Baiduが日本向けの検索をひっそりと終了、ただしSimejiや広告事業などは継続

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すでに複数のメディアで報じられているとおり、百度が日本での検索エンジンの提供を終了した。ネット上ではほとんど話題になっていなかったような気もするが、同社の広報を代行しているPR会社経由で確認したところ3月の時点でサービスを終了しているとのこと。現在「www.baidu.jp」にアクセスすると、百度のコーポレートページが表示される。

ただし、百度自体が日本を撤退する訳ではない。昨年物議を醸した日本語IMEの「Simeji」は、3月にiOS向けの有料アプリ「Simeji Pro」を提供。4月にはAndroid向けに月額240円のプレミアム機能の提供を開始したばかり。

また、訪日中国人旅行者の誘致に向けた広告の取り扱いや国内で利用できるSIMカードの提供など、インバウンド需要にまつわる各種サービスを展開しており、こちらに関しては継続していくとのこと。

ビジネスチャットシステムを手がけるChatWork、GMO-VPから3億円の資金調達

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国産のクラウド型チャットシステム「ChatWork」を提供するChatWorkが資金調達を実施した。同社は4月27日、GMO VenturePartnersを引受先とした総額3億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の調達をもとにエンジニアの採用や新機能開発、プロモーション、アライアンスパートナーの開拓を進める。

ChatWorkは2000年の設立(当時の社名はEC Studio)。これまで一貫して自己資金でサービスを運営し、14年間黒字での経営を行ってきたという。なおプロダクトとしてのChatWorkは2011年3月のリリース。キャッチコピーは「メールの時代は終わりました」というなかなか過激なモノだった。すでに米国にも進出し、子会社ChatWork Incをシリコンバレー置いている。今後は日米あわせて積極的な採用を実施する予定。国内については、現在35人の社員数を2〜3年で100人以上まで拡大するとしている。

ChatWorkは現在、中小企業や大企業、教育機関、官公庁など約6万6000社、世界183カ国で利用されている。とはいえクラウド型のチャットシステムは競合も多い領域。スタートアップだけ見ても海外のSlackHipChat、国内のTalknoteco-meetingなどがある状況だ。

有名人が埋もれた商品を発掘、ネットコンシェルジェが2億円調達でショッピングSNS強化

cart01ショッピングモールに出店していない“独立系”のECサイトを集め、ユーザーごとに商品をレコメンドするショッピングSNS「#Cart」がスタートした。

出店するのは、アパレルブランドや百貨店から地方のネットショップまで、大小合わせて約2000店舗。商品を知ってもらうきっかけとなるのは、「公式ユーザー」として参加する100人以上の有名人の存在だ。有名人が商品をピックアップすることで、購買につながる可能性が高まるという。

モデルやアーティストがキュレーターに

公式ユーザーは紗栄子や高垣麗子といった女性モデル、イルマリや大沢伸一といったアーティストなど約100人が参加。各方面でコアなファンを持つ有名人が、キュレーターのような役割で商品を紹介する。

ユーザーは会員登録すると、性別や年齢、閲覧ページ、有名人を含むフォローしたユーザーや店舗に応じて、タイムラインに表示される商品レコメンドの精度が高まる仕組みだ。

例えば、なんとなくイケてるスニーカーを探す場合、好きな有名人がオススメするスニーカーがヒットしやすくなり、それとは反対に、おっさんのユーザーのタイムラインにファンシー雑貨が表示されることはないということだ(ファンシー雑貨が好きなおっさんであれば別だけど)。

商品を購入すると、各ECサイトのポイントと別に、商品券と交換可能な「#Cartポイント」が貯まる。

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無名の「あずきパイ」が完売

かつて#Cartは「People & Store」という名称で2014年1月に公開。参加する有名人の知名度もあり、13万ユーザーを獲得した。女性誌「VERY」専属モデル・滝沢眞規子が紹介した青森県のあずきパイが完売するなど、「無名店舗を発掘する流れができた」とサービス運営元のネットコンシェルジェ尼口友厚社長は語る。

公式ユーザーとなる有名人は同社スタッフの人脈で声をかけ、いずれもノーギャラで参加していたが、5月以降は金銭的なメリットも提供する。具体的には、店舗が有名人に商品提供を依頼できる機能を追加し、有名人が商品を紹介した場合に手数料がもらえるようにする。

現時点で#Cartに出店する店舗は初期費用、月額利用料、アフィリエイト料も含めて無料。5月以降は有料プランを用意し、月額費用に応じてネットコンシュルジェに支払うアフィリエイト料率が変わる予定。無料プランは5月以降も引き続き提供する。

独立系ECを束ねて「打倒・楽天」

今や、BASEやSTORES.jpのようなサービスを使えば、専門知識がなくてもECサイトを構築できるようになった。その反面、集客に悩むECサイトは少なくない。集客手段としてはリスティング広告やアフィリエイト広告があるが、「前者は費用が安いが素人には運用が難しい。後者は初期費用が10万円前後で、成果報酬費もかかる」と、尼口氏は気軽に使えるマーケティングツールがなかったと指摘する。

尼口氏が競合と見ているのは楽天だ。「ECサイトにとって楽天の費用が安くないが、選択肢がないので出店している状況。楽天に不満を持つ店舗を束ねることができれば、打倒・楽天も非現実的ではない」。4月27日には、アーキタイプベンチャーズとフューチャーインベストメントを割当先として、総額約2億円の資金調達を実施。今回の資金調達により人材採用を強化し、有名人やECサイトを開拓する。

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ネットコンシェルジェ提供

 

Wantedlyの連絡帳ツール「Sync」は広く浅い人脈を持つウェブ業界人がターゲット

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イベントでいろんな人と会ってFacebookでつながったものの、いざ連絡しようとしても名前が出てこない……。ウェブ業界で数多くのイベントに参加してる人なら、こうした経験は1度や2度はありそう。そんな人を対象にしたビジネス連絡先管理ツールが「Sync」だ。ウォンテッドリーが本日リリースした。

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名前が思い出せなくても会社名で探せる

サイト上で名前や会社名を入力すると、ソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」に登録している60万ユーザーを検索できる。それ以外の人は手入力で連絡先に追加する。

便利なのは、会社名で人を探せること。Facebookは会社名で友人を検索できないが、Syncは「社名は思い出せるのに名前が出てこない」人でも見つけられるわけだ。

たとえFacebookでつながってなくても、会社名さえ一致すれば、Wantedlyに登録済みの全社員が検索結果に出てくる。さらに言うと、過去の経歴でその会社名を登録している人さえも探すことができる。こうした仕組みは名刺管理サービス「Eight」とも似ている。

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検索でヒットした人には、自分だけに公開されるメモを入力できる。例えば「○○のイベントで会った」と入力しておけば、イベント名でも探せるので、かすかな記憶をもとに思い出せそう。コンタクトを取りたい人に対しては、SyncやFacebookメッセンジャーでやりとりできる。

利用するには、Wantedlyの会員登録が必要となる。

「ウェブ業界でつながりたい人はほとんど見つかる」

Wantedlyは昨年5月、iPhoneに登録した連絡先を「仕事」「友人」「家族」などとグループ分けでして管理できるiPhoneアプリ「CONTACT」をリリースしている。このアプリもSyncと同様、Wantedlyに登録している会社名から連絡先を探せるのだが、ウォンテッドリーの仲暁子社長は「ターゲットが大きく違う」と話す。

彼女によれば、CONTACTは「比較的ITリテラシーが低いユーザー」が対象という。「新しいつながりがたくさんできるわけではないですが、ガラケー時代から連絡先を管理するのが好きで、それをスマホになった今でもやっている、というようなペルソナです」。

一方、Syncは「Facebook上で薄いビジネスのつながりが増えたウェブ業界の人」がターゲットだ。「Wantedlyはウェブ業界を中心に月間60万人が利用しているので、つながりたい相手はほとんど見つかります。名前を検索してタグ付けし、記憶の引き出しにしまう。そんな新しいつながり管理を提案したいです」。

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在庫リスクなしでレコードもデジタル音源も販売できる「Qrates」がアーティストのビジネスを変える

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トウキョウ・デジタルミュージック・シンジケイツ(TDMS)は4月24日、アナログレコードの販売やデジタル音源のダウンロード販売、ストリーミング試聴ができるプラットフォーム「Qrates」を正式オープンした。

伸びるアナログレコード市場とその課題

最近、アナログレコードの販売枚数がまた伸びているらしい。そもそもCDが音楽メディアの主流となったのが1999年頃だそうで、そこからレコードの販売量が減少。DJやオーディオマニアをはじめとした根強いファンが市場を支えているものの、存在としてはマイナーなものになっていった。

でも今じゃデジタル音源のダウンロード販売がCDに取って代わろうとしている状況。そんな動きの反動か、今度はアナログレコードの価値が音楽ファンから見直されている。もちろんCDやダウンロード販売のからすれば微々たる数字であるが、アメリカとイギリスでは2007年頃から再び売上が増加。アメリカでは2014年、アナログレコードの販売枚数は前年比52%増の920万枚になった。これは過去20年間で最も大きい数字だとか。

Infographic: The LP is Back! | Statista

米Statistaが発表したアメリカのレコード売上の推移(2013年まで)

 

日本でもレコード人気は再燃しつつあるそう(とはいえ2013年で26万8000枚、2013年で40万1000枚さらに小さい数字)。家電量販店なんかを見れば、1万円程度で購入できるスピーカー一体型のレコードプレーヤーなんかも登場している。だが一方で課題もある。それはレコードの製造コストにまつわる話だ。

レコードは素材となる樹脂をプレスし、さらにカッティングして作るわけだけれども、日本でプレスが可能なのは東洋化成の1社のみ。

そこでは最低100枚からのオーダーを受けているが、レコードはロット数が少ないほど高コストになるもの。たとえば300枚程度をオーダーして1500円程度で販売しても、流通手数料や小売り店へのマージンを考慮すると(そもそも小さなレーベルや個人が流通パートナーと組めるのかという課題もある)、オーダーした音楽レーベルは赤字になり、アーティストには利益を還元することすらできないなんてケースもザラ。在庫を抱えるリスクだってある。Qratesはそんな“アナログ回帰”にまつわる課題を、音楽配信やクラウドファンディングの仕組みを組み合わせることで解決しようとしているのだ。

クラウドファンディングで“利益の出る”レコードの販売を実現

Qratesでは、アーティストがサイト上に楽曲をアップロードして、ストリーミングで配信したり、ダウンロード販売したりできる。ここからが最大の特徴なのだが、デジタルデータの試聴や販売に加えて、クラウドファンディングの仕組みを使ったアナログレコードの販売が可能なのだ。予約が集まれば、最低100枚から、在庫リスクを負うことなくプレスオーダーができる。

同社はこのために、チェコのプレス工場と提携しているそうだが、チェコからの空輸料金を差し引いても国内より安価でプレス可能なのだそう。製造原価に加えて販売手数料15%が差し引かれるが、小売り店を通さない直販モデルになっているし、前述の1500円程度、300枚のプレスでもちゃんと利益が出る設計(試算ではこの価格、プレス枚数で販売価格の35%程度が利益になるようだ)になっているんだとか。

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Qratesでは、アーティスト向けに3Dデザインツールも提供しており、ジャケットやラベルなどを自由にデザインすることが可能。また製造枚数や販売単価などをシミュレーションできるマネージメント機能も用意。さらには、アナログレコード購入者向けの特典として楽曲を配信するといったボーナストラックの提供機能なども用意する。

音楽配信を6年、気付いたアーティストの課題

TDMS代表取締役のペ・ヨンホ氏

東京・表参道に拠点を置くTDMSは、これまで音楽配信サービス「wasabeat」を約6年間提供してきた。wasabeatは現在1万社のインディーレーベルと組み、クラブミュージックを中心に100万曲の販売を行っている。だが音楽配信をやればやるほどに、音楽ビジネスに課題や悩みを抱えることになったのだという。

やっぱりアーティストからすればダウンロード販売だけでなく、最終的にはレコードを作りたい。でも自主的に作ったところで儲からないワケだ。そうなると「結局息が続かなくて辞めてしまう。音楽業界不遇の時代を見てきた」(TDMS代表取締役のペ・ヨンホ氏)。

海外ではSoundcloudBandcampのようにアーティストが自ら楽曲をアップロードし、プロモーションや販売をするというプラットフォームが登場しているが、日本にはまだそういった環境もほとんどない状況だ。レーベルではなく、アーティストが自ら発信できる場所——しかもデジタルとアナログ両方のニーズを解決できる場所を作るべく、Qratesが生まれたのだそう。なおTDMSはQratesの提供に先駆けて、IMJキャピタルとエクシングからの資金調達を受けている。

VOYAGE GROUPが専業SSP「Kauli」を14.8億円で子会社化

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VOYAGE GROUPは22日、媒体社の広告収益最大化を支援するSSP事業を手がけるKauliの全株式を取得し、14億8100万円で子会社化することを明らかにした。両社のSSPとしての年間配信インプレッション(imp)数を合計すると月間400億impとなり、日本最大級の規模となるという。

Kauliは2009年2月に創業。翌2010年9月、日本初となるSSP「Kauli」をスタートした。VOYAGE GROUPによれば、Kauliの月間imp数は約150億に上る。2015年1月期の売上高は6億6900万円、営業利益は6300万円。

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VOYAGE GROUPは2010年にSSP「Fluct」を開始。現在は6500以上の媒体が導入し、月間imp数は250億。両社を合計すると400億impを超えるという。Kauliを子会社化した理由については、以下の3つの狙いがあると説明する。

1)SSPとしての配信imp数の拡大
2)Fluctの広告配信アルゴリズムの見直しによる配信単価の向上
3)Kauliの媒体社への配信単価の向上

1)については前述のとおりだが、2)に関してはデータマイニングに強みを持つKauliのノウハウを生かすようだ。3)としては、媒体特性に合わせたサイトの改善提案に強みを持つVOYAGE GROUPのノウハウをKauliに還元するそうだ。「国内SSP市場における売上シェアで圧倒的ナンバーワンを目指す」(VOYAGE GROUP)。

Googleとどう違う? エキサイト翻訳が15年目の機能拡張で専門用語を強化

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オンライン翻訳サービスの老舗「エキサイト翻訳」。2015年8月に15周年を迎えるこのサービスが機能拡充を実施した。8系統106分類の分野を選択することで、それぞれの専門用語にも対応した翻訳が可能になる(現状は英語のみ)。数個のボタンがついた程度で、以前と比べて正直見た目の大差はほとんどない。だがビジネスや専門分野の翻訳において使い勝手が大幅に向上しそうだ。

このサービスの詳細を伝える前に、まずは僕らが普段利用している翻訳サービスに大きく2つの種類があるという話をしたい。僕は今回紹介するエキサイト翻訳に加えて、Google翻訳を利用することが多い。正直どちらが優れているというよりかは、両者が得意とするコンテンツ、苦手とするコンテンツが結構違っていて、片方でうまく翻訳できない場合でも、もう片方ではうまく翻訳できる、なんてことが少なくないからだ。

それもそのはずで、(知っている人からすればとっくに知っている話だろうけど)この2つのサービス、同じ機械翻訳とはいえ翻訳エンジンの内容がまったく違うのだ。

統計ベース、ルールベース2つの翻訳エンジン

まずGoogle翻訳だが、これは「統計ベース」の翻訳エンジンを使用している。これは大量の対訳データを収集して、その統計データを元に翻訳の仕方を学習するというものだ。データがあればあるほど自然な表現にもなるし、訳文の精度も高まっていく。

ただし、統計ベースの翻訳エンジンでは、データの内容や分量によってそのクオリティが大きく変わる。基本的には日常会話や口語文、スラングなんかは得意なのだけれど、説明書や技術書、ビジネス文書なんかあまり得意ではないのだそう。統計ベースの翻訳サイトといえばGoogle翻訳のほか、Microsoft Translator(BingやFacebook、Twitterの自動翻訳など)

もう1つあるのが「ルールベース」の翻訳エンジンだ。これは文章の構文「主語」「述語」「目的語」といったように解析し、それぞれに対して辞書にある意味を当てはめて翻訳するというものだ。辞書をベースに翻訳をするため、一貫性がある翻訳結果を返すし、辞書を増やせば増やすだけ、幅広い業界の用語にも対応できるというわけだ。

もちろん弱点はある。文法的に正しくない文章であれば翻訳もうまくいかないし、辞書を使うので自然な翻訳文は苦手だ。だから日常会話なんかの翻訳はうまくいかない。これはエキサイト翻訳のほか、Yahoo!翻訳やLINE翻訳、Weblio翻訳といったポータル系の翻訳サービスに導入されている。

技術者や大学生のニーズに対応

この翻訳エンジンの違いを理解すると想像できるかも知れないが、エキサイト翻訳の利用者に多いのは、技術職や学生(特に大学生)。これはつまり専門書や仕様書、論文といった専門性の高い、ルールベースの翻訳エンジンの得意領域を多用するユーザーが多いということだ。そんなこともあって今回、専門用語辞書が追加されたのだそう。

この辞書の重要性が分かるのが多義語の処理。例えば「power」という単語はITや電気といった分野によっては「電源」を意味するが、「体力」だったり「支配力」だったりといろいろな意味を持っている。今回最適な分野を選択することで、こういった単語、文章もスマートに翻訳してくれるのだそうだ。

「retirement-accounting」というちょっと聞き覚えのない単語で実際に試してみよう。Google翻訳だとハイフンがそのまま訳されてしまって「退職-会計」となり、これまでのエキサイト翻訳だと「退職アカウンティング」とこちらもよく分からない言葉になる。それが新機能で「社会学系:金融」の辞書を選択すると「除却会計」となり、正しい「retirement」の解釈がなされることになる。ちなみにエキサイト メディアサービス本部ポータルメディア部の井上佳央里氏いわく、統計ベースとルールベースの翻訳サービスは、「競合として見るのではなく、用途によってどちらも使うのがおすすめ」とのこと。

このほかエキサイトでは、機械翻訳ではどうにもならない場合のために、500円(1文字6円程度)から人力で翻訳するというサービスも提供している。

北欧の若者が熱狂するスタートアップイベント「SLUSH」、アジア版は金曜日に東京で開催

フィンランド発のスタートアップ向けイベント「SLUSH」のアジア版となる「SLUSH ASIA」がいよいよ今週金曜日、4月24日に東京で開催される。

本家のSLUSHは、2014年実績で参加者は約80カ国・1万4000人以上、出展企業1300社、欧州各国の首相なども訪れるという大規模なイベントだ。

このイベントの特徴は「ライブ感」。よくあるカンファレンスとは異なり、起業家や投資家などの登壇者が音楽ライブのさながらのステージでプレゼンテーションやディスカッションを繰り広げる。より詳しい説明はこのスライドが参考になると思う。グローバルを意識したこのイベントでは、すべてのセッションは英語で行われる。

日本ではRovio Entertainmentの元日本代表であるAntti Sonninen(アンティ・ソンニネン)を中心にしたTEAM SLUSHがイベントを牽引する。この発起人チームには、Mistletoe CEOの孫泰蔵氏やAmano Creative Studioの天野舞子氏らも含まれている。ちなみに孫泰蔵氏は本家のSLUSHにも登壇しており、その話を日本で発起人チームと話したことが今回のSLUSH ASIA開催のきっかけになっているとか。

ではなんで日本でSLUSHを開催するのか? 孫氏は自身が参加した経験を振り返り「世界中にカンファレンスがある中で、SLUSHは他とは違うユニークなモノだったから」だと語る。

冒頭のとおり、ショーアップされたステージに登壇する起業家の姿はまるで音楽アーティストだ。そこで繰り広げられるセッショを見た若者たちが、彼らを尊敬し、賞賛することで、「起業はカッコいい、自分もやってみようとなることは大事」だと孫氏は説く。

同氏はこれまで「バンドのように起業をすべき」といろいろな場所で語っているのだけれど、これはバンド活動が最初はコピーから初めて、オリジナル曲を作って——となっているように、最初からすごいビジネスモデルやテクノロジーを持ってスタートするのではなくても、少しずつ事業を作り、それでダメだったら解散するくらいのカジュアルさであってもいいので、何よりもまずは「最初の一歩「を踏み出して欲しい」ということなんだそう。そんな考え方がSLUSHのテーマともマッチしたのだろう。

フィンランドの若者の多くもこのイベントに共感しており、1万7000人という参加者に加えて、2014年実績で1700人の学生ボランティアが関わっているそうだ。基本的には非営利で、今後は社団法人化も進めるとか。

フィンランドのSLUSHコミュニティにも参加していたSonninen氏いわく、SLUSHが若い世代に起業という選択肢を提示してきた影響度はかなりのものだそう。「今となっては『グローバル思考』は当たり前だが、8年前のフィンランドではほとんどそんなものがなかった。だが、SLUSHというイベントも起業という選択肢も認知されてきた。SLUSHは数年前からは首相が参加するまでになっている」

イベントの開催開催場所は東京の臨海地区にある青海。特設のドーム型ステージを5つ並べている。設営中の様子はTwitterにもアップされている。

最近は「上場ゴール」と揶揄される一連の新規上場企業の業績不振等でスタートアップやその支援者に対する風当たりは厳しいものになっている。僕も市場関係者から起業家までいろんな意見を聞いたし、そのあたりの話をの一部は記事としても書いている。

ただそういう時期だからこそ、起業について今までよりもちょっと身近な選択肢として考える場所があってもいいと思っている。僕たちがやっているTechCrunch Tokyoもそんな1つだと思っているし、SLUSHは日本で初開催だけれども、北欧ではそういった点でも非常に意味のあるイベントになっているそうだ。

僕自身は正直「誰でも彼でも起業しちゃえ」とまでは言えないのだけれども、まずは起業の意味をちゃんと理解している人が増えて欲しいし(同時に悪い大人にそそのかされない知恵も付けて欲しい)、人生の選択肢の1つとして考える人は増えていいと思っている。さらにそういう人の中から、世の中を変えるような起業家が生まれて欲しいとも。そういう意味でSLUSH ASIAは、起業についてあらためて考えたい人にとっても価値のあるイベントになるのではないだろうか。

レジャー予約サイト運営のアソビューがJTBと資本業務提携、6億円の資金調達

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遊び・体験の予約サイト「asoview!」を運営するアソビューは4月22日、JTB、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ジャフコを引受先とする総額約6億円の第三者割当増資を実施した。JTBとは出資とあわせて業務提携も締結している。

asoview!は2012年にスタートしたアクティビティ予約サイト(当初はサービス名が「あそびゅー!」、社名はカタリズムだった)。2013年10月にYahoo!トラベルと連携。2014年3月にはグロービス・キャピタル・パートナーズとジャフコを割当先とした約2億円の資金調達を実施している。ちなみに創業期には現在YJキャピタル取締役を務める小澤隆生氏がエンジェルとして投資をしている。

同社によると、この1年間でasoview!の提携店舗数は3倍以上の約2700社に増加、申込数は非公開ながら、約5倍に拡大しているのだそう。今回の資金調達をもとに、サービスの改善と予約管理システムの機能拡充を図るほか、サポート体制の強化をすすめる。さらにインバウンド(訪日外国人観光客)向けコンテンツを整備。さらに地域行政・観光協会向けのソリューション提案人員を拡充するとしている。

またJTBとの業務提携では、以下の5分野を中心に、着地型商品(アウトドアアクティビティや文化体験など、旅行目的地側が企画・運営する観光商品のこと)の企画・販売などを進める。

Web販売:JTB」及び「るるぶトラベル」とasoview!の相互商品提供及び連携等

・エリアプロモーション:地方自治体及び観光協会向けの着地型コンテンツを利用したプロモーションサービス及び販売等

・インバウンド:訪日旅行オンライン予約サイト「JAPANiCAN.com(ジャパニカン)」におけるasoview!コンテンツの販売等

・法人ソリューション:着地型商品を活用した企業向けの体験型研修事業の企画・販売、企業向けプロモーション事業での企画・販売等

・福利厚生サービス:会員制福利厚生サービス「えらべる倶楽部」サイトにおけるasoview!コンテンツの提供等

スマホアプリを動画で解析するRepro、デジタルガレージなどから約1億円の資金調達

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App Storeに登録されるアプリの登録者は2014年末で約39万人、アプリ数では120万種類以上にもなっているそうだ。そんな数のアプリの中からユーザーに選ばれるためには、ASO(アプリストア最適化)やブーストを含む広告などでの「どうユーザーに対して露出するか」のテクニック、定期的なキャンペーンやプッシュ通知などを使った継続率向上施策にはじまり、アプリ内やストア内を問わず、本当にいろいろなことが求められる。

もちろんユーザーのユーザーの行動を解析することも重要なことの1つ。タップされた位置や離脱した画面、そういったユーザーの行動を動画で取得し、アプリの改善に生かすことができるのが、動画を使ったモバイルアプリ解析サービス「Repro」だ。サービスを提供するReproは4月22日、DGインキュベーションとブレインパッド、SHIFTを引受先とした総額1億円の資金調達を実施した。同時に約1年ベータ版として提供してきたReproのiOS向けサービスを正式にオープンした。

Reproでは、SDKを組み込んだアプリ上でのユーザーの⾏動をリアルタイムに動画で取得し分析。そのデータをウェブ上で閲覧できる。パスワードやクレジットカード番号の入力なんかはどうするのかと気になったのだけれども、テキスト入力を検知してモザイクをかけるほか、マスキング用のAPIを用意しているのだという。

では具体的にはどんな時にこのツールを利用できるのか? まず開発段階においては、クラッシュレポートを動画とスタックトレース(ざっくり言うとエラー発生時のログのこと)で提供する。この2つをセットで提供することで、クラッシュ時の挙動が非常に分かりやすくなるわけだ。また、ウェブの管理ツールを通じて、アプリ内にテスト操作を依頼する画面を表示したり、その後のアンケートを投稿してもらったりする機能も用意する。

いざアプリをリリースしたあとは、アプリ開発者が設定したイベントがどの程度実行されているのかを分析したり(カスタムイベント分析)、イベントごとのユーザーの遷移率を分析したり(ファネル分析)といったことができる。Repro代表取締役の平田祐介氏いわく、このような定量的な分析と、動画による定性的な分析を同時に行えるのがこのサービスの最大の強みなんだそう。

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海外を見てみると、スウェーデンの「Lookback」やイスラエルの「Appsee」などの競合サービスはいくつかあるそうだが、「開発会社に協力してもらって3つのアプリで調査したが、SDKの容量やCPU使用率、メモリ使用量でもReproは競合製品より優秀。中には十分な品質で撮影できないものもあった」(平田氏)のだそう。そんなこともあってすでに海外市場も視野に入れており、英語版でもサービスを提供しているとのこと。Android版も現在開発中だという。

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専門知識不要でネット予約ページ作成、1万事業者が導入するクービックが3.1億円調達

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専門知識がなくてもネット予約受付ページが作れる「Coubic」は、2014年4月のリリースから1年間で導入事業者が1万件を突破した。ユーザー調査によれば、導入前に使っていた予約システムは「ない」という回答が77%。Coubicを運営するクービックの倉岡寛社長は、ネット予約を裾野が広がっている証拠と話す。その同社が22日、米DCMとグリーベンチャーズ、個人投資家から総額3億1000万円の第三者割当増資を実施した。

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ビジネス支援機能でマネタイズ図る

CoubicはPC、スマートフォン、タブレットに対応した予約ページが無料で作れるサービス。電話やメール経由の予約もオンライン上の予約台帳に記入できるため、あらゆる予約を一元管理する「クラウド型予約台帳」として使える。サロンやヨガ教室といったスモールビジネスを中心に導入している。

現在の収益は月額4980円で広告非表示、予約情報のCSV出力、アクセス解析が可能となるプレミアムプラン。ただ、無料プランでも予約管理数・顧客管理数が無制限なため、ハッキリ言って有料・無料プランにほとんど差はない状況だ。今回の調達資金をもとに顧客管理機能を強化し、有料ユーザーを増やす狙いがある。

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具体的には、来店頻度に応じて顧客を絞り込んだり、来店から数カ月後にメールを自動送信するなど、休眠顧客を掘り起こす「セールスフォースの簡易版のような機能」(倉岡氏)を追加する。導入事業者からの要望が多い決済機能も年内に投入する予定だ。「Coubicにとって予約は入口にすぎない。事業者のビジネスを支援する機能でマネタイズを図る」。

Coubicの競合となるのは、日本航空やヤマハ、ソフトバンクなど1200社の導入実績がある「ChoiceRESERVE」が挙げられる。こちらはフリーミアムモデルのCoubicと違い、月額5000円〜2万円の有料サービスだ。米国では、倉岡氏も参考にしていると語る「BookFresh」が、2014年2月にモバイル決済のSquareに買収されたことで話題になった。

競合はリクルート、サロン当日予約アプリの勝算は?

クービックは今年2月、渋谷周辺の美容院やネイル、エステなどのサロン当日予約に特化したアプリ「Popcorn(ポップコーン)」を公開した。ユーザーは、当日限定の縛りがあるかわりに、人気サロンのサービスが最大70%オフで予約できるのが特徴。予約と同時に事前登録したクレジットカードで決済する仕組みなので、サロンとしてもドタキャンを防げるメリットがある。

以前の取材で、サロンの開拓は「ドブ板営業」が中心と語っていた倉岡氏。現在も同社のスタッフがサロンを訪問し、口説いて掲載しているのだという。最近ではCoubicを導入するサロンからの流入も増え、掲載サロン数は100件目前。夏までに500件を目指す。

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予約成立数については「3桁」(倉岡氏)と数字を濁すように、まだ決して多くはない。サロンの当日・直前予約のビッグプレイヤーといえば、ホットペッパービューティーでお馴染みのリクルートだが、倉岡氏は「勝算はある」と自信をのぞかせる。

「プロダクト面では1〜2タップで予約ができ、Uberのようにその場での決済不要な体験は差別化につながる。Uberも最初はドブ板のようなことをやっていたが、サンフランシスコの熱量が他の地域にも飛び火し、インバウンドでやっていけるようになった。Popcornでもまずは渋谷周辺で熱量を高めたい。狙い目は人口密度の高い地域。シンガポールや台湾の進出も視野に入れている。」

今回の増資に伴い、ゴールドマン・サックス証券のヴァイス・プレジデントを務めていた間庭裕喜氏が取締役に就任する。同時に、リードインベスターを務めるDCMのジェネラルパートナーの本多央輔氏を社外取締役として迎え入れる。海外事情に精通したDCMとの取り組みは、Popcornアジア進出の布石となっているのかもしれない。

ツイキャスがECに参入、まずは電子チケットから—配信中に売れれば手数料は無料

4月に入ってすぐ、ユーザー数1000万人突破を発表したモイの動画ストリーミングサービス「TwitCasting(ツイキャス)」。その発表の際にも、コマース関連の機能が提供されると報じたが、その姿がいよいよ明らかになった。同社は4月22日より、EC機能のキャスマーケット」の提供を開始する。

このキャスマーケットでは、ツイキャスの公式グッズのほか、キャス主(動画配信者)の電子チケットの購入が可能になる。また、配信者はツイキャスの配信画面からもチケットの販売が可能だ。なお、ツイキャスの配信中および配信終了1時間以内にチケットが売れた場合、チケットの手数料は無料になる(通常は販売価格の8%)。当初はアーティストや法人など、ユーザーを限定して機能を公開するが、今後は利用可能なユーザーを拡大していく予定。

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前回の記事でも「ツイキャスで女性誌のモデルがおすすめした化粧品が翌日にはAmazonで売り切れになるといった現象も起きている」という話を紹介したのだけれども、ほかにも「iTunesでシングルがリリースするタイミングでツイキャスを配信し、配信中にランキング1位を獲得」「配信中に予約用の電話番号を紹介し、100枚以上のチケットを販売」といった事例も出てきているそうだ。

具体的な割合は教えてもらえなかったが、ツイキャスではアーティストを始め音楽関連の配信者はかなり多いらしい。そこで「彼らの収益のためにお手伝いできないか。ツイキャスで人を集めて、その次の支援ができないかと考えた」(モイ代表取締役の赤松洋介氏)のだそう。「チケット売るのはなかなか大変。EC機能についてそこまで多くの要望があったわけでもないが、せっかくファンが見てくれているのにもったいないと思っていた」(赤松氏)。

同社の公式グッズを除いては、電子チケットの販売のみに対応するとのことだが、今後は物販についても検討しているそう。「商取引のルールを整理するには時間がかかると思っている。まずはフローを確認する意味でも試験的に公式グッズのみ物販を行う。ユーザーとファンがソーシャルでつながっている場所で売買をする場合、さまざまなリスクがある。今回はメールアドレスすら共有せずに売買可能な仕組みを用意している」(赤松氏)

配信で自分のアイテムを紹介して、それをフリマ感覚で販売するなんて世界もちょっと考えたのだけれども、「フリマって知らない人だから(値引き交渉を含めて)成り立つ取引だったりするのでそこは考えていない」(赤松氏)とのこと。さらに、「売ること」自体が配信の中心にならないように配慮したいと赤松氏は語る。「配信者が『売りたい』と思った時にチケットなどを販売するのはいいが、ただ売り子になってしまうのは辛い。ツイキャスはあくまでコミュニティ。ビジネスビジネスしないようにしたいし、あくまで楽しめる範囲で使って欲しい」

ちなみにこの電子チケットは、モイが独自に提供するもの。配信者はチケットの在庫を登録して、購入されればコードを発行。それを当該のイベント会場などでチェックするという仕組みになっている。

freeeはクラウド完結型社会を目指す、e-Gov API初対応の新サービス投入へ

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政府がe-Gov(電子政府)のAPIを公開する動きに合わせて、労働保険の更新手続きをクラウド会計ソフトのfreee上で完結する機能を公開する。年に1度行う労働保険の更新に必要な申告書を自動作成し、申告書の提出から保険料の振り込みまでの手続きがfreee上で完結することになる。

現状の労働保険更新の手続きは、1年分の給与支払い額から保険料を計算→申告書へ転記→申告書を郵送・承認通知を紙で受け取る→保険料を銀行で振り込む、という流れ。これらの手続きが、freee上で完結することになる。5月後半にリリース予定で、freeeの佐々木大輔社長は「e-Gov APIを利用した初のプロダクトになる」と話している。

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今年はe-GovのAPI公開に加えて、国民に番号を割り当てて行政手続きに活用するマイナンバー制度、電子帳簿保存法改定など、政府が電子化に向けて動き出す。freeeは、今までクラウド上で完結できなかった手続きや、紙での管理がクラウド上で完結できると見ていて、「クラウド完結型社会」を実現するサービスを続々と投入する予定だ。

今年度中に公開予定のサービスは以下の通り。

  • freee上での電子帳簿保存法対応
  • 法人・税理士向けマイナンバー管理サポート
  • 法人番号を取引先情報として管理
  • 給与支払・経費精算連携機能

これらのサービスによって例えば、従業員を採用する際に必要だった面倒な手続きまでもがfreeeで完結する、と佐々木氏は意気込む。「これまでは労働基準監督署や税務署、年金事務所、区役所、健康保険組合を回らなければならなかった。自分もかつては自転車でこれらの場所を回っていたが、こうしたすべてのバックオフィス業務をfreeeで済むようにしたい」。

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短期的なIPOよりもユニコーンクラブ入りを

freeeは2013年3月のサービスを開始。簿記の専門知識がなくても使えることをうたい、リリース2年で導入事業者は30万件を突破した。これまでに累計17億5000万円の資金調達を実施している。そろそろIPOが期待されそうだが、佐々木氏は短期的なIPOは考えていないと語る。

「日本のスタートアップは短期的にIPOを目指すのが通常とされるが、海外に目を向けると時価総額1000億円以上の『ユニコーンクラブ』が多い。(freeeと同じ)海外のクラウドサービスは時価総額1000億円規模でIPOしているが、私達もそのモデルを目指す。」

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サムスン、S6およびS6 Edgeの本体から「サムスン」の表記を削除

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サムスンが、日本における企業ブランド戦略に変更を加えることになった。The Korea Heraldの記事(訳注:日本経済新聞など、日本のメディアも既に報じています)によると、最新のスマートフォンには「Samsung」の名前を表記しないとのことだ。

この方針が適用されるのは、Galaxy S6およびS6 Edgeで、日本における販売開始は4月23日となっている。この両デバイスに「Samsung」のロゴを表示しないのだそうだ。かわりにキャリアパートナーの名前を冠して「Docomo Galaxy」や「au Galaxy」と表記するのだそうだ。

この変更はS6およびS6 Edgeの商品のみでのことではない。日本でのFacebookページも「Samsung」の名前を廃し「Galaxy Mobile Japan」とする。新製品を紹介する各種ビジュアルにてもSamsungの名前は消し去られている。

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本件についてSamsungに問い合わせてみているが、今のところ回答を得られていない。The Korea Heraldに対しては「日本ではGalaxyブランドが十分浸透しているのです」と述べている。

もちろんこれは、「Samsung」の名前を外す理由にはなっていない。プロダクトからメーカー名を外すというのは、ふつうに考えれば奇妙な話だ。しかしSamsungは日本において富士通やシャープなどの後塵を拝しており、それをなんとかしたいという動きでもあるわけだ。背景には日本と韓国の政治的緊張もあるのではないかと言われている。

Counterpoint Researchのレポートによれば、サムスンは日本において第5位のポジションにあり、2014年11月での販売シェアは5%に満たなかったとのこと。ライバルのAppleは2014年の10月および11月で、半分以上の販売シェアを記録している。

実のところ年初には、マーケットシェアの低下をうけてサムスンが日本市場から撤退するという噂もあった。サムスンは市場からの撤退ではなく、日本における国産ブランドおよびiPhoneへの支持を意識して、韓国産であることを積極的には表記しないことにより、シェア拡大を目指すことにしたということであるようだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

KDDIがライフネット生命と資本業務提携、金融領域サービスを拡大

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先週、ECサイト運営のルクサを子会社化したばかりのKDDI。今度はライフネット生命保険との資本・業務提携を発表した。

ライフネット生命では、監督官庁(金融庁)の認可を経て5月中にもKDDIを割当先とする第三者割当増資を実施する。KDDIはライフネット生命が発行する普通株式800万株 (議決権ベースで15.95%) を30億4000万円で取得する予定。KDDIでは「ライフネット生命はこれまでどおり経営の独立性を維持・確保しながら、さらなる成長を目指す」としている。

KDDIは、プリペイド型決済サービスの「au WALLET」や三菱東京UFJ銀行と共同出資して展開するネット銀行の「じぶん銀行」など、IDサービス「au ID」を起点とした金融事業領域のサービスを展開している。

今回の提携では、「au WALLETやau IDを起点として金融ビジネスをさらに推進し、金融事業領域での事業拡大を目指すとともに、auの商品・サービスと融合した従来にない新たな金融サービスを提供する」としている。

ライフネット生命は、ネット専業でスタートした生命保険会社。設立は2006年で、2012年3月には東証マザーズに上場している。

スタートアップCEOと幹部人材候補が直接つながる転職サイト「Amateras Online」

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スタートアップ幹部を志す人材と、CEOが直接コミュニケーションできる転職サイト「Amateras Online」がスタートした。COOやCFOなど「CxO」と言われる幹部メンバーとしての採用が前提で、求職者は面接前にCEOとメッセージをやりとりすることで、採用後のミスマッチを防げるという。

ユーザーは会員登録すると、アマテラスが選んだ「優良スタートアップ」の概要だったり、株主や資金調達に関する情報を閲覧できる。過去に経営に携わったことがあったり、MBAホルダーのような経歴を持つ人は、「プレミアム会員」に自動アップグレードされる。

スタートアップ側は、登録情報を見て興味を持った人材に対して、CEOが直接オファーを届ける。その後は、サイト上でメッセージをやりとりして、CEOが面談するかどうかを判断する。プレミアム会員であればオファーを待つことなく、CEOへ直接メッセージを送って自分を売り込めるようになっている。

コンサル目線で「優良スタートアップ」を厳選

Amateras Onlineの大きな特徴は、“厳選”したスタートアップだけを掲載していることだ。アマテラスが考える、優良スタートアップとはどのような会社なのか。この点について藤岡氏は、「経営者の志の高さ」「事業の社会的意義」「成長性の高さ」の3つの条件を満たす会社を「優良スタートアップ」と定義している。

「わかりやすく言うと、たとえ儲かっていてもゲーム系はお断りしています。個人的な意見ですが、ゲームは社会を白痴化しているだけで、来年なくてもおかしくないビジネス。栄枯盛衰がある中で生き残れるかは、3つの条件を満たしているかどうか。偉そうですが、伸びないベンチャーに人を紹介したくないので。」

アマテラスの藤岡清高社長

アマテラスの藤岡清高社長

藤岡氏は2011年4月にアマテラスを創業する以前、企業コンサルティングのドリームインキュベータに在籍。同社では2004年からベンチャー支援に携わり、1500人以上のCEOと経営についてディスカッションしてきた。それだけに、優良スタートアップを見極める「目利き力」に自信があると、藤岡氏は話す。

気になる求人企業としては、クラウドソーシングのランサーズやスマホ学習塾の葵、3Dプリンティング商品CtoC「Rinkak」のカブク、NewsPicksを運営するユーザベース、中古マンションのリノベーションを手がけるリノべるなどがある(求人スタートアップの一覧はこちら)。

個人の求職ユーザーは登録・利用料すべて無料。スタートアップは1人採用につき100万円の成功報酬をアマテラスに支払う。転職が決まったユーザーには、お祝い金として10万円を進呈するキャンペーンも期間限定で行っている。

目指すは日本版Angellist

シリコンバレーの幹部人材採用では、アクティブ会員3億人超の「LinkedIn」を使ったダイレクトリクルーティングが盛んだ。また、起業家と投資家をマッチングするSNS「Angellist」が、スタートアップ向けの人材採用支援サービスを開始。現在は世界中の8400社以上がAngellistで求人を公開し、アクティブ会員は12万人超と言われている。

ところが日本でLinkedInは流行っていないし、Angellistも存在しない。最近でこそ、ネット大手の幹部人材がスタートアップに加わる事例は出てきたが、それでも「知り合いのつてをたどるアナログな手法や、Facebookで直接スカウトするのが現状」と藤岡氏は指摘。自らの新サービスは「採用支援に特化した日本版Angellistになれる」と見ている。

日本の採用サービスマップ(アマテラス提供)

日本の採用サービスマップ(アマテラス提供)

日本からGoogle・Facebookを100社創出する

ドリームインキュベータの7年間、ベンチャーに戦略提案してきて痛感したのは、「本当にベンチャーに必要なのは、優秀な人材の採用」ということだった。

「支援先の社長も確固たる思いがあって起業しているので、我々が偉そうに戦略をアドバイスしても、聞いてもらえないことも多々ありました。それで我々が何をしたかというと、社長の思いに共感する人を探すこと。そのほうが売り上げがググっと伸びるものなんです。」

「口を出すより、人を探す」スタイルでベンチャー支援を続ける中、転機となったのはリーマンショックによる景気後退だ。そのあおりを受けて、藤岡氏が所属していたベンチャー支援部門は規模を縮小。自らが活躍できる場所がなくなった。

そんな中、会長の堀紘一氏から「独立してベンチャー支援を続けてみろ。ドリームインキュベータも支援する」と後押しがあり、起業するに至った。ちなみにアマテラスの社是は「日本からGoogle・Facebookを100社創出する」。これはドリームインキュベータの「日本からソニー・ホンダを100社創出する」という理念を受け継いだものだ。

物流アウトソーシングのオープンロジが海外発送に対応、手続きは国内発送同様の手軽さで

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物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を運営するオープンロジ。

3月に資金調達を発表した際にも、月次売上400%増という数字を聞いたりもしたのだけれど(といっても母数は非公開で、規模もまだこれからだとは思うが)、早速次の一手を打ってきた。同社は4月20日より、EMS(国際スピード郵便)を利用した海外発送に対応する。

オープンロジは、中小および個人EC事業者向けの物流アウトソーシングサービス。ECで取り扱う商品をオープンロジのサイト上で登録し、同社が提携する物流会社の倉庫に送付すれば、倉庫にて商品サイズや重量を計測した上で入庫。オンラインでの入出庫管理が可能になる。出庫時には倉庫のスタッフが梱包の上、配送までを行う。

今回の海外発送対応も、EC事業者はあらかじめ商品を登録・入庫した上で、オンラインで出庫処理をするだけ。もちろん出庫処理の際、国名や住所などの入力は必要になるが。ちなみに国ごとに禁制品(輸出入を禁止している商品)があるが、管理画面で国を選択した際に確認できるようになっているそうだ。料金はEMSの料金に準じるが、1個口500円の作業料が加算される。複数商品を同梱する場合はさらに追加料金がかかる。配送可能な国は120カ国(こちらもEMSに準じる)。

「EMSを利用する場合、インボイス(伝票)を3枚、4枚と英文で書き、強度を考えた梱包をした上で郵便局に商品を持ち込んだり、集荷をしたりする必要があった。だがオープンロジではそういう手間がなくなるので、海外発送のハードルが下がると思う」(オープンロジ代表取締役社長の伊藤秀嗣氏)。

海外発送に加えて、オープンロジではAPI公開を進めている。すでに一部EC事業者に限定してAPIを公開しており、今後その範囲を拡大していくという。

ニコ動ライクなスマホ向け掲示板アプリ「festy」—ニックネーム制でネガティブ投稿を抑止

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グリーを1年で退職してWakuTech(ワクテク)を設立した起業家が提供するのは、「2ちゃんねる越え」を目指すiOS向け掲示板アプリ「festy」だ。

festyはiOS向けの掲示板アプリ。ユーザーはニックネームを設定すれば、掲示板にスレッド(festyでは「ポスト」と呼んでいる)を投稿したり、投稿内容にコメントしたりできる。画像の添付も可能で、お気に入りの投稿にはFacebookの「いいね!」のような「粋」を付けることができる。ちなみにこの粋のボタンは太鼓のアイコンになっているんだけれども、タップするたびに「ドドン」と太鼓の音が鳴る(最大5回まで連続でタップ可能だ)。

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特徴的なのは人気のポストを表示するトップ画面。投稿されたコメントがニコニコ動画のように右から左に流れていく。「盛り上がっている感を大事にしている。非同期だが一緒に話しているような感覚になればいいと思った」(蒋氏)

掲示板には「おもしろネタ」「マンガ・アニメ」「ドラマ・バラエティ」「アイドル・芸能」「ゲーム」「スポーツ」の6つのカテゴリを用意する。今マンガ・アニメ系の投稿ではちょっと権利関係のまずそうな画像もあるのだけれど、「規約で注意を促しており、問題があれば対応する」(蒋氏)のだそう。

二度のピボットから誕生

WakuTech代表取締役CEOの蒋詩豪氏と取締役COOの白土聡志氏の2人は、2013年4月に新卒でグリーに入社。それぞれ将来は起業することを考えていたそうだが、「思いの外早いタイミングで気の合う創業者を見つけた」とのことで、丸1年でグリーを退社。2014年4月にWakuTechを創業した。

当初企画していたのはオタク特化のフリマアプリ。だが開発が後半に差し掛かったところでjig.jpの「オタマート」、セブンバイツの「A2Mart(アニマート)」など“ガチ競合”なサービスが続々とリリースされたことからピボット。今度はオタク向けのニュースキュレーションアプリを開発するも、ディー・エヌ・エーから「ハッカドール」がリリースされるなど、二度も競合サービスに先を越されてしまったのだそうだ。

「マンガやアニメ、ゲームといった領域で勝ちたいと思っていたが、起業して8カ月くらいまでは迷走していた。それで、新卒時代に創業メンバー2人で意気投合した『インフラを作る』ということを振り返って、Festyを作った」(蒋氏)

WakuTechでは、festyの開発に当たり、ANRIから1500万円の資金調達を実施。2月末にアプリをリリースし、4月以降サービスを本格化させた。

ちなみにこのアプリにもすでに競合サービスが存在している。NTTドコモ・ベンチャーズのインキュベーションプログラムである「ドコモ・イノベーションビレッジ」の卒業生、SODAの「doyo」だ。こちらもスマートフォン特化の掲示板アプリ。ただしFestyと違って匿名での投稿が可能で、より2ちゃんねるライクなサービスとなっている。

Festyをニックネーム制にした理由について蒋氏らに聞いたのだけれども、「完全匿名だと、ネガティブな話題ばかりになる可能性があるので、誰の発言かは特定できるようにしている。ただしなれ合いにはしたくないので、フォロー機能などは持たない」とのことだった。

 

シロクがグロースハックの新ツール、任意のタイミングでアプリ上にメッセージを表示する「Growth Message」

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写真共有アプリ「my365」の開発をきっかけにスタートしたサイバーエージェント子会社のシロク。同社は2013年夏以降アプリ開発で得た知見をもとに、スマートフォン向けプッシュ通知・解析サービスの「Growth Push」、行動記録・分析サービスの「Growth Replay」などスマートフォン向けのグロースハックツールを提供してきた。

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そんなシロクが新たに提供するのがアプリ内メッセージ配信・分析サービス の「Growth Message」だ。Growth Messageは、SDKを組み込んだアプリ上に、文言や画像のメッセージを表示できるサービスだ。

特定のタイミングでユーザー全体にメッセージを配信できるだけでなく、セグメントを指定してメッセージを配信したり、セグメントごとに内容の異なるメッセージを出し分けしたりできる。メッセージの配信結果の分析も可能だ。

利用用途としては、特定のタイミングでアプリ内にメッセージを表示してアプリストアでのレビューを促したり、チュートリアルやキャンペーン告知を表示することで継続率の向上を図ったり…といった具合。アプリをアップデートをしなくとも、最新のキャンペーンなどを告知することもできる。

シロク取締役の向山雄登氏いわく、同社のグロースハック関連ツールは国内を中心に合計5000アプリ程度にインストールされているそう。現在、アプリ上での行動分析に特化したツールも開発中とのことで、5月にもリリースを予定しているという。

予約台帳の「トレタ」が「Yahoo!予約 飲食店」と連携、飲食店のウェブ予約の手間を大幅に軽減

トレタが運営する飲食店向け予約台帳サービス「トレタ」とヤフーのグルメ予約サービス「Yahoo!予約 飲食店」がサービス連携する。これにあわせて、トレタを導入する「俺のフレンチ・イタリアン AOYAMA」「Eggs’n Things(リンクは原宿店)」など7法人18店舗がYahoo!予約 飲食店で予約可能になった。サービス連携は、両社いずれかのサービスを利用していれば、手続き次第すぐに可能だ。なおトレタの月額基本料金は1万2000円。今回の連携を記念した3カ月無料のキャンペーンも実施する。

両社が4月15日に開催した説明会で、ヤフー ショッピングカンパニー予約事業本部本部長の江崎命氏は、Yahoo! JAPANの端末別ユニークユーザーが昨年スマートフォンがその他(PCやタブレット)の端末を超えたと説明。さらにYahoo!検索において「スマートフォンのみで利用」「スマートフォンとPCで利用」「PCのみで利用」のユーザーを比較したところ、2012年から2014年でスマートフォンのみで利用が7倍、スマートフォンとPCで利用が3倍に増加した一方、PCのみで利用が半分になったとした。

つまりはスマートフォンでの利用が中心となったYahoo!。検索クエリをカテゴリごとに見ていくと、飲食店を検索するケースが増加しているそうだ(カテゴリ別で15位)。

江崎氏いわく、検索されるのは「焼き肉」「カレー」といった飲食のカテゴリではなく、具体的な店舗名だそう。「『お店自体は知っていて、電話番号を調べて予約したい』といったニーズがあるのではないかという仮説を持っている」(江崎氏)という。

ヤフーでは「eコマース革命」と銘打って、2013年10月にYahoo! ショッピングの出店料無料化を実施している。それと同じタイミングでスタートしたYahoo!予約 飲食店でも初期費用や月額利用料、成約手数料を無料化している。2014年第4四半期時点で予約サービスには1万3500店舗が登録している。

繁盛店がネット予約に対応しない理由

ところで、ネット予約をすでに提供しているヤフーがスタートアップのトレタと組む理由は何なのだろうか。

江崎氏は「業務中にPCやスマホ見れない」「ネットの予約を紙の台帳に転記するのが手間である」「電話とネットの予約で二重の在庫管理が必要になる」という3点を挙げる。仕事中は忙しくて空席の在庫管理なんかやっていられないという飲食店が多いのだそうだ。

この状況についてトレタ代表取締役の中村仁氏は次のような図を元に説明する。

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まず“ネット以前”の話。このときはユーザーが飲食店に電話をして、飲食店が紙の予約台帳で予約を管理していた。だがウェブでグルメ系メディアの登場によって、電話でのオペレーションと並行してウェブでの予約に対応する必要が出てきた。

紙の台帳で管理をしている場合、たとえウェブで予約を受けても最終的に紙の台帳に転記する必要がある。そうなると、(多くのサービスではメールなどで予約に関するアラートが飛ぶものの)最終的には迅速なウェブのチェックが必要になるし、電話とウェブでの予約が重なってオーバーブッキングなどの事故につながりかねない。満席になればウェブの予約だって迅速に受付を停止しないといけない。

「1件の予約だけでこれまでの作業が必要だった。(ウェブでの予約は)飲食店にとって負担が増えてしまう仕組み。そのため予約したいような繁盛店はウェブ予約に対応しないし、ネットで予約はできないが電話をすると予約が取れてしまう、ということが起こっていた」(中村氏)

そんな飲食店の課題を解決するのがトレタの予約台帳サービスだ。このサービスはクラウドでデータを管理しており、空席在庫の情報を予約システムとリアルタイムに連携できる(すでにトレタはこれを「トレタかんたんウェブ予約」としてリリースしている)。今回Yahoo!予約 飲食店と連携することで、Yahoo!の膨大なトラフィックの恩恵を受けつつ、店舗は予約事故のないウェブ予約を実現できる。紙の予約台帳では決して実現できなかった世界だ。

ヤフーによる買収の可能性は「小澤さんに聞いて下さい」

両社は今後さらなる連携を進める予定だという。ところで今回の提携をきっかけにヤフーがトレタを買収するような可能性はあるのだろうか。

2人に尋ねたところ「トレタとヤフーはさまざまな媒体と提携していくことでは合意している。我々としてもトレタ以外と提携する可能性はある」(江崎氏)「小澤さん(ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長でYJキャピタル取締役の小澤隆生氏)に聞いて下さい(笑)」(中村)とのことだった。