トランプ大統領がTikTok米国事業を禁止する執行権を行使すると記者団に語る

ドナルド・トランプ大統領は、世界で最も人気のあるショートビデオアプリ「TikTok」を米国で禁止するため「早ければ米国時間8月1日にも行動する可能性がある」と語った(The Hill記事)。

大統領は、7月31日にエアフォースワンの機内で記者団に、TikTokを米国から追放するために「緊急経済権限または執行命令」を行使できると話した。

このニュースは、マイクロソフトがTikTokを買収するために協議中であるとの報道が出てから数時間後に発表された。投資家は3年前のTikTokの価値を500億ドル(約5兆3000億円)と評価していると報じられている(Reuters記事)。トランプ大統領の7月31日の発言では、米企業がTikTokを買収することを支持していないことも示唆している。

同日、トランプ大統領がByteDanceにTikTokの所有権の売却を命じる可能性があると報じられた(Bloomberg記事)。大統領の決定を受けてTikTokはいつものように、アプリを維持することが米国の利益になり、国家安全保障上の脅威にはならないと主張しようとした。

1億人の米国人、特に新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、エンターテイメントや人との繋がりを求めてTikTokに来ています。今年だけでByteDanceは1000人近くのスタッフを米国チームに採用し、さらに1万人の従業員を全米の企業の中でも厚待遇で採用できたことを誇りに思っています。当社が設立した10億ドル(約1050億円)のクリエイターファンドは、当社のプラットフォームで生計を立てている米国のクリエイターをサポートしています。TikTok USのユーザーデータは米国内に保管され、従業員のアクセスは厳重に管理されています。そして、TikTokの最大の出資をしているのは米国の投資家です。私たちは、私たちのプラットフォームで創作する人たちに家族の喜びと有意義なキャリアをもたらすために活動を続けているので、ユーザーのプライバシーと安全性の保護に努めています。

トランプ大統領の発表は、米国規制当局が米国の十代の若者たちの間で絶大な人気を誇るTikTokを、北京のスパイツールになる可能性があるという懸念からブロックすることを計画したという、数週間にわたる憶測を裏付けるものだった。

問題は、TikTokの売却や禁止がどのようにかたちになるかということだ。TikTokは北京に拠点を置く中国企業のByteDanceが所有しており、最近では中国で最も有望なテック系スタートアップとして浮上。その評価額は1000億ドル(約11兆円)と言われている。ちなみに同社は、TikTokの中国語版にあたるDouyinを中国のユーザー向けに別途運営している。

ByteDanceは、TikTokを中国の関連団体から遠ざけるために、さまざまな方法を模索してきた。ここ数カ月を見ると、ディズニーの元幹部であるKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏をTikTokのCEOに任命(未訳記事)したほか、アプリのデータを米国内に保存されていると主張するために、米国で1万人の雇用を創出(未訳記事)すると約束するなど多岐に渡っている。

TikTokの通信チームはまた、親会社であるByteDanceの5つの取締役会のうち4つの席が「世界で最も尊敬される世界的な投資家によって占められている」ことを繰り返すことで懸念を和らげようとしている。その中には、Susquehanna International GroupのマネージングディレクターであるArthur Dantchik(アーサー・ダンチク)氏、、General AtlanticのCEOであるWilliam Ford(ウィリアム・フォード)氏、Coatue Managementの創設者であるPhilippe Laffont(フィリップ・ラフフォント)氏、Sequoia ChinaのボスであるNeil Shen(ニール・シェン)氏などが含まれる。ByteDanceの創業者でCEOのZhang Yiming(チャン・イーミン、張一鳴)氏は取締役会の会長を務めている。

注目すべきは、Musical.lyとTikTokの合併が米国に対する国家安全保障上の脅威となるかどうかについての決定(未訳記事)を、対米外国投資委員会(CFIUS)がまだ発表していない(CFIUSリポート)ことだ。TikTokにMusical.lyの売却を命じたとしても、実際にどのように売却が行われるかは不明だ。ByteDanceが2018年にこの2つのアプリを合併した際、同社はMusical.lyの既存ユーザーにTikTokアプリのダウンロードを提案(Digital Music News記事)したが、すでにTikTokのユーザーがいたため、TikTokの現在のユーザーはすべて、厳密にはTikTokのユーザーである。

もし今回の売却がTikTokを対象としたものであれば、ByteDanceは国際的な資産をすべて売却せざるを得なくなるのだろうか。TikTokは米国外にも相当なユーザーがいる。インドが国家安全保障上の懸念を理由にTikTokを禁止する前は、多くの米国政治家の間で批判の的となっていたが、インドはアプリの最大の海外市場であった。

イーミン氏の最悪の悪夢が起こる可能性が高くなってきている。同氏は当初から国際市場を制覇することを目標としてきたが、今では彼のスタートアップが米中関係の格好の標的となっている。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

TikTokの米国事業に対する圧力が高まる中、Bytedanceはユーザーのつなぎ止めを模索

TikTok(ティックトック)の米国事業が存亡の危機に瀕したジェットコースターに乗っている間、親会社であるBytedance(バイトダンス)が事業の維持継続できるように、米国の企業と言論の自由、大量の資金、そして議論で、規制当局と一般大衆を揺さぶろうとしている。

同社の米国内でのビジネスを検証しようとする動きは、TikTokの米国事業を継続するために大統領の禁止令の回避やMicrosoft(マイクロソフト)からの入札の可能性があるとの報道が渦巻いていることを受けてのことだ。

米国内の競合他社や政治的な攻撃に直面する中、TikTokとその親会社であるBytedanceは、米国の公民権運動の擁護者をいくつかピックアップした。米国時間8月1日夜遅く、米国公民権連合(American Civil Liberties Union、ACLU)はトランプ大統領が提案した禁止措置(未訳記事)に異議を唱えるツイートをした。

「いかなるインターネットプラットフォームでも、我々は機密の個人データが政府に漏れる危険性を懸念すべきである」とACLUと説明したあとで「しかし、今回のTikTokの米国事業の禁止が法的に可能であったとしても、1つのプラットフォームをシャットダウンすることは、オンラインでの言論の自由を害し、不当な政府の監視というより広範な問題を解決するものにはならない」と続けた。

一方中国では、米国がBytedanceに米国の利益を売却することを強要することに抵抗感を持っているよ人が多いようだ。新浪科技がソーシャルメディアプラットフォーム「微博」で実施した調査(Weibo投稿)では、BytedanceがTikTokをマイクロソフトに売却する可能性があることについてどう思うかを尋ねたところ、回答者75.3万人のうち36.7万人が「消極的で無力な解決策であることは理解できる」とし、35.1万人が「失望している、もう少し持ちこたえてくれることを期待している」と答えている。

サービスの所有権が不明のままであるにもかかわらず、TikTokは米国での運営を継続することをユーザーに安心してもらうために迅速に動いた。同社はまた、ユーザーデータの取り扱いを誤る可能性があることを理由に離反者に直面しているにもかかわらず、クリエイターへのアピールを強化している。

米国時間7月28日には、同社の最大のセレブたちが集まって4700万人の視聴者を集め、Trilerと呼ばれるTikTokのプラットフォームを捨ててはるかに小さなライバルのTrilerに乗り換える(Los Angels Times記事)ことを明らかにした。

Trilerは、TikTokが米国で爆発的な人気上昇を始めた2年前の2015年に設立され、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、The Weeknd(ザ・ウィークンド)、Marshmello(マシュメロ)、Lil Wayne(リル・ウェイン)、Juice WRLD(ジュースWRLD)、Young Thug(ヤング・ジューク)、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)、Baron Davis(バロン・デイヴィス)、Tyga(タイガ)、TI、Jake Pual(ジェイク・ポール)、Troy Carter(トロイ・カーター)を含む米国の音楽やエンターテイメントの大物が支援している。

Trilerには現在、TikTokのスターであるJosh Richards(ジョシュ・リチャーズ)、Griffin Johnson(グリフィン・ジョンソン)、Noah Beck(ノア・ベック)、Anthony Reeves(アンソニー・リーブス)が投資家やアドバイザーとして参加している。また、リチャーズ、ジョンソン、ベックとリーブスはTrillerからも補償を受けているが、TikTokをやめる理由として挙げているのは、政府のセキュリティー上の懸念だ。

Trillerは「取引の詳細は非公開だがリチャーズ、ジョンソン、ベック、リーブスにも補償を行っている。にもかかわらず、クリエイターは中国に所有されている会社のセキュリティ慣行を警戒するようになったのでTikTokを離れることになった」と説明する。

「米国や他の国の政府がTikTokを懸念しているのを見て、私のフォロワーや他のインフルエンサーを保護し、導く責任があることを知って、起業家としての本能に従い、解決策を見つけることを使命としました」と、最高戦略責任者に就任するリチャーズ氏はLos Angels Times紙に語っている。

TikTokはこういった動きに同社のクリエイターファンド(未訳記事)の大幅な増額で応えた(TikTokブログ投稿)。当初は2億ドル(約212億円)に設定されていたが、今週初めにTikTokの最高経営責任者である(ケビン・メイヤー)氏は、ファンド総額は今後3年間で10億ドル(約1060億円)に達すると発表した。

TikTokのこの魅力的な攻勢はユーザーの流出を食い止めることができるかもしれないが、同社はユーザーデータに関する懸念に対処する必要があるだろう。ユーザーデータの保護は同社にとって最も差し迫った脅威であり、対処するための準備が最も不足している。

TikTokは保留中の米国事業の禁止を受けて「米国から離れる予定はない」と表明

TikTokの米国事業のゼネラルマネージャーを務めるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パパス)氏は米国時間8月1日、トランプ大統領が米国で中国製アプリの「禁止」に取り組んでいるという報道への対応と思われるビデオメッセージを投稿した。彼らがこれを実行できるかどうかは未解決のままだが、その間にTikTokは米国のユーザーを安心させたいと考えているようだ。この漠然とした、しかし潜在的に存在する脅威に対応して運営計画を変更するつもりはないようだ。

パパス氏のメッセージは保留中の米国の禁止に対して「米国から離れる予定はない」という内容が、米国のTikTok全ユーザーに通知された。

TikTokはこれを、アプリのプッシュ通知やウェブサイトで公表し、コミュニティ全体を安心させる狙いだ。ユーザーへの感謝の意を表す内容から始まり、米国を拠点とした貢献、すなわちこれまでに創出した雇用と今後の創出を約束した雇用、米国および世界のクリエイターを支援するために設立した基金の一部について強調している。

パパス氏は最後に、TikTokは「長期的に米国に留まる」と主張し「TikTokのために立ち上がる」ためのコミュニティの支援を呼びかけている。

トランプ大統領は早ければ米国時間8月1日に米国からのアプリへのアクセスを禁止する命令に署名する予定だと主張したが、これに続いてマイクロソフトが同社の中国に拠点を置くオーナーであるByteDanceと米国事業の買収の可能性を巡って協議中であるとの報道があった。

トランプ大統領はホワイトハウスでの報道陣へのコメントで、その可能性を否定しているように見えたが、米国時間8月1日の朝に発表された内容によると、マイクロソフトはTikTokの株式を取得し、米国ユーザーのデータの管理を引き継ぐために実際に交渉中で、あらゆる禁止を食い止めるための水面下の取引を進めているようだ。

しかしByteDanceは、中国企業が米国を拠点とするTikTokの運営を米国の所有者に完全に売却しない限り、トランプ氏がそうすることができると仮定して、米国内の関係者と取引を進めているようだ。

繰り返しになるが、トランプ大統領が米国中でアプリを禁止することについて実際にどのようなに裁定を下すのかは明らかではないが、ByteDanceは米国の関係者と協力して、中国企業が米国のオーナーにTikTok事業を完全に売却しない限り、アプリが利用できなくなることを前提にした取引を進めているようだ。

Chesnot / Getty Images

(翻訳:TechCrunch Japan)

米国TikTok事業の売却でByteDanceとマイクロソフトが合意、米国内ではマイクロソフト以外の企業が運営か

ロイターの報道によると、中国のByteDance(バイトダンス)が米国でのTikTok(ティックトック)事業を売却することで合意したという。この取引では、Microsoft(マイクロソフト)は米国に拠点を置くユーザーのデータの管理を引き継ぐことになる。またこの契約により、マイクロソフト以外の別の会社が米国でTikTokを運営することが可能になる。これによりTikTokは、トランプ大統領が脅したとされる執行命令の疑惑を回避し、米国内でのサービス運営を継続することができるようになる。

執行命令の疑惑とは、ByteDanceは以前に同社の少数株主を維持できるような取引を模索していたこと。結局はホワイトハウスがこの提案を却下したため、この計画は最近になって頓挫したようだ。

今回の新しい取引のもとでは、マイクロソフトは米国に拠点を置くユーザーのデータ保護を担当し、米国に拠点を置く別の会社がTikTok の運営を許可されることになる。ただし、この契約でTikTokが米国内での運営を継続することができるかどうかは不明だ。

マイクロソフトとホワイトハウスにコメントを求めたが現在のところ得られていない。

このニュースは、トランプ大統領が中国系アプリの米国内での運営を禁止する執行命令に署名(未訳記事)すると記者団に語った数時間後に発表された。これを受けてByteDanceは以下の声明を発表した。

1億人の米国人、特に新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、エンターテイメントや人との繋がりを求めてTikTokに来ています。今年だけでByteDanceは1000人近くのスタッフを米国チームに採用し、さらに1万人の従業員を全米の企業の中でも厚待遇で採用できたことを誇りに思っています。当社が設立した10億ドル(約1050億円)のクリエイターファンドは、当社のプラットフォームで生計を立てている米国のクリエイターをサポートしています。TikTok USのユーザーデータは米国内に保管され、従業員のアクセスは厳重に管理されています。TikTokの最大の投資家は米国から来ています。TikTokの広報担当者は「私たちは、私たちのプラットフォームで創作する人たちに家族の喜びと有意義なキャリアをもたらすために活動を続けているので、ユーザーのプライバシーと安全性の保護に努めています。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / AFP (opens in a new window)/ Getty Images

マイクロソフトがTikTokの米国事業買収で中国のByteDanceと協議中

Bloombergの記事によると、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は大人気ソーシャルビデオアプリTikTokのオーナーである中国のByteDance対してに、同社からの売却を命じる計画を立てているようだ。このアプリは親会社が中国の企業であり、米国のセキュリティ上の懸念の対象になっている。

この報道に続いて話題になっているのは、米国などの国々でもユーザー数が多い中国のソーシャルネットワークサービスをMicrosoft(マイクロソフト)が買収する商談を行っているというBloombergThe NewYork Timesの報道だ。TikTokは中国では利用できず、中国のユーザーは代わりにByteDanceが所有する類似アプリであるDouyinを利用している。

この売却が何を意味しているのか、果たして大統領が関与しているのか、詳細はまだ何もわかっていないが、もし実現すればテクノロジーの世界に巨大な波がやってくるだろう。TikTokは、YouTubeやFacebook(フェイスブック)のような米国を拠点とするソーシャルネットワークにとって、唯一の規模などにおいても無視することができない外部の競争相手だ。

また、売却によってTikTokの米国事業がなんらかの形でスピンアウトするのか、それとも同社の幅広い国際的事業がそのまま残るのかもわからない。

TikTokは、米国におけるトラブルを承知している。米国のテクノロジー企業でさえ規制当局から攻撃される時代である現在、同社は中国の所有権に関する米政府の懸念を払拭しなければならないことを知っている。TikTokは2020年5月に戦略的な動きを見せ、Disney(ディズニー)の役員であったKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏を同社のCEOおよびByteDanceのCOOに迎えた(未訳記事)。

関連記事:Disney streaming exec Kevin Mayer becomes TikTok’s new CEO(未訳記事)

米国のテクノロジー大手がTikTokItを買収するとしたら、今は確かに奇妙なタイミングだ。米国時間7月29日には議会の委員会が、テクノロジー業界の最大の合併と買収を厳しく追及した。ホワイトハウスはTechCrunchに対して、記事へのコメントを拒否している。

7月29日水曜日にはApple(アップル)、Google(グーグル)、フェイスブックそしてAmazon(アマゾン)が4時間あまり議会で締め上げられたが、その中にマイクロソフトの姿はない。マイクロソフトはすでに以前、反トラストの嫌疑で米政府にやられたことがある。またマイクロソフトが消費者よりもエンタープライズにフォーカスしていることも、規制当局が見逃した理由だろう。しかしTikTokの一件は連邦政府からの特例でもないかぎり、議会や政府の新たな注意を招きかねない。

TikTokに対する政府の監視は最近ますます厳しい。ついに大統領までもが(未訳記事)、米国でのTikTokの禁止に関心を示している(The New York Times記事)。今週、Joe Biden(ジョン・バイデン)氏はキャンペーンでスタッフに対して仕事用でも個人用でも、自分のデバイスからTikTokのアプリを削除するよう求めた(The Verge記事)。

米国の一部の企業は、やはりオーナー企業が中国籍である懸念から、社員たちにこのアプリの使用を禁止している。

画像クレジット: Lionel Bonaventure/AFP/Getty Image

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトの新しいFamily Safetyアプリで子供たちのスマホ、PC、Xboxの利用状況をまとめて管理

Microsoft(マイクロソフト)の新しいスクリーンタイム兼ペアレンタルコントロールアプリであるMicrosoft Family Safetyが、米国時間7月28日からiOSとAndroidで一般に利用可能となった(Microsoftリリース)。実はすでに今春の初めに、同様の機能のプレビュー版がリリースされていた(Microsoftリリース)。このアプリは、保護者が子供の実際の利用時間を詳しく把握して、制限を設定したり、利用可能時間のスケジュールを作成したりできるようにするもの。また、ウェブアクセスに関しても境界を設定したり家族の居場所を追跡するなど、さまざまな機能を備えている。

画像クレジット:Microsoft

このアプリは、他のペアレンタルコントロール技術と競合する。iOSやAndroidに最初から組み込まれているものも例外ではない。ちなみにAndroidのものは、Family Linkという独立したアプリとしても利用できる。競合する他社のものと同様、マイクロソフトのFamily Safetyもすでに同社の製品やサービスのエコシステムにどっぷりと浸かっている人に対して効果が大きい。マイクロソフトの製品でいえば、Windows 10のパソコンやXboxを使っている人だ。

他の多くのスクリーンタイムアプリと同様に、Family Safetyでも子供が実際に画面を見ていた時間のログを表示できる。その内訳にはWindowsパソコン、スマホ、Xboxといったデバイス単位だけでなく、ウェブサイトやアプリごとに費やした時間も含まれる。また、子供がオンラインで検索した言葉を表示することも可能だ。

画像クレジット:Microsoft

保護者と子供には、電子メールで毎週レポートが送信される。スクリーンタイムの健全な利用について話し合うことを促すためだ。このあたりは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行前から、すでに微妙な問題だった。それが今、子どもたちは自宅にいながら授業を受け、何時間もゲームをしながら夏休みを過ごそうとしている。その一方で、保護者はなるべく子供の世話をせずに仕事をしようとしている。状況はさらに複雑なものになっているのだ。

保護者も、以前であればスクリーンタイムなど、まったく気にしないでいることもできたかもしれない。子供に自由にさせておくことで平和な日々が過ごせるなら、それでよいと。ところが、家に居続けるのことが当たり前になると、どれくらいのスクリーンタイムなら健全で、どれくらいなら多すぎるのか、ということを多くの家庭で気にし始めた。

この新しいアプリでは、Xboxを含むあらゆるデバイスに適用されるスクリーンタイムの上限を保護者が設定できる。細かく設定することで、オンライン学習用の教育用アプリへのアクセスは許可しながら、例えばゲームなど、他のアプリのスクリーンタイムを制限することも可能だ。設定された時間を使い果たすと、子供は保護者に延長を要求できる。保護者はそのつど要求を受け入れるかどうかを選べる。

一方、ウェブフィルタリング機能についてはWindows、Xbox、Androidで利用可能なマイクロソフトの新しいブラウザであるMicrosoft Edgeを利用する。このブラウザを使えば、保護者は検索フィルターを設定することで、成人向けのコンテンツをブロックできる。また他にも、子供が成人向けのゲームやアプリをMicrosoftストアからダウンロードしようとした際に、保護者に通知するコンテンツ管理機能も利用できる。

画像クレジット:Microsoft

さらに保護者は、子供のリクエストに対して承認を与えるようにすることで購入を管理できるので、後になって請求金額に驚くようなこともない。

さらに、このアプリには家族の位置情報共有機能も組み込まれている。つまりLife360のような家族の位置確認アプリを別途インストールしなくても、基本的な位置追跡機能を利用できるのだ。家族の居場所を地図に表示したり、お気に入りの場所として「自宅」を設定したりもできる。

画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは、プレビュー期間以降にアプリの機能を増強して特定のアプリをブロックしたり、そのブロックを解除できる機能、位置情報をまとめる機能などをいくつか追加した。またスクリーンタイムの延長を許可する際のオプションも15分、30分、1時間、2時間、3時間といったように、細かく設定可能となった。アクセシビリティに関する機能も更新され、視力が弱いユーザー向けにコントラストを強くする機能の改善や、スクリーンリーダー用のコンテキストの追加など、いくつかの強化が見られる。

とはいえFamily Safetyの機能は、購入管理やウェブフィルタリングなど、部分的にiOSやAndroidに組み込まれたものに及ばない点があることにも気付くだろう。しかもiOS版では、スクリーンタイムの追跡機能は動作しない。Apple(アップル)がそのためのAPIを用意していないためだ。アップルでは、独自のスクリーンタイム機能を提供し、それと競合するようなアプリを閉め出す方針を取っている。

こうしたことは、プラットフォームを持っている会社がそれぞれ独自のOSとエコシステムにユーザーを囲い込み、自社製デバイスのみを購入して使用するよう顧客に奨励しているために起こる。残念ながらその結果、さまざまなメーカー製のデバイスを利用している家庭、例えばXboxでもゲームを楽しむiPhoneユーザーや、パソコンとしてはMacを使っているAndroidユーザーなどがいる家庭では、1つですべてのデバイスを管理できるツールが存在しないことになってしまう。

マイクロソフトはFamily Safetyをリリースした後、すぐに2つの新機能をにロールアウトすると発表している。位置情報によるアラート機能と、主に10代のドライバーを対象とした安全運転のための機能だ。これらは、有料のMicrosoft 365 Familyのサブスクリプション(今のところ日本では利用できない)の一部として提供される。

新しいFamily Safetyアプリは、iOSAndroid向けに無料でダウンロードできるようになっている。段階的なロールアウトなのですぐにはアプリにアクセスできないかもしれないが、今週中くらいには利用可能となるはずだ。

原文へ
(翻訳:Fumihiko Shibata)

Halo、ForzaなどXboxシリーズXゲームのデモビデオ一挙公開

ソニーは先月、スパイダーマン マイルズ・モラレス、ロボット・ネコがサイバーシティを散歩するStray、プロバスケットのNBA 2K21など多数のPlayStation 5向けゲームを紹介 した。今度はMicrosoftの番だ。5月にXboxシリーズX向けのタイトル13本が予告されているが、今回ははるかに詳しいデモビデオだ。年末商戦でこの次世代コンソールを買う必要があるかどうかゲーマーが判断するのにかっこうの材料となっている。

ソニー同様、Microsoftも発売予定のタイトルから実際のゲームシーンをデモしている。このバーチャル・プレゼンにはこうした迫力あるゲーム録画以外に通常の予告編も含まれている。Xboxの責任者、フィル・スペンサー(Phil Spencer)氏は「(リリース予定の)15タイトルのうち9タイトルが紹介される。うち5タイトルは1人称視点のゲームだ」と述べている。.

予想どおり、まずはトップはHaloの最新バージョンの予告だ。HaloのアップデートがなければXboxのアップデートもないというくらいこの一人称戦闘ゲームはXboxゲームの代名詞となっている。Halo Infiniteのゲーム実況はバーチャル・プレゼンの冒頭にあるだけでなくかなりの長さもある。

開発元のBungieの説明では新しいHaloは「最近のいくつかのバージョンを合計したより数倍もサイズが大きい」だそうだ。 Bungie関連のビッグニュースはまだある。Destiny 2がXbox Game Passに登場するという。今年末にはGame Passのメンバーはこのタイトルを無料でプレイでできるようになる。

Rareの新作ゲーム、Everwildは今回のプレゼンでいちばん驚かされたタイトルだった。 プレビュー版の予告編が先月公開されていたが、今回のビデオはさらに詳しくサイケデリックなタッチがいかんなく感じ取れる。

ForzaもXboxの主力ゲームの一つで、時間を取って紹介されている。 このレーシングゲームも従来の番号式バージョン命名を捨てた。レンダリングは60fps、4Kでシステムのレイトレーシングを利用しており、迫真性が大きくアップしている。実際のリリースは来年になるもようだ。

ゾンビーもののState of Decayシリーズも長寿命の定番タイトルだ。.バージョン3にあたる新作についは情報が乏しいが映画的な緊迫感ある予告編となっている。

デスクトップとXbox Oneでこの夏すぐにもプレイできるのがGroundedだ。これは突然ミニサイズに縮められてしまった子供たちの冒険を描いた楽しいファンタジーで、舞台は裏庭だが巨大なクモが出てくる。このタイトルもXboxシリーズXでリリースされる。今回のイベントではPlayground GameのFable IVの「妖精がヒキガエルにひと飲みにされてしまう」という非常に短い予告編も公開された。

原文へ

滑川海彦@Facebook

Microsoftがリアルタイム顧客フィードバックツールのCustomer Voiceを発表

米国時間7月21日に開催されたMicrosoft Inspireで、同社はDynamics 365 Customer Voice(ダイナミクス365カスタマーボイス)を含む、いくつかのDynamics 365関連の発表を行った。このDynamics 365 Customer Voiceは、2018年にSAPが80億ドル(約8540億円)で購入したQualtrics(クアルトリクス)と競い合うことが可能な、リアルタイム顧客フィードバックツールである。

Microsoft(マイクロソフト)のジェネラルマネージャーであるBrenda Bown(ブレンダ・ボウン)氏は、パンデミックの中でオンラインに移行する顧客が増えるにつれて、リアルタイムのカスタマーフィードバックを捕えることが、かつてなく重要になっているという。それを他のデータと組み合わせることで、より完璧な顧客像を描き出し、将来のより良いユーザー操作に導くことができるからだ。

「Customer Voiceはフィードバック管理ソリューションです、企業や組織がより優れた製品を開発し、顧客により良いエクスペリエンスを提供して、このフィードバック管理ツールで顧客との関係を構築できるようにデザインされています」とボウン氏はTechCrunchに語った。

データはMicrosoft(マイクロソフト)の顧客データプラットフォーム(CDP)と共有され、Dynamics 365とPower Platformの上に置かれる。後者は、個々の企業のニーズに合わせてCustomer Voiceツールをカスタマイズする手段を提供する。

CRM Essentials(CRMエッセンシャルズ)のパートナーであり、共同創業者でもあるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、これにより、ユーザー操作が行われているときにフィードバックを得る課題を解決できるという。そのデータをCDPと直接共有できることで、CDPの価値がさらに高まるとリアリー氏は付け加える。

「顧客のフィードバックが上手く行われるためには、ユーザー操作、トランザクションが行われている場所のできるだけ近くで行われる必要がありますし、できるだけ簡単に行えるようになっている必要があります。そうでなければ顧客はフィードバックを返してくれません。そして、そのデータを本当に利用するためには、他のすべてのデータと一緒にCDPに統合する必要があります。そして、フィードバックキャプチャとデータ統合の両方を処理するプラットフォームがあることで、そうしたことを行いやすくなるのです」とリアリー氏は語る。

同社はまた、Dynamics 365 Connected Store(ダイナミック365コネクテッドストア)も発表した。これは特に店舗側が、店内ならびにカーブサイド(店舗周囲)の人の流れを管理する際に役立つようにデザインされたツールである。パンデミックが、一度に店内にいられる人数の制限を要求する中で、Connected Storeはセンサーとカメラを使用して、店舗マネージャーが店内の人数を常時把握して管理し、ソーシャルディスタンスを保つ手助けをする。

また、カーブサイドでの商品受け取りの一定の自動化を追加して、顧客の到着を従業員に知らせるようにできる(「カーブサイドピックアップ」はドライブスルーよりも広い概念で、駐車場などに従業員が商品を持ってきてくれるサービス)。「システムが従業員に通知を行うことで、彼らはよりシームレスで迅速なピックアップのために、顧客の注文品を用意することが可能になります。そして明らかにこのシナリオは、(多くの人が)非接触型ピックアップを希望しているため、現在とても重要になっています」とボウン氏は語った。

最後に、同社は詐欺防止コンポーネントを発表した。ボウン氏はDynamics 365 Fraud Protection(ダイナミック365フロウドプロテクション)がオンラインならびに実店舗でのビジネスを、詐欺的な行為から保護するのに役立つという。そして、デジタルで行われるトランザクションが増えるにつれて、その重要度はさらに増すと語る。新機能には、アカウント保護と紛失防止ツールが含まれている。

Microsoft Inspireは同社が毎年開催しているパートナーカンファレンスで、2020年はオンライン開催となった。ボウン氏は、オンラインで開催したことで、通常の対面式の会議よりも多くのパートナーに参加してもらえることができたと語った。これは、コストと距離が原因でこれまで参加できなかった企業が今回参加できたためだという。

画像クレジット: Jane_Kelly / Getty Images

原文へ
(翻訳:sako)

顔認識のプライバシー侵犯でマイクロソフトやグーグル、アマゾンがイリノイ州住民に告発される

イリノイ州の2人の住民が一連の訴訟で、テクノロジー大手3社が州法に違反して個人の生体認証データを許可なく使用したと主張している。イリノイ州住民のSteven Vance(スティーブン・ヴァンス)氏とTim Janecyk(ティム・ジェーンサイク)氏は「IBMの「Diversity in Faces」データベースに二人の顔が両人の同意なく登場しており、それらがAmazonとMicrosoftと、Googleの親会社Alphabetの顔認識システムの訓練に使われた」と申し立てている(CNET記事)。

3社とも米国西海岸の企業だが、訴訟はこれらのテクノロジー大手がイリノイ州のBiometric Information Privacy Act(BIPA、生体認証情報私権法)に抵触していると告発している。訴訟の原告は両氏だが、イリノイ州の「同じ状況にあるすべての個人」を代表する集団訴訟の資格も求めている。この訴訟で2人の原告は、違法行為1件につき5000ドル(約53万円)の賠償金と、これらの企業がイリノイ州住民の「生体認証識別子」(顔の画像など本人が分かる情報)を使用することを禁じ、保存されている関連の顔データを破壊する裁判所命令を求めている。

ちなみに訴状のマイクロソフト宛ての告発文では、次のように述べている。

その顔認識技術を改良する取り組みにおいて被告であるマイクロソフトは、イリノイ州の生体認証情報私権法に違反し、中でも特に、原告ヴァンスとジェーンサイクおよびそのほかすべての、同じ状況にあるイリノイ州居住者及び市民(以下「集団訴訟の原告」と呼ぶ)の生体認証識別子と情報を、不法に収集し、取得し、保存し、使用し、処理し、利益を得た。

訴訟が依拠している法律は10年以上前に制定され、イリノイ州住民を彼らの生体認証データが明示的な許可なく収集および保存されることから保護することが目的だ。顔認識が一般化し議論の的ともなっている今日では、BIPA関連の訴訟が一定の頻度で発生している。米国にはプライバシーを保護する国の法律はないが、イリノイ州の法が米国人から無断でデータを取り出していた企業に有意な障害を課している。

今年の1月にはFacebookが、BIPA関連の訴訟で5億5000万ドルを払った(未訳記事)。その訴訟はイリノイ州住民を原告として2015年に提訴され「Facebookがユーザーの画像からユーザーへの開示なく顔認識データを収集した」と申し立てられた。そのときは、SnapchatとGoogleとShutterflyも同様の訴訟に直面した。

2019年には連邦控訴裁が、顔認識データは生体認証データに含まれないとするFacebookの主張を退け、「ここで申し立てられているように、同意なくして顔認識技術を利用し顔のテンプレートを開発することは、個人の私事と具体的な関心を犯すものである」と声明した。

これらの企業が顔認識システムの訓練に利用したIBMのデータセットも、それ自身が議論を招いている。昨年NBC Newsが報じたようにIBMは「Diversity in Facesデータセットは『純粋に学術的研究が目的』であり、同社の商業的関心には奉仕しない」と主張した。そしてそのIBMのデータセットは、クリエイティブ・コモンズのライセンスを伴う1億あまりのFlickrの画像から集めたもののようだ。その決定も、企業がオープンライセンスの画像を、フォトグラファーとその被写体である人びとの同意なく利用することが許されるのか、という顔の画像の利用をめぐる独自の倫理的疑問を惹起した。

関連記事: Facebook will pay $550 million to settle class action lawsuit over privacy violations(未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google CloudのBigQuery OmniでGCPとAWSとAzureのデータをクエリできる

米国時間7月14日、Google(グーグル)はオンラインで開催されたGoogle Cloud Next ’20で、同社のクラウドポートフォリオの数々のアップデートを発表したが、今年のこのイベントのハイライトはBigQuery Omniのアルファローンチだろう。グーグルのハイブリッドクラウドプラットフォームであるAnthos(未訳記事)で動くBigQuery Omniにより開発者は、BigQueryエンジンを使って複数のクラウドにあるデータを分析できる。それにはGoogle Cloudと競合するAWSやMicrosoft Azureも含まれるが、当面サポートするのはAWSのみでAzureのサポートは後になる。

単一のインターフェイスを使うため、データセットをプラットフォーム間で移動せずに、データをローカルに分析できる。

Google Cloudのデータ分析技術担当ゼネラルマネージャー兼副社長であるDebanjan Saha(デバンジャン・サハ)「私たちのユーザーは数ペタバイトもの情報をBigQueryに保存しており、またそれが安全で保護されていることも知っている。しかしユーザーがBigQueryで行うデータ分析は極めて多様だ。例えば機械学習を組み込んだリアルタイム分析と予測分析をしているユーザーもいる。……GCPの中でBigQueryを使うことに大変満足しているユーザーから『BigQueryを他のクラウドにも広げて使いたいけど、どうやればいいんだい?』と尋ねられることが多くなっている」と説明する。

画像クレジット:Google

グーグルはかなり前から、未来はマルチクラウドにあるといっている。これには競合他社も賛成すると思う。しかしツールは、データが他のクラウドにあったり別のところで生成されたものであっても、自分たちのツールを使って欲しい。企業がそれらすべてのデータを利用できるようにするためには、結局のところ、そのためのツールとサービスが必要だ。しかもベンダーは、互いの差別化を重視している。そのため、データ分析の専門的技術を抱えるGoogle CloudはBigQueryをマルチクラウド化したい。「BigQuery Omniがあれば、ユーザーは自分がやりたいことができる。彼らはデータ分析したいのだが、そのデータは1カ所にまとまっていない。しかしBigQuery Omniなら、今日かでもすぐに、データがどこにあっても分析することができる」とサハ氏はいう。

画像クレジット:Google

サハ氏によると、Google Cloudが考えているのはこれによってエンタープライズは、複数のデータサイロに分散しているデータでも分析でき、自分のデータから新たなインサイトを得られるようになることだ。しかもそのために開発者やアナリストが使うのは、標準的なSQLのインターフェイスだけだ。

また本日の発表は、Anthosへのグーグルの賭けが実ってきたことの1つの例でもある。顧客がマルチクラウドのデプロイメントを容易に管理できるようになっただけでなく、グーグル自身も自分のプロダクトのリーチを、複数のクラウドにまたがって拡張した。そしてBigQuery OmniがAzureで使えないのは、Anthos for Azureがまだプレビューだからだ。一方、AWSのサポートは4月に一般公開された(未訳記事)。

関連記事:Google Cloudがオンメモリ暗号化のConfidential VMをローンチ

画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images / Getty Images

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoft Flight Simulator 2020は8月18日に発売、使用可能な飛行機と空港数が異なる3エディション

一連のアルファテストを経て米国時間7月13日、Microsoft(マイクロソフト)のXbox Game Studios(エックスボックス・ゲームスタジオ)とAsobo Studio(アソボ・スタジオ)は次世代Microsoft Flight Simulator 2020(マイクロソフト・フライトシミュレーター2020、FS2020)を8月18日に発売することを発表した。現在予約受付中のFS2020には、スタンダードエディション(59.99ドル、日本版税込7450円)、デラックスエディション(89.99ドル、日本版税込1万700円)、プレミアムデラックスエディション(119.99ドル、日本版税込1万3100円)の3種類があり、上位バージョンほど飛行機の種類と特別にモデリングされた国際空港が多くなっている。

最後の部分はちょっとした驚きかもしれない。マイクロソフトとAsoboはBing Maps(ビング・マップ)の資産とAzure(アジュール)のAIマジックを使って、Filght Simulator 2020では事実上地球(全空港を含む)全体を再現しているからだ。それでも開発チームは一部の大型空港を特にリアルに再現するためにさらに時間をかけたに違いない。その大型空港の1つをFlight Simulator XやX-Planeのアドオンとして購入する場合でも、30ドル(約3200円)以上を使うことになる。

スタンダードエディションには20種類の飛行機と、30カ所のハンドメイド空港が利用可能で、デラックスエディションでは25機と35カ所、プレミアムデラックスエディションでは30機と40カ所になる。

ちなみに、スタンダードエディションでこの特別なモデリングで作られていない空港はアムステルダム・スキポール、シカゴ・オヘア、デンバー、フランクフルト、ヒースロー、サンフランシスコとなる(特別なモデリングされていないだけで空港自体は存在する)。

飛行機についても同様で、787はデラックスエディション以上でしか使用できない。ただし、Asoboがこれまで発表してきた情報によると、スタンダードエディションで使用可能な20機も、これまでのバージョンよりもはるかに詳細にモデリングされていて、現在のアドオン以上かもしれない。

画像クレジット: Microsoft

マイクロソフトとAsoboが開発しているシステムの大部分はクラウド技術を使用しており、例えば詳細な景色はオンデマンドでコンピューターにストリーミングされるため、コンテンツのアップデートが定期的に行われる可能性が高いが、詳細はまだ明らかになっていない。

「飛行機の種類や詳細にモデリングされた空港は、どのエディションでも発売当日からすべて利用可能であり、今後のコンテンツアップデートによってフライトシミュレータープラットフォームは発展と拡大を続ける」とマイクロソフトはいう。

Flight Simulator 2020はまもなくクローズドベータフェーズに入るため、近々詳細が発表されるはずだ。

画像クレジット: Microsoft

画像クレジット: Microsoft

原文へ
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトが中国製チャットボットXiaoiceをスピンアウト

Microsoft(マイクロソフト)は、共感的チャットボットのXiaoice(シャオアイス)を独立した組織にしようとしている。同社は中国時間7月13日にこの発表を行い、6月に中国のニュースサイトChuhaipost(チューハイポスト)が行っていたレポートを追認した。

この発表に先立ち、数ヶ月前の昨年末には、Microsoftは音声アシスタントのCortana(コルタナ)を中国で閉鎖することを発表していた

Xiaoiceは長年にわたり、人工知能の最優秀な人材を採用し、中国内に留まらず、日本やインドネシアなどの国々へも進出していた。Microsoftはこのことを、Xiaoiceの「ローカライズされたイノベーション」とチャットボットの「商用エコシステム」の開発を加速するための宣言だと述べている。

スピンオフ会社は、Xiaoiceにおける今後の研究と開発のために、Microsoftからの新しい包括的技術ライセンスを使い、Xiaoiceブランド(日本では「りんな」)を引き続き使用する。一方Microsoftは、新会社の株式の持分を保持し続ける。

2014年、MicrosoftのBing研究者たちの小さなチームがXiaoiceを発表した。これは中国語で「Little Bing」(小冰=Xiǎobīng)を意味する。このボットは、すぐに中国でセンセーションを巻き起こし、多くの人たちからバーチャルガールフレンドと見られるようになった。このチャットボットが登場したのは、Microsoftが中国内でCortanaを展開してから、わずか数週間後のことだった。Xiaoiceは、10代の少女をパーソナリティのモデルとしており、同社はチャットボットに対して、人間的で社会的な要素をさらに追加することを目指している。Microsoft自身の言葉によれば、彼女はユーザーの友達になりたいと思っているということだ。

すべての外国企業と同様に、Microsoftは中国の検閲にしっかりと取り組む必要がある。2017年にXiaoiceは、政治的に問題を含む発言の疑いで、Tencent(テンセント)のインスタントメッセンジャーQQから削除された。

このプロジェクトには、AIの世界で最も権威のある科学者たちが参加していた。例えばLu Qi(ルー・チー)氏はその後Baidu(バイドゥ)に最高執行責任者として移籍して、Y Combinatorを中国に連れて来たし、Jing Kun(ジン・クン)氏は検索大手Baiduのスマートデバイス部門の責任者となり、またMicrosoftの名高い人工知能および研究部門の元幹部であるHarry Shum(ハリー・シャム)氏は、現在新進のニュースアプリNews Break(ニュースブレイク)のボードメンバーとなっている。

シャム氏は、今回Xiaoiceから生まれる新しい独立企業の会長を務める。 またXiaoiceのゼネラルマネージャーであるLi Di(リー・ティー)氏が最高経営責任者(CEO)を務める。 日本版のチャットボット「りんな」の開発者であるChen Zhan(チェン・サン)氏は、日本オフィスのゼネラルマネージャーになる。

新会社は、「Xiaoice」および「りんな」ブランドを使用する権利を保持し、中国語圏、日本、インドネシアの顧客基盤をさらに発展させることを使命とする。

Microsoftは、Xiaoiceは世界中で、6億6千万人のユーザーと4億5000万台のサードパーティスマートデバイスに使われていると述べている。またそのチャットボットは、金融、小売、自動車、不動産、ファッションなどの分野に応用を見出し、そこでは「テキストからコンテキスト、雰囲気、感情を抽出して、数秒でユニークなパターンを作成できる」と 主張している。

原文へ
(翻訳:sako)

Surface Book 3はiPad ProとMacBook Proがライバルの2 in 1 PC

日本マイクロソフトは、モバイルPCのフラッグシップであるSurface Book 3を5月7日に発表、6月5日に販売開始した。2 in 1 PCにはキーボードカバー型、ディスプレイ回転型などがあるが、Surface Bookシリーズは、CPU含むメインボードを内蔵するタブレット部、ディスクリートGPU(dGPU)とセカンドバッテリーを内蔵するキーボード部で構成。3Dゲームやクリエイティブ系アプリを快適に動作させられるパフォーマンスを備えている。

Surface Book 3には13.5型と15型が用意されているが、今回はSurface Book 3 13.5インチを試用して、それぞれのスタイルでどのぐらいの処理性能を発揮するのかをチェックしていく。

Surface Book 3 13.5インチの価格は、19万800円~(一般向け)、18万8800円(法人向け)

タブレット部だけでも利用可能だが、当然その場合はdGPUを利用できない

Core i5モデルにはdGPUが搭載されていない点に要注意

Surface Book 3 13.5 インチには下記の4モデルがある。Core i5版のCPUは第10世代(Ice Lake)のCore i5-1035G7(4コア8スレッド、1.20~3.70GHz)、Core i7版のCPUはCore i7-1065G7(4コア8スレッド、1.30~3.90GHz)が採用されている。なお一般向けには、Windows 10 HomeとOffice Home & Business 2019、法人向けはWindows 10 Proがプリインストールされている。

  • Core i5、メモリー8GB、SSD256GB(一般向け19万800円、法人向け18万8800円)
  • Core i7、メモリー16GB、SSD256GB、GeForce GTX 1650(一般向け23万8800円、法人向け23万6800円)
  • Core i7、メモリー32GB、SSD512GB、GeForce GTX 1650(一般向け28万7800円、法人向け28万5800円)
  • Core i7、メモリー32GB、SSD1TB、/GeForce GTX 1650(一般向け31万800円、法人向け30万8800円)

プロセッサー以上の大きな違いがCore 1i5版にdGPUが搭載されていないこと。最新の3Dゲームやクリエイティブ系アプリを快適に動作させるためにはdGPUは必須なので、購入を検討するなら特に注意してほしい。

なお15インチモデルも同じくCore i7-1065G7が搭載されているが、dGPUは上位のGeForce GTX 1660Tiが採用されており、また、法人向けにはQuadro RTX 3000搭載モデルも用意されている。13.5インチと15インチモデルでは、画面やボディーの大きさだけでなく、グラフィックス性能も異なる点に留意しておこう。

本体天面。背面には800万画素カメラ、前面には500万画素カメラとWindows Hello対応顔認証カメラが内蔵されている

ボディーはマグネシウム合金製。本体サイズは、Core i5版が幅312×奥行き232×13~厚さ23mm、多さは1534g、Core i7版が幅312×奥行き232×厚さ15~23mm、1642g

キーボードは日本語仕様のみ。キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後

本体前面に電源ボタンとボリュームボタンが配置されている

インターフェースは、右側面に3.5mmヘッドフォンジャック×1、USB Type-C 3.1 Gen 2×1(USB Power Delivery revision 3.0対応)、Surface Connectポート×1、左側面にUSB Type-A 3.1 Gen 2×2、フルサイズSDXCメモリーカードリーダー×1を用意

タブレット部の下部にSurface Connectポートがもうひとつ配置されている

利用スタイルでパフォーマンスが大きく変わる

今回3つのベンチマークを実施した。CPUベンチマークのCINEBENCH R20.060のCPUスコアは1655pts、3DゲームベンチマークのFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2(標準品質/2560×1440ドット/フルスクリーン)のスコアは3013、ストレージベンチマークのCrystalDiskMark 7.0.0のシーケンシャルリードは2075.96MB/秒、シーケンシャルライトは807.44MB/秒という結果だ。3Dゲームやクリエイティブ系アプリを快適に動作させられるだけのパフォーマンスを備えていると言えよう。

CINEBENCH R20.060のCPUスコアは1655pts

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2(標準品質/2560×1440ドット/フルスクリーン)のスコアは3013

ストレージベンチマークのCrystalDiskMark 7.0.0のシーケンシャルリードは2075.96MB/、シーケンシャルライトは807.44MB/秒

ただし注意点がある。今回、クラムシェルモードとタブレットモードそれぞれで、ACアダプターに接続しているとき、バッテリーで駆動しているときのパフォーマンスを計測してみたが、タブレット部単体ではdGPUを利用できないため、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2のスコアが約25%に相当する743にまで落ち込んだ。その一方で、バッテリー駆動時には極端な違いは見られなかった。Surface Book 3は、dGPUに依存するゲームやアプリはクラムシェルモードで動作させるべきだ。

CINEBENCH R20.060
・クラムシェルモード
電源接続:1655
バッテリー動作:1699

・タブレットモード
電源接続:1269
バッテリー動作:1163

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2
(標準品質/2560×1440/フルスクリーン)
・クラムシェルモード
電源接続:3013
バッテリー動作:3048

・タブレットモード
電源接続:743
バッテリー動作:582
※電源モードはそれぞれ最も高いモードに設定した

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2を実行中の表面温度は、タブレット部背面が最大48.6度、キーボード部表面が最大43.6度、キーボード部裏面が最大42.5度。ノートPCは一般的にキーボード裏面が最も温度が高くなるが、Surface Book 3はCPUが内蔵されているタブレット部背面が最も高温となっている

iPad ProとMacBook Proの領域をまとめてカバーできる1台

Surface Book 3は、iPad ProとMacBook Proをまとめてライバルに据えた2 in 1 PCだ。もちろんモバイルデータ通信機能、タブレットに特化したアプリの充実度、macOSならではの使い勝手を重視するなら両機種のいずれか、もしくは両方を選ぶべきだ。しかし、両機種の領域を1台でカバーしたいという方には最も理想に近い1台と言える。

Surface Book 3 15インチで実測した色域はsRGBカバー率96.8%。ディスプレイの色域は、残念ながらiPad Pro、MacBook Proに及ばない。クリエイティブ向けにはもっと広い色域を期待したいところだ

マイクロソフトが「Together」モードでビデオ会議の疲れを軽減

ビデオ会議。新型コロナウイルスのパンデミック中のリモートワークへの移行に伴い主流になったかもしれないが、問題がないわけではなく、いま使うのをやめる人も増えつつある。それにはもっともな理由がある。結局、きっちりとした四角に入った20人(全員背景が異なり、カメラを見ていない)に注意を向けようとしても、脳が集中力を維持するのは非常に難しい。これについては証拠となる逸話も多い。Microsoft(マイクロソフト)7月8日、この分野に関する調査の一部と、ビデオ会議を使いやすく疲労も抑えるTeams(チームズ)の新機能を発表した。

最初はTogether(トゥギャザー)モード。アイデアは実際にはかなりシンプルだ。TeamsにはすでにマイクロソフトのAIセグメンテーションテクノロジーが搭載されており、参加者を認識して背景から切り出し、背景を変更したりぼかしを入れたりできる。Togetherモードでは、全員の画像を共通の背景上に表示する。まず仮想の「講堂」から提供する。たくさんの小さな四角ではなく、会議参加者全員がこの講堂に座っているように見える。マイクロソフトの調査によると、標準のリモートコラボレーションツールより脳内の処理がかなり簡単になる。

画像クレジット:Microsoft

「当社の予備調査ではかなりのことがわかった。ただし調査はまだ予備的で、ほんの数カ月前しか調査していない」とマイクロソフトのMarissa Salazar(マリッサ・サラザール)氏は本日の発表に先立ち筆者に説明した。「何よりもまず、お互いを見る方法がこれまで慣れ親しんだものと明らかに異なることに気づくはずだ。人物がグリッドから外れただけでなく、『鏡の中の自分達』を見ることになる」。この方法についてマイクロソフトは、例えばよくやるように理髪店で鏡に向かって話しかけるのと同じだと主張する。こうして我々自身の脳を騙して、参加者がビデオ会議で必ず経験するアイコンタクトの問題を軽減する。

画像クレジット:Microsoft

「当社の調査によると、このモードで参加するよう頼まなくても、人々は会議をより楽しく感じ、積極的に参加し、カメラの前に長くいても快適だと感じる傾向があることも示した。そして私が最も重要だと思うのは、人間同士の対話にとって重要性の高い振る舞いとは何か、その手がかりをつかんだことだ」とサラザール氏は述べた。

マイクロソフトのヒューマンファクターエンジニアリンググループのディレクターであるMichael Bohan(マイケル・ボーハン)氏は、グリッドビューを削除するだけで大きな違いが生まれると指摘した。「グリッドビューがあると、すべての人がハコに入るため、脳はそれらを個々の部分として扱う必要がある。つまり、すべての情報を解析する必要がある。グリッドの枠を取り払うと、脳は物事を統合された風景として見る」。

現時点では、Togetherモードは最大49人の参加者を収める講堂ビューのみを用意しているが、マイクロソフトはより親密さを感じる「コーヒーショップ」モードなど他のビューにもすでに取りかかっている。

画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトが導入したもう1つの新しいモードはDynamic(ダイナミック)ビューだ。これはTogetherモードがあらゆる種類の会議に適しているわけではないという考え方に基づいて用意された。このビューでは、共有コンテンツと会議参加者の表示方法をより詳細に選択できる。コンテンツと特定の参加者を並べて表示する機能などが含まれる。

また、今回のアップデートで新しく追加される機能には、たとえば照明レベルを微調整するビデオフィルターや、もうすぐ追加されるライブリアクション機能がある。後者は、会議を中断せずに感情を絵文字で共有できる機能だ。さらに、近日中にPowerPoint Live Presentations for Teamsも追加される。チャットの吹き出しが表示される機能で、チャットビューをいつも開いたままにしておく必要がなく、キャプションやトランスクリプト(議事録)に発言者が誰かを表示できる。マイクロソフトはTeamsのチャットにGmailのような「返信サジェスチョン機能」を導入する予定だ。

まだある。Teamsの会議では最大1000人が参加者できるようになるため、全社で集まる会議を開催できる。プレゼンテーションの場合は最大2万人が参加者できる。

マイクロソフトの音声アシスタンス機能であるCortana(コルタナ)はまだ生きている。「彼女」はTeamsモバイルアプリにも登場し、電話発信や会議参加を助けてくれる。またマイクロソフトは本日、CESで最初に発表した専用のTeams Displays(チームズディスプレイ)を再導入した。

画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトのCVPであるJared Spataro(ジャレッド・スパタロウ)氏が本日の発表に先立って筆者に強調したもう1つの新機能は、新しいReflect(リフレクト)メッセージング拡張機能だ。「これにより、マネージャーにチームの健康状態をチェックしてもらうことができる」と説明する。「チェックは匿名・公開いずれでも可能だ。我々自身のチームですでにいくつかの機能を使っている。従業員の状況を確認したいだけだが、この機能があれば構造化された方法で確認できる。マイクロソフトの顧客と話した内容から考えて、これは本当に受け入れられると思う。こうしたウェルビーイング(健康や幸福)の部分が非常に重要になりつつあるからだ」。

画像クレジット:Microsoft

画像クレジット:Alistair Berg / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

最新のモバイルアプリには変革が必要だ

1週間の振り返りニュースへようこそ。先週、私はApple(アップル)のApp Storeに対する論争について取り上げたが、今週はアプリが将来は基本的にどのように見えるかについて、アップルのWWDCの発表が投げかけた材料をもとに再び議論したい。

大いなる変革

今月アップルのApp Storeに関しては、開発者たちがアプリの収益化方法の変更を要求するという論争が起きていた。一方先週アップルがWWDCでそのオペレーティングシステムの次のバージョンを詳しく説明したことによって、サードパーティのアプリ自身が根本的に変革される余地があることを、同社が確信していることが明らかとなった。

先週のWWDCで、アップルはApp Clips(アップ・クリップス)を発表した。これはサードパーティアプリのアイデアをわずか1つまたは2つの機能にさくっとスケールダウンするというコンセプトだ。ユーザーは、URL、NFCタグ、またはビジュアルコードを介して、App Clipsを素早く呼び出すことが可能で、適切なコンテキストが発生したときにダウンロードされる。多くの点で、これは開発者により多くの制限を課すことになる、また別の通知タイプに過ぎないが、その背後に横たわるのは、オペレーティングシステム自体の内部へ、サードパーティ統合を推進するというアップルの継続的な関心に従う考えだ。

私たちは個々に独立したアプリのパラダイムを長い間使って来たものの、アップルがARグラスなどの将来のプラットフォームについて考えている中で、グリッドに並べられたアプリがあまり効率的でないことが明らかになった。同社はこのことを、Apple Watchを通してかなりゆっくりと学習したが、サードパーティのエクスペリエンスが専用の独立したプラットフォームとして与えられるよりも、定番アプリを補助するもののように感じられたほうがずっと良い場合がある。Apple Watchにとって、コンプリケーション(時計フェイス上にアプリを配置する機能)は極めて重要なものだが、このことが改めて明らかにしたのは、スクリーンの大きさが限られているデバイスの上で、アプリ開発者がデバイスメーカーと競い合うのは不利だという事実だ。

アップルは、アプリの販売方法や発見方法だけでなく、アプリの基本的な動作方法を決定する、大きな裁量の余地を持っている。同社がiOSの内で、コンテキストにより柔軟に対応したサードパーティエクスペリエンスに興味を持っていることは明らかだ。iOS 10のiMessage内に埋め込まれた内部アプリストアの登場は、これを最も積極的な形で実装したものだったが、その動きに対するフォローアップは、極めて軽いままだった。これを他の定番アプリに拡張して、サードパーティの調整によって製品を強化することもできたはずだが、そうするためには同社は自分が十分満足していないエクスペリエンスを出荷することに対する抵抗を乗り越えなければならなかっただろう。

ホーム画面上にグリッド状に並べられたアプリケーションのアイデアは、ユーザーにとって必ずしも効率的であるとは限らない。App Storeが同社にとっての莫大な収益である一方で、アップルはそのエクスペリエンスを合理化する方法について、ずっと考え続けていることは明らかだ。Widgets(ウィジェット)とApp Clipsは、ユーザーをアプリの実際の機能に集中させることになる。そして、私はそれが開発者にとって本当に良いことなのかどうかに興味がある。私の想像では、ユーザーがこうしたひと口サイズのエクスペリエンスの利用に費やす時間が長くなるほど、ユーザーがこれらのアプリを本当にクリックする時間は短くなり、持続可能なプラットフォームを構築する開発者の機会を減らすことになるのではないかと思う。

こうしたミニチュア体験は、中国で長年支配的だった手法に対して、アップルが開発者を促すことになる。WeChatのミニプログラムネットワークは、米国に存在するものとはまったく異なっている。その意味でWeChatは長い間、欧米の企業に影響を与え、その興味を引きつけてきた。モバイルにおけるサードパーティ統合の形式を再考する努力は、何年にもわたって行われてきたものの、アプリストアからダウンロードされたアプリのコア機能を置き換えることに成功したものはほとんど存在していない。

アップルがこの道を進もうとしたときに、大いなる脅威に晒されるかどうかは不明だ。Facebookの場合は、Cambridge Analyticaの余波で開発者プラットフォームの野望を大幅に縮小してしまい、おかげで開発者が大きな被害を被ってしまったので、何かをすぐに始めるには、Facebookは不利な立場にいるようだ。例外はFacebook Messengerだが、そのチームは数年前の失敗したチャットボットの取り組みを乗り越える必要がある。今月初めに、SnapはSnapchatのチャットセクションに軽量アプリを統合することを発表した。この機能は、ほんのひと握りのサードパーティのエクスペリエンスで開始され、Snapchatがミニゲームのランチャーを提供する場所と同じセクションに統合された。

App Clips、Widgets、Siriサジェスチョン、さらに多くのより細かい機能は、アプリのエクスペリエンスを、デバイスの中心に近付け、アプリグリッドの外に引き出して利便性の核に近付けるための、より積極的な取り組みのビジョンを描き出している。アップルが、サードパーティの統合へのアクセス方法の最前線のコンテキストを支配する中で、同社はどれくらい開発者たちを遠ざけることなく、将来のビジョンへと駆り立てることができるだろうか?

関連記事:アプリの一部機能をオンデマンドで提供するiOS 14のApp Clipsはダウンロードという高いハードルを取り去る

amazon zoox

トレンド

AmazonがZooxを買収
Amazon(アマゾン)は自動運転自動車業界に参入した技術大手の最新企業だ。同社は米国時間6月26日に、自動運転車のスタートアップZooxを買収することを発表した。同社はこれまでに約10億ドル(約1070億円)を調達しており、Financial TimesによればAmazonは同社を12億ドル(約1290億円)で手に入れたと報じられている。

MicrosoftがMixerを閉鎖(未訳記事)
アマゾンのTwitchを打ち倒す競争は、今週Microsoft(マイクロソフト)がゲームストリーミングレースから身を引き、TwitchのライバルであるMixerを閉鎖したことを発表したために、ますます興味深いものとなった。このサービスは後発ではあったが、同社が世界のトップゲーマーの独占ストリーミング権利を取得することで、遅れを挽回することを目指していた。どうやら、それだけでは不十分だったようだ。

FacebookがOculus Goを殺す
先週私は、Facebookが自身で販売している、最も安価なVRデバイスである149ドル(約1万6000円)のOculus Goヘッドセットを、どのように殺そうとしているかについて書いた。このデバイスはすでに数週間売切れ状態だが、Facebookがこの先アップデートがあることを以前の声明の中でほのめかしていたことを思うと、この2歳のデバイスを廃止したことは驚きだ。

原文へ
(翻訳:sako)

マイクロソフトがほとんどの実店舗を永久に閉鎖

他の小売業者たちが、ゆっくりと慎重に再開の動きを始める中で、Microsoft(マイクロソフト)はその小売店の大多数を永久に閉鎖することを発表した。ロンドン、ニューヨーク、シドニーなどの主要都市にある旗艦店やワシントン州レドモンドの自社キャンパス内の店舗など、いくつかの例外はあるものの残りの場所は廃止される。

そしてマイクロソフトは続けて、残される少数の場所も今後、普通の店舗ではなく「Microsoftエクスペリエンスセンター」に生まれ変わることを明言している。基本的にそこでは販売ではなく、製品を試用したり学習したりするための場所となる。

「Microsoftストアは小売への新しいアプローチを発表します」といういささか楽観的なタイトルがつけられた投稿(Microsoftリリース)の中で、マイクロソフトは同社がこれまでは自社の実店舗でApple(アップル)との競争を模索してきた小売へのアプローチが、大幅に変化したことを説明している。

そこでは新型コロナウイルス(COVID-19)による計画的な一時的閉鎖にも言及している。しかしパンデミックは間違いなくその部門に影響を及ぼしたものの、長期的にはそうなる流れだったようだ。2019年6月には、同社は米国の小規模な専門店とキオスクを閉鎖している(Windows Central記事)。

「当社の製品ポートフォリオが主にデジタル製品として進化し、当社の売上はオンラインで成長してきました。また私たちの有能なチームは、どんな物理的な場所からよりも顧客にサービスを提供して成功を収めています」と投稿で語るのは、同社の副社長であるDavid Porter(デビッド・ポーター)氏だ。

こうした動きの中でのまずまずのニュースは、マイクロソフトがリソースをオンラインコマースに戻すために、小売の従業員たちを新しい販売やその他の役割に移行することを約束しているということだ。

投稿には「我が社の小売チームのメンバーは、マイクロソフトの施設から顧客に対してサービスを継続しリモートでセールス、トレーニング、サポートを提供します」と書かれている。「マイクロソフトは引き続きMicrosoft.com上のデジタルストアフロントと、XboxならびにWindowsの中のストアに投資し、190の市場で毎月12億人以上の人々にリーチします」。

原文へ

(翻訳:sako)

マイクロソフトがセキュリティスタートアップのCyber​​Xを買収、Azure IoT事業のセキュリティ強化に超本腰

米国時間6月22日、また新たな大型買収がイスラエルで発生した。この買収は、経済が減速する中、大手ハイテク企業が長期的戦略に集中し、それを支える資産をどう補強しようとしているのかを示している。Microsoft(マイクロソフト)が、CyberX(サイバーエックス)を買収すると発表(Microsoft Blog記事)したのだ。Cyber​​Xは、IoTネットワークや大企業のネットワークにおけるセキュリティ侵害の検知、対応、予測に特化するセキュリティスタートアップだ。契約条件は未公開で現在問い合わせ中だが、情報筋によると約1億6500万ドル(約180億円)だ。

「Cyber​​Xは既存のAzure IoT セキュリティの機能を補完し、産業用IoT、OT(運用・制御技術)、各種インフラなどの既存の機器に拡張される」と、Cloud & AI Security部門のCVPとCTOを務めるMichal Braverman-Blumenstyk(ミハル・ブラバマン・ブルーメンスティク)氏とSam George(サム・ジョージ)氏は述べた。「顧客はCyber​​Xにより既存のIoT資産を可視化し、機器のセキュリティ体制を管理・改善できる」。

この数カ月聞かれたマイクロソフトがCyberXを買収するとの憶測は、今回の買収により終息する。報道は2月に始まり(The Maker記事)、しばらく音沙汰がなかったが、5月に再び現れ始めた(Geektime記事)。その間、噂された買収価格は1億5000万ドル(約160億円)から1億6500万ドル(約180億円)に上昇した。クロージングが遅れた原因はバリュエーションだった可能性がある。あるいは値上がりしたのは単に他社も買収の検討を始めたせいかもしれない。

マイクロソフトが関心を寄せたのは、過去数年間CyberXが取り組んできた2つの主要な領域、すなわち大企業向けのITサービスとサイバーセキュリティだ。後者では、特にAIを活用して次世代の課題に取り組んでいる。

この2つはCyber​​Xの中で大きく重なっている。同社が協業する主な電力会社、通信事業者、化学メーカーなどの民間企業は、事業の基盤となる広大なネットワーク全体で「無人」マシンを利用している。CyberXは行動分析や他のAIベースの手法を使い、ネットワーク活動を継続的に監視し、侵害の兆候となる異常を検出する。

マイクロソフトはIoTにも大きく賭けている。法人向けに力を入れており、過去2〜3年の間に50億ドル(約5400億円)をIoTソリューションの開発やAzureオペレーションに必要なプラットフォームに投資した。セキュリティがその主要な基盤となる必要がある。中途半端な開発や保守のためにシステムの欠陥が多発する例が後を絶たず、それがネットワーク全体に関わるより大きな脆弱性の原因となっているからだ。

今回の買収で、創業者を含む会社全体がマイクロソフトに加わるようだ。「二ールと私は、世界中の企業に向け、リスク軽減と利用開始が容易でスケーラブルなソリューションを提供するためにCyber​​Xを立ち上げた」と、Cyber​​Xの共同創業者兼CEOであるOmer Schneider(オマール・シュナイダー)氏は、買収取引を発表したブログ投稿で述べた。「当社は大切な顧客とパートナー、イノベーションと努力によってこの重要なマイルストーンに到達することを可能にしてくれた献身的な従業員、そして継続的に支援してくれた投資家に感謝している」

「マイクロソフトと力を合わせることで当社のビジネスとテクノロジーを迅速に成長させ、より多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを安全に実現できるようになる」と、Cyber​​Xの共同創業者で、GM International兼CTOのNir Giller(ニール・ジラー)氏は付け加えた。「Cyber​​Xとマイクロソフトは共同で、企業内のすべてのIoTおよびOT機器のリスクを可視化し包括的に理解するための比類のないソリューションを提供する」。

Cyber​​Xは自社のIoTネットワーク(特に産業用IoTネットワーク)を適切に管理するためのさまざまなツール、特に「デジタルトランスフォーメーション」のコンセプトに関わるものを顧客に提供する。単にシステムをアップグレードするだけでなく、システムをよく理解したい顧客が対象だ。

エンドユーザーが工場のフロアのような広い場所で既存のIoT資産を検出・接続できる機能もある。そして、現場でセキュリティの問題を発見・修正する。

これは、他のマイクロソフトのサービスにアップセルするための踏み台として使うこともできる。例えばAzure Sentinelは、IoTシステムが会社の広範なITネットワークとどこでどう相互接続しているかを広い範囲で把握することができる。脆弱性とその影響を特定する上で可視性が重要だ。

Intel(インテル)が、5月にイスラエルのマッピングスタートアップMoovitを9億ドル(約960億円)で買収したのと同様に、マイクロソフトもすでにCyber​​Xと関係を構築していた。両者は最近、マイクロソフトのAzureクラウドプラットフォームを今年3月に統合する契約を発表した。Azureを使用するCyber​​Xの顧客は、Cyber​​Xのセキュリティシステムやその他のオンプレミスネットワークアクティビティでAzureのサービスを引き続き利用できる。

インテルの戦略的関係とは異なり、マイクロソフトはCyber​​Xの投資家ではなかったようだ。CyberXは、Norwest Venture Partners、Qualcomm Ventures、Flint Capital、イスラエルのVC GlilotやOurCrowdなどの大規模VC、FacebookのStan Chudnovsky (スタン・チュドノフスキー)氏やGigi Levy-Weiss(ジジ・レヴィ・バイス)氏などの個人を含む投資家から4800万ドル(約51億円)弱(Pitch Bookデータ)を調達した。

より一般的には、マイクロソフトはイスラエルで大口の投資家および買収者であり、最近のサイバーセキュリティ関連のM&Aには、AoratoAdallomSecure IslandsHexaditeの買収が含まれている。

法人向け分野でも買収は大小を問わず進められているが、最近ではさまざまな業界、全部で約75業界の広範なデータモデリングマップを構築したADRMという米国の小規模な企業を買収(Microsoft Blog記事)した。企業がデータを移動する方法と場所、また組織内で技術や人的投資が必要になる可能性がある場所を視覚化するのに役立つ。それも、Azureの一部になりつつある。

画像クレジット: Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトは顔認識技術を米麻薬取締局に販売しようとしていた

最近公表されたメールによると、Microsoft(マイクロソフト)は2017年に米麻薬取締局(Drug Enforcement Administration、DEA)に、同社の顔認識技術を販売しようとしていた。

米国自由人権協会(American Civil Liberties Union、ACLU)はそのメールを、10月に提訴した記録の公開をめぐる訴訟の過程で入手(PDF)した。その訴訟は、顔認識事業を取り巻くDEAの秘密主義に挑戦していた。ACLUは、メールをTechCrunchと共有した。

メールの日付は2017年9月から2018年12月までで、マイクロソフトがDEAの職員をバージニア州レストンのオフィスに秘かに招いて同社の顔認識技術をデモしたこと、のちにDEAがその技術を試験的に導入したことがわかる。

その頃、マイクロソフトの社長のBrad Smith(ブラッド・スミス)氏は、顔認識の使用を対象とする政府の規制を公開の場で求めていた(マイクロソフトブログ記事)。

しかしメールはさらに、DEAがその技術の購入に関して懸念を表明したことを示している。DEAは、FBIによる顔認識の利用が政府の監視の目に止まり(GAO記事)批判を招いた1件を危惧していた。

批判者は以前から「顔を対照させるこの技術は米国人のプライバシーの権利を犯し、またその技術は有色人種に対する異様なほど大きな偏向を示している」と主張していた。しかし、警察や公共の場などで顔認識が広く利用されるようになったにもかかわらず、議会は適切なタイミングで規制を導入することができず、技術は規制も監督機関もないまま放置された。

しかし、George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死に続いて米国内と全世界で起こった抗議運動により事態は変化し、法の執行と人種による不公平に、あらためて人々の注意が集まった。

マイクロソフトの営業がメールで、DEAの職員を同社のバージニア州レストンのオフィスに招待して同社の顔認識技術をデモしようとしているメール(出典:ACLU)

マイクロソフトは先週、国の規制が整うまでは顔認識技術を警察に売らないと発表した。その前にAmazon(アマゾン)は顔認証技術を警察に売ることを1年間留保すると発表し、抑制の口火を切った。IBMはもっと極端に顔認識事業から全面的に手を引くと発表した。一方で、マイクロソフトとアマゾンは「国の省庁やDEAのような機関には今後も売らない」とは言っていない

ACLUの主席弁護士であるNathan Freed Wessler(ネイサン・フリード・ウェスラー)氏は「ドラッグに対する人種差別的な戦いを率いる法執行機関に、マイクロソフトが危険な技術を売ろうとしただけでも十分に劣悪だが、今はもっとひどい。先週、顔監視技術を警察に売らないと遅まきながら約束したあとでさえ、同社はその技術をDEAのような国の機関に今後売るのか売らないのかを言おうとしない」と語る。

「米国の麻薬取締局の履歴を見れば、それだけでも厄介だが、もっとひどいのは、報道によると司法長官のBill Barr(ビル・バー)氏が司法省の監視権限を拡大しようとしていることだ。警察の虐待行為に抗議している人々を秘かに監視するなど司法の権力が濫用されるだろう」と同氏は付け加えた。

その後、一部の議員がDEAによる抗議者の秘かな監視を停止するよう要求(BuzzFeed News記事)したが、その権利は抗議活動が米国と世界に広がった6月初めに司法省が認めたもの(未訳記事)だ。

TechCrunchの質問に、DEAのスポークスパーソンであるMichael Miller(マイケル・ミラー)氏は回答を拒否した。マイクロソフトのスポークスパーソンは、コメントのリクエストに応じなかった。

関連記事:Decrypted: DEA spying on protesters, DDoS attacks, Signal downloads spike(未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがスコットランド沖の海底データセンターを新型コロナワクチン開発に活用

新型コロナウイルスの効果的な治療法を発見する努力における課題の1つは、簡単にいえば規模の問題だ。 ウイルスが健康な細胞に感染するメカニズムを解明するためにはタンパク質の構造解明がカギとなる。

新型コロナウイルスの折り畳み構造をモデル化するためには巨大なコンピューティング能力を必要とするため、一般ユーザーのパソコンをグローバルな分散処理ノードとして利用するFolding@homeのような取り組みが非常に効果的だ。Microsoft(マイクロソフト)は、こうした努力に貢献するためにオンデマンドで処理をスケール可能な海底データセンターを利用しようとテストを始めている。このデータセンターは海上コンテナのサイズで事前にセットアップされ海底で高効率かつ長期間作動できる。同社はスコットランド沖の海底データセンターを新型コロナウイルスのタンパク質のモデル化に提供している。

同社は以前からプロジェクトに関わっていた。35mの冷たい海底に沈められたデータセンターは、すでに2年前から研究に貢献している。ただし新型コロナウイルスに研究の焦点を移したのは最近だ。これはもちろんパンデミックの治療、感染拡大の防止のために新型コロナウイルスの解明が緊急に必要とされてる事態に対応したものだ。

この水中データセンターは写真のように円筒形で864台のサーバーを収めており、相当の処理能力を備えている。海中に沈めたのは海水による冷却で作動の効率性を確保しようとするためだ。大容量の処理装置は途方もない発熱量があるため冷却システムが欠かせない。ゲーム用の高性能パソコンに精巧な冷却装置が用いられれるのはこのためだ。ましてデータセンターのレベルになれば冷却が極めて重要になるのはいうまでもない。

データセンターを水中に沈めれば自然冷却が実現でき、プロセッサを安定して高速で動作させることが可能になる。ファンや複雑な液冷配管が不要になるだけでなく、冷却に用いられるエネルギーも節約できる。

Natickと名付けられたこの海底データセンターが期待どおりに機能すれば将来のコンピューティングにとって朗報だ。こうした分散型データセンターを需要に応じて海底に沈めることで高効率なオンデマンド分散コンピューティングが可能になるだろう。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトは警察には顔認証技術を売らないと公言

Microsoft(マイクロソフト)は、IBMAmazon(アマゾン)との協議を通じて、少なくともより厳しい規制が設けられるまでは、顔認証技術を警察が利用することに反対する立場を固めた。

今朝、ワシントンポストのライブイベントで行われたリモートインタビューで、マイクロソフト社長のBrad Smith(ブラッド・スミス)氏は、同社のテクノロジーを適切に使用するための「原則的立場」を、同社はすでに取っていると話した。

「私たちが導入した原則に従い、私たちは顔認証技術を、現在の米国の警察署には売らないことにしました」とスミス氏。「しかしこれは、もっとよく知り、もっとよく学び、もっと行動せよと私たちが呼び掛けられている時期なのだと、私は強く思っています。それを受けて私たちは、人権に基づいてこの技術を管理できる国法が制定されるまで、米国の警察署には顔認証技術を販売しないことを決断しました」。

さらにスミス氏は、この技術を「他のシナリオ」で使用する場合の管理に用いる新しい「審査要素」を追加するとも話していた。

ワシントンポスト・ライブ:マイクロソフト社長ブラッド・スミス氏は「人権に基づく」国法が制定されるまで、同社は顔認証技術を今の米国の警察署には売らないと語った。

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏殺害を受けて発せられたこうしたコメントは、米全国、そして全世界での抗議活動を招き、人種間の平等や法執行に関する幅広い議論を促す結果となった。

マイクロソフトの立場は、より厳重な規制が施行されたときにこの問題を再検討することを示唆したアマゾンの立場に似ている(ただし、どちらの企業も民主党議員が提出した「警察の正義」法案が警察署によるこの技術の使用を制限できるかに関して、明言は避けている)。双方とも、顔認証技術の販売を全面的に取り止めると発表したIBMほど踏み込んではいない。

ACLU(アメリカ自由人権協会)北カリフォルニア支部のテクノロジーおよび人権担当弁護士Matt Cagle(マット・ケイグル)氏は、このニュースに対して次の声明を発表をした(以下は抜粋)。

「顔認証の開発企業ですら、危険だとの理由でその監視技術の販売を拒否した今、政治家はもう、それによる私たちの権利と自由への脅威を否定できなくなりました。全国の議会と規制当局は、警察の顔認証の使用を速やかに禁止しなければなりません。そしてマイクロソフトなどの企業は、人権コミュニティーと(敵対するのではなく)協力して、それを実現させるべきです。これには、警察の顔認証の使用を合法化し全国の州に広めるための法律の制定を推進する取り組みを中止することも含まれます」。

「これらの企業が、ほんのわずかにせよ、またずいぶん時間がかかったにせよ、ようやく行動に出たことを私たちは歓迎します。私たちはまた、これらの企業に、黒人や有色人種のコミュニティーに不条理な危害を加える監視技術を含む、彼らを過剰に監視する卑劣なアメリカの歴史に永遠に幕を閉じるための努力を強く求めます」。

一方、アムネスティー・インターナショナルは、大量監視のために警察が顔認証技術を使うことを全面禁止するよう訴えている。

関連記事:アマゾンが顔認識技術を地方警察には1年間提供しないと表明、FBIへの提供についてノーコメント

画像クレジット:Riccardo Savi / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)