有名企業も利用する検索APIスタートアップAlgoliaがユニコーンの仲間入り

Algoliaが資金調達後の評価額22億5000万ドル(約2479億5000万円)のシリーズDで1億5000万ドル(約165億3000万円)を調達した。2019年10月のシリーズCと比較すると、評価額は4倍以上だ。これで同社は評価額が10億ドル(約1100億円)を超えるユニコーンとなった。

AlgoliaはSearch-as-a-Service製品で知られている。この製品を使うと、開発者フレンドリーなAPIでアプリやウェブサイトにリアルタイム検索を統合できる。Algoliaを利用した検索機能は、MacでSpotlightを使っているような感覚だ。文字を入力するにつれて検索結果が読み込まれ、ほんの数ミリ秒で表示される。

同社の顧客は1万社を超え、その中にはSlack、Stripe、Medium、Zendesk、Lacosteなどの有名企業もある。現在Algoliaは年間1兆5000億件の検索クエリを処理している。ゼロの並びで見たい人のために書いておくと「1,500,000,000,000件」だ。

今回の資金調達ラウンドはLone Pine Capitalが主導し、Fidelity Management & Research Company LLC、STEADFAST Capital Ventures、Glynn Capital、Twilioも参加した。他に、これまでに投資していたAccel、Salesforce Ventures、DAG、Owl Rock、World Innovation Labも追加で支援した。

Algoliaは売上の数字を公表していないが、年間経常収益は前年比180%で成長しているという。

AlgoliaのCEOであるBernadette Nixon(バーナデット・ニクソン)氏は発表の中で次のように述べている。「これからはAPIファーストの時代です。このことはAPIエコノミーにおけるTwilio、Stripe、Algoliaなどの成長を見れば明らかです。我々のこれまでの、そして今後も続く成功は、PLG(Product-Led Growth)戦略で開発者にしっかりと集中していることが大きな要因です。これにより開発者はWebサイトやアプリに検索を組み込み、最も関連性が高くダイナミックなデジタルエクスペリエンスを創出できます。我々は今後もAlgolia Recommend and Predict(おすすめと予測)で検索を超えてさらに拡大し、熱意を持ってお客様の問題を解決していきます」。

Algoliaは検索APIだけでなく他にもリアルタイムのAPIを提供している。例えばeコマースサイトでAlgolia Recommendを利用するとリアルタイムでおすすめ製品を提示できる。これは同社が製品を多角化しようとする戦略の一環だ。

特に同社は、訪問者の意図を分析して何かを買おうとしているかどうか予測しようとしている。企業はその情報を利用してコンテンツを動的に更新し、プッシュ通知を送り、キャンペーンを表示できる。

フランスで創業したAlgoliaはここ数年で目覚ましく成長し、現在は大企業に特化して堅実に経営している。2020年には共同創業者のNicolas Dessaigne(ニコラ・デセーニュ)氏がCEOを退いて取締役になった

同社はここ1年半で多くの経営陣を迎え入れている。元Dropboxで最高収益責任者のMichelle Adams(ミシェル・アダムス)氏、元Alfrescoで最高財務責任者のCarlton Baab(カールトン・バーブ)氏、元Capgeminiで最高事業開発責任者のPiyush Patel(ピヤシュ・パテル)氏、元Alteryxで最高顧客責任者のJim Schattin(ジム・シャティン)氏、元SalesforceおよびAdobeで最高マーケティング責任者のJason McClelland(ジェイソン・マクレランド)氏、元Twilioで最高製品責任者のBharat Guruprakash(バーラット・グルプラカシュ)氏だ。

ご覧の通り才能あふれる人物揃いで、Algoliaはクールなテクノロジーを開発して買収を目指すのではなく息の長い企業になろうとしていることがうかがえる。この先IPOの話を聞いても驚きではないだろう。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Algolia検索APIユニコーン企業資金調達

画像クレジット:Algolia

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

Twilioの新ツールで誰でもアプリにライブビデオやオーディオを追加可能に

自分が作るアプリにテキストメッセージングや電話の通話を組み込みたいときのためのAPI集を提供しているTwilioが、ライブのストリーミングという新しいカテゴリーに乗り出した。

米国時間7月14日朝、同社はTwilio Liveを発表した。このプラットフォームは、開発者がもっと簡単にライブ動画や音声を自分のアプリに組み込めるようにするものだ。

詳細はまだ乏しいが、現在、わかっているのは次のとおりだ。

  • Twilio Liveは本日ローンチするが、招待制のベータであり、誰でもすぐアクセスできるわけではない
  • iOSとAndroidとすべての「メジャーなブラウザー」をサポート
  • コンテンツのストリーミングができるだけでなく、対話機能もあるので、テキストによるチャットや、YES / NOなどの意向調査、画面共有、オーディエンスにスピーカーになってもらうことなどができる

Clubhouseが人気になって以降、そのクローンが氾濫し、大物であるLinkedInTwitter、それにDiscordなどが、そのいいとこ取りをしようとした。Twilioがやろうとするのは、Clubhouseの機能をプラグアンドプレイのSDKにすることだから、とても楽しみだ。

ライブのストリーミングで車輪を再発明しようとしたら、最大の課題がスケーリングだ。100人の視聴者でうまく動いても、人気が広まってオーディエンスが突然1万になったら、ノロノロ運転になってしまった。Twilioは最近の10年間をインフラのスケーリングとレイテンシーの問題に費やしてきた。だから今回は、最初からうまくいくのではという期待もある。

Twilio Liveの料金体系など、詳細はまだわからない。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TwilioライブストリーミングAPI

画像クレジット:Twilio

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

生データを大規模なリアルタイム分析APIに変えるTinybirdがシードで約3.3億円調達

Tinybirdは、開発者がインフラやクエリ時間など、巨大なデータセットを扱う際に生じる煩わしい問題を気にすることなく、大規模なデータ製品を構築できるよう支援する新しいスタートアップだ。同社は大規模なデータを取り込み、SQLを使ってデータを変換し、そのデータをAPIエンドポイントで公開する。

ここ数年、アナリティクスやビジネスインテリジェンス製品は、我々がデータを扱う方法を大きく変えた。現在、多くの大企業では、データウェアハウスやデータレイクにデータを保存している。そして、それらのデータセットからインサイトを得ようとしている。

とはいえ、データの抽出や操作にはコストがかかり、時間もかかる。四半期ごとの業績を発表するためのパワーポイントを作成するのには有効かもしれない。しかしそれでは、最新のウェブ製品やデータ製品を作ることはできない。

「Tinybirdで取り組んでいるのは、開発者があらゆる規模のデータ製品を構築できるようサポートすることです。そして、当社はリアルタイム性に重点を置いています」と、共同創業者兼CEOのJorge Gómez Sancha(ホルヘ・ゴメス・サンチャ)氏は語ってくれた。

共同設立者のチームは、もともとCartoで出会った。彼らはすでにそこで、複雑なデータの問題に取り組んでいた。「毎年、人々は桁違いのデータを持ってきていました」とゴメス・サンチャ氏は語る。そこから生まれたのが、Tinybirdだ。

画像クレジット:Tinybird

同社の製品は、3つの部分に分けられる。まずユーザーは、自分のTinybirdアカウントとデータソースを接続する。すると、それらのデータソースから連続的にデータを取り込むことができる。

次の段階としてユーザーは、そのデータをSQLクエリを通して変換できる。コマンド行インターフェースに加えて、ウェブインターフェイスでもSQLクエリを入力し、複数のステップに分けて、すべてを文書化できる。クエリを書くたびに、そのクエリに従ってデータがフィルタリングされたりソートされるのを見ることができる。

3つ目は、これらのクエリに基づいてAPIエンドポイントを作成することだ。その後は、標準的なJSONベースのAPIのように動作する。それを使って、自分のアプリケーションでデータを取得することができる。

Tinybirdの特徴は、まるでリアルタイムでデータを照会しているかのような高速性にある。「当社のお客様の中には、Tinybirdを介して1日平均1.5兆行以上を読み取り、1日に約50億行をインジェストしている組織もあれば、数十億行のデータセットを照会するために当社のAPIに1秒あたり平均250回のリクエストを行っているケースも多くあります」とゴメス・サンチャ氏はメールで書いている。

舞台裏では、同社はClickHouseを使っている。しかし、Tinybirdがすべてのインフラを管理してくれるので、ユーザーがその点を心配する必要はない。

現時点で、Tinybirdは3つの有望なユースケースを特定している。顧客は、製品内アナリティクスを提供するためにTinybirdを使用することができる。例えば、ウェブホスティングサービスを運営していて、顧客にアナリティクスを提供したい場合や、オンラインストアを運営していて、顧客に購買データを表示したい場合など、Tinybirdはそのような用途に適している。

また、同社の顧客の中には、社内で共有できるリアルタイムダッシュボードなど、オペレーショナルインテリジェンスのためにこの製品を利用するケースもある。チームはより迅速な対応が可能になり、すべてが正常に稼働しているかどうかを常に把握することができる。

また、Tinybirdを自動化や複雑なイベント処理の基盤として使用することもできる。例えばTinybirdを活用することにより、トラフィックをスキャンしてリアルタイムに反応するウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)を構築することなどができる。

Tinybirdは、Crane.vcが主導するシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)の資金を調達した。また今ラウンドには、GitHubのNat Friedman(ナット・フリードマン)CEO、Algoliaの共同創業者であるNicholas Dessaigne(ニコラス・デサイーグ)氏、VercelのGuillermo Rauch(ギレルモ・ラウチ)CEO、GitHubのJason Warner(ジェイソン・ワーナー)CTO、元HerokuのCEOであるAdam Gross(アダム・グロス)氏、Collibraの共同創業者兼CTOであるStijn Christiaens(スティーン・クリスティアン)氏、Auth0の共同創業者兼CTOであるMatias Woloski(マティアス・ウォロスキー)氏、Hybrisの共同創業者Carsten Thoma(カーステン・トーマ)氏など、多数のビジネスエンジェルが参加している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Tinybird資金調達API

画像クレジット:Nana Smirnova / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

AIリスク情報配信FASTALERTの「リアルタイムAPI」機能がアップデート、災害ビッグデータの網羅性が国内最大級に

災害ビッグデータの網羅性が国内最大級に、AIリスク情報配信「FASTALERT」の「リアルタイムAPI」機能が大幅アップデート

SNSに投稿された災害や事故などのリスク情報を収集し、AIで精査して配信するウェブサービス「FASTALERT」(ファストアラート)を提供するJX通信社は6月29日、外部サービスやアプリでの「FASTALERT」のリスク情報を共有可能にする「FASTALERT リアルタイムAPI」の大幅アップデートを発表した。

FASTALERT リアルタイムAPIは、自然災害速報、火災速報、ライフライン速報、通信障害・システム障害速報、新型コロナウイルス感染症・ワクチン関連統計情報をすでに提供済み。今回新たに、鉄道運行情報、バス運行情報、航空運行情報、フェリー・客船運行情報、高速道路情報、停電情報、新型コロナ感染場所(事例)情報が追加しており、人々の関心が高い旅客インフラの遅延や高速道路の混雑状況などが、このAPIをサービスやアプリに組み込むことで提供可能になる。

たとえば、Yahoo! Japan、LINENEWS、FNNプライムオンラインは、このAPIを使って「新型コロナ ワクチン接種リアルタイム統計データ」を提供している。

FASTALERTは、TwitterなどのSNS投稿のほか、企業や官公庁からの公式情報、JX通信社の一般向けニュース速報アプリ「NewsDigest」からリスク情報を収集し、独自のAI技術でデマなどのノイズを排除した上で発生場所を特定し、「できごと単位」で即時配信するサービス。日本のすべての民放キー局とNHK、そのほかのマスコミおよびインフラ企業、警察、消防、自治体などでも広く導入されている。2016年9月にベータ版をリリース、2017年4月に公式リリースした後、ニュース番組などでの「視聴者提供動画」の定着に寄与したという。2018年には日本新聞協会「技術開発奨励賞」を受賞するなど、数多くの賞を獲得し、現在はSNS緊急情報サービスのシェア1位の業界標準とされている。

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SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:API(用語)自然災害 / 火災(用語)JX通信社(企業)事故 / アクシデント(用語)FASTALERT日本(国・地域)

Visaが欧州の主要フィンテック企業、オープンバンキングプラットフォームのTinkを約2380億円で買収

Visa(ビザ)は米国時間6月24日、Tink(ティンク)を18億ユーロ(約2380億円)で買収する計画を発表した。TinkはオープンバンキングAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)に注力している、欧州の主要フィンテックスタートアップだ。

今回の動きは、Visaが別の人気オープンバンキングスタートアップPlaid(プレイド)の買収を諦めてから数カ月後のことだ。元々VisaはPlaidの買収に53億ドル(約5880億円)を使う予定だった。しかし規制の壁に阻まれて買収を白紙に戻した。

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Tinkは顧客が銀行口座をアプリやサービスからつなげることができるAPIを提供している。例えばユーザーは取引明細書へのアクセス、支払い、銀行情報の取り込み、データ定期更新をするのにTinkのAPIを活用できる。

EUのPayment Services Directive PSD2によりすべての銀行や金融機関は現在、オープンバンキングのインターフェースを提供しなければならないが、統一基準はない。Tinkは3400の銀行と金融機関を統合している。

アプリデベロッパーは、さまざまな金融機関で銀行口座とやり取りするのに同じAPIコールを使うことができる。ご想像の通り、これはオープンバンキング機能の導入プロセスを大幅に簡素化する。

300の銀行とフィンテックスタートアップがサードパーティーの銀行情報にアクセスするのにTinkのAPIを使っている。クライアントにはPayPal、BNP Paribas、American Express、Lydiaなどがいる。Tinkは欧州で計2億5000万もの銀行顧客をカバーしている。

スウェーデン・ストックホルム拠点のTinkのオペレーションは買収後もこれまで通り続くとみられる。VisaはTinkのブランドと経営陣を保持するつもりだ。

Crunchbaseデータによると、TinkはDawn Capital、Eurazeo、HMI Capital、Insight Partners、PayPal Ventures、Creades、Heartcore Capitalなどから3億ドル(約330億円)超を調達している。

「過去10年、Tinkを欧州でトップのオープンバンキングプラットフォームにすべく懸命に取り組んできました。Tinkのチーム全体が一丸となって構築したものをとても誇りに思っています」とTinkの共同創業者でCEOのDaniel Kjellén(ダニエル・ケレン)氏は声明で述べた。「我々はすばらしいものを構築し、と同時に上っ面をなでたにすぎません」。

「Visaに加わることで、我々はこれまでよりも迅速に動き、さらにリーチを伸ばすことができます。次のステージに向けてVisaは最適なパートナーであり、今回の買収がTinkの従業員、顧客、そして将来の金融サービスにもたらすものに非常に胸躍らせています」。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:VisaTink買収API

画像クレジット:Tink

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

GoProがHERO9 Blackをサードパーティー製品と連携可能にするオープンAPI「Open GoPro」を発表

GoProが「HERO9 Black」をサードパーティー製品と連携可能にするオープンAPI「Open GoPro」を発表

GoPro(ゴープロ)は6月23日、上位機種HERO9 Blackとサードパーティー製品を連携できるようにするオープンAPIの取り組み「Open GoPro」(GitHub)を発表。6月23日より提供を開始した。また、HERO9 Blackのファームウェアアップデートv1.6もリリースされた。

API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)とは、一部のソフトウェアの仕様を公開して、サードパーティーの開発者が利用できるようにするためのソフトウェア資源のことをいう。開発者は、Open GoPro提供APIを利用することで、HERO9 Blackのワイヤレス接続、カメラのコマンドとコントロール、カメラのステータス、カメラのプレビュー、SDカード上のメディアの確認・転送の各機能を、自社製品から使うことが可能になる。

たとえば、すでに「Open GoPro」を導入したフィットネス向けスマートウォッチのメーカーAmazfit(アマズフィット)は、同社のスマートウォッチのタッチディスプレイからGpProを操作できるようにした。また、バイクのライダー向け無線機のメーカーSena(セナ)は、一部ヘッドセットの内蔵マイクから音声でGoProを操作できるようにしている。

今回のHERO9 Blackのファームウェアアップデートでは、カメラ電源のオン・オフの速度と安定性、Quikアプリの接続性、メニューと設定画面のタッチスクリーン感度、「The Remote」によるカメラ操作の安定性の改善などが含まれている。アップデートは、カメラをQuickアプリとペアリングするか、GoProの公式サイトで行える。

デモンストレーションとサンプルコード(C/C++、C#、Python、Swift)はGoPro.com/OpenGoProGitHub)上から入手できる。申請や承認手続きは不要。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:API(用語)オープンAPI(用語)カメラ(用語)GoPro(企業・製品)、C言語(製品・サービス)C#(製品・サービス)C++(製品・サービス)SwiftPython(製品・サービス)

アップルがようやく開発者向けにスクリーンタイムAPIを公開

2018年に公開されたiOS 12で、Apple(アップル)は独自の内蔵スクリーンタイム追跡ツールと制御機能を導入した。そして独自のスクリーンタイムシステムを実装したサードパーティアプリの取り締りを開始した。同社は彼らの方法がユーザーのプライバシーを危険に晒しているためだと説明した。当時なかったものは何か?デベロッパーがAppleのスクリーンタイムシステムを利用して、独自の体験を作り出すためのスクリーンタイムAPIだ。それがようやく変わった。

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米国時間6月7日に行われたAppleのWorldwide Developer Conferenceで、同社はスクリーンタイムAPIを発表した。デベロッパーがユーザープライバシーを守りながら、ペアレンタルコントロール体験を開発できるフレームワークだ。

iOS SDK(ソフトウェア開発キット)には新しいSwiftフレームワークが3種類追加され、デベロッパーは子どもがデバイス上でできることを親が管理して制限を加えるためのアプリを開発できるようになった。

このAPIを利用するアプリは、アカウントのロック、パスワード変更の禁止、ウェブトラフィックのフィルタリング、利用できるアプリの制限などさまざまな制約を設定できる。こうした設定はAppleのスクリーンタイムシステムですでに可能だが、デベロッパーは自社ブランドの元で独自の体験を提供できるようになり、Appleのシステムが提供する機能を拡張することもできる。

APIを利用するデベロッパーのアプリは、それ自身をロックして親の承諾なしにデバイスから削除できなくすることもできる。

アプリは親の本人認証を行い、そのユーザーが管理しようとしているデバイスが家族のものであることを確認できる。さらに、Appleによると、このシステムはユーザープライバシーを損なうことなく、親が制限したいアプリとウェブサイトを選ぶことができるという(システムはアプリの識別子やウェブサイトのURLの代わりに、解読不能なトークンだけを返すので、サードパーティはユーザーが使ったアプリやウェブ閲覧の詳細などの個人的データをアクセスできない、とAppleはデベロッパーに伝えている。このため、怪しげな会社がスクリーンタイムアプリを作りアプリ利用に関するユーザーデータを収集する、といったことはできない。

サードパーティアプリは、アプリごとあるいは行動のタイプごとに専用のタイムウィンドウを作り、まもなく時間切れになることを子どもに警告できる。時間になると、管理アプリはウェブサイトやアプリへのアクセスをロックし、子どもに宿題の時間であることを伝えたり、デベロッパーの考えるその他の体験を提供する。

一方で、アプリは子どもが宿題や読書や手伝いなどの仕事を終えたらスクリーンタイムをもらえるインセンティブを設定することもできる。

デベロッパーは、一連の機能を利用してAppleの基本的制御機能の上に独自のアイデアを載せることで、Apple自身のスクリーンタイムシステムにない新たな体験をデザインすることもできる。スクリーンタイムの管理がもっと簡単になりニーズに合わせてもっとカスタマイズできるようになるのなら、親は渋々財布の紐を緩めるだろう。

「ファミリー」環境以外にもスクリーンタイムを利用するアプリはある。例えばメンタルヘルスや幸せな生活などだ。

もちろん、デベロッパーたちはスクリーンタイム機能が公開された時からAPIの提供を求めてきたが、Appleは開発の優先順位を上げなかった。しかし、2020年の反トラスト公聴会でライバルのスクリーンタイムアプリを禁止した行為が取り上げられてから事態は変化した。当時Apple CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は会社の決定を擁護し、アプリはMDM(モバイル・デバイス・マネージメント)技術を使用しており、それはホームユースではなく大企業の従業員向けデバイスを管理するために作られていると説明し、それがプライバシーリスクになる、と述べた。

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WWDCでAppleは同APIの仕組みを詳しく解説するセッションを用意しているので、その時のデベロッパー向け情報が公開されれば、詳しいことがわかるはずだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiOS 15APISDK子どもスクリーンタイムプライバシー独占禁止法

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがSNSを研究する学術コミュニティ向けに「Researcher API」リリース予定

Facebook(フェイスブック)は、研究コミュニティによるアクセスに特化して設計された新しいAPIのリリースに向けて準備していると明かした。米国時間6月2日に開催された同社の開発者会議「F8」で発表されたこのAPIは、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のデータスキャンダルを受けて、2018年に同社のプラットフォームに加えられた変更によって生じた問題に対処するためのものだ。この事件により、同社は開発者がユーザーデータにアクセスできるかどうか再検討する必要に迫られた。

Facebookは過去3年間で、将来のデータの乱用や侵害のリスクを減らすために、何千ものAPIを非推奨にしたという。

また、プラットフォーム上の開発者との契約を更新し、開発者らが「我々と同じ価値観を持っている」ことを確認したと、Facebookのプラットフォームパートナーシップ担当幹部であるKonstantinos Papamiltiadis(コンスタンティノス・パパミルティアデス)氏は基調講演で述べた。

しかし同社はこれらの変更が、これまでFacebookのデータに広くアクセスできていた学術研究コミュニティに影響を与えたことを認めた。

その問題に対応するため、同社は近日中に「Researcher API」を提供開始すると発表した。これにより、同ソーシャルネットワークの「社会への影響」を理解することを目的とする研究者たちは再びFacebookのデータを分析できるようになる、とパパミルティアデス氏は述べた。

「当社はこの問題に適切に対処したいと考え、人々のデータを安全に守りながら、研究者をサポートするための最高の製品を開発することを意図しました」とも。

Researcher APIは、プライバシーが保護された環境で、公開されているFacebookページ、グループ、イベント、および米国の投稿レベルのデータへのリアルタイムアクセスを提供する予定であると、同氏は述べている。しかし、研究者をどのように審査するのか、データへのアクセスに料金が発生するのかなど、より詳細な情報は明らかにされていない。

Facebookによると、このAPIは2021年後半には学術コミュニティで利用可能になるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookF8 RefreshAPI学術研究

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックがWhatsApp APIをアップデート、ビジネス利用を促進

WhatsApp(ワッツアップ)には全世界で20億人以上のユーザーがいるが、ビジネス利用を開拓する努力は比較的控えめだ。現在1億7500万人を少し超えるユーザーが、WhatsAppのビジネスアカウントを使ってメッセージをやりとりして、日々のカスタマーサポートや製品検討を行っている。米国時間6月2日、Facebook(フェイスブック)は同社のF8イベントで、WhatsApp APIの体験を拡張するアップデートをいくつか公開した。

このニュースは、Facebookがこの日にInstagram(インスタグラム)Messenger APIの一般公開を発表した直後のことで、同プラットフォームのビジネス利用を便利にする一連の発表の一環だ。

全般的に、Facebookと同社サービスの多くは消費者向けサービスの色が非常に濃い。数十億の人たちが連絡を取りあい、気分転換し、自分にとって重要なことを知るために使っている。

しかし、企業はFacebookでつながりを作ったユーザーを中心とした非常に大きくてお金になる商用インフラストラクチャーを徐々に構築している。広告に始まり、マーケティング、カスタマーサービス、職場の生産性向上、ショッピングなどへと深く広げている。

F8カンファレンスは、元々はハッカソンとして生まれ、非常に大きいイベントへと成長した。2021年は、過去数年と比べて著しく縮小されたイベントになった。大観衆はなく(完全バーチャル)、大きいサービスやハードウェアの発表もなく、どちらかというとZoom(ズーム)会議のような印象だ。ビジネス志向のデベロッパーツールに関するこの日の発表は、イベントを当初のデベロッパー重点のイベントへとリセットするだけでなく、商業戦略を強化するものだ。

WhatsApp for Businessに関しては、WhatsApp for Businessを設定するところから、さまざまな種類のメッセージに対応することまで長年の課題がある。今回Facebookが取り組んでいるのはそこだ。

まず、WhatsAppでビジネスアカウントを設定するのに要する時間を5分に短縮する(これまでは数週間だったと述べている)。

次に、Facebookは設定したビジネスアカウントを簡単に使えるようにする。まず、企業はインバウンドメッセージに早く対応できるようになり(これまでは「24時間より前の顧客はフォローアップが困難」だった)、たとえば在庫確認などに関してオプトインしているユーザーにメッセージを送ることができる。

カスタマーサービスのためにこのツールを使っている企業は、最大10種類のメッセージ・テンプレートを作って対応をスピードアップできるようになり、よくある質問への返信を準備しておいて送るための返信ボタンを設定することもできる。

WhatsAppのニュース以外に、FacebookはMessengerにも、Facebook Login Connectを拡張するツールを追加する。

要するに、企業がFacebook Loginを統合すると、ユーザーは自分のFacebook認証情報を使ってその企業のアプリやウェブサイトにログインし、Messengerを通して企業と会話することができる。

これが便利なのは、ユーザーが1カ所で会話を追跡できるだけでなく、チャットボットであれ他のCRMデータベースへのリンクであれ、企業が元々Messengerで会話するために作ったツールをアクセスできることだ。Facebookによると、ユーザーの70%がLogin Connectツールの利用にオプトインするそうで、Facebookの認証情報をこのように使う意志があることを表している。

現在は限定ベータだが、数カ月のうちにもっと広く公開する、とFacebookは言っている。

最後に、FacebookはBusiness Suite(ビジネス・スイート、企業がFacebook、InstagramおよびMessengerを横断して行動を管理するためのプラットフォーム)の新機能を公開し、デベロッパーが「Business Apps」(ビジネス・アプリ)を作れるようにした。

これはアプリストアのような意味のアプリではなく、サードパーティー(デベロッパー)がFacebookの内蔵Business Suiteと協調して動かすために作るツールのことで、企業のサイトやアプリにFacebookのツールをさらに統合するとともに、企業のコンテンツ(カタログ項目など)を自社のFacebookページやInstagramアカウントなどに持ってくる。このプラットフォームではすでに90社のデベロッパーが開発中で、Bigcommerce(ビッグコマース)のようなeコマースプラットフォームと統合している、とFacebookは述べた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookF8 RefreshAPIWhatsApp

画像クレジット:WhatsApp.com

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nob Takahashi / facebook

病気と老化をハックする長寿テックGero AIが健康状態の変化を定量化するモバイルAPIを発表

スマートフォンやウェアラブルデバイスのセンサーデータにより、個人の「生物学的年齢」やストレスへの耐性を実用レベルで予測することができると語るのは、Gero AI(ジェロ・エーアイ)だ。

この長寿技術のスタートアップは、そのミッションを「Gero AIで複雑な病気と老化をハックする」という簡潔な目標に集約しており、モバイルユーザーの身体的活動を追跡する歩数計センサーデータのパターン認識に基づいた「デジタルバイオマーカー」を用いて、罹患リスクを予測するAIモデルを開発した。

単に「歩数」を計測しただけでは、個人の健康状態を予測するのに十分な差異を識別できない、というのが同社の主張だ。同社のAIは、大量の生体データを用いて学習し、罹患リスクに結びつくパターンを見つけ出す。また、生物学的ストレスからの回復の早さも測定するが、これも寿命に関連するバイオマーカーの1つだ。つまり、ストレスからの回復が早ければ早いほど、その人の全体的な健康状態が良くなるということだ。

査読付き生物医学誌Aging(エージング)に掲載されたGero AIの研究論文では、ディープニューラルネットワークを学習させてモバイル機器のセンサーデータから罹患リスクを予測する方法を説明している。そして、その生物学的年齢加速モデルが血液検査の結果に基づくモデルと同等であることを実証した。

また、2021年5月末にNature Communications(ネイチャーコミュニケーションズ)誌に掲載される予定の別の論文では、デバイスを用いた生物学的回復力の測定について詳しく説明している。

シンガポールを拠点とするこのスタートアップは、ロシアに研究のルーツを持ち、理論物理学のバックグラウンドを持つロシア人科学者によって2015年に設立された。そして、これまでに2回のシードラウンドで合計500万ドル(約5億4000万円)を調達している。

共同設立者のPeter Fedichev(ピーター・フェディチェフ)によると、出資者はバイオテック分野とAI分野の両方から参加しているという。投資家には、ベラルーシを拠点としAIに特化したアーリーステージファンド、Bulba Ventures(バルバベンチャーズ)のパートナーであるYury Melnichek(ユリー・メルニチェク)が含まれている。製薬分野では、ロシアの医薬品開発企業であるValenta(バレンタ)に関連する(匿名の)個人投資家数名からの支援を受けている(バレンタ自体は出資していない)。

フェディチェフ氏は理論物理学者で、博士号を取得し、10年ほど学術研究の世界に身を置いた後、バイオテックの世界に入り、創薬のために分子モデリングや機械学習に取り組んだ。そしてそこで老化の問題に興味を持ち、会社を設立することにした。

同社では、長寿に関するマウスや線虫を用いた生物学的研究に加え、モバイルデバイスで取得したセンサーデータを使って人間の生物学的年齢やストレスからの回復力を予測する、AIモデルの開発にも力を入れている。

「健康は、もちろん1つの数字だけで表せるものではない」とフェディチェフ氏は率直にいう。そして「そのことに幻想を抱くべきではない。しかし、人間の健康を1つの数字に集約するのであれば、多くの人にとって、生物学的年齢が最適な数字となる。自分のライフスタイルがどれだけ不健康であるのか、本質的に知ることができる。実年齢に比べて生物学的年齢が高ければ高いほど、慢性疾患や季節性の感染症にかかる可能性が高くなり、またそういった季節性の疾患から合併症を併発する可能性も高くなる」と語る。

Gero AIは最近、GeroSenseという(今のところ有料の)APIを公開した。このAPIは、健康やフィットネス関係のアプリを対象としており、AIモデリングを適用して、ユーザーに生物学的年齢とストレス耐性(ストレス状態から各個人の基準値への回復率)の個別評価を提供できる。

初期のパートナーは、長寿に注力する別の企業、AgelessRx(エイジレス・アールエックス)とHumanity(ヒューマニティ)だ。そして、このモデルをフィットネスアプリに広く搭載し、長期的な活動データをGero AIに安定的に送信してAIの予測能力をさらに高め、製薬会社との協業によりアンチエイジング薬の開発を進めるという広範な研究ミッションをサポートすることを意図している。

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フィットネスプロバイダーがAPIを導入するメリットは、楽しい上に価値のある機能をユーザーに提供できることだ。個人の健康状態を測定することで、ポジティブな(あるいはネガティブな)生物学的変化を把握することができ、利用しているフィットネスサービスの価値を定量化することが可能になる。

「ジムなどを含めた、あらゆるヘルス&ウェルネスプロバイダーは、自分のアプリに、例えば【略】ジムのすべてのクラス、ジムのすべてのシステムを、さまざまなタイプのユーザーに合った価値に応じてランク付けすることができる」とフェディチェフ氏は説明する。

「マウスではなく、人間の老化の仕組みを理解するために、このような機能を開発した。開発後は、遺伝子を見つけるための高度な遺伝子研究に使用し、見つけた遺伝子は研究室でテストしている。しかし、ウェアラブルデバイスから得られる継続的な信号から老化を測定するこのテクノロジーは、それだけでも優れた手法だ。だからこそ、このGero AIセンスプロジェクトを発表した」と続ける。

「老化とは、機能的能力が徐々に低下していくことであり、望ましいことではないが、ジムに行けば改善できる可能性がある。しかし、問題はこの回復力を失っていくこと、つまり、(生物学的な)ストレスを受けたときに、できるだけ早く通常の状態に戻ることができないということだ。そのため、回復力をフィードバックしている。この回復力が失われ始めると、頑健さを維持できなくなり、20代と同じレベルのストレスを受けたときに、ノックアウトされてしまうことになる。

この回復力の低下は、病気になる前の段階でも、近いうちに病気にかかる可能性があることを教えてくれるので、老化の重要な表現型の1つだと考えている。

社内では老化がすべてだ。当社は、老化の測定と介入に全力で取り組んでいる」とフェディチェフ氏は語り、「長寿と健康のためのオペレーティングシステムのようなものを作りたいと考えている」と付け加える。

Gero AIは「トップクラス」の保険会社と2件の試行的運用からも収益を得ている。フェディチェフ氏によると、この試行は、現段階では基本的にビジネスモデルの実証として行なっているとのことだ。また、Pepsi Co(ペプシコ)とも試行の初期段階にあるという。

さらに同氏は、健康転帰の分野で保険会社と連携することとElon Musk(イーロン・マスク)氏がセンサーを搭載したTesla(テスラ)の所有者に対して、その検知した運転状況に基づき保険商品を提供することとの関連性を説明する。両社はどちらもセンサーデータを利用しているためだ。(「イーロン・マスクが自動車に対して行おうとしていることを、当社は人間に対して行おうとしている」と、同氏はいう」)。

しかし、近い将来の計画は、さらに資金を調達し、APIの提供を無料に切り替えてデータ収集の機会を大幅に拡大することだ。

話を少し広げると、Googleが出資するCalico(キャリコ)が「死の克服」というムーンショットミッションを掲げて設立されてから、約10年が経過した。それ以来、小さいながらも成長を続ける「長寿」分野ではスタートアップが誕生し、(まず第1に)人間の寿命を延ばすための研究を行っている。(死を終わらせることは、明らかに、ムーンショットの中のムーンショットだ)。

もちろん死は避けられるものではないが、死神の襲来から逃れるための薬や治療法を見つけるビジネスはペースを上げ続けており、投資家からの資金も集まってきている。

研究データのオープン化や、健康状態把握のためのデジタルデバイスやサービスの普及により、健康や生物学的なデータがますます充実し、入手しやすくなっていることに加え、予測医療や創薬などに急速に展開されている機械学習の将来性も相まって、この傾向は加速している。

また、最近では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、健康やウェルネス、そして特に死亡率に関心が集まっていることから、長寿への関心の高まりも見られる。

しかし、そうは言っても、複雑で多分野にまたがるビジネスであることに変わりはない。これらのバイオテックでのムーンショットを狙う企業の中には、病気の診断や創薬を推進するためにバイオエンジニアリングや遺伝子編集に焦点を当てた企業もある。

また、Gero AIのように、AIやビッグデータ解析を利用して、生物学的な老化を深く理解し進行を妨げようとしている企業も数多くある。そういった企業では、物理学、数学、生物学の専門家を集めてバイオマーカーを探し、老化にともなう病気や機能低下に対処するための研究を進めている。

最近の例としてはAIスタートアップのDeep Longevity(ディープ・ロンジェビティ)が、2020年の夏にAI創薬企業Insilico Medicine(インシリコ・メディシン)からスピンアウトしステルスモードから姿を現した。同社は、AIによる「サービスとしての長寿」システムを謳い、個人の生物学的年齢を「従来の方法よりも大幅に正確に」予測できるとしている(また、科学者らが「老化に関連する疾患を引き起こす生物学的な原因」を解明するのに役立つと期待している)。

Gero AIは、包括的には同じ目標に向かっているが別のアプローチを取っている。つまり、人々が日常的に持ち歩いている(あるいは身につけている)モバイルデバイスに搭載された活動センサーが生成するデータに注目し、生物学的研究のための代用信号として活用する。

その利点は、自分の健康状態を把握するために、定期的に(侵襲による)血液検査を受ける必要がないことだ。その代わりに、人々のパーソナルデバイスを使って、生物学的研究のための代用信号を、受動的に大規模かつ低コストで生成することができる。つまり、Gero AIの「デジタルバイオマーカー」によって、個人の健康状態の予測に使うデータを民主的に取得できるようになる。

Peter Thiel(ピーター・ティール)氏のような億万長者は、死の一歩手前でいられるよう、特注の医療モニタリングや医療介入に大金を払う余裕があるが、そのようなハイエンドのサービスは、一般の人々の手が届くはずもない。

Gero AIのデジタルバイオマーカーが同社の主張に沿うものであれば、少なくとも何百万人もの人々をより健康的なライフスタイルへと導くことができるだろう。そして同時に、長寿の研究開発のための豊富なデータを得ることができ、人間の寿命を延ばすことができる薬の開発の助けにもなる(そのような延命薬剤がいくらかかるかはまったく別の話だが)。

保険業界も当然関心を示しており、このようなツールを使って契約者に健康的なライフスタイルを促すことで、保険金の支払いコストを削減できる可能性がある。

健康増進に意欲的な人にとって、現在の問題は、どのようなライフスタイルの変化や医療介入が自分の生物学的特性に最も適しているのかを正確に知ることが非常に困難なことだとフェディチェフ氏はいう。

例えば、ファスティングは生物学的老化の防止に役立つという研究結果がある。しかし、同氏はこのアプローチがすべての人に有効であるとは限らないと指摘する。同じことが、一般的に健康に良いとされている行動(運動や特定の食品を食べたり避けたりすることなど)にも言えるだろう。

また、そういった経験則も、個人の特定の生物学的性質に応じて、さまざまな差異があるかもしれない。さらに、科学的な研究には、どうしても資金面での制約がある。(そのため、研究の対象では、女性よりも男性、中高年よりも若年層といったように、特定のグループに焦点が当てられ、他のグループが除外される傾向がある)。

そのような理由から、フェディチェフ氏は、基本的に個人の費用負担なしで健康に関する知識のギャップに対処できるように、評価基準を作成することに大きな価値があると考えている。

Gero AIは、研究パートナーの1つである英国のバイオバンクの長期間にわたるデータを用いて、同社のモデルによる生物学的年齢と回復力の測定値を検証した。しかし、もちろん、より多くのデータを取り込むことで、さらにモデルを進化させたいと考えている。

「技術的には、当社が行なっていることとそれ程違うものではない。ただ、UKバイオバンクのような取り組みがあるからこそ、今、当社ができることがある。政府の資金と業界のスポンサーの資金に加え、おそらく人類史上初めて、何十万人もの人々の電子医療記録、遺伝学、ウェアラブルデバイスが揃った状況になり、それが可能になった。技術的なものだけでなく、(英国のバイオバンクのような)『社会技術』と呼ばれるものも含めて、いくつかの開発が収束した結果だ」と同氏はTechCrunchに語る。

「想像してみて欲しい。すべての食事、すべてのトレーニング、すべての瞑想……ライフスタイルを実際に最適化するために、(それぞれの人にとって)どのようなことが効果的で、どのようなことが効果的でないのかを理解できることを。あるいは、すでに動物で寿命を延ばすことが証明されている実験的な薬が有効かもしれないし、何か違うことができるかもしれない」。

「100万件の追跡データ(100万人の半年分のデータ)が集まれば、それを遺伝学と組み合わせて、老化を解決できるだろう」と、起業家らしく語り「この計画の挑戦的なスケジュールでは、年末までにその100万件の追跡データを手に入れたいと考えている」と続ける。

フィットネスや健康のアプリは、データを必要とする長寿研究者にとってパートナーのターゲットとなることは明らかだが、お互いに関心を引く関係になることも想像に難くない。一方はユーザーを提供し、もう一方は高度なテクノロジーとハードサイエンスに裏付けられた信頼性のオーラをもたらすことができる。

「当社は、これらの(アプリ)が多くのユーザーを獲得することを期待している。そして、まず楽しい機能として、ユーザーのためにユーザー自身を分析できるだろう。しかし、その裏では、人間の老化に関する最高のモデルを構築する必要がある」とフェディチェフ氏は続ける。そして、さまざまなフィットネスや健康増進法の効果をスコアリングすることが、ウェルネスと健康の「次のフロンティア」になると予測している(あるいは、より簡潔に言えば「ウェルネスと健康は、デジタルで定量的なものにならなければならない」ということだ)。

「当社が行なっていることは、物理学者を人間のデータの分析に参加させることだ。最近では、多くのバイオバンクがあり、人間の老化プロセスを数年単位で表示するデバイスからのものを含め、多くのシグナルを入手している。つまり、天気予報や金融市場の予測のような、動的なシステムだ」と同氏は述べる。

「治療方法は特許を取得できないので自分たちのものにはならないが、パーソナライゼーション、つまり治療法を各個人に合わせてカスタマイズしてくれるAIは自分たちのものになるかもしれない」。

スタートアップの視点からは明確だ。長い目で見れば、パーソナライゼーションは、ここにある。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Gero AI健康長寿人工知能APIアプリウェアラブルデバイスムーンショット

画像クレジット:Gero AI

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

開発者向け動画プラットフォーム「Mux」が約115億円調達しユニコーンに

わずか8カ月ほど前に3700万ドル(約40億4000万円)の調達ラウンドを完了したビデオAPIのMuxが、さらに1億500万ドル(約114億8000万円)を獲得した。

そのシリーズDはCoatueがリードしたが、そのとき同社の評価額は10億ドル(約1093億円)を超えていたと思われる(Muxは金額を非公開)。既存の投資家であるAccelやAndreessen Horowitz、そしてCobaltも参加し、また新たな投資家としてDragoneerが加わった。

共同創業者でCEOのJon Dahl(ジョン・ダール)氏によると、同社はさらに多くの財源を必要としていたわけではないが、会社の上部と引き続き縁のあったCoatueとその他の投資家たちにその気があり、結局彼らが「ビデオの転換期」においてより迅速な成長を支援するにはさらなる投資が必要、と決めてしまった。

a16zの共同創業者Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)が流行らせた言葉を借りてダール氏は「10年前にソフトウェアが世界を食べていたのと同じように今は、ビデオがソフトウェアを食べている」と述べたた。つまり、それまではデスクやソファーの上で視るものであった動画が、今や至るところにあり、ソーシャルメディアのフィードをスクロールしても、Pelotonでエクササイズをしても必ず動画がある。

「現在は今後5年か10年かかる大きな移行期の最初期です。その間にビデオはあらゆるソフトウェアプロジェクトのメインのパーツになっていきます」とダール氏はいう。

ダール氏によるとMuxはこの移行期によくなじんでいる。なぜなら同社は「ソフトウェアの開発者のためのビデオプラットフォーム」であり、API中心のアプローチによりビデオを迅速にリリースでき、視聴者から見てストリーミングの信頼性も高い。同社の最初のプロダクトはMux Dataと呼ばれるモニタリングとアナリティクスのツールであり、その次がストリーミングビデオのプロダクトMux Videoだった。

ダール氏はこう説明する。「動画プラットフォームを作ってそれをデータファーストで運用したければ、大量のデータとモニタリングとアナリティクスが必要です。私たちはまず最初にデータのレイヤーを作り、次にストリーミングのプラットフォームを作りました」。

同社の顧客にはRobinhoodやPBS、ViacomCBS、Equinox Media、VSCOなどがいる。ダール氏によると、創業した2015年からMuxはデジタルメディア企業の仕事もしているが「メインの市場はソフトウェアだ」と話していた。その頃、動画はほとんどニッチであり「ESPNやNetflixのような企業にしか必要ないもの」だった。しかし2年前からは「動画がコミュニケーションを支える重要な部分」になり「すべてのソフトウェア企業が動画をプロダクトの主役」と考えるようになった。

Muxの創業者たち、Adam Brown(アダム・ブラウン)氏、Steven Heffernan(スティーブン・ヘファーナン)氏、Matt McClure(マット・マクルーア)氏、そしてジョン・ダール氏(画像クレジット:Mux)

当然ながらパンデミックの間、需要が急増した。この1年でMuxのプラットフォームを利用するオンデマンドのストリーミングは300%成長し、ライブのストリーミングは3700%成長、そして売上は4倍に増えた。

「大量の仕事です。2020年の大半は、顧客の急増と会社の規模拡大とプラットフォームへの投資に追われていていました」とダール氏は笑顔でいう。

今回のシリーズDで調達総額が1億7500万ドル(約191億3000万円)になるMuxは、投資をさらに続けるつもりだ。たとえばダール氏の計画ではチームを今の80名から200名に大きくし、買収も検討することになるという。

CoatueのゼネラルパートナーであるDavid Schneider(デビッド・シュナイダー)氏は、声明でこう述べている。「Muxが開発者のコミュニティに的を絞っていることはすばらしい。そして私たちの目に強い印象を残す顧客の維持拡大の様子は、同社のソリューションが強力な価値を提供していることを表しています。この投資でMuxは同社の顧客中心のプラットフォームの構築を継続でき、そして私たちは、ハイブリッドな未来への道を先導するMuxのパートナーであることを誇りとするものです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Mux資金調達ユニコーン動画制作API

画像クレジット:valentinrussanov/Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

今、米国で盛り上がるD2Cソフトウェア、Z世代のAlloy創業者インタビュー

本稿は毎週月曜日に配信する米国の次世代ブランドやリテールテック、ニューラグジュアリーにフォーカスしたニュースレターとポッドキャスト「Cereal Talk投稿の転載記事となる。

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米国のECソフトウェア事情やAlloyの自動化、そして今流行っているD2C業界のトレンドについてAlloy AutomationのCEOのSara Du(サラ・ドゥ)さんにお話を伺った。

盛り上がる米国D2C業界を支えるソフトウェア

米国ではD2C企業の資金調達が減少気味ではあるが、まだまだ新しいブランドが立ち上がっている。同時にNikeやadidasなど大手小売もD2C化を本格的に行なったり、新型コロナによりECが主流になったことで、ECソフトウェア企業の需要が増加している。

スタート時はShopifyだけを活用しても問題ないかもしれないが、ほとんどのD2C企業が同じソフトウェアを使っているため、優位性をつくるのは難しい。現在、サイトやブランド、ECの体験を改善するツールが出てきているのは、少しでも他社との違いを作り出すためだ。そのため、どのD2Cブランドやオンラインリテーラーも自社に適したテックスタック(複数のテクノロジーの組み合わせ)を構築する必要がある。ただし、ソフトウェアをそれぞれ運営するのは大変なため、ECインフラの連携・自動化の需要が今後高まっていくはずだ。

画像クレジット:Bain Capital Medium

このトレンドは、2020年あたりから米国で盛り上がり始めた。多くのブランドは自動化ツール「Zapier」などを活用していたが、最近だとEC向けの自動化ツールも出てきている。その中でも最も注目されているサービスの1つがEC自動化プラットフォーム「Alloy(アロイ)」だ。Alloyは、Yコンビネーター2020年冬バッチに参加し、2021年2月には、BainCapital(ベインキャピタル)やAbstract Ventures、Color Capital「Shippo」の創業者などから400万ドル(約4億3000万円)の調達を発表。代表のサラ・ドゥさんはなんと20代前半という新世代の起業家だ。

新型コロナ後のD2CスタートアップへのVC投資事情

2018年がD2Cブランドへの資金調達のピークだった。2020年に上場したマットレスブランド「Casper」の株価も大幅に下がったため、D2C業界への投資が減少すると思われていた。実際に下記の図からわかるように、2020年のD2Cブランドへの合計資金調達額(1月〜9月)を見ると、2018年や2019年よりも下がっている。しかし、予期せぬ新型コロナの影響でEC需要が再熱し、投資家がまた興味を持ち始めている。

画像クレジット:Retail Dive

新型コロナの影響で、シリコンバレー全体での資金調達も一時的に止まったが、その後、EC率が大きく上がり、ECインフラを準備していたD2Cブランドが大手小売よりも大幅に伸びた。個人的に投資している低アルコール飲料ブランド「Haus」も前年比で780%成長、フェイクミートを活用したチキンナゲットを提供する「NUGGS」は、800万ドル(約8億7000万円)の売上を達成。そしてNikeなどもD2C戦略へシフトさせたことで2020年では全体売上の35%がD2Cチャネルからのものだった。

Business Insiderによると、過去5年間最も多くのEC系の投資を行なったVCの多くは長期的にEC市場が伸びるため、投資を続けるという。そんな中、ブランドだけではなく、D2Cブランドを支えるツールへの投資にフォーカスし始めている投資家も増えている。

ECインフラのソフトウェア「Shopify」の急成長

D2CやECの成長により、最も活躍したサービスといえばおそらく「Shopify」だろう。EC業界のトップであるAmazonに対抗して、Shopifyが唯一同等レベルのプラットフォームになり得るサービスだと思っている。それと同時に、クリエイターエコノミーの爆発的な成長も味方にし、インフルエンサーや一般の人でも販売を行う需要が増えた。

画像クレジット:Chartr

Amazonが全体のEC市場の39%のシェアを占めている中、Shopifyは2位の9%にまで成長した。その成長は、このまま続いてもおかしくないものだ。D2C企業に詳しいメディア「2PM」によると、トップ460社のD2C企業のうち、58.9%がShopifyを利用しているという。

画像クレジット:Web Smith Twitter

Shopifyの良さは、簡単にオンライン店舗を作れるだけではなく、2020年5月時点では4200アプリと連携している点で、80%の加盟店が第三者のアプリと連携していたと発表している。顧客獲得ツール、購入後の体験サービス、アンケートアプリ、配送サービスなどさまざまなアプリと連携できることによって、D2Cブランドは自分のプロダクトの販売とマーケティングに集中できる。Shopifyの成長により伸びたソフトウェア企業も多い。レビューサービス「Yotpo」やサブスクサービス「ReCharge」などがその代表例だ。3〜4年前と比べて、現在では10倍ほどのECソフトウェア企業が存在している。

画像クレジット:Red Sea Ventures

今回取材したAlloyのサラさんによると、コストを気にするD2C起業家が多いが、ある程度スケールし始めると必ずテックスタックを固める傾向にあるという。人を採用してマニュアルな作業を行うより、月額のSaaSプロダクトで1人で店舗を運営したほうがコスト的にも安いケースも多いため、初期でもソフトウェアを試すユーザーも多い。ただ、扱うソフトウェアが増える一方で、各ツールがバラバラで連携されてないため、全体的にツールを十分活用できている企業は多くないという。それを解決するのが自動化ツール「Alloy」だが、まだ新しい領域だとサラさんは語る。

ハーバード中退から起業、ストリートウェアブランドも運営するZ世代の起業家

画像クレジット:Sara Du

Alloyの創業者サラ・ドゥさんは高校生の時にLAに引っ越し、独学でプログラミングを学び始めた。当時、ハードウェア領域にも興味があり、舌を蓋につけると電気ショックで甘さを感じる「スマートコーヒーカップ」を開発した。これにより、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏が行っている超難関といわれる若手起業家育成プログラム「ティール・フェローシップ」に選ばれた。そして、高校を飛び級で卒業し、ティール・フェローシップに採択されていたリーガルアシスタントサービス「Do Not Pay」にジョインした。当時、お金がまったくなかったサラさんは夏の間ひたすら知り合いの家を回り、ソファーで寝てたという。

その後、ハーバード大学に進学するが、そこでは東南アジアの歴史の勉強をした。1年が経ち、スタートアップのエネルギーが恋しくなった彼女は、Snapchatへインターンすることを決め、後に休学。大学時代やSnapchatにいた期間は、後にAlloyを一緒に立ち上げるグレッグさんといろいろなサイドプロジェクトを検証していたそうだ。10個ほどの失敗を続けたが、ずっとAPI連携できる開発者向けサービスには興味があったとサラさんはいう。Zapierをよく使っていたが、それ以外のツールを探した時に「Workato」などの自動化ツールを見つけた。そこで彼女は営業やマーケティングの自動化ツールが存在していると気づいたが、自分の思い描くツールや自分達のECショップを運営している友達や知り合いが求めているサービスが存在しなかったと理解した。サラさんは自分のストリートウェアブランドも運営していたため、ECオーナーとしてのニーズを理解していたのだ。

そこで2人は、誰でも安く使える自動化ツールが必要だと思い、開発を始めた。初期はECフォーカスではなかったが、後にEC向けにシフトした。

Product Huntへ投稿したら、WebflowのCTOから連絡がきた!

つまり、Alloyもサイドプロジェクトとして始まった。会社化したのは、当時Product Huntで働いていた友達が投稿するように薦められたのがきっかけだった。

画像クレジット:Product Hunt

Product Huntに投稿した翌日、好意的なコメントが数百件投稿されていた。その反響を受けて、サラさんはSnapchatでのインターンを辞めることを決意。「最悪、春には学校に戻れるし、インターン時代の給料を貯めていて、月次のバーンも低かったので、割とすぐにAlloyにフルタイムでコミットすることを決めた」と彼女はいう。この投稿から、後にシードラウンドをリードするベインキャピタルのケビン・チャンさんと繋がり、資金調達へ繋がった。そして、もう1人を見ていたのが、WebflowのCTOであるブライアント・チョウさん。たまたま投稿を見てAlloyを知り、エンジェル出資してくれたとのことだ。

著名VCからのフィードバックによるYコンビネーター2020のWinterに合格。Demo Dayはオンラインで、うまくピッチができるか迷いがあり、ステルスでもいたかったAlloyは、Demo Dayでピッチしないことを判断したという。

オンラインストアの運営作業を自動化するAlloy

Alloyは、オンラインストアの運営作業を一元管理して、細かいタスクの自動化を可能にするツールだ。現在、最新ツールがたくさんあり、オンラインストアの運営が複雑に、かつ手作業が多くなっているのが大きな課題だ。Alloyは、オンラインストア運営の作業を自動化し一元管理することができる。

Alloy営業資料から引用

Alloyは具体的に5つのカテゴリーの自動化にフォーカスしている。

  • ロイヤリティ+顧客体験
  • フルフィルメント
  • オペレーション
  • サポート
  • マーケティング

Alloy営業資料から引用

他の自動化ツールでは深いAPI連携がされていないため、Alloyの方が細かいロジックを組めるのが特徴だ。例えば、定期購入販売を簡単に実装できるアプリ「ReCharge」と連携しているが、他社サービスだとReChargeを活用して顧客の定期購入した数に応じてのアクションが行えない。AlloyだとReChargeの定期購入の数まで把握できるため、10回以上定期購入したユーザーが問い合わせした際にプライオリティを付けたり、自動的に特別扱いの顧客メールを送る設定なども可能となる。

以下は在庫切れになった際にSlackへメッセージが飛ぶようにトリガーを作るフローの事例だ。

AlloyはReCharge以外にも90以上のアプリとすでに連携している。競合となるShopify Flowは、Shopify Plusの顧客でないと使えないし、そもそも30〜40ぐらいのアプリしかFlowでは連携されていない。そのため、今のところAlloyほど幅広く、そして深くAPI連携しているEC自動化ツールは存在しない。

Alloy営業資料から引用

Alloyはノーコードで自動化されたフローが簡単にビジュアライズされているため、誰でも簡単に作ることも可能だ。さらにShopify以外にもMagento、Big Commerce、ヘッドレスなど全体のECエコシステムのカバレッジがある。

実際にAlloyを活用している企業には、人気D2CブランドのOpte、Italic、Doe、そして大手ブランドのBaltimore Ravensなどがある。最近は大手ラグジュアリーブランドも使い始めたとサラさんは語る。

Alloy営業資料から引用

OpteはAlloyを活用して、毎週10時間以上手作業で行っていたデータハーベスティング作業を自動化して、年間240万円以上のコストを節約している。

業界を教育しながら長期的成長につながるコンテンツ戦略

まだ米国のD2C業界でも自動化のトレンドは、始まったばかりだ。Alloyは、2020年の多くはコンテンツ制作や教育を行って、ようやく業界が自動化のポテンシャルに気づいたという。特にコンテンツ制作の戦略はおもしろく、Alloyの長期的成長に繋がる試作ともいえる。Alloyには、自動化フローのテンプレを用意している専用サイトがある。各テンプレを「レシピ」と呼んでいて、アプリやカテゴリー(カート落ち、アナリティクス、カスタマーサポートなど)で簡単に検索ができる。

画像クレジット:Alloy Marketplace

これにより、誰でも簡単に自動化フローを作ることが可能になる。現在はより大きいクライアントがAlloyを活用している傾向にあるが、今後はよりセルフサーブにして中小企業でも業務の一部を自動化してより効率よく販売ができるかたちにしたいとサラさんは語る。サイトの「人気レシピ」の多くはベーシックなものだが、自動化しやすい、バリューが最もわかりやすいものとなっている。

画像クレジット:Alloy Marketplace

また、このレシピのマーケットプレイスをさらに価値を与えるために「Social Proof(ソーシャルプルーフ)」を追加したいという。「EC業界での重要要素はSocial Proof、いわゆる他社が何をやっているかを見ることです。だからこそAlloyの初期では、トップティアなShopify Plusブランドや有名D2Cブランドをクライアントとして獲得してきました。今後はItalicなど著名ブランドがどのレシピを使っているかを公開していくことで、業界が自動化のニーズに気づいてくれると思います」。

D2Cブランドのスケールをサポートするテックスタック

米国では、D2Cブランドがスケールし始めると、バックエンドのソフトウェアの管理や連携をするためにエンジニアを採用しているほど最新テックスタックの導入は普通のことだ。Glossierは、サイト製作やECプラットフォームの構築を行っていたデジタルエージェンシー「Dynamo」を5200万ドル(約56億3000万円)で買収し、自社のテック部門を強化した。

社内で数十名のエンジニアを抱えるほどテックスタックが整い始めているD2Cブランドとしては、使えるツールが増えるほど可能性は増えるが、同時に内部システムやロジック構成などが複雑になってくる。だからこそ、Alloyのような自動化ツールが必要になってくる。ECブランド向けにツールを開発しながら他のアプリとの深いAPI連携は、多くのブランドは絶対行わない。AlloyはAPI連携が優位性なブランドとなっている。Zapierも130万ドル(約1億4000万円)の資金調達しか行わなかったのに、50億ドル(約5418億円)の時価総額になった今、これからも「APIのAPI」の概念が他の業界で広がる可能性は高い。今後も注目するべき市場に間違いない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Alloy AutomationeコマースAPIShopifyインタビューD2C

(文:宮武徹郎 / @tmiyatake1、草野美木 / @mikikusano

アクセス許可APIサービス開発のAuthzedが4.2億円のシード資金を調達

開発者がアプリケーションにパーミッション(アクセス許可)を組み込むことを容易にすることを狙うアーリーステージのスタートアップAuthzed(オースゼッド)は、米国時間4月21日、390万ドル(約4億2000万円)のシードラウンドを発表した。今回のラウンドは、Work-Benchが主導し、Y CombinatorとAmplify Partnersが参加している。

CEOで共同創業者のJake Moshenko(ジェイク・モシェンコ)氏によれば、同社のサービスは、開発者がアプリケーションにパーミッションをすばやく追加できるように設計されたAPIだという。モシェンコ氏は「Authzed はアプリケーションのパーミッションを登録、計算、検証するためのプラットフォームです。私たちはGoogle(グーグル)、Red Hat(レッドハット)、Amazon(アマゾン)での経験から、このやり方が、企業がアプリケーションパーミッションを行う際の適切な方法だと考えています」と語る。

サービスの仕組みは、まずユーザーのグループを定義し、そのグループのメンバー資格に基いて、どのようなデータを見ることができるか、どのような機能にアクセスする権限があるかを定義することだ。パーミッショングループの基盤としてActive Directory(アクティブ・ディレクトリ)やLDAPに依存する場合もあるが、モシェンコ氏によれば、実際のパーミッションの実装をシンプルにすることができるのだという。

「Active Directory単体では、実は問題を完全に解決できません。また、そのグループのメンバーシップに、それが意味する一連のパーミッションを結びつける必要があるからです。私たちのシステムを使えば、権限とグループメンバーの両方について考える方法を統一することができます」とモシェンコ氏はいう。

同社はこのサービスのフレームワークを構築したところだが、モシェンコ氏はActive Directoryやその他のディレクトリサービスとの連携はロードマップ上にあるという。これまで、設計パートナーと協力して製品の基本を固めてきたが、米国時間4月21日以降、同社はこのサービスを利用したいと考える開発者に向けて公開を行う。

当初は無料だが、将来的には有料プランの導入を考えている。モシェンコ氏はこのサービスを、コミュニケーションのTwilioや、決済のStripeのような、API企業に例えている。つまりアプリケーションの運用を始めたばかりの頃はコストが低く、時間が経ち、人気が出てきてパーミッションをより定期的にチェックする必要が出てくるに従って、コストが上がっていくと予想している。

会社は設立されたばかりで、共同創業者の3人以外の社員は1人だけだ。今回のラウンドで得た資金を使って、エンジニアを増員するとともに、開発者コミュニティ内でのプロダクトの人気を高めることを目指していく予定だ。モシェンコ氏は新しく雇用する従業員の数は、プロダクトがどれくらい市場に受け入れられるかによるという。

創業者たちは以前、Docker(ドッカー)コンテナのプライベートレジストリであるQuay(クエイ)を創業し、それを2014年にCoreOS(コアOS)に売却した。そのCoreOSをRed Hat(レッドハット)が2018年1月に2億5000万ドル(約270億3000万円)で買収した。そして同年末にはRed HatをIBMが340億ドル(約3兆7000億円)で買収している

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Authzed資金調達API
画像クレジット:Yagi Studio / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

BaaSプラットフォームを手がけるKippが累計5億円調達、金融機関にサービス提供開始

BaaSプラットフォームを手がけるKippが累計5億円調達、金融機関にサービス提供開始

Kipp Financial Technologies(キップフィナンシャルテクノロジーズ。Kipp)は4月13日、2020年までに実施したシードラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権の発行による累計5億円の資金調達を発表した。引受先は、伊藤忠商事、AGキャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、セブン銀行、TIS、DGフィナンシャルテクノロジー。

また、「資金決済に関する法律」に基づく資金移動業の登録(関東財務局長第00078号)、前払式支払手段(第三者型)発行者の登録(関東財務局長第00744号)を完了。金融サービスを開発・運用するための技術・ライセンス基盤「BaaS」(Banking as a Service)を複数の金融機関向けに提供開始した。

現在、国内における金融サービスの開発・運用は、ゼロからアプリケーションを開発したりレガシーなパッケージをカスタマイズする案件が多く、金融サービス提供事業者にとって開発にかかる時間もコストも大きな負担となっている。また、そのようなシステム基盤上では、新機能の追加や、外部サービスとのAPI連携は容易ではない。

北米や欧州では、様々な金融機能をAPIとして提供するBaaSや埋め込み型金融(Embedded Finance)などと呼ばれる市場が拡大し、開発コストが低減可能となったことで、様々なFintechサービスが生み出されているという。

国内でもBaaSを利用しFintechサービスを開発し、サービスを成長させたいという要望を耳にする機会が増えたことから、KippはBaaS事業に参入し、複数の金融機関にBaaSを提供するに至ったとしている。

金融機関へのBaaS提供第1弾はセブン・グローバルレミットの海外送金アプリ「Sendy」で、今後複数の金融機関においても同社BaaSを基盤に開発した金融サービスがリリースされる予定という。Kippは、ウォレット・送金・決済・チャージ・AML・与信・債権管理等の機能を提供していくとしている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:API(用語)Kipp Financial Technologies(企業)資金調達(用語)セブン銀行(企業)FinTech(用語)日本(国・地域)

TwitterがAPI刷新のテコ入れためにAPI統合化プラットフォームReshuffleを買収

米国時間3月23日、TwitterはAPI統合プラットフォームReshuffleの買収を発表した。人材の獲得が目的的だという。このスタートアップがオープンソースを商用化して得た技術により、デベロッパーはワークフローを構築し、複数のシステムをさまざまなAPIを使って接続することができる。同社はTwitterの買収により解散するが、共同創業者のAmir Shevat(アミール・シェヴァット)氏とAvner Braverman(アヴナー・ブレイバーマン)氏を含む7名のチーム全員がTwitterに加わり、現在、同社で行われている統一APIの刷新工程を加速していくことになる。

新しいTwitter API 2.0が導入されたのは2020年のことで、2012年以降、初めての完全に新しい再構築となり、会話のスレッド化や投票アンケートの結果、ツイートのピン止め、スパムのフィルタリング、より強力なストリームフィルタリング、検索のクエリ言語などの新機能が加わった。また新たな設計によりTwitterが新しい機能をより早くリリースできるようになり、さらに多くの機能を展開できるようになっている。たとえばこのAPIには、新機能としてリプライを隠すツイートの注釈などが加わった。そして最近ではTwitter自身の開発のペースが速くなり、Twitter Spaces(音声によるツイート)の一般公開や、もうすぐ提供されるSuper Follow(クリエイターとファンのサブスクリプションサービス)など、より多くのプロダクトのローンチが水平線上に見えてきた。

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さらにTwitterのAPIチームは、さまざまなタイプのデベロッパーのニーズを満たすプロダクトの開発に取り組んでいる。たとえば消費者向けアプリのデベロッパーと、企業向けあるいは研究者向けアプリのデベロッパーではニーズが違う。2021年1月にTwitter APIは研究者に公開され、もうすぐさらに多くの機能性が加わることをTwitterは約束している。

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Reshuffleのチームには直ちに、TwitterのAPI加速化努力とデベロッパーツールの開発への参加が求められるだろう。

ReshuffleのCEOであるアヴナー・ブレイバーマン氏には、エンジニアリングと消費者向け技術の両面で20年近い経験があり、スタートアップだけでなくIBMのような大企業でも仕事をしてきた。彼はTwitterのDeveloper Platformのチームに入ることになるが、ReshuffleのCPOであるアミール・シェヴァット氏はこれまで、Twitchのプラットフォーム担当副社長やSlackのデベロッパーリレーションのトップ、Googleの上級デベロッパーリレーションマネージャーなどを務めた人物で、TwitterではDeveloper Platformのシニアメンバーになる。

Twitterの収益事業部とデベロッパープラットフォームのリーダーであるBruce Falck(ブルース・ファルク)氏とSonya Penn(ソーニャ・ペン)氏は、Twitterのブログで次のように述べている。「私たちはReshuffleのチームを仲間に加えることで、投資と意欲を一層強化していく。デベロッパープラットフォームの構築における彼らの体験は、デベロッパーが私たちのプラットフォームに価値を容易かつ迅速に見出すためのツールの構築に寄与し、私たちの仕事を加速し強化するでしょう」。

Reshuffleの既存プロダクトは、この買収の完了から数週間後には閉鎖される。しかしながらチームは、デベロッパーコミュニティ向けのオープンソースプロジェクトのメンテナンスは継続する、とTwitterは注記している。

Reshuffleのプロダクト

Twitterは最近、買収や新規の人材確保に熱心だ。最近のニュースレタープラットフォームRevueの買収はすでに、Twitterのウェブサイトに統合されている日本でも)。他にもTwitterは最近、ソーシャルポッドキャストのBreaker、画面共有のソーシャルアプリSquad、クリエイティブデザインのUeno、そして2020年のストーリー用テンプレートのChroma Labsを買収している。

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Twitterによると、同社はチームの拡大と仕事の加速化のために、今後も人材獲得に努力していくとのこと。なお今回のReshuffle買収の取引の詳細は、公表されていない。

Pitchbookのデータによると、Reshuffleはこれまで635万ドル(約6億9000万円)の資金を調達しており、その主な投資家はCardumen Capital、Cerca Partners、Maverick Ventures、Meron Capital、Dell Technologies Capital、Engineering Capital、そしてLightspeed Venture Partnersとなる。Pitchbookによると、同社の評価額は1185万ドル(約12億9000万円)だった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter買収API

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Google Cloudが次世代API管理プラットフォーム「Apigee X」を発表

Google(グーグル)は米国時間2月4日、2016年に買収したAPI管理プラットフォーム「Apgiee(アピジー)」の次期メジャーリリースとなる「Apigee X」を発表した。

「現在、私たちの周りに起きていることを見てみると、特に2020年3月に新型コロナウイルス感染流行が始まって以来、あらゆる種類の業界でデジタル活動の量が増え、あらゆる種類の活用事例が出てきています。そして、私たちが目にしていることの1つは、本当に高性能で信頼性の高い、グローバルなデジタルトランスフォーメーションプラットフォームの必要性です」と、Google Cloud(グーグルクラウド)のプラットフォーム責任者であるAmit Zavery(アミット・ザヴェリー)氏は筆者に語った。

同氏は、APIコール数が2020年より47%増加したことや、プラットフォームが年間約2.2兆件のAPIコールを処理するようになったことを指摘している。

今回のアップデートの核となるのは、Google CloudのAI、セキュリティ、ネットワーキングツールとのより深い統合だ。実際には、これによってApigeeのユーザーは、Google Cloudの24のリージョンにAPIをデプロイすることなどが可能になる。また、100以上のエッジロケーションで、Googleのキャッシングサービスを利用できるようになることを意味する。

画像クレジット:Google

さらにApigee Xは、GoogleのCloud ArmorファイアウォールおよびCloud Identity Access Managementプラットフォームと統合された。つまり、これによってApigeeのユーザーは、ファイアウォールやアイデンティティ管理のニーズに対し、サードパーティ製のツールを使用する必要がなくなるということだ。

「私たちはAI / MLベースの異常検知と運用管理を数多く行っています」と、ザヴェリー氏は説明する。「当社のAPIプラットフォームに多くの洞察を埋め込むことで、悪意のある意図や、APIコールやトラフィックに発生する可能性がある、あらゆる種類のものを予測することができます。私はこれを大きな改善だと考えています。特に運用管理、セキュリティ管理、脆弱性管理などの新機能を中核機能として提供することで、ビジネスとしてこれらすべてのことを心配する必要がなくなります。これはコア機能に付随するもので、デジタルフロントエンドのフロントドアが本当に輝く場所であり、顧客はそれに集中することができます」。

また、このプラットフォームは、GoogleのAI機能を活用して、ユーザーが異常を特定したり、ピークシーズンのトラフィックを予測したりするのに役立つようにもなる。ここでのアイデアは、顧客が標準の自動タスクの多くを自動化するのを支援し、もちろん、同時にセキュリティを向上させることである。

ザヴェリー氏が強調したように、API管理は今やアプリケーション間のトラフィックを管理するだけのものではない。Apigeeチームは、顧客のデジタルトランスフォーメーションプロジェクトの管理を支援するだけでなく、「デジタルエクセレンス」と呼ばれるものについても考えている。「これは、単に『フロントエンドを持てる』ということだけでなく、顧客がやりたいと思っているすべての優れたことと、それをどうやって実現するかということを考えているということです」とザヴェリー氏は述べている。

「このような不確実な時代に、世界中の企業はAPI戦略を倍増させ、どこでも操作し、プロセスを自動化し、新しいデジタル体験を迅速かつ安全に提供するようになっています」と、Pitney Bowes(ピツニーボウズ)のチーフイノベーションオフィサーであるJames Fairweather(ジェームズ・フェアウェザー)氏は語る。「Apigee Xは、reCAPTCHA Enterprise、Cloud Armor(WAF)、Cloud CDNのような新しい機能でAPIを強化することで、我々のような企業がデジタルイニシアティブを拡張し、顧客、従業員、パートナーに革新的な体験を提供することを容易にしてくれるのです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle CloudAPIApgiee

画像クレジット:Michael Short/Bloomberg / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

企業向けにカーボンオフセットAPIを開発するスタートアップが急増中

カーボンオフセットのためのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)が出てくるのは時間の問題だった。カーボンオフセットとは、企業が世界の再生可能エネルギープロジェクトや炭素隔離プロジェクトに資金援助することで、自社の温室効果ガスの排出量を(紙の上で)相殺する自主制度だ。

eコマースと決済最大手のShopify(ショッピファイ)とStripe(ストライプ)は、すでにサービスとしての排出オフセットを顧客に提供しているが、今や数多くのスタートアップがソフトウェアを使って処理を自動化しようと狙っている。

たとえば Cloverly(クローバリー)は米国南西部の電力・ガス大手Southern Company(サザン・カンパニー)が社内で立ち上げたスタートアップだ。Patch(パッチ)はアパート管理と短期レンタルサービスのSonder(サンダー)出身の2人がスタートした会社だ。さらにはCooler.dev(クーラー・ドット・デブ)、そして森林再生と森林管理に焦点を当てた国際オフセットマーケットプレイスを運営しているPachama(パチャマ)などなど。

これは企業や消費者向けに環境フットプリントの観察と削減を行うサービスを立ち上げる、というアーリーステージ企業の間で起きている新たなムーブメントの一環だ。

Pachamaの場合、APIをビジネスモデルに組み入れるという発想は当初からビジネスプランに織り込み済みだった、と同社の共同ファウンダーであるCEOのDiego Saez-Gil(ディエゴ・サエズ・ギル)氏はいう。

「私たちが顧客としてShopifyに接してから事態は加速しました」とギル氏はいう。「Shopifyはカーボンニュートラルなサービスの提供を望んでいました。私たちはすでにカーボンクレジットをShopifyに売っていましたが、注文を手動で処理していました【略】 これを大規模でやるためにはクレジットの購入を自動化する必要があります」。

Pachamaが巨大ロジスティック会社でカーボンニュートラルなフルフィルメントサービスを提供しているShipbobと契約を結んでから状況が一変した。

PatchやCloverlyのような会社と異なり、Pachamaには自らのオフセットマーケットプレイスを使ってクレジットを提供できるという優位性があるとギル氏は感じている。

「私たちには、プラットフォームを通じて持ち込むあらゆるものについてマーケットプレイスと検証・監視サービスがあります」とGilは語った。

こうした背景によって、提供するオフセットの品質に高い透明性をもたらすことができる。

カーボンオフセットは、気象変動と戦うための有効な、しかし危険をはらむメカニズムであることが証明されている。ほとんどのプロジェクトは再生可能エネルギーや再生された森林、あるいは既存の森林や土地の保存といったかたちでコミュニティに真の利益をもたらしているが、一方では重複計算やカーボッオフセットの価値を水増しした単なる詐欺プロジェクトなどの問題がある。

Bloomberg News(ブルームバーグ・ニュース)のBen Elgin(ベン・エルジン)氏が連載している記事が、問題の広さを指摘しており、そこではThe Nature Conservancyなど信頼されている組織のプロジェクトも取り上げられている。

「これは、純粋な追加性の問題に行きつきます」とギル氏はいう。「プロジェクトに関わるものすべてについての炭素分離あるいは脱炭素の実際の増加は何なのか【略】オフセットの価値を評価するとき、私たちは科学に基づくアプローチと極めて保守的な仮定に沿う必要があります」。

透明性と説明責任はオフセットの開発、監視、管理をする上で極めて重要であり、これらのオフセットが、事業にともなう温室効果ガス排出量を劇的に減らそうとしている企業にとって中心的役割を果たすことを踏まえるとなおさらだ。

そしてオフセットは一時しのぎの措置にすぎない。最終的に企業は、社会にいっそう大きな影響をおよぼす気象変動のリスクを減らすために、一刻も早く自社の事業から炭素排出を取り除く必要がある。

「こんなに多くの会社がカーボンニュートラルなサービスを提供したがっていることを大変うれしく思います。やがて規範となるものであり、企業は顧客が望むからそうすることになります」とギル氏はいう。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:カーボンオフセット二酸化炭素API

画像クレジット:Getty Images under a license

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitterが学術研究者向けの新しいAPIプラットフォームを公開

米国時間1月26日、TwitterはAPIプラットフォームの新たなプロダクトトラックを公開した。これは同社がTwitter APIを根底から再構築している取り組みの1つだ。このトラックは学術研究者のニーズに応えようとするもので、Twitterのアーカイブに広範にアクセスできツイートの検索に関する制限が緩和される。これにより研究者はTwitterプラットフォーム上で公開された会話の履歴すべてにアクセスできるようになる。

研究者はこれまでにリリースされアクセスできるようになっているTwitter API v2のすべてのエンドポイントに加え、詳細なフィルタリング機能も利用できるようになる。

具体的には、アーカイブ全体の検索エンドポイントを利用してTwitter上のすべての発言にアクセスできる。開始時刻と終了時刻のパラメータを使って時系列で絞り込むこともできる。

画像クレジット:Twitter

研究者に対しては、Twitter API v2で取り出せるツイート数の月間の上限も大幅に引き上げられる。APIアクセスのベーシックレベルでは上限は50万ツイートに設定されているが、アカデミックリサーチトラックのベーシックレベルでは当初の上限が1000万ツイートとなる。この上限は最近の検索、フィルタリングされたストリーム、アーカイブ全体の検索、ユーザーのツイートおよびメンションのタイムラインのエンドポイントに適用されるとTwitterは説明している。

アカデミックリサーチトラックではユーザーのデータを正確に取得できるよう、他では利用できない演算子も利用できる。現時点では$ (キャッシュタグ)、bio、bio_name、bio_location、place、place_country、point_radius、bounding_box, -is:nullcast、has:cashtags、has:geoの演算子がある。

研究者はフィルタリングされたストリームのエンドポイントを利用する際に、スタンダードトラックでは上限25のところ、最大1000のコンカレントルールを追加することもできる。最近の検索のエンドポイントに関するクエリは、スタンダードトラックでは最大512文字のところ1024文字となる。

アクセスレベルが引き上げられるため、アカデミックリサーチのプロダクトトラックを利用したい人は最初に申請する必要だ

申請できるのは修士課程の学生、博士号取得希望者、ポスドク、学術研究機関か大学で学部または研究の職に就いている人。明確な研究目的があり、調査によって得られたTwitterデータの利用、分析、共有に関する具体的な計画を示す必要がある

さらに、アカデミックリサーチのプロダクトトラックで使用したデータは商用目的では一切使用してはならないとTwitterは注記している。

画像クレジット:Twitter

学術研究者はTwitterのAPIが2006年に公開されたときからこれを活用し、さまざまなテーマの研究にデータを利用してきた。例えば、公衆の会話を混乱させようとする国や政府の動き洪水と気候変動新型コロナウイルス(COVID-19)に関する姿勢と認識オンラインでの健全な会話を促進する取り組みなどの研究に利用されてきたとTwitterは説明する。

しかしTwitter APIの初期バージョンでは研究者にとってデータを利用しやすくすることにはならず、TwitterはAPI v2でこの問題に対応しようとしてきた。

これまでTwitterは研究者に対して、学術研究専用のウェブサイト、他者の研究の再現と検証をしやすくする開発者ポリシーの更新、2020年4月に公開されたCOVID-19ストリームエンドポイントのような特化したエンドポイントなどを提供してきた。しかしAPI v2以前は、研究者がTwitterの制限を回避する方法を見つけ出すのではなく研究に本当に役に立つツールを作れるようにする配慮は不十分だった。

アカデミックリサーチのプロダクトトラックは2020年10月にプライベートベータのテストが開始されていた。現在は幅広く公開され、無料で利用できる。

Twitterによれば、今回のアカデミックトラックも含めプロダクトトラック全般に関してさらに高いレベルのアクセスを将来的に追加する計画だという。今回公開されたものよりもさらに多くのデータを必要とする研究者にとっては、高レベルのアクセスが可能になれば研究の役に立つだろう。またTwitterは、年間を通じて開発者が消費するデータ量に対応できるようアクセスを柔軟にすることも検討しているという。

関連記事:TwitterがオランダのニュースレタープラットフォームRevueを買収、作家が報酬を得る方法を提供

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterAPI学術研究

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

APIをプロダクト化する「ノーコード」企業Blobrがプレシードで1.5億円を調達

パリを拠点とするスタートアップのBlobr(ブルーバー)が、プレシード資金として120万ユーロ(約1億5000万円)を調達した。同社が提供する技術は、企業が自らの既存のAPIを、公開して収益化する作業をノーコードで簡単に行えるようにするというものだ。

このラウンドは、欧州全域でプレシードおよびシード投資を行うSeedcampが主導して、New Wave、Kima、その他のエンジェル投資家たちが参加している。BlobrはまたNew Waveから投資を受ける初めての会社でもある。New WaveはPia d’Iribarne(ピア・ディリバーン)氏とJean de la Rochebrochard(ジャン・ドゥ・ラ・ロシュブシャー)氏が共同で設立した欧州の新しいベンチャーキャピタルだ。同VCは、IliadのXavier Niel(ザビエル・ニール)氏、Benchmark のPeter Fenton(ピーター・フェントン)、元Appleの著名なTony Fadell(トニー・ファデル)氏を含む有名投資家たちから、投資可能資金として5600万ドル(約58億1000万円)を集めたことを発表している

Alexandre Airvault(アレクサンドル・エアボールト)CEOとAlexandre Mai(アレクサンドル・メイ)CTOによって設立されたBlobrは、APIの「ビジネス・プロダクトレイヤー」の標準になることを目指している。基本的なアイデアは、プロダクトやビジネスの担当者たちが、技術的な知識なしに、そして社内のエンジニアリングリソースも増やすことなく、企業の持つアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を管理し、収益化できるようにするというものだ。Blobrは、それを実現することで、データや機能の商用利用がより多くのサードパーティから可能になり、その上にアプリケーションが構築されることで、APIのより多くの革新的利用が増えることになると考えている。

「私たちは、企業はAPIを単なるパイプだと考えるのを止めて、その力を解き放つためにプロダクトとしての構築を始めるべきだと考えています」とエアボールト氏は述べている。「つまりAPIは、単に技術指向であるだけではなくユーザー指向のマインドセットで、価格設定、カスタマイズ、管理が行われるべきだということ意味しています」。

これを実現するためにBlobrは、プロダクトやビジネスのオーナーたちが技術者への依存度を下げながら、「データ共有を収益性の高いモデルにする」ことができるように設計されている。「このアプローチこそが、データ交換を次のレベルに押し上げるものだと信じていいるのです」と彼は説明する。

Blobrのノーコード技術は、すでにかなり多くの機能を提供している。既存の内部APIから、機密情報やGDPR関連のデータをフィルタリングすることができる。また、顧客のセグメンテーションに応じて異なるAPI出力を提供することも可能なので、必要なデータのみを公開することができる。そしてAPIの利用は、利用に基くビジネスモデルと連携させたり、Stripe(ストライプ)の1カ月単位のサブスクリプションプランと連携させたりすることが可能だ。

エアボールト氏によれば、主な競合には、Google(グーグル)、IBM(アイビーエム)、Axway(アクスウェイ)、Microsoft(マイクロソフト)の提供するAPI管理ソリューションがあるという。「そうしたプラットフォームは内部API用に作られていますが、APIをプロダクトとして管理するためには考えられていませんし、最適化もされていません。またそれらは技術者のために作られたものですが、ノーコードソリューションのBlobrは、プロダクトならびにビジネスパーソンが技術者の手を借りなくても良いように、ゼロから作られたものなのです」と彼は付け加えた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:BlobrノーコードAPI資金調達

画像クレジット:Blobr

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(翻訳:sako)

TwitterがAPI機能を拡張、開発者は公開された会話の追跡が可能に

Twitter(ツイッター)は、最近設計を見直したTwitter APIのアップデートにより、開発者コミュニティに新機能を提供している。拡張されたAPI v2エンドポイントのコレクションに新たに加わった機能では、自分のツイートに誰が返信できるかを指定できるなど、これまで以上にTwittterの新しい会話コントロールをアプリ開発者がサポートできるようになった。他にも開発者が、特定のアカウントのツイートやあるアカウントにメンションしたツイートを追跡したり、特定のユーザーをフォローしているアカウントのリストを取得したりできるエンドポイントが追加された。

これらの新しいエンドポイントは、2020年6月に最初に導入された(未訳記事)開発者向けAPIのバージョン2で、Twitterが行っている改良に続くものだ。このAPIは2012年以来初めて見直されたが、その目的は投票、固定ツイート表示、スパムフィルタリングなど、以前のバージョンに欠けていた機能を含めることであり、同時に検索やストリームフィルタリングなどの分野にも改善が施されている。

しかし、TwitterのAPIに関する作業はまだ進行中であり、エンドポイントの追加や階層化されたアクセスプランのさらなる細分化が行われている。

今回のリリースでは、Twitterは2020年初めに導入された新しい会話への参加方法に向けたサポートを追加した。この機能は、ユーザーが自分のツイートに返信できる人を選択できる(未訳記事)ようにするものだ。Twitterでは、ユーザーは全員に返信を許可するか、フォローしている人だけに返信を制限するか、「@アカウント」で指定した人だけに返信を制限するかを選ぶことができる。この会話コントロールが、新しいAPIでは「reply_settings」と呼ばれるTweetオブジェクトのフィールドを介して、部分的にサポートされることになった。この追加により、開発者は会話の返信設定がツイートに設定されているかどうか、設定されていれば誰が返信できるかを知ることができるようになる。しかし、Twitterはまだこれらのフィールドのサポートを記述していない。「将来的に」そうなると述べているだけだ。

最終的には、このような機能によってサードパーティ製アプリが、Twitter.comやTwitter自身のネイティブアプリによるファーストパーティのユーザー体験に近づくことができるかもしれない。それはまた、ソーシャルメディアマネージャーが返信できるツイートのみを取得するソーシャルリスニングアプリを開発するのに役立つかもしれない、とSocialOpinionsの開発者であるJamie Maguire(ジェイミー・マグワイア)氏はTwitterの投稿で指摘している。Twitterはまた、それが●公共の会話で何が起こっているかを調べている学術研究者の役に立つ可能性があることを示唆している。

この機能はv2で完全に導入されるとTwitterは述べている。

エンドポイントのもう1つのセットである、ユーザーのツイートタイムラインとユーザーのメンションタイムラインは、特定のTwitterユーザーによって投稿された、または特定のTwitterユーザーにメンションした一連のツイートを返す。これらのエンドポイントは、start_timeとend_timeのパラメーターを指定し、特定の時間帯のツイートを収集するために使用することができる。これにより、開発者や研究者が特定のアカウントを分析することが容易になるとTwitterは述べている。

Twitterの指摘によると、これらのエンドポイントは、カスタマーサポートやブランド分析、Twitterユーザーの感情を時間の経過とともに測定するツールなどの分野で利用できるため、このAPIの最初のバージョンでは最も多く利用されたエンドポイントの2つだったという。

開始時には、開発者は1回につき最大100ツイートまでリクエストすることができる。ユーザーのツイートタイムラインのエンドポイントは直近のツイート3200件に制限され、ユーザーのメンションタイムラインは直近のツイート800件に制限される。どちらも「スタンダード・ベーシック」アクセスの月間ツイート数の上限50万件にカウントされる。この制限は恒久的なものではない。Twitterは、2021年の早い時期にTwitter API v2でスタンダードのプロダクトトラックに、より高度な「Elevated」アクセスを提供する予定だと以前に述べており(Twitterブログ)、企業はここで無料のベータ版にサインアップすることができる。

これらは、Twitter API v2のアーリーアクセスで利用可能だ。

またTwitterは今週、開発者が特定の人物をフォローしているアカウントのリストを取得したり、誰かがフォローしているアカウントのリストを取得したりできる2つの新しい「フォローズルックアップ」エンドポイントをアーリーアクセスで導入した。これらは、ネットワーク分析の目的や、情報や誤報の拡散を調べるために、Twitter上のアカウントがどのようにリンクされているかを理解したい開発者がよく利用するものだ。

開発者たちは、アカウントデータを調べるために、追加の呼び出しをしなくても、アカウントの関係性に関する豊富な情報を引き出せるようにしたいとTwitterに要請してきた。これらのエンドポイントを使用することで、開発者は以前のバージョンのTwitter APIのように何度も呼び出す必要がなく、1回のリクエストでアカウントのフォローに関するプロフィール情報を取得できるようになる。

これらのエンドポイントは、アカウントのフォローやアンフォロー、アカウントのブロックやミュートを可能にするエンドポイントと一緒に使用されることが多い。しかし、この機能はまだ利用できない。

Twitterは今回、APIの変更や更新についてより透明性を高めることを約束しているが、過去のことを思えば、開発者はこのプラットフォーム上で構築することについてまだ警戒しているかもしれない。Twitterは過去数年の間に、何度もTwitterアプリを作っている開発者の支援を突然打ち切ったり(未訳記事)、パートナーへのアクセスを遮断したり(未訳記事)、開発者会議をキャンセルすることもあった。これらの動きは簡単には忘れられない。

Twitterは先週末、ツイートフォーラムでAPIの変更を発表していた。同社の長期的な開発者向けプラットフォームのロードマップはこちらでも公開されている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterAPI

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)