女性用性具を3DプリントでオーダーメイドできるPYOD

えー、まず最初にお断りを。この記事の内容は人間のセックスと関連しておりまして、あなたが今お仕事中ならば、それがどんな職場であるかによっては(たとえば老人介護施設なら)、明らかにNSFWとなります。では、そうではない方々のために、始めよう!

で、PYODは、Print Your Own Dildoの頭字語であり、オーダーメイドのディルドをデザインできるツール。完成したデザインを送ると、数日後にそれが3Dプリントされて送られてくる。多くの人が、“なんでそんなことを?”といぶかるだろうが、人の心というものは孤独なハンターでありまして、そのことを思い出せば、あってもおかしくないサービスではある。

 

このプロジェクトを作ったのは、オランダのMaroeska Wijsbeekだ。

“ずっと営業やマーケティングの仕事をしてきたから、ありとあらゆるセックストイ(性玩具、性具)について知ってるけど、自分に合ったのをデザインできるのがあってもいい、と思った”、と彼女は語る。“オランダはもともと、セックストイのイノベーションに関しては世界でも最先端、と評価されているから、うちのサービスもその一つかもね。ベッドルームではいろんなことをして楽しみたい、という人が多いから、このアプリもその仲間になれる。3Dプリントのおかげで、自分の好みにぴったり合ったのを作れるのよ”。

そのハードなウェアは、簡単に洗えて衛生的だ。表面はなめらかで、くぼみなどはない。そして、生産はC国などではなく、完全に、made in Netherlandsだ。

彼女は今、サービスの本格的な企業化を目指してIndiegogoで資金を募集している。協力額36ドル以上で、(目標額10万ドルに達したら)ご自分専用のディルドを入手できる。“あんなもの、どれも同じ形だろ?”、とおっしゃる方も多いと思うが、その考えはたぶん間違っている。どこにどんなフランジを、リッジを、山をつけるか。あなたの寡黙なGreedoちゃんを、Henry Kissingerの横顔で撃つことだって可能なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


PCB(プリント回路基板)を数分で作る回路基板専用プリンタV-One

回路基板を作るのは楽しいけど難しい。プラスチックの板とエッチング液があれば家でも作れるが、Voltera社が今度作った回路専用のプリンタV-Oneがあれば、全工程をもっと簡単にできる。

このプリンタを作ったJames PickardとJesus ZozayaとAlroy Almeidaの三人は、全員カナダのウォータールー大学で電子機械工学(メカトロニクス工学)を専攻し、一緒に、ラピッドプロトタイピングをもっと簡単迅速にやる、という課題に挑戦した。

“このプリンタがあれば、すべてのハードウェアデベロッパがこれまでの制作工程に感じていたフラストレーションがなくなり、開発期間を数か月から数日に短縮できる”、とAlmeidaは言う。

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“これまでは、回路基板ができてくるまで二週間もぼーっとして待つなんて余裕のない仕事が多かった。ホビーとしてやるときも、一部はどうしても外注になるから、けっこう高くつく。3Dプリンタが機械的なプロトタイピングに革命をもたらし始めたちょうど同じ時期に、ぼくらは回路基板プリンタのアイデアを発想し、電子工学のプロトタイピングにも同じ革命をもたらしたい、と思った”、と彼は語る。

 

プリンタの製造はアジア等でなく北米でやるつもりだ。彼らは今、ユーザの可能性のある人たちに、家庭用PCBプリンタに必要な要件を聞き取り調査している。想定しているユーザは、大学、メーカー企業、それにハードウェアスタートアップたちだ。

“VolteraのV-Oneは、紙の上の回路図のような単層の回路をプリントするだけでなく、FR4の上に二層の回路をプリントができる。このサイズと費用で二層ができるのは、これが初めてだと思う。しかも小さな部品はすべて基板上に焼結するから、半田が要らない”、とAlmeidaは述べた。

同社はラスベガス(CES)で本誌が主催したHardware Battlefieldのステージでローンチし、発売は来年を予定している。これまでハードウェアホビーを諦めていた人も、全員、大急ぎでトランジスタの勉強をした方が良いね。

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Matter and Formの3Dスキャナは600ドルと安いけど上出来

 

Matter and Formの600ドルの3Dスキャナは、今いちばん安い3Dレーザースキャナだろう。良質なスキャンをさせるためには調整等が必要だけど、結果は十分によろしいし、しかもこいつは、既存のメジャーな3Dスキャナに負けていない。

これまでの3Dスキャナの多くは、テーブルを回転させてオブジェクト(対象物)をスキャンする。あの感動的だったMakerbot Digitizerのように、Matter and Formはレーザーでオブジェクトを“読み取り”、三次元のポイントデータの集合を作る。この‘クラウド’と呼ばれる点データ集合を、3Dプリンタはなぞりながらプリントを行う。データの一部を変えて、プリントされる物の形状をオリジナルとは違えることもできる。

ぼくの場合、最初はうまく行かなかったけど、まわりのいろんなものを片付けてスキャナの目にオブジェクトしか見えないようにすると、成功した。だからたとえば、バックが白い壁だとうまく行くし、あたりに雑多な物があるとスキャナはそれらも読んでしまう。

3Dプリントを本気でやりたい人には、スキャナとしては3D Systems Sense Scannerか、このMatter and Formをおすすめしたい。まだ完璧ではないが、魅力的なツールだし、お値段のわりには十分楽しめる。

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ロボットを3Dプリントで作るための多機能教習所Makerclub、子どもも学べる

3Dプリントで蜘蛛型ロボットを作りたいかな? それとも人型ロボットの伴侶(つれあい)は? 触ると感電するしっぽをつけたサソリのロボットはどうかな?

Makerclubが、たぶんあなたを助けてくれるだろう。そこは、メーカー日本語Wikipedia)たちが集まってロボットの3Dプリントを議論する場だが、eコマースの場でもあり、リポジトリ(情報保管庫)でもあり、教材でもある。 ロボットクリエイターを助けるためのハードウェア支援を、Indiegogoでやってるのもおもしろい。

“3Dプリントしたロボットのパーツのライブラリなんて、まだうちにしかないと思うし、技術普及のための教育プラットホームがあるのもうちだけだ”、とファウンダのSimon Rileyは言っている。

このサイト上でのロボットの制作をやりやすくするために、MakerConnectと名づけたボード(基板)も作っている。MakerConnectはその名のとおり、ArduinoのボードをオンボードのBluetoothに接続して、サイト上での制作過程をワイヤレスでコントロールできる。必ずしもそれを使う必要はないが、50ドルのこのボードを使うと、このサイト上でのロボットの制作が相当容易になる。

“ロボットを3Dプリントすることによって、発明やプロダクトデザインを教えられる。どのプロジェクトでもArduinoのチップを使い、スマートフォンで制御する”、とRiellyは言う。ユーザは設計図とプログラムをダウンロードして、ロボットに必要なすべてのパーツをプリントできる。レッスンプランもあるから、子どもがロボットの作り方を簡単に学べる。

“ニューサウスウェールズ大学の三学年のときに、ノッチンガム大学で電子工学とコンピューティングを勉強した”、とRiellyは言う。“その後、大小さまざまな企業で働いた。eBayやBrandwatchにもいた。そして、かなりベテランのプログラマになった。でも、大学での勉強が中途半端だったことを、いつも、くよくよ悩んでいた。コンピューティングなどの本当の理解とそれへの情熱が、自分にはなかった。仕事をやめて、5年ぐらいは勉強をやり直さなければだめだ、と思った”。

“そして2年前に車のリモートコントロールを考えたことから、今のロボットのプロジェクトが派生的に生まれた。ぼくはプログラムは書けるけど、立体物を造形する才能はほとんどない。だから最初のうちは、へたくそな物しか作れなかった。ロボットは、すぐに倒れたり、動かなくなったりした。運良く、ある年のクリスマスパーティーで昔のボスに会い、相談できた。その2週間後に彼は、ぼくのためのクリスマスプレゼント兼誕生祝いとして、3Dプリンタを送って(贈って)きた”。

Reillyはこのプロジェクトのことを、“ぼくが15歳のガキのときに、欲しかったもののすべて”、と表現する。そこにStephen Kingの本が数冊と、 Victoria’s Secretのカタログがあれば、さらに完璧に15歳だな。

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Fluxのモジュラー式3Dプリンターは3Dスキャンやレーザー彫刻もできる―Kickstarterで499ドルから

3Dプリンターは現在ある種の岐路に立っているように見える。当初のアーリー・アダプターの熱狂の後、メインストリームへの拡大が期待されたほどに進んでいない。3Dプリンターに新たに参入してきたFluxは、少なくともホビイストを興奮させそうだ。巧妙なモジュラー式デザインのおかげでこのデバイスは3プリント以外に万能工作機械として機能する。今日(米国時間11/11)、Fluxの Kickstarterプロジェクトがスタートし、1台499ドルの出資で早期割引の予約を受け付けている。市販価格は599ドルになる。

Fluxには3Dプリンター以外に、3Dスキャナー、レーザー・エングレーバー、焼き物用の粘土の成形機などのモジュールが用意されている。これらのモジュールは当初の出荷時にバンドルされるものもあるが、後日オプションとして提供されるものもある。Fluxではモジュール開発用SDKを公開しており、サードパーティーがユニークなハードウェア・モジュールを開発、提供することを期待している。

開発者によれば、多様なモジュールに加えて、Fluxにはライバルにはない優位点も備えているという。開発者は「モジュール化デザインのため組み立て、調整がきわめて簡単で、信頼性も高い。Bluetoothによってスマートフォンやタブレットから操作できる。附属のモデリング、設定ソフトウェアが使いやすい。コンパクトでデスクの上で場所を取らない」などの長所を強調している。

私もたしかにFluxのデザインは優れていると思う。現在市場に出ているどの3Dプリンターよりも魅力的だ。ただし値段はかなり高い。もし私がFluxを購入したとすれば、おそらく大半の時間は3Dプリンターというよりレーザー・エングレーバーとして使うことになりそうだ。粘土の整形など他の機能もおもしろそうだ。将来オプションのモジュールの数が増えれば、Fluxはデスクトップの万能工作マシンに成長するかもしれない。マイクロ・プロトタイプづくりには理想的だろう。

Fluxは台湾に本拠を置く若い起業家チームによるスタートアップだが、オープンソース・テクノロジーをベースに30種類以上のデバイスの実際に作動するプロトタイプを開発している。 今回の3Dプリンターの大量生産開始のための資金の目標額は10万ドルだ。無事に資金が確保された場合、第一陣の出荷は2015年7月になるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


消費者製品としてデビューした3DスキャナのFuel3D、$6.4Mを獲得して企業利用も視野に

3Dスキャナって、何に使うのか? それは3Dプリンタにデータを提供するだけじゃない、と考えるオックスフォード大学のスピンアウトFuel3Dは、消費者向けの高精度で手持ち型(ハンドヘルド)の3Dスキャナで、昨年、Kickstarterに登場した。

そのFuel3Dが今日(米国時間11/4)は、Chimera Partners率いる拡張ラウンドにより、640万ドルを調達した。それを同社が“プレIPOラウンド”と自称しているのは、2015年の初頭に実際にIPOを予定しているからだ。資金は、3Dスキャナのアプリケーション開発の拡大に充てられる。

Fuel3Dは昨年Kickstarterで30万ドルを獲得し、その次に260万ドルの資金をVCたちから調達した。そのほかに医療用画像処理の分野で110万ドルの開発契約を某社と交わしている。

今回得られたキャッシュで同社は、新しい垂直市場…眼鏡のカスタム化とバイオメトリクス…をねらう。

それは同社によると、“眼鏡屋さんが眼鏡の‘試着’を仮想化できて、お客に合わせた眼鏡のカスタム化を容易にできるようにするもの”、だ。

バイオメトリクスに関しては具体的な話は得られなかったが、同社は今、“人間の顔専用の270度のスキャナ”を開発中だから、おそらく相手は顔認識の分野だと思われる。

それは複数のカメラを使って人間の顔の耳から耳までのデータを捕捉し、当面は小売企業における仮想試着(眼鏡など)に利用するためのプロダクトだが、バイオメトリクスにも十分応用できるはずだ。

Fuel3DのハンドヘルドスキャナはKickstarterの出資者たちにベータテストのために送られたが、来年は本格的な商用生産に入る計画だ。

CEOのStuart Meadは、声明文の中でこう言っている: “今回の資金によってFuel3Dは来年、スキャナの本格的な商用生産を開始でき、また新たな人材とインフラストラクチャにも投資ができる。合衆国への進出も、可能になるだろう”。

“消費者製品と並行して、いくつかの国際的企業から寄せられている関心にも対応し、3Dスキャナ技術の3Dプリンティングを超えたアプリケーションの開発にも、資金を投じていく”、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


プラスチックレジンを使う超小型3DプリンタiBox Nanは299ドル

【抄訳】

FormlabsのForm 1+はステレオリソグラフィー方式の3Dプリンタでお値段は3299ドル、大量のデスクスペースを占領するし、あなたの貯金から大金を持っていく。もっと気軽に3Dプリントを楽しめる方法はないか? その願いをかなえてくれるのが、上のビデオに登場する小さなマシンだ。

上のビデオでは、iBox Nanoちゃんがチェスのピースを3Dプリントする様子が、コマぬきで撮影されている。UV LEDを使ってレジンを硬化する方式はFormlabsと同じだが、手のひらに乗るぐらい小さなNanoは、わずかに299ドルだ。

レジンを使用する3Dプリンタは、これまでの、プラスチックフィラメントを使うFDMプリンタと違って細かい細部を作れるから、Nanoは小さな物を作るのに適している。

Nanoを動かし制御しているのは、ローコストのマイコン、Raspberry Piだ。プリンタの筐体はレーザーでカットして作ったアクリルの箱なので、射出成形に比べるとコストが安い。安いことは良いことだ。

【中略】

ファウンダのTrent Carterは、3Dプリンタを1年以上使っている100世帯に対して市場調査/消費者調査を行った。そして、ほとんどの人が小さな物しかプリントしないことを見つけた。

彼は曰く、“その理由は、大きな物は10-12時間もかかることがあるし素材の費用もばかにならない。4x4x4″ぐらいの大きさの物だと14−18時間かかり、材料費は30-60ドルはする。もちろん時間や費用は、プリンタのスピードや素材の種類で違うけど”。

“Nanoがプリントしたチェスの駒のルーク(下図)は30mm x 20mmで、所要時間は約2時間、レジンの費用は約50セントだ!”

もちろん小さな物をプリントするのに向いているが、小さな部品を組み立てて大きな物を作ってもよい。プリント精度はZ軸で0.39ミクロン(この値が小さいほどザラザラが少ない)が最小だ。ただし、速いプリントをご希望なら、100ミクロンぐらいが適している。最大プリントサイズは40 x 20 x 90mmだ。Nanoは今、Kickstarterで商用生産のための資金を募っている。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


DMMが秋葉原にモノづくりの大拠点――3億円超の機材を揃え、CerevoやABBALabが入居


MAKERSムーブメント、IoT――言葉としてはよく聞くし、その動きは活性化している。多くの人たちは3Dプリンターにばかり目が行きがちだが、それだけの話ではない。ハードウェアスタートアップに必要な機材が利用できる場所が増え、そのノウハウを持ったプレーヤーも徐々に育ち、MoffRingといったプロダクトが世に出てきた。またそんなプレーヤーに出資したい投資家も現れている。

そんな中、DMM.comが日本のモノづくりスタートアップの中心地づくりに動いた。同社は11月11日に東京・秋葉原にてモノづくりの拠点となるスペース「DMM.make AKIBA」をオープンする。あわせて同スペースにはハードウェアスタートアップのCerevoやハードウェアスタートアップを対象にした投資を行うABBALabが入居。ノウハウや立ち上げ資金の提供を進める。

DMM.comでは、サイト上でデータをアップロードし、3Dプリンターでパーツやフィギュアなどの造形物を製作する「DMM.make 3D PRINT」を2013年夏にスタート。その後はIoT関連の情報を配信するオンラインメディア「DMM.make」も展開してきた。3Dプリント事業はすでに月間数千メデルを制作するまでになったが、「実際のところこれまでの事業は『入口』。これまでの我々の事業もそうだが、プラットフォームを作ることを目指している」(DMM.make AKIBA総支配人吉田賢造氏)とのことで、そのプラットフォームとしてDMM.make AKIBAを立ち上げるに至ったという。

3億円超の“本物”の機材が揃う「Studio」

DMM.make AKIBAの所在地は、秋葉原駅そばの富士ソフト秋葉原ビル10〜12階。10階は電子工作から量産向け試作品の開発・検証までが行える。「DMM.make AKIBA Studio」。11階は3Dプリンターを設置し、3Dプリンターや各種機材に関する法人向けのコンサルティングサービスを提供する「DMM.make AKIBA Hub」。12階はイベントスペースやシェアオフィスなどを展開する「DMM.make AKIBA Base」となる。なおCerevoは12階の一部に入居する(余談だが、Cerevoは今夏に株主が変わって以降、人材を大幅に拡大しており、現在自動車メーカーや電機メーカー出身のエンジニアも続々参画しているそうだ)。

Studioには合計180点以上の設備があるそうで、その金額は「機材だけでも3億円超」(吉田氏)だという。また、機材の監修をしたCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、「機材は『本物』を揃えた、ということが重要。
5軸CNC(切削機)をはじめとして、小さな工場では高価で導入できないものも用意されている。また、水深30mまでに対応した耐圧潜水試験設備など、試験用設備もある。これがあれば最近出ているいわゆるハードウェアスタートアップの量産のほぼ一歩手前までができる」と語る。僕もそのリストの一部を読んだのだが、言葉の意味は分かるけど実物を見たことがない…というような試験設備も数多く並んでいた。

ハードウェアと聞くと僕らは機器そのものに目が行きがちなのだけれど、岩佐氏いわく配達までに壊れないよう梱包素材の選定だって重要だということで、そのための試験機までが用意されている。こういった試験機やハードウェア製作のための機器をスタートアップが一度に利用できる施設は国内では今までまずなかったそうで、岩佐氏は「1製品作るのに平均10カ月近くかかっていたが、うまくいけばそれが1〜1.5カ月短縮できるのではないか」と語る。

利用料金はStudioが月額1万5000円(初期費用3万円)から。オフィススペースのBaseと同時利用の場合、月額3万円(初期費用6万円)からとなる。この設備にたいしてこの料金設定でビジネスとして回るのか吉田氏に尋ねたが、「まだ投資フェーズだと考えている。施設単体でどうかというところだけでなく、ビジネスをより波及させることになる。まだまだ市場を広げて初めて価値を出す」とのことだった。

ハードウェアスタートアップ向けの支援プログラムも

また、ABBLab代表取締役の小笠原治氏は、ここでスタートアップ向けのシードアクセラレーションプログラム「ABBALab Farm Programing」を展開する。現在BoltやHighway1、HAXLR8Rなど、海外では20以上のハードウェア向けシードアクセラレーションプログラムがあるが、日本で大々的なプログラムはこれまでなかった(これについて小笠原氏は「これまでモノづくりができていなかった地域ほど、プログラムが活発だ」と教えてくれた。同時に「日本はモノづくりに強いが、個人や起業して作る人が少ない」とも)。

プログラムに参加するには、毎月開催される「トライアウト」と呼ぶプレゼンで合格する必要がある。合格すれば、業務委託や投資(基本的には評価額3000万〜5000万円で、50万〜1000万円を出資する)「スカラシップ」、自らが持つスキルでスカラシップを教育・支援して対価を得られる「フェロー」になることができる。なおプログラム参加者は毎月発表を行う場が用意され、そこで支援継続、支援追加、支援中止のジャッジを受けることになるという。プログラムはまず、並行して10社程度の参加を予定する。

プログラムでの目標を達成したプロダクトは、クラウドファンディングなどを通じて市場に出し、初期ロットの生産数を試算できるようになった時点で適量生産(大量生産の手前の段階、数を限定した生産)までを進める。もちろんABBALabや他のベンチャーキャピタル、事業会社と連携した追加投資も行うという。

岩佐氏は最後にこう語った。「大義名分にはなるが、海外は気合を入れてモノを作っている。我々はそれに負けてはいられない。日本はハードウェアの国だったのに海外にやられている状況。我々Cerevoが偉い、儲かっているとは言わないが、ハードウェアベンチャーとしては先を走っていて、ノウハウがある。ここにはDMM.comの機材があって、スタッフがいる。ここでこそ我々のノウハウが生きると思っている」


Arduinoが1000ドル未満の3Dプリンタを作っている(もちろんオープンソース)

今や低価格の3Dプリンタ作っているチームは数えきれないほどいる。Kickstarterは、いつも彼らで溢れかえっている。でも、彼らはすぐに気がつく。ハードウェアで実際に発売までこぎつけるのは、とっても難しい、と。

ここに、また一人の挑戦者が登場した。DIYの電子製品で広く使われているマイコンボードをものすごく大量に売っているArduinoが、3Dプリントの市場に参入するのだ。

Arduinoは今日(米国時間9/30)、そのことを公式に発表した。イタリアの新進プリンタメーカーSharebotが、同社のパートナーになる。最初のプリンタはMateria 101と呼ばれ、PLAでプリントするように作られている。

正確な価格はまだ発表されていないが、大まかな言い方として、“完成品が1000ドル未満、DIYキットが800ドル未満”、とされている。

それは、世界でいちばん可愛くて美しい3Dプリンタになるのか? ノー。むしろそれは、いちばん初期のMakerBot Cupcakeにやや似ている。色は白だけど。プリントベッドはこれまでで最大か? ノー。下のスペックを見て。でも製品のスケーラビリティ能力(量産量販)が絶妙で、しかも、何でもオープンソースにするArduinoのような企業が3Dプリンタを始めるのは、結果がとても楽しみだ。

基本仕様:

プリント技術: 熱溶解樹脂積層法(Fused Filament Fabrication)
プリント領域: 140 x 100 x 100 mm (5.5 x 3.93 x 3.93 inches)
XとYの理論的分解能位置: 0.06 mm (60 ミクロン)
Zの分解能: 0.0025 mm
押し出し径: 0.35 mm
フィラメント径: 1.75 mm
PLAの最適温度: 200-230°
試験済みでサポートされるフィラメント: PLA
試験済みだがサポートされないフィラメント: Cristal Flex, PLA Thermosense, Thermoplastic Polyuretane(TPU), PET, PLA Sand, PLA Flex
外形寸法: 310 x 330 x 350 mm
重量: 10 kg
消費電力: 65ワット
電子回路基板: Official Arduino Mega 2560; ファームウェア: オープンソースのMarlin Firmware
LCDディスプレイ 20 x 4; エンコーダメニューあり
PLAプリンティング用にプリセット
エクストルーダーブロックにはフィラメント圧調整機能あり

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


これは太陽光と砂を使う3Dプリンターだ!

「それで、週末は何をするつもりなの、Markus?」

「知ってるだろう。砂漠へ行って、〈太陽のパワー〉と〈砂〉を使う3Dプリンターを作るんだ。君は?」

「録画しておいたブレイキングバッドを見るわ」

昔、近所に虫メガネでアリを焼いていた子供がいなかっただろうか?これはそれと似ている ― ただし、彼は虫メガネの代わりに、大型のフレネルレンズを使う。そして、昆虫をいじめる代わりに〈砂を溶かしてモノを作る〉。

芸術家のMarkus Kayserが作ったこの「太陽熱焼結」のコンセプトは、SpaceXなどで使われている、金属から他の方法では不可能なモノを作り出すレーザー焼結プリンターと大きくは違わない。もちろん太陽光線を集めた焦点は、精密に調整されたレーザーと比べて正確さでははるかに劣る ― しかし、核となる概念は同じだ。

きっとこの男はカッコいい砂のお城を作るに違いない。.
[via HackerNews]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


自分の家の裏庭にお城を3Dプリントした人がいる…しかもすばらしい出来栄え

誕生日にほしいものが、決まった。

独自に工夫した3Dプリント技術により、Andrey Rudenkoは自分の家の裏庭にお城をプリントした。構想から完成まで、2年を要した。

そして、その結果がすばらしい:

画像よりおもしろいのは、彼のWebサイトにあるビデオクリップだ。それは、‘建設’の過程を見せてくれる:

Rudenkoによると、プラスチックではなくコンクリートで3Dプリントしたため、いろんな問題に遭遇した。たとえば、“お城の塔を単独でプリントするのはバッドアイデアだった。それを持ち上げて正しい場所に置くのが、ものすごく難しい”。想像できるね。

次は何を? 通常のサイズの家だ。このお城も、中を歩けるぐらい大きいが、彼の構想はもっとでかい。それに、次の建物はもっと温暖なところでプリントしたい。気温が高い方が、コンクリートが早く固まるからだ。硬化が早ければ、工期も短い。

もうひとつRudenkoが考えているのは、次の建物はプリンタの位置を固定して昼夜兼行でプリントさせることだ。すべてのパーツを、一箇所で作る。出来上がった部品の耐荷重性能が良いためには、コンクリートとプリンタの状態が安定していることが必須だからだ。

画像クレジット: Andrey Rudenko/TotalKustom

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


脅威! ピンタンブラー錠を瞬時に解錠できるバンプキーが3Dプリンターで簡単に作れる

バンプキーというのはロックスミス(または悪い奴)が使う非常にシンプルな解錠ツールだ。バンプキーは錠前の種類に合わせていちいち作る必要があるため、多種類の錠前をバンプキーで開けるには相当の手間がかかった。しかし3Dプリンターのおかげでもうそうではなくなったかもしれない。

下のビデオにはJos WeyersとChristian Hollerが標準的な錠前にプラスティックのバンプキーを差し込みハンマーで軽く叩いて繰り返し解錠するところが撮影されている。2人は鍵穴の写真を撮るだけでバンプキーを3Dプリンターで出力する方法を編み出した。出力されたキーブランクのプラスティックに慎重にいくつかの刻み目を入れるだけでバンプキーの出来上がりだ。

鍵穴にバンプキーを差し込み、軽く回しながらハンマーで叩くと簡単に解錠される。

この2人は別にこの方法でオフィスや家に忍び込もうとしているわけではない。逆に普通の錠前がいかに頼りにならないものか警告を発しているのだ。カメラと3Dプリンターさえあればどんな鍵でも開いてしまうというのは怖い話だ。

via Wired

〔日本版〕バンプキーというのはリンク先の説明にもあるように、ピンタンブラー錠に差し込んで軽く叩くことによって2分割されたピンを上に飛ばすツールだ。飛ばされたピンが下がってくるとき、上下のピンの間に一瞬隙間ができる。解錠する方向にバンプキーに軽く圧力を掛けていると、このピンの隙間がシアライン(錠前の固定されたケースと回転部分の接する線)を通るときに回転が始まり解錠されてしまう。

ピッキングガンに似ているが全部のピンを一度に解放できるので時間がかからず、技術もほとんどいらない。Wikipediaには「現在、日本で市販されている錠前はバンピング対策ずみ」とあるが、対策にも強弱があり、2005年以前に製造された錠前は未対策のものが多いようだ。

ただバンプキーの断面形状は鍵穴の写真からデータを取れるだろうが、キーの長さと刻み目の数、適切な深さは錠前の種類ごとに異なる。このデータがあれば3Dプリンターで完成版のバンプキーを出力できるが、データがない場合は手作業で試行錯誤するか同種の錠j前を分解して測定することになり、かなりの手間がかかる。

3Dプリンターで銃を作るというのは話題としてセンセーショナルなだけで実用性は低いが、もし未対策のピンタンブラー錠のバンプキー作成データがネットに出回ると、その被害は非常に深刻なものになる可能性がある。(合鍵作成業者は必要なデータを持っている)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


すべての3Dプリンタのユーザビリティを「共通」にするOS(共通インタフェイスソフト)が登場

3Dプリンタを使ったことのある方は気づいておられると思うが、これまでの製品には共通の規格というものがなく、各社バラバラだ。オープンソースのひどいソフトを使っているところもあれば、自家製の、出来栄えに差がありすぎるアプリケーションを使っているところも多い。そこで、あるエンジニアたちのグループが、すべての3Dプリンタに対して使える標準OSを作ろう、と志した。どのプリンタでも、ボタンをクリックして3Dモデルをプリントしようと思ったら、まったく同じ画面と機能リスト(メニュー)が表示される、というものだ。

その名も3DPrinterOSと名づけたこのプロジェクトは、いくつかの上位人気のプリンタに対して使えるスタンドアロンのソフトウェアシステムだ。それはMacとWindowsとLinuxとRaspberry Piで動き、コンピュータおよびそのユーザ側から見ると、接続されている3Dプリンタのブランドや機種はどうでもよいもの、ネットワークの向こうにある単なる“ブラックボックス”になる。ユーザはモデルのファイルをプリンタに送ってプリントさせるだけだ。今対応しているメーカーはMakerbotとUltimaker、それにRepRapの一部機種で、人気上位の機種はだいたいカバーしている。コントロールとプリントジョブの送付はインターネットからでもできる。

CEOのJohn Dogruはこう言う: “3Dプリントが急速に普及していることはすばらしいが、でもそれらのプリンタ間、ソフトウェアやアプリケーション間でコミュニケーションができなければ、3Dプリントにできることを誰もが完全にエンジョイし、今のような小さな檻から解き放つことはできない。うちの目標は、なるべく多くのデザインツールや3Dプリンタと互換性のあるプラットホームを作ることだ。そして、手持ちの機種が異なる複数のアーチストやデザイナーやメーカー入門者たちが、これからは普遍的な言語でコラボレーションし、コミュニケーションし、クリエイトできるようにしたい”。

それは、3Dプリンタを2Dプリンタのように簡単に使えるようにしたい、という考え方だ。プリントジョブのキューを作り、ジョブの進捗を監視し、それにしっかりとした互換性があれば、3000ドルのMakerbotを150ドルのHPのプリンタと同じ気軽さで扱える。すばらしいことだ。

DogruとAnton Vedeshinが始めたこのプロジェクトは、彼らのこれまでのクラウドコンピューティングとITのセキュリティの仕事が背景にある。つまり彼らのねらいは、面倒な仕事をすべてサーバにやらせることによって、3Dプリントをもっと多くの人が気軽に利用できるものにしたいのだ。

“今の各機が持っているソフトウェアでは、一つのデザインをプリントするまでに20回以上もあちこちをクリックしなければならない。3Dプリントは確かにすばらしいけど、現状では、自分が撮った写真や書いたテキストなど、あるいはソフトで作ったポスターやはがきなどを、自分ですぐにプリントできる今の2Dプリンタのユーザビリティレベルに達していない。ふつうの主婦などが、今思いついたものをすぐ形にできるものに、ならないとだめだ。3Dプリントがもたらす興奮と驚きと楽しさを、世界中と共有したい”、…これがファウンダたちのビジョンだ。

このアプリケーションはベータを終えたばかりで、今では誰もが入手できる。いよいよ3Dプリントも、2Dプリンタでおなじみの共通のエラーメッセージを、PCの画面で見られる時代になるのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


(高価な)フィラメントよさようなら、(安価で多様な)ペレットよこんにちは、Sculptify Davidで3Dプリンタに待望の進化が

家庭用3Dプリンタの多くが、いくつかの基本的なツールを使ってオブジェクトを作る。まずプリント物が置かれる台座と、プラスチックを押し出すエクストルーダーがある。モーターがプラスチックのフィラメントを引っ張り、それが加熱されたノズルを通ってゆっくり押し出され、層の上に層を重ねることによって、3Dプリントによるポケモンのそっくりさんが完成する。しかし3Dプリンタ専用のフィラメントは高価だが、その原料となるプラスチックペレットは安い。そこに目をつけたのが、
Sculptify David
だ。

オハイオ州Columbusで生まれ育ったTodd LinthicumとSlade Simpsonが作ったこの3Dプリンタは、高価な専用フィラメントではなく安価なプラスチックペレットを使うことによって3Dプリントの費用を下げる。しかも、ペレットはいろんな種類のものが出回っているから、ナイロンのようなものから木材由来のプラスチックに至るまで、さまざまな素材を使える。

Simpsonは言う、“3Dプリンタをしばらく使ってみて、ものすごくいろんなことができる、とわかってきたが、でもプリンタも素材も異様に高すぎる。一部のプリンタは6桁もするし、わずか2キロの素材が数百ドルもする。Sculptifyの開発にあたって考えたのは、3Dプリントを誰もが便利に使える技術にすることと、多様な素材を使えること、そして素材の原価を下げることだ。なんでもかんでもPLAが合ってるわけではない。しかも、1キロ50ドルもするからね”。

プロジェクトの立ち上げは8月20日を予定しているが、Kickstarterの初期支援者には2745ドルで提供される。安くはないが、まあ家庭用3Dプリンタの範囲内だ。なお、ここでユーザ登録をしておくと、発売日が決まったら通知をくれる。

ペレットでなければならない理由を、Simpsonはこう説明する:

“ペレットにははっきりとしたアドバンテージがいくつもある。種類(==選択肢)が多い、高品質な素材が得られる、素材の原価も安い…これが最大のアドバンテージだ。世界中のすべてのプラスチック製品が、原料はペレットだ。だから、グレードも素材の種類も色も何百種類もある。しかもSculptify Davidにはフィラメント用のスプールがないから、スプールに合わせた素材の形状は、もはや必要ない。ペレットをプリンタに放り込むだけだ。

いろんな色のプラスチックを使えるだけでなく、複数の種類のプラスチックも使える。プリントベッドを加熱するとABSなどのケミカルなプラスチックを使えるし、スターチタイプのPLAやそのほかの合成樹脂も使える。どんな素材でも簡単に使えるなら、このプリンタはこれまでの3Dプリンタのすべてを、陳腐化してしまうだろう。それぐらい、強力な発明だ。

ファウンダたちは専攻が機械工学で、以前は大手自動車会社で働いていた。Davidの開発に要した時間は1年、すでに州内に量産施設を準備している。

“手っ取り早く小金(こがね)を儲けるのではなく、本格的なビジネスにしたい。二人とも、その気でいる。Kickstarterの支援者たちへの配布が終わったら、本格的な生産と発売に踏み切りたい”、とSimpsonは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


生まれつき前足がなかったチワワのタボちゃんが3Dプリントで歩けるようになった

3Dプリントがあれば、どんなキュートな動物でも救える。たとえば、かわいいチワワのタボルーちゃん(TurboRoo)は、生まれつき前足がなかったが、Makerbot3dynの3Dデザイナーのおかげで、車輪付きの新しいリードを着けてもらった。車いすならぬ、車リードだ。

3dynの社長Mark Deadrickは、タボルーが車いすを求めているのをネットで見て、小さなカートを設計した。サイズはネットの写真から推定した。彼はそれを明るいオレンジ色でプリントし、それにローラーブレード©の車輪をつけてタボルーの飼い主に送った。今やそのチビワンちゃんは、無料で完全にハッキング可能なスーパーレッグをスクーターのように見事に乗りこなしている。

3Dプリンタなかりせば、タボルーの飼い主はパイプや布などの素材を高い値段で買って、何かを自作しなければならなかっただろう。ところが今では、体に完全にフィットした、オーダーメイドのようなカートをプリントできるし、再生産も簡単、ほかのデザイナーが改作するのも簡単だ。複数作るのも、超簡単だし、新たに大きな費用は発生しない。

動物や人間の人生に貢献した3Dプリントは、今回が初めてではない。最初のロボット義手はこんなのだったが、今では障害者がそれを使って物をつかむこともできる。動物の例では、1月にアヒル用の義足をデザインした人が現れ、最近はペンギンが義足ならぬ義嘴(くちばし)を3Dプリントしてもらった。でも、小さな犬がやっと犬らしく走り回れるようになった光景ほど、ぼくの心を温めるものはない。

おちびのタボちゃんを助けたDowntownPetVetに敬礼!

出典: 3DPrint

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Motaの99ドル3Dプリンターは「うますぎる話」だった

「手の届く価格で高品質な3Dプリンター」というのは「うますぎる話」だったと判明した。考えてみれば当然だ。

3Dプリンター市場は一種の不完全燃焼状態を続けている。夢を追うアーリーアダプターが熱狂して大金を投じるところまでは来たが、本格的な普及までまだまだ先は長い。特に価格の大幅な低下とプリント過程の簡易化は避けて通れない高いハードルだ。

市場調査会社のGartnerが唱えたハイプ・サイクル理論を借りるなら、現在の3Dプリンター市場はまさしく膨れ上がった過剰な期待が現実によって裏切られるという「幻滅期」に落ち込んでいる。

そこで3Dプリンターのメーカーは困難な選択を強いられる。大量販売が可能な安定期(Gartnerの図で「生産性の大地」とされる)を招くためには、一般ユーザーを取り込めるところまで価格を大幅に切り下げねばならない。高価な部品のコストを下げるにも大量生産しかない。ところが価格の切り下げを急ぎすぎると、製品の品質の低下を招く。ガラクタしか出力できないガラクタの製品になってしまう。

この点で最近、痛い教訓を得たのがMotaだった。7月の始めにMotaはKickstarterでMota 3Dという「誰にも手の届く価格の3Dプリンター」を製造するキャンペーンを開始した。大量生産効果を狙ってMotaは製品に99ドルという破格の値付けをした。おそらくは数千万ドルという規模の投資を集める計画だったのだろう(最近、この種のクラウドファンディングでは例外的な成功を収めたThe Micro 3Dプリンターでさえ数百万ドルの投資を集めるにとどまっている)。

開始後、数日でMotaはKickstarterキャンペーンを中止した。共同ファウンダーのKevin Faroは投資者に対してこう説明している。

われわれは実現不可能な約束をしたくないし、傑出したレベルに達していない製品の出荷もしたくありません。残念ながらわれわれの想定する高い品質を実現するためには大きなコストがかかることは判明しました。ここ数日の皆さんのコメントから多くのことを学びました。われわれは3Dプリンター・テクノロジーの本格的な普及が可能になるような価格引き下げを実現すべくさらに鋭意研究を続けることとしました。 このような次第で、われわれはこのプロジェクトをキャンセルします。

Motaの名誉のために断っておかねばならないが、彼らがプロジェクトをキャンセルしたのは(数日ですでに6万5000ドルが集まっていた)、金を集めたもののいっかな製品が出荷できなかったり、品質の劣った製品を出荷したりするよりずっとましだ(ハードウェアのクラウドファンディングではしばしばそういうことが起きている)。

もうひとつMotaの失敗の原因となったのはクローズドなビジネスモデルだった。Mataは3Dフィラメントに専用カートリッジを利用する。Kickstarterでは「ユーザーを縛り付けて高いカートリッジを売る」商法として批判が集中した。しかしフィラメント・カートリッジを自由に選べるようにすれば、現在のところ、プリンター本体をそう安くすることはできないだろう。

3Dプリンターのような初期のテクノロジーの市場は厳しい場所だ。今後も遠大なビジョンがプラスティックの現実の前に敗れ去ることが繰り返されるに違いない。

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カフェインのイヤリングはいかが?―Amazon、カスタマイズできる3Dプリント製品ストアをオープン

Amazonは3Dプリント製品のストアをオープンした。このストアでは消費者はサイズ、色、素材、デザインの一部などを好みに応じてカスタマイズすることができる。取り扱い分野は宝飾品、エレクトロニクス製品、おもちゃ、ゲーム、インテリア製品、キッチン用品などで、MixeeSculpteo、3DLTなど多数のパートナーが製品を提供する。

Amazonは「このストアのデビューによって、従来よりはるかに柔軟に消費者の要求に応じることができるようになる」としている。Amazonのマーケットプレイス販売部門のディレクター、Petra Schindler-Carterはプレスリリースで「3Dプリント製品ストアはオンライン通販のパラダイムシフトの開始を告げるものだ。製造業は消費者の要求にこれまでよりはるかに機敏に対応することができる」と述べた。

ストアのオープンにともなってAmazonは3Dプリント製品を消費者が簡単にカスタマイズできるツールもリリースした。このウィジェットでは、基本的なデザインを選択し、色や素材(プラスティック、金属など)を指定すと360°全周方向から3Dでプレビューができる。また顧客は厚さ、直径などデザインのいくつかの部分をカスタマイズできる。

分野や素材によって価格はさまざまだが、安い製品の場合は30ドル台だ。

多くの主要国で最大級の小売企業であるAmazonが、消費者が直接カスタマイズ可能な3Dプリント製品の販売を始めたことは、製造業そのもののターニングポイントとなる可能性を秘めている。受注生産や小ロット生産の製品は3Dプリンターを利用することで製造コストが劇的に下がる。3Dプリント・テクノロジーが今後も発達を続けるなら、カバーされる製品の分野も加速度的に広がっていくだろう。

今のところAmazonは予めカタログに載せた製品しか販売しない。Shapewaysのようにユーザーがアップロードしたデータを3D出力するサービスは提供していない。しかし将来は、その方向へのドアも開かれるかもしれない。

〔日本版〕 カット写真は分子モデルアクセサリーで、写真はカフェインだというが、砂糖、ドーパミン、アスピリンなどいろいろなオプションがある。イヤリングとネックレスがあり、サイズは大中小、素材はナイロンかステンレスが選べる。

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レーザー溶融技術によりこれまでの製品より一桁安く提供できる金属3DプリンタMatterFab、お父さんの復讐も?

3Dプリントと言えば、誰もがMakerbotなどのマシンから出てくるプラスチック製の小物を思い出す。しかし最近ではますます、素材として金属を使用する3Dプリントへの関心が育ちつつある。金属なら、工業界全般でもっと本格的な3Dプリントの応用が広まりそうだ。

金属を使う3Dプリンタは今でもあるが、お値段が高すぎる。そこで新人スタートアップのMatterFabは、強力なレーザーを使用するマシンで金属3Dプリントのコストを下げようと考えた。

プラスチック3Dプリントでは少量のプラスチックを押出成形しながら対象物を作っていくが、MatterFabのマシンは、台座上に金属粉の薄い層を作り、それをレーザーで溶かして下の層へ融着する。この方法で、さまざまな金属オブジェクトをきわめて高い精度でプリントできる。


〔ここにスライドが表示されない場合は原文を見てください。〕

MatterFabのCEO Matt Burrisは、子どものころ父親がインディアナポリスでCNCマシンのショップ〔shop, 製作所, 小工場〕を経営していた。そのショップは主に航空宇宙産業向けの機械部品を作っていたが、約3年前からGEが、そのショップが作っていた部品を3Dプリントで作るようになった。

そこでBurrisは、金属3Dプリンタを自分で作ろう、と思うようになった。そして協同ファウンダのDave Warrenと共に、これまでの2年間、開発に没頭した。ハードウェアインキュベータでシード投資家でもあるLemnos Labsが、チームの面倒を見た。

センサと計算機のパワーのコストがどちらもこのところ急速に下がっているため、MatterFabが作った金属3Dプリンタは、今の製造企業が購入しているマシンに比べて、ひと桁安い価格で提供できる。今はプロトタイプの段階だが、来年初頭には完成製品を発売したい、と考えている。

同社の技術を、上のビデオで見てみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アイスクリームを成形プリントする3DプリンタをMITの学生が開発


[三度目のテストでやっと成功]

もうすぐ、3Dプリントを利用した家庭用ソフトクリーム製造機が買えるようになる。MITの三人の学生、Kyle HounsellとKristine BunkerとDavid Donghyun Kimが作った家庭でアイスクリームを作る3Dプリンタは、ソフトクリームを押出成形したらすぐにそれを冷凍するので、冷やしたお皿におしゃれに盛り付けることもできる。

そのシステムはまだ概念実証の段階だが、甘い甘いクリームから、かなり複雑な形でも作り出すことができる。Bunkerはこう説明する:

このプリンタを設計しようと思ったのは、3Dプリントという最新の技術で何か楽しいものを作り、とくに子どもたちの心をつかみたいと思ったからだ。新しい技術を生み出すことも重要だが、若い世代に科学や技術への関心を持ってもらうことも、それに劣らず重要だから、極端なことでもやってみたい、と思っている。


[Cuisinart製のソフトクリームサーバを改造, 台の下部が冷凍機(液体窒素容器は上部に)]

春学期にこのプロジェクトを始めた彼らは、まず星の形をプリントするところまでこぎつけた。まだ商用化する意思は彼らにないが、でも実用性は十分にありそうだ。

“このマシンを作ってるときは大量のアイスクリームを食べた。とくに、二日間徹夜したときには、夜中の間食も朝食もアイスクリームだった。でも、とっても楽しいプロジェクトだった”、と彼女は言っている。

彼らはJohn Hart教授のクラスで食品添加物について勉強している。プリンタの製作も勉強の一環だ。Solidoodleの3Dプリンタを使って、受け皿と押出成形をコントロールし、成形されたアイスクリームを液体窒素で冷凍する。そこがうまくいかないとアイスクリームは溶けて、甘い液のプール、食べられる悲惨ができあがる。アイスクリームが大好きなぼくは一度に3ガロンも食べることがあるぐらいなので、このマシンはぼくの頭の中でも3Dプリントしまくっていた。



[上の図の現物写真]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


東京のアーチストが自分のヴァギナを3Dプリントして逮捕さる

Megumi Igarashiという名前の42歳のアーチストが、彼女のヴァギナの3Dモデルを送信したため、日本の刑法175条わいせつ物頒布の容疑で、東京で逮捕された。彼女は自分のWebサイトで購入した顧客に、ファイルをメールで送っていた。彼女は、ヴァギナの形をしたボートを作るために、資金を集めていた。

問題のファイルは、はっきり言って、女性の構造の、彼女のアートの多くがそうであるように、かなり様式化された表現である。Igarashiは自分のことを“ろくでなし子”、つまり“何の役にも立たない女の子”と呼び、自己の性と日本の文化における女性の構造(ヴァギナ)の役割を探求しようと決めたときから3Dプリントを始めた。日本の文化において男性の器官はタブーではないが(例(職場不適))、女性の性器はほとんどの場合隠される。

彼女はWebサイト上に書いている: “アーチストとして、私は自分自身のヴァギナを自分のアートのモチーフとしてのみ見ている。私の作品はヴァギナに対する差別や無知な扱いに対抗するものだ”。

彼女は、“警察がなぜ3Dデータをわいせつ物とみなすのか、理解できない”、とも言っている

彼女の資金募集の目標は、Manko-boatないしManboと呼ばれる物を作るためだ。Manko-boatを英語で言えば”pussy boat”、すなわちヴァギナの形をしたボートだ。彼女の天真爛漫人畜無害でチャーミングなピッチ(売り込み)を、下のビデオで見られる。

この逮捕が喚起する問題は言うまでもなく、自分をスキャンした3Dプリント物が、果たして、犯罪としてのわいせつ物に該当するのか、だ。道理をわきまえた人間なら誰しも、Igarashiの作品をポルノと見間違えることはないだろう。しかし明らかに、彼女が今日相手をした人たちは、道理をわきまえた人間ではなかった。結局のところ、彼女の体と彼女の2D/3D画像に対するコントロールは彼女だけのものであり、だから、アートは必ず世に出るはずだ、とぼくは予感する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))