ウォンテッドリーがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

Wantedlyがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

ビジネスSNS「Wantedly」運営のウォンテッドリーは8月18日、同SNSを利用するユーザーごとのプロフィールページを一新すると発表した。プロフィールを転職目的のオンライン版職務経歴書のような存在から1歩進め、キャリアを歩みつつ継続的に仕事の実績を更新・公開するためのビジネスポートフォリオとして利用できるようにする。一般公開に先立ちβ版を招待制で公開しており、プロフィールURLは先着順で取得可能としている。

今回β版を公開した新プロフィールでは、ユーザー体験、ユーザーインターフェースを一新。仕事の成果や携わったプロジェクトをSNS同様に気軽に投稿すると自動的に個人の仕事史として集約され、美しいレイアウトで公開する。すべてのビジネスパーソンが最新の仕事の実績や評判などの「資産」を集約、自己紹介などに活用することで自身の価値を高める場を産み出すとしている。

Wantedlyがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

また、プロフィールページは、ユーザーの好みに応じた任意のURLを取得可能。URLは先着順で設定されるユーザーIDにより決定されるため、好みのURLを取得するには、他ユーザーに先んじて設定する必要がある。

Wantedlyがプロフィールページを一新、仕事の実績を公開するビジネスポートフォリオとして提供

新プロフィールβ版は招待制を採用しており、すでにβ版ユーザーからの招待、またはβ版のプロフィール画面から利用開始をリクエストすることで利用開始できる。なお、1ユーザーが招待できる人数は10名を上限としている。

ウォンテッドリーは、「シゴトでココロオドルひとをふやす」ために、働くすべての人が共感を通じて「であい」「つながり」「つながりを深める」ためのビジネスSNS「Wantedly」を提供。2012年2月のサービス公式リリースから現在まで、登録会社数3万5000社、個人ユーザー数250万人を突破し、国境を越えて「はたらくすべての人のインフラ」を作るとしている。

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各種SaaSのアカウント管理・権限設定を自動化する「YESOD」のイエソドが2億円を調達

各種SaaSのアカウント管理・権限設定を自動化する「YESOD」のイエソドが2億円を調達

イエソドは8月17日、プレシリーズAラウンドにおいて、CE型新株予約権の発行として総額2億円の資金調達を実施した。引受先はDNX Ventures、ANRIなど。イエソドは、散らばった人事・組織情報を統合し、各種SaaSのアカウント発行・権限設定を自動化するSaaS統制プラットフォーム「YESOD」を開発・提供している。

各種SaaSのアカウント管理・権限設定を自動化する「YESOD」のイエソドが2億円を調達

同社プロダクトは高度なデータモデルが前提としたプロダクトであり、開発および導入に向けてハイレベルな人材が必要となるビジネスという。そのため、今回調達した資金を基に人材の採用を積極的に推進。特に主要サービスの開発を行うエンジニア、導入を行う業務コンサルタントの拡充を急速に進める予定としている。

2018年9月設立のイエソドは、「企業の人・組織・情報にまつわる非効率をなくす」をミッションに、IT系スタートアップ管理部門・情報システム部門向けのクラウド型サービスYESODの開発・提供を行うスタートアップ。

DXの実現に欠かせない存在として、ソフトウェアをサービスとして提供するSaaSが国内外で次々とローンチされている。企業においてもSaaS導入が進む一方で、SaaSを管理する管理部門、システム部門、監査部門は様々な課題に直面し、企業全体のコンプライアンス違反リスクが高まっているという。

同社は、SaaS管理における課題の本質が「人事・組織の情報を正しく管理できていないこと」にあると考え、YESODには組織の階層構造をまるごと格納でき、かつ時系列に管理できるデータベースを内包。これにより「個人」ではなく「組織と役割」に基づくSaaSのアカウント管理、権限管理の自動化を実現するとしている。企業の人・組織・情報を正しく整理することで、業務改善、内部統制、情報セキュリティへの対応を一気通貫に整えるという。

各種SaaSのアカウント管理・権限設定を自動化する「YESOD」のイエソドが2億円を調達

各種SaaSのアカウント管理・権限設定を自動化する「YESOD」のイエソドが2億円を調達

YESODは、以下のような特徴を備えるものとして開発を進行。現在は基盤となる人事・組織データベースのプロトタイプ開発を終え、SaaS管理機能の開発に鋭意取り組んでいる段階としている。

  • 過去、現在、未来の人事・組織情報を格納可能な多次元データベース
  • 国内外のSaaSサービスとのシームレスな連携
  • 社内規定に沿ったSaaSの確実なアクセス管理の自動化
  • IT監査など内部統制を楽にする各種レポート出力

シャオミやアリババ、バーキンが採用するHRツール開発のMokaが総額約46億円のシリーズBラウンドをクローズ

投資家は中国における人材管理の自動化に賭けている。昨年、この分野のキープレイヤーの1社であるMokaが、Hillhouse Capitalが主導するシリーズBラウンドで約2700万ドル(約28億7800万円)を調達したことを報告した。先週同社はシリーズB+を1億元(1440万ドル、約15億3300万円)以上で完了し、Bラウンドの資金調達総額を3億元(4320万ドル、約46億円)に引き上げたことを発表した。

Mokaは今回調達した資金を、人材採用と製品開発、事業拡大に投下することを明らかにしたが、シリーズB+ラウンドの投資家の情報は開示しなかった。なお、米国カリフォルニア拠点のGGV CapitalはシリーズAラウンドに投資している。

中国の投資家は近年、コンシューマーテック市場での競争が激化する中、企業向け製品への注目度を高めている。Mokaは、求人情報の掲載から潜在的な候補者の発掘、既存スタッフの管理まで、人事管理者の日々の業務を支援するソフトウェアを開発している。例えば、従業員が履歴書を更新すると、Mokaは人事管理者にアラートを出す。

Mokaの新CEOに就任した李 国興氏は、元Facebookのエンジニアだ(画像提供:Moka)

新たなラウンドが終了すると同時に、Mokaは共同創業者のLi Guoxing(リー・グオシン)氏を新たな最高経営責任者(CEO)に任命した。北京を拠点とする設立5年のスタートアップは、Facebookのベテラン社員だったリー氏と、これまでMokaのCEOを務めていたZhao Oulun(ジャオ・オウルン)氏によって設立された。ジャオ氏はサンフランシスコのカーシェアリングサービスであるTuroに勤務したあと、中国に帰国した。

新CEOのリー氏は「Mokaは業界平均の3分の2のコストでユーザーを獲得しており、SaaSの契約更新率は100%を超えている」と主張している。「ビジネスにおける競争の未来は、間違いなく人材の採用にかかっている。今後は採用が企業戦略になることは間違いない」と説明する。

6月の時点でMokaは、Xiaomi(シャオミ)、Didi(ディーディー)、Arm China、Shopee(ショッピー)、Alibaba(アリババ)といった技術大手からファーストフード大手のバーガーキングとマクドナルドまで、700社以上の有料クライアントを持つ。300人のスタッフで構成される同社のチームは、中国の5つの主要都市で活動している。

画像クレジット:The Moka team

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(翻訳:TechCrunch Japan)

UberとLyftはドライバーを強制的に従業員とする判決の仮差し止め延期に失敗、カリフォルニアでの事業停止か

UberとLyftは、ドライバーを従業員として雇用することを強制する仮差し止め命令について、この執行を遅らせる動議を拒否された。カリフォルニア高裁の判事は米国時間8月13日に、命令の発効を8月20日以降に遅らせることを求める両社の要求を拒否した。

その決定は法律闘争の契機となり、命令の執行延期に失敗したら両社はほぼ確実にカリフォルニアにおける操業を一時的に中断するだろう。UberはTechCrunchに「可及的速やかに控訴する計画である」ことを確認した。Lyftによると、直ちに控訴して命令の執行延期を求めるが、その再審申し立て動議は今週末までに提出するという。

米国時間8月10日にカリフォルニア高裁判事Ethan Schulman(イーサン・シュルマン)氏は、UberとLyftに彼らのドライバーを正規の従業員とすることを強制する仮差し止め命令を認めた。「その命令は8月20日に発効する」とされた。判事は、その命令がUberとLyftの事業慣行の性質を大きく変えること、および仮差し止めの実施が両社の財務上の負担増になることを認めている。しかしながらそのような困難が、ドライバーの職階を企業の従業員とするという裁判所の決定を揺るがすことはありえない。その決定によりUberとLyftがドライバーたちに失業保険などの福利厚生を提供しなくてはならなくなることも変わらない。

カリフォルニアの司法長官であるXavier Becerra(ザビエル・ベセラ)氏とロサンゼルス、サンディエゴ、およびサンフランシスコの地区検事は、UberとLyftに対する訴訟を起こして、両社にAB 5(カリフォルニアの労働新法)への準拠を求めていた。

Uberの弁護士が動議で求めたのは、控訴裁が高裁の裁定の是非を判定するまでは仮差し止めの執行を延期することだ。弁護団は「仮差し止めが発効したらUberはほぼ確実にカリフォルニアのライドシェアプラットホームの閉鎖を強制され、それはUberとライドシェアアプリに収入を依存している者およびその家族に、取り返しのつかない損害を与える。しかも今は、パンデミックの最中である」と主張した。

両社は今週「仮差し止め命令の発効がさらに延期されなければ営業を停止することになる」とコメントした。少なくともUberによると、それによってさらに大掛かりな変化が起こり、カリフォルニアを永遠に去らなければならなくなるかもしれないという。

この法律闘争とは別にUberとLyftは、州法Prop 22のサポートを狙っている。それは11月の選挙のときに州民の投票により承認または否認の機会が与えられる。

Prop 22では、UberやLyftのような企業は、AB 5に指定されているさまざまな保護を提供しなければならない。それによると、ドライバーは州の最低賃金の120%を保証され、1マイルあたり30セントの経費を認められ、健康保険や労災保険、差別やセクハラに対する保護、自動車事故の加害者となった場合の保険などが給付される。

なぜそれがUberやLyftにとって魅力的かというと、Prop 22ではドライバーが独立の契約労働者なのだ。会社の正規の従業員ではない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイナビが台湾の求職プラットフォーム「CakeResume」に約9600万円出資

CakeResumeは、LinkedInのようなテック業界の求職プラットフォームを作っているスタートアップだ。2016年に創業された台北を拠点とする同社は米国時間8月10日、日本の大手人材広告企業のマイナビから90万ドル(約9600万円)のシード資金を調達したと発表した。CakeResumeはこのラウンドの資金で、日本やインドなど台湾以外の国に事業を拡大する予定だ。

創業者でCEOのTrantor Liu(トラント・リウ)氏は、CakeResumeを始める前はCodementorのフルスタックのウェブ開発者だった。同氏は、CakeResumeの目標はアジア最大のテック人材プールになることだと述べる。このプラットフォームのデータベースには、現在およそ50万件の経歴書が登録されていて、そのうち75%は台湾で職を探している人のものだ。このプラットフォームを採用に利用している企業は、AppierなどのスタートアップからAmazon Web Services、TSMC、 Nvidia、Teslaなどの大手まで、3000社以上にのぼる。

台湾以外の25%は、インド、インドネシア、米国などの人材だ。CakeResumeは戦略的投資家であるマイナビのサポートを受けて日本に拡大する計画で、さらに東南アジアと南アジアのリクルーターとの提携も求めている。リウ氏によれば、CakeResumeはインドでは特にコンバージョン率が高く、インドで10万件以上の経歴書をプールすることを目指している。

CakeResumeへの投資の決定についてマイナビの担当者は発表の中で「ITエンジニアの世界的な不足はますます顕著で、我々はアジアのIT人材に関するサービスに力を入れている。そのような中で、CakeResumeのサービスはプロダクトデザインがきわめてすぐれており、台湾ですでに多くの人材に利用されている」と述べた。また、このプラットフォームが「近い将来にアジア最大のIT人材プール」になることを期待しているとも述べている。

台湾でのCakeResumeの最大のライバルはLinkedInと求職サイトの104.com.twだ。ほかにAngelList、Indeed、Glassdoorなどのサイトとも競っている。

CakeResumeはITのプロフェッショナルが自分のスキルを詳しく示せるようにすることで差別化している。テック企業の多くが、これまで他の業界で利用されてきた1ページの経歴書よりも詳しい情報を知りたがっているからだ。ケーキを作るかのように、求職者が情報のレイヤーを重ねてレジュメ(経歴書)を作れるようにしていることから、CakeResumeという社名がつけられた。例えばCakeResumeのテンプレートを使うと、エンジニアはGitHubからプロジェクトを埋め込むことができる。デザイナーは作品へのリンクだけではなくデータを追加することができる。

「我々は入力後に書式の整ったPDFの経歴書をダウンロードできるフォームを提供することにとどまらず、もっとクリエイティブなものを提供したい。簡単にプロジェクトのイメージを埋め込み、説明を書き込むことができるので、人事担当者はその人が何に貢献できるかを簡単に把握できる」とリウ氏は語る。

CakeResumeと競合他社のもうひとつの違いは、プロフィールを作成する人のほとんどが、プロフェッショナルのネットワーキングを求めているのではなく、積極的に新しい仕事を探していることだ。しかもテック業界に特化されているので、リクルーターにとっては関心を持った候補者から反応がある割合が高いとリウ氏は言う。

リウ氏は「我々は最近、あるクライアントから話を聞いた。それによると、我々のプラットフォームで人材に連絡を取ったところ、およそ50%から反応があった。これに対しLinkedInでは10%未満だったそうだ」と補足した。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大する前は、求職者の多くは転居に前向きであったが、COOのWei-Cheng Hsieh(ウェイ・チェン・シエ)氏によるとCakeResumeは現在、リモートの仕事を見つけたい人材の支援に力を入れているという。FacebookGoogle(未訳記事)などテック企業の多くが少なくとも2021年夏までは在宅勤務を延長することにしている。

求人情報の多くが今も勤務地を指定しているが、CakeResumeの予測では今後も企業が新型コロナウイルス感染拡大に対応していく中でこの状況は変わるだろうと、リウ氏は語る。CakeResumeは今後もネットワーキングではなく求職者と仕事のマッチングに集中していくが、一方で世界中で働く人がお互いに、また企業とつながるためのソーシャル機能のテストもしている。

画像クレジット:CakeResume

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(翻訳:Kaori Koyama)

パーソルキャリアとNECがブロックチェーン技術を用いた外国人ITエンジニア採用サービスの実証実験

パーソルキャリアとNECがブロックチェーン技術を用いた外国人ITエンジニア採用サービスの実証実験

パーソルキャリア日本電気は8月13日、国をまたぐ新しいダイレクトリクルーティングサービスの実証実験を実施すると発表した。NECが独自に開発したブロックチェーン技術と、AONT(All-or-Nothing Transform)方式秘密分散技術を用いたアプリを使用する。

実証実験の対象はインド在住のITエンジニアと、外国人ITエンジニアの採用を検討する日本企業。GMOインターネット、ワイヤードビーンズなど計6社の日本企業が参画し、採用活動を行う。

実証実験のコンセプトは、Self-Sovereign Identity(自己主権型アイデンティティ)をベースとしたもの。これは、特定の管理主体が介在することなく、個人が自分自身のアイデンティティを自ら保有・コントロールできるべきという考え方。ダイレクトリクルーティングとは、企業が自社の求人要件にマッチする求職者に対して直接採用アプローチを行うリクルーティング方法。

検証内容は、日本で就労希望があるインド在住のITエンジニアのニーズ調査、日本の求人企業の採用負担削減効果、プログラミングスキルチェックの妥当性となっている。

同実証実験で両社は2020年8~10月の3ヵ月間の実証実験を通じて、転職希望者個人の経験や知識、実績を基にインド・日本の国をまたぎ、公平に仕事を得る機会を創出。その結果を踏まえ、NECは2020年度中のダイレクトリクルーティングサービス開始を目指す。新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、今後のインドおよび日本の採用、就労環境の変化に対応するサービスのあり方についても検討する。

参画するインド在住のITエンジニアは、現地でITスキルテストを行い、公平に自分の経験・スキル・実績を証明し、自身の履歴書やスキル情報の真正性を担保する。求人企業はそれらの情報によって、採用後の人材ミスマッチを防ぐことが期待できるという。

スキルチェックは、オンライン受験が可能となっており、結果はスマホアプリに自動連携される。今回の実証実験では、NECが独自に開発したブロックチェーン技術とAONT(All-or-Nothing Transform)方式秘密分散技術を用いたアプリを使用。転職希望者は、自身のパーソナルデータなどの秘匿性の高い情報をセキュアかつ簡単に管理(追加・編集・削除)したり、アクセスコントロールを行いデータの開示可否を設定したり、情報の改ざんを防ぎ真正性を高く担保することが可能。

AONTは、任意のデータから複数の新しい断片データを生成するデータ変換技術。断片データからは、全ての断片を集めて結合しないかぎり、元データについて何も知ることができないことを保証する。これを用いて、断片データをそれぞれ異なるクラウドサーバーに分散配置すれば、元のデータに関して高い機密性が実現できる。

これにより、転職希望者は自らのスキル証明書を信頼性の高い情報として保管可能という。またこの証明書は、転職希望者がアクセスを許可した企業が閲覧できるため、企業ごとに異なるスキルチェックテストを受ける手間が省け、転職希望者の選択肢の幅を広げることにつながるという。

パーソルキャリアとNECがブロックチェーン技術を用いた外国人ITエンジニア採用サービスの実証実験

このほか今回の実証実験では、インドでITスキルテストの開発・提供を行うHackerEarthと協力して実施する。同社は、オンラインでのコーディング評価やリモートインタビューを通じて開発者のスキルを測定できる開発者評価サービスを提供。世界中で450万人以上の開発者コミュニティをもち、開発者はコーディングスキルを習得し、就職に備えられる。

パーソルキャリアによると、国内でIT人材の獲得競争が激化する中、競争力を高めていくためには、優秀な人材を海外から呼び込み、定着させることが重要という。一方、新型コロナウイルス感染症の影響拡大により、採用活動や就労形態もオンライン化が加速しているとした。

そのような中、転職希望者は職務経歴書や面接だけでは測れない経験・スキル・実績について、リモートやデジタル上でどのように証明し信頼を得るか、また求人企業側は転職希望者の能力の見極めがより重要になっているという。さらには転職希望者自らが自身の個人データを管理し、アクセスコントロールする必要も高まっており、データ利活用のあり方が問われているとした。

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従業員同士の自律的協業を促すプラットフォームを開発中のBeaTrustが約3億円を調達

従業員同士の自律的協業を促すプラットフォームを開発中のBeaTrustが約3億円を調達

BeaTrust(ビートラスト)は8月11日、シードラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権の発行による総額約3億円の資金調達を実施した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、DNX Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、STRIVE、One Capital,、Delight Ventures、PKSHA SPARXアルゴリズム1号、みずほキャピタル、複数の個人投資家。

調達した資金は、主にプロダクト開発、人材採用への投資に用いる予定。オンライン上における社員の新しい働き方を模索している大企業からスタートアップ企業まで、有効かつタイムリーなソリューションを提供する。

BeaTrustは2020年3月にGoogle出身者のCEO原邦雄氏と共同創業者久米雅人氏が創業。「世界中の人々のスキルや経験、専門知識を可視化し、お互いをつながり易くし、コラボレーションを促進してイノベーションを加速する」というミッションのもと、従業員同士が自律的に協業し、持続的にイノベーションが起こせるような文化、環境作りを支援する統合型デジタルプラットフォームを開発している。

とりわけリモートワークといった多様な働き方が模索されている中、従業員間の新たな情報共有方法やオンラインコラボレーションのあり方が求められており、従業員同士での協業を促すプラットフォーム「BeaTrust」を今秋リリース予定。

BeaTrustは、従業員のスキルや経験・これまでの仕事内容や趣味などを全従業員同士が簡単に検索できるプラットフォームという。今秋のプロダクトリリースでは、「従業員の業務内容やスキル・経験の可視化」「チーム構成・組織体制の把握」「横断的かつスピーディで強力な検索機能」「コラボレーションを生み出すためのコンタクト情報などの表示」に関する機能を予定している。

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XPRIZEが新型コロナの高速テストのコンテストを賞金約5.3億円で実施

XPRIZEは重要な分野における技術革新を促進するために賞金を提供するという実証済みのモデルを、新型コロナウイルス(COVID-19)テストの課題に転換しようとしている。この非営利団体は、Rapid COVID Testingとして賞金500万ドル(約5億3000万円)のコンテストを創設した。これは科学者、研究者、業界のリーダーによって結成されたOpenCovidScreenと呼ばれる組織と提携し、この課題に関するオープンな科学的コラボレーションを推進する。

このコンペティションでは、テスト能力を大規模に拡張し、安全な再開戦略への道を開くために、既存のものを補完できる低コストで高速な結果試験ソリューションの開発が参加者に求められる。自宅でのテスト、ポイントオブケアで実施されるテスト、分散型ラボテスト、そして最終的には高スループットなラボ・ソリューションなど、多くのカテゴリーの潜在的なソリューションを募集する。

最終的な賞金の審査では革新性、パフォーマンス、検索結果の高速な提供(最大許容ターンアラウンドタイムは12時間))、拡張性、使いやすさ、費用対効果(1回のテストあたり15ドルが上限)に重点が置かれている。XPRIZE団体はまた、サプライチェーンの多様化と持続可能性の確保のために、提案するソリューションでさまざまな技術を試すことを奨励している。

コンペティションに参加するためには、2020年8月31日までにチームが参加する必要がある。コンペは2021年1月末までに大賞受賞者を発表する予定で、5チームにそれぞれ100万ドル(約1億1000万円)を授与する計画だ。

コンペ終了後、参加者は「COVID Apollo Project」が設立した5000万ドル(約53億円)の基金を利用して、実際の生産・流通に向けたソリューションの開発、展開、スケールアップを図ることができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

人事オートメーションサービスのSoraが5.7億円調達

最後に新しい職場で新人研修を受けたときのことを思い出してほしい。たくさんの書類や呼び出しや電話のゴチャゴチャにまみれて、ひどく混乱したのではないだろうか?

その理由は、新人研修がバラバラでつながりのない人事ツールに頼っているからだ。米国時間7月22日に530万ドル(約5億6700万円)の資金調達を発表したスタートアップであるSoraは、コーディング不要のローコードサービスで人事ソフトウェアの世界を一新し、人事作業を自動化するツールを提供する。このスタートアップは、新人研修のようなプロセスを、社員にとっても会社にとっても良いものにできるかもしれない。

ローコード、ノーコード

ローコードやノーコードを非エンジニアリング集団に提供しようとしているスタートアップは、最近のトレンド(未訳記事)だ。TechCrunchも最近、ノーコード・テキスト分析と機械学習のスタートアップ、MonkeyLearn220万ドルの調達ラウンド(未訳記事)を実施したことを報じた。2020年だけで数億ドルの資金がローコード、ノーコードツールのために投入されている。

分析であれビジュアルプログラミングであれ、非エンジニアが開発者の手を借りずに効率よく作業できるためのツールを作ることで、以前なら技術者チームにしかできなかったことを非技術者チームができるようにしている新興企業がいくつか登場してきた。

「Soraは、非開発者がワークフローを作れるサービスを提供してそのトレンドに仲間入りした」と同社の共同創業者でCEOのLaura Del Beccaro(ローラ・デル・ベッカロ)氏は言う。

Soraのワークフローは、テンプレートからつくることが可能で、さまざまなプロセス(メールの送信、他のアプリやサービスからデータを取り出す、などの作業)を開始するトリガーを導入することで、非エンジニアがビジュアルなロジックフローを作れるようにした。Soraシステムは「ノーコードのワークフロー・ビルダーのようなもの」と同氏はインタビューで語った。ユーザーは「誰かになにかをするように伝えなくてはならない作業を登録して、その後の仕事を自動化できる。実際これは、問題解決の最大の救済方法だ。今は多くの人事チームが手動で人々の面倒をみている。「このノートパソコンの設定は終った?」「この3人の新人教育の準備はできた?」などだ。

SoraでCEOを務めるローラ・デル・ベッカロ氏

Soraのワークフローシステムは実用的で使いやすく、1人の社員のためにカスタマイズすることもできる。このソフトウェアを使えば「新人の共同作業者が誰になるのかをマネージャー尋ね、新人が来たことをその社員にメールで伝える」といったことができる。

デル・ベッカロ氏は、Soraで「人事プロセスを民主化」したいと言う。今の人事部門は「社員の分析」をデータアナリストに頼りすぎていると言い、同社のシステムを使って人事データを集約すれば、企業は「自動化をすべて自分たちだけで、IT部門や技術部門に行かずに設定できる」と付け加えた。

また、Soraは必要に応じてサービス・プロバイダーを入れ替えることができるので、成長過程にある企業の「システム変更によるリスク」を軽減し、「どんなプロセスにも対応できる柔軟性を保てるよう」手助けする。よくできたツールだ。

資金

Soraはこれまでに530万ドルの資金を調達しており、これは2018年9月のプレシードラウンドを含めた調達資金の総額だ。直近のラウンドをリードしたのはFirst RoundおよびElad Gilで、これまで獲得した資金の半分以上をこの2社が占めている。

現在従業員は11名で、Soraには約「25名の出資者」がいる、「投資家の多様性はかなり重要である」とデル・ベッカロ氏はTechCrunchに話した。

資金の話に戻ると、初期の顧客としてMixpanelにサービスを提供したあと、今年に入って広く顧客を募集し始めた。契約は1年または2年で、料金は従業員数ごとまたは月額固定のどちらか。新たに獲得したキャッシュのおかげでSoraは約2.5年ぶんの運転資金があると彼女は言った。

First RoundのBill Trenchard(ビル・トレンチャード)氏は、このサービスを構築したSoraのアプローチを気に入っていて、この会社は「スケーリングのためのスケーリングには一切興味がない」と言い、「自分たちの作っているものが人事の真の問題を解決でることことを確認するまで市場に出さない」という同社の方針を「思慮深く意志を持った」製品アプローチの証拠だと語った。

その方法のおかげで「Soraの開業後の勢いは素晴らしい」とトレンチャード氏。これまでで最高額と思われる現金を得た今、どれだけ早く成長するのか注目だ。

参考までに、以下はデル・ベッカロ氏が提供した投資家の全リストだ。完全なリストを入手することは稀なので、ここで紹介しておく。

  • Sarah Adams (Plaid)
  • Shan Aggarwal (Coinbase, Greycroft)
  • Scott Belsky (Adobe)
  • Mathilde Collin (Front)
  • Cooley Investment Fund
  • David Del Beccaro & Arleen Armstrong (Music Choice/Legal)
  • Viviana Faga (Emergence Capital)
  • Avichal Garg (Electric Capital)
  • Elad Gil
  • Kent Goldman (Upside VC)
  • Jonah Greenberger (Bright)
  • Daniel Gross (Pioneer, YC)
  • Charles Hudson (Precursor Ventures)
  • Todd Jackson (First Round Capital)
  • Oliver Jay (Asana)
  • Nimi Katragadda (BoxGroup)
  • Nicky Khurana (Facebook)
  • Brianne Kimmel (Work Life Ventures)
  • David King (Curious Endeavors)
  • Fritz Lanman (ClassPass)
  • Lisa & Mat Lori (Perfect Provenance/New Mountain Capital)
  • Shrav Mehta (SecureFrame)
  • Sean Mendy (Concrete Rose)
  • Jana Messerschmidt (#ANGELS, Lightspeed)
  • Katie Stanton (Katie Stanton, #ANGELS, Moxxie Ventures)
  • Erik Torenberg (Village Global)
  • Bill Trenchard (First Round Capital)
  • Jeannette zu Fürstenberg (La Famiglia VC)

画像クレジット:TechCrunch/Bryce Durbin

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

HRTechのHAB&Co.が資金調達を実施、ハローワークAPI活用の新サービスで完全API連携も開始

HAB&Co. ハブアンドコー SHIRAHA WORK

HRTechサービスの開発・展開を行うHAB&Co.(ハブアンドコー)は7月22日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資として資金調達を実施したことを明らかにした。調達額は非公開。引受先は九州オープンイノベーション1号投資事業有限責任組合、Miraise1号投資事業有限責任組合、ABBALabスタートアップファンド投資事業有限責任組合。

また、ハローワークユーザーが採用サイトを手軽に作れるサービス「SHIRAHA WORK」において、7月より完全API連携が可能となったと発表した。

HAB&Co.は、HRTech/SaaSの自社サービス事業、有料職業紹介事業、就職・移住相談が可能なコミュニティスペースの運営管理、UI/UX領域を中心としたクライアントワーク事業を展開。調達した資金は、日本の中小零細企業の人材不足問題の解決に向けた事業の加速に利用するという。

AI技術を活用した採用サイト・オウンドメディアを作れるサービス「SHIRAHA -シラハ-」は、2019年のローンチ以降、全国の中小企業を中心に350社以上に導入されているという。

また、SHIRAHA運営の過程で人事担当者の声からスピンオフでリリースした「SHIRAHA WORK -シラハワーク-」は、ハローワークを活用している企業が有する「求人番号」を入力するだけで自社独自の採用サイトを作成可能。

HAB&Co. ハブアンドコー SHIRAHA WORK

同サービスでは、AI技術とハローワーク求人・求職情報提供サービスのAPIを利用し、すでに提出済みの求人情報を取得・一部活用することで、ノーコードでのサイト構築を実現できる。一般的なサイト制作と比べ、所用時間を90%以上削減、数十〜百万円単位でのコストカットが可能となったという。

また、制作後の運用や応募者管理を円滑にするためのCMS(コンテンツ管理システム)・ATS(採用管理システム)、求人検索エンジンとのクローリング連携なども備えており、中小企業の人事採用担当者を総合的にサポートできる。

HAB&Co. ハブアンドコー SHIRAHA WORK

ウォンテッドリーが社内報サービス「Internal Story」のベータ版を公開、コメント機能や社内ポータル機能を追加

人材採用や社内の情報共有などに活用できるビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは7月14日、社内報サービス「Internal Story」のベータ版をWantedlyの有料プラン利用企業に向けて無償公開した。

Internal Storyは、作成した記事やお知らせなどを自社メンバー限定で公開できるのが特徴。会社のビジョンやミッション、それに伴うバリューなどを社員に浸透させるために活用できるとしている。一般的なイントラネットでの社内の情報共有ページと異なるのは、従業員のアカウントを個別に作成することで双方向のコミュニケーションが生まれやすい環境を構築できる点だ。

またベータ版では、一部の企業に先行提供していたアルファ版の機能に加えて、記事に対してコメントを付けられるコメント機能や投稿を一覧できる社内ポータル機能が加わっている。

ウォンテッドリーでは現在、Internal Storyのほか、従業員特典サービス「Perk」、コンディション・マネジメントサービス「Pulse」などのサービスも展開している。Internal Storyについてはアルファ版のリリースから2カ月程度で機能強化したベータ版を投入するなど、主力事業の転職・採用事業に加えて従業員とのエンゲージメントを強化する事業に力を入れている。

アプリ購入やサブスクリプションを提供するFringeのライフスタイル型福利厚生

Fringe(フリンジ)は、従来の福利厚生パッケージに加え、その代わりになるライフスタイル型福利厚生サービスを雇用主に売り込む新しい企業だ。

「従業員が福利厚生からの恩恵を受けるために、病気や身体障害、死亡、あるいは65歳以上にならなければいけないというのは理にかなっているとは思えませんでした」と電子メールに書いてきたのはFringeのCEOであるJordan Peace(ヨルダン・ピース)氏だ。

米国バージニア州リッチモンドに拠点を置くこの会社は、ピース氏と同社の戦略および財務責任者を務めるJason Murray(ジェイソン・マレー)氏を中心とした、バージニア工科大学卒業の5人の友人が集まって創業された。中心となった2人の男性は、以前Greenhouse Money(グリーンハウス・マネー)という名の、財務プランニング会社を経営していた。この会社は、中小企業と協力して福利厚生パッケージや退職金口座を提供していた。

その企業を経営する中で、2人はあることに気付いた。そうした零細企業や中小企業で働く従業員たちは、退職金や医療給付だけを欲しているわけではなく、日常生活により適した特典を求めていたのだ。例えば、Netflix(ネットフリックス)、Amazon(アマゾン)あるいはHulu(フールー)のサブスクリプション、Uber(ウーバー)の乗車、Grubhub(グラブハブ)での注文、またはInstacart(インスタカート)の配達といった、柔軟な福利厚生パッケージを提供する会社が存在しないことに気がついたマレー氏とピース氏は、自分たちでそうした会社を起業することにした。

彼らはビジネスを成長させる過程で、パートナーシップの担当副社長としてIsaiah Goodall(イザヤ・グドール)氏、業務の副社長としてChris Luhrman(クリス・ラーマン)氏、そして製品の責任者としてAndrew Dunlap(アンドリュー・ダンラップ)氏を始めとする大学の友人たちを引き込んだ。

ピース氏とマレー氏は、2018年に事業を開始し、現在では100以上のデリバリーサービス、エクササイズアプリ、クリーニングサービス、その他の特に便利なアプリを提供している。

雇用主は、従業員1人当たり月5ドル(約530円)を支払い、従業員がサブスクリプションサービスに使うことができる50ドル(約5300円)から200ドル(約2万1400円)の間の給付金(福利厚生パッケージの総額から差し引いても差し引かなくてもいい)を設定する。

「新型コロナウイルスのパンデミックに伴う大規模なオフィス閉鎖と主要米国企業の在宅勤務命令によってオフィスカルチャーが変化したために、雇用主に対して売り込みやすいものとなったのだ」とピース氏は語る。

「オフィス内での特典や、ジム、マッサージスパなどのほとんどの『オフィス外』の特典もすべて無効になり使えなくなっています」とピース氏は書く。「多くのCEOの方々が『WFH(在宅勤務)をずっと続ける』と表明している中では、ポストコロナとなっても、そうした既存のオフィスカルチャーの重要性は減っていくことでしょう。つまり企業はオフィスカルチャーをパッケージ化して、自宅へと発送する方法が必要であることを意味しています。Fringeはこれに完全に対応できる立場であり、ソリューションを提供しようとする際に真っ先に頭に浮かぶ名前になることを決心しています」。

ピース氏はこれを、従業員向けの福利厚生サービスの進化における次のステップと考えている。彼はその起源を、民間による健康保険と401k退職金制度の開発まで遡って語った。「それから40年が経って、ライフスタイルに目を向けた福利厚生が最新のブレークスルーとなりました。そしてこれまでのプランと同様に、この新しい福利厚生は今後5年の間にほぼ普遍的に採用されるようになるでしょう」とピース氏は書いている。
画像クレジット: Bryce Durbin / TechCrunch
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(翻訳:sako)

「泥臭いことも全部やる」新型コロナ影響下でHRテックのROXXが9億円調達

人材採用関連サービスを提供するROXX(ロックス)は5月18日、グローバル・ブレインと日本郵政キャピタルを引受先とした、総額9億円の第三者割当増資を発表した。今回の資金調達は今年2月発表の総額5億円の調達に続くもので、シリーズBラウンドに当たる。同社の累計調達金額は約20億円となった。

求人DBとしての価値向上、中長期で人材紹介を支援

ROXXは現在、人材紹介会社向けのクラウド求人データベースサービス「agent bank(エージェントバンク)」および月額定額制のリファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」を提供している。

2018年5月に正式リリースされたagent bankは、人材紹介会社が月額利用料のみで利用できる、求人データベースと業務管理ツールのクラウドサービスだ。成功報酬に対する手数料不要で、自社で抱える転職者をデータベース掲載企業に紹介することができる。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、4月に緊急事態宣言が出てから人材紹介会社を取り巻く状況は「売り手市場から真逆の環境に一気に変わった」とROXX代表取締役の中嶋汰朗氏は話す。「人材がいればすぐに紹介先が決まるという状況から、今は採用を続けている企業を探し回る、売り先がない状況。掲載求人情報は一時、2400件から1600件まで落ち込んだ」(中嶋氏)

ただ、そうした厳しい状況ゆえに、人材紹介会社から見ると求人データベースとしてのagent bankの価値は上がっていると中嶋氏は続ける。

「新型コロナ対策支援として、利用料を3カ月無料でサービスを提供するキャンペーンを実施したこともあって、5月だけで200社から問い合わせがあった。これは今までの年間契約社数と同じ数字だ。サービスローンチから2年経ち、昨年比で見ればほぼ全ての数字が2倍に伸びた。4月には人材会社から求人企業への紹介件数が、初めて単月で1万件を超えており、プラットフォームとしてはどんどん大きくなっている」(中嶋氏)

採用を絞る企業が増える中で、紹介先企業、求人件数を増やすことは、同社にも課題となっている。5月の大型連休明けからは若干回復傾向も見えるものの、「『オリンピック後に景気が悪化しても採用を続ける』と言っていた企業でもコロナ禍で採用をストップしたところもあり、予断は許さない」と中嶋氏はいう。

ただし、同社が対象としているのは人手を必要とする労働集約的な業界・職種が中心だ。「中長期的に見れば、まだまだ採用は続く。非正規や中卒・高卒といった領域の求人紹介はほかのプレイヤーも少ない。今は先行きが分からず採用を止めている企業も多いが、この時期にも採用を続けている企業もそれなりにある。5〜6月は厳しい状況が続くかもしれないが、連休明けに動きが出ていることもあるので、乗り切りたい」(中嶋氏)

リファレンスチェックサービスは非対面の面接と相性よい

かたやリファレンスチェックサービスのback checkのほうについては、「対面で面接ができない環境との相性はいい」と中嶋氏は述べている。

back checkは、面接や書類からだけでは見えにくい採用候補者の経歴や実績に関する情報を、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得できるサービスだ(チェックは採用候補者本人の同意を得て行う仕組み)。採用予定の職種・ポジションに合わせて数十問の質問を自動生成し、オンライン上でリファレンスチェックを実施できる。

「新型コロナ感染症の影響が落ち着いても、リモート面接を取り入れる動きは元には戻らないだろう。採用候補者の見極め材料の不足を補うツールの必要性は、今まで以上に増してくる。ここはチャンスと捉えて、マーケットを作っていけるかどうかの正念場だ。『働く場所はどこでもいいから優秀な人材を探そう』という動きや副業、時短勤務も進むはず。そういう人材採用で使えるリファレンスチェックのツールとして、back checkの活用頻度はより増えていくのではないかと考える」(中嶋氏)

今回の資金調達は、新型コロナ感染拡大による影響が広がるさなかの2月〜4月にかけて交渉が進んだという。中嶋氏は「2社とも、約2カ月と短い時間で検討を進めてもらい、調達実施を決めることができた。前回と今回の調達資金については、アグレッシブに使うというよりは、体力が続く間で改めてやれること、投資対効果が合うものに絞って事業を伸ばすつもり」と語る。

「短期的な売上を作るより、提供金額などの敷居を下げて、体験してもらう数を最大化する。広告に投下するのではなく、例えばback checkについては1候補者あたり1000円で試用できるプランを期間限定で提供するなど、試してもらって、その後契約してもらえる流れをまずは作る。今後もいろいろなキャンペーンやプランを、タイミングを見ながら変更しつつ打ち出していく」(中嶋氏)

「スタートアップは本来、大企業より身軽でスピード感を持ってやれるはず」という中嶋氏。「この時代に即したやり方にすぐに変えていけるのが強みのはずなので、改めてスタートアップとして、この機会を成功に変えなければと思っている。資金調達によって、またチャンスをもらえたことに最大限感謝しつつ、泥臭いことも全部やっていくつもりだ」と話している。

「今までのモデル通りで伸び続けるというわけには行かないと思うので、再度足元を整える。ついつい勢いの中で進んできてできていなかったこと、自分たちが本来向き合わなければならないところに対して、今なら精いっぱい時間を使えると思うので、向き合っていこうと思う。今後の時代に合わせた事業モデル、顧客ターゲットに変えていくために、今も手を打っているところ。多少の痛みは伴うが、モデルの変換や組織体制変更など、対応していく」(中嶋氏)

ROXX代表取締役 中嶋汰朗氏

AWSの上級役員技術者が社員の解雇に抗議してAmazonを退社

Amazon(アマゾン)では、メーデーのストライキに参加するために病欠をした労働者が多かったが、その中でTim Bray氏は、彼の同社での最後の日を過ごしていた。Amazon Web Servicesの副社長で「勲功技術者」(Distinguished Engineer)の称号を持つ」彼は今日(米国時間4/29)、5月1日はこのリテール大手における彼の最後の日であると発表し、批判的な発言をする社員をAmazonが解雇したことに言及した。

XMLの共同作者としていちばんよく知られていると思われるBray氏は、Amazonで5年あまりを過ごし、その前はGoogleとSunに在籍した。自分の記事の中で彼はAmazonを「これまでで最良の職場」と呼び、そのあとで、労働運動を組織したEmily Cunningham氏とMaren Costaly氏が解雇されたことを忍耐の限界と指摘している。

関連記事: アマゾンが従業員2人を追加解雇、パンデミック発生時の労働条件を批判

Costa氏とCunningham氏は、解雇がAmazonの環境に関する履歴やCOVID-19の危機の間における従業員の取り扱いを批判したことと直接関連していると述べているが、当然ながら同社はその関連を否定して、「われわれはこれらの社員を内規違反を繰り返したために解雇した」と言っている。

[Tim Bray: 金曜日はAmazonにおける私の最後の日だった。[サーバーがちょっとオーバーヒートしてるが、放っておこう。すぐ終わるから。]]

Bray氏はどうだったかというと、彼は公式のチャネルを通じて自分の懸念を述べたが、結局は辞めることになった、と言っている。

Bray氏はこう説明している: 「そうなった以上、Amazonの副社長として残ることは、自分が忌み嫌う行為を黙認することになる。だから、辞めた。被害者は抽象的な実体ではなく本物の人間だ。名前もある。Courtney Bowden、Gerald Bryson、Maren Costa、Emily Cunningham、Bashir Mohammed、Chris Smallsなどなど。全員が非白人または女性またはその両方なのは、確実に偶然だ。そう思いたいね」。

関連記事: Workers prepare to strike May 1, amid strained pandemic working conditions…パンデミックの不当な労働条件で5月1日に労働者たちがストを計画(未訳)

Bray氏の記事は、彼が役員として仕える企業の公正でない権力構造の告発だ。その記事は主に、全世界のAmazonの倉庫における措置にフォーカスしており、COVID-19への対応と、同社が間違いなく一つの役を演じてきた後期資本主義に関する広義の不平や苦情の両方に関わっている。彼はその措置を、彼自身がそれまでいた事業部であるAWSと比較している:

私が働いたAmazon Web Services(同社の「クラウドコンピューティング」部門)は、それとは全然違う。そこは労働者を人間的に扱うし、ワーク/ライフバランスにも努め、ダイバーシティの針を動かそうと苦労している(ほとんど失敗だがでもどこでもそうだ)。そして、大体のところ、倫理的な組織だ。私はそのリーダーシップを心から賞賛している。もちろん、ワーカーたちには力がある。平均給与はきわめて高く、気に入らない者はその日のうちに別の会社で、同額かまたはそれより高い給与の仕事を得られる。

Amazonは、コメントを拒否した。

画像クレジット: ANGELA WEISS/AFP / Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ニューヨーク州司法長官がAmazonのCOVID-19対策を「不適切」「ぞっとする」労働方針と呼ぶ

報道によると、ニューヨーク州の司法長官事務所がアマゾン(Amazon)に送った厳しい内容の書簡で、同社がCOVID-19パンデミックに際して採った措置は「きわめて不適切で、労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act)のいくつかの規定に違反しているおそれがあり」、そしてまた、率直な発言をする労働者を解雇したことは「他の社員への脅しのメッセージ」を送っている、と述べている。

その、まだ公開されていないがNPRが入手した書簡は、本誌も今司法長官事務所に確認を求めているが、情報のみで法的行為は含まれていない。しかしその言葉は、次のステップが法的行為であるかのような、厳しさに満ちている。

今調査を継続しているが、これまでに得た情報からは、COVID-19パンデミックに対して採ったAmazonの健康と安全に関する措置がきわめて不適切で、労働安全衛生法の複数の条項に違反しているおそれがあるとの懸念を喚び起こすものである。

これらはまさしく、過去2か月にわたって多くの倉庫労働者が指摘した懸念だ。自分が働いている施設の労働条件について抗議したChris Smallsは、3月に解雇された。

—ツイート訳—
[ニューヨーク州司法長官事務所James: パンデミックのさなかにChris Smallsと彼の同僚たちは、社員保護の欠如に勇敢にも抗議し、そして解雇された。現在すべての法的オプションを検討中であり、労働関係局に調査を求めている。Amazonよ、恥を知れ。]
[フィナンシャル・タイムズDave Lee: Amazonはスタテンアイランドのフルフィルメントセンターで抗議活動を組織したChris Smallsを解雇したが、解雇理由は社会的距離への違反と他の社員を危険にさらしたこと、としている。]

Amazonは、Smallsは労働者を 扇動したから解雇されたのではない、と言っている。しかし報道によると、Jeff Bezosが同席する会議で同社の法務部長が、「いつも話題になる労働者の安全の問題」に彼を結びつける前に、彼を「組合結成と労働者組織化運動全体の顔に」してしまえ、と示唆した。

(Amazonはこれらのコメントが言われたことを確認も否定もしなかったが、言ったとされる当人のものか不明な謝罪文を送ってきた。)

2週間後にはさらに、発言の多い2人の社員が、「数度にわたる内規違反」で解雇された。当然ながら、その理由付けはいつもどおりだ。

ニューヨーク州司法長官事務所の書簡は、「不法な報復」の可能性を調査中と言い、その根拠を次のように述べている:

Smalls氏の解雇のあと、多くの労働者が、彼らの懸念について発言することを恐れるようになった、と伝え聞いている。これは、パンデミックの間に送るメッセージとしては特別に危険であり、健康と安全に関する社員の発言を抑えることは、文字通り生と死を分かつ問題である。

Amazonはいつものように、同社は労働に関しては模範生だ、と抗議している。つまり同社はいつものように、Smallsのような労働者の言うことに矛盾している。彼らはその労働の現実を同社の倉庫で実際に体験したのだ

AmazonはNPRに対しても、いつもの論点を繰り返している: 「Amazonの健康と安全について他と比較することを、全員に奨励している。危機に際しての対策の実装の速さも、他のリテイラーと比べていただきたい」。司法長官は、同社のこの誘いに乗る気のようだ。

関連記事: 有給休暇の要求で団結したAmazonの倉庫従業員を新型コロナが後押し

関連記事: Report alleges Amazon worked with Indiana to downplay warehouse worker’s death and safety concerns…アマゾンが倉庫労働者の死を隠蔽か(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

転職に積極的でない人を見分けて企業を支援する「HireSweet」

いい採用候補者がいると思っても、その人は実は今すぐ転職したいわけではないかもしれない。フランス・パリを拠点とし、Y Combinatorの現在のスタートアップクラスに参加しているHireSweet(ハイヤースイート)は、ぴったりの人材であっても積極的に職を探してはいない人を見分けることで企業を支援しようとしている。

ほかの多くの採用プラットフォームと同様に、HireSweetも最初は評価ツールに取り組んでいた。しかし、企業が直面している問題は実は評価ではなく、適切な候補者の洗い出しだと気づいた。

同社の共同創業者でCEOのRobin Choy(ロビン・チョイ)氏は筆者に対し「そこで我々はバリューチェーンを少し進化させ、エンジニア採用を支援することにした。エンジニアの市場では興味深いことに、多くの人は積極的には仕事を探していない。プログラミングに関するQ&AサイトのStack Overflowの数字によれば、候補者のうち応募後に転職するのは15%で、60%は新しいチャンスに関心はあるものの積極的に仕事を求めてはいない」と述べた。

こうした候補者の採用活動には、企業はまず消極的な人を見分け、それから候補者に対して働きかけることが不可欠だ。これは、候補者が採用に応募するのと同じだ。これまでリクルーターは、LinkedInGitHubを見て、このようなことを人力でやっていた。あるいは社外のエージェントに依頼していた。

HireSweetはこのプロセスを自動化している。候補者になるかもしれない人がウェブで公開しているプロフィールをシステムが検索し、その情報を採用する企業に送る。これはチョイ氏が言うように、単に時間を節約するだけではない。「情報がたくさんあるおかげで、我々は人間なら見逃してしまうようなパターンを検出することができる。例えば、誰かがLinkedInで経歴を更新したことや、LinkedInの経歴とGitHubでの活動に齟齬があることを検出できる。こうしたことは、その人が転職に興味を示している可能性があることを表している」と同氏。

HireSweetは、競合他社と比べてずっと精度が高いことを誇っている。チョイ氏によれば、同社の顧客の一部は80%の精度があると見ており、これによりHireSweetは候補者の接触率が80%と定義している。機械学習の技術を取り入れているが、古き良き正規表現も多く活用している。履歴書に「フリーランス」と書いてあれば、その人が本当にフリーランスであることを予測するアルゴリズムを構築する必要はないのだ。

HireSweetは新規顧客が利用を開始する際にきめ細かい対応をしている。チョイ氏は次のように説明する。「我々はしょっちゅう企業と電話で話している。その企業が何を求めているかを真に理解したいからだ。それに、公開されている職務内容が、採用しようとしている人の実際の職務内容と一致していることはきわめて稀だ。このことを我々はここ数年で具体的に学んだ。だから、企業とたくさん話すようにしている」。

多くの企業がすでに採用ツールを提供しているため、HireSweetはそうしたツールとの統合手段を多数用意している。チョイ氏が筆者に語ったところによれば、さらに多く、そして深く統合できるように機能を拡張する計画だという。

HireSweetは3年半ほど前からこのプロダクトに取り組んでいる。2年前には150万ユーロ(約1億8000万円)を調達した。現在の社員数は30人で、BlaBlaCar、Dashlane、Nokiaなどを顧客として獲得している。ヨーロッパの市場に集中していたが、現在は米国に進出し、約100社の顧客を獲得した。これは、米国企業の採用方法や働く人の転職方法にシステムを対応させるということでもある。採用や転職の方法や国によってかなり異なる。チョイ氏は、これからは米国でのロードマップに集中し、そのイノベーションを将来的にヨーロッパに持ち込む可能性が高いと述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

HRテックのROXXがサイバーエージェントなどから総額5億円を資金調達

写真左から、サイバーエージェント社長室 投資戦略本部 本部長 近藤裕文氏、同社経営本部 M&A・投資育成部 関口秀明氏、ROXX代表取締役 中嶋汰朗氏、サイバーエージェント社長室 投資戦略本部 藤田ファンド担当 坡山里帆氏

人材採用関連サービスを提供するROXXは2月19日、サイバーエージェント、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先として、総額5億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の資金調達は、2019年7月発表のパーソルキャリアと既存株主からの約3.7億円の調達に続く、シリーズBラウンドに当たり、同社の累積調達額は約12億円となった。

ROXXは現在、月額制のリファレンスチェックサービス「back check」と、求人流通プラットフォーム「agent bank」を提供している。

2018年5月に正式リリースされたagent bank(旧SARDINE)は、人材紹介会社のための求人データベースと業務管理ツールのクラウドサービスだ。月額利用料のみ、成功報酬に対する手数料が不要で、2000件以上の求人に対して転職者を紹介することができる。利用ハードルの低さから、累計400社以上のエージェントがagent bankを利用しているという。

また求人企業の側も、完全成功報酬型で募集求人を何件でも無料で掲載可能。成功報酬は求人ごとに自由に設定でき、従来の人材紹介より低コストで採用が可能になっている。このため、大手企業からスタートアップまで、幅広い規模と業種の求人を集めるようになっている。

リファレンスチェックのback checkは、面接や書類からだけでは見えにくい採用候補者の経歴や実績に関する情報を、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得できるサービスだ。採用予定の職種・ポジションに合わせて数十問の質問を自動生成し、オンライン上でリファレンスチェックを実施できる。

back checkには、候補者の前職における勤怠・対人関係といった基本的信頼性を可視化するスコアリングや、性格診断による職務適性チェックといった機能が備わっており、独自のデータ分析により、入社後のパフォーマンスを総合的、客観的に分析・予測することが可能となっている。レポートに表示される適正を踏まえて、面接での確認事項や、配属先検討の際の組織やメンバーとの相性を考えるための参考とすることができる。

back checkの利用料は月額定額制で、従来のリファレンスチェックサービスに比べて10分の1程度の費用でチェック実施が可能。2019年10月の正式リリースから、2020年2月現在、累計導入企業数が300社を超えた。今回、藤田ファンドからROXXに出資を行うサイバーエージェントも、サービス利用企業の一社だ。

今回の資金調達により、ROXXではagent bank、back checkの各プロダクトの強化と、これにともなう採用強化を図るとしている。ROXX代表取締役の中嶋汰朗氏は「昨年比でagent bank事業は主要KPIがすべて300%超の成長を実現していることに加えて、新規事業のback check事業においては導入企業様の採用フローにリファレンスチェックが確実に浸透している」として、「今回の資金調達は両事業のさらなる成長を加速させることを目的としたラウンドと位置づけている」と述べている。

今後、agent bank事業については、前回のリード投資家で資本提携先でもあるパーソルキャリアのアセットと自社の事業開発力を掛け合わせ、人材紹介の領域拡大を牽引するサービスとなるよう、投資を行うと中嶋氏。「2030年には640万人もの人手が不足すると予測されている中で、中長期で成長し続けるROXXの主力事業とする」(中嶋氏)

またback check事業については、「タクシーCMの公開や導入実績の増加により、リファレンスチェックそのものの認知が拡大されているのを感じているだけでなく、実際に採用のミスマッチを防ぐことができたという事例が日々増えている」と中嶋氏はいう。「日本全体で転職へのネガティブなイメージが払拭され、キャリアの多様化が進むに伴って、採用企業において必要とされるツールになると確信し、事業部全体に対して投資を強化する判断をした」(中嶋氏)

中嶋氏は「前回の調達をきっかけに大手人材会社の経営や事業構造に数多く触れる機会を得て、業界構造の負をインターネットサービスで解決できる領域がまだまだ残されていることに気づいた」と述べ、「決して既存の文化を壊すのではなく、踏襲した上でより良い形を実現することが私たちROXXの役割だと認識した。20年、30年とサービスの価値が上がり続ける事業になるよう、引き続き尽力する」とコメントしている。

ギグワーカーの活動家たちが仲間を支援する非営利団体を立ち上げる

著名な活動家ギグワーカーであるVanessa Bain氏(ヴァネッサ・ベイン)と、活動家仲間のSarah Clarke氏(サラ・クラーク、仮名)が作ったGig Workers Collectiveは目下、公益法人の登記を申請しているが、その望みは大きい。

「ギグワーカーが賃金カットなどの問題に遭遇したときの最初の相談窓口になりたい。ここに来れば安心という場所にしたい」とクラーク氏は本誌にそう語った。

同団体の計画は、ギグワーカーの公正な賃金と待遇改善を目指して戦い続けることだ。Instacartのショッパーでも、UberやLyftのドライバーあるいはPostmatesやDoorDashの配達員であっても、ギグワーカーが自分たちを効果的に組織化でき、苦情を申し立て、そして自分たちの権利代表者であれるようにしたい。

クラーク氏は「ヴァネッサと私はこれまで4年間、ギグワーカーのための団体を作ろうと努力してきた。週に40時間、ギグワーカーとして働きながらそのために活動してきた。団体活動に専念できたら、もっといろんなことができるだろう」と語る。

ベインとクラーク氏は数年間、いくつかのキャンペーンを主導してきた。最近のものは、Instacartに抗議する6日間の全国キャンペーンだ。2019年はチップや謝礼の扱いの改善を求める72時間のストライキを敢行した。

現在、同団体は5名のギグワーカーの役員と、同じく6名のギグワーカーの協力者で構成されている。

さらにクラーク氏は「資金があれば、お金がかかることもできる。今は何もかも、私たちのポケットマネーでまかなっている。適切な資金を得て、キャンペーンのワーカーたちに給与を払いたい」と話す。

というわけで、この若い団体の次のステップは資金の獲得だ。ただし紐付きの資金は困るため相手を選ぶのが難しい、という。

彼女によると、ワーカーファーストで考えないと何ごともうまく行かないそうだ。

関連記事: The year of the gig worker uprising…2019年はギグワーカーが起ち上がった年だ(未訳)

画像クレジット: The Washington Post/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

潜在的な採用候補者を可視化するタレントプール「HERP Nurture」ベータ版公開

社員主導型のクラウド型採用管理システム「HERP Hire(旧サービス名 HERP ATS)」を運営するHERPは1月20日、社員の知り合いの潜在的な候補者をデータベース化・可視化するタレントプールサービス「HERP Nurture」のベータ版提供を開始した。

既存サービスのHERP Hireは、採用担当だけでなく、現場社員も含めた全社で採用活動に取り組みたい企業のための採用管理プラットフォームだ。複数の求人媒体と情報を自動連携して一括管理でき、Slackなどとの連携により現場メンバーとの迅速な情報共有を支援。社員が積極的に採用活動に参画できるように促す。2018年1月にベータ版、2019年3月に正式版がリリースされたHERP Hireは、2020年1月現在、導入企業数200社を超えた。

HERP代表取締役CEOの庄田一郎氏によれば、導入社数が増えていく中で、「選考課程に入った候補者を対象にした採用管理ツール(ATS)と、社員とつながりのある潜在的な候補人材(タレント)のリストやタレントプール管理ツールとが連携していない」という悩みを聞くようになったという。

「HERP Hireもそうだが、求人媒体やエージェントの情報と連携する採用管理ツールはある。しかし、社員の持つ人材情報は独立したチャネルとなっていて、連携していなかった。でも(社員主導型採用を進める)HERP Hireから見れば、社員からのチャネルも媒体やエージェントと同じく、大切なチャネルだ。連携を前提としたサービスがないなら、いずれ他社のタレントプール管理ツールと連携するとしても、まずは自分たちで作ろう、ということになった」(庄田氏)

今回リリースされたHERP Nurtureは、こうしてHERP Hire導入企業からのニーズに応えて、構想・開発された。HERP Nurtureでは、タレントをリストに登録して、職種や優先度ごとにタグ管理が可能。タレントの転職状況やアプローチの履歴をHERP Nurtureに投稿することで、彼らへのアプローチを可視化することができる。投稿内容はリアルタイムでSlackに通知されるので、最適なタイミングで、タレントへの最適なコミュニケーションを取ることが可能となっている。

1月中には、選考を開始したタレント情報をHERP Hireへシームレスに連携する機能も追加される予定。その他、イベント管理媒体との連携や、SNS連携によるタレント登録など、下記のような機能が搭載される。

HERP Nurture機能一覧(各機能の本格リリースのタイミングは未定)

今後、他社サービスとも順次連携していくというHERP Nurture。ベータ版リリース時点では、下記サービスとの連携が予定されている。

・ダイレクトリクルーティング採用プラットフォーム「Eight Career Design
・PR活動支援サービス「PR Table
・知人紹介プラットフォーム「Spready
・IT勉強会・セミナー等の情報検索サービス「TECH PLAY
・副業・転職のリファラル採用プラットフォーム「YOUTRUST

庄田氏は「社員のつながりによるタレントプールを活用しやすくすることで、社内の協力を得て、リファラルで採用成果が出るようになれば、社員主導型の採用、スクラム採用がカルチャーとして広がっていく。HERP NurtureとHERP Hireは、そのためのプラットフォームだ」とHERPのプロダクト開発スタンスについて語る。

「現状では、人事担当者は実際の面接スケジュールに乗っている人に対応するだけで精一杯。また現場社員は目の前に仕事に追われ、リファラル採用の候補者を紹介している時間が取れないのが実態だ。HERPのプロダクトで採用成果を上げてもらうことで、社員主導の採用に対するマインドを底上げしたい」(庄田氏)

また庄田氏は「採用マーケティングも、他のマーケティングと同様にマーケティングオートメーション(MA)が可能だと考えている」と話している。

「CRM・SFA・MAと同じように、タレント管理ができて、候補者の入社への意欲が可視化され、それぞれの候補者のフェーズにあったコンテンツが自動的に配信できるのが理想の姿。自動化というと、人事・採用とはそぐわないと感じる人もいるかもしれないが、効率よく、最適なタイミングでコミュニケーションを取れれば、採用担当も現場も本来やるべきことに集中できる。もちろん採用では、最後は人と人が面接して決定していくことになるのだが、自動化も取り入れることで、採用活動全体の効率化を価値として提供したい」(庄田氏)

人事評価クラウドのHRBrainが約6億円調達、累計調達は12億円に

人事評価クラウドサービス「HRBrain」を開発・提供する株式会社HRBrainは1月17日、シリーズB投資ラウンドで約6億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引受先はスパークス・グループが運営する「未来創生2号ファンド」。

同社は2016年3月の創業のスタートアップで、TechCrunch Tokyo 2017のスタートアップバトルにも登壇した経験を持つ。2017年12月のシリーズAラウンドでジェネシア・ベンチャーズ、BEENEXT、KSK Angel Fund、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資で2億円を、2019年10月にはシリーズBラウンドで三谷産業、サイバーエージェント(藤田ファンド)、みずほキャピタル、JA三井リースを引受先とした第三者割当増資により約4億円をそれぞれ調達しており、今回を合わせると累計調達額は12億円となる。

HRBrainは、従業員の目標設定から評価までプロセスのすべてをクラウド上で効率化し、組織の生産性や目標達成力を高めるサービス。2017年1月にリリースされ、現在は650社を超える顧客を獲得しているという。今回調達した資金は、機能・マーケティング体制の拡充と、将来に向けた事業基盤の強化を図るとのこと。

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