P&Gは米連邦取引委員会の訴訟を受けて女性向けカミソリのスタートアップBillie買収を断念

Procter & Gamble(プロクター・アンド・ギャンブル、P&G)は、以前から計画していた(Businesswire記事)女性向け美容製品のスタートアップBillie(ビリー)の買収を、米連邦取引委員会(FTC)からの中止を求める法的措置を受けて断念した。2020年12月、FTCはニューヨークのスタートアップBillieのP&Gによる買収を阻止しようと起訴(未訳記事)。Billieは女性向けのカミソリやその他の美容品を製造しているが、この2社が合併すればカミソリを使ったウェットシェービングの市場に競争がなくなってしまうという理由からだ。

米国時間1月5日、P&GとBillieは共同声明を発表し、この取引を解消に追い込んだ合併を阻むFTCの措置に苦言を呈した。

私たちはFTCの決定に失望し、BillieとP&Gの合併には世界中のより多くの消費者によりよい製品を提供する素晴らしい可能性があると主張しました。しかしながら熟考の末、長期におよぶ法的異議申立に勢力を費やすことはせず、今回の取引を解消し、私たちが本来専念すべき事業に資源を集中することを双方で合意しました。

Billieは女性向けカミソリの市場における、いわゆる「pink tax(ピンクタックス)」を排除したことで有名になった。ピンクタックス(ピンク税)とは、同等の製品でも男性向けよりも女性向けのほうが高い価格帯で販売されることを指した言葉だ。近年では、自然志向が強い美容市場にも幅広く行き渡っている。つまり硫酸エステル、パラベン、ホルムアルデヒド、科学調味料、アルコール製剤、合成着色料、香料、安価な発泡剤、不安定なシリコン、酸化防止剤などを使用しない製品だ。

またこのスタートアップは、そのミッションとソーシャルメディアやウェブの世界での現代的で、ときには進歩的なマーケティング手法に反応した、Z世代やミレニアル世代などの特に若い消費者の取り込みに成功している。その広告では、体毛を露わにした女性を使うなど、昔ながらの社会的期待を逆なでするようなメッセージを発している。広告に登場する女性は、カミソリの宣伝であったとしても、最初から毛のない滑らかな肌を見せるものとされてきた。

Billieは、女性は自分の体毛を好きなように扱うべきだが、剃りたい方には手頃な価格のカミソリを喜んでお売りしますと宣伝している。

もうひとつBillieでおもしろい点は、そのビジネスモデルだ。同社は替え刃をサブスクリプションで消費者に届けている。これにより収益は増大し、顧客ロイヤリティも向上した。

P&Gとの買収より前に、Billieは販売実店舗の拡大を計画していた。それによってBillieのブランドはP&G製品との直接的な競合相手になるはずだったとFTCはいう。

「売上げが伸びれば、Billieは実店舗を増やしてP&Gの強敵になるはずでした」とFTC競争局長Ian Conner(イアン・コナー)氏は、2020年12月に発表された声明で述べていた。「もしP&GがBillieの強敵としての急成長を食い止めることに成功すれば、消費者は高い商品を買わされる羽目になります」と彼はいい加えた。

FTCによる訴訟の結果、両社は法廷闘争は行わず、合併計画を中止することに決めた。

FTCは本日発表されたリリースで、この判断を賞賛している。両社の合併断念の判断をReuters (ロイター)も報じている

「Procter & GambleのBillie買収断念の判断は、低価格で高品質で革新的な製品を評価する消費者にとって、良いニュースだった」とFTCは声明で述べている。「Billieは、他と同等のカミソリを上乗せ価格で買わされることに嫌気がさしている消費者を広告のターゲットとする直販業者だ。FTCは、Billieから活力ある競争を排除してしまう恐れがあることから、その合併に法的措置を講じる決断をした」。

これは、FTCが2020年に行った2つめの独占禁止訴訟となる。これ以前に、Schick(シック)のカミソリを製造しているEdgewell Personal Care(エッジウェルパーソナルケア)が、これもまたカミソリの直販ブランドであるスタートアップHarry’s Inc.(ハリーズ)を13億7000万ドル(約1400億円)で買収(未訳記事)しようとしたところをFTCは訴訟で阻止している。その結果、この合併話も流れた。

カテゴリー:その他
タグ:P&GBillie買収FTC

画像クレジット:Billie

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(翻訳:金井哲夫)

株価右肩上がりのSilicon Valley BankがBoston Privateを約925億円で買収、ウェルスマネジメントをさらに強化

SVB Financial Group(SVB)は米国時間1月4日、ボストンのBoston Private Financial Holdingsを現金と株式9億ドル(約924億5000万円)で買収することに合意した。

SVBは37年の歴史の中で、ベンチャー企業やプライベート・エクイティ投資家だけでなく、新興企業にフレンドリーな銀行としての評判を得てきたが、今回の買収はSVBにとって重要な取引と言える。SVB Asset Managementの関連資産14 億ドル(約1440億円)と比較すると、1987 年に設立されたBoston Privateは、約163億ドル(約1兆6,740億円)の運用資産を有している。

2011年にウェルスアドバイザリー事業を設立したSVBは、数年前からウェルス・マネジメントへの参入をより積極的に推し進めており、2018年半ばにはCapital One(キャピタル・ワン)でウェルス戦略を率いていたYvette Butler(イヴェット・バトラー)氏を採用している。

バトラー氏はそれ以来、同行のウェルス・マネジメントチームのメンバーを増やしており、昨年のBusiness Insider誌インタビューで「自分の仕事は主にリテンション戦略だと思っています。…クライアントはすでにいるのですから。私たちは彼らのファンドやビジネスの成長を支援してきましたが、プライベートバンクとして、またウェルスアドバイザリーとしての我々の役割は、顧客を維持することだと考えています」と語っている。

すでに同行と取引のある富裕層との関係を強化するためのSVBの努力を強調し、同社の社長兼CEOのGreg Becker(グレッグ・ベッカー)氏は4日、新たな提携についてのプレスリリースの中で次のように述べている。「当社のお客様は、ビジネスと私生活の両方で成功する確率を高めるために、当社を頼りにしてくださっています。」

バトラー氏は、過去2年間Boston PrivateのCEOを務めてきたAnthony DeChellis(アンソニー・デケリス)氏と共に、プライベート・バンキングとウェルス・マネジメント事業の統合を指揮することになる。デケリス氏は、クラウドファンディング・プラットフォームOurCrowdの社長を短期間務めた後にBoston Privateに入社し、それ以前はクレディ・スイス プライベート・バンキング(南北アメリカ)のCEOを7年以上務めていた人物だ。

今回の取引の一環として、Boston Privateの株主はSVBの普通株式0.0228株と、1株につき2.10ドル(約215円)の現金を受け取ることになる。

2020年の銀行株は総じて打ちのめされたが、ボストン・グローブ紙が指摘するように、SVBの株はテック分野に注力しているため、過去3年間で60%以上も上昇しているのに対し、Boston Privateの株は45%も下落していた。

関連記事:活気づく企業支出管理サービス分野でDivvyが169億円を調達

カテゴリー:フィンテック
タグ:買収

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(翻訳:Nakazato)

Pokèmon GoのNianticがゲーマー用コミュニティプラットフォームのMayhemを買収

Pokèmon Goの開発で知られるNiantic(ナイアンティック)がサンフランシスコの小さなゲーミングスタートアップを買収した。同スタートアップは、ゲーマーが人気のタイトルについてのコミュニティを作るのをサポートするためのリーグ・トーナメント組織プラットフォームを構築している。

Crunchbaseによると、Mayhem(メイヘム)はY Combinatorの2018年冬クラスに参加して570万ドル(約5億9000万円)の調達に取りかかった。その他の出資者には2018年のシリーズAをリードしたAccelそしてAfore Capital、 NextGen Venture Partnersなどがいる。

MayhemのフォーカスはYCデビュー時からわずかにシフトした。デビュー当時、同社はeスポーツゲームプレイのビデオ並びにコーチユーザーがいかにパフォーマンスを向上させられるかを分析するVisorというサービスを発表した。そして同社はゲーマーが試合を見つけたり、同社プラットフォーム上でOverwatchのようなゲームのためのトーナメントを組織したりするのをサポートするコミュニティツールへとフォーカス全体をシフトさせたようだ。

Nianticは買収の取引条件を明らかにしなかった。

Mayhemのチームの「大半」はNianticに加わる。MayhemのCEOであるIvan Zhou(イヴァン・シュウ)氏はNianticのソーシャルプラットフォームプロダクトチームに、残るメンバーはプラットフォームエンジニアリングに入る。

Nianticは声明文で、買収が「当社のミッションの中心にある現実世界のソーシャルへのコミットメントを強化する」と主張した。

Nianticの最近の買収のほとんどがテクノロジーを駆使した拡張現実(AR)に集中しており、今回のようにコミュニティ組織にフォーカスしているテックの買収は興味深い。

Pokèmon Goは引き続きNianticのドル箱商品だが、その後の新作ではPokèmon Goほど口コミで成功しておらず、オーガニック成長は偶然手に入れられるほど簡単なものではない。コミュニティツールを構築するスタートアップの買収は、NianticがAR分野における野心と比類なきヒットのための広域プラットフォームの構築に努めている中で、自分たちの取り組みを前に進めるのに社外のテックを取り込む準備が整ったことを意味する。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Niantic買収

画像クレジット:Bloomberg/Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

任天堂が「ルイージマンション3」のゲームスタジオNext Level Gamesを買収

ゲーム大手のSony(ソニー)とMicrosoft(マイクロソフト)はM&Aを戦略的成長計画の重要な一部としているが、任天堂は外部の人材を自社のビデオゲーム帝国に引き込むことに常に消極的だったように見える。しかし米国時間1月5日、同社は「Luigi’s Mansion 3(ルイージマンション3)」を開発したカナダを拠点とするデベロッパーのNext Level Gamesを買収すると発表した。

任天堂がスタジオを買収するのは、2007年に「Xenoblade Chronicles(ゼノブレイド)」の開発元であるMonolith Soft社を買収して以来のこととなる。

Next Level Gamesは10年間以上にわたり、任天堂がライセンスしたIPを独占的に開発しており、「Super Mario Strikers(スーパーマリオストライカーズ)」シリーズやモバイル版の「Metroid Prime(メトロイドプライム)」「ルイージマンション」など、同社のセカンドティアに位置するタイトルを数多く手がけてきた。

バンクーバーを拠点とするNext Level Gamesは、以前はファーストパーティIPの提供が少なかったが、Nintendo Switch向けの「ルイージマンション3」を発売して以来、大きな成功を収めている。最近の決算報告によれば任天堂は同タイトルを約800万本販売し、Nintendo Switchのトップセールスタイトルの1つとなったと発表している。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:任天堂Next Level Games買収

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

TwitterがソーシャルポッドキャスティングアプリBreakerを買収、Twitter Spacesの開発を支援

米国時間1月4日、Twitter(ツイッター)はソーシャルブロードキャストアプリBreakerを買収したことを、ブログとツイートの両方で発表した。これによりBreakerのチームはツイッターに加わり、同サービス上に「公開される会話の健全性を改善」し、またツイッターが新たに立ち上げた音声によるネットワーキングプロジェクトであるTwitter Spacesに力を貸すことになる。Breakerアプリは、2021年1月15日に閉鎖する。

Breakerは買収を同社のブログで発表し、チームがツイッターと相性が良いと信じる理由を述べている。

「Breakerで私たちは音声によるコミュニケーションを真剣に追究してきましたが、その際、私たちはツイッターが世界中の人びとに公開会話の便宜を提供しているやり方を参考にしてきました」とBreakerのCEOであるErik Berlin(エリック・ベルリン)氏は書いている。そして「私たちはツイッターにおける起業家精神に感銘を受け、また同社のチームが作っている新しい体験を感動をもって迎えている」そうだ。

Breakerは2016年に創業され、当時のリーダーはソーシャル広告企業140 Proofの創業者でCTOだったCEOのベルリン氏と、以前にPownceとGroveを創業し、ウェブ技術のOAuthとoEmbedを共同開発したCTOのLeah Culver(リア・カルバー)氏だ。なお、その後140 ProofはAcuityが買収している。

Breakerアプリは、ポッドキャストが音声によるフィードで生産性ツールの一種と考えられていた時期にローンチした。当時、ポッドキャストを軸にコミュニティを作れることは、ほとんど見過ごされていた。Breakerはポッドキャストのそういう受け取られ方を変えようと努力し、ユーザーが「いいね」を付けたり、エピソードにユーザーがコメントを付ける機能や、友だちをフォローして新しいポッドキャストを見つけたり、好きな番組をソーシャルメディアで共有する機能などを加えてきた。

カルバー氏のツイートによると、彼女はツイッターでTwitter Spacesに専念することになる。それは音声によるソーシャルネットワーキングプロダクトで、Clubhouseのライバルだ。ツイッターのユーザーはSpacesで、これまでのようなテキストでなく、音声によるリアルタイムのチャットを行う。Spacesは、2020年12月にベータテストに入っている。そして現在は、技術的な問題やバグだけでなく、モデレーションなど、ライブのオーディオのホスティングにともなう問題に取り組んでいる。

別のツイートでは、ツイッターのEngineeringのリーダーであるMichael Montano(マイケル・モンターノ)氏が、ベルリン氏とカルバー氏、そしてBreakerのデザイナーであるEmma Lundin(エマ・ルンディン)氏が買収によりツイッターに移籍することを確認している。

彼はベルリン氏とカルバー氏の起業家精神と、カルバー氏の長年のオープンスタンダードへの貢献を賞賛している。

コメントを求めるとツイッターはモンターノ氏のツイートを指摘したが、買収の価額や今後の計画などについての詳細は得られなかった。

Breakerによると、同社は数日後にこれまで何年もかけて開発してきたアプリとサービスを閉鎖する。

2021年1月15日にBreakerは永久に閉鎖する。それまでBreakerのユーザーは、自分のOPMLファイルをエクスポートして、自分のサブスクリプションを他のポッドキャストアプリへ移すことができる。Breakerが勧めている代替アプリは、Apple、Spotify、Stitcher、Overcast、Pocket Casts、そしてCastroなどだ。Breaker上でポッドキャストをホスティングしている人は、RSSフィードでそれをどこかへ移せる。

Breakerの買収のほかにも、最近はポッドキャストのM&Aがいろいろある。しかしBreakerの場合はポッドキャストのコンテンツではなく、そのスタッフと技術が対象だ。というのもツイッターは従来から、自作のコンテンツを提供するサービスではなく、他人のコンテンツ(発言など)をまとめるだけであるため、既製のコンテンツを必要としない。

Breakerの買収は、価額の公表はないが小額の取引だろう。つまり、同社がBig Tweet(ツイッターのあだ名)にエグジットしたことは、同社としての流動性を見つける1つの方法だったとしても、しかし一般的な評価としては、ポッドキャストサービスやコンテンツのポッドキャスティングには、それほど大きな企業価値はないことが通説だ。

この買収の数週間ないし数カ月前には、ポッドキャストのコンテンツをめぐる買収案件がいくつかあった。それには、Amazon(アマゾン)によるWonderyの3億ドル(約308億9000万円)の買収(Tubefilter記事)や、SiriusによるStitcherの3億ドルの買収(The Wrap記事)などがある。そして、最近次々とコンテンツの買収を繰り返しているSpotifyもそんな動きの仲間だ。

今回のポッドキャスト買収も3億ドルだった、という話が早くもジョークとして広まっている。「3億」は一見大きな額に見えるかもしれないが、ベンチャーキャピタリストが狙うほどのエグジットではない。Breakerとツイッターの提携も、ポッドキャストに焦点を当てた企業を作ることは、それほど大きくない未来を自ら認めることだとする考え方を否定するほどのものではない。

もちろん、ベンチャーキャピタリストが2021年にはポッドキャストへの投資から手を引くと主張するつもりはないし、Breakerの買収が個人投資家は投資すべきでないという説の根拠になるわけでもない。

今回の勝者は、Breakerよりもむしろツイッターだ。音声によるソーシャルネットワークという、今後バズりそうな2021年の新しい市場に入っていくための鍵となる人材を同社は手に入れた。パンデミックで人びとが家に閉じ込められたことが、この新市場の契機かもしれない。カンファレンスもパーティーもなくなった現在、多くの人がオンラインでつながるためのもっと良い方法を探している。

しかし、オンライン中毒とモデレーションの失敗で苦戦してきたツイッターが、音声ネットワークをユーザーがチャットする安全な場所にできるだろうか。それとも、ツイッターが現在、直面している問題が増幅されるだけだろうか。そしてもう1つの心配は、新型コロナウイルスが収束して人びとが再びリアルで会えるようになったとき、Twitter Spacesのような音声によるネットワーキングに未来はあるのだろうか。

関連記事:Twitterが音声によるソーシャルネットワーク機能「Space」のベータテストを開始

カテゴリー:ネットサービス

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

産業用センサー大手Teledyneが赤外線カメラのFLIRを約8300億円の現金と株式で買収へ

産業用センサー大手のTeledyneは、センサーメーカーのFLIRを株式と現金合わせて約80億ドル(約8300億円)での買収を予定しており、買収は年内に完了する見込みだ。Teledyneはプレスリリースで、FLIRの事業は既存の製品と競合するのではなく、補完的なものになると述べている。

FLIRのテクノロジーはiPhoneを含むモバイルデバイス向けに設計されたアドオンサーマルカメラを通じて、一般向け市場に登場した。これらは気密漏れや配管漏れを特定するのに役立つが、同社の主要なビジネスにはサーマルイメージ処理だけでなく、可視光イメージ処理やビデオアナリスト、脅威検出技術も含まれており、航空宇宙産業や防衛産業を含む潤沢な資金を持つ顧客にサービスを提供している。

TeledyneはNASAを含む航空宇宙産業や防衛産業、ヘルスケア、海洋、気候監視機関などの顧客にもサービスを提供している。同社の製品には地震センサー、オシロスコープ、その他の計測器、デジタルイメージングなどが含まれているが、FLIRの製品は現在Teledyne社が扱っていない、より専門的な分野もカバーしている。

関連記事:赤外線カメラのFLIRが、廃業したAria Insightsのドローン技術を買収

カテゴリー:ハードウェア
タグ: Teledyne TechnologiesFLIR買収

画像クレジット:FLIR

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

アマゾンが米国で第4位のポッドキャストネットワークWonderyを買収

Amazon(アマゾン)は「Dirty John」や「Dr. Death.」などのポッドキャストを運営するネットワークのWonderyを買収(Amazonリリース)すると発表した。

Wonderyポッドキャスト(オリジナル番組を含む)のサポート(未訳記事)を追加したAmazon Musicの一部となる。発表では「リスナーにとっては何も変わりません」としており、同ネットワークのポッドキャストは今後も「さまざまなプロバイダー」から利用できる。

メディア企業やストリーミングオーディオプラットフォームはいずれもポッドキャストに大きく賭けており、Spotify(スポティファイ)はポッドキャストネットワークのGimlet(未訳記事)を、SiriusXMはStitcherを(未訳記事)、The New York TimesはSerial Productionsを買収するなど、続けて買収を行っている。アマゾンはこの市場に比較的遅れて参入しているが、他社に追いつくために人気ポッドキャストメーカーのサポートを受けることになる。

「Amazon Musicを利用することで、Wonderyはさらに高品質で革新的なコンテンツを提供でき、視聴者がどこで聴いていてもエンターテインメントと知識の世界をもたらすという使命を継続することができます」と、アマゾンは述べている。

買収の金銭的条件は明らかにされていない。アマゾンによるWonderyの買収交渉が進行中であり、評価額は約3億ドル(約310億円)だとThe Wall Street Journalは以前報じていた

このスタートアップは、2016年にFoxの元幹部のHernan Lopez(エルナン・ロペス)氏(未訳記事)によって設立された。Podtracの調査によると、Wonderyは2020年11月のポッドキャストパブリッシャーとして第4位に位置しており、米国では900万人以上のユニークリスナーがいるという。

Crunchbaseによると、WonderyはAdvancit Capital、BDMI、Greycroft、Lerer Hippeauらから合計1500万ドル(約15億円)の資金を調達している。

関連記事:NYタイムズが人気ポッドキャスト制作スタジオSerialを約27億円で買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonポッドキャスト買収

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

EUがグーグルのFitbit買収を承認、健康データの広告利用を10年間禁止することで合意

EUは米国時間12月17日、Google(グーグル)がウェアラブルメーカー、Fitbit(フィットビット)を21億ドル(約2173億7000万円)で買収するプランを承認した数カ月間にわたる規制上の審査(未訳記事)続いて、膨大な量のユーザー健康データをグーグルがむさぼり食うことに関する競争上の懸念を縮小させることを意図した、いくつかの条件を適用する。

グーグルがFitbitを買収するプランを発表したのは1年以上前のことだが、欧州委員会に取引を通知したのは2020年6月15日になってからだった。これはEUから、暫定的にゴーサインが出るまで半年かかったことを意味する。同社はまた現在、本拠地である米国で複数の角度(未訳記事)から、公的な独占禁止法違反容疑に直面している(これらはFitbitには関連していない)。

「Gitbit」誕生にあたりEUの承認を得る条件の下、グーグルは10年間、欧州経済地域内ユーザーのFitbitデータを広告ターゲティング目的のために使用しないことを約束した。

同社は、Fitbitウェアラブルを介して収集された健康データは、グーグルの他のデータから技術的に分離し、別のデータサイロに維持すると述べている。

また、EU地域のユーザーが、GoogleアカウントまたはFitbitアカウントに保存された健康データの使用をグーグルが提供する他のサービスに許可するか否か「実行選択肢(effective choice)」を持っていることを保証する、と同社は約束している。その中にはGoogle検索、Googleマップ、Googleアシスタント、YouTubeなどが含まれる。しかしそれが実施されるにあたり、どれだけ腹黒いパターン設計が適用されるのか、興味深いところだ。

興味深いことに、EUはそのような延長を正当化できる場合、10年の広告誓約をさらに10年、期間延長を決定するかもしれないとしている。

さらに同委員会は、取引が完了する前に任命されなければならない監視トラスティによって、措置の実施状況が監視されることが承認の条件であることにも言及している。

このまだ任命されていない人物は、「グーグルの記録、人材、施設、技術情報」へのアクセスを含む、欧州委員会が「広範な権限」と見なしているものを持つことになる。

EU規制当局は、このビッグテック合併の強圧に対し、「信用するが検証はする」という姿勢で臨んでいるといえるだろう。

さらに、競合に焦点を当てた誓約もある。

グーグルは、サードパーティ開発者がWeb APIを介してFitbitユーザーのデータに無料でアクセスできる機能を維持することに合意した(もちろん、ユーザーの同意を条件としている)。

また同社は、ウェアラブルメーカー競合相手のAndroid APIへのアクセスに関する誓約の数々にも合意している。スマートフォンの中で支配的なOSであるAndroidに競合するデバイスが接続する必要がある場合、すべてのコア機能において無料ライセンスを継続するという。

委員会によると、この合意は、デバイスの機能性改善を配慮したものだ。競合ウェアラブルメーカーがより良い、より有能なデバイスを開発する際、それらがAndroidエコシステムからシャットアウトされるリスクなしに技術革新を行えるようにすることを意図している。

また、グーグルは、Androidオープンソースプロジェクト(AOSP)版のモバイルプラットフォームのAPIサポートを維持しなければならない。

ここ半年間の審査と交渉の間に、欧州委員会がグーグルから引き出したもう1つの譲歩は、ユーザーエクスペリエンスの低下(警告やエラーメッセージの表示など)によって、APIを介してAndroidにアクセスするライバルのキットをサポートするための要求を回避しようとしないということだ。

率直にいって、規制当局が認可のためにそのような警告を送らなければならないとすれば、かなりの機能不全と見てとれる。そしてそれは、グーグルのビジネスがどのように運営されているかについて、蓄積された不信感のレベルを明らかにしている。

そしてこれは、グーグル・Fitbitに屈服し、合併が先に進むことを許したEU規制当局の存在に関する疑問を引き起こす。案の定、欧州委員会のPRは多少守りに入っているように聞こえる。EUの議員は、決定が「最近提案されたデジタル市場法(Digital Markets Act、DMA)を通じて、デジタル分野における公正で競争力のある市場を確保するための欧州委員会の努力を損なうものではない」としている。

また、前述の監視トラスティは同委員会に提供する報告書を、グーグルのデータ保護監督機関であるIrish Data Protection Commission(IDPC、アイルランドデータ保護委員会)と共有する権利があることにも言及している(とはいえ、グーグルの事業の他の要素に関する多数の調査を含む、膨大なビッグテック関連の案件が委員会のデスクに山積みになっていることを考えれば、グーグル側が眠れない夜を過ごす原因にはならないだろう)。

欧州委員会はまた、グーグルとの誓約には「サードパーティが行使できる迅速な紛争解決メカニズム」が含まれているとも述べている。つまり、グーグルがすでに大幅に支配している消費者向けデジタルサービス分野でのさらなる統合を正当化するために、明らかに余計なことをしようとしているのだ。しかも、米国の議員らが正反対の方向に向かっている時に、である。

ヨーロッパの市民社会(とそれ以上)は発表以来、グーグルのFitbit買収について激しく抗議の声を上げていた(未訳記事)。人権の保護を保証できない限り(未訳記事)、ビッグテックがFitbitの所有する健康データをむさぼるのを止めるよう、規制当局に働きかけてきたのだ。

12月17日、委員会はこれらのより広範な権利に関する懸念を回避した。

ひいき目に見て10年後、長くても20年後に議論を先送りしただけだろう。そして2030年(または2040年)までには、グーグルのようなデジタルゲートキーパーに制約を加えるために提案したばかりの規則が、将来の悪用を抑制できる立場にあること(未訳記事)を期待しているのだ。

よくいわれるEUの優先傾向は、巨大テクノロジー企業を規制することで、その帝国を分割することではないというが、さらなる帝国の拡大を邪魔するのも好みではないらしい。

欧州委員会の上級副委員長であるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、次のように述べている。「合意した誓約により、ウェアラブルと新興のデジタルヘルス分野の市場がオープンで競争力のあるままであることを保証できるため、グーグルによるFitbitの買収案を承認できます。これらの誓約は、グーグルが収集したデータを広告目的でどのように使用できるか、競合するウェアラブルとAndroid間の相互運用性をどのように保護するか、そしてユーザーが選択した場合には、健康データを共有し続けることができるかを定めています。」

先に(未訳記事)欧州議会の委員会で質問を受けたベステアー氏は、Gitbitの承認が間近に迫っていることを示唆し、市場を支配するテック企業に対処するためのアプローチが米国と欧州では異なると述べた。「ヨーロッパでは独占を禁止していません」とベステアー氏は欧州議員たちに語った。「米国では法的根拠が違います。我々の場合、成功することは大歓迎だが、成功には責任がともなう、という見方です。そのために、連合条約の第102条があるのです」(条約第102条は、市場で支配的な地位を占める事業者がその地位を悪用することを防ぐことが目的)。

欧州委員会が、デジタル市場における競争法施行を強化するための新しい規制を提案する必要性を感じているのもこのためだ。しかし、DMAが施行されるまでには何年もかかるだろう。

そして、その間にEU規制当局は、グーグルがFitbitの宝庫から人々の健康データをわしづかみにし、個人情報の支配を拡大するのを許すことになる。後でやってくる完全な搾取のために。

いずれにしても、ハーバード大学のShoshana Zuboff(ショシャナ・ズボフ)教授が先に警告した(未訳記事)ように、監視資本主義のビジネスの野望は今や単なるターゲット広告をはるかに超えた規模になっている。目標は「確実性に近づくにつれてより儲かる予測のために」データを使用することだ、と彼女は警鐘を鳴らす。社会は、巨大テック企業の「認識論的クーデター」に歯止めをかけるために、公共の利益のために介入しなければならない、とも。

健康データから生成された正確な予測が、グーグルにとって非常に有益になる可能性があるのは確かだ(同社は近年、健康部門への投資を拡大している)。

それが最終的に人類にとって、善になるか悪になるかは今のところわからない。しかし、規制当局が簡単にサイコロを振って良い類のギャンブルではない。欧州委員会は競争法施行のために便利なバイパスをビッグテックに与えている一方で、道端をいじくり回しているだけだという向きも多い。

この戦いに参加してくれたすべての人に感謝しています。正当で誠実な戦いだと思いました。

個人的には大きな敗北です。大局的な見地から言えば、世界的に禁止されたビッグテックの合併は今のところ0(ゼロ)のままです(合併の総数は1000、増え続けています)。

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カテゴリー:その他
タグ:GoogleFitbitEU買収

画像クレジット:Fitbit

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(翻訳:Nakazato)

オンライン教育のPluralsightを投資会社Vistaが買収へ

2020年全体を通じて見てきたM&Aのあわただしいサイクルが今月も続いている。今度はVista Equity Partnersが35億ドル (約36000億円)でPluralsightを買収すると発表した。

1株あたりでは20.26ドルになる。同社の株は米国時間12月11日に18.50ドルで終わり、時価総額は27億ドル(約28000億円)を超えた。

Pluralsighの買収により、Vistaはデベロッパーやオペレーション、データ、セキュリティなど企業のITプロフェッショナルを一連のオンラインコースで教育する環境を手に入れる。新型コロナウイルスの感染が蔓延してる状態では、それはEdTechに新しい息を吹き込むものだが、もっと以前からITのプロたちをオンラインでスキルアップするサービスの市場はあった。

Vista Flagship Fundの共同経営者でVistaの専務取締役であるMonti Saroya(モンティ・サロヤ)氏も、このトレンドからは逃げられなかったに違いない。同氏は声明で 「私たちは、優れたスキルを持つソフトウェアエンジニアの需要が一貫して供給を上回っていることを目の前で見てきました。今後あらゆる産業とコミュニケーションが、オンラインとオフラインのハイブリッドの世界へ移行していくに伴い、このトレンドは持続するでしょう。そして企業のリーダーは、ビジネスの成功のためにはテクノロジーのイノベーションが不可欠と認めるでしょう」。

買収される側の企業がよく言うように、PluralsightのCEOであるAaron Skonnard(アーロン・スコナード)氏も「会社がもっと迅速に成長するための道筋だ」と説明する。同氏は「エンタープライズソフトウェアのトップ企業の集まりから成るVistaのグローバルなエコシステムが、私たちに重要なリソースと業界知識を提供し、それが弊社の成長の扉を開き、活力をもたらします。Vistaのエンタープライズの力を借りて弊社の市場でトップの地位を強化できることに、今からわくわくしています」。

2017年のTechCrunchのSarah Buhr(サラ・ビューア)のインタビューでスコナード氏は同社を「エンタープライズ向けSaaSによる学習プラットホームだ」と説明している。それは単なるコースではなく、デベロッパーやITのオペレーションなどなどのカテゴリー別に、同じカテゴリーにいる他者との、スキルや能力の差を測定して数量化する。同氏によると、この評価機能こそが同社の大きな差別化要因だと。

そのインタビューで同氏は、「私たちの究極の目標は、テクノロジーのスキルギャップを全世界的になくすことです」で話していた。

2004年創業のPluralsightは、1億9000万ドル(約k196億円)あまりを調達し、その後2018年に上場(未訳記事)。現在の社員数は1700名で、1万7000社以上の顧客がいる。買収は例によって規制当局のチェックが入るが、来年前半には完了すると予想される。その後同社は、再び非上場になる。

カテゴリー:EdTech
タグ;買収 / 合併 / M&A(用語)

画像クレジット: Pluralsight

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ソフトバンク出資のNuroが自動運転トラックのスタートアップIkeを買収

自動運転配達会社のNuro(ニューロ)がIke(アイク)を買収した。Ikeは自動運転トラックの商品化を目指してApple(アップル)、Google(グーグル)、Uber Advanced Technologies Group(ウーバー・アドバンスト・テクノロジーズ・グループ)の卒業生が創業したスタートアップだ。

買収と統合で忙しいシーズンを送った自動運転車業界におけるこの最新の取引は、深い関係と共有するテクノロジーを持つ2社を結びつけた。また、Nuroはローカル配送、Ikeは長距離貨物という異なる分野に自動運転車のテクノロジーを応用しようとしているが、2社の創業者は物流の分野で共通のビジョンがあると言う。

取引の金銭的条件は明らかにされていない。

2社の関係の中でNuroは巨人だ。バリュエーションは50億ドル(約5200億円)、従業員数は600人を超える。情報筋によると、Ikeは約60人の従業員を抱え、昨年時点のポストマネーのバリュエーションは約2億5000万ドル(約260億円)だった。ただし2社の創業者らは、これを古典的なシリコンバレーのアクハイヤー(人材獲得を目的とする買収)だとは捉えていない。Jur van den Berg(ジュール・バン・デン・ベルグ)氏およびNancy Sun(ナンシー・サン)氏と会社を共同で創業したIkeのCEOであるAlden Woodrow(アルデン・ウッドロー)氏によると、Ikeの従業員55名以上と創業者3名がNuroに合流する予定だ。

「会社創業時に掲げた原則をいくつか実現する明確な機会でした」とウッドロー氏は述べた。同氏は12月23日にMediumのブログ投稿で買収を発表した。

ウッドロー氏はTechCrunchに対し、Ikeにはまだランウェイ(資金調達なしで経営できる期間)が残っており、独立経営を続けるために必要な資金があると語った。それでも、自動運転車の会社を商業ベースに乗せるには、5200万ドル(約55億円)を超える資金のプールだけでなく提携が必要だ。Ikeは今秋、DHL、Ryder、NFIの車両にテクノロジーを提供することで合意に達したが、それらはまだ初期段階にすぎない。

Nuroの共同創業者で社長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏はTechCrunchに、「Ikeのチームがどれほど素晴らしいか、そして彼らが開発したテクノロジーの質がどれほど素晴らしいかは極めて明白だと思います」と語った。「Nuroにとって特に魅力的なのはIkeが数年前にNuroのテクノロジースタックのライセンスを取得したためです。Ikeが開発したすべてのテクノロジーはそのスタック上にあり、共通のDNAがあります。Ikeが開発したテクノロジーは非常に簡単に移転することができ、ほぼプラグアンドプレイでシステムに組み込むことができます」

NuroはIkeが開発したテクノロジーを活用して、自社のローカル配達システムに取り込むだけでなく、将来の応用にも利用できるかもしれないとファーガソン氏は付け加えた。

将来の応用とは何か、という問いに答えは出ていない。Nuroによる特許出願は、熱々のホットピザやラテの配達から小型ロボットまでさまざまなアイデアを網羅している。Ikeのチームが加わったことで、Nuroはローカル配達だけでなく、スタートアップのGatik AIが注目を集めた領域である中距離の配達、その他のトラックを使った用途など他の種類の物流への応用へ拡大する可能性がある。ファーガソン氏は、R2と呼ばれるNuroのローカル配達ボットが最初の主要製品であると直ちに指摘した。

NuroはIkeにとって最高の家のように見えるかもしれないが、2つの情報筋はTechCrunchに、Ikeが少なくとも他の自動運転車の会社1社と取引について協議していたと語った。同情報筋は、その話はあまり進展しなかったと付け加えた。

創業物語

2社の創業者は、IkeをNuroのスピンアウトと表現することを好まない。技術面では正しいかもしれないが、2社のルーツは絡み合っている。

Nuroは、元Google(グーグル)のエンジニアのDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏が2016年6月に創業した。同社は当初ファーガソン氏とジュー氏が独力で経営していたが、2017年6月にはGreylockとBanyanからの投資で9200万ドル(約96億円)をAラウンドで資金調達し、NetEaseの創業者であるDing Lei(別名William Ding)氏にNuroの取締役会の席を与えた。

一方、バン・デン・ベルグ氏とサン氏は2人ともAppleの特別プロジェクトグループで働いていたが、2016年にAppleを去り、Uberに買収された自動運転トラックのスタートアップであるOttoに加わった。Google XのMakaniプロジェクトの製品リーダーであったウッドロー氏も2017年2月、自動運転トラックプログラムのグループ製品マネージャーとしてUber ATGに移った。

2018年にはOttoの創業者のうち最後の1人がUberを去り、自動運転トラックプログラムはひたすら落ちて行った。サン氏、ウッドロー氏、バン・デン・ベルグ氏は2018年春にはUberを離れた。数カ月後、Uberは自動運転トラック部門を閉鎖して自動運転車に集中した。

3人は当初、配達ボットと成長中のチームを収容するには小さすぎるNuroのオフィススペースで働いた。当時、サン氏のフォルクスワーゲンのキャンピングカーがIkeの会議室として使われていた。3人が7月に正式にIkeを設立する前にNuroのチームと数カ月間緊密に連携していたことが、カリフォルニア州とデラウェア州のビジネス記録が示している。Ikeという社名は、ドワイト ・D・アイゼンハワー大統領と彼が連邦補助高速道路法に署名して整備を後押しした米国の州間高速道路システムにちなんでいる。

最初のコラボレーションのポイントは、Nuroが開発したものをトラック輸送の新しい用途にどう応用するかを考えることだった。「これは私たちが独自の方向へ進む機会であり、Nuroがローカル配達に集中する間、私たちはそちらに真剣に取り組みました」とウッドロー氏は最近のインタビューで述べた。

Ikeは、Nuroのテクノロジー、特にハードウェアのデザイン、自動運転ソフトウェア、データの記録、地図、シミュレーションのライセンスを供与される。その見返りに、NuroはIkeのマイノリティ持ち分を取得した。

2018年10月にIkeがステルスモードから抜け出したとき、NuroはIkeとの関係を提携と位置づけ、「Ikeに自動運転とインフラのソフトウェアのコピーを提供し、その代わりにNuroはIkeの株式を取得しました」。

Ikeは小さく始め、仕事を進めるにあたりに穏便なアプローチを選んだ。2019年2月までにIkeは約30人を抱え、最終的にはBain Capital VenturesがリードするシードとシリーズAの資金調達ラウンドで5200万ドル(約55億円)を調達した。Redpoint Ventures、Fontinalis Partners、Basis Set Ventures、Neoもこのラウンドに参加した。Bain Capital VenturesのパートナーであるAjay Agarwal(アジェイ・アガワル)氏がIkeの取締役会に加った。

自動運転トラックに携わる他社とは異なり、Ikeの創業者は当時のブログ投稿で、最初の自動運転トラックを走らせることにこだわっていたわけではなかったと述べた。自動運転トラック配送業界の複数の情報筋によると、Ikeはシステムエンジニアリングのアプローチ、モーションプランニング、シミュレーションツールで業界内で高い評価を得ていた。

Ikeが静かに仕事を進めている間に、Nuroの方は2019年2月にソフトバンク・ビジョン・ファンドが9億4000万ドル(約980億円)を投資したおかげで注目を集めた。Nuroはチームを600人以上に拡大し、2018年にKrogerと提携しアリゾナで配送サービスを試験的に実施した。当初トヨタのプリウスを使用していたが、R1配達ボットに移行した。Nuroは、CVS、Domino’s、Walmartといった企業とも提携している。同社は、レストラン、食料品店、その他の企業向けのローカル配達サービス向けに設計されたR2と呼ばれる第2世代の車両を開発した。R2は今年初めに連邦政府から自動運転車の運用を許可する安全規定適用除外の認可を受けた。

投資家はNuroから離れたわけではなかった。新型コロナウイルスのパンデミックがシリコンバレーの多くのスタートアップの計画を遅らせた。しかしローカル配達の可能性など明るい点もある。Nuroは11月、シリーズCラウンドで5億ドル(約520億円)を調達した。ポストマネーのバリュエーションは50億ドル(約5200億円)だった。T. Rowe Price Associates, Incのアドバイスを受けたファンドや投資家がリードし、Fidelity Management & Research CompanyやBaillie Giffordなどの新しい投資家が参加した。このラウンドにはソフトバンク・ビジョン・ファンド1やGreylockといった既存投資家も参加した。

次に起こるのは何か

2社はNuroでよりシニアな役割を担うIkeの多くのエンジニアとの融合を始める。ウッドロー氏はCEOではなくなり、同氏の新しい役職は決まっていない。同氏の仕事は、自身の経験に基づく製品開発になると思われる。

Nuroがローカル配達に重点を置いているため、トラックを商品化するというIkeの使命は今のところ棚上げになっている。ローカル配達に目を向けるというその決定は、Ikeの創業者らがトラックへの情熱について何度も語った多くのコメントと対立するようにみえる。

「私たちが家で食べたり、触れたり、持ったりするものはすべて、おそらくどこかの時点でトラックに乗せられていたはずです」とサン氏は10月のTC Sessions: Mobilityイベントで述べた。「トラック輸送が実際に私たちの日常生活へ与える影響の大きさがまだまだ理解されていません」

しかし、ウッドロー氏と共同創業者らは、製品を世に送り出し、「私たちの多くが何年にもわたりさまざまな企業で取り組んできた自動化の約束を果たすこと」について語っている。

「結局のところこれは、Nuroはその約束を果たし、すぐにそれを実行し、非常に大きな規模で実行するという、信じられないほどユニークで本当に説得力のある立場にあると私たちは考えています」とウッドロー氏は言う。「それがNuroの申し出を受け入れ、こうして前進すると決めた原動力でした」

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タグ:Nuroソフトバンク・ビジョン・ファンド買収 / 合併 / M&A自動運転

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Mizoguchi

イーロン・マスク氏がテスラ買収をアップルに持ちかけるもティム・クックCEOは興味なし

Tesla(テスラ)株は2020年、奇跡的で驚異的だったが、Apple(アップル)のTim Cook(ティム・クック)氏が数年前の会議で合意していたらまた違った道を歩んでいたかもしれない、とElon Musk(イーロン・マスク)氏はいう。

Appleが電気自動車プログラムを放棄せず、、まだ自動車を製造する計画を進めているというReutersの最近のニュースに反応して、マスク氏はModel 3の生産規模を縮小するという「最も暗い日々」の中でAppleのティム・クックCEOに接触し、同社にTeslaを買収する可能性を提起したことがあるとマスク氏はツイートした。クック氏は会議への参加を拒否したという。

現在、TechCrunchはAppleにコメントを求めている。

マスク氏の短いツイートでは、このタイムラインがいつだったかは明らかにされていないが、TeslaのModel 3の生産に関する公開情報からすると、2017年から2019年の間だった可能性が高い。マスク氏が提案した販売価格に関して、Teslaの現時価総額の1/10は約600億ドル(約6兆2200億円)であり、これは2019年の株式の公開価格からさほどかけ離れていないが、ここ数カ月で最高潮に達した。

Teslaは今週S&P 500に参加した後、上場市場で6000億ドル(約62億1900億円)以上の価値を持つようになったが、ウォール街のアナリストの多くは、Teslaの製品とCEOを支持する若い投資家や歴が浅い投資家のおかげで最近株価上昇に当惑しているようだ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:TeslaApple買収

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(翻訳:TechCrunch Japan)

不動産管理プラットフォームのRealPageをプライベートエクイティのThoma Bravoが約1兆550億円で買収

M&Aの多忙な1年は今週末も続いている。プライベートエクイティ企業のThoma Bravo(トーマ・ブラボ)社が、RealPage(リアルページ)社を102億ドル(約1兆550億円)で買収すると発表した。

Thoma Bravoはこの買収によって、ビルや不動産所有者向けの賃借人ポータル、サイト管理、経費管理、財務分析などのフルサービスを提供するRealPageの不動産管理プラットフォームを手に入れることになる。

Thoma Bravoの創設者でありマネージングパートナーでもあるOrlando Bravo(オーランド・ブラボ)氏は、これまでの実績を元にして、RealPageが一緒に仕事をやっていける会社だと考えている。

「RealPage社の業界をリードするプラットフォームは、不動産エコシステムにとって非常に重要であり、今後も大きな可能性を秘めています」とブラボ氏は声明の中で述べている。

RealPage側としては、今後も会社に残る予定のSteve Winn(スティーブ・ウィン)最高経営責任者が、今回の買収は株主にとって大きな勝利であると同時に、株主は製品への投資を継続できるとしている。「これにより、我々は長期的な戦略の実行に集中し、顧客やパートナーにより良い製品やサービスを提供することができるようになるでしょう」とウィン氏は声明の中で述べている。

1998年に設立され、2010年に株式を公開したRealPageは、Thoma Bravoのようなプライベートエクイティ企業を惹き付ける典型的な成長したプラットフォームだ。同社は1万2000人以上の顧客を抱える強力な顧客基盤を持ち、収益もそれなりのペースで成長している。直近の収益報告書では、同社は前年比17%増となる2億9810万ドル(約308億円)の収益を発表した。これはランレートが10億ドル(約1034億円)を超えることを示している。

今回の買収条件では、Thoma BravoはRealPageの株主に1株当たり88.75ドル(約9180円)の現金を支払うことになっている。これは米国時間12月18日の終値67.83ドル(約7016円)から30%以上のプレミアムとなる。この取引は標準的な規制当局の審査を経て行われ、RealPageの取締役会は45日間のGo-Shop期間を設けて、より良い買収提案を見つけることができないかを確認することになっている。今回の取引のプレミアム価格を考えると、その可能性はありそうもないが、試す機会は設けられる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Thoma BravoRealPage買収不動産テック

画像クレジット:Busà Photography / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

新型コロナで絶好調のPelotonが業務用フィットネスマシンメーカーPrecorを434億円で買収へ

Peloton(ペロトン)は世界最大の業務用フィットネスマシンサプライヤーの1社であるPrecor(プリコー)を買収する意向を発表した(Pelotonリリース)。もしあなたがホテルや商業ジムで過ごしたことがあるのなら、Precorブランドを知っているはずだ。だからこそ、特殊な時期にあってホットになっている在宅ワークアウトブランドがPrecorを買収するのはかなり理に適っている。

Precor買収は、同社のバリュエーションを4億2000万ドル(約434億円)とするディールとして進められる。買収によって商業事業の拡大に加え、トレッドミルやバイクといったハードウェアに対する需要が新型コロナパンデミックのために、かつてなく大きくなっているまさにこの時に製造能力アップを図れる。Precorは米国ですでにかなりの製造オペレーション、専門のR&Dチーム、施設を展開している。Pelotonは、買収によってPrecorのノースカロライナ州ウィットセットとワシントン州ウッディンビルにある製造施設の計62万5000平方フィート(約5万8000平方メートル)が加わることになる、とプレスリリースで述べている。

承認が得られれば2021年にクローズする見込みであるこの買収は、短期的には顧客へのマシーン配達のスピードアップに役立ち、長期的には業務用マーケットが成長路線に戻ったときにPelotonが同マーケットでシェア拡大を図るのに貢献する。Pelotonの在宅用マシーンとフィットネスサブスクサービスがパンデミックの恩恵を受けたのは明らかだが、その一方でジムのチェーンやホテル経営は壊滅的なダメージを受けた。つまりこれはPrecorの主要事業が過去数カ月、大打撃を受けていることを意味する。

今回の買収はPelotonにとって過去最大となるが、比較的お買い得価格でPrecorを手に入れることは可能だ。PrecorのオーナーであるAnta Sports(アンタスポーツ)は約5億ドル(約517億円)でのPrecor売却を模索していると2020年11月に報道されていた。Pelotonは買収の一環として、Precorの会長Rob Barker(ロブ・バーカー)氏を業務部門のゼネラルマネジャーとして迎える。これは、人々がパンデミック後にジムに戻るようになったときに世界中の商業ジムへのコネクテッドマシーン浸透を加速させるのに大きな助けとなるはずだ。

関連記事:Pelotonがエクササイズバイク上位モデルBike+とトレッドミルTreadを発売、価格はいずれも約26万円

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Peloton買収

画像クレジット:Peloton

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(翻訳:Mizoguchi

ロッキード・マーチンがロケットエンジンメーカーのエアロジェット・ロケットダインを約4550億円で買収

米国最大の防衛関連企業であるLockheed Martin(ロッキード・マーチン、LM)は、ロケットエンジンとミサイルメーカーのAerojet Rocketdyne(エアロジェット・ロケットダイン、AR)を負債と純現金を含めて44億ドル(約4550億円)で買収し、宇宙と超音速分野へと注力する。この動きは、宇宙・防衛産業における競争の激化の中で起きた。

LMはプレスリリースの中で、今回の買収によって同社のポートフォリオに推進システムに関する専門知識が加わり、ARの技術はすでにLMのサプライチェーンの 「重要なコンポーネント」 になっていると述べた。同社はすでに、ARの推進システムを航空、ミサイル、射撃管制に利用している。

ARの2019年の売上は約20億ドル(約2070億円)だった。同社はカリフォルニア州エルセグンドに本社を置き、5000人近い従業員を抱え、2013年にGenCorpのAerojetとPratt & Whitney Rocketdyneが合併して設立された。同社は国防総省向けに固体ロケットモーターのほか、戦術・戦略ミサイルを製造している。

ARはUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)のDelta 4とAtlas 5ロケットの上段に搭載されるRL10ロケットエンジンを製造しており、NASAのSpace Launch System用のRS-25エンジンも製造している。

LMの今回の動きは、SpaceX(スペースX)やBlue Origin(ブルーオリジン)などの新規参入企業に対抗して推進技術を強化し、米国政府との宇宙契約を獲得するためのものだ。一方でライバルのRaytheonは米航空宇宙・防衛大手のUnited Technologiesとの合併を準備している。

LMのJames Taiclet(ジェームズ・タイクレット)CEO は声明で、「ARの買収により、国内の防衛産業の基盤における重要な要素が維持・強化され、当社の顧客と納税者のコストが削減されます」と述べた。

ARのEileen Drake(アイリーン・ドレイク)CEOは「LMの一員として、私たちは米国の防衛と宇宙探査を可能にするという共通の目的を加速させるために、同社の豊富な専門知識と資源と私たちの高度な技術を集結します」と述べた。

買収は2021年後半に完了する見込みだが、規制当局やARの株主による承認プロセスが必要となる。

カテゴリー:宇宙
タグ:Lockheed MartinAerojet Rocketdyne買収

画像クレジット:NASA

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

MessageBirdがリアルタイム通知とアプリ内メッセージングプラットフォームのPusherを36億円で買収

2020年10月のシリーズCラウンドで30億ドル(約3120億円)と評価された(未訳記事)オムニチャネルクラウドコミュニケーションプラットフォームであるMessageBird(メッセージバード)は、ロンドンを拠点とするリアルタイムウェブテクノロジー企業Pusher(プッシャー)を買収した。

買収価格は3500万ドル(約36億円)で、Pusherの共同創業者でCEOのMax Williams(マックス・ウィリアムズ)と25人のPusherチームはアムステルダムに本社を置くMessageBirdに加わる。Pusherは2018年、TechCrunchに60人のチームを持つと語っていたことから、近年明らかにコストを削減した。

Pusherのプロダクトは、既存の顧客に対してはこれまで通り維持される。一方、アプリ内通知が特徴であるPusherの技術と「プッシュ」を中心に構築された開発者向けAPIとSDKはMessageBird独自のコミュニケーションプラットフォームとのギャップを埋めるのに役立つ。MessageBirdのプラットフォームはFacebook Messenger、WhatsApp、Line、WeChatなどのメッセージ中心のチャネルやSMSで強みを発揮する。具体的には、Pusherがアプリ内メッセージング、プッシュ通知、位置追跡などの機能をもたらすといわれている。

「この取引により多くの新しいツールと機能が生まれます。MessageBirdの顧客は、以前よりもさらに多くの方法で彼らの顧客とコミュニケーションをとることができます」とMessageBirdは述べる。

2011年創業のPusherは、ウェブサイトやアプリにリアルタイム機能を組み込みたい開発者の障壁を下げることを目標としていた。それは元々、汎用のリアルタイムAPIとそれをサポートするクラウドインフラを介して提供されていた。アプリ開発者はリッチプッシュ通知、ライブコンテンツの更新、さまざまなリアルタイムコラボレーションおよび通信機能などをより簡単に開発することができた。

しかし同社は最近、特定のリアルタイム機能専用の追加サービスの展開を始めた。まず、チャット機能をアプリまたはサービスに追加するために必要な多くの面倒な作業を担うAPIおよびSDKであるChatkitを開発した。これはその後、チャート、位置追跡、地図を加えて拡張された。PusherはGitHub、Mailchimp、CodeShip、The Financial Timesを顧客に抱える。

一方、MessageBirdは当初、米国を拠点とするTwilio(トゥイリオ)の欧州または「その他の地域」での競合企業と考えられていた。音声、ビデオ、テキスト機能をすべてAPIにまとめてサポートするクラウドコミュニケーションプラットフォームを提供しているが、その後自社を「Omnichannel Platform-as-a-Service」(OPaaS)に位置づけ直した。企業や中小企業が選択した任意のチャネルで顧客と簡単にコミュニケーションできるというのがその構想だ。

従来の常識を破り、MessageBirdはWhatsApp、Messenger、WeChat、Twitter、Line、Telegram、SMS、eメール、音声のサポートを含む。顧客はオンラインで始めると、サポートリクエストやクエリをお気に入りのモバイルメッセージングアプリなどのより便利なチャネルに移動できる。もちろん、モバイルメッセージングアプリもMessageBirdと一緒に使用できる。これはすべて、MessageBirdの創業者でCEOであるRobert Vis(ロバート・ビス)氏の大きな賭けの1つだ。同氏は、顧客とのやり取りの未来はオムニチャネルにあると考えている。

従ってPusherの買収は全体として適切に見える。ロンドンとアムステルダムは地理的にもタイムゾーンも近いが、MessageBirdはとにかくリモートファーストの会社に変身しつつある。また、間違いなくプロダクトには相当の重複があるが、十分に統合する前に埋めるべき正真正銘のギャップもある。

MessageBirdのCEOで創業者であるビス氏は短い電話でPusherの技術とチームについて話した。同氏は、イグジットするスタートアップが単に買収されて跡形もなく消えるのではなく「良い家」を見つけることが重要だという信念を打ち明けた。同様に、MessageBirdが真のオムニチャネルを目指すなら非常に優れた「プッシュ」APIと品揃えが必要だ。そこで買収か開発かという意思決定の機会があり、今回はPusherとチームを組むことが最善の方法であると判断した。

ビス氏は筆者に、オムニチャネルおよびメッセージングプラットフォームの分野でさらに多くのM&Aが見込まれるとの見方を示した。IPOの可能性があるMessageBirdからだけでなく、競合他社が買い手になる可能性もある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:MessageBirdPusher買収

画像クレジット:MessageBird

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(翻訳:Mizoguchi

インドネシアのロジスティクス事業拡大に向けてWaresixがTrukitaを買収

写真左はWaresix共同設立者・最高経営責任者Andree Susanto(アンドリー・スサント)氏、右はTrukita共同設立者・最高経営責任者Ady Bangun(アディ・バングン)氏

インドネシア最大級の物流管理スタートアップであるWaresixは、「ファーストマイル」に注力するTrukitaを買収した。この用語は、サプライチェーンのうち、港から倉庫まで商品が輸送される部分を指す。

Waresixのプラットフォームは、サプライチェーンとロジスティクスチェーンのあらゆる部分をデジタル化するが、現在はミッドマイルロジスティクスサービス、つまり倉庫から流通業者への輸送に注力している。Trukitaは1万台以上のトラックによるネットワークを所有しており、両社の組み合わせにより、「インドネシア最大のロジスティクステクノロジープロバイダーの1つとなりました」と、Waresixの共同設立者で最高経営責任者を務めるAndree Susanto(アンドリー・スサント)氏は述べている。WaresixとTrukitaはどちらも企業を荷主や倉庫に接続することで事業を展開しており、今回の買収により顧客のコストを削減することが可能になる。

Waresixは2020年9月、EV Growth、Jungle Ventures、SoftBank Ventures Asiaなどの投資家から2019年を上回る約1億ドル(約103億円)の資金調達を行った(PR Newswire記事)と発表した。同社は世界で4番目に人口の多いインドネシア全土で、375以上の倉庫と4万台以上のトラックを扱っており、現在は100以上の都市にサービスを提供している。

インドネシアは1万7500以上の島々からなる群島であり、そのうち6000の島々が人が住んでいる。そのため、インドネシアの地理はロジスティクス企業、特に大都市以外で事業を展開している企業にとって、他では見られない問題を生じさせる。商品が最終目的地に到着するまでに、サプライチェーンは複数の船やトラック、そしていくつもの倉庫をまたがって使用しなければならないのだ。物流コストの高さはインドネシア経済に大きな影響を与えており、政府は現在、より多くのインフラを整備したり、データベースを統合したり、輸出入ライセンスを簡素化するための取り組みを行っている(The Jakarta Post記事)。

インドネシアの複雑なロジスティクス事情はWaresix、Kargo、Ritaseのような物流スタートアップを誕生させた。これらの企業は、中間業者を排除し、リアルタイムで出荷を管理し、データ分析を利用して、サプライチェーンにおける非効率性を発見することに力を注いでいる。

Trukitaは2017年に設立された。その投資家にはAstra International、EverHaüs、Plug and Playなどが名を連ねている。

カテゴリー:その他
タグ:WaresixTrukitaインドネシアサプライチェーン物流買収

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(翻訳:TechCrunch Japan)

人材紹介会社のiCIMSが求人用ビデオのスタートアップAltruを約62.5億円で買収

企業向け人材紹介企業のiCIMSは、Altruを買収したと発表した。

iCIMSは取引条件についてコメントを避けたが、両社に詳しい情報筋によると、買収額は現金と株式の組み合わせで、合計約6000万ドル(約62億5000万円)だという。

2000年に設立されたiCIMSは、4000社以上の企業が新入社員の募集や誘致と雇用および既存社員のキャリア開発を支援するために利用している「タレントクラウド」を提供している。

元Marketo(マルケト)の最高経営責任者であるSteve Lucas(スティーブ・ルーカス)氏は2020年2月にiCIMSのCEOに就任した(iCIMSリリース)が、彼は「リクルートの世界は再発明の時期を迎えている」と語っていた。結局のところ、どの企業も周りで最も優秀な人材を採用したいといっているのに「刺激的で、素晴らしい人間を求めているはずの仕事を、なぜこんなつまらない仕事内容にするのか?」と、彼は疑問に思っていたという。

ルーカス氏は、動画がそのソリューションの鍵になると捉えている。これによって企業は、堅苦しく官僚的になりがちなプロセスに「信憑性」を持たせることができるからだ。ちょうど1カ月ほど前、iCIMSはこの分野で別の買収を発表した。パリに拠点を置くEASYRECRUEの買収だ(EASYRECRUEリリース)。

ルーカス氏によると、EASYRECRUEはビデオインタビューを充実させるツールを開発しているが、Altruは採用プロセスの早い段階で、企業が最も有望な候補者とのつながりを維持し、可能性のある仕事で彼らを興奮させようとしているとき、最も役立つという。

CTOのVincent Polidoro(ヴィンセント・ポリドーロ)氏と一緒にAltruを創業したCEOのAlykhan Rehmatullah(アリカン・レフマトゥッラー)氏(2人とも上の写真)によると、同社は創立当初、求人用動画の撮影と共有に重点を置いていた(未訳記事)が、その非同期型動画は企業全体でより広く利用されるようになってきているという。特に今年はそれが顕著で、チームが自宅で仕事をするようになり、誰もがSlackより表現力のあるコミュニケーション方法を探している中、「カレンダーに30分のZoom会議を追加する必要がない」ことをレフマトゥッラー氏は例に挙げた。

実際、ルーカス氏は筆者と話す前、自分のチームに買収について説明するためにAltruで動画を録画していたといっていた。彼はこのプラットフォームの使いやすさを賞賛し、「私がこれを使えるなら、誰でも使える」と冗談をいっていた。

レフマトゥッラー氏によれば、Altruのチーム全体がiCIMSに加わり、同氏はコンテンツ戦略担当の副社長になるという。彼らの目標は、Altruをスタンドアローン製品として運用し続ける一方で、iCIMSプラットフォームに統合する新しい方法を見つけることだ。

Altruは以前、Birchmere Ventures、Active Capital、Techstarsから合計130万ドル(約1億3500万円)の資金調達を行っている。

カテゴリー:HRテック
タグ:iCIMSAltru買収

画像クレジット:Altru

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ゲーミングプラットフォームのRobloxがデジタルアバター作成のLoom.aiを買収

Roblox(ロブロックス)は米国時間12月14日、Loom.ai(ルームドットエーアイ)というデジタルアバターのスタートアップを買収すると発表した。よりリアリスティックな人間のアバターの作成にフォーカスしている企業の買収は、リアリズムを脇に押しやる傾向があるエクスペリエンスを構築することでインパクトを生み出してきたゲーミングプラットフォームにとって興味深い動きだ。

TechCrunchは2016年にLoom.aiの135万ドル(約1億4000万円)のシードラウンドをレポートした。その後、同社は追加のシードファンディングを行い、調達した資金は計590万ドル(約6億2000万円)になった。同社の投資家はY Combinator、Samsung Ventures、Anorak Ventures、Zach Coeliusなどだ。

買収の取引条件は明らかにされなかった。

Loom.aiは2010年代半ばに創業された数あるアバター企業の1社だった。そうしたアバター企業はコンピュータービジョンの発達で資金を集め、アプリ内アバターを作るのに彼らのテックに頼っているユーザーのクロスゲーム・クロスプラットフォームネットワークの構築を目指していた。こうした分野はBitmoji(ビットモジ)買収後にSnapchat(スナップチャット)のような企業が作り出したものを拡張した3Dでのチャンスに資本を投入することを目指していた。

画像クレジット:Loom.ai

そして次第にフォトリアリズムから、ユーザーが2Dの写真をアップロードして自動でリアリスティックな3Dアバターを作ることができるミー文字のような表現を作ることへと取り組みをシフトさせた。近年は企業向けサービスにかなり重点的に取り組んでいる。同社のプロダクトには、Slack(スラック)や WhatsApp(ワッツアップ)のようなメッセージプラットフォームで使用できるパーソナライズされたアバタースティッカーや、ビデオ電話時に使えるライブアバターを作ることができる一連のインテグレーションが含まれる。

Robloxはどちらかというとかなり単純化したアバターを展開しているが、今回の買収は同社がよりリアルで本物そっくりの顔のアニメーションに力点を置いているシステムの構築に意欲を持っていることを意味する。買収発表のプレスリリースの中でRobloxは今回の買収が「次世代アバターの開発を加速させる」としている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:RobloxLoom.ai買収

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(翻訳:Mizoguchi

SteelSeriesがゲームコントローラー周辺機器販売のKontrolFreekを買収

システムにスパイスを加えたいと考えているゲーマーに、10年近くにわたってゲームやゲーム機の周辺機器を販売してきたアトランタを拠点とするKontrolFreekが、ゲーム用周辺機器、アクセサリーのグローバルなメーカーであるSteelSeriesに買収された。

買収の条件は明かされていないが、KontrolFreekは同社の主力製品を200万台以上出荷しており、60カ国の9000以上の小売店で利用でき、16以上のオンラインマーケットプレイスで見つけることができる。

Billy L.Harbert(ビリー・L・ハーバート)氏とAshish Mistry(アシシュ・ミストリー)氏が共同設立したアトランタの投資会社BLH Venture Partnersから5万ドル(約520万円)の小切手を受け取って11年前に設立された会社としては、この買収は悪くない。ミストリー氏はVirtex Networksの共同創設者で、後にAir Defenseの初期チームメンバーとなった。

ハーバート氏とミストリー氏はどちらもゲームに熱心ではなかったが、ミストリー氏は周辺機器メーカーを販売する機会を見いだしていたと、ダイレクトメッセージで述べた。

「巨大な市場には大きなニッチ市場がある」とミストリー氏は書いている。

KontrolFreekを買収することにより、SteelSeriesは高性能コントローラーアクセサリーの主要販売企業の1社を自社製品ポートフォリオに組み込み、家庭用ゲーム機市場における地位をさらに強化する。SteelSeriesは2020年、ゲーム用3次元サウンドシステムを提供するA-voluteを買収している。

SteelSeriesは、400万人のコミュニティメンバーを誇るKontrolFreekのFreekNationコミュニティで、活発なユーザー生成メディアを手に入れたことになる。

「次世代コンソールがゲーム業界の第一線に立っているいまこそ、最高のゲーム体験と製品をコンソールゲーマーに提供する能力を最大化する絶好の機会です」とSteelSeriesのEhtisham Rabbani(エティシャム・ラバーニー)CEOは語った。「KontrolFreekの専門知識と世界的な人気により、同ブランドが世界中の新しいゲーマーを楽しませ、喜ばせ、支援するための新しい機会を開くことになるでしょう」。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:SteelSeriesKontrolFreek買収

画像クレジット:KontrolFreek

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)

EAがレースゲームに注力する英国の老舗ゲームスタジオCodemastersを1250億円で買収へ

誰もが取引が完了したと思っていた。Take-TwoはCodemastersを10億ドル(約1040億円)近くで買収することになっていたし、同社はCodemastersの取締役会とも合意に達していた。しかしElectronic Arts(EA)は土壇場になって計画を乗っ取り、さらに多くの資金を提供した。EAはCodemastersを12億ドル(約1250億円)で買収する計画だ。

Sky Newsは当初、EAがノックアウト入札を計画していると報じていた(Sky News記事)。その後、EAはCodemastersの取締役会と合意に達したことを正式に発表(Business Wire記事)している。

Codemastersを知らない人のために書いておくと、この英国のゲームスタジオは1986年に設立され、今日では最も古いゲームスタジオの1つとなっている。これまでに数十タイトルのゲームを開発・公開しており、近年は「DiRT」「DiRT Rally」「F1」「GRID」「Micro Machines」など、複数のフランチャイズにわたるレースゲームに注力している。

EAはCodemastersを1株あたり6.04ポンド(約838円)の全額現金取引で買収することを提案している。買収手続きは2021年第1四半期中(2020年1〜3月)に完了する見込みだ。

EAとレースゲームとの関係はこれまで激変してきた。最も人気のあるレースゲームの1つである「Need for Speed(ニード・フォー・スピード)」シリーズを生み出してきたが、ここ数年はレースゲームをないがしろにしてきたため、期待はずれのゲームを生み出している。

今回と同様に、EAは2004年に「Burnout」を開発したCriterion Gamesを買収した。しかしCriterion Gamesは現在、主に「Battlefield(バトルフィールド)」と「Star Wars Battlefront(スター・ウォーズ バトルフロント)」の第2スタジオとして機能している。

CodemastersはEAのサブスクリプションサービスであるEA Playを含む、同社の配信リソースを利用できるようになる。EA Playは、レーシングゲームに関心があれ興味深いサブスクリプションとして位置づけられている。

Take-Twoは買収に失敗するとは思っていなかっただろうが、会社経営はうまくいくだろう。同社は「GTA(グランド・セフト・オート)」や「Red Dead(レッド・デッド)」のRockstar Games、「Xcom」や「Civilization(シヴィライゼーション)」のFiraxis Games、「NBA 2K」の2K Sportsなど多くのスタジオを所有している。

2020年はビデオゲーム業界の統合にとって重要な年となった。Microsoft(マイクロソフト)はBethesda、id Software、Arkaneの親会社であるZeniMax Mediaを買収している。また同社はここ数年でDouble Fine Productions、Obsidian Entertainment、Ninja Theoryも買収している。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:EACodemasters買収

画像クレジット:Codemasters

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)あ