Pinterestがクリエイター向けファンドへの投資を大幅に追加

競合各社がクリエイターに熱を上げる中、Pinterest(ピンタレスト)は米国時間3月28日、Creator Fundへの当初の投資を大幅に増やし、まだ評価を得ていないクリエイター層に対し現金での支援、広告のクレジット、その他のリソースとして追加で120万ドル(約1億4800万円)を投じると発表した。同社は2021年に50万ドル(約6200万円)のCreator Fundを開始すること、および新しいコンテンツポリシーとクリエイター向けツールを発表していた。ただ、Pinterestが投資を増やしクリエイターとの関わりを強化するものの、Meta(メタ)やYouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティックトック)、Snap(スナップ)といったソーシャル大手の大がかりな取り組みに比べると、その規模はまだ小さい。

Pinterestは2021年4月にCreator Fundを発表し、同年秋には米国でクリエイターの報酬としてさらに2000万ドル(約24億6000万円)を投じると発表した。この報酬は「チャレンジ」への参加に対してクリエイターに直接支払われる。ただしこの取り組みはCreator Fundの一環ではないとされている。同社は、Creator Fundは資金と教育の両方のリソースを提供して、まだ評価を得ていない層のクリエイターを支援することに特化していると説明している(TechCrunchの問い合わせに対し、同社は新たに投資する120万ドル[約1億4800万円]のうちどの程度を現金で支援するのかについて明らかにしなかった)。

PinterestはCreator Fundの拡張にともない、四半期ごとに5週間のサイクルをコンテンツのテーマを変えてクリエイターに提供する。テーマはファッションとビューティー、ウェルネス、ライフスタイルとホーム、フードが予定されている。2022年の4サイクルのうち最初のサイクルではファッションとビューティーを取り上げ、このサイクルでは初のブランドパートナーとしてL’Oréal USA(ロレアルUSA)の後援を受ける。Creator Fundの参加者はPinterestが提供するトレーニングを受けられる他、L’Oréal USAから美容業界のインサイトとこの分野における専門家のサポートも提供される。参加するクリエイターは現在募集中だ。

Creator Fundの参加者は、現金での支援と広告クレジット、機材の提供を受け、さらにブランドパートナーになるチャンスやクリエイター向けカンファレンスへの参加、さらにPinterestのプロダクトをいち早く目にする機会もあると同社は述べている。

当初のファンド、そして以前に発表された2000万ドル(約24億6000万円)の報酬よりも大幅に増額されたが、それでもクリエイターに対するPinterestの取り組みは競合に遅れをとっている。

比較のために挙げると、TikTokは2020年に独自のクリエイターファンドを2億ドル(約246億円)で立ち上げたが、向こう3年間で10億ドル(約1230億円)以上にまで拡大するとしている。Metaも10億ドル(約1230億円)のクリエイター向けボーナスプログラムを発表した。YouTubeはTikTokへの対抗策としてYouTubeショートのクリエイター向けとして2021年に1億ドル(約123億円)のファンドを発表したが、過去3年間で合計300億ドル(約3兆6900億円)を超えるクリエイターへの幅広い投資を喧伝している。そしてSnapも最近、TikTokに似たSpotlightのクリエイターに対し、2021年に2億5000万ドル(約307億5000万円)を支払ったと述べた。

これらに対し、Pinterestはクリエイターに対する取り組みを始めたばかりだ。この1年間ほど、同社はそのプラットフォームをインスピレーションやアイデア、販売のための画像のピンボードから、動画や動画に関連する収益化の取り組みを通じてクリエイターのコミュニティに資するものにシフトしようと試みている。2021年5月にはクリエイター向け動画ファースト機能でTikTokとストーリーをミックスしたような「アイデアピン」を正式に発表した。Pinterestユーザーは、BGMやトランジション、さまざまなインタラクティブ要素など他のソーシャルプラットフォームと似たツールでクリエイティブなコンテンツを録画し、編集できる。しかしTikTokの動画とは異なり、Pinterestのアイデアピンは、例えばクリエイターがレシピやDIYの製作過程などを共有するページといった動画以外のコンテンツも組み合わせられるようになっている。

2021年秋にPinterestは、ビデオのピンを簡単にスクロールできる「Watch」タブをアプリに追加した。この取り組みがどの程度効果を上げているかは、今のところ明らかにされていない。The Informationは最近、PinterestはオンラインショッピングプラットフォームのVerishopを買収しようとしたが、Pinterestが買収されると取り沙汰される中で決断は先延ばしになったと報じた。Verishopは買収に乗り気ではなかった。

Pinterestによれば、同社Creator Fundプログラムを修了した参加者は平均で60%フォロワーが増えたという。しかし比較の基準がないので、クリエイターの実際の成果やもっと広い意味でのPinterestへの影響はなかなか理解できない。

Pinterestは、2022年後半には米国以外にもCreator Fundを拡大する計画であるとしている。

画像クレジット:Pinterest

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

PinterestのARショッピング機能が家具やインテリアにも拡大

Pinterest(ピンタレスト)の新機能は、拡張現実(AR)を使って、家具やその他のインテリア用品が自分の家でどのように見えるかを、消費者が確認できるようにする。同様の技術は、Amazon(アマゾン)、IKEA(イケア)、Wayfair(ウェイフェア)などの大手小売業者や、Houzz(ハウズ)のような住宅デザイン分野の企業によってすでに実用化されている。Pinterestの場合、Crate & Barrel(クレート&バレル)、Walmart(ウォルマート)、West Elm(ウェストエルム)、Wayfairなどの米国の小売業者と協力して、オンラインの買い物客がPinterestアプリの「Lens camera(レンズカメラ)」を使って自宅に仮想的に商品を配置できるようにする。そして、ユーザーが気に入れば、小売店から直接商品を購入することができる。

このインテリアのバーチャルショッピング体験は、米国で8万以上のショッパブルピンで開始され、Pinterestにとってこれまでで最大のARショッピングへの投資となる。

また、これは、Pinterest が過去2年間に発表した「Try On(トライオン)」の3つ目の製品でもある。最初の試みは美容市場で、消費者がさまざまな口紅の色合いやアイシャドウを仮想的に試すことができるトライオン機能で、合計1万4000のショッパブルピンを提供した。Pinterestはまだ、部屋の中に直接商品を置くことはやっていなかった。つまり、ユーザーの顔の上にだけ商品を置いていたのだ。これまでと同じ技術ではないが、Pinterestのトライオン体験はすべて、商品のインスピレーションを購買につなげるという同じ目標を掲げている。

iOSまたはAndroidでこの機能を利用するには、米国のユーザーは、サポートされているホームデコレーションのピンをクリックし「Try in your Space(トライ・イン・ユア・スペース)」をクリックすると、カメラレンズを通してバーチャル製品を見ることができる。ユーザーは、自分のスペースで製品を調整し、価格などの製品情報を閲覧することができる。購入する場合は、再度ピンをクリックし、販売店のウェブサイトのレジに進む。

画像クレジット:Pinterest

このように、消費者の気軽なブラウジングを小売の取引につなげる試みは、Pinterestが長年にわたって力を入れてきたものだ。しかし、同社は、例えば、買い物のインスピレーションとして、静止画像から動画への移行など、さまざまな市場の変化への対応が少なくとも最近までは遅れていた。2021年、同社は遅ればせながら、動画優先のデビュー商品「アイデア・ピン」をリリースしてこの分野に参入し、以来、オンラインインフルエンサーが自分のコンテンツから収益を上げられるようにするためのクリエイターツールに投資している。

Pinterestはまた、家具やインテリアのショッピングのための新しいAR機能で、明らかに市場に先駆けているわけではない。しかし、ARショッピング市場はまだ初期段階だ。この市場では、Apple(アップル)のARKitのように、AR開発者が利用できるツールによって初期の導入が制限されており、時間の経過とともに着実に改善され、エンドユーザー体験が煩雑でなくなってきているのだ。また、アプリメーカーは、ARショッピングを消費者にアピールする方法をまだ探している段階だ。例えば先に、Snapchat(スナップチャット)は自社の AR 機能をアップグレードし、消費者が複数の商品をリアルタイムの価格で一度に閲覧できるショッピング・レンズが追加された

ARショッピングの初期の実験のいくつかは、よりギミック的なものに感じられたが、ARをうまく使えば、小売業者のコンバージョンを増やすのに役立つという兆候もある。そして、このような体験に対する消費者の需要もあるのかもしれない。例えば、2019年のGoogle(グーグル)の調査では、66%の人が買い物の際にARを使ってみたいと答え、ARに対する消費者の関心が示されている。実際の調査やコンバージョンに関するデータはより限定的なものだった。しかし、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は、自社の社内データを引用して、ストアに3Dコンテンツを追加しているマーチャントは、平均で94%のコンバージョン上昇を確認していると共有した。そして、ARで3Dモデルを使用した一部のマーチャントは、最大250%もコンバージョン率が上昇したとShopifyは述べている。また、同社は、Vertebrae(ヴァータブレイ)による2020年の調査を引用し、ARを利用する顧客は利用しない顧客と比較してコンバージョン率が90%上昇することを明らかにした。

一方、Pinterestは、自社のユーザーが「トライオン」可能なピンから購入する確率は、通常のピンの5倍であると述べている。また、2021年の検索クリック数は33.7億回で、ホームデコレーションがサイト内のトップカテゴリーであると述べている。そのため、この最新のARの取り組みは、ARビューティーショッピング機能よりも多くの利用者がいる可能性があるものとなっている。同社は、ビジュアル検索機能の利用が前年比126%増加したことをアピールしたが、総検索数については明確な数字を示さなかった。

「パンデミックが始まって以来、何百万人もの人々が意思決定プロセスの一環として、購入前に試したり、パーソナライズされたレコメンデーションを見たり、情報収集するための仮想およびモバイルオプションを期待しており、これまで以上にデジタルに精通した買い物客が増えています」と、Pinterestのエンジニアリング担当SVP、Jeremy King(ジェレミー・キング)氏は発表で述べている。「これらの行動は、毎日Pinterest全体で起こっています。だからこそ、私たちはAR Try Onのような技術を進歩させ続け、Pinterestを、アプリ内のどこでもインスピレーションから購入まで人々を導くフルファネルの買い物先にするのです」。

同社はTechCrunchに対し、現在、ARショッピング機能を収益化していないと語った。しかし、この取り組みにおける小売パートナーは、すでにPinterestでオーガニックと有料広告の両方の成功を収めているブランドであり、消費者が有機的に商品を発見するための別の方法を利用しようとしている。

ARショッピング機能は、発売当初はiOSとAndroidで米国のみだが、後にグローバル市場にも展開されるとPinterestは述べている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Pinterestでもコメントへの返信を動画で行うオプションを展開

Pinterest(ピンタレスト)は、ユーザーが動画でコメントに返信することを可能にするオプションを展開する最新のソーシャルメディアプラットフォームだ。ユーザーは、同社のアイデアピン機能を通じて、この機能を利用できる。Pinterest は2021年初め、クリエイターがボイスオーバー録音、BGM、トランジション、その他のインタラクティブな要素などのツールを使って、最大20ページのコンテンツを持つビデオを録画・編集できるようにするため、アイデアピンを立ち上げた。現在、ユーザーは返信したいコメントを見つけたとき、3つのドットのメニューを選択し「reply with an Idea Pin(アイデアピンで返信)」をクリックすることができる。そこから、新しいビデオを撮影するか、既存のビデオをアップロードするかを選択することができる。

「Pinterestでコミュニティと関わる方法は、これまで以上に増えています。コメント、質問、リクエストのすべてに、カスタマイズされたアイデアピンで返信できるようになりました」。同社は、この新機能についての発表で語った。「私たちは、あなたやあなたの親指を、長くて小説のようなテキストの返信から解放したかったのです。なぜなら、単に見せられたほうが良いものもあるからです」。

Pinterestの新機能の立ち上げは、Instagramが同様のものを展開した数日後に起こった。先週末、Instagramは、ユーザーが投稿のコメントにリールで返信することができる「Reels Visual Replies(リール・ヴィジュアル・リプライ)」機能を導入した。現在、ユーザーがコメントへの返信を選択すると、動画の返信を作成するためのリールボタンを選択できる。

動画返信のアイデアは、TikTok(ティックトック)が最初に普及させたものであることは注目に値する。この短編動画プラットフォームは、2020年、ユーザーに動画についてより多くの文脈を提供したり、質問に答えたりする方法を提供するために、動画返信を開始した。この機能の人気を考えると、InstagramとPinterestがそれぞれのプラットフォームで同様の機能を開始したことは驚くことではない。

Pinterestは、過去数カ月の間にクリエイターを対象としたいくつかの新機能を発表している。同社はさらに、動画作成・編集アプリのVochi(ヴォチ)を非公開の金額で買収し、クリエイターツールと動画に投資した。Pinterest はまた、TikTok のような「Watch」タブでアイデアピン動画を閲覧する新しい方法を展開し、2000万ドル(約22億7200万円)のクリエイターアワードで参加を促した。

これらの機能の立ち上げは、Pinterest が、主にTikTokの機能をコピーし、独自の工夫を加えることで、TikTok時代の自己改革を試みていることを示している。TikTokは、Instagram、YouTube(ユーチューブ)、Snap(スナップ)、Reddit(レディット)などのトップソーシャルメディアプラットフォームでクローンを生み出しており、Pinterestだけがそうしているわけではない。

画像クレジット:Pinterest / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Instagram、クリエイターがブランドとのコラボをするための新ツールを展開

Instagram(インスタグラム)は、クリエイターがプラットフォーム上でコミッションを得たり、ブランドとパートナーシップを結んだりするための新しいツールをテストしている。Facebook(フェイスブック)所有の同社は、6月に開始したクリエイターが商品を発見して、フォロワーと共有し、自分の投稿による売上でコミッションを得ることができるようにする既存のネイティブ・アフィリエイト・ツールを拡張している。

関連記事:Instagramはクリエイターの生活のためにアフィリエイトとショップ機能を導入

今回の新機能では、クリエイターが自分のプロフィールの「ショップを見る」ボタンの中に、すでにアフィリエイト提携している商品やコレクションを紹介するデジタルストアフロントを追加し、売上に応じてコミッションを得ることができるようになった。なお、Instagramによると、現在この新しい機能は、ネイティブ・アフィリエイト・プログラムに参加しているクリエイターのみが利用できる。

また、Instagramは、クリエイターがブランドに発見されるのを助けるために、新しいブランドコンテンツパートナーシップ機能をテストしている。クリエイターは、提携したいと思うブランドを「ブランドリスト」に追加することができるようになり、企業が新しいクリエイターを探す際に優先的に表示されるようになる。

さらに、Instagramは、DMの中にパートナーシップメッセージ専用の新しいフォルダを展開している。この新しいフォルダは、クリエイターの受信箱に埋もれてしまうかもしれないブランドからのメッセージを、クリエイターが見逃さないようにすることを目的としている。パートナーシップメッセージは、リクエストフォルダをスキップして優先的に配置されるため、ブランドとクリエイターは、コンテンツのパートナーシップを見つけて管理することができる。

画像クレジット:Instagram

また、ブランドは、データや独自のフィルターを使って、キャンペーンに適したクリエイターを見つけることができる。また、ショートリストを作成し、複数のキャンペーンやクリエイターを管理することもできる。また、ブランドコンテンツのリール広告も作成できるようになった。さらに、Instagramは、クリエイターが自分の投稿、ストーリー、リールのいずれかからブランドがコンテンツ広告を作成できるようにする新しいアカウント権限を導入した。

「これらのブランドとクリエイターのパートナーシップツールは、ブランドとのパートナーシップ、広告収入、オーディエンスからのサポート、Instagramからの直接のボーナスなど、クリエイターがInstagramで生計を立てられるようにするための当社の継続的な取り組みの大きな部分を占めています」と同社はブログ記事で述べている。

Instagramは、これらの機能のテストと改良を続け、将来的にはより多くのブランドやクリエイターが利用できるようにすると述べている。

Instagramは、ブランドとクリエイターがより協力しやすくなるように取り組んでいるいくつかのデジタルプラットフォームの1つだ。例えば、TikTok(ティックトック)は、マーケターがブランドキャンペーンのためにTikTokのトップパーソナリティを発掘するためのCreator Marketplace(クリエーターマーケットプレイス)を提供している。同様に、Pinterest(ピンタレスト)もクリエイターがブランドと提携するための機能を提供している。

関連記事:TikTokのCreator Marketplace APIでマーケターは1次データをアクセスし自社に最適なクリエイターが探せる

画像クレジット:Instagram

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

PayPal、Pinterest買収を検討か

あっと驚く買収劇だが、Bloombergの報道によると、PayPalはソーシャルメディア企業Pinterestの買収を検討しているという。

同記事によると、カリフォルニア州サンノゼに本社のあるPayPalは、買収の可能性をめぐって最近Pinterestに接近している。

匿名の情報筋によると、その場合PayPalは1株あたり70ドルを払い、Pinterestの評価額は約390億ドル(約4兆4464億円)になる。

この記事についてPinterestはコメントを拒否している。またPayPalは、本稿の締切までにコメントの要求に応じなかった。

このニュースを受けてPinterestの株価は約12%上昇し、10月20日の正午には62ドルを超える水準で取引された。これは、52週間高値の89.90ドルを下回っている。

噂されている買収価格は、Pinterestの現在の時価総額400億ドル(約4兆5600億円)に匹敵するものだ。一方、PayPalの時価総額は3080億ドル(約35兆1120億円)となっている。

2021年9月、PayPalは日本でのビジネスを強化するために日本のBNPL(Buy Now, Pay Later)サービスプラットフォームPaidyを、主に現金で約27億ドル(約3080億円)で買収することを発表した。2019年11月には、PayPalは安価な販売サイトを探す探すブラウザのアドオンやモバイルアプリケーションを開発するHoney Science Corporationを40億ドル(約4560億円)で買収する計画を発表している。

Pinterestを買収するというPayPalの計画は、想像以上に理に適っている。

ここ1年半ほどの間に、Pinterestはeコマースプラットフォームへの展開に力を入れ、いくつかの新機能を発表している。2020年4月、同社はプラットフォーム上での新たなショッピング方法を導入し、Pinterestユーザーは、検索やのボード上に新たに追加された「ショップ」タブから、在庫のある商品を閲覧できるようになっている。また、ビジュアル検索を改善し、ピンからより多くの商品をショッピングできるようにしている。

2021年10月初め、Pinterestは、広告主やブランドがサイト上のユーザーに自社製品を宣伝するための新機能を導入すると発表した。これは、Pinterestのプラットフォーム上でのオンラインショッピングや広告の拡大を目的とした最新の取り組みとなる。

米国時間10月14日、Pinterestは共同創業者のEvan Sharp(エヴァン・シャープ)氏が同社の常勤役員の座を離れることを発表した。彼は同社のデザインとクリエイティブの最高責任者だったが、Jony Ive(ジョナサン・アイブ)氏とともに彼の新しいクリエイティブ集団であるLoveFromに移籍している。Pinterestに関してはシャープ氏は同社の顧問として、会社の戦略やプロダクト、デザイン、ブランド、企業文化などの面に注力していく。Pinterestの取締役の座には留まる。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Pinterestが新メンタルヘルス支援スペース「Havens」展開、バーンアウト防止に休息への投資を提案

Pinterest(ピンタレスト)は、10月10日の世界メンタルヘルスデーにちなんで、メンタルヘルス支援活動「Pinterest Havens(ピンタレストヘイブン)」を新たにローンチする。同社はブログ記事の中で、この取り組みを「コミュニティ主導のインスピレーションのためのオンラインおよびオフラインのスペース」と呼んでいる。Pinterestは実質上、メンタルヘルスと休息の関係を探るためのスペースをプラットフォーム上に設けるのだと述べている。

「Haven」には、ユーザーが頭を切り替えてリフレッシュできるように、Pinterestのクリエイターによる休息に関するアイデアピンやリラックスできるイメージのコレクションが用意されている。このコレクションには、滝の画像、ジャーナルプロンプト、就寝前のアファメーション(肯定的な自己宣言)などが含まれる。このコレクションは、Pinterest社内のメンタルヘルスコミュニティ「Pinside Out」がHaven内でキュレーションしたものだ。

また、Pinterestは、シカゴのサウスサイドにあるBoxvilleマーケット内に「Havens:Invest in Rest(ヘイブン:休息への投資)」と題した、同社初となる現実世界でのインスタレーションを委嘱し設置すると発表した。このサイトスペシフィックなインスタレーションは、実際の物理的な(Pinterestでいうところの)ピン、没入型のアート、コミュニティプログラムを通じて、バーンアウト防止オアシスに命を吹き込むことを目的としている。Pinterestによれば、このインスタレーションはオンラインの「Havens」コミュニティボードと連動しており、鑑賞者に一息ついて自分のウェルビーイングに目を向けてもらおうとするものだという。

このインスタレーションを支援するために、Pinterestは地元の3つの団体、Boundless Early Education、Urban Juncture Foundation、Coffee, Hip Hop & Mental Healthに8万ドル(約900万円)を寄付する。この寄付金は、Pinterest Charitable Fundを通じて提供される。

Pinterestは、2019年に開始したcompassionate search(思いやり検索)機能が、ユーザーが精神的ウェルビーイングに関連する用語を検索する際、ストレスや不安、悲しみを感じている場合に役立つリソースや活動を見つける方法として引き続き役立っていると指摘している。この機能は、ユーザーが「stress quotes(ストレスについての名言)」や「work anxiety(仕事のプレッシャー)」などを検索すると、ウェルネスアクティビティを表面化させる。

関連記事:Pinterestに心の健康のためのアクティビティが表示される

これらのガイド付きウェルネスアクティビティは、スタンフォード大学のメンタルヘルス・イノベーションラボであるBrainstormの専門家の協力を得て、Vibrant Emotional HealthとNational Suicide Prevention Lifeline(全米自殺予防ライフライン)のアドバイスを受けて作成された。この機能は現在、米国、英国、アイルランド、カナダ、オーストラリア、シンガポール、インド、フィリピン、香港、ニュージーランド、ブラジル、ドイツで提供されている。

さらにPinterestは、ユーザーが「検索タブの『デイリーインスピレーション』スペースにアクセスすると、Pinterestクリエイターがどのように休息に投資しているか、精神的ウェルビーイングは人によって異なるものであることがわかります。ジャーナルを書く、瞑想する、ウォーキング、ダンス、絵を描くなど、そうした活動はすべて精神的ウェルビーイングとメンタルヘルスをサポートするものです」と述べている。

今回の発表は、Pinterestが、幸福感の向上やポジティブさを高めるためのインスピレーションを求めて同プラットフォームを訪れるユーザーが増加していることを受けて行われたものだ。例えば「Sunday rest routine(日曜の休息ルーティン)」の検索数は過去1年間で7倍に「destressing tips(ストレス解消のヒント)」の検索数は12.7倍に増加している。同社は、メンタルヘルスが世界中で私たち全員にどのような影響を与え得るかについて、内省するスペースを設けることを目指しているという。

画像クレジット:LIONEL BONAVENTURE / Staff / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokが新しいサウンドパートナーを追加、ブランドがオーディオをさらに活用できるように

TikTok(ティックトック)は、ブランドがプラットフォーム上で音楽やサウンドを簡単に利用できるようにすることを目的とした、新しいパートナーシップを発表した。同社は、TikTokマーケティングパートナープログラムを拡張し、ブランドがプラットフォーム上で「サウンドオン」戦略を構築するのを支援する6つの認定パートナーを導入する。TikTokは、ブランドが「サウンドオン」環境を活用して消費者と関わりを持つことができるよう、信頼できるパートナーとブランドを結びつけたいと考えていると述べた。

新しいサウンドパートナーは「カスタムサウンド」と「サブスクリプションサウンド」の2つのカテゴリーでオーディオを提供する。新しいカスタムサウンドのパートナーは、KARM(カルム)、MassiveMusic(マッシブミュージック)、The Elements Music(エレメンツミュージック)だ。TikTokは、カスタムサウンドパートナーが、チャレンジやキャンペーンに関連してコミュニティの参加者を増やすことを目的としたトラックを作成すると述べている。

新しいサブスクリプション・サウンド・パートナーは、Epidemic Sound(エピデミックサウンド)、Songtradr(ソングトレーダー)、UnitedMasters(ユナイテッドマスターズ)だ。これらの新しいパートナーは、月単位、年単位、またはプロジェクトベースのライセンスプランで音楽を提供する。TikTokは、この2つのカテゴリーが、プラットフォームを利用するブランドのさまざまなキャンペーンの目的をサポートするとしている。

「音はTikTokの世界共通言語であり、ブランドがプラットフォーム上で真価を発揮するためには、音楽と音を受け入れる必要があります。当社の新しいサウンドパートナーは、マーケターがTikTokのための戦略を立てるのを支援してきた実績があり、あらゆる規模のブランドに拡張可能なオプションを提供します」。Tiktokのエコシステム部門の責任者であるMelissa Yang(メリッサ・ヤン)氏は、ブログで述べている。「より多くのブランドがTikTokで音を活用し、クリエイティブなサウンドオン戦略によってコミュニティとの有意義なつながりを作ることに期待しています」。

TikTokは、ブランドがトレンドのサウンドをリミックスしたり、独自のジングルを作成したりして、オーディエンスと関わることができるサウンドオンの環境があることを誇りにしている。マーケターの中には、より多くの人にリーチするためにサウンドオフの広告を作ることに慣れている人もいるかもしないが、TikTokは、プラットフォーム上のサウンドがブランドに新しいストーリーテリングのダイナミックさをもたらしたと述べている。例えば、TikTokは、65%のユーザーがオリジナルのサウンドを採用したブランドのコンテンツを好むこと、68%が好きな曲を広告に採用したブランドをよりよく覚えていると答えていることを紹介している。

TikTokは、プラットフォーム上のブランドがユーザーとのつながりを持ちやすくする方法を探しながら、より多くのブランドを登録してきた。先週、TikTokは、クリックできるステッカーや「Choose Your Own Adventure」タイプの広告など、新しいインタラクティブな広告フォーマットを導入する計画を発表した。さらに、今回のサウンドパートナーの拡大は、Square(スクエア)、Ecwid(エクイッド)、PrestaShop(プレスタショップ)など、TikTok Shoppingの新しいブランドパートナーを発表した1週間後に行われた。TikTokは、Wix(ウィクス)、SHOPLINE(ショップライン)、OpenCart(オープンカート)、BASE(ベース)を近日中に追加する予定だ。

TikTokは、ブランドがより多くのオーディエンスにリーチし、差別化された機能のセットでユーザーとのつながりを深めることを支援する方法を模索しているデジタル大手企業の1つだ。例えば、Pinterest(ピンタレスト)は今週初め、ユーザーに一度に多くの商品を購入してもらうことを目的とした、ブランド向けの新しいショッピング機能を導入した。また、YouTube(ユーチューブ)は今週初め、コネクテッドTV上の広告をより買い物しやすいようにし、広告主がより多くのオンライン販売を促進し、ビジネスを成長させることを支援した。デジタル企業がeコマースへの参入を進める中で、ブランドとユーザーの両方をプラットフォームに引き留める方法を模索している。

関連記事:YouTube、コネクテッドTV上の広告をより買い物しやすくする

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

Pinterestが広告ポリシーを改訂、減量を促す言葉や画像は掲載禁止に

Pinterest(ピンタレスト)は7月1日以降、すべての広告で減量を促進する言葉と画像の掲載を禁止する。これには、減量に関する言葉や画像、減量やダイエット商品の宣伝、特定の体型を理想化または否定するような言葉や画像、BMI(健康状態を示す指標としては不十分なことが多い)を参照することが含まれる。主要なソーシャルメディアの中で、このような姿勢を取ったのはPinterestが初めてだ。

ソーシャルメディアは、それが誕生して以来ずっと、人にとって有害な「美の基準」を助長する役割を担ってきた。「ボディポジティブ」という言葉が、10年前にTumblr(タンブラー)で流行した「シンスポ(thinspo、痩せる努力を鼓舞すること)」に取って代わった今でも、そのトレンドが体重偏重主義を薄いベールで覆い隠していることさえある。例えば、Weight Watchers(ウエイト・ウォッチャーズ)という会社は、2018年に「Wellness that Works(効果のある健康)」を意味する「WW」にブランド名を変更したが、同社のウェブサイトでは会員の減量話の自慢を続けている。減量に関するオンラインコンテンツが善意のものであっても、それは健康的な習慣よりは乱れた食行動の増加を助長することが多く、ウェルネス産業が有害である理由となっている。

Pinterestは、これまでTumblrやFacebook(フェイスブック)などのプラットフォームとも協力してきた全米摂食障害協会(NEDA)の指導と助言を受けて、改訂した広告ポリシーを策定した。米国で新型コロナウイルス感染流行が発生した2020年3月以降、NEDAは摂食障害に悩む人々のための相談窓口にアクセスが増加していることを確認した。Vox(ヴォックス)のRebecca Jennings(レベッカ・ジェニングス)氏が指摘するように、ロックダウン中に人々はさらに多くの時間をオンラインで過ごすようになり、それはつまり、自分自身のことを悪く思わせるコンテンツに触れる機会が増えたことを意味する。TikTok(ティックトック)で有名な16歳の女優Sissy Sheridan(シシー・シェリダン)氏でさえ「私はTikTokをダウンロードする以前は、自分の身体が好きだった」とツイートしている。

画像クレジット:Pinterest

Pinterestの新しい広告ポリシーは、特に他の主要なプラットフォームが追随する前例となれば、明らかな変化をもたらす可能性がある。ソーシャルメディアのプラットフォームには、自社のアプリ上で起こる有害な行為を最小限に抑える責任があるが、新しいポリシーはどこまで影響を与えることができるだろうか? Pinterestの報告によれば「body neutrality(ボディ・ニュートラル)」の検索数は2020年の5倍に増加したという。これは、トレンチコートを着たダイエット文化に過ぎない「body positivity(ボディ・ポジティブ)」運動に代わる考え方だ。しかし、特にTikTokのようなアルゴリズムを駆使したアプリでは、自分の「For You(おすすめ)」ページに表示されるコンテンツを常にコントロールできるわけではない。料理が好きな人であれば、TikTokは料理の動画を表示しようとするが、AIはそれほど賢くないので、プロフィールに「減量」と書かれた料理アカウントをフィルタリングすることができない。Pinterestは最近、TikTokの競合となる独自の機能を導入した。もちろん、Instagram(インスタグラム)は2020年追加された「Reels(リール)」という機能で、TikTokの成功を横取りしようとしている。

Pinterestの広告ポリシー改訂は良いことの始まりであり、他のプラットフォームが追随すれば初めて良い影響を与えることができるものだ。しかし、ソーシャルメディアは我々の文化を反映するものだから「減量」と「健康」は同義ではないと理解する文化的な変化が拡がらないと、広告ポリシーの改訂だけではその力にも限りがある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pinterestソーシャルメディア広告ダイエット

画像クレジット:SOPA Images / Contributor / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Alphabet、Microsoft、Pinterestの決算報告をまとめて読む

米国時間4月27日の午後、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)、Pinterest(ピンタレスト)の3社が2021年最初の3カ月の四半期決算を報告した。MicrosoftとPinterestは決算報告直後から急激に値を下げたが、Alphabetは決算発表以降株価を上げている。

大量の数字で読者を圧倒しないために、それぞれの決算報告書についてTechCrunchが思うところをできるだけ少ない言葉でまとめてみた。

  • Alphabetの決算はいくつかの面で好調さを見せ、投資家を喜ばせた。YouTubeの売上は50%近く伸びて60億ドル(約6530億円)に達し、広告も好調で、不採算部門と悪名高かった「Other Bets」部門さえも2億ドル(約220億円)近い売上を計上した。しかし、テクノロジー総合企業の最も注目すべき結果はクラウド部門だ。Google Cloudは2020年同期の売上27億7700万ドル(約3020億円)、営業損失17億3000万ドル(約1880億円)から、売上40億4700万ドル(約4400億円)、営業損失わずか9億7400万ドル(約1060億円)へと成長した。カリフォルニア州マウンテンビュー拠点のテックサービス集団は、非広告プロダクトからかたちのある売上ストリームを作り出すだけでなく、かたちのある営業利益を生み出しつつある。トレンドが続くならば。
  • Microsoftの決算報告は、ウォール街の無関心を他所に、かなり良かった。Microsoftは1年前の四半期から17%成長し、営業利益を31%増の170億ドル(約1兆8510億円)へと押し上げた。売上よりも速い利益の成長は、営業レバレッジの証だ。実際同社の純利益は営業利益以上の速さで伸びており、予測を上回った。MicrosoftのGoogle CloudでAWS競合のAzureは、四半期で50%伸び、予測と一致した。CNBCによる。Microsoftは現在も驚くほど裕福であり、会社が一番将来に期待している製品群がかなり大きい数字を生み出している。悪くない!
  • Pinterestは巨大な四半期を報告した。ウォール街は喜んでいない。Pinterestの2021年第1四半期売上、4億8523万ドル(約530億円)は2020年同期から78%の増加であり、同社の純損失は同じ期間に1億4119万6000ドル(約154億円)から2167万4000ドル(約24億円)へと改善し、非GAAP純利益はマイナス5991万6000ドル(約65億円)からプラス7852万7000ドル(約85億円)へと上昇した。この著しく魅力的な四半期の結果は何をもたらしたか?株価は8%以上下落した。考えられる理由は、Pinterestの月間アクティブユーザーが予測を下回り(実績は4億7800万ドル[約520億円]、予測は4億8050万ドル[約523億円])「営業費の増加傾向が第2四半期に加速する」ことを予告したことだろう。しかし、現四半期の売上成長105%と、同四半期のミドルティーンの月間アクティブユーザー数の成長を同社が見込んでいることから、そこまで辛く当たられる筋合いはない。私たちが何か大きなことを見逃しているのでない限り、Pinterestは単にもっと多くを求めていた投資家たちにいじめられているだけだろう。

以上、大急ぎでまとめてみた。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「今はイノベーションの黄金期」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏とのインタビュー[後編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

爆速成長マネジメント」の著者でシリコンバレーの投資家で起業家でもあるElad Gil(イラッド・ギル)氏とのインタビュー後編。前編では初めての起業家が陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編では新型コロナウイルスがスタートアップ業界に与えている影響と展望について話を聞いた。

前編:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

パンデミックがスタートアップに与えた影響

2020年は新型コロナウイルスの影響でスタートアップを取り巻く環境は大きく変わりました。どういった点がスタートアップにとってより難しくなったと思いますか。例えば、対面で話すことが減ったので、企業文化を作るのは難しくなっているかと思います。

ギル氏:企業文化を作ることについては、間違いなく以前より難しくなっています。企業文化は人が集まり、交流することで作られるものですから。社員がリモートワークしている会社からは、すでに出来上がっている仕組みに関してはそのまま維持して回せるけれど、何かイノベーティブなことをしたり、新しいことをしたりするのは難しくなったという話を聞きます。

2つ目は、いくつかの業界では事業を継続するのが非常に難しくなりました。例えば、私が知っているほぼすべての旅行系スタートアップは昨年から壊滅状態です。レイターステージだと、例外的な会社にTripActions(トリップアクションズ)が生き残っていますが、アーリーステージの会社のほとんどは事業を続けられませんでした。

3つ目は、新型コロナウイルスの影響で、多くの人は生き方を変えざるをえなかったことと関係します。在宅で子供を見なければならなくなったり、鬱や気分の落ち込みを経験したり。会社は社員のこうした問題に対処し、社員が新しく増えたストレスに対抗しながらも仕事を続けられる環境を整えなければなりません。

こうした課題にうまく対応しているスタートアップはありますか?

ギル氏:ビジネス面で急成長したところは多くあります。Stripe(ストライプ)、Instacart(インスタカート)、Zoom(ズーム)は、世界がオンライン化する中で急成長した企業の一例です。

企業文化の面でいうと、新型コロナウイルスが蔓延する中でも社員が交流できるよう、例えば、広い公園でマスクをつけて参加するミートアップを開催しているような会社があります。

会社によってはオンボーディングが難しくなったものの、採用はしやすくなったという変化もあります。採用しやすくなった理由としては時間や場所にかかわらず面接できるようになったからです。面接のためにオフィスを訪ねたり、仕事を休んだりする必要がなくなりました。ズームで話せばいいのですから。

オンボーディングが難しくなったのにはいくつか理由があります。GitLab(ギットラボ)は早くから社員のリモートワークに注力してきた会社で、彼らは社員のオンボーディングを3つのカテゴリーに分けています。コンピューターやメールの設定といった技術面でのオンボーディング。業務や役割、目標の設定といった組織面でのオンボーディング。最後に文化面でのオンボーディング。ですが、この3つはどれもリモートで行うのが難しいのです。

コロナ後の世界はどうなると思いますか?

ギル氏:2つの相反する力が世界に働いているように思います。現在のインターネットは、10年前と比べると10倍以上の規模になっていて、この拡大規模は10年前の人たちの想像を遥かに超えているでしょう。インターネットで過ごす時間が増え、たくさんのモバイル端末があり、仕事関連のアプリも大量に出現し、仕事でインターネットを使う時間も増えました。なので、今日設立したどの事業にも、5年、10年前と比べると、10倍規模になる可能性があるということです。つまり、10年前に1000万ドル(約10億円)の売上があった事業は、今やれば1億ドル(約107億円)規模の事業になる可能性があるということです。そして世界中のどこからでも、大規模な会社が作れるようになりました。

これは「分散化」のトレンドですが、一方で「集中化」のトレンドも同時に起きています。

特定の都市に特定の業界の人が集まっているのが、もう1つの重要なトレンドです。業界別に見ると、1つか2つの都市にその業界の物理的な拠点があるのが分かります。例えば、映画業界で仕事をしたいという人に向かって、「どこに住んでもいい」とアドバイスする人はいません。米国なら「ロサンゼルスに住まないとダメだ」と言うはずです。脚本はどこにいても書けるし、撮影も、映像編集も、音楽制作もどこにいてもできますが、それでも最終的に全員、ロサンゼルスに集まります。

世界の都市は業界ごとにまとまるようになってきています。金融だったら、資金調達をするのも、トレード戦略を考えるのもどこにいてもできますが、米国のヘッジファンドのほとんどはニューヨーク州とコネチカット州に集中しています。その理由は、サービスプロバイダーが重要で、経営陣が重要で、人と人のネットワークが重要だからです。新型コロナウイルスで世界の状況は変わりましたが、それでもなお、人は特定の場所に集まって活動を続けるでしょう。スタートアップをする人たちは特定の地域に集まって会社を立ち上げるといった傾向が続くと思います。

新たにスタートアップを立ち上げるとしたら、どのような分野に可能性があると思いますか?

ギル氏:家の地下室で仕事をしている私より、外でいろいろと動き回っている起業家たちの方が良いアイデアを持っているのは間違いないでしょう(笑)。新しいことを始めようとしている起業家集団の方が、どんな個人よりも素晴らしいアイデアを持っているものです。とはいえ、いくつか興味のある分野があるのでお話したいと思います。

1つ目は、バーティカルのコラボレーションSaaSです。例えば、Figma(フィグマ)によってデザインチームがオンラインで協力しながら仕事を進められるようになったのと同じように、財務チームが協力して財務計画を立案したり、データチームが協力して分析やアナリティクスをしたり、BI(ビジネスインテリジェンス)チームが協力して事業に関わるデータの分析ができたりするようなツールです。社内の特定の部署に特化したバーティカルのコラボレーションツールには可能性があるのではないかと思っています。

2つ目は、コンシューマー向けソーシャルアプリです。世界にはまだ、新しいソーシャルな行動が生まれ、広まる余地があると思っています。その理由は、世代間の違いがあるからです。若い人たちは新しいソーシャルネットワークを求めています。Clubhouse(クラブハウス)で人々が突然音声の魅力に気づいたのと同じように、他にも人々の行動を変えるような新しい形のソーシャルネットワークやリアルタイムコミュニケーションが登場するのではないかと思っています。

現在、膨大な量のイノベーションが起きています。例えば、AngelList(エンジェルリスト)を見ると5年前に比べて、スタートアップの数は5倍、10倍に増えています。これは新しく設立したスタートアップの実数ベースの話です。半導体や機械学習、さまざまなSaaS、防衛技術、不動産など、あらゆる分野でイノベーションが同時進行に起きていて、今はイノベーションの黄金期と言えるのではないでしょうか。

2021年4月14日にCoinbase(コインベース)が上場しています(ギル氏はコインベースの初期からの投資家)。暗号資産(仮想通貨)の領域はどう見ていますか。

ギル氏:暗号資産の領域はとても楽しみにしています。コインベースのIPOは、Netscape(ネットスケープ)がIPOした時のように捉えられるようになるのではないかと思っています。かつてネットスケープの上場で、インターネットがメインストリームの存在になると世間の人々が気づいたように、コインベースの上場は、ウォール街や既存の金融業界に対し、暗号資産が世界にとって重要であることを知らせる大きな契機になるのではないかと思っています。

関連記事:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

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タグ:CEO経営インタビューシリコンバレーAirbnbCoinbasePinterestSquareStripe新型コロナウイルス

「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

2021年3月18日、シリコンバレーの起業家で投資家であるElad Gil(イラッド・ギル)氏の著書「High Growth Handbook」の日本語版である「爆速成長マネジメント」(日経BP)が発売となった。

著者のギル氏は投資家やアドバイザーとして、Airbnb(エアビーアンドビー)、Coinbase(コインベース)、Pinterest(ピンタレスト)、Square(スクエア)、Stripe(ストライプ)など世界でも有数のテック企業に関わっている。起業家としての経験も豊富だ。2013年から2016年12月までColor Genomics(カラージェノミクス)の共同創業者兼CEOを務め、現在は会長に就任。カラージェノミクスの創業前はTwitter(ツイッター)でコーポレート戦略バイスプレジデントやM&A 、事業開発チームの担当を務めた。ツイッターに参画したのは、共同創業者兼CEOを務めていたMixer Labs(ミキサーラボ)がツイッターに買収されたことがきっかけだった。それ以前は、グーグルに在籍し、モバイルチームの立ち上げなどに関わった。

「爆速成長マネジメント」はギル氏の知見と、シリコンバレーで活躍する投資家、起業家たちとのインタビューを多数収録し、レイターステージのスタートアップが直面する資金調達やマネジメントの課題に対する具体的な対応策が学べる1冊となっている。

今回、私は本書の翻訳に関わった縁で、ギル氏をインタビューする機会を得た。インタビューは2021年4月15日にClubhouse(クラブハウス)上で行い、本書を共訳した翻訳者で連続起業家の浅枝大志氏と日経BPの担当編集者である中川ヒロミ氏も参加した(各人から記事化の了承を得ている)。今回のインタビュー記事は前編と後編に分け、前編は数多くのスタートアップと関わってきたギル氏が指摘するスタートアップが陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編は今後のスタートアップ業界の動向についてまとめている。記事はギル氏の発言通りに翻訳しているが、分かりやすさと簡潔さのために多少編集を加えている。

起業家へのアドバイス

はじめに、本書を書くことになったきっかけについて教えてください。

ギル氏:アーリーステージファウンダー向けのアドバイスはたくさんありますが、急激に成長しているスタートアップ向けのものはあまりありません。その理由は、スタートアップの多くは急激な成長する段階まで到達しないからです。ほとんどのスタートアップは失敗します。なので、レイターステージのスタートアップやファウンダーからよくある質問に対する答えと、スタートアップがスケールするための戦術をまとめようとしたのが始まりです。

もともと本ではなくブログ記事をまとめたスタンドアローンのウェブサイトを作る予定でした。けれど、サイトをローンチする数日前に、ストライプの創業者の1人であるJohn Collison(ジョン・コリソン)に見せたところ、「本として出版した方がいいんじゃないか」と言われ、Stripe Press(ストラププレス)(注釈:ストライプの出版事業)から出すことになりました。

本書には起業家向けのアドバイスが多く載っていますが、初めて起業する人は特に何に注意すべきでしょうか?

ギル氏:アーリーステージの会社はレイターステージの会社とは状況が大きく異なるので、ステージごとに気をつけたい点は違います。アーリーステージの優先事項の1つは、プロダクトマーケットフィットに到達することで、これを達成するのは非常に難しいでしょう。2つ目は、共同創業者と喧嘩しないで会社をうまく回すことです。これも非常に難しい場合があります。この2つを達成できれば、第一歩が踏み出せるはずです。

レイターステージに入ると、より多くのことを達成するためにどのように組織を作ってスケールさせるか、ユーザーのニーズにどう対応するか、海外展開、M&Aなど、注力すべき点が変わっていきます。これらを突き詰めると、やるべきことは、社員全員に明確な方向性を示すこと、その方向性を追求するために必要な資金を確保すること、磐石な経営陣を揃えることの3つであると言えます。経営陣が揃えば、会社が小さかった頃には着手できなかったことができるようになります。

CEOが間違えやすい、ミスしやすいのはどういうところでしょうか?

ギル氏:これはCEOの過去の経験によると思います。例えば、初めて起業したCEOと2回目のCEOを比べると、つまり事業をスケールさせたことがある人とない人という意味ですが、2回目のCEOはかなり早い段階から強力な経営陣を揃え始めます。けれど、初めての起業家はそれを疑問に思うでしょう。なぜ上層部ばかり強化するのか、なぜそんなに多くのVP(バイスプレジデント)が必要なのかと。しかし、一度急激なスケールを経験していると、経営陣を揃えることがいかに重要かが分かります。これが1つ目です。

初めての起業家がよく間違える2つ目のポイントは、最初のプロダクトをマーケットに投入した後のイノベーションの頻度についてです。一般的に、早くから2つ目のプロダクトを開発してノベーションを起こせる会社は、その後も継続してイノベーションが起こせます。一方でイノベーションが遅い会社は、2回目のイノベーションがなかなか起こせません。具体例として、ストライプは決済やローンに関わるプロダクトを次々と出しているのに対して、eBay(イーベイ)はいまだに2つ目のプロダクトを出せていません。

3つ目はSaaSやB2Bの分野に特化した話にはなりますが、プロダクトやエンジニアリングを重視するファウンダーは、営業チームを作ることを後回しにしてしまいがちという点です。ボトムアップのグロースや顧客獲得にばかり注力してしまうと、より大きな法人契約を獲得するチャンスを逃してしまいます。例えば、slack(スラック)は法人営業のチームを早くから追加してこなかったため、Microsoft(マイクロソフト)のような会社との戦いで苦戦を強いられています。

「経営陣の構築」「イノベーションの頻度」「営業の採用」と初めての起業家が間違えやすい点を3つ指摘していましたが、これらを回避するにはどうすればいいでしょうか。

ギル氏:経営陣を採用するところに関しては「スケールするために経営陣が必要」というマインドセットに変える必要があります。

営業チームについては、営業を採用することに対しての恐怖心を脇に置くことです。先日、営業を雇うのに抵抗を感じる理由についてのブログ記事を読んだのですが、その理由はたいてい、企業文化に合わないのではないかとか、営業チームを整える準備ができていなのではないかとかいう不安やボトムアップでの顧客獲得しかしたくないという感情的な理由がほとんどであると指摘していました。これに関しては率直に言って、そうした感情を振り切り、実行するしかありません。慣れないことをやるということですが、慣れないことをやるのが大抵の場合、最良の施策なのです。

「イノベーションの頻度」についてはどうでしょうか?

ギル氏:これにはいくつかポイントがあると思っています。会社の初期の段階では事業に注力し、コアプロダクトの再現性があるかしっかり確かめなければなりません。それはつまり、1000万ドル(約11億円)から3000万ドル(約32億円)ほどの収益があり、SaaS企業ならマーケットアプローチの方法を確立していて、コアビジネスをスケールさせるために社内にマネジメント層の基盤ができているか確認するということです。まずはコアビジネスがうまく回っている状態にすることが先決です。

2つ目は、新規事業のためにいくらか独立したリソースを用意することです。新規事業にはリーダーとなる人材やエンジニア、その他社内のリソースが必要になります。また全社員に「この新規事業は会社にとって重要で注力する価値がある」と納得してもらわねばなりません。なぜなら、社内のコアビジネスに携わる人は、リソースがあるなら自分たちのところに投入してほしいと考えるからです。彼らはコアビジネスをスケールさせる中で手薄になっている部分があると感じているでしょう。そのため彼らは会社が新しい事業を始めるのに対して疑問を持ちます。優先順位と組織内での線引きを明確にし、新規事業を作ることが会社にとって重要であると社員に分かってもらうようにしなければなりません。

CEOとして成長する方法

CEOはさまざまな問題に対処しなければなりませんが、CEOとして成長するためにはどのようなことができますか。CEO仲間を作ること、VCからアドバイスをもらうことなどが考えられますが、何が一番有効でしょうか。

ギル氏:私の知っている中で、うまくファウンダーとして、あるいはCEOとして活躍している人は、いくつかのことをしています。

1つは、CEOのネットワークを作っています。同じステージの会社のCEO、あるいは自分の会社より2年先を進んでいる会社のCEOとのネットワークを作っています。2年先の相手は、自分たちの抱える問題に共感でき、タイムリーで今の状況に合った良いアドバイスができます。5年、10年離れていると、劇的に状況が変わっていることがあるのです。

2つ目は、自分の会社とはまったく違うビジネスをしている人と話をしています。例えば、大規模な売上のある非上場のファミリービジネスのCEOの話を聞きに行くようなことです。何十億ドル(何千億円)規模の売上のある会社に話を聞きに行き、どうやって会社を運営しているのか、どうような報酬体系を採用しているのか、問題が発生した時はどのように対処しているのかなどを聞いています。優秀なCEOは成功の原則を普段とは違う場所で探し、自分のビジネスにも適用できそうなアイデアを学んだり、抽出したりしようとしています。

自分と近い分野で動いているCEO仲間から学ぶことに加え、まったく違う分野だけれど、とてもすばらしい成果を出している人から学ぶこと。この2つを組み合わせるのが良いのでしょう。

アドバイスという点でVCに期待できることはありますか。

ギル氏:VCは役に立つことはありますが、そのVCによります。その人が誰で、どんな経験を持っているのか、その人から何を学びたいのかによるということです。例えば、会社の上場に関わってきた経験が多いVCの取締役がいれば、その人から会社を上場させる方法について優れたアドバイスが聞けるでしょう。一方で、会社のオペレーションに関わったことのないVCもいます。その人は経営の戦術的なところでいくらか助けになってくれるかもしれませんが、毎日のオペレーションで役立つアドバイスはあまり期待できないかもしれません。

VCは基本的にアドバイス、ガバナンス、資金の3つを提供するものと考えています。お金は比較的どこからでも調達できます。ガバナンスに関しては、経験があって信用できる人を探すのがいいでしょう。アドバイスは、会社のステージとどんな事業をしているのかによります。アーリーステージでは的確なアドバイスができる人でも、レイターステージの会社には良いアドバイスができない人もいるということです。会社が成功するまでには10年くらいかかるので、その間に経営陣をどう進化させていくかをしっかり考えるべきでしょう。

【編集部】後編は4月21日午前9時に公開予定

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Pinterestがアイシャドウを購入前に試せるバーチャルメイク機能を発表

Pinterest(ピンタレスト)は米国時間1月22日、オンラインショップの買い物客が新しいアイシャドウをバーチャルで試用できる拡張現実機能を発表した。当初はLancome(ランコム)、YSL(イヴ・サンローラン)、Urban Decay(アーバンディケイ)、NYX Cosmetics(ニックス コスメティックス)などのブランドの約4000種類の製品を画面上で試すことができる。

Pinterestによれば、この「AR Try on(日本では「バーチャルトライ」)」機能は、既存の「Pinterest レンズ」と呼ばれるカメラで撮影した画像から検索する技術や、検索結果をさまざまな肌の色から選択する機能、そしてコンピュータビジョンを使ったおすすめ機能を活用しているという。また、同社はデータパートナーであるModiFace(モディフェイス)の技術も取り入れており、顔認識によってデジタル化されたパラメーターを元に、選択したアイシャドウがModiFaceのデータベースでマッピングされ、高画質なレンダリングが行われる。

これがPinterestによる最初のバーチャルメイク機能というわけではない。同社は1年前に口紅のAR Try onを開始している。この機能を使ってバーチャルで試用できる口紅の色は、現在では1万色にまで拡大しており、Estée Lauder(エスティローダー)、bareMinerals(ベアミネラル)、Neutrogena(ニュートロジーナ)、NARS(ナーズ)、Cle de Peau(クレ・ド・ポー)、Thrive Causemetics(スライヴコーズメティックス)、NYX Professional Makeup(ニックス プロフェッショナル メイクアップ)、YSL Beautét(イヴ・サンローラン・ボーテ)、Lancôme(ランコム)、Urban Decayなどのブランドによる4800万枚の「ピン」から見つけることができる。Kohl’s(コールズ)などの小売店も、消費者にリーチするためにAR Try onを利用している。

今回新たに導入されたアイシャドウのAR Try onでは、色や価格帯、ブランドなどの条件で商品検索結果を絞り込むことが可能だ。気に入ったものを見つけたら、すぐに購入したり、ボードに保存したり、関連ボタンを使って似たような色合いのピンを探すことができる。

画像クレジット:PInterest

アイシャドウへの拡張は、ユーザーが単に個々の色を試すだけでなく、より多くのフルメイクを試すことができるようになったことを意味する。Pinterestによれば、トグルで口紅とアイシャドウを切り替えて、一度に複数の製品を試すことができるようになったという。ModiFaceのアプリや、YouCam メイクSephora(セフォラ)のVirtual Artist(バーチャルアーティスト)Ulta(ウルトラ)のGLAMLab(グラムラボ)などのARビューティーアプリが登場したことによって、ARを使ったバーチャルメイクアップ体験はここ数年で人気が高まっている。また、L’Oréal(ロレアル)はウェブサイト上で「Live Try-On」を提供したり、Facebookと提携してバーチャルメイクアップをソーシャルメディアに導入している。Target(ターゲット)のオンラインストアも、バーチャルメイクアップを提供している。

さらに最近では、GoogleがARバーチャルメイクアップの分野に参入。当初はYouTubeで一部の美容インフルエンサーが自分の動画にARを使った化粧品の試用を組み込むことができるという、限定的な機能の提供を開始したが、2020年12月にはModiFaceと提携し、Google検索でバーチャルメイクアップ機能を導入。ARを使った化粧品の試用体験を本格的に取り入れた。

しかし、今回のPinterestによる新たな発表は、視覚的な検索技術とバーチャルメイクに関しては、再びGoogleより先行したことを意味する。PinterestではGoogleよりも多い口紅の試用を提供するだけでなく、今では製品分野までも拡大し、アイシャドウのバーチャル試用も可能になったのだ。

Pinterestによると、このAR Try on機能は、ビジュアルなショッピング体験を創造し、顧客の意思決定プロセスの早い段階でリーチしたいと考えているブランドに無料で提供されているという。同社はショッピングを含む広告を通じて収益を上げ続けており、AR機能それ自体で儲けたり、AR Try onで購入に結びついた製品の売り上げから利益の一部を求めることはしないという。

「AR Try onのような機能を導入して、Pinterestをショッピングに利用しやすくすることで、このプラットフォームはPinners(Pinterestユーザー)にとってさらに魅力的で実用的なものになり、その結果、広告の利用率やクリック率が増える可能性があります」と、広報担当者は説明している。また「Try onのような有機的な機能や、製品のピンを作成するためのカタログの取り込みによって、ブランドがサイト全体のアクセス数を引き上げ、それが我々の収益戦略を補完することになるのです」と、広報担当者は指摘している。

PinterestがAR Try on機能にアイシャドウのサポートを加えたことは、時勢にかなっている。一部の美容ブランドの売り上げは、新型コロナウイルスによって落ち込んでいる。マスクを着用する際に隠れてしまう唇に口紅を使っても意味がないため、特にリップスティックの販売が激減しているのだ。代わって現在の美容トレンドは、目を強調することにシフトしており、明るく大胆な色のアイシャドウや、ワイルドなフローティングアイライナー大きな付けまつ毛などに注目が集まっている。これはもちろん、ソーシャルメディアに投稿する写真を撮影する時の効果も狙ったトレンドだ。

Pinterestによると、実際にこのAR機能は潜在的な顧客に購入を決断させている傾向が見られるという。2020年のPinterestの調査によると、ユーザーはAR Try on体験の利用を始めると、平均6色の口紅をバーチャル試用し、それから購入意思を示す可能性が、通常のピンと比べて5倍に増えたという。

新しいアイシャドウのAR Try onは、米国では1月22日より、iOSとAndroid向けアプリのPinterestレンズで利用できる。

関連記事:YouTubeのAR機能でビデオを見ながら仮想メイクを試せる

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タグ:Pinterestネットショッピング拡張現実化粧

画像クレジット:Pinterest

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Pinterestが差別訴訟・ストライキ後、職場文化の推奨事項を導入すると発表

Pinterestは米国時間12月16日、ブログ記事の中で、取締役会の特別委員会の勧告を導入することを約束する、と発表した。この委員会は今年6月、2人の元従業員、Ifeoma Ozoma(イフェオマ・オゾマ)氏とAerica Shimizu Banks(エアリカ・シミズ・バンクス)氏が、Pinterestで働いていた時の人種・性差別の訴えを公表した直後に結成されたものだ。

WilmerHale(ウィルマーヘイル)法律事務所に職場環境の考察を依頼した委員会は、350人以上の現従業員と元従業員に話を聞き、Pinterestでの多様性、公平、インクルージョンの改善に向けた提言を行った。その中から、次にいくつか挙げる。

  • 管理職・役員を含む全社員を対象にした、アンコンシャスバイアス(無意識の先入観)研修の義務化
  • 包括性と無意識の先入観に関する追加トレーニングを提供
  • 求職者との面接パネルに「多様な人材」を入れる
  • DEI(Diversity・equity・inclusion、多様性・公平・インクルージョン)を支援し、推進するため努力している従業員に褒賞
  • ダイバーシティ報告書を年2回、少なくとも2年間発行し、2年後には年1回発行する
  • 昇格資格基準を設ける
  • Pinterestのハラスメント・差別ポリシーを強化する
  • 一貫した公正な結果を保証するため、職場調査チームを一元化する

こちらから、すべての推奨事項を見ることができる。Pinterestは、TechCrunchへの声明の中で、これらの変更を実行するよう全力を尽くすと述べている。

「私たちは従業員を尊重しており、Pinterestで働くすべての人材にとって多様で公平、包括的な環境を構築することが私たちの責任であると認識しています。」とPinterestの広報担当者は述べている。「私たちは変化の緊急性を理解しているため、この数ヶ月間、Pinterestのすべての人々が安全に感じ、歓迎され、支援されていると感じるようになるべく行動を起こしました。すべての従業員が本社の一員だと感じ、支持されていると感じる文化を確保する過程にあると信じています」とも。

PinterestのCEOであるBen Silbermann(ベン・シルバーマン)氏は、従業員へのメモの中で、今週後半には社内全員がこの勧告について話し合ったり、質問をしたりする機会が設けられる予定だと述べた。シルバーマン氏はまた、提案の多くが 「すべての従業員が含まれ、サポートされていると感じる文化を構築するために、すでに進行中の取り組みを反映している 」ことに勇気づけられたと感じている、と述べている。

米国時間12月14日、Pinterestは前COOであるFrancoise Brougher(フランソワーズ・ブロワー)氏との性差別訴訟を2250万ドル(約23億3000万円)で和解した。しかし、その高額な支払いは、テック業界の不平等の一部を浮き彫りにした。ブロワー氏が訴訟を起こしたのは、オゾマ氏とバンクス氏が訴えを公表した後の8月のことだった。ブロワー氏が数千万ドルを手にしたのに対し、オゾマ氏とバンクス氏が受け取ったのは、1年分の報酬に満たない退職金のみだ。

「多くの、とだけでは言い切れない数多くの他のケースのように、私たちは黒人女性として身をさらし、自分たちに起こったことを何もかもすべて共有して、そこに誰かが急降下して『進歩』を回収する土台を作ったのです」とオゾマ氏は以前TechCrunchに語った。「ここには何の進歩もありません。なぜなら、(最も)害を受けた者たちに対しての償いはないからです」。

関連記事:Pinterestが性差別訴訟で前COOと23.4億円で和解

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Pinterest  差別

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(翻訳:Nakazato)

Pinterestが性差別訴訟で前COOと23.4億円で和解

Pinterest(ピンタレスト)は米国時間12月14日、前COOであるFrancoise Brougher(フランソワーズ・ブロワー)氏提出した性差別訴訟で和解したことを発表した2020年8月(未訳記事)、ブロワー氏はPinterestを訴え、性差別、報復および不当解雇を主張した。

和解の一環としてPinterstはブロワー氏と弁護士に対して2000万ドル(約20億8000万円)を支払い、Pinterestおよびブロワー氏がともに、テック業界の「女性および過小評価されている人々の向上」のために250万ドル(約2億6000万円)を供出することを約束した、と同社が提出書類に書いた

「Pinterestは、多様で公正で開放的な職場環境を育む重要性を認識しており、企業カルチャーの改善に向けて今後も行動していく」とPinterestとブロワー氏は和解に関する共同声明で語っている。「ブロワー氏はPinterestが職場環境を改善するためにとった有意義な措置を歓迎しており、全従業員が疎外されず支えられていると感じるカルチャーを作ることを約束するようPinterestに期待している」。

ブロワー氏が訴えを表面化してまもなく、Pinterest社員は彼女の告発およびPinterest元社員の黒人2人の訴えに応えてストライキを敢行した。ブロワー氏の訴訟以前に、Aerica Shimizu Banks(エアリカ・シミズ・バンクス)氏とIfeoma Ozoma(イフェオマ・オゾマ)氏が、Pinterestを人種差別で訴えた。

ストライキに加えて、Pinterestの全体に構造的変革を求める嘆願書が回覧された(Coworker.org投稿)。要求されている変革には、昇進基準と定着の完全な透明性、総報酬の透明性、およびCEOと2階層以内の従属関係にある社員の少なくとも25%を女性に、8%以上を過小評価されている従業員とすることが挙げられていた。

それ以来、Pinterstは取締役会レベルで明らかな変化を見せた。ストライキの数日後、PinterestはAndrea Wishom(アンドレア・ウィショム)氏を同社初の黒人取締役に任命したと発表した。2020年10月にPinterestは、2人目の黒人取締役であるSalaam Coleman Smith(サラーム・コールマン・スミス)を加えた。

Pinterestは、経営者レベルの多様性改善のために雇用と面接のプロセスを強化し、インクルーシブ教育を改定するとともに、Pinterestが報酬を決定するを詳しく書いた社内Wikiシステムを立ち上げたと語った。

関連記事:Pinterestが初の黒人ボードメンバーを発表、不動産会社社長でマルチメディア制作会社の元幹部

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タグ:Pinterest

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Pinterestが贈り物選びに役立つ「自分用メモ」やピンの並べ替えが簡単にできる新機能などを追加

Pinterest(ビンタレスト)は米国時間12月10日、「自分用メモ」「ボードのお気に入り」「ボードツールバー」を含むいくつかの新機能を追加した。ギフトのアイデアリストを作成するためにボードを使っている人や、アイテム数の多いボードを並べ替えたり目的のアイテムを探したりするのに苦労している人を手助けすることが、これらの新機能の目的だ。このソーシャルプラットフォームは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって人々が自宅にこもり、買い物や交流、計画をオンラインで行うようになったことで利用数が増え、その恩恵による増収から2020年の第3四半期には大きく株価を上げている(CNBC記事)。

Pinterestによると、過去6カ月に作成された月間のボード数は35%増加し、コラボレーションボードの数は30%増加したという。

新しく追加された「自分用メモ」機能は、ボードをこれからやることや、あるいはホリデーシーズンが始まったことで贈り物として購入する物を忘れないように、リマインダーとして活用している人には便利だろう。

これは、非公開のプライベートなボードのみならず、他の人と共有して公開しているボードにも、プライベートなメモを追加することができる。この機能は、Pinterestのプラットフォーム上で組織された、一緒にプロジェクトに取り組んでいる複数のグループ間における初歩的なコミュニケーションシステムとしても機能する可能性があり興味深い。

Pinterest

画像クレジット:Pinterest

Pinterestは最近、ユーザーとより多くのオーディエンスを結びつけるような施策を実験的に行っている。11月にお伝えしたように同社はオンラインイベント機能をテストしており、インフルエンサーやクリエイターがプラットフォームを使って講義を開催したり、講義の教材を整理したり、参加者とグループチャットをしたりといったことができるようになっていた。「自分用メモ」機能もこのテストの一部だった。

今回導入されたもう1つの新機能が、150以上のピンを持つアクティブなボードのために設計された「ボードツールバー」だ。このツールバーには、ボード上で実行可能なアクションが提供され、ユーザーはピンを簡単に並べ替えることができるようになる。また、ボードを整理したり、ToDoを追加したり、ピンに関連したさらに多くのアイディアを探したりする機能も用意されている。

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同じように、多くのピンを持つボードをユーザーが整理しやすくするための新機能として、「ボードのお気に入り」機能も追加された。これを使えば、多数のアイテムがリストされているボードの中から、ユーザーのお気に入りのピンを簡単に浮かび上がらせることが可能だ。とはいえ、特に大きなボードにだけ有効というわけではない。ピンをお気に入りとしてマークするためには、ボードのツールバーにある星のアイコンをタップするだけだ。

Pinterestによると、これらの機能はユーザーからのフィードバックをもとに構築されたもので、今回追加された機能はいずれも広告ターゲティングには使用されないという。3つの新機能はすべてグローバルで利用可能で、10日よりすべてのプラットフォームで順次展開されているという。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Pinterestが「クラスコミュニティ」を含むオンラインイベント機能をテスト中

Pinterestがオンラインイベントに進出しつつある。同社がテストしていることが判明したのは、ユーザーはPinterestからZoomのクラスに申し込むことができ、クリエイターはPinterestのクラスのボードから教材やノートなどを作ったりグループチャットで参加者と会話をしたりできる新機能だ。同社はオンラインクラスを開発中で実験していることを認めたが、今後の計画に関する詳細は明らかにしなかった。

この機能は米国時間11月24日にリバースエンジニアのJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が発見した。同氏はアプリのコードからオンラインクラスの詳細を見つけた。

現時点では@pinsmeditation@pinzoom123など「デモ」のプロフィールを見ることができ、このアカウントにはクラスコミュニティもある。ただしコミュニティをタップしても中身は空だ。ウォン氏によれば、コミュニティの機能はまだリリースされていないからだという。

コミュニティの機能が公開されたときには、あるいは公開された場合には、参加する際に用意するものやメモ、写真のリストなど、クラスの教材をクリエイターが整理するためのセクションが含まれるだろう。クリエイターはコミュニティを使ってクラスの概要を説明したり、関連のあるショップやグループチャット機能などにユーザーを誘導したりすることもできるかもしれない。

コミュニティは基本的にはPinterestのボードを拡張したもので、クリエイターはこれを使って参加者からの質問に答えたり、クラスの写真を共有したり、参加者と交流をしたりすることもできる。

クラスに参加したいユーザーは「予約」ボタンをタップして申し込む。するとミーティングの詳細がメールで送られてくる。他に、Zoomのダウンロードや、クラスに参加するためのリンクをコピーするボタンもある。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がる中でPinterestプラットフォームがリモート学習のリソースを整理するのに人気のツールになっていることを考えれば、同社がオンラインイベントの分野に進出するのは驚きではない。教員は授業計画を記録したりヒントを得たり教育活動を共有したりするためにPinterestを使うようになってきた。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた頃、Pinterestはオンラインで情報を整理するツールとして有用であることから、3月の週末に世界中でかつてなかったほど多くの検索と保存が実行された(未訳記事)と、同社はその記録的な利用状況を発表していた。

この成長は2020年を通じて続いている。2020年10月にはPinterestの収益とユーザー数の増加の指標が発表され、収益が好調だったことから同社の株価が急騰した(CNBC記事)。収益は3億8350万ドル(約400億円)の予測に対して4億4300万ドル(約462億円)で、月間アクティブユーザー数は4億3640万人の予測に対して4億4200万人だった。その要因としては新型コロナウイルスの影響以外にも、世界中で多く利用されるようになったことやFacebook(フェイスブック)を避ける広告主からの広告収入の増加、そしてiOS 14のホーム画面をパーソナライズする機能で注目を集めて急成長したことがある。

米国は新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むことができていないため、もうじき年が明けようとしているがクラスやイベントなどの活動の多くはバーチャルのままだ。感染拡大で勢いがついたオンラインイベントの市場は今後何年も成長し続けるかもしれない。

Pinterestの広報担当者は問い合わせに対し「我々はクリエイターがオーディエンスともっと緊密にやりとりできるように複数の方法を実験しています」と述べた。

Pinterestはオンラインイベントに関する計画を詳しくは認めなかったが、この機能を開発中でテストは製品の方向性を示すものだと述べた。

新機能を広く公開する前にテストをするのはPinterestではよくあることだ。2020年6月にTechCrunchは、Pinterestがストーリーピンを開発中であると報じた(未訳記事)。その後、同社は9月にこの機能を公開した。オンラインイベントも同様のスケジュールで進むとしたら、2021年前半のどこかのタイミングでこの機能を広く利用できるようになるかもしれない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

お気に入りのボードから写真をiOS 14 のホーム画面へと表示可能にするPinterestの新ウィジェット

iPhoneのオーナーたちが新しいウィジェットとカスタムアイコンでiOS 14のホーム画面をカスタマイズし始めたために、iOS版Pinterest(ピンタレスト)のダウンロードと検索が急増した。米国時間10月26日Pinterestは、独自のiOS 14ウィジェットを発表し、ホーム画面のカスタマイズトレンドへの直接参加を果たした。

2020年9月にPinterestは、1日で60万回以上のダウンロード数を記録し、1日当たりのダウンロード記録を破った。新しい記録が達成された日がいつだったのかに関する、第三者の推定は一致していないものの、複数の企業がPinterestのモバイルアプリをダウンロードした新規ユーザー数が膨大だったことを報告している。この需要は#ios14homescreenリデザイントレンドに直接結びついている。このトレンドでは、iOS 14の新しいウィジェットを使って、ホーム画面に新しい「美的デザイン」を与えるために、アプリショートカット用の壁紙やカスタムアイコンをユーザーがどのように使っているかが、ソーシャルメディアを横断して共有されている。

Pinterestによれば、このトレンドの中で「インディーズ、ios、14 ホームスクリーン」のようなアイデアの検索がiOS 14のローンチの翌週には15倍に急増し、「iPhone、エステティック」の検索は19倍に増加した。

また、このトレンドはWidgetsmith(ウィジェットスミス)、Color Widgets(カラー・ウィジェット)、Photo Widget(フォトウィジェット)などのカスタムウィジェットメーカーをApp Store(アップストア)のトップに押し上げた。それらのツールが写真やカラフルなウィジェットをホームスクリーンに追加させてくれるからだ。

それらのツールと同様に、新しく提供が始まったPinterestのウィジェットは、静的な写真ウィジェットの良い代替手段だ。

他の写真ウィジェットの場合はiOS 14のホーム画面の写真のソースとして指定するためにカメラロールに保存された写真またはアルバムを選択する必要があるのに対して、新しいPinterestウィジェットではPinterestボードを写真ソースとして選択することができる。選択できるボードは、ユーザー自身のものか、もしくはユーザーがフォローしているものになる。

例えばお気に入りのモチベーションを上げる文章や、旅行のインスピレーションやスタイルのアイデアのための写真を提供するボードを追加できる。またハロウィン、秋、クリスマス、冬などの季節のボードを作成することで、ホーム画面の「美的デザイン」を、季節ごとに違うものへと簡単に切り替えることができる。

Pinterestによれば、新しいウィジェットは、ユーザーの好みに応じて1時間ごと、あるいは1日ごとに、フィーチャーされる写真をアップデートする。同社によれば、ウィジェットの写真は、スモールまたはラージとして設定することもできるが、ミドルサイズはピンの長さに適していないため、オプションはないという。

ウィジェットはインタラクティブでもある。このPinterestウィジェットをタップすると、アプリ内のそのピンが直接起動される。

ユーザー自身のホーム画面の美的デザインにふさわしい、新しい写真を見つけたなら、ホーム画面に最新の写真が表示されるように、それをボードに追加することができる。

ウィジェットを搭載するようにアップデートされたアプリは、すぐに世界中のiOSユーザーに配信され始めるとPinterestは述べている。

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(翻訳:sako)

iOS 14の画面デザイン機能で注目のPinterestがストーリーピンのベータ版を正式に公開

Pinterestは人気を増しているストーリー形式の「ストーリーピン」について発表した。ストーリーピンは画像、ビデオ、ボイスオーバー、オーバーレイテキストのページを複数組み合わせるものだ。

TechCrunchでは6月にストーリーピンについて掲載し(未訳記事)、2019年から同社が取り組んできたさまざまな形式のバージョンがあるようだと報じた。しかし米国時間9月23日、Pinterestはストーリーピンのベータ版1種類を正式に公開した。このプラットフォームを利用するクリエイターのために設計された多数のツールも同時に公開した。

米国時間9月22日、Pinterestのコンテンツ、クリエイター、ホームフィード製品責任者のDavid Temple(デビッド・テンプル)氏は、記者からストーリーピンはSnapchatやInstagramなど他のソーシャルメディアプラットフォームのストーリーとどう違うかと問われ、Pinterestのアプローチには重要な違いがいくつかあると答えた。

テンプル氏は「他のプラットフォームのストーリー機能は、人々が何をしているかを見せるために作られている。ストーリーピンは、人々が新しいアイデアやプロダクトをどう試みているかを見せるために作られている。そのため、機能や意図が劇的に違う」と述べた。

そのひとつとして同氏は、ストーリーピンは一時的なものではない、つまり一定の時間が経つと消えてしまうのではなく、検索やその他の発見のメカニズムによって現れるものだと指摘した。「ベストアイデアとストーリーピンには何カ月経っても関連性がある」。

また、ストーリーピンの主な役割は(Pinterest上にあるコンテンツの他の形式と同様に)、単なる「いいね」ではなく後で見るために保存しておくことだ。そしてストーリーピンには必要な道具や材料のリストを含めることができる。

こうしたことから、ストーリーピンはインスピレーションや便利さを重視し、総じてポジティブなトーンを示す傾向があり、それはPinterestが徐々にそうしてきたものだとテンプル氏は主張する。

「我々はここに至るまでの成功について慎重に深く考え、コンテンツやコミュニティのポジティブなトーンを維持したい」と同氏は述べた。

ストーリーピンにより、Pinterestはクリエイターのコンテンツがどこか他のところで公開された後で拡散され共有されるというだけでなく、これまで以上にコンテンツが直接公開されるプラットフォームにもなる。

そのためにPinterestは、クリエイターが保存したピンを表示するだけでなく、その人が公開したコンテンツを紹介できるように設計された新しいクリエイタープロフィール機能も提供する。新しいエンゲージメントタブと分析ダッシュボードも提供されるので、クリエイターはPinterestユーザーが自分のコンテンツにどう反応したかを知ることができる。

ストーリーピンは米国の一部のクリエイターに公開されている。一方、新しい分析機能はビジネスアカウントのPinterestユーザーが利用できる。

今回の発表は、iOS 14の画面デザインが関心を集めているおかげでPinterestがApp Storeで1日のダウンロード記録を更新し、ランキングの上位に躍り出たタイミングで発表された。

良い話ではないが、Pinterestの従業員が人種差別と性差別に関する不満から夏にストライキを決行した直後のタイミングでもある。これについて米国時間9月22日の記者会見で直接の言及はなかったが、同社のゴールはストーリーピンを公開するクリエイターの半数以上を少数グループのバックグラウンドを持つ人々にすることであり、それと同様の多様性を同社の「クリエイターの拡充、マーケティング、編集の面」に反映させることだとテンプル氏は強調した。

同氏は「Pinterestを利用する誰もがインスピレーションを見つけて初めて、我々はすべての人が望み通りの生活を作るための支援をするというミッションを達成できる。そして人は、表現していると感じられなければインスピレーションを感じることはきわめて困難だ」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

iOS 14のホーム画面デザイン機能搭載でPinterestが驚異的なダウンロード数を記録

iOS 14のリリースでiPhoneのホーム画面をカスタマイズできるようになりユーザーは沸き立っている(CNBC記事)が、その恩恵がPinterest(ピンタレスト)にも及んだ。サードパーティーによる新たな推測では、Pinterestのアプリは1日あたりの世界のダウンロード数を更新し、App Storeのトップチャートに躍り出た。ユーザーたちは、新しいガジェットに合ったカスタムアイコンや壁紙に使う写真など、iPhoneのデザインのインスピレーションを探し求めている。

Apptopia(アプトピア)は、iOS 14でカスタマイズが可能になったことが、Pinterestのダウンロードに大きな影響を与えたと最初に指摘したApp Store調査会社だ。そのデータによると、Pinterestは米国時間9月21日の1日だけで驚異的なダウンロード数を記録し、世界でおよそ61万6000本が新規インストールされたという。

しかし他のサードパーティーの調査会社は、Pinterestの1日のダウンロード数の記録は、実際にはその前日に達成されたと見ている。

画像クレジット:screenshot via TechCrunch

App Store市場の調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)の推測はApptopiaのものに近いが、9月21日の世界でのインストール数は、iOSとAndroidを合計しておよそ68万件となっている。61万6000件ではない。

さらにSensor Towerのデータが示しているのは、Pinterestが1日のダウンロードの最大数を記録したのは9月20日だったということだ(これは少なくとも、Sensor Towerがアプリのダウンロード数の調査を開始した2014年1月からの最多記録だ)。

Sensor Towerは、9月20日にPinterestのアプリが世界中のiOSとAndroidにインストールされた数は80万件と見ている。前の週との比較で32%増となる。Apple(アップル)の新しいモバイル・オペレーティングシステムiOS 14が世界でリリースされる数日前の9月13日は60万7000件だった。

さらにPinterestは、iPhone用無料アプリのチャートで9月18日金曜日には47位だったものが、9月20日、日曜日には7位に上昇している。そのまま上昇は続き、9月21日の月曜日には6位となった。この数値はApptpoiaのデータとも一致する。一時的に1位になっていた可能性もあるが、その日のナンバーワンとして記録されるのに十分な時間は維持できなかったのだろう。

Pinterestは現在、iPhone用アプリのライフスタイル部門で1位になっている。もっとも2020年2月4日の時点でも、この部門では1位か2位の常連だったとSensor Towerは指摘する。

米国時間9月22日のPinterestのホームページには、iPhoneのデザイントレンドが「Daily Inspiration」(日々のインスピレーション)の1つとして紹介されている。「流行の壁紙と美しいホーム画面のアイデア」というコレクションは、現在ホームページのトップに示されている。ここでユーザーはiPhoneの背景画像を探したり、自作のデザインやアイコンのセットを人々にシェアして、それを元にしてオリジナルのデザインを作らせることもできる。

iOS 14のアップデートは、Androidユーザーが長年待ち望んでいたホーム画面のウィジェット機能を提供したことで、アプリのエコシステムに大きな影響を与えた。

あまり使わないアプリを隠すことができるiOSの新しい「Appライブラリ」と合わせて、これまで明らかに抑えつけられてきたiPhoneのインターフェイスを自分の趣味や興味に合わせてパーソナライズしたいというユーザーの欲求に、iOSがようやく応えることになったのだ。またiPhoneユーザーは、Appleのショートカットアプリを使ってカスタムアイコンが作れるようにもなった。もっともこれは裏技のようなもので、実際のアイコンに置き換わるわけではなく、アプリを起動するためのショートカットを作るというものだ。

このデザイン変更のトレンドは、Pinterestだけに収まらない。新しいウィジェットやクリエイティブなツールを熱望してきたユーザーは、iPhoneのApp Storeとそのトップチャートで盛り上がっている。

trini「それはそうと、新しいiOSでやっとDnD Pinterestボードが使えるようになった。問題は、どのキャラクターにするかだ」

A•C•B•「iOSのホーム画面のレイアウトはPinterestを使う理由を増やしてくれた」

今のところ、米国のApp Storeの無料アプリ部門では、ウィジェットを作るアプリがチャートのトップ3を占めている。上からWidgetsmith(ウィジェットスミス)、Color Widgets(カラー・ウィジェッツ)、Photo Widget(フォト・ウィジェット)だ。Pinterestは、今この原稿を書いている時点で5位にいる。その下には、これもまたウィジェットのおかげでダウンロード数を伸ばしたMotivation – Daily Quotes(モティベーション・デイリー・クオッツ)がきている。一方、Tune Track(チューン・トラック)というアプリは、早くからウィジェットに対応していたのだが、これも8位につけている。有料アプリのチャートですら、トップにPhoto Widget、2位にクリエイティブ・デザインツールProcreate Pocket(プロクリエイト・ポケット)があり、その影響を感じさせる。

デザインツールがこのまま人気を維持できるかは、まだわからない。ショートカットによるアプリの起動にイライラしている人もいる。まずショートカットアプリに飛ばされ、その後に開きたいアプリが開く。もしアップルがこのデザイン変更のトレンドをうれしく思うのなら、自作ショートカットを作るときの中間のステップをなくして、もっと便利にして欲しい。

foula|「みんなホーム画面をPinterestのボードにしてる」

kendra「iOS 14の何がいいのかがわかった。Pinterestボードみたいなんだ」

Pinterestはダウンロード数についてコメントをしていないが、ダウンロード数が跳ね上がったのは、そのとき行われた有料ユーザー獲得キャンペーンのためではないと認めている。ダウンロードとiOS 14関連の検索の両方が有機的に影響して伸びたと考えていると同社は話していた。

「iOS 14用の壁紙とホーム画面のデザインの検索数が、今週、Z世代のユーザーの間で増加していました。2020年6月の時点で、前年比50%の伸び(Pinterestブログ記事)を示している年齢層です」とPinterestの広報担当者はTechCrunchに話した。「このピナーたちは、よくPinterestを美的なインスピレーションの情報源として利用し、ベッドルームなどオフライン空間の装飾に役立てています。そのため、オンライン空間のためのインスピレーションも求めるようになったことは興味深く感じます」と彼らは述べていた。

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画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

Instagramのガイド機能で場所や製品などを紹介できるようになる

Instagramは、健康に関するコンテンツに特化して最近公開した「ガイド」機能(Instagramブログ)の拡張に取り組んでいる。この機能は、新型コロナウイルス感染拡大に対する不安や悲しみへの対処などメンタルヘルスに関するリソースを一部の組織や専門家が共有できるようにと5月に公開された(The Verge記事)。まず少数のクリエイターがこの機能を利用できるようになり、自分のプロフィールの中の「ガイド」タブで健康に関するヒントを投稿してきた。現在Instagramは、クリエイターが場所や製品など健康以外のヒントやおすすめのガイドを作るツールを開発している。

ガイド機能の目指すところは、Instagramユーザーが写真やビデオだけではない、長いコンテンツを投稿できるようにすることだ。現在、ガイドにはクリエイター自身の写真やギャラリー、ビデオのほか、ケースとしては少ないが他のクリエイターの写真なども含めることができる。さらにメディアだけでなくコメントやヒントも入れられる。

現在のInstagramのガイド(画像クレジット:Instagram)

この機能により、クリエイターはInstagramをヒントやアドバイスを共有するプラットフォームとして利用できる。ブログや他のウェブサイトなど、Instagramの外にトラフィックをリダイレクトさせる必要がなくなる。

Instagram責任者のAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏はガイド機能の公開時に、これはもともと旅行のユースケースを念頭に置いて設計していたが、新型コロナウイルスの感染が拡大したため健康のための機能に変更したと述べていた(ツイート)。

ここにきてInstagramは当初のアイデアに立ち返り、クリエイターが場所などのガイドを作れる機能にするようだ。

ガイドの変更は、Twitterユーザーで自称リーカーのAlessandro Paluzzis(アレッサンドロ・パルッツィス)氏(Twitterアカウント)によって最初に明らかになった(@alex193aツイート)。パルッツィス氏はTechCrunchに対し、Instagramアプリをリバースエンジニアリングして新機能を見つけたと語った。しかしこの変更は、多くのInstagramユーザーにはまだ公開されていない。

画像クレジット:Alessandro Paluzzi(Twitterより)

Instagramは新しい投稿作成画面もテストしている。ユーザーに、Instagramのソーシャルネットワークで公開する際のさまざまな選択肢が示される。フィードポスト、ストーリーやストーリーハイライト、IGTV、リール、そして新機能のガイドを作成できる。

このリストから「ガイド」を選択すると、次にガイドの種類を選ぶメニューが表示される。このメニューから、お気に入りの場所を紹介する「場所のガイド」、お気に入りの製品を紹介する「製品のガイド」、そして自分の一連の投稿を紹介する汎用的なフォーマットである「投稿のガイド」を選ぶことができる。

このようにガイド機能はInstagramインフルエンサーのワークフローに簡単に合わせられるようになっていて、インフルエンサーたちはどこへ行けばいいか、何を買えばいいかなどをフォロワーにこまめに紹介できる。クリエイターはガイドを活用してアフィリエイトの売上を増やしたり、ユーザーをスポンサー付きの投稿に誘導したりすることもできるだろう。

画像クレジット:Alessandro Paluzzi(Twitterより)

Instagramは、この新機能は現在取り組んでいるガイドの改善の一部であることを認めた。

広報担当者は「これはガイドを向上させるための初期テストの一部だ。まもなく、さらに多くのことを公表する」と述べた。Instagramは変更された機能がより広い範囲に公開されるのか、されるとしたらいつなのかについては回答しなかったが、これは初期段階でありユーザーからのフィードバックに基づいて変わることがあると補足した。同社は、ガイド機能の長期的な計画についても明言を避けた。

PinterestがInstagramの守備範囲に進出し始めている中で、この変更が明らかになった。Pinterestは最近、長いストーリーのコンテンツをまとめる新機能のテストを始めている(未訳記事)。Pinterestクリエイターはストーリーピンを使ってレシピ、手芸、DIYなどのトピックに関するオリジナルの「ガイド」を作ることができるだろう。また、ヒントや発想といったクリエイターコンテンツをFacebookのライバルであるTikTokに求めるユーザーも増えている。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Kaori Koyama)