SpaceX、再利用を目的とするロケットの海上回収に3回連続で成功中

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SpaceXにとって良い1週間だったことだろう。まずNational Reconnaissance Officeと高額の契約を結んだ。お固い政府機関で偵察衛星を扱っている組織だ。そして週末となり、ケネディ宇宙センターのケープカナベラル空軍基地第40複合発射施設よりOrbital ATKの通信衛星であるTHAICOM 8を打ち上げたFalcon 9の、4度目となる第一段部分の回収に成功したのだ。海上を動いている「ドローン船」にて回収したのは3度目となる。

THAICOM 8を宇宙に送り出した今回は、海上回収がさらに難しいものとなると言われていた。衛星が打ち出されたのは静止トランスファ軌道(Geosynchronous Transfer Orbit:GTO)だ。この静止軌道には、メインロケット(今回の場合はFalcon 9)に加えて、より小型のロケットも併用して打ち上げることになる。

静止軌道は36,000キロメートルほど上空にある軌道であり、この軌道にのった衛星を地上からみると、まるで静止しているように見える。一般的には気象観測や通信衛星を打ち上げるのに用いられる。THAICOM 8は商用通信衛星で、インドおよびアフリカ、東南アジアで利用される予定となっている。

前回の打ち上げについてもそうだったが、今回の打ち上げでは、低軌道に打ち上げるのに比較して、より多くの機材を搭載する必要があった。打ち上げ角度もはるかに急峻となり、それに伴って地上への帰還角度も急になってしまう。それにより、もちろん速度も増してしまうこととなった。

そうした状況の中で、Falconの飛行に許される精度上のブレは圧倒的に小さなものとなる。速度が増すことで、予期しないブレに対してロケットが対応する時間も少なくなるのだ。風や、ちょっとした大気の揺れによるごく微細なズレも重大な事故につながりかねないのだ。さらに、高い軌道まで打ち上げることにエネルギーを使い、自らの制御に使える燃料はごくわずかしか残っていないという状況にもある。

今回の最着陸成功によりSpaceXの技術の実用性がさらに強く認識されるようになる。打ち上げロケットを再利用できるようにすることにより、SpaceXは打ち上げコストを下げて、宇宙開発をより一般的なものにしようと考えている。さらには火星探検という大きな夢も描いていて、そのためにも打ち上げロケットの再利用可能性を高めていきたい考えなのだ(火星から地球に戻ってくる際に、ロケットを再利用できるようになる)。

もちろん、現在の段階では夢の実現はまだまだ不可能の範囲内だ。打ち上げロケットの回収には成功しているものの、完全な「成功」をいうためにはロケットの再利用に繰り返し成功することが必要だろう。それが実現しないううちは、Falcon 9の垂直離着陸も単なる「驚き」に過ぎなくなってしまう。Space XのCEOであるElon MuskはTwitter上で、数ヶ月のうちに回収したロケットの再利用を行う旨をツイートしている。SpaceXはケープ・カナベラルにて最初の回収に成功したFalcon 9の再起動を試し、そして本社前に配置してはいるものの、今のところは再度のフライトは行なっていない。今のところ、回収したロケットが最利用可能であることの証明は行われていないことにはなる。

誤差の許容範囲が小さく、また着陸角度が大きかったことは、すなわち今回の最着陸が高速を保ったまま行われたことを意味する。アルミのハニカム素材も熱や衝撃で大きなダメージを受けていることだろう。これはロケットの(再利用時の)安定性に問題をきたすことになると思われる。ただしMuskによれば最も衝撃を受ける部分は着陸時に用いる「脚部」であり、これは「crush core」と呼ばれている。「crush core」である限り衝撃を受けるのは当然のことで、簡単に取り替えられるようになているのだそうだ。ただし、再着陸後のロケットにリスクを生じる可能性があることについては認めていた。

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(翻訳:Maeda, H

イーロン・マスク、火星探査計画「Red Dragon」は早ければ2018年に実現

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どうもElon Muskは退屈しているらしい。それがわかるのは、彼が太陽系を植民地化することについて夢中でツイートし始めるからだ。「早ければ2018年にはDragonを火星に送る」と今日(米国時間4/27)SpaceXが唐突にツイートした。その後、いつものMuskスタイルで詳しい話が続いた。

どこでも? だったら金星も、と誰かが言った。

Muskは、推進力着陸(パラシュートや緩衝材ではなく)と同社独自の高性能遮熱材を用いれば、惑星 ― 火星であれ金星であれ海王星であれ ― 表面に着地するのは容易だと語った。しかし、そこへ到達するのは別の話だ。

言い換えると、最初のSpaceX火星探査は間違いなく無人だ ― しかしそれは伴うリスクを考えれば当然だ。Muskはいずれ詳細を発表するに違いないが、リスクを許容範囲に留めるためには、数多くのテスト飛行と補給任務が必要になる。

Red Dragonのコンセプトは新しいものではない ― 何年も前から語られてきてが、これが初めての公式発表だ。昨年SpaceXは、Red Dragon計画がどんなものになるかのイメージ画像を公開している。

乗組員室も改善が必要だ。SUVサイズの空間に地球上で数時間いるだけでも不快な体験だ。ましてや数ヵ月、数年間も外に真空しかないところでなど。ちなみに、現世代のDragonは、比較的この惑星近くに留まるだろう。少なくとも人間を乗せているときは。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXのFalcon 9ロケット、洋上のドローン艀への軟着陸についに成功

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昨夜、東部標準時午後4時43分、イーロン・マスクの宇宙企業、SpaceXは(ISS(国際宇宙ステーション)への補給物資を搭載した衛星を無事に打ち上げた。同時にSpace Xはこの打ち上げで使用されたロケット・ブースターを洋上を自律航行するドローン艀に垂直に軟着陸させることについに成功した。

SpaceXはこれ以前に4回、ドローン艀への使用済みブースターの垂直着陸を試みているが、すべて失敗に終わっていた。Space Xは昨年12月にブースターの垂直着陸を成功させているが、この時は洋上の艀ではなく、Falcon 9を打ち上げたずっと安定した地上基地が用いられた。

今回の航行する艀への軟着陸はしたがってまったくレベルが異なる成功といえる。地上プラットフォームに比べて洋上を自動航行する艀への軟着陸が本質的に困難な事業であることはもちろんだ。

SpaceXは航行する艀への着陸を選んだが、この場合ロケットは着陸にあたった大きな水平移動速度を確保しなければならない。しかしSpace Xのロケットが最大打ち上げ能力を発揮するためにはブースターの洋上への着陸が必須となる(この場合、地上基地に戻るためにはブースターは余分の燃料を必要とする)。

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SpaceXの1段目(ブースター)が自動航行艀、Of Course I Still Love Youに着陸する

こうした点から、ある種のミッションにおいては洋上着陸がブースターの回収の唯一の手段だった。

今回、SpaceXが用いたドローン艀は2013年に亡くなったSF作家、イアン・バンクスの作品に登場する船に敬意を表して“Of Course I Still Love You”と名付けられている。

SpaceX's autonomous drone ship / Image courtesy of SpaceX

SpaceXのドローン艀の画像( SpaceX提供)

しかしブースターの軟着陸は再利用への第一歩にすぎない。打ち上げ費用の大幅削減を実現するためには同じブースターが大きな手間なしに繰り返し利用できなければならない。

その意味で今回のブースター軟着陸の意味はビデオを見ただけで正確に判断するのは難しい。このブースターが次の打ち上げに利用できるか、そのためにどの程度のコストがかかるかは今後の詳しい分析に待たねばならないだろう。

ロケットの回収は大きな関心を集めたが、今回のロケット打ち上げの目的はあくまで7000ポンド〔3.2トン〕の貴重な補給物資をISSに届けることにあった。Space XはNASAとの間で20回の物資補給ミッションの実施を契約しており、今回はその8回目にあたる。

BEAM inflation on the ISS / Image courtesy of NASA

ISSに付加される膨張式BEAM居住区(画像NASA提供)

今回の補給物資で特筆すべきなのはBigelow Aerospace製のコムボートのように膨張させる宇宙居住区、BEAM (Bigelow Expandable Activity Module)だ。BEAMを搭載したDragonカプセルは現在ISSに接近中であり、日曜朝に到着するはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Tesla Model 3の発表会で撮った写真、14枚―まずこれで予習しておこう

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今夜、Tesla Model 3の発表会に行ってきた。今回Teslaは奇妙なルールを設けていた。「大きなカメラは禁止」とぃうのだ。スマートフォンがいいが、ズームレンズが付けられる本格的なカメラの持ち込みは禁止だという。

正確な理由は不明だ。私は会場で誰かれとなく心当たりを尋ねてみたが、どうやら確からしいという説は「Model 3はまだ完成車ではない」というものだった。つまり細部のフィニッシュは完全ではなく、今後変更の余地があるというものだ。会場の照明は暗く、スマートフォンのカメラの暗所での性能はご存知のとおりなので写真を撮るのにはひどく苦労させられた。

Tesla自身が発表した写真を別にすれば、細部まで見定められるModel 3の写真は今のところ出回っていない。そういう次第で、以下の14枚の写真は私自身と同僚によるModel 3の実写ではあるが、描写はいまいちなのでご了承いただきたい。

普段なら多数の写真はまとめてスライドショーにするところだが、システムはギャラリーに写真を取り込むときにサイズを下げてしまうので、1枚ずつ掲載することにした。

(Model 3のスペックについてはわれわれの記事を参照)

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レッドだ!

プレゼンに使われた車はシルバーだったが、右手にレッド塗装も1台あった。

デザインのコンセプトはModel Sに似ているが、単にSを縮小しただけではなかった。フロントエンドは全く異なる。この角度からだとScion FRSあるいはスバル BRZにやや似ている(フロントエンドはそれだけ目立つわけだが、ともあれゴージャスだ)。

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ホィール!!

この点は後でさらに掲載。

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フロントエンド

Model Sと同様、「フロントグリルなし」だ。実車を見るとかなりシュールな感じがする。まるで誰かがクレイモデルにフロントグリルを刻み忘れたみたいだ。少し離れると非常にクールだ。

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ドア・ハンドル

これまでのTesla同様、Model 3のドア・ハンドルも走行中はボディー内に隠されていて外からは見えない。Model 3の場合はSよりさらに強くカーブしている。

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「予約数」

プレゼンの後でステージに表示されたライブの予約受付状況に関心が移った。イーロン・マスクが登壇したときにはカウンターは11万台前後だった。つまりまだ誰も実車を見ていないうちにそれだけの予約があったわけだ。40分後、プレゼンが終わった後で数字は15万台に跳ね上がっていた(カウンターの表示はそこで終わった)。

ちなみに15万台というのはTeslaが2015年に販売した車の総数の3倍だ。

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最後にもう1枚赤い車を…

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シルバー!!

シルバー・モデルのサイドビュー

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そして…

少し違う角度から。逆光でレンズのフレアが目立つ。

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すでテストドライブが可能だが…

残念ながらModel 3は(Teslaの社員以外)、まだ誰も実車を運転できていない。言うまでもなくテストドライブの申し込みが殺到している。

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ホィール!

さすがのTeslaでもホイールはあるべき位置にある。

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ルーフ

脚立なしにルーフの写真を撮るのは難しかったが、造形はたいへん美しい。巨大な一枚のガラスで、フロントのサンバイザーが取り付けてある支柱と運転席・助手席の頭上を横切る支柱だけがわずかに視線をさえぎるだけだ。サンルーフに似ているが、視界ははるかに広い。Model Sのゴージャスなパノラマビューが後部座席まで拡大された。昼間や星空の下での夜などファンタスティックだろう。.

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再びフロント

ドライバー席と助手席の間に大型のタッチスクリーンが設置されているのが見える。Model Sのものと似ているが、こちらは縦置き1715インチではなく横置き15インチだ(いずれも対角線長)。

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スクリーンの別角度

ドライブ・システムのインターフェイスは納入車両では若干変更されるかもしれない。現状ではやや荒削りだった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ジェフ・ベゾスの宇宙ロケット、Blue Origin、再度の打ち上げ・地上回収に成功

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昨日(米国時間1/22)、ジェフ・ベゾスが創立したBlue Originは何の予告もなくいきなりNew Shepherdロケットを打ち上げた。ロケットは宇宙を準軌道飛行した後、無事に地上に着陸することに成功した。この種のミッションに成功したのはBlue Originが史上初で、ジェフ・ベゾスはまたも歴史の1ページを書いたことになる。今回の飛行が特筆すべきなのは、打ち上げられたのが昨年11月に宇宙飛行したその同じロケットだという点だ。

地上への回収に成功したNew Shepardロケットはテキサス西部のBlue Originの実験場から発射され、無人のカプセルを高度101.7kmまで運んだ。ブースターロケットとカプセルは両方とも無事着陸に成功した。国際航空連盟が大気圏と宇宙との境界と認めているカーマン・ラインの高度は100kmだから、わずかではあるがそれを超えたことになる。

ブースターロケットは発射地点に戻り、逆噴射によってゆっくり着陸した。カプセルは3基の大型パラシュートを開き、逆噴射を併用して別な場所にこれも安全に着陸いた。

Blue Origin's New Shepard flight profile / Image courtesy of Blue Origin

Blue Origin’s New Shepard flight profile / Image courtesy of Blue Origin

New Shepherdの飛行のビデオは「「発射、着陸、繰り返し」とタイトルを付けられている。コンセプトは単純だが、これを実現しつつあるベゾスのBlue
Originやイーロン・マスクのSpaceXはまさに宇宙ビジネスに革命を起こしつつある。

昨年11月にBlue Originは今回使われたのと同じロケットを用いて同様の宇宙飛行を行い、カプセルは100.5kmの高度に達した。

New Shephardのカプセルは将来、ツーリストを有料で載せて準軌道を飛行する計画だ。リチャード・ブランソンのVirgin Galacticも同様の低層宇宙にツーリストを往復させようとしている。

Blue Originの公式ブログで、同社のファウンダー、ジェフ・ベゾスは、再度の打ち上げにはいくつかの部品の交換と同時にソフトウェアの大幅な改良が行われたことを明らかにした。

去る12月、イーロン・マスクのSpace XはFalcon 9ロケットで衛星を打ち上げた後、ロケット・ブースターを地上に着陸させることに成功している。ただしマスクを含む大勢の専門家が、ロケットの再利用に成功したといっても、衛星を打ち上げ可能な大型実用ロケット、Falcon 9と準軌道飛行を目的とした小型ロケットの間には大きな差異があることを指摘した。

Getting to space needs ~Mach 3, but GTO orbit requires ~Mach 30. The energy needed is the square, i.e. 9 units for space and 900 for orbit.

— Elon Musk (@elonmusk) November 24, 2015

宇宙高度に到達するだけならマッハ3でいいが、弾道飛行にはマッハ30が必要。エネルギーは2乗以上だ。つまり9に対して900のエネルギーが必要になる。 

しかしベゾスはNew ShephardはBlue Originが開発しようとしてブースターの中で最小のものだと述べた。つまりBlue Originには今後さらに大型の軌道カプセルの開発計画があるということだ。ベゾスはこう述べている。

われわれが軌道旅行ビジネスに参入してからすでに3年以上になる。計画している軌道カプセルは最小のモデルでも〔今回打ち上げられた〕New Shepherdの何倍も大きい。今年中にこの軌道飛行カプセルについて詳しいことが発表できるものと期待している。

【略】

過去3ヶ月の実績をみると、Blue OriginとSpace Xは宇宙ビジネスの革命に向けてすでに大きな前進を遂げた模様だ。

画像: Blue Origin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ジェフ・ベゾス、SpaceXにケチをつける(SpaceXが何年も前からロケット着陸に成功していることを忘れている)

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さて、Twitterの悪口合戦に参加したのは誰あろう、Mr. Jeff Bezosだった。

自らの宇宙会社 Blue Originがロケットの着陸に成功したばかりのAmazonファウンダーは、Falcon 9ロケットの着陸に成功したSpaceX に対して、初めて今日攻撃を仕掛けた。

[@SpaceXがFalconの準軌道ブースターの着陸に成功したことをお祝いする。
わがクラブへようこそ!]

「クラブへようこそ」― イタッ!!

注意深い読者(および今日一日中Twitterを見ている人)なら、SpaceXのファウンダー、Elon Muskが最初に火を着けたことを知っているだろう。先月BezosとBlue Originの偉業を称えると同時に、「軌道」ロケットと「準軌道」ロケットの違いを指摘した時だ。

[Jeff BezosとBO チームには打上げロケットの着陸成功をお祝いしたい。]

[ただし、はっきりさせておく必要があるのは、「宇宙」と「軌道」の違いであり、 https://what-if.xkcd.com/58/ に説明がある]
[宇宙高度に到達するだけならマッハ3でいいが、弾道飛行にはマッハ30が必要。エネルギーは2乗以上だ。つまり9に対して900のエネルギーが必要になる]

[ジェフは気づいていないかもしれないが、われわれのSpaceXは準衛星軌道へのロケットによるVTOLを2013年からテストしている。海面への着水は昨年成功した。次は軌道飛行の後の着陸だ]

[功績を正確に記録するなら、準衛星軌道を飛行した最初の再利用ロケットはX-15だ。最初の商業飛行に成功したのはバート・ルタンと言わねばならない。]

今日のBezosの反論で問題なのは ― 億万長者同志が互いの宇宙ゲームを巡って口論するとことを見るのは面白いが ― SpaceXがBlue Originのクラブに入会することはないことで、それはSpaceXは小型ロケットを何年も前から着陸させているからだ。

しかしそれ以上に、Blue OriginとFalcon 9を比較すること自体が不釣り合いだ。

TechCrunchのロケットマニア、Matt Burnsに言わせると、両社の着陸を比べることは、「縦列駐車を自転車と大型SUVで比べるようなもの」だそうだ。

今日着陸したFalcon 9は巨大なロケットだ。今回の発射には人工衛星が11基積載されており、塔載部分は再利用されず着陸もしていない。

Burnsがこう説明している

Falcon 9は本格的なロケットで、9基のエンジンが生み出す150万ポンド力(667万N)の推進力によって、高度124マイル(200 km)まで到達する能力を持つ。重要な機器を重要な軌道に運ぶために設計された。Blue Originは数人の人間を62マイル(100 km)の上空に送る能力がある ― これもまた素晴らしい。

果たしてElon Muskが再び反撃に出るか、誰かがBezosに少々状況を説明する機会を与えるか見物だ。

まもなく次のラウンドが始まる…

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

未来の高度な人工知能技術の私蔵化を防ぐ非営利団体OpenAIがそうそうたる創立メンバーでスタート

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今日(米国時間12/11)、非営利の人工知能研究団体OpenAIの創立が発表された。そのトップは、Googleの研究員Ilya Sutskeverだ。前日には、Facebookが同社のAIハードウェアをオープンソース化した。

その存在理由は、こう説明されている:

目標はデジタルインテリジェンスの高度化をできるかぎり人類全体の利益に資する形で推進すること。それが、経済的(financial)な利益目的に制約されないことだ。

グローバルな支払い決済サービスStripeのCTOだったGreg Brockmanが、OpenAIのCTOになる。このほか多くの著名人が名を連ねており、中でもY CombinatorのSam Altmanと
Tesla/SpaceXのElon Muskが共同で理事長になる:

この団体の創立メンバーは、世界のトップクラスのリサーチエンジニアとサイエンティストである: Trevor Blackwell, Vicki Cheung, Andrej Karpathy, Durk Kingma, John Schulman, Pamela Vagata, そしてWojciech Zaremba。Pieter Abbeel, Yoshua Bengio, Alan Kay, Sergey Levine, およびVishal Sikkaはアドバイザーとなる。OpenAIの共同理事長は、Sam AltmanとElon Muskだ。

資金提供者は、Altman, Brockman, Musk, Jessica Livingston, Peter Theil, Amazon Web Services, Infosysおよび YC Researchで、寄付額の合計は10億ドルだ。Muskが公共的なAI研究に出資するのは、AIがSkynetになってしまうのを防ぐため、といわれる。OpenAIへの出資や理事長就任も、そのねらいの延長だろう。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ロケットVTOLの成功は偉大な進歩―ただしベゾスのBlue OriginとマスクのSpaceXはカテゴリーが違う

CAPE CANAVERAL, Fla. (July 19, 2013) An Atlas V rocket launches the Navy's Mobile User Objective System (MUOS) 2 satellite from Space Launch Complex-41 at Cape Canaveral Air Force Station, Fla. MUOS is a next-generation narrow band tactical satellite communications system designed to significantly improve beyond-line-of-sight communications for U.S. forces on the move. (U.S. Navy photo courtesy of NASA by Patrick H. Corkery/Released) 130719-O-ZZ999-102
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低料金で宇宙飛行を提供するとしているBlue Originは、大気圏外にロケットを発射し、無事に地上に着陸させることに成功した初の企業となった。コンセプトはこの上なくシンプルだが、宇宙産業にとってこの成功の意義はまさに歴史的だ。ロケット・ブースターの再利用に道を開いた意義はいくら強調しても足りない。

Blue Originのファウンダー、ジェフ・ベゾスは、初めてTwitterを使い、こう述べた。

世界でも使用済みロケットというのは珍しい存在だ。制御された着陸は恐ろしく難しい。しかし成功してしまえば簡単に見える。下のビデオ見て欲しい。

現在、再利用可能な商用ロケットは市場に存在しない。こういう際に成功を伝える言葉はごく簡潔な「使命完了」だけ足りる。

われわれは飛行機の切符が高いと文句を言うが、宇宙旅行にかかる総額はとても比較になるものではない。その主な理由は打ち上げ1回ごとにほとんど何かもが捨てられてしまう―再利用できないからだ。SpaceXのCEO、イーロン・マスクはこれを「3億ドルのボーイング747をまるごと宇宙に捨ててくる」ことに例えた。

ロケットが再利用可能になればコストは最高100分の1まで下がるという推計もある。これは文字通り宇宙ビジネスのディスラプトだ。

しかし詳細に見れば、ロケットの再利用にもさまざまな種類があることがわかる。Blue Originの成功だけを見れば、同じくロケットの再利用を目指すSpaceXは遅れを取ったように見えるかもしれない。

SpaceXはFalcon 9が宇宙から帰還したとき、海上の艀に安全に垂直着陸させることを目指している。残念ながらこれまでの実験は2回ともロケットの爆発に終わっている。マスクはベゾスのロケット、New
Shepardの垂直着陸成功の報に接して、祝意を述べると同時に、Falcon 9との差を急いで説明しなければならなかった。

Getting to space needs ~Mach 3, but GTO orbit requires ~Mach 30. The energy needed is the square, i.e. 9 units for space and 900 for orbit.

— Elon Musk (@elonmusk) November 24, 2015

宇宙高度に到達するだけならマッハ3でいいが、弾道飛行にはマッハ30が必要。エネルギーは2乗以上だ。つまり9に対して900のエネルギーが必要になる。 

Blue Originは準軌道を目指している。つまりベゾスのNew Shepardは6人の乗客を乗せて短時間高度100キロの宇宙空間に飛び出すが、そこでただちに地上に引き返す。これに対してマスクのSpaceXは単に宇宙空間に出るだけでなく、大量のペイロードをマスクがGTOと呼ぶ静止トランスファ軌道(静止軌道への遷移軌道)まで運び上げることができる。この軌道は遠地点では地表から9万キロも離れる。

容易に想像がつくように、100キロと9万キロという高度の差は非常に大きく、必要とされるロケットの能力はまったく異なる。マスクはこの点を「宇宙に出るだけならマッハ3で足りるが、静止トランスファ軌道に入るためにはマッハ30を必要とする」と説明している。XKCDの記事はこれを「単に宇宙に出るだけなら簡単だ。難しいのは宇宙に留まることだ」と表現している。

宇宙に留まるためには衛星軌道を飛ばねばならなず、これは非常な高速が要求される。 SpaceXのFalcon9がNew ShepherdやVirgin Galacticの機体よりもはるかに巨大で強力なのはそういう理由による。マスクはベゾスに張り合ってか、SpaceXはロケットの垂直着陸テストに2013年に成功していると述べた。

ジェフは気づいていないかもしれないが、われわれのSpaceXは準衛星軌道へのロケットによるVTOLを2013年からテストしている。海面への着水は昨年成功した。次は軌道飛行の後の着陸だ。

実のところ、これは少々誤解を招く表現で、マスクの批判にかかわらず、Blue Originは実際にロケットに宇宙と地上を往復させた史上初の会社だ。マスクのツイートの前半はSpaceXのGrasshopper計画でロケットの垂直離着陸(VTOL)を成功させたというものだが、この実験でロケットは744メートルまでしか上昇しておらず、ベゾスのNew Shepardが到達した高度の1%程度だった。

2番目のツイートでマスクは、SpaceXはFalcon 9を軌道に送り、第一弾を安全に地表に帰還させる実験を行ったと述べている。これは事実だが、実験は2回とも海上の艀の上の爆発という華々しい失敗に終わっている。

つまり Blue OriginがロケットのVTOLを史上初めて成功させる一方で、SpaceXはまだその試み成功していない。そういう次第で、この2社の試みを同一の基準で公正に評価するのは難しい。両社はそれぞれに宇宙旅行の改良における重要なマイルストーンを達成したと考えるべきだろう。

ベゾスのBlue Originは宇宙旅行を希望する一般消費者(非常に裕福な旅行者)に直接切符を販売することを目的としている。これに対して SpaceXは大企業や政府(Orbital Sciences社、NASA、アメリカ空軍など)のペイロードを軌道上に有料で運び上げる。この2つはまったく異なるカテゴリーの活動であり、必要とされるロケットの能力も異なる。

そうではあるが、最初に再利用可能な宇宙ロケットを開発した栄誉は正式にBlue Originのものとなった。 New ShepardのVTOL実験成功でBlue Originは準衛星軌道に旅客を運ぶという当初の目的に向けて大きく踏み出したといえるだろう。

画像:Official U.S. Navy Page/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

宇宙旅行が大きく近づいた―ジェフ・ベゾスのBlue Originロケットが垂直着陸に成功(ビデオあり)

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ジェフ・ベゾスが創立した宇宙旅行会社Blue Originのロケットが垂直発射、垂直着陸に世界で初めて成功した。ベゾスはこの記念碑的な達成をTwitterで報じ、インターネットはこのニュースに沸き返った。

世界でも使用済みロケットというのは珍しい存在だ。制御された着陸は恐ろしく難しい。しかし成功してしまえば簡単に見える。ビデオで確認して欲しい。

New Shepardと呼ばれるBlue Originのロケットは宇宙(正確には準衛星軌道)に達し、最高高度は32万9839フィート(100.5km)を記録した。その後ロケットは西テキサスのベゾスの宇宙基地に垂直に着陸することに成功した。

最初にベゾスにお祝いのメッセージを送ったのはほかならぬイーロン・マスクだ。SpaceXのファウンダーであるマスクはある意味でベゾスと同様にロケットの垂直着陸による低価格の宇宙旅行の実現を目指している

ジェフ・ベゾスとBlue Originのチームに対し、ロケット・ブースターがVTOL(垂直着陸)に成功したことにお祝いを送りたい。

ただ…やはりマスクはライバルだった。彼はこう付け加えている。

ただしここで正確を期すなら「宇宙」と「軌道」の差について触れておく必要がある。リンク先に詳しい説明がある。

宇宙高度に到達するだけならマッハ3でいいが、弾道飛行にはマッハ30が必要。エネルギーは2乗以上だ。つまり9に対して900のエネルギーが必要になる。

ジェフも気づいているかもしれないが、われわれのSpaceXは準衛星軌道へのロケットによるVTOLを2013年からテストしている。海面への着水は昨年成功した。次は軌道飛行の後の着陸だ。

功績を正確に記録するなら、準衛星軌道を飛行した最初の再利用ロケットはX-15だ。最初の商業飛行に成功したのはバート・ルタンと言わねばならない。

一見離れ業に見えるベゾスの偉業をマスクはひとつずつの要素に分解し、それらを達成したのはBleu Originが初めてでないことを指摘している。またマスクはSpaceXがFalcon
1ロケットの時代からGrasshopper垂直着陸モジュールの実験を重ねていたと述べた。そういえばNASAはこの件に関してツイートしていない。それではベゾスの垂直着陸は本物だったのだろうか? というのは冗談だが、NASAにはなんとか言ってもらいたいものだ。しっかりしてくれ!

われわれの編集長はTwitterで下のようにジョークを飛ばしている。

いつか私もビリオネアになって、仲間のビリオネアといちばん古いハイパードライブを持っているのは誰かとか議論したいものだ。

〔日本版:イーロン・マスクのSpaceXも海上の艀へのロケットの垂直着陸実験を繰り返している。今のところFalconロケットによる垂直着陸はまだ成功していない。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

車の運転はもうすぐ違法になる

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【本稿の筆者、Jay Samitは連続起業家で、 “Disrupt You!” の著者。】

車の運転は2030年までに違法になる。われわれの経済は深刻な打撃を受けるだろう、なぜなら数百万のトラック運転手、タクシー、配達人らが職を失うから。この終わりなき革新の時代、1世紀にわたる人と自動車との関係は、永久に破壊されようとしている。

その理由は、ミレニアル世代にもUberにも気候変動にも、大量輸送手段の改善にも関係ない。運転が違法になるであろう、そしてそうなるべき理由は、今われわれが交通事故死という世界最大の早期死亡原因のひとつを未然に防ぐテクノロジーを手にしているからだ。毎年全世界で120万以上の人たちが交通事故で亡くなっている(朝鮮戦争の双方で発生した犠牲者数よりも多い)。

昨年、27万5000人以上の中国人、28万8000人以上のインド人、および3万3000人のアメリカ人が、回避可能な交通事故で死亡した。ラルフ・ネーダーがこの産業を「どんなスピードでも自動車は危険」と1965年に初めて指摘して以来、自動車メーカーは車の安全性と信頼性を飛躍的に改善してきた。

シートベルト、エアバッグ、アンチロックブレーキ、タイヤ空気圧監視システムはいずれも交通事故死を減少させた。しかしこれまで、自動車メーカーは交通事故死の唯一最大の原因に対処できていない:人的過誤だ。今われわれは数百万の命を救うテクノロジーを手にしているが、社会としてその利用を義務化する意志力を、果たしてわれわれは持っているだろうか?

無人走行車は、飲酒運転も、わき見運転も、運転席で居眠りをすることもない。

Googleの無人運転車は、人間運転車が支配する路上で既に100万マイル以上を走行している。儚き命のわれわれ人間と同じ現実世界の道路条件のもとで、自動走行車は雨やみぞれや雪の中を走ってきた。これらの無人車両は、地球40周分に相当する距離を走った ー 事故を起こすことなく。

実際には、無人運転車は人間運転車に11回衝突されているが、事故の原因になったことは一度もない。データによると、地球上の衝突事故の94%は人間ドライバーの過誤が原因だ。そして教育や訓練にどれほど時間をかけても、ハンドルを持った人間の行動は改善されない。今やアルコールは、世界の交通事故関連死全体の1/3以上の原因である。

合衆国では、事故の4件に1件が、ながらスマホ運転によって起きている(飲酒運転による事故の6倍以上)。人間の手にテクノロジーを持たせれば持たせるほど、運転習慣は悪くなる。そしてロボットと異なり、人間には休息が必要だ。国立睡眠財団によると、成人ドライバーの69%が月に一度以上運転中に眠気を感じている。

無人走行車は、飲酒運転も、わき見運転も、運転席で居眠りをすることもない。車両には、カメラ、赤外線センサー、ネットワーク接続された地図、その他様々なソフトウェアが装備され、人間には成し得ない方法で正確に危険を回避することができる。

早めにブレーキをかけ、素早く方向を変え、人間の目には認識されない道路条件の変化(例えば、ヘッドライトの可視範囲外の障害物)を予測することができる。ロボットは、人間が操縦する車よりも効率的かつ効果的に、互いに情報交換することもできる。

ロボット車向けのWazeを想像してほしい:数百万のドライバーに、最適な速度を教えることで、渋滞を緩和し、通勤時間を短縮し、費用のかかる道路拡張プロジェクトの必要性を排除したソフトウェアだ。

英国政府は自動走行車が人々の命を救い生活を改善することを確信し、英国を自動走行車の規則をテストしそのための部品を製造するための世界的ハブとするための試行に、最近5000万ポンド以上を投資した。米国では、ミシガン大学が32エーカーの土地を、自動走行試験トラック専用に準備している。

TeslaのCEO Elon Muskは、「人々は車の運転を法律で禁止するかもしれない、なぜなら危険すぎるから」と公言して世界を驚かせた。20億台の時代遅れの車両が走る今、無人走行車への完全移行には20年近く必要だろう。

しかし、ワシントンDCのEno Center for Transportationによると、部分的な普及によっても、米国だけで年間2万1000人の命を救うことができる。われわれ全員、人間による運転を2030年までに禁止する努力をする必要がある ー 自分たちの命がかかっていると思って。さもなければ、2000万人の人々が不必要に亡くなっていく。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tesla、調整後売上12億ドルで予測を超えるも、出荷予測下方修正で株価は7%安

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アップデート:Teslaの株価はわずかに値を戻したが、決算会見中の今、再び約6%下落している。

今日の株式市場閉鎖後、Teslaは第2四半期の決算を報告し、非GAAP売上12億ドル、非GAAP1株あたり損失0.48ドルだった。ウォール街は非GAAP売上11.7億ドル、損失0.60ドルと予測していた。

すでに約一月前に公表されていたように、今四半期に同社は1万1507台の自動車を販売した。Q1は1万0030台だった。今期の数字は、同社の予測1万〜1万1000台を上回った。

しかし同社は、年間出荷台数予測を5万5000台から、「5万〜5万5000台」へと下方修正した。Tesla CEO Elon Muskによる2015年の出荷目標台数5万5000台は、2014年実績の70%増だった。

株主宛の書簡で、Teslaはこの予測下方修正の理由を説明した。

現在もわれわれは、計画した生産台数を達成できるよう高品質な部品を提供する供給業者を数多く試験しているところだ。Q4後期から生産台数が急速に増加したため、1社の供給業者に問題が起きただけでも、Model Xの生産が四半期で800台減少する場合もある。さらに、Model SとModel Xは同じ汎用組み立てラインで作られているため、Model X製造の問題は、Model Sの製造にも影響を与える。簡単に言えば、素晴らしい製品と四半期目標達成という選択なら、われわれは前者をとる。長期的価値を生み出すために、われわれの第一優先は常に、そして今後も、素晴らしい自動車を届けることだ ー CEO Elon Musk、CFO Deepak Abuja。

また同社は、今期1万2807台の自動車を製造し、予測の1万2500台を上回ったことも報告した。この数字はQ1に生産した1万1160台の15%増、対前年同期比46%増にあたる。第3四半期には1万2000台強の生産を見込んでいる。

通常取引で株価は約1.5%上昇し、270.13ドルで引けた。同社株は2014年9月に史上最高値の291.42ドルを記録し、3月に185ドルまで落ちた後再び最高値近くまで戻していた。

決算報告後、株価は7%安の251.23ドルで時間外取引されている。

株主宛書簡に書かれていた他の興味深いニュース:

同社は現在487のスーパーチャージャー充電ステーションを保有しており、設置を加速した結果現在ほぼ24時間毎に新たなスーパーチャージャーを開設している。

さらにTeslaは、当四半期から予定通りTesla Energy製品の製造を開始し、Q4ではさらに加速すると話した。

他に今日のTesla関連ニュースから。元Google Chromeセキュリティーチームの責任者、Chris Evansは今日(米国時間8/5)Teslaに入社してセキュリティーチームを率いることになったとツイートした。この発表以前に、Chrysler およびGM等の自動車メーカーが最近セキュリティー被害に遭っていた。

いつも通り、投資家らは5:30 pm ETからの決算会見でMuskが何を話すかに深く耳を傾けている。新しい情報が入り次第本稿を更新する予定。

情報開示:本稿の筆者は家族信託を通じて少数のTesla株を保有している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブラックホール博士HawkingやTesla自動車のMuskらが、AI軍拡競争は始まる前に阻止せよ、と提議

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高名な物理学者のStephen Hawkingや、先進的電気自動車を作るTesla Motors社などのCEO Elon Musk、そして1000名を超えるAIやロボット工学の研究者たちが、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた、人工知能に関する国際合同会議(International Joint Conference on Artificial Intelligence)で月曜日(米国時間7/27)に、AI戦争の禁止を提言する書簡に署名した。書簡は、“自律的能力を持った兵器”による激しい破壊の蔓延を警告している。書簡の宛先は、AI軍備競争に手を染めようとしている世界各国の軍事部門である。

それは、このような警告だ:

人工知能(Artificial Intelligence, AI)の技術は今、そのようなシステムの軍事的な配備が、法的にはともかく少なくとも実用的には、数十年以内ではなく数年以内に可能な地点にまで達しており、それが人類にもたらすリスクはきわめて大きい。自律的能力をもつそれらの兵器は、火薬と核兵器に次ぐ第三の戦争革命と言われている。

研究者たちは、すべてのハイテク戦争を終わらせる、といった理想を述べてはいない。むしろ力点は、人間が機械を確実に制御することに置かれている。彼らの焦点は自律能力を持った兵器の、人間による制御に置かれ、照準を人間が合わせる巡航ミサイルやリモコンドローンなどではなく、事前に決められている一定の基準を満たす標的を、自動的に探索し破壊する兵器の、人間による確実なコントロールを要請している。

書簡は、自律的兵器の開発を追求しないことが、世界の軍事大国の責務だ、と述べている。

世界の軍事大国が一国でもAI兵器の開発を推進すれば、世界的な軍拡競争の招来が不可避となる。そして、そのような技術競争の行き着く先は明白である: それは、自律的兵器が明日のカラシニコフになることだ。

〔カラシニコフ、誰にでも簡単に入手できる銃火器。〕

HawkingとMuskはこれまでにも、AI技術に関する警戒を声高に述べている。Muskは最近、人工知能は人類にとって実在する“最大の脅威だ”と述べ、一方Hawkingは、この技術が““人類の終末をもたらす”、と語った。

この書簡に署名した人の中には、このお二人に加えて、Appleの協同ファウンダSteve Wozniak、人工知能企業Google DeepMindのCEO Demis Hassabis、著名なMIT教授Noam Chomsky、Googleの研究部長Peter Norvigらがいる。

書簡の締めくくりは、

人工知能はさまざまな面で人類に利益をもたらす、とわれわれは信じており、当分野の目標はそこに置かれるべきである。AI軍備競争を開始することは良からぬ考え方であり、攻撃的自律兵器が人間による有意な制御を超えて使われることを禁じることによって、AI軍拡競争の開始を防ぐべきである。

となっている。

Hawking博士は今、一週間の予定で、RedditのAMAに出ておられるので、質問などはそのサイトにポストできる。

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Teslaの3000ドルの壁かけソーラー電池で家庭の電力をすべてまかなえる

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Teslaといえばほとんどの人が車を連想するだろう — とってもクールな車を — 。でも、同社はもっとでかいことを考えている。今日(米国時間4/30)、CEOでファウンダのElon Muskが、‘Tesla Energy’というものを発表した。商用電力への依存をやめて、太陽エネルギーに切り替えよう、という同社の新しい事業部門だ。

Tesla Energyの最初の製品’Powerwall Home Battery’は、家庭で使用するすべての電力を商用電力なしでまかなう、据え置き型のバッテリーだ。それは充電可能なリチウムイオン電池で、Teslaの既存のバッテリー技術で作られている。それを家の壁に固定すると、電気の利用をめぐる厄介な問題のほとんどから、おさらばできる。

MuskはTesla Energyの発表記者会見で、“これまでの電池は値段が高くて信頼性がなく、あらゆる点で良くない”、と述べた。

彼の言うTeslaのソリューションは、違う。

まず、同社のバッテリーは10kWhが3500ドル、7kWhが3000ドルだ。 あの、異様にお高くとまったApple Watchの価格と比較してみよう。Teslaのバッテリーは合衆国ではすでに予約を受け付けていて、最初の出荷は“夏の終わりごろ”だそうだ。

ふつうのバッテリーと同じく、複数使ってもよい。最大9つを並列できるが、それだけあれば相当強力で頼りになる電源だ。Muskによると、途上国の人びとを助けることができるし、これまで電気が来なかった僻地でも、待ちわびることから卒業できる。電話が、世界の僻地では陸線より(電池を使用する)モバイル重視になっているのと、パラレルな状況になる。

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壁に取り付けた’Powerwall Home Battery’, 前景のTeslaの車は関係ない

Tesla Powerwallは太陽エネルギーで充電するが、並行して既存の商用電力会社への売電も可能だ。売電益で商用電力から充電してもよい。その場合、充電器は電気料金の安い時間帯を自動的に選んで充電を行う。あるいは安い時間帯には家庭で一般商用電力を使用し、太陽エネルギーを貯めたバッテリーを予備電源として温存する使い方もありえる。

汚いエネルギーに別れを告げることは、宇宙旅行と同じく壮大なプランだが、Muskは実現を信じている。彼によると、バッテリーパックが1億6000万あれば合衆国全体が再生可能エネルギーに移行でき、9億あれば世界中が移行できる。また、世界中の車がクリーンエネルギーで走る可能性もある。

“これは、人間にできることの範囲内にある”、とMuskは述べる。“不可能ではなく、われわれにできることだ。でも、ほかの企業の参加が不可欠だ”。

Teslaのパテントは今後もずっとオープンソースなので、他の企業を十分に助けることができる、と彼は言った。

Teslaの記者会見はすべてソーラー由来の電力が使われ、虚飾も誇張もなく、単刀直入でシンプルだった。最近はやりの、派手々々のプレスイベントとは、大違いだ。

Muskは、スタイルの良い電気カーを実現し、SpaceXでは宇宙探検を市場化しようとしている。Tesla Energyも、多くの人びとの理解を超えたプロジェクトではあるものの、Muskの構想どおりに実現したら今後の大きな変化の起爆剤になるだろう。

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イーロン・マスク、「Teslaは4/30に車以外の新製品を発表」とツイート―家庭用バッテリーか?

Teslaのファウンダー、CEOのイーロン・マスクのツイートによれば、同社は来る4月30日午後8時〔日本時間5月1日正午〕に、自動車以外の新しい製品ラインを発表するという。 マスクは自分の認証ずみアカウントで下のようにツイートしたが、今のところ、これ以外の情報は一切不明だ。

〔Teslaから新しい主要な製品ライン―自動車ではない―が発表される。Hawthorne Design Studio、4月30日(木)午後8時〕

マスクはこれ以前に、Teslaは自動車ではなく、家庭用内で利用できるバッテリーを開発していると述べている。2月に行われた決算説明のカンファレンス・コールでマスクは「家庭用バッテリーパックは早ければ6ヶ月程度で量産が開始できるだろう」と述べた。タイミングから考えて、マスクが月曜にツイートした「新しい製品ライン」というのはこのバッテリーのことかもしれない。

Teslaのホーム・バッテリーは停電の際のバックアップや太陽光で発電した電力を蓄積するのに役立つだろう。

もちろんマスクはなにかまったく別のプロダクトのことを言っているのかもしれない。来月の月末が楽しみだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスク、再利用可能な衛星打ち上げロケットを操縦するX-Wingの実験開始

イーロン・マスクは人類を宇宙に送り出し新たな進化を始めさせるために未来から送り込まれてきたタイムトラベラーかもしれない。

テスラ・モーターズのCEOにして民間宇宙企業の先頭ランナー、SpaceXのファウンダーは新たな"X-Wing"スタイルのロケットの飛行コントロール技術のテストを始めたことをTwitterで報告している。 この格子状の翼はロケットが衛星軌道上に人員や荷物を運んだ後、機体を地上基地に帰還させ、再利用することを可能にするという。

マスクのツイートによると、SpaceXが着陸する基地というのは海洋上に浮かべた自動操縦のドローン艀で、「嵐の際でも3m以内の誤差で正確に位置を保つ」という。

SpaceXの再利用ロケット計画の実験には失敗もあった。8月のテキサスでの打ち上げは爆発に終わった。死傷者はいっさい出なかったものの、マスクは「ロケットというものは難しい」と語った。その前に行われた海上への着水は成功している。Space X Falcon 9ブースター・ロケットは降下中にエンジンを再点火し、着陸脚を展開し、「ほぼ速度ゼロ」でタッチダウンすることができた。

今回発表された翼は大気圏内での運動を用意するためのもので、それぞれの翼は独立して動き、ブースターの姿勢、速度、方向をコントロールする。上昇中は機体内に格納されているので、余分な抵抗は生じない。着陸基地としてドローン艀を使うのは、万一ブースターの操縦に問題が生じても、地上に被害が及ばないないようにするためだという。

ともあれイーロン・マスクのやることは何でも桁外れだ。そうかと思うと、このX-Wingロケットのツイートの直前にはこんな「ヒヒの赤ちゃん」の写真をRTしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


イーロン・マスク、「SpaceXがインターネット接続用低価格小型衛星を開発」という報道を確認


テスラ・モーターズのCEO、イーロン・マスクのもう一つのスタートアップであるSpaceXは手頃な料金による宇宙旅行の実現を目指している。今日(米国時間11/11)、マスクはTwitterでSpaceXが「大量に打ち上げられてネットワークを組んで機能する進歩したマイクロ衛星」の開発に取り組んでいることを明らかにした。正式発表は2、3ヶ月先になるという。このマイクロ衛星は「超低価格のインターネット接続を提供するために用いられる」ということだ。

マスクのツイートは数日前にWall Street Journalが掲載した記事〔有料会員向け〕に対するコメントだ。WSJはこの記事で、SpaceXは世界のいたるところにインターネット接続をもたらすことができる小型低価格の衛星を開発中だとしていた。

記事は「マスクは元Google Inc幹部でWorldVu衛星を開発中のGreg Wylerと協力している」と報じている。またこの小型衛星は1基110kg程度で、SpaceXはこれを700個ほど打ち上げる計画だという。この重量は現在の最小の通信衛星のさらに半分程度だ。700基という数は、現在最大の通信衛星ネットワークであるIridiumの10倍にも上る。ただしマスクは「WSJの記事には重大な間違いがいくつもある」ともツイートしている。ただし、どこが間違いなのかは明かしていない。

〔日本版〕WorldVu衛星ネットワークは当初、Googleの関与が噂されていた。Greg Wylerは2007年に創立されたO3b衛星ネットワーク・システムの共同ファウンダーで、2013年には最初の4基の衛星の打ち上げに成功している。Googleが最大の出資者となり、Wylerらはこれを機にGoogleに入社した。しかしその年のうちにWylerらO3b出身者はGoogleを離れてWorldVuに移籍した。GoogleとWorldVuの関係は明らかではない。一方Googleは今年6月に画像衛星のスタートアップ、Skyboxを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


人工知能研究は現代の悪魔を召喚するのか?!

先週、TeslaのCEOで、生ける映画主人公(Tony Stark)のようでもあり、Space XのファウンダーであるElon MuskはMITのAeroAstro Centennial Symposiumにてインタビューを受けた。

インタビューは全体がとても面白い(上の動画で見ることができる)。ただ、聴衆からの質問に対する回答がもっとも注目を集めたのではなかろうか。

質問はAI(人工知能)についてのものだった。Muskは、AIの開発には慎重であるべきだと話し始めた。AIこそ「人類の脅威」とし、それだけでなく、悪魔のようなものであるとまで発言したのだ。

Muskの回答全文は下に載せておく(ビデオ中では1時間7分20秒のあたりから質問が始まっている)。

Musk:人工知能については、相当に注意を払う必要があると考えています。最も重大な人類の脅威は何かと問われれば、人工知能こそその名に値するものであると考えています。AIに携わる際には、いくら注意してもしすぎるということはないように思います。

AIについて知るにつれ、国家レベルないしは、全世界の国家間レベルにおける規制監督機関が必要なのではないかと考えるに至りました。愚かな振る舞いをさけるためにはぜひとも必要な方策だと思うのです。人工知能を進化させる試みというのは、ある種、悪魔を召喚することに近いと思うのです。五芒星を描き呪文を唱える人物は、聖水により悪魔も制御可能だと考えています。しかしその考えはいつも失敗に終わるのです。(聴衆の笑い)

Q:結局、火星に向かうHAL9000のような知能は出現しないということでしょうか。

Musk:HAL9000ならまだマシです(現代に登場する人工知能はそのレベルを凌駕することでしょう)。HAL9000が自らを恥じ入るような「知性」が登場してくる可能性があります。きっとHAL9000レベルなら可愛いものだった、などと振り返ることになるのではないでしょうか。

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(翻訳:Maeda, H


Nikola Tesla記念博物館の建設にTesla MotorsのElon Muskが100万ドルを寄付

さかのぼること5月、漫画家のThe Oatmeal(彼のママが付けた名前はMatthew Inman)はElon Muskに、Nikola Teslaの記念博物館を作るという自分の使命への協力を求めた。MuskもTeslaを自分の会社の名前にしている。彼の名誉にかけても、博物館への協力を惜しまないだろう。だよな。

そう! 翌朝の午前2時に、Elonはツイートで答えた: “喜んでお手伝いいたします”。

それから2か月後に(もちろんNikola Teslaの誕生日に)、Elonの協力内容が明らかになった。なんと、お金を100万ドルだ。

Inmanのブログ記事によると、Muskは先週彼に電話で、二つのことを約束した:

  1. その博物館のすぐ外にTeslaスーパーチャージャーを作り、博物館をTeslaの全国的充電ネットワークの一員とする。
  2. 博物館の開発/建設のために100万ドル。

その博物館への大金の寄付はほかにもあったが、個人で100万ドルはほぼ確実に最大だろう。博物館の話はそもそも、The OatmealがIndiegogoを利用して、Teslaの昔の研究室を買い取ってそれが解体されるのを防ごうとしたことに始まる。彼が集めた130万ドルは、その目的には十分だったが、でも博物館の建設には? ざっと計算して、さらにあと800万ドル必要だった。Elonの寄付だけではまだ足りないが、でもすばらしいスタートだ。

お誕生日おめでとう、Nikola Tesla!

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Tesla、特許をオープンソース化。誰が使っても訴えないと約束

Teslaは、自社の電気自動車技術の特許をオープンソース化したことを、CEO Elon Muskが公式ブログで明らかにした。

Muskは、同社にとって最大の目標の一つは、電気自動車業界全体を前進させることであり、それは他社の参入が困難であれば成し得ないことだと説明した。

Tesla Motorsは、環境に優しい輸送手段の出現を促進するために生まれた。もしわれわれが魅力ある電気自動車を作する道を拓いても、そこに知的財産の地雷を埋めて他社を拒めば、目標に反する行動を取ることになる。Teslaは、当社の技術を、誠意を持って利用する何人に対しても特許訴訟を起こさない。

このニュースの数日前、MuskはTeslaのSuperchargerプラグインステーションの技術を公開し、他の自動車メーカーと共に標準を作り、電気自動車オーナーが安心して旅に出られるようにしたい、という考えを表明している。

実に興味深い戦略だ。他社が性能や航続距離で追いつくのを手助けすることは、電気自動車市場に注目する投資家の、Teslaへの魅力を低くすることにつながる。

しかし、電気自動車業界全体が活気づけば、そもそも購入しようと考える人の基盤を広げることができる。業界をリードするデザインを持つTeslaは、その成長の大部分を吸い上げる好位置にいる。

この行動は、Twitterが2012年に宣言した、Innovator’s Patent Agreement[イノベーターの特許協約]を彷彿させる。Twitterは、社員が発明した数多くの特許を、発明者本人が要求しない限り、ライバルを訴えるために使わないことを約束した。特許は、他に大量の特許を持つ会社から訴えられないためだけに保有する。

ライバルを少しでも蹴落とそうと、誰もが互いに訴え合っているご時勢に、影響力のある会社が複数、争いを避ける姿は清々しい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Elon Muskがサンフランシスコとロサンゼルスを30分以下で結ぶ超高速チューブ列車、Hyperloop構想を8月12日に発表へ

イーロン・マスク(Elon Musk)はスタートアップの万能ルネッサンス人間だ。彼は1年ほど前からもう一つの野心的な新交通システムについてヒントを漏らしている。どうやらその構想を詳しく発表できる時期が来たらしい。今日(米国時間7/15)、Muskは「Hyperloop交通システムの暫定案を8月12日までに発表する」とツイートした

ではまず今までに分かっていることを振り返っておこう。Muskが最初にHyperloopプロジェクトについて語ったのはちょうど1年前にPandoDailyのイベントでSarah Lacyと対談したときだった。マスクはこれを第5の輸送モードと名付け、「決して事故を起こさず、天候に影響されず、普通の旅客機の2倍も速い」システムだと述べた。

8月12日にならなければHyperloopが実際にどんなシステムとして構想されているのか確かなことはわからないが、マスクはAllThingsDのD11カンファレンスで「コンコルドとレールガンとエアホッケーのミックスのようなもの」だと述べている。このわずかな情報を元に専門家はさまざまな推測をしているが、有力な説は(空気抵抗を減らすため)減圧されたチューブの中に電磁力で駆動されるカプセルを走らせるシステムだろうというものだ。そうであれば、実のところそれほど目新しいアイディアではない。半生記も前からSFではおなじみだ。またアメリカで似たようなシステムの開発に取り組んでいる会社がすくなくとも1社存在する。これらとマスクの構想がどう違うのか興味あるところだ。

ムスクはこのプロジェクトを「会社の存続にとって決定的に重要な場合を除いてオープンソースで公開する」としている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+