耳栓型の双方向翻訳機WT2が1月に発売、リアルタイム翻訳の実現も近い

Timekettleは、昨年のTechCrunch Shenzhen(深圳)で披露した翻訳をするウェアラブルWT2のその後の進歩を、われわれにどうしても見せたいようだった。昨年の3Dプリントしたプロトタイプと違って、このクラウドファンディングされた耳あては、今や発売可能だ。

すでに初期支援者には現物を送り始めており、1月には予約購入者にも送り始める。そのハードウェアは、しっかり作られている。外見は大きすぎるAirPodケースのようで、二つを磁石で閉じる。使い方は、開いた状態で片方を話す相手に渡す〔下のビデオ参照〕。

アプリで言語を選び、各自が一つ耳につける。二つの翻訳機は区別できないが、光っているロゴの上に細い線(“まゆげ”)がある方が二号機だ。

GoogleのPixel Budsなどのウェアラブル翻訳器はあまり売れなかったが、こいつはそれらよりもずっと巧妙だ。着用者がお互いにアイコンタクト(視線を交わす)したり、ボディーランゲージ(身振り手振り)を使えたりするところが、ミソだ。それらは、言葉が違う者同士のコミュニケーションでは、とても重要だ。

しかし、でも、それが障害になるかもしれない。多くの場合、見知らぬ人に片方の耳あての装着をお願いすることになるだろう。それが、つらい。でも、まじめなビジネスの場面なら、とっても便利なツールだ。

でも前者のような場合には、アプリとその画面でコミュニケーションできる(下図)。お互いにロゴをタップしてから話す、という、ウォーキートーキー(トランシーバー)的な使い方もできる。それは、まわりの騒音を拾わないための工夫だ。

全体的にぼくは、かなり感銘を受けた。同社のCEOとの会話を書き起こした上図の例でお分かりのように、翻訳は完璧ではない。でも、あたりのノイズと、上質でないセル接続と、会話の相手が‘歩きながら’にこだわったことを考えると、WT2の仕事は賞賛に値する。

現在は、翻訳に遅延がある。話終わってから数秒後に、相手の耳に翻訳が行く。これは、言葉の勉強を助けるためかもしれない。でも、発売までにはリアルタイム翻訳に近い性能にしたい、と同社は言っている。

〔訳注: WTはたぶん、Wearable Translatorの頭字語。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleの翻訳結果が‘字義通りだけど無意味’なので警官の捜索が憲法違反に

外国語の機械翻訳がとても便利であることは確かだが、どこかへの行き方やおすすめのランチ以上の話題になると、その浅さが現実的な障害になる。そしてそれが、法律や基本的人権の問題になると、“まあまあの翻訳”では役に立たない、とある判事が裁定した。

その判決(PDF)にそれほど重大な意味があるわけではないが、翻訳アプリは今や法曹の世界でも使われ始めているので、その今後の正しい進化のためにも、気にする必要があるだろう。今は幸いにも多言語社会になっているが、しかし現在および短期的な未来においては、異なる言語間の橋渡しがどうしても必要だろう。

その裁判では、Omar Cruz-Zamoraという名前のメキシコ人がカンサス州で警官に、道路脇への停車を命じられた。警官たちが彼の同意のもとに車の中を調べると、大量の覚醒剤やコカインが見つかり、当然ながら彼は逮捕された。

でも、ここからが問題だ。Cruz-Zamoraは英語が話せなかったので、車の中を捜索する同意はGoogle Translateを介する会話によって得られた。法廷は、その会話が十分に正確ではないので、“当事者の自発的かつ了解のもとに”得られた同意を構成しない、と見なした。

アメリカの憲法修正第4条は、不合理な捜索や押収を禁じている。そして正当な理由がない場合公務員は、Cruz-Zamoraが、車内の捜索を断ってもよいことを理解していることを必要とする。会話からは、その理解が明確でなく、一貫して両者は、相手の言っていることの正しい理解に失敗している。

それだけでなく、アプリが提供した翻訳は、質問を十分に正しく伝えていない。たとえば警官は英語から翻訳されたスペイン語で“¿Puedo buscar el auto?”、と質問している。その文字通りの意味は、“車を見つけてもよいですか”に近く、“車を捜索してもよいですか”にはならない。Cruz-Zamoraがその“字義通りだが無意味な”(←裁判長の言葉)翻訳結果から、車の捜索に同意するかという本当の質問を類推できた、という証拠はない。彼自身に選択の権利があることすら、理解しなかったかもしれない。

同意が無効なので車の捜索は憲法違反となり、Cruz-Zamoraの告訴は取り下げられた。

Google Translateなどのアプリでは同意が不可能、という意味ではない。たとえばCruz-Zamoraが自分でトランクやドアを開けて捜索をさせたら、それはたぶん同意を構成しただろう。しかし、アプリを使った対話が正確でないことは、明らかである。これは、英語の話せない人を助けたり調べるためにパトロールしている警官だけの問題ではなく、法廷の問題でもある。

機械翻訳サービスのプロバイダーは、その翻訳がほとんどの場合に正確だ、数年後にはとても難しい場合をのぞき人間翻訳者をリプレースする、とわれわれに信じさせようとしているかもしれない。しかし今回の例が示すのは、機械翻訳がもっともベーシックなテストに失敗することもありえる、ということだ。その可能性があるかぎり、私たちは健全な懐疑主義を持ち続けるべきだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

両義的な文の機械翻訳で正しい訳語をガイドするGoogleのTransformerシステム

機械学習が翻訳にも大きく貢献することが実証されてきたが、弱点もある。たとえば翻訳モデルには、逐語主義(一語々々仕事をしていく)という性癖があり、それが深刻なエラーに導くこともある。Google Researchの今日(米国時間8/31)のブログ記事が、この問題の性質と、それに対する解決方法を詳述している。

同社の自然言語処理の部署にいるJakob Uszkoreitが、問題をうまく説明している。次のような二つのセンテンスがあるとしよう:

I arrived at the bank after crossing the street.

I arrived at the bank after crossing the river.

もちろん、これらの“bank”の意味は同じではない。でも、その意味はセンテンスを最後まで読まないと分からないから、アルゴリズムはこの語を拾ったとき間違った訳を与えるかもしれない。いろんな文章を注意して読むと、このような曖昧性は至るところにあることに気づく。

ぼくならセンテンスを書き換えるが(StrunkとWhiteはこれについて警告している)、もちろんそれは翻訳システムの能力にはない。また、このような曖昧なケースのすべてに対応できるように、ニューラルネットワークの振る舞いを変えることも、たいへんすぎて非現実的だ。

Googleのソリューションは、Attention Mechanismと呼ばれる。同社はそれを、Transformerと名付けたシステムへ実装した。それはセンテンス中の各語をすべてのその他の語と比較して、お互いのあいだにどれぐらい重要な影響関係があるか調べる。たとえば、“he”が話しているのか、“she”が話しているのか、それとも“bank”のような語に特別の意味があるのか…。

訳文を構築するとき、Attention Mechanismは各語を、他のすべての語の末尾につけた形で比較する。下のGIF画像は、その様子を表している。…ある程度はね。

今週のこの記事〔未訳〕を読まれた方は、すでにAttention Mechanismの用例をご存知だろう。その記事では協同ファウンダーが、この問題にはいちばん苦労した、と言っている。そして、Googleのポストが参考にしているコーネル大学のペーパーも教えてくれた。もちろん、Googleがそのペーパーの記述を模倣しているわけではない。しかしDeepLの実装はとても効果的で、Googleのよりも良いかもしれない。

Googleのやり方には、面白い副作用があって、システムのロジックをのぞき見できる: Transformerは各語に、すべてのほかの語との関連性をスコア(得点)で与える。下図では色の濃淡がスコアだが、左のセンテンスではitはanimalとの関連性が濃く、右のセンテンスではitはstreetとの関連性が濃い: 〔tired(疲れている)のはanimal、wid(広い)のはstreetだ〕

これは、うまいやり方だよね。少なくともぼくは、そう思う。この例では“it”がstreetかanimalかに関して曖昧性があり、最後の語を知らないとどっちが正しいか分からない。人間は教わらなくても分かるが、機械には、何でも教えなければならないのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google翻訳、アプリの切り替えなしに翻訳できる機能(Android)や、オフラインモード(iOS)を実装

google-translate-tap-to-translate-animated

Googleが提供している翻訳アプリケーションのアップデートを行った。iOS版およびAndroid版の双方が新しくなっている(訳注:訳者のところではまだアップデートが確認できていません。「next few days」のうちにアップデートされるそうです)。

今回のアップデートには、3つの重要なポイントがある。ひとつはiOS版でのオフライン翻訳のサポートだ。またAndroid版ではTap To Translate機能が実装された。さらに双方の環境のWord Lens機能において、中国語をサポートした。

オフラインモードは、実際に旅行先で用いる場合などに便利だろう。住み慣れた地元と異なり、思わないタイミングでネットワークから切り離されてしまうこともあるだろうからだ。ちなみにAndroid版では、以前からオフラインモードがサポートされている。Googleによれば、言語パッケージおサイズを最大で90%も軽量化したのだとのこと。おかげで今ではわずか25MBにおさめているのだそうだ。ダウンロード可能な言語パッケージは、現在のところ52言語分が用意されている。

Google Translate - Tap to Translate

Android版の利用者にとっては、Tap to Translateが嬉しい新機能だろう。Google翻訳アプリケーションに、翻訳したい内容をコピー&ペーストするのではなく、ただ単に知りたい単語をコピーすると翻訳を表示させることができるのだ。ちなみに翻訳は、アプリケーションを切り替える必要なくオーバーレイ形式で表示される。

なかには「その機能は前からあったはず」と感じる人もいるかもしれない。確かに、昨年からこのTap to Translate機能を一部で実装してはいるのだ。ただし、いぜんのものはWhatsAppやTripAdvisorなど、限られたアプリケーションでしか動作しないものだった。

Google Translate - Word Lens for Chinese

さらに。Word Lensの対応言語が増えたのが嬉しい(訳注:日本語は未対応ですので、Word Lensのすごさを感じてみたい方は、翻訳言語を英語とドイツ語ないしフランス語などにしてみると良いでしょう)。Word Lensはカメラで捉えた単語をリアルタイムで翻訳するものだ。今回のアップデートで簡体字および繁体字の双方に対応した。これでサポート言語は29言語となった。

Googleのスポークスパーソンが言うところでは、インドやインドネシアなどで新たにスマートフォンを入手した人などに話をきいて、今もっとも必要な機能を実装しようと考えたのだとのことだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

翻訳サービスのUnbabelが翻訳者にヒントを提供するSmartcheck機能を導入

shutterstock_291280838

人間による編集と機械学習を併用する、Y Combinator支援の翻訳プラットホームUnbabelが今日(米国時間9/11)、Smartcheckと呼ばれる新しい機能を発表した。

Unbabekの基本システムは、インテリジェントな翻訳エンジンをベースとする翻訳サービスだ。仕事を求める翻訳者はそこに登録し、翻訳者を探している顧客は言語や専門分野などで検索する。現在は22の言語の45のペア(スペイン語を英語に翻訳、など)をサポートしている。

その機械学習の部分では、翻訳システムがシステム内で行われる翻訳から学習する。翻訳のパターンを認識して、特定の語句の特定の翻訳のされ方を覚え、それを基準として正しい翻訳とそうでない翻訳を見分ける。

UnbabelのCEO Vasco Pedroはこう述べる: “システムが徐々にお利口になっていく。人間編集者の仕事をモニタして、よくある誤訳を見つけるとコミュニティにフィードバックする”。

翻訳料金は語数ベースで、翻訳者の能力は1時間800語以上が期待されている。翻訳者の報酬は時間給なので、Unableとしては速い方がありがたい。そこでスピードアップとエラーの減少の二兎を、Unableは追わなければならない。

そこで登場したのが、Smartcheckだ。この機能は翻訳の過程で誤訳の可能性を指摘するだけでなく、正しい訳のヒントも与える。

Shows example of the Unbabel Smartcheck feature.

“翻訳者が翻訳をしていく過程でヒントを与え、検討を要する部分を高輝度化する”、とPedroは説明する。

指摘は単語のスペルのような単純な問題もあれば、主観的な言い方を避けよ、とか、顧客が求める文体でない、など高度な指摘もある。

システムはこれらのヒントを、翻訳エンジン内の翻訳者の仕事をモニタすることによって習得する。つまり人間翻訳者は機械から教わるが、その前に機械は人間翻訳者から学ぶのだ。

同社の登録翻訳者は今約32000名で、およそ380社が利用している。7月は同社の売上が初めて10万ドルを超えるという、最高記録に達した。

今同社の料金制度は、それまでの月額会費制から、語数ベースの翻訳料へ移行しつつある。

同社はY Combinatorの2014年冬季クラスに参加し、150万ドルを調達した

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

クラウド翻訳「Conyac」のエニドア、外国語での記事執筆やリサーチが可能に

クラウド翻訳サービス「Conyac」を展開するエニドアは2月12日、新サービスを「Conyac Market(コニャックマーケット)」の提供を開始した。

Conyac MarketはConyacに所属する4万5000人のバイリンガルユーザーに対して翻訳だけでなく様々な仕事を発注できるアウトソーシングプラットフォームだ。

以前エニドア代表取締役の山田尚貴氏にも聞いたのだが、翻訳サービスを提供してきた同社に対して、最近ではネイティブスピーカーによる文章のチェック、書類の書き起こし、海外向けのプレスリリース作成、配信といった単純な「翻訳」にとどまらない仕事のニーズが増えていたのだそうだ。そんなニーズを受けて、2014年12月には、バリュープレスと提携して英文プレスリリースの作成・配信サービスを展開するなどしている。

Conyac Marketはこの取り組みをさらに拡張するもの。Conyacに翻訳者として登録する4万5000人のバイリンガルに対して、外国語でのコピーライティングや製品のキャッチフレーズの作成、記事執筆、リサーチ、原稿のネイティブチェックといった仕事を依頼できる。対応する言語数は70カ国語以上。利用手数料は、10万円までの場合料金の10%、10万円〜50万円までの場合料金の5%、50万円以上の場合は料金の2%となっている。


TwitterにBingの翻訳が正式につく(Webサイトとモバイルの両方)

【抄訳】

Twitterは、これまで2年間試行してきたBing Translatorを正式に同サイト、iOSとAndroidのモバイルアプリ、そしてTweetDeckに加える。ユーザはアカウントの設定のところでこのツールを有効にし、そうすると外国語のツイートでは小さな地球のアイコンが出る。その地球をクリックしたら、元のツイートの下に翻訳が出る。

Twitterのユーザのなんと77%が合衆国以外だから、インラインの翻訳ツールがこれまでなかったのが不思議だ。Facebookは、2011年からある。Twitterをグローバルなマーケティングツールとして使う企業にとっても、これからは各言語ごとにアカウントを取らなくてもよくなる。

Twitterはこれまでの数年間、翻訳ツールに関するいろんな実験をやってきた。今月の初めには、TweetDeckに実装したこともある。

また昨年は、モバイルアプリに翻訳機能を加えたが、あまり質の良い翻訳ではなかったから2ヶ月後に黙って取り下げた。

今日の発表でもTwitterは、機械翻訳は正しくないこともあるから、訳文をオリジナルのすぐ下に出す、と言った。ただしその親切は、オリジナルの外国語がある程度分かるユーザでないと役に立たないね。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Slateはテキスト・メッセージをリアルタイムで日本語など88言語に翻訳するiOS 8キーボード

コミュニケーションというのはいつでも難しいものだが、特にそれが外国語の場合、ハードルは非常に高くなる。コンピュータ翻訳の発達でずいぶん助けられるようになったものの、やはり不完全な翻訳がたびたび起きるし、カット&ペーストを繰り返せなければならないのも煩わしい。App Storeに登場したiOS 8向けソフトキーボード、Slatedはチャットのテキストをリアルタイムで翻訳し、ワンクリックで送信もできる翻訳アプリだ。

Slatedはなんと81ヶ国語の翻訳をサポートする。しかも入力窓にテキストを入力するはしから翻訳していく。ソフトキーボード自体はオートクレクトと候補表示の機能を外しただけで、基本的にiOSのデフォールトのキーボードそのものだから初めて使うユーザーでも戸惑うことは少ないだろう。 入力窓に自国語で入力するとその下の翻訳窓にリアルタイムで翻訳される。sendボタンを押せば相手に送信される。会話窓に表示されたテキストを長押し、コピーすると翻訳窓に翻訳テキストが表示される。

Slatedの開発者、Alaric Coleはわれわれの取材に対して、「もちろんこのアプリはお互いに理解できない言葉を話す同士の会話を可能にするために開発したものだが、キーボードをいちいち切り替えるのは面倒だから、普段のキーボードとして常用してもよい。それに同じ言語の相手とひんぱんい会話していれば知らず知らずに日常よく使われる表現を覚えてしまう」と語った。

私は昨夜、Slatedを少し使ってみた。相手は元TechCrunchで現在はEngadgetの記者、Chris Velazcoだ。Chrisはフィリピン系なのでタガログ語が話せる。しかし構文や綴りにかなりのエラーがあり、大声で読み上げてみてやっと私の送ったメッセージが解読できるということももあった。しかし結局最後にはこちらの意図が伝わった。

Slatedは当初2.99ドルのプロモーション価格で販売されているが、正価は4.99ドルだという。いずれにせよ多言語リアルタイム翻訳アプリにしては非常に安価だ。Translator Keyboardも同種のアプリだが、Slatedは翻訳能力とUIの使いやすさの点で一歩先んじている。正式公開の際にはさらにサポート言語を増やす計画だ。現在アプリはApp Storeで公開されている

いよいよ外国語がバリヤーにならない時代がやってきつつある。驚くべき時代になったものだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Google翻訳、クラウドソーシングを活用して翻訳精度の向上を目指す

メジャーな言語について、Google Translateは徐々に(相対的な意味でだが)良い翻訳成果を提供できるようになりつつある。もちろん完璧というには程遠く、Googleも現状に満足しているわけではない。そのような中、利用者の協力に基づいて翻訳精度を高めるために、新たなTranslate Comuunityの設立がアナウンスされた。

Google Translate Communityには誰でも参加することができ、2ヵ国語以上に精通している人々に、翻訳語を入力してもらったり、あるいは既存訳語の修正をしてもらうことを目的としている。Googleによれば訳語の比較検討も行えるようになるらしいが、少なくとも当方ではその機能をまだ確認できていない。

Translate Communityにてメンバーが入力した翻訳はGogole翻訳のアルゴリズムに影響を及ぼすことになっているはずだ。「あなたの助力が多くの人の助けとなります」というようなことも記されている。「頂いた修正案などを使って、翻訳精度を高めていきたいと考えています」とも書いてある。

今のところ、表示されるフレーズに対する訳語を入力しても、何の反応も見られない。ただ単にデータがデータセンターに送られるだけだ。しかしそのうちに、こうした入力作業が具体的にどのような影響を与えるのかということも知覚できる仕組みになるらしい。

尚Googleは、コミュニティ以外の場所でも翻訳精度改善に向けての動きを見せている。Google Translateでの翻訳結果をみて、おかしなところを見つけたらそれを修正投稿する機能ができたのだ。これまでも翻訳の精度を評価する仕組みは提供してきていたが、新たに具体的な修正案を投稿できるようにもなったわけだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


カメラで文字を撮る旅行向け翻訳アプリ、Waygoが日本語もサポート開始

Waygoは中国語のテキストの上にスマートフォンをかざすと英語に翻訳してくれるアプリだが、このほど日本語の翻訳のサポートを開始した。Waygoは最近SXSW2014 アクセラレータ・プログラムに選定された。また500 Startupsの卒業生でもある。

Waygoアプリはスマートフォン(現在はiPhone)がインタネットに接続していなくても独自のOCRテクノロジーによってフレーズや個別の文字の翻訳が可能だ。Pleco中国語辞書などOCRを内蔵したアプリは他にもあるが、Waygoは旅行者向けに特化し、また複数言語をサポートすることで差別化を図っている。

アプリの操作は非常に簡単だ。画面から横書あるいは縦書のテキストを選択して撮影する(フラッシュを点灯するほうが認識精度が高まる)。これはフリーミアム・モデルで、各言語について1日10回までの利用は無料だ。それ以上の回数が必要な場合、1週間について1.99ドル〔200円〕と期間無制限の6.99〔700円〕のプランがある。これはライバルに比べて割安な料金だ。

CEO、共同ファウンダーのRyan Rogowskiは「最初に追加する言語に日本語を選んだのはユーザーからの要望が一番多かったからだ。特にビジネスで出張者の要望が多かった。他の地域に比べて日本では英語の表示が少ない。公共交通機関でさえ英語表示がない場合が多い」と語った。

私はWaygoの日本語機能をレストランのメニューで試してみたが、 料理名がちゃんと翻訳された。しかしWaygoのOCRは白地に黒あるいは濃色のフォント以外では認識精度が落ちるようだ。また標準的でないフォントや手書き文字では認識に失敗することが多かった。内蔵辞書はメニューや標識、公共表示に重点を措いているので複雑な文章を翻訳するのは苦手だ。現在のところ語学の勉強に使うアプリではない。しかし旅行者向けには大いに役立つだろう。

Rogowskiは「次にどの言語をサポートするかまだ決めていないが、おそらくアジアの言語になるだろう」と述べた。

写真:Ryan Rogowski

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleの検索で辞書定義の結果出力が充実(例文、同義語、語源など)

Google Search(Googleの検索サービス)にささやかだけどクールなアップデートが加わった。Googleの検索で言葉の辞書上の定義を知りたいときは、“define xxxx”のようなクェリを入力するが*、今回のアップデートでその結果の情報量がとても増えた。今回のアップデートの目的は、Googleによると、“言葉の単なる定義以上の情報を提供すること”、だそうだ。〔*: 日本語のクェリでは、“xxxx 定義”でもよいが、Googleがリコメンドするのは“xxxxとは”。〕

最近の辞書ボックスには、その言葉を含むセンテンスの例や、シノニム(同義語)などがある。ときには、語源(フローチャートやテキストを使用)やその言葉の利用頻度の変遷なども知ることができる。利用データは同社の Ngram Viewer for Google Booksから得ている。

辞書ボックスには翻訳機能もあり、60か国語に対応している。ただし、文例は翻訳してくれない。

クェリは今でも手書き入力する人が圧倒的に多いと思うが、音声で“What’s the definition of fortuitous?”とか“What are synonyms for fortuitous?”のようにクェリしてもよい。結果も、音声で出る。

前と同じく、マイクロフォンボタンをタップすると、その単語の発音が聴ける。

これらの新しい辞書定義機能は、デスクトップとモバイルで利用できる。最初は例によって合衆国とイギリスだけだが、そのほかの国と言語に関しては提供開始の明確なスケジュールがまだないようだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


サイト変更箇所の自動検知技術などを活用して、リアルタイム翻訳サービスを提供するOne Hour Translation

2008年にサービスを開始したOne Hour Translationは、オンライン翻訳サービスの中でも老舗で、多くの顧客により利用されている。100ヵ国にアクティブな翻訳者1万5000名を抱えており、対応言語も75以上にのぼる。オフィスはキプロスに構え、月間10万以上の翻訳プロジェクトを消化している。サービスを利用している企業には、コンテンツの整合性を気にしなければならない相当な大企業(トヨタやShellなど)からGoogle翻訳よりも、もう少々こなれた翻訳を望むといったレベルのところまで、さまざまであるとのこと。

自己資金によるサービスをスタートさせたCEO兼ファウンダーのOfer Shoshan曰く、この5年ほどで企業はより広いマーケットを意識するようになり、オンライン翻訳のニーズは高まりつつあるのだと言っている。

「いろいろな業界に金融危機が波及しましたが、そうした業界では、一国集中をリスクととらえて国際展開をはかるという動きが出てきました」とのこと。「こうした流れがあるので翻訳サービスのニーズは広がっているのです。市場は巨大で、昨年の統計では300億ドルという計算もあります」。

翻訳サービスは他にも数多く存在する(GengoConyac、あるいはDakwakなどをTechCrunchでも取り上げてきた)。しかしOne Hour Translationは、さまざまなボリュームに対応することができ、短時間で実施でき、そして特許取得技術などを使って、より良いサービスを提供することができるのだとShoshanは言っている。

特許取得技術にはたとえばWeST(Web Site Translationの略)というものがある。サイトに数行のコードを追加することで、サイトを多言語対応化することができる。コードを仕込んでおくと、WeSTがサイトの全テキストを把握しておくようになる。そして変更箇所を自動的に識別して、翻訳者に変更箇所を通知するようになっているのだ。これにより、母国語でサイトを更新すれば直ちに多言語版もアップデートされることとなる。また、Translation Memoryという他の特許取得技術では、サービスを利用して過去に翻訳したフレーズを再利用して、翻訳料金を抑えることもできるようになっている。また、品質保持のために同時に2名の翻訳者に作業を依頼することもできるようになっている。


One Hour Translationのウリのひとつが、同社が保持しているテクノロジーにあることは間違いない。但し最大の強みは、登録している翻訳者の質と量だろう。1万5000名以上の翻訳者たちは、仕事を始める前にはテストにも合格しなければならない。翻訳者は母国語への翻訳のみを担当する。分野的には法律、メディカル、財務文書などの専門家がいて、あるいはコピーライティング分野やアプリケーションのローカライズを専門にする人もいる。

記事中に記したWeSTなどは、同社のホームページからも簡単に申し込むことができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


東京のConyac(コニャック)は速くて安いソーシャル翻訳サービス–多層的リビューが売り

ソーシャル翻訳サービスは、お金のあまりない企業にとっても世界を小さくし、より対応しやすい場所にする。というわけで東京のConyacには、目標が二つある: 1)従来の翻訳代理店に代わる速くて安いサービスを提供し、2)日本のスタートアップの海外進出を助けること。

2009年にローンチしたConyac、今では翻訳者数が全世界から60言語1万名に成長している。料金は、単品が3ドルから、月額契約が100ドルからとなり、実質納期はたいていの場合、発注確定後1時間以内だ。

Naoki Yamadaが創業したConyac(cognacと同じ発音)の社名は、日本の人気漫画“Doraemon”に出てくる特殊なこんにゃくゼリーに由来している。それを食べると、世界のどんな言葉でも話せるし理解できるのだ。

クラウドソースで翻訳をサービスするサイトは、同じく東京のGengoOneHourTranslationをはじめ、いくつかあるが、Conyacはコミュニティによる多層的なリビュー過程に特長がある、とYamadaは言う。多層的というのは、結果がクライアントの手に渡る前にほかの翻訳者による評価が複数回行われる、という意味だ。また同社の翻訳者になるためには、最初に試験に合格しなければならない。


評価の良い翻訳者は、評価点が高くなり、翻訳の注文も多く舞い込むようになる。Yamadaによると、翻訳者が自分の仕事を評価される総回数は30回ぐらいである。また、特定の業界や分野が得意な翻訳者もいる。たとえば、Webサイトのローカライゼーションが上手、とか。

Conyac自身も、主に海外進出をねらう日本のスタートアップのためにWebサイトのローカライゼーションサービスを提供している。このサービスのユーザ企業の例としては、リアルタイムコラボレーションプラットホーム Nulabや、ニュース記事を多国語化するSD Japanなどがある。Conyacの翻訳者は、Webサイトだけでなくアプリケーションやソーシャルゲームなどもほかの言語へとローカライズし、またSEOのためのローカライズも行う。

今日までConyacは50万ドルの資金を、Skylight Consulting、Samurai Incubate、United、ANRIなどから調達している。社員は、20名が東京とサンフランシスコにいるが、もうすぐシンガポールとルクセンブルグにもオフィスを持つ予定だ。

Yamadaは、同社の今後の成長機会についてきわめて前向きだ。最初の2年間は売上ゼロだったが、昨年から月商5万ドルのレベルに達した。顧客の多くは日本の企業で、また翻訳者は日本在住がほとんど、一部、インドネシアやタイや中国などのアジア諸国にもいる。

“うちの翻訳のクォリティがもっと上がれば、今の翻訳代理店たちを完全にリプレースできる。それは、とっても巨大な市場だよ”、とYamadaは言う。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


シンガポールのEchelonカンファレンスでOCR翻訳のWaygoが最有望賞–本誌ミートアップもあり

シンガポールで行われた2013Echelonカンファレンスで、Waygoが「もっとも将来性のあるスタートアップ」賞を取った。

7名の審査員の中には、500 Startupsの創立パートナーDave McClure、SingTel Innov8のCEO Edgar Hardless、Southern Cross Venture PartnersのマネージングディレクターJohn Scullらがいた。

WaygoはOCRで読んだ文を翻訳するが、今は中国語→英語だけだ。オフライン、リアルタイムで使え、英語が中国語のテキストの上にオーバレイされる。

同社は、500 Startupsの2月の育成事業の卒業者だ。

受賞直後に協同ファウンダのHuan-Wu Yuに話を聞いたが、社歴2年の同社は近く、75万ドルのシードラウンドを完了するそうだ。

Waygoのユーザは今およそ4万で、Lonely PlanetやAmerican Airlinesとプロモーション契約の交渉を進めている。そして今は、日本語バージョンと韓国語バージョンを開発中だ。

今日(米国時間6/4)、EchelonカンファレンスのあとでTechCrunch meetupがある。Josh Constineと私が出席する。時間は今日の午後6時から8時までで、場所はMOA New Zealand Bar, 5 Changi Business Park Central 1, Singapore Cityだ。

そこで、お会いしましょう!


[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google翻訳でユーザが頻用する翻訳パターンを登録再利用できるようになった

Google Translate(Google翻訳)で、個人的なフレーズブック(語句覚え書き帳)を作れるようになった。そこにフレーズやセンテンスをメモしておくと、今後の翻訳時にそれが優先的に使われるようになる。Google Translateのチームは今日の発表声明で、“翻訳結果を記憶させておくことにより、ユーザがよく使うフレーズを保存しておき、後日、必要に応じて呼び出すことができる”、と言っている。

Googleによると、それらのフレーズが何度も再利用されることによって、その翻訳がGoogle Translateの“永続的な知識”になる(あなたが昔ラテン語のクラスで反復練習による丸暗記を強いられたように)。

フレーズブック機能はデフォルトでonになっている。画面右隅にある小さな本のようなアイコンをクリックすると、それにアクセスできる。フレーズを保存するときは、翻訳の下にある星印のアイコンを押す。

フレーズブックの内容は、左に原文、右に翻訳結果、という単純な構成だ。Google Translateのほかの機能と同じく、対象言語別にフィルタできる。また、各フレーズを音声で聞くことも可能だ。

〔下の図では「Thank you.」と「ありがとう。」のペアをこれから保存する。図の右は、保存後のフレーズブックの内容。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YouTube、GengoおよびTranslated.netと提携して、ビデオ字幕の有料翻訳依頼を便利に

先ほどYouTubeは、プロが翻訳した字幕を効率よくユーザーに提供するために、人気翻訳サービスのGengoおよびTranslated.netと提携したことを発表した。パブリッシャーはYouTubeのインターフェースを通じて、翻訳に必要な時間と料金の見積りを得られる。ただし発注、支払い手続きは翻訳サービスのウェブサイトで行う必要がある。Googleは今後提携サービスを追加していく予定だ。

caption_translations

昨年9月、YouTubeはいくつかの機能を追加し、パブリッシャーがGoogle Translator Toolkitを使ってビデオを300種類以上の言語に翻訳できる一連のツールを提供した。今日(米国時間2/20)のニュースは、パブリッシャーが以前より多少有料翻訳を使いやすくなった、という意味にすぎない。今後も自分の翻訳をアップロードする(あるいはクラウドソースする)ことは可能だ。

もちろんGoogleは、自動的にいくつかの言語でビデオに字幕を付けており、今後も他の言語への翻訳に自社の機械翻訳アルゴリズムを積極的に使っていくだろう。しかし同社は、現時点では最高の翻訳ツールでも完璧にはほど遠いため、専門家による翻訳へのニーズがあることをはっきり認識している。

Googleは、GengoおよびTranslated.netに作業を依頼するパブリッシャーは、自分のビデオに標準キャプショントラックを用意しておく必要があると注意している。

ScreenshotBlogPost2.fw

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)