インテルとボーイングという米国を支える2本の大黒柱は政府から延命処置を受けるも予後に暗雲

Intel(インテル)とBoeing(ボーイング)。米国工業界を支える2本の大黒柱だ。

Intelは世界最高水準のチップをいくつも製造し、数十年にわたってコンピューターの性能を限界まで高めつつ、時価総額2000億ドル(約21兆2000億円)という組織を維持し、11万人の従業員の生活を支えてきた。一方、Boeing747型機の引退(The New York Times記事)を経てもなお、航空業界のグローバルリーダーの地位を保ち続け、660億ドル(約7兆円)の収益で、900億ドル(約9兆5300億円)の時価総額と15万3000人を超える従業員を支えている。

だが古代ローマの石の柱と同様、これらの柱もかつての機能を支える単なる骨組みと化してしまった。風雨に浸食され、疲労し、崩れかけている。どう見ても、前の世代で頑張ってきたように米国の経済を支え続けるのは無理なようだ。今後もイノベーションの先陣を切って走り続けられるように、米国のこの極めて重要な産業を支持していくのはもう難しい。

この数十年の長きにわたり、米国は産業空洞化の嵐に吹きつけられてきた。まずそれは繊維、消費者向けの小型機器、家電品といった軽いものから始まったのだが韓国、ドイツ、台湾、中国、タイ、トルコなどの輸出主導型の国々が高度な能力を持つようになり、その製造の幅を拡大し、海外にどんどん進出するようになった。

今や、米国工業界の例外主義の象徴である絶対にして最強の二本柱は、根深い脅威にさらされている。とりわけインテルは、最悪の立場にある。次世代の7ナノメートルノードの製品化は2021年に持ち越される(BBC NEWS記事)こと、さらに一部の製造を外注に回すという残念なニュースが報じられると、ウォールストリートに荒波が立ち、わずか2週間でインテルの株価は20%も下落した。台湾のファウンドリー業者であるTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)の技術は、インテルよりも数年進んでいる(Financial Times記事)と信じるアナリストも増えている。

かたやボーイングは、2018年10月に最初の墜落事故を起こした737 MAXの大失敗がいまだ尾を引いている。それだけでも十分にこの企業を弱体化させている(The New York Times記事)が、そこに新型コロナウイルス(CNBC記事)と、国際運輸の崩壊(BBC記事)が追い打ちをかけた。ボーイングの前途は、2年前の予測をはるかに上回る危機に見舞われている。

このスローモーションの大惨事への米国最初の対処策が、経済支援という昔ながらの政策危機ツールだった。インテルは米国の半導体産業の死を最も明確に表しているが、これはインテルに限った話ではない。この穴を埋めようと、米連邦議会は半導体業界に対して大きな奨励策を打ち出した。2週間前、テキサス州選出の共和党のJohn Cornyn(ジョン・コーニン)上院議員は、2020年度の防衛予算法案の補正案に、超党派の幅広い支持(米国議会資料)を得た。これにより、米国のチップ産業推進のために数十億ドル(数千億円)の資金とインセンティブが供与されることになる。

それに対してボーイングは、民間投資家による負債コンソーシアムに資金運用を依頼する(Bloomberg記事)前に、600億ドル(約6兆4000億円)の経済支援を政府に求めていた。だが、ボーイングは米国政府から別の形の支援(Mother Jones記事)も受けている。同社の収益の3分の1は防衛関連だ。つまり、ペンタゴンに大きく支えられているわけだ。製造業者への政府の経済支援は、2020年もまったく問題なく進められることになる。

だが、これの企業へ潤沢な資金を投入したところで、内部に広がる腐食を止めることはできない。どちらも激しい国際競争によって優位性を削り取られてゆく中、企業文化はエンジニアリング中心から利潤最大化型へと転向している。繰り返しになるが、ボーイングはインテルよりはまだ安全だ。Airbus(エアバス)は、イノベーションにおいて以前からそれほど優れていたわけでなく、A380型機のような戦略ミス(BBC記事)もあった。中国の機体メーカーであるCommercial Aircraft Corporation(中国商用飛機)は着実に進歩はいているものの、まだ第一線で戦える企業ではない(Reuters記事)。

これは業界の方針が間違っていたのではなく、米国の産業政策が目を覆いたくなるほど無能だったということだ。

台湾は、その半導体の卓越性を国の経済の要と位置づけた(Harvard Business School記事)。韓国は、K-POPや韓流ドラマといった文化製品を政府の最優先産業に定め(American Affairs記事)、今では世界中で大きな伸びを見せている。なかでも中国が経済発展の基盤として主要産業を支援していることはよく知られているところであり、この3年間は大成功を収めた。例を挙げればキリがない。

その違いは何なのだろう?ひと言でいえば戦略だ。どの成功例を見ても、政府がインセンティブと政策変更によって新規産業の立ち上げを支援し、さらにこれらの産業が、与えたインセンティブに対して確実に利益を戻してくれることになる他に類のない知的財産を築き上げられるように仕向けている。

それに引き換え米国は、常に最悪のタイミングで資金のばらまきを行っている。新規産業の創出を奨励せず、倒れかけた産業に駆け寄り、荒れ地や枯れ木林に現金の肥料をばらまいているのだ。

チップ産業を立て直そうと議会が数十億ドル(数千億円)を投入する一方で、トランプ政権は7500万ドル(約80億円)の量子コンピューター戦略(THE HILL記事)を発表した。米国を高度なコンピューターの開拓に駆り立てようという狙いだ。中国は5G無線技術に数十億ドルを投資している(Bloomberg記事)が、それに対して米国が拠出したのは、農村部の無線通信テストベッドに数十万ドル(数千万円)だ

経済超大国である米国は、単純にあらゆるものが世界最高で、国民は望めば最高の職業に就けるのが当たり前という世界に生きてきた。産業は崩壊することもある。政府の政策はうまくいかないこともある。学校も大学は、教育がまるで非効率になってしまうこともある。だが、この巨大な産業界に太刀打ちできる国など今までほとんどなかったため、そんな問題を気にする者はいなかった。

今や、多くの国々が工業製品や文化製品で大きな競争力を持つようになった。競争力が付いただけではない。彼らはその分野の勝利を確実にするために、全力で当たってくる。台湾はさまざまな不確定要素のために半導体ではあまりうまくいっていないが、素晴らしいのは経済のグローバル化や中国の台頭といった変化を乗り越えるべく、その得意分野を最優先させるよう経済、教育システム、政府を全体的に動かしたところだ。

もちろん、今でも資金や才能を備えた巨大企業であるインテルとボーイングには、まだチャンスがある。しかし米国の製造業界で倒れていった企業の歴史をひとつずつ振り返ると、不吉なデジャブを感じざるを得ない。あのとき、私たちはやり方を間違えた。果たして私たちには、それを正しくやれる素質があるのだろうか?

画像クレジット:Douglas Sacha / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

IoT接続用の衛星コンステレーションを展開するMyriotaがシリーズBで21億円を調達

モノのインターネット(IoT)に、人工衛星によるインターネット接続を提供するMyriotaが、HostplusとMain Sequence VenturesがリードするシリーズBのラウンドで1930万ドル(約21億円)を調達した。これにはBoeing(ボーイング)と元オーストラリア首相Malcolm Turnbull(マルコム・ターンブル)氏、Singtel Innov8などが参加した。同社の調達総額はこれで3700万ドル(約40億3000万円)になり、軌道上にはすでに4つの衛星がある。計画では、新たな資金を基に2022年までには衛星数を25に増設する。

Myriotaは、IoT向けに衛星への直接接続をローコストで提供する。それは主に機器装置類のモニタリングのような産業的利用や、地下水の水位測定のような環境保護活動で利用されている。オーストラリアのアデレードに本社を置く同社は、独自の技術で低コストのIoT通信技術を開発し、それはバッテリー寿命やセキュリティ、拡張性、および費用の点で既存のソリューションに優ると主張している。

今回の資金で同社は、次の2年間ほどで社員を5割ぐらい増やし、国際市場へのさらなる進出を目指したいと考えている。また同社のすべてのプロダクトに、リアルタイムレポート作成を可能にする製品の構築にも注力していく。

Myriotaの拡張プランは既に始まっており、最近は同社と同じく宇宙テクノロジー企業であるカナダのexactEarthを買収した。それにより同社は軌道上の衛星4つと新たな社員、そしてカナダ、米国、ノルウェー、シンガポール、パナマおよび南極にある計6つの地上局を入手した。

Myriotaは、50基のIoT用衛星コンステレーションを作ってグローバルな規模とサービスを提供することを目標としている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングが州の在宅命令に従い中型ジェット機787の生産を中断

米国時間4月6日の発表によると、Boeing(ボーイング)は知事の在宅命令に従って南カリフォルニア工場におけるボーイング787の生産工程をすべて中断し、実質的に同社の商用航空機の製造を完全に休止する。

休業は4月8日の第2シフトの終わりに始まる。

ボーイング787担当の同社副社長Brad Zaback(ブラッド・ザバック)氏は「我々のチームメイトの健康と安全を守り、州全体のウイルスの拡大と、我々のグローバルなサプライチェーンの信頼性に対するその影響、ひいてはそれらが787の事業にもたらす影響を評価することは、我々の責務である」。

ボーイングはすでに、シアトル地域の工場を閉鎖している。米国時間4月5日に同社は、ワシントン州のピュージェットサウンド地域とモーゼズレイクの工場における今後の生産も次の発表があるまで中断すると発表している。それらの閉鎖はワシントン州における新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散と、それによるサプライチェーンの不安定化が原因だ。

787の生産再開の日程は発表されていないし、同社のその他のオペレーションに関するガイダンスもない。

Boeing South Carolina(BSC)の社員でリモートワークが可能な者は、それを継続する。それができない者は10日間の有給休暇になる。同社によると、それは規定の倍の期間という。閉鎖がさらに続くようなら、従業員は有給休暇の継続または、退社による緊急時失業保険のどちらかを選ぶことになる。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Starlinerの二度目のエラーでNASAがボーイングのソフトウェア工程の見直しを要求

NASAのAerospace Safety Advisory Panel(ASAP、航空宇宙安全諮問委員会)は、12月に行われたCST-100 Starliner(スターライナー)の宇宙ステーションとの無人ドッキングテストで発見された二度目の問題を受けて、Boeing(ボーイング)のソフトウェア試験工程の見直しを推奨した。そのときStarlinerは計画どおりに宇宙ステーションと連結できなかったのだが、それは、ミッションのタイマーのエラーでカプセルが、多すぎる燃料を早すぎるタイミングで燃焼したためだった。

米国時間2月6日の会議でASAPのグループは、ミッションの過程でソフトウェアの第二の「異状」が見つかったことを明らかにした。Space Newsの記事によると、その異状はカプセルの飛行中に修正された。その問題が修正されずに見過ごされていたら、エンジンの誤噴射により「宇宙船の壊滅的な失態」に至っただろう、と顧問の一人Paul Hill氏がSpace Newsに語っている。

試験ミッションの間に起きた複数の問題を、今BoeingとNASAが調べている。両者が強調しているのは、その打ち上げはニューメキシコ州ホワイトサンズにおける大気圏突入と着陸に成功し、ISSに接続できなかったにもかかわらず、計画どおりの多くのテストを行えたことだ。

彼らの指摘によると、当時ミッションタイマーのそのエラーは、搭乗者に危険が及ぶものではなかった。しかしこの新たに発見されたエラーは、修正されなければ前のものよりも深刻だったと思われるが、カプセルの地球の大気圏への再突入の2時間前に修正された。

その結果顧問団は、Boeingのシステムエンジニアリングとソフトウェアインテグレーション、および検証試験の見直しを求めることになった。そしてそれが終了するまでは、有人無人を問わずいかなる本番打ち上げも試験飛行も行われない。12月の打ち上げに関して予定されていた次のステップも、すべてが延期になる。

顧問団によると、NASAはすでに「全社的安全性評価」を行うことを決めている。その評価は、昨年、同じく商用の有人事業であるSpaceXに対しても行われている。

そしてそのSpaceXは、顧問団によると、「近く有人飛行を行うことに関しては疑念のない段階に達しているが、正確な時期は未定」だそうだ。なかなか、心強いお言葉だ。なお、米国会計検査院が発表した、商用有人宇宙飛行に関する報告書は、最初の実用有人ミッションのためのCrew Dragonカプセルの納期が、最初のスケジュールよりも早くなった、と明かしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

国際宇宙ステーションの商用化に向けてNASAが居住モジュールの設計をAxiom Spaceに発注

NASAは2016年に創業されたヒューストンのAxiom Spaceを、国際宇宙ステーション初の商用居住モジュールの生産者として選んだ。このモジュールは、将来の商用宇宙飛行ミッションの目的地となり、そこでは商用の宇宙旅行者たちにより、居住実験や技術開発などが行われるだろう。そしてそのISSまでの定期的な実用飛行には、SpaceX Crew DragonやBoeing Starlinerのような人間搭載が可能なクラスの宇宙船が使われると思われる。

Axiom Spaceは2016年に創業され、共同創業者でCEOのMichael T. Suffredini(マイケル・T・サフレディーニ)氏が率いている。サフレディーニ氏は以前、NASAのJohnson Space Center(ジョンソン宇宙センター)で、ISSのプログラムマネージャーを務めていた。同社の小さなチームにはNASA出身者が多く、そのスペースモジュールはISSに付設されたあと、同社自身の民間スペースステーションのベースになる予定だ。NASAはISSの供用期間を延長したが、現在のNASAの計画では、その後は民間の軌道ラボや商用の施設がISSに代わるものとして使われることになる。

2018年にAxiomは、Apple(アップル)の創業者Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏の豪華ヨットの設計者として知る人ぞ知るデザイナーPhilippe Starck(フィリップ・スタルク)氏をチームに加えて、未来のスペースステーションモジュールのルックスを構想してもらった。それには対話的ディスプレイのある乗員宿所や、地球とその背後の宇宙の絶景が見える半球状ドームなどが含まれている。

このISS用のモジュールは、プライベートな宇宙ステーションとして完全なものではなく、むしろ、既存のスペースステーションの今後の商用化や、さらに将来の低地球軌道における本格的な商用活動への道を拓くための、最初のステップだ。Axiomへの指示には「少なくとも1つの居住可能な商用モジュール」が含まれていて、そこには今後の拡張モジュールの発注も含まれている。納期などの契約条件の詰めが、今後行われるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングがイスラエルのTactical Roboticsと提携して垂直離着陸機技術を開発

Boeing(ボーイング)は、イスラエルに本拠を置くTactical Robotics(タクティカルロボティクス)と新たな契約を締結した。これは、Tactical Roboticsの「Fancraft」ローター格納技術に基づく垂直離着陸機(VTOL)の「開発、生産、マーケティング」に両社が共同で取り組む契約だ。

Urban Aeronautics(アーバン・ エアロノーティクス)傘下のTactical Roboticsはすでに自動運転飛行機の「Cormorat」を開発済みだ。何となくハンヴィー(多目的軍用車両)の面影があるが、CormoratはFancraftローターによって垂直に離着陸できる。オープンローターとは違い、ローターはダクト内に配置されており、気流誘導と、車両周囲の人間への安全性の点で優れている。両社間の新契約では、災害対応など新しい利用方法を想定したCormorantの生産および販売ができないか検討することから始める。

ボーイングとTactical Roboticsの包括的な契約は、広範囲におよぶ可能性があり、有人および自律VTOL航空機の研究開発も視野に入る。この契約はVTOL業界がパートナーシップ、投資、製品化の面で熱くなっていることを示す1つの例だ。

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(翻訳:Mizoguchi

737 MAXの墜落事故を受けてボーイングCEOが退任、後任は現取締役会長

Boeing(ボーイング)は米国時間12月23日、CEOのDennis A.Muilenburg(デニス・A・ミューレンバーグ)氏のCEO辞任を発表した。2020年1月13日からは、現在の取締役会長であるDavid L.Calhoun(デビッド・L・カルホーン)氏が同社の最高経営責任者兼社長に就任する。

今回のボーイングの人事は、犠牲者も出てしまった墜落事故を起こした737 MAXの故障に端を発している。ボーイングは737 MAXによる事故犠牲者の家族やコミュニティへの基金に1億ドル(約110億円)を拠出するなど、その危機と影響に対処するための措置を講じてきた。また同社は最近、737 Maxの生産を停止し、その飛行に対する再認証を保留してきた。

経営陣交代に関する声明の中で、Boeingの新しいCEOとなるカルホーン氏は「ボーイングと737 MAXの将来を信じている」と語り、同社の優先課題は「737 MAXを安全に再運行させること」だと述べた。また、「FAA(連邦航空局)やその他の世界的な規制当局およびその顧客との、効果的かつ積極的なコミュニケーションを含む、完全な透明性への新たな取り組み」を宣言した。

ボーイングはその他にも今週、民間宇宙船「CST-100 Starliner」が国際宇宙ステーション(ISS)への最初のテスト飛行を完了できず、ミッションを中断している。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ボーイングのStarliner宇宙船、米国製有人カプセルとして初の砂漠着陸に成功

米国から新たに宇宙飛行士を運ぶ宇宙船の一つとなるBoeing(ボーイング)のCST-100 Starlinerが、軌道から帰還しニューメキシコ州ホワイトサンズにある目標地点に無事着陸した。米国時間12月21日の記者会見で説明されたミッションスケジュールのとおり、カプセルは東部標準時7時58分に着陸した。

Starlinerには誰も搭乗していなかったが、その代わりに打ち上げ、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキング、地球への帰還を目的とした、最初のテスト飛行を実施した。しかし、予定どおりには飛行できなかった。ISSとのドッキングは宇宙船に搭載されていたミッションタイマーのエラーが原因で、初期の軌道飛行中に過剰な燃料を消費し、その後にミッションパラメータの変更を余儀なくされた。

しかし今回のミッションでは、着陸を含む計画されていた操作を実行し、宇宙船の飛行に関する多くのデータを収集できたので、ボーイングにとっては多くの収穫があった。さらに今回の着陸は、海上に着水したマーキュリー計画やジェミニ計画、アポロ計画とは異なり、米国製のカプセルが宇宙から帰還し地上(砂漠)に着陸した初めてのケースでもあることから、重要な意味を持つ。

Starlinerは、東部標準時7時23分ごろ(日本時間12月21日21時23分)に軌道を離脱する燃焼を開始し、地球の大気圏に再突入し、計画どおりに3つの降下制御パラシュートをすべてを展開した。宇宙船はボーイングとNASAが回収し、搭載コンピューターからさらにデータを収集して調査する。カプセルには 「Rosie」(ロージー)と呼ばれる飛行テスト用のダミーも搭載されており、開発チームは人間が搭乗した場合の着陸に関する影響を予測できる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ボーイングのStarliner乗員カプセルが軌道に乗り損ねてISSとドッキングできず

【抄訳】
Boeing(ボーイング)の乗員輸送宇宙船Starliner CST-100は、米国時間12月20日に初めての国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げを大成功させたが、しかしロケットと打ち上げ機は期待通り動作したにも関わらず、Starliner宇宙船自体は、打ち上げ後、自分のミッションを開始する際に思わぬ障害にぶつかった。

Starlinerのカプセルは、二段目のロケットULA Centaurからの切り離しに成功し、宇宙の軌道外ターゲットに到達したが、Starlinerが自らのエンジンに点火して目的の軌道へと進もうとした際、必要な噴射が起こらなかった。ボーイングによると、同機は太陽電池を安定して充電できる位置の確保はできており、地上チームが、宇宙船を必要な位置に到達させるために次にどのような操作をすればよいかを検討しているという。

NASAの管理官Jim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、東部時間午前8時45分のツイートで、そのエラーに関する中身のある最初の最新情報を投稿した。それによると、何らかの出来事により宇宙船Starlinerが「そうではなかったのに、自分は軌道投入噴射をしていると思った」という。

[Jim Bridenstine: Mission Elapsed Time(MET、ミッション経過時間)が異常を起こし、そのせいで宇宙船は自分が軌道投入噴射をしていると信じたが、しかしそうではなかった。次の情報は東部時間午前9時にご報告する。]

ミッション用の時計は何らかのバグかエラーに遭遇して、Starlinerのシステムに実際のミッションの段階ではなく、違う段階にあると伝えた。その結果、宇宙船は予定外に燃料で噴射し、計画されていた軌道投入点を通り過ぎてしまった。その後、Starlinerは二目の噴射を行い安定した軌道をとるが、状況では計画どおりに国際宇宙ステーションへ到着することはできない。

【後略】

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングによるISS向け新宇宙船の初打ち上げをライブ配信

Boeing(ボーイング)は新しい宇宙船の国際宇宙ステーション(ISS)への最初の飛行という、重要な打ち上げを準備している。CST-100 Starlinerはボーイングにとって、スペースシャトル計画が終了して以来初めて、米国から宇宙飛行士を打ち上げるというNASAの商業乗員輸送プログラムに対する貢献である。

米国時間12月20日の打ち上げは、フロリダのケープカナベラル空軍基地から東部標準時6時36分(日本時間同日20時33分)に実行された。StarlinerのカプセルはULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットに搭載され、宇宙にて分離され、ISSとのドッキングに必要な軌道に向けて飛行する。

これは有人飛行に向けた重要な打ち上げだが、今回は宇宙飛行士は搭乗していない。これは「軌道飛行試験(OFT)」と呼ばれるもので、ISSステーションへの実際のフライトで使用されるすべてのシステムをテストし、すべてを有人ミッションと同じように実施するものだ。

すべてが計画通りに進めば、OFTの成功は来年前半のいずれかの時点に実施される有人試験飛行という目標に向けた、重要なマイルストーンになるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAが有人宇宙飛行再開に向け12月20日にテスト機を打ち上げへ

NASAとボーイング、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁宇宙事業であるULAは12月20日に、米国の有人宇宙飛行再開に向けた重要な打ち上げを予定している。OFT(軌道飛行テスト、Orbital Flight Test)はボーイング製のCST-100 Starlinerと呼ばれる乗員カプセルをULAのAtlas Vロケットで打ち上げ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングさせる。これは有人宇宙飛行に向けた最後のテストの1つだ。

今週のミッションの目的

気象条件その他が許せば、現地時間で12月20日にULAのAtlas VがボーイングのCST-100カプセルを打ち上げる。このテストは簡単にいえば、来るべき有人飛行テストCFT(Crew Flight Test)のためのドレスリハーサルだ。OFTはもちろん極めて重要な打ち上げだが、ボーイングのStarlinerカプセルが実際の有人飛行を行うにあたっては、パラシュートシステムの信頼性テストをクリアしなければならない。また今回の打ち上げで得られたデータがすべて予期どおりであることを確認する必要がある。

【略】

今回のミッションではStarlinerカプセルはAtlas Vロケットの先端に取り付けられて高度180kmまで上昇し、そこでロケットから切り離され、カプセル自身のエンジンでISSに向かう。ISSの宇宙飛行士がカプセルをモニターし、ロボットアームでドッキングの最後の段階を助ける。ミッションとしては二次的重要性だが、カプセルには270kgの補給物資、装置が搭載されている。ペイロードがISSに移された後、カプセルはドッキングを解かれ、地球に帰還する。

ローンチ・ウィンドウ

打ち上げは米国東部時間12月20日午前6時36分(日本時間12月20日午後8時36分)にケープカナベラル空軍基地のSLC-41から発射される。天気予報は「80%程度可能」ということだ。

ローンチ・ウィンドウと呼ばれる打ち上げ可能な時間は予定時刻のみに限られており、この時刻になんらかの支障が起きれば21日ないし23日の予備日に切り替えられる。予定どおりに打ち上げられた場合、カプセルは翌日朝にISSにドッキングする。切り離しは28日に予定されている。帰還も今回のミッションでは重要な部分だ。

近づく有人飛行再開

すべてが計画どおり順調に進めばStarliner CST-100カプセルは有人宇宙飛行に向けて大きく前進する。上で述べたようにパラシュート・システムは安全規定をクリアするためにさらにテストが必要だが、各種のシステムの安全性が確認されれば、最初の有人飛行であるCFTミッションは「2020年の早い時期」に行われる予定だ。

米国時間12月18日に、ULAは移動式発射台をロールアウトし、Atlas Vロケットを発射予定地点に運んだ。NASA、ボーイング、ULAのエンジニアは発射のための最終調整に入っている。発射準備は2週間前からスタートしており、実際の発射を除くすべての手順がリハーサルされた

TechCrunchでも発射のもようをライブで中継する予定だ。またその結果についても情報を得しだい記事を公開する。

【Japan編集部追記】CST-100カプセルの着陸はニューメキシコ州ホワイトサンズ空軍基地をはじめ、米国本土西部の5カ所が候補となっており、9月に着陸テストが実施されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ボーイングのStarliner宇宙船とAtlas Vロケットがテスト飛行前リハーサルを完了

Boeing(ボーイング)と打ち上げパートナーのUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)は米国時間12月7日、商用宇宙船による米国の宇宙飛行士の打ち上げに向けた重要な一歩を踏み出した。フロリダ州のケープカナベラル空軍基地の第41発射施設では、ULAのAtlas Vロケットの上にBoeingのCST-100 Starliner宇宙船が搭載され、ロケットに燃料が補給され、乗組員全員が「integrated Day of Launch Test」と呼ばれるリハーサルに参加した。

このリハーサルは、NASAやULA、Boeingが12月20日(12月19日から変更された)に予定されている、宇宙飛行士が搭載しない状態での初の軌道上飛行試験(OFT)につながるものだ。本日のテストには、実際の打ち上げに至るまでのすべてのステップが含まれており、その中には打ち上げのカウントダウン、クルーカプセルへのアクセスハッチの準備、チェックなどもある。

この種の予行演習は、宇宙船の打ち上げでは標準的なもので、誰が何をいつすべきかを確認し、また実際の環境で想定どおり機能するかを実証する。特に、今回のリハーサルは重要だ。なぜなら、個別にテストを実施することはできるが、すべてを一緒に動かすまでは、どのように動作するのかは正確にはわからないからだ。

前述のように、来年初めに予定されている打ち上げ準備のために、次にOFTが実施される。現在の日程は12月20日なので、すべてが計画通りに進めば、年末までにはボーイングとそのパートナーの目標が達成される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAが来年計画している有人の商用宇宙飛行をiOSとWebのアプリで疑似体験できる

商用の有人宇宙飛行を目指しているNASAが、モバイルアプリとWebアプリケーションでその簡単なシミュレーションを提供している。来年行われるその商用飛行にはSpaceX Crew DragonとBoeing Starlinerが使われるが、シミュレーションはその両方を疑似体験できる。

アプリはその飛行の各過程を順に追っていく。それは宇宙船の選択に始まり、ミッションのタイプを決め、乗員を選び、打ち上げ、ドッキングと進む。それぞれの部分に関するある種の教育が目的で、あらゆる細部がリアルなフライトシュミレーターではない。しかし国際宇宙ステーションへのドッキングは自動と手動の両モードがあり、手動はかなり難しくておもしろい。

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Crew DragonとStarlinerの両方とも、そして打ち上げ用ロケットに関しても、とても詳しい情報がある。あなたがその中から乗員を選ぶ10名の実在する宇宙飛行士については、人物像と履歴の情報がある。アプリをiPhoneで試したが、打ち上げ準備の部分にちょっとバグらしきものがある以外はとくに問題ない。その部分では、ブースターや乗員用カプセルなど、宇宙船の打ち上げの各要素が詳しく分かる。

この「Rocket Science: Ride 2 Station」と名付けられたアプリは無料でダウンロードでき、現在はiOS用がある。Webアプリケーションはここだ

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ボーイングのStarliner宇宙船の発射台緊急脱出テストが成功

NASAの商業乗員輸送計画のパートナーであるBoeing(ボーイング)は、CST-100 Starlinerに実際に宇宙飛行士を搭乗させるための、重要なマイルストーンを達成した。発射台からの緊急脱出装置のテストは、宇宙飛行士をStarlinerに搭乗させる前に設置しておく必要がある、NASAが要求する重要な安全システムだ。

Starlinerのデモミッションでは、実際の有人打ち上げ時にULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットの上に、どのように設置するかをシミュレートすることから始まった。そして緊急脱出用のエンジンを点火すると、Starlinerとそのサービスモジュールはロケットから安全な距離まで飛行した。問題は3つあるパラシュートのうち2つしか展開されなかったことだが、NASAが定義する安全性設計はこのような可能性も範囲内として想定している。

このシステムの必要性は、ボーイングとNASAによって非常に「ありそうにもない」シナリオとして記述されているが、ボーイングとNASAは、ボーイングとSpaceX(スペースX)の新しい宇宙船における安全性を強調している。

宇宙船にはセンサーが設置されたテスト用のダミー人形が搭載されており、アクシデント時に緊急脱出装置によってStarlinerに搭乗した宇宙飛行士が、どのような衝撃を体験するのかについての、詳細なデータを両社に提供する。これは、第3のパラシュートが展開されなかった理由を調査することと同じく重要な情報である。

ボーイングは12月に、有人飛行の前段階として無人のStarlinerを初めてISS(国際宇宙ステーション)に打ち上げる予定だ。今後の予定は、テスト結果の調査にもとづいて決定される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAとボーイングがStarliner宇宙船の発射台からの緊急脱出システムテストをライブ配信

NASAの商業乗員輸送プログラムに参加するBoeing(ボーイング)社は、早ければ来年にも米国の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へと輸送するために開発した新しい宇宙船「CST-100 Starliner」の重要なテストを、米国時間11月4日に実施する予定だ。

Starlinerは発射台からのアボート(緊急脱出)試験を実施予定で、打ち上げ前の万が一に備えて搭載したエンジンを使い、宇宙船をロケットから迅速に避難させるシステムを実証する。テストは米国東部標準時で午前9時(太平洋標準時で午前6時、日本時間午後11時)に開始され、テストのウィンドウ(実施予定時間)は3時間が設定されている。

予定では、ニューメキシコ州のホワイト・サンズ・ミサイル発射場の小型テスト発射台に設置されたStarlinerは、高度4500フィート(約1400m)に到達したのち、発射地点から約7000フィート(約2100m)離れた地点に着陸する。宇宙船のサービスモジュールとベース部分の熱シールドが宇宙船から分離し、カプセルはパラシュートで地上に降下し、エアバッグを展開して衝撃をさらに緩和する。下のアニメーションでは、テストの概要が確認できる。

このテストで重要なのは、完全に静止した状態から宇宙船がロケットを離れ、パラシュートを展開するのに十分な高度に到達する能力を実証することだ。NASAはBoeingとSpaceX(スペースX)に、宇宙飛行士が搭乗するミッションを開始する前に、発射台からの緊急脱出テストを成功させることを要求している。

民間乗員輸送計画のパートナーであるBoeingとSpaceXは、早ければ来年前半にも宇宙飛行士を搭乗させた宇宙船の打ち上げを予定している。NASAは2011年にスペースシャトル計画が終了して以来、宇宙飛行士の輸送をロシアのソユーズロケットに頼ってきたため、アメリカから打ち上げられるロケットで宇宙飛行士をISSに打ち上げる能力を再び得るために、両社と協力している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ボーイングがヴァージン・ギャラクティックに約21億円を戦略的投資

宇宙旅行の実現を追求しているVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)にBoeing(ボーイング)が2000万ドル(約21億円)を出資する。10月7日にVirgin Galacticが発表した。両社はいずれも人間の宇宙飛行に深く携わっているが、そのアプローチは異なる。そして、Boeingはこの特殊なゲームで競合するよりもVirgin Galacticのサイドに加わる方がいいと考えたようだ。

Virgin Galacticは定期的、かつ信頼ができ、リーズナブルな宇宙旅行を提供する最初の企業になるという目標に向かって突き進んでいる。もちろん、リーズナブルというのは明らかに相対的に。同社の宇宙船はすでに人を乗せて宇宙に行っている。これは、料金を払って旅行する人のために計画されているのと同じコースだ。旅行客は、最近公開されたばかりのニューメキシコにあるSpaceport Americaから乗り込むことになる。

資金はBoeingのHorizonX Venturesを通じて拠出される。HorizonX Venturesは以前、Accion SystemsMatternetのような小規模の航空宇宙スタートアップに投資していた。Venturesのチームはそれなりの規模のラウンドで大手に投資するよりも、あちこちに少額の資金を注入するのを好んでいるようだ。

今回の投資についてはほとんど情報がない。プレスリリースにある文言は普段より中身がなく、輝かしくも曖昧な宇宙旅行の将来について語られているだけだ。なぜ2000万ドルなのか。そして、なぜ今なのか。

出資は、最近発表されたChamath PalihapitiyaSocial Capital Hedosophiaとの合併で新しく設立された会社が発行する新株の取得によって行われる。これは今年第4四半期に実施される見込みだ。

この資金調達に先立ち、Virgin創業者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏はおそらくサウジアラビア提供の10億ドルを却下していて(カショギ氏殺害事件への対応として)、Virginは比較的組織が絡んでいない現金を使うことを決めた。

プレスリリースでは特段、提携や技術について言及されておらず、ブランソン氏の言葉には単に「重要なコラボレーション」とだけある。CEOのGeorge Whitesides(ジョージ・ホワイトサイド)氏は「地球周辺で人々をいかに移動させるかを真に変える何かをつくるためにBoeingと提携することに興奮している」と語った。地球周辺で人々を移動させる何か?何をつくろうとしているのか?

おそらくBoeingはしばらくの間Virginに打診していて、合併を前に出資を固める必要があったのだろう。コラボやプロジェクトはまだ計画段階にあり、それゆえに投資額はおおまかになっている。「2000万ドルで多分大丈夫だろう」。誰かが役員会か何かで言った様子が想像できる。

Virgin Galacticの初の商業フライトのタイムラインはないが、今年末までに行われるのはありえることだ。2019年の打ち上げは注目を集めるものになるだろう。いずれにせよ、顧客には事欠かない。伝えられているところによると、すでに8000万ドル(約86億円)分の宇宙旅行予約が入っているとのことだ。

画像クレジット:Virgin Galactic

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(翻訳:Mizoguchi)

空飛ぶ自動車のキティーホークがボーイングと提携でエアタクシーに協力

グーグル(Google)を創ったラリー・ページ(Larry Page)氏とユダシティ(Udacity)の共同創業者セバスチアン・スラン(Sebastian Thrun)氏が支援する飛行自動車の企業キティーホーク(Kitty Hawk)が、大手航空宇宙企業ボーイング(Boeing)と契約を結んだ。

この戦略的パートナーシップの詳しい内容はよく分からないが、二社は都市の空中移動手段で協力するらしい。とくに、安全性と、自動運転と人間操縦士の共存が課題になるようだ。

キティーホークに今ある機種は、二人乗りのエアタクシー「コーラ(Cora)」と、個人化されたフライトを提供する「フライヤー(Flyer)」だ。発表によると、このパートナーシップがフォーカスするのは完全電動で自動運転の空飛ぶタクシー、コーラだ。

ボーイングの社内で次世代交通を研究している組織ボーイング・ネクスト(Boeing NeXt)の副社長で総支配人スティーブ・ノルドランド(Steve Nordlund)氏はこう語る。「キティーホークのような企業と一緒に仕事をすると、移動の未来を安全に進歩させるというわが社のゴールに、より近づくことができる」。

スラン氏はグーグルの超未来部門エックス(X)を作った人物で、キティーホークでも共同創設者だ。会社はカリフォルニア州マウンテンビューにあるが、テストは主にニュージーランドで行われている。昨年キティーホークはコーラを一般公開したが、それは垂直離着陸機で、ヘリのように離陸し、飛行機のように飛ぶ航空機だ。

関連記事: 「空飛ぶ自動車」のKitty Hawk、テストパイロットたちも大満足

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

民間宇宙船で宇宙ステーションへ、SpaceXとボーイングの計画はどこまで進んだのか

SpaceXとボーイングは、NASAと協力して独自の宇宙船を開発している。その狙いは、民間開発の宇宙船による宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)への輸送だ。

宇宙開発の民間企業へと委託の一環として進められているこの計画だが、その道のりは平坦ではない。

民間企業による宇宙船開発のメリットと、その現状を紹介しよう。

ロシアに依存する現状

現在NASAの宇宙飛行士は、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から国際宇宙ステーションへと向かう。これは、ロシアの「ソユーズ」宇宙船を利用するためだ。

以前、国際宇宙ステーションへの宇宙飛行士の輸送には、ソユーズとスペースシャトルが利用されてきた。しかしスペースシャトルが2011年に引退したのにともない、アメリカはロシアに宇宙飛行士の輸送を委託することになる。

現在、アメリカはソユーズの座席をロシアから購入している。この価格は年々上昇しており、アメリカが宇宙開発にてプレゼンスを示せないだけでなく、予算確保という意味でも頭の痛い問題となっている。

輸送計画の民間委託

そこでNASAは、国際宇宙ステーションへの宇宙飛行士の輸送を民間企業に委託する「商業乗員輸送プログラム(CCP)」を表明する。民間企業のコスト感覚とスピードを、宇宙開発に持ち込むのがその狙いだ。

そして商業乗員輸送プログラムに選ばれたのは、SpaceXとボーイングの2社。それぞれがNASAから26億ドル(約2900億円)と42億ドル(約4700億円)の契約を結び、宇宙船を開発することになる。

上の画像は、SpaceXの宇宙船「Crew Dragon」だ。国際宇宙ステーションへの物資補給に利用されていた「Dragon補給船」を発展させたもので、最大7人の乗船が可能だ。また船内には多数のタッチパネルが搭載され、先進的な操縦システムを実現している。

ようやく実現した打ち上げ

SpaceXとボーイングの宇宙船開発は、数度の延期を繰り返した。宇宙飛行士の輸送に利用される宇宙船は高い安全性の基準が設けられており、それをクリアする難しさがうかがえる。

まず、宇宙船の打ち上げにこぎつけたのはSpaceXだ。2019年3月に無人のCrew Dragonを自社のロケット「Falcon 9」にて打ち上げ、軌道投入から国際宇宙ステーションへのドッキング、分離、そして海上への着水と回収という、難しいミッションを1発で成功させた。

宇宙船の内部には、宇宙飛行士を模したダミー人形「リプリー」と、「ゼロGインジケーター」と名付けられた人形が搭載された。宇宙船からの動画配信では、このダミー人形が宇宙空間で浮かび上がる様子も確認されている。

さらに、国際宇宙ステーションにドッキングしたCrew Dragonには、当時の長期滞在クルーだった宇宙飛行士も乗り込み、ゼロGインジケーターを回収している。宇宙船は気密性なども問題なく、SpaceXの技術が非常に高いレベルにあることが実証された。

しかし、今年4月に実施されたエンジンテストにて、Crew Dragonは大きなトラブルに遭遇する。事故の詳細は明かされていないものの、テストの際に宇宙船から煙が上がったのだ。また、非公式ながら爆発の模様を捉えた動画も出回った。

Crew Dragoの側面には、小型エンジン「Super Draco」が搭載されている。これは、宇宙船にトラブルが発生した時に動作し、緊急脱出のために利用されるエンジンだ。例えば、ロケットの打ち上げの最中にトラブルが発生した場合、そこから離脱するといった使用方法が想定される。

宇宙飛行士を輸送する宇宙船にとって、緊急脱出装置は必須の装備となる。つまり、このSuper Dracoの安全性が確認されない限り、Crew Dragonの運用が始まることはない。公式声明は発表されていないものの、このトラブルによりCrew Dragonの計画が遅延する可能性が出てきた。

なお、SpaceXはCrew Dragonに搭乗する宇宙飛行士のために、専用の宇宙服もデザインしている。上の宇宙服は、マーベル映画のコスチュームも手がける「Ironhead Studio」のデザイナーが手がけたものだ。このようなスタイリッシュな宇宙服の登場も、宇宙開発が新たな時代に突入したことを予感させてくれる。

SpaceXの宇宙船に比べて話題に上ることは少ないが、ボーイングも宇宙船「CST-100 Starliner」の開発を進めている。

CST-100 Starlinerは7人乗りの宇宙船で、かつて人を月へと運んだ「アポロ宇宙船」にも似た円錐形となっている。内部には貨物を搭載することもでき、最大10回の再使用が可能。またスペースXと同じく、ボーイングも専用の宇宙服をデザインしている。

先述のようなトラブルや開発の遅れにより、SpaceXとボーイングの計画は常に流動的だ。最新のスケジュールでは、SpaceXのCrew Dragonは7月に有人テスト飛行を実施する。また、ボーイングのCST-100 Starlinerは有人テスト飛行を11月に実施する予定だ。そして、実際の宇宙飛行士の輸送ミッションはその後に実施される。

民間開発の宇宙船で宇宙飛行士を輸送するという野心的な計画には、今後もさまざまな困難を乗り越える必要があるだろう。しかし、それを実現しようとしているアメリカ企業のダイナミズムには、感服せざるを得ない。

(文/塚本直樹 Twitter

ボーイングの商用有人宇宙船Starlinerの初テストは8月に延期

一般人を対象とした商用宇宙旅行計画の進展は我々と宇宙の関係を一変させる可能性があるが、その一番乗りの栄誉はSpaceXが今年中に手にするかもしれない。最大のライバルであるボーイングがStarlinerシステムのテスト飛行を延期したからだ。無人飛行テストの第1回目はこの5月に予定されていたが、8月に延期されたことを米国時間4月2日、ボーイングが確認した。

Starlinerのテスト飛行延期の情報が浮上したのは先月だった。この時点ではボーイングは「Starlinerが利用する打ち上げ施設の日程が立て込んでいる」ことを確認するにとどまった。実際、Starlinerの打ち上げに適する「ウィンドウ」は5月には2日しかない。Starlinerを割り込ませれば国家安全保障上重要なAEHF5軍事通信衛星の打ち上げに支障をきたすおそれがあった。

宇宙事業でのスケジュールの遅れはいやというほど繰り返されてきた。世界の宇宙事業各社が独自の宇宙基地や発射施設を保有ないし建設しようとしているのはこれが理由だ。衛星発射の回数が増えれば発射施設の能力も拡大される必要があるというのは当然だろう。しかし独自基地の建設には莫大なりソースを必要とする。多くの事業者にとって、(米国東部にあるロケットセンター)ケープ・カナベラルの発射施設を利用する以外選択肢がない。

ただし、ボーイングが本当に5月に打ち上げを実施するつもりだったら、打ち上げロケットとStarlinerカプセルは現在よりはるか前にケープ・カナベラルに到着していければならなかったとNASAの宇宙飛行部門が指摘している。テストに必要な機材がケープ・カナベラルに来ていなかったということは打ち上げ延期が決定されたのがかなり以前であることを示唆する。ボーイングとロッキード・マーティンの共同宇宙事業であるUnited Launch Allianceは、すでにテスト発射準備を中止していた。つまり昨日の延期発表は誰もが知っていたことを再確認したにすぎない。

8月の無人テスト飛行が成功すれば、11月には有人テストが可能になるだろう。しかしStarliner計画はすでに何年も遅れており、今回もまた遅れが加算されることとなった。しかもボーイングに比べればはるかに若いライバルがすでに無人宇宙飛行テストに成功していることはさらなる屈辱だ。

SpaceXは有人飛行を7月に予定しているのでボーイングは悔しいかもしれない。しかし実情は、こうした事業は慎重さの上にも慎重さを重ねる必要があり、必要なだけの時間をかけるべきだ。この点、ボーイングの決断は正しい。なるほど一番乗りを逃がせば、会社の評価にとって追い風にはならないかもしれない。しかしそれは今後明らかになるStarlinerの能力、信頼性によって十分取り返せる。

別のプレスリリースでNASAとボーイングはStarlinerには研究、メンテナンスのためのミッションが追加されることを発表した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

トランプ大統領の緊急命令でボーイング737 Maxは飛行全面差し止め

New York Timesによれば、トランプ大統領は米国における737 Maxの飛行を当面禁止する大統領命令を発した。これはエチオピア航空のボーイング737 Maxの墜落事故を受けたもので、ボーイング社はFAA(米連邦航空局)、NTSB(米国家運輸安全委員会)と協議した後、この措置に全面的に協力すると声明した。

3月10日にエチオピア航空の737 Maxがアディスアベバ空港を離陸した直後に墜落し、乗員、乗客157人全員が死亡する墜落事故が起きた。これによりEUを含む各国が737 Maxの飛行を禁止する中、FAAに対して同型機の飛行を差し止めるよう圧力が高まっていた。ボーイングの声明は「原因解明と再発防止に全力を挙げる」としている。

737 Maxはナイジェリアとインドネシアの航空会社の運行するフライトで事故を起こしていたが、New York Timesの以前の記事によれば、ボーイングのCEO、Dennis A. Muilenburgはシカゴからトランプ大統領に電話をかけ、737 Maxの安全性について問題ないと確約していたという。主要国の中で米国だけが737Maxのフライトを停止する措置を取っていなかった。

報道によればこの電話は月曜日から予定されていたが、トランプ大統領がTwitterでハイテク旅客機の安全性に疑念を示したため繰り上げられたものらしい。

飛行機を飛ばすのは難しくなり過ぎている。パイロットはいらない、MIT卒のコンピューター科学者だけいればいい、という具合だ。飛行機だけでなくさまざまな製品で同じことが起きている。そしていつも行き過ぎて余計な機能を付け加えてしまう。瞬時の判断が必要な場合には古き良き単純な方法のほうがずっといい。

トランプ大統領が飛行禁止の緊急命令を発する準備をしていることが報じられたが、ボーイングは争わず従う姿勢を示した。

速報:トランプ大統領、「737 max 8および737 max 9のすべての飛行を禁止する緊急命令を発する準備をしている」

ボーイング社は声明で次のように述べた。

我々は安全性に積極的に配慮した(緊急命令による)措置を全面的に支持する。 安全性は過去も現在もボーイング社が旅客機を設計、製造する過程で最優先する中心的価値であり、.これに以上に優先すべき課題は我々にも我々の産業にも存在しない。我々は調査担当チームと協力しなが事故の原因を解明し、このような事態が二度と起きないよう安全性を増強する施策を追加すべく全力を挙げている。

そしてついいにFAAは正式に737 Maxの飛行を禁止した。以下がFAAの声明だ。

FAAは米国の空域内で、あるいは米国の航空会が運行する場合において、ボーイング737 MAX航空機の飛行を一時的に禁止することを命じた。FAAは新たなデータを入手し続けており、この措置は本日朝までのデータの分析結果に基づくものだ。

飛行停止は調査が行われる期間中継続される。これにはコックピットの音声を含む墜落機のフライトレコーダー記録の解析が含まれる。フライト302の事故について、FAAのチームはNTSBの事故調査にエチオピア現地で協力している。

画像:Joe Raedle / Getty Image

【編集部注】日本の航空会社ではANAが737-8 Maxの導入を決定しただけですでに運用している例はない。Wikipediaのページ末尾に採用航空会社と運行状況の一覧があるが、FAAが飛行を差し止めたためすべての737 Maxが運行停止となった。737 Maxは昨年10月にインドネシアのライオンエアが運行する機体が墜落し189人が死亡する事故を起こしていた。

なおTechCrunchでは同じくShieber記者が昨日、「737 Maxの墜落でEUが飛行差し止め、原因はオートパイロットの不具合か?」という記事を執筆していた。記事によれば機体の迎え角(AoA)を検知するセンサー系に不具合があるとシステムが不正な機種下げを実行しようとする。自動操縦解除の手順に不慣れなパイロットの場合、高度の乱高下などを引き起こし墜落の原因となる危険性があるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+