「Facebook分割は何の助けにもならない」とザッカーバーグ氏が反論

裏切りにあったFacebookのCEOは、共同創業者のChris Hughes(クリス・ヒューズ)氏と、ニューヨークタイムズ紙オピニオン欄に掲載されたヒューズ氏のFacebook、Instagram、そしてWhatsAppの分割を当局に求める厳しい寄稿に反論した。「彼が書いたものを最初読んだときに感じたのは、彼が提案していることは何の助けにもならないということだった。人々が重視しているのが民主主義や選挙であるなら、人々は我々のような会社に政治干渉を防ぐ真に高度なツールの開発のために年間何十億ドルも投資してほしいと考えているはずだ」と、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と会見するために滞在していたパリでFrance Infoに語った。

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ザッカーバーグ氏の主張は、プライバシーや安全性、偽情報、言論といった面でFacebookが抱える問題は社の分割では直接解決できず、実際にはソーシャルネットワークを守る努力の妨げになる、という考えに要約される。ロボットが拡散させている有権者を抑圧するコンテンツを特定する人工知能のような安全のためのテクノロジーに投資するとき、Facebookが展開するアプリのスケールメリットは理論上は小さいだろう。

ヒューズ氏は「マークの権力はこれまでになく大きく、非米国的」で、Facebookの立て続けの買収と模倣が競争を妨げるほど同社を独占的な存在にした、と主張している。彼の考えは、 初代CEOのSean Parker(ショーン・パーカー )氏や、ソーシャルネットワークがいかに社会に影響を及ぼすか注意喚起した成長担当役員だったChamath Palihapitiya氏など、同社の初期の幹部の主張と通ずるところがある。

しかしザッカーバーグ氏は、Facebookの規模は社会にとってメリットがあると主張する。「我々が今年安全性にあてる予算は、10年前に上場したときの総売上高よりも大きい。それは、我々が出費を賄えるだけのビジネスの構築に成功したからだ。我々はどのソーシャルメディア企業よりも安全性に投資している」とジャーナリストのLaurent Delahousse氏に対し語った。

このFacebookのCEOのコメントはさほどメディアに取り上げられなかった。それは部分的には、このTVインタビューが翻訳なしのフランス語で展開されたからだ。しかしここにこうやって初めて文章化してみると、ザッカーバーグ氏がヒューズ氏の主張をいかに強く払いのけているか言葉に表れている。「(ヒューズは)我々が直面している社会問題のいくつかを解決するためにFacebookを分割するという、かなり特異なアイデアについて語っていた」とザッカーバーグ氏は解決策と反トラスト規制を分離させようとする前に語った。「私は、真の問題がある認識している。政治干渉を防ぐために、有害なコンテンツをめぐって、あるいは表現と安全性の間の正しいバランスを見つけることについて真の問題がある」。

分割は「何の助けにもならない」という主張は、Facebookのコミュニケーション担当副社長で前英国副首相のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏の主張よりもよりはっきりとヒューズ氏の主張を拒絶するものだ。クレッグ氏が今日のニューヨークタイムズ紙のオピニオン欄に投稿した寄稿で、彼は「問題は規模ではなく、コンシューマーの権利と関心であり、政府や商業・通信を監督する議員に対する我々の責任である。大きいことは悪いものではない。成功は罰せられるべきものではない」。

消費者を守るために、明らかに何かしら行われる必要がある。おそらく、それがFacebookの分割だ。少なくとも、別のInstagramのような企業をFacebookがかっさらうことができないよう、同社がそれなりの規模のソーシャルネットワークをこれ以上買収することを禁止するのが得策であり、実行可能な対策だろう。

しかしヒューズ氏の寄稿の中でもっとも鋭いのは、ユーザーがFacebookにとらわれていることの特定の仕方だ。「競争そのものは必ずしもプライバシーの保護を駆り立てはしない。責任を確保するには規制が必要だ。Facebookはユーザーが他のプラットフォームに乗り移って抗議できないよう、マーケットをがんじがらめにした」と彼は書いている。Cambridge Analytica問題のあと、「人々はFacebookが展開するプラットフォームから一斉に去りはしなかった。人々はどこに移れたというだろうか」。

それゆえに、競争や共同運用性に対するザッカーバーグ氏自らのサポートを求める批判が生まれたことを考えた時、規制の中心となるのはユーザーが簡単にFacebookから他のソーシャルネットワークに乗り移れるようにすることだろう。私がフォローアップ記事で書いているように、ユーザーが友達とのつながりやソーシャルグラフを他のプラットフォームに簡単に持ち込めるよう、ユーザーを適切に扱うようFacebookに強制するものはほとんどない。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebook共同創業者Chris Hughes氏が同社分割を提案

Facebook分割を求める最新の声は、最高の権威を持つリーダーのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏にとって最も不愉快かもしれない。

「マークの権力は前例がないほど大きく、非米国的だ」とChris Hughes(クリス・ヒューズ)氏はニューヨークタイムズの論争を巻き起こすオピニオン欄に書いている。「Facebookを分割するときだ」。

寄稿は長いが、マーケットに打撃を与えるほどのFacebookの独占に対する主張やヒューズ氏のザッカーバーグ氏との付き合いについてのわずかな逸話などがよくつながっていて、読みふける価値はある。

インターネットの支配を続けることが許されているFacebook/ザッカーバーグ氏に対するヒューズ氏の主張が展開されているこの長い記事には、テック企業への批判も盛り込まれている。この批判はザッカーバーグ氏の、Facebookそして何十億人という空前の人々に対する絶対的な影響力とつながっている。こうした人々にザッカーバーグ氏はアクセスでき、コンテンツ区分アルゴリズムを通じて行動を再プログラムすることができる。消費者の注意や選択、プライバシーの握りつぶしは、情け容赦ない成長目標や驚くほど過酷な広告ビジネスモデルのためだ。Facebookの絶対的君主であるザッカーバーグ氏が指示を出している言論のコントロールの弾圧について、ヒューズ氏は1人の人間が持つ影響力としてあまりにも大きいことを懸念している。

「マークは上司を持ったことがない。しかし、彼が持つ権力はチェックされる必要がある」とヒューズ氏は書いている。「米国政府は2つのことをする必要がある。Facebookの独占を分割することと、米国民に対してより責任を持つようにFacebookを規制することだ」。

彼が提案する解決策は単にFacebook、Instagram、WhatsAppを切り離してオンライン上でのFacebookの独占を分割するというものではない。彼は米国の議員にインターネット企業に節度を守らせるために監視機関の存在が不可欠であることを提案し、手はじめに最近厳しくなった欧州のプライバシー規制GDPRを挙げている。

「Facebookを分割するだけでは十分ではない。議会が後ろ盾となったテック企業を規制するための新たな機関が必要だ。その機関の最初の任務はプライバシーの保護であるべきだ」と書いている。「米国における画期的なプライバシー法案は、米国民が自分たちのデジタル情報についてどのような権限を持つのか正確に明示すべきで、ユーザーへの明らかな開示を伴い、また効果的な監視を訓練するため機関に十分な柔軟性を持たせるべきだ。監視機関にはまた、複数のプラットフォームにまたがった基本的な相互運用性を保証する権限も持たせるべきだ」。

ハーバード大学時代にルームメートだったザッカーバーグ氏と同じようにかつてほやほやのFacebook共同創業者だったヒューズ氏はのちに巨額の富になる株を持って2007年にFacebookを退社した。彼は後日書いているが、3年間の労働の対価として、Facebookの2012年のIPOで5億ドルを手にした。

しかしそれ以上に、スキャンダルに揺れ動く巨大企業を早期に離れていたことでヒューズ氏が感じたに違いない安堵には大きな価値がある。初期の過失はその後、プライバシー、セキュリティ、信用面で失敗のオンパレードとなり、それらは次第に無情にも世界規模のスキャンダルに発展した。ロシアが後ろにいる政治偽情報にまで広がった2016年の発覚は、表に出ていなかったFacebook広告の弱点に光を当てることになった。

ほどなくしてCambridge Analyticaのデータ誤使用スキャンダルにより、Facebookのデベロッパープラットフォーム上の恥ずべき動きにも光が当たった(Facebookは自社のスタッフにそうした政治広告をターゲットにするのを手伝わせ、そして巧みに操る政治プロパガンダサービスをCambridge Analyticaに売るためにユーザーデータを黙って吸い取っていた企業の共同創業者を雇った。

いまや、Facebookのプライバシー、セキュリティ、信用の失敗はアクシデントではなかったことが明らかだ。むしろ、それらはザッカーバーグ氏のリーダーシップ、そして容赦のない底なしの成長に向けた終わることのない全力疾走の彼の戦略に鎖でつながっている。

一方、ヒューズ氏はドロップアウトした。かなりの金持ちとしてFacebookを離れた。設立者という役割を考えた時、完全に責任はないとは言えないが、確かにザッカーバーグ氏レベルの消えない罪は負っていない。

いかにFacebookの独占が大規模にそして恐ろしく世界中の人を襲っているかについての彼の明瞭に表現された懸念が、ニューヨークタイムズのオピニオン欄で紹介される前にどこを流れてきたのか、我々は疑念を抱いてもいい。

おそらく彼は初期のザッカーバーグ氏のアドバイザーRoger McNamee(ロジャー・マクナミー)氏の前に批判的なオピニオンを書かなかったことを後悔しているのではないだろうか。マクナミー氏は批判的な本Zuckedを出版し、その中でザッカーバーグ氏にFacebookをダメージの少ないコースに導くよう説得を試みた経験をつづっている。

ヒューズ氏がカミングアウトしてテック企業批判に加わるまでに長い時間を要したことは確かに興味深い。

「Zucked」のニューヨークタイムズ上でのレビューヘッドラインは「Facebook反対マニフェスト」だった。ヒューズ氏のオピニオン投稿にも使える記述だ。2月にあったTechCrunchとのインタビューの中で、ザッカーバーグ氏やFacebookとの限られたつながりの解消を模索したマクナミー氏は声高に語った。「私は正しくないメッセンジャーかもしれない。しかし現在この役割を引き受ける人が他にいない」。

Facebookはもちろん、共同創業者であるヒューズ氏の批判を見下げることはできないだろう。これは、ザッカーバーグ氏にとって手痛い、しかもさっとかわすのが難しいパンチだ(我々はFacebookにコメントはあるか尋ねていて、返事があり次第アップデートする)。

と同時に、Facebookとザッカーバーグ氏を嫌うことはこのところ流行のようになっている。同社の消費者とマーケットを曲げようとする力は、友達や影響力のある人の獲得で得た熱狂を徹底的な嫌悪に変え、同社の幸運を台無しにした。

実際、Facebookの分割を求めているのは、同社の元メンターや元同僚、そして当然、政治家や議員だ。

そうした視点で見ると、ヒューズ氏が意見を表明するのにかくも長い時間がかかったのは恥ずべきことだ。これは彼にとって日和見主義というレッテルが貼られるリスクとなる。または、あえて言うと、テック企業批判主義だ(一部の人はFacebookのでしゃばった影響力に対して何年も警鐘を鳴らしてきた。クリス、クラブへようこそ!)。

しかし、ヒューズ氏はザッカーバーグ氏との長い友情を守ろうとしていたのかもしれない。(寄稿はヒューズ氏が2017年夏にザッカーバーグ氏と会った時の回顧で始まっていて、これは今後個人的にザッカーバーグ氏と会うことはないと暗に知らせていると読める)。

ザッカーバーグ氏に反旗を翻す時を待つ必要があると感じていたのはヒューズ氏だけではない。

昨年Facebookを去ったWhatsAppの創業者たちは、プロダクトの哲学が「fuck ads」に要約されたにもかかわらず、何年も沈黙を続けた。そして最終的に、ザッカーバーグ氏の後出し的なWhatsAppへの広告に満ちたプライバシー侵害に愛想をつかした(微妙な方法、またはさほど微妙ではない方法で)。

WhatsAppの創業者たちの場合は、十分な株式が付与されるのをほとんど待っていただけだったようだ(Brian Acton氏は大量の株式を受け取ることなく辞めた)。しかしヒューズ氏は何年も金の上に座していた。

それでも少なくとも最終的にヒューズ氏の批判が表に出てきた。批判者リストにかなりレアな人物が加わった。ザッカーバーグ氏に近い存在だったFacebookの共同創業者が最終的に「友達ではない」のボタンを押すに至ったのだ。

アップデート:グローバル問題・コミュニケーション担当の副社長Nick Clegg氏の声明として、Facebookは以下のようにコメントしている。

Facebookは責任を伴う成功を享受している。しかし成功している米国企業の分割を求めることでは責任を強制できない。テック企業の責任は、痛みを伴うインターネット新ルールの導入によってのみ成し得る。これこそがマーク・ザッカーバーグが求めているものだ。実際、彼は今後に向けて今週、政府のリーダーと会う予定だ。

イメージクレジット: SAUL LOEB/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookがビデオのガイドラインを改定、オリジナリティーや愛着度を重視

米国時間5月6日、Facebookは投稿されたビデオのランク付け方法に一連の変更を加えたことを発表した。ランクはビデオがどれだけ広く配信されるかを決定する。改定されたガイドラインによると、Facebookが高くランク付けするようになるのはオリジナル作品、ユーザーが長時間視聴したビデオ、ユーザーが繰り返し視聴したビデオなどだ。

狙いは、質の高いビデオを増やして「オリジナリティーのないビデオや使い回しされて付加価値のないビデオ」を減らすことにある。これは他人のコンテンツを(時には適切なクレジットなしに)大量に転載して小遣い稼ぎしているメンバーに対する取り締まりでもある。

Facebookは、シェア詐欺に関与しているFacebookページのビデオもランクを下げると言っている。他のページオーナーに報酬を払って中身のないコンテンツを掲載して宣伝させる手法だ。

さらにFacebookは、熱心で忠実なファンのいるビデオを高く評価するようになる。

従来Facebookは、ビデオクリエイターに対して、視聴者を1分間以上引き止めるよう推奨してきた。今後は、視聴者が3分以上見るビデオを積極的に推進していく。そして、何週間にもわたって視聴者が戻ってくるビデオも高く評価される。

今回の変更の狙いは、人々にとって価値の高いビデオを推進するとともに、優れたビデオクリエイターが、ソーシャルネットワーク上で広く知れ渡ることだとFacebookは言っている。

この変更は、FacebookのビデオサービスFacebook Watchが、AppleのストリーミングサービスApple TV+や、Roku Channel、AmazonのIMDb、そしてもちろんYouTubeといった広告支援コンテンツなどとのユーザーの時間と関心の競争が激化してきたタイミングで行われた。そしてまもなく、Disney期待のストリーミングサービスも視聴者の時間を奪いにやってくる。

Facebook Watchは、スピルバーグやウィザースプーン、オプラーといった大物と契約を結んだApple TV+らの新規参入組と比べてコンテンツの質が低いことを指摘されてきた。今後はMTVの「The Real World」や「Buffy」の再放送などの「プレミアム」コンテンツの提供に集中していく。

最近YouTubeがオリジナルコンテンツの無料・広告支援化を打ち出す中、Facebookは自身のビデオサイトを一時的な注目ではなく視聴者を定着させるものにしていく必要がある。そのためには一定の品質を超えたビデオを広めていくしか方法はない。新しいガイドラインはそのためにある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookはピボットしようとしている

「未来はプライベート」とマーク・ザッカーバーグ氏がFacebookのロードマップの説明で語った。それは「今は、控えめに言っても、プライバシーに関して最高の評判を得ている状態ではない」と認めた後の発言だった。しかし、彼がそれを「今」欲しがっている理由は明白だ。Facebookの終わりなきプライバシー崩壊は同社の評判に破滅的影響を与えている。

収益ではないので念の為。しかし収益はIT業界では遅れてやって来る指標としてよく知られている。Facebookのように、事実上公益事業の役割を果たすようになった会社は、いたるところで利用されることによって利益が最大化する。人々がそれを好きだからではなく、ほかに良い選択肢がないからだ(Craigslist、PayPalも参照されたい。MySpaceという無名の小さな会社も聞いたことがあるかもしれない)。

しかし「未来はプライベート」とは、Facebookがグループや個人がエンドツーエンドで暗号化されたメッセージをやり取りするプラットフォームになり、メッセージの内容を知ることはできないのでそれに関して批判されることがなくなる、というビジョンであり、これは途方もないビジネスモデルの転換に思える。「上院議員、われわれは広告を売っています」とはこれもザッカーバーグ氏の有名な一節だ。エンドツーエンド暗号化や、無限にスクロールするニュースフィードより個別のコミュニケーションを重視する方向性は、Facebookから貴重な広告スペースと貴重な広告ターゲット情報の両方を奪うのではないのだろうか?

おそらくそうだ。しかし、Facebookがニュースフィードでの露出に関して広告を売って儲けるより、はるか先のことをやりがっていることは、すでに火を見るより明らかだ。そうやってここまでやってきたが、それには限界があり、最近では爆発する怒りとフェイクニュースによる炎上も呼んでいる。だから、今ボールのある位置を見るのではなく、どこへ向かっているのかを見なくてはならない。Facebook Marketplaceは? Facebookの暗号通貨計画は? どうやってWhatsAppを買収し、Facebook Messengerを独立したアプリにしたのか?

Facebookが本当に次に求めているのは、Messengerを全世界のWeChatにすることなのは明らに思える。ビジネスコミュニケーションにもパーソナルにも使われる難攻不落な囲われた庭園。メッセージングだけでなくEコマースも支配し、クレジットカードを超え、そして置き換えるプラットフォームだ。

それは恐ろしく儲かる事業になる。さらに、公共あるいは当局による監視と暴動も著しく減るだろう。将来必然的に起こるであろうMessenger上の暴動や残虐行為が起きたとき、Facebookは実に正しくこう言うだろう。それらのメッセージを監視、検閲することは数学的に不可能であり、それはユーザーのプライバシーを守るために数学的に不可能にしているからである。

偽善的に聞こえるだろうか? なんと偏狭で短絡的な考えだろうか。皮肉なことに、Facebookの繁栄する未来を、「Facebook」抜きに考えることはことは十分に可能だ。そこでは、Instagramがソーシャルメディアの王であり、Messenger/WhatsAppがメッセージングを支配し、5000億ドルの国際送金市場を占有し、そこで日々行われる数百万件の取引から手数料を得る。

かつてFacebookとしてわれわれが知っていたもの、かつて有名だったアプリやウェブサイトは廃墟のように衰え、先細りのますます中年化する人々のイベント企画や単発的な生活アップデートに使われ、LiveJournalやMySpaceを始めとする無数のゾンビソーシャルメディアのようになっていく。しかしその会社は朽ち果てる前に、新たな、より強力で、より進化した巨大企業を誕生させる。その庭園は「塀に囲われている」だけではなく、(アメリカンコミックの架空の国)ワカンダのようなドームに包まれ、規制に対する耐性が強く、不快な創発特性の発生や上院の証言台に呼ばれる可能性も低い。このアイデアを好むと好まざるとにかかわらず、そうなることを認めざるを得ない。もし成功すれば、究極のピボットだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが新たに極右人物の利用を禁止

Facebookは、同社のルールに違反したとして、物議を醸しているアカウントのプラットフォーム利用を禁止すると発表した。Facebookは今回の場合、Milo Yiannopoulos氏、Paul Joseph Watson氏、Laura Loomer氏、Paul Nehlen氏、そしてLouis Farrakhan氏の利用を禁止するために「危険な個人と団体」に対するポリシーを引用した。Facebookはまた、Alex Jones氏と彼の人気の陰謀説ウェブサイトInfowarsに対する姿勢でもイチかバチかの賭けに出た。

「イデオロギーを問わず、暴力や増悪を推進したり関与したりするような個人や団体の利用を我々は常に禁止してきた」とFacebookの広報はTechCrunchに対し電子メールで述べた。「違反している可能性のある人の評価のプロセスは広範にわたり、今日、そうしたアカウントを削除する決定に至った」。

名前の上がった人物のほとんどは極右活動家で、Farrakhan氏はNation of Islamを率いていることで知られ、反ユダヤ主義で批判を浴びている。Nehlen氏は2018年にPaul Ryan氏への反対運動を展開した極端論者で、白人至上主義を公然と支持している。

こうしたアカウントを禁止するだけでなく、Facebookは利用禁止にした人物を支持する他のユーザーのコンテンツも、そうしたユーザーがヘイトグループにつながっていたり、暴力を扇動することで知られていたとしたら禁止する。こうした条件に適合しないアカウントに対しては包括的アプローチはとらない。我々は、どういった人物が対象になるのか、Facebookに説明を求めている。

アップデート:今日利用禁止となった人物につながる人は誰もこの対象にはならず、プラットフォームの利用は許される。

YiannopoulosのInstagramアカウントを含め、この記事執筆時点で禁止されたアカウントのいくつかは今日まだオンライン上にあり、アクセスできる状態にある。Facebookの新たな禁止リストに挙がった名前のいくつかは以前、他の大手プラットフォームで禁止されていた。禁止措置を受け、Paul Watson氏はそのことについてTwitterを使って批判した。「Facebookが私を禁止措置にする1時間前にメディアに情報が流れた。彼らは共謀している」とWatson氏はツイートした。

Facebookは2018年にJones氏の利用禁止を発表し今年2にもJones氏につながるアカウントを一掃した。Facebookの禁止措置にもかかわらず、ルールに反しているのはコンテンツの30%以下だという事実に基づき、InstagramではJones氏の利用は許されてきた。

イメージクレジット: David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Instagramは「いいね!」数の非表示などの新機能をカナダで公式テストへ

もしInstagramの投稿に「いいね!」の数が表示されなかったら、どう感じるだろう? 妬ましい気持ち、恥ずかしさ、対抗意識は減るだろうか。Instagramは、そんなふうに考えている。カナダで始める実験では、投稿を見る側の人からは、「いいね!」の数がわからないようにしている。

投稿した人は、相変わらず「いいね!」ウィンドウを開けば、投稿にハートマークを付けたすべての人の名前を確認できる。Instagramは最近、プロフィールのデザインを変更して、フォロワーの数をそれほど目立たないようにもしている。これは、アプリの責任者Adam Mosseri氏からの情報だ。

たとえ表示されなくても「いいね!」の数の合計は、Instagramのアルゴリズムによるフィード内の投稿のランク付けには影響するはずだ。それでも、この非表示設定が全ユーザーに展開されれば、Instagramはもはや人気コンテストではなく、自身を表現するメディアとしての性格が強いものになる。

ユーザーも、「いいね!」の数が少ないからという理由で写真やビデオの投稿を削除してしまうことが少なくなるかもしれない。あるいは、いわゆる「フィンスタ」アカウントを使って、完璧ではないがフェイクでもないものを投稿しようという気持ちも薄れるかもしれない。友達やインフルエンサーが、自分よりも多くの「いいね!」をもらっているかどうかも分からなくなるので、妬みの気持ちに悩まされることも少なくなるかもしれない。そして、ちょっとゴタゴタしているとしても、本当の自分を表現しようと思うようになるかもしれない。なぜなら、もう「いいね!」の数で競い合うことはないのだから。

「今週(カナダ時間5月第1週)後半から、フィード、パーマリンクのページ、プロフィールで、写真やビデオに「いいね!」の数を表示しないようにするテストをカナダで始めます」と、Instagramの広報担当者はTechCrunchに明かした。

「このテストの目的は、『いいね!』の数ではなく、ユーザーが共有している写真やビデオそのものに、フォロワーが注目するようになってくれることです」。このテストに参加するのは、カナダのユーザーのごく一部だが、フィードの最上部に「いいね!の表示方法の変更」といった注意が表示される。今回の発表は、FacebookF8カンファレンスで、多くの新製品の紹介と並んで明らかにされた。

1つ大きな懸念がある。インフルエンサーが報酬付きのプロモーションに抜擢されたり、スポンサー付きのコンテンツを投稿する場合、「いいね!」の数や「いいね!」を付けた人のリストのスクリーンショットで評価される場合が多いことだ。「それが多くのクリエイターにとって重要であることは理解しています。このテストはまだ予備的な段階にありますが、彼らがブランドパートナーに自分の価値を伝える方法については別途検討しています」と、Instagramの広報担当者はTechCrunchに語った。

TechCrunchは2週間前、Jane Manchun Wong氏の発見によって、Instagramが「いいね!」数を公開しないようなプロトタイプを作成していることを初めて記事にした。Instagramは、その機能が開発されたことは認めたが、まだ公にはテストしていないとしていた。そのニュースは、またたくまに、多くのユーザーからのコメントの嵐を巻き起こした。多くの人は、最初はショックを受けたものの、Instagramの利用が健康的なものになり、ちっぽけな数字に中毒的に囚われることも少なくなるだろうと思うようになったようだ。

ところで、なぜカナダでテストするのだろうか?「カナダ人は非常に社交的でテクノロジーに精通しており、毎月2400万人を超える人たちが、私たちのアプリのファミリーを通してつながっています。私たちは、Instagramの盛況なコミュニティの中で、デジタル慣れしたユーザーに対して、この機能をテストしたかったのです」と、Instagramの広報担当者は説明している。

いじめとの戦いをリードする

F8のステージでMosseri氏は、Instagramがいじめを防ぐだけでなく、いじめに対するインターネットの戦いを主導したいのだという決意を明らかにした。その考えに沿って、Instagramのアプリの中毒性を軽減し、憎悪を助長することのないものにするため、以下のような新機能のテストも発表した。

  • ユーザーが何か攻撃的なコメントをしようとしている場合、新たな「ナッジ」機能が警告してくれる。この機能は、検閲には当たらないが、実際にいじめが起こる前に対処することができる。
  • 「アウェイモード」は、ユーザーがInstagramからちょっと離れて一息つけるようにする。たとえば転校など、人生の重要な時期に設定することを想定したもの。アカウントを削除することなく、継続的な通知から開放され、人からどう思われるかを気にする必要がなくなる。
  • 「交流の管理」では、ユーザーが特定の相手をやりとりする際の限度を設定できる。相手を完全にブロックする必要はない。たとえば、投稿にコメントして欲しくはないが、「いいね!」は付けてもいい、といった相手に使える。あるいは、投稿した写真が見られることは何とも思わないが、ダイレクトメッセージは受け取りたくないという相手にも有効だ。

こうした機能に、デジタル社会を健全なものにする効果があると認められれば、Instagramは全ユーザーが使えるものにするつもりだ。

創立者のKevin Systrom氏とMike Krieger氏が去った後でも、このようにInstagramが健全な利用を意識した新機能を追加しようとしていることは心強く感じられる。特にSystrom氏は、ソーシャルメディア上の妬みと偽りを減らすことの必要性を強く提唱してしていた。そのためもあってInstagramは、ユーザーが生活の中の飾らない自分を表現できる「ストーリー」を開発したのだった。昨年9月に彼が会社を去る前に、Instagramは「アクティビティダッシュボード」を導入して、1日あたりのアプリの平均利用時間を表示可能にした。さらに「コンテンツは以上です」の表示を加えて、過去2日以内の新規投稿がすべて既読になったことを明示し、それ以上スクロールしなくても済むようにした。

Krasnova氏らによる2013年の研究によれば、その実験に参加した人が、妬みが元になった状況に遭遇したうちの20%がFacebook上でのことだった。研究結果は、Facebookが有害な嫉妬を引き起こしていると結論づけている。

「ただ単に他人をフォローしているだけでも、長期的にはユーザーの人生の満足度を低下させる傾向にある。それが社会的な競争意識の引き金となり、不愉快な感情を刺激するからだ」としている。

Instagramの場合、イメージ作りや見映えを気にした外観に重点を置いているのだから、嫉妬の度合いはさらに強くなるかもしれない。「いいね!」の数を隠すことは、自分自身を判断し過ぎないようにすることへの、確かな一歩になるのだろう。

以下のバナーをクリックすると、Facebookのデベロッパーカンファレンスに関するTechCrunchの記事の一覧をチェックできる。

訂正:Instagramは当初、投稿した本人からも「いいね!」の数が見えないようにしたとしていた。しかしその後、「いいね!」数が見えなくなるのは投稿を見る側の人からだけだと訂正したので、それに合わせて記事も修正した。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

【写真】Facebook本社、オフィスツアー

Facebookの本社を訪れ、社内外の様子を写真に収めてきた。

こちらはFacebookのオフィシャル素材だが、上からドローンで撮影するとこんな感じ。

屋上は公園のようになっていて、芝生が綺麗に整えられ、木や花も良く手入れされていた。

屋上から見た景気。緑が多い!

屋上にはロビーやミーティングルームの案内が。「Tangerine Dream」や「Pink Mammoth」はミーティングルームの名前。担当者によると、従業員による提案で決まった名前らしい。音楽好きが多いのだろうか。

「Tangerine Dream」発見!

敷地の外は、ザ・殺風景。

建物の中も外もアーティーな感じ。

社内にあった掲示板。

自販機。

中身はこんな感じ。

ランドリーサービスや車のオイル交換、洗車のサービスも完備。

自転車もいっぱい。

「君の脳みそのために君を雇っているんだ。頼むからヘルメットを着用してくれ!」

広すぎる。街か!

噂の「ハッカースクエア」。中庭にあるミーティングスペースだ。「The Hacker Company」の看板は、Facebookの元従業員がフロリダを旅行中、道路脇で見つけたもの。買い取られ、フロリダからメンローパークまで運ばれた。

ハッカースクエアにある、謎の黄色いオブジェ。担当者によると、これは以前のパロアルトのオフィスの地下から発見されたもの。ハッカソンの際などにこの上に立って開始のベルが鳴らされたり。今では「Facebookのアイコンの1つ」だという。

こんなにデカい「いいね!」は初めてみた。誰かが頑張ってレゴで作ったのだろう。

ジョン・デストロイヤーって何者だ。

Oculusチームの建物には分解された「Oculus Rift」が展示されていた。

ゴールデン・ゲート・ブリッジ風、らしい。赤いってだけじゃないか。

アイスクリーム屋さん。

ピザ屋さん。

ハンバーガー屋さん。

中庭の食事エリア。

カフェテリアも広い。

ヘルシーなビーガンフードが多かった。

ゲームセンター。

お土産ショップ。

Facebook本社はゲーム「MOTHER2 ギーグの逆襲」に登場する「ハッピーハッピー村」のように青一色なのだろうと想像していたが、そうでもなかった。オフィスというよりは大学のキャンパスのような雰囲気のヘッドクオーターだった。

AIモデルの最適化を単純にするAxとBoTorchをFacebookがオープンソース化

Facebookは5月1日に、同社のデベロッパーカンファレンスF8で、新しいオープンソースのAIツールとしてAxとBoTorchの2つをローンチした。

BoTorchは、その名前からもわかるようにFacebookの機械学習フレームワークPyTorchをベースとするベイズ最適化(Bayesian Optimization)のためのライブラリで、かなり特殊なツールだ。一方のAxはもっと興味深く、AIの実験を管理、デプロイ、そして自動化するための汎用プラットホームとなっている。

どちらのツールもFacebookにおける同じ全体的なワークの一部であり、それはFacebookが「適応的実験」(Adaptive Experimentation)と呼んでいるものにフォーカスしている。実際にAxはBoTorchとつながり、そして内部的にFacebookはこの2つのツールを、Instagramのバックエンドのインフラストラクチャの最適化やユーザーアンケートの応答率の向上など、さまざまなタスクに利用している。

基本的に、BoTorchないし一般的にベイズ最適化なるものは、モデルの最適化を容易かつ迅速にしてデータサイエンティストがなるべく早くプロダクション級のモデルを得られるようにする処理だ。通常は大量の試行錯誤を要し、サイエンスというよりアートだと言われることも多い。Facebook AIでPyTorchを担当しているプロダクトマネージャーのJoe Spisak氏は「アートを取り去り自動化する。目標は最新の研究成果をフルに活用することだ」と言う(ベイズ最適化の日本語参考ページ)。

ベイズ最適化ツールはBoTorchが初めてではないが、Facebookによると既存のライブラリは拡張もカスタマイズも困難で、しかもFacebookのニーズに合わない。

上図のようにAxがまず仕事を引き受け、BoTorchのモデルの最適構成を見つける能力を管理していく。そして、デベロッパーがプロダクション級のサービスを得られるようにする。例えばFacebookでは、AxがA/Bテストやシミュレーションツールと連携する。ツールの目的はあくまでもシステムを自動的に最適化することだから、ユーザーが関与する必要性はほとんどない。Axは実験を行うとき、最良の最適化戦略を自動的に拾い上げる。それは、ベイズ最適化かもしれないし、古典的なバンディット最適化かもしれない、あるいはもっとほかのアルゴリズムかもしれない。重要なのはAxがフレームワークと特定しないことだ。BoTorchを使っていても、研究者はPyTorchやNumPyを介したサービスを使って自分独自のコードをプラグインできる。

Facebookでツールをオープンソースにすることは、現時点ではかなりスタンダードな行為になっている。PyTochはその好例だ。Spisak氏によれば、BoTorchもこの分野の優れた研究者たちの協力が得たいからやはりオープンソースにする。そもそも、最初のリリースでもコーネル大学の協力を得ている。「コラボレーションもオープンなコミュニティ作りも、クローズドソースではできない。オープンソースだからこそできる」と彼は言う。

関連記事: F8におけるPyTorchのアップデート(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookがソーシャルグラフを一新し「新しい友だち」重視へ

FacebookはF8デベロッパー・カンファレンスで「新しい友だちを見つけよう」(Meet New Friends)というポリシーを発表した。この機能にオプトインすると、同様にオプトインしているユーザーとの交流に重点が置かれる。つまり同窓生、同僚、居住地、趣味などユーザーが参加ないし興味を抱いているグループやコミュニティーのメンバーと簡単に友だちになることができる。「新しい友だちを見つけよう」は現在ベータテスト中だが、近く広い範囲で利用可能になるはずだ。

Facebookのソーシャルグラフは時間が経つにつれて新鮮さを失う。もう付き合っていない知人、何年も会っていない郷里の同級生や親類など見る必要を感じない投稿でニュースフィードが占領されるようになりがちだ。 そこでFacebookは「現実の友だちをオンラインで結びつける」というこれまでの本質から大胆な転換を図ろうとしている。これまでのFacebookのアイデンティティーは消えかけたソーシャルな関係に新たな生気を吹き込むことによってユーザーのエンゲージメントを確保しようとするものだった。

「新しい友だちを見つけよう」 はニュースフィードでフォローするのに適した新しい相手を発見するのに役立つ。ユーザーはやがて登録したコミュニティーのメンバーとの交流を主とするようになる。テスト中のデートサービスと同様「あたらしい友だちを見つけよう」が十分魅力あるレイヤーにになればFacebookは収益化の方法を見つけることができるかもしれない。

Facebookのメイン・アプリのプロダクト責任者のFidji Simo氏は私の取材に答えて「新しい知り合いとの交流行動は既存の友だちとの交流と全く異なる様相を見せるという発見」に基づくもの」だと述べた。彼女によれば「この傾向はグループ機能ですでに観察されていましたが『新しい友だち』レイヤーはこれをさらに発展させ利用を容易にしたものです」ということだ。

ユーザーは「新しい友だち」から友だちを探したいコミュニティーを選ぶことができる。現在選択できるコミュニティーは、「同窓生」「同僚」「地域」だが、将来はこれに「グループ」が加えられる。仕組みはデートサービスのFacebook Datingにやや似ているかもしれない。既報のようDatingはSecret Crush機能と14カ国を加えてさらに一般公開に近づいている。

従来の「友だちリクエスト」とは異なり、興味ある相手も「新しい友だちを見つけよう」に参加している場合、専用ボックスにテキスト・メッセージを送ることができる。相手がそのメッセージに返信してくるまではさらにメッセージを送ることはできない。これらはスパムに利用されることを防止するためだ。また送信できるのがテキストのみというのは不適切な画像が送りつけられるのを防ぐ。相手が返信した後、会話は通常のFacebookメッセンジャーに移動する。【略】

「知り合いかも?」(People You May Know)は一見したところうさん臭い機能だが、これまでFacebookの成長を支えてきた戦略を象徴している。 簡単にいえば、現実世界のソーシャルグラフをそのままオンラインに置き換えようとするものだ。しかしFacebookが成熟し、人々の生活の重要な柱となった現在、「新しい友だち」機能によりオンライン独自の交流を促進する必要が生じている。これはソーシャルメディアの巨人のあり方を大きく変える可能性がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Instagramはクリエイターやインフルエンサーによる直売を可能に

Instagram(インスタグラム)では今、マネタイズ(収益化)が最大のテーマとなっている。米国時間4月30日、FacebookはF8デベロッパーカンファレンスで、その最新の成果を発表した。Instagramでは、クリエイターが商品にタグを付けることで、投稿やストーリーを見た人に直接販売することができるようになるという。

今のところこの機能は、Instagramが米国内で試行している新たなチェックアウトのベータプログラムに参加しているビジネスアカウントによってタグ付けされた商品でのみ有効だ。

このような機能は、このところInstagramが商取引に注力しようとしている大きな流れの一環だ。これまでにも見られた、消費者至上主義を擁護し、インフルエンサーがInstagramの何十億ものユーザーに働きかける環境を整える、といった流れを大きく発展させるものだ。

Instagramはまた、ストーリーに寄付ステッカーを追加することも明言した。これは、TechCrunchが数カ月前に報じたことが現実となったもの。

クリエイターやインフルエンサーがタグを付けられるようになるのは、商品へのタグ付けという観点からすれば大きな進展となる。これまでは企業やブランドのアカウントにのみ可能で、個人には許されていなかったからだ。

ただし、現時点での目的は、クリエイターがそうした商品の売上に対して手数料を受け取れるようにすることではないようだ。Facebookは「現時点では」投稿を見た人がリンクをクリックして実際に買い物をしても、投稿したクリエーターがその分け前を得ることはないとしている。これは、やがてはそうなるという意味かもしれない。

むしろ重要なのは、クリエイターが身に着けているのは何か、それはどこで売っているのか、といったような質問が何度も繰り返されるのを防ぐことだという。「すでにコメントやダイレクトメッセージを使って商品について質問をすることで、クリエイターから買い物をしている人たちもいます」と、広報担当者は説明する。「商品にタグを付けることで、クリエーターは自分のフォロワーが欲しがっている情報を提供できるようになります。それによって、自分を表現したり、考えていることを共有することに集中できるのです。それは結局フォロワーにとっても良いことなのです」。

とはいえ、もちろんInstagramにも抜かりはない。広報担当者によれば、クリエイターには、エンゲージメントや買い物についてのインサイトなど、ショッピング投稿に関する詳しい情報を提供することになるという。インフルエンサーとしての地位によって生計を立てているような人にとって、ブランドとの報酬の交渉を有利に進める上で、こうした情報は長期的に役立つものとなるはずだ。

Instagramは、最初は少数のクリエーターで、数週間テストすることにしている。例えば、Gigi HadidKim Kardashian WestKris JennerKylie JennerLeesa Angelique(@saytheleesの運営者)といったアカウントが対象となる。

「私の仕事は、美しさの秘密とコツを共有することです」と、彼女は新機能について語った。「私はこれまで、使っている新製品について長々と詳しい説明を書いていました。このツールがあれば、私が身に着けているものについて、どこで買ったのかということから細かなことまで、本当に簡単にみなさんに知らせることができるようになります」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Oculusが「法人向け」を強化、「Quest」の提供とデバイス設定・管理のツールを発表

米国時間4月30日、サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターで開催された、Facebookのデベロッパー向けカンファレンス、「F8 2019」。

VRヘッドセットの「Oculus Quest」と「Oculus Rift S」が5月21日に発売開始されるとマーク・ザッカーバーグ氏により発表され、会場は大盛り上がりだった。コンシューマー向けのゲームももちろん魅力的だけれど、ビジネス向けのOculusに関する新発表も興味深いものだ。

F8で開催されたセッションでは、FacebookのEnterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏とEnterprise PMのAndrew Mo氏が、Oculusのビジネス向けサービス「Oculus for Business」のOculus Questが追加された新バージョンを今秋より提供開始すると発表した。

「VRヘッドセットは従業員のトレーニングを『効率化し効果的にする』ためのツール」(Tewes氏)

Enterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏

「どのようなツールが我々(の業務)をより効率化し効果的にするのか。テクノロジーは急速に、職場の『あり方』を変貌させる。ツールは常に進化していていて、過去に発明されたツールは私たちにとって必要不可欠なものとなった。VRもそのようなツールになるだろう」(Tewes氏)

Tewes氏はそう話し、実際に仕事の現場でどのようにVRが活用されているのか、説明を始めた。

1つの例がウォルマート。アメリカだけで100万人もの従業員を抱えるウォルマートは、従業員にVRトレーニングを提供している。内容は、買い物客が殺到する「ブラックフライデー」を含む、「どのような状況」でもフレンドリーな接客を提供するために必要なスキルを磨くためのシミュレーション。ウォルマートはVRによる教育訓練を提供するSTRIVRと手を組みVRトレーニングを提供している。

STRIVR / Walmart

ウォルマートとSTRIVRは昨年に実証実験を開始。200箇所で12種のトレーニングシミュレーションを試みた。「効果的だ」と認められ、2018年の終わりには17000台のOculus Goを全米の4700店舗に導入。今では50ほどのトレーニングプログラムが用意され、2019年中には100万人もの従業員がVRヘッドセットを活用したトレーニングを受ける予定だ。

STRIVRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、訓練にかかる時間が40%削減、そして70%の従業員が従来のトレーニングを受けたスタッフと比べ高いパフォーマンスを発揮した、とTewes氏は説明する。

また、Tewes氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートとのパートナーシップも併せて発表した。医療従事者に対してトレーニング機会を提供するジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートは今秋よりOculus Questを使ったトレーニングの提供を開始。VR手術トレーニングシステムのOsso VRとの実証実験という形でのスタートとなる。

Osso VR

Osso VRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、パフォーマンスが230%向上する、とTewes氏は述べた。

また、Osso VRの別の調査では、膝の手術のシミュレーションにおいて、従来の訓練を受けていた生徒はアドバイスを求めながら11分39秒、VRでの訓練を受けていた生徒は6分29秒で全てのプロセスを完了したという。

Oculus for Businessを通じ従業員にVRトレーニングを提供している企業(一部)は以下の通り。

関わっているデベロッパー(一部)は以下の通り。

「トラック1台分のOculus Questが届いて、そのセットアップを担当する羽目になった自分の姿を想像してみてほしい」(Mo氏)

Enterprise PMのAndrew Mo氏

Mo氏は「大企業にも対応が可能な」デバイスのセットアップとマネージメントのためのソフトウェアツールを発表。

このソフトウェアツールは、多くのOculusデバイスのセットアップ、マネージメントを一括で行えるもの。

セットアップ用のアプリ(Bulk Device Setup App)を使うことで、Bluetoothで複数のOculus QuestをWi-Fiに接続し、ビジネス向けソフトウェアを全てのデバイスに同時にインストールすることが可能だ。

デバイスのセットアップが完了したら、マネジメント用のプラットフォーム(Device Management Web Portal)を使い、設定を変更したり、アプリを管理したりすることができる。デバイスがWi-Fiに接続されている限り、どこでも調整を行うことが可能だ。

デバイスをグループ分けして管理することも可能。

故障した場合、プラットフォームで状態を確認、カスタマーサポートに連絡し、代用機を依頼することができる。

Oculus for Businessでは、Oculus Goは599ドル(64 GB)、Questは999ドル(128GB)。この値段には1年間の製品保証、ソフトウェア、そしてカスタマーサポートが含まれる。

2年目以降、ソフトウェア利用には年間180ドル(ヘッドセットごとに)が必要だ。Questを投入しサブスク化することで、Facebookは対エンタープライズを強化していく。

片想いでも傷つかない、FacebookがデートアプリにSecret Crushを追加

米国時間4月30日から米国サンノゼでスタートしたF8デベロッパー・カンファレンスで、Facebookはデートアプリの新しい機能を発表した。昨年のF8で発表されたFacebook Datingは、普通の友だちや家族にデート用プロフィールを見られてしまうという気まずさを避けるようプライバシーに最大限配慮している。

今年のF8でFacebookはデートの希望を相手に伝える方法に非常に巧妙な仕組みを用意した。 好意を送信しても「片想い」状態の場合は相手に表示されない。相手も自分に好意を持っていて好意を送信し返してきたときに始めて双方に通知され、メッセージ交換が可能になる。また現在は、南米や東南アジアの5カ国で実験的運用が行われているが、新たに14カ国が追加され19カ国でFacebook Datingがスタートすることも発表された。米国も今年中にカバーされるという。

Facebook Datingでは最大限9人の友だちにCrushという「いいね!」式のリアクションを送れる。相手もFacebook Datingにオプトインしている場合、「友だちからCrushが来ている」と通知される。今回の新しい仕組みはSecret Crush と呼ばれ、Secret Crushを送った場合、互いにCrushし合っている場合のみ双方に表示され、Messengerでチャットが可能となる。

Facebook Datingのプロダクト・マネージャーであるCharmaine Hung氏は私の取材に答えて、こう説明した。

例えば、私自身はFacebookに2000人の友だちがいますが、全員が親友というわけではありません。しかしこの2000人の中にベストマッチの相手がいる可能性は高いです。Facebookの友だちなら信用できる人々ですし、性格や趣味もわかっています。わからないのはお互いに好意を抱いているかどうかです。友だち以上の関係に進みたいと思っても対面で告白した場合、断られたときに傷ついてしまいます。Secret Crushはこの点に配慮した仕組みです。

Facebookは昨年のF8でDatingを発表した後、昨年9月にコロンビアでサービスをスタートさせた。利用できるのはFaceookのメンバーに限られる。アプリにオプトインするとグループやイベントをチェックすることができる。送信できるのはテキストと絵文字のみで、メッセージはDating専用のインボックスで受信されるという仕組みだ。今回のアップグレードで新たに、フィリピン、ベトナム、シンガポール、マレーシア、ラオス、ブラジル、ペルー、チリ、ボリビア、エクアドル、パラグアイ、ウルグアイ、ガイアナ、スリナムが追加された。

Secret Crushのような仕組みで懸念されるのは、マッチを成立させようと友だちを大量に追加、即削除してスパム状態が作られてしまうことだ。これを防ぐためにFacebookでは9人という上限に達した後は1日に1人しか入れ替えができないようにしている。

今のところDating利用は無料だが、プロジェクトのポイントはマネタイズではない。多数のスキャンダルに見舞われてきたFacebookは信頼できるソーシャルネットワークだという評判を取り戻す必要がある。ニュースフィードをスクロールし続けるのは時間の無駄だし、場合よっては有害だ。しかしFacebookt Datingが未来の恋人、伴侶を探してくれる可能性があるならユーザーにとってFacebookは大きな意味を持つことになるだろう。

下のバナーからTechCrunchのF8カンファレンス関係の記事を一覧を開くことができる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Oculus Questは5万円弱で5月21日出荷開始、PCレスの本命VRヘッドセット

Facebookは米国時間4月30日、米国・サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターでデベロッパー向けカンファレンス「F8 2019」を開催し、VRヘッドセットの「Oculus Quest」「Oculus Rift S」の発売日を正式に発表した。いずれも5月21日発売。価格は、PCレスのスタンドアロンで使えるQuestの64GBモデルが399ドル(日本では4万9800円)、128GBモデルが499ドル(日本では6万2800円)。PCに接続して高画質でゲームなどを楽しめるRift Sが399ドル(日本では4万9800円)。なお、Amazonでは発表前からフライングで予約が始まっていた。

Oculus Questは、Oculus Goに次ぐワイヤレスでPCレスで動作するVRヘッドセット。といってもGoの強化版ではなく、画質は低くなるがOculus RiftのPCレス版に近い製品だ。

Oculus GoがNetflixやFANZAなどの動画視聴に適していたのに対し、Oculus Questはそれに加えてゲームプレイ向けにさまざまな機能を備えている。具体的には、VRヘッドセット単体で位置を検出できるインサイドアウト方式のほか、デバイスの向きと位置を検知できる6DoF(6Dgrees of Freedom)に対応している。

同様VRヘッドセットにはOculus RiftやHTC Viveなどがあるが、位置検出するにはOculusセンサーやベースステーションなどの別機器が必要なほか、そもそも描画性能に優れたPCと接続する必要があった。Oculus Questは、ワイヤレス、PCレスを実現した点で注目されている。

詳細は追って更新する。

4月30日からFacebookのデベロッパーカンファレンス「F8 2019」がスタート

サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターでいよいよFacebookのデベロッパー向けカンファレンスF8 2019がスタートする。TechCrunchは現地から詳しく報道する予定だ。

今回のイベントでFacebookのトップが登壇し、デベロッパー向けプライバシー・ツールなどの新しいプロダクトを発表するので大きな注目を集めるはずだ。
TechCrunchのJosh ConstineFrederic Lardinoisが現地からカバーする。

Facebookに限らずソーシャルメディア一般、デベロッパー・ツールに興味があればConstineとLardinoisの記事に期待していただきたい。なおExtra Crunchの無料トライアルを利用すれば太平洋時間で水曜午後2:00(日本時間木曜6:00AM)から2人のポッドキャストによるカンファレンス報告を聞くことができる。なにが一番重要なプロダクトだったか、Facebookは今後どこに向かうのかなどについて話す予定だ。

画像:Justin Sullivan / Staff / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookがフォロワー購入サービスを相手に裁判を起こした

Instagramユーザーがアプリ上で大量のフォロワーを購入できるとうたうサービスに対し、Facebookは断固とした措置をとっている。同社は米国時間4月25日、こうした「フォロワー購入サービス」を運営するニュージーランドの企業を訴えたと発表した

米国の裁判所に訴えられたのは、Social Media Series Limitedという企業を経営する個人3人。

Facebookは公表した文書の中で「訴状では、訴えの対象となっている企業と個人が別の企業とウェブイトを使ってInstagramユーザーに偽のエンゲージメントサービスを販売していたと主張している。我々は以前に被告に関連するアカウントを停止し、Facebookの利用規約に違反していると正式に文書で警告した。しかし被告は活動をやめなかった」と述べている。

TechCrunchでは当初訴状を入手することができず、Facebookに詳細を問い合わせた。

TechCrunchでは以前、17件のフォロワー購入サービスがInstagramの広告ネットワークを使ってユーザーにこうしたサービスを販売していると報じた。それから数カ月経って、今回の訴訟となった。

これに対しInstagramは、広告をすべて削除し、TechCrunchがポリシー違反と報じたサービスのFacebookページとInstagramアカウントをすべて無効にしたと回答した。しかしそのわずか1日後、TechCrunchはInstagramで2社の広告を発見し、さらに5社がポリシー違反のフォロワー増加サービスに宣伝費を支払っていることがわかった。

Facebookはここ数カ月、同社のプラットフォーム上での「不正行為」に対する措置を強化している。今年に入り、インド、パキスタン、フィリピン、英国、ルーマニア、イラン、ロシア、マケドニア、コソボなどのFacebookとInstagramからアカウントとページを削除した。英国の極右活動家のTommy Robinson氏をFacebookから削除したことや、Facebookへの批判が強いミャンマーでは4つの武装グループに対して利用を禁止したことなどが注目されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

FacebookがChromeブラウザのAPIに初めて貢献

Facebookは米国時間4月22日、GoogleのChromeブラウザのAPIに対して、初めて大きな貢献を果たしたことを発表した。

Facebookのチームは、Googleと共同で、ブラウザにコードを提供するためのAPIプロポーザルを作成した。これはFacebookとしては初めてのこと。このコードは、ウェブ上のツールや標準に関するFacebookの他の多くの仕事と同様に、ユーザー体験をスムーズかつ高速にすることを目指したもの。このAPIの場合、ユーザーがクリック、またはキーを操作してから、ブラウザが応答するまでの時間を短縮する。

この新しいシステムの最初の試験的な実装はChrome 74とともにリリースされる予定だ。

一般的に、ブラウザのJavaScriptエンジンは、コードの実行を制御している。そして、応答しなければならない入力が保留になっていないかどうかを確認するため、一瞬コードの実行を停止することもある。マルチコアのマシンで動作する最新のJavaScriptエンジンも、基本的にはシングルスレッドで動作する。そのため、実際にはエンジンは1度に1つのことしか実行できない。そこで、入力イベントを確認しつつ、コードの実行をどのように組み合わせるかということがカギとなる。

「他の多くのサイトと同様に、私たちもJavaScriptを小さなブロックに分割することでこの問題に対処しています。ページがロードされている間も、若干のJavaScriptを実行し、その後にブラウザに制御を戻すのです」と、Facebookチームは発表の中で説明している。「ブラウザは、そこで入力イベントのキューをチェックして、ページに通知する必要のあるものがあるかどうかを確認できます。その後ブラウザは、JavaScriptのブロックが読み込まれる都度、それらを実行する動作に戻ります」。

ブラウザがこのようなサイクルで動作している際に、新しいイベントをチェックして、その処理に入ると、わずかながら余計な時間がかかる。それが何度も積み重なると、ページのロードが遅くなる。とはいえ、入力のチェックのインターバルを長くすると、こんどはブラウザの応答が鈍くなるので、ユーザー体験が劣化してしまう。

これを解決するため、FacebookのエンジニアはisInputPendingというAPIを作成した。これにより、上のようなトレードオフをする必要がなくなる。Facebookは、このAPIを、W3Cのウェブパフォーマンスのワーキンググループにも提案した。これを利用すれば、デベロッパーは保留中の入力があるかどうかを、コードの実行中に確認できる。

これにより、コードは応答すべきものがあるかどうかを自分でチェックできるようになる。ブラウザに完全に制御を戻さなくてもよく、さらにそこからJavaScriptエンジンに入力を引き渡す必要もない。

現時点ではこれはまだ試験的なもの。デベロッパーは、このAPIを自分のコードに組み込む必要があるため、Chrome 74のリリース後に、自動的にブラウザの動作が速くなるというわけではない。この試行が成功すれば、もちろんデベロッパーはこのAPIを利用するようになるだろうし(もちろんFacebookは自ら利用するだろう)、他のブラウザベンダーもそれぞれのエンジンにこのAPIを実装するようになるはずだ。

「ChromeにisInputPendingを導入するプロセスは、Facebookにおいてウェブ標準を開発する新しい方法を象徴するものです」とチームは言う。「私たちは今後も新しいAPIに取り組み続け、オープンソースのウェブブラウザへの貢献を増強したいと考えています。将来的には、このAPIをReactのコンカレントモードに直接組み込むことも可能となるでしょう。そうすれば、デベロッパーはこのAPIのメリットを、自動的に享受できるようになります。さらに、isInputPendingは、スケジューリングに関するプリミティブをウェブに導入するという大きな流れの一環なのです」。

画像クレジット:Getty Images上のAlexander Koerner/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

今週のサイバーセキュリティ関連ニュースまとめ

今週も忙しかった。 サイバーセキュリティに関するものだけでも、すべてのニュースについていくのは大変だ。そこで、今週の重大なサイバーセキュリティ関連記事を、TechCrunchに掲載されたものを中心に、いくつか集めてみた。最新のハッキング、プライバシー侵害、セキュリティに関する話題。どれも知っておくべきものばかりだ。

Facebookはパスワード漏洩が「数百万」のInstagramユーザーに影響を及ぼしたことを表明

TechCrunch:William Barr司法長官が、非常に期待されていたMuellerのレポートの概要を1週間以内に発表することにしたというニュースに世間の注目が集まっていた最中、Facebookは自ら1ヶ月前に公開したブログ記事を密かに書き変えていた。数年に渡って放置されていた、パスワードを平文で保存するというバグによって影響を受けたInstagramのアカウントの数を変更していたのだ。Facebookは、最初に見積もった「数十万」ではなく、「数百万」のアカウントが影響を受けていたことを認めた。そのタイミングは偶然ではなかった。Facebookにとって良くない知らせを隠すための絶好の機会だったのだ。CNNのDonie O’Sullivan氏は、これを、米国の中間選挙の前日に、Facebookがミャンマーでの大量虐殺に果たした役割を詳しく記した報告書を削除して以来、「最も卑劣な」行為だと非難した。

【日本語版関連記事】
Facebookがパスワードが漏れたInstagramユーザー数を「数百万人」に訂正

ユタ州は警察が令状なしにデジタルデータを検索することを禁止

Fobes:プライバシー擁護派には朗報だ。今週、ユタ州では合衆国憲法修正第4条の大きな抜け穴がふさがれた。以前は、州の法執行機関は、インターネットプロバイダーや、クラウドプロバイダーに対する召喚状さえあれば、誰のものであれ、電子メール、写真、ビデオ、オーディオといったデジタルコンテンツにアクセスすることが可能だった。今後は、HB 57、つまり電子情報またはデータのプライバシー保護法の導入によって、警察は相当な理由に基づく令状を必要とするようになった。もはや、令状なしの法的尋問は許されない。

謎のエージェントがイランのハッカーをハックしてコードを破棄

Wired:今週のニュースに埋もれそうになっていた驚くべき発見がある。未だ何者か知れない誰かが、OilRigまたはAPT34として知られるイランのハッカーグループの秘密を、Telegramチャンネルで暴露し始めたという。これは、Alphabetのサイバーセキュリティ会社、Chronicleからの情報だ。もし事実なら、これはそのハッカーグループの運用上のセキュリティに対する壊滅的な侵害となるだろう。Shadow Brokersが、NSA(米国家安全保障局)によって開発された極秘のハッキングツールを盗んで公開してから、まだほんの2、3年しか経っていない。

ウェザーチャンネルが1時間以上オフラインに

ウォールストリートジャーナル:米国時間4月18日木曜日、The Weather Channelはランサムウェアの攻撃により、1時間以上にわたってオフラインとなった。ウェザーチャンネルのツイートによると、バックアップシステムを使って起動した後で、ようやくライブ番組を回復させることができたという。FBIは調査中と述べている。これは、アルミニウムメーカーのNorsk Hydroや、飲料大手のArizona Beveragesに続く、ランサムウェアが大企業を襲った最新の事例だ。

ムラーレポートから、選挙のハッキング、暗号化されたメッセージ、トロール工場など

TechCrunch:2016年の米大統領選挙から2年、ロシアによる選挙妨害に対する特別検察官による捜査は終了した。TechCrunchは、技術的な視点から、次のような知っておくべきポイントを取り上げた。つまり、背後にロシアがつくハッカーがHillary Clinton氏の選挙運動に侵入した方法、暗号化されたメッセージングアプリを使って捜査を妨害した方法、ロシアによる選挙システムへの侵入はどの程度成功したのか、トロール(荒し)工場とその偽情報が選挙に対してどのような役割を果たしたのか、などについて解説した。

【日本語版関連記事】
ムラー特別検察官報告の公表で民主党ヒラリー候補の大統領選に新しい光

FTCはプライバシー侵害についてマーク・ザッカーバーグ氏との対決を望む

ワシントン・ポスト紙コロンFacebookは、これまで以上にFTC(連邦取引委員会)から厳しい視線で見られている。今週のレポートによると、ソーシャルメディア大手の創立者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏もFTCの照準に入る可能性があるという。これは、Cambridge Analyticaのスキャンダル以降の、Facebookに対する継続的な責任追求の一環だ。その後も、次から次へとセキュリティに関する事件が起こり、消費者データの不適切な管理や、重大な倫理規定違反があったことを受けてのもの。

サイバーセキュリティ会社Verintがランサムウェアにやられる

ZDNet:サイバーセキュリティ会社のVerintも、今週ランサムウェアの被害を受けた。「この上ない皮肉」と揶揄されるのも無理はない。同社は感染に対処するため、別のセキュリティ会社に頼らざるを得なかった。これは、インド最大のアウトソーシング企業の1つ、Wiproがハッカーに打撃を受けたのと同じ週に起こった。Wiproは、当初侵入されたことを否定していたが、このニュースを報じたセキュリティ関連のレポーター、Brian Krebs氏が、侵入のあった翌日に開かれた同社の決算説明会に出て真実を正した。もちろん、このやり取りは記録され、Wiproの最高執行責任者、Bhanu Ballapuram氏は、それが事実であることを認めざるを得なかった。

フランス政府のメッセージングアプリのセキュリティ欠陥により機密の会話が暴露

TechCrunch:Baptiste Robert氏は、ユーザーアカウントの作成に成功した。このアプリは、オープンソースのSignal Protocolを使用している。不注意から政府関連以外の電子メールアドレスによるアクセスを許可し、アプリの公開チャンネルを露出してしまったのだ。

画像クレジット:Shutterstock

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookがパスワードが漏れたInstagramユーザー数を「数百万人」に訂正

Facebookは、同社のパスワード漏出問題の影響を受けたInstagramユーザーが当初発表した「数万人」ではなく「数百万人」に上ることを正式に認めた。ソーシャルメディアの巨人は、3月21日に公開された公式ブログ記事を更新してこの新情報を正式に発表した。

「我々は、Instagramのパスワードがテキスト形式で保存されたログを新たに発見した」と同社は言った。「現在当社は、この問題が数百万人のInstagramユーザーに影響を与えたと推測している。これまでと同様、該当ユーザーには通知する予定だ」。

「当社の調査の結果、保存されていたこれらのパスワードは社内、社外を通じて悪用もしくは不正使用されていないという結論を下した」と更新記事は伝えているが、どうやってその結論に達したかについては未だに発言していない。なおソーシャルメディアの巨人は、影響を受けたのが何百(何千)万人なのかも言っていない。

先日Facebookは、「数億人」のユーザーアカウントやパスワードが何年にもわたり通常テキスト形式で保存されていたことを認め、その時期は2012年にまで遡ると言われている。同社によると、その暗号化されていないパスワードは、エンジニアやデベロッパー約2000人がアクセス可能なログの中に保存されていた。ただしデータは社外には漏出していない。Facebookは未だにこのバグがどのようにして起きたのかを説明していない。

Facebookがブログを更新したのは午前10時(米国東海岸時間)で、ロシア選挙介入に関するムラーレポートが発表される1時間前だった。広報担当のLiz Bougeois氏に問い合わせたところ、Facebookは未だに「正確な数字」は掴んでいないと言い、新たなログが発見された正確な時期についても発言を拒んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが監視するチャット端末「Portal」を半額に値下げ

あなたは今、読んでいるヤングアダルト向けディストピア小説の内容を誤って思い出しているわけではない。Facebookは実際に、あなたと愛する人をカメラで追跡するビデオチャット装置を販売している。このたび、そのFacebookが投入時期を間違ったSNS端末がわずか99ドルで入手できるようになった。つい半年前に199ドルで売り出されたことを考えると、かなり大幅な値下げだ。

Facebookのハードウェア実験に骨を折ってきた人たちにとっては残念なことに、そこには著しくFacebook嫌いで、特別プライバシーに敏感な市場が待っていた。それはかなり深刻な向かい風だった。もちろん、多くの一般ユーザーはプライバシーに無関心だが、彼らも気にするべきだ。

本誌のレビューによると、FacebookのPortalはよく考えられデザインの競争力あるデバイスだ。それでも、家庭というもっとも親密な場所に、ユーザーのプライバシーを尊重しないことで知られる会社を呼び込む理由にはならない。

上位機種のPortal+は回転式の1080 pスクリーンを備え、価格は単体で買うと349ドルだが、Portal 1台以上と同時に購入すると249ドルになるらしい。FacebookこのPortalバーゲンを母の日向けに宣伝しておりセール期間は5月12日まで。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがメインのアプリにメッセージ機能を戻すテストをしていることを認める

Facebookは5年前に、膨大な数のユーザーを混乱に陥れた。メインのアプリからチャット機能を削除し、友達と個人的にやり取りにはMessengerアプリをダウンロードしなくてはならないということにしたためだ。どうやら今になって、Facebookアプリにメッセージの機能を戻せるようになるかもしれない。

これは研究者のJane Manchun Wong氏が発見した。同氏はメインのアプリでチャットが再びできるようになる、未発表の限定的な機能を見つけた。発見時点ではFacebookアプリのチャット機能では通話、写真共有、リアクションはサポートされない模様だが、これは単に現在開発中であるということかもしれない。

現在はテスト中であるため、この機能がユーザーに提供されるかどうかは不明だ。月間13億人以上のユーザーがいるMessengerがなくなることはないだろうが、この変更が実現すれば友達とおしゃべりをするオプションが増えることになる。

Facebookはテストをしていることは認めたが、Messengerに関するコメントは以前と変わっていない。

我々はFacebookアプリ内でのメッセージング体験を向上させる方法をテストしている。月間10億人を超える人々が関心を寄せる個人や企業とつながるために利用しているMessengerは、豊富な機能を持つスタンドアローンのメッセージングアプリとして継続する。現時点ではこれ以上の情報はない。

今回の発見は、Facebookアプリからチャット機能がなくなったことに不満を持った多くのユーザーから歓迎されている。しかしFacebookのサービス全体を利用しているわけではないがMessengerでチャットをしている人が増えているとも考えられる。ここ1、2年のFacebookの失策から、ソーシャルネットワークに対する消費者の評価はかつてないほど低下し、広告やニュースフィードに関わりを持たずに友達とつながることができるという魅力は高まっている。

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、それまでのパブリックなフォーラムを重視したアプローチから、グループや個人の会話を重視する方針に転換する計画を明らかにした。その発表から1カ月経って、今回の発見があった。この意味するところは、メッセージのやりとりはソーシャルグラフに欠かせないものになりつつあり、ならばそれをFacebookのメインアプリに戻そうということだ。今後の動向に注目する必要があるが、Facebookがこうした動きを検討していることは明らかだ。

Image Credits:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (画像は編集しています)

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(翻訳:Kaori Koyama)