Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は「疫病」や「国際的な恥」と表現した銃による暴力に歯止めをかけるため、新たな取り組みを発表した。ATF(アルコール・タバコ・火器および爆発物取締局)は、銃器の無秩序なオンライン販売や、シリアルナンバーも身元調査もなしに製造・3Dプリントできる、いわゆる「ゴーストガン」といった抜け道を塞ぐことなどを予定している。
米国時間4月8日午後、ホワイトハウスのローズガーデンでスピーチを行ったバイデン大統領は、最近起きた多くの銃乱射事件を恐ろしい悲劇として振り返る一方で、この国では毎日100人以上が銃で撃たれていると指摘。「これはもはや疫病のようなものであり、止めなければならない」と繰り返した。
この問題を撲滅するための計画を説明する前に大統領は、誰もがアサルトライフルなどを所有することは憲法上の権利であると考える人々からの、憲法修正第2条に基づく必然的な反論に対処することを忘れなかった。
「これからお話しすることは、いかなる意味においても、憲法修正第2条の侵害を推し進めるものではありません」とバイデンは語った。「我々は最初から、所有したい武器を何でも所有できるわけではなかったのです。憲法修正第2条が存在した当初から、特定の人が武器を持つことは許されていませんでした」。
もちろん、この点に関しては連邦法が州法と対立することが多く、重装備のデモ隊がミシガン州の議事堂を占拠するという驚くべき事態が合法的に発生している。しかし、連邦政府はいくつかの策略を密かに用意している。
身元調査や登録の追跡には連邦当局が関与しているが、近年は銃のオンライン取引が増加したり(ソーシャルネットワークは薄利多売の銃取引の場として悪名が高い)、自宅で武器を作るプロセスが容易になったことから、抜け穴が生まれたり悪化したりしている。
バイデン大統領に続いて登壇したMerrick Garland(メリック・ガーランド)連邦検事総長は、次のように語った。「私はATFに、現代の銃は単なる鋳造や鍛造ではなく、プラスチックで作られたり、3Dプリンターで製作されたり、自分で組み立てるキットとしても販売されていることを考慮に入れて、最新の銃不正取引に関する調査に着手するよう指示しました」。そして「我々はデータに基づいた方法で、犯罪的な銃売買の問題を、確実に理解し、判断するつもりです」と続けた。
数年前に「ゴーストガン」が話題になったのは、武器製造のオープンソース団体「Defense Distributed(ディフェンス・ディストリビューテッド)」をはじめとする複数の人物や組織が、3Dプリントされた拳銃やアサルトライフルの部品を普及させようとしたためだ。これらはハイテクという切り口でメディアに取り上げられたが、このようなサイトやサービスが提供するものは、規模の面において、従来の密輸や対面販売というかたちで行われる銃の密売を、当然ながらはるかに上回る。
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ATFの規制には大きな抜け穴があり、銃の製作キットには登録や身元調査が必要ない。つまり、この方法で銃の80%を手に入れ、残りの20%(通常は「レシーバー」と呼ばれる銃の発射機構を収納する部分)を3Dプリントなどの方法で手に入れれば、シリアルナンバーも登録もない銃を手に入れることができるのだ。
ガーランド氏はATFに、この件を含めいくつかの点を変更した規則を提案している。例えば、現在はピストルを短銃身のライフルに変える改造キットが簡単に購入できるが、新規則ではこのような改造キットにも登録を義務付ける。これはおそらく、前政権の間ずっと空席だったATFの5年ぶりの長官として、バイデン大統領がDavid Chipmen(デビッド・チップメン)氏を指名した後に導入されるだろう。
他にバイデン政権の取り組みには、地域の暴力介入プログラムに8年間で50億ドル(約5467億円)を投じることや、危険人物と見做された人が一時的に銃を手にできないようにする「レッドフラッグ」法を推進すること、そして行政ができないことに対処するための法案を議会に提出するよう促すことなどが含まれる。
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)