Amazonが同社以外の店舗における購入データを消費者から買い取るプログラムを開始

米国Amazon(アマゾン)は、Amazon.com以外で何を買ったかに関する情報を提示し、簡単なアンケートに答えた利用者に直接報酬を支払うという新しいプログラムを立ち上げた。Amazon Shopper Panel(アマゾン・ショッパー・パネル)と呼ばれるこのプログラムの参加者は食料品店、デパート、ドラッグストア、映画館、テーマパーク、レストランなどの娯楽施設(営業している場合)など、アマゾン以外の店舗で買い物をした際のレシートを1カ月に10件送付することが求められる。

Whole Foods、Amazon Go、Amazon Four Star、Amazon Booksといったアマゾン傘下の店舗は対象外となっている。

このプログラムに参加したい人は、iOSAndroid用に新しくローンチされたAmazon Shopper Panelモバイルアプリを使い、紙のレシートなら写真を撮影して、またはメールで送られてきたレシートなら転送の形でreceipts@panel.amazon.comに送付すると、10ドル(約1050円)の報酬を得ることができる。これは自分のAmazon Balance(アマゾン・バランス、日本ではアマゾンチャージに相当)に追加するか、慈善事業への寄付に使える。

アマゾンによれば、すべてのアンケートに答えることで、毎月さらなる報酬が利用者に支払われるという。これはオプションだが、興味のあるブランドや製品、それをどれほど買いたいと思うかといった内容だ。また、広告について感想を聞くアンケートもある。報酬額はアンケートごとに異なる。

このプログラムは、現在は米国の消費者のみを対象として、招待され登録した人だけが参加できる。招待された参加者は、新しくローンチされたAmazon Shopper Panelアプリがダウンロードできるようになり、パネルの一員となる。招待者以外でこのプログラムに興味のある人も、予約リストに登録して招待を待つことができる。

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処方箋の内容など、個人的な機密情報は削除されるとアマゾンは述べている。ただし、一般的な個人情報は削除せず、現在のプライバシーポリシーに準拠するかたちで保管される。参加者が望むなら、すでにアップロードしたレシートを削除することも可能だ。

消費者パネルはよく行われている活動だが、アマゾンのパネルには、取得したデータをいろいろなかたちに役立てる計画がある。

アマゾンのウェブサイトには、消費者のデータをAmazon.comとWhole Food Marketの品揃えの改善、さらにPrime Video(プライム・ビデオ)といったアマゾンのサービスで提供されるコンテンツの内容の改善に「使用する可能性がある」とある。

またアマゾンは、収集したデータを広告主が、広告と製品の購入との集団レベルでの関連性を知るために役立てたり、どの消費者グループがどのような製品に興味を持つかに関するモデルをアマゾンが構築する助けにするとも話している。既存の製品のフィードバックを得られるよう、データをブランドに提供する場合もあると同社はウェブサイトで触れている。

画像クレジット:Amazon

このプログラムは、米国内外での消費者の購入情報の使用法を巡り、アマゾンの競争を阻害するビジネス手法に対する監視の目が強まったことを受けて立ち上げられたものだ。

アマゾンが外部小売業者の販売データを自社のプライベートブランドの事業に役立ててきたその手法(CNBC記事)を、米国の規制当局は激しく非難している。同社CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、2020年7月に米国連邦議会で証言を行い、アマゾンにはそれを行わないというポリシーがあるが、そのポリシーに違反したか否かを確認する手段がない(The Washington Post記事)と話した。アマゾンはまた、EUでの事業において独占禁止法違反(The Wall Street Journal記事)で起訴されるおそれもにも直面(Reuters記事)している。

そんな中でアマゾンは、広告事業への投資を増やし続け、第1四半期は前年比で44%増、39億1000万ドル(約4120億円)に達した。この伸び率は、総額ではまったく及ばないものの、Google(グーグル)の13%、Facebook(フェイスブック)の17%よりも大きい。ちなみにDigiday(ディジデイ)の記事によると、グーグルの広告事業費は同じ第1四半期で280億ドル(約3兆円)、フェイスブックは174億ドル(約1兆8000億円)となっている。

パンデミックによってeコマースへの移行が5年分ほど早まったこともあり、アマゾンのより効率的な広告スペースへの必要性も加速化された。そのため、自社のウェブサイトから直接収集できるよりも多くのデータを取り込む必要性が急激に増したようだ。

このプログラムの開始にあたって広告主に送られたメッセージの中で、アマゾンは自身のeコマース事業を、小売り市場全体のごく小さな一片だと位置づけている。これは規制の回避を期待して、同社がよく使う表現だ。

非常に競争の激しいこの小売り環境において、アマゾンはあらゆる規模のブランドと協力し、その事業が、私たちのストア内に限らず、お客様が買い物をするさまざまな場所においても成長できるよう支援いたします。また、販売パートナー、特に中小事業者が当ストアで成功できるよう、ツール、見識、データの提供に懸命に取り組みます。

しかし、当ストアはパズルの1ピースに過ぎません。お客様は日常的にアマゾンを利用し、製品を探して調べ、他の店舗で購入されています。事実、アマゾンの売上高は、米国全体から見るとわずか4%です。そのためブランドはさらなる情報を求めてNielsen、NPD、特定セグメント専門の情報プロバイダーなどのサードパーティーの消費者パネルやビジネス調査会社に頼ることが多くなっています。そうした登録型の消費者パネルには定評があり、顧客の意見や買い物に関する情報を集めたい数多くの業者が利用しています。それを執り行う企業は、複数の店舗での買い物行動に関するデータを収集し平均的な販売価格、販売総数、無数の人気商品による収益などのデータを報告します。

これに続きShopper Panelでは、アマゾンのストアにとらわれない付加的な見識を提供し、販売店やブランドを支援すると説明している。

プログラムの予約リストがいつまであるかは明示されていないが、米国時間10月20日より、誰でも登録できると同社は述べている。話している。

関連記事:新型コロナパンデミックで米国におけるeコマースへのシフトが5年分加速

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonネットショッピング個人情報

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(翻訳:金井哲夫)

Amazon Echo Dot with Clockはベットサイドでの音声操作に最適、360度スピーカーでない点に注意

スマートスピーカーにとっては慌ただしい数週間だった。Amazon(アマゾン)は9月下旬、EchoとEcho Dotの両方で、新しい丸みを帯びた新バージョンをリリースした。1週間もしないうちに、Google(グーグル)が4年ぶりにGoogle Homeを刷新してNest Audioにリブランド。そして先週にはApple(アップル)は待望の税別1万800円という低価格のHomePod Miniを発表した。

アマゾンは、この3社の中でスマートスピーカーに対して最も定期的なリフレッシュを提供している。EchoとEcho Dotは現在4回目の更新中だ。今回紹介する製品はEcho Dot with Clockとしては2代目だが、本質的には4代目Echo Dotのグループに属する。

最新のアップデートでは、同社はスマートスピーカーのデザインを統一している。Echo Dotは標準的なEchoの小型版のように見える。2つの製品の間にどれほどの機能の違いがあるのか完全にはわからないが、明らかな違いはある。Echoは大きなグレープフルーツほど、Echo Dotはソフトボールほどの大きさだ。

Echo Dotのサイズは、そのコンパクトさから配置に関してはかなり柔軟性がある。私なら、自宅の隅々に設置して間に合わせの音響システムを作っているだろう。ただし、内蔵ケーブルは短い側にあるためコンセントから離れている場合は延長ケーブルが必要かもしれない。

スピーカーの大部分は布で覆われているが、固いプラスチック製の底面はデバイスの背面に向けて上向きに弧を描いており、背面の大部分を占めている。このデザインによって、電源とAUXオーディオ出力の2つのポートを搭載可能にしているが、そのぶんデバイス上のスピーカーの表面積が減っている。従来のホッケーパックのデザインとは異なり、デバイス上のスピーカーの表面積と完全な360度アプローチが制限される。このため、スピーカーは丸型であるにもかかわらず正面を意識して設置しなければならない。

新しいEchoデバイスで注目に値するのは、気候変動への意識を高める取り組みの一環として、デバイスに再生可能素材が含まれることだ。アマゾンの全体的な二酸化炭素排出量の増加についてはここでは触れないが、取り組みの一部がこれらの製品に浸透しているのを見るのは楽しい。同社によると、プラスチックは50%が、対応アダプターを含む織物とアルミニウムはともに100%再生利用だという

セットアッププロセスは、これまでと同様で簡単。接続したEchoアプリでいくつかのボタンをタップすれば、すぐにセットアップが完了するはずだ。ステータスライトリングはデバイスの下部に移動している。これは何よりも現実的なチョイスだった。結局のところ、標準的なライトリングは丸くて布で覆われたデバイスの上部ではあまり目立たない。

Echoは置く場所によって使い勝手が異なる。目の高さくらいが最もいいが、それより下にある場合はリングが見えなくなり、そのリングの表面にどのように光っているか確認する必要がある。個人的には、これは間違った方向に進んでいるように感じる。多くの空白部分が上にできてしまい、デジタル時計搭載というEcho dotとの大きな差別化要因すら薄らいでしまう。

繰り返しになるが、アマゾンは人々がこの製品を目の高さあたりに置くことを想定していると思われる。主にベッドで横になりながら時計を使う場合に適しており、時計自体は十分に明るい。正直なところ、フルスクリーンのスマートスクリーンではなく、シンプルなデジタルディスプレイを搭載している点は歓迎だ。ベッドの近くに置く場合は特にそうだろう。つまり、スクリーンからの一種の避難所となる。最近では、目の前にいない人はいないように見えても、ビデオチャットなどでつながっていることもあるので。

フェイスの用途は限られている。起動時に「Hello」と表示されるほか、当然時刻と天気、音量が表示される。音量は上部にある物理ボタンで調整できる。また、これも上部にあるAlexaボタンを押すと、アシスタントとマイクがオフになるほか、デバイスの下部に赤いリングが表示され、スピーカーがユーザーの会話の聞くのを止めたことが視覚的にわかる。

音質は基本的には従来と同じで、5000〜6000円程度のスマートスピーカーに期待する程度だ。必要なすべての音声機能に対応しているが、デフォルトのホームスピーカーとしては、たとえステレオ構成にできるペアがそろっていても頼りにはならない。しかし、目覚まし時計としては、ぜひ試してみるべきだ。スマートフォンのスピーカーよりは明らかに優れている。

5980円のEcho Dotと、6980円のEcho Dot with Clockの1000円の価格差は少々奇妙だ。将来の世代では、アマゾンはオリジナルのEcho Dotをなくして、Echo Dot with Clock統一するのではないかと予想している。しかしいまのところは、ユーザーに少し余分な費用がかかることになる。

新しいEcho Dotは10月22日に発売される。Echo Dot with Clockは11月5日の発売となる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Amazon、Echo dot、スマートスピーカー、Alexa

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:TechCrunch Japan)

AmazonがQRコード搭載の商品配達箱で使えるARアプリをリリース

Amazon(アマゾン)は、「インターラクティブでシェア可能な」AR(拡張現実)エクスペリエンスを提供しようと、商品配達の箱に記載されたQRコードと連携する新たなARアプリを静かに立ち上げた。アプリはシンプルに「Amazon Augmented Reality」という名称で、同社は「Amazonの箱をリサイクルゴミ箱に入れる前に再利用する面白い方法」と説明している。

App Storeのスクリーンショットにあるように、それぞれの箱がAR体験ができるユニークなアクティビティを提供する。たとえば、とあるスクリーンショットには、白く印刷されたカボチャに顔を描き、それをジャック・オー・ランタンに変化させる様子が示されている。そしてQRコードをスキャンすると、カボチャがARのオブジェクトとして飛び出す。別のスクリーンショットでは、犬の画像にARのカボチャとコウモリのウィングを重ねている。もう1つのスクリーンショットでは、QRコードがスキャンされAmazonの箱が小さな青いARの車になっている。

アプリを紹介するビデオでは、Amazonのスマイルロゴ、QRコードがスキャンされるとふざけた感じで飛び出してくるARのコーギー犬などアニメーション化されたキャラクターも登場している。

TrueDepth対応iPhoneであれば「セルフィー」モードのような機能を使えるよう顔の動きを追跡するために端末のカメラをアプリは使う、とAmazonは説明している。

数日前にiOS App StoreGoogle Playにデビューしたこのアプリは、新たなQRコードを搭載しているAmazonの箱でのみ使える(しかし使える箱がない場合、こちらで体験をテストできる)。

ただ、立ち上げにあたってアプリはカボチャのARエクスペリエンスだけにフォーカスしている。パンプキンに顔を描いてスキャンしARにすると、他のボタンを押して帽子を被せたり、色を変えたりといったふうにカボチャをさらにデコれる。またユーザーのセルフィー画像にカボチャを持ってきてユーザーの顔をカボチャにするようにカメラを切り替えることもできる。そしてアプリのカメラボタンを押してその様子を撮り、オリジナル写真をソーシャルメディアでシェアできる。

QRコードを搭載した箱は配達に使用され始めたばかりで、まだAmazon利用者の手元には届いていないと推測する。この箱はまた、同社が展開している「Less Packaging、More Smiles」キャンペーンの一環として材料をあまり使わずに作られている。

AmazonはこれまでもARに取り組んでいて、直近のものでは新しいARショッピング機能がある。この機能では、Amazonショッピングアプリのユーザーが購入を考えている複数の家具や装飾品を自分の部屋にARで同時に配置することができる。また同社は数年前、ARKitを使って構築されたAR Viewという機能を搭載したARショッピングのシンプル版をiOSアプリで立ち上げた。実際のアイテムの代わりにプロダクトのベーシックなスティッカーを部屋に置くのにARを使う「ショッピングできるスティッカー」も試行した。

ただ、最新のAR View機能立ち上げで同社はAppleのARKit最新バージョンをサポートする準備を済ませていて、同社はその他の使い方を模索したかったのかもしれない。箱をスキャンするARアプリは、さらなるARプロダクトを消費者が欲するかを試すものとなりそうだ。しかしAmazonはこのアプリを広範にわたる研究データを収集するためには使わないようだ。App Storeにある説明は、Amazonの新しいAR Playerにあるテクノロジーを使って処理される全ての情報はデバイスに保存され、「Amazonによって保存、処理、あるいは共有される」ことはないとしている。

このアプリはiOSAndroid用が用意され、無料でダウンロードできる。

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画像クレジット:Amazon

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンとパナソニックが注目するバッテリーリサイクルスタートアップRedwood Materials

Tesla(テスラ)の共同創業者で元CTOのJB Straubel(JBストラウベル)氏は、謙虚で先駆的なエンジニアとして語られることが多い。ある意味会社の最も重要な技術に対して15年間裏方として目立たぬ苦労を重ねて来た人物だ。 テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏に対する誇大宣伝とメディアの注目が高まるにつれて、その性格が対照的に語られることが多くなったものの、それだけでは真実の一部が語られているに過ぎない。

ストラウベル氏は、自己宣伝を行ったり進捗を誇ったりしがちなタイプの人物ではない。彼の個人的なTwitterアカウントも、彼のスタートアップであるRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルス)の専用アカウントも、これまでにツイートを行ったことがない。そして彼は、込み入った問題対して苦労を重ねることを、こよなく愛する人物なのだ。

しかし、彼の控えめな表現は、2017年に共同創業したリサイクルスタートアップのRedwood Materialsに対する、彼の野心と計画を分かりにくいものにしている。Straubelは、Redwoodを世界の主要なバッテリーリサイクル企業の1つにすることを構想し、積極的に取り組んでいるが、今では多数の施設が戦略的に世界中に配置されている。

ストラウベル氏は米国時間10月7日に開催された、TechCrunchのTC Sessions:Mobilityの仮想ステージ上で「これは主要な業界であり、大きな課題です。それこそが私にとって時間を費やしたい理由の大きな部分なのです」と語った。「私は、世界の持続可能性に、実際に重大な影響を与えることができる、何かをしたいと思っています。それを行うには規模が必要です。なので私はこの会社を成長させ続けて、世界最大とは言わないまでも、主要なバッテリーリサイクル会社の1つにすることに熱心に取り組んでいます。そして最終的には、世界の大手電池材料会社の1つになります」。

ストラウベル氏が経営する、ネバダ州カーソンシティを拠点とする同社は、循環型サプライチェーンの構築を目指している。同社はB2B戦略を採用しており、バッテリーセルの製造工程からのスクラップだけでなく、携帯電話のバッテリー、ノートブックコンピューター、電動工具、モバイルバッテリ、スクーター、電動自転車などの消費者向け製品からもリサイクルを行っている。Redwoodは、家電会社やパナソニックなどのバッテリーセルメーカーから、スクラップを回収している。次に、これらの廃棄物を処理し、通常は鉱山から採掘されるようなコバルト、ニッケル、リチウムなどの材料を抽出して、パナソニックやその他の顧客に供給する。Redwood Materialsには多くの顧客がいるが、協力が公表されているのはパナソニックとAmazon(アマゾン)だけだ。

現在のRedwood MaterialsはB2B企業だが、そのビジネスモデルはいつか進化する可能性がある。関心が非常に高まっているため、ストラウベル氏は現在、より消費者向けのビジネスにも拡大すべきかどうかを検討している最中だ。これまではRedwood自身が、消費者が直接古いスマートフォンやその他の家電製品を持ち込むことができる、収集サイトを提供することは決してなかった。しかし、地方自治体や、電気自動車(EV)のバッテリーを含む電子機器をリサイクルするオプションを探している消費者からの問い合わせの数を見て、ストラウベル氏は少なくともその可能性を検討するようになっている。

わかっていることは、ストラウベル氏が、多くの施設(おそらく数十カ所)を各地域に設置し、顧客数が十分に大きい場合には、工場と同じ場所に設置することも考慮しているということだ。同社は、これらの施設が将来どこに設置されるかについては明らかにしていない。

同社はカーソンシティに、2カ所のリサイクルおよび処理施設を持っている。そして、世界最大のバッテリーリサイクル企業の1つだと呼ぶことは難しいものの、Redwoodはすでに「ギガワット規模」で運営されている。

「私たちはとても急速に成長し、生産能力を増強することができました。それはリチウムイオン生産の規模をほぼ数年遅れで追っていくことになると思っています」と彼はいう。

ストラウベル氏の言葉を理解するために、パナソニックがネバダ州スパークでテスラと一緒に運営しているギガファクトリーについて考えてみよう。現在この工場には、年間35GWh(ギガワット時)のリチウムイオン電池セルを生産する能力がある。もしストラウベル氏が狙っている規模に達した場合には、Redwoodはパナソニックにその生産能力に見合う十分な材料を供給することになるだろう。その目標を達成することで、パナソニックのサプライチェーンは、採掘される鉱物からRedwoodによってリサイクルされる鉱物へと根本的に変化を遂げることになる。これらのリサイクルされる材料は、パナソニックの製造スクラップやその他の家電製品から供給される。

北米パナソニックエナジーのバッテリー技術担当副社長であるCelina Mikolajczak(セリーナ・ミコライチャック)氏は、同社にとってリサイクル供給を無視することは愚かな行為だと語った。

ミコライチャック氏は、TC Sessions: Mobilityでのストラウベル氏との共同インタビューの中で「私たちはすでに、これらの金属を大地から掘り出し、セルに入れ、もうそこにあるのです」と語った。「もちろん、セルの取り扱いは少々難しいものです。セルは通常の金属鉱石とは多少異なる方法で処理されますが、同時に、必要な金属の濃度は通常の金属鉱石よりもはるかに高いものになっています。ですから、リサイクルを積極的に追求することは理にかなっています。なぜならリサイクル対象のものがたくさんあるからです、世界中にすでにたくさんのバッテリーがあります」。

バッテリーの再利用

今日、スマートフォンやその他の家電製品に使用されているリチウムイオン電池の大部分はリサイクルされておらず、その代わりに所有者のガラクタ入れの中で忘れられるか、廃棄物処理の流れに乗って最終的に埋め立てられている。電気自動車は、言うならば、はるかに長い賞味期限を持っている。だが、最終的には、電気自動車に使用されるバッテリーは、自動車メーカーだけでなく、廃棄物に取り組むコミュニティにとっても課題となるだろう。

ストラウベル氏は、Redwoodが電気自動車のバッテリーの、寿命末期のソリューションの一部になることを望んでいる。

「再利用問題と、これらのバッテリーをどのように復活させるかはとても興味深いものです。そしてバッテリーをそのまま2番目のアプリケーションへと組み込む方法については、さまざまなアイデアが提案されています」とストラウベル氏は語ったが、Redwood自身は再利用そのものには直接は取り組んでいないと述べた。「これらのデバイスを一定期間再利用することで、より多くの期間利用できるなら素晴らしいことですが、それは避けられない運命をただ遅らせているだけです。最終的には、適切な廃棄とリサイクルソリューションが必要になるのです」。

ストラウベル氏は、Redwoodをそのための最終関門にしたいという。

EVのバッテリーをエネルギー貯蔵用に転用することについて、話し合いを持った自動車メーカーはたくさんある。しかし、OEMがそれらのバッテリーを、消費者から回収する手段は不十分なままだ。ストラウベル氏はRedwoodを、電気自動車を製造するすべてのOEMと提携し、業界全体にその材料を提供できるような、独立した企業にしたいと考えている。

Redwoodが、どの自動車メーカーと提携するのか、あるいはすでに提携しているのかについて、公に発表したことはない。とはいえ、EV業界全体を見渡せば、可能性のあるパートナーがいくつか浮かび上がる。たとえば、電気自動車のスタートアップのRivian(リビアン)は、Redwood Materialsと直接連携する計画を発表したことはないが、しかしどちらの会社も、投資家および顧客としてのAmazon(アマゾン)と関係を持っている。RivianのCEOであるRJ Scaringe(RJスカーリンジ)氏とストラウベル氏は、お互いを知っているだけでなく共通のビジョンも共有している。

スカーリンジ氏は、まだ詳細は不明なもののバッテリー再利用計画について語り、またバッテリーの寿命が尽きたときに何が起こるかについても語った。現在Rivianは路上を走る車を供給していないので、それは一見はるか未来の物語のように思える。だがその状況は、同社が電動ピックアップトラックとSUVを消費者市場に投入し、Amazonに電動バンを提供する2021年に変わるだろう。最終的に、RivianはAmazonに10万台の電動バンを配達する契約を結んでいる。

スカーリンジ氏は先月Bloomberg Green Summitで行われたインタビューの中で次のように語っている「JB(ストラウベル氏)がやっていることに、本当にわくわくしています。車両を原料として使うことができるからです。これらの車両から回収したバッテリーを原料にして、別のバッテリーと電気自動車のライフサイクルを開始できるからです」。なおこのインタビューの行われたパネルセッションにはストラウベル氏と、AmazonのGlobal Last Mile Fleet and Productsの責任者であるRoss Rachey(ロス・ラチー)氏も参加していた。「これを本質的にクローズドなエコシステムとして制御できるようになれば、業界全体が電化だけでなく様々な消費手段へと移行する中で、こうしたことに対する条件反射的な行動を学び行うことができるようになります」。

規模について

ストラウベル氏は「Redwood Materialを公開することに興味がない、特に短期的には」と述べた。

ストラウベル氏は、テスラの現状に向けられたコメントの中で「良くも悪くも、私は上場企業であることのよって効率の悪い部分を、最前列で見ていました」と語った。「私は急いでいません。公開企業であることは、なぜか成功の証だと思われていますが、実際にはあまり意味がないのです」。

彼は、その目標はRedwoodが影響を与え、産業規模で意味のあることを行い、見返りを得ること(すなわち利益を生み出すこと)だと語った。

「それはすぐに公開するということではありませんし、投資家にすぐに利益を還元しようとするようなことでもないのです」とストラウベル氏はいう。「私が本当に時間を使いたいことは、影響を生み出すことです。そして、これは数十年に及ぶ可能性のある、非常に長期的な成長ミッションだと思っています」。

労働者がインドのニューデリーで使用済みの携帯電話の山を選別している様子 (画像クレジット:Getty Images / Kuni Takahashi/Bloomberg)

ストラウベル氏は規模に関して大いに語った。それはRedwoodに対する彼のビジョンや米国の消費者のガラクタ入れの中に眠っている電子廃棄物の現状などを含む内容だった。まず語ったのはギガファクトリーの規模に関してである。ここはパナソニックがバッテリーセルを製造するために使用し、テスラがその車両用のバッテリーパックと電気モーターを製造するために使用している工場である。ストラウベル氏がRedwoodの創業を駆り立てられた理由の一部には、この工場の存在がある。

「世界が輸送を電化する中で、非常に多くの異なる材料が必要となっています。そんな中で、工場の上流のサプライチェーンはしばしば過小評価されていると思います」と彼はいう。「ギガファクトリーは氷山に少し似ています。水面下には通常目にすることのない、サプライヤー、鉱山、精製、その他供給する必要のあるさまざまなものが、たくさん連なっているのです」。

ギガファクトリーが成長するにつれて、サプライチェーンの一部がボトルネックになったのだと彼は付け加えた。

「もちろんテスラがここににもっと焦点を合わせているのを知っているでしょう。私も当然そう思っています」とストラウベル氏は語り、ニッケルのような材料の、より広範なサプライチェーンに焦点を合わせる必要性について述べたマスク氏の最近の発言に対して賛意を示した。「それは非常に興味深い分野だと私は考えていますが、あまり注目されていません。そして材料ライフサイクルの一部を構成する最終処理とリサイクル処理は非常に大切な分野で、バッテリー作成の持続可能性に対して大きな影響を持つことができると考えています」。

関連記事:アマゾンがRivianとの提携で初の完全電気自動車を発表、車内にはもちろんAlexa内蔵 

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Amazon、パナソニック、Redwood Materials

画像クレジット:Redwood Materials

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(翻訳:sako)

アマゾンがRivianとの提携で初の完全電気自動車を発表、車内にはもちろんAlexa内蔵

Amazon(アマゾン)は、電気自動車のスタートアップであるRivian(リヴィアン)との提携によって作られた、同社初の特注EV配送バンの納品を受けた。このバンは、丸みを帯びたエッジが多くなっているものの、既存の伝統的な燃料とハイブリッドの商用配送バンとあまり変わらないように見える。技術革新のほとんどはあまり目立たない場所で起こっている。

このバンの詳細を記したブログ記事(Amazonブログ)でアマゾンは「センサーベースの高速道路走行と交通支援機能、デジタルディスプレイを介してドライバーに360度の視界を提供できるエクステリアカメラ、ドライバーのキャビンコンパートメントへの行き来を支援するためのキャビン内の広い室内床面積、ほかのドライバーのためのブレーキの視認性を高めるためのサラウンドテールライト、一体型3段シェルビングと隔壁分離ドア。そして最後にはもちろん、内蔵のAlexa音声アシスタントの統合を含む、カスタムバンのユニークな機能のいくつかを概説した。

アマゾンは2019年、スタートアップのEVメーカーのために7億ドル(約742億円)のラウンドを主導したときに、Rivianへの大規模な投資を発表した。その後同社は、昨年9月にnカスタムメイドの電動配送バンを10万台発注することを発表した。Rivianはまた、商用車計画に加えて、電動ピックアップやSUVを製造し、消費者に向けて出荷する意向だ。

アマゾンは完全電気自動車の導入を計画しており、今後2年以内に世界で1万台のカスタムバンが道路を走るようにし、2030年までに10万台の注文を受けるまでに拡大すると発表している。一方Rivianは、イリノイ工場の試験的な生産ライン稼動を開始し、2021年6月からSUVの納入を開始し、来年8月からSUVの出荷を開始する予定とのこと。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Amazon、電気自動車、Rivian

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アマゾンの2020年プライムデーのグローバル売上高は1兆円超えの見込み、日本は10月13、14日に開催

延期されていたAmazon(アマゾン)のプライムデーについての新たな予測が米国時間10月6日に発表された。それによると、10月に開催されるプライムデーのグローバル売上高は2019年を上回って100億ドル(約1兆600億円)近くに達する。eMarketerは今回初めてのプライムデーの予測を発表し、消費者は引き続きeコマースにかなり金を使い、2020年のホリデーシーズンを前にお得な買い物を探す、とみている。

eMarketerは、2020年のプライムデーのグローバル売上高が99億1000万ドル(約1兆470億円)に達し、うち61億7000万ドル(約6500億円)は米国の消費者によるものになると予測している。

これは過去数年のプライムデーの売上を上回っている。2019年のプライムデーのグローバル売上高は69億3000万ドル(約7300億円)で、そのうち43億2000万ドル(約4560億円)が米国での売上だった。2016年の売上高は15億ドル(約1580億円)、2017年は24億7000万ドル(約2600億円)、2018年は41億3000万ドル(約4360億円)だった。

こうした数字は他の会社が算出したものとほぼ一致している。たとえば、Internet Retailerは2019年のプライムデーのグローバル売上高は71億6000万ドル(約7560億円)で、前年の41億9000万ドル(約4400億円)から増えたした、と推定した(Digital Commerce 360記事)。アマゾンはプライムデーの売上量については具体的に明らかにしないが、2019年はイベント期間中に1億7500万アイテムを販売したと述べている(未訳記事)。

画像クレジット:eMarketer

もちろん2020年のプライムデーを予測するのは、新型コロナウイルスパンデミックがeコマース産業に及ぼしている影響のためにかなり難しい。新型コロナによる健康危機はサプライチェーンを混乱させ、遅延を引き起こした。一方で消費者の需要は予測不可能なものになるかもしれない。大手小売でのこれまでのeコマース支出の増加は政府による景気刺激策と密接に結びついている。

パンデミックにより、2020年のアマゾンはほとんどのマーケットで毎年恒例のセールを7月中旬から10月にずらした。一方で、同社はインドでのプライムデーを8月に開催した。この開催時期は前年よりは後ろ倒しになったが、他の国で計画された今年のプライムデーよりは早かった。インドでの開催後にアマゾンは、過去最多の販売事業者が参加し、少なくとも100万人の新規プライム会員を獲得したと明らかにしている。

開催時期の変更にもかかわらず、2020年のプライムデーも引き続きトラフィックや売上高が増加するとeMarketerのアナリストはみている。

「2015年のプライムデー開始以来、アマゾンはイベントのスケールや扱いを拡大してきました」とeMarketerの主任アナリストAndrew Lipsman(アンドリュー・リップスマン)氏は述べた。「毎年わずかに変化していて、Lightning Dealsそして中心的に取り扱われるAmazon EchosやFire TVの大幅割引など、顧客や販売事業者はある程度予想ができました。販売事業者は販促や広告戦略のための作戦を練り、それに応じて在庫の準備もできました」。

アマゾンはすでにプライム会員向けにEcho Show 5の割引は90ドル(約9500円)のものが45ドル(約4700円)に、Echo Autoのディスカウントは30ドルオフの19.99ドル(約2100円)となっている。さらにこれまでよりも安いEcho Dots、Insignia 4K TVやBlink Miniデバイスなどで動くAmazon TVの割引などお得なディールの提供を開始しているが、プライムデーは正式には10月13日から始まる。

プライムデーはまた、決まって競合企業のセールを刺激する。これにより、アマゾンのイベントは他のeコマース小売に恩恵をもたらすオンラインショッピングの増加につながる。2020年3月時点でオンライン小売の37%がプライムデーの計画は新型コロナの影響で未定だと述べた。しかし56%がプライムデーの売上は芳しいものになると期待している、とeMarketerは指摘している。

これまでのところ、Target(ターゲット)はプライムデーに対抗するために大々的なセール「Target Deal Days」を計画していて、プライムデーと同じ期間に数十万ものアイテムでブラックフライデーのようなディスカウントを約束する。一方のWalmart(ウォルマート)はひと足早い10月11日から10月15日までイベントを開催すると明らかにした。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazoneコマースプライムデー

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンの商品梱包・配送センターにおける2019年の重傷者数は主張とは逆に増加、1万4000人超え

Amazon(アマゾン)の2020年最大のショッピングデーが近づいているなか、同社の自動化と安全への投資が倉庫や商品梱包・配送センターでの重傷者ケースの増加を食い止められていないことが新たなレポートで明らかになった。

Amazonは倉庫を自動化するために新しいロボティクスやテクノロジーに巨額を投じているが、それでも重傷者1万4000人超という犠牲を出し続けている。労働者は重傷を負うと仕事を休んだり仕事を制限したりしなければならない。この数字は2019年に商品梱包・配送センターで報告されたもので、Revealのレポートで明らかになった。

全体としてアマゾンでは従業員100人あたり7.7件の重傷例があった。かなりの投資を行い、施設での安全性は改善していると同社が主張しているにもかかわらず、この数字は4年前に比べ33%多く、直近の産業平均の倍となっている、とレポートは指摘した。

調査報道センターからRevealへの資料であ内部安全レポートと、アマゾンの全米の商品梱包・配送センターにおける週間のけが人数は、同社が安全記録について社会を惑わしていること、そして同社最大のショッピングデーであるプライムデーと長いホリデーシーズンが従業員にとって最も危険であることを示している。

声明文の中で、アマゾンはRevealのレポートについて「誤った情報」であるとし、用語について屁理屈をこねた一方で、「当社はさまざまなプログラムを通じてけが防止と削減で引き続き改善を行っている」がレポートでは逆に書かれている、と主張した。

毎月送られる速報はけがや安全上の問題についての厳しい集計を公開する。ここでいう問題とは、アマゾンがはっきり認識しているものを指す。「秘匿特権・機密」と記され、Revealが入手して報道したアップデートは、アマゾンが安全上の目標を達成できなかったことを示している。けが件数率を2018年に20%減らすことを目標としていたにもかかわらず、率は上昇した。2019年に同社はけが件数率をより控えめに5%下げることに取り組むと決めたが、それでも件数は増えた。

アマゾンがひどい労働者安全記録をRevealによって明らかにされたのは今回が初めてではない。2019年にRevealは、従業員1人が死亡することになった職場の安全性違反をアマゾンがインディアナ州当局とともに隠そうとした疑いがある、と指摘した。

けが件数率はアマゾンの国際本部に近い一部の工場で最も高いことがRevealのレポートで示された。Revealによると、同社のシアトル本社から車で1時間ほどのところのワシントン州デュポンの町にある工場は、アマゾンの最も危険な施設の1つだ。BFI3倉庫では、従業員100人あたり22件の重傷事案があった。

アマゾンが労働者のストレスやを減らそうとオートメーションに投資しているにもかかわらず、こうした施設の労働者は毎年増えるノルマをこなさなければならない。従業員が毎時間いくつのアイテムをスキャンできるかを追跡するコンピューターシステムは、誰が目標未達成で要注意なのかを決めるのに使われている。Revealによると、あまりにも目標に届かない従業員は解雇されるという。従業員の仕事を楽にするはずのロボットは、代わりに梱包のスピードを4倍にまで上げることを要求している。

「我々は同僚に及ぼす影響を非常に過小評価していた」と前安全担当マネジャーはRevealに話した。「早い段階で問題があると認識した。そうした方向に光速のような速さですでに動いているのだからどうやって歩みを止めて再調整するのか、といった感じだった」。

ロボットが倉庫のマネージャーや監督者に与える影響は明らかになったが、Jeff Wilke(ジェフ・ウィルク)氏のようなトップは同社の自動化への投資を声高に自慢し続けていた。

Revealによると、アマゾンのデータは、重傷事案の率は人間だけが働く倉庫よりロボットが配置された倉庫の方が高いという事実を同社が知っていることを示している。

それに反してアマゾンの主張にもかかわらず、労働者が抱えるリスクはアマゾンの繁忙期に増大する。2019年のプライムデーとその前後の期間は最もけがの件数が多かった最悪の週で、過去最多となる400人近くが重傷を負った、とRevealのレポートにはある。

アマゾンはまた、労働者の何人が労働時間を失うほどに重傷を負うのかを曖昧にしようとしている。というのも、Revealのレポートによると同社は他の「軽い任務」をけがをした従業員に割り当てるからだ。アマゾンの代理人は以前、同社はこうした慣行を採用していないと述べていたが、レポートに引用された証拠はそうでないことを示唆している。

負傷して倉庫業務が行えない従業員は、アマゾンの機械学習ソフトウェアを訓練するために写真のタグ付けのような任務が与えられる。または、非営利のアマゾンのパートナーのための一時的な仕事が与えられる、とRevealのレポートにある。負傷した従業員に暇を出すのではなく仕事を再び割り当てるのは必ずしも悪いことではない。しかしアマゾンではそうだったようだが、けがの割合を低くみせかけるのに使うこともできる。

こうした長年続いてきた労働環境や、労働者の健康や安全という名目で儲けを減らしたくないという同社の姿勢は、新型コロナウイルスのパンデミック対応の中で如実に現れている。

パンデミックで外出禁止となった期間、米国人があらゆるものを配達してもらうのにアマゾンに向かった一方で、アマゾンプラントの何百人という労働者が新型コロナに感染した。一部の人は死亡した。

アマゾンは2020年、6月末までに安全対策に8億ドル(約845億円)を投資した。経営陣が腰を上げたのは、労働者が労働条件に抗議するために組織的に活動した後のことだ。

同社はこうした抗議活動の中心人物に感謝しただろうか。中心人物の1人と抗議活動を支持した他の従業員2人を解雇した。

一方、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はAmazonの株価上昇で資産を600億ドル(約6兆3400億円)増やした。

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(翻訳:Mizoguchi

Amazonが観光、質問、買い物もできるバーチャル世界ツアープラットフォーム「Explore」のベータテスト開始

Amazon(アマゾン)は米国時間9月29日に新しいバーチャルプラットフォームをスタートさせた。Amazon Exploreは世界各地にいる地元のエキスパートによるバーチャルツアーを予約できるサービスだ。利用者が体験できる内容は、クリエイティブな各種スキルの学習、世界各地の観光スポットや遺跡、文化的に興味ある場所のツアー、さらには地元の店舗や市場でのショッピングなど極めて多岐にわたる。

例えばユーザーはアルゼンチンでバーチャルなワインテイスティングの会に参加できる。メキシコでは魚の燻製でタコスを作るところを見ることができる。また日本の京都の美しい寺院、南禅寺のバーチャルツアーに参加できる。ペルーでは500年前の宮殿を、コスタリカではコーヒー豆の処理を見学する。東京では家庭のキッチンでどうやって寿司を握るかを学ぶ、といったところだ。

画像クレジット:Amazon(TechCrunchがスクリーンショットを作成)

ただしAmazon Exploreは今のところ非公開のベータテストの段階だ。バーチャル世界ツアーのセッションに参加できるのは同社から特別に招待されたユーザーのみとなっている(現在は米国在住者に限られている)。

バーチャルツアーのホストはアマゾンが支援する地元の専門家だという。現在でも現地に行かずに世界を体験する方法はいくつかある。YouTubeのビデオを見てもいいし、Google Earthのガイド付きツアーに参加するのも良い考えだ。しかしAmazon Exploreの体験は大きく異なる。これは現実の人間であるホストと一対一で直接、コミュニケーションがとれるセッションだからだ。動画は一方通行のものだが、音声ではリアルタイムでホストとの会話できる。単に受動的に視聴する体験に比べて、ユーザーはその場にいるという参加の感覚を強く得ることができる。

画像クレジット:Amazon(TechCrunchがスクリーンショットを作成)

各セッションは30分から60分で、24時間前までならキャンセルあるいは時間の変更が可能だ。ユーザーは予定された時間にAmazonアカウントにログインする。Exploreのベータテストのユーザーには「セッション」のオプションが表示されるので「あなたのセッション」を選択すればツアーがスタートする。

セッションに参加するためにはノートPCまたはデスクトップPCが必要だ。ベータテストはまだモバイルデバイスに対応していない。サポートしているブラウザはGoogle Chrome、Microsoft Edge、Safariだ。内蔵あるいは外付けのマイクとスピーカー、5Mbps以上のインターネット接続が必要となる。

セッション中ユーザーは、ホストに対し興味を感じた話題についてさらに詳しい説明を(逆に興味のない部分についてはスキップを)依頼できる。またカメラアイコンが表示されるので、随時スクリーンショットを撮ることもできる。

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すべてではないが、一部のセッションではショッピングも可能だ。ユーザーは地元の店舗やマーケットを訪れてアイテムを長め、その場にいるのと同様に店主に説明を求めたり、気に入った商品を購入したりできる。購入手続きはAmazon.comと同様だ。支払いはユーザーのアマゾンのアカウント内で安全に処理される。その後ホストにも紹介手数料が支払われる。

ショッピングに関して、アマゾンは現在流行中のライブストリームショッピングの手法を取り入れているようだ。Amazon Liveのショッピング(未訳記事)ではインフルエンサーのホストがアイテムの説明をしたりデモをしたりするが、Exploreではこうした役割は店主やショップスタッフとなる。またユーザーはアイテムをもっとよく見たい場合に裏返したり、カメラアングルを変えたりするよう依頼することができる。

画像クレジット:Amazon(TechCrunchがスクリーンショットを作成)

アマゾンはAmazon Liveで独自のライブストリーミングプラットフォームを構築しているが、Exploreはこれとは別のものであり既存のテクノロジーは利用していないという。

アマゾンはこのプラットフォームは、店舗のオーナー、地元のガイド、シェフ、スタイリスト、アーティスト、工芸職人など地元でスモールビジネスに携わる人々に副収入を得るチャンスを生み出すという。こうした人々はパンデミックにより全世界的に深刻な影響を受けている。アマゾンがExploerをスタートさせたのには、こうした困難を軽減する目的もあるだろう。

セッションの料金は幅広い。ファッションのスタイリングのヒントを与えるセッションについては10ドル(約1060円)からというものもある。一方、ニューヨークのセントラルパークを案内するバーチャルツアーの場合には150ドル(約1万5860円)だ。アマゾンによれば、料金や時間はホストが自由に決定することができ、特に最低料金最高料金等は設けられていないという。ただしアマゾンは手数料などの課金について詳細を明かすことは避けている。

スタート時点でこれらのバーチャルツアーの大部分は各地域の旅行業者が組織しているが、ツアーのアイデアを持っていれば誰でも歓迎だという。「郷土史家、各種アーティスト、ミュージシャン、工芸職人、シェフ、買い物をしたい個人、共有可能なスキルや冒険のアイディアを持っている人々を歓迎する」とアマゾンは述べている。現在16カ国にわたって86のセッションが登録されているが、これは今後、急速に増える見込みだ(Exploreはベータテスト中であり、現在のところ米国在住でアマゾンから招待されたユーザーのみ参加できる)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンが手のひらをかざして入店・決済できるスキャナー「Amazon One」をシアトルの2店舗に導入

マスクとプラスチック手袋を着用して店舗に入る人が多いパンデミックの最中に、Amazon(アマゾン)の実店舗チームは新たな生体認証デバイスを導入する(Amazonリリース)。買い物客が手のひらを使ってAmazon Goストアで決済できるようになるというものだ。同社は米国時間9月29日、「コンタクトレス」とうたうAmazon Oneを発表した。これはスキャナー装置で、クレジットカードを差し込んで手のひらをデバイスにかざすと、手のひらの特徴とその人の決済メカニズムが連動するようになる。一度クレジットカードの情報が登録されれば、Amazon Oneデバイスの上に1秒ほど手のひらをかざすことでAmazon Goに入店できるようになる。

実際には手のひらをデバイスの上に置かなくてもよくかざすだけでいいが、ユーザーに知ってもらう必要がある新たなテクノロジーであり、短期的にはちょっとした問題となるかもしれない。

今日の消費者はiPhoneをTouchIDでアンロックするために指先で触れる、あるいはセキュリティロックを解錠するのに親指の指紋を使うのに慣れている。多くの人が手のひらをAmazon Oneの平らな表面にくっつけるのだと思い込むというのはあり得る。

それ以外では、さほど懸念はないだろう。しかしこのデバイスが新型コロナウイルスによる健康危機に直面している米国で導入されることを考えるとき、店舗入り口で触ることになるかもしれないポイントを増やすというのは、導入のタイミングとして今はベストではないだろう。

もちろんアマゾンはデバイスが「コンタクトレス」であることを強調する。これは顧客がありがたく思う点だろう。しかし店舗スタッフがデバイスを定期的に拭き取るために入り口に立たない限り、どのように作用するのか客が確かめようとするのにともなってかなりタッチされることになりそうだ。ゆくゆくは、「コンタクトレス」であるという目標をAmazon Oneは達成するかもしれない。しかし一方でデバイスはスタッフが付き添い、拭き取られ、入店する人全員にデモンストレートされるべきだろう。

アマゾンは、新デバイスが手のひらの特徴を生成するのにリアルタイムでコンピュータービジョン技術を使うと話す。なぜ手のひらを選んだかというと、手のひら認証は他の生体認証による本人確認よりも個人に属する特徴だと考えているからだ。つまり、手のひらの画像を見るだけでは誰かの身元を特定できない、とアマゾンは話す。そうかもしれない。ただ、手のひらの特徴が決済のカードと紐づいていることを考えると、手のひら画像がどれほど認識できるものかよりも、データの安全が保証されることの方が重要だ。

アマゾンはまた、画像は暗号化され、顧客の手のひらの特徴が生成される安全なクラウドに送られると話す。このプロセスがどのように展開されるのか、今回、詳細は示されなかった。ただ、アマゾンの生体認証を使った過去のプロダクトは議論を醸してきた。同社は米国の法執行当局に顔認証サービスを販売していた(BiometricUpdate.com記事)。同社の顔認証テクノロジーはデータプライバシー訴訟の対象でもある(BiometricUpdate.com記事)。傘下のカメラ企業である会社Ring(リング)は警察と提携している(未訳記事)ことが明らかになり、市民権問題を起こした。直近では、Ringはホームセキュリティ用の屋内ドローンを発表したが、ホームオーナーのプライバシーにとって新たな脅威となる(RetailWire記事)かもしれない。

ゆえに、アマゾンの生体認証データによる顧客データベースを構築するという計画には疑念の余地がある。

アマゾンは、新たなデバイスを使用して入店するのにアマゾンのアカウントは不要だと話す。必要なのは、手のひらと電話番号だけだ。しかし客は、アマゾンのウェブサイトで使用履歴をみるためにアカウントと連動させることができる。また2つめの手のひら画像を追加することも可能だ。

Amazon Oneはまずシアトルエリアの2店舗で導入される。7番街とブランチャード通りにあるオリジナルのAmazon Go、それからボーレン通りノース300番地のサウス・レイク・ユニオンの店舗だ。ただし、Amazon Oneは他の入店方法に完全に置き換わるわけではない。客はAmazon GoアプリやAmazonアプリを使って入店でき、現金で支払うことも可能だ。

Amazon Oneは入店のためだけに使用される必要はない、と同社は指摘する。このデバイスがスタジアムやオフィスビル、アマゾン以外の小売店といったサードパーティで使用されることも想定している。

アマゾンは現在、関心を寄せている企業や団体と協議中だが、まだ明らかにはできないとした。ただし、アマゾンが過去に競争を抑制するような意図でサードパーティのデータを使っていたこれまでの経緯を考えると、サードパーティの小売業者が顧客の決済データを扱うのにどの程度アマゾンを信用するのかは不透明だ。

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンが毎月スタイリストが選んだその人向けのファッションアイテムが届く男性向けサービスを月額約530円で提供開始

Amazon(アマゾン)は、男性用ファッションのパーソナルなショッピングサービスを導入する。これは、Stitch Fix(ステッチ・フィックス)に対抗して女性向けに始まったPersonal Shopper by Prime Wardrobe(パーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブ)を拡張したもので、月額4.99ドル(約530円)で利用できる。これを使うと、その人のスタイルや好みに合ったファッションアイテムをアマゾンのスタイリストが選び、組み合わせてくれる。これが月に一度のペースで配達され、試着できる。気に入らなければ、同梱の密閉バッグに入れ、送料支払い済みの送り状を付けて返送できる。

ローンチ時点で、男性用パーソナル・ショッパーには、Scotch & Soda(スコッチアンドソーダ)、Original Penguin(オリジナルペンギン)、Adidas(アディダス)、Lacoste(ラコステ)、Carhartt(カーハート)、Levi’s(リーバイス)、Amazon Essentials(アマゾン・エッセンシャルズ)、Goodthreads(グッドスレッズ)など、アマゾン独自ブランドや外部のブランドも取り混ぜ、数多くのブランドが揃っている。同社によれば、パーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブでは、トータルで1000件を超えるブランドの数十万点ものメンズスタイルが提供されるという。

サービス自体は、月々のファッションセレクションを、利用者へのスタイルに関するアンケートを通じてパーソナライズするなど、いろいろな面でStitch Fixに類似している。さらに競合する他のサブスクリプション形式のファッションサービスと同様、たとえば就職面接用のプロっぽく見える服装や、普段の好みから外れる特別な状況に合わせた服装が欲しいときなどには、スタイリストに直接、リクエストすることもできる。

しかし、リクエストしたアイテムの購入を決めたときに「スタイリスト料」として20ドル(約2100円)が可算されるStitch Fixとは違い、アマゾンのパーソナル・ショッパーは月4.99ドルの定額は変わらない。もう1つの違いは、パーソナル・ショッパーでは、発送前に利用者に内容の通知が送られる。そこから最大8点を選び受け取ることができるので、届いた箱を開けてビックリすることがない。

画像クレジット:Amazon

これまでアマゾンでは、プライム・ワードローブで購入前の試着ができるサービスを男性用ファッションでも提供していた。しかしそのサービスは、単にアマゾンプライム会員がアイテムを選び、購入を決める前に自宅で試着して、気に入らなければ返送できるというだけのものだった。今までのプライム・ワードローブの最大の欠点は、アマゾンで見つかるファッションアイテムの大部分が、自宅での試着に対応していなかったことだ。特に人気ブランドの多くがそこから外れていた。

これに対してアマゾンでは、自社ブランドばかりをプライム・ワードローブに詰め込んでいるわけではないと主張している。プライム・ワードローブの中でアマゾン独自ブランドが占める割合は1%未満とのことだ(もちろんときには、利用者が受け取ったパーソナル・ショッパーの箱の中身が、その割合を超えることもある)。

またアマゾンは、2019年のローンチ以来、数百万人の利用者がプライム・ワードローブの自宅試着オプションを選択し、「数十万人」の利用者がパーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブでファッションプロファイルを制作しているという。

逆にいえば、現在パーソナル・ショッパー・サービスを毎月で利用している人は、わずか「数十万人」でしかいない。

つまり、有料利用者数の比較に限るならば、プライム・ワードローブは今のところはStitch Fixの敵ではないということだ。

Stitch Fixは、長い時間をかけてモデルを完成させ、見識を高めてきた。その甲斐あって、同社のアクティブ顧客数は350万人にのぼる。2020年9月の初めに最新の収支報告(CNBC記事)が公表された時点で、前年比9%増ということだ。さらに最近では、パンデミックの影響で人々がビジネスウェアからアクティブウェアにスタイルを変更したことにより、最初の受注残を消化した際には増収となった。

男性用のアクティブウェアの需要は特に高い。このトレンドは、この新サービスを立ち上げる前のアマゾンでも見られていたはずだ。

プライム・ワードローブによる自宅での試着サービスは、現在、米国、英国、ドイツ、オーストラリア、日本で提供されているが、パーソナル・ショッパー・バイ・プライム・ワードローブが利用できるのは米国のみ。しかも、モバイルデバイスでのみの対応となっている。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Amazon ファッション パーソナル化

画像クレジット:Amazon

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(翻訳:金井哲夫)

アマゾンが低帯域近隣ネットワークSidewalkの詳細を公開、EchoとTileが対応デバイスに

Amazon(アマゾン)は昨年、家の中や外(おそらくこちらの方が重要)のスマートデバイスの接続に使用される、独自に開発した低帯域幅の新しい長距離無線プロトコルSidewalkネットワークを発表した。そのSidewalkサービスの提供開始が近づいてきた。Sidewalkは、メッシュネットワークに似ているが、十分な数のアクセスポイントがあれば、近隣全体を簡単にカバーできる。

米国時間9月21日のアマゾンの発表によると、年内にはEcho互換デバイスがSidewalkネットワークのBluetoothブリッジとなり、Ringの防犯カメラFloodlightとSpotlightも同ネットワークの一部になるという。アマゾンは、こうした低帯域幅接続によって、帯域幅のごく一部を隣人と共有することになってもユーザーは気にしないだろうと考えている。

また、Tileが近日中にリリース予定のSidewalk互換トラッカーがサードパーティー製の最初のSidewalkネットワーク対応デバイスになることも発表した。

アマゾンが最初にSidewalkを発表した際、Sidewalkネットワークの仕組みについての詳しい説明はなかった。今回の発表では、この共有型ネットワークでプライバシーとセキュリティがどのように確保されるのかに関するホワイトペーパーも公開された。以上すべての点に加え、アマゾンが描いているSidewalkに関するビジョンについて、SidewalkのジェネラルマネージャーであるManolo Arana(マノロ・アラナ)氏に話を聞いた。

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同氏は、SidewalkをThreadやその他のメッシュネットワークプロトコルの競合サービスととらえるのは間違いであることを強調する。「まずはっきりさせておきたいのは、SidewalkはThreadなどのメッシュネットワークとは競合しないという点だ」と同氏は述べた。「ZigBeeやZ-Waveなどのアプリケーションを思い浮かべて欲しい。Sidewalkにも同じようにして接続できる」同氏によると、開発チームは既存のプロトコルを置き換えるのではなく、別の新たな転送メカニズム、およびデバイスを接続する無線の管理方法を作成したいという。

Sidewalkネットワークを開始し、例えば、各家庭で敷地の端に設置されたスマート照明が接続されるようになるくらいその認知度を上げるには、Echoファミリーのデバイスを利用してもらうことがアマゾンにとって最善の策であることは間違いない。

「Echoデバイスは、ブリッジとして機能するようになる。これは我々にとって大きなことである」とアラナ氏はいう。「この機能のメリットを享受する顧客が多数いることは容易に想像できる。我々には、この種のサービスを実現できるようになることが何よりも重要だ。Tileは最初のSidewalk対応エッジデバイスとなり、貴重品、財布など、大切なものを何でも追跡できるようになる」。

多くの意味で、これこそがSidewalkの将来性を示している。隣人と帯域幅を少し共有するだけで、例えば、本来であれば自宅ネットワークの外側になる庭のスマート照明などに接続できるようになる。また、自宅のWi-Fiがオフになっている場合でもモーションセンサーのアラートを鳴らすことや、スマートペットファインダーを付けている迷子になった犬を探し出すことができる(これはアマゾンがSidewalkを最初に発表したときに紹介した使用例だ)。

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今回公開されたホワイトペーパーでは、共有帯域幅に制限があることを明確に示したうえで、ユーザーがネットワークへの参加/不参加を選択できるように互換デバイスのシンプルなオン/オフの制御スイッチを用意することが明記されている。デバイスが利用できる帯域幅は最大500MBで、クラウド内のSidewalkサーバーとブリッジの間の帯域幅は80Kbps以下に制限されている。

Sidewalkサービス全体のアーキテクチャは実にシンプルだ。エンドポイント、例えば、接続された庭の照明がブリッジ(アマゾンのドキュメントではゲートウェイと呼ばれている)にパケットを送信する。ゲートウェイは、Bluetooth Low Energy(BLE)、Frequency Shift Keying(FSK)、および900MHz帯域のLoRaを利用して、ネットワークの一方の端にデバイスを接続し、もう一方の端でクラウド上のSidewalkネットワークサーバーにパケットを送信する。

ネットワークサーバー(アマゾンが運用)は着信したパケットが、認証済みのデバイスおよびサービスから送信されたものであることを確認する。サーバーは、アマゾンまたはサードパーティーベンダーが管理するアプリケーションサーバーとやり取りする。

Image Credits: Amazon

この通信はすべて複数回にわたって暗号化されるため、アマゾンでさえ、ネットワークを通過するコマンドやメッセージの内容を知ることはできないという。暗号化は3つのレイヤーで実現される。まず、アプリケーションサーバーとエンドポイントの間の通信を可能にするアプリケーションレイヤー。次に、無線パケットを保護するSidewalkのネットワークレイヤー。そして、ゲートウェイによって追加されるいわゆるFlexレイヤーだ。これは、ネットワークサーバーに「信頼できるメッセージ受信時刻の参照を提供し、パケットの機密性を実現するレイヤーを追加する」ものだという。

さらに、アマゾンが受信するルーティング情報はすべて24時間ごとに削除され、デバイスIDは定期的に更新されてデータが特定の顧客に関連付けられないようになっている。また、一方向のハッシュキーやその他の暗号化技術も使用されている。

アラナ氏によると、開発チームは、広範な侵入テストを終え、強制停止スイッチや高度なセキュリティ機能の追加が完了するまではこのプロジェクトを公開しないことにしたという。またチームは、ネットワーク内にデバイスを安全にプロビジョニングする新しい技術も開発した。

Image Credits: Amazon

同氏はまた、自社製品をSidewalk対応にするチップベンダーも広範なテスト手順にパスする必要があると語った。

「Sidewalkに参加するチップベンダーに求められるセキュリティレベルを見ればわかるが、多くのベンダーは要件を満たしていない。まったく新しいチップにする必要があり、セキュアなブート機能などを組み込む必要があるからだ。このように、IoTが確実に進化しており、きわめて高いレベルに到達しようとしていることを知って、皆驚いている。しかし、まだやるべきことは山積みになっており、これはそのごく一部に過ぎない。我々は最高レベルのセキュリティが必要になることを受け入れ真正面から取り組んでいる。ベンダー側もきわめて積極的に協力してくれている」。

現在アマゾンと協力して開発を進めているチップベンダーは、Silicon Labs(シリコン・ラボラトリーズ)、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)、Semtech(セムテック)、Nordic Semiconductor(ノルディック・セミコンダクタ-)の各社だ。

アマゾンは、Sidewalkをテストするため、赤十字社と協力して、配送センターと献血所の間で血液採取と供給を追跡する概念実証を実施した。

「我々が行っているのはきわめて単純な追跡だ」とアラナ氏はいう。「赤十字社が必要としているのは、輸血用の血液が発送されたか、発送先のビルに到着したかといったことだ。Sidewalkを利用すれば、ロジスティクスが大幅に簡素化され、輸血用血液の配送効率が向上する」。

これは明らかに消費者の使用事例ではないが、Sidewalkの潜在性を示すには十分であり、これによって産業界での使用事例が増えていくことになるだろう。アマゾンは、現時点では、使用事例を増やすことに主眼を置いてはいないが、広帯域を必要としないセンサーやその他の小型エッジデバイスをSidewalkネットワークでIoT接続することにより工場などの通信ネットワークを置き換えることができる使用事例は多数存在するとアラナ氏はいう。同氏はまた、通信接続機能を組み込むとデバイスの製造コストが高くなるという点も指摘する。

アマゾンはEchoデバイスやRingのデバイスを取り込んでSidewalkネットワークの普及を一気に進めようとしている。おそらく近い将来、Sidewalkの話題をよく耳にするようになるだろう。

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カテゴリー:IoT

タグ:アマゾン WiFi

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(翻訳:Dragonfly)

警察当局はAmazonの顧客データをこうやって要求している

あるウェブポータルは、警察がAmazon(アマゾン)の顧客データを要求するために使われているもので、認証されたメールアドレスとパスワードが必要なはずだが、だれでもその一部をアクセスできてしまう。

Amazonの警察向け情報要求ポータルでは、警察および連邦捜査員が、召喚状、捜査令状、裁判所命令などの法的命令書と共に正式に顧客データを要求できる。このポータルはインターネット上で公開されているが、要求するためにはアカウントを登録して、Amazonが警察担当者の身元を「認証」する必要がある。

緊急を要する機密な要求に限り、アカウントがなくても請求できるが、この場合ユーザーは、提出前に自分が承認された警察官であることを「宣言」しなくてはならない。

ポータルでは顧客データを表示したり、警察による過去の請求情報を調べたりすることはできない。しかし、ウェブサイトの一部はログインしなくても見ることが可能で、ダッシュボードや、警察当局が顧客データを請求する「標準」請求フォームを見ることができる。

このポータルは、Amazonが警察当局の要求をどのように扱っているかを垣間見るめったにない機会を提供している。


警察当局はこのフォームを使って、さまざまな種類のデータに基づいて顧客データを請求できる。Amazonの注文番号、Amazon EchoやFireデバイスのシリアルナンバー、クレジットカードの詳細情報、銀行口座番号、ギフトカード、配送および出荷番号、さらには配達ドライバーの社会保障番号も使用できる。

さらに警察は、ドメイン名やIPアドレスを送ってAmazon Web Service(アマゾン・ウェブサービス)アカウントに関連する記録を取得することもできる。

これをバグだと考えた本誌は、本稿を公開する前に、何通かのメールをAmazonに送ったが返信はなかった。

警察の情報請求ためのポータルを用意しているテック企業はAmazonだけではない。Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)を始めとする、世界に数百数千万いや数十億のユーザーをもつテック企業最大手の多くが、警察が顧客やユーザーのデータを要求するためのポータルを作っている。

今月はじめにMotherboard誌が同様の問題を取り上げ、FacebookとWhatsApp(ワッツアップ)の警察ポータルがどんなメールアドレスでもアクセスできてしまうことを報じた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AmazonがEchoをリニューアルして球形に、Echo Show 10は画面が自動スイベル、Alexaも改良

Amazonは今日(9月24日)のハードウェアイベントで、多数のプロダクトを発表した。スマートスピーカーのEchoシリーズも新モデルが登場した。まずデザインが一新された。特徴的な円柱形は廃止され、市場で類を見ない球形になった。ライトは下部に配置されたが、丸いボタンは依然トップにある。

搭載されるAlexaソフトウェアもアップデートされた。 Alexaは音声コマンドが理解できない場合尋ね返し、次回からその内容を利用する。つまりユーザーごとの高度なカスタマイズが可能になった。例えばAlexaに室温を「いつものようにセットして」と命ずると、Alexaは「それはどういう設定ですか?」などと尋ねる。Alexaが「会話モード」を備えたのはブレークスルーだ。今日のデモでは、AmazonはユーザーがAlexaにピザを注文するところ見せた。人間が「あまりお腹が空いていないので小さなピザでいい」と言うと、Alexaはその意味を理解して自動的に注文を代行する。開発チームはこれを「自然な会話分析」と呼んでいる。

Echo Studio、Auto, Linkその他ウェアラブルに関してAmazon は市場に投入される時期を明らかにしていない。

第4世代Echoの価格は99ドル(日本では10,980円)で従来のEchoとEcho Plusの機能が統合されている。中・低音のスピーカーは上部にあり、2個のツィーターが下部にある。 従来のEcoh Plusと同様、ZigBeeハブとSidewalk Bridgeネットワークを介してAmazonのスマートホームデバイスに接続できる。

Echo Dotはさらにボール状に丸くなった。フルサイズのEchoの半分のサイズで価格は49ドル(5,980円)、時計つきバージョンが59ドル(6,890円)となっている。 従来のEchohも引き続き販売される。

従来のEcho Dotと同様、新バージョンでも子供向けのEcho Dot Kidsがサポートされる(日本では未確認)。今回のモデルは動物など楽しい柄がプリントされ価格は59.99ドルだ。Alexeは子供向けに設定されている。

Echo Show 10は249ドル(日本では29,980円)で、10インチの高精細度ディスプレイ、1300万画素のカメラ、2.1スピーカーシステムが搭載される。目玉機能はなんといっても「ディスプレイがユーザーを追いかける」ことだろう。カメラとAmazon独自のCPU周囲を観察して理解し、人物がいる方向にディスプレイを向ける(Facebook Portalに似ている)。現在のバージョンと同様、SkypeやZoomはじめとして多数のビデオコミュニケーションサービスをサポートする。

(Japan編集部追記)Amazonの日本サイトのEchoページで新モデルの価格、機能が詳しく紹介されている。登録しておくと予約開始時にメールで通知を受けられる。

画像:Amazon

Amazon Hardware Event

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滑川海彦@Facebook

アマゾンから新「Fire TV Stick」と低価格「Fire TV Stick Lite」が登場、双方向ビデオ通話やZoom対応も視野に

Amazon(アマゾン)は米国時間9月24日、Fire TV Stickの更新と新価格のFire TV Stick Liteとともに、新たなFire TV体験について発表した。Alexa対応のスマートTVプラットフォームのための更新されたインターフェイスは、サポートビデオ通話やビデオチャットをする方法としてFire TVを使用するための他のオプションを含む新機能が加わる。ビデオ会議システム「Zoom」に対応した機能も搭載する。

Fire TVのソフトウェア体験の全体的なデザインも改善される。更新されたFire TVのデザインには、より素早くお気に入りのコンテンツやアプリにたどり着けるようになる、パーソナライズされたホームページが含まれる。最近導入された、1世帯最大6人のユーザープロファイルもちろんサポート。このプロファイルにより、ユーザーは視聴中の番組を追跡できるほか、自分の興味に合わせたお勧めの番組を見ることができる。

Fire TVのナビゲーションもシンプルになった。画面上部にある長いタブの列をクリックして移動する必要はない。代わりに、ナビゲーションはあなたのプロフィールアイコンの横にあるページの下に移動し、お気に入りのアプリケーションの列と一緒に「ホーム」「検索」「ライブ」「ライブラリ」のタブが表示されるようになる。

一方で画面の上部は、アマゾン自身のコンテンツの大きな広告を表示するために開放された。これは当然のデザイン選択だが、Fire TVがRokuのようにホーム画面広告スペースをサードパーティーに販売したり、新しいサービスやアプリを紹介したりするような中立的なプラットフォームではなくなることを意味する。

Fire TVに搭載されたAlexaハブは、テレビ番組と一緒にスマートカメラを見るためのピクチャーインピクチャーモードなど、Alexaでできることを示すのに役立つだろう。そして、Alexaに質問するときにフルスクリーンを引き継ぐことはなくなった。これはiOS 14のSiriの体験をアップルが最近アップデートしたことを思い出させる微調整だ。

しかしより大きなニュースは同社は、Fire TVについてコミュニケーションデバイスとして構想を持っていることだ。

「Fire TVのようなデバイスを使って家庭でテレビを見る人が増えており、現在では1億台以上が売れた」とAmazonのエンターテインメントデバイスおよびサービス担当バイスプレジデントであるMarc Whitten(マーク・ウィッテン)氏は述べている。「利用者は毎月何十億時間ものエンターテイメントコンテンツを観ています。また、これまでにない新しい用途にも使用しています」と同氏は付け加えた。

「Fire TVのようなデバイスを使って家庭でテレビを見る人が増えており、今日では1億台以上が売れた。」とAmazonのエンターテインメントデバイスおよびサービス担当バイスプレジデントであるMarc Whitten氏は述べた。「彼らは毎月何十億時間ものエンターテイメントを見ている。また、これまでにない新しい用途にも使用しています」と同氏は付け加えた。

アマゾンはFire TVにビデオ通話機能を導入した。この新機能により、自宅のテレビ画面などにビデオ通話を表示できるようになる。当初は、Logitech(日本法人はロジクール)のUSBウェブカメラをFire TV Cubeに接続して、Alexaを使った双方向ビデオ通話が可能になる。その後、Zoomのサポートを追加するが、発売日については明らかにしなかった。

現時点では言及されていないが、同社が将来的にウェブカメラ内蔵の新しいFire TVセットを発表する可能性が高いのは明らか。しかし、なぜ本日の大きなイベントでローンチする準備ができていなかったのかは不明だ。

なお、Fire TVのハードウェアに関しては、本日の発表はFire TV Stickに限られていた。同社によると、Fire TV Stickはアマゾンのベストセラー製品の1つであり、Amazon.com全体で初めて視聴率が25万人を超えたという。今ではどの商品よりも5つ星の評価が高い。

アップデートされたFire TV Stickは、従来日50%強力なプロセッサーにアップデートされ、HDR互換とフルHDストリーミングのDolby Atmosサポートをサポートしている。しかし、消費電力は前モデルより50%少ないと同社は述べている。Alexaリモコンには、専用の音量ボタン、電源ボタン、消音ボタンが備わっており、テレビ、サウンドバー、AV機器を制御できる。同デバイスは年内に39.99ドル(約4200円)で発売される予定だ。

アマゾンはまた、より手ごろな価格の「Fire TV Stick Lite」 も発表した。これらのバージョンはそれほど強力ではないが、HDRによるフルHDストリーミングをサポートしており、Alexa Voice Remote Liteが付属している。Fire TV Stick Liteは今月中に29.99ドル(約3200円)で発売される。

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画像クレジット:Amazon

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(翻訳:TechCrunch Japan)

NetflixがついにAmazon Echo Showで視聴可能に

Amazon(アマゾン)は2017年にスマートスクリーンとしてEcho Showのプロダクトラインを発表した。そして米国時間2020年9月24日、ついにNetflixへのアクセスを獲得した。このビデオサービスは、公式にサポートされているビデオストリーミングアプリとして、HuluとAmazon Primeビデオに加わる。

このニュースは、アマゾンが毎年開催しているEchoイベントで、同社が再設計されたスピーカーやアップデートされたAlexa機能を含む一連の新製品やサービスを発表したことに由来している。

アマゾンの幹部は「Echo Showの所有者が小さな画面でコンテンツを見るのが好きだというデータがあることを示している」と話した。Netflixはそのユーザー層を幸せにするはずだ。発表されたばかりのEcho Show 10で、Netflix、Hulu、Primeビデオを視聴すると、ユニットは電動スタンドで回転し、部屋の中を動き回って視聴者に追従する。

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画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アマゾンがEcho Dotを球体に再設計、キッズ版に動物のデザインと読書機能を追加

Amazon(アマゾン)は米国時間9月24日、同社のベストセラースマートスピーカー「Echo Dot」のリデザインを発表した。Echo Dot、時計付きEcho Dot、および新しいEcho Dot Kids Editionに新しい球形のデザインを採用したのだ。キッズエディションは、カラフルな動物のキャラクターデザインが施されている。球体デザインの新Echoシリーズは、従来の棚の上に隠せる平らなホッケーパック型のではない。更新されたドットのデザインも備わっており、ユーザーが部屋のどこに置くかをもっと考えなければならなくなるだろう。

Echo Dot、時計付きEcho Dotには、チャコール、グレイシャーホワイト、トワイライトブルーの3色が用意される。キッズエディションには、トラとパンダのデザインが追加され、部屋の装飾品のように扱えるだろう。

それぞれのデバイスには1.6インチの前面発射型スピーカーを搭載しており、同社によると「鮮明なボーカルとバランスのとれた低音でフルサウンドを実現する」とのこと。

なお、新しいEcho Dotが提供する実際の機能は従来モデルとあまり変わっていない。Alexaスマートアシスタント、音楽、スキル、ニュース、リマインダー、リスト、アラームなどを利用可能だ。

一方、キッズエディションデバイスには子供に対する優しい応答が可能で、ディズニー、Nickelodeon(ニコロデオン)、ナショナルジオグラフィックなどのブランドの、何千冊ものAudible(オーディブル)本を聞くことができる。なおNickelodeonは、ViacomCBS Domestic Media Networksが展開する、「スポンジ・ボブ」や「ザ・ペンギンズ from マダガスカル」などのキッズ&ファミリー向けエンターテイメントブランドだ。

もう1つのAlexaの新機能であるReading Sidekick(リーディング・サイドキック)は、子供の読書を補完するように設計されており、言葉の流暢さを身につけるのに役立ちます。

この機能を利用すると、Alexaはサポートされている本を子供と交代で読み上げ、子供の読書の質に耳を傾ける。アマゾンによると「子供がよく読んでいるときには励ましを与え、苦戦しているときにはサポートを提供する」そうだ。サービス開始時点でReading Sidekickは数百冊の児童書と連携し、Amazon Kids+ファミリー向けに数カ月後にプレビュー版が提供される。

親に対応するためのもう1つの動きとして同社は、Amazon KidsのペアレンタルコントロールがEcho Dot Kids Editionだけでなく、家中で使えるように拡張されることも明らかにした。さらに、親は子供のためにAlexaの音声プロファイルを作成できるようになる。

これを有効にすると、家庭内のあらゆるデバイスで子供の声を認識するとAlexaはKids Alexaエクスペリエンスに移行し、子供に優しい応答、ゲーム、スキル、音楽などを提供する。Amazon Kids+に加入している家族は、そのカタログの一部として子供が好きなプレミアムスキルやAudibleの本をすべて利用できるようになる。

子供向けのAlexaボイスプロファイルのプレビューは、Amazon KidsとAmazon Kids+の家族向けに今後数カ月間で展開される予定だ。

各製品は本日から予約販売が始まる。Echo Dot Kids Editionは59.99ドル(約6300円)、Echo Dotは49.99ドル(約5300円)で、いずれも今年後半に出荷される見込みだ。時計オプション付きのEcho Dotは59.99ドル(約6300円)となる。

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画像クレジット:Amazon

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Amazon Alexaが会話上手に、複数ユーザーとの同時会話や質問のパーソナライズを実現

毎年恒例のハードウェアイベントで、Amazon(アマゾン)は米国時間9月24日、同社のAlexa(アレクサ)のパーソナル音声シスタントの新機能を発表した。これにより、Alexaはよりパーソナライズされた質問をすることができるようになり、そのデータを使用してユーザーと対話することが可能になる。

さらに、Alexaが会話に参加できるようになり、「ヘイ、アレクサ」(Hey, Alexa)と常に言う必要のないモードを搭載された。これにより複数のユーザーがAlexaと対話でき、適切なときにシステムがチャイムを鳴らしてくれるようになる。

アマゾンの副社長兼ヘッドサイエンティストのRohit Prasad(ロヒット・プラサド)氏は「質問をして応答をパーソナライズするシステムは、ディープラーニングベースのアプローチを採用しており、Alexaは顧客から学習したことに基づいて新しい概念や行動を獲得することができるようになっています。学習したものは何でもパーソナライズされ、この個人の顧客にのみ適用されます」と説明する。

例えば、温度を「お気に入りの設定」(Favorite Setting)に設定してほしいとAlexaに頼むと、Alexaはその設定が何であるかを尋ねるようになる。

さらにAlexaは、文脈に応じて話し方を変えらるようになった。これは、Alexaに自然な音声を生成する方法をよりよく理解するチームの研究が役立っている。今回示された例では、音楽を再生するように頼んだときに、Alexaが通常のやや単調な声と比較して少しだけ声に力が入っていた。

しかし、本当のブレークスルーは会話モードだろう。これを有効にするには「浅草、 私たちの会話に参加してください」(Alexa, join our conversation.)と話しかける必要がある。今回のデモで同社は、例えばピザを注文するときにAlexaがどのように動作するかを示した。演者の一人が、彼女はそれほどお腹が空いていなくて「小さめのピザが食べたい」と言った。すると、Alexaが自動的に彼女のためにその注文を変更してくれた。チームはこれを「自然な話者交替」と呼んでいる。

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画像クレジット:Amazon

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(翻訳:TechCrunch Japan)

丸くなった新Amazon Echoが登場、アマゾンのホームネットワーキングシステムの新ハブに

米国時間9月24日、Amazon(アマゾン)はシアトルで開催したバーチャルハードウェアイベントを、最新の丸いEcho(エコー)の紹介から始めた。

最も大きい変更は外見のようだ。スマートスピーカーは大きくて布張りのボールのようになった。これは音という面からは素晴らしい改善で、全方向からより豊かなサウンドを送り出す優れた仕事をしてくれる。丸形の形状はアマゾンがスピーカー製品全般に展開しているデザインで、似たような形状のDotでもそれは同じだ。

同社によれば、この新しいスマートスピーカーは、置かれた部屋のサイズとレイアウト合わせて自動調整するという。また近距離無線通信規格のZigbee(ジグビー)とBluetooth Low Energy(BLE)を内蔵することでスマートホームハブとして機能し、基本的にEcho Plusの必要性をなくしてしまう。さらに、Amazon Sidewalk(Amazonが提唱する低電力中距離の通信規格)も組み込まれた。このことによって、スピーカーはアマゾンの新しいホームネットワーキングシステムを使うことができる。

デバイスが動作していることを知らせる青色のライトリングは、デバイスの下部に移動したが、これはスピーカー全体のデザインを損なわないための現実的な選択のように思える。当初新しいスピーカーには、チャコール、グレイシャー・ホワイト、トワイライト・ブルーの3色が用意される。その淡い色合いは、Google(グーグル)のNest、Homeが提供するものと似通っている。価格は99.99ドル(約1万500円)だ。

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画像クレジット:Amazon

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(翻訳:sako)

アマゾンの新しいEcho Show 10は利用者の動きをカメラで追跡する

これはクレイジーだ。Amazon(アマゾン)の新しいスマートスクリーンであるEcho Show 10は、土台上で回転して部屋の周りをフォローしてくれる。内蔵カメラは、人を認識・フォローするために周りに回転することがだ。本質的にFacebookのPortalとGoogleのNest Hub Maxに見られる人の追跡機能のもっと不気味に進化させたものだ。

同社はプライバシーの観点から、このデバイスは人を個別に識別するものではなく、人の一般的な形状を認識して常にディスプレイを利用者に向けておく目的だと強調している。ただし、室内に複数がいた場合にどのように動作するかはわからないが、実際にどうなるか楽しみでもある。一方で率直に言って、これが最終的にどの程度有用な機能なのか、そしてそれ以上のレベルの追跡を行う価値があるのかどうか疑問に思っている。

Echo Show 10はその名前が示すように、10インチのHDタッチディスプレイを搭載し、1300万画素のカメラと2.1chのオーディオシステムを内蔵する。新しいEchoと同様にZigbee(ジグビー、近距離無線通信規格)を内蔵しているので、デバイスはまた、スマートホームのハブとして機能する。

同社はここ数カ月、このプロダクトラインにサードパーティーのソフトウェア機能を追加してきており、そのリストには、Zoom、Skype、そしてもちろんNetflixも含まれている。これらはすべて在宅勤務時代の大きな勝利だが、Google(グーグル)がYouTubeのサポートをEchoから外したことでNetflixは特に大きな打撃を受けた。

Echo Show 10の価格は250ドル(約2万6400円)で、スマートスクリーンとしてはかなり高価だ。私が思うに、あなたがここで支払っているものの多くは、あなたが移動するときにあなたを追跡するための高価なメカニズムだ。多くの人にとって、その機能はおそらくプレミアムな価値がないだろう。

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画像クレジット:Amazon

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アマゾンがゲームストリーミングプラットフォーム「Luna」を発表

米国時間9月24日、Amazon(アマゾン)はそのデバイスとサービスのイベントで、Google Stadia(グーグル・スタディア)やMicrosoft xCloud(マイクロソフト・エックスクラウド)に対抗する独自のクラウドゲーミングを発表した。その名も「Luna」(ルナ)だ。

同社は、月額5.99ドルの導入価格でアーリーアクセスを開始した。ユーザーはゲームをダウンロードすることなく、ワイヤレスでタイトルをストリーミング配信することができ、Windows、macOS、iOS(ウェブ経由)でプレイできるようになる。米国内のユーザーは、本日より早期アクセスをリクエストすることができる。

同社によると、少なくとも1つのソニックタイトルとRemedy Entertainmentの「Control」を含む50種類以上のゲームをLuna+アプリに収録してローンチする予定だという。Ubisoft(ユービーアイソフト)とも提携する予定だが、これらのタイトルにアクセスするにはユーザーが別途オプションに加入する必要があるようだ。サービス全体はAWSによって運営され、同社によるとユーザーは最大4K 60fpsのパフォーマンスでタイトルを楽しめるようになるという。

このプラットフォームの大きなセールスポイントの1つはTwitchとの統合だ。Lunaのシステムによって、ゲーマーはお気に入りのストリーマーがプレイしているのを見たばかりのタイトルに、すぐに飛び込めるようになるだろう。一方で、Lunaに存在する限られたサブセクションのタイトルをプレイするようにストリーマーを説得することに大きく依存することになる。グーグルはStadiaとYouTubeのゲームで多くの同じピッチを作った。しかし、その夢は完全にまだ実現されていない.

多くの Google Stadiaユーザーのようにアマゾンはまた、サービスに直接接続してレイテンシーを減らすためにカスタムコント ローラーを販売する予定だ。Alexa対応のLunaコントローラは、早期アクセス期間中に49.99ドルで販売される。

この参入により、今ではグーグル、マイクロソフト、アマゾンがそれぞれ新しいゲームプラットフォームを普及させるために競い合っている。開発者との既存の関係やマイクロソフトが所有するゲームスタジオのネットワークを考えると、同社が大きなアドバンテージを持っていることは明らかだが、プラットフォームの早期アクセス期間中にアマゾンが何を作り上げることができるかを期待したいところだ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)