StepZenが無料のGraphQLツールでAPIマネジメントのビジョンを具体化

StepZen(ステップゼン)は、2020年末に800万ドル(約9億2000万円)のシードラウンドを行うと同時に、APIを統一するというビジョンを掲げて表舞台に登場した。そして米国時間11月23日、同社がAPI管理を簡素化するための2つの新しい無料GraphQL(グラフQL)ツールを発表し、そのビジョンがより明確となった。

StepZenのCEOで共同創業者のAnant Jhingran(アナント・ジングラン)氏は、このグラフを「アプリケーションがバックエンドと通信する方法に対して起こっている根本的な変革」の一部だと捉えている。企業が、ソフトウェアを構築したりシステムを接続したりするために、ますます多くのAPIを使用するようになったため、StepZenは、グラフをAPI管理の中心に据えて、API間のさまざまな接続関係や依存関係をすべて扱いたいと思っている。

複数のアプリケーションを横断して、相互につながっているものに関するすべての情報をまとめていくのは、本質的に複雑な作業だ。例えば顧客に関するすべての情報をまとめたいと考える企業があるとしよう、だがその情報は複数のシステムに分散している。顧客情報、インタラクションデータ、過去の注文の間のつながりをどのように見ているだろうか。そうした情報の1つはCRMから、1つはマーケティングやカスタマーサービスツールから、1つは受注管理システムから上がってくる。

StepZenが目指しているのは、そうしたつながりを作る作業をシンプルにすることなのだ。「根本的なことは、個々の要素があったとしても、必要とされているのはそれらの点と点をつなぐユースケースなのです。なぜならそここそビジネスの真の力が横たわっている場所なのです」とジングラン氏は説明する。

その一環として、同社は本日、2つの無料ツールを公開した。1つ目のGraphQL Studio(グラフQLスタジオ)は、社内のプライベートなものからパブリックなSaaSまで、企業が使用するさまざまなAPIの接続を示すマップやフローを作成するのに役立つ。

ジングラン氏は「開発者は、プライベートなAPIしか扱わないというわけではありませんし、SaaSのAPIだけしか扱わないというわけでもありません。私たちは両方からのアプローチを可能にしたいと考えています。GraphQL Studioは、『ここに未完成のAPIがあります』と示すところからスタートし、お客様が自由に選択して、独自のシークレットソースを加えることができるようにしたいのです」という。

2つ目はGraphQL Federation(グラフQLフェデレーション)だ。これは、組織内のさまざまなグラフを、1つのグラフのグラフに統合し、さまざまなピースがどのように組み合わされているかを企業が確認できるようにするツールだ。このような小さなグラフを連携させることは、StepZenがこのツールで解決したいと考えている、真の課題だった。

彼は続けて「基本的に、複数のチームで構成されたチームには統一されたグラフが存在していません、そのため、アプリケーションがデータをどのように消費するかを考えるときには、複数のグラフを接続して統一されたグラフを作らなけれなならないのです。そして、それを実現するのがGraphQL Federationです」と語った。

彼は、同社は開発者がさまざまなAPI間の接続を構築するための出発点として、両ツールを無料で提供するのだという、そしてより複雑なユースケースに移行したくなった際には、StepZenと契約できるのだ。

「ツールを使い始めると、中には『ちょっと修正したい』『自社のプライベートデータを追加したい』というケースも出てくるでしょう。そのタイミングでStepZenに登録していただきたいのですが、たとえ登録しなくてもこのツールを使って成功していただきたいのです」。

画像クレジット:Orbon Alija/Getty Images

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(文: Ron Miller、翻訳:sako)

Snapchatのフィルター、Lightroomの編集機能、Photoshopの柔軟性などを持つパワフルな写真編集ツール「Facet」

ひと言で言えば、Facet(ファセット)は、APIを使ってアクセスできるAI搭載の写真編集ツールを開発した。これにより、Snapchatの写真フィルター、Adobe Lightroomの編集機能、Photoshopの柔軟性、Figmaなどのコラボレーション力を合わせたような、非常にパワフルな写真編集ができるようになる。しかも、このツールは、これまでの写真編集の分野では目にしたことがないことができる。Facetは、Accel(アクセル)、Basis Set Ventures(ベイシスセットヴェンチャーズ)、Slow Ventures(スロウヴェンチャーズ)、South Park Commons(サウスパークコモンズ)の参加とともに、Two Sigma Ventures(ツーシグマヴェンチャーズ)から1300万ドル(約14億8900万円)を調達した。

私はかつてプロの写真家だったこともあり、写真に関する本を20冊ほど書いているので、私は写真に大きな興味を持っている。Facetから写真編集の分野で何か新しいものを提供すると連絡があったときは、かなり興奮したが、その後「非常に困惑した」。創業者や投資家と1時間ほど話をしても、このツールが何なのか、誰のためのものなのか、はっきりと理解できなかった。

しかし、実際にこのツールを使ってみると、すべてが明らかになった。オークランドで開催されたダンスイベントLindy by the Lake(リンディバイザレイク)で撮影したダンス写真をギャラリーにアップロードして、Facetに任せてみた。ウェブベースのエディターは、学習曲線が非常に急で、いわば学習の壁のようなものがあるが、Photoshopでは不可能ではないにしても、難しい編集をすぐに行うことができた。

私が作成したフィルターの1つは「背景を検出し、ぼかして脱色する」というものだ。画像の前景 / 背景の検出は完璧ではなかったが、うまくいった写真については、写真編集ソフトで個々の画像を開いて編集することなく、非常にすばやく写真をポップにすることができた。

左側の画像は、Facetによって背景が自動的に脱色され、ぼかされたもの。右がオリジナルの画像。結果は完璧ではないが、Facetは数分で200枚の写真にこのような処理を行うことができた。これはAI画像編集の驚くべき成果だ。Photos by Haje Kamps, editing by Facet’s AI.

Facetは、膨大な量の写真を用意してプレゼンテーションを行うような商用レベルの画像編集に特化していますが、Photoshopと同様に、画像制作者の創造性次第で何十通りもの使い方が可能だ。

「人々が画像を編集し、その変更を重ねていくとき、私たちはすべての編集を分析し、より大きなコンテンツライブラリに転送する方法を考え、自動的にプリセットを作成します。これは、キャンペーン全体でブランドの一貫性を維持し、すべての製品や写真に一貫性を持たせるために非常に有効です」、FacetのCEO兼共同設立者であるJoe Reisinger(ジョー・ライジンガー)氏は述べている。「例えば、Spotifyのような場合です。アルバムカバーで有名なデュオトーン効果を見たことがあると思います。私たちはそれを作成し、APIエンドポイントで再利用可能な画像編集パイプラインを提供することで、何千枚もの写真を非常に迅速に処理することができます」。

同社の選択・フィルタリングツールは強力で、無限の拡張性を持っている。趣味の写真家が使用できるコンシューマーグレードのプラットフォームを持っているが、同社が本当に輝くのは、クリエイティブなソフトウェア開発者がこのツールを使用してAPIを利用するときだ。

ライジンガー氏は「印刷中心の古いソフトウェアをインターネット時代に適応させようとするのではなく、コンテンツを意識した画像編集プラットフォームで、クリエイターが必要とするツールを一から構築しています」と語っている。

Facetのインターフェースの一例。このスクリーンショットでは、脱色と背景のぼかしをツールに依頼した。うまくいったときは信じられないほどすばらしく、Lightroomに何年も前からできるようになって欲しいと思っていたことだ。うまくいかないとき(中央2枚の写真のように、女性の足だけに色がついていたり、ダンサーの顔を前景として検出できなかったりしたとき)は、少し残念だ。とはいえ、Photoshopのレイヤーファイルとして画像をダウンロードすることができるので、それを整えるのは簡単だし、編集の時間も大幅に短縮されるだろう。the Facet toolのスクリーンショット。

「Facetで気に入っている点は、非同期のコラボレーションが可能なことです。写真のスタイルを定義しておけば、デザイナーはそれぞれの写真を手動で編集しなくても、たくさんの写真に同じスタイルを使うことができます。写真の見た目と感じをプログラムでエンコードし、それを画像間でコピーすることができます」今回のFacetの主な投資家であるTwo Sigma VenturesのパートナーであるDan Abelon(ダン・アベロン)氏は語った。「誰かのスタイルが気に入れば、それを自分の画像に適用することで、リアルタイムなコラボレーションの世界が広がります」。

「これは単に金儲けのためだけではありません。Facetは、クリエイティブなコミュニティやウェブの世界に大きな影響を与えようとしています。ウェブ全体に影響を与えたいという気持ちが伝わってきて、私たちもその点にとても惹かれました」とアベロン氏は語っています。

同社は、シリーズAの次のステップとして、チームの拡大、牽引力の強化、市場参入戦略の構築など、最近拡大した資金を活用していく予定だ。Facetでは、無料トライアルにサインアップして試用することができ、有料プランは、プロフェッショナルユーザーが月額24ドル(約2700円)、APIを必要とするハイエンドチームユーザーが月額50ドル(約5700円)からとなっている。

画像クレジット:Gabriella Achadinha under a CC BY 4.0 license.

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Yuta Kaminishi)

フェイスブックの新たな学術研究用APIがアーリーアクセスで公開

今週から、ひと握りの学術研究チームが、世界最大のソーシャルネットワーク上のほぼすべてのデータをリアルタイムに集約するために設計された、Facebook(フェイスブック)の新しいツールにアクセスできるようになった。

誰がどのようにFacebookのデータにアクセスできるのかということに関しては、現在Meta(メタ)となったFacebookは、2018年に起きたケンブリッジ・アナリティカ(CA)のスキャンダルの余波をいまだに受けている。このスキャンダルでは、政治コンサルティング会社であるCAが何百万人もの無自覚なFacebookユーザーの個人データを入手し、有権者に関する詳細なプロファイルを構築した。Facebookはその後の3年間、何千ものAPIを停止していたが、ようやく学術研究のための幅広いアクセスを再開し始めたところだ。

TechCrunchは、このFacebookの新しい学術研究用APIをプレビューし、さらにFacebook Open Research & Transparency(FORT)チームでこのプロジェクトを率いたFacebookプロダクトマネージャーのKiran Jagadeesh(キラン・ジャガディーシュ)氏に話を聞いた。

関連記事:フェイスブックがSNSを研究する学術コミュニティ向けに「Researcher API」リリース予定

ジャガディーシュ氏はTechCrunchに「これは始まりに過ぎません」と語り、このResearcher API(リサーチャーAPI)は同社が最終的に提供したいツールキットのベータ版であると説明した。2021年のF8で初めて発表されたこのAPIは、Python(パイソン)ベースで、オープンソースのノートブックインターフェースであるJupyterLab(ジュピターラボ)上で動作する。

Facebookが遭遇した過去の多くのプライバシー問題が考慮されて、新しいResearcher APIには最初にいくつかの注意が払われている。まずこのAPIは、少数の身元の確かな学術研究者にのみ、招待制で提供される。2022年2月には、最初のテストグループ以外にもアクセスを拡大することが計画されている。そこではトライアルで得られたフィードバックをもとに、すべての学識経験者に広く提供が行われる予定だ。

もう1つの注意点は、このResearcher APIが、ジャガディーシュ氏が「デジタル・クリーンルーム」と表現する、厳しくコントロールされた環境で動作するということだ。APIにアクセスできる学術研究者は、FacebookのVPNを介して環境に入り、データを収集して数値計算を行うことができるが、生データではなく分析結果のみがエクスポートできる。

これは、ユーザーのプライバシーを保護し、分析されたデータからユーザーが再識別されることを防ぐためのものだが、Researcher APIが収集する公開データはすでに出回っているものなのに、Facebookの既存ツールでは集約して分析するのが難しいという制限は、同社の批判者の一部を刺激するかもしれない。

このAPIでは、ページ、グループ、イベント、投稿の4種類のリアルタイムFacebookデータにアクセスできる。いずれの場合も、このツールは公開データのみを利用し、当初は米国およびEU内のソースからのみの抽出を行う。グループとページについては、APIでデータを利用するためには、少なくとも1人の管理者がサポート対象国にいる必要がある。

このツールを使うことで、研究者は大量の生のテキストを感情分析のような手法を使って分析することができる。なお感情分析とは、人があるテーマについて話すときに、その人が表現している価値や感情を追跡するものだ。研究者は、データの大半を占めるテキストベースの投稿に加えて、グループやページの説明、作成日、投稿へのリアクションなどの関連情報にもアクセスすることができる。

ただし生の画像のようなマルチメディアデータや、コメント、ユーザーの属性データ(年齢、性別など)は含まれない。また、このAPIはInstagramからデータを収集することもないが、ジャガディーシュ氏は、研究者にとってInstagramは非常に価値のあるプラットフォームであることを認識していて、彼のチームはInstagramのデータを利用できるようにする方法を模索している最中だ。

FORTチームは、学術研究者と密接に協力して、ジャガディーシュ氏が「現在進行形」と表現する現在のツールを開発・構築していきたいと考えている。Metaは、最初のアカデミックパートナーはまだ決まっていないとしながらも、開始にあたって世界の23の学術機関から研究者を招待している。

チームのオンボーディングプロセスを完了し、プライバシーポリシーに同意した研究者には、米国時間11月15日(月)にアクセスが許可された。Facebookは、研究内容にアクセスする人に対して、データ内の特定の個人を再識別しないことなどを含む、プライバシーに関する制約に同意することを求めている。

現在、この研究用APIはひと握りの学術機関のみに提供されているが、FORTチームはジャーナリストを含む他のグループへのアクセス許可を検討する予定だ。その目的は、研究者やジャーナリストたちに、チームが何を目指しているのかを透明性をもって示す、公開ロードマップを作ることだ。

同社は、研究コミュニティでの信頼を築くために多くの努力を払わなければならない。8月にFacebookは、ニューヨーク大学のCybersecurity for Democracy(民主主義のためのサイバーセキュリティ)プロジェクトに所属する、著名な研究者2名の広告データへのアクセスを遮断し、多くの学者や規制当局の非難を誘発した。この研究者たちは、Ad Observer(アド・オブザーバー)と呼ばれるオプトイン方式のブラウザツールを使って、誤報や政治広告の追跡に焦点を当てていた。9月になってFacebookは、Social Science One(ソーシャル・サイエンス・ワン)と呼ばれるエリート研究者グループに対し、不完全なデータを提供したことを謝罪したが、これは数カ月にわたる作業と分析を台無しにするミスだった。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

アンドパッドが建設業界のデジタル化を推進する「ANDPADアプリマーケット」公開、ANDPAD APIも提供開始

アンドパッドが建設業界のデジタル化を推進する建設DXプラットフォーム「ANDPADアプリマーケット」公開、ANDPAD APIも提供クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を提供するアンドパッドは11月8日、建設業界のデジタル化を推進する建設DXプラットフォーム「ANDPADアプリマーケット」の公開を発表した。APIを活用した連携サービスを強化し、その第1弾となる外部サービス・パートナー12社もあわせて明らかにした。

ANDPADは、現場の効率化から経営改善までを一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービス。国土交通省のNETIS (新技術情報提供システム) にも登録されており、2016年のサービスリリース以来13万社・33万人以上の建設・建築関係者に利用されている。

ANDPADアプリマーケットは、業務のデジタル化で効率化を図りたい建設会社と、DXに貢献するITサービスを提供する開発者をつなぐ建設DXプラットフォーム。部門によって異なるITサービスを導入することの多い建設業界において、ANDPADアプリマーケットを通じたデータ連携により業務効率化の推進を図る。ANDPADアプリマーケットとの連携サービスの第1弾として、顧客管理や経理・会計、遠隔臨場など、それぞれの課題に応じた12種類のサービスが提供される。今回発表されたANDPADアプリマーケットの連携サービス・パートナーは下記の通り。

連携パートナー・アプリ一覧(50音順)

  • 安心計画:見積システム「カンタン見積計画」
  • オービックビジネスコンサルタント:クラウド会計システム「勘定奉行クラウド」
  • コンピュータシステム研究所:住宅営業支援システム「ALTA Revolution」
  • シンカ:顧客接点クラウド「カイクラ」
  • セーフィー:クラウド録画サービス「Safie」(セーフィー)
  • セールスフォース・ドットコム:顧客管理ソリューション「Salesforce」
  • NEXT STAGE:現場施工品質監査システム「GenKan-NS」
  • freee:クラウド会計ソフト「freee会計」(今後連携予定)
  • 弁護士ドットコム:ウェブ完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」
  • ホームプロ:リフォーム会社紹介サイト「ホームプロ」
  • Box Japan:コンテンツクラウド「Box」
  • マネーフォワード:クラウド型会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」

また、ANDPADアプリマーケットの公開に合わせ、ANDPAD APIの提供も開始(開発者向けページ)。ANDPAD APIを通じてANDPADとサービス連携することで、より簡単なサービス提供を可能にする。アンドパッドは、今後は公開するAPIを拡げるとともに、より開発しやすい環境の整備を推進し、ANDPADアプリマーケットを通じて建設業界向けITサービスのエコシステムの形成を目指す。さらに価値のあるプラットフォームとなるよう開発を進め、業務効率化やコスト削減など、建設業界が抱える課題解決の実現に寄与したいという。アンドパッドが建設業界のデジタル化を推進する建設DXプラットフォーム「ANDPADアプリマーケット」公開、ANDPAD APIも提供

ツイートの投稿や削除、スーパーフォローなどに対応するAPIをツイッターが公開

Twitter(ツイッター)は再構築した上で2020年中盤に公開したAPIを着実にアップデートしている。最近では開発者向けプラットフォームにTwitterスペースのサポートを追加した。米国時間11月3日、同社はボットの構築に役立つように、ツイート、ツイートの削除、投票の投稿、返信設定の利用、画像内の人物のタグ付けができる新たなエンドポイントを公開すると発表した。新たにスーパーフォロー機能にも対応し、開発者はクリエイターを支援するソリューションを構築できるという。


スパムを投稿するボットは困るが、Twitterは役に立つボットもあると明言している。例えば、同社は2021年9月にTwitter上で「良いボット」を識別できる新しいラベルを導入した。

このラベル導入の際に同社は「良いbot」の例を挙げた。公共サービスアカウントの@earthquakesSF、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新情報を提供する@vax_progress、議会に提出された最近の100本の法案について進行状況を知らせるボットの@last100bills、アクセシビリティをテーマにしたボットの@AltTxtReminder、そしてメトロポリタン美術館のドローイングとプリントの部門からパブリックドメインの作品を紹介する@met_drawingsや、おかしな新作絵文字を紹介する@EmojiMashupBotなどだ。

今回の発表でTwitterは再び@vaxprogressのボットを取り上げ、その開発者であるBrian Moore(ブライアン・ムーア)氏に言及した。ムーア氏は@NYTIMESALLCAPS@chernobylstatusのボットも手がけており、同氏は新しいTwitter API v2をいち早く取り入れると述べている。

投票や画像のタグ付けを使うとインタラクティブなツイートになるが、新機能である「ツイートを管理」エンドポイントはもっと基本的な機能で、認証済みアカウントのツイートの投稿と削除に対応する。おそらく、ユーザーに代わって古いツイートを削除したり、前述のボットのように自動で最新情報を投稿したりするソリューションを構築できるようになるだろう。

開発者がツイートの投稿や操作をする機能に加えて、Twitterはクリエイター向けプラットフォームであるスーパーフォローに対応する新しいAPIも公開する。

2021年9月に正式に公開されたスーパーフォローは、ユーザーがTwitter上で申込者限定のツイートやニュースレターといった限定コンテンツのサブスクリプションを契約して、お気に入りのクリエイターを支援する機能だ。クリエイターがスーパーフォローのメンバーシッププログラムをどう設定しているかに応じて、申込者は専用コミュニティ、サービスや販売、割引などのメンバーシップ特典を利用したり、サポーターバッジを受け取ったりすることもできる。

APIが変更されてスーパーフォローのフォロワーにAPI経由でツイートを共有できるようになり、開発者はクリエイターがTwitterのファンベースから収益化するのに役立つソリューションを構築できる。現時点ではまだスーパーフォローは一部のクリエイターに制限されていて、申込者はそれほど多くない。しかしTwitterは今後を見据え、クリエイター向けの他社製アプリがTwitterを含む幅広いプラットフォームにコンテンツを共有するニーズについて検討している。

今回のアップデートにより、開発者は会話のコントロール、投票、スーパーフォローなどTwitterネイティブの機能を直接活用するプラットフォームを構築できるようになる。こうしたことの大半は、これまではできなかった。また、他社製のTwitterクライアントもさらに便利になるだろう。

Twitterは、コミュニティからのフィードバックをもとに優先的に新しいAPIをリリースして今回の新機能を追加したと述べ、今後の開発計画のために引き続きフィードバックを寄せて欲しいとしている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

WhatsAppがビジネスAPIをクラウド化して導入を促進

WhatsApp(ワッツアップ)は米国時間11月1日より、新しいクラウドベースのWhatsApp Business API(ワッツアップビジネスAPI)のベータテストを開始する。同APIは親会社Facebook(フェイスブック)のインフラを利用する。クラウドへの移行に伴い、APIとの統合のためのセットアップ時間がこれまでの数週間からわずか数分に短縮されるため、企業はより迅速にWhatsAppのAPIプラットフォームに移行し、メッセージの受信をオプトインした顧客とのコミュニケーションを図ることができるという。

同社はここ数年、ビジネスAPIの開発を着実に進めてきた。これは無料のメッセージングアプリであるWhatsAppが、サービスから収益を得るための重要な手段の1つとするためだ。現在、企業はメッセージごとにWhatsAppに料金を支払っていて、その料金はメッセージの送信数や地域に応じて異なっている。現在は、Vodafone、Coppel、Sears Mexico、BMW、KLM Royal Dutch Airlines、Iberia Airlines、Itau Brazil、iFood、Bank Mandiriなどを含む何万もの大企業が、既存の(非クラウドベースの)APIを採用している。

この旧バージョンのAPIは今後もサポートされ、現時点では新しいクラウドベースのバージョンへの移行を強制する計画はない。

一般的にWhatsApp Business APIを利用する企業は、Zendesk(ゼンデスク)やTwilio(トゥイリオ)などのAPIを顧客のバックエンドシステムに統合する作業をサポートするソリューションプロバイダーと連携する。このようなケースでは、WhatsAppは企業のカスタマーコミュニケーション戦略の一部に過ぎないことが多い。また顧客とのコミュニケーションを、SMSやその他のメッセージングアプリ、電子メールなど、他のチャネルに誘導することもある。しかし、こうしたAPI統合作業は、これまでは数週間、場合によっては1カ月もの時間を要していた。

COVID以前から始まっていたオンラインショッピングへの移行が、パンデミックの影響で加速していることもあり、多くの企業は新しいシステムの立ち上げにそれほど時間をかけたくないと考えている。

新しいクラウドベースのAPIは、技術的な統合プロセスをより簡単に、そしてより迅速に行うことで、統合問題を解決することを目的としている。

新しいAPIのベータテストには、米国のZendesk、ブラジルのTake(テイク)、EUのMessageBird(メッセージバード)など、WhatsAppの既存のソリューションプロバイダーパートナー数十社が参加する予定だ。

ZendeskのMike Gozzo(マイク・ゴゾ)製品担当副社長は声明の中で「クラウドAPIは、私たちのようなサービスプロバイダーとお客様の双方にとって、WhatsAppを使用する際の複雑さを軽減するための大きな一歩となります」と述べている。そして「WhatsApp Clientのホスティングを気にする必要がなくなることで、APIを介して利用可能になる多くのリッチな機能のサポートに集中できるようになります」と付け加えている。

今回の発表は、人びとと企業とつながる方法が変わりつつある中で行われた。WhatsAppによれば、現在毎日1億7500万人以上のユーザーがビジネスメッセージを送信しており、この傾向は特にインド、ブラジル、インドネシアなどの米国以外の市場で拡大しているという。WhatsAppは顧客から、電話システムを運用したり保留にしたりしなければならない1-800番号(米国のフリーダイヤル)を使う代わりに、メッセージングに移行したいという要望を受けている。電話システムは煩わしいものだし、コールセンターは、企業にとっても運営コストがかかる。

WhatsAppが2020年実施した独自の調査によると、ユーザーは通話よりもメッセージングを好む傾向にある。その結果、最大規模の国々のユーザーの75%が、メッセージングを通じて企業とコミュニケーションを取れるようにしたいと答えていることが判明した。また、68%の人が、メッセージで連絡が取れた企業と取引したり、購入したりする可能性の方が「より高い」と答えている。

WhatsAppは、別の場所でもこの傾向を利用している。大きな収益源となっているのは、FacebookのニュースフィードやInstagram(インスタグラム)に表示される、クリックチャット広告だ。これは消費者が広告上のボタンをクリックするだけでWhatsAppで企業にメッセージを送ることができるというものだ。

その一方で、同社はWhatsApp Business Appを使って小規模ビジネス市場にも対応しており、パパママショップのような地元の小さなお店がオンラインを使って顧客とやり取りできるようにしている。2018年にローンチされたあと、現在では全世界で5000万人のユーザーを抱えるまでに成長している。

本日(米国時間11月1日)のクラウドAPIの公開に先立ち、WhatsAppは他のAPIの改善にも取り組んでいた。たとえば企業が受信したメッセージに対してより迅速に対応できるようにしたり、顧客が指定した場合に在庫切れなどのさまざまな種類のメッセージをサポートしたりしている(これまでのWhatsAppのAPIは、たとえばフライトの搭乗券を送信するような「タイムリー」な通知に焦点を当てていた)。

企業からの連絡を受けた顧客には、会話の先頭に情報メッセージが表示され、(完全に暗号化されている)友人や家族とのメッセージとは異なるものであることが伝えられるとのことだ。また顧客は、企業のサポート内容に応じて、さまざまなやりかたで通信を終了させることもできる。企業からの連絡を止めるためにメッセージを送ったり、変更のために会社のウェブサイトにアクセスするだけで、オプトアウトすることができるだろう。だが最も簡単な方法は、アプリ内で企業をただブロックすることだろう。

クラウドAPIは、米国時間11月1日から限定的なベータ版が開始され、厳選されたパートナーが数日のうちに最初の顧客を迎え入れる予定だ。

その一方で、WhatsAppは2022年から、他のソリューションプロバイダーや企業に直接APIを開放する予定だ。

画像クレジット:WhatsApp

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

物流・輸送業向け「炭素測定・除去」APIを開発するPledgeが約5億円調達

気候変動の危機が迫る中、多くの企業が自らの役割を果たしたいと考えている。しかし、顧客に「今回の配送にともなうCO2排出量をオフセットしてください」とお願いするのは、たいていの場合、木の実を割るのにハンマーを使うようなものだ。カーボンオフセット関する透明性はほとんどない。さらに、中小企業は高品質のカーボンクレジットにアクセスしたいが、同時に製品、サービス、取引レベルでの影響も計算したい。そして、非常に不正確な「スキーム」ではなく、カーボンクレジットを小さい単位で購入できるといいと考えている。

Pledge(プレッジ)は、貨物輸送、配車サービス、旅行、ラストマイルデリバリーなどの業界を対象としたスタートアップで、顧客の取引に関わるカーボンオフセットを提示することができる。

Pledgeは、Visionaries Clubがリードするシードラウンドで450万ドル(約5億円1300万円)を調達した。Chris Sacca(クリス・サッカ)氏のLowercarbon CapitalとGuillaume Pousaz(ギヨーム・プサ氏、Checkout.comの創業者でCEO)の投資ビークルであるZinal Growthも参加した。Pledgeは、これまでクローズドベータ版として運営されてきた。

同社は、Revolut(レボリュート)の草創期の従業員であるDavid de Picciotto(デビッド・デ・ピチョット)氏とThomas Lucas(トーマス・ルーカス)氏、Freetradeの共同創業者で元CTOのAndré Mohamed(アンドレ・モハメド)氏が創業した。まず物流業と輸送業を対象にスタートする。同社によると、企業はPledge APIを組み込めば、カーボンニュートラル達成に向け、出荷、乗車、配送、旅行にともなう排出量を測定・軽減することができるようになるという。このプラットフォームは、分析や洞察に加え、時間をかけて排出量を削減するために推奨する方法を顧客に提示することを目指す。

Pledgeによると、同社の排出量計算方法は、GHGプロトコル、GLECフレームワーク、ICAOの手法などのグローバルスタンダードだけでなく、ISO基準にも準拠しているという。

重要な点として、Pledgeのプラットフォームでは、個人投資家が株式の一部を購入するように、企業は炭素クレジットの一部を購入することができ、また、ETFのように異なる方法論や地域を含むバランスのとれたポートフォリオにアクセスできる、と同社は話す。

Pledgeの共同創業者でCEOのデビッド・デ・ピチョット氏は次のように説明する。「現在、どのような規模の企業も利用できる、自社の排出量を把握・削減するための簡単で拡張可能な方法は存在しません。従来のCO2測定やオフセットのソリューションは、コストが高く、導入が難しいため、限られた大企業だけが利用できます。私たちがPledgeを立ち上げたのは、どのような企業でも、高品質で検証済みの気候変動対策製品を、可能な限り簡単かつ迅速に導入できるようにするためです」。

Visionaries Clubの共同創業者でパートナーのRobert Lacherは次のように語る。「Pledgeは、あらゆる企業が環境への影響を測定・軽減するためのアプリケーションを立ち上げる際に必要とする導管を開発しています。金融インフラプロバイダーが続々と登場し、あらゆる企業がフィンテックになれるようになったのと同様、Pledgeは関連するツールとその基盤となるソフトウェアインフラを提供し、気候変動対策を実現する会社となります」。

Lowercarbon CapitalのパートナーであるClay Dumas(クレイ・デュマ)氏はこう付け加える。「炭素除去の規模を拡大する際の最大のボトルネックは、供給と需要を結びつけることです。Pledgeのチームは、世界のトップレベルの金融商品開発で学んだことを応用し、ユーロやドル、ポンドを使って、空から炭素を吸い取ることに取り組んでいます」。

ピチョット氏は、大手プライベートエクイティファームでESGチームに所属していたとき、LP(主に年金基金)から、投資先企業のESG、特に気候に関するKPIの透明性や報告を求める声が増えるのを目の当たりにした。同氏は、報告・計算を合理化し、高品質のカーボンクレジットにアクセスして、社内外のステークホルダーにさらなる透明性とツールを提供する方法があるはずだと考えた。

「炭素市場が構築されたメカニズムを調べれば調べるほど、金融サービス業界との類似性が見えてきました。我々は、FreetradeやRevolutのような業界をリードする企業を設立や、設立支援の経験により、気候変動の流れを変えるユニークな切り口を提供できるのではないかと考え、調査を開始しました」とピチョット氏は述べた。

画像クレジット:Pledge / Pledge founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twilioは巨額買収したSegmentをベースにした新ツールでマーケティングに深く切り込む

2020年、Twilioが32億ドル(約3649億円)という巨額でSegmentを買収した際、誰もが何かをやるなと思っただろう。米国時間10月20日、同社は顧客カンファレンスSignalで、Segmentをベースとする全チャネルマーケティングツール「Twilio Engage」を発表した。

SegmentのCEOであるPeter Reinhardt(ピーター・ラインハート)氏によれば、そのツールはSegmentを含む複数のTwilioプロダクトを利用して開発したまったく新しいクラウドマーケティングテクノロジー(MarTech)ツールだ。

「Twilio Engageは最新のグロースオートメーションプラットフォームであり、顧客データプラットフォーム(CDP)としてSegmentを、通信機能としてはTwilioの通信APIを、それぞれネイティブに使用している」とラインハート氏はいう。この新しいアプリケーションの目標は、マーケターが自分の顧客をもっとよく理解できるようになり、彼らがよりカスタマイズされたメッセージを届けられるようになることだ。

まずそれは、Segmentを利用して50あまりのデータソースから顧客情報を集める。次に、このツールの心臓部であるジャーニーオーケストレーションコンポーネントでマーケターは、各顧客のためのワークフローを定義する。そして彼らは、メールやSMSなどさまざまなコミュニケーションチャネルを利用してカスタマイズされたメッセージを作成、送付する。また、TwilioのコアコミュニケーションAPIを利用して、さまざまな外部ツールに接続することもできる。

多様なコミュニケーションコンポーネントは、ジャーニーワークフローのさまざまな特定条件をトリガーとして、カスタマイズされたテキストメッセージやメール、広告など、さまざまな形で配布される。これについてラインハート氏は「これからは前菜からデザートまで、キャンペーン全体をクリエイトできます。必要なコンテンツをすべて揃え、すべてのオーディエンスを作り、Twilio Engageの中ですべてのターゲティングを行えます」という。

例えば、あるスニーカーメーカーがランニングアプリを持っているとする。Twilio Engageを使えば、ユーザーが同社のアプリで100マイルを記録したときに始まるキャンペーンを設定することが可能だ。このマイルストーンをきっかけに、(TwilioのCommunications APIを使って)お祝いのメッセージをSMSで送ることができる。そのユーザーが既存の顧客である場合は、最初の目標達成を祝うメールを自動的に送信し、20%オフのクーポンを添付することもできる。ユーザーが顧客でない場合は、Facebook、Snapchat、Googleなどの異なる広告チャネルで、同様の割引とメッセージで再ターゲティングすることも可能だ。

Twilio Engageのワークフロー(画像クレジット:Twilio)

Futurum Researchの創業者で主席アナリストのDaniel Newman(ダニエル・ニューマン)氏によると、Twilioがマーテックに全面関与するのは新しいことだが、同社にはCDPという足場がすでにあり、もちろんメッセージングのプラットフォームもある。同社のデベロッパーコミュニティを有効に活用できれば、この新しい試みは成功できるだろうという。

「CDPとMarTechは競争が激しいが、Twilioとその忠実なデベロッパーコミュニティは今回の同社の新しい事業に魅力を感じるでしょう。なぜなら、デベロッパーにおいても、彼らの顧客のジャーニーの全行程を理解するという理想のような目標はますます複雑化しており、同時にそれは、マーケターや営業のトップにとっては達成可能な目標になりつつあるからです」とニューマン 氏はいう。

Twilioが、自らのプラットフォームと収益機会を、同社の基盤である中核的な通信API以外にも拡大したいと考えていることは明らかだ。ラインハート氏は、TwilioのCEOであるJeff Lawson(ジェフ・ローソン)氏と一緒に、両社のツールセットを組み合わせた場合の最適なユースケースがマーケティングであることが明らかになり、それが今回の賭けの理由であると述べている。

ラインハート氏によれば「現在、TwilioのメッセージングAPIとSegment上のデータをどのように利用しているのか、多くの顧客から話を聞きました。圧倒的に多いユースケースが、マーケティングでした。マーケティングなら、それを改善し改良する技術が私たちには十分にあります」。そこから、Twilio Engageが生まれた。

本日から、数社の協力によりパイロットが始まる。一般公開は2022年前半の予定だ。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

法人向けカーボンオフセットAPIで企業の脱炭素化を支援するSustineriが5000万円のシード調達

企業の脱炭素化を支援するSustineriは10月20日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による5000万円の資金調達を発表した。引受先はインキュベイトファンド。調達した資金はサービス開発および事業推進メンバーの採用など組織の強化にあてる。また、今秋にはカーボンオフセットAPI「Caboneu」(カボニュー)および温室効果ガス(GHG。GreenHouse Gas)算出APIのβ版をローンチする予定。

カーボンオフセットAPIは、企業による商品やサービスの販売と利用に伴って排出されるGHGについて、相殺・埋め合わせ(カーボンオフセット)が可能なクラウド型サービス。eコマース、自動車保険、旅行・航空などを販売するウェブサイトに数行のコードを記述するだけで、商品やサービスの提供に伴うGHGを算出。さらに同量のGHG削減クレジットまたは再生可能エネルギー証書を購入することで、GHG排出を相殺し気候変動への影響をニュートラルにできる。

こうしたGHG排出量を算定するには専門知識が必要になるが、カーボンオフセットAPIを利用すれば企業のサプライチェーン全体をカーボンニュートラル化可能としている。

法人向けカーボンオフセットAPIで企業の脱炭素化を支援するSustineriが5000万円のシード調達

Sustineriは、「人と地球が共存する新たなあり方を創造する」をミッションに掲げ2017年7月に設立された。企業がサステナブルシフトと脱炭素化を実現するための効果的なソリューションを提供している。事業はカーボンオフセットAPIの開発と運営のほか、GHG算出APIの開発・運営、カーボンオフセットとカーボンニュートラルの実施支援、気候変動対策および脱炭素化に関するコンサルティング。今後は日本企業の脱炭素化およびカーボンニュートラル化に貢献するサービスを継続的に開発するとのこと。

Evervaultの「サービスとしての暗号化」がオープンアクセスに

ダブリンに拠点を構えるEvervaultは、APIを介する暗号化を販売する開発者向けセキュリティのスタートアップだ。Sequoia、Kleiner Perkins、Index Venturesなどの大手投資家から支援を受けている。同社は2021年8月中旬、クローズドベータを終え、暗号化エンジンへのオープンアクセスを発表した。

E3と称される同社の暗号化エンジンを試す待機リストには、約3000人の開発者が登録していると同社は述べている。

クローズドプレビューに参加している「数十の」企業には、ドローン配送会社のManna、フィンテックスタートアップのOkra、ヘルステック企業のVitalなどが名を連ねている。Evervaultによると、同社のツールは4種のデータ(アイデンティティおよび連絡先データ、財務および取引データ、健康および医療データ、知的財産)の収集や処理を必要とするコアビジネスを持つ企業の開発者をターゲットにしているという。

E3で提供する最初のプロダクトスイートはRelayとCagesだ。Relayは、開発者がアプリの入出力時にデータを暗号化および復号化するための新しい方法を提供する。Cagesは、AWS上で実行される信頼性の高い実行環境を使用して、プレーンテキストデータを処理するコードを開発者スタックの残りの部分から分離することで、暗号化されたデータを処理する安全な方法を提供する。

創業者のShane Curran(シェーン・カラン)氏によると、EvervaultはAmazon Web ServicesのNitro Enclavesにプロダクトをデプロイした最初の企業になるという。

「Nitro Enclavesは基本的に、コードを実行でき、データ自体の中で実行されるコードが本来実行されるべきコードであることを証明できる環境です」と同氏はTechCrunchに語っている。「AWS Nitro Enclavesに関するプロダクトのプロダクションデプロイメントを行ったのは当社が最初です。そのアプローチを実際的に遂行する当事者という意味では、私たちが唯一の存在だと言えるでしょう」。

データ侵害がオンラインで深刻な問題であり続けていることは、もはや周知の事実であろう。そして残念なことに、アプリメーカーによる杜撰なセキュリティ対策、さらにはユーザーデータの安全性に対する配慮の全面的な欠如について、プレーンテキストのデータが漏洩したり不正にアクセスされたりした場合に責任を問われる頻度が高くなっている。

アプリエコシステムのこの不幸な「特性」に対するEvervaultの解決策は、開発者がAPIを介する暗号化を極めてシンプルに行えるようにすることであり、暗号化キーの管理などの負担を軽減するものである。(「DNSレコードを変更して当社のSDKを含めることで、5分でEvervaultを統合」というのが、同社のウェブサイト上の開発者を惹きつけるピッチだ)。

「私たちが行っている高いレベルの取り組みにおいて【略】私たちが真に注力しているのは、どのような観点からもセキュリティとプライバシーにまったくアプローチしていない(という状況にある)企業を、暗号化で稼働状態にし、少なくとも、制御機能を実際に実装できるようにすることです」とカラン氏は語る。

「最近の企業が抱える最大の問題の1つとして、企業がデータを収集した後、そのデータは実装とテストセットの両方に散らばっているような状態になっていることが挙げられます。暗号化の利点は、データがいつアクセスされ、どのようにアクセスされたかを正確に把握できることにあります。ですから、データに何が起こっているのかを確認し、それらの制御を自分たちで実装するためのプラットフォームが提供されるだけでいいのです」。

何年にもわたって発生してきたおぞましいデータ漏洩スキャンダル(そしてデータ漏洩デジャヴ)、さらには欧州の一般データ保護規則(GDPR)をはじめとするデータ保護法の改正により脆弱なセキュリティやデータの悪用に対する罰則が強化されたこともあり、企業幹部はデータを適切に保護する必要性に一層の注意を払うようになっている。こうした中「データのプライバシー」を提供することを約束するサービスをアピールし、データを保護しつつ開発者が有用な情報を抽出できると主張するツールを売り込むスタートアップが増えている。

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Evervaultのウェブサイトはまた「データのプライバシー」という用語を次のような意味の定義として展開している。「プレーンテキストのユーザー / 顧客データにアクセスできる権限のない当事者はいない、ユーザー / 顧客および権限のある開発者は誰がいつどの目的でデータにアクセスできるかを完全に制御できる、プレーンテキストのデータ侵害を終結する」(つまり、暗号化されたデータは理論上はまだ漏洩する可能性があるが、重要なのは、情報が強固に暗号化されている結果、保護されたままになるということだ)。

この分野のスタートアップが商用化しているテクニックの中に、準同型暗号がある。準同型暗号とは、暗号化されたデータを復号することなく分析できるプロセスだ。

Evervaultの最初のオファリングはそこまで踏み込んでいない。ただし同社の「暗号化マニフェスト」には、この技術を注視していると書かれている。そしてカラン氏は、このアプローチをいずれは取り入れる可能性が高いことを認めている。しかし、同社の最初の焦点は、E3を稼働させ、幅広い開発者を支援できるオファリングを提供することにあると同氏はいう。

「完全な準同型(暗号化)はすばらしいことです。通常のサービスを構築しているソフトウェア開発者をターゲットにする場合、最大の課題は、その上に汎用アプリケーションを構築することが非常に難しいことにあります。そこで私たちは別のアプローチを採用しました。そのアプローチとは基本的に、信頼できる実行環境を使用することです。そして私たちはAmazon Web Servicesチームと協力して、Nitro Enclavesと呼ばれる彼らの新しいプロダクトの最初のプロダクションデプロイメントを行いました」とカラン氏はTechCrunchに語った。

「私たちがより重視しているのは、基盤となる技術そのものではなく、すでにこの分野に多額の投資をしている企業のために最善のセキュリティプラクティスを採用し、暗号化がどのように機能するかについて知識を持たないような平均的な開発者でも利用できるようにすることです」と同氏は説明する。「Evervaultが他のプライバシーやセキュリティ企業と違う最大のニュアンスはそこにあります。私たちが開発を進めるのは、何かを構築するときに通常はセキュリティについて考えることなく、それを中心にすばらしいエクスペリエンスを築こうとしている開発者のためです。それはまさに、『アートの始まり』の間にあるギャップを埋め、それを平均的な開発者にもたらすことに他なりません」。

「時間の経過とともに、完全な準同型暗号化はおそらく私たちにとって簡単なものになりつつあるのですが、平均的な開発者が立ち上げて実行するためのパフォーマンスと柔軟性という点では、現在の形式をベースにして構築することはあまり意味がありませんでした。しかし、そこに私たちは注目しています。私たちは学究的環境から生まれてくるものを実際的に精査しています。現実の環境に適合させることができるかどうかを検討しているのです。しかし当面は、今てがけているような信頼できる実行環境がすべてです」とカラン氏は続けた。

カラン氏によると、Evervaultの主な競合相手はオープンソースの暗号化ライブラリであり、開発者は基本的に自分で暗号化作業を行うことを選択している。そのため、同社はオファリングのサービス面に照準を合わせている。開発者が暗号化管理タスクを実行しなくて済むようにすると同時に、データに明確に触れる必要がないようにすることで、セキュリティリスクを軽減する。

「この種の開発者たち、つまりすでに自分たちで暗号化を行うことを考え始めている開発者たちを考慮すると、Evervaultの最大の差別化要因としてまず統合のスピードが挙げられますが、さらに重要な点は暗号化されたデータの管理そのものにあります」とカラン氏。「Evervaultではキーを管理していますが、データは保持しておらず、お客様は暗号化されたデータを保持していますが、キーは保持していません。つまり、Evervaultで何かを暗号化したいと思っても、すべてのデータについて、プレーンテキストで保有することは決してありません。一方、オープンソースの暗号化では、暗号化を行う前のある時点でプレーンテキストデータを保有する必要があります。これが私たちが見ている基本の競合他社です」。

「もちろん、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ-リー)氏のSolidプロジェクトのような他のプロジェクトもいくつかあります。ですが、暗号化に対して開発者エクスペリエンスに焦点を当てたアプローチに特化しているところが他にあるかどうかは明確とは言えません。APIセキュリティ企業は明らかに数多く存在します【略】しかし、APIを介する暗号化は、私たちが過去に顧客との間で出会ったことのないものです」と同氏は付け加えた。

関連記事:WWWの父ティム・バーナーズ=リー氏のInruptがプライバシープラットフォームSolidのエンタープライズ版をリリース

Evervaultの現在のアプローチでは、アプリメーカーのデータはAWS上の専用の信頼できる実行環境でホストされていると見ているが、情報は今のところプレーンテキストとして存在している。しかし、暗号化が進化するにつれ、アプリがデフォルトで暗号化されるのではなく(Evervaultの使命は「ウェブを暗号化する」ことだとされている)、ユーザーデータがいったん取り込まれてから暗号化されれば、すべての処理が暗号化されたテキスト上で実行されるため、ユーザーデータを復号する必要がなくなる未来を想像することも可能になる。

準同型暗号は当然のことながらセキュリティとプライバシーの「聖杯」と呼ばれており、Dualityのようなスタートアップはそれを追い求めて奔走している。しかし、現場、オンライン、そしてアプリストアでの現実は、はるかに初歩的なままだ。そこでEvervaultは、暗号化のレベルをより一般的なものにしようとすることには大きな価値があると考えている。

カラン氏はまた、多くの開発者は収集したデータを実際にはあまり処理していないと指摘し、そのため、信頼できる実行環境内でプレーンテキストデータをケージングすることで、いずれにしてもこうした種類のデータフローに関連するリスクの大部分を取り除くことができると主張している。「現実には、最近のソフトウェア開発者の多くは、必ずしも自分でデータを処理しているわけではありません。彼らはユーザーから集めてサードパーティのAPIと共有しているだけなのです」。

「Stripeを利用して何かを構築しているスタートアップを見てみると、クレジットカードはシステム内を流れていますが、最終的には必ず別の場所に渡されることになります。これは、最近のスタートアップのほとんどが行っている傾向だと思います。ですから、Amazonのデータセンターのシリコンのセキュリティに依存して実行を信頼することができるのは、ある意味最も理に適っていることです」。

規制面では、このデータ保護のストーリーは、通常のセキュリティスタートアップの展開よりも少し微妙なところがある。

欧州のGDPRは確かにセキュリティ要件を法制化しているが、旗艦的なデータ保護レジームは、個人データに付随する一連のアクセス権も市民に提供している。これは「データプライバシー」に関する開発者ファーストの議論では見落とされがちな重要な要素だ。

Evervaultは、チームの初期の焦点は暗号化であり、データアクセス権は今のところ意識の中心にはなっていないことを認めている。しかしカラン氏は「時間をかけて」「アクセス権もシンプル化する」プロダクトを展開する計画だと語ってくれた。

「今後、Evervaultは次の機能を提供していく予定です。暗号化されたデータのタグ付け(例えばタイムロックデータの利用)、プログラム的な役割ベースのアクセス(例えば従業員がUIでプレーンテキストのデータを見れないようにする)、そしてプログラム的なコンプライアンス(例えばデータのローカリゼーション)です」と同氏はさらに説明した。

画像クレジット:Janet Kimber / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

AVA Intelligence(アバインテリジェンス)は10月7日、AIを活用した旅行サービス「AVA Travel」(アバトラベル)の正式版リリースを発表した。また、AVA Travelの旅行提案機能(レコメンドエンジン)のAPI提供事業にも挑戦すると明らかにした。希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

AVA Travelは、ユーザーの希望や条件を基にAIが適した旅行情報を提案するサービス。2019年8月にローンチしたβ版では、海外における約100都市からユーザーに合わせた旅行先の提案を行っていた。その後コロナ禍の影響もあり、国内旅行先の提案にも対応し、現在は国内外合わせ約400の旅行先から好みに合わせて提案するようにしたという。

また、広島県を舞台としたアクセラレーションプログラム「ひろしまサンドボックス『D-EGGS PROJECT』」(2021年4月採択)で実証開発を行い、正式版では現地での具体的な観光スポット・ホテル・体験・レストランまでユーザーごとにおすすめ順で提案可能となっているそうだ。特に、広島県尾道市周辺の観光情報は、現地の人のみぞ知るようなディープな情報も提案できるようにしており、自力で探していては出会いにくい、新たな発見を提供するという。

さらに同社によると、AVA Travelの裏側で動いている旅行提案機能について、APIとして利用希望先へ提供する事業を開始予定という(2022年に正式提供予定)。現在、同機能の正式提供に向け、実証開発に協力可能な企業を募集中だ。

同APIでは、旅行に関する希望・条件を送ると、それに応じた旅行先や、旅行先における観光スポット・ホテル・体験・レストランなどをおすすめ順で受け取れる。これにより同社レコメンドエンジン提供先では、まだ具体的な旅行プランの決まっていない検討ユーザーに対して瞬時に提案することが可能となり、ユーザー体験価値の向上が期待されるという。希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

サーバーレスアプリケーションのためのAPIベースのデータベースサービスを提供するXata

Xataをご紹介しよう。同社は、これまでにない新しい角度からマネージドデータベースに取り組んだスタートアップだ。同社はあなたのデータベースをあなたに代わって動かし、それをAPIに変えるので、データベースのクエリやアップデートをサーバーレスのアプリケーションから行える。Xataはこの度、500万ドル(約5億5000万円)の資金を調達した。プロダクトはまだ十分に成熟していないが、同社はその詳細をすでにシェアしている。

XataはJamstackのウェブサイトに特に合ってるように思われる。Jamstackは、大規模なウェブサイトを開発しデプロイするための方法として、よく使われてきた。よく知られているJamstackのホスティングプラットフォームは、NetlifyVercelそしてCloudflare Pagesなどだ。

アプリケーションはグローバルなエッジネットワーク上にデプロイされ、ロジックはもっぱらAPI呼び出しが扱う。その結果ウェブサイトないしウェブアプリケーションはロードが速くて大量のトラフィックを扱える。

JamstackのウェブサイトはGitのリポジトリとタイトに統合されていることが多いため、デプロイがとても簡単だ。コードの変更をコミットしたら、サーバーレスのプラットフォームがアプリケーションのデプロイをやってくれる。APIベースのデベロッパーツールの統合は比較的楽だし、ロジックを自分で管理しなくてもよい。

たとえば静的なコンテンツとStripeのチェックアウトモジュールのあるウェブサイトをデプロイするなら、決済のサーバーはあなたに代わってStripeが管理する。しかしそこに、ライブのデータベースとそれとの対話が加わると、複雑な仕事になる。従来的なデータベースは、行を1行加えるだけでもインターネット上でAPI呼び出しに頼ろうとしない。複数の行を探索してデータを見つけるなら、なおさらだ。

Xataはデータベースに注力して、データベースをユーザーのサーバーレスアプリケーションに容易に統合できるようにしたい。データベースのスケーリングもXataが行うため、ユーザーはインフラストラクチャーを気にする必要がない。ソフトウェアのアップデートや、新しいサーバーへのデータの移動なども同じくだ。

データベースは通常、応答時間を速くして冗長性を持たせるために複数のデータセンターに分散している。画像も含めて、サポートするデータ型はとても多い。それでいてXataでは、データベースとの対話はまるでそこらのRESTful APIのようにに行われる。

同社はまた、Airtableのようなよく使われているノーコードのスタートアップからもヒントを得ている。データベースをウェブブラウザの中で開いて、データとの対話は直接そこから行なう。例えばカレントビューをフィルターし、特定の基準でデータをソートし、そして自分のコードで使えるAPIのクエリを得る。

データベースに大量のデータがあるなら、それらをフリーテキスト(無定型な自由文)検索機能で検索できる。また、Xataをアナリティクスに使ってチャートや視覚化を作ることもできる。

ウェブブラウザからデータと対話できる能力が、Xataの強みだ。今は、新しいプロジェクトのプロトタイプを作るときに、最初のバックエンドとしてAirtableに頼る企業が多い。しかしXataはそういうAirtableアズアバックエンド型のデータ管理モデルで、プロダクション(本番)にも対応したバージョンになれる。

500万ドルのラウンドはIndex Venturesがリードした。Operator CollectiveとSV Angel、そしてX-Factorのfirstminute Capitalが参加した。また当業界のエンジェルとして、ElasticのShay Banon氏とUri Boness氏、ConfluentのNeha Narkhede氏、VercelのGuillermo Rauch氏、 Color GenomicsのElad Gil氏、NetlifyのChristian Bach氏とMathias Biilmann氏が投資した。

同社の創業者はMonica Sarbu(モニカ・サルブ)氏だ。彼女はElasticのエンジニアリングのディレクターだったため、データベースのスケーリングについては詳しいはずだ。

画像クレジット:Xata

画像クレジット:Susan Q Yin/Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

オープンソースでオープンエンドなアプローチによる新時代の企業向けエンタープライズAPI管理ツールのTykが約38.4億円調達

APIは今日、多くの企業のITシステムの歯車を回す役割を果たしている。しかし、APIの数や使用方法が増えるにつれて、APIがどのように連携しているか(あるいは連携していないか)を追跡することは複雑になり、何か問題が発生した場合には致命的な問題になる可能性がある。この問題を解決する革新的な方法を開発したスタートアップ企業が、そのアプローチを採用する大企業の支持を得て、資金調達を発表した。

Tykは、GraphQLを使用する普遍的なインタフェースにより、ITシステム内部の複数のエンタープライズAPIにアクセスして管理する方法を開発した。同社はこのほど3500万ドル(約38億4000万円)の資金を調達して、新たな雇用と、現在ユーザーに提供しているツールの強化と拡張に投じようとしている。Tykは、APIとそれらが作り出すデータを管理する方法を彼らの造語で「universal data graph(ユニバーサルデータグラフ)」と呼び、今ではそのツールを、Starbucks(スターバックス)やSociete Generale(ソシエテジェネラル)、Domino’s(ドミノピザ)などおよそ1万社がAPIの管理に利用している。

今回の資金調達ラウンドはScottish Equity Partners(SEP)がリードし、MMC Venturesが参加した。後者は、Tykが最初の5年間、自己資金で2019年に最初の資金調達をしたときの投資家だった。Tykはロンドンの企業だが、実体はかなり分散しており、たとえば共同創業者の1人は現在、ニュージーランドに住んでいる。今後の雇用と成長も、分散型で行くつもりだ。資金調達額はこれまでの合計で4000万ドル(約43億9000万円)ほどだ。

Tykは「タイク」と発音し、「ちびっこ」とか「がき」という意味がある。最初は共同創業者で現CEOであるMartin Buhr(マーティン・ビュール)氏の、オープンソースのサイドプロジェクトとして始まった。当時、彼の仕事のメインは一種の「ロードテスト」(負荷試験)だった。

現在のITはサービス指向のアーキテクチャに変わっており、社内のアプリケーションに接続するためにもAPIを利用している。そこで彼が考えたのは、コードに対する考え方を変えて、それらがAPIのコントロールにも使えるようにすることだ。さらにまた、ビュール氏が見たかぎりでは、当時市場にあったAPI管理プラットフォーム(有名だったのはKongやGoogleに買収されたApigee、RedHatが買収し今やIBMの一部である3scale、今ではSalesforceの一部であるMuleSoftなど)には、彼が求める柔軟性がなかった。「だから自分で作ることにした」とビュール氏はいう。

関連記事:Google、API開発の上場企業、Apigeeを6億2500万ドルで買収へ

それはオープンソースのツールとして作られ、他社の技術者たちもそれを使い始めた。関心はさらに増して、利用に興味を持った大手企業から「なぜ有料にしないのか」という質問を受けるようになった。それは、ここでビジネスが成立する可能性があることを示す確かな兆候であり、有料にすればさらに信用を得られるということでもある。

「そこで、ゲートウェイをオープンソースにして管理の部分をライセンス方式にしました」とビュール氏はいう。それにより、James Hirst(ジェームズ・ハースト)氏を共同創業者とするスタートアップ、Tykが生まれた。数年前に、あるデジタルエージェンシーでビュール氏と一緒に仕事をしていたハースト氏は、同社のCOOになった。

Tykを作った動機は、複雑化する環境下で働く顧客に向けた独自のセールスポイントとして残った。

「Tykへの関心に火をつけたものは、これまでのAPI管理ツールに対する不満です」とビュール氏はいう。現在のアプリケーションの主流であるアーキテクチャは複数のクラウドと複数のコンテナを使う複雑なアーキテクチャであるため、もっと優れた管理を必要としている。「いまはまさにコンテナ化やKubernetesやマイクロサービスの台頭期です。それに対して私たちのマルチデータでマルチベンダーのクラウドモデルへのアプローチは、極めて柔軟性に富み、分割に対して自己回復力があり、それは他社にできなかったことです」とビュール氏は語る。

「私たちはデベロッパーの世界に入り込んで本物の価値を提供していますが、何を選ぶかは彼らが決めることです。しかし私たちは、市場の明確な変化に対応しています」とさらにハースト氏はいう。たとえばTykが挑戦する次の課題は、複数のAPI間に衝突があるときの、管理層の対応だ。

ビュール氏は「マイクロサービスを使っているチームが致命的な変更を行ったときは、それを明示的にシステムに報告したい。計画では、その問題にフラグを立てて、それに対するテストを行いたい。そのやり方はだめだ、と言ってその理由も指摘したい」という。

Tykの顧客リストはそれが公表される前から企業の関心を呼び、今後のユーザーが一気に増大することを予感させる。SEPのディレクターMartin Brennan(マーティン・ブレナン)氏は、声明で次のように述べている。「MartinとJamesはワールドクラスのチームを作り、今度の資金によってTykはそのAPI管理プラットフォームの成長を加速できるでしょう。特に重要なのは、2021年の初期にローンチしたGraphQLによるUniversal Data Graphプロダクトです。チームが彼らのグローバルな意欲を実現していくとき、そのお手伝いができることは喜ばしい」。

このラウンドで、SEPのパートナーであるKeith Davidson(キース・デイビッドソン)氏が役員ではないディレクターとしてTykの取締役会に加わる。

画像クレジット:alphaspirit/Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)

送金アプリ「pring」の法人向けサービスが請求書自動化サービス「invox」とAPI連携し24時間振り込み可能に

送金アプリ「pring」の法人向けサービスが請求書自動化サービス「invox」とAPI連携し24時間振り込み可能に

「お金コミュニケーションアプリ」をコンセプトにチャット機能付き送金アプリ「pring」(プリン。Android版iOS版)を展開するpringは9月13日、請求書自動化サービス「invox」(インボックス)運営元のDeepworkと業務提携を結んだと発表した。法人から24時間365日振込ができるサービス「pring法人送金」とinvoxとのAPI連携を10月1日から開始する。

invoxは、電子化された請求書をデータで受領する場合は自動取り込み、紙の場合は取引先からどんな形式の請求書が届いても「99.9%正確に」振込データ、仕訳データ、請求データを生成し、経理の支払いや計上の業務を自動化するというクラウドサービス。2021年3月18日にサービス開始1周年を迎え、8月に導入企業数が900社を突破した。

API連携は10月1日から実施され、invoxを利用する法人は、請求書の受け取りから支払いまでがシームレスに行えるようになる。これにより、支払い業務の工数が大幅に削減され、支払いデータの作成、作成したファイルのアップロードは人を介さず行われるため、ミスや不正のリスクを低減できるとのことだ。

 

TikTokのCreator Marketplace APIでマーケターは1次データのアクセスし自社に最適なクリエイターが探せる

TikTok(ティックトック)は、ブランドや広告代理店が同社のサービスを使ってインフルエンサーと連携しやすくするサービスを開始する。同社は、「TikTok Creator Marketplace API」(ティックトック・クリエイター・マーケットプレイスAPI)を新たに提供する。マーケティング会社がTikTokの社内向けインフルエンサーマーケティングプラットフォームであるCreator Marketplaceを直接統合できるようにするAPIだ。

2019年末に公開されたCreator Marketplaceウェブサイトを使って、マーケターは自社のブランドキャンペーンに最適なTitTokパーソナリティーを見つけて、キャンペーンの制作、管理、効果の追跡ができている。

新しいAPIによって提携マーケティング企業は視聴者層、成長トレンド、ベストパフォーマンスビデオ、キャンペーンのリアルタイムレポーティング(ビュー、いいね!、シェア、コメント、エンゲージメントなど)に関するTikTokのファーストパーティーデータ(1次データ)を初めてアクセスできるようになる。

取得したデータは自社のプラットフォームに持ち込んで、顧客に提供している将来予測の強化に利用できる。

TikTokは同APIを9月後半まで正式発表しないが、アルファパートナーには早期利用結果の公表を認めている。

パートナーの1社であるCaptiv8(キャプティブ・エイト)は、同社初のTikTokキャンペーンであるNRF top 50 retailer(NRF小売業トップ50)で新APIをテストした。小売業者は新しいキャンペーンに起用する多様で包括的なTikTokクリエイターを見つけること、さらには自社独自のTokTokチャンネルを作ることを希望している。Captiv8によると、ブランド付きコンテンツは1000万近いビューを獲得し、キャンペーンはいくつかの主要指標が「著しく増加」し、実績はNielsen(ニールセン)の平均を上回った。親密度(平均+4%)、購入意志(+7%)、推奨意志(+9%)などだ。

画像クレジット:TikTok Creator Marketplaceウェブサイト

現在Captiv8は、TikTokのAPIを使って視聴者層情報を取得することで、インフルエンサーの紹介と活性化を集約し、ブランド付きコンテンツの強化とキャンペーン実績のモニターを行うツールを提供している。実績のモニターに関して、同社はTikTok Creator Marketplace APIを使ってリアルタイム指標を取得できる。これは、Captiv8がTikTokのファーストパーティーデータをアクセスしている数少ない企業になった結果だ。

これも早期アルファパートナーであるInfluential(インフルエンシャル)も新API活用の情報を公開しており、視聴者層、成長トレンド、ベストパフォーマンスビデオなどのファーストパーティデータを利用して、同社顧客ベースのFourune 1000ブランドが自社、外部両方の広告キャンペーンに最適なクリエーターをみつける手助けをしている。

同社と仕事をしたパートナーの1社であるDoorDash(ドアダッシュ)は、Influentialの協力を得てTikTokでいくつかのキャンペーンを実施した。DoorDashはMcDonald’s USA(米国マクドナルド)が2021年実施予定のいくつかの新規キャンペーンにも協力する予定で、同チェーンの新製品、Crispy Chicken Sandwich(クリスピーチキン・サンドイッチ)や復活するSpicy McNuggets(スパイシー・マックナゲット)などが対象だ。

その他の早期アルファパートナーには、Whalar(ウェーラー)とINCA(インカ)がある。後者による統合は、2021年2月に発表されたTikTokのWPPとの国際パートナーシップの一環だ。この提携によってWPP代理店は新しい広告プロダクト・マーケティングAPIや新しいAR機能を早期利用できる。

クリエーターのマーケットプレイスは、大規模なインフルエンサーコミュニティをもつソーシャルメディアプラットフォームにはよく見られるようになり、オンライン消費者向け広告の標準的方法の1つになりつつある。若い世代に対しては特にそうだ。現在Facebook(フェイスブック)はBrands Collabs Manager(ブランドコラボマネージャー)をFacebookとInstagram(インスタグラム)向けに提供している。YouTube(ユーチューブ)にはBrandConnect(ブランドコネクト)があり、Snapchat(スナップチャット)は最近、ブランドとLens(レンズ)クリエーターをつなぐマーケットプレイスを発表した。この種の組織内プラットフォームは、ブランドのROI(投資利益率)にとって重要な指標の信頼できるデータを提供することでマーケターが幅広いインフルエンサーコミュニティの協力を得やすくする。インフルエンサー自身が報告するデータに頼ったり、マーケターが自分で収集する必要がない。キャンペーンが始まると、マーケターは提携クリエーターの成果を比較して将来の活動に活かすことができる。

TikTokは現時点でこの新APIの正式発表は行っておらず、まだテスト段階だとTechCrunchに語った。

「クリエイターは当社プラットフォームの生命線であり、私たちは彼らがブランドとつながり協力しやすくする方法を常に考えています。自社のメッセージを正しく伝えられる多様なクリエイターをブランドが発見して協力を得る手助けをする信頼できるパートナーのエリート集団と仕事ができることを大いに喜んでいます」とTikTokのエコシステム・パートナーシップ責任者Melissa Yang(メリッサ・ヤン)氏が選ばれたマーケティングパートナー向けに提供した声明で語った。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

STORES 予約が入退室管理クラウド「iDoors」とAPI連携開始、完全非対面で予約から入退室管理まで一元管理

STORES 予約が入退室管理クラウド「iDoors」とAPI連携開始、完全非対面で予約から入退室管理まで一元管理

オンライン予約システム「STORES 予約」(ストアーズ予約)を提供するヘイ(以下、hey)は9月1日、エーティーワークス提供のクラウド型入退室管理システム「iDoors」(アイドアーズ)とのAPI連携を開始したと発表した。同連携により、予約から入退室の管理までを完全非対面で実現可能となった。

iDoorsは、エーティーワークスが独自開発し提供しているIoT電気錠制御盤「iDoorsエッジ」に様々な「認証端末」をつなげることで、どこからでも入退室管理が行えるクラウド型入退室管理システム。顔認証、QRコード、ICカードなどの認証端末を利用でき、遠隔地にある設備や無人設備などの入退室管理も行える。

今回のAPI連携により、STORES 予約で予約を行うと、iDoorsより自動で予約当日の入室キーが発行される仕組みを実現したという。設備の入室方法はテンキーリーダーとQRリーダーの2種類から選択でき、どちらも固定パスワード、またはワンタイムパスワードを設定可能という(いずれもiDoorsへの加入および導入工事が必要)。

予約から入退室管理までを完全非対面で実現可能にすることで、コロナ禍の感染症予防・対策に加え、システムのオートメーション化による設備管理時のヒューマンリソース削減が可能になるとしている。

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

米国政府・自治体はアップルとグーグル共同開発のコロナ接触通知APIを活用できず大失敗との調査結果

ArtMarie via Getty Images

Googleとアップルが共同開発した新型コロナ接触通知APIは世界各国のアプリに採用され、日本ではAndroid版の「COCOA」が数か月にわたって事実上機能していなかった一件もありつつも、英国では6000人もの命を救ったと推計されています。

しかしGoogleとアップルの本国である米国では、このAPIを使ったアプリはほとんど失敗に終わったとの調査結果が発表されています。

米Business Insiderの調べによると、米国の多くの州ではアプリ開発さえ行われず、作られても利用率も低く、わざわざアプリに感染記録を残しているユーザーもほとんどおらず、まるで役に立ってないと判明したとのことです。

この報告では、連邦政府から個人に至るまで様々な失敗例が紹介されています。まず最初の問題は、ホワイトハウス(米行政府)が米国で共通の接触通知アプリを作らず、各州に委ねていたことです。

FTC(米連邦取引委員会)の元チーフテクノロジストは、個々の州にアプリ開発を任せたことが全国的な認知度を高め、ユーザーに検査結果を入力してもらう努力を妨げたのではないかと推測。さらに「もし連邦政府がシステムを支援し、このアプリや同種のアプリを全米に広く展開していたら、この数字(使用率)はおそらく大きく変わっていたでしょう」と述べています。

第2に、米国の約半数の州がそもそもアプリを開発しない道を選んだことです。サービスを利用できた28州および準州の人口は約1億8680万人。つまり、残り1億4150万人(全人口の43.1%)もの米国人が一切カバーされなかったわけです。

第3にアプリを展開した州でも、プロモーションや教育が不十分であったため、利用率が極めて低かったことです。一部の州では住民にサービスを検討してもらうことさえ困難であり、たとえばアリゾナ州では人口の1.3%しかアプリを導入しないまま、2021年7月にはプログラムを終了したとのことです。ほかミシガン州では住民の6.3%、ワイオミング州では0.69%(約4000人)しかアプリを入れなかったという低調ぶりです。

最後に、新型コロナの陽性反応が出た人々のうち、実際にアプリに記録した人はわずか2%でした。接触通知アプリは、陽性診断を受けた本人がアプリを通じて報告し、その人と濃厚接触した可能性のある人々に警告することが目的のため、98%もの陽性ユーザーが記録を付けなければまったく意味を成さないことになります。

これは同じAPIを使っている英国民保険サービス(NHS)のアプリでは、実に感染ユーザーの40%以上が報告していたこととは対照的ではあります。

米9to5Macは、多くの米国人が接触通知アプリを「自分の居場所や会った人を追跡している」と勘違いしていたと指摘。その原因のひとつは偽情報ではあるのですが、もう一つは政治家らが接触通知アプリを使っても安心だと説得するどころか、アプリの使用に積極的に反対していたためだと推測しています。

新型コロナワクチンについてもYouTubeで誤情報を拡散する動画がはびこっているほか、ロシアが自国製ワクチン売込みのために偽情報を広めているとの報道もありました

人類と新型コロナとの戦いは、一方で人流を減らしたりワクチン接種を進めるといった物理的な対策をしつつ、他方では反ワクチン主義者の出会い系アプリなど誤情報を抑止することも必須のため、いっそう困難となっているといえそうです。

(Source:Business Insider。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

請求書AIクラウドの「LayerX インボイス」が「勘定奉行クラウド」とAPI連携を開始

請求書AIクラウドのLayerX インボイスが勘定奉行クラウドとAPI連携を開始

LayerXは8月26日、クラウドでの請求書処理業務を可能にする請求書AIクラウド「LayerX インボイス」において、オービックビジネスコンサルタントの財務会計システム「勘定奉行クラウド」とのAPI連携を開始したと発表した。

同連携により、LayerX インボイスと勘定奉行クラウドを連携し利用する事業者は、「LayerX インボイスで作成した仕訳データの勘定奉行クラウドへのAPI連携」「勘定奉行クラウドの各種マスタデータのLayerX インボイスへのAPI連携」が可能になる。これら機能を利用することで、さらに効率的な請求書処理業務が可能になるという。

「LayerX インボイス」で作成した仕訳データの勘定奉行クラウドへのAPI連携

同機能により、LayerX インボイスで作成した仕訳データや証憑をワンクリックで勘定奉行クラウドへ連携することが可能になる。CSVのエクスポート・インポートといった作業が不要になり、ミスの防止を含めた業務効率化が行える。

請求書AIクラウドのLayerX インボイスが勘定奉行クラウドとAPI連携を開始

勘定奉行クラウドの各種マスタデータの「LayerX インボイス」へのAPI連携

勘定奉行クラウドに設定済みの各種マスタ情報を、ワンクリックでLayerX インボイスに連携できる。セットアップ時・運用時にCSVのエクスポートや加工・インポートが不要になるため、プロセス全体での業務効率化につながるという。

請求書AIクラウドのLayerX インボイスが勘定奉行クラウドとAPI連携を開始

LayerX インボイスは、請求書受取業務の効率化を通じて経理DXを推進するサービス。請求書の受取り後、AI-OCRで請求書を自動でデータ化の上、仕訳データ・振込データの自動作成および会計システム連携をシームレスに実行するという。

またワークフロー機能も2021年3月より提供を開始した。経理部門だけではなく、事業部門における支払申請などにかかる作業負荷、入力ミスを解消することで、全社のデジタル化や生産性向上に寄与するとしている。

Solo.ioがそのエンタープライズプラットフォームにクラウドネイティブAPIゲートウェイとサービスメッシュを統合

最新のクラウドネイティブエンタープライズアプリケーションが必要とする、すべてのサービスやマイクロサービスに接続するのは複雑な作業かもしれない。それこそが、スタートアップのSolo.io(ソロアイオー)がGloo Mesh Enterprise(グルーメッシュエンタープライズ)プラットフォームの新しいリリースで、破壊的に変革しようとしている分野だ。

マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くSoloは、創業以来、サービスメッシュと呼ばれるコンセプトに重点を置いてきた。サービスメッシュは、異なるコンポーネントを自動化された最適なアプローチで接続する。これはしばしばKubernetes(クバネテス)によるクラウドネイティブ環境の中で提供される。

Soloの創業者でCEOであるIdit Levine(イディット・レバイン)氏がTechCrunchに説明したところによれば、2017年に会社を立ち上げた当初から、サービスメッシュのコンセプトとその必要性が市場に理解されるまでには数年かかるかもしれないと考えていたという。そのため彼女の会社は、異なるデータソースやサービスであるAPIを開発者が接続できるようにするAPIゲートウェイ技術も構築してきたのだ。

これまでは、このAPIと、SoloGloo Mesh Enterpriseのサービスメッシュのコンポーネントは別の技術であり、構成や制御も異なっていた。それが今では、APIとサービスメッシュの両方の機能が統合された、統一されたサービスに変わりつつある。この統合された機能により、Kubernetes上で動作するクラウド上のあらゆるサービスのセットアップと設定が容易になるはずだ。

Gloo Meshという名で知られるSoloのサービスメッシュは、もともとGoogleが作成したオープンソースのIstio (イスティオ)プロジェクトをベースにしている。またAPI製品はGloo Edge(グルーエッジ)と呼ばれ、オープンソースの Envoy(エンボイ)プロジェクトを利用しているが、このプロジェクトはもともとライドシェア企業のLyft(リフト)が作成したものだ。レバイン氏は、現在彼女のチームがIstioのプラグインアーキテクチャを使用して、最適化されたアプローチでEnvoyと接続していると説明している。

関連記事:サービスメッシュIstioがバージョン1.0に到達、マイクロサービスアーキテクチャの成熟を推進

レバイン氏は、多くのユーザーがAPIゲートウェイから始めて、サービスメッシュの利用へと拡大していると指摘する。今回のGloo Mesh Enterpriseのアップデートにより、SoloはサービスメッシュとAPIマネジメントの両市場で、競合他社との差別化を図ることができるようになり、顧客の導入がさらに加速することを期待していいる。

サービスメッシュの分野はまだ始まったばかりだが、たとえばライバルTetrate(テトレート)はより成熟したAPIゲートウェイ技術を提供している。またAPI管理の分野には、7100万ドル(約78億円)の資金を調達した、Kong(コング)のようなライバルがいる。2016年にGoogleはAPI ベンダーの Apigee(アピジー)を6億2500万ドル(約687億2000万円)で買収し、それ以来数年をかけてその技術の拡張を続けてきた。その中には2021年2月に発表されたApigee X(アピジーエックス)プラットフォームも含まれている。

関連記事:Google Cloudが次世代API管理プラットフォーム「Apigee X」を発表

API管理のためのGloo EdgeをGloo Mesh Enterpriseに統合したことで、SoloがAPI技術のすべてのベースをカバーできたわけではない。Gloo Edgeは、現在最も一般的なRESTベースのAPIをサポートしているが、最近徐々に存在感を増しているGraphQL(グラフキューエル) API規格には対応していない。レバイン氏は、SoloプラットフォームのためのGraphQLの発表については、これからに「期待していてください」と語った。

Soloはこれまで2回のラウンドなどから合計3650万ドル(約40億1000万円)を調達している。2018年には1100万ドル(約12億円)のシリーズAを、2020年10月には2300万ドル(約25億3000万円)のシリーズBを発表している。RedpointやTrue Venturesなどが同社の投資家として名を連ねている。

画像クレジット:Laurence Mouton/Getty Images

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(文: Sean Michael Kerner、翻訳:sako)

APIの利用状況に関するユーザーの行動のインサイトを提供するMoesifが約13億円を調達

APIファーストのサービスを提供する企業の増加を背景に、MoesifはAPIを提供する企業の顧客がAPIをどう使っているかを知る方法を開発している。

サンフランシスコに拠点を置くスタートアップのMoesifは米国時間8月23日、Craft VenturesのDavid Sacks(デビッド・サックス)氏とArra Malekzadeh(アラ・マレクザデ)氏が主導したシリーズAで1200万ドル(約13億1500万円)を調達したと発表した。2019年の350万ドル(約3億8500万円)のシードラウンドを主導したMerus Capitalも今回のラウンドに参加した。Moesifの共同創業者でCEOのDerric Gilling(デリク・ギリング)氏はTechCrunchに対し、調達金額の合計は1550万ドル(約17億円)になったと述べた。

関連記事:APIの提供企業がAPIの使われ方を知るツールMoesifがシードで$3.5Mを調達

2017年にギリング氏とXing Wang(シン・ワング)氏がMoesifを創業し、2018年にはAlchemist Acceleratorを修了した

APIの利用状況やワークフローに関するデータを必要とする企業は、これまでSnowflake上などでその機能を自社で開発する必要があったとギリング氏はいう。この場合の問題点の1つは、誰かがレポートを見たいときにその都度処理しなくてはならないことだ。つまりチケットを送ってレポートが実行されるまで待たなくてはならない。また、利用状況に基づいて正確に顧客に請求をしたり、誰かが料金の上限を超えたときに管理したりするのが難しい。

ギリング氏は次のように補足する。「最初は当社の利用者が当社プラットフォーム上で開発をしてAPIに関するデータを引き出していました。そのうち、例えば料金の上限を超えそうなときに顧客に知らせるなど、顧客に直接サービスを提供できないかと問い合わせを受けるようになりました。そこで我々は新機能を開発し、プラットフォームのルック&フィールもカスタマイズできるようにしたのです」。

Moesifは日常的にアクセスできるセルフサービスの分析と、高い費用対効果で分析をスケールできる機能を提供する。利用者はこれを使って監視し、APIに問題が発生したときに詳しく把握できる他、利用状況に基づいて誰がどの程度の頻度でAPIを使っているか、誰がプロダクトの利用をやめる可能性があるかを知ることもできる。

Moesifの2021年の売上は前月比で20%成長し、多様なユースケースと大企業にも対応できるようになっている。ギリング氏によれば、シードラウンドの時点では分析とユーザーによる試用を始めたばかりだったという。現在ではUPS、Tomorrow.io、Symbl.ai、DeloitteなどがMoesifを利用している。

2人から始まったMoesifのチームは9人になり、ギリング氏は今回の資金でエンジニアリング、セールス、デベロッパーリレーション、カスタマーサクセスのスタッフを充実させる予定だ。

同氏はこの分野におけるソートリーダーになることにも目を向けている。またGTM戦略を推進し、APIを収益化しダッシュボードを改善する新機能を開発して、顧客の利用状況よりもサーバの健全性に力を入れていると同氏がいうところの競合他社と差別化しようとしている。

投資に付随して、Craft Venturesのマレクザデ氏がMoesifの経営陣に加わる。同氏はポートフォリオの別の企業からギリング氏を紹介され、MoesifはSaas企業に関するCraftの方針に合うと考えた。

マレクザデ氏が特に関心を持っているのは開発者向けツールで、同氏は以前にAPIを開発するスタートアップで仕事をしていたときにAPIがどう使われているか、顧客にいくら請求すればいいのかがわからず「プロダクトとエンジニアリングのチームにレポートを求めていつも手こずらせていた」と問題点を痛感していた。

マレクザデ氏がそのスタートアップで働いている頃にはMoesifはまだ存在せず、同氏の会社は自社でツールを開発しなくてはならなかったが、結局使いづらいものしかできなかった。トップクラスのエンジニアを採用しても、そういう人たちは会社の中心的なプロダクトでないツールの開発に時間を使うのを嫌がった。

マレクザデ氏は「創業者の2人は技術系ですが、ウェブサイトには優れたコンテンツが掲載されていて2人をよく知ることができました。興味深いのは2人は技術系でありながらビジネスユーザーと同じ言葉を話すことで、これがデベロッパーファーストの企業としての特徴になっています。Moesifの売上の増加にはたいへん目を引かれ、顧客の照会も輝かしいものでした」と述べた。

画像クレジット:ConceptCafe / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)