iOS 10、デバイスの3分の2が採用

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Appleの最新のモバイルOS、iOS 10の普及のスピードはこれまでのどのiOSよりも速いようだ。モバイル市場のマーケティング企業、Fiksuが発表したデータによると、リリース後約1ヶ月の現在、iOS 10はアクティブなデバイスの66.7%にインストールずみだという。つまりiOSデバイスの3分の2が最新のOSを作動させていることになる。当初の採用スピードが遅かったことを考えると驚くべき数字だ。

このデータはまず9to5Macに発見された。このブログはまたMixpanelもiOS 10の採用率に関して同様のトレンドを報告していることを指摘した。Mixpanelのデータによれば、月曜日現在のiOS 10の採用率は65.38%だ。

興味深いのは、一般公開後の最初の2週間のiOS 10の動きはかなりゆっくりしていた点だ。実際iOS 6からiOS 9のどれよりも遅かった。それが9月の末になって急に動き出した。Appleのユーザーにおける新しいiOSのインストールとしては今までにないパターンだ。途中から採用スピードが急上昇するというのはこれまでになかった。データによれば、9月27日から10月4日にかけてiOS 10の採用率は20%アップしている。

こうなった原因はまだ明らかでない。しかしAppleが「アップデート通知」の出しかたを変えたことと関係があるかもしれない。つまり通常であれば、Appleは新しいiOS1を公開直後にユーザーにOSのアップデートを勧める通知を送っていた。しかし今回は通知を出すタイミングを遅らせたため、そのすぐ後で採用の急増が起きたのかもしれない。

データを比較してみると、iOS 9が 50%のデバイスにインストールされるまでは1週間だったが、過半数のデバイスにインストールされるには1月かかっている。さらにiOS 9が70%のデバイスにインストールされるまでには2ヶ月半かかった(Appleの発表による)。しかしiOS 9の普及速度はその1年前のiOS 8のときよりも上で、iOS 7の場合とほぼ同様だった。

Fiksu DSPの新市場戦略担当副社長Tom Cummingsは次にように語った。「iOSのアップデートでこれまでに中途から採用が加速するパターンはこれまで見たことがない。最初の2週間は伸び悩んでいた。その後、Appleの努力とユーザーのiOS 10への信頼感が増したことで採用が増加したのだろう。当初、iOS 10にはバグや作動不良のニュースが流れ、ユーザーはインストールをためらっていた可能性がある。

Cummingsによれば、当初のバグ等はすぐに修正された上に、iMessageとの統合などiOS 10の新機能がユーザーに好感されたことも採用を加速させたのだろうという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MacのアンロックはApple Watch最大の機能―これがスマートウォッチをブレークさせる

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以下に述べるのは個人的体験に基づく意見であり、客観的な立場からトレンドを探ったものではないことをご承知いただきたい。一部の読者にはバカバカしい、あるいは奇妙な主張と思えるかもしれない。

つまり私はApple WatchによるMacのアンロックはスマートウォッチが実現した過去最大の優れた新機能であり、スマートウォッチをブレークさせるきっかけになり得ると考えている。他のメーカーが追随して各種のウェアラブルが他のデバイスと自由にコミュニケーションできるようになれば、コンピューティングは新時代を迎えるはずだ。

私はWatchOS 3が出るまでめったにApple Watchを身につけたことがななかった。ご承知のとおり私はメカニカルな腕時計の熱烈なファンだ。そのため普段はテスト中の製品か手持ちの製品のうちの1つを身につけていた。しかし最近はジレンマに直面することが多くなった―従来どおりiMacとMacBookのアンロックにいちいちパスワードをタイプすべきだろうか? それとも単にApple Watchを身につけるべきだろうか? 私は次第に後者を選ぶようになり、メカニカル腕時計は埃をかぶりつつある。

Apple Watchそのものにはそれほど大きなアップデートがあったわけではない。いろいろ便利になったし、最新版はスポーツファンの関心をひきそうな機能をいくつも備えている。しかし私はエクササイズや旅行にApple Watchを身につけて出る習慣がなかったので、結局あまり使うチャンスがなかった。しかしDanny Meyerが発見したように、Apple Watchは(可能性としてはすべてのスマートウォッチは)着用者の周囲の情報を収集するデバイスとして非常に優れている。同時にそうして収集したアンビエント情報、たとえば着用者の心拍数や、お気に入りのスタンプを保管したりするのに適している。そしてパスワードの保管にも非常に適していた。

私のMacパスワードは“IamnotanAppleshill”だったが、これを毎度タイプインしなくてすむようになったのがApple Watchを日頃身につけるようになった大きな理由だ。同様に、SamsungのスマートウォッチのユーザーもをWindowsやLinuxパソコンのアンロックに使う方法を研究しているという。スマートウォッチを身につけてパソコンに近かづくと自動的にアンロックされるというのは全く便利だ。

スマートウォッチがパソコンと同様、テレビともコミュニケーションしてくれるとよいと思う。私の視聴履歴を保管し、お気に入りのチャンネル、番組を覚えていて自動的にテレビをセットしてくれるような機能だ。一言でいってスマートウォッチはデジタル世界へのパスポートになり得る。コンピューターのアンロック機能は実は後からのちょっとした思いつきだったのかもしれないが、しかし決定的なものだったと思う。

1月ほど前に、スマートウォッチはスイスの時計産業にとって悪いニュースだという予言を書いた。私は今でもそうだと思っている。たしかにスマートウォッチは審美的に劣っている。伝統技術の粋を集めたメカニカル腕時計に比べればまったく威厳がない。しかし思い起こせば、Blackberryはデサインとして決して優れていなかったし、むしろ醜いともいえた。にもかかわらず、約10年に渡って世界のリーダーやセレブはボタン式キーボード付きのBalckberryを使い続けた。実用性がデザインに打ち勝つというのが現実世界の容赦ない法則だ。

Macのアンロック機能はスイスの時計産業に対するもう一つの悪いニュースだ。もしかするともっとも悪いニュースかもしれない。ともあれ私にとってMacのアンロックはApple Watch最大の実用的機能となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、特許ゴロVirnetXとの再審に敗れ支払い3億ドルを命じられる

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米国特許システムの徹底的な見直しが必要である証拠がまた見つかった。

今年2月本誌は、Appleが悪名高き訴訟屋のVirnetXに6.25億ドル支払うよう連邦裁判所から命じられたことを報じた。iPhoneのiMessageとFaceTimeのサービスがVirnetXの特許を侵害したとされたためだ。(VirnetXは収益のほとんどを特許ライセンスと裁判から得ていることから、特許ゴロと言われている。

Appleはすぐに控訴し、問題の特許は無効であると主張した。

しかし金曜日(米国時間9/30)夜の判決はその上訴を無にするものだった。テキサス州の連邦判事はAppleに対して、VirnetXのインターネットセキュリティー特許を無断で使用した損害に対して、3.02億ドル以上を支払うよう命じた。3.024億ドルの賠償額は、ほぼVirnetXの要求通りだ。

Appleはコメントを拒んだ。法廷文書によると、Appleは当該特許を意図的に侵害したかどうかも問われており、賠償が追加される可能性もある。Appleは、新しいバージョンのセキュリティー機能に関する別訴訟でもVirnetXと対決しなければならない。

去る8月には、以前VirnetXがAppleから6.256億ドルを勝ち取った訴訟を、陪審員が混乱していた(誰が非難できようか!)として判事が棄却したこともあった。

これは、いわゆる「特許ゴロ」対Appleの長い戦いの一環だ。2010年、ネバダ州拠点のVirnetXは、AppleがVPNをはじめとする4件のセキュリティー特許を侵害しているとして、テキサス東部地区連邦裁判所に提訴した。

今回の裁判で陪審員らは、以前Appleが侵害したと裁定されたVirnetXの特許2件に関する損害に加え、別の特許2件についても侵害と損害を判断する必要があった。

裁判が行われたテキサス東部地域連邦裁判所は、損害陪償裁判で原告に有利な判決を下すことで知られている。

2013年、iOSのFaceTimeおよびVPNサービスがVirnetXの特許を侵害していると連邦裁判所が判決を下したことで、Appleから3.68億ドルを勝ち取った。Appleはサービスを変更したが、Virnetは変更が十分でないと再び訴え出た。VirnetXはCisco、Avay、Siemensらに対しても特許侵害で訴訟してきた。

2014年のMicrosoftとの争いでは、Skypeで使用された特許を巡り示談の末2400万ドルを勝ち取り、2010年の裁判では2億ドルを手に入れた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Appleの新CMは「メッセージ」アプリの背景アニメーションが主役

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AppleがiPhoneとiOSの新しいビデオ広告を公開した。これまでの広告と同じく、このビデオは従来のものとは大きく異なっている。そこにはTor Myhrenの影響が感じられる。

最近入社したこのマーケティング・コミュニケーション担当副社長は、広告業界で輝しい実績を持つ人物で、現在Appleの広告を任されている。昨年のCMと比べて、さらに洗練され、ストーリーを伝えようとしていると感じるのは、そのためだろう。

今日の新CMには、終了直前までiPhoneが登場しない。代わりにAppleは、風船が飛んでいってしまうと何が起きるかを、ゆっくりと明らかにしていく。

最後の最後になって、すべてがiOS 10のメッセージ・エフェクトのことだったとわかる。気の利いたCMで、製品を売ろうとしていない。そもそもiOS 10は無料でダウンロードできるので、これはAppleのブランドイメージ向上を狙ったものだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iMessage App Storeに登録された1650種類以上のアプリの大半を占めるステッカー

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AppleのiMessage App Storeには、1週間ほどで、1650種類以上のアプリケーションやステッカーパックが登録された。これは、iPhoneのデビュー当時の総アプリ数、そして1000以上あった、iPadのリリース当時の対応アプリ総数を超えているものの、昨年公開されたAppe Watch向けApp Storeの3500という数字には届かない。Sensor Towerの新しい報道によれば、1番人気のアプリは”ステッカーパック”で、1251種類ものステッカーが、402種類のそれ以外のアプリと共にストア上に登録されている。

iMessage App Storeは、サードパーティディベロッパーが、巨大なiPhoneユーザーベースにソフトを提供するための新しいプラットフォームを作る、というAppleの狙いのもとに誕生した。ちょうどiOS App Storeが、更新されていない古いアプリで埋め尽くされた頃に、iMessage App Storeが登場したのだ。なお、AppleはiOS App Storeの整理を進めており、何百、何千というアプリが登録削除される可能性がある。

その一方で、iMessage App Storeには、ユーザーのアプリの使い方における変化が反映されている。

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スタンドアローンのアプリをインストールして、ホームスクリーンに置いたまま忘れ去ってしまう代わりに、多くの人はモバイルメッセージの機能を拡大するためのアドオンを探し求めているのだ。これまでにも、カスタムキーボードのほか、GIF、絵文字、ステッカーなどのように、メッセージに自分の色やユーモアを足すことができるアプリが存在した。

さらに、現在App Storeで人気を博しているアプリの中には、アプリ自体にリッチなメッセージ機能を備えたものがある。Facebook Messenger(無料アプリ第3位)、Snapchat(第5位)、WhatsApp(第15位)などがその例だ。

Appleは、先週iOS 10と共に発表された改良版のiMessageアプリで、このようなユーザーのニーズを満たそうとしている。

メッセージアプリからプラットフォームへと進化した新しいiMessageには、さまざまな新機能も導入された。その中には、スクリーンをアニメーションや音で飾り付けるエフェクトや、”見えないインク”でメッセージを見えなくする機能のほか、リンクのプレビューや、手書きメッセージ、タップバックを使った返信、絵文字予測変換などが含まれている。

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しかし、何よりも重要な機能が、プラットフォーム化に伴うサードパーティアプリへの対応だ。

iMessage App Storeが、アプリとの新しい関わり方を提供しようとしている一方で、一般のアプリマーケットプレイス全体のトレンドもそこには反映されている。そのトレンドとは、ゲームアプリの台頭だ。

Sensor Towerのデータによれば、ステッカーを除くiMessage App Storeに登録されている402種類のアプリのうち、1番大きなカテゴリーがゲームとなっている。既に92種類のゲームが登録されており、その数は、ふたつめに大きなカテゴリーであるエンターテイメントのアプリ数(39種類)の約2.5倍にあたる。

トップ10に入っているその他のカテゴリーが、ユーティリティ(31種類)、仕事効率化(26種類)、ソーシャルネットワーキング(25種類)、写真/ビデオ(23種類)、旅行(21種類)、教育(18種類)、ヘルスケア/フィットネス(17種類)、そしてフード/ドリンク(15種類)だ。

興味深いことに、ニュースアプリの数は、現在の時点で6種類と極めて少ない。これは、例えばFacebook Messengerとは全く異なる傾向だ。最近TechCrunch Disruptで話をしてくれた、Facebook MessengerヘッドのDavid Marcusによれば、ニュースボットは、同社のチャットプラットフォーム上で人気なカテゴリーのひとつだ。ボット業界の動向を追っているサイト、Botlistによれば、Facebook Messengerのプラットフォームには、既に数十種類のニュースボットが登録されている。

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しかし、アプリに比べてステッカー人気は突出しており、ディベロッパーが確実に利益を生み出す手段となっている。現在公開されている1251種類のステッカーパックのうち、944種類がプレミアム(有料)で、307種類が無料だ。

有料ステッカーのほとんど(86%)が0.99ドルで、その他にも1.99ドル(12%)や、2.99ドル(1%)のものがある。1番高いステッカーパックは3.99ドルで、この価格がつけられているものはひとつしかない。

今回のiMessage App Storeに関する調査から、ディベロッパーがどのようなアプリを開発しているかについてのヒントを得ることができるが、消費者がどのようなアプリを実際にダウンロードしているかについてはまだ分からない。新しいiPhoneを購入する人や、既存のデバイスを新しいiOSにアップデートする人の数が増え、iMessageアプリの世界を発掘しだしてから、そのようなデータが明らかになってくるだろう。

Sensor TowerApp Annieといった、サードパーティーアプリのディベロッパーに対して情報サービスを提供している企業も、アプリのトラクションや人気に関する洞察を提供するため、そのうちiMessageアプリのダウンロード数を自分たちのプロダクトに組み込んでいかなければならない。特に、現在iMessage App Storeには、”トップチャート”が存在しないため、彼らの力が必要になってくる。そして、ディベロッパーが自分の目でユーザーの反応を確認することで、登録されているアプリの種類もやがて整備されていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

AppleがAmazon Echoの競合製品を開発中との噂

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iOS 10の登場で、Appleはスマートホーム界にその名を刻むこととなった。サードパーティ製品に対して、Homekitの機能を提供することで下準備を進めていた同社は、シンプルな名前のHomeアプリという形で、ようやくセントラルハブを確立した。Homeアプリを使うことで、ユーザーはスマートデバイスごとのアプリをインストールしなくても、コントロールパネルからデバイスをモニタリングしたり、操作したりできるようになった。

もちろん、同アプリの成功は、全てAppleのハードウェアの普及度合いにかかっている。理想的には、Homeユーザーは2つもしくは3つのデバイスを持っていれば、その機能を最大限利用することができる。まず、自宅にいるときに様々なデバイスをコントロールするためのiPhoneがひとつ、そして、ユーザーの位置に応じてON・OFF切り替えを行う電灯やエアコンのように、ジオフェンシングを利用してスマート家電を操作するデバイスがふたつめにあたる。

その一方で、常に待機状態にあるApple TVがホームハブとして機能することで、ユーザーは家にいなくとも家電を操作することができる。これこそ、スマートホームというコンセプトの最大の売りだ。しかし、家に置いておけるApple TVや予備のiPadを持っていない人についてはどうだろうか?

噂によれば、AmazonがAlexaを利用して実現したように、AppleはSiriをスマートホーム戦略の中心におき、Amazon Echoの対抗馬にあたる、先進的な音声認識テクノロジーを使ったスマートホームハブの開発にあたっているという。TechCrunchのiPhone 7レビューで触れられていた通り、Appleは最近明らかにSiri周りの戦略を強化しようとしており、数年前にNuanceとの協力をやめて社内のチームを拡大し、もっと強固なSiriを開発しようとしている。

このようなデバイスが完成すれば、Appleが長年あたためてきた音声アシスタントの魅力を増大させることができるだけでなく、公の場で自分の携帯電話に話しかけることを気にとめるような、自意識過剰なユーザーをも巻き込むことに寄与するだろう。そして、ユーザーは、メールの読み上げや天気予報のチェックなど、通常のスマートアシスタンス機能はもちろん、スマートホームデバイスまで音声操作できるようになると思われる。

Bloombergによれば、Appleのスマートホームハブプロジェクトは、数年前からスタートしており、ようやくR&Dからプロトタイプの段階へと移ろうとしている。Appleは、Amazonの種々の製品や、同じ名前のGoogle製品との差別化のため、最新のスピーカーやマイクを搭載しようとしているようだ。さらに同社は、顔認識を含む、デバイスとのインタラクションの方法についても色々と試しているようだ。しかし、その他の点も合わせ、現時点では実際の製品がどのようなものになるかは分からない。

また、どうやらAppleは、機能の一部を直接Apple TVの新しいバージョンへ組み込むことも考えているようだ。これにより、昨年販売が開始された、リモコンに音声操作機能を組み込んだモデルがようやく見捨てられることになるかもしれない。

もしも噂が本当で、実際に製品が市場に出れば、Appleにとっては久しぶりの新しい主要製品ラインの誕生となる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Appleがまたまた機械学習企業を買収、今度はオープンソースプロジェクトFiloDBのTuplejump

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Appleはこのところ、マシンラーニング(機械学習)の企業を買いまくっている。昨年末にはPerceptioを買い、わずか数か月前にはTuri、そして今度はインドとアメリカにまたがる機械学習企業Tuplejumpを買収した。

Appleがまた買うらしい、という噂は前からあった。AppleにTuplejumpの買収について確認を求めたら、例によって、イエスでもないノーでもない、という答えが返ってきた。それは、買った、というサインなのだ:

Appleは小さなテクノロジー企業をときどき買収するが、一般的にその目的や計画については議論しない。

Tuplejumpを知ってる人いる? 知らなくて当然。機械学習の企業に、いわゆる有名企業はほとんどいない。データサイエンティストなら知ってるかもしれないけど。TuplejumpのWebサイトは買収後に撤去されたが、Wayback Machineがとらえたそのaboutページには、こう書かれている:

数年前に人びとは、企業が生成するデータの量が手に負えないほどの大きさになりつつあることに気づいた。この大量のデータを扱う新しいタイプの企業集団が登場してきた。弊社は、そういう、いわゆる‘ビッグデータ’技術の初期的採用者のひとつである。弊社はFortune 500社の企業によるこれらの技術の採用を支援してきたが、そこでたちまち理解したのは、それがきわめて複雑であることと、その複雑な技術を単純化することの重要性だった。

かくして弊社の、データ管理技術を単純化し、それらを極限まで使いやすくするための探求が始まった。弊社は、使いやすくて、スケーラブルで、人びとが巨大なデータ集合に対して難しい問を投ずることのできる技術を、構築している。

買収の条件(価額など)は、わからない。

聞くところによると、Appleがとくに関心を寄せているのは、オープンソースの“FiloDB”プロジェクトで、Tuplejumpはそれを開発しつつ、機械学習と、大量の複雑なデータの、リアルタイム・ストリーミングのレベルでの分析に応用しようとしていた。FiloDBのGitHubページによると、プロジェクトの最初のリーダーはEvan Chan、そしてChanのLinkedInページには、彼が2015年の8月以降Tuplejumpにいた、とある。

FiloDBは今後もオープンソースのプロジェクトとして存続するのか? そのリポジトリはこれまでTuplejumpのアカウントに置かれていたが、最近独自のリポジトリを持ち、最近の数週間でも新しいコードがこのプロジェクトへコミットされている(開発は生きている)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、韓国でAppleストア候補地を探索中か

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これはまだ、極く初期段階の話であることをお断わりしておく。Appleは店舗候補地として数多くの場所を調べているが、そのほとんどが実を結ばない。しかし、クパチーノが韓国に旗を立てようとしていることの意味は極めて重要だ ― 巨大な市場でありながら同社が直販店を持っていないというだけではない。そこがSamsungの本拠地だからだ。

事実、The Wall Street Journalによると、同社は初のApple Storeの場所を闇雲に探しているわけではない ― ソウルの華やかな江南地区で、3フロアをGalaxyに宛てているSamsungの旗艦店から、目と鼻の先の場所を集中的に偵察している。

現在Appleは、約20ヵ国に500近い店舗を展開しており、うち30以上が中国にある。小売店がないにも関わらず、韓国でのAppleの実績は悪くない。具体的な出荷台数は公表されていないが、第三者の分析によると国内最大手のSamsungやそれに続くLGの強い市場で、Appleのシェアは10%から25%の間を行き来している。

Apple社全体の業績は、最近iPhone 7発売を前に最低レベルまで落ち込んでいる。一方Samsungも、このところ様々なトラブルに見舞われている

Appleの韓国への関心を最初に指摘した情報筋は、この手の話は時間がかかるものだと念を押した。具体的な証拠はまだ何もなく、もし同社が出店を決めるとしても、1年以上先のことだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、Lit Motorsとも買収交渉中か

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Appleがマクラーレンを買収するというが立てられているが、話はそれだけではない。New York Timesは、マクラーレンの件を探る中で、AppleがLit Motorsとも買収を視野に交渉していることを突き止めた。

さて、読者は「Litって誰だ?」と思っていることだろう。Lit Motorsはマクラーレンとは比較にならない規模ではあるが、自動車業界では興味深い会社の一つだ。

同社は去る2012年、TechCrunch Disrupt SFのスタートアップバトルフィールドに参加した。その時ステージ上で魅力的なデモを見せ、第2位に輝いた。

サンフランシスコ拠点のスタートアップは、新しいタイプの電動乗り物を開発している。一種の電動オートバイだが、いくつか仕掛けがある。例えば、2輪なのに倒れない。ジャイロを使って自らを安定させているからだ。

もちろん、ジャイロはいわゆるホバーボードではよく使われている。それでも、これだけ大きな乗り物が、押しても微動だにしないところを見るのは驚きである。

CrunchBaseによると、これまでに同社が調達した資金は220万ドルにすぎない。今もも独立会社として生き残れるだけの資金があるのか、買い手を探しているところなのかは不明だ。

Appleが自動車プロジェクトに取りかかってから数年がたつ。今も秘密プロジェクトではあるが、噂は山ほど出回っている。実際、Appleは数多くの自動車メーカーやIT企業と、争うように人材を獲得している。

Lit Motorsの買収は、優れた技術者をまとめて自動車プロジェクトに参加させるうってつけの方法だ。本誌はLit Mrtorsに連絡を取っているので、情報が入り次第続報する。とりあえずは、2012年のLit Mortosの発表をご覧あれ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IndyCarの写真に見るiPhone 7に搭載されたデュアルレンズの重要性

IndyCar drivers Will Power and Simon Pagenaud drive along the Embarcadero in San Francisco on Thursday, September 15, 2016. Photo by Brad Mangin

iPhone 7と7 Plusが先週ローンチされ、最も話題になった機能のひとつが(複数の)カメラだ。

特にiPhone 7 Plusには、広角と望遠という2つのカメラが搭載されている。そのため、iPhone 7 Plusは光学2倍ズームに対応しており、ユーザーはデジタルズームにつきものの歪みに苦しむことなく、被写体に近づいて撮影することができるようになったのだ。

光学ズームは、どんなカメラマンにとっても嬉しい機能である一方、2倍ズームによって何が変わるかというのは、実際に撮った写真を見比べるまではなかなか実感しづらいものだ。

以前にも紹介した、iPhoneのみで撮影を行うプロカメラマンのBrad Manginは、先週末にカリフォルニア州ソノマ(Sonoma)で行われたIndyCarを仕事で訪れ、iPhone 7 Plusで撮影を行った。新たに搭載された望遠レンズを試すことができた彼は、特に違いの表れた写真をいくつか共有してくれた。

  1. 編集ソフト:Snapseed

  2. 編集ソフト:Snapseed

例えば、上の2枚の写真で、Bradはトラック上の車を含む風景写真を撮影した。左側の写真は、光学2倍ズームの望遠レンズで撮影され、右側のもう一枚は通常の広角レンズで撮られたものだ。

右側の広角レンズで撮られた写真では、車が小さすぎるばかりか、トラックのサインやレーダーボードはほぼ解読不可能で、Bradの影さえ写り込んでしまっている。デジタルズームを使うこともできたかもしれないが、そうすれば画質が落ちてしまっていただろう。

  1. トロフィー(光学2倍ズーム)

  2. トロフィー(等倍)

別の作例が上の2枚だ。この写真は、カメラマンが動くことのできない場所で撮影されたとBradは説明する。右側の写真も悪くないが、トロフィー(そしてトロフィー型のパン!)のディテールを確認するには広角過ぎる。そして左側の写真に見られる通り、光学2倍ズームを使うことで、Bradは、物理的に被写体に近づくことができない状況でも、求めていた写真を撮影することができた。Bradは最近の撮影でiPhoneしか使っていないため、iPhone 7 Plusの望遠レンズがなければ、この写真を撮るチャンスを逃すしかなかったのだ。

もちろん、サードパーティ製のiPhone用レンズを使っても、このような写真を撮影することができる。実際Bradは、TechCrunchでも紹介した、新しいZEISSのiPhone用レンズを使うことも検討したと語っていた。しかし、専用のiPhoneケースの存在や、使っていないときでもレンズを支える必要があるといった欠点のせいで、外付けレンズを彼が利用することはなかった。結局Bradは、普通のカメラマンが引きずりまわらなければならない、動きに制限の生まれる装備を全て忘れ去るために、iPhoneオンリーのカメラマンになったのだ。

さらにBradは、望遠レンズの強みを利用せずとも素晴らしい写真を、何枚かiPhone 7で撮ることができた。

  1. 編集ソフト:Snapseed

    日の出。GoPro Grand Prix of Sonoma開始前のソノマ・レースウェイにて。2016年9月18日(日)ソノマ・レースウェイ、ソノマ、カリフォルニア。写真:Brad Mangin
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    仲間のドライバーJuan Pablo Montoyaに話しかけるIndyCarドライバーのSimon Pagenaud(左)。GoPro Grand Prix of Sonoma開始前のソノマ・レースウェイにて。2016年9月18日(日)ソノマ・レースウェイ、ソノマ、カリフォルニア。写真:Brad Mangin
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    Simon Pagenaudの車(22番)のアップ。GoPro Grand Prix of Sonoma開始前のソノマ・レースウェイにて。2016年9月18日(日)ソノマ・レースウェイ、ソノマ、カリフォルニア。写真:Brad Mangin
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    朝の練習の後にエンジニアに話しかけるIndyCarドライバーのWill Power。GoPro Grand Prix of Sonoma開始前のソノマ・レースウェイにて。2016年9月18日(日)ソノマ・レースウェイ、ソノマ、カリフォルニア。写真:Brad Mangin
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    朝の練習の後にエンジニアに話しかけるIndyCarドライバーのSimon Pagenaud。GoPro Grand Prix of Sonoma開始前のソノマ・レースウェイにて。2016年9月18日(日)ソノマ・レースウェイ、ソノマ、カリフォルニア。写真:Brad Mangin

記事内の全ての写真は、撮影・編集(SnapseedとInstagramを使用)共にiPhone 7 Plus上で行われた。以前Bradが話していた通り、撮影に携帯電話を使うことで、被写体にカメラを意識させることなく近づくことができる。往々にして、大きなカメラを持った人が近づくと、人は普段通りの動きができなくなるものだ。

もちろんIndyCarには、昔ながらのデジタル一眼レフカメラを装備したカメラマンもいるが、Bradの写真はユニークで、そこからはイベントの舞台裏を垣間見ることができる。彼は、このようなスタイルを、「イベントの縁の端」を撮影した写真と呼んでいる。つまり彼は、スポーツイベントの参加者(もしくはカメラマンまでも)が注意を払うことのない、面白い瞬間を捉えようとしているのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Appleがマクラーレンと買収交渉中か

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ファイナンシャル・タイムズによれば、テクノロジー企業のAppleが、自動車製造業のマクラーレンと交渉をしている。読んだ通りだ、間違いではない。これらの交渉は数ヶ月に渡って継続されており、買収か少なくとも戦略的投資につながる可能性があるようだ。

より正確に言えば、Appleが交渉しているのはマクラーレン・テクノロジー・グループである。これはマクラーレン・オートモーティブなどを含む、すべてのマクラーレン関連企業の親会社だ。

マクラーレンはスーパーカーやフォーミュラワンの世界では有名な名前だが、巨大な自動車製造会社ではない。同社の2015年全体の収入は、6億1700万ドル(4億7500万ポンド、626.7億円)と報告されていて、純利益2700万ドル(2080万ポンド、27.4億円)を計上している。

ファイナンシャル・タイムズは、この買収が13億ドルから20億ドルの間(10億ポンドから15億ポンド、1320.4億円から2031.5億円)になると考えている。これは、Appleにとって大きな買い物のように見えるが、同社は、過去にBeatsというもっと大きな買収をしている。

特に自動車の話となると、Appleは何年も秘密の自動車プロジェクトに取り組んでいるという噂がある。

Bob Mansfieldが最近Appleの自動車部門を引き継いだ。同社はまた、最近Didi Chuxing(滴滴出行)に10億ドル(1015.7億円)の投資を行っている。

Appleのエンジニアたちが自動運転テクノロジーに心血を注いでいる一方、自動車製造そのものは同社にとってはまだ未開のエリアである。マクラーレンの買収は、車、エンジン、シャシーその他を作る方法を知る、多くのエンジニアを雇うための方法となり得るだろう。

これはまだ初期のレポートであり、買収交渉も物別れに終わる可能性がまだある。いずれにせよ、Appleが車の世界で真剣なプレイヤーになりたがっていることを見ることはとても興味深い。

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(翻訳:Sako)

AppleがSierra正式公開―macOSは安定したプラットフォームになった

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今日(米国時間9/21)、macOS Sierraが正式に公開され、ダウンロードできるようになった。AppleがOSをメジャー・アップデートするたびにわれわれはレビューを書くことになっている。今年のアップデートでOS XはmacOSと呼び名が変わった。これ自体はコスメティックな変更にすぎないが、一歩下がってMacコンピュータのOSの全体像を観察するのにいい機会かもしれない。

デビューから15年以上、13回のメジャー・アップデートを経てMacは成熟したコンピューティング・プラットフォームとなった。これはすばらしいことだ。

アップデートが発表されるたびに大勢の優秀なライターがMacのOSの新機能や改良点を詳しく解説したレビュー公開する。そこでmacOS Sierraの技術的詳細はそういうレポートに任せておく。いずにせよ3ヶ月の公開ベータ・テストを経た後なのでSierraそのものについてはここで紹介しなけれならないような新しいニュースは特にない。

そんなわけでこの記事はmacOSのレビューとしてたいへん短いものになりそうだ。iOS 10は非常に大掛かりなアップデートだったが、macOS Sierraは、少なくともOS X El Capitanのユーザーにとっては、さほど大きな変更ではない。

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まず新機能を簡単に見ておこう。Siriが初めてMacにやってきた。実現するのが遅すぎたともいえるが、目新しい機能も含まれている。Macに話しかけることによって天気予報やNBAの試合結果、単語の翻訳、テキストの送信などができる。Wi-Fiを切ったり、HDDのファイルを検索したりもできる。ただしサードパーティーのアプリはMacのSiriを利用できない(この機能はiOS 10デバイスに限られる)。私はiPhoneでSiriを長いこと使ってきたのだが、Sirの機能を利用するためにMacに話しかける機会はあまり多くなさそうだ。私が慣れていないせいもあるだろうが、Macの大型スクリーンを前にしていれば音声入力はそれほど必須の機能ではないように思える。

写真アプリはiOS 10とほぼ同様の機能を得た。 撮影場所、日時を基準にした自動アルバム作成や従来よりはるかに強力な検索機能などだ。そのためMacで写真を眺めるのはすばらしい体験になった。メッセージではリンク先をプレビューしたり、Facebookの「いいね!」に似たtapbackと呼ばれる絵文字のリアクションを送ったりできる。残念ながら、メッセージではiOS 10で導入された便利な機能の多くはMacに移植されず、メッセージ用アプリをインストールしたりはできない。

他の新機能にはデスクトップと「書類」のフォルダのコンテンツがiCloudと自動的に同期し、ユーザーのあらゆるデバイスからアクセスできるようになること、これに関連してiCloudがストレージの最適化を助けることなどが含まれる。 その他ウェブ版Apple Pay、Safari内での子ウィンドウ(ピクチャー・イン・ピクチャー)の表示、iWorkでのリアルタイムの共同作業などの機能も追加された。

Apple WatchのユーザーはWatchとApple IDを用いて非常に便利な2段階認証を設定できる。Apple Watchを身に着けてMacに近づくと、自動的にアンロックが行われる。私は長年パスワードを入力してきたが、Apple Watchを使った認証は魔法のような体験だ。

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念のために断っておくが、 macOS SierraはすばらしいOSだ。これまでのMacになかった数多くの新機能を追加してくれる。しかしMac体験を根本的に一新するようなOSではない。AppleはMountain LionMaveriksのリリースでは「新機能が200件も!」と宣伝したが、今回はそのようなアップデートではない。MacのOSはもはやそういう時代ではない。

Appleは手を広げすぎたという批判がある。だからAppleにはmacOS、iOS、tvOS、watchOSのすべてを同時にメジャー・アップデートするような能力はないというわけだ。しかしAppleがこの10年で大きく成長したことを考えておく必要がある。開発者も圧倒的に増えている。つまり優先順位の問題ではない。

ある意味でMacは開発の観点からは「退屈な」プラットフォームになった。しかしユーザーからすれば悪いことではない。AppleはiOSに惜しみなく先進的、実験的テクノロジーを注ぎ込んでいる。iPadではノートパソコンに変わる次世代のコンピューティング・プラットフォームを築こうと試みている。残念ながらこの目標はまだ実現していない。すくなくとも一般ユーザーに関する限りはまだだ。

その一方で、MacのOSはもっとも安定したプラットフォームとなっている。私はこの夏いっぱい公開ベータ版のSierraをテストしてきた。私に関する限り、Sierraにはまったく何の問題もなかった。たしかに目を奪うような新機能には欠けているかもしれない。しかしSierraはMacを従来よりはるかに効率化した。私としてはそれで十分だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これがiPhone 7とApple Watch Series 2の新CMだ

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Appleは新しいデバイス ― iPhone 7とApple Watch Series 2 ― のCMを、1つでも2つでもなく3つ公開した。いずれも、防水、高感度カメラ、新フィットネス機能といった新機能を前面に押し出している。

まず私お気に入りの “Midnight” では、若い男が夜スケートボードに乗って出かける。郊外を走っていると、ガソリンスタンドでシカ(!)に出会い、最後は丘の上から街を眺める。すばらしい写真が撮れた。

2つ目のiPhoneのCMは、男が激しい雨の中、自転車とiPhoneの準備をしている。iPhoneはハンドルマウントに取り付けている。事故にあわなければよいのだが…

最後はApple Watch Series 2が登場するCMで、フィットネス機能に焦点を合わせている。そう、Apple Watchを着けたまま、泳いだりあらゆる種類の危険なスポーツができるようになったのだ。このCMには、Apple Watchをフィットネストラッカーとして見せたいAppleの意図が明確に表れている。

あと、見逃がした方のために。Appleは先週、iPhone 7のすばらしいティーザー広告を公開した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPhone 7を分解してみた…Intel製のモデム、ものすごく薄いA10チップを搭載

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世界中の熱心なiPhoneファンたちが、行列に並ぶ用意をしていたり、予約したのがやっと届くのを待ち焦がれている中で、ハードウェア分解修理屋iFixitとChipworksの連中は、庭のBBQのステーキをねらう飢えた野鳥のように、自分たちの道具を研ぎ澄ましていた。

両サイトはiPhone 7(と7 Plus)の分解過程をライブブログで報じ、そしてその間に、いくつかのおもしろいことに気づいた。旧機種との違いは、外側よりも中の方がずっと多かった。しかしまず彼らが直面したのは、大量の接着剤との苦闘だった。いわば接着剤製の薄膜が、新型機の耐水性の強化に貢献しているようだ。またその薄膜は、壊れやすいと悪評だった触覚型のホームボタンも守っているらしい。

また、接着剤が防水性の鍵であるのなら、その性能はiPhoneを修理に出すと失われるかもしれない。

チップに関しては、基板の前面どまんなかにA10が鎮座している。占める表面面積も125平方ミリメートルと大きい。APL1W24という、誰にも覚えられないような名前のそのチップはTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)製で、InFO(integrated fan-out)と呼ばれるパッケージング技術で収容され、その極端な薄さを実現している。

Chipworksが分解したA1778モデルには、Intel製のモバイルセルラープラットホーム一式が搭載されている。それらは二つのRF送受信機、電源管理、そしてモデムだ。CDMAのA1660 モデルはQualcomm製のチップかもしれない。IntelはCDMAに関しライセンスの問題を抱えているらしいから。詳細はまだ不明だが。

ストレージにはHynixとToshibaが採用されている。メモリはiPhone 7が2GB、7 Plusが3GBだ。

iFixitの報告を見る限り、iPhone 7の修理適性は単純には評価できない。上述の接着剤という問題のほかに、新しい特殊規格のネジが使われているから、計4種類のドライバーが必要だ。

出典: iFixit, Chipworks

画像提供: iFixit

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Watch Series 2レビュー―Apple初の本物の腕時計

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Apple Watch Series 2はAppleが送り出した初の本物の腕時計だ。このデバイスは触れ込みどおり、 ほとんどの基本的な作業を1秒から3秒でこなす。GPSが内蔵されたので、それなりに負担になる重さのiPhoneを持たずにジョギングに出て運動を正確に記録することができる。またスポーツウォッチなら当然だが、完全に防水になった。

ケースは第一世代に比べてほんの僅か厚い。これはおそらくバッテリーが大型化されたためだろう。Appleによれば、Series 2で用いられたプロセッサーは50%速く、これはテストでも実証された。オリジナルのApple Watchと並べて計測するとWatch S2はアプリの起動もデータの読み込みもはるかに速い。オリジナルのApple Watchがデータを読み込んでる間に、新Watchでは今週の予定を表示させ、スクロールさせることができた。マップ、カレンダー、その他のアっぷりでも同様の大幅なスピードアップが確認できた。

Series 2ではスクリーンがはっきり気づくほど明るくなっている。テキスト、特にアクティビティの要約が読みやすくなった。

スピードと明るくさおかげで、私はすでに以前よりApple Watchを操作する回数が増えている。実際昨年、Appleが WatchOSをアップデートしたときにもパフォーマンスはかなり向上している。しかしSeries 2でプロセッサーそのものがアップデートされた効果は圧倒的だ。

スイミング・モードになると、スクリーンはロックされる。これはユーザーが水をかく動作でタッチセンセーが反応しないようにするためだ。 室内プールでの水泳では内蔵センサーが自動的にユーザーの泳ぎの種類を判定する。これは大規模な実験で蓄積された運動データの分析をベースにしている。ランニングの際に走り方のスタイルを判定できるのとほぼ同じ仕組みだ。

屋外の水泳ではGPS電波を受信できるので、Watchはユーザーの腕がストロークに従って水面から出たり、水中に入ったりするタイミングを正確に測定する(水中では電波が受信できないので一時的に推定になる)。

新しいWatchは水深 50mの耐水性能を備えるので安心してスイミング・モードのさまざまな機能をテストできた。コースの長さと予定している水泳時間をセットするだけで私はすぐにプールに飛び込んだ。計測は宣伝の通り正確だった。泳ぎの型の判定、心拍の記録その他、各種のトラッキングと分析はきわめて正確だった。

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プールから出たらサイドのリューズをひねって画面ロックを解除する。このときSeries 2から断続的に音が聞こえる。これはスピーカーの作動には空気が必要なため、スピーカー空間に入った水を振動で排出しているためだ。これでApple Watchのスピーカは再びクリアなサウンドを出すことができる。非常に巧妙な仕組みだ。たしかに宣伝どおりの効果を発揮する。

私はランナーではないので、ランニングのシーンにおけるGPSのテストはしていない。ともかくGPSは水泳で正確に作動した。

私がテストした限りではSeries 2はAppleが主張するとおりに作動した。初代に比べると使用体験は飛躍的に向上している。Apple Watchに代表されるようなデバイスとのカジュアルで日常的な相互作用はAppleの全体の戦略の中で重要な位置を占めるようだ。私は昨年、Apple製品に占めるApple Watchなどの意味について記事を書いている。【引用は原文参照】

Series 2でGPS機能が追加されたことは、Watchデバイスの独立性を大きく高めた。おそらく将来は携帯無線網に接続する能力も獲得するのだろう。つまりどこにいてもユーザーiPhoneと(プラスAppleのクラウド・サービスとも)コミュニケーションができるようになるはずだ。これは「ユーザーのデータはあくまでユーザーのもの」というAppleの基本的な姿勢とも合致する。

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ユーザーがiPhoneをコンピューティングの主要なデバイスとして利用している場合、iPhone内蔵のAI機能が画像を選別し、カレンダーで日程を整理し、
さまざまな積極的提案を行うなどの処理を行い、データはiPhoneそのものに保存される。そしてiPhoneとApple Watchが直接情報をやり取りすることになるだろう。これはクラウド・ベースのAIに比べて一層安全だ。プライバシーとセキュリティーの面からするとクラウドAIは本質的により多くの脆弱性を持つ。

昨日、私は iPhone 7と7 PlusAirPodsとApple WatchがAppleの製品トライアングルを形成すると書いた。ユーザーにとって中心となるデバイスは今後ますます衛星的デバイスかと密接にコミュニケーションするようになるだろう。Appleの考える新しいエコシステムは人体のようなものだ。つまりiPhoneが頭脳の役割を果たし、AirPodsが音を出す器官で、Apple Watchが腕だ。Series 2でAppleの腕はより大きな自由と能力を獲得したといえる。

〔日本版〕AppleサイトによればSeries 2は明日(9/16)発売される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iOS 10アップデートで一部のiPhone/iPadが文鎮化【解決済み】

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アップデート:Appleによると問題は修正されたようだ。TechCrunch宛に次の声明が送られてきた。

「ソフトウェアアップデートのプロセスに問題があり、提供開始後の1時間に少数のユーザーが影響を受けた。問題は直ちに解決したが、当該ユーザーにはお詫び申し上げる。問題に遭遇した人は、iTunesに接続してアップデートを完了するか、AppleCareに連絡してサポートを受けてほしい。」

Appleはつい先ほどiOS 10を一般公開したが、一部のiPhoneおよびiPadが文鎮化しているらしい。

数百人もの人たちがTwitterに押し寄せ、Appleサポートのアカウントに苦情を訴えた。アップデートしたら端末が動かなくなったのだ。このバグは全員にあてはまるものではないが、TwitterやiPhoneユーザーの友人からの反応を見る限り、かなり広範囲にわたっていると思われる。

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私もiPhone 6s Plusを9.3.3からiOS 10(正確には10.0.1)に、WiFi経由でアップデートしたばかりだが、アップデートの完了とともに文鎮化した。”connect to iTunes” の画面が表示されたが、iTunes経由でのアップデートも失敗し、再び “connect to iTunes” 画面に戻った。復元を試みたがそれも1度目は失敗した。2~3回試した後、ようやくクリーンなiOS 10ビルドに復元された。

エラーの原因は全く不明であり、Twitterでは、iPhoneだけでiPadは大丈夫と言う人もいれば逆のことを言う人もいる。

本誌はAppleにコメントを求めており、回答があり次第この記事を更新する予定。バグの詳細がわかるまで、当面iDeviceをアップデートするのは控えたほうがよさそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iOS 10、今日からいよいよ一般公開―Appleはアプリ開発の再活性化を目指す

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AppleがいよいよiOS 10を一般公開した。iOSの「歴史の中で最大のアップデート」だという。読者はアップデート内容についてすでに聞いたことがあるかもしれない。新しいiOSは数ヶ月前からベータ版として入手可能だった。またAppleは新バージョンの変更点をきわめてオープンにしてきた。主な変更点はソフトウェアのダウンロードの際にも表示されるので、ここではiOS 10特有の新しいユーザー体験を紹介したいと思う。

私はメインのiPhoneに6月にiOS 10ベータをインストールし、この夏中利用してきた。今日からiOS 10は正式版としてアップデート可能だ(無料)。まず目につくのは大量の新しい絵文字かもしれない。「新しい絵文字」と聞いて大勢のユーザーが「設定」に殺到してiOSのアップデートを試みている様子が想像できる。絵文字の追加は新OSのインストール率をアップする戦術としてたいへん巧妙だった。

アプリの新しいエントリーポイント

しかし絵文字はどちらかといえば飾りであり、iOS 10の本当の価値は目につきやすい飾りの背後に隠されている。iOS 10をインストールしたとき、私は3つの変更点に気づいた。まずデバイスを取り上げると自動的にスリープから復帰する。ボタンを押す必要がない。ホームボタンがロックスクリーンにある新しいデバイスの場合はその役割は異る。ユーザーはTouch IDを起動するためにロックスクリーン上のホームボタンを押す必要がある。さらに重要な点だが、ロックスクリーン自体がゼロから作り直されている。

壁紙を覆い隠すようなプッシュ通知は姿を消した。iOS 10での通知はmacOSの場合にやや似た個別のバブル表示になった。それぞれのバブルに表示される情報は以前より多い。いちばんいいのはバブルを拡大できることだ。3D Touchの場合、通知バブルを「深く押す」と小さなアプリが開く。まだすべてのアプリがこの機能をサポートしているわけではないが、大きなポテンシャルだ。

Apple自身のアプリはサードパーティー・アプリのプラットフォームとなった

たとえばメッセージの一つを深く押すと小さなMessagesアプリが起動され、現在のメッセージ・スレッドが表示される。ユーザーはロックスクリーンを離れないままでチャットのやり取りができる。Messagesアプリを起動することなくほとんどの機能が利用できる。呼んだUberの位置を調べたい、 Instagram写真を見るなどのときにも便利だ。

同様に、ホームスクリーンから小さなウィジェットを呼び出すことができる。この場合もアプリを起動する必要はなしに天気予報を見たりカレンダーに登録したアポを確認したりできる。こうしたウィジェットを「今日」タブに追加する方法は従来どおりだ。しかし今後はホームスクリーンから直接内容を見ることができる。

次はエクステンションだ。Appleは大量のエクステンションをApp Storeに掲載している。ユーザーはSiriやメッセージ、電話などのアプリにエクステンションをインストールして機能を拡張できる。コントロール・センターに追加された新しい「ホーム」パネルについても同様だ。

この包括的な変更のおかげでユーザーは何かしようとするとき、それに適したアプリを探して起動するという操作が必要なくなった。つまりApple自身のアプリがサードパーティーのアプリを立ち上げるためのポータルの役割を果たす。

iOS 10ではSiriやWeChat使って友達への支払いなどさまざまなアプリを起動できる。。マップでは配車を頼んだり、レストランのレビューが読める。。電話アプリではSkypeなど他社製のVoIP通話がサポートされる。

私はこうした機能をすべてベータ版で実際に使ってきた。たしかにiOS 10はさまざまなアプリの使い勝手にApp Store始まって以來の最大の変化をもたらしそうだ。

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メッセージからメッセンジャーへ

Appleのメッセージ分野への参入は遅かったが、参入するからには徹底的なものとなっている。iMessages App Storeが用意され、メッセージ・アプリ自身がプラットフォームとなった。ユーザーはメッセージのやり取りで写真の上に手書きで図を描き、吹き出しを付加できるだけでなく、スクリーンいっぱいに風船を飛ばすようなエフェクトも送信できる。こうした新しいエフェクトを受け取ればユーザーは嫌でもその機能に気づき、別の友達に試してみるだろう。こうした口コミによる新機能の広がりはAppleが初めから計画したものだと思う。

さらに重要な点だが、私はメッセージ機能の追加されるさまざまなiMessageアプリの出来栄えに感心した。これまで友達とのコミュニケーションで専用アプリ内からやってきたことが、数ヶ月以内にiMessages Appから可能になるだろう。Citymapperの旅行日程を送る、チェスをプレイする、割り勘を精算する、スタンプをやり取りする、などなどがすべてメッセージ内からできるようになる。

こうした追加機能がすべてネイティブ・アプリなのが大きな利点だ。アプリとしてみるとWeChatもメッセンジャーもアプリとしては機能は限定されている。iOSとAndroidのメッセージ・アプリ開発にあたってデベロッパーはウェブ・アプリ開発のテクノロジーを流用している。

これに対してAppleは違うアプローチを選んだ。つまりiOSの場合、メッセージ・アプリを離れずに文書をScanbotでスキャンしてそのまま相手に送れる。この便利さが多くのユーザーにiPhoneを選ばせる理由だろう。

現在のiMessages App Storeはスタートしたばかりで、デベロッパーはその表面をわずかにひっかいたに過ぎない。メッセージにまったく新しい可能性が開けたといえる。

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App Storeの再活性化

スマートフォンの利用における「アプリ疲れ」は現実の問題だ。テクノロジー・ビジネスの人間は別として、私は新しいアプリをインストールするよう友達を説得することが事実上不可能になっている。誰もApp Storeで新しいアプリを探す気にならない。

AppleはApp Storeから大量の放置アプリを削除中―カビのはえたパンを食べる者はいない

私の結論はこうだ。iOS 10におけるAppleの真の狙いはApp Storeの再活性化だ。当面は小さい変化から始めているようだが、それでもアプリ登録のための審査時間は劇的に短縮された。またデベロッパーはアプリのプロモーションのために検索広告が利用できる。 Appleが放置アプリの削除にとりかかっているのカビのは、カビのはえたパンを食べる者はいないからだ。

iOS 10でAppleはさらにiMessage App Storeを新設し、メッセージ内に新しいアプリをインストールさせようと図っている。このいわばミニ版のApp Storeは従来のApp Storeよりはるかに見通しがよく、ユーザーを萎縮させないよう気が配られている。

iOS 10は新しいアプリ・プラットフォーム

まだiOS 10の新機能の紹介の半分も済んでいない。新しいフォト機能、新しいApple Music、新しいコントロール・センター、それにデフォールトのアプリが削除可能になったことなど、歓迎すべきアップデート満載だ。さらに数多くの巧妙な隠し機能があり、大勢のライターがテスト中だ。読者がiOS 10の技術的詳細に興味があるなら、ここ数ヶ月は読み物に困らないだろう。

私の結論はこうだ。AppleはモバイルOSを柔軟かつオープンなアプリ開発プラットフォームに変えることに成功した。ユーザーがアプリを探し、インストールし、利用する方法はiOS 10で根本的に変わるはずだ。この点はすぐには実感されないかもしれないが、長期的にはApp Storeを生まれ変わらせることになると思う。

〔日本版〕 日本語iOS 10のダウンロード、インストールはすでに可能。訳者のiPad Airでは特に問題なくアップデートが完了した。時間は再起動含めて20分程度かかった。万一の場合を考え、パソコンに接続するなどして事前にデータのバックアップを取っておくことが推奨されている。3D Touch未装備のデバイスの場合、ロックスクリーン上の通知バブルをスワイプすると従来どおりアプリが起動される。パスコードを設定している場合はここで入力が求められる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

10ドルでワイヤレスのAirPodsがワイヤありになる

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人生には、ときどき不思議なことがある。160ドルも払って両耳用のワイヤレスヘッドフォーンを買ったのに、そのためのワイヤがどうしても欲しくなるんだ。

Appleが今週初めに発表した高価な完全ワイヤレスのAirPodsの、片方をなくすことを防いでくれるなら、10ドルは安いかもしれない。ネット上の批判はもっぱら、イヤフォンがワイヤレス化したことだけに集中し、そのちょっと使いづらい不格好なデザインは文句を言われなかった。

真っ先に救助に駆けつけたのは、ケースメーカーのSpigenだ。それはなかなか感動的な製品だと思うけど、今度はヘッドフォン本体よりももっと激しい、賛否両論を招くかもしれない。そのAirPods Strapと名付けられた製品は、文字通り、AirPods用のストラップだ(名は体を表す)。

これをAirPodsにはめておけば、なくしにくくなる。同社のプレスリリースは、“コンパクトで軽くてとっても丈夫”、と言っている。デンタルフロスとしても、使えるかもしれない。ミントの気持ち良い匂いはしないけど。

発売は、10月半ばの予定だ。

出典: Gizmodo

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

iPhoneのデュアルレンズは傑作だけど、デジタルズームを使ってはならない理由

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Appleはさらなる機能を備えたより高品質なカメラをローンチして、引き続き世界中のフォトグラファーたちをとりこにしている。しかしAppleのマーケティングVPであるフィル・シラーが壇上に立って「デジタルズームは良いものだ」と言ったとき、真のフォトグラファーたちは誰も耳を貸さなかった。あなたも耳を貸すべきじゃない。その理由をここで述べたい。

レンズが2つ。素晴らしさも2倍。28mm相当レンズと56mm相当レンズ。よしきた。

レンズが2つ。素晴らしさも2倍。28mm相当レンズと56mm相当レンズ。いいぞApple。

iPhone発表会を見ていた筆者がイスの上でのたうちまわり、コンピューターに向かってののしってしまったのは、フィル・シラーがデジタルズームは何か良いもののように主張していたからだ。デジタルズームは本当にマズい。これまでも良かったことがないし、これからも決して*良くはならない。

デジタルズームの問題点

何が問題かというと、写真というのはカメラが集めることのできる光の量によって制限されるからだ。デジタルズームを使った場合、画像センサーはフルに使われない。代わりに使用する画素数はもっと少なくなる。大抵はそれでも同じだけの画素数は得られるが、そうするにはより少ない画素数を補間し、画像全体を埋め合わせねばならない。これがあまりよろしくないということは、プロの写真家でなくとも分かるだろう。

写真を撮るのに12メガピクセルすべてを使う必要がないとしても、撮った作品をFacebookやInstagram、Snapchatにアップロードする場合のことを考えてみよう。実はデジタルズームには他にも問題があるのだ。手ぶれ補正はフルフレームの画像用に最適化されている。だからデジタルズームすると手ぶれ補正の利点がすみずみまで活かせなくなる。つまり、ズームを使うなら手は石のようにして絶対に動かしてはいけない。

何よりも最悪なのは — カメラにも欠点があり、それを避ける手だてはないということだ。ピクセル単位でのあら探しを始めたなら、そうした欠点は見るにたえないくらいあからさまになるだろう。

「けれども筆者のHajeさん」と、がっかり感とフラストレーションを抱えたあなたは泣きそうになりながら言うかもしれない。「だったらフレーム内の被写体を大きく写すにはどうしたらいいんですか?」

答えは簡単だ。自分の足を使ってズームすればいい。被写体をもっと大写しにしたければ、歩いて近寄ればいい。そうすればあなたの作品はうんと良くなる。

誤解しないでもらいたい、筆者もデュアルカメラにはものすごく興奮している。焦点距離のより長いレンズを追加したのは素晴らしい進歩だ。つまり被写体にもっと迫って切り取ることが可能になる。スマートフォンで写真を撮る人にとって、これは大きな違いになると確信している。

素晴らしいカメラだが、光学ズーム比に留まれ

Schiller, I love you, man, but this is just being silly.

シラー、あなたのことは嫌いじゃないけど、冗談はやめてくれ。

 

今回、1つの光学ズーム機能ではなく、2つの全く異なるカメラ構造を盛り込んだのはスマートな選択だった。しかしこれだけ小型なカメラの内部において、可動性をもつ部品はとてつもなく精密な制作公差を必要とする。こうした可動性部品は衝撃にも敏感で、メカニクスは最後には摩耗するだろう。だからこそデュアルレンズは賢い選択なのだ。実際、AppleのiPhone 7とiPhone 7 Plusは、モバイル端末付属のカメラとしては最も優れたものの1つであることに疑いの余地はない。

だが、カメラを最大限に有効活用したいなら、壇上でペラペラとマーケティング文句をしゃべってる連中の言葉を聞いてはならない。デジタルズームのことは疫病並みに避けてかかり、カメラ本来のもつズーム機能に固執すべきだ。AppleのiPhone 7 Plusの場合なら、1倍または2倍ズームで撮影しよう。どちらかの間でも、それ以上でもいけない。どうしても「ズーム」する必要があれば、あとから画像を切り取ればほぼ同じ効果が得られる。

*この点については、1つだけものすごく細かくてギークな注意がある。極端な2つのものの中間地点をデジタルズームを使ってズームする場合、理論的には高性能な光照射野計算のおかげで、それぞれのパーツの性能を単純に足し合わせたよりも良いズーム比が得られる。その場合には、カメラは広角カメラを切り取ったバージョンを使い、もう一方のカメラからのデータでそれを増強し、合成画像を作成できる。これは理論的には有効な手段となるはずだ。LightのL16が採用しているのも結局この手法だ。しかし現時点ではこれがAppleのiPhone 7 Plusにも当てはまるという確証はない。

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(翻訳:Ayako Teranishi / website

InstagramがiPhone 7のカメラを有効活用すべく新機能を開発中

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iPhone 7に搭載されたカメラの強力な新機能は、Instagramの次のバージョンでスポットライトを浴びることになる。Instagramのデザイン部門でトップを務めるIan Spalterは、iPhone 7の発表イベントでステージに上がり、iPhone 7にインスパイアされたInstagramの新機能のデモを行った。

新しいInstagramでは、指一本を上下にドラッグするだけでiPhone 7 Plusの望遠ズームレンズを操作することができる。これは、Snapchatに導入され人気を博した操作方法だ。触覚フィードバックによってどのくらいズームしているかがわかりやすくなるため、うっかりデジタルズームに入り込んで画質を損なうことなく、iPhone 7 Plusがサポートする光学2倍ズームの範囲にとどまることができる。先月にInstagramは一本指ズームをストーリー内で採用し、ユーザーはビデオ撮影中にコメディー調のズーム効果を再現したり、画角を素早く調整することができるようになっていた。

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InstagramはiPhone 7 Plusの望遠レンズを使って光学ズームに対応するようになる。

また、Instagramのカラーフィルターは、色域が広がったiPhone 7のカメラセンサーを有効活用するために現在デザイン変更が加えられている。これにより、iPhone 7で撮った広色域な写真に対応することができ、Instagram上の写真がこれまで以上に鮮明になる。

さらに、3D Touchを利用して、ユーザーは写真を直接Instagramストーリーに加えることができるようになる。ストーリーにはありのままの姿や即興性が求められるため、カメラにすぐ手が届くことで、ユーザーは自然な瞬間を逃さずに偽りのない写真を撮ることができるようになるだろう。

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iPhone 7の機能に対応した新たなInstagramのデモを行うIan Spalter。

そして、Live Photos APIのおかげでiPhoneのLive Photosを即座にBoomerangの、再生・逆再生を繰り返すGIFアニメに変換することができるようになる。これまでユーザーは、専用のBoomerangアプリ上で何枚もの写真を撮り、それらを結合することでアニメーションを作成しなければならなかった。しかし新たなバージョンでは、iPhoneのデフォルトカメラアプリで撮った写真をBoomerangのGIFアニメとして処理することができるようになるのだ。

今回のAppleとFacebook傘下のInstagramのパートナーシップによって、Appleが根底にあるテクノロジーをつくり、クリエイティブな部分はInstagramが担当するという戦略が今後加速していくことになるかもしれない。今回のイベントでAppleは、Boomerangの競合になるような自社開発のGIF作成アプリについては発表しなかった。その代わりに、Appleはハードウェアという強みを追求し、Instagramにありのままのデータをアートへと昇華させる工程を任せようとしているのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter