機種を問わない無人飛行ソフトを開発するスタートアップXwingが10億円超を調達

自律飛行のスタートアップであるXwing(エックス・ウィング)は5月20日、新型コロナウイルス(COVID-19)到来前に1000万ドル(約10億8000万円)の資金を調達したことを明らかにした。サンフランシスコに拠点を置く同社は、この資金を使って今年中のFAA(連邦航空局)認可待ちの商業化を目指してソフトウェアのエンジニア強化と事業拡大を進める。

今回完了したシリーズA調達ラウンドのリードインベスターは、R7 Partners(R7パートナーズ)。ほかにアーリーステージVCのAlven、Eniac Ventures(エニアック・ベンチャーズ)、Thales Corporate Ventures(タレス・コーポレート・ベンチャーズ)が参加した。Xwingはすでに新たな資金とともに複数の主要幹部を雇っている。Terrafugia(テラフージア)の共同創業者で元COOのAnna Dietrich(アナ・ディトリッチ)氏、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Aurora Flight Sciences出身のベテランで、最近ではUber(ウーバー)の自動運転車部門やZipline(ジップライン)の配達用ドローンのガイダンス・ナビゲーションと制御を指導していたEd Lim(エド・リム)氏だ。

Xwingは、最近出てきた他の自律飛行スタートアップとは少々違っている。この会社は無人のヘリコプターや飛行機を作っていない。作っているのは、小型旅客航空機のパイロットレス飛行を可能にするソフトウェア・スタックだ。

また、Xwingは航空機の種類に依存しない。同社のエンジニアは自律飛行に不可欠な機能である検知、推論、制御の技術に特化している。「さまざまな種類の航空機で動作するように作られたソフトウェア・スタックは、既存の航空機システムに組み込まれて使用される。既存の飛行機に付加するというこの戦略によって、製品展開を早めながら安全を維持しコストを抑えられる」と創業者でCEOのMarc Piette(マーク・ピエット)氏は語った。これは、規制当局の認可のためにも近道だ。

Xwingがいずれ自立型航空機をイチから作るつもりがあるかとの質問にピエット氏は「決められた機種に縛られず、テクノロジーを完成品としてではなく、成功への手段として開発することは、マーケティングの観点から見て効率的だ」と語る。

Xwingは前回の2018年夏の400万ドル(約4億3050万円)の調達ラウンド以来、技術開発を進めており無人航空機の飛行許可を得るためにFAAに働きかけてきた。ひとたび承認が得られれば、無人飛行の商業化を目指すつもりだ。

同社はまだ商業化のパートナーを明らかにしていない。またピエット氏は商業化戦略についても詳細を話していないが、今年はさらに発表があると言っていた。

XwingはヘリコプターメーカーのBell(ベル)と共同で、米国における無人飛行機の完成に必要なキー・テクノロジーの成熟を目的としてNASAが進めているプロジェクト、無人航空機システム(UAS in the NAS)プログラムに参加している。プログラムでは今年の夏にデモンストレーション飛行を行う計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自律運転車より自律飛行機の方が先に実用化されるとGoogleの自律運転チームの創設者は語る

十分に高い高度に上ってしまえば、自律運転車を悩ませる歩行者や交通渋滞のような、多くの障害について心配する必要はなくなる。それこそが、Googleの自律運転チームの創業者であり、飛行機スタートアップKitty Hawk(キティ・ホーク)のCEOに転じたSebastian Thrun(セバスチャン・スラン)氏が、米国時間10月3日にTechCrunch Disrupt SFのステージ上で、真の自律性は路上よりも先にまず空中で成功するだろうと口にした理由だ。

「自律運転車を完成させる前に、自律飛行機を成功させることになると私は信じています」とスラン氏はTechCrunchのコロセック記者に対して語った。

 

その理由は?「少しばかり空中を上ると、子どもや、自転車、そして他の車などに衝突しないようにする難しさが全て消えてしまうのです。建物を超え、木を超えて、ヘリコプターのように飛んでいくのです!」とスラン氏は説明したが、個人用ヘリコプターはあまりにも喧しいので、カリフォルニア州ナパのような場所では禁止されていると指摘した。

スラン氏によるこうした表明は、都市がどのように計画され、不動産が購入されるかについて広い影響を及ぼす。自律運転車専用道路車線が必要になるよりも早く、より多くの垂直離陸ヘリパッドが必要になるのかも知れない。カリフォルニア州ビッグサーのように、そこに行くためには曲がりくねった道が1本しかないような森林内にある多くの遠隔地が、突然アクセスしやすくなって、都市やオフィス自律飛行機で通うことのできる富裕層にアピールするかもしれないからだ。

また、このコンセプトは、スタートアップ業界にも広範な影響を与える可能性がある。明らかに、スラン氏自身の会社であるKitty Hawkは、早すぎることのない市場投入による恩恵を受けるだろう。本日Kitty Hawkは、超静音設計のHeaviside機を発表した。もし予言が実現した場合には、垂直離陸機に投資しているUberは、Lyftや他の車に焦点を当てている配車プレイヤーたちよりも良い位置を占めることになるだろう。

その垂直上昇機が禁止されないように、そしてより多くの自律飛行を確保されるように、最近Kitty Hawkは、元FAA管理官のMike Huerta(マイク・ウエルタ)氏を顧問として迎え入れた。

そしてスラン氏は、自動車はさまざまな道を経由して移動する必要があるが、空中では「直線的に移動するので、Teslaに比べて1マイルあたりのコストは3分の1くらいになるだろうと考えています」と語った。また、共有されるUberPoolスタイルのフライトなら、エネルギーコストは「1マイルあたり30セント(約32円)」まで下がると彼は予想している。

しかしその一方で、スラン氏は、私を含め人びとに「フライングカー」(Flying Car)という言い方を止めさせたいと考えている。「私は個人的に『フライングカー』という言葉が好きではないのですが、何しろそれはとてもキャッチーです。技術用語としてはeVTOLと呼ばれます。これらは通常は、電気を使って飛行する機体で、垂直に離陸と着陸を行うことができます。このため空港は必要ありません。そして、それらはほぼ普通の飛行機のように飛びます」。その言葉が実際のものになるのか、そして道路が狭くなるまえに空がより混雑するようになるのかを見極めることにしよう。

Kitty Hawk Heaviside starry night

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(翻訳:sako)

Skydioの「自律飛行」ドローンの第2世代は速くて小さくて値段も半分

Skydio(スカイディオ)の初代自律型ドローンR1と、DJIのどれかの製品とどちらを買おうかと迷う人は、それほどいなかっただろう。R1は、どうしても予備機として位置付けられがちなものであり、値段もほぼ2000ドル(約22万円)と高価だった。ユーザーにとって、技術的には優れていてときには便利な場面もあるが、やはりちょっと変態的なものだったのは否めない。

ワクワクさせられるようなものであっても、どうしてもかなりニッチな製品だったのだ。Skydioは、それとはまた異なった種類の自律型ドローンを開発するために、Andreessen Horowitz、IVPおよびPlayground Globalから、7000万ドル(約75億3900万円)の資金を調達した。

第1世代の機体は、見た目からしていかにもプロトタイプのような感じだったが、同社が間もなくリリースするSkydio 2は、メインの機体として持つのにふさわしい機能性を備えている。このドローンの価格は、初号機の半額の999ドル(約10万7500円)で、より速く飛び、はるかに小さくなり、よりポータブルで、バッテリー寿命も長い。オプションのアクセサリを使えば、一般的なドローンと同じように手動操縦で飛ばすこともできる。

R1の最大の問題は、その卓越した自律飛行モードが侵し難いデフォルトで、他の使い方はできなかったこと。2000ドルもする製品を買っても、日が暮れてしまうと、離陸することすらできなかった。飛行距離も短く、速度も速い方ではない。結局は、特殊な状況では役に立っても基本的なことができない、というデバイスに縛られてしまうことになる。ただし、以前には考えもしなかったようなショットが撮れるのも確かだ。たとえば、スノボで山の斜面をバレリングして滑り降りながら、後ろにぴったりドローンを追従させて撮影するようなことも可能だ。それでいて、ドローンを操縦して水平に動かしながらパノラマ的な映像を撮ることはできない。そうかと思えば、組み込まれた動作を使って、映画の1シーンのような「ドローニー」と呼ばれる一種の自撮りはできる。

Skydio 2は、やはり自律飛行に主眼を置いているが、オプションで、マニュアル操縦が可能な149ドル(約1万6000円)のコントローラーも用意している。また、ドローンをより遠くまで飛ばし、ユーザーをさらに正確に追跡できるビーコンも、同じく149ドルのオプションとして用意する。ドローンの飛行レンジは、スマホで操作する場合には200m、ビーコンなら1.5km、コントローラーなら3.5kmとなっている。

速度はかなり速くなり、航続時間もじゃっかん長くなっている。第1世代の最高速度が26mph(約42km/h)だったのに対し、第2世代の機体は36mph(約58km/h)となった。バッテリー寿命は23分で、まだDJIのMavic 2には及ばないが、Skydioの初号機の性能は上回っている。

新しいコントローラーを使って、このドローンを飛ばしてみる機会が得られた。このドローンは、その賢さを、操縦者が忘れてしまったころに真価を発揮する。通常のドローンでは、林立する木の間を真っ直ぐに飛ばすなどというのは、かなり熟練したドローンパイロットにとっても悪夢のような体験だ。それもSkydio 2なら朝飯前。真っ直ぐに進めという操縦者の指示は、大きな目的として守りながら、木の枝や幹といった障害物を避けながら進む具体的な経路を自分で探し出して飛ぶ。エキスパートになるつもりもない初心者の操縦者にとって、これは非常に価値の高い機能だ。少なくとも私が体験した範囲では、どんな状況でも安心して飛ばすことができた。

消費者向けドローンの市場は、多くのメーカーがかなり拮抗しているが、この価格であれば、Skydio 2は、先行する競合と比べても広い客層をつかみ、それなりに売れるだろう。

Skydio 2は、少ないリソースでより大きな成果を上げている。搭載するトラッキング用のカメラは、前任機が12台だったの対し、6台のみとなった。トラッキング用ではなく、ジンバルで保持されたSkydio 2のメインカメラの画質は、そこそこ何にでも使えそうな、4Kで60fpsという仕様の撮影が可能なもの。しかし、本当の映りを評価するには、もう少し長い間、このドローンを使ってみる必要があるだろう。

ドローン市場の現状を見渡してみれば、Skydioは、信じられないほど競争力のあるドローンを開発し、かなり手に入れやすい価格で販売しようとしていることがわかる。同社の最初の製品は、アクションカメラ愛好家向けの実験的なものだった。Skydio 2は、DJIの世界ではほとんど見られないような方法で、消費者向けドローン市場の風向きを変える可能性もある。

Skydio 2は、11月に999ドルで数量限定で発売される。発売に先立ち、現在同社のウェブサイトでは100ドル(約1万700円)で予約を受け付けている。同社は、昨年初めに発売した初号機を購入した人は、Skydio 2を「大幅な割引価格」で入手可能になるとしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Audi, Italdesign, Airbusの三社が自動運転飛行タクシーを設計し実動プロトタイプをテスト

ドイツの自動車メーカーAudi, ヨーロッパの航空機メーカーAirbus, そして自動車専門のイタリアのデザイン企業Italdesignの三社が、火曜日(米国時間11/27)に、彼らの未来のビジョンの縮尺バージョンをプレゼンした。それは、タクシーを自動運転電気自動車から外して、目的地へ飛び去っていくドローンだ。

三社は、アムステルダムで行われたDrone Weekで火曜日に、その空飛ぶタクシーのコンセプトを披露した。

そのデモのさまざまな段階を、下のビデオで見ることができる。

正確に言うと、三社が見せた“Pop.Up Next”は実物の1/4サイズの実動プロトタイプで、小さすぎて人間は乗れない。

しかしそれでも、彼らは将来に関して楽観的で、10年後には実用供用される、という。

“空飛ぶタクシーはもうすぐ実用化される。Audiでわれわれはそれを確信している”、とAudiの部品調達とIT担当取締役で、Audiの子会社Italdesignの社長Dr. Bernd Martensが声明で言っている。“ますます多くの人びとが都市へ移り住み、そして自動化によってますます多くの人びとが都市内移動をするようになる。未来には、高齢者や子どもたち、そして運転免許証のない人たちが、便利なロボットタクシーを使おうとするだろう。それらのトラフィック(交通量)を、道路と空域の両方にスマートに割り当てることに成功したら、人間と都市の両方が大きな福利を得るだろう”。

AudiはYouTubeのビデオで、空飛ぶタクシーの供用開始は次の10年以内に十分可能、と言っている。

そのときに備えてAudiは、Airbusの子会社Voomの協力により、オンデマンドフライトサービスのあるべき形をテストしている。メキシコシティやサンパウロでは顧客がヘリコプターのフライトを予約できるが、そのときAudiがヘリポートと自宅などとの間の交通機関を担当する。

“このような実用サービスを実施することによって、顧客のニーズをよりよく理解できる。未来には空飛ぶタクシーがさまざまな都市住民にアピールしなければならない。われわれのPop.Up Nextでわれわれは、技術的に可能なことと、顧客のニーズの両方を探求している。次のステップは、フルサイズのプロトタイプの試験飛行と運用だ”、とMartensは言っている。

Audiは、インゴルシュタットの飛行タクシープロジェクトUrban Air Mobilityも支援している。これは、Audiの敷地で行なう飛行タクシーの運用試験の、準備のための企画だ。

画像クレジット: Audi

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自律飛行するカメラ付きドローンHover 2がKickstarterで快調

最初のHoverから二年後に、Zero Zero Roboticsがその続編を持って帰ってきた。2016年にはシリーズAで2500万ドルを調達したが、今回はKickstarterのクラウドファンディングで、その自律飛行ドローンの最新バージョンは10万ドルを目指している〔日本時間11/15 17時現在ですでに37万ドル近く集まっている〕。

そのHover 2の発売は2019年4月発売を目指しており、障害物回避や視覚追跡機能、および内部機構の一部がアップデートされている。プロセッサーは、新しいSnapdragonが載っている。

二軸ジンバルにより画像の安定を図り、スムーズな撮影を目指している。カメラは4Kビデオと12mpの写真を撮れる。いろんな撮影モデルをオンボードで用意し、映画にヒントを得たフィルターや音楽もある。電池は一回の充電で23分の撮影が可能だ。

もちろん、Hoverの第一の競合機種DJIのMavic系列は、2016年のProのローンチ以来、さまざまなカテゴリーで大きくリードしている。つまり、競走は相当厳しい。Parrotですら、ビデオ撮影に特化したAmafi系列を本気で売ろうとしている。

初期の出資者の手に399ドルで渡るHover 2は、ハンドヘルドのDJI Sparkとほぼ同じ価格だ。価格には、小さなハンドヘルド(手持ち)のリモコンが含まれている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

空飛ぶタクシーのLilium、AudiとAirbusの元幹部を招聘

未来的な空飛ぶタクシーサービスのための垂直離着陸機を開発するLiliumは、AirbusAudiから大物の元幹部を招き入れ、テクノロジーを向上し市場にサービスを提供する準備を進めている。

Mirko Reuterは、Audiで自動運転の責任者を務めていた人物で、無人飛行の責任者として取締役に就任する。Jakob Waeschenbachは元Airbusの機器組立責任者、Rochus Moenterは元Airbusの財務・投資部門担当副社長で、それぞれ飛行機組み立て責任者、および法律顧問・法務責任者としてLiliumに加わる。

Liliumは2015年にDaniel Wiegand、Sebastian Born、Patrick Nathen、およびMatthias Meinerによって共同設立され、そのビジョンは独自の垂直離着陸機のネットワークを構築することで航空移動のコストを削減し、パリからロンドンまで乗客を1時間以内に運ぶことにある。

Audiで長年自動運転の長を務めたReuterは、無人航空機システムに必要なプロセスと技術の開発を受け持つと同社は声明で述べた。

「私は、社会のあらゆる分野で広く使われる効果的で利用しやすい輸送を可能にする革新的サービスを開発する、という当社のミッションに全力を注いでいる。Liliumは新しい革命的な輸送手段を開発しており、その一端を担えることを非常に嬉しく思っている」とReuterが声明で語った。

Liliumは2019年に最初の機体を送り出す準備を整えるなか、経営チームを強化していると記事は伝えている。2017年、同社は9000万ドルの新たな資金調達を行い Tencent、国際民間銀行資産管理グループの LGTAtomico、Skype共同ファウンダーのNiklas Zennströmが設立したLiliumのSeries A支援者、およびTwitterのEv Williamsが共同設立した初期ステージVCファンドのObvious Venturesらが出資した。

こうした投資や有力幹部の入社は、益々競争の激しくなるこの業界でLiliumのビジネスに信用を与える(そう、空飛ぶタクシー業界は競争が激しい)。

ドイツの自動車メーカーDaimlerは、Volocopterを支援する投資家コンソーシアムに参加して約2850万ドルを出資し、配車サービスのUberはブラジルのEmbraerやスロベニアのPipistrelと組んで、独自の空飛ぶタクシーを開発している。実は飛行機メーカーのAirbusも、独自の無人空飛ぶタクシーVahanaを開発中で、数年のうちに市場に出したいと考えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

[ビデオ]Airoboticsの完全自動運航ドローンのデモを見る

テルアビブに近い、倉庫と壊れた歩道だけという荒涼とした地域の低空を、ドローンが飛んでいる。そいつはゆっくりと、自分の家に接近する。それは金網のフェンスの中にある冷蔵庫サイズの箱だ。ドローンはその上でホバリングし、着地に備える。まるで、大きな虫が、ブンブン鳴きながら下降するようだ。基地に戻ったドローンはきれいにされ、充電されて空に戻る。このドローンはしかし、不可能に近いことをする: 離陸も着陸も自動的に行い、人間がコントロールしなくても、何度でも離陸着陸充電離陸…を繰り返す。そしてそのためのシステムは外付けの装置ではなく、本機に内蔵されている。そのため、とってもクールなマシンに見える。

この自動運航ロボットを作ったAiroboticsが、本誌取材陣を本社に招待し、製品のデモを見せてくれた。このビデオでは、自動運航ドローンの仕組みや、人間がなかな行けない地域での地図作りや監視などへの利用、ひいてはドローンの自動飛行の未来について同社の人たちが語っている。そのうち、ジャングルや砂漠や戦場などで、これらのドローンが活躍するようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自律型攻撃ドローンによる果てしない復讐戦を避けよ

西側が中東を空爆した:デジャビュ以外のなにものでもない。20年前、米国はトーマホーク巡航ミサイルでスーダンとアフガニスタンを攻撃した。そして2日前、米国はシリアを攻撃した…やはりトマホーク巡航ミサイルで。各攻撃のメリット/デメリットはともあれ、この20年の間に小規模戦略戦攻撃のための技術が変化していなかったというのは、少々驚くべきことではないだろうか?

とは言うものの、次の10年で、戦略は大幅に変化するだろう。しかもおそらくそれは良い方向にではない。先週Kelsey Athertonがツイートしたこの鋭い1行に思いを馳せてみて欲しい:

戦争の未来は100ドルのクワッドコプター(四角形)たちを迎撃する100万ドルの灰色の三角形たちとなるだろう

もちろん、安価なドローンたちは、すでに戦場で小規模には用いられている:ISISが、ヒズボラが、ハマスが、そして麻薬カルテルたちがそれを利用している。そしてもちろん世界中の、従来の国家の軍隊によっても。しかしそれらは、人間の操縦するドローンであり、かつ短距離、しばしば場当たり的な方法で使用されている。興味深いが実際には戦略的に重要ではない。

その一方で、現在世界は人工知能とオートメーション技術のカンブリア大爆発の真っ最中である。たとえば、自動運転者の1人開発プロジェクトとして始まったスタートアップのComma.aiのことを考えてみて欲しい。あるいは驚くべきSkydioについて考えてみるのも良いだろう。この自律飛行ドローンは障害物を避けて飛行しながら、あなたの後をどこまでも追う。

…私たちがどこに向かっているかおわかりだろうか?現在は、強大な軍事力だけが数発の爆弾を遠くの敵に投げつけて、政治的論点を強調することができる。だが、大きなSkydiosの群れを想像してみてほしい。それらは指定されたGPSの位置、もしくは視覚的ランドマークをめがけて飛ぶ、もしくは特定のナンバープレートの車を追いかけるように再プログラミングされている。もちろん大量の爆発物を抱えてだ。

トマホーク1基の費用は187万ドルである。個人的には、ISIS、ヒズボラ、ハマス、そしてシナロア・カルテル(メキシコの犯罪組織)などの有能で裕福な非国家勢力…その他のあらゆる好ましからざる勢力が、自律飛行で対象を狙う攻撃型ドローンの群れを生み出す日は、それほど遠くないのではと思っている。そうしてその群れを目標となる場所へと送り込むのだ…1基のトマホークよりも遥かに少ない費用で。自律飛行と目標追跡のためのソフトウェア/AIモデルは、自動運転車のような完璧さを求められることはない。武力を誇示してパニックを起こしたいだけなら、50%の失敗率でも効果は十分以上だ。

国家やテロ勢力、麻薬カルテル、夢想的カルト集団などが、何千人もの人びとに犠牲を与え、数百万人に絶え間ない恐怖を与える能力を持つ多極化した世界で、果てしない相互テロの応酬を想像することは、ぞっとすることながら極めて容易である。強い復讐の炎に包まれた沢山の様々な勢力が、散発的に果てしない攻撃を加えてくる。それぞれの攻撃での犠牲者はせいぜい100人程度だとしても、攻撃を受ける側に底なしの恐怖と怒りを引き起こす。制御することの難しい怒りだ。ハッキングのように、自律ドローンによる攻撃は非常に防ぎにくい。

おそらくこれをSF的な妄言と笑うこともできるだろう。それにも一理ある。このようなことがまだ起こっていないことは事実だ、しかし商用ドローンの兵器への応用例は、はっきりとした警告のサインなのだ。ドローンの馬がまだ1匹もやってきていないのに、納屋のドアを固く閉ざそうとするのは、間違っているし馬鹿げた先走りだという意見には同意する。西側諸国が、研究の制限やハードウェアやソフトウェアのコントロールを考え始めるべきだと言いたいわけではもちろんない(まあ、たとえそれが上手く行ったとしても、それは結局は無意味だ、ドローンのハードウェアは安く、研究開発はグローバルに行われているからだ)。

しかし、もし自律飛行する攻撃型ドローンが、非対称戦略攻撃を可能にした場合には、それらにどのように対処すべきかについて考え始めることは、時期尚早ではない。そして、それが起こる前に、武力行為を最小限に抑えようと努力することも早すぎることはない。理想的には、大きな怒りを感じる度にミサイルを投げつけて解決しようとするのではなく、世界中で燃え盛る紛争の根本原因を解消するように務めることが大切なのだ。なぜなら、私たちが力で対抗しようとするなら、それほど遠くないある日、私たち自身の災厄となって跳ね返ってくるからだ。

(本記事の原題は “Mutual assured dronestruction” というものである。これは “Mutual assured destruction” (MAD:相互確証破壊、2つの核保有国が核戦争を起こせば確実に双方とも滅んでしまう状況)のもじりで、ドローン群による果てしないゲリラ的復讐戦に対する心配を表現したものである)

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(翻訳:sako)

Airbusの空飛ぶタクシーVahanaが地上5メートルの初のテスト飛行に成功

つい昨日(きのう)のことのようだが、Airbusの電動で自動操縦の垂直離着陸機Vahanaは、単なる絵に描いた餅のようなコンセプトだった。それが今や、実際に飛んだ。実物サイズのプロトタイプのテスト飛行は1分にも満たなかったが、その間Vahanaは完全に自動操縦で地上16フィート(5メートル弱)を滑空した。

Vahana VTOLは、見る角度によっては複雑なヘリコプターのようだし、あるいは着陸しているドローンのようだ。開発したのは、Airbus社のシリコンバレーのR&D部門A³で、都市内交通機関としての実用化を目指している。路上の渋滞を無視できるし、従来の航空機と違って、短い停留所間距離にも適していることを、売りにしている。

まだまだ実際の商用化にはほど遠いが、最初の飛行が成功した、とは言えるのであり、次の日にもまた飛んだから、開発は正しい路線を進んでいるようだ。

次のテスト飛行の課題は、単なるホバリングではなく、指定された方向へ飛ぶことだ。人や物をA地点からB地点に運ぶためには、もちろんその機能が欠かせない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Aurora Flight Sciencesが完全自律型ヘリコプターのデモンストレーションを行った

Aurora Flight Sciencesは、本格的な自律型戦闘機を実現することに取り組んでいる企業だが、いよいよその成果の一部が実用化されようとしている。同社は、1機の自律型ヘリコプターを披露したが、それは同社によるAutonomous Aerial Cargo Utility System(AACUS:自律型航空貨物運用システム)をデモンストレーションするために作成されたものだ。これは海軍による現在進行中の計画の一部である。そして今回UH-1Hヘリコプターを、離陸からミッションの完遂まで無事制御することに成功した。行われたミッションでは海兵隊員を搭乗させ、補給をタブレットで要求した他の人物の元へと、空中を移動した。これはUberで注文を出すやり方と似通っている。

この自律型パイロットシステムは、(垂直離着陸機ならば)特定の航空機には依存しないため、今回利用された、UH-1Hのような軽輸送ヘリコプター以外にも利用することができる。航空機には、障害物回避や経路計画を行うための、LiDARやカメラセンサーなどを含む、追加のハードウェアとソフトウェアが搭載されているが、それ以外は通常のヘリコプターと同様のものである。

Aurora社(同社は、ボーイングが自社の自律飛行への取り組みを促進するために、買収手続きを進めている)による今回のデモは、AACUSプログラムの締めくくりとして行われたものである。プロジェクトの成果は米国海兵隊に引き渡され、更なる実験と追加の実装が行われる、と同社は述べている。

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(翻訳:sako)

AIが操縦するドローンにレースで柔軟機敏に反応できる人間パイロットが勝った

人間にできることなら何でも、AIの方が上手にできる。最後には。

10月12日に行われたNASAのデモで、AIが操縦するレース用ドローンが有名なドローンパイロットKen Looと対戦した。

NASAのJet Propulsion Laboratory(ジエット推力研究所)の研究者たちは、Googleが研究資金を提供したドローンの自律飛行をこの2年間研究し、障害物を避けながら高速で飛ぶ三機のドローンを完成させた。いずれも、自分の視力としてカメラを搭載している。

三機のドローンはBatman, Joker, Nightwingと名付けられ、AIを3D空間にマップするGoogleのTango技術を組み込んだアルゴリズムを使用した。

それらのドローンは、直線飛行では最高時速130キロメートルだが、曲がりくねったテストコースでは時速65キロメートルが精一杯だった。

NASAのプレスリリースは、自律ドローンと人間パイロットの長短を論じている。AIが操縦するドローンはより堅実な飛行をするが、より慎重でもあり、高速時にはモーションブラーが問題になることもあった。一方、人間のLooは、数回の周航でコースをおぼえ、自律ドローンよりもずっと機敏に飛行できたが、疲労の影響が現れた。

“これまでの中で、断然最高に難しいコースだった”、とLooはプレスリリースで言っている。“パイロットとしてのぼくの欠点は、疲れやすいことだ。頭が疲れると、すでに10回も飛んでいるコースでも、間違えてしまう”。

最初のうちは、AIも人間も同じぐらいのラップタイムだったが、徐々にLooとの差は開き、最後には人間が勝利した。

今回の結論としては、自律ドローンは観測監視や緊急時対応などには使えそうだ。倉庫で在庫を調べるのも、向いているだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoftの自律グライダーは上昇気流を自力で探し空を舞う

Microsoftは、飛行するためにエネルギーをほとんどあるいは全く必要としない、自律飛行技術を開発したいと考えている。同社は、自己誘導システムを搭載したグライダーのテストを、ネバダ州の砂漠で完了したばかりだ。この自己誘導システムは、可能な限り長時間空中に止まることを目標に、気流の上昇する地点を追跡し、その動きを予測するものだ。

今回のテストは、空を舞うためのMicrosoftのシステムが、とても有望であることを示した。New York Timesは試験機がうまく飛べたことを報告した。これにより熱上昇気流がこの先どこで発生するかを予測する数式の正しさが証明された。この数式は自律飛行機が学習に基いて利用するもので、研究者たちによって開発されたものだ。しかし今回は、セールプレーン(グライダーの別名)による1回の滞空時間の記録を破るという最終目標にはわずかながら及ばなかった。

その記録は5時間を超えるものだが、Microsoftのテストチームは2日間に及ぶテストの中で、装置の問題のためにその目標に到達することはできなかった。しかし、このテスト結果は、彼らの自律飛行へのアプローチが正しい方向へ進んでいることを示した。それはシステムが無人飛行を行う際に出逢う最大の問題 − 不確実性 − への対処である。

気象システムは、熱上昇気流などを、ある程度の正確さで予測することができるが、それは確実なものとは言い難い。事前マッピングと経路計画で、空気循環の変化を完全に予測することはできない。したがって、自律飛行システムを持つグライダーは、次の熱上昇気流が飛行経路上のどこに現れるのかを予測できなければならない、そうすることで高度を維持するために上昇気流のから上昇気流を渡り歩いて行けるのだ。

もちろん不確実性への対処は、グライダー以外にも応用できる。あるシナリオに対処できる効果的なツールであれば、他の領域にも適用することができるだろう。さらに、無人で省エネルギーの飛行機を飛行させようとするMicrosoftの仕事は、未開地へのインターネットの提供や、リアルタイムの地表状況並びに天候のモニターなど多くの計画に大きなインパクトを与える可能性がある。

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(翻訳:Sako)

Elon Muskよ、自律飛行ドローンこそが未来の移動手段だ

circa 1962:  Cartoon family the Jetsons, comprised of George, Jane, Judy, Elroy, and Astro, flying in a space car in a space age city, in a still from the Hanna-Barbera animated television show, 'The Jetsons'.  (Photo by Hulton Archive/Getty Images)

【編集部注】執筆者のAdam SingoldaはTaboolaのCEO。

車が発明される前の時代の人に何が欲しいか聞いたら、”車”ではなく”速い馬”が欲しいと言っただろうというHenry Fordの有名な言葉がある。

私は今日の自動運転車が当時の速い馬にあたるのではないかと考えている。つまり自動運転車は現存するものの延長線上にあるものであって、決して新しいカテゴリーを生み出すものではない。想定の範囲内で革命的とは言えない。

こんなことを考えているとElon Muskという、おそらく自動運転車界でもっとも有名で情熱のある男に行き着く。

同じ車好きとして、私は彼を高く評価しているし、テック界の起業家としても彼を尊敬している。さらにElonは、ほとんどの場合において正しいというのも間違いない(Solar Cityに関してはもう少し時間をおく必要があるが、私は彼のことを信じている)。

そのため私は自動運転車のビジョンについて、彼と違った意見を持っていることを心苦しく思っている。将来的に人間が運転しなくなるというのは間違いないだろう。そして機械が運転手の役割を担うという意見にも賛同している。しかしその機械は、私たちの頭上から地上を見下ろしながら、州間高速道路を走っているだろう。

私たちは自動運転車をスキップして、自律飛行ドローンに乗ることになると私は考えているのだ。

Cartoon illustration of a flying car passing above other land vehicles

地上の車を飛び越えていく空飛ぶ車のイラスト

誤解しないでほしいのが、私は自動運転車のメリット自体はきちんと認識している。具体的には事故の減少、移動コストの減少、そして何より自由に使える時間の増加だ。

アメリカだけでも、車を利用した場合の通勤時間の平均は片道24分だ。つまり通勤に車を使っている人は、平均して最大20万分もの時間を会社への行き帰りだけに費やしていることになる。ここに買い物やほかの用事、旅行の際の移動時間、そして何かクリエイティブなことをする代わりに運転に脳を使っている時間を足し合わせると、膨大な量になる。

しかし自動運転車をスキップして自律飛行ドローンを採用することで、上記のような個人の問題だけでなく、社会的な課題も解決できる可能性があるのだ。

もしも自動運転車の代わりに、自律飛行ドローンで地上500メートルの高さに浮かべるとすれば、空中にドローンを停めて、いつでも好きな場所へ移動できるようになる。

一旦ここで一息ついて、私の意見に潜むバイアスを認識しておいてほしい。

私は車も好きだが、それ以上のドローン狂だ。私は自分が空を飛んでいるような気分になって、今まで見たこともないような景色を4Kで見るのが大好きだ。以前はDJI Phantom 3を使っていたが、その後4を購入し、今はMavicが到着するのを待っている(そして素晴らしいものは全てそうであるように、Mavicの到着はもちろん遅れている)。

しかしどうやらドローンに執着しているのは私だけではないようだ。Taboolaがアメリカのネットワークから抽出したデータによれば、人は1日に25万回もドローンに関する文章を読んでいる。

このあたりで話を元に戻すと、自律飛行ドローンの開発は、技術的には地上を走る自動運転車を開発するよりも簡単だ。というのも、自動運転車を開発するときには、歩行者や路面の悪い道路、突然あらわれるものなどを考慮しなければならない。

さらに自律飛行ドローンの方が安全性も高い上、そこまで高度な技術を必要としないため大量生産時のコストも恐らく自動運転車より低い。私は自律飛行ドローンが、水平に移動するエレベーターのように、ただボタンを押せば目的地に向かって飛んでいくようなシンプルなものになると考えている。将来的にはUberも、何台もの自律飛行ドローンを予め空に飛ばしておいて、ユーザーが”オンデマンド”でドローンを使えるようなビジネスをはじめるかもしれない(Wazeは乱気流レポートに差し替えなければいけないが)。

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自律飛行ドローンが誕生すれば、突然地上から500メートルの空間を自由に使えるようになる。それに対し、私たちホモ・サピエンスはこれまで20万年もの間、地上から1.5メートルの空間に全てを詰め込んできた。その結果発生した、駐車スペースの問題や渋滞、道路建設などは、自律飛行ドローンのもと、すぐに過去のものとなるだろう。

法規制も私の味方についている。ドローンを買うと、ほとんどの場合地上から500メートルより上には飛べないように予め設定されているが、500メートルもあれば十分だ。

今年に入ってから、私は実際に人用ドローンに乗ったことがある。正直少し怖かったが、未来の一部を見ることができ、とても感動する体験だった。

そろそろもっと高みを目指して考えて羽を広げ、自動運転車(速い馬)をスキップして自律飛行ドローンの考えにのっても良い頃だろう。

もしかしたら、宇宙家族ジェットソンはずっと前からそれに気づいていたのかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ドローン用衝突回避システムのIris Automationが150万ドルを調達

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産業用ドローンが本当の意味で自律飛行するのに必要な、障害物を”感知・回避”するテクノロジーを開発しているIris Automation Inc.は、この度150万ドルを調達したと発表した。

障害物を発見し、それを避けながら高速で動く機体を正確に操縦するというのは、人間のパイロットにとっても至難の業だ。しかしIrisが開発中のテクノロジーは、ドローンに取り付けられたカメラからの情報をリアルタイムで分析し、機体の動きを変えられるようになっている。「私たちは人間のパイロットのような視認・意思決定プロセスをソフトウェアで再現しようとしています」とIris Automation CEO兼共同ファウンダーのAlexander Harmsenは話す。

Y Combinatorの卒業生であるIris Automation以外にも、人工視覚システムを使ってドローンや(将来的には)他のロボットや車を自律化させるような技術を開発している企業は存在する。Irisが現在開発中のドローン用のシステムの競合としては、SRIからスピンアウトしたArea 17(別名a17)、Intel RealSense Technology、ParrtのSLAMdunkシステムそしてDJIのGuidanceシステムなどが挙げられる。

Harmsenによれば、衝突回避システムを自社で開発するだけの専門性をもっていないようなドローンメーカーをIrisは顧客として想定している。同社でR&Dディレクターを務めるAlejandro Galindoは、フランスのINRIA Labsでコンピュタービジョンの博士号を取得しており、初期からIrisで働く他の社員もメカトロニクスやファームウェア工学、センサーフュージョンなどの分野に明るい。

産業用ドローンに特別な衝突回避システムが必要だとIrisのチームが考えている理由は、消費者向けドローンと比較したときの使われ方にある。産業用ドローンは長距離を行き来し、地図には現れないような空中に飛び出したインフラをカメラで捉えなければならない。しかもそのようなインフラは、構造的な理由や天候の影響を受け、毎時間とはいわずとも日々変化する可能性がある。一方コンシューマーや”プロシューマー”向けのドローンであれば、普通はもっと短い距離を飛行し、空中写真や卒業式・結婚式の映像を撮影するのに使われるくらいだ。

Bee Partnersがリードインベスターとなった今回のラウンドには、Social CapitalGGV CapitalLiquid 2、Kevin Moore、Pau Bucheitらが参加していた。サンフランシスコに拠点を置くBee Partnerでプリンシパルを務めるGarret Goldbergは、Iris Automationを、一般に普及する前のエアバッグやシートベルトを製造していたメーカーに例える。

また彼は、長期的にはIrisのテクノロジーがドローン以外にも応用されるようになると話す。「車であろうがドローンや船であろうが、状況把握はとても重要なポイントです。万能なセンサーであるカメラとコンピュータビジョン、機械学習を組み合わせることで、システムも人間のように世界を見ることができるようになるでしょう」

Irisは今回の調達資金を使って、現在ベータ段階にあるソフトウェアベースの感知・回避テクノロジーを、商業化させたいと考えている。具体的な計画のひとつとして、同社で成長戦略・パートナーシップ部門のトップを務めるHassan W. Bhattiのもと、アーリーアダプター向けのプログラムが始まる予定だ。その後Irisは、アーリーアダプターに同社のシステムを、現実世界とシミュレーションの両方で出来る限りたくさん利用してもらおうとしている。

「システムのローンチ、スケールにあたっては、できるだけ長い時間システムを使ってドローンを飛ばし、フォールスポジティブやフォールスネガティブがないか調べ、規制機関や保険会社と話し合いながら、エンドクライアントと協力していくことが肝心だと考えています」とHarmsenは語る。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ハンズオン:自律飛行ドローンHover Camera Passport

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1年ほど前に、自律飛行が可能で、カメラも付いた新しいタイプのドローンが市場に(プレオーダーの形で)現れた。カメラとAIテクノロジーが組み合わさったこのドローンであれば、基本的にはユーザーが機体を空中に投げ上げるだけで、ドローンがユーザーの後ろをついて回って写真や動画を撮影することができる。

SnapLilyStaakerHoverなどがこのようなドローンの開発にあたっており、そのうちのほとんどが外部調達もしくはプレオーダーという形で何千万ドルもの資金を準備していたものの、実際の製品出荷までには時間がかかっている。

しかし、本日Hover(ZeroZero Roboticsの飛行カメラブランド)は、Passportと名付けられた同ブランド初のカメラドローンを発表した。現在の価格は549ドルに設定されており、最終的な予定小売価格599ドルから50ドル値引きされている。先週私たちはPassportを試すことができ、その性能には感動してしまった。

コンパクトなサイズ

数ヶ月前に私はニューヨークシティに引っ越してきて、大変気に入っているのだが、ドローンを飛ばすのは諦めざるをえなかった。予想される結果(と法律)を無視して、この街で図体の大きなInspireやPhantomを何百フィートも飛ばすなんてことはありえない。

しかしPassportなら話は変わってくる。折りたたみ可能なこのドローンの重さは242gで、飛行モードのときのサイズは本一冊分ほどだ。折りたたまれた状態だとビデオテープ程の大きさになる。街中を散歩する際に、このドローンを彼女のハンドバッグの中に放り込んでみたところ、最初こそ彼氏のドローンを持ち運ばなければならいことにイラついていた彼女も、そのうちドローンがハンドバッグに入っていることさえ忘れていた。スーツケース並のInspire用ケースのサイズと比べれば、Passportのサイズは夢のようだ。

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しかしもちろんPassportは、DJIのInspireやPhantomのようなフル装備のドローンではない。4Kの動画と1300万画素の写真を撮影することはできるものの、カメラの用途としては、クローズアップでの撮影や三脚を使うような場面での撮影が想定されており、本当の意味での空撮カメラではない。WiFi接続についてもドローンがユーザーから60フィート(約18m)離れると途切れてしまい、そこまで高く飛ぶようにはできていない。実際に使用していたときも、1、2度接続が途切れたが、このときはまだWiFiのカバー範囲をメーカーに確認していなかったため、ほぼ間違いなく私が60フィートの境界を超えたために起きたものだと思われる。もしも接続が途切れてしまったとしても、ドローンがその場に浮いたままでいるため、ユーザーは近づいていってWiFiに接続し直すことができる。

そして何百フィートも飛ばせない代わりに、ユーザーはPassportを屋内でも飛ばすことができる。これまでリビングルームでInspireを飛ばそうとしたことがあるだろうか?私はあるが、本当に絶対にオススメしない。その一方でPassportは、ニューヨークにある私の小さなアパートの中や、外に出て歩道で飛ばすには完璧だった。Passportには音波センサーと、1秒間に100枚の写真を撮影できる、下向きに取り付けられたカメラが搭載されており、どちらもPassportを所定の場所で飛行させるために開発された。この安定性のおかげで、狭い場所でも壁にぶつかるのを心配せずにドローンを飛ばすことができる。

結局DJIのドローンは何百フィートという高さまで飛んで建物全体の動画を撮影することができる一方、Hover Camera Passportは、ユーザーから数フィート離れたところで写真や動画を撮影するという、いわば飛行型自撮り棒またはパーソナルカメラマンのような製品なのだ。

カメラ

しかしこのような、新しいタイプのドローンに関する理想論も、いい写真や動画が撮れなければ成立しない。

Passportにはイメージスタビライゼーション機能(電子式と1方向のジンバルによる物理的なものの両方)が搭載されており、動画のブレを抑えるのに一役買っている。なお、ZeroZero Roboticsは、風が環境下では4Kではなく1080pでの撮影を推奨している。というのも、同製品のイメージスタビライゼーションのアルゴリズムは1080pに最適化されているためだ。

カメラの性能は、長編映画の撮影に使えるほどではないものの、必要最低限のことはできる。カメラのレンズは非常に小さく、iPhoneのカメラのレンズと同じくらいだ。さらに撮影した写真や動画のクオリティも、iPhone 6Sのカメラで撮ったものとほぼ変わらず、599ドルで買える242gのポータブルドローンと考えれば悪くない。

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さらにフラッシュも内蔵されており、ドローンが数フィートだけ離れている状態でグループ写真や個人写真を撮る際にはかなり役立つ。繰り返しになってしまうが、フラッシュが内蔵されているという事からも、Passportが空撮ではなくクローズアップ写真を撮るためにデザインされたということが分かる。

Instagram用や友人に送るためのものとしては、十分過ぎるくらいのクオリティの写真を撮影できるが、もしも映画のように見事な空撮映像を撮りたいという人が購入するとガッカリしてしまうだろう。

AIによる自律飛行とマニュアル操縦

見方によって、Passportがドローンよりも空飛ぶカメラに近いと考えられる理由が、かっこいい写真や動画を撮るために搭載されたテクノロジーの数々だ。一旦Passportを空中に浮かせれば、ビデオモードに移り、Follow・360-Spin・OrbitからAIモードを選択することができる。

Followは名前の通りだ。Passportのカメラがユーザーをとらえると、携帯電話上のストリーミング映像に写ったユーザーの体の周りに黄色いボックスが表示される。そして画面に写ったユーザーをダブルタップすると、ボックスが黄色から緑色に変わり、Passportがユーザーをロックオンしたことが分かる。そうすれば、ユーザーが歩き(もしくはゆっくり走り)回る後ろをドローンがついて行くようになる。さすがに走りながら急に方向転換したときには対象を見失ってしまっていたが、Follow機能はとても良くできていた。

Orbitもとても面白い機能だ。Followと同じ要領でPassportをユーザーにロックさせると、Passportが10フィート(約3m)程離れてユーザーの周りを回りだす。ユーザーが歩いているときにも有効で、撮影された動画はアクションムービーさながらだ。

素晴らしいことに、ユーザーはさらに、モバイルアプリ内のオンスクリーンジョイスティックを使って、Passportをマニュアルで操縦することもできる。自律飛行型のドローンの中には、AIの性能が良いからマニュアル操縦は必要ない(できない)と自慢気に謳っているものもある。しかしドローンを所有する上での楽しみの少なくともひとつが、自分でドローンを操縦することであるため、この宣伝文句は残念な結果につながることが多い。またPassportのサイズであれば、家の中を飛び回ることもできるため、さらにその楽しみが増える。

まとめ

Passportにはとても感動した。私はこれまでにも、”空飛ぶカメラ”という新たなカテゴリーに含まれるドローンを試してきたが、ほとんどが中途半端でガッカリするようなものだった。しかしPassportは本当に良くできている。InspireやPhantomのような怪物級のドローンを補完するサブ機を探している人や、屋内や人の周りでも飛ばせるようなエントリーモデルを探している人にとって、Hover Camera Passportはぴったりの製品だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter