Kickstarterの募金額上位4件のうち3つをPebbleのスマートウォッチが占める…熱烈なファンのおかげ

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1200万発の祝砲を、というのもPebbleの最新のKickstarterキャンペーンが、67000近い支援者から1280万ドルを集めて終了した。この人気の高いクラウドファンディングプラットホームにおいて、これまでで三番目にでかい額だ。PebbleのキャンペーンはKickstarterのトップスコアの常連で、そのほかにも、おなじみの顔ぶれが並んでいる。ちなみにトップ4は上記に加え、PebbleのPebble Time, Coolest Cooler(クールなクーラー), そしてPebbleの最初のKickstarterキャンペーンだ。

“わが社は、クラウドファンディングが有効であることを証明する最高の例だろう”、とPebbleのCEO Eric Migicovskyは誇る。“三度目のキャンペーンの成功にはしびれた。支援者のみなさまに感謝申し上げたい”。

Pebble has run 3 out of the 4 highest-funded Kickstarter projects on the platform. Impressive.

Kickstarterのプロジェクトのトップ4のうち3つをPebbleが占める。すごいね。

今度の新製品の初めのころも見たが、Pebbleのファンの反応はすごい。新記録を打ち立てた前回と比べても、遜色がない。

Pebbleの最初のキャンペーン(現在第四位)は、同社とKickstarter自身の人気を一挙に高めた。1030万ドルというすごい額を集め、クラウドファンディング全体の新記録になった。その次の第二ラウンド(現在第一位)では、Pebble Timeが2030万ドルに達し、その勢いはAppleのお株を奪った。そのタイミングは意図的に、Apple Watchの発表と発売のちょうど中間だったのだ。

これが新しいトップ10だ

順位表がお好きな読者のために、Kickstarterの調達額上位10件をリストアップしよう:

  1. Pebble Time (2030万ドル)
  2. Coolest Cooler (1330万ドル)
  3. Pebble 2, Time 2 & Pebble Core (1280万ドル)
  4. Original Pebble (1030万ドル)
  5. The world’s best travel jacket (920万ドル)
  6. Exploding Kittens (880万ドル)
  7. OUYA (860万ドル)
  8. Shenmue 3 (630万ドル)
  9. Pono Music (620万ドル)
  10. Bring back MST3K (580万ドル)

KickstarterでPebbleのキャンペーンを見逃した人たちのために、今でもPebbleのサイトで予約を受け付けている。…と、CEOはしつこく念を押した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

子ども用のロボット・キットZiro、なんでもかんでもスマホの時代にグラブ(手袋)でコントロールするねらいとは

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Ziroは、数個のモーターとスマートフォンとグラブ(glove,手袋)と、あなたの想像力から、いろんな乗り物を作れるロボット・キットだ。Ziroのデフォルトのキットには、4つのワイヤレスモーターと、小さな自動車を作れるための部品のセットが入っている。今は、Indiegogoで彼らを支援すると手に入る。

Ziroを作ってるZeroUI社によると、プロトタイプはすでに完成しており、二人の子どもがそれですぐに遊び始めることができた。

でもZiroは単なるラジコン・カーではない。Ziroでは、車や、段ボールで作ったロボット、関節が動く動物、などなどを作れる。アップグレードすると、段ボール製のいろんなものの“型紙”をもらえる。

ロボットづくりの素材として使えるのは、段ボールのほかにLegoやペットボトルなどだ。難しいプロジェクトは、大人がアシストする必要があると思うけど、今の子はもっと進んでるかな(ぼくには子どもがいないからなんとも言えない)。

モーターのコントロールはWi-Fiで行う。といっても、家庭のWi-Fiネットワークを使うわけじゃない。各モーターの構成(コンフィギュレーション)は、スマートフォンのアプリから行うが、動きの制御はZiroのグラブで行う。

ボタンがいっぱい並んだ、昔風のコントローラーを使わないために、グラブを選んだようだ。そのグラブに、加速度センサーやWi-Fi用のチップが搭載されている。

たとえば、ロボットを左へ行かせたかったら、手をゆっくり左へ振る。あえてスマホを使わずに手でコントロールする方式を選んだところが、おもしろい。手に何も持たずに車をコントロールできるから、まるで魔法使いになったようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

失敗率の高いハードウェアのクラウドファンディング、Indiegogoは成功率を高めるために支援企業と提携

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ハードウェアのクラウドファンディングでは、約束のタイミングで製品を完成させ、実際に出資者に送付できるという一見当たり前のことが、往々にして最大の難関になる。このことを誰よりもよく知っているIndiegogoは、Arrow Electronicsと提携して起業家たちに技術的援助と市場化のためのサポートを提供し、製品が確実に世に出るように、働きかけようとしている。

少なくともガジェットと電子製品では、うちが起業家たちが真っ先に頼りにするクラウドファンディングプラットホームでありたい、とKickstarterへの対抗意識に燃えるIndiegogoは、これまでも、そのためのいろんな手を講じてきた。

起業家サポートをさらに充実

提携は両社にとって巧妙な戦略だ。

Arrowとの提携は、Indiegogoが製品の市場化過程に手を染める、ということで、クラウドファンディングの世界ではこれまでになかった新しい動きだ。一定の資格を満たした資金募集キャンペーンは、Arrowの設計ツールやプロトタイピングサービス、製造過程のサポート、サプライチェーン管理の援助、そして何よりも重要な専門的な技術力に直接アクセスできる。対象となるプロジェクトは、資金目標額最大50万ドルまでだ。

“Arrowが助けてくれることによって、製品の完成がより確実になり、より早くなる”、とIndiegogoのCEO David Mandelbrotは語る。“最近のIndiegogoではテクノロジー関連とIoT関連のプロジェクトがものすごく増えているが、それは最近のうちが、単なる資金募集を超えて、もっといろんな面で起業家を支援しているからだろう。Arrowとのコラボレーションは、それらの中でもとくに意義が大きい”。

Canary’s Indiegogo campaign became a tremendous success, and was delivered with Arrow’s help a while back.

CanaryのIndiegogoキャンペーンは大成功だった。製品をタイミングよく完成〜配布できたのも、かなり前からArrowが関わってくれたからだ。

Arrowはまず、Indiegogoのキャンペーンを見て、それの技術的な実現可能性(フィジビリティ)、製造可能性、良質なアイデアかそれとも起業家の妄想か、などを点検する。そしてOKになった企画にはArrowのバッジがつくので、できる人たちが背後にいるな、これならブツは無事に完成するな、ということが分かる。

昨年Indiegogoは、クラウドファンディングの段階から先の部分で起業家を支援するサービスを、いくつか導入した。たとえばInDemandは、クラウドファンディングの期間が終わっても予約を受け付けられる。Marketplaceは、Indiegogoがeコマースのように振る舞って、完成し製造可能となった製品を売ってあげる。

二社にとって賢明な戦略

Solar Roadways was successful on Indiegogo and went on to deliver with Arrow's help.

Solar RoadwaysはIndiegogoで成功し、Arrowの助けで出資者への送品が可能になった。

Arrowとの提携はIndiegogoとしてはとても興味深いやり方だが、問題はビジネスの意思決定としてどうか、だ。Arrowバッジを導入したことによって、資金を得やすい企画と、そうでない企画の差別ができてしまうだろう。

ArrowとIndiegogoのつき合いは、これが初めてではない。大成功したSolar RoadwaysCanaryはどちらも、製品の完成をArrowがヘルプし、どちらも200万ドルを超える目標額だったが、無事に納品にこぎつけた。今度の提携は、そういう関係の前例を正式に事業化したものにすぎない。

提携は両社にとって巧妙な戦略だ。ArrowはIndiegogoからお墨付きをもらったようなものであり、取引生成戦略の一環としてアクセラレータHighway1を創業したコンペティターのPCHなんかよりも、ずっと有利になる。一方Indiegogoのウィン(win)は、ハードウェアプロジェクトの成功率を高めることによって、起業家と支援者両方の信頼と評価を勝ち取ることだ。すなわちこれは、両社ウィンウィンの提携関係なのだ。

Arrowとの提携が独占的契約なのか、そこはまだ分からないが、ぼくの期待としては、ヘルパーは複数いた方がよい。とにかくどんなに素晴らしいプロジェクトが、どんだけ大金を集めても、期間内に無事、製造と送品までこぎつけなければ、せっかくのマーケットプレースも無駄な努力だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

金融イノベーションにおいて、なぜ英国は米国を打ち負かしたのか

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編集部注:本稿を執筆したJeff Lynnは、Seedrsの共同創業者およびCEOである。

一般投資家によるスタートアップや小規模ビジネスへの投資を可能にする法案が、2011年に初めて米国議会に持ち込まれた。二大政党からの支持や、オバマ大統領からの承認があったにもかかわらず、それは今になってやっと現実味を帯びた。

アメリカで生まれ育ち、英国で働きながら生活するアングロ・アメリカンである私は、大西洋の両側にある両国に強い忠誠心を持っている。しかし、これまでの数年間を振り返り、これから始動する米国のクラウドファンディングを考えたとき、企業や自由競争市場、そしてイノベーションに対してともに似たようなコミットメントをしてきた両国が、これ程までに違った道を歩んできたという事実に私は驚きを隠せない。

英国はこれまで、エクイティ・クラウドファンディングだけでなく、他にも一般的な金融改革を推進してきた。現在、英国の金融セクターは繁栄を極め、小規模ビジネスや投資家、そして経済全体がそこから同様に恩恵を得ている。

一方、米国は時代遅れの規制システムによって身動きが取れず、英国に対してかなり遅れをとっている。そして、この状況はこれからも続きそうだ。

2つの規制システムの物語

金融改革へのアプローチが両国において異なる理由は、それぞれの規制システムの歴史にあると考えられる。

1929年に株式市場が崩壊したとき、米国では大勢の一般市民が多額の資産を失った。1920年代に米国の株式市場に参入してきた個人投資家は、自分たちが何に投資をしているのかすら分かっていなかった。投資に関するリスクが明らかにされないまま、玄関先で株式のやり取りが行われることもあった。

イノベーションが生まれるたびに新しい法律を必要とするような規制システムでは、それが持つスピードに追いつくことなど不可能だ。

それゆえに、一般投資家たちは株式市場の崩壊に驚愕しただけでは済まされず、自分たちが許容できる金額以上の投資を行っていた彼らは家や暮らしまで失うことになったのだ。

この事態に応じて、米国政府は世界初の包括的な金融規制システムを導入した。その内容のほとんどは、一般市民の理解を超えた投資行為から彼らを守るというものだった。このシステムは、1920年代および30年代に売買された投資商品や、当時の投資家の熟練度やコミュニケーションの相対的欠如に基づいてデザインされたものである。

そして立法者たちは、それらの投資商品や投資家の熟練度が今後に変化するとは考えなかったため、彼らは「ルール・ベース」と呼ばれるシステムを構築した。それはすなわち、投資行為のあらゆる側面において細かくルールを制定するというものだった。多少の変更は加えられたものの、今日でもアメリカではこのルール・ベースのシステムを採用している。

1929年の株式市場の崩壊は英国にも影響を与えた。だが、それは米国に与えた影響とは違う種類のものだった。他のヨーロッパ諸国と同様、当時の英国における投資行為というものは、一部の機関や裕福な個人が行うものに過ぎなかった。一般市民が株式市場に投入していた金額は少なかったため、彼らが失ったものも少なく、一般市民を保護するための法整備を求める大規模な活動は起こらなかった。それから何十年もの間、英国の金融セクターは比較的規制による干渉の少ない、自立的なセクターとして残った。

英国政府が包括的な金融規制システムの必要性を感じたのは、個人投資家が増え始めた1990年代になってからのことだった。その結果、Financial Service and Markets Act 2000(FSMA)が生まれ、それが今日でも採用されている。

FSMAが制定された時には既にインターネットが広く普及していた。しかし、恐らくそれよりも重要なことは、当時は投資やビジネスのやり方が日々進化しており、数年間のうちにテクノロジーが更なる変化をもたらすことが明らかだった事だろう。

それゆえに、FSMAはマーケットの変化に柔軟に対応できるようにデザインされたものであり、将来の変化にも耐えうるものだったのだ。米国による「ルール・ベース」のアプローチを採用する代わりに、FSMAは「原則ベース」のアプローチを導入した。英国の金融機関は投資家保護の原則(およびその他の原則)を守ることを求められる。しかし、その具体的な方法は彼らに委ねられていた。

金融のイノベーション

大西洋をかこむ両国における金融改革の進化を理解するためには、それぞれの国の規制システムのレンズを通して見なければならない。

原則ベースのアプローチは常にイノベーションと共存する運命にある。このアプローチでは、まったく新しい金融サービスを誕生させるために法律を改定する必要はなく、すでに存在する原則を適用することができるからだ。参加自由の市場だと言っているわけではない。ほとんどの場合、新しいビジネスモデルを開始するためには英国の規制機関(Financial Conduct Authority, FCA)からの認可が必要だ。しかし、米国で生まれるイノベーションには新しい法整備が必要であることに比べれば、そのプロセスは著しくシンプルでフレキシブルなものだ。

エクイティ・クラウドファンディングの歴史をひも解けば、このアプローチが実際にどう機能するのかが良くわかる。

私と共同創業者が、一般投資家が小規模ビジネスやアーリーステージの企業への投資に参加できるプラットフォームを立ち上げようとした時、まず私たちはFSMAやそれに関連する規制を調べることから初めた。私たちの投資サービスは、ハイリスクではあるが特に複雑だとは言えないものだ。しかし一番の問題点は、そもそもこの種の投資サービスを一般投資家に提供することが可能なのかというものだった。

この調査によって、私たちはある規則を発見した。それは、この種の投資サービスを提供するためには、投資家のリスクに対する理解とその受け入れを評価する必要があるというものだった。その評価方法は企業(私たち)に委ねられており、規制機関が私たちのプロセスを監視し、彼らがそのアプローチ方法に満足すれば認可が降りる。あらかじめ定められた評価方法のフォーマットは存在しない。

イノベーションは常に法整備の先を行く。

そこで私たちはイノベーターを見習い、新しい評価手段を創り出した。それまでの評価方法とは、金融機関が投資家の資産額とこれまでの投資経験を聞くというものだった。だが、エクイティ・クラウドファンディングにはこの方法は適さないと考えた。最低金額が10ポンド(約1600円)の投資において、投資家の資産額を知る必要はない。また、エクイティ・クラウドファンディングは特別に複雑な投資ではないことから(基本的なモーゲージや保険契約の方が企業の株式よりも複雑なものだ)、これまでの投資経験を聞く必要もないと考えた。

私たちが最も気にしたのは、投資家が裕福なのか、または豊かな投資経験を持つのかということではなく、彼らが実際にこの種の投資に関するリスクを理解しているのかということだった。そこで私たちはクイズを作成することにした。投資家たちは、このアセットクラスへの投資やリスクに関する理解度を示すためにオンラインの選択式クイズに合格しなければならない。

私たちは、認可のためのプロセスとしてFCAにこのクイズを提出した。彼らはそのアプローチが的を得ていると考え、私たちは認可を受けることができた。その後は皆様もご存じの通りだ。

それでは次に米国式のアプローチを考えてみよう。米国の法律には、投資家のリスク理解の保証に関する原則は存在しない。その代わり、投資家が裕福でなければ(定められた収入と資産のラインを超えなければ)、極めて稀な例外を除いて彼らが非公開企業の株式を取得することを認めないという明確なルールがある。そこには議論の余地はなく、規制機関(Securities and Exchange Commission, SEC)がケースバイケースの判断を下すという柔軟性もない。

その結果、エクイティ・クラウドファンディングを実現させるには以下の3つが必要だ。法律が議会を通過すること、大統領がそれに署名すること、そしてSECがそれを実施することだ。

驚くべきことに、最初の2つのプロセスは比較的早く実現した。両政党がエクイティ・クラウドファンディングを支持し、2011年から12年にかけた約7カ月間で法案が上下両院を通過、大統領の署名を得ることとなったのだ。

しかし、2つのプロセスが完了しただけでは十分ではない。規制機関がその法案を実装する段階になると、すべてが足踏み状態となったのだ。SECは2012年12月31日までにプロセスを完了する予定だった。結局、SECが必要とされる実装ルールを導入したのは期限を3年ほど超過した2015年10月30日だった(しかもそれが有効となるのは2016年5月16日である)。

しかし、そこで話は終わらない。2012年に議会を通過した最初の法案には多くの欠陥があった。その欠陥は、ヨーロッパにおけるエクイティ・クラウドファンディングのプラットフォームが成熟し、人々がそれに対する理解を深めてはじめて浮かび上がった。

SECはその欠陥を認識していた(だからこそ法案の実施にここまで時間がかかったと主張する者もいる)。しかし、彼らにはその法案を変える力がなかった。そして今ではその法案を修正するための法案が必要となってしまったのだ。

2016年3月下旬、2011年に最初のクラウドファンディング法案を議会に提出したPatrick McHenry議員は、シンプルに「Fix Crowdfunding Act」と呼ばれる新しい法案を提出した。そして例のプロセスのやり直しが始まったのだ(私はFix Crowdfunding Actを強く支持している。また、米国のエクイティ・クラウドファンディングは、この法案が導入されて初めて始動すると考えている)。

Innovation Initiative

エクイティ・クラウドファンディングにまつわる話は、両国の異なる規制システムが育んだ金融分野のイノベーション文化の一例にすぎない。それと似た問題が金融サービスやフィンテックの分野にも存在する。

それでは、米国における金融イノベーションという希望は失われたのだろうか?それは恐らく違うだろう。McHenry議員とKevin McCarthy下院多数党院内総務は、先日「Innovation Initiative」と呼ばれるプログラムを開始した。このプログラムには、米国の起業家がフィンテック・ベンチャーを起業しやすくするための数々の提案も盛り込まれている。とりわけ、小規模ビジネスや一般市民のニーズを満たすようなフィンテック企業が対象だ。

このような活動はまだ始まったばかりである。しかし、金融分野において米国と英国との差が開き続けているという事実に米国のリーダーたちが気づいたという心強いサインだ。また、ワシントンで開催された、フィンテック分野で英国が米国に対してもつ優位性についてのディスカッション・イベントでMcHenry議員がこのプログラムを発表したことは適切なことだ。

私はInnovation Initiativeを支持する。しかしながら、これが根本的な問題を解決したとはまだ言えないだろう。イノベーションは常に法整備の先を行く。イノベーションが生まれるたびに新しい法律を必要とするような規制システムでは、それが持つスピードに追いつくことなど不可能だ。

将来に起こる変化にも耐えうる金融規制を米国が構築しなければ、英国がもつ原則ベースのレジームによって、またはその他の要因によって、金融改革における両国の差は開き続ける一方だろう。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

KickstarterがインディーミュージシャンのコミュニティDripを買収、クリエイティブのプロジェクトが増えるか?

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クラウドファンディングサービスのKickstarterが初めて行う買収として、ミュージシャンのDIYプロモーションサイトDripを獲得した。そこでは音楽アーチストたちが自分の新作や予告作などを軸にファンと交流し、また実際に売上を得ることもできる。

本誌は昨年の夏、5歳になったDripを取り上げたが、そこはインディーたちの人気コミュニティになっていたにもかかわらず、先月はついに閉鎖の危機に瀕した。Kickstarterが、実際に閉鎖を予定していた日の前日に買い上げたので存続が決まり、ファウンダーのSam Valentiによると、そのサイトとサービスは今後も継続する

“Dripのサービスとコミュニティとクリエイターたちは活動を継続し、協同ファウンダーのMiguel SenquizはKickstarterのチームに加わって、Dripのビジョンの実現維持に努めていく”、と彼はMediumに書いている。

KickstarterのCEOで協同ファウンダーのYancey Stricklerによると、同社には何年も前からDripを敬愛する熱心なファンが多かったそうだ。

“アーチストとオーディエンスの絆を強化する、という意味では、両社はその心において同じ道を歩んできた。クリエイティブな文化がより活性化するための条件を育(はぐく)む、という基本的な姿勢は、Kickstarterにおいても同じだ”、と彼は説明する。

Dripはサービスを継続するが、SenquizがKickstarterチームの一員になることによって、Kickstarter上で今後、音楽などのクリエイティブプロジェクトがより盛んになるのか、そのへんはまだ不明だ。Stricklerは、コラボレーションによってクリエイターやオーディエンスへのサービスが“よりパワフルになる”、としか言わない。彼らの今後を見守ろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウドファンディングのCAMPFIREが手数料を20%から5%に大幅引き下げ「小さな声も拾い上げられる場所に」

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国内クラウドファンディングサービスの黎明期にスタートした「CAMPFIRE」が1つ大きなサービスの方向性を示したようだ。サービスを運営するCAMPFIREは2月24日、CAMPFIREのサイトリニューアルを実施。あわせてこれまで20%に設定していた手数料を5%に変更。また審査基準も見直し、より多くのプロジェクトを掲載していくという。

CAMPFIREは2011年のローンチ。ツクルバが手がけるコワーキングスペース「co-ba」の立ち上げを始めとして、さまざまな場所作り、作品作りのプロジェクトを支援してきた。

CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏

CAMPFIRE代表取締役の家入一真氏

だが最近は彼らのプロジェクトに関する話もあまり聞かなくなったと感じることが多かったし、最近ではサイバーエージェント・クラウドファンディングの手がける「makuake」をはじめとして、クラウドファンディングを新商品のテストマーケティングの場として使うようなケースが増えてきた。

共同創業者であり、2月から同社の代表取締役を務める家入一真氏は、テストマーケティング的なクラウドファンディングの利用について肯定しつつ、「それだけがクラウドファンディングではない。CAMPFIREはクラウドファンディングの原点に立ち返ってサービスをリニューアルする」と語る。ではCAMPFIREが考えるクラウドファンディングとはどういうものか? 家入氏はこう続ける。

「ネットの本質は『声の小さな個人』が声を上げることができることだと思う。例えば家から出られない人、気が弱い人。そんな小さな声だって拾い上げられるの場所こそがインターネット。そういう声を1つずつ拾い上げ、ファンとお金を集めるプラットフォームにしたい。競合がtoBを狙うのであれば、僕らはtoCを取っていきたい。5万円あればギャラリーで個展を開けるといった、個人の『何かやりたい』のを背中を押してあげる場所にしたい。そうすると手数料も取り過ぎだと思った」

そのため、これまで20%取っていた手数料を大幅に削減(とは言え米国のサービスなどは手数料が1桁パーセントなのが一般的だ)。プロジェクトの審査条件も緩和して、小さな個人であっても、ファンを作り、お金を集めやすい場にするという決断をした。20%と5%、大した差でもないと思う読者もいるかも知れないが、例えば100万円集めるプロジェクトで20万円取られるか5万円取られるかの違い、と考えるとその差が大きいことは理解できるのではないだろうか。

思いとしてはすごく共感するところだけれども、気になるのはマネタイズと掲載されるプロジェクトの品質だ。家入氏は「いくつか案は検討しているが、まずは流通総額を伸ばすのが大事。また品質については、『ごった煮』になると思う。でもそこから本当にいいモノが生まれてくる方が夢がある」と語る。

最近では銀行からの融資を断られた納豆メーカーや方眼ノートを制作するも宣伝費用がないという印刷所がソーシャルメディアを通じて注目を集めるなんて話があった。家入氏はそれらを例に挙げて、「クラウドファンディングは、1人1人の声は小さくても、集まったら何かを動かすというもの」だと語る。

加えて家入氏は「そもそもの話で、プロジェクト単位のビジネスモデルから脱却しないといけない」とも語る。さまざまなクラウドファンディングサービスの関係者とこれまで話して僕も感じでいるのだが、今のクラウドファンディングの大きな課題の1つは「プロジェクト」という切り出し方にあると思っている。期間を設定したプロジェクトでお金を集めることはもちろん大事だ。しかしお金が集まり、商品(やサービス)が支援者に届けば終了。その後のコミュニケーションは途絶えてしまう。

もちろんこれに対して各プラットフォーマーは対応手段を検討している。例えば先日紹介したReLicの「ENjiN」は、プロジェクト終了後も同社が出展するECモールにて商品を継続販売するようなアプローチを取るなどしている。具体的な説明はなかったが、CAMPFIREでも同様に継続的な支援ができる、ある種のコミュニティ的な機能を組み込んでいくことも検討しているという。

クラウドファンディングの「Makuake」、Indiegogoライクな大企業向け支援施策

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サイバーエージェントグループでクラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディング。同社は1月25日、企業向けの新製品サポートプログラム「Makuake Enterprise」の提供を開始した。

Makuakeでは、これまでソニーの電子ペーパーウォッチである「FES Watch」やデンソーの「KKP(くるくるピッ)」大手企業が手がけるプロジェクトから、個人のプロジェクトまで合計1000件以上のプロジェクトを手がけて来た。1000万円を超える規模のプロジェクトも10件以上あるのだそうだ。

それぞれのプロジェクトに対しては、単にMakuakeのプラットフォームを提供するだけでなく、マーケティングなどの面で支援を行ってきたという。例えば実機に触れる場所を作りたいというプロジェクト立案者向けに、伊勢丹 新宿店の一部に展示スペースを用意する、なんてこともあるそうだ。今回開始するMakuake Enterpriseでは、そういった支援施策をパッケージ化。戦略立案からプロジェクトページの作成、プロジェクト支援者へのインタビューを含むマーケティングレポートの作成までを一括に請け負う。料金は300万円程度となる。

前述の大企業の事例もそうなのだが、Makuakeでは、クラウドファンディングサービスを利用する1つの目的として、「新製品のテストマーケティング」があると考えているそうだ。実際に製品を正式販売する前に、アーリーアダプターであるプロジェクト支援者の反応を直接知ることで、より顧客に向き合った製品を実現できると同社は語る。今回の取り組みは、クラウドファンディングのマーケティング利用を促進するための施策の1つだ。

また同時に運営元にとっては、手数料(支援総額の20%)以外での収益を上げるための施策とも言える。海外でもクラウドファンディングサービスを手がける「Indiegogo」が同様の大企業向け施策を2016年1月から開始している。

あなたのRaspberry Piプロジェクトアイデアを楽に試作試行できる汎用ハードウェアアドオンTingbot

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超人気のマイコンボードRaspberry Piの応用製品がこのところイギリスで相次いでいる。それはまるで、一枚のパイを多くの人が切り分けるように。子どものためのDIYコンピュータKanoに倣って、今度は、デザインとテクノロジのスタジオNordが、 Piを使ったハードウェアアドオンとシンプルなソフトウェアプラットホームで、Kickstarter上のクラウドファンディングキャンペーンを展開している。

そのTingbot(ティンボット)と呼ばれるデバイスは、Piのアプリケーションを実行する小さなコンピュータだ。そのキモは、タッチスクリーンといくつかのプログラマブルなボタンが最初からついているから、子どもやホビイストやプロトタイピング段階のデベロッパが、Pi用のディスプレイなど、ハードウェアのセットアップをまったく省略できるところにある。ハードウェアの準備で苦労することなく、アイデアの実装に取りかかれる。製品としてのTingbotはキットで提供されるが、とてもシンプルなので組み立ては簡単だ。

Tingbotは常時onなので、あなたのアプリケーションもスクリーン上でつねに動いている。NordのKickstarterページには、“コンピュータと正面から向き合うのではなく、“ちょい見”する感覚、有意義な情報をそれとなく提供できるのがTingbotだ”、とある。とても小さくて、気軽な印象を与える。

Kanoと違うのは、子どもだけが対象でないこと。むしろ、Piでこんなことをやってみたい、と日ごろ思っていても、ハードウェアの準備が面倒なので二の足を踏んでいたクリエイティブな人たちによる利用を、ねらっている。

Piは単なる汎用のマイコンボードだから、プラグ&プレイですぐに使える製品ではない。子どもたちがプログラミングを勉強するときも、このような裸のハードウェアからスタートすると、コンピュータへの理解がより深まると考えられる。

でもまた、この、裸のマイコンの難しさというPiの特徴の副産物として、そこからもうすこし使えるもの、使いやすいものを作ろうという、多様なPiアドオン産業が生まれた。たとえばその中には、Piによるゲーム専用機などもあった。さらにPiで動くラップトップも登場した。Tingbotのねらいは、そうやって個別にさまざまなPiアドオンを構想&実装するのではなくて、原則としてどんなアイデアでもそこで試してみられる“汎用Piアドン”だ。言い換えると、Piによるオリジナル開発が、もっと楽にできるためのデバイス。

チームがKickstarter上で提案しているTingbotの使い方の例は、ある特定の場所(例:赤ちゃんベッド)からのライブのビデオフィード、天気予報の通知、などだ。バス停に次のバスが来ることを、お知らせしてもよい。Tingbotの上で動くいろんなアプリケーションを、Pythonで書ける。そのための簡単な開発環境とライブラリも、最初から提供している。

今後は、ユーザが自他のアプリケーションをシェアしていくためのアプリケーションストアも作る予定だ。

Nordのクラウドファンディング目標額は4万ポンドだが、すでにその目標に近づいている。プロジェクトをスタートできたら、発売は2016年5月の予定。おそらく今のペースなら、目標額をクリアできるだろう。

Tingbotを一台予約購入する、という形での支援は、50ポンド(75ドル)だ。“これがあればPiでいろんなアイデアをより楽に実現し、試作できる”、と、同製品にポジティブな感想を持たれた方は、ぜひ応援を。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

クラウドファンディングで100万ドルを集めたガジェットが、また一つ墜落した

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あのRobotic Dragonfly[ロボットトンボ]を覚えているだろうか? その小さなドローンはクラウドファンディング創成期のサクセスストーリーの一つとして、2012年にIndiegogoで100万ドルの支援金を集めた。当時クラウドファンドで100万ドル以上を集めた初めてのガジェットだった。プロジェクトは、鳥のように飛び、虫のようにホバリングする小さなロボットを ― わずか99ドルで ― 約束した。諸君、残念なニュースがある。その小さなドローンは計画通りには離陸しない。

会社は深刻な金銭トラブルに見舞われていることを昨日発表した。しかしこれは彼らの落ち度ではない、とファウンダーらはIndiegogoのコメントで言っている。責任は資金を解放しないPayPalとIndiegogoにあると彼らは言う。金額? 同社はその情報を公表していない。

TechCrunchは、開発元のTechJect、およびPalPal、Indiegogoの各社に問い合わせて追加情報を求めている。返答があり次題本稿を更新する予定だ。

クラウドファンドされたガジェットが出荷されないのはこれが初めてではない。むしろトレンドになりつつある。Pirate3Dは、簡単に使えて低価格な3Dプリンターを約束したが、Kickstarterで受けた注文を満たす前に現近が尽きた。

どうやらTechJectはロボットトンボの開発を完了することすらできなかったようだ。プロジェクトがIndiegogoに登場したのは3年近く前だというのに。Indiegogoのプロジェクトページには、米国空軍から100万ドルの助成金を受けて(少なくとも2012年には)プロジェクトがスタートしたと書かれている。「われわれはユーザーにテクノロジーが浸透するのを待って欲しくない」とページは言う。しかし、支援者たちは未だに待ち続けている。

昨日会社が資金問題について発表して以来、Indiegogoのコメント欄には支援者たちが大挙して押し寄せている。当然だ。今日同社は、プロジェクトが厳密な意味で中止されてはいないことを明言した。継続には追加資金が必要なだけだ。さらに同社は、もし製品を出荷できない場合、「同社の持つDragonflyに関するあらゆる知的財産権をライセンス権利を含めて全支援者に公開し、損失を取り戻すために利用、再販その他を自由にできるようにすることを発表した。

Robotic Dragonflyはいつも少々現実離れしていた。本誌はプロジェクトが生まれたジョージア工科大学の研究室を訪れた後このキャンペーンを紹介した。しかし、優れたエンジニアは必ずしも優れたファウンダーにならない。製品をCAD図面からプロトタイプを通じて店頭に並べるためには、特別なチームが必要だ。

これは消費者がクラウドファンディングにもっと注意を払うべきであることを示す、新たな事例に過ぎない。クラウドファンディングに保証はなく、告知されている以上のリスクが伴う。Robotic Dragonflyはクラウドファンディング初期の2012年に資金を集めた。以来、Indiegogoは支援者の安全性を高めるために利用規約を改訂した。しかしその後も、途方もない約束や疑わしい主張を掲げるプロジェクトがいくつも出現している。Robotic Dragonflyはクラウドファンディングの墓場に足を踏み入る最後のガジェットではなさそうだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SECの新ルールで、株式クラウドファンディングがさらに近づいた

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平均的消費者、即ち非「高純資算者」が小規模な調達ラウンドで投資できるようにするアイデアは、6月以来検討されてきたが、先週発表された新たなルールによって、米国はいよいよ真の株式クラウドファンディングに近づいた。リリース全文はここで読めるが、要するに、新たな形態の投資へのドアは開かれた。

会社は、12ヵ月の期間中に最大100万ドル ― 近代の投資標準から見て大きい額ではない ― を調達できるが、資金は純資産10万ドル以下の個人からもやってくる。その個人は「2000ドルまたは年収の5%」を12ヵ月の間に投資することができ、それ以上金を持っている人は年収の10%を投資できる。「クラウドファンディングを通じて10万ドル以上の証券」を買うことはできない。

新たなルールでは、いわゆる監査要求が削除された。これはスタートアップに支払い能力があることを確認するために設けられていたもので、要求によってさらに約4万ドルの費用が加わり、最も安定したスタートアップ以外に投資家が接触する機会を明らかに阻害していた。

株式クラウドファンディングは、端的に言って、世界で最も新しく最も興味深い資金調達システムだ。すでに海外ではかなりよく知られているが、これまでSECはその拡大に対して非常に用心深かったので、今回の改訂は米国における真の株式クラウドファンディングシステムへの最大の一歩だ。では平均的スタートアップにとって、それはどんな意味を持つのか?まず、多くのスタートアップが現金を得る際に直面する、ネットワーク作りの障壁を取り除くことによって、ベンチャーキャピタルの重要性を減少させられる。しかし、金額を100万ドルで頭打ちにすることによって、SECは実質的に一つの信号システムを作っている ― 最大の調達者は伝統的VCファンドの興味を多く引けるが、小さな調達者は選択肢不足に悩まされる。

新ルールはJOBS法(「スタートアップやスモールビジネスが広い範囲の潜在投資家から資金を調達し、投資家に新たな投資機会を与える」ために作られた法律だ)の一環であり、同法の最初の成果の一つだ。

最終的に株式クラウドファンディングは、おそらく早期段階スタートアップが資金調達する主要な方法になるだろう。ほぼあらゆる人々 ― 友達から、衆愚、家族、オンラインファンに致るまで ― を巻き込むことで、人気のスタートアップは堅実なシード資金の調達が可能になり、それを元手にさらなる成功を目指せる。この裁定は90日以内に発効する ― IndiegogoのCEO Slava Rubinのような人々が、「株式クラウドファンディングがわれわれのビジネスモデルでどんな役割を演じるかを探究する」には十分な期間だ。

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Kickstarterの2014年の成績: 資金提供申し出総額$529Mが330万人から、目標到達プロジェクトは22000件

クラウドファンディングプラットホームKickstarterが昨日(米国時間1/5)、2014年の業容明細を発表した。それによると、支援者総数は330万人、資金提供(寄付)申出額は5億2900万ドルとなった。ただし、Kickstarter上の資金募集キャンペーンが成功して実際に支払われた金額はこれより少なく、4億4400万ドルだった。これら、(仮称)‘成功額’の累計は、同サイトの立ち上げ以降今日までの約5年間で12億7000ドルになる。同社によると、累計額が10億の大台に達したのは2014年であり、この年だけでほぼその半分を稼いだことになる。

カテゴリー別ではテクノロジ分野がトップで、総申出額の23.6%1億2500万ドルを占めた。人びとは、科学的発明品にいちばん魅力を感じるようだ。ただし成功件数ではテクノロジのプロジェクトは1124と比較的少ない。成功件数のトップは音楽の4009件、次いで映画とビデオ3846件、出版2064件となっている。

2014年からKickstarterはプロジェクトの事前審査をやめたため、どんなに突拍子もないアイデアでもここで資金募集ができることになり、プロジェクトの件数が一挙に増えた。ついにポテトサラダまで登場したので、この年をポテトサラダの年と呼んで記念する人びともいる。ただし、Kickstarterによると、事前審査はなくても、申請をふるいにかけるためのルールはあるので、そのふるいにひっかかって、同サイトに載ることなく落とされたプロジェクトもいくつかある。

しかし問題は、Kickstarter上で資金募集に成功したプロジェクトの何割が、完成した製品を支援者たちの手に渡すことができたか、だ。この、(仮称)‘プロダクト成功率’をKickstarterは発表していない。だから私が尋ねられたとしても、答えは¯_(ツ)_/¯しかない。

2014年にKickstarterで資金募集に成功したプロジェクトは22253件で、2013年の19911件に比べて微増だ。支援者総数も、300万から330万へと微増だった。ただし、その330万のうち大多数の220万あまりが、生まれて初めてクラウドファンディングでプロジェクトを支援する人びとだった。残る100万強が経験者だから、‘リピーター’は、それほど多くない、とも言える。

ただしクラウドファンディングは、このところ新しいサイトが増えているから、競争激化の環境の中では、最大人気のKickstarterでも、大幅な成長は難しくなっているのだ。

Kickstarterの2013年の業容明細では、上述のように、資金提供申出者数が300万で、申出額総額が4億8000万ドルだった(プロジェクトの資金募集成功件数は20000弱)。2012年の数字もあるが、この年は申出者数224万、申出額総額が3億2000万ドル、資金募集に成功したプロジェクトの件数が18109だった。そして2011年には、支援者数100万、申出額総額1億ドル弱だった。

2014年の、330万人の資金提供申出者からの総額5億2900万ドルの申出額総額のうち、220万人3億3550万ドルがアメリカ人だった。次位はイギリス人で、26万人/3906万ドル、三位がカナダ人で17万人/2765万ドル、四位はオーストラリア人の99000人弱/1983万ドルだった。

2014年には、資金提供申出者がいちばん多く殺到する時間帯は水曜日の午後だった。月別では、資金募集成功プロジェクトがいちばん多い月は8月で、2311件のプロジェクトが目標額に達した。これに対し、最低の(誰もが予想する!)1月には、成功プロジェクトがわずか1242件だった。

2014年で支援者数がもっとも多かったプロジェクトは、子供番組Reading Rainbowの再放送で10万6000人、次が相当アホらしいビール用クーラーの63000名だった。テクノロジ分野では、スマートフォンで操縦する紙飛行機(21000名)や、睡眠適性診断器Sense(19000名)に、多くの支援者が集まった。

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Indiegogo Lifeは個人的なイベントをクラウドファンディングする

IndiegogoがIndiegogo Lifeという新しいサービスを立ち上げた。Lifeの名のとおり、人生のさまざまなイベント…結婚式、誕生日などなど…に資金を提供する。その行為は、わずか8クリックで完了する。同社は、これはチャリティではなく、友だちや、助けを必要としている知人家族などへのプレゼントだ、と注記している。

IndiegogoのCEO Slava Rubinはこう言う: “うちは前から、どんなキャンペーン(資金募集)でも認めてきた。2010年ごろから、ライフイベントなど‘個人的な名目の’キャンペーンが増えてきた”。彼によると、このサイトで資金を募集/寄金することが、今や一種の流行みたいになっていて、中にはCode.orgの500万ドルのような輝かしい成功例もある。このサービスは、それまでのオンラインの資金募集活動が個々ばらばらだったのを、それ専門のサイトへ一箇所にまとめるために作られた。

同社はかなり前から、どんなキャンペーンでも受け入れてきた。集まった金額の数%が同社の収益になる。でもLifeキャンペーンは無料だ。Rubinの予想では、医療費や冠婚葬祭の費用を得るために利用されるだろう、という。キャンペーンを掲出するまでの過程が通常の資金募集よりも簡単になり、分析ダッシュボードのようなツールの多くが取り外されている。

“個人的なイベント以外では、通常のIndiegogoを使ってもらいたい。Indiegogo Lifeを悪用すると、キャンペーンのオーナーを困らせることになるね”、と彼は言う。

でも、こんなクラウドファンディングはうまくいくだろうか?

Rubinは、そのコンセプトに自信を持っている。しかし今の世の中には、“クラウドファンディング疲労”のような空気があるが…。クラウドファンディングは飽和状態ではないか、と彼に尋ねてみた。

“とんでもない。まだまだ利用度は低い”、と彼は言う。たしかに、大多数の‘ふつうの人’はまだ利用していない。

Lifeサービスは今日から、英語、ドイツ語、スペイン語、そしてフランス語で提供される。

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クラウドファンディングで投資者が安心できるための保険をIndiegogoがテスト中

クラウドファンディングのIndiegogoにとって、今年は厄介な年だった。怪しげなプロジェクトからの資金募集が、かなりあったからだ(もちろん、とってもクールなプロジェクトもあった)。今の同社は、プロジェクトの支援者たちがより安心して投資できるための工夫で、忙しいようにも見える。

今同社がテストしている’Optional Insurance’(保険オプション)は、投資者が一定の保険料を払って、デリバリ予定日から三か月を過ぎても製品をもらえなかったときには支援額を返金してもらえる、という仕組みだ。今Indiegogoはこの保険機能を、一つのプロジェクトでテスト中だ。それは、ストレスを管理できると称するウェアラブルOliveだが、15ドルを払うと、その支援者価格129ドルを払った人が心の平安を得られる。

同社は本誌TechCrunchに、テストをやっていることは認めたが、保険機能の今後の展開については何も述べなかった。

同社の広報曰く、“Indiegogoは投資者と資金募集者のニーズを満たす新しい機能をつねに開発しテストしている。今回のパイロットテストは現在、この個別の資金募集キャンペーンに限定されている”。

しかし保険の導入は、クラウドファンディングサイトとしてこれまでずっとKickstarterの後塵を拝してきたIndiegogoにとって重要かもしれない。

これが大きな差別化要因になりそうな理由は、Indiegogoがこれまでよりもずっと気楽にプロジェクトに投資できる場所になり、奇抜なアイデアや詐欺かもしれないキャンペーンに対する規制やフィルタリングを、それほど神経質にやらなくてもよくなるからだ。

本誌TechCrunchのライターMatt Burnsが今年の4月ごろの記事で、実際にIndiegogoにおけるプロジェクトの例をいくつか挙げながら、クラウドファンディングでお金を出すことのリスクについて書いた。そのとき彼がとくに問題視したのは、目標額に到達しなくてもお金を受け取れるIndiegogoの‘フレキシブルファンディング(flexible funding)’オプションだ。それは、クラウドファンディングにおける説明責任を希薄にする、と彼は主張した。

保険があると支援者たちは、彼らが支援した‘あまりに良すぎて本当とは思えない’ようなプロジェクトで、製品がいつまでももらえない、お金をドブに捨ててしまった、というリスクを幾分軽減できる。だから歓迎すべき一歩ではあるけれども、でもIndiegogoやKickstarterのようなサービスでプロジェクトを支援するときの不確かさは、実際に製品ができる・できないの問題だけではない。

Indiegogoは1月にシリーズBで4000万ドルの資金を獲得し、ほかにもいろんなことをテストしている。たとえば同社が9月に導入した、‘Forever Funding’というオプションは、通常の1か月という制限がなく、プロジェクトがいつまでも寄付を受け取れる、という方式だ。

情報を提供していただいた匿名氏に感謝

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フィンランドJollaのオープンソースOS Sailfishタブレットはクラウドファンディングで100万ドルを突破

先週、フィンランドのJollaが立ち上げた、クラウドファンディングによるタブレットは、OSがオープンソースのSailfishだ。そのクラウドファンディングキャンペーンは、2時間で目標額38万ドルを突破し、今では100万ドルを突破している。細かく言うとそれは、Indiegogoで7370人から118万ドルを集めている。〔日本時間11/25昼7686名123万ドル。〕

キャンペーンをスタートする前の本誌とのインタビューで、Jollaの協同ファウンダMarc Dillonは強気だった: “最初のロットはすぐ売り切れると思うから、目標台数を上乗せしなければならないだろう。大量に売れるだろうね”。

Dillonの強気は、結局、妄想ではなかった。初期の支援者に割引価格で提供する4000台は、すでに売り切れている。オープンソースのOSとはいっても、SailfishはAndroid互換なので、最初から使えるアプリの数は多い。そこが、本機の最大の魅力だ。Androidはますます快進撃だから。

Indiegogoで100万ドルを突破したJollaは、募金範囲をオーストラリアとカナダにも広げた。それまでは、EUとノルウェー、スイス、合衆国、中国、香港、インド、ロシアだけだった。また100万ドル突破記念にJollaは既存製品の値下げを行い、昨年フィンランドで発売されたスマートフォンは100ユーロ値下げして249ドルになった(火曜日11/25まで)。,

Jollaのタブレットの発売は、来年の中頃(5月以降)を予定している)。

[スペック比較]

[基本スペック]

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マーク・ザッカーバーグとジョン・ドーア、”Hour of Code” に100万ドルを寄付


IndieGogoキャンペーンが始まってから3週間で、Code.orgによる、Hour of Codeに参加する生徒を増やすための指導者教育をクラウドファンドするプロジェクトは、約29万4000ドルを集めた。キャンペーンが掲げる目標額500万ドルの6%だ。

この数字がまもなく飛躍的に増える。FacebookのCEO Mark Zuckerbergと妻のPriscilla Chanが50万ドルを寄付する。John DoerrとAnn Doerrの夫妻も50万ドルを支援し、Code.orgがTechCrunchに伝えたところによると、連続起業家のRich Bartonが2万5000ドルを寄付するという。

Code.orgは、目標達成までの期間をかなり長くとっていた ― IndieGogoのキャンペーンは12月14日に終了する。これで47日を残して100万ドルの壁を越え、しかもこれに、Microsoftのビル・ゲイツ、Reid Hoffman、Salesforce、Google等からの同額寄付が加わる。Code.orgは、もし500万ドルを達成した場合は、Hour of Codeを1億人に広げめられると言っている。それは恐ろしく高い目標と思われ、同NPOがキャンペーンによって教育する先生の数が約1万人であることを踏まえるとなおさらだ。しかし、殆どの生徒にとって小中学校でコンピュータサイエンスに触れる機会がないことを考えれば、たとえ部分的な成功であっても感動的だ。

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Raspberry Piによるラップトップ機Pi-TopがIndiegogoでクラウドファンディングを開始

ついに来ました。われわれも、背筋を正しましょう。ついこないだまで、学生たちの思いつきにすぎなかったラズパイ・ラップトップPi-Topが、正式発売を目標として8万ドルを目標額とするクラウドファンディングに登場したのだ。

キットは249ドル、Model B+のRaspberry Piを自分で都合できる人は209ドルだ。ケースを自作し、パーツも自分のを使ってもよいが、それはたぶん面倒だろう。

発売予定は2015年の5月、来週ロンドンで行われるTechCrunch Disruptにも出場する。遊びとしておもしろいだけでなく、コンピュータ教育のための教材としても優れている。詳しい仕様等はIndiegogoのページで。ハードウェアのオープンソース化が、ついにコンピュータ本体にもやってきたのだ。

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Kickstarterが利用規約を改定、失敗したプロジェクトの法的位置づけを明確化

人気のクラウドファンディングサービスKickstarterが今日(米国時間9/19)利用規約を改定して、プロジェクトが破綻した場合の条項をより明確にした。この改定はFTCの新しい規則に沿ったもので、オンラインの小売サービスは、製品を30日以内に発送できず、顧客がそれ以上の遅れに同意しなかった場合は返金すべし、と定めている。Kickstarter自身はもちろんオンライン小売サービスではないが、しかし製品を売るためのプラットホームを提供している。

[Update: KickstarterはFTCとの関係を否定し、次のように述べた: “利用規約の改定は何か月も前から進めており、しかもそれは、直截で明快な操業を目指してきた長年の努力の成果である”。つまり同社は、利用規約の改定はFTCの新しい規則への対応努力ではない、と言っている。]

Kickstarterの改定規約第4項は、顧客はプロジェクトを支援することによって、彼らとプロジェクトの作者とのあいだの法的合意を形成しているのであり、Kickstarterはそれに関与しない、と言っている。

Kickstarterの免責条項としては、これだけで十分だろう。プロジェクトが破綻して製品が発送されず、返金もされなかったときでも、Kickstarterは法的に無関係となる。

ただしこの改定規約でKickstarterは、プロジェクトが失敗したときのプロジェクトの作者の支援者に対する誠実な説明義務と、資金の使途(または今後の方針変更のための予定使途)に関する情報開示義務を定めている。方針変更の場合は、あらたな期限も示さなければならない。

またKickstarterはプロジェクトの作者に対して、支援者とのコミュニケーションにおいて重大な虚偽のない公明正大さを求めている。詐欺行為は許さない、ということ。

さらに今回の改定利用規約は、約束を果たせなかった作者は、支援者による法的行為の対象になることもありえる、と明記している。訴訟などの可能性は前からあったが、これまでの利用規約はそれについてまったく触れていない。

この新しい利用規約は2014年10月19日以降にローンチされるすべてのプロジェクトに適用される。

同社はまた、改定規約は文章を簡明に読みやすくし、以前あった“法律的ジャーゴン”の多くを削除した、と言っている。

改定利用規約の全文を、ここで読める。

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Indiegogoが締切日のない資金募集制度”Forever Funding”を立ち上げ、永続的プロジェクトを支援

Indiegogoがこれからは、従来の一時的なクラウドファンディングの上を行く、恒久的にクラウドファンドされるビジネスを支える。今後数日かけて立ち上げる“Forever Funding”事業が、それだ。資金募集に締切日がなくて、限りなく資金供給を求めることができる。これによりIndiegogoはライバルのKickstarterとは差別化され、たとえば定期的にメンテナンス費用を要するプロジェクトや、完全な形の企業や団体が今後末永く支援を求めることができる。

この締め切りなしの資金募集の場合、Indiegogoの取り分はどれだけになるのか、それを今問い合わせている。下の表は、従来の締め切りありの資金募集Fixed Fundingと、締め切りありだけど、それまで集まった金はもらえるFlexible Fundingを比較している。

・Fixed Funding…締め切りまでに目標額に達しなかったら、一銭ももらえない。
・Flexible Funding…締め切りまでに目標額に達しなかったら、それまで集まった額をもらえる。
・Forever Funding…締切日なしで無限に資金募集をする。


これまではIndiegogoでもKickstarterでも、締切日までに目標額に達したらその額は資金としてもらえるが、その後の資金、たとえば製品改良資金、(映画等の)続編制作資金などなどは、自力で調達するか、または、新たにクラウドファンディングに申し込むしかない。今度からは、そういう永続的なプロジェクトやビジネスは、 Forever Fundingを利用できる。

アーチストを永続的に支える会員制のクラウドファンディングプラットホームPatreon…あなたもパトロンになろう!…が前からあるが、IndiegogoのFoever Fundingはこれとやや似ている。ただし締切日がないと、寄付者の寄付動機になるような、緊急性や、切羽詰まった感じはなくなる。

Forever Fundingがうまくいけば、Kickstarterも真似するだろう。そもそもこの、締切日のない募金モデルは、クラウドファンディングプラットホーム自身にとっても、便利な収益源になるはずなのだ。

Forever Fundingが早期でポシャらずに永続するためには、詐欺師対策がきわめて重要だ。この前なんか、ウェアラブルメーカーがここで100万ドルあまりをかっさらって行ったが、その製品は現代の科学では実現不可能なものだった。Forever Fundingが、永続的な資金源どころか、詐欺師たちの永続的なカモにならないためにも、コミュニティの保護を今まで以上に強化していただきたい。それはIndiegogo自身の命運をも握っている、重要課題だ。

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Kickstarter、プロジェクト承認ルールを簡素化

クラウドファンディングサイトのKickstarterは、ブランド認知度において今やクラウドファンディング界の “Kleenex” 的存在になっている。今日(米国時間6/3)同サイトはビジネスモデルに関する2つの大きな変更を発表し(The Verge)、これは非株式ファンディング全般および主要ライバルのIndiegogoに大きな影響を与えるだろう。基本的にKickstarterは、ルールを簡素化して参加障壁を緩和する。中でも “Launch Now” 機能は、プロジェクト作成者が同ネットワークによる承認プロセスを完全に回避できる。

つまり、今後Kickstarterで見るものは、実現性やコンテンツ内容について審査を受けているとは限らない ― そしてそれは、元々成功率の低いハードウェアプロジェクトが製品化される保証がさらになくなることを意味している。しかしKickstarterは、潮流にさからわず成り行きにまかせる方針を決めたようだ。これで同サイトは、アイデアに投資するコミュニティー主導のしくみを、はばかることなく表明できる。デバイスのための予約店舗のふりをする必要はない。

さらにKickstarterは、プロジェクト作者のドキュメントに関するルールも削減し、1000単語から300単語へと1/3以下に減らした。また、入浴・美容プロジェクト等これまで禁止されていた種類のキャンペーンや、ハードウェアプロジェクトでの複数報酬も認められる。非デベロッパーによるアプリプロジェクトも可能になるが、慈善事業、遺伝子組替え、およびグラフィックを写真と見間違えさせる恐れのある、写真的レンダリングは未だに禁止されている。Vergeが報じている。

プロジェクトの承認は、人間の審査員が介入することなくアルゴリズムで行われ、そのプロセス(最短5分程度で終わる)を通過すれば公開が可能になる。これは当初Kickstarterが信奉していたクラウドファンディングの解釈とは大きく異なっており、様々な点でコミュニティー重視をやめ、成長に焦点を合わせたものだ。Indiegogoの中立ネットワーク事業者としてのスタンスほどではないが、ビジョンはかなり近く、これからは今まで見たことのなかったような新プロジェクトがたくさん登場するに違いない。

クリエーターにとって、これは間違いなく良いニュースだ。私は、これまでKickstarterの承認プロセスに不満を抱き、微妙なルールのために公開できず意欲をそがれた人を多く見てきた。その結果多くの人々がIndiegogoに流れていった。しかし、これはKickstarterにとっても問題になる可能性がある ― もし全体的な質の低下を招くことになれば、あらゆるプロジェクトの成功可能性に影響を及ぼす。プロジェクトの数が膨れあがれば、発見も難しくなる。

しかし、これまでKickstarterは不満やプロジェクトの失敗などによる、支援コミュニティーとの関係悪化のリスクを回避してきた。スタートから5年が過ぎた今も、支援者や成功キャンペーンを増やし続けている。これは新種の生き物であり、5年の月日は、ユーザーたちが店とも違うチャリティーとも違うそのアイデンティティーに慣れるのに十分な時間だった。

これは、クラウドファンディングのトレンドに乗ろうとしている他のスタートアップにも新たなチャンスを生む ― Kickstarterによる監視の目が弱まること自体、ユーザーがプロジェクトの選別、収集など新しいモデルを求める可能性を意味している。KickstarterがクラウドファンディングのAmazonになるとしても、PinterestやShopifysのようなブティックストアの機会はまだ残っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


コンドームをディスラプトするGalactic CapはBill Gatesからの援助資金をねらう

ぼくは本誌TechCrunchの正社員ライターの中で、性担当のヘンタイ男とみなされているので、Galactic Capの記事はぼくが書くべきなのだろう。それは、あなたの“かわいいピンクの身代わり”さんが、あのなつかしき“謎と不思議の館(やかた)”を訪れるとき、安心のために身に付ける、小型のコンドームだ。このプロジェクトは今日(米国時間6/1)、Indiegogoで資金募集を開始した

使い方は、一(ひと)手間ではなく二(ふた)手間を要する。まず、特性の接着剤をイタチくんの先端に塗る。それは、数時間前でも数日前でもよろしい。そしていよいよ、イタチくんがクリスマス島環礁に上陸するときが来たら、小さなチップを取り出して保護膜を剥離し、海賊旗の先端に貼り付ける。そのキャップが外れることはないので、若者と乙女は肌と肌の接触を楽しみ、しかも妊娠のおそれがない。

でも、ふつうのコンドームの、どこがだめなのか? それに、STDs(性感染症)の心配は?

発明者のCharles Powelはこう語る: “通常のコンドームは不快であり、装着が面倒であり、性の楽しさを奪う。失敗率が15〜18%と高く、利用率が低い。全世界の男性の5%しかコンドームを使っていない。先進国では17〜20%だ”。

“健康な肌には感染を防ぐ力がある。でも、男性側に腫れや擦過傷がある場合は、必ず従来のコンドームを使うべきだ。Galactic Capならセックスの満足感が十分にあるので、コンドームの(==Galactic Capの)利用が増えると思う。したがってHIVやSTDの罹患率も減少するだろう”。

Indiegogoでの資金集めは、臨床試験のためだ。出資者にはプロトタイプが100ドルで提供されるが、今のコンドームに比べるとかなり高い。でもPowelは、一度体験したらもう二度と古典的なコンドームは使う気がしなくなり、多くの人がGalactic Trainに乗り換えるはずだ、と信じている。

Bill GatesのGates Foundationが、‘未来のコンドームデザイン’に提供している助成金は、これまですべて、ソーセージの皮タイプの(==従来型の)改良コンドームへ行っている。Powellは、Galactic Capこそ、その助成金にふさわしい、と考えている。

“男性の80%以上が何も使っていないんだから、これは肥沃な未開拓市場だ。彼らの言う完璧なコンドームも、誰も使わなければ無意味だ。Galactic Capで初めて、市場に本当の選択肢が登場したのだ”、とPowellはGatesから資金を助成された先輩たちを批判する。

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