Parking Kittyでポートランドの駐車手段は可愛らしくなった

オレゴン州ポートランドは、今週パーキングメーターの料金を支払うことのできるアプリParking Kitty(パーキング仔猫ちゃん)をリリースしたことで、相変わらずそのユニークさ(と可愛さ)に磨きをかけている。このアプリは、米国最大のパーキング支払い業者の1つであるPassportのシステムを利用している。「大きな変更は加えていません」と語るのはポートランド運輸局(PDOT)のパーキング部門マネージャーであるMalisa McCreedyだ「見かけはローカルなものにはしましたけれどね」。

見かけは愛らしい仕上がりだ。Parking Kittyは猫顔のアイコンを持ち、デザインにはネコテーマが含まれている。支払いをすると、喉をゴロゴロ鳴らしてくれるし、パーキングメーターが時間切れになりそうなときには、ニャーと鳴いて知らせてくれる。「あまり自動車に強く結びつたものではなく、もっと普遍的なアプリケーションにしたかったのです」とMcCreedyは言う。「楽しく覚えて貰いやすいようにするにはどうすればよいのか、と考えました」。

McCreedyによれば、難しかったのはブランディングの部分ではなかった。PDOTは、新しいアプリがすでに実装されている他のシステムやサービスと確実に連携することを確認するために、ベンダーたちと協力を行ってテストを行わなければならなかった。そして新しい支払い方法の導入に伴い、パーキング規制を適用するための新しい方法も必要となった。Parking Kittyからのすべてのデータは、路上に設置されている物理的パーキング料金支払いステーションからのデータと同じ場所に格納される。パーキングパトロール担当者は、もし利用者がParking Kittyで支払いを行っている場合には、単にメーターを見たり、車のダッシュボード上に置かれた料金支払い済レシートを見るだけでは支払い済かどうかを判断することはできない。彼らはモバイルデバイスでデータベースと突き合わせチェックを行なう必要がある。

このアプリは、ワシントンパークやポートランド州立大学(PSU)の駐車場のほか、市内27箇所のパーキングゾーンで利用できる。既にPSUとワシントンパークは、Passportとそれぞれ契約を結んでいたのだが、McReedyは、同じことをするためにユーザーに3種類のアプリを使わせることは誰も望んでいなかったと語った。そこで、大学、公園、そして市の3者が協力して、Parking Kittyを作り上げたのだ。

自動車ジャーナリストで3匹の猫の飼い主でもある私は、リリースされた日にアプリを試した。それは問題なくシームレスに機能した。また数ブロック離れた場所での会議が長引いたときに、パーキング時間の延長のために10セントの手数料を払うことは全く苦にならなかった。でも実のところ、私はそのニャーという時間切れリマインダーに10セントを支払っているのだニャー。カワイイ!

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(翻訳:Sako)

自動運転車もオープンソース化でカスタマイズの自由度を強調、ステルスを脱したOSVehicleはモジュール構造のホワイトレーベル車を提供

OSVehicle(Open Source Vehicle)はY Combinatorが支援するB2Bの自動運転車企業で、多量の業務用車両を抱える顧客企業に‘ホワイトレーベル’(納車時ノーブランド)の車を複数台作って納める。

‘EDIT’と名付けられたその自動運転車は、顧客がすぐに使い始められる状態で納車される自動運転電気自動車で、モジュール構造なのでデザインは可変、ホワイトレーベルなので顧客が完全に自己ブランド化できる。

1年のステルス期間をようやく脱した同社は、顧客である自動車利用企業が仕様をカスタマイズできる自動運転車が、製品の基本コンセプトだ。自動運転のためのハードウェアや、インターネット接続、ソフトウェアのコード、航続距離、ルックスなど、何でもカスタマイズできる。モジュール方式の利点は、そういうカスタマイズが通常の半分ぐらいの工期と、約1/6の費用でできることだ。

顧客は、自分の国と自分の業種(例:タクシー会社)に合った車を、短期間で確保できる。フードデリバリ、ライドシェア、などなど業種に合わせたカスタマイズが、車の特定のブランドにまったく邪魔されないのだ。言い換えると、ブランドに合わせたカスタマイズではなく、完全にアプリケーションに合わせたカスタマイズが可能だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

イーロン・マスク、TEDでトンネル計画を語る――SpaceX、自動運転等の事業も

少なくとも3社のCEO、イーロン・マスクが先週金曜日にバンクーバーで開催されたTED 2017カンファレンスに登場した。上のビデオにその模様が収められている。マスクは注目の新事業、地下トンネルの掘削計画についてビジョンを語った。

マスクは地下トンネルの3Dネットワークによって現在の地上の交通渋滞が大幅に改善されるとしている。マスクはThe Boring Companyの事業計画についてこれまでになく詳しく語った。それによればこの事業を思いついたきっかけはロサンゼルスで交通渋滞に捕まって非常に腹立たしい思いをしたことだったという。

マスクはまたTeslaの将来計画についても語り、貨物運送のために電気トレーラーを開発していることを明かした。また2年のうちに自動運転の電気自動車を実用化すると述べた。マスクはまた火星植民計画についても語り、なぜ人類が地球外に進出することがマスク、またSpaceXにとって重要なのかを語った。

マスクは短いツイートでさえセンセーションを巻き起こす存在だ。マスクのアイディアの実現性に関してはさまざまな評価があり得る。しかしこれまでも新たな思考のきっかけを多数提供してきたTEDの舞台でマスクが将来を語るのを聞くのは実に刺激的な経験だ。

〔日本版〕対談の聞き手はTEDの代表者(オーナー)、キュレーターのクリス・アンダーソン。ビデオにはデフォールトで英語字幕が表示される。

下はマスクのトンネル計画を説明するビデオ。自動車は路上に設けられたエレベーターで地下トンネルに下り、スケートボード式台車に乗って高速移動できる。このトンネル・ネットワークについてはTechCrunch Japanでも詳しく解説している。マスクが最近購入したシールド掘削マシンについてはこちら

マスクの説明によれば、現在の道路トンネルが高価なのは内燃機関を用いて自走することを前提としているため。自動車を電気モーターを用いた台車に載せることで小型化が図ると同時に掘削テクノロジーを改良することでトンネル設置のコストを10分の1以下にすることが可能になるというのがマスクのビジョン。まずロサンゼルスの地下にトンネルを建設したいとしている。

マスクはゲリーというカタツムリをペットにしているが、ゲリーは現在のトンネル掘削機より14倍早く進むという。マスクはさまざまな改良によってトンネル掘削をカタツムリ以上の速度にするのが目標だという。

その後、電気自動車、太陽光発電について説明、最後にSpaceXの宇宙事業について語った。SpaceXは衛星打ち上げロケットのブースター(1段目)を繰り返し洋上の艀や地上基地に垂直着陸させ回収している。また回収したブースターの再利用にも成功している。下のビデオはNROL-76偵察衛星の打ち上げとブースター回収のもよう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、NROL-76の打ち上げに利用したロケットの地上回収に成功

NROL-76の打ち上げに利用したFalcon 9は、既報通りに無事回収された。Falcon 9は、打ち上げ後しばらくして第二段ロケットを切り離し、その後に予定通り地球に向けて下降した。

SpaceXがケープカナベラルのLZ-1にてロケットを回収するのはこれが4回目のことだ。この地における最初のロケット回収は18ヵ月前のことだった。地球に帰還する状況に応じて自在に着地地点を変更する海洋上のドローンによる回収に加え、地上でも安定的に回収することが可能となっているようだ。

回収したFalcon 9はテストを経て、再利用に向けた調整が行われることになっている。SpaceXとしては、究極的には回収後24時間で再利用できるようにしたい考えがあるのだとのこと。ちなみに、第一段ロケットの再利用自体については、今年の3月に成功している。そのロケットについても、回収を行なって再利用に備えているところだ。

Instagram Photo

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(翻訳:Maeda, H

Elon MuskのBoring Companyが描く未来の交通網

Elon MuskのBoring Company(ボーリング会社)は要するに何を実現したいのだろうか?ここに紹介したものが現時点でもっともはっきりとしたイメージだろう。金曜日の朝に行われたMuskのTEDTalkで披露されたこのビデオには、網のように張り巡らされたトンネル階層を車が移動する未来の地下交通網が描かれている。そこではそり型のシャトルに載せられた車両が時速約130マイル(200キロ)でレールの上を移動している。

Muskのビジョンでは、エレベーターシャフトの入口になっているバーキングスポットのような場所から、車が地下のネットワークへと降りていく様子が描かれている。一旦地下に降りると、車はそりに載せられたままトンネルに合流し、他の車両を乗せたパケットたちの流れにシームレスに入っていく。全てはコンピューターによって最大の効率が出るように制御されている。

このような移動手段により、地上で可能な最高速度を上回ることが可能になり、最適化されたネットワークルーティングが実現される。このルーティングは現在インターネットでみられるブロードバンド通信内でのパケットルーティングとは異なるものになる。

このネットワークの利点はインテリジェントなルーティングだけでなく、3次元の構造を持つところにもある。地上では道路は精々2層もしくは3層までしか重ねることができず、一般的には単に1階層を移動するだけである。地下では多くの層を重ねることが可能で、このことでドライバーの目的地へのルート最適化を行いやすくなる。

イベントのステージ上で、Muskは彼の時間のほんの2~3%をBoring Companyに使っていると語った。このことからもこのビジョンが、実際に人びとが使えるようになるまでには、まだまだ遥かに遠いということがわかる。しかしMuskに素晴らしい点があるとすれば、それは未来に対する素晴らしいビジョンを描いてみせることだ – そして時折そのビジョンを現実のものにしてしまうことである。

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(翻訳:Sako)

自動運転車の公道走行試験に関するカリフォルニア州の規則変更に対しAppleが意見書を提出

自動運転車の公道上の試験に関する、カリフォルニア州自動車局(California Department of Motor Vehicles, DMV)の規則変更案に対する意見書を、Appleが提出した。Appleが提出したその公式の意見書は比較的短く簡潔で、この記事の〔原文の〕下に埋め込んだDMV宛の書簡に収められている。書簡の署名は、AppleのDirector of Product Integrity、Steve Kennerになっている。Appleの自動運転車への取り組みを初めて明かした書簡も、彼の署名だった。

Appleの意見書の要点は、報告すべき自動運転解除状態(disengagement)*の定義をより厳しくして、自動運転ソフトウェアをoffにして走行しているときに起きた、報告を要する事故の数を減らす、というものだ。Appleはまた、試験中の安全ドライバーの必要性に関する規則文の記述の明確化と、試験用に使ってもよい車種要件の一部をゆるくすること、および、安全ドライバー不在で試験する場合の代替的停止技術についても述べている。〔*: disengagement, 緊急時等に自動運転機能を解除する(offにする)こと。〕

DMVは、人間の安全ドライバーが運転席にいなくても試験できる、という条件を加えて、試験のやり方を拡大しようとしている。それは、自動運転車による配達業務やライドシェアなどで自動運転を商業的に利用したいと考えている企業にとって、とくに重要だ。

Appleの書簡は、自動化一般、および中でもとくに自動運転に関する同社の考え方を、詳細に述べている。Appleはその部分で、同社は“機械学習とオートメーションに重点投資をしており、多くの分野に自動化システムの可能性があることに励まされている。運輸交通は、そういった分野の一つである”、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Appleがテスト中の自動運転車、さっそく目撃情報が現る

以前も報じたように、Appleは自動運転車のテストにLexus RX450h SUVを使っている。その様子を示す写真を、Bloombergが公開した。写真は偶然の目撃者により撮影されたもので、車はシリコンバレーのApple施設から出てきたのだとのこと。

使われている車は、Google内のプロジェクトからAlphabet傘下の企業となった、自動運転車開発を手がけるWaymoのものと非常によく似た構成となっているようだ。ちなみにWaymoの本社も、AppleのクパチーノHQと非常に近いところにある。SUVに搭載されているパーツをみると、複数のカメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、およびレーダーなどで、いずれも市販品を利用しているようだ。たとえばLiDARはVelodyneの最高級モデルを利用しているようだ。

今回撮影された写真や、DMV文書から判断すると、Appleの自動運転車への取り組みは、Waymo(既に10年以上もこの技術に取り組んでいる)、あるいはUberなどと比べても、非常に初期の段階にあるようにみえる。カスタムパーツを使用していないようにみえる点から判断すると、少なくとも現在のところ、Appleの自動運転車についての興味はソフトウェア面にあると考えて良いのかもしれない。

情報的にはすでに既知のことではある。自動運転車の研究をしていることも、また、どのような車を使うのかもわかっていた。しかしそれを実際に見てみるのは、神話の世界を生きる白鯨を目撃するような興味を感じさせてくれる。

Featured Image: Bloomberg

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(翻訳:Maeda, H

これがイーロン・マスクのトンネル掘削機だ――会社ロゴもペイントされている

イーロン・マスクのトンネル掘削会社は他の3社―SpaceX、Tesla、Neurolink―ほどミッションが明確になっていない。SpaceXとTeslaはすでに大きな実績を上げているし、新たに設立されたNeurolinkも脳とコンピューターの新たなインターフェイスを開発するという目標ははっきりしている。それにThe Boring Companyという社名は群を抜いてふざけている。

しかしマスクはたいへん目立つ企業ロゴをトンネル掘削用巨大シールドマシンにペイントしていた。SpaceXのエンジニアがInstagramに投稿した写真(Business Insider)にはThe Boring Companyの円筒形のトンネル掘削機がはっきり写っている。これを見ると、交通渋滞を根本的に解消するために地下にトンネルのネットワークを掘ることをマスクは真剣に考えているようだ。またトンネルはマスクがテスト中のHyperloop交通システムを走らせるにも適している。

マスクの計画は、いつもの戦略、つまり既存企業がコストに利益を上乗せする方式に守られて改革を怠っている分野を発見し、そこで画期的イノベーション起こすというものだ。マスクはこの2月、Bloombergに対して、交通渋滞の解消なら「空飛ぶ自動車などよりも地下にトンネルのネットワークを張り巡らす方がはるかに有効で実現性も高い」と述べている。空飛ぶ自動車はUberも開発しているが、実現には技術上の革命と同時に航空運輸に関する規制を根本的に変えていく必要がある。

〔日本版〕boringには「掘削」と「退屈な」の両方の意味がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleのもう一人の始祖Sergey Brinはツェッペリン型の巨大飛行船を開発中

Googleの協同ファウンダーSergey Brinは以前から奇抜で冒険的な技術に取り組むことが好きだが、奇抜という点では今回のがいちばんかもしれない。Bloombergの記事によると、この謎多き億万長者は黒い服装が好きで、かつてはウェアラブルコンピューターGoogle Glassを宣伝するためにそれを着けたまま飛行機から飛び降りたこともあるが、今はNASAの格納庫で秘密の飛行船を作っている。

Brinのそのプロジェクトは、情報があまりない。Bloombergの記事では、Alphabetの社長(Brin)のその航空機はツェッペリンに似ていて、個人的なプロジェクトのようだが、もしかして意欲的な新会社の始まりかもしれない。しかしBrinは飛行機が好きで、過去にはGoogleの社用機として“パーティー専用機”を作らせたことがある、とも言われている。飛行船は中でもBrinのお気に入りで、NASAの近くのAmes Research Centerを訪れてUSS Maconの古い写真を調べたこともある。Maconは米海軍が実際に使った数少ない飛行船の一つで、1935年に嵐でビッグサーの海岸に墜落した。

Googleは2015年以来Amesを実験のための研究施設として使っているが、Brinが作っている飛行船はAlphabetの正規のプロジェクトではない、とBloombergの記事は言っている。しかし、すでに金属製の構造体はできており、Amesの格納庫の一つのほぼ全空間を占めている。そして元NASAの監督官が、全体を監視している。その元監督官Alan Westonは、効率の良い長距離輸送機としては飛行船が最適、という説の持ち主だそうだ。

Brinがツェッペリンに関心を持つのも、懐古趣味からではない。そのハイブリッド飛行船Air Vehicles HAV 304 Airlander 10(上図)は、現時点で世界最大の航空機であり、発熱量が少なくてレーダーに映りにくいなど、軍用機としての適性を持つ。

それに、飛行船は確かに話題にはなるけど、空の旅に関心があるGoogle人間はBrinだけではない。彼の相棒のLarry Pageもこれまでに、いくつかの飛行車スタートアップを支援しており、その中の一つKitty Hawkは、最近の試作機の飛行をビデオで公開した

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google自動運転車の創始者が飛行車のスタートアップを立ち上げ、それをLarry Pageが支援、早くも試作機が湖上を飛ぶ

このKitty Hawk Flyer(上図)は、Googleの始祖Larry Pageが支援している飛行車メーカーKitty Hawkの初期の実機のひとつだ。同社のCEO Sebastian ThrunはかつてGoogleの自動運転車プロジェクトを立ち上げた人物で、このFlyerを年内に実際に発売する気だ。だからこれはもはや、遠い未来に実現する夢のプロジェクト、ではない。

Kitty Hawkはこのテスト飛行をサンフランシスコ近郊の湖で行った、とNew York Timesが報じているが、ご覧のように自動車というよりバイクに似ていて、水上飛行機のようなフロートのついた開放的な設計により、着水が可能だ。同紙によると、この一人乗りの乗り物は回転翼が8つもついていて、エンジンをふかしすぎた競艇用ボートみたいに猛烈にうるさく、湖の美観を損ねてしまうが、でも電気が動力なので環境を汚す要素はない。

この設計は高速性を確保するためでもあり、また現在のFAAの規制では、操縦免許の要らない超軽量機に属する。ただしそのような機は、人があまりいないところでのみ、使用できる。前述のように年内に発売される予定だが、お値段はまだ決まっていない。完成バージョンはもっと静かになり、外見もかなり変わるようだが、基本的な機構は同じだ。

まだ予約注文はできないけど、100ドル払って“Flyer Discovery Member”の会員になると、Kitty Hawk社の今後の製品にいち早くアクセスできる…フライトシミュレーターの体験やデモなどのビデオの視聴ができる。会員は予約受付開始時に‘列の先頭’に置かれるだけでなく、支払いが2000ドルのディスカウントになる。…ということは、価格は6桁(ウン10万ドル)ぐらいか。

この最初の製品はホビイストやレクリエーション利用がターゲットだが、同社の最終目標は都市の交通渋滞の解決策ともなる、一般車両だ。同社の研究開発エンジニアCameron RobertsonとTodd Reichertは、トロント大学在籍時に人力ヘリコプターと超高速自転車で某コンペに入賞した人物だが、彼らもThrunと共に、同社の飛行車が宇宙も地上もどっちも好き、というタイプの人びとに気に入られることを期待している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Boomは超音速旅客機の復活を目指すスタートアップ――コロラドの本社をビデオ取材

Boomはスタートアップとしてきわけて野心的な目標を持っている。超音速旅客機の復活だ。Boomが開発しているのはコンコルドに似た機体だが、もっと大型で性能も優れており、何より経済性が高くなるはずだ。TechCrunchではコロラドの空港に位置するBoomの本社を訪れ、社員がまだ50人に満たない会社がどうやって超音速旅客機を実現しようとしているのか詳しく見てきた。

訪問した小さな空港には航空機関連の会社が散在していたが、Boomの本社は格納庫の一つを占領していた。一歩足を踏み込むと、Boomが開発中の XB-1デモンストレーター機のフルスケールのモックアップが目立った。この機体は有人操縦で、Boomが世界の航空会社に販売しようと計画している商用機の小型のプロトタイプだ。

Boomのファウンダー、 CEO、Blake Scholl.

CEO、ファウンダーのBlake SchollはBoomのビジョンについて熱意を込めて語った。またBlakeは巨大なモックアップやそれよりは小さいが空力特性が精密に再現された風洞試験モデルを見せてくれた。Blakeは開発チームが仕事をしている混雑した部屋(近くもっと大きいスペースに移らねばならないだろうという)も案内してくれたが、エンジニアのチームにも強い誇りを抱いているようだった。われわれはBoomの航空機テクノロジーやデザインについてあらゆる側面を知ることができた。Blake Schollが航空機産業の出身ではなく、ネットワーク・テクノロジー、広告自動化、eコマースなどの会社の起業家、幹部という経歴だったのは意外だった。

しかしSchollは自家用パイロットのライセンスを持つ熱心な飛行家であり、航空工学を自らも熱心に学んでいると同時に、才能あるエンジニアを選ぶ力も高いようだ。私はBoomの開発チームと話をした。その1人、ノートルダム大学を卒業してNASAでインターンをした経験もあるフライト・コントロール・システム開発の責任者、Erin Fisherによると、航空機、航空旅客運送ビジネスに強いインパクトを与える可能性がある点でBoomは非常に魅力的な職場だという。Fisherによれば、航空エンジニアがこれほど革命的な機体の開発にこれほど早い段階で関われるチャンスはきわめて稀だという。

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きわめて革命的なBoomnだが、今のところ事業は質素なスタートだ。実際、われわれが訪問したときも、 開発チームはXB-1デモンストレーターのフルスケール・モデルの耐久テストを実施しているところだったが、カーボンファイバーのテスト用素材を作るオーブンはアルミフォイルを巻いた手作りの箱だった。カーボンファイバーの素材が「焼きあがる」と強度をテストする装置にかけられ、破壊するまで力を加えられる。これによって機体が十分に安全な強度を得るために必要な素材の量が決定されるという。シミュレーションにより予測された強度に達していることが確かめられるとXB-1実機に用いる素材の製造が開始される。デモンストレーターのテスト飛行は来年予定されている。

Boomの目標は遠大なので当然ハードルも高い。有人機機を飛行させるのはどんな規準からしても野心的なミッションだ。また開発チームが作業するのに適したスペースを見つけるのも大変だという。しかしSchollによれば、最近のラウンドの成功も含めて、XB-1を飛行させるための資金は十分確保しているという。

クライアントからの問い合わせも来ており、Boomはいくつも航空会社と話し合いを行っている。もちろんアメリカの上空を超音速で飛行することも含め、Boomが実際に飛ぶためには今後さまざまな法規の調整が必要となる。しかしどこからか始めるのでなければ何も始まらない。Boomの目標は現在のビジネスクラス程度の料金で世界の大都市間を超音速で結ぶというものだ。

画像: Darrell Etherington

〔日本版〕ビデオによれば、XB-1デモンストレーターに利用するエンジンはGE J85。1950年代に空中発射ミサイル用エンジンとして開発されたが、後にノースロプF-5などの軽戦闘機に採用された。近年ではバート・ルタンの宇宙往還機の母機、White Knight Iのエンジンとしても用いられた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AeroMobilが同社製飛行車の‘初版’の予約販売を開始、納車は2020年以降だ

空飛ぶ自動車“飛行車”を作っているAeroMobilの、ニューモデルが今日(米国時間4/19)発表され、この(別の意味で)ハイブリッド車の限定版の予約受け付けが始まった。同社の約束では飛行車の商品としての発売は2017年内とされているので、予約受付も‘発売’の一種と言えるかもしれないけど、でもその実際の出荷は2020年以降だ。本格生産のための体制づくりにあと数年を要し、それから納車が可能になる、という。

でもAeroMobilの、言葉で書かれている部分はすごい。走行モードから飛行モードへの移行は3分以内で行える。走行航続距離は約434マイル、飛行航続距離は最大速度の75%で466マイルだ。最高走行速度は時速100マイル、ヒコーキになったら時速約224マイルが最速だ。

AeroMobil自身は、スピードよりも安全性を強調している。飛行に適さない不安定な天候でも安全に飛べるための工夫が、たくさん盛り込まれている。緊急着陸のためのパラシュートもあるから、機体は無傷で回収できる。また衝突時に人命を守るエアバッグは、空陸両用に設計されている。

言葉だけ並べるとこれだけクールで、まるで007の映画だ。これまでに、サプライサイドのパートナーPatrick Hesselが同社に320万ドルを投資している。今日のニューモデルの発表は、モナコで行われた超おしゃれなオートショウTop Marquesで行われた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

日本のルネサスも自動運転車用チップに次の成長を賭す、Analog Devicesとパートナー

そのほかのチップメーカーと同様に、日本のルネサス(Renesas Electronics Corporation)も、これからの新しい産業、自動運転車に注力しようとしている。東京に本社を置く同社は今週この都市で行われた見本市で、R-Car Consortiumを発表した。それは、日本やアメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国などの企業や大学から技術者や研究者を集めた研究開発集団で、自動運転技術の将来的な高度化を目指す。すでにルネサスは、同社の完全自動運転車のデモを行っている。

同社が最大の強みとしているのは、自動車級/車載級のヘビーデューティーなチップの設計と製造技術だ。それは自動運転車があらゆる運転状況で、しかも長年、正常に機能することを目指している。また同社が自動車の自律化技術でとくに配慮しているのが、サイバーセキュリティだ。それに関し、ルネサスの代表取締役社長兼CEO呉文精の談話を、日本経済新聞が報じている。ルネサスはこの成長機会に完全に集中するために、それまではゲーム機やスマートフォンに向けていたリソースを、自動運転技術の部門へ再配置した。

ルネサスはいくつかの自動車関連技術を追究している。たとえば同社のAdvanced Driver Assistance Systems(ADAS)のためにADIと共同開発している新しいレーダー技術や、自動運転車とADASシステムの両方で使われる前方カメラなどだ。

チップメーカーが自動運転技術に賭けようとしている動きは、ルネサスだけではない。Qualcommは自動車用チップの大手NXPを買収したし、Intelはイスラエルのセンサーとソフトウェア企業Mobileyeを今、買収しようとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

航空会社がオーバーブッキングする理由―統計専門家に聞いてみた

頻繁に飛行機を利用していれば誰にも経験があると思うが、チケットを片手にゲートにたどり着いたのに席がないという事態に出くわすことがある。A地点からB地点まで飛ぶ飛行機の席の数よりゲートで待っている人数の方が多いのだ。そこで誰しも「飛行機に200席しかないんだったらチケットも200席分だけ売ればいいだろう!」と思う。しかし航空会社がオーバーブッキングすることについてはビジネスの収支上、効率上の理由がある。これは統計データの分析に基づくものだ

アメリカだけでも毎年9億人が空路で移動している。これは控えめに言っても大事業だ。人々が旅行する理由はさまざまだが、ビジネスとレジャーがニ大要因だ。問題は搭乗を予約した乗客の全員がゲートに現れるわけではないという点だ。平均して5%の乗客が現れない。場合によっては15%に跳ね上がる。当然これは航空会社の経営に影響を与える。

ある場合には定員以上の乗客が飛行機に乗ろうとすることがある。通常、乗客は自発的に降機するよう要請される。しかしこれで解決しない場合がある。昨年は4万6000人の乗客が強制的に飛行機から降ろされた。

航空機のチケットには特定の座席を確保する力はない

たとえばニューヨークからサンフランシスコに飛ぶ場合、われわれは通常、特定の便の特定の座席を予約する。しかし法的関係を厳密に言えば、 この予約には特定の座席を確保する力はない。乗客はニューヨークからサンフランシスコへの空路の旅行の権利を買ったことになる。ロンドンからニューヨークに飛んだときに、乗り継ぎ便を逃したとしよう。多くの場合、航空会社は無料で別の便に変えてくれる。交通渋滞で乗り遅れた場合も同様だ。これは「旅行の権利を買った」ことに基づく。

ビジネス旅行者は乗客数ではわずか12%だが売上では60%を占めるので王様だ。その理由は、ビジネス旅行者はなるべく制限の少ないチケットを必要とするため高い料金を払うからだ。フレキシブル(変更可能な)チケットを持っている場合はぎりぎりの時点で予約の変更を申し出ても受け入れられる可能性が高い。ビジネスで飛行機を利用する乗客の場合、会議が長引く、思いがけないビジネスチャンスを発見するといったことが始終起きる。1便遅くしたり早くしたり目的地を変えたりする必要が生じる。このクラスの乗客(ビジネスクラスや正規のフレキシブル・チケットの所有者)は予約した便でほぼ間違いなく飛ぶことができる。

では、チケットを200枚売っても200人がゲートに現れるわけではないという問題はどうしたらよいか?

ひとつは空席のまま飛ぶことだ。しかし航空会社の利益率は1%前後なのでこれは最悪の選択だ。空席を残して飛べば赤字が出る。しかも多くの場合、販売されたチケットは依然としてVALID、つまり有効な状態なのでその乗客がいつどの便を再予約するのかわからない。

乗客がゲートに現れなかった場合

自発的に飛行機から降りた場合、航空会社は500ドルのバウチャーをくれる。つまり後で別のフライトのチケットを購入したときに500ドル分として使えるわけだ。

私は航空会社の統計専門家に話を聞くことができた。TechCrunchのインタビューに答える許可を会社から得ていないというので、ここでは仮にジョージと呼んでおこう。ジョージによれば「空席を放置して飛ぶより〔オーバーブッキングの場合に〕500ドルのバウチャーを払う方がすっと適切だ」という。もし500ドルの現金を払ったのなら会社の口座から500ドルが消えることになる。しかし500ドルのバウチャーの場合、そもそも現金は減らない上に、実は会社の実損は現金500ドルよりはるかに少ない。【略】

オーバーブッキングをコントロール可能にするには?

「旅行というのは統計的にかなりの精度で予測できる。たとえばスーパーボウルがテキサスのヒューストンで開催されるとしよう。すると乗客がゲートに現れる率は急上昇する。スーパーボウルのチケットを持っていたら無駄にしたくないのは明らかだ。そこで飛行機にも実際に搭乗することになる。われわれはその時期にはオーバーブッキング率を下げる。この時期にオーバーブッキングして乗客を飛行機から降ろすと非常に悪いパブリシティになるからだ。航空会社のオーバーブッキングのせいでスーパーボウルを見損なったなどという記事が出るより空席を抱えて飛ぶほうがましだ」とジョージ。

「同様に感謝祭とクリスマスの前後にも乗機率が急上昇する。休暇で実家に行き帰りする季節には予約のキャンセル率は減る。スーパーボウルの場合と同じような事情で航空会社はオーバーブッキングを減らす。こういう時期に飛行機から降ろされた乗客は2度とわれわれの便を利用しないことになりがちだ」。

しかしそれ以外の普通のウィークデイの場合は事情が異なる。乗客はフライトを予約してもさまざまな理由でゲートに現れない。接続便の遅れの場合もあるし、交通渋滞もあるだろう。乗客個人の事情で旅行を延期したり、別のことをしなければならなくなることもある。

「格安チケットはこの問題を解決する一つの方法だ。当初の価格は安い代りに高額のペナルティーを支払わなければ別の便に再予約はできない。その便に乗り損ねたらもう一度チケットを買い直すしかない」。

10億ピースのジグソーパズルを解く

また航空会社はチケットにいくつもの等級を設定している。実はこの等級はその便に乗れないリスクを乗客が選べるようにしてあるのだという。

「乗客がYクラス(ジョージの航空会社ではエコノミークラス)のノンフレックス・チケットを購入したとする。航空会社ではこのチケットの保有者がゲートに現れないリスクを計算できる。われわれは何十年も前からの膨大なフライト・データを持っている。たとえばエコノミー・チケットの保有者が4月11日にサンフランシスコからニューヨーク行き直行便を乗り継ぎなしに予約した場合、という具合だ。これに天気予報その他関連ある要素を加えて処理する。17Aの切符を予約した乗客が無事にその席に座って飛び立てるかどうか、われわれはきわめて確度の高い予測ができる」とジョージは言う。

しかし問題は、オーバーブッキング問題に限らず、統計予測には必ず一定の範囲で誤差がつきものだといいう点だ。

「予測を間違えて空席が出そうな場合はキャンセル待ちの人々を乗せようと試みる。逆の場合、たいていは何百ドルかのバウチャーと引き換えに自発的に飛行機を降りてくれる乗客がいる」

「もちろんチケットのビジネスモデルを変更して予約した全員が必ず座れるようにすることは可能だ。【略】しかしその場合にチケットの価格は非常に高くなる」という。ジョージの説明によれば飛行機のチケットというのは基本的にコモディティーだという。つまり同種の他社の同種商品と交換可能な商品ということだ。チケットに印刷してある航空会社がUAであろうがVirginであろうがAAであろうが、要するに「A地点からB地点への移動」を約束しているに過ぎない。

航空業界というのは恐ろしく利幅が少なく、競争が激烈なビジネスだ。もしジョージの航空会社が予約モデルを変えて、予約者全員が必ず飛べるようにしたとしよう。すぐに飛行機は空席だらけで飛ぶ羽目になる。それどころか廃業ということになるだろう。一部の乗客は座席を確保できるなら20%くらい料金が高くなっても構わないと思っている。…しかしその程度ではまだまだ普及するビジネスモデルとなるには足りないのだという。

画像: Dave and Les Jacobs/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FCCは乗客が飛行中に携帯にがなりたてることを望まず

FCC〔アメリカ連邦通信委員会〕は商用航空路線の飛行機の中で乗客が携帯電話に向かってがなり立てることを望まないことを明らかにした。 FCCのアジット・パイ委員長は飛行機の中では静寂が確保されるべきだと考えている。パイ委員長はアメリカ人の大半も同じ意見だと確信している。パイ委員長はFCCに対し、飛行中の携帯電話による音声通話を解禁する2013年の計画を最終的に破棄するよう命じた。

念のために断っておくと、これは飛行中にモバイル・デバイスを利用することとは無関係だ。厳密に音声通話のみに関する禁止だ。パイ委員長の公式(私的感情も混じっている雰囲気だが)声明は以下のとおり。

アメリカの航空機のパイロット、客室乗務員、乗客の大半は飛行中に携帯電話の使用を認めようとする計画に反対だと思う。2013年に始まったこの誤った案をFCCがこれ以上検討することは公衆の利益に合致しないと信ずる。アメリカ人は、私と同様、1万メートルの上空では静寂が尊重されるべきだと考えているはずだ。規制緩和案を最終的に破棄することはアメリカの公衆の勝利だ。

パイのFCC委員長としての通信政策に関して賛否の議論があるのは事実だが、この決定ばかりは誰もが賛成するだろう。最初に規制緩和案が発表されたときから反対の嵐だったが、その後もさして変化はなかったはずだ。

画像:: Francisco Rama / EyeEm/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

飛行自動車を作っているAeroMobilが$3.2Mを調達して物理モデルの生産とデモへ

ヨーロッパの企業AeroMobilは、飛行自動車の市場化を目指している。その同社がこのほど300万ポンド(320万ドル)の追加資金を獲得して、その乗り物の物理モデルの生産とデモに挑戦することになった。すでに、機体の設計の数学的および幾何学的テストには成功している。

その機体が空中と地上の両方で運行できることは、すでに2014年のプロトタイプAeroMobil 3.0のデモで証明している。その試験機は最終バージョンとほとんど変わらず、プロダクションモデルにはもっと近い、と同社は言っている。今度の物理モデルは、今後実際に製品化されるバージョンに非常に近い、ということだ。

AeroMobilの今度の資金を出したPatrick Hesselは、彼自身もc2iのファウンダーだ。同社は複合材料による航空機部品や自動車部品を作っており、AeroMobilのサプライヤーでもある。彼は最近、会社の所有権の大半をLGの子会社LG Hausyに売ったが、そこは航空機や自動車用の軽量コンポーネントを作っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Zunum Aeroは空の電気コミューターを目指す―ボーイング、JetBlueが支援し2020年に実現の計画

ボーイングのベンチャーファンド、Boeing HorizonXとJetBlue Airwaysのベンチャーファンドが出資するスタートアップ、Zunum Aeroは近距離用ハイブリッド電気航空機を2020年までに就航させる計画を発表した。航続距離は当初700マイル(1100km)程度だが、2030年までに1000マイル(1600km)に延長する計画だ。これだけの航続距離があれば、アメリカではほぼあらゆるポピュラーな短距離路線をカバーできる。

Zunum Aeroが計画しているのは、地域ハブ空港へのトラフィックを増大させると同時に運用コストを大きく下げることができるような小型旅客機(10席から 50席)だ。 Zunumでは、たとえばロサンゼルスからシリコンバレーなどへのビジネパーソンの移動がはるかに効率的になるとしている。同社によれば、他の手段、高速道路や鉄道などによる移動はこの50年、実質的に進歩しておらず、きわめて遅いままだ。Zunumはこの状態を新しいハイブリッド電気モーターによって大きく改善しようとしている。

Zunum Aeroのコミューター機はA地点からB地点までの旅行時間のトータルに関して、乗客の多い路線では40%、乗客が少ない(したがって便数が少ない)路線では最大80%も短縮できるという。同時に運行コストも40から80%削減することを目標としている。これに比例して運賃も下がるはずだ。ハイブリッド電気モーターの採用により、従来のターボファン採用の機体にくらべて炭素排出も80%削減される。Zunumでは将来は完全なバッテリー駆動とすることを目指しており、その場合には飛行中に炭素の排出はゼロとなる。またZunum Aeroは騒音レベルも75%削減できるとしている。

ボーイングとJetBlueからの出資に加えて、Zunumのエンジニア・チームにはNASAが支援した電気航空機プロジェクトのリーダーを含み、またイリノイ大学の電気航空機の研究者とも提携している。2014年から電気航空機の耐空性に関してFAA〔連邦航空局〕と密接に協議を続けており、法規上の問題もクリアしていく準備を整えているということだ。

安くで静かでエコな空の旅というのはまさに夢のような話だ。 Zunumが計画しているようなスケジュールでこの夢が実現することを期待したい。

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小型ジェットエンジンを手足にくくりつけて飛ぶイギリスの起業家Richard Browningは絶対安全と主張

【抄訳】
YouTubeの一連の粒子の粗いビデオが、GravityのファウンダーRichard Browningの奇怪な夢の進捗を記録している。ビデオは、回を追うごとにますます恐ろしくなり、彼は複数のジェットエンジンを自分の手足につけて地上数フィートに浮くのだが、その構成が次々と変わっていく。

報道向けの資料によると、彼は石油の貿易ビジネスから起業家に変身し、本物のアイアンマンを目指しているのだが、実際に見ると裏庭のマッドサイエンティストという感を拭えない。あと一歩で、世界でもっとも危険な“お馬鹿スタント”になるだろう。Browningは、彼がDaedelusと呼ぶ装備の3分半の飛行のビデオ(下図)が、見る人を怖がらせることは認めるが、実際には最初から最後の一瞬まで危険性はまったくない、と主張する。

“体に括(くく)りつけたらすぐに飛べるんだ”、と彼は電話インタビューで語る。“危険性は田舎でスポーツバイクに乗るよりも低い”。Browningは、安全性のための工夫や配慮をえんえんと語るが、それはまるで、危険な遊びを親に安全だと言い張っている子どものようだ*。これまでまだ、怪我をしたことはないそうだ。〔*: 安全性配慮: 消火器を持った二人のアシスタントから30フィート以上は離れない、などなど、ものすごく細かい。〕

現状では、最高速度は人間が走る速さを超えていない。そして燃料は、爆発性のないものを選んでいる。設計の仕様により、ホバリングの高度は数メートル以下、そしてdead man’s switch(死人のスイッチ)という不吉な名前をつけたボタンを本人がずっと押していないと、飛行は継続しない。

【後略】
[以下、写真とビデオのみ掲載]

http://www.redbull.com?t=0&videoId=5379469912001

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Blue Originに10万ドル払って宇宙旅行するときの座席はこれだ!

宇宙ロケットなどの記事を書いていると、自分も宇宙へ行きたくなる。今度のこれはBlue Originの記事だけど、やはり自分自身が宇宙へ行ってみたいよね。とくに、今回渡された素材は、同社のNew Glennロケットの豪華なインテリアの写真だから、なおさらだ。本革を贅沢に使っているし、しかもどのシートも窓側シートでかつ、通路側シートなのだ。

これらはもちろんモックアップだけど、10万ドル+αでチケットを買って10分間の宇宙旅行を楽しむときも、Ars Technicaによると、これとほぼ同じだそうだ。カプセル内の中央の装置が宙に浮いているのなんて、すごくクールだね。しかもこれは、Blue Originが昨年のロケットでテストした脱出エンジンで、緊急時にカプセルをロケットから最大限の力で素早く切り離すのだ。

  1. blue4.jpg

  2. blue12.jpg

  3. blue3.jpg

  4. blue2.jpg

コックピットが全景ビューのパノラマだとかっこいいけど、でも表面に透明部分が多いとロケットの強度を確保できないのだろう。それとも、強度的には可能だけど、ラグジュアリー仕様の車のように、費用が高すぎるのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoftBankは日本で自動運転バスの実用化を目指す、商用サービスの開始は2020年を予定

SoftBankは日本で、自動運転バスのプロジェクトに力を入れている。公共交通機関の自動運転技術を開発するために同社が昨年創った会社、SB Drive(SBドライブ株式会社)は、Yahoo Japanが率いるラウンドで5億1000万円(460万ドル)の資金を獲得し、資金的にも潤沢になった。

Yahoo Japanは、Yahooの姉妹会社で、日本のもっとも有力なテクノロジー企業のひとつだが、今回のラウンドでは4億9000万円(440万ドル)を出し、残りをSoftBankが払って筆頭株主の座を維持した。投資後のSoftBankの株式持ち分は51.1%、Yahoo Japanが48.6%である。創業パートナーAdvanced Mobilityが0.3%を保有する。

SB Driveは、公共交通機関にフォーカスした自動運転プロジェクトで、とくに農村部を走る、よりスマートな製品を目指す。来年には公道でテストする予定で、商用走行の開始は2020年を目標としている。

同社によると、すでに“社会的試走”(social trials, 路上運行)は済ませており、今は路線バスと運送用トラックで自動運転技術を試している。そのためにSB Driveは、日本の4つの地方自治体とパートナーしている。

Yahoo Japanは、そのVC部門Yahoo Capital(YJキャピタル株式会社)が資本を提供するだけでなく、重要な戦略的パートナーになる可能性がある。現在の計画では、人気のある地図サービスYahoo MapsとSB Driveをリンクして、天候、渋滞、歩行路、イベントなどの情報を提供して、バスの運行サービスをより充実させる。

西側諸国には大規模な自動運転バスの計画はないが、日本にはそれを必要とする特殊な社会状況がある。SB Driveがとくにねらっているのが、高齢化社会への対応だ。今日、この国の人口の1/4が65歳以上だ。農村部ではこの比率がもっと高くて、また全国的にも、2060年には40%に達すると予想されている。都市部以外では、住民の多くが今後のさらなる援助を必要とするだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))