏とBoris Gordts(ボリス・ゴーツ)氏は、投資のゲーム化を極限まで進め、ファンタジースポーツリーグの魅力を真似て、ユーザーが成功すると思うスタートアップに賭けて友人と競争する手段を提供することを考えている。ユーザーは、数百種類のスタートアップ企業のNFT株を落札し、最高のパフォーマンスを出すフェイクのポートフォリオ構築を競う。

当初、Visionrareのデータベースに登録される企業は、Y Combinatorの最近のクラスを出たスタートアップが中心だ。Visionrareは、同社が販売するフェイクの株式の母体であるスタートアップの名前やロゴを使用する許可を得るどころか、ほとんどの場合、打診してさえいない。だが創業者らは、このプラットフォームのゲーム性により、対象となった企業が停止要求書の提出を思いとどまることを期待している。スタートアップは、自社のプロフィールが正しいことを確認した上でNFT株のうち大きな割合を受け取り、好きなように分配することもできるし、Visionrareに連絡してプロフィールを削除してもらうこともできる。もちろん、無視することもできる。

このゲームは、ベンチャーキャピタルの複雑さを入札形式により単純化することを目的としており、スタートアップの実際の資金調達サイクルや現実世界での業績と連動している。Visionrareは、資金調達ラウンドごとに連番になった100単位の「VisionShares」を入札にかけ、各スタートアップにつき一度に1単位ずつ、5ドル(約550円)から入札できる。ユーザーの保有株式が一定の数(最低5株)に達すると、リーグに参加できる。そこで他のユーザーとファンタジーのような体験を通じて競い合い、順位表を上下しながら、自分のポートフォリオのパフォーマンスに基づくVisionSharesの価値の合計を競う。

Visionrareのマーケットプレイス(画像クレジット:Visionrare)

オープンベータに移行したVisionrareには、セカンダリーマーケットの構築や、OpenSeaなどの外部プラットフォームにおけるVisionSharesの販売サポートなど、いくつかの重要な課題が残っている。ユーザーは現在、クレジットカードでVisionSharesを購入しているが、チームは暗号資産による支払いを導入することも検討している。

このゲームの主な問題は、マンデーナイトフットボールのようなものとの相関関係が少ないことだ。そのため、ファンタジーリーグの規模拡大は難しいかもしれない。つまり、業績に関する公開情報がないのだ。対象が上場企業であれば、ゲームは株価や、四半期決算に載るような一貫した指標のように具体的な何かを中心に構成することができるが、スタートアップ企業は情報公開に非常に慎重だ。

VisionrareはTracxnからスタートアップの業績データを入手し、それをもとに毎週、独自のバリエーションのような「Visionrareスコア」をはじき出す。このスコアは、リーグの進捗や勝者を追跡するための基礎となるものだが、無形資産がバリュエーションを押し上げることが多い市場で、プレスリリースへの言及、ソーシャルメディアのフォロワー数、アプリのダウンロード数といった業界横断的で一貫性のあるデータに過度に重きを置けば、未公開市場でのバリエーションとスコアの間に著しい乖離が生じることは明らかだ。パリに拠点を置く投資会社Partechで、アーリーステージの投資に携わっていたクラーホート氏は「これは正確な科学ではありません」としながらも、時間をかけてより多くのデータストリームにアクセスし、スコアリングアルゴリズムのパフォーマンスを向上させていきたいと考えている。

さらに大きな課題は、最もお金を持っているユーザーがリーグ戦で常勝しないようにすることかもしれない。現実の世界と同じだ。リーグ戦の勝者は、ある期間中にVisionrareのスコアポイントを最も多く獲得したポートフォリオによって決まる。だが、ベンチャー企業のサクセスストーリーは長い時間をかけて作られるため、初期のチームに長期的に賭けることと、流行のSaaSスタートアップに馬車を繋ぐことには、不均衡があるかもしれない。創業者らは、リーグの仕組みはまだ試行錯誤中であり、Visionrareの規模が大きくなるにつれ、楽しく公平なものになるよう調整していくと述べた。

結局のところ、このプロジェクトは、2人の若い起業家が資金ゼロから立ち上げた初期段階のプロジェクトであり、暗号資産空間と今日のスタートアップの投資エコシステムの両方の馬鹿げた部分を捉えている。だが、Visionrareの創業者らは、このNFTフェイク株式市場が、スタートアップに興味を持つ人々が確信する勝者はどの企業なのかを示す機会を提供し、いつの日か、次の採用候補者を探しているVCにとってシグナルとなることを望んでいる。

「この業界は信用を築くのが本当に難しく、アクセスも資本もない人がたくさんいます」とクラーホート氏はTechCrunchに語った。「もしあなたが会社というものを信じるなら、VisionShareを買ってください」。

画像クレジット:Visionrare

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

ランサムウェアの身代金支払いに関する情報開示を企業に義務付ける米国の新法案

米国で新たに提出された法律案は、ランサムウェアによる身代金の支払いを行った場合、取引から48時間以内に開示することを同国の企業に義務付けるものだ。

Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員とDeborah Ross(デボラ・ロス)下院議員が起草したこの「Ransom Disclosure Act(身代金開示法)」は、(個人ではなく)企業や組織を対象とするもので、要求された暗号資産の金額や種類、支払った金額など、ランサムウェアの支払いに関するデータを米国土安全保障省に提供することを義務付ける。

この法案は、サイバー犯罪者の活動に対する米国政府の理解を深め、ランサムウェアによる脅威の全体像を把握するために役立てることを目的としている。身代金の支払いは一般的にbitcoin(ビットコイン)で行われるが、セキュリティ専門家によると、脅威アクター(犯行者)はMonero(モネロ)などの「プライバシーコイン(匿名通貨)」を利用する傾向にあり、捜査当局が資金の流れを追跡することを困難にしている。

また、この身代金開示法では、国土安全保障省にも、組織や企業が身代金の支払いを自主的に報告するためのウェブサイト設置を求めるとともに、支払いを行った組織の識別情報を除き、前年中に開示された情報を共有することを要求する。セキュリティ研究者による同様の取り組みはすでに行われている

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ランサムウェアの問題を可視化するクラウドソースの身代金支払い追跡サイト「Ransomwhere」
ランサムウェアが企業に与える莫大な金銭的被害は身代金だけじゃない

ウォーレン上院議員は、ランサムウェアによる攻撃が「急増」していることから、こうした対策が必要だと述べている。2020年、北米でのサイバー攻撃は158%増加しており、世界中の被害者が支払った身代金は3億5000万ドル(約390億円)近くにのぼり、2019年に比べて300%以上増加していることがデータによって示されている。

さらに、最近の調査によれば、身代金の支払い自体はランサムウェア攻撃によって受けた被害の総額のうちわずか20%に過ぎず、企業は生産性の低下や攻撃後の復旧作業によって、はるかに大きな損失を被っていることがわかった。

「サイバー犯罪者を追及するための重要なデータが不足しているのです」と、ウォーレン氏はいう。「私がロス議員と共同で提出した法案は、身代金が支払われる際の情報開示義務を定めるもので、これによってサイバー犯罪者がアメリカの団体からどれだけの資金を吸い上げて犯罪に利用しているかを知ることができ、犯罪者を追跡するために役立ちます」。

米国がランサムウェアを取り締まるために採用する戦術はこれだけではない。

例えば、財務省は2021年9月、暗号資産取引所のSuex(スエックス)に対し、その取引総額の40%以上が悪質な行為に関連していたことが判明したため、身代金の支払いを助長する役割を果たしたとして、初の制裁を科すと発表した。さらに財務省は先日、米国の制裁対象国に拠点を置く脅威アクターへの支払いは禁止されていると、米国企業に警告を出した。

関連記事:米財務省の新たな制裁措置はランサムウェアグループによる現金化の阻止が目的

画像クレジット:Donat Sorokin / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NFTスタートアップのDapper Labsが有名バーチャルインフルエンサーを生み出したBrudを買収

「NBA Top Shot(NBAトップショット)」を開発したNFT(非代替性トークン)スタートアップ企業で、最近75億ドル(約8350億円)以上の評価を受けたDapper Labs(ダッパー・ラブズ)は、米国時間10月4日、興味深い買収を行った。暗号資産関連メディアのDecrypt(デクリプト)によると、Dapper Labsはバーチャルインフルエンサーを手がけるスタートアップ企業Brud(ブラッド)を買収し、32人の従業員全員を雇用するという。

Brudは、デジタルレンダリングされたソーシャルメディアのインフルエンサーキャラクターでよく知られており、特にLil Miquela(リル・ミケーラ)というキャラクターが有名だ。同社が2018年に投資家の注目を集めた際には、追従する他のプレイヤーをいくつか出現させたものの、バーチャルインフルエンサーという分野が爆発的な関心を集めることはなく、長年にわたり非常にニッチな領域に留まっている。Brudが作り出したキャラクターたちは、 Instagram(インスタグラム)上で架空の生活を送ってフォロワーを増やし、同社の評価額は1億2500万ドル(約139億4000万円)に達している。Dapperは買収額を明らかにしていない。

rev rはエンジニアを募集中! DMください

Twitter友達のみなさん、私は今日、BrudがDapper Labsに買収されたと発表できることにとても興奮しています。

私たちは、Flow Blockchain上でDAOによる分散化され、集団で所有するメディアとソーシャルの未来を一緒に作っていきます。

ここで最も適切な質問は、DapperのようなNFTスタートアップが、リル・ミケーラ(現在は単にミケーラ)に何を求めているのかということだ。

まあひと言でいえば「それほど多くは求めていない」ということになるだろうか。Brudの創業者であるTrevor McFedries(トレヴァー・マクフェドリーズ)氏は、暗号資産の世界に深く入り込んでおり、自分が設立した会社の焦点を、DAO(自律分散型組織)による集団的意思決定に移しつつある。Dapperの中心的な関心はそこにあるようだ。マクフェドリーズ氏はすでに、最も人気の高いDAOの1つである「Friends With Benefits(フレンズ・ウィズ・ベネフィッツ)」を共同設立している。DAOは、ユーザーがチームを組んで集団で投資判断を行うために役立つ。暗号資産界の開発者たちが、この分野で大胆なプロジェクトを作り始めたことから、この1年ほどで人気が高まっている。

マクフェドリース氏は、Miquelaの開発は継続するとしながらも、今後はDapper Labs内に新設されるDapper Collectives(ダッパー・コレクティブズ)という部門を率いて、同社の「Flow」(フロー)」ブロックチェーンを活用しながら、DAOをより使いやすく、新世代の暗号ウェブユーザーが利用しやすいものにすることに注力していくという。

画像クレジット:Brud

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

暗号資産と中国:なぜ中国はデジタル人民元を推進しているのか

暗号資産と中国:なぜ中国はデジタル人民元を推進しているのか

画像クレジット: CARLOS DE SOUZA on Unsplash

編集部注:この原稿は、Chainalysis Japanのシニア・ソリューション・アーキテクトを務める重川隼飛(シゲカワ・ハヤト)氏による寄稿である。同氏は、2020年にブロックチェーン分析専門会社であるチェイナリシス(本社:米国)に入社。日本・アジアでの事業拡大に向けた営業活動や顧客サポートの提供とともに、講演やトレーニングを実施するなど、ブロックチェーン分析の知識・ノウハウの普及に従事している。

2020年4月、中国はデジタル人民元の実験を開始し、初めて中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行した政府の1つになりました。デジタル人民元のようなCBDCは、政府が発行するブロックチェーンベース版の国家通貨です。従来の暗号資産の多くと同様、通貨のブロックチェーンがあらゆる取引において永久で不変的な台帳として機能するため、CBDCは、市民の全体的な消費傾向について、より高い透明性を提供します。

中国は国有銀行やWeChat Pay、Alipayといったデジタル決済アプリを通じてデジタル人民元を展開していますが、これらのアプリは中国国内においては、欧米のものよりもはるかに広く利用されています。

現在、デジタル人民元の実証実験が進行中ですが、2022年の北京冬季オリンピックでは、訪中選手にデジタル人民元を発行することが予定されており、政府が新しいCBDCを世界に向けて発表する機会になると、多くの人が指摘しています。2021年7月の時点で、実証実験のユーザーは2000万件以上のデジタル人民元ウォレットを作成し、新しいCBDCで50億ドル(約5554億円)以上の取引を行っています。

特に、米国の経済的なライバルであり権威主義体制をとる現在の中国がCBDCを導入した場合には、国内政策と外交政策の両方に広範な影響を及ぼします。当社は、暗号資産投資会社Primitive Venturesの創業者でアジアの暗号資産市場の専門家でもあるDovey Wan(ドビー・ワン)氏に話を聞き、中国共産党がデジタル人民元で達成したいと考えていることについて尋ねました。Wan氏は重要な目標について説明しました。

その1つは、経済をより細かくコントロールするという、比較的穏やかなものです。現在すべての国で採用されている部分準備銀行制度の下では、中央銀行は金利の改定など、間接的にしか経済に影響を与えることができません。通貨供給がすべてCBDCの形で存在し、すべての取引が1つの中央台帳に記録されている場合、中央銀行は資金の流れをより細かくコントロールできます。「金融政策がプログラム可能になるのです」とWan氏は言います。

「たとえば、政府が株式市場の過熱を抑えたいと考える場合、数行のプログラムを書けば株式市場への資金の流入を阻止することができます」。

さらにWan氏は、現在一般的なモバイル決済アプリよりも、デジタル人民元は高齢者が使いやすいようになっていることを指摘し、CBDCがサードパーティーによる決済の必要性をなくすことで、小売業者にとって取引価格がより安くなる可能性があると述べました。

しかし中国共産党の手にかかれば、政府が所有する集約的な国民の取引台帳が、金融監視のツールになることは容易に想像がつきます。現在の銀行システムの下では、中国国民は金融面でのプライバシーを確保できていませんが、デジタル人民元が導入されれば、政府はいかなる違反行為に対しても、個人や企業を金融システムから排除することができるようになります。中国共産党がこの能力を使うかどうか、あるいはどの程度使うかはわかりませんが、デジタル人民元制度の下では「金融の死刑判決」が下される可能性があるでしょう。

また、デジタル人民元を研究し、2021年1月にこのプロジェクトに関する報告書を発表した、新アメリカ安全保障センター(CNAS)の非常勤シニアフェローであるYaya Fanusie(ヤヤ・ファヌシー)氏にも話を聞きました。Fanusie氏は、デジタル人民元が権威主義の道具になり得ることにはおおむね同意しましたが、中国共産党が持つ、国民のデータをできるだけ多く収集したいという広い願望のなかで、デジタル人民元が果たす役割をより強調しています。「政府がすべての国民の取引記録にアクセスできる集中型データベースは、これまで存在しませんでした」とFanusie氏は言います。

「確かに、中国はモバイル決済アプリにそのデータを要求することができますが、それには時間がかかりますし、時には反発されることもあります」。

またFanusie氏は、デジタル人民元によって生成される金融データを、中国の社会信用システムに組み込まれている他の種類のデータと組み合わせる方法についても説明しました。

「中国共産党は最近、国の制度に基づいた学校に子どもを通わせないモンゴルの家庭をブラックリストに載せるという通達を出しました。デジタル人民元があれば、政府は金融データとそのようなリストを組み合わせることができるのです」。

Fanusie氏は、中国共産党がすでにデジタル人民元を使って政府の腐敗を監視する意向を表明していることに触れました。妥当な目標ではありますが、こうした金融監視機能が一般市民に向けられる可能性があることは容易に想像できます。

デジタル人民元は米ドルの脅威となるか?

中国が米ドルとSWIFT取引システムへの依存度を下げるために、デジタル人民元の国際的な利用を促進するつもりではないかと多くの人が推測しています。実際、国有企業である中国グローバルテレビジョンネットワークが公開したビデオでは、制裁措置を回避し、世界貿易に対する米国の影響力を低下させる方法として、デジタル人民元を推進するという内容のものでした。

暗号資産と中国:なぜ中国はデジタル人民元を推進しているのか

画像クレジット: CGTV

Yaya Fanusie氏に、デジタル人民元を米ドルに対する脅威と見なすかどうかを尋ねました。彼は、中国共産党が中国国外でのデジタル人民元の利用を促進するまでにはしばらく時間がかかると考えており、短期的にはその可能性は低いと述べています。しかし長期的には、デジタル人民元や他の国が将来導入するCBDCが、世界の金融システムにおけるドルの地位を低下させる可能性があると考えています。

「中国は、他の国ともCBDC同士の交換を可能にするような取り決めをするのではないでしょうか。CBDCのアトミックスワップと考えてください」。

このような取り決めの下では、中国の誰かがマレーシアの誰かにデジタル人民元を送ると、その間に自動的に通貨交換が行われ、マレーシアのユーザーは自国の通貨に触れることなく、デジタルマレーシアリンギットを受け取ることができます。このような取引は、SWIFTシステムに依存しません。それが当たり前になれば、米国以外の国の人が米ドルを持つ必要はなくなるでしょう。「これは2022年のリスクではなく、おそらく2032年以降のリスクだと思われます」とFanusie氏は言います。

また長期的には、デジタル人民元は、米国が遅れをとる恐れのある大規模なデータ運用戦争の一環となると、Fanusie氏は見ています。

「これまでのところ、フィンテックに関しては、米国よりも中国の方が革新的であると言われています。ブロックチェーン技術でも同じことが起きた場合、米国経済はデータ駆動型の次のイノベーションの波に乗り遅れるリスクがあります」。

今日、これらのイノベーションが具体的にどのようなものになるかの想像することは難しいですが、CBDCが生成する大量のデータや、政府がそのデータを使って経済をより効率的に管理することを考えると、それらのイノベーションは非常に重要なものになるでしょう。

しかしFanusie氏は、このリスクを軽減するために、米国の政策立案者が単に独自のCBDCを作るべきとは考えていません。また、CBDCプロジェクトを排除すべきではないものの、米国はデジタルドルの先を考え、ブロックチェーン、フィンテック、金融政策のイノベーションを全面的に推進する必要があると考えています。

「米国の連邦準備制度は革新的です。他国の中央銀行とは異なり、米国には100年以上にわたって中央銀行に抵抗してきた特質と歴史的経験があるからです」とFanusie氏は述べています。つまり、イノベーションは他国の事例を参考にするのではなく有機的に展開する必要があると考えているのです。

Fanusie氏は、そのようなイノベーションを促進する方法として、米国が大学と提携して、ブロックチェーンプロジェクトを開発するためのサンドボックスを作ることを提案しています。

「そうやって米国はインターネットの発展をリードしてきたのです。大学に対して、軍が使用できるコンピュータネットワークシステムを作るようにという指示がありました。このインフラは、その後より広範に民間で活用され、ビジネス革新をもたらしました」。

1つはっきりしているのは、中国はデジタル人民元を開発して、当面は国内で使用し、将来的には国際的に使用しようと意図していることです。このプロジェクトの短期的な目標は、金融政策の改善と中国国民の金融監視ですが、長期的には他のCBDCとともにデジタル人民元を普及させることであり、それは世界の準備通貨である米ドルの地位を危うくする可能性があります。このプロジェクトや類似のデジタルドルの立ち上げに対する米国のいかなる対応においても、金融データの問題を考慮し、国民のプライバシーを尊重しつつ、より強い経済を構築し、経済競争における国の地位を維持するために、どのようにデータを利用できるかを検討する必要があります。

  • 中国は暗号資産の最大市場の1つであり続ける
    ・2021年1月以降、中国のユーザーが管理していると推定されるアドレスには、米国に次ぐ1億5000万ドル(約167億円)以上の暗号資産が送られています
  • 暗号資産を使用した犯罪における中国の役割(下記に米英の比較表を添付)
    ・2019年4月から2021年6月の間に、中国のアドレスは、詐欺やダークネットマーケット操作などの不正行為に関連するアドレスに22億ドル(約2444億円)以上の暗号資産を送信し、20億ドル(約2223億円)以上を受信しました
    ・しかし、不正なアドレスとの取引額は、金額面でも他国との比較でも、調査期間中に大幅に減少しました

中国における暗号資産業界とユーザーベースは、世界で最も活発なマーケットの1つです。2021年1月以降、中国のユーザーが管理していると推定されるアドレスには、米国に次ぐ1億5000万ドル(約167億円)以上の暗号資産が送られています。

暗号資産と中国:なぜ中国はデジタル人民元を推進しているのか

画像クレジット: Chainalysis

また、中国はこれまでも暗号資産のマイニングを支配してきました。中国を拠点とするマイニング事業者が、ビットコイン(Bitcoin)の全世界のハッシュレート(ビットコインのマイニングに使われるコンピューティングパワーの大きさを示す指標)の65%を支配していたこともあり、中国やアジア全体にサービスを展開する暗号資産サービスの流動性が高まる一方で、中国共産党がこの支配力を利用してビットコインネットワークに悪影響を及ぼすことも懸念されています。また、過去の取引データによると、中国の一部の暗号資産事業者、特にOTCブローカーが、暗号資産を使った犯罪に関与している人々のマネーロンダリングを促進する上で、大きな役割を果たしていることが示唆されています。

暗号資産を使用した犯罪における中国の役割

暗号資産エコシステム全体にとって重要な部分であったのと同様、中国はこれまでも暗号資産に関連する犯罪において大きな役割を担っていました。2019年4月から2021年6月の間に、中国のアドレスは、詐欺やダークネットマーケット操作などの不正行為に関連するアドレスに22億ドル(約2444億円)以上の暗号資産を送信し、20億ドル(約2223億円)以上を受信しました。

暗号資産と中国:なぜ中国はデジタル人民元を推進しているのか

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注目すべきは、中国の不正アドレスとの取引額が、金額面でも他国との比較でも、調査期間中に大幅に減少していることです。その減少の原因の多くは、2019年に発生したプラストークン詐欺のような大規模な投資詐欺がなかったことにあります。この詐欺は主にアジア全域のユーザーを対象としており、収益の大部分が中国のサービスを通じてロンダリングされていました。中国は依然として不正取引額で上位の国の1つですが、かつては他の国に大差をつけていたことから、同国における暗号資産関連の犯罪は減少していると考えられます。

中国における不正な資金移動の大半は、暗号資産詐欺に関連しています。取引額の点で、暗号資産関連の犯罪のなかで圧倒的に多いのが詐欺であることを考えると当然ですが、ダークネットマーケットや盗まれた資金の移動も役割を担っています。

暗号資産取引所Coinbaseの口座への給与振込が可能に、まずは米国で展開

暗号資産取引所のCoinbase(コインベース)はいくつかの新機能を発表した。同社は米ドルをさまざまな暗号資産に変えられる取引サービスでよく知られているが、ユーザーがこれまで以上に多くの金融サービスで同プラットフォームを活用できるようにするために消費者サービスを拡大する。

まず、間もなく米国で口座振替の機能を立ち上げる。この機能ではユーザーは支払われる給与の一部をCoinbaseに預け入れることができる。Coinbaseアプリのユーザーは現在給与を支払っている会社あるいは雇用主をアプリで見つけて、そこから給与の分配を更新できる。最も積極的なユーザーは給与全額をCoinbaseの口座に入れることを選ぶのではないだろうか。

Coinbaseの口座に入金されると、ユーザーはCoinbaseに米ドルをどのように扱わせるかを決められる。単に全額を米ドルのままにしておくこともできるし、全額を暗号資産に変えることもできる。

ユーザーはCoinbaseで利用できる暗号資産から選べる。この機能は、もしあなたがいちいち考える必要もない繰り返しの購入を設定したい場合に特に便利だ。

口座振替は、CoinbaseがMarqetaの手を借りて、Apple PayとGoogle Payで使える自前のVisa(ビザ)デビットカードを提供していることを考えると理に適っている。つまり、Coinbase口座での入出金ができることになる。

Coinbaseアプリから、ユーザーはカード決済のためのソースウォレットを選ぶことができる。カードを使うたびに、Coinbaseがユーザーの暗号資産を米ドルに2.49%の決済手数料で替える。

カード決済ではまたリワードも受けられる。現在、リワードにはDAI、ETH、DOGE、BTCでの1%還元、GRT、XLM、AMP、RLYでの4%還元がある。なので決済手数料でお金を使い、リワードで少し稼げる。

ユーザーはまた直接米ドルを使うこともできるようになっている。その場合、カード決済での手数料は発生しない。CoinbaseはここしばらくCoinbase Cardをテストしていて、2021年10月から誰でも使えるようになる見込みだ。

Coinbaseはすでに米国の何百万人という人にとって重要な金融アプリだ。そうした顧客を抱える同社が使用を増やすために新しいサービスを追加するのは何ら不思議ではない。Coinbaseはモバイルアプリに新たに「アセット」「取引」「支払い」「あなたのために」の4つのタブを加える。そしておそらく一部のユーザーはCoinbaseのアプリをこれまでよりも少し頻繁に使うことになり、銀行アプリの使用が少し減ることになる。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTを使った新プロジェクト、まだルールも存在しないが価値を生み出す「Loot」に熱中するのか?

米国時間8月27日、Dom Hofmann(ドム・ホフマン)はNFTというレンズを通してゲームを見たり、ゲームを作成したりする新たなプロジェクトの1つ、Loot(ルート)の立ち上げについてツイートした。

「NFT」「ガス代」「ミンティング」という言葉が聞き慣れないなら、手短に説明する。このプロジェクトは、ユーザーがお金を出して、暗号資産や一般的には絵(または懐疑論者が喜んで使うJPEG)など他のデジタル収集品の保存に使用しているものと同じウォレット(Rainbowなどのアプリ)に保存できる、ユニークなアイテムリストを作成するものである。

もう一度いう。ユニークなアイテムリストである。芸術作品や、品質比較のための統計、そのような統計の情報源となるゲームルールなどではない。

人々はそういったユニークなリストを得るためにお金を出した。何千ドル(何十万円も)も。NFTでそうであるように、市場はこのユニークなリストを中心として形成された。「底」つまりLootの「バッグ」を買う最低価格は、何千ドル分のイーサリアムにまで高騰した。このようなリストの中でも特定の種類のアイテムはクールな印象があるが、セット全体を分析すると結果レアであることがわかり、それらが入ったバッグの価値はうなぎ上りになった。

そして人々は芸術のような欠落した要素を補い始めた。基本のリストを根本的に変えるのではなく、特定のリストのアイテムを明らかに参考にした新たな作品を創造しているのである。

そしてそのリストそのもののように、人々はアートを生み出すためにアルゴリズム的アプローチを取り入れ始めた。

8月31日までに、次のような人々のコミュニティを識別できた。

  • 特定の種類のアイテムが入ったバッグに投資する
  • Lootのアイテムを可視化し、このニッチな市場の価格変動を監視するためのツールを作成する
  • Lootのバッグの中にある探検用の道具を持った理論派のエクスプローラーのためのレルムを作り出すなど、新しく派生したプロジェクトに取り組む

それ以外に、これらのアイテムにはまだゲームルールが存在しない。それを装備したキャラクターを持つことが何を意味するかも含めて。

おい、あれは何だ?   そうか、統計も作成できたのか!

このツイートはまさにこの現象全体の核心を突いている。

1週間足らずで、コミュニティはただの文字のリストから、そのアイテムの無数のイラストレーションへ、そのアイテムが存在しキャラクターが権力を持つ世界へと進化した。すべてがシンプルなプリミティブを選び、それに価値をもたらす文脈を生み出しているのだ。

魔法のような話である。しかし創造の発起に投機的な見方があったとして、これらのバッグが最低1万ドル(約110万円)もしたら、どれほどの人が参加するだろうか?一方、ゲームの作成を単なる娯楽と捉えるなら、バッグとアイテムはすべてイーサリアムのネットワーク上で生きているのだから、組み込むものを無料で作成できるのである(現在イーサリアムの使用に関連する手痛い手数料は含まない)。

そしてもしこれらのユニークな物を自身のウォレットに入れておくことであなたが本当に参加できることが真に重要なら、人々はそこにおもしろい道筋をも見出しているだろう。

隠語を使い過ぎてしまったなら、もう一度要約しよう。増加傾向のLootを組み込める相互互換のアプリやゲームで遊ぶことを目的として、これらのアイテムを「持つ」ことを無料にするための実現可能な道筋がある。大金を稼げるレアアイテムの入った本格的なバッグだけではない。

ああ、あなたがLootのバッグの中にあるアイテムの一部が好きで、しかしあなたのエクスプローラーが落っことした多数の物の中から他のアイテムと色々組み合わせることを望んだらどうなるか?

1週間しないうちに、すでにアンバンドリングにより中断している!

悪いけど、なぜおもしろいの?

Marvel Cinematic Universe(マーベル・シネマティック・ユニバース)はMarvel Comics(マーベル・コミック)とともに、そのアイコニックなスーパーヒーローのキャラクターに基づく初の映画4本に出資するため、10億ドル(約1100億円)のローンを組んだ。これらのキャラクターの認知の種は、コミックやテレビへの何十年間もの露出により大衆の心にまかれ、大ヒット映画における初登場につながった。人々が読みたくなるような、次の巻も読みたくなるほど心奪われるような、そのキャラクターのためのすばらしい物語を作成するためにおそらく何百人ものライターとアーティストが何十年も報酬を受け取ってきた。人々は自身とおかしな出自のキャラクター(放射能を浴びた蜘蛛に噛まれLootか!)を緊密に結び付けているのである。

これはすべて、トップダウン、企業、量産型の文脈で起きたことである。マーベルの一部のクリエイティブは影響力の強い仕事をフリーランスや社内勤務ベースで行い、プリンタはトンレベルの印刷物を刷り上げ、サプライチェーンは国中の漫画販売店や安い雑貨店に発行物を流通させた。ドミノのように、Stan Lee(スタン・リー)は50年後の新たなスーパーヒーロー(設定、この日とはヒッピーではなく、武器製造の実業家!)のことを考えている。「アベンジャーズ/エンドゲーム」とブラックパンサーが大ヒット作の定義を永遠にねじ曲げる。

しかし、誰かがディズニーと大接戦する代わりにコミュニティとしてのMCUの競合他社を作りたいと考えていたらどうか?

先週のLootから推定……。

あなたはスーパーヒーローの名前と関連付く力を生み出すための契約を解放するだろう。それらのヒーローを鋳造し、彼らは自由市場で取引を始める。人々はどの力がレアか(特にかっこよく聞こえるもの)判断するツールを作るだろう(「飛行」は非常に簡単)。

彼らはそのヒーローを想像し、自らイラストを描き、かっこよく見えるようなアーティストに委託するだろう。最終的にはコミュニティの技術系の人々がキャラクターのアートを一般的なスタイルで生み出すことができる、またはカギとなる一部のパラメータによりカスタマイズ可能なツールの組み合わる大変な部分を担うことになるだろう。

最終的に、人々はさまざまな層を引き付けるアートを委託したら、共有されたストーリーラインまであと一歩である(1つ依頼された作品で複数のキャラクターの価値が上昇!)。

DAO、すなわち暗号資産空間で新たなプロジェクトを作る、またはともに投資「だけ」するために集まる人々の分散的なグループが、ヒーローの名前+力を含む基礎アイテム、およびそれらがインスピレーションを与えた人気の芸術作品の価値を高めることを目的として、もっと人気のキャラクターを買い占め、より精巧なビジュアルストーリーを発注するかもしれない。

そして、プロジェクトの創作者はLootの時代精神の方向性に合わせて進むと仮定すると、このすべてが誰でも再利用しリミックスできるIPになるだろう。おかしな話に聞こえるかもしれないが、それを所有するということ、所有するということは、それがどうやって使用されるか管理することではないだろうか?

それがディズニーの現状である。Lootのようなプロジェクトの世界で、あなたは所有するNFTの価値、そしてNFTの名声と評判を反映する価値を強化したいと考える。「すべての記事は良い生地」という言い回しを繰り返そう。どのリミックスも良いリミックス。参照されるということは、今も文化的に妥当ということだ。クモ人間を説明するNFTを所有しているのであれば、多くの人が可能であれば「クモ人間」を作品に登場させたいと考える環境に貢献したいと思うだろう。そうすればクモ人間No.1は所有するに値するようになる。

Dylan Field(ディラン・フィールド)について詳しくお話ししよう。

そしてJohn Palmer(ジョン・パーマー)は特別なことを強調している。「『No』と言える人がいない。人々はいかにLootをクールにするか見つけようとするのだから」。

編集部注:Kyle Russell(カイル・ラッセル)はユーザーが自身のスマホでゲームを作成できるようにするスタートアップ企業、Playbyte(プレイバイト)の創設者。

画像クレジット:Loot

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(文:Kyle Russell、翻訳:Dragonfly)

中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

中国人民銀行(中央銀行)は現地時間9月24日、国家安全保障と「国民の資産の安全」に関する懸念を理由に、すべての暗号資産(仮想通貨)関連の取引は国内では違法であり、全面的に禁止すると発表した。また、世界一の人口を抱える同国は、海外の取引所が国内のユーザーにサービスを提供することも禁止すると表明した。

中国の10の政府機関は、共同声明の中で、国内での暗号資産の取引を「高圧的に」取り締まるために緊密に協力する意向を表明。また人民銀は、インターネット企業、金融企業、決済企業に対し別途、自社プラットフォーム上で暗号通貨取引を促進しないよう命じた。

人民銀は、Bitcoin(ビットコイン)やTether(テザー)を含む暗号資産は不換紙幣ではないため、市場に流通させることはできないとしている。暗号資産の利用が急増したことで、「経済・金融秩序」が乱れ、「マネーロンダリング、違法な資金調達、詐欺、ネズミ講、その他の違法・犯罪行為」が急増しているという。

違反者は「法律に基づいて刑事責任を追及される」と人民銀は警告している。

中国政府は「国民の財産を保護し、経済・金融・社会の秩序を維持するために、仮想通貨の投機、および関連する金融活動、不正行為を断固として取り締まる」と人民銀は声明で述べた。

この動きは、すでに一部の暗号資産トレーダーの間でパニックを引き起こし始めており、Bitcoinをはじめとするいくつかの通貨の価格を下落させている。Bitcoinは記事公開時点で5.5%下落していた。

世界最大級の暗号マイニングサービスが複数ある中国は、それらのビジネスも追いかけていく。国家発展改革委員会は、暗号資産マイニングの全国的な一掃に着手すると表明し、これは「必須」の作業だとしている。

中国が暗号資産関連の活動の取り締まりを宣言したのは今回が初めてではないが、これまでは多くの政府機関がこのような取り組みに協力姿勢を示していなかった。

中国の規制当局は、数年前から暗号マイニングの禁止を検討してきた。しかし、最近の四半期では、いくつかの地元企業が暗号資産を採用し始めている。中国のアプリメーカーであるMeitu(メイツ、美图)は、3月に4000万ドル(約44億3000万円)相当のBitcoinとEthereum(イーサリアム)を購入した。

楽観的な意見もある。シンガポールの暗号資産取引所Luno(ルノ)でアジア太平洋地域の事業責任者を務めるVijay Ayyar(ビジェイ・アイヤー)氏は、こうツイートしている。「中国はこれまで数え切れないほど、暗号資産の禁止を叫んできた」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッター「ビットコインのチップ」「NFTの認証」「スペースの録音」、クリエイター向けファンド」など新機能ラッシュ再開

Twitter(ツイッター)の新サービス発表の勢いが止まらない。米国時間9月23日、同社は暗号資産によるチップ、NFTの認証、参加したばかりのユーザーに会話の状況を説明する実験など、同プラットフォーム上の会話とコミュニティのサポートを強化するための新たな取り組みを多数導入した。さらに同社は、オーディオクリエイターに経済的、技術的、マーケティングのサポートを提供する独自のクリエイターファンドを数週間以内に発表する予定であることも話した。

Twitterはまだファンドの金額や対象範囲などを詳しくいえる状態にないが、参加クリエイターについて見ると、ソーシャルオーディオサービス最大のライバルであるClubhouse(クラブハウス)を牽制するものであることは明らかだ。Clubhouseは自身の クリエイター向け「アクセラレーター」で、参加者にブランド契約を紹介し、あるいはプログラム参加中毎月5000ドル(約55万2000円)を提供している。

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同様に、Twitterも自社のクリエイターファンドの目的を、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snap(スナップ)といったライバルのファンドのようなクリエイターが作るコンテンツに対する報酬ではなく、Twitterスペース上でクリエイターがオーディオ制作を始めるための支援だと考えている。

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「真の目的は技術とマーケティングの専門知識を提供することです」とTwitterのクリエーター収益化のプロダクト責任者であるEsther Crawford(エスター・クロフォード)氏は説明する。「私たちはこれを、応急援助的ソリューションのようなものと考えています。クリエイターのみなさんには別の長期的収益化機能に取り組んでもらいたいと思っています。私たちはそのための初期ブーストを与えるだけです」と彼女は話した。

Twitterスペースのホストは自分のプログラムの録音と再生もできるようになる。これは録音機能を差別化要素として謳うライバルプラットフォームの脅威に対する反撃に違いない。この機能は「数カ月」以内に公開されると同社はいう。

この日、Twitterは、いくつかの新たなサービスと最近公開した機能の拡張も発表した。

その1つが、NFT(非代替性トークン)を利用するクリエイターの利便性を高める機能で、ブロックチェーンに保存されたデジタル資産の認証を行う。現在アーティストたちは自分たちの作品のNFTを作り、そのNFTはOpenSea、Rarible、Foundation、SupeRareなどのNFTマーケットプレイスを通じて販売されている。

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Twitterは、NFT認証のサポートを「近々」実施する計画だという。これによってNFTクリエイターは自分の暗号化ウォレットをTwitterと接続し、プラットフォーム上で自分のNFTの管理と展示ができるようになる。この計画はまだ初期段階にあり、Twitterはその仕組みについて明確な説明ができていない。同社は、認証済みコレクションをもっているクリエイターが、もっビジュアルに目立つ方法をいくつテストしていると語った。おそらく、プロフィールバッジや形の異なるアバターなどのことだろう。

長期的のNFTロードマップについて質問を受けると、Twitterはコメントを拒んだ。

他の暗号資産関係の新機能では、Bitcoinチップがある。Twitterは2021年5月にベータプロダクトとして「Tip Jar」機能を導入し、ユーザーがPayPal(ペイパル)、Venmo(ベンモ)、Patreon(パトレオン)、Cash App(キャッシュ・アップ)、Bandcamp(バンドキャンプ)などのサードパーティサービスを使って1回限りの支払い / 受け取りができるようにした。この度、その機能が拡大され、全世界のiOSとAndroidユーザーに近々公開される他、Bitcoinによるチップもサポートされる。

関連記事:ツイッターがお気に入りのツイートに投げ銭できる「Tip Jar」機能搭載、まずは英語で

Bitcoinチップにはいくつか使い方がある。ユーザーはBitcoin Lightiningウォレットまたは自分のBitcoinアドレスを追加してBitcoinチップの受け取りを開始できる。Lightiningウォレットは手数料が安いことで暗号化コミュニティのユーザーに人気だと同社はいう。Twitterの実装ではStrike(ストライク)を使用している。これは、Bitcoin Lightning Network上に作られた決済アプリケーションで、ユーザーはBitcoinの送信と受信を無料で即座に行うことができる。

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実際この夏、Twitter CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、TwitterがBitcoinブロックチェーン上の1レイヤーであるLightning Networkをプラットフォームでサポートするのは「時間だけの問題」とツイートした。当時、この種のサポートはまず少額支払いサービスで行われるのではという予想がなされたが、今回それが正しかったことが証明された。

Tip Jarには、他にGoFundMe(ゴーファンドミー)とブラジルのモバイル決済サービス、PicPay(ピックペイ)などのサービスのサポートも追加される。

もう1つ、「Heads Up」と(現時点で)呼ばれている新しい実験は、ユーザーが参加する前に会話の雰囲気を感じとるための初の試みだ。

Twitterにとって最も厄介な問題の1つは、プラットフォーム上で人々が安心して自分の思いや意見をシェアするのを手助けする仕組みがないことだ。これが「キャンセルカルチャー」とよばれる問題や、「あらし」集団が、活動家、テック業界の女性(Gamergate論争で知られている)や女性ジャーナリストなどの少数意見や気に入らない発言に襲いかかる温床となっている。

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この領域でTwitterは、ユーザーが自分のツイートにリプライできる人を制限する新機能を開発した。それが過去4週間の嫌がらせ報告の減少に貢献している、と同社はいう。

また、セーフティモードのベータ版も開始され、悪用が増大する時期に嫌がらせに対する一種の自動的保護を提供している。これによってユーザーは、ブロックせず静かにフォロワーを解除することが可能になる。そして本日Twitterは、自分がメンションされた会話から脱出できる新機能を近く公開すると発表した。また、”word filters”と呼ばれる新機能を実験中で、ユーザーはTwitterポリシーに反するところまではいかない悪意あるツイートを遮断できる。

関連記事:ツイッターが悪口や嫌がらせを自動的に除外する「セーフティモード」のテストを開始

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Twitterは、来るべき新規参加者に議論の特質について警告する「Heads Up」機能で、会話の雰囲気をどのように評価するのか、その方法を詳しくは語らなかった。しかし、エモジリアクション(現在まだテスト中)と、人を傷つける可能性のある投稿に対する「返信の警告」機能のデータを活用するつもりだと同社はいう。

関連記事:Twitterが有害なツイートを減らすため「返信の警告」機能の改良版を公開

この数カ月間、Twitterは驚くべきスピードで新サービスを公開しており、オーディオチャットプラットフォームのTwitter Spaceの迅速な改善関心事に基づく「コミュニティ」、クリエイタープラットフォームのスーパーフォロー、Renueの買収によるニュースレター、チップを贈れる「Tip Jar」、プレミアムサブスクリプションサービスのTwitter Blue、クラウドソース利用のファクトチェックBirdwatch、新たなeコマース機能、新しいユーザープロフィールラベル、アカウント検証システムの再開、会話のコントロール、ダイレクトメッセージの改善などの追加や改善を実施してきた。

この日、上記サービスのいくつかについてもアップデートが行われた。

スペースの発見ツールを改善し、タイムラインやアプリのその他の部分でスペースを見つけやすくしたと同社はいう(おそらくモバイルアプリのスペース専用タブのこと)。Ticketedスペース(チケット制スペース)のアクセスも容易にしたほか、ニュースレターの発見機能の改善、クリエイター収益ダッシュボードの新設、アカウントラベルの追加(ブランドや故人のアカウントの記念など)などを行った。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、今後のコミュニティ機能内でのモデレーションの扱いについても語り、関心事に基づくコミュニティには専門のモデレーターを配置し、そのコミュニティに即した基準を、Twitterルール以外に設定すると説明した。

「これは、モデレーションを分散化することでTwitterをあなたの場所にする取り組みの第一歩です」と、Twitterの会話安全性のためのプロダクト責任者、Christine Su(クリスティーン・スー)氏は語り、コミュニティはもっと多くの人々に「近いうちに」開かれる予定であることを付け加えた。

Twitterはもっと広く自社の戦略を説明しようとしたが、「throw spaghetti at the wall and see what sticks(スパゲティを壁に投げつけて何がくっつくかを見る=試行錯誤する)」的要素がますます強くなったようで、今まさにそれをやっているのかもしれない。

「今後も私たちがこのビジョンを実験し繰り返すのを見ることになるでしょう」とTwitterのコンシューマープロダクト責任者であるKayvon Beykpour(ケイボン・ベイクプア)氏は説明した。「その間私たちは、過去数年やってきたように会社の進展状況を公表します。また、うまくいっていないものにしがみつくことはありません。Fleetがその例で、今後も他のプロダクトのテストで同じことが起きるでしょう。時々ものごとを終わりにしなければ、大きな賭けはできないと私たちは信じています」と彼は言った。

Twitterの発表は、米国時間9月23日午前の記者会見とQ&Aで詳しく説明があり、一部のニュースはその後公式ブログで公開された。

画像クレジット:Twitter at CES 2020

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Robinhoodが新しい暗号資産ウォレット機能でCoinbaseの縄張りに殴り込み

Dogecoin(ドージコイン)の熱狂は、株式取引アプリRobinhood(ロビンフッド)に大きな収益をもたらしたが、同社は米国時間9月22日に、その暗号の穴をさらに深く掘り下げ、ユーザー向けに暗号資産ウォレットのテストを間もなく開始すると発表した。

Robinhoodによると、2021年10月からウェイティングリストに載っているユーザーに順次提供していく予定のその暗号資産ウォレットを使うことで、ユーザーはアプリ内で暗号資産の取引や送受信ができるようになるという。今回のアップデートにより、Robinhoodは、暗号資産ユーザーからの要望が多かった機能を搭載し、自身のアプリを暗号資産エコシステムに近づけることになる。ユーザーはこれまで、DogecoinやBitcoin(ビットコイン)を含むいくつかの暗号資産を売買することはできたが、それらのコインを外部のウォレットに送ったり、他の場所から受け取ったりすることはできなかった。

この動きにより、Robinhoodは、Coinbaseのようなライバルが活躍している暗号資産スペースの多くのチャンスに開放されることになる。それと同時に、規制がさらに曖昧な分野にも進出することになる。今週、Coinbaseは、SECが同社を告訴すると警告したために、長年計画していた融資商品を放棄した

関連記事:米証取委の訴訟予告を受けCoinbaseが融資商品「Lend」立ち上げを中止

2020年と2021年は、暗号資産の世界ではブレイクが起こった年で、期間中はコインが乱高下しながらも、全体としてははるかに高い値上がりを達成した。Coinmarketcapの推計によると、暗号資産の世界的な時価総額は2兆ドル(約220兆円)をわずかに下回っている程度だ。

投資家たちは、Robinhoodが暗号資産スペースに深く入り込んでいくことに強気のようで、Robinhoodの株価は本日の取引で10%以上、上昇した。

画像クレジット:Robinhood

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)

米証取委の訴訟予告を受けCoinbaseが融資商品「Lend」立ち上げを中止

米証券取引委員会(SEC)に対し強硬手段に出ようとしたCoinbase(コインベース)の試みは、長くは続かなかった。暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する同社は、暗号資産による融資商品の立ち上げ計画を巡り、規制当局であるSECの怒りを買った。SECは、CoinbaseがLendと呼ばれる暗号資産融資商品を立ち上げた場合にCoinbaseを提訴することを事前に通達する「ウェルズ通知」を同社に送付した。

SECがLendの件で私たちを訴えたいと言ってきました。理由はわかりませんが」と題した反抗的なブログ記事を発表してから2週間足らずで、同社は先週末、結局Lendを立ち上げないことを静かに発表した。

関連記事:米証券取引委はCoinbaseの暗号資産利回り商品を規制したいがCoinbaseは反発

同社は米国時間9月17日、Lendの立ち上げ関する投稿を更新する情報を静かに追加し、その一部を詳しく説明した。

当社は、暗号資産業界全体に対する規制を明確化する取り組みを続けるなか、以下に発表するとおり、USDC APYプログラム(米ドルコインによる融資プログラム)を開始しないという難しい決定を下しました。また、このプログラムのキャンセル待ちも中止し、次の展開に向けて取り組んでいきます。

Lendは、暗号資産取引所の世界では例外的とはいえないものだ。投資家にとっては、Geminiなどのプラットフォームで同様の仕組みがある。Geminiでは、ユーザーが保有する暗号資産を取引所に貸し出し、従来の普通預金よりもはるかに高い金利を得ることができる。Coinbaseは、安定したコインであるUSDC(米ドルコイン)をユーザーが貸し出し、年利4%(開始時のレート)が得られるというLendの立ち上げを計画していた。

SECは、同組織内で利用可能なリソースが限られていることに不満を持っており、これまでも限られた範囲で暗号化商品に対する訴訟を行ってきた。ユーザーがCoinbaseとそのパートナーに対し、自らのコインの保管権を実質的に放棄するという点に納得がいかなかったようだ。また、Coinbaseに対して、Lendには確かに証券としての性質があると指摘している。監督機関との緊密な連携をブランドの一部としているCoinbaseは、Lendが証券ではないという考えにこだわりながら、ゆっくりと事を進めようとしていた。

「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えているといいますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした。しかし、またしてもSECからの説明はありませんでした。それどころか、彼らは正式な調査を開始しました」と、最近のCoinbaseのブログに書かれていた。

大きな問いは、これが他の暗号資産取引所にとってどのような意味を持つのか、また、この行為は、チーフのGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏が率いるSECが、暗号資産の世界、特にDeFiの仕組みに関して、より積極的な活動を開始するシグナルなのかどうかだ。

Coinbaseの株価は9月20日月曜日の日中取引で下落した。ビットコインやその他の暗号資産の価格も大幅に引き下げた。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTマーケットプレイスのOpenSeaが「閲覧のみで売買はできない」アプリを発表

「分散型インターネットのAmazon(アマゾン)」といわれるOpenSea(オープンシー)にとって、米国時間9月17日は大きな意味のある日になった。同社がiOSAndroid用のアプリを発表したのだ。ほとんどの企業にとって、モバイルアプリを用意することは、15億ドル(約1650億円)の評価額を達成する前に到達するマイルストーンである。しかしNFT(非代替性トークン)アートであってもなくても、実際の店舗で販売するときと同様に、アプリストアでの取引には、AndroidでもiOSでも、高額な手数料を取られる。おそらくそのためだろう、OpenSeaから華々しく登場したこの新しいアプリは、NFTを閲覧するためだけのものであり、売買するためのものではない。ちなみにOpenSeaは、8月に200万件の売買を記録しており、その取引総額は34億ドル(3738億円)に上る。Apple(アップル)とGoogle(グーグル)はアプリ内取引の30%を徴収するため、もしこれらの取引がアプリ内で行われたとしたら……34億ドルの30%、つまり10億2000万ドル(約1122億円)が両社の懐に入っていたことになる。

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もっとも、より大きな障害となっているのは、おそらくアプリ内での支払いを暗号資産で行う方法がまだないことだろう。OpenSeaが売買に対応するためには、米ドルで支払うためのインフラを構築し、より多くのユーザーをそちらに誘導する必要がある。しかし、OpenSeaの魅力の1つは、主としてEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンに依存した暗号資産ネイティブなプラットフォームであり、NFTがいつ鋳造されたか、誰が鋳造したか、どのように取引されたかなどの情報に人々が容易にアクセスできることだ。同社がそのプラットフォームを、よりドル寄りの方向に推し進めれば、既存のユーザーのエコシステムを混乱させる可能性がある。

このOpenSeaのアプリでは、ユーザーは自分のプロフィールに接続し、NFTの閲覧、NFTのお気に入り登録、NFTの検索とフィルタリング、コレクションとアイテムの統計情報の閲覧ができる。アプリ内でNFTを閲覧すると、そのNFTをアプリ外で共有するためのボタンが表示される。同じくNFTのマーケットプレイスであるRarible(ラリブル)は、1カ月ほど前にモバイルアプリをリリースしている。OpenSeaのアプリと同様、RaribleのアプリもNFTの閲覧のみが可能で、売買やトレードはできない。

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画像クレジット:OpenSea

そのうちアプリでNFTを売買できるようになるのかなど、OpenSeaのアプリに関する同社の計画についてTechCrunchは質問したが、回答は得られていない。もっとも、アプリで暗号資産の取引を行うものが、今までなかったというわけではない。PayPal(ペイパル)でも今や暗号資産による支払いが可能になっている。むしろ、OpenSeaのアプリは、ウォレットやブロックチェーンなどについて何も知らない人でも、簡単にNFTアートを閲覧できるユーザーフレンドリーな方法を提供することで、新しいユーザーをNFTの世界に呼び込かもしれない。

なお、このアプリが発表されたのは、OpenSeaの幹部がインサイダー情報に基づいてNFTを取引したとして告発されてから数日後のことだった。同社は米国時間9月15日にブログで、この従業員がその後、辞職したことを明らかにしている。

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人気NFTプラットフォーム「OpenSea」がトップ幹部によるインサイダー取引事件を認める

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

人気NFTプラットフォーム「OpenSea」がトップ幹部によるインサイダー取引事件を認める

「NFTのeBay」として知られるOpenSea(オープンシー)は、社員の1人が同プラットフォームから得たインサイダー情報を利用して暗号デジタル資産を取引していたことを認め、スキャンダルになっている。

米国時間9月14日、NFTプラットフォームであるOpenSeaのトップ幹部が、NFTコレクションがプラットフォームのホームページに掲載される前に購入し、プラットフォームでの販売を前倒ししたとして告発された。Twitter(ツイッター)ユーザーの@ZuwuTVによると、同スタートアップの製品マネージャーは、秘密口座の暗号資産ウォレットを使用して、OpenSeaのメインページに掲載される前にドロップを購入し、OpenSeaで公開された直後に販売して、その利益を自分のメインアカウントに戻していたという。ユーザーたちは、当時OpenSeaのトップページに掲載されていたNFTドロップを含む、パブリックブロックチェーン上でその幹部に紐づけられたアカウントからのいくつかのトランザクションにリンクしている。

15日、OpenSeaはこの事件を認めたようで、ブログ記事の中で「社員の1人が、当社フロントページに表示されるように設定されていると知っていたアイテムを、公開前に購入していたことを知りました」と述べている。同社はこの社員を特定していないが、事件について「ただちに」調査を行っていると述べた。2021年7月にはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が主導したシリーズBで1億ドル(約109億円)を調達し、15億ドル(約1640億円)の評価を受けた同スタートアップは、署名のないブログ記事の中で、今回の事件は「非常に遺憾なことだ」と付け加えた。

OpenSeaのDevin Finzer(デビン・フィンザー)CEOは、ツイートで「我々は昨日の事件を徹底的に検証しており、OpenSeaのユーザーのために正しい行動を取ることを約束します」と述べている。

2021年8月、34億ドル(約3718億円)の取引量を記録したOpenSeaは、従業員が機密情報を利用して自社プラットフォーム上で自社のユーザーとNFTを売買することを防止するルールを設けていなかったようだ。同社は、チームメンバーが「コレクションやクリエイターを特集・宣伝している間は、それらのコレクションやクリエイターから売買することはできない」、そして「OpenSeaプラットフォームで入手できるかどうかにかかわらず、機密情報を使用してNFTを購入・販売することを禁止する」というポリシーを今では実施している、と詳述している。

SEC(米国証券取引委員会)が暗号資産クラスに関する公式なガイダンスをほとんど出していないにもかかわらず、ほとんどのNFTは一般的には有価証券とはみなされていない。しかし一部では、異なる売買の仕組みや継続的な報酬体系が、NFTの販売をさらに証券の領域にプッシュしているのではないかと疑問視されている。

米上院銀行委員会のSherrod Brown(シェロッド・ブラウン)委員長は14日、暗号資産市場とSECの執行の関係について議論が行われた公聴会(The Blockによる書き起こし)で次のように述べた。「多くの人々が、新しいデジタル資産の価値の劇的な上昇に誘惑されています。プロの投資家や著名人の中には、数百万ドル(数億円)を稼ぐことが簡単に見えるような人もいます。しかし、私たちが何度も思い知らされるように、それは決して簡単なことではありません。そして、あまりにも多くの場合、誰かが手っ取り早く利益を得るために、労働者やコミュニティ全体が犠牲になります」。

TechCrunchはOpenSeaにさらなるコメントを求めている。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

米証券取引委はCoinbaseの暗号資産利回り商品を規制したいがCoinbaseは反発

Coinbase(コインベース)のCEOであるBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏は、同社とSEC(米証券取引委員会)との現在の関係に強い反応を示した。同氏によると、SECは、Coinbaseが「Coinbase Lend」と呼ぶ利回り商品の取り扱いを始めた場合、暗号資産取引所である同社を訴えると脅しているという。

Coinbaseはこの新商品で、「Compound」や「Aave」といった人気の分散型金融(DeFi)商品に対抗したいと考えている。同社は、米ドルにペッグされた安定したコインである米ドルコイン(USDC)を取り扱うレンディング(貸し出し)プールを運営したいと考えている。

同社がCoinbase Lendの立ち上げに成功すれば、ユーザーはCoinbase Lendに暗号資産を送り、レンディングプールに拠出することができる。最終的には、集まった暗号資産を貸し出す計画だ。Coinbaseのユーザーは、レンディングプールに拠出した見返りとして高い金利を得る。Coinbaseは、プレビューページで年率4%を約束している。

アームストロング氏によると、同社はリリース前にSECに連絡を取ったという。「彼らは、この貸し出しは証券だと答えた」とツイッターで述べた。

「彼らは、なぜそれが証券だと思うのかを教えてくれず、代わりに私たちに多くの記録を求め(我々はそれに応じました)、私たちの従業員に証言を要求し(それにも応じました)、そして、私たちがこのビジネスを始めるなら、私たちを訴えると言ってきました。その理由については説明せずにです」と付け加えた

また、Coinbaseの最高法務責任者であるPaul Grewal(ポール・グレワル)氏も、同社のブログで今回の出来事について書いている。SECがCoinbaseの貸し出しプログラムは証券だと主張しているにもかかわらず、同社は新機能の事前発表を進めると決めたようだ。

「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えていると言いますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした」とグレワル氏は書いている。

この記事を読んでいる起業家の方へのアドバイスはこうだ。SECから、それは始められないと言われたら「間もなく」という言葉でウェイティングリストを公開してはならない。

驚きではないが、Coinbaseによると、SECはその後、正式な調査開始を決定したようだ。また、ある従業員はSECの質問に答えるために1日を費やすことになったという。

「彼らは文書や書面での回答を求めてきました。私たちは喜んでそれを提供しました。また、このプログラムについて宣誓証言をしてくれる企業証人の提供も求められました。その結果、当社の従業員の1人が8月に丸1日かけて、Coinbase Lendについて完全かつ透明性のある証言を行いました」とグレワル氏は書いている。

その結果、Coinbaseは頭にきて、SECに対してPRキャンペーンを展開すること選んだ。アームストロング氏の主張は、他社がすでにレンディングプールを提供しているため、一部の企業がそのような商品を提供できて、Coinbaseが提供できない理由はないというものだ。

「他の多くの暗号資産会社は貸し出し機能の提供を続けていますが、どうしたわけかCoinbaseはそれが許されていません」と同氏はツイートした

これは、Coinbaseが暗号資産エコシステム全体を変更することに終わるかもしれないリスクをともなう戦略だ。Sar Haribhakti(サール・ハリブハキ)氏が指摘したように、DeFiに対する監視の目がますます厳しくなり、業界全体により厳しいルールが適用されることになるかもしれない。

「表面上は、SECの目的は投資家を保護し、公正なマーケットを作り出すことです。ですので、この件に関してSECは誰を守り、どこに害があるのでしょうか。人々はこれらのさまざまなプロダクトで利回りを稼ぐことにかなり満足しているようです」とアームストロング氏は述べた

但し書きを読むと、CoinbaseはLendプログラムで投資家を保護しない。Coinbase Lendページの下の方にはこうある。「Lendは高利回りUSD普通預金口座ではなく、Coinbaseは銀行ではありません。あなたの貸し出した暗号資産はFDICやSIPCの保険で保護されません」。

これは投資家にとって、あまり心強いものではない。ツイート合戦は問題を解決しないため、どこかの時点でCoinbaseとSECは暗号資産貸し出しプロダクトを協議するために向き合う必要がある。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】その正当性確保のために暗号資産の規制は不可欠だ

編集部注:本稿の執筆者はHenrik Gebbing(ヘンリック・ゲビング)氏とWilhelm Nöffke(ウィルヘルム・ネフケ)氏。ヘンリック・ゲビング氏は機関投資家や企業向けに欧州のデジタル資産のカストディと金融サービスのプラットフォームを提供するFinoaの共同CEO兼共同設立者。ウィルヘルム・ネフケ氏もFinoaのシニア・コンプライアンス・マネージャー。

ーーー

過去10年間、欧州や世界各国で顧客確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)の規制に関するさまざまな構造的変化が見られてきた。有名企業によるマネーロンダリングに関するニュースや不正資金のグローバル市場への浸透が相次ぎ、当然のことながら規制当局や一般市民の注目を集めてきた。

Wirecard(ワイヤーカード)のスキャンダルは、広範囲にわたる不正行為を調査した結果、麻薬やポルノの違法な流通に関わる一連のシェルカンパニーの存在が明らかになったという特に卑劣な例である。Danske Bank(ダンスケ銀行)では、9年間ほぼ気づかれることなく約2270億ドル(約25兆円)がエストニアの子会社を経由してロンダリングされていた

米国では、証券取引委員会がRipple Labs(リップル・ラボ)とその幹部2名に対し、未登録で進行中のデジタル資産証券の募集を通じて13億ドル以上(約1428億円)を調達したとして提訴。この訴訟は現在も継続中である。

規制当局や金融機関がこういった犯罪行為に対する理解を深めるにつれ、AML要件も改善されてきた。しかし、これらの調整はどれも後手後手の対応であり、試行錯誤的なプロセスとなっている。

急速に進化するブロックチェーンエコシステムの課題に対処するため、欧州連合はライセンスモデルを改善するために規制システムをさらに強化するより厳しい金融規制の導入を開始している。現在多くの加盟国が暗号資産を個別に規制しているが、ドイツが暗号資産を最初に規制した国としてリードしている。

これらの個別規制は、規制当局から金融ライセンスを取得および維持するための要件をまとめ、暗号資産企業の道筋を明確に規定している。コンプライアンスは当然、投資家の信頼と保護を高める役割を果たすわけである。

金融犯罪や暗号自体の進化にともない、規制機関の監視、対応、制限の実施の取り組みも変化を遂げている。国際的には金融活動作業部会(FATF)が最も著名な監視機関であり、マネーロンダリング防止やテロ資金対策に関する一般的なガイダンスやベストプラクティスの決定を行っている。

FATFはソフトローと考えられているが、タスクフォースが暗号資産内での実行可能な規制の基準を設定している。特に注目すべきはFATFの勧告16で「トラベルルール」として知られているものだ。これはブロックチェーン取引の参加者の個人データを収集および保存することを企業に要求するもので、理論的には、このデータにアクセスすることで、当局が暗号市場の規制をより適切に監督・執行できるようになる。言い換えれば、誰が何をしているかを当局が正確に知ることができるようになるわけだ。要は透明性である。

トラベルルールの難題

FATFのトラベルルールは、伝統的金融機関(銀行、クレジット会社など)と、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)として知られる暗号資産企業の2種類のビジネスに影響を与える。

当初トラベルルールは銀行にのみ適用されていたが、2019年には暗号資産企業にも拡大され、2021年にはFATF加盟国の多くの国が自国のAML法にトラベルルールを組み込み始めた。この規制のシフトは暗号資産分野に衝撃を与えることになる。拒否することによるリスクは高く、トラベルルールを組み込まなかった場合、サービスプロバイダーはコンプライアンス違反とみなされ、ビジネスを行う上で大きな障害となる。

しかし、トラベルルールは暗号技術の新規性を考慮しておらず、大きな障害にもなっている。受取人のKYCデータを入手して日々のビジネスに統合する際に大きな労力を要するため、暗号資産ビジネスを統合する際のハードルとなるのだ。

暗号資産企業が情報を入手して支払いを行うためには、クライアントからデータを提供してもらう必要があるが、これを検証することは事実上不可能だ。これは暗号資産の象徴でもある効率性を大きく阻害するものである。さらにこの方法では、VASPや銀行が受け取るデータの正確性も問われるだろう。また、世界各地でデータサイロが生まれ、データの脆弱性がさらに高まることになる。

特定のコミュニティ内で孤立したものではなく、国際的な標準化手段となると、オンチェーン・ソリューション(特定のブロックチェーン上で記録・検証される取引)と、異なるブロックチェーン間でのやり取りや、オンチェーン取引とPayPalなどの他の電子システムで行われるオフチェーン取引との組み合わせを可能にするクロスチェーン通信との間には大きなギャップがある。

暗号資産の匿名性に対してもっともな懸念を持つ人々と、規制は暗号資産を禁止するものだと考える人々との間で、いずれは中間点を見つけなければならない。どちらの意見にも一理あるが、巨大な金融市場や業界の中で暗号資産の正当性と実行可能性を維持するというのは、すべての当事者にとってプラスになるため、この交渉は非常に重要である。

規制反対ではなく、実行不可能な規制に反対

そのためにはデジタルアセットに特化した法律が必要であり、AML関連の問題を解決することなく市場に支障だけをきたすなどということのないようにしなければならない。

伝統的金融業界はすでにグローバル化しているため、FATFが暗号資産の規制監督のための国際的なフレームワークを発行することの価値と必要性は明確だ。

マネーロンダリング、違法な武器販売、人身売買など、犯罪的な金融取引は国際的なビジネスでもある。そのためこういった犯罪への取り締まりは、必然的に国際的な取り組みとなる。

ブロックチェーンの分散型の性質は、我々に馴染みのあるほぼすべての場所で使用されている中央サーバーの標準に反しているため、手ごわい課題となっている。伝統的金融機関のルールや規制が暗号資産にも実装されるというのは、この経済エコシステムとその基礎となる技術が持つ革新性や新規性を無視した過失であり誤解である。

法定紙幣の世界における従来型の規制を、暗号資産のあらゆる側面やブロックチェーン技術の基本的な性質に適用することはできない。例え善意から出たものであっても、このような押し付け型の規制は古いシステムの上に構築されているため、適応・修正しなければならないのである。

テクノロジーの使用に公平な制限を設けるには、それらのテクノロジーの限界と特性を根本的に理解し、協力しあう必要がある。従来の金融界においてブロックチェーンの話題は今、本当に理解すべきものというよりも熱狂的なレトリックのように扱われているのが実情である。

この問題の核心は、ブロックチェーン取引が匿名または追跡不可能であるという根本的な誤解にある。ブロックチェーン取引は疑似匿名であり、ほとんどの状況において従来の銀行取引よりも追跡可能性と透明性を提供することが可能だ。ブロックチェーン上で行われる違法行為は、例えば現金取引よりもはるかに追跡可能である。

このように計り知れない可能性を秘めたテクノロジーは、規制された上で誰もがアクセスでき、有益なものとなるべきなのである。ブロックチェーンやデジタルアセットはすでに私たちの活動方法に革命をもたらしており、規制措置もそれに倣う必要がある。昔ながらの指示を出し、それに従わせ、不公平な罰を与えるというのは未来のあるべき姿ではない。新しい方法をきちんと実行すべきなのである。

アウトロー時代の終焉

国際的な基準を遵守していることがわかっているユーザーのデータベースを利用して、活動を監視することはすでに可能だ。承認されたユーザーやベンダーを知ることで、業界はより早く違法行為や不正行為を発見することができ、違法なユーザーを特定して制限することができる。

提示された規制をよく考えて調整することで、信頼を確保し、ブロックチェーンの可能性を適切に活用するための検証済みネットワークをまとめて構築することができ、システムを破損したり操作したりしようとする有害因子を排除することができる。これは国際的な金融犯罪を起訴し、世界中で暗号資産の正当性を確保するための大きな一歩となるだろう。

暗号資産のアウトロー時代は終わったものの、暗号資産は今前例のないレベルの正当性を獲得しており、規制当局の監視を遵守することでのみ維持、強化することができる。

そしてその規制当局の監視は、ブロックチェーン取引に旧来のやり方をそのまま丸写しするだけのものであってはならない。むしろ、犯罪行為に対抗し、投資家の信頼を高め、暗号資産を望ましい金融投資にする仕組みそのものをサポートしていくようなものでなければならないのである。

画像クレジット:cokada / Getty Images

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(文:Henrik Gebbing、Wilhelm Nöffke、翻訳:Dragonfly)

double jump. tokyoがビットフライヤーとNFTでタッグ、LINEとの協業強化やバンダイナムコへの第三者割当増資も

double jump. tokyoがビットフライヤーとNFTでタッグ、LINEとの協業強化やバンダイナムコへの第三者割当増資も

double jump.tokyo(DJT)は9月3日、ZホールディングスCVC「Z Venture Capital」(ZVC)、バンダイナムコエンターテインメント(BNE)およびバンダイナムコライブクリエイティブ(BNLC)、bitFlyer Holdingsそれぞれに対して、第三者割当増資を実施したと発表した。調達額は非公開。また、bitFlyer HoldingsとのNFT事業などの協業、LINEおよびLINE Blockchainとの協業強化などを明らかにした。

DJTは、ブロックチェーンゲーム専業開発会社として2018年4月3日に設立。世界第1位の取引量・ETH売上を記録した「My Crypto Heroes」(現在の運営企業はMCH株式会社)、「BRAVE FRONTIER HEROES」「MyCryptoSaga」などのブロックチェーンゲームを開発・運営。ブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」やNFT事業支援サービス「NFT PLUS」、複数人で秘密鍵を管理できるビジネス向けNFT管理SaaS「N Suite」の提供・開発も手がけている。

Z Venture Capital、LINE、LINE Blockchain

ZVCは、「人類は「自由自在」になれる」というビジョンを掲げており、DJTへの出資を通じて、特にゲーム・エンターテインメント業界におけるブロックチェーン技術を通じた新たな価値体験の提供を目指す。

またZホールディングスのグループ会社LINE傘下企業LVCとの連携や、LINEの独自開発ブロックチェーン「LINE Blockchain」の活用など、ブロックチェーン領域におけるLINEグループとの協業関係を強化する。

LINEグループとの協業については、スクウェア・エニックスのIPを用いたNFTデジタルシール「資産性ミリオンアーサー」でLINE Blockchainを採用予定とすでに発表している。同件だけでなく、DJTとLINEグループは、今後もブロックチェーン領域で協業し、NFTをはじめとしたブロックチェーンのエコシステム拡大に取り組むという。

バンダイナムコエンターテインメントおよびバンダイナムコライブクリエイティブ

BNEおよびBNLCが所属するバンダイナムコグループは、「世界で最も期待されるエンターテインメント企業グループ」というビジョンを掲示。DJTへの出資を通じて、エンターテインメント領域における新たな価値創造を目指す。

bitFlyer Holdings

bitFlyer Holdingsは「ブロックチェーンで世界を簡単に。」をミッションに掲げ、傘下には日本・米国・EUの3地域において250万人超のユーザーを抱える暗号資産取引所を運営。また独自開発のエンタープライズ向けブロックチェーン「miyabi」を活用し、ブロックチェーンの社会実装を推進している。

bitFlyer Holdingsは、DJTへの出資を通じ、暗号資産取引所bitFlyerの顧客基盤を活用したNFT事業提携、各種コンテンツのNFT発行支援、DJTのブロックチェーンゲームにおける「miyabi」の活用検討など、NFT事業に関する幅広い協業関係を構築。bitFlyerグループとして新たな事業拡大を図る。

NFTプロジェクト「CryptoPunks」の生みの親がハリウッドの大手タレント事務所と代理店契約

ハリウッド最大のタレントエージェンシーの1つが、NFTゲームに参入する。

CryptoPunksの生みの親Larva Labsは、United Talent Agency(UTA)と、最も初期の、そして最も象徴的なNFTプロジェクトの1つをエンターテインメントとブランディングの世界に持ち込む代理契約を結んだ。

「UTA Digital Assetsの責任者であるLesley Silverman(レスリー・シルバーマン)氏は、The Hollywood Reporterに「暗号世界で生まれたIPが、より広範なエンターテインメント空間に進出する最初の機会の1つであり、彼らはそれを勝ち取りました。彼らは、本当にすばらしい方法で時代の流れに乗ったのです」と語っている。

この契約により、CryptoPunksは、映画、テレビ、ビデオゲーム、その他のライセンス分野で登場することになるだろう。また、Larva Labsの他のアートプロジェクトであるMeebitsとAutoglyphsも、今後UTAが担当することになる。今回の契約の条件は公表されていない。

NFTへの投機的な投資が爆発的に増加する中、CryptoPunksはこの分野で最も認知度が高く、価値のある先駆者の1人であり続けている。Larva Labsは、2017年にEthereum(イーサリアム)のブロックチェーン上で、アルゴリズムによって生成されたピクセルで表現されたフィギュア1万個を発売している。

素人目にも、そしておそらく訓練された目にも、CryptoPunksはさまざまなキャラクターの小さなピクセル化された肖像画にすぎない。ある人は海賊帽をかぶり、ある人はパイロットのメガネをかけてパイプを吸っている。しかし、暗号資産の世界では、CryptoPunksは社会的象徴であり、NFTへの初期の投資、個人的なスタイル、重要なことだが富を伝えるものでもある。

CryptoPunksの価値はゼロから急上昇し(当初は無料で配布されていた)、現在では最も安価なコレクターズパンクでも数十万ドル(数千万円)、最も価値のあるものでは数百万ドル(数億円)で販売されている。5月には、クリスティーズのオークションで、9つのCryptoPunksのセットが1700万ドル弱(約18億7000万円)で落札された。先週は、VISAもこのゲームに参加し、モヒカンで緑色のフェイスメイクをしたデジタルイラストのCryptoPunk #7610に15万ドル(約1650万円)を投じた。

Aリストのセレブリティを担当することで知られる伝統的なタレントエージェンシーがNFTゲームに参入することは注目に値しますが、このグループが暗号資産のワイルドな世界に足を踏み入れるのは初めてではない。2021年8月初め、UTAはRallyという会社と契約を結んだ。この会社は、クリエイターがブランド化されたソーシャルトークンを発行し、ファンが商品や限定コンテンツに使えるようにするプラットフォームを運営している。

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画像クレジット:Lucas Matney/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Katsuyuki Yasui)

NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版開始、K-1やYouTuberヒカルさんが出品ほか漫画家・東村アキコさんも予定

NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版開始、立ち技格闘技K-1やYouTuber・ヒカルさんが出品ほか漫画家・東村アキコさんも予定

GMOインターネットグループのGMOフィナンシャルホールディングスの連結会社「GMOアダム」は8月31日、NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版の提供を開始した。立ち技格闘技K-1やYouTuber・ヒカルさんはじめ、総勢36名の漫画家・イラストレーターによる作品などの多くのファンを持つデジタルコンテンツ計1192点の出品・販売がすでに行われている。また今後は、漫画家・東村 アキコさんの作品の出品も予定。近日中に一般のアーティストを含む、より幅広い方が出品する形で正式版を提供する予定としている。

Adam byGMOは、NFTを活用したコンテンツ流通革命の支援を目的とした、真正性と安全性の高いデジタルコンテンツの決済・流通を実現する、NFT出品・購入のためのプラットフォーム。Ethereum(イーサリアム)による決済ほか、口座振り込みやクレジットカード払いに対応するなど複数の決済手段を備えており、暗号資産の扱いに慣れていない方でもNFTコンテンツを購入しやすいよう配慮している。

また作品購入の都度、NFTコンテンツの作者・クリエイターにロイヤリティを還元する仕組みを採用しており、クリエイターのファンは「Adam byGMO」で作品購入を行うことで、応援するクリエイターへの支援も行えるとしている。

【コラム】アダルト系SNS「OnlyFans」の性的コンテンツ禁止でクリエイターは「権利章典」について語り出す

性的に露骨なコンテンツを禁止するというOnlyFansの決定に端を発して、テック企業、コンテンツガイドライン、セックスワークをめぐる重要で見過ごされがちな会話が再燃している。しかし、こうした議論の意味するところは、1つのプラットフォームと1つの周縁化されたグループだけにとどまらない。

これは、クリエイターがコンテンツを共有してフォロワーやファンと関わることを可能にする方法に対して、プラットフォームが巨大なコントロール権を有しているという、コンテンツクリエイターにとっての壊れたエコシステムを示唆している。これに対応して、クリエイターたちは分散化し、複数のプラットフォームへのリーチを広げ、オーディエンスを引き連れている。

そうすることで、クリエイターは、これらのプラットフォームにどのような権利を組み込みたいかを定義する機会も得ている。

歴史は繰り返す

クリエイターが個々のプラットフォームから締め出されるのは目新しい話ではない。OnlyFansのポリシー変更について、2018年にTumblrがアダルトコンテンツを禁止した動きと比較する向きがあるが、これはYouTubeにとっても継続的な問題であり、LGBTQユーチューバーのグループを含むいくつかのコミュニティは、プラットフォームが彼らを非収益化アルゴリズムで標的にしていると非難している。

OnlyFansを含むこれらのプラットフォームの多くは、特定の種類のコンテンツを許可する際の障壁として支払いパートナーのポリシーを挙げている。この領域における主要な論争として最も初期のものは、PayPalが2010年にWikiLeaksを禁止した時に見られた。

こうした事象はいずれもクリエイターとフォロワーの怒りを買ったが、それはエコシステム全体の問題を示唆するものであり、必ずしもプラットフォーム自体を非難するものではない。

結局のところ、これらのプラットフォームは、クリエイターがオーディエンスを構築し、ファンと関わる機会を提供してきたのである。しかし一方で、これらのプラットフォームは、規制上のリスクや評判上のリスクから自らを守るためのポリシーを整備する必要もあった。

これは、すべてのガイドラインやポリシーが悪いということではない。それらは思慮深いガイドラインの下で、ポジティブで安全なコミュニティを醸成し、管理する役割を果たしている。しかし、これらのプラットフォームをコンテンツとエンゲージメントで活性化するクリエイターに損害を与え、彼らをプラットフォームから切り離すという犠牲を払うべきではない。問題の核心は、クリエイターが個々のプラットフォームに依存しており、ポリシーの変更に対して常に脆弱で、プラットフォーム間のオーディエンスと収益化の移行という痛みをともなう作業を余儀なくされることにある。

そして最終的には、有意義なコンテンツを作成し、コミュニティと関わり、信頼できる生計を得る能力が失われてしまう。

クリエイターのプラットフォームに対するコントロール力がますます失われていく中、一部のクリエイターたちは、オーディエンスからの独立した直接的な収益化を分散した方法によって可能にする、代替的な選択肢を模索し始めている。

分散化、収益化

ファンから直接収益化するモデルは、クリエイターたちが長年頼りにしてきた従来の広告ベースのプラットフォーム主導モデルをすでに置き換えつつある。筆者はPatreonに在籍していた時、コントロールとオーナーシップをクリエイターの手に委ねることで、より持続可能で、公正で、活気のあるクリエイターエコノミーが構築される様子を目にした。Substackはライターにも同様に強力な金融ツールを提供しており、クリエイターに奉仕する企業がここ数年にわたって増え続けている。

課題は、これらの企業の多くが、過去のプラットフォームを無力にした既存のシステムに依存しながら、テイクレート(手数料などの割合)と収益配分が必要なビジネスモデルを持っていることである。多くの点で、クリエイターエコノミーは、クリエイターとファンのインタラクションの次の段階を構築するために、新しいインフラストラクチャとビジネスモデルを必要としている。

適切なアプリケーションであれば、暗号資産により、クリエイターがどのように収益化し、ファンと関わり、プラットフォームとパートナーを組むかについてのプレイブックを書き換えることができる。そのピア・ツー・ピアの構造は、ファンとの直接の関係を反映するものであり、クリエイターは、テック大手や支払いパートナーを仲介者として頼ることなく、オーディエンスとの金銭的関係を持つことができる。さらに暗号資産は、クリエイターが所有権を維持し、ブランドや知的財産を管理することを可能にする。

加えて多くの暗号資産プロジェクトでは、DAOやガバナンストークンを通じて、参加者がプロジェクトにおける価値提案、戦略的方向性、運用機能、経済構造について発言権を持つことができる。このようにして、クリエイターはプロジェクトに参加し、コミュニティとの関わり方に合わせて方向性を決めることができる。

クリエイターは、自らのコミュニティを動機づけ、関与させる能力を備えており、コミュニティ主導のプロジェクトから利益を得る立場にある。私たちは暗号資産のアダプションの初期フェーズにあり、クリエイターにはこのパラダイムシフトの未来を形作る巨大な機会がもたらされている。ソーシャルトークンを使えば、クリエイターは自分の暗号資産をマイニングすることができ、クリエイターとファンが共に成長し、異なるプラットフォーム間で直接取引するために利用できる共有エコノミーが実現する。

別のカテゴリーとしてNFTが存在するが、2021年に入って爆発的な人気を集めているものの、今のところ業界はNFTが持つであろう有用性の表面をなでているにすぎない。クリエイターたちと暗号資産プロジェクトは、NFTをコレクティブル以上のものにする方法を模索している。つまり、NFTが提供するエンゲージメントの高い機能的なデジタルツールにより、クリエイターはファンに(ビデオ通話やAMAを通じて)自分の時間を提供したり、その他の独占的なメリットをもたらすことができる。

クリエイターたちは、暗号資産がもたらす力を見出そうとしている。暗号ベースのプラットフォームのユーザーエクスペリエンスがより直感的になるにつれて、暗号資産はどこにでも存在するようになる。その前段階として、クリエイターたちは、自らが利用している分散型サービスにどのような権利が必要か(そして要求できるか)について考えるべきであろう。

クリエイターの権利章典

暗号資産の中であるかどうかにかかわらず、クリエイターたちはついに自分たちの権利を決定する力を手にした。筆者は、クリエイターこそがこの会話をリードすべきだと考えているが、ここでいくつかのポイントを挙げておこうと思う。

  • プラットフォーム間を自由に移動する能力:個々のプラットフォームへの依存は、クリエイターが直面する多くの問題の中心的なものである。クリエイターがどこへでもファンを連れて行けるようにすることで、ファンからの直接収益化においても見られてきたような、多くの問題を解決することができる。
  • クリエイターとファンの直接的な金銭的関係:OnlyFansの問題の中心にあるのは、クリエイターがファンとの金銭的関係を持つことができなくなることである。たとえ直接的な金銭的関係がすべてのプラットフォームで実現可能ではないとしても、クリエイターはそうした関係を所有し、自らの条件を決定するための選択肢を持つべきである。
  • クリエイター主導の意思決定:これまでプラットフォームは、クリエイターに対し、プラットフォーム全体の意思決定とポリシーに関する最小限のコントロールしか与えてこなかった。クリエイターは直接的なインプットを持つべきであり、プラットフォーム全体のさまざまな施策について投票することさえできるべきである。
  • 量よりも質:プラットフォームとそのアルゴリズムは、量に報いるために構造化されており、クリエイターを燃え尽きさせ、コンテンツ作成を超高速化する。クリエイターとファンの両方が、より深く、エンゲージメントの高いインタラクションを求めており、この行動を奨励することで、より活気のある、持続可能なクリエイターエコシステムが実現するだろう。
  • 低い(あるいはゼロの)テイクレート:大手テック企業は収益のほぼ100%をクリエイターから得ている。クリエイター(とそのファン)は、プラットフォーム収益の大部分を得るべきである。
  • 公正性へのアクセスや収益の分配:大手テック企業はクリエイターの労働力を利用して帝国を築いてきた。分散型プラットフォームは、クリエイターに広告収入の支払いを命じるのではなく、クリエイターがパイの一部を完全に所有したり、エコシステム全体の成長から利益を得たりすることによって、真の「skin in the game(個人的な関与 / 自らの能力や資産を投資すること)」をクリエイターが備えることを可能にするべきである。この利害関係の整合は、今日見られる資本と労働の分離からの大きな転換となるだろう。
  • 透明性とコンサルテーション:クリエイターは、自分たちに何ができるのか、何ができないのかを完全に把握し、ポリシーが策定され適応されていく中で、議論の席に座るべきである。プラットフォームのコンテンツモデレーションの決定や、非収益化の背後にあるアルゴリズムは、しばしば不透明で、広く適用され、インパクトを与えるクリエイターに相談することなく決定される。また、全体的な収益のパイの大きさとシェアを把握する必要もある。
  • 改良と再生の能力:私たちはみんな人間であり、クリエイターはプラットフォームによって設定されたガイドラインを知らず知らずのうちに逸脱することがあるかもしれない。クリエイターが自らのコンテンツを回復させるためのスペースを作ることで、クリエイターとプラットフォームの間に、より信頼性の高い協力関係が生まれる。

私たちは、クリエイターたちに自らの条件を決定することを委ねたいと思う。彼らはあまりにも長い間この会話から締め出されている。それでも、RallyをはじめとするWeb 3.0エコシステムの主要な参加者の多くは、クリエイターとそのファンのために機能する環境を作るためのこの取り組みを、オープンにサポートしてくれると筆者は確信している。

編集部注:本稿の執筆者Bremner Morris(ブレムナー・モリス)は、クリエイターやアーティストが独自のデジタル通貨を立ち上げ、ファンコミュニティとともに持続可能な独立した経済を構築することを可能にする暗号プラットフォームRallyのCMO/CRO。以前は、Patreonのグローバル・ゴー・トゥ・マーケットおよび収益部門の責任者を務めていた。

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画像クレジット:Sean Gladwell / Getty Images

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(文:Bremner Morris、翻訳:Dragonfly)