Raspberry PiにModel A+が登場…最小で最安のボードの需要を見込んで

【抄訳】

Linuxを搭載したローコストのマイコンRaspberry Piは、2012年に発売されて以来、メーカーやハードウェアマニアたちによる手作り産業に火をつけ、Piを使った製品のスタートアップまで生まれた。その人気者が、またさらに安くなる。

Raspberry Pi Foundationは、Model AボードをアップデートしたModel A+を発表し、名前はプラスでもお値段は5ドル安く20ドルになった。Model A+はAよりも小さく、エネルギー効率も良い。

Raspberry Piの協同ファウンダEben Uptonは、先月のDisrupt Europeの席で、A+に言及していた。もうすぐ出す、と。

Model A+では、GPIOが40ピンになった(上図)。microSDカードスロットがSDカードスロットをリプレースした。オーディオも改良された。GPIOの拡張は、A+がRaspberry PiのHardware Attached on Top規格に対応した、ということ。Aと変わらないのは、USBポートは一つ、Ethernetなし、そしてRAMが256MBだ。

Model Bも最近B+にアップデートされ、価格h35ドルのままで能力と柔軟性は拡大した。そしてA+に関しては、“Model B+で行った数々の改良を継承している”、と述べられている。

いちばんエキサイティングなのは5ドルの値下げだと思うが、Foundation自身も、イギリスで生産を続けながら20ドルに値下げするのは、相当思い切った決断だった、と言っている。

またもちろん、小さくなったことも、多くの人たちの想像力と新たな創造意欲をかきたてるだろう。

Model A+に関するLinux Voiceのインタビューで、Uptonは、このところModel Aのボードがみんなから忘れられていた、と述べている。わずか10ドルの違いで、より強力なB/B+を使えるのだから、そっちがデフォルトになってしまった。“でも”、とUptonは注意を促す。“エネルギー消費の少ないModel Aのボードは、プロジェクトのタイプによってはむしろ最適なのだ”、と。

つまりマイコンの応用製品では、ローパワーで低価格なボードの需要が今後も継続的にある、と彼は展望している。“ロボットなどのプロジェクトでは、Ethernetなんか要らないことが多いからね”、と彼は語っている。なお、Model Aを20ドルに下げろ、値段を限りなくゼロに近づけろ、と彼を焚き付けたのは、Piとその学校等への配布に巨額の援助をしているGoogleの会長Eric Schmidtだそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


このポータブルRaspberry Piゲーム機は、失われた青春のアーケードゲームを取り戻してくれる


eNcadeは、人々の忘れていたノスタルジアに乗じることを期待している。実質的にRasberry Piを可愛いらしいケースに入れただけだが、このポータブルコンソールは、伝説的ゲームにオンライン・マルチプレーヤー機能を追加して、世界中のプレーヤーとジャウストを戦ったり、町内の友達とマリオブラザーズをプレーしたりできるようにすると約束している。

コンソールは3Dプリントされたもので、完成版のPiとゲーム入力が付いている。もちろんこの手の物は誰にで作れるが(私は子供たちと一緒にたった今これを作っている)、秘密はソフトウェアにある。「eNcadeの始まりは私のコンセプトで、当初はポータブルオンラインマルチプレーヤー対応レトロゲーム機だった」と作者のNicolas Wickerは語る。「しかし、みんなの声を聞いた結果、われわれの世代で人気を得るためにも、アプリを作る上でもRaspberry Piが非常に適していると気付いた。以来、3回の設計変更を経て、現在はソフトウェアのベータ版を仕上げているところだ」

「最初にeNcadeを考えついたのは、レトロゲームをオンラインでマルチプレーできるポータブル機がないことに気付いた時で、1年以上前のことだった。さらに、購入可能な完成版Raspberry Piゲーム機がないことにも気付いた。eNcadeは、この2つのコンセプトを融合させる完璧な解だった」

完成版は160ドルで入手可能で、Wickerは初期モデルを3Dプリンターで作り、プロジェクトが離陸したら射出成型品を出荷するつもりだ。彼のゴールは、古いROM向けのXbox Liveのようなものを作って、自分のゲームに他のレトロゲームユーザーが遠くから参加できるようにすることだ。

目標金額6500ドルで、まだ道は遠そうだが、立ち上がれば面白いプロジェクトになるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Raspberry Piのファウンダー、近日発売のタッチパネルを披露。これでDIY「Pi Pad」が作れる!


Raspberry Piのファウンダー、Eben Uptonは、このワンボードパソコンを巡るエコシステムを拡張すると思われるハードウェアを披露した ― それはタッチスクリーン・ディスプレイ。

つまりこれは、DIY “Pi Pad” の準備が整ったという意味だ。

「われわれはRaspberry Piをやっている間中、ディスプレイがやってくる、ディスプレイがやってくると言い続けてきた ― そしてついにやってきた」とUptonは言った。

「これはわれわれが初めて作るディスプレイパネルで、今年の末か来年の始めには出荷したいと考えている」と彼は付け加えた。

Uptonは、TechCrunchのJohn Biggsとのステージインタビューでこの話をした。彼は7インチのVGA静電容量タッチパネルを披露した。Piと組み合わせると、少々分厚いタブレットが出来上がりそうだが、タブレットには違いない。

あるいは、他の形のタッチパネル付き埋込みPi駆動プロジェクトか。Pi Foundationは明らかにそれを主要な応用分野として意識している。

「それは一種のタブレットである。非常に分厚いタブレットを我慢できるなら」とUptonは語り、Piとディスプレイを重ね合わせた様子を見せた。「要するにRaspberry Piの上に乗っかることになる。これを何かに埋め込めるということだ」

2年ほどの間に、400万台ものRaspberry Piが販売された ― これは当初同社が、一生のうちに1万台のPiを売れればいいと考えていたことを考えると驚くべき数字だ。

来たるベきタッチスクリーンパネルを得てThe Pi Foundationは、新たなDIYハードウェアが加わることによって、あのPiの販売を推進したクリエイティブの火が燃え続けることを願っている。

Uptonは、低価格モデルのModel A Pi(価格は25ドルで、上位機種のModel Bは35ドル)は失敗で、Model Bの400万台に対して10万台しか売れなかったと語った。しかし、Model A+ボードで巻き返しをはかっている。

「近々A+の発表を行う予定だ。非常に面白い製品になると思っている」と彼は言ったが、ボードがどう改善されるのかは詳しく語らなかった。

 

最近FoundationはModel Bボードのアップグレード版としてB+を発売し、USBポートの増設、コネクターピン数の拡大、SDカードスロット、低消費電力、オーディオの改善、その他の拡張が行われた。

Pi Foundationの当初のミッションは、子供たちがプログラミングを学べる低価格マイクロコンピュータを作ることだったが、このハードウェアは作り手コミュニティーによってはるかに広く利用され、様々なクリエイティブなプロジェクトや全く新しいスタートアップまで生まれた。

壇上でBiggsとUptonは、そんな会社のひとつでPi Model B+をベースに作られた、Pi Topを紹介した。3DプリントされたPiベースのラップトップだ。

「この連中がRaspberry Piとは直接関係を持っていないのが、いいところ」とUptonは言った。「Piを使って何かを作った数多くのグループの中の1つだ。現在Indiegogoで募集している」

会話の中でUptonは、ハードウェアプロジェクトをやるに当たって、コミュニティーを作ることの重要さについて語った ― フィードバックを受け取り、それを製品開発サイクルに反映させて、コミュニティーが本当に欲しがっている製品を作るためだ。

「われわれはコミュニティーに向かってこう言った、『ぼくたちは25ドルのコンピュータを作っていて、こんな機能があって、USBポートは1つだけでネットワークはついていない』。人々からの最初の反応を見て、これはUSBハブとネットワークアダブターが必要になる、だから25ドルではなく50ドルのコンピュータになると思った。そしてそうなった。Model BとこのModel B+の間に変えたことは、基本的に全部がコミュニティーからの不満が元だった」とUptonは言った。

「[妻の]Lizはフリーランスのジャーナリストだった。彼女はそれをやめてコミュニティー作りを始めた。だからわれわれは、本格的なエンジニアリングを始めるずっと前からコミュニティー関連の仕事をしていた。そしてそれが非常に有効だったことがわかった。なぜなら、製品にワクワク感が生まれ、数多くのフィードバックを得られるからだ」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Raspberry Piによるラップトップ機Pi-TopがIndiegogoでクラウドファンディングを開始

ついに来ました。われわれも、背筋を正しましょう。ついこないだまで、学生たちの思いつきにすぎなかったラズパイ・ラップトップPi-Topが、正式発売を目標として8万ドルを目標額とするクラウドファンディングに登場したのだ。

キットは249ドル、Model B+のRaspberry Piを自分で都合できる人は209ドルだ。ケースを自作し、パーツも自分のを使ってもよいが、それはたぶん面倒だろう。

発売予定は2015年の5月、来週ロンドンで行われるTechCrunch Disruptにも出場する。遊びとしておもしろいだけでなく、コンピュータ教育のための教材としても優れている。詳しい仕様等はIndiegogoのページで。ハードウェアのオープンソース化が、ついにコンピュータ本体にもやってきたのだ。

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ステッピングモーターが音楽をかなでるRasPi/Arduino製の珍作

この、ArduinoとRaspberry-Piで作ったミュージックボックスは、シンプルなステッピングモーターを使って楽しいメロディーを奏(かな)で、二つのサーボがパーカッションを担当する。

Jeremy Weatherfordが作ったこのボックスは、とてもシンプルだ。Raspberry Piが音楽を収めていて、正しいタイミングでステッピングモーターを動かす。モーターの振動の周波数と持続時間が変わることによって、音楽になる。かなりくだらなくて、やりすぎなところが、楽しい。Weatherfordは、こう書いている:

“全体を木の箱に入れて、部品をパネルにマウントするときが、楽しかった。電源スイッチは電源に接続するとLEDが点灯する。LiPoバッテリーは使ってない。play/stopボタンがあり、後ろには壁からの電源用のジャックがある。だからLiPoバッテリーの爆発事故はありえない。”。

このボックスは絶対的にキュートなハックだが、さらにいかしてるのは、演奏する曲が“Sweet Child Of Mine”であることだ。ぼくはこのボックスを、愛してしまった。

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Raspberry Piで動くラップトップコンピュータを3Dプリントしたイギリスの技術者たち

3Dプリンタと呼ばれる、プラスチックを押出成形して剛体を作るロボットシステムに、作れないものは何一つないのではないか? 今日ご紹介するPi-TopはRaspberry Piを使ったラップトップで、完全に3Dプリントで作られ、一回の充電で数時間使える。このキットは近くKickstarterに登場する予定で、画面は13.3インチ、入力装置として小さなキーボードとトラックパッドがつく。すごい! ついにコンピュータ本体までオープンソースになってしまったのだ。

これを作ったのはイギリスのデザイナーたち。PLAのフィラメントで作られているが、プリントするのに160時間以上かかった。誰もが3Dモデルをダウンロードしてプリントできるようにしたいが、キットの主な対象は学生やホビイストたちで、これを組み立てたら、その上でRasbian(ラズパイ用Linuxディストリビューション、Debian系)を動かしてみるような人たちだ。

計画では、Kickstarterの支援者には射出成形バージョンを作って送るが、その後はホビイストなどにすべてを自分で作ってもらう。いちばん難しいのは、ラップトップコンピュータが日常的に受ける圧力や衝撃に耐える、適正な支持構造を作ることだ。

出典: 3DPrint

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Raspberry Piのブラウザーが良くなった!

殆どの英語圏世界にとって、Raspberry Piのウェブブラウザーが新たに改良されることは、ささいなニュースにすぎない。しかし、ごく一部のエリートハッカーや教育関係者にとっては、天の恵みだ。

何年もの間、RaspPiユーザーは、出来合いのRaspbian Linuxに組み込まれたどうにも出来の悪いブラウザーに悩まされ続けてきた。自分でブラウザーを移植することはできたが、誰にとっても優先度は低かった。今、しかし、それは突然やってきた。

この新ブラウザーは、Collaboraの人たちが、最新版Raspberry Piのために書き直したもので、オリジナル版より大幅に良くなっている。主な改善点は以下の通り

HTML5サポートの大幅改良
JavaScript JIT
ハードウェア利用のビデオデコード
ARMv6最適化済みblitting
ページ読み込み中の対話の改善
高速スクロール

RspPi OSの今後のバージョンには、この新ブラウザーが同梱されるが、今でも以下のコマンドをタイプすればインストールできる。

sudo apt-get update
sudo apt-get dist-upgrade
sudo apt-get install epiphany-browser

是非入手されんことを!

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


インドの発明家がセクシーとは言えないけどクールなGoogle GlassクローンをRaspberry Piで制作

おっと、笑わないで。こんなのごみだ、と誰もが言いたいだろう。でもね、自分の位置データや写真や活動データをGoogleのような私企業に委ねたくない、ハードウェアもオープンソースがいい、という主義の人なら、Google Glassよりは絶対にこちらを使いたくなると思う。

上の写真のArvin Sanjeevは、発明家である。彼はRaspberry PiとLinuxと、それに音声認識ソフトウェアをちょろっと使ってGoogle Glassのクローンを作った。名前はSmart Capだが、なぜかキャップではなく、相当醜いハット(hat, 帽子)にくっつけている。でも、そこらで売ってるありふれた部品と小さなソフトウェアを使って彼は、既存のARヘッドセッの、機能的にそれほどちゃちくはないそっくりさんを作った。誰にでも朝飯前にできることでは、ないね。

もちろん世界最高のARヘッドセットではないし、読者の中にはもっと上手に作れる人もいるだろう…時間とやる気があれば。でもこのプロジェクトがおもしろいのは、すべて手作りで超ローコストであることだ。つまり、Raspberry Piでウェアラブルコンピュータを作れることを、彼は実証した。

それに、すごいと思うのは、今ではこれぐらいのプロジェクトを世界中どこでも、簡単に作れることだ。ラズパイを初めとして、高機能なコンポーネントがどんな僻地からでも安く手に入るから、アマチュアがほんの数時間でスマートフォンを作れるし、能力のある人ならアーケードゲーム機や人工衛星、Bitcoinのキオスクも作る。5年前には、どれもこれも、そう簡単にはできなかった。本格的な資金が必要だった。10年前には、“理論的には可能”だったものが、今ではすぐ作れる。

だから、Sanjeevと彼のSmart Capに、敬意を表したい。彼のクレイジーな挑戦に、乾杯しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ゲームボーイにRaspberry Piを突っ込んでエミュレーターを載せてみた

DIYが大好きでゲーマーでもあるJohn Hasslがゲームボーイに新たな生命を宿らせた。35ドルの手のひらサイズコンピューターであるRaspberry Piを埋め込んで再利用するのだ。Piをゲームボーイの筐体に埋め込み、そしてクラシックゲームのエミュレーションソフトウェアをのせて、昔なつかしのゲームをプレイできるようにしている。さらにHasslは背面に新たなボタンも配置し、より新しいエミュレーターにも対応できるように工夫してもいる。

このハックを自分で行うには、もちろんかなりの技術的ノウハウを要する。またハンダで手を汚す覚悟も必要だ。しかし手元にとりあえずでも動作するゲームボーイがあるのなら、費用はさほどかからない。またリペアツールやいろいろなパーツも持っているのなら、ACにつなぐのではなくバッテリーで利用するためのパーツなども見つけられるかもしれない(本体にはPiを入れるので、バッテリーは外部バッテリーが必要となる)。

Haasl同様、うちにもオーダーはしたもののとくに使い道のないRaspberry Piが転がっているし、もちろん(?)ゲームボーイもある。そこまでモノの準備が整っているのなら、試してみるべきなのかもしれない。リスク満載でだれも保証などしてくれはしない。しかしハックしたHaaslの幸せそうな様子をみると、ぜひとも手がけてみたくなるのだ。

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(翻訳:Maeda, H


Raspberry Pi、USBポートの増設や各種性能改善を行った新モデルのB+を投入

Raspberry Piは、誰もが驚く大成功を収めていると言ってよいだろう。このローコストLinuxマイクロコンピューターの販売台数は、その誕生以来2年ほどで250万台を超えることとなった。さまざまなホームメイド・プロジェクトでも利用されてきている。

このデバイスの製造元であるイギリスの非営利組織も、当初の販売予定台数をトータルで数千台程度であると見積もっていた。それと比較すれば、まさに「とてつもない数」のデバイスが売れたこととなる。

Raspberry Piをめぐってはさまざまなコミュニティが生まれ、またそれらから改善に向けての提案や要望も数多く出てきている。性能を上げてより広範囲で利用できるようにしようとするものだ。そうした声をうけてPi財団はBモデルを改良したB+モデルの発表を行った。価格は35ドルに据え置きとなっている。

新しいモデルではUSBポートが2台から4台に増設され、ホットプラグ対応を広げ、過電流に対応できるようになった。GPIOは現行26ピンのレイアウトはそのままで互換性を保ちつつ、そこに追加してトータルで40ピンとなった。さらにSDカードに替えてMicro SDスロットを搭載して専有エリアを小さくしており、全体として省電力となっている。さらにオーディオの性能を向上させ、USBポートの配置も使いやすく改良している。コンポジットビデオは3.5mmジャックの上側に配置され、Piの設置をやりやすくするための4つのマウント孔も設けられた。

新モデルのB+を紹介するビデオの中で、Pi財団のEben UptonはB+はPiの次世代版とはまた別のものであると述べている。新たなシリーズというわけではなく、旧モデルの最終アップデートとしての位置づけであるそうだ。すなわちRaspberry Pi 2というものが世に出てくれば、さらにすぐれた機能を提供してくれるということになる。

B+モデルは、これまで同様のチャネル(イギリスではElement 14およびRS Components)にて既に発売が開始されている。

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(翻訳:Maeda, H


Raspberry Piを利用して作ったDIY携帯電話の「PiPhone」

小さなコンピューターであるという観点から見れば、Raspberry Piも携帯電話も同じ仲間だ。と、いうことは、店でいくつかのパーツを買ってくれば、Raspberry Piをもとに自前の携帯電話が作れるのではないだろうか。そんなことを考えたのがDavid Huntだ。Raspberry PiにGSMモジュールおよび小さなTFTスクリーン、そしてバッテリーモジュールを加えて完璧にDIYな携帯電話を作ってしまった。

製作にかかった費用は158ドルほどだったとのこと。大きなパーツとしては、GSMモジュールが48ドルで、Raspberry Piとスクリーンがそれぞれ40ドルだ。独自に実装した電話機能にて、電話をかけたりあるいは受けることができる。昨今のスマートフォンではプライバシーがいろいろと盗み出されているようだと心配している人に最適なのかもしれない。

驚かされたのは、製作にあたってはハンダ付けなどの作業が無用だったという点だ。また回路設計等の知識も必要ないのだそうだ。ショップで購入してきたパーツをそのまま組み合わせればできあがると言っている。製作時間も1時間未満であったそうだ。但しオーバーヒートの可能性があり(実際、かなり熱くなったそうだ)、ケースに入れて見栄えをよくすることは諦めたらしい。雨の日には利用を諦めた方がよさそうだ。

構成パーツの中で最も複雑なのはGSMモジュール部分だ。小さい外見で変復調の役割を果たす。作者のHuntは次のように言っている。

裏返したところで見えるのはSim900 GSM/GPRSモジュールです。標準のATコマンドを利用して電話の発着呼や切断、テキストメッセージやデータの送受信などを行います。コンパクトながら非常によくできたモジュールです。基板の下の方にはSIMカードがあって、これによりGSMネットワークに繋がっているのです。普通に販売されているプリペイドSIMカードを使っています。近所の店で買ってきたのですが、10ユーロでした。

とても簡単に作ることができたという話ではあるが、しかしほんの数年前まではこのようなものを自作することなど不可能だった。今や、エレクトロニクスデバイスのほとんどが自作可能な時代になっているのだろう。身の回りで、面白いDIYプロジェクトがあればぜひ教えてもらいたい。

via RaspberryPi.org

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(翻訳:Maeda, H


Raspberry Pi用の超小型高機能サウンドカードが登場, わずか33ドル

大人気のRaspberry Piのメーカーが、Pi用をねらった小さなサウンドカードを発表した。Element 14社製のこの33ドルのカードはPiのP5ピンに載り、従来のサウンドカードにあるI/O機能がすべてある。そして、とにかく小さいので、このおちびなコンピュータにぴったりだ。

元々のPiにもオーディオ出力はあるが、あまり性能が良くない。ユーザはかなり前から、USBポートに挿入するタイプの外部サウンドカードを利用して、欠点を補ってきた。

しかしこのカードはWolfsonのオーディオプロセッサを使用しているので、24-bit/192KHzという高忠実度をサポートする。出力は3.5mmのライン出力またはS/PDIFジャックだ。入力はアナログとデジタルの両方。2WクラスDスピーカーへの出力もある。つまり、スピーカーを直接つなげる。

Piには長らくこれらの機能がなかったが、でもオーディオをまったく必要としないPiプロジェクトもとても多い。そしてこれからは、たとえばワイヤレスオーディオプレーヤーなども、簡単に作れるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


2歳となったRaspberry Piの販売台数は250万台超。さらなるオープン化にむけた1万ドルコンテストを開催

Raspberry Piが誕生日を迎えた。Linux搭載のローコストマイクロコンピュータは2歳となったわけだ。2歳ではあるが、とても大きく育った。

イギリスのケンブリッジ発であるクレジットカードサイズのコンピュータの価格は$25ないし$35だ。販売を開始するまでは、数千台も売れれば良いほうだと考えていたそうだ。しかし予想は良い方向に大幅にずれ、発売初日にModel B Piが10万台も売れることとなった。全モデルの累計では昨年10月までに175万台を売り上げ、そしてそこからさらに売り上げを伸ばして、現在は250万台にまで伸びている。

Raspberry Piは、当初から、そして今でもクリエイティブなプロダクトで用いられている。たとえばPi Foundationの当初のミッションである子供にコンピュータやコーディングを教えるための教材としても、多く世に出ている。またメーカーやスタートアップもRaspberry Piを活用したデバイスなどを多く生み出している。こうした動きは、業界に携わるものとして、みていてとてもエキサイティングなものだ。

Piが成長していくなか、非営利団体のPi Foundationは10万ドルの賞金をかけたコンテストを企画している。これはオープンソースのグラフィックドライバーをPi上に移植することを目的とするものだ。

現在のところ、Piとハードウェアの通信には、オープンソースではないバイナリのドライバー(blob)が必要となる。しかしチップメーカーのBroadcomが同等のチップで利用できるドライバーのソースコードを公開したことをうけ、これをPiに移植したいと考えているわけだ。移植が完了すれば、グラフィック面でもblobの利用をバイパスし、さまざまな機能を利用できるようになる。

コンテストの詳細は以下(英文)に記載されている(いつまで行われるのかについての記載はない。移植が完了するまで、ということなのだろう)。コンテストのルールについてはこちらに記載されている。

In common with every other ARM-based SoC, using the VideoCore IV 3d graphics core on the Pi requires a block of closed-source binary driver code (a “blob”) which talks to the hardware. In our case, this blob runs on the VPU vector processor of the BCM2835 (the SOC or System On a Chip at the heart of the Raspberry Pi); our existing open-source graphics drivers are a thin shim running on the ARM11, which talks to that blob via a communication driver in the Linux kernel. The lack of true open-source graphics drivers and documentation is widely acknowledged to be a significant problem for Linux on ARM, as it prevents users from fixing driver bugs, adding features and generally understanding what their hardware is doing.

Earlier today, Broadcom announced the release of full documentation for the VideoCore IV graphics core, and a complete source release of the graphics stack under a 3-clause BSD license. The source release targets the BCM21553 cellphone chip, but it should be reasonably straightforward to port this to the BCM2835, allowing access to the graphics core without using the blob. As an incentive to do this work, we will pay a bounty of $10,000 to the first person to demonstrate to us satisfactorily that they can successfully run Quake III at a playable framerate on Raspberry Pi using these drivers. This competition is open worldwide, and you can find competition rules here which describe what you have to do, and how to enter.

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(翻訳:Maeda, H


自作コンピューターキットのKano、Kickstarterで10万ドルを目指すも結局は150万ドルを調達

KanoはRaspberry Piをベースとした自作コンピューターキットで、Kickstarterにて10万ドルの資金調達を目指していた。この資金で、2014年夏までに1000台のKanoキットを世に送り出そうと考えていたのだ。しかしこの目標額はわずか6時間で集まってしまった。結局(現在Kickstarterキャンペーンは終了間際だが)150万ドル近くの資金を調達するに至っている。

キットの価格は99ドルで、パーツに分かれた形で送られてくる。コンピューターというのがいったいどうなっているのかと興味をもちながら(ちなみにこのキットのメインターゲットは子供たちだ)、自分で組み立ててみることができる。シンプルなガイドブックがついていて、それを見ながらコーディングの練習をしてみたり、あるいは何か実際に機能するものを作ってみることができるようになっている。

Raspberry Pi単体では敷居が高いようなケースでも、このキットを使えばステップバイステップでコンピュータに親しんでいくことができる。Kanoキットにはキーボード、SDカード、ケース、CASE MOD、OS、ゲームやさまざまな作例、DIYスピーカー、実際にやってみれば何時間分にもなるサンプルプロジェクト集などが同梱されている。

お分かりと思うが、Kanoは単にPiを表面的に再パッケージ化したようなものではない。オリジナルのOS上に独自のKano OSを搭載している。元をたどればDebian Linux(Debian Wheezyディストリビューションを使用)だ。そしてここで動作するScratch風のコーディング環境を備えている。Kanoはこの開発環境をKano Blocksと名づけている。

下にKano Blocksの外観や、PongやMinecraftを制作する様子を示す動画を掲載しておく。

Kanoは世界中の成長市場をターゲットとしており、ガイドブックも英語、スペイン語、アラビア語、中国語版などを用意しており、さらにヒンディー語なども準備しているところだ。

シード資金は友人や家族から集めたもので、初期モデルの開発に充てている。また3人の共同ファウンダーのうちの1人であるSaul KleinIndex Venturesのパートナーであり、そのために同ファームからも若干の資金を調達している。

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(翻訳:Maeda, H


Raspberry Piの世界総売上が175万台に到達, 内100万がMade In U.K.

Raspberry Piマイクロコンピュータは25/35ドルと安く、多くのDIYハードウェアプロジェクトを育て、全世界で売上175万台に達した、と同製品をイギリスで作っているRaspberry Pi Foundation(RPF)が今日(米国時間10/8)発表した。最初のPiは2012年3月に発売され、イギリスのメーカーたちは当時、最初の年(2012)は1000台ぐらい売れるかな、と想像していた。しかし結局は100万台近く売れ、2年目の今年は200万に近づいている。

またイギリスにとって有意義なのは、製造をイギリスに移して以来、100万台のPiが作られたことだ。その工場はウェールズにあるSonyのPencoed工場で、100万台のPiはそこで生まれた。

最初は、安価な電子製品の常としてPiも中国で作られていた。しかしRPFはイギリスのスタートアップであり、製造過程を頻繁に気楽に見回れるためにも国内で作りたかった。また、イギリスの製造業を育てたいという意図もある。そこでSonyが選ばれ、そのPencoed工場が今日、100万台めのPiを世に送った。

つまり175万台のうち75万台が中国で作られたことになる。PiのメインのディストリビュータであるPremier Farnell/element 14が製造をすべてウェールズに移したのは今年の3月だったが、今でも一部はイギリス以外で作られている。

この太陽光発電で動くFTPサーバのように、Raspberry PiはDIYハードウェアのプロジェクトに使われてコミュニティを活発化しているが、それと同時にPiは、学童たちのプログラミング入門を助けている〔Piの最初のねらいがそれ〕。今年の年初には、Googleがイギリスの学童に15000台のPiを寄付するための100万ドルの基金を立ち上げた。またアフリカでも、学校のコンピュータ教室の基本装備として採用されている。

今年の4月の、出荷台数120万台の時点でRPFは、出荷先の国別分類を発表した。およそ98%がイギリスやアメリカなどの西欧諸国だ。PiのファウンダEben Uptonによると、途上国への普及がこれからの大きな課題だという。

具体的にはたとえば、ディストリビュータのRS Componentsは今では南アフリカに在庫を置いている。アフリカ南部の諸国に、迅速に出荷できるのだ。“一つ一つイギリスから送ることに比べると配送コストも安いし、確実な配達ができる。どんな物でも、ヨーロッパからアフリカに直接送るのは問題が多い”、とEbenは語る。

“南米市場も開拓したいが、輸入関税の高い国が多いから、上手なやり方を今研究中だ。まだ発表の段階ではないが、重視している市場であることは確かだ”、と彼は言う。

さらにこのところ、アジア向けの出荷が伸びている。“国別で言うと、総台数で最大は合衆国、人口一人当たり台数で最大はイギリスだが、今ではアジア市場、とくに日本と韓国とフィリピンが対前月比の伸びでは最大だ”、とUptonは言う。

今日の100万台めのPiは、どこへも行かない。“Sonyが、保存用の金貼りのケースを作ってくれた。ケンブリッジのPi Towersに展示して自慢したい”、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


大量のDVDを自動リッピングする自作ロボットJack The Ripper

DVDは好きだけど棚の空きスペースも好き、という矛盾する趣味を抱えている人のためのプロジェクト。このJack the Ripper(切り裂きジャック)と名づけられたシステムは、Raspberry Piで動き、左に積まれたDVDの山から一枚ずつ取り上げてリップ(rip, データ吸い出し)し、リップが終わったDVDを右の山に積んでいく。この行為を、無限に繰り返す。

Andy Ayreがこのシステムを作ったのは、自分のDVDコレクションを全部リップする時間が自分にはない、と気づいたときだ。優秀なハッカーでもある彼は、モーターとマイクロプロセッサと古いラップトップを使用する完璧なソリューションを、自分で設計し自分で3Dプリントした。

ダウンロードしたい人はここから。あるいは彼のWebサイトで詳しいドキュメンテーションを読み、ゼロから自作してもよい。こんなものが欲しい人は、今ではあまりいないと思うけど、DVDのリッピングを自作のロボットにやらせるなんて、ちょっとクールだよね。その次は、ロボットに何をやらせたらおもしろいだろうか?

出典: 3Ders

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Raspberry Piならアフリカの貧村の小学校にも立派なコンピュータ教室を作れる

$35/$25の汎用マイコンボードRaspberry Piはすでに100万台あまり売れているが、しかしそのユーザの大半は、合衆国やイギリスの電子工作マニアたちだ。でもファウンダがこのプロジェクトに対し最初に抱(いだ)いたミッション: “次世代のプログラマを啓発し育てることは、まだ強く生きている。たとえばここでご紹介する、Indiegogoのプロジェクトは、アフリカの農村の小学校にPiを使ったコンピュータ-教室を作ろうとしている。

今年の初めにRaspberry Pi Foundationが紹介したベルギーのボランティア団体は、大量のPiをカメルーンに持ち込んで、農村の学校にコンピュータ教室を作ろうとしていた。Piは低価格で消費エネルギーも少なく、またオープンソースソフトウェアへの世界中からのサポートもあるため(特定の専門家を要せず)、開発途上国の児童生徒達が使う最初のコンピュータとして大々的に普及してもおかしくない。ただし最初のきっかけとしては、ハードウェアの無償提供があることが、望ましい。そんなボランティアプロジェクトの一つが今、IndiegogoでPiの大量購入のための資金を募集している。

今回は対象国がカメルーンではなくてスワジランドだが、ボランティアたちはSidvokodvo Nazarane Primary Schoolという小学校にコンピュータ教室を作ろうとしている。求めている資金の総額は2550ドルだが、それは10台のRaspberry Piと、それらをラップトップ的に使うためのMotorola製Atrixドックだ。この組み合わせなら、別途モニタやキーボードを買わなくてもPiをスタンドアロンのマシンとして使える。もちろん、コネクタやスペアパーツの類も、最初から買っておかなければならない。

資金集めは順調で、〔日本時間8月22日お昼の12時現在〕まだ締切りまで20日あるがすでに2660ドルの協力出資が約束され、目標額を上回っている。たくさん集まれば、そのぶん、買えるPiの台数が増える。スイスで活動しているアメリカ人のボランティアPiers Duffellによれば、Piを使用するそのコンピュータ教室で子どもたちがまず経験するのは、キーボードを使用するテキスト入力、ワープロソフトの利用、オフラインバージョンのWikipediaにアクセス、Khan Academyで算数/数学を勉強、などなどだ。そのあと、プログラミングの浅瀬で裸足で遊んでもらう。こうして、世界中の子どもたちがプログラミングの技能を身につける。それこそが、Piのオリジナル作者たちが最初に願い、彼らの組織Pi Foundationが今でも願っていることなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


NetBeez(ネットの蜂たち)は数百台のRaspberry Piがエンドユーザをシミュレートするネットワークモニタリングツール

Raspberry Piはメーカーたち*のあいだで当然のように大ヒットしたが、ここでご紹介するエンタプライズ系スタートアップは、この25~35ドルのマイコンボードを一度に数百台も使って企業のネットワークをモニタし、ネットワークの不具合の報告を無人化する。〔*: メーカー運動、参考記事(1)(2)。〕

合衆国のスタートアップであるNetBeezは4月に創業され、ピッツバーグのAlphaLabアクセラレータを最近卒業して、今ではネットワークをモニタしてアドミニストレータに問題を報告するツールを複数のRaspberry Piを使って作っている。資金は25000ドルをAlphaLabから調達したほか、10万ドルの転換社債を発行している。そして今は、シードラウンドで資金を調達中だ。

このツールの基本的なアイデアは、Piたちにネットワーク上のユーザの活動をシミュレートさせるところにある。そのことにより、実際に人間ユーザがネットワークのダウンによって不便を経験する前に、問題を検出する。Piは単価が比較的安いから。一社につき数百台をインストールして全社のネットワークのアップタイムをモニタすることも可能だ。たとえば銀行なら、すべての支店を監視するとか。ネットワーク全域のモニタリングをしても、費用は低く抑えられる。

協同ファウンダのPanagiotis Vouzisは次のように説明する: “NetBeezはネットワークに起きる変化を調べ、エンドユーザに影響が及ぶ前に接続落ちを検出する。ネットワークのダウンが起きるのは、技術者がネットワークに何かの変更を加えたあとが多い。これまでのモニタリングツールは主にルータとスイッチを見ていたが、エンドユーザのレベルでネットワークが死んでることはチェックできなかった。技術者はユーザに迷惑をかけまいとして午前2時とかに変更作業をすることが多いから、そのためにかえって、エンドユーザに及ぶ影響に関しては無知なのだ”。

“典型的には、朝の8時ごろ、最初に出社してきた社員が、やっとネットワークダウンを経験する。直るまで、仕事ができない。午前2時の変更作業に社員がつきあってチェックするのは、きわめて重要な構成変更ぐらいだ。しかしそれもまた面倒だし、経費を要し、スケーラビリティがない。しかもそのほかの変更はすべて、さっきの午前8時タイプになる”。

そこでNetBeezでは、スイッチの向こう側(==エンドユーザと同レベルの場所)にインストールされたPiが、Beezと呼ばれるモニタリングソフトを動かす。それによりネットワークを担当する技術者は、真夜中に行った構成変更の影響を、社員たちの出社前に知ることができる。

“エンドユーザのレベルで検出されるネットワークダウンにかぎっても、その症状は多様だ。通常彼らはヘルプデスクに電話をして、そこからIT部門に報告が行く。しかしBeezのRaspberry Piネットワークは、朝出社してくる人間よりも早く分散ネットワーク上の問題を発見して報告できる。しかも、ヘルプデスクは完全にバイパスする”、とVouzisは付言した。

Vouzisによると、同製品のターゲットは、複雑なネットワークを持つ大から中ぐらいの企業で、ダウンタイムを最小化する必要を抱えているところだ。5月からベータテストを行っており、著名企業3社がテスターとして参加している。

Vouzisともう一人の協同ファウンダStefano Gridelliは、元々ネットワーク技術者だ。同社のビジネスモデルは、Bee(蜂)たち(Pi)の数に応じて前金制または月額/年額の会費制となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


30ドルの超小型コンピュータRaspberry Piをラップトップに変身させるプロジェクト

$35または$25超小型コンピュータRaspberry Piは、それを使ってハードウェアハッカーたちが数々のクリエイティブなプロジェクトを作り上げている。上の画像もその一つで、デベロッパEric Chouが作った、Raspberry Piを使ったラップトップだ。使っているのはMotorolaのラップトップドックAtrixだが、これまでのPi作品の中でもとりわけクールなものの一つではないだろうか。

Atrixはスマートフォンをラップトップ的に使いたいときのためのドックだが、今では生産されていない。でもAdafruit Industriesには下のような‘ハウツービデオ’がまだあり、ドックもネット上のあちこちで買える。Micro USBとMicro HDMIスロットがあるので、Piをラップトップに変身させるのも比較的簡単だ。Adafruitのビデオを見れば、Piをラップトップするためのコネクタのつなぎ方などがすべて分かる。

Chouのラップトップ作品にはAirlink WiFiのモジュールなども含まれているので、部品の原価が125ドルほどかかっている(Piの価格を除いて)。しかしそれでも、OLPCプロジェクトのXO(推定原価200ドル)〔画像〕よりは安い。しかもOLPCのデバイスは各国の政府経由で一挙に何千台も配布され、個人がどこかで気軽に買うというものではない。Piなら、一つないし少数のラップトップを、自分のハッキング目的などのために簡単に作れる。

しかもRaspberry Piラップトップは、とくに途上国にとって、コンピュータが安く入手できること以外の大きなメリット…コンピュータの原理的な勉強…がある。たとえばカメルーンの農村地域の学校では、ベルギーのボランティアたちの手により、Piに国内で買ったモニタとキーボードをつけてクラスの一人々々のためのコンピュータを作るプロジェクトがすでに動いている。モバイルではないおおむね固定の学習用コンピューティング環境としてPiは優れているだけでなく、Atrixのドックのようなものが加われば、可搬性(持ち運び、携帯の便)も含めその便利さは一挙に増大する。

Piラップトップは教室で使うときテザリングが不要なだけでなく、子どもたちが家に持ち帰って勉強を続けられる(ドックには電池があるので電気のない村の家でも使える)。Piを作った非営利組織Raspberry Pi Foundationも、当初の目的であるイギリスのできるだけ多くの子どもたちがプログラミングできるようになることだけでなく、とくに今年からは途上国での利用にも力を入れている。もちろんそれらの国々では、安価なコンピュータへのニーズが大きい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Fedora LinuxがRaspberry Pi用リミックスPidoraをリリース

Red HatのFedoraプロジェクトは、35ドルの小さなコンピュータRaspberry Piをこれまでもサポートしてきたが、今日からは、本来のFedoraディストリビューションをPiのために特別に“リミックス”したバージョン、Pidoraの提供を開始する。DebianのRaspbianディストリビューションと同じく、Raspberry Piとその上のハードウェアを有効利用できるように、特別にコンパイルされている。.

Pidoraには、ふつうのFedoraのデスクトップ体験にないものが二つある。まず、非力なPiのためにGUI/ウィンドウマネージャはGNOMEではなく、より軽量なXFCEだ。またモニタなしで使うユーザが多いと想定されるため、使いやすいヘッドレスモードを備えている。Piにスピーカーをつなぐと、そのIPアドレスを大声で言ってくれる。頭がいいね。

PidoraをビルドしたのはSeneca*のCentre for Development of Open Technology(CDOT)だ。ここは2年前から、FedoraのARMv5tel/armv7hlビルドも手がけている。もちろんその経験が、Pidoraにも活かされている。PiはARMv6だが、FPUは特製でARMv6のスペックにはない。〔*: Seneca, カナダのトロントのセネカ大学。〕

CDOTのChris Tylerによると、Pidoraの制作には3つの難関があった:

  1. ビルドの手順 — ソースパッケージは10K以上もあり、複雑なため、順番を間違えると依存関係が循環状になってしまう。
  2. ARMv6固有の問題 — ARMビルドではarmv5とarmv7がもっともふつうのターゲットだ。一部のパッケージには、armv6非互換の部分がある。
  3. ネイティブビルディング — Fedoraはネイティブビルドに固執する。つまり、コンパイル後のコードを実行できるシステムの上でパッケージをビルドしなければならない。

Raspberry PiのオーナーにとってPidoraが魅力的な選択である理由を、Tylerは次のように語る:

PidoraにはRaspberry Pi固有のPythonモジュールとライブラリ…WiringPi, bcm2835, python-rpi.gpioなど…がある。カーネルもRaspberry Piのインタフェイス…I2C, SPI, シリアル, GPIO…を露出するようコンパイルされており、一部は専用のライブラリやモジュールなしで(bashからでも)/sysのファイルインタフェイスでアクセスできる。また、GPUのBroadcom Videocore IVにアクセスするためのRaspberry Pi固有のユーティリティやライブラリもある。

ぼくはごく最近Piを手に入れたが、昨晩PidoraをSDカードにインストールした。何のトラブルもなく、すぐ動いた。

Fedoraは何年も前から、Fedora Linuxを載っけたUSBスティックを提供している。今後はあちこちのカンファレンスやイベントの会場で、Pidoraの載ったSDカードが配られるようになるのではないかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))